JP2002179829A - スチレン系樹脂発泡体 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡体

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JP2002179829A
JP2002179829A JP2000381959A JP2000381959A JP2002179829A JP 2002179829 A JP2002179829 A JP 2002179829A JP 2000381959 A JP2000381959 A JP 2000381959A JP 2000381959 A JP2000381959 A JP 2000381959A JP 2002179829 A JP2002179829 A JP 2002179829A
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styrene
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foam
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JP2000381959A
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Masatake Uchikawa
正剛 内川
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A&M Styrene Co Ltd
Original Assignee
A&M Styrene Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレン系樹脂発泡体本来の優れた成形性、
剛性、断熱性に加え、優れた耐熱性、耐薬品性及び耐油
性を有するスチレン系樹脂発泡体を提供すること。 【解決手段】 スチレン系樹脂(A)、プロピレン系樹
脂(B)および相溶化剤としてグラフト変性プロピレン
系樹脂(C)を含む樹脂組成物を発泡してなる発泡体で
あって、かつ発泡体1内の気泡膜10はスチレン系樹脂
(A)とプロピレン系樹脂(B)とよりなる層状構造
で、気泡膜10を厚み方向の断面で見たときに、気泡膜
の表面から引いた垂線200がプロピレン系樹脂(B)
と交差する数nが4以上で、密度が0.5g/cm3
下、独立気泡率が20%以上であるスチレン系樹脂発泡
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、耐薬品
性、耐油性に優れ、かつ成形性、剛性、断熱性に優れた
スチレン系樹脂発泡体、積層発泡体、発泡シートおよび
その容器に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂からなる発泡体は、一般的
に軽量で断熱性や保温性、外部からの応力の緩衝性が良
好であることから、断熱材、緩衝材、芯材、食品容器な
どに幅広く使用されている。なかでも、スチレン系樹脂
からなる発泡体は、安価で発泡性が良く、さらに成形
性、剛性、断熱性に優れることから、断熱材、緩衝材、
食品容器として好適に使用されている。近年、発泡体を
使用する分野で耐熱性及び耐薬品性を必要とする用途が
増えている。例えば、電子レンジでの加熱に耐えうる耐
熱性兼耐油性食品容器や建材などの用途が挙げられる。
【0003】スチレン系樹脂からなる発泡体は耐熱性及
び耐薬品性が劣るという欠点を有しているため、これら
の耐熱性、耐薬品性を要する用途には、例えばプロピレ
ン系樹脂が使用されている。しかしながら、プロピレン
系樹脂を使用した発泡体は、剛性に乏しく、また、結晶
性樹脂であるがために発泡が容易でないという欠点を有
している。スチレン系樹脂の特性を失わずに耐熱性を改
良したものとして、例えば特開昭62−94539号公
報に開示されているようにスチレン−(メタ)アクリル
酸系共重合体よりなる発泡シートから成形される食品容
器が開発されているが、スチレン−(メタ)アクリル酸
系共重合体の発泡体は、耐熱性は優れるものの、耐薬品
性が劣る欠点を有する。
【0004】スチレン系樹脂の剛性、成形性とプロピレ
ン系樹脂の耐熱性、耐薬品性の両者を満足させるため、
プロピレン系樹脂にスチレンをグラフトさせる方法(特
開平10−158424号公報)、プロピレン系樹脂に
スチレン系樹脂をブレンドする方法(特公昭43−13
375号公報)が開示されているが、これらはスチレン
系樹脂の配合量が少なく、したがって耐熱性、耐薬品性
は優れるものの、架橋などの工程を必要とし、得られた
発泡体の剛性、強度が劣るなどの欠点を有している。ま
た、スチレン系樹脂とプロピレン系樹脂とのブレンドに
おいて、相溶化剤として特定の熱可塑性エラストマーを
使用し、相溶性を改善する方法(特開平6−49261
号公報)も開示されているが、得られた発泡体の剛性、
強度は優れるものの、熱可塑性エラストマーの耐熱性、
耐薬品性の低さに起因して、得られる発泡体の耐熱性、
耐薬品性が十分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
問題点に鑑みてなされたもので、スチレン系樹脂本来の
発泡性、成形性、剛性、断熱性に加え、耐熱性、耐薬品
性および耐油性にも優れた発泡体、発泡シート及び容器
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
を解決するために種々研究を重ねた結果、スチレン系樹
脂とプロピレン系樹脂および特定の相溶化剤からなる樹
脂組成物を用いた発泡体中に、特定の構造を形成させる
ことにより、上記の課題を達成することができることを
見出した。すなわち、スチレン系樹脂(A)、プロピレ
ン系樹脂(B)および相溶化剤(C)とを含む樹脂組成
物を発泡してなる発泡体において、相溶化剤(C)がプ
ロピレン系樹脂に芳香族ビニル単量体をグラフト重合さ
せたグラフト変性プロピレン系樹脂であり、該発泡体の
気泡膜は上記スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂
(B)とよりなる層状構造に形成されており、上記気泡
膜を厚み方向の断面で見たときに気泡膜の表面から引い
た垂線がプロピレン系樹脂(B)と交差する数nが4以
上、発泡体密度0.5g/cm3 以下、独立気泡率20
%以上である発泡体に関する。
【0007】本発明に用いられるスチレン系樹脂(A)
は特に制限が無く、例として汎用ポリスチレン(GPP
S)、ゴム強化ポリスチレン(HIPS)の他、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−(メ
タ)アクリルエステル系共重合体、あるいはα−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
核ハロゲン化スチレンなどのいわゆるスチレン系単量体
の重合体などが用いられるが、価格、発泡体の剛性の点
から、汎用ポリスチレン(GPPS)が好ましく用いら
れる。これらスチレン系樹脂は一種でも、二種以上の混
合物でも良い。
【0008】本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂
(B)は特に制限が無く、例としてプロピレンの単独重
合体、プロピレンと他の単量体とのランダム重合体また
はブロック共重合体、エチレン・プロピレンゴム変性ポ
リプロピレンなどが用いられる。共重合する他の単量体
の例としては、エチレン、α−オレフィンまたはジエン
系単量体などが挙げられる。これらプロピレン系樹脂は
一種でも、二種以上の混合物でも良い。
【0009】本発明においては、後述する図1(a)に
示すごとく、気泡膜10を厚み方向の断面で見たとき
に、後述する図1(b)に示すごとく、気泡膜10の表
面から引いた垂線200が交差するプロピレン系樹脂層
の数nが4以上である。つまり、発泡体1内の気泡11
と気泡11との間を区切る気泡膜10は後述する図1
(b)に示すごとく、スチレン系樹脂(A)の層102
(気泡11と11との間の白色部分)とプロピレン系樹
脂(B)の層101(気泡11と11との間の黒い線状
の部分)とが厚み方向に対して複数層存在する。このた
め垂線200はプロピレン系樹脂(B)の層101と交
差するのである。なお、この気泡膜は気泡間の樹脂膜及
び気泡と発泡体表面の間の樹脂膜の両方を意味する。
【0010】上記nが4未満である場合には、耐薬品性
と共に耐熱性が低下し、本発明にかかる効果が得難くな
る恐れがある。また、上記nは10以上であることが、
より好ましい。これにより耐薬品性と耐熱性とがさらに
向上するばかりでなく、独立気泡率が向上し、高倍率の
発泡体を得ることができる。更に上記nは15以上であ
ることが一層好ましい。なお、上記nの測定方法の具体
例は後述する実施形態例に記載した。上記気泡膜の構造
は、例えば使用するスチレン系樹脂(A)、プロピレン
系樹脂(B)の粘度、後述する相溶化剤の種類と量、ま
た混練する際の剪断力を調整することにより達成され
る。
【0011】また、本発明の発泡体の密度は0.5g/
cm3 以下である。密度が0.5g/cm3 を越える場
合には、優れた保温性能や断熱性能を得ることが困難で
ある。なお、発泡体の密度の好ましい下限は0.01g
/cm3 である。この値未満である場合には、気泡膜の
破泡により発泡体の強度が保持できなくなるおそれがあ
る。また、本発明の発泡シートの独立気泡率は20%以
上である。独立気泡率が20%未満である場合には、発
泡体が脆くなるため安定して2次成形することが困難と
なり、たとえ2次成形品が得られたとしても優れた断熱
性能や剛性を得ることが困難となるおそれがある。更
に、発泡ガスの保持性が低下するため、本発明にかかる
発泡シートを例えば真空成形等の方法により熱成形した
場合、2次発泡が十分に起こらず、十分な厚みの成形品
を得ることができなくなるおそれがある。
【0012】なお、発泡体の脆性、成型安定性、2次発
泡性、断熱性などの点から、より好ましい独立気泡率は
40%以上である。また、独立気泡率の好ましい上限
は、2次発泡性維持の点より、100%である。なお、
独立気泡率の具体的な測定方法は後述する実施形態例に
記載した。本発明において、相溶化剤(C)として用い
るグラフト変性プロピレン系樹脂は、プロピレン系樹脂
に芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト変
性プロピレン系樹脂である。
【0013】グラフト変性プロピレン系樹脂の製法は特
に制限がないが、例としてプロピレン系樹脂に芳香族ビ
ニル単量体を含浸させて重合する方法、押出機でプロピ
レン系樹脂を溶融させた後、芳香族ビニル単量体を途中
で添加して重合させる方法、スチレン系樹脂のマクロマ
ーとプロピレン系樹脂とを反応させる方法、スチレン系
樹脂とプロピレン系樹脂とを反応性架橋剤などで反応さ
せる方法などが挙げられる。プロピレン系樹脂にグラフ
トさせる芳香族ビニル単量体は特に制限はなく、例とし
てスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、m−メチルスチレン、核ハロゲン化スチレンなどの
いわゆるスチレン系単量体などが用いられるが、ブレン
ドするスチレン系樹脂(A)と相溶性の高いものが好ま
しく、また、価格、発泡体の剛性の点から、汎用スチレ
ン系単量体が好ましく用いられる。これら芳香族ビニル
単量体は一種でも、二種以上を共重合しても良い。
【0014】以上、本発明では、スチレン系樹脂とプロ
ピレン系樹脂が多層構造を有し、発泡体密度が低く、独
立気泡率が高いため、プロピレン系樹脂の特徴である耐
熱性、耐薬品性に優れているとともに、スチレン系樹脂
発泡体が本来有する成形性、剛性、断熱性等の性能を兼
ね備えており、かつ相溶化剤として上記グラフト変性プ
ロピレン系樹脂を用いることにより、熱可塑性エラスト
マーを使用した際の欠点であった耐熱性、耐薬品性の低
下が見られない発泡体が得られる。本発明を構成する樹
脂組成物中の相溶化剤として上記グラフト変性プロピレ
ン系樹脂の代わりに熱可塑性エラストマーを使用し、本
発明と同様の特異な気泡膜構造を有する発泡体では、例
えば、容器形状に成形し食用油を入れ電子レンジで加熱
した場合、容器の変形度合いは本発明のスチレン系樹脂
発泡体と遜色無いが、熱可塑性エラストマーを使用した
発泡体は食用油を吸収し、断熱性及び剛性の低下がみら
れる。上記グラフト変性プロピレン系樹脂を相溶化剤と
して使用した本発明のスチレン系樹脂発泡体では食用油
の吸収による断熱性、剛性の低下が改善される効果を発
揮する。上述したような効果の一例として薬品の吸収量
を実施形態例中に示した。
【0015】耐熱性、耐薬品性のより優れた発泡体を得
るためには上記グラフト変性プロピレン系樹脂が後述の
1)〜4)の条件を満たすことがより好ましい。 1)上記グラフト変性プロピレン系樹脂が、結晶化度2
0%以上のプロピレン部分を有する。プロピレン部分の
結晶化度は高い方が耐熱性、耐薬品性が良く、より好ま
しくは30%以上である。 2)次式(1)で表されるGrがGr≧0.05であ
る。 Gr=Wps/Wpp・・・(1) (ここで、Wps、Wppは上記グラフト変性プロピレ
ン系樹脂の2−ブタノン不溶部のスチレン系樹脂、プロ
ピレン系樹脂の重量分率) Grは上記グラフト変性プロピレン系樹脂中のスチレン
系樹脂部分とプロピレン系樹脂部分の重量比を表し、G
rが0.05未満ではグラフトスチレン系樹脂部分が少
なく、スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)
の相溶化が十分でないため、外観、発泡体の強度が劣り
好ましくない。
【0016】3)次式(2)で表されるGnがGn≧
0.5である。 Gn=(Gr/Mn_ps)×105 ・・・(2) (ここで、Mn_psは上記グラフト変性プロピレン系
樹脂の2−ブタノン可溶部のスチレン系樹脂のスチレン
換算数平均分子量) Gnはプロピレン系樹脂部分の単位重量あたりのグラフ
トスチレン系樹脂部分の本数の多少を表し、Gnが0.
5未満ではグラフトスチレン系樹脂部分の本数が少な
く、スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)の
相溶化が十分でないため、外観、発泡体の強度が劣り好
ましくない。 4)2−ブタノン不溶部のプロピレン換算重量平均分子
量(Mw)が60万以下である。該重量平均分子量(M
w)が60万を超えると、スチレン系樹脂とプロピレン
系樹脂の相溶化が不十分となり、独立気泡率が低くなっ
たり、あるいは得られた発泡体の外観が悪くなる。該重
量平均分子量の好ましい下限は3万である。3万未満で
は耐薬品性が十分でなくなるおそれがある。
【0017】本発明を構成するスチレン系樹脂(A)、
プロピレン系樹脂(B)の割合は発泡体の使用目的に合
わせて適宜定めることが好ましい。スチレン系樹脂が多
いほど表面硬度と剛性は高くなり、発泡体密度も下げや
すくなり、プロピレン系樹脂(B)が多いほど耐熱性、
耐薬品性を向上することができる。好ましい樹脂の割合
はスチレン系樹脂(A)50〜90重量部プロピレン系
樹脂(B)10〜50重量部である。スチレン系樹脂の
割合が50重量部未満では十分な発泡が得られず、ま
た、得られた発泡体の剛性が不足するおそれがあり、ス
チレン系樹脂が90重量部を超えると得られた発泡体の
耐熱性、耐薬品性が十分でなくなるおそれがある。プロ
ピレン系樹脂の割合が10重量部未満では得られた発泡
体の耐熱性、耐薬品性が十分でなくなるおそれがあり、
50重量部を超えると十分な発泡が得られず、また、得
られた発泡体の剛性が不足するおそれがある。
【0018】また、相溶化剤(C)の使用量は、使用す
るスチレン系樹脂及びプロピレン系樹脂の組成により決
定すれば良く、本発明の要件を損なわない範囲であれば
特に規定されないが、通常、スチレン系樹脂(A)とプ
ロピレン系樹脂(B)の合計100重量部に対し、相溶
化剤1〜30重量部である。相溶化剤の使用量が1重量
部未満である場合には、相溶化剤の効果が発揮され難く
なり、例えば発泡体製造時の押出発泡の際などに未分散
樹脂が析出し、それが押出口となるダイス先端部等を閉
塞させるため、発泡体の製造が困難となるおそれがあ
る。また、30重量部を越えた場合には、相溶化剤とし
ての効果が飽和するとともに、材料コストが高くなり、
経済的に得策ではない。さらに好ましくは3〜20重量
部である。
【0019】本発明において、スチレン系樹脂(A)お
よびプロピレン系樹脂(B)のJIS K 7210に
準拠した測定温度200℃、荷重5kgの条件で測定し
たメルトフローインデックスの比「MIpp/MIp
s」(ここでMIppはプロピレン系樹脂のメルトフロ
ーインデックス、MIpsはスチレン系樹脂のメルトフ
ローインデックス)は0.01〜20であることが好ま
しい。MIpp/MIpsが20を超えると、前述のn
が4以上となり難くなるおそれがある。MIpp/MI
psは15以下とすることが更に好ましく、5以下とす
ることが一層好ましい。また、MIpp/MIpsが
0.01未満とするためには、スチレン系樹脂(A)の
メルトフローインデックスを増加させる必要があり、ス
チレン系樹脂(A)の内部潤滑剤などを多量に添加する
か又は極端に分子量を下げる必要がある。また、プロピ
レン系樹脂(B)においては極端に分子量を上げる必要
があり、かかる基材樹脂の生産性を低下させ、且つ製造
コストが高くなり経済的に得策ではない。
【0020】また、本発明の発泡体に用いられる樹脂組
成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、着色剤などを適宜使用すること
が出来る。また、本発明の発泡体には、本発明の目的を
著しく損なわない範囲で、他の付加的成分たとえば無機
充填剤、有機充填剤などを添加することが出来る。本発
明の発泡体を製造する際に使用する発泡剤は特に制限は
なく、窒素、炭酸ガス、水蒸気等の無機系ガス、樹脂の
軟化点より低い沸点を有する脂肪族炭化水素、塩素化炭
化水素、フッ素化塩素化炭化水素、脂肪族アルコール、
エーテル、エステル、またはこれらの混合物などであっ
て、例えばブタン、ヘプタン、塩化メチル、塩化メチレ
ン、ジクロロテトラフルオロエタン、トリクロロフルオ
ロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオ
ロメタン、ジクロロフルオロメタン、クロロジフルオロ
エタンまたはこれらの混合物などが好ましく用いられ
る。
【0021】また、N,N’−ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニト
ロソテレフタルアミド等のニトロソ系熱分解型発泡剤;
アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなど
のアゾ系熱分解型発泡剤;P,P’−オキシビスベンゼ
ンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルセミ
カルバジドなどのスルホヒドラジド系熱分解型発泡剤、
等の分解型発泡剤を1種又は2種以上を併用しても良
い。本発明の発泡体に用いられる発泡剤の混合割合はス
チレン系樹脂とプロピレン系樹脂および相溶化剤の合計
100重量部あたり0.5〜60重量部の範囲で目標の
発泡体密度に対し、自由に選択することが出来る。
【0022】発泡体および発泡シートの気泡径を調整す
るために、気泡核剤として例えば無機系気泡核剤として
は、タルク、パーライト、珪酸カルシウム、バーミキュ
ライト等が用いられる。また、分解型核剤、有機系核剤
として、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルセ
ミカルバジド、及びクエン酸をはじめとする有機酸等が
挙げられこれらは1種又は2種以上併用しても良い。ま
た、その気泡核剤には分散助剤として、炭素数12〜2
2の高級脂肪酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸、パ
ルチミン酸等の金属(Ca、Na、Zn、Al、Mg)
塩を併用することができる。
【0023】本発明のスチレン系樹脂発泡体の具体的な
製造方法としては、例えば次のような方法で行うことが
できる。スチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、および相
溶化剤を押出機中で溶融混練し、つぎに融解した樹脂に
揮発性発泡剤を圧入し、これを高圧に保持しつつ混練す
る。その後、押出機のダイス先端より吐出させて押出発
泡させる。これを押出発泡体となす。また、上記押出成
形から発泡シートを作製することもできる。更に、この
発泡シートを加熱炉に入れて、軟化、二次発泡させた
後、加熱炉から出し、直ちに金型でプレス成形して、発
泡成形品を得ることもできる。なお、本発明を構成する
スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)および
相溶化剤(C)の混合方法は、特に制限されないが、メ
カニカルブレンドでも良いし、相溶化剤と片方の樹脂と
のマスターバッチの形で混合しても良い。あるいは、相
溶化剤を重合系に添加しても良い。
【0024】また、本発明の発泡体には、必要に応じて
フィルムをラミネートする事ができる。ラミネートする
フィルムは特に制限が無く、例えば、OPS(二軸延伸
ポリスチレンシート)、耐熱OPS、HIPSシートな
どのスチレン系樹脂フィルム、CPP(無延伸ポリプロ
ピレンフィルム)、OPP(二軸延伸ポリプロピレンフ
ィルム)等のプロピレン系樹脂のフィルムあるいはエチ
レン系樹脂フィルム、ポリエステル系フィルムなどが用
いられる。ラミネートするフィルムの厚さは制限はない
が、通常は15〜150μmのフィルムが用いられる。
これらのフィルムには必要に応じて印刷が施される。ま
た、これに限られるものではないが、必要に応じてホッ
トメルト系の接着剤を用いて積層することもできる。ま
た、押出機によってフィルムを発泡体の表面に直接押出
して積層する、押出ラミネート法を採用することもでき
る。
【0025】なお、本発明のスチレン系樹脂発泡体は、
下記のようなあらゆる産業分野で利用することが出来
る。 (1)包装材として耐熱・耐薬品性が要求される食品包
装用カップ、トレー、容器。 (2)断熱材として、建築分野、自動車、電車、船舶な
どの内装材、冷凍食品容器、各種パイプカバーなど。 (3)構造材として、建築物の壁、間仕切り、サンダ
ル、靴底など。 (4)その他として、浮揚材、布紙代用材、各種容器の
パッキング材、ケーブルなどの被覆材、各種スポーツ
品、玩具などの雑貨物など。
【0026】
【発明の実施の形態】つぎに本発明を実施例に基づき詳
細に説明するが、本発明はかかる実施例に制限されるも
のではない。 (グラフト変性プロピレン系樹脂(C−1)〜(C−
7)の製造) <(C−1)の製造>内容量3Lのオートクレーブに純
水1400g、懸濁剤としてポリビニルアルコール14
gを加え、これにペレット状のプロピレン系樹脂(日本
ポリケム(株)製EA6)500gを仕込み、攪拌によ
り懸濁させた。別に重合開始剤としてパーブチルZ(日
本油脂株式会社製、商品名)3.0gをスチレンモノマ
ー500gに溶解させ、これを前記懸濁系に投入し、オ
ートクレーブ内温度を90℃に昇温させ、8時間保持し
て重合開始剤を含むスチレンモノマーをプロピレン系樹
脂ペレット中に含浸させた。この懸濁液を105℃に昇
温し、該温度で2時間維持して重合反応させ、さらに1
20℃に昇温し、該温度で5時間維持して重合を完結さ
せた。冷却後、内容物を取り出して水洗し、脱水乾燥し
てグラフト変性プロピレン系樹脂(C−1)を得た。
(C−1)のプロピレン部分の結晶化度は46%で、
(C−1)の2−ブタノン不溶部のGr=0.37、G
n=2.0、Mw=20万であった。
【0027】<(C−2)の製造>内容量3Lのオート
クレーブに純水1400g、懸濁剤としてポリビニルア
ルコール14gを加え、これにペレット状のプロピレン
系樹脂(日本ポリケム(株)製EA6)500gを仕込
み、攪拌により懸濁させた。別に重合開始剤としてパー
ブチルZ1.0gをスチレンモノマー500gに溶解さ
せ、これを前記懸濁系に投入し、オートクレーブ内温度
を90℃に昇温させ、8時間保持して重合開始剤を含む
スチレンモノマーをプロピレン系樹脂ペレット中に含浸
させた。この懸濁液を100℃に昇温し、該温度で3時
間維持して重合反応させ、さらに120℃に昇温し、該
温度で5時間維持して重合を完結させた。冷却後、内容
物を取り出して水洗し、脱水乾燥してグラフト変性プロ
ピレン系樹脂(C−2)を得た。(C−2)のプロピレ
ン部分の結晶化度は52%で、(C−2)の2−ブタノ
ン不溶部のGr=0.2、Gn=0.15、Mw=55
万であった。
【0028】<(C−3)の製造>プロピレン系樹脂
(日本ポリケム(株)製TA8)を吐出量8kg/hで
バレル温度180℃に設定した30mmφ二軸押出機に
供給し、途中からスチレンモノマー100重量部に対し
過酸化物パーブチルZ(日本油脂製)1重量部を加えた
混合液を2kg/hで液添してグラフト重合反応させ、
ベントで未反応のスチレンモノマーを回収して、グラフ
ト変性プロピレン系樹脂(C−3)を得た。(C−3)
のプロピレン部分の結晶化度は45%で、(C−3)の
2−ブタノン不溶部のGr=0.04、Gn=0.4、
Mw=70万であった。
【0029】<(C−4)の製造>プロピレン系樹脂と
して(C−3)を用いて、(C−3)と同様の操作を行
い、グラフト変性プロピレン系樹脂(C−4)を得た。
(C−4)のプロピレン部分の結晶化度は45%で、
(C−4)の2−ブタノン不溶部のGr=0.06、G
n=0.8、Mw=65万であった。 <(C−5)の製造>プロピレン系樹脂として(C−
4)を用いて(C−3)と同様の操作を2回繰り返して
行い、グラフト変性プロピレン系樹脂(C−5)を得
た。(C−5)のプロピレン部分の結晶化度は44%
で、(C−5)の2−ブタノン不溶部のGr=0.1
2、Gn=1.7、Mw=51万であった。
【0030】<(C−6)>日本油脂(株)製モディパ
ーA3101を使用した。(C−6)のプロピレン部分
の結晶化度は61%で、(C−6)の2−ブタノン不溶
部のGr=0.41、Gn=2.1、Mw=17万であ
った。 <(C−7)の製造>プロピレン系樹脂として宇部レキ
セン(株)製ウベタックAPAO、UT2180を使用
した以外は(C−1)と同様の方法でグラフト変性プロ
ピレン系樹脂(C−7)を得た。(C−7)のプロピレ
ン部分の結晶化度は10%で、(C−7)の2−ブタノ
ン不溶部のGr=0.5、Gn=1.9、Mw=23万
であった。
【0031】上記グラフト変性プロピレン系樹脂の特性
の測定方法について説明する。 <グラフト変性プロピレン系樹脂の2−ブタノン不溶部
の分別>グラフト変性プロピレン系樹脂をo−ジクロロ
ベンゼンを用いて140℃で溶解した後、メタノールで
再沈させた。沈殿物を減圧乾燥させた後、2−ブタノン
を溶媒として、10時間ソックスレー抽出し、2−ブタ
ノン可溶部と2−ブタノン不溶部に分別した。
【0032】<グラフト変性プロピレン系樹脂中のP
S、PP組成(Wps、Wpp)>Nicolet社製
フーリエ変換赤外分光光度計Magna−IR550を
用い、グラフト変性プロピレン系樹脂の2−ブタノン不
溶部中のスチレン系樹脂とプロピレン系樹脂の重量分率
Wps、Wppは次式により算出した。 Wps=1/(1.53×D(972cm-1)/D(1
601cm-1)+1) Wpp=1−Wps ここで、D(972cm-1)とD(1601cm-1)は
それぞれ赤外吸収スペクトルの972cm-1と1601
cm-1におけるバックグランドを補正した吸光度であ
る。
【0033】<結晶化度>セイコー電子社製示差走査熱
量測定装置SSC−5200Hを使用し、グラフト変性
プロピレン系樹脂の2−ブタノン不溶部約5mgを窒素
雰囲気中、室温から200℃まで50℃/minの昇温
速度で加熱溶融した後、10℃/minで0℃まで冷却
し、さらに10℃/minで加熱したときの融解熱量
(ΔH)を測定した。結晶化度は下記式で算出した。 結晶化度=ΔH÷(Wpp×209) ここで完全結晶時の結晶化エネルギーとして209J/
g(POLYMERHANDBOOK 3rd.Ed.
V/27)を使用した。
【0034】<分子量測定>ゲルパーミエーションクロ
マトグラフ(GPC)法で分析した。グラフト変性プロ
ピレン系樹脂の2−ブタノン可溶部は、東ソー社製シス
テム8010装置にカラムとして東ソー社製TSKge
lGMH−HRH を3本用い、移動相溶媒としてテトラ
ヒドロフラン(流量1ml/min)、および紫外可視
検出器(波長254nm)を用いて、試料濃度約2mg
/ml、カラム温度40℃で測定した。グラフト変性プ
ロピレン系樹脂の2−ブタノン不溶部の分子量は、Wa
ter社製150C装置にカラムとしてShodex
AD−806MSを3本用い、移動相溶媒としてオルト
ジクロロベンゼン(流量1ml/min)、および赤外
検出器(波長3.42μm)を用いて、試料濃度約0.
1%、カラム温度140℃で測定した。
【0035】いずれも標準ポリスチレンでGPCの較正
曲線を作成し、2−ブタノン可溶部の分子量分布はこの
較正曲線から得られたポリスチレン換算分子量を、また
2−ブタノン不溶部はポリスチレン換算分子量を下記の
粘度式を用いてポリプロピレン換算した値を用いた。 [η]=0.000108×M0.723 ポリスチレン換算 [η]=0.000242×M0.707 ポリプロピレン換
【0036】
【実施例1】スチレン系樹脂としてエー・アンド・エム
スチレン(株)製G9305(MI=1.5、 200
℃,5kg)、プロピレン系樹脂として日本ポリケム
(株)製EG8(MI=1.3、200℃,5kg)、
相溶化剤は(C−1)を使用した。スチレン系樹脂67
重量部、プロピレン系樹脂33重量部、(C−1)10
重量部からなる樹脂混合物100重量部に対し、気泡核
剤としてタルク0.5重量部、分散助剤としてステアリ
ン酸亜鉛0.3重量部を加えてミキサーでよく攪拌混合
した後、口径φ65mm、L/Dが33の一軸押出機の
ホッパーに供給し、押出機スクリューの前段で235℃
で溶融混練し、その溶融混練物に押出機の中段に設けら
れた発泡剤注入孔より全押出量の2.5重量%になるよ
うにn−ブタン65%とi−ブタン35%の混合ブタン
を注入し、次いで押出機スクリューの後段で160℃に
冷却し、リングダイより管状に押出発泡させ、得られた
管状発泡シートを、マンドレルで冷却後、カッターによ
り1面を切り開いて発泡シートを得た。
【0037】
【実施例2】スチレン系樹脂59重量部、プロピレン系
樹脂41重量部、(C−1)20重量部とした以外実施
例1と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得た。
【実施例3】スチレン系樹脂83重量部、プロピレン系
樹脂17重量部、(C−1)3重量部とした以外実施例
1と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得た。
【実施例4】スチレン系樹脂としてエー・アンド・エム
スチレン(株)製G8102(MI=0.9 、200
℃,5kg)、プロピレン系樹脂を日本ポリケム(株)
製EA9(MI=1.8、200℃,5kg)とした以
外実施例1と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを
得た。
【0038】
【実施例5】プロピレン系樹脂を日本ポリケム(株)製
FW3E(MI=17、200℃,5kg)とした以外
実施例1と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得
た。
【実施例6〜11】表1に示したとおり相溶化剤(C−
2)〜(C−7)を使用した以外実施例1と同じ方法で
押出発泡を行ない、それぞれ発泡シートを得た。
【実施例12】実施例1で得られた発泡シートに厚さ4
0μmのCPPフィルムを、テフロン(登録商標)コー
トされた約180℃の加熱ロールに接触させながら押圧
して、発泡シートに積層して、積層発泡シートを得た。
【0039】
【実施例13】実施例1と同様の組成の樹脂混合物を用
い、ダイスを矩形ダイとし、発泡剤添加量を全押出量の
5重量%として押出発泡させ、当ダイに連結された冷却
サイジング装置によって冷却することによって、厚み2
0mm、巾150mmの板状発泡体を得た。実施例1〜
11で得られた発泡シートおよび実施例12で得られた
積層発泡シートを室温で1週間養生させた後、真空成形
機で加熱し成形することによって、寸法195mm×1
49mm×20mmのトレイ形状の発泡成形品を得た。
実施例1〜12の発泡成形品および実施例13の板状発
泡体の発泡体密度、独立気泡率、気泡膜の垂線上のプロ
ピレン系樹脂相の数n、耐熱性、耐薬品性の評価結果を
表1に纏めた。
【0040】
【比較例1】スチレン系樹脂100重量部のみを実施例
1と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得た。
【比較例2】スチレン系樹脂 40重量部、プロピレン
系樹脂60重量部からなる混合樹脂組成とした以外実施
例7と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得た。
【比較例3】プロピレン系樹脂を日本ポリケム(株)製
MA03(MI=45、200℃,5kg)とした以外
実施例7と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得
た。
【0041】
【比較例4】相溶化剤としてクラレ(株)製セプトン2
104(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブ
ロック共重合体、SEPS)を使用した以外、実施例1
と同じ方法で押出発泡を行ない発泡シートを得た。
【比較例5】スチレン系樹脂をエー・アンド・エム ス
チレン(株)製G8102(MI=0.9、200℃,
5kg)、相溶化剤を旭化成工業(株)製タフテックH
1043(スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロ
ック共重合体、SEBS)とした以外実施例1と同じ方
法で押出発泡を行ない発泡シートを得た。比較例1〜5
で得られた発泡シートを室温で1週間養生させた後、真
空成形機で加熱し成形することによって、寸法195m
m×149mm×20mmのトレイ形状の発泡成形品を
得た。比較例1〜5の発泡体密度、独立気泡率、気泡膜
の垂線上のプロピレン系樹脂相の数n、耐熱性、耐薬品
性の評価結果を表2に纏めた。
【0042】次に、実施例、比較例の押出発泡体および
押出発泡シートを真空成形した発泡体の特性や性能の測
定方法について説明する。まず、図1(b)に示すごと
き、気泡膜10の垂線200上のプロピレン系樹脂層1
01の数nは次のようにして測定する。発泡体を押出の
際の流れに垂直な方向にスライスし、試料片を作成す
る。この試料片をエッチング処理し、光硬化性エポキシ
樹脂で包埋した後、クライオミクロトームで超薄切片を
作成し、四酸化ルテニウムRuO4 で蒸気染色(5分、
常温)し、この切片を透過型電子顕微鏡で観察した。
【0043】気泡膜の垂線上のプロピレン系樹脂層の数
nは、発泡体の表層5点、内部5点の平均値とした。な
お、図3は実施例1にかかる切片の透過型電子顕微鏡に
よる観察結果を示す図面代用写真で6000倍である。
同図より知れるごとく、実施例1の切片における気泡膜
は細かい白いスジ状の層と黒いスジ状の層とが交互に積
層された状態にある。黒いスジ状の層がスチレン系樹脂
層で、白いスジ状の層がプロピレン系樹脂層である。な
お、スチレン系樹脂層が図1(b)とは逆に黒いスジ状
であるのは、上述の四酸化ルテニウムRuO4 での蒸気
染色の結果である。
【0044】発泡体密度はJIS K7222に準じ
て、発泡体の重量と体積を測定し、これらの値から算出
した。また、独立気泡率(S%)は、発泡体約25cm
3 の真の容積を東芝・ベックマン社製の空気比較式比重
計930型を用いて測定し、先に測定した発泡体の重量
及び発泡体密度から、次式により独立気泡率(S%)を
算出したものである。 S={Vx−W/ρ}÷{Va−W/ρ}×100
(%) ここにVx:発泡体真の容積(cm3 )、Va:発泡体
の容積(cm3 )、W:発泡体の重量(g)、ρ:発泡
体の機材樹脂の密度(cm3 )である。
【0045】耐熱性の評価は次のようにして行った。発
泡シートから成形した寸法195mm×149mm×2
0mmのトレイ形状の発泡成形品、あるいは押出発泡体
の場合は流れ方向及び巾方向それぞれ長さ100mmに
切り出した評価用サンプルを、100℃〜140℃の温
度範囲で、一定の温度に設定したオーブン中で1時間加
熱し、寸法の変化が観察されない最高の温度を記録し
た。
【0046】耐薬品性の評価は次のようにして行った。
押出発泡シート(実施例13は板状発泡体)から長さ5
0mm,幅20mmのサンプルを切り出し、2−ブタノ
ン(関東化学製鹿1級)中に完全に浸漬し、溶解状態を
観察した。判定の基準は○;形状に変化無し、△;形状
が崩れる、×;完全に溶解する、とした。
【0047】耐油性の評価は次のようにして行った。発
泡体および発泡成形品の片面に、n−ヘプタンを単位面
積あたり2ml/cm2 となるように接触させ、室温、
24hr接触後の重量を測定し、重量増加分の試験サン
プルの元重量に対する比率をn−ヘプタン吸収量(%)
として示した。 n−ヘプタン吸収量(%)=重量増加量(g)/試験サ
ンプル重量(g)×100
【0048】表1,表2によれば、実施例1〜13にお
ける発泡体は、気泡膜中の構造が特定の構造を有し、発
泡倍率、独立気泡性が高く、PS単独の発泡体(比較例
1)に比し、耐熱性、耐薬品性が優れ、また相溶化剤と
して熱可塑性エラストマーを使用した場合の発泡体(比
較例4、5)に比し、耐油性が優れることがわかる。こ
れに対し、比較例2の発泡体は本発明にかかる構造を有
していないうえ、発泡体密度が高く、耐熱性および耐薬
品性が劣っている。また、比較例3は本発明の発泡倍率
は満たしているが、MIpp/MIps=30で本発明
の特定の構造を有していないため、得られた発泡体の耐
熱性、耐薬品性が劣っている。
【0049】以上の記載より、実施例1〜13の押出シ
ートから成形された発泡成形品や押出発泡体は、グラフ
ト変性プロピレン系樹脂(C)が使用されており、かつ
気泡膜がスチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂
(B)とよりなる層状構造に形成されており、nが4以
上で、独立気泡率が20%以上、発泡体密度が0.5g
/cm3 以下であった。本例にかかる発泡体は、グラフ
ト変性プロピレン系樹脂を使用し、且つ上記のような物
性及び構造を有しているため、プロピレン系樹脂の特徴
である耐熱性、耐薬品性に優れているとともに、スチレ
ン系樹脂発泡体が本来有する成形性、剛性、断熱性を発
揮することができる。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、スチレン系樹脂発泡体
本来の優れた成形性、剛性、断熱性に加え、優れた耐熱
性、耐薬品性及び耐油性を有するスチレン系樹脂発泡体
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例における、(a)スチレン系樹脂発
泡体の断面説明図、(b)気泡膜の構造を示す部分説明
図である。
【図2】実施形態例における、スチレン系樹脂発泡体よ
りなる発泡成形品の斜視図である。
【図3】実施例1にかかる発泡成形品の気泡膜の構造を
示す透過型電子顕微鏡写真(倍率:6000倍)であ
る。
【符号の説明】
1 スチレン系樹脂発泡体 10 気泡膜 11 気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 51/00 B65D 1/00 A Fターム(参考) 3E033 AA08 AA10 AA20 BA13 BA16 BA22 BB01 BB04 CA03 CA07 CA09 CA11 4F074 AA24 AA24D AA32 AA32D AA33A BA13 BA15 BA16 BA17 BA19 BA20 BA35 BA37 BA45 BA46 BA53 CA22 CA29 CA30 CC22X DA02 DA12 DA32 DA33 DA34 DA35 DA45 DA48 DA52 4J002 BB14X BB15X BC03W BC04W BN03Y FD20Y GC00 GG01 GG02 GL00 GN00 GQ01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系樹脂(A)、プロピレン系樹
    脂(B)および相溶化剤(C)とを含む樹脂組成物を発
    泡してなる発泡体において、相溶化剤(C)がプロピレ
    ン系樹脂に芳香族ビニル単量体をグラフト重合させたグ
    ラフト変性プロピレン系樹脂であり、該発泡体の気泡膜
    は上記スチレン系樹脂(A)とプロピレン系樹脂(B)
    とよりなる層状構造に形成されており、上記気泡膜を厚
    み方向の断面で見たときに気泡膜の表面から引いた垂線
    がプロピレン系樹脂(B)と交差する数nが4以上、発
    泡体密度0.5g/cm3 以下、独立気泡率20%以上
    であることを特徴とするスチレン系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂(A)50〜90重量部
    とプロピレン系樹脂(B)10〜50重量部とからなる
    樹脂組成物100重量部に対し、グラフト変性プロピレ
    ン系樹脂からなる相溶化剤(C)を1〜30重量部添加
    することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物からなる請求
    項1記載のスチレン系樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂(A)およびプロピレン
    系樹脂(B)のJIS K 7210に準拠した測定温
    度200℃、荷重5kgの条件で測定したメルトフロー
    インデックスの比「MIpp/MIps」(ここでMI
    ppはプロピレン系樹脂のメルトフローインデックス、
    MIpsはスチレン系樹脂のメルトフローインデック
    ス)が0.01〜20の範囲であることを特徴とする熱
    可塑性樹脂組成物からなる請求項1又は請求項2記載の
    スチレン系樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 スチレン系樹脂(A)がゴム変性されて
    いないスチレン単独重合体あるいはスチレン共重合体で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系樹脂発
    泡体。
  5. 【請求項5】 該グラフト変性プロピレン系樹脂が結晶
    化度20%以上のプロピレン部分を有し、次式(1)で
    表されるGrがGr≧0.05、次式(2)で表される
    GnがGn≧0.5であり、該グラフト変性プロピレン
    系樹脂の2−ブタノン不溶部のプロピレン換算重量平均
    分子量(Mw)が60万以下である請求項1〜4のいず
    れかに記載のスチレン系樹脂発泡体。 Gr=Wps/Wpp・・・(1) (ここで、Wps、Wppは該グラフト変性プロピレン
    系樹脂の2−ブタノン不溶部のスチレン系樹脂、プロピ
    レン系樹脂の重量分率) Gn=(Gr/Mn_ps)×105 ・・・(2) (ここで、Mn_psは該グラフト変性プロピレン系樹
    脂の2−ブタノン可溶部のスチレン系樹脂のスチレン換
    算数平均分子量)
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のスチレ
    ン系樹脂発泡体と非発泡の熱可塑性樹脂層を積層してな
    ることを特徴とする積層発泡体。
  7. 【請求項7】 発泡体が、シート状物であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載の発泡体。
  8. 【請求項8】 発泡体が、容器形状に成形されているこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発泡
    体。
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