JP2002184406A - アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池

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JP2002184406A
JP2002184406A JP2000379292A JP2000379292A JP2002184406A JP 2002184406 A JP2002184406 A JP 2002184406A JP 2000379292 A JP2000379292 A JP 2000379292A JP 2000379292 A JP2000379292 A JP 2000379292A JP 2002184406 A JP2002184406 A JP 2002184406A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充放電サイクル特性が良好で、大電流で放電
した場合の放電容量が大きいアルカリ蓄電池が得られる
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極、およびその製
造方法、ならびにそれを用いたアルカリ蓄電池を提供す
る。 【解決手段】 導電性の支持体と支持体の表面に配置さ
れた活物質含有層とを含む。そして、活物質含有層が、
水酸化ニッケルを含む活物質粉末とバインダーとを含
み、バインダーが、ポリエチレンの一部を少なくとも塩
素基で置換したポリエチレン誘導体を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリ蓄電池用非
焼結式ニッケル正極、およびその製造方法、ならびにそ
れを用いたアルカリ蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ蓄電池に用いられるアルカリ蓄
電池用ニッケル正極には、大別して焼結式と非焼結式の
二つがある。後者の非焼結式の正極としては、多孔度9
5%程度の発泡ニッケル基板に水酸化ニッケル粒子を保
持させたものが提案されている(たとえば、特開昭50
−36935号公報参照)。この非焼結式正極は、高容
量のアルカリ蓄電池の正極として広く用いられている。
【0003】しかしながら、発泡ニッケル基板は、ウレ
タンフォームにニッケルメッキしたのち芯材であるウレ
タンを焼成し除去することによって作製されるため、相
当に高価となる。また、これらの基板は多孔度が90%
以上であるために、強度が弱くリード端子の取り付けが
非常に困難である。
【0004】これに対し、パンチングシートやエキスパ
ンドメタル等の2次元構造の基板は、機械的な穿孔法で
作製できるために安価であり、強度が強くリード端子の
取り付けが非常に容易である。しかしながら、3次元構
造をもたないために、活物質の脱落や剥離、利用率の低
下などの問題がある。
【0005】このため、活物質の脱落や剥離、利用率の
低下を抑制する目的で、支持体の両面に錐状突起を形成
した支持体が報告されている(実開平6−79065号
公報参照)。
【0006】また、活物質の脱落や剥離を抑制する目的
で、活物質間同士の結着性、および導電性金属支持体と
活物質間との結着性を強化するためのバインダーとし
て、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEとい
う場合がある)を用いる方法も報告されている(特開平
11−25962号公報参照)。この方法では、正極中
のPTFEが3次元構造を形成して活物質が支持体から
脱落することを防止する。また、この方法では、一般的
に、水酸化ニッケルを主成分とする活物質粉末と、PT
FEのディスパージョンとを混合して活物質ペーストを
作製し、導電性の金属支持体表面に塗着し、これを乾燥
・圧延して正極を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
アルカリ蓄電池用非焼結式正極では、バインダーである
PTFEに関して、以下の技術的課題があった。
【0008】(1)活物質ペーストを作製する際には、
活物質粉末とバインダーとを均一に分散させる必要があ
るため、両者を十分に混合する必要がある。しかしなが
ら、従来バインダーとして用いられてきたPTFEは、
結晶性が高かった。このため、混合時のせん断によって
PTFEが繊維状の塊になってしまうという問題があっ
た。PTFEが繊維状の塊になると、混練時にペースト
の流動性が低下し、ペーストの粘弾性(レオロジー)の
安定性が乏しくなるという問題がある。また、ペースト
を導電性の支持体に塗着して乾燥・圧延する際に、繊維
状の塊によって支持体が切断されたりするという問題が
ある。また、PTFEが繊維状の塊になると、PTFE
の3次元構造を十分に形成できないため、活物質の脱落
の防止が十分でなくなるという問題があった。
【0009】(2)一方、結着性を向上させようとした
場合、PTFEの分子量を増やすことが考えられるが、
PTFEの分子量を増やすとPTFEが繊維状の塊にな
りやすくなるという問題がある。このため、従来は、P
TFEとして低分子量のものを用いており、結着性が不
十分であるという問題もあった。
【0010】上記の結果、従来のPTFEを用いた非焼
結式ニッケル正極は、導電性金属支持体と活物質粉末層
との間の結着性が不十分であり、充放電サイクルを行っ
た際に、活物質粉末層が剥離して、容量低下が起こりや
すいという問題があった。さらに、電極の集電能力が低
く、大電流で放電する際の放電容量が低下するという問
題もあった。
【0011】上記問題を解決するため、本発明は、充放
電サイクル特性が良好で、大電流で放電した場合の放電
容量が大きいアルカリ蓄電池が得られるアルカリ蓄電池
用非焼結式ニッケル正極、およびその製造方法、ならび
にそれを用いたアルカリ蓄電池を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極
は、導電性の支持体と前記支持体の表面に配置された活
物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル
正極であって、前記活物質含有層が、水酸化ニッケルを
含む活物質粉末とバインダーとを含み、前記バインダー
が、ポリエチレンの一部を少なくとも塩素基で置換した
ポリエチレン誘導体を含むことを特徴とする。上記本発
明のニッケル正極では、バインダーとして塩素基が導入
されたポリエチレン誘導体を用いている。したがって、
バインダーとしてPTFEを用いる従来のニッケル正極
とは異なり、ペーストの混練を行う際にバインダーが繊
維状の塊となってしまうことを防止できる。そのため、
正極活物質ペーストを導電性の支持体に塗着する際に、
繊維状の塊の存在によって導電性の支持体が切れたり極
板表面にスジが発生したりすることを防止でき、正極活
物質ペーストを安定に塗着できる。また、塩素基が導入
されたポリエチレン誘導体は、導電性の支持体と活物質
粉末とを結合する結合力がPTFEに比べて高いため、
本発明のニッケル正極によれば、充放電サイクル特性が
良好で、大電流で放電した場合の放電容量が大きいアル
カリ蓄電池を製造できる。
【0013】上記本発明のニッケル正極では、前記ポリ
エチレン誘導体が、前記塩素基を20質量%〜45質量
%の割合(ポリエチレン誘導体全体を100質量%とし
たときの割合)で含んでもよい。塩素基の量を20質量
%以上とすることによって、導電性の支持体と活物質粉
末とを特に高い結合力で結合できる。その結果、放電特
性およびサイクル特性が特に良好なアルカリ蓄電池を製
造できる。また、塩素基の量を45質量%以下とするこ
とによって、アルカリ蓄電池内の電解液中で一部の塩素
が求核置換反応によって脱離してサイクル寿命特性が低
下することを防止できる。
【0014】上記本発明のニッケル正極では、前記ポリ
エチレン誘導体がクロロ−スルホン化ポリエチレンであ
り、前記塩素基を20質量%〜45質量%の割合で含ん
でもよい。上記構成によれば、微量のスルホン基を導入
することによってクロロ−スルホン化ポリエチレンが活
物質を構成する分子と部分的に架橋し、耐アルカリ性、
耐酸性が向上し、寿命特性が向上する。ここで、活物質
を構成する分子としては、たとえば、ZnO、MgOな
どが挙げられる。
【0015】上記本発明のニッケル正極では、ポリエチ
レン誘導体が、スルホン基を2質量%以下の割合で含ん
でもよい。上記構成によれば、クロロ−スルホン化ポリ
エチレンを架橋するスルホン基が多くなりすぎて寿命特
性が低下することを防止できる。
【0016】上記本発明のニッケル正極では、前記ポリ
エチレン誘導体が、密度が0.95g/cm3以下のポ
リエチレンを原料として形成されたものであってもよ
い。
【0017】上記本発明のニッケル正極では、前記活物
質含有層が、前記活物質粉末と前記ポリエチレン誘導体
とを、前記活物質粉末:前記ポリエチレン誘導体=10
0:X(ただし、0.5≦X≦3.0)の質量比で含ん
でもよい。
【0018】また、本発明のアルカリ蓄電池用非焼結式
ニッケル正極の製造方法は、導電性の支持体と前記支持
体の表面に配置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法であって、水酸
化ニッケルを含む活物質粉末と、ポリエチレンの一部に
少なくとも塩素基を導入したポリエチレン誘導体とを含
むペーストを作製する第1の工程と、前記支持体の表面
に前記ペーストを塗着して乾燥および圧延を行い前記活
物質含有層を形成する第2の工程とを含むことを特徴と
する。上記製造方法によれば、本発明のニッケル正極を
容易に製造できる。
【0019】上記本発明の製造方法では、前記ポリエチ
レン誘導体が、前記塩素基を20質量%〜45質量%の
割合で含んでもよい。
【0020】上記製造方法では、前記ポリエチレン誘導
体がクロロ−スルホン化ポリエチレンであり、前記塩素
基を20質量%〜45質量%の割合で含んでもよい。
【0021】上記製造方法では、前記ポリエチレン誘導
体が、スルホン基を2質量%以下の割合で含んでもよ
い。
【0022】上記製造方法では、前記第1の工程におい
て、水に分散された平均粒径が0.2μm〜4.0μm
の範囲内のクロロ−スルホン化ポリエチレン粉末を用い
てもよい。
【0023】上記製造方法では、前記ペーストの含水率
が15質量%〜20質量%(ペースト全体を100質量
%としたときの値)の範囲内であってもよい。
【0024】上記製造方法では、前記第2の工程におい
て、80℃〜120℃の範囲内の温度で、5分〜20分
の範囲内の時間乾燥を行ってもよい。上記構成によれ
ば、導電性の支持体と活物質粉末とを、特に高い結合力
で結合できる。
【0025】また、本発明のアルカリ蓄電池は、水酸化
ニッケルを含む正極を備えるアルカリ蓄電池であって、
前記正極が、上記本発明のアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル正極であることを特徴とする。上記アルカリ蓄電
池によれば、充放電サイクル特性が良好で、大電流で放
電した場合の放電容量が大きいアルカリ蓄電池が得られ
る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0027】(実施形態1)実施形態1では、本発明の
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極(以下、ニッケ
ル正極という場合がある)について説明する。
【0028】実施形態1のアルカリ蓄電池用非焼結式ニ
ッケル正極は、導電性の支持体と、支持体の表面に配置
された活物質含有層とを含む。
【0029】導電性の支持体には、たとえば、電解Ni
箔、無電解Ni箔、圧延Ni箔、表面にNiメッキを施
したFe箔などの金属箔(厚さがたとえば20μm〜1
00μmの範囲内)の表面に3次元的に錐状突起を形成
した金属支持体を用いることができる。
【0030】活物質含有層は、水酸化ニッケルを含む活
物質粉末とバインダーとを含む。活物質粉末には、アル
カリ蓄電池に一般的に用いられている活物質の粉末、す
なわち水酸化ニッケルを主成分とする粉末を用いること
ができる。
【0031】上記バインダーは、ポリエチレンの一部を
少なくとも塩素基で置換したポリエチレン誘導体を含
む。上記ポリエチレン誘導体には、たとえば、ポリエチ
レンに塩素基とスルホン基とを導入したクロロ−スルホ
ン化ポリエチレンを用いることができる。上記ポリエチ
レン誘導体は、塩素基を20質量%〜45質量%の割合
で含むことが好ましい。また、上記ポリエチレン誘導体
は、スルホン基を2質量%以下の割合で含むことが好ま
しい。また、上記ポリエチレン誘導体は、密度が0.9
5g/cm3以下(好ましくは、0.85g/cm3
0.95g/cm3)のポリエチレンを原料として作製
されたものであることが好ましい。
【0032】上記活物質含有層は、活物質粉末とポリエ
チレン誘導体とを、活物質粉末:ポリエチレン誘導体=
100:X(ただし、0.5≦X≦3.0)の質量比
(重量比)で含むことが好ましい。
【0033】上記実施形態1のアルカリ蓄電池用非焼結
式ニッケル正極によれば、充放電サイクル特性が良好
で、大電流で放電した場合の放電容量が大きいアルカリ
蓄電池を製造できる。
【0034】(実施形態2)実施形態2では、本発明の
アルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法につ
いて説明する。この製造方法は、導電性の支持体と支持
体の表面に配置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄
電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法である。
【0035】実施形態2の製造方法では、まず、水酸化
ニッケルを含む活物質粉末と、ポリエチレンの一部に少
なくとも塩素基を導入したポリエチレン誘導体とを含む
ペーストを作製する(第1の工程)。
【0036】水酸化ニッケルを含む活物質粉末およびポ
リエチレン誘導体には、実施形態1で説明した活物質粉
末およびポリエチレン誘導体を用いる。このペースト
は、活物質粉末とポリエチレン誘導体とを、活物質粉
末:ポリエチレン誘導体=100:X(ただし、0.5
≦X≦3.0)の質量比で含むことが好ましい。また、
ポリエチレン誘導体は、水分散ディスパージョンの形態
で用いることが好ましい。具体的には、水に分散された
平均粒径が0.2μm〜4.0μmの範囲内のクロロ−
スルホン化ポリエチレン粉末を用いることが好ましい。
【0037】次に、導電性の支持体の表面に、上記ペー
ストを塗着して乾燥および圧延を行い、活物質含有層を
形成する(第2の工程)。その後、必要に応じて極板の
切断およびリードの接続を行い、ニッケル正極を得る。
【0038】導電性の支持体には、実施形態1で説明し
た支持体を用いることができる。第2の工程において、
乾燥は、80℃〜120℃の範囲内の温度で、5分から
20分の範囲内の時間行うことが好ましい。
【0039】実施形態2の製造方法によれば、充放電サ
イクル特性が良好で、大電流で放電した場合の放電容量
が大きいアルカリ蓄電池を製造できるニッケル正極が得
られる。
【0040】(実施形態3)実施形態3では、本発明の
アルカリ蓄電池について説明する。
【0041】実施形態3のアルカリ蓄電池は、封口体で
封口されたケースと、ケースに封入された正極、負極、
セパレータ、および電解液とを少なくとも備える。
【0042】上記正極には、実施形態1のニッケル正極
または実施形態2の製造方法で製造されたニッケル正極
を用いる。
【0043】上記ケース、負極、セパレータ、および電
解液には、アルカリ蓄電池に一般的に用いられているも
のを用いることができる。たとえば、負極には、水素吸
蔵合金を含む負極や、カドミウムを含む負極を用いるこ
とができる。セパレータには、スルホン化したポリプロ
ピレン不織布などを用いることができる。また、電解液
には、水酸化カリウムを主な溶質とした比重が1.3程
度の電解液を用いることができる。
【0044】上記実施形態3のアルカリ蓄電池では、本
発明のニッケル正極を用いているため、充放電サイクル
特性が良好で、大電流で放電した場合の放電容量が大き
いアルカリ蓄電池が得られる。
【0045】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0046】(実施例1)実施例1では、実施形態2の
製造方法で実施形態1のニッケル正極を作製した一例に
ついて説明する。
【0047】まず、活物質である水酸化ニッケル固溶体
粒子を、以下の公知の方法を用いて作製した。すなわ
ち、硫酸ニッケルを主な溶質とし、硫酸コバルトおよび
硫酸亜鉛を所定量だけ含有させた水溶液に、アンモニア
水でpHを調整しながら水酸化ナトリウムを徐々に滴下
し、球状の水酸化ニッケル固溶体粒子を析出させた。次
に、得られた水酸化ニッケル固溶体粒子を水洗、乾燥し
て母粒子とした。この粉末のレーザー回折式粒度計によ
る平均粒径は10μm、BET法による比表面積は12
2/gであった。
【0048】また、正極の導電材である水酸化コバルト
微粒子は、以下の公知の方法によって作製した。すなわ
ち、水酸化ナトリウム水溶液中に、1mol/lの硫酸
コバルト水溶液を徐々に加え、35℃で水溶液のpHが
12を維持するように調整しながら攪拌して、水酸化コ
バルト微粒子(β型)を析出させた。この粒子は、SE
M像から観察される平均粒径が0.2μmであり、BE
T法によって測定した比表面積は25m2/gであっ
た。
【0049】次に、上記水酸化ニッケル固溶体粒子、上
記水酸化コバルト微粒子、CMC溶液(カルボキシメチ
ルセルロース溶液:固形分比1質量%)、およびバイン
ダーであるクロロ−スルホン化ポリエチレンの水分散デ
ィスパージョン(固形分比:40質量%)を用いて正極
活物質ペーストを作製した。ここで、クロロ−スルホン
化ポリエチレンには、平均粒子径が2μm、塩素基含有
量が29質量%、スルホン基含有量が1.4質量%、原
料のポリエチレン密度が0.94g/cm3であるもの
を用いた(具体的には、住友精化社製:CSM20
0)。
【0050】正極活物質ペーストの作製は、以下の手順
で行った。まず、水酸化ニッケル固溶体粒子100質量
部(重量部)と水酸化コバルト微粒子10質量部とを錬
合機内に投入し、攪拌羽根によって十分に混合した。続
いて、混合を続けながらCMC溶液20質量部を混合機
内に徐々に滴下していき、さらにクロロ−スルホン化ポ
リエチレンの水分散ディスパージョン2.5質量部と加
えた。このようにして、活物質粉末とクロロ−スルホン
化ポリエチレンとを100:1の質量比で含み含水率が
17質量%である正極活物質ペーストを作製した。得ら
れた正極活物質ペーストの粘弾性(レオロジー)につい
て、レオメータ(日本シイベルヘグナー社製)を用いて
測定した。正極活物質ペーストの粘度は、ペーストに対
するせん断速度γが0.1[1/sec]の時で500
poise、せん断速度γが10[1/sec]の時で
5poiseであった。
【0051】金属ニッケル箔等に正極活物質ペーストを
塗着する際には、ダイコート法などを用いて定量塗着を
行うが、定量塗着の際、ペーストの吐出部においては過
度のせん断速度γのせん断が加わるのが一般的である。
しかし、上記ペーストでは、せん断速度γが増した際に
粘度ηが下がるため、ダイコーターの吐出部からの吐出
が非常に円滑に進む。また塗着後の基板を乾燥させる際
には、金属ニッケル箔等に塗着したペーストにはせん断
応力が加わらないことになるが、上記ペーストは、せん
断速度γが下がった際に粘度ηが上がるため、ペースト
の垂れなどが生じない。つまり、上記ペーストは、一般
的な塗着に非常に適した粘弾性(レオロジー)を有する
ペーストである。
【0052】また上記ペーストのレオロジー安定性を確
認するためせん断速度γが10[1/sec]で20分
間、粘度η変化の確認を行ったところ、全く変化が見ら
れなかった。正極ペーストはその製造の過程で、長時間
の間、高いせん断速度でせん断の負荷を余儀なくされる
が、その際に経時的に変化を受けず、優れた安定性を持
つペーストであるといえる。
【0053】上記ペーストの粘弾性(レオロジー)安定
性を確認するため、せん断速度γが10[1/sec]
の条件で20分間せん断を行って粘度ηの変化を測定し
たところ、全く変化が見られなかった。正極活物質ペー
ストには、その製造過程で長時間にわたって高せん断の
負荷が加えられるが、上記ペーストは、その際に経時的
に変化を受けない、安定性に優れたペーストであるとい
える。
【0054】その後、上記正極活物質ペーストをニッケ
ルからなる支持体に塗着した。支持体には、厚さ25μ
mのニッケル箔の両面から方形の貫通孔を形成して交互
に反対方向に錐状突起を形成し、加工後の厚さを350
μmとした支持体を用いた。
【0055】その後、支持体に塗着した活物質ペースト
を、110℃の熱風で10分間乾燥させた。こうして乾
燥させた極板を、ロールプレスを用いて厚さ400μm
に圧延した。このようにして、支持体と支持体に支持さ
れた活物質含有層とを形成した。その後、切断加工とリ
ードの溶接とを行い、本発明に基づく正極板Aを作製し
た。
【0056】(比較例)以下に、比較のために従来の正
極板を作製した一例を説明する。
【0057】まず、実施例1と同様の方法で、水酸化ニ
ッケル固溶体粒子と水酸化コバルト微粒子とを作製し
た。次に、この水酸化ニッケル固溶体粒子100質量部
と水酸化コバルト微粒子10質量部とを錬合機内に投入
し、攪拌羽根によって十分に混合した。続いて、混合を
続けながら水2.5質量部とCMC溶液20質量部とを
混合機内に徐々に滴下していき、さらにPTFEの水分
散ディスパージョン(固形分比:60質量%)5質量部
を加えて、比較例の正極活物質ペーストを作製した。得
られた比較例のペーストの粘弾性(レオロジー)につい
て、レオメータ(日本シイベルヘグナー社製)を用いて
測定した。比較例のペーストの粘度は、ペーストに対す
るせん断速度γが0.1[1/sec]の時で500p
oise、せん断速度γが10[1/sec]の時で7
poiseであった。この測定値のみから考えると、比
較例のペーストは、塗着に適した粘弾性(レオロジー)
を有するといえる。しかしながら、比較例のペースト
は、十分なレオロジー安定性を有さなかった。比較例の
ペーストのレオロジー安定性を確認するため、せん断速
度γが10[1/sec]の条件で20分間せん断を行
い、粘度ηの変化を測定した。その結果、時間と共に粘
度ηが著しく増加し、5分程度で測定限界を超えてしま
った。これは、PTFEが高いせん断速度でせん断の負
荷を受けた際に、PTFEが水酸化ニッケル固溶体粒子
を取り囲む形で徐々に繊維状の塊となり、最終的にペー
ストとしての流動性を失い、粘度の上昇につながったた
めであると考えられる。このため、比較例の正極活物質
ペーストは、その製造過程で、経時的に変化を受けやす
く、安定性が不十分なペーストであるといえる。
【0058】その後、上記正極活物質ペーストをニッケ
ルからなる支持体に塗着した。支持体には、厚さ30μ
mのニッケル箔の両面から方形の貫通孔を形成して交互
に反対方向に錐状突起を形成し、加工後の厚さを350
μmとした支持体を用いた。
【0059】その後、支持体に塗着した活物質ペースト
を、110℃の熱風で15分間乾燥させた。こうして乾
燥させた極板を、ロールプレスを用いて厚さ400μm
に圧延した。その後、切断加工とリードの溶接とを行
い、比較例の正極板Bを作製した。
【0060】(電池の作製と評価)以上のように作製し
た正極板AおよびBを用い、AAAサイズで公称容量9
00mAhのニッケル水素蓄電池をそれぞれ作製した。
このとき、水素吸蔵合金を主体とした負極と、親水化処
理を施したポリプロピレンセパレータと、7N〜8Nの
水酸化カリウムを主な溶質とした電解液とを用いた。以
下、正極板Aを用いた電池をアルカリ蓄電池A、比較例
の正極板Bを用いた電池をアルカリ蓄電池Bという場合
がある。
【0061】それぞれの電池は、まず、0.1C(1C
=900mA)の充電レートで15時間充電し、0.2
Cの放電レートで4時間放電する充放電サイクルを2回
繰り返す初充放電を行った。その後、45℃で3日間の
エージング(負極合金の活性化促進)を行った後、充放
電条件を変えて正極利用率を測定した。測定結果を表1
に示す。
【0062】
【表1】
【0063】ここで、表中の正極利用率は、放電容量
を、各電池の正極理論容量(正極活物質中の水酸化ニッ
ケルの質量に、これが1電子反応をするとしたときの電
気容量289mAh/gを乗じた値)で割り算すること
によって算出した。放電容量は、表に示す充電レートで
過充電したのち、0.2C、1Cおよび2Cの放電レー
トで電池電圧が0.8Vになるまで放電することによっ
て測定した。
【0064】表1から、本発明に基づく正極板Aを用い
て作製したアルカリ蓄電池Aの正極利用率は、比較例の
正極板Bを用いたアルカリ蓄電池Bに比べて高い水準に
あることがわかる。これは、正極活物質のバインダー
に、クロロ−スルホン化ポリエチレンを用いたためであ
ると考えられる。クロロ−スルホン化ポリエチレンを用
いることによって、正極活物質間の結着性、および芯材
と活物質との間の結着性を向上させることができ、その
結果、集電性が高くなって利用率が向上したものと推定
される。
【0065】また、上記2種類の電池について、充放電
サイクル特性を調べた。充放電サイクルは、1Cの充電
レートで−ΔV(ΔV=0.01V)制御方式で充電し
た後、1Cの放電レートで電池電圧が0.8Vに至るま
で放電するという条件で行った。そして、一定のサイク
ル毎に、1Cの充電レートで−ΔV(ΔV=0.01
V)制御方式で充電した後、1Cの放電レートで電池電
圧が0.8Vに至るまで放電したときの放電容量を測定
した。このようにして得られた充放電サイクル特性を、
図1に示す。図1中、容量維持率とは、各サイクル経過
後の放電容量を、初充放電後の放電容量で除した値であ
る。
【0066】図1に示すように、本発明のアルカリ蓄電
池Aでは、比較例のアルカリ蓄電池Bに比べて、長期サ
イクル寿命試験後の容量維持率が高かった。これは、正
極活物質バインダーとしてクロロ−スルホン化ポリエチ
レンを用いることによって、正極活物質間の結着性、お
よび芯材と活物質との間の結着性が向上したためである
と考えられる。
【0067】(実施例2)実施例2では、クロロ−スル
ホン化ポリエチレンの塩素基の含有量を変えて正極板を
作製し、その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した
一例について説明する。なお、塩素基の含有量を変えた
以外は、実施例1の正極板Aおよびアルカリ蓄電池Aと
同様に、正極板およびアルカリ蓄電池を作製した。
【0068】作製した電池について、表1と同様の条件
で正極利用率の測定を行った。測定結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2から明らかなように、クロロ−スルホ
ン化ポリエチレンの塩素基の含有量は、20質量%〜4
5質量%の範囲内であることが好ましい。塩素基の含有
量を20質量部以上とすることによって、金属からなる
支持体表面と活物質粉末との間の結合力を十分に高める
ことができ、高い集電性が得られると考えられる。ま
た、塩素基の含有量が高すぎるとアルカリ性の電解液中
で一部の塩素が求核置換反応によって脱離してサイクル
寿命低下の原因となる場合があるが、塩素基の含有量を
45質量%以下とすることによって、そのようなサイク
ル寿命の低下を防止できる。
【0071】(実施例3)実施例3では、水分散ディス
パージョン中のクロロ−スルホン化ポリエチレンの平均
粒径を変えて正極板を作製し、その正極板を用いてアル
カリ蓄電池を製造した一例について説明する。なお、ク
ロロ−スルホン化ポリエチレンの平均粒径を変えた以外
は、実施例1の正極板Aおよびアルカリ蓄電池Aと同様
に、正極板およびアルカリ蓄電池を作製した。
【0072】作製した電池について、表1と同様の条件
で正極利用率の測定を行った。測定結果を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3から明らかなように、クロロ−スルホ
ン化ポリエチレンの平均粒径は0.2μm〜4.0μm
の範囲内であることが好ましい。平均粒径が0.2μm
以上のクロロ−スルホン化ポリエチレン粉末のディスパ
ージョンを用いることによって、正極板を作製する際
に、活物質間のクッションとしての役割を十分に果たす
ことができ、活物質の剥離を防止できると考えられる。
また、平均粒径が4.0μm以下のクロロ−スルホン化
ポリエチレン粉末のディスパージョンを用いることによ
って、活物質間の接触が著しく阻害されることを防止で
き、良好な放電特性を得ることができる。
【0075】(実施例4)実施例4では、クロロ−スル
ホン化ポリエチレンの原料であるポリエチレンの密度を
変えて正極板を作製し、その正極板を用いてアルカリ蓄
電池を製造した一例について説明する。なお、原料であ
るポリエチレンの密度を変えた以外は、実施例1の正極
板Aおよびアルカリ蓄電池Aと同様に、正極板およびア
ルカリ蓄電池を作製した。
【0076】作製した電池について、表1と同様の条件
で正極利用率の測定を行った。測定結果を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】表4から明らかなように、クロロ−スルホ
ン化ポリエチレンの原料であるポリエチレンの密度は
0.95g/cm3以下であることが好ましい。クロロ
−スルホン化ポリエチレンの原料として低密度ポリエチ
レンを用いることによって、柔軟性がより高いアルカリ
蓄電池用非焼結式ニッケル正極を製造でき、電池作製時
における活物質の脱落を防止できると考えられる。
【0079】(実施例5)実施例5では、正極活物質ペ
ースト中に含まれる活物質粉末とクロロ−スルホン化ポ
リエチレンとの質量比を変えて正極板を作製し、その正
極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説
明する。なお、上記質量比を変えた以外は、実施例1の
正極板Aおよびアルカリ蓄電池Aと同様に、正極板およ
びアルカリ蓄電池を作製した。
【0080】作製した電池について、表1と同様の条件
で正極利用率の測定を行った。測定結果を表5に示す。
なお、表5中、クロロ−スルホン化ポリエチレンの量と
は、正極活物質ペーストに含まれる活物質粉末の質量を
100としたときのクロロ−スルホン化ポリエチレンの
質量である。
【0081】
【表5】
【0082】表5から明らかなように、正極活物質ペー
ストは、活物質粉末とクロロ−スルホン化ポリエチレン
とを、100:X(ただし、0.5≦X≦3.0)の質
量比で含むことが好ましい。上記Xを0.5以上とする
ことによって、金属からなる支持体と活物質粉末とを十
分に結着させることができ、高い集電性能を得ることが
できると考えられる。また、上記Xを3.0以下とする
ことによって、活物質間の接触が著しく阻害されること
を防止でき、高い放電特性を得ることができると考えら
れる。
【0083】(実施例6)実施例6では、正極活物質ペ
ーストの含水率を変えて正極板を作製し、その正極板を
用いてアルカリ蓄電池を製造した一例について説明す
る。なお、正極活物質ペーストの含水率を変えた以外
は、実施例1の正極板Aおよびアルカリ蓄電池Aと同様
に、正極板およびアルカリ蓄電池を作製した。
【0084】作製した電池について、表1と同様の条件
で正極利用率の測定を行った。測定結果を表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】表6から明らかなように、正極活物質ペー
ストの含水率は15質量%〜20質量%の範囲内である
ことが好ましい。正極活物質ペーストの含水率を15質
量%〜20質量%の範囲内とすることによって、正極活
物質ペーストの作製時に、活物質粉末とクロロ−スルホ
ン化ポリエチレンとを均一に混合することが可能とな
り、少量のクロロ−スルホン化ポリエチレンの添加で、
導電性の支持体表面と水酸活物質粉末とを十分な結合力
で結合できると考えられる。
【0087】(実施例7)実施例7では、正極活物質ペ
ースト塗布後の乾燥時の温度を変えて正極板を作製し、
その正極板を用いてアルカリ蓄電池を製造した一例につ
いて説明する。なお、乾燥時の温度を変えた以外は、実
施例1の正極板Aおよびアルカリ蓄電池Aと同様に、正
極板およびアルカリ蓄電池を作製した。
【0088】作製した電池について、表1と同様の条件
で正極利用率の測定を行った。測定結果を表7に示す。
【0089】
【表7】
【0090】表7から明らかなように、乾燥温度は80
℃〜120℃の範囲内が好ましい。樹脂の軟化温度以上
となる80℃以上の温度で乾燥することによって、導電
性の支持体と活物質粉末との結着力をより向上させるこ
とができると考えられる。また、120℃以下の温度で
乾燥することによって、活物質である水酸化ニッケルの
酸化を防止できると考えられる。
【0091】以上、本発明の実施の形態について例を挙
げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定され
ず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用する
ことができる。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルカリ
蓄電池用非焼結式ニッケル正極およびその製造方法によ
れば、充放電サイクル特性が良好で、大電流で放電した
場合の放電容量が大きいアルカリ蓄電池を製造できるニ
ッケル正極が得られる。
【0093】また、本発明のアルカリ蓄電池によれば、
充放電サイクル特性が良好で、大電流で放電した場合の
放電容量が大きいアルカリ蓄電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアルカリ蓄電池と比較例のアルカリ
蓄電池について充放電サイクル時の容量維持率の変化を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 徹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 竹内 一郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H028 BB03 BB04 BB05 BB17 EE05 EE06 HH00 HH01 HH03 HH05 HH08 5H050 AA07 AA08 BA14 CA03 CB16 DA02 DA11 EA23 FA17 GA02 GA03 GA10 GA22 HA01 HA05 HA08 HA20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性の支持体と前記支持体の表面に配
    置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結
    式ニッケル正極であって、 前記活物質含有層が、水酸化ニッケルを含む活物質粉末
    とバインダーとを含み、 前記バインダーが、ポリエチレンの一部を少なくとも塩
    素基で置換したポリエチレン誘導体を含むことを特徴と
    するアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。
  2. 【請求項2】 前記ポリエチレン誘導体が、前記塩素基
    を20質量%〜45質量%の割合で含む請求項1に記載
    のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。
  3. 【請求項3】 前記ポリエチレン誘導体がクロロ−スル
    ホン化ポリエチレンであり、前記塩素基を20質量%〜
    45質量%の割合で含む請求項1に記載のアルカリ蓄電
    池用非焼結式ニッケル正極。
  4. 【請求項4】 前記ポリエチレン誘導体が、スルホン基
    を2質量%以下の割合で含む請求項3に記載のアルカリ
    蓄電池用非焼結式ニッケル正極。
  5. 【請求項5】 前記ポリエチレン誘導体が、密度が0.
    95g/cm3以下のポリエチレンを原料として形成さ
    れたものである請求項1ないし4のいずれかに記載のア
    ルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。
  6. 【請求項6】 前記活物質含有層が、前記活物質粉末と
    前記ポリエチレン誘導体とを、前記活物質粉末:前記ポ
    リエチレン誘導体=100:X(ただし、0.5≦X≦
    3.0)の質量比で含む請求項1ないし5のいずれかに
    記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極。
  7. 【請求項7】 導電性の支持体と前記支持体の表面に配
    置された活物質含有層とを含むアルカリ蓄電池用非焼結
    式ニッケル正極の製造方法であって、 水酸化ニッケルを含む活物質粉末と、ポリエチレンの一
    部に少なくとも塩素基を導入したポリエチレン誘導体と
    を含むペーストを作製する第1の工程と、 前記支持体の表面に前記ペーストを塗着して乾燥および
    圧延を行い前記活物質含有層を形成する第2の工程とを
    含むことを特徴とするアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケ
    ル正極の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ポリエチレン誘導体が、前記塩素基
    を20質量%〜45質量%の割合で含む請求項7に記載
    のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ポリエチレン誘導体がクロロ−スル
    ホン化ポリエチレンであり、前記塩素基を20質量%〜
    45質量%の割合で含む請求項7に記載のアルカリ蓄電
    池用非焼結式ニッケル正極の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ポリエチレン誘導体が、スルホン
    基を2質量%以下の割合で含む請求項9に記載のアルカ
    リ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記第1の工程において、水に分散さ
    れた平均粒径が0.2μm〜4.0μmの範囲内のクロ
    ロ−スルホン化ポリエチレン粉末を用いる請求項9また
    は10に記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記ペーストの含水率が15質量%〜
    20質量%の範囲内である請求項7ないし11のいずれ
    かに記載のアルカリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製
    造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2の工程において、80℃〜1
    20℃の範囲内の温度で、5分〜20分の範囲内の時間
    乾燥を行う請求項7ないし12のいずれかに記載のアル
    カリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極の製造方法。
  14. 【請求項14】 水酸化ニッケルを含む正極を備えるア
    ルカリ蓄電池であって、 前記正極が、請求項1ないし6のいずれかに記載のアル
    カリ蓄電池用非焼結式ニッケル正極であることを特徴と
    するアルカリ蓄電池。
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