JP2002178441A - 自己集合単分子膜及びその製造方法 - Google Patents

自己集合単分子膜及びその製造方法

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JP2002178441A JP2000377667A JP2000377667A JP2002178441A JP 2002178441 A JP2002178441 A JP 2002178441A JP 2000377667 A JP2000377667 A JP 2000377667A JP 2000377667 A JP2000377667 A JP 2000377667A JP 2002178441 A JP2002178441 A JP 2002178441A
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Masami Iwayama
正巳 岩山
Tatsuo Fujinami
達雄 藤波
Masato Tanaka
正人 田中
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自己集合性化合物同士の凝集による自由空間
の減少を十分にさせ、その結果アゾベンゼンユニットが
異性化可能な自由空間が確保されており且つ表面特性を
効率良く且つ均一に変化させることが可能な自己集合単
分子膜を提供することを目的とする。また、自己集合性
化合物中のアゾ結合が還元等によって異性化能を消失し
た際に、その異性化能を容易に回復させることが可能な
自己集合単分子膜を提供することを目的とする。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 で表されるアゾベンゼン誘導体が基材上に吸着して形成
されたものであることを特徴とする自己集合単分子膜及
びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アゾベンゼン誘導
体を含有する自己集合単分子膜に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる自己集合性化合物を特定の基材
表面に吸着(化学吸着)させたときに、その分子集合性
(吸着官能基による吸着作用と、その吸着官能基に結合
している基による分子間相互作用)により、基材表面に
自己集合性化合物がほぼ規則正しく配列する。このよう
な配列により形成された膜を自己集合単分子膜若しくは
自己組織化単分子膜(Self−Assembled
MonolayersといいSAMと略称される)とい
う。自己集合単分子膜の表面には密に配列した自己集合
性化合物分子の末端基が存在することから、この末端基
の物性が自己集合単分子膜の表面特性に影響し、例えば
自己集合性化合物の吸着の有無によって、自己集合単分
子膜の表面の濡れ性が大きく変化することがわかってい
る(Colind.Bain,E.Varry Troughton,Yu-Tai Tao, Jo
seph Evall, George M.Whitesides,and Ralph G.Nuzzo
, J. Am. Chem. Soc. ,111,321-335(1989))。
【0003】一方、自己集合性化合物分子の分子構造を
変化させてその表面特性を変化させる手法も考えられる
が、上述の通り従来の自己集合単分子膜は非常に密な構
造を持つため、その表面特性を変化させようとしても自
己集合単分子膜中に変化に必要な自由空間が存在せず、
分子構造を変化させることが困難であった。例えば、ア
ゾベンゼン(紫外光を吸収することによりトランス体か
らシス体に光異性化し、シス体に可視光照射または加熱
処理することによりトランス体に戻るという性質を有す
るフォトクロミック材料として知られている)を有する
長鎖アルカンチオールを自己集合性化合物とする自己集
合単分子膜の場合、非常に密な膜構造のためアゾ基の異
性化に必要な自由空間が存在しないことが確認されてい
る(R.Wang , T.Iyoda , L.Jiang , D.A.Tryk , K.Hash
imoto , A.Fujishima , J.Electroanal.Chem. , 438,21
3-219 (1997) )。
【0004】このような欠点を克服するために、特開2
000−264874号公報には、アゾベンゼンを有す
る長鎖アルカンチオールと、比較的鎖長の短いアルカン
チオールをジスルフィド化した自己集合性化合物を合成
し、これを用いて自己集合単分子膜を形成させ、アゾベ
ンゼンの異性化を達成した発明が記載されている。
【0005】しかしながら、特開2000−26487
4号公報に記載の発明で用いられている物質は異なった
性状を有する鎖同士をジスルフィド化によって連結させ
たものであるため、自己集合単分子膜形成時にミクロな
層分離を起こしやすく、アゾユニットを持つ鎖のみが凝
集し、その結果自己集合性化合物間の自由空間が減少し
てしまい、アゾユニットが本来の異性化能を示しにくい
という問題があった。また、アゾ結合は還元により二重
結合を失う可能性があり、そのためその異性化機能を比
較的失い易いという性質を有する為、長期に渡る異性化
能の発揮が困難であるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、自己集合
性化合物同士の凝集による自由空間の減少を十分にさ
せ、その結果アゾベンゼンユニットが異性化可能な自由
空間が確保されており且つ表面特性を効率良く且つ均一
に変化させることが可能な自己集合単分子膜を提供する
ことを目的とする。また、自己集合性化合物中のアゾ結
合が還元等によって異性化能を消失した際に、その異性
化能を容易に回復させることが可能な自己集合単分子膜
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、自己集合単分子膜
を構成する自己集合性化合物にβ−シクロデキストリン
をその末端に有するアルカンチオールのβ−シクロデキ
ストリンにアゾベンゼン誘導体を包接させた自己集合性
化合物を用いることにより、アゾユニットが効率良く異
性化して表面特性を確実に変化させることが可能であ
り、且つ、還元等によりアゾ結合が分解された場合でも
アゾユニットの異性化能を容易に回復させることが可能
な自己集合単分子膜を得ることできることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の自己集合単分子膜は、
一般式(1)
【化4】 [式(1)中、R1は炭素数3〜21のアルキレン基を
示し、Xはアミド結合またはエーテル結合を示し、mは
0〜1の整数を示し、Yは同一または異なっていてもよ
く、水酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22
のアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜2
2のオキシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素
数1〜22のフッ化アルキル基、炭素数1〜21のアル
コール残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン酸残基、
置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有し
ていてもよいアゾベンゼン基からなる群より選ばれる少
なくとも一つを示し、nは0〜5の整数を示し、Zは同
一または異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若しくは
分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状若しく
は分枝鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル基、直鎖
状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化アルキル
基、炭素数1〜21のアルコール残基、炭素数1〜21
の脂肪族カルボン酸残基、置換基を有していてもよいア
リール基及び置換基を有していてもよいアゾベンゼン基
からなる群より選ばれる少なくとも一つを示し、pは0
〜5の整数を示す。]で表されるアゾベンゼン誘導体が
基材上に吸着して形成されたものであることを特徴とす
る自己集合単分子膜である。
【0009】また、本発明の自己集合単分子膜の製造方
法は、一般式(2)
【化5】 [式(2)中、R1は炭素数3〜21のアルキレン基を
示し、Xはアミド結合またはエーテル結合を示し、mは
0〜1の整数を示す。]で表される化合物を基材上に吸
着させる第1の工程と、前記一般式(2)で表される化
合物のβ−シクロデキストリンに一般式(3)
【0010】
【化6】 [式(3)中、Yは同一または異なっていてもよく、水
酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアル
キル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオ
キシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜
22のフッ化アルキル基、炭素数1〜21のアルコール
残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基
を有していてもよいアリール基及び置換基を有していて
もよいアゾベンゼン基からなる群より選ばれる少なくと
も一つを示し、nは0〜5の整数を示し、Zは同一また
は異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若しくは分枝鎖
状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状若しくは分枝
鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル基、直鎖状若し
くは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化アルキル基、炭
素数1〜21のアルコール残基、炭素数1〜21の脂肪
族カルボン酸残基、置換基を有していてもよいアリール
基及び置換基を有していてもよいアゾベンゼン基からな
る群より選ばれる少なくとも一つを示し、pは0〜5の
整数を示す。]で表される化合物を包接させる第2の工
程と、を含むことを特徴とする自己集合単分子膜の製造
方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0012】本発明の自己集合単分子膜は、一般式
(1)
【化7】 [式(1)中、R1は炭素数3〜21のアルキレン基を
示し、Xはアミド結合またはエーテル結合を示し、mは
0〜1の整数を示し、Yは同一または異なっていてもよ
く、水酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22
のアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜2
2のオキシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素
数1〜22のフッ化アルキル基、炭素数1〜21のアル
コール残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン酸残基、
置換基を有していてもよいアリール基及び置換基を有し
ていてもよいアゾベンゼン基からなる群より選ばれる少
なくとも一つを示し、nは0〜5の整数を示し、Zは同
一または異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若しくは
分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状若しく
は分枝鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル基、直鎖
状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化アルキル
基、炭素数1〜21のアルコール残基、炭素数1〜21
の脂肪族カルボン酸残基、置換基を有していてもよいア
リール基及び置換基を有していてもよいアゾベンゼン基
からなる群より選ばれる少なくとも一つを示し、pは0
〜5の整数を示す。]で表されるアゾベンゼン誘導体が
基材上に吸着して形成されたものであることを特徴とす
る自己集合単分子膜である。
【0013】本発明にかかる一般式(1)の化合物は、
β−シクロデキストリンをその末端に有するアルカンチ
オール部分(一般式(2)で表される化合物)と、前記
β−シクロデキストリンに包接されるアゾベンゼン誘導
体(一般式(3)で表される化合物)からなるものであ
る。
【0014】先ず、β−シクロデキストリンをその末端
に有するアルカンチオールについて説明する。
【0015】本発明にかかるβ−シクロデキストリン
は、シクロデキストリン1分子に含まれるグルコースが
7量体を形成するβ型のシクロデキストリンである。
【0016】前記β−シクロデキストリンにはアルカン
チオールが結合している。ここで、β−シクロデキスト
リンとアルカンチオールの結合様式は、シクロデキスト
リンが直接アルカンチオールに結合していてもよく、ま
た、β−シクロデキストリンがアミド結合(−CO−NH
−)またはエーテル結合(−O−)を介してアルカンチ
オールが結合していてもよい。また、前記アルカンチオ
ールを構成するアルキレン基(R1)の炭素数は3〜2
1であることが好ましく、5〜15であることがより好
ましい。炭素数が前記下限より少ない場合には基材に吸
着した自己集合性化合物の十分な均一性が得られない可
能性が生じる傾向にあり、前記上限より多い場合には自
己集合単分子膜の形成に時間がかかる傾向にある。
【0017】このようなアルカンチオールは、その末端
のチオール基に含まれる硫黄が基材との親和性を示すた
め、アルカンチオールを有する自己集合性化合物が自己
集合単分子膜を形成することが可能となる。
【0018】次に、β−シクロデキストリンに包接され
るアゾベンゼン誘導体について説明する。
【0019】本発明にかかるアゾベンゼン誘導体は、前
記のβ−シクロデキストリンに包接されるベンゼン環を
有している。このベンゼン環にはアゾ基を有する側鎖が
結合するが、この側鎖以外に一般式(1)中、Yで表さ
れるように、水酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数
1〜22のアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素
数1〜22のオキシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖
状の炭素数1〜22のフッ化アルキル基、炭素数1〜2
1のアルコール残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン
酸残基、置換基を有していてもよいアリール基及び置換
基を有していてもよいアゾベンゼン基からなる群より選
ばれる少なくとも一つの側鎖が結合していてもよく、そ
の鎖長は一般式(1)におけるアルキレン基(R1)の
鎖長を超えないことが好ましい。ここで、前記ベンゼン
環に結合する側鎖のうち、アゾ基を有する側鎖以外の側
鎖はベンゼン環がβ−シクロデキストリンに包接される
ことが可能な構造であればベンゼン環のいずれの炭素に
結合していてもよいが、アゾ基を有する側鎖に対してオ
ルト位またはパラ位に結合することが好ましい。アゾ基
を有する側鎖に対してメタ位に結合した場合、前記ベン
ゼン環がβ−シクロデキストリンに包接されにくい傾向
にある。
【0020】ここで、本発明にかかるアルキル基は、直
鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基であ
り、中でも炭素数が5〜15のアルキル基であることが
好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル
基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基が挙げら
れる。
【0021】また、本発明にかかるオキシアルキル基
は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル
基であり、中でも炭素数が5〜15のアルキル基である
ことが好ましい。このようなオキシアルキル基として
は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
t−ブトキシ基、ペントキシキ基、イソペントキシ基、
ヘキソキシ基、ヘプトキシ基が挙げられる。
【0022】また、本発明にかかるフッ化アルキル基
は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化ア
ルキル基であり、中でも炭素数が1〜10のフッ化アル
キル基であることが好ましい。このようなフッ化アルキ
ル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロ
ピル基、ペンタフルオロブチル基、ヘプタフルオロペン
チル基、ノナフルオロヘキシル基、ヘプタデカフルオロ
デシル基、トリデカフルオロイソオクチル基が挙げられ
る。ここで、前記フッ化アルキル基は、アルキル基の全
ての水素原子がフッ素原子に置換されている必要はな
く、一部の水素原子(好ましくは20%以上)がフッ素
原子に置換されているフッ化アルキル基も本発明にかか
るフッ化アルキル基に包含される。
【0023】また、本発明にかかるアルコール残基は、
炭素数1〜21のアルコール残基であり、中でも炭素数
が1〜10であることが好ましい。このようなアルコー
ル残基としては、例えば、メタノール残基、エタノール
残基、n−プロパノール残基、n−ブタノール残基、s
−ブタノール残基、t−ブタノール残基、n−ペンタノ
ール残基、n−ヘキサノール残基、n−へプタノール残
基、n−オクタノール残基、イソヘキサノール残基が挙
げられる。
【0024】また、本発明にかかる脂肪族カルボン酸残
基は、炭素数が1〜21の脂肪族カルボン酸残基であ
り、中でも炭素数が1〜10であることが好ましい。こ
のような脂肪族カルボン酸残基としては、例えば、酢酸
残基、プロピオン酸残基、2−エチルヘキサン酸残基、
パーフルオロオクタン酸残基、α−ヒドロキシカルボン
酸残基、グリコール酸残基、乳酸残基、マンデル酸残基
が挙げられる。
【0025】さらに、本発明にかかるアリール基として
は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフ
ェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル
基が挙げられる。また、前記アリール基は置換基を有し
ていてもよく、このような置換基としては、例えば、ハ
ロゲン原子、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基が挙げられる。
【0026】また、本発明にかかるアゾベンゼン基は、
アゾ基の両端にベンゼン環が結合した構造を有し、その
結合様式はシス体またはトランス体のいずれでもよい。
また、前記アゾベンゼン基は置換基を有していてもよ
く、このような置換基としては、例えば、アルキル基、
フッ化アルキル基、オキシアルキル基が挙げられる。こ
のようなアルキル基、フッ化アルキル基、オキシアルキ
ル基は、炭素数が1〜5であることが好ましい。
【0027】前述したβ−シクロデキストリンに包接さ
れるベンゼン環にはアゾ基を介してさらに第2のベンゼ
ン環が結合し、アゾベンゼンを形成する。第2のベンゼ
ン環には一般式(1)においてZで表される側鎖が結合
していてもよく、このような側鎖としては水素原子、水
酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアル
キル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオ
キシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜
22のフッ化アルキル基、炭素数1〜21のアルコール
残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基
を有していてもよいアリール基及び置換基を有していて
もよいアゾベンゼン基からなる群より選ばれる少なくと
も一つの官能基が結合している。
【0028】ここで、本発明にかかるアルキル基は、直
鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基であ
り、中でも炭素数が5〜15のアルキル基であることが
好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル
基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基が挙げら
れる。
【0029】また、本発明にかかるオキシアルキル基
は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル
基であり、中でも炭素数が5〜15のアルキル基である
ことが好ましい。このようなオキシアルキル基として
は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、
t−ブトキシ基、ペントキシキ基、イソペントキシ基、
ヘキソキシ基、ヘプトキシ基が挙げられる。
【0030】また、本発明にかかるフッ化アルキル基
は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化ア
ルキル基であり、中でも炭素数が1〜10のフッ化アル
キル基であることが好ましい。このようなフッ化アルキ
ル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロプロ
ピル基、ペンタフルオロブチル基、ヘプタフルオロペン
チル基、ノナフルオロヘキシル基、ヘプタデカフルオロ
デシル基、トリデカフルオロイソオクチル基が挙げられ
る。ここで、前記フッ化アルキル基は、アルキル基の全
ての水素原子がフッ素原子に置換されている必要はな
く、一部の水素原子(好ましくは20%以上)がフッ素
原子に置換されているフッ化アルキル基も本発明にかか
るフッ化アルキル基に包含される。
【0031】また、本発明にかかるアルコール残基は、
炭素数1〜21のアルコール残基であり、中でも炭素数
が1〜10であることが好ましい。このようなアルコー
ル残基としては、例えば、水酸基、メチル残基、エチル
残基、n−プロピル残基、n−ブチル残基、s−ブチル
残基、t−ブチル残基、n−ペンチル残基、n−ヘキシ
ル残基、n−へプチル残基、n−オクチル残基、n−デ
シル、n−ドデシル残基、n−テトラデシル残基、n−
ヘキサデシル残基、n−オクタデシル残基、イソヘキシ
ル残基が挙げられる。
【0032】また、本発明にかかる脂肪族カルボン酸残
基は、炭素数が1〜21の脂肪族カルボン酸残基であ
り、中でも炭素数が1〜10であることが好ましい。こ
のような脂肪族カルボン酸残基としては、例えば、酢酸
残基、プロピオン酸残基、2−エチルヘキサン酸残基、
パーフルオロオクタン酸残基、α−ヒドロキシカルボン
酸残基、例えば、グリコール酸残基、乳酸残基、マンデ
ル酸残基が挙げられる。
【0033】さらに、本発明にかかるアリール基として
は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフ
ェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル
基が挙げられる。また、前記アリール基は置換基を有し
ていてもよく、このような置換基としては、例えば、ハ
ロゲン原子、水酸基、アミノ基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基が挙げられる。
【0034】また、本発明にかかるアゾベンゼン基は、
アゾ基の両端にベンゼン環が結合した構造を有し、その
結合様式はシス体またはトランス体のいずれでもよい。
また、前記アゾベンゼン基は置換基を有していてもよ
く、このような置換基としては、例えば、アルキル基、
フッ化アルキル基、オキシアルキル基が挙げられる。こ
のようなアルキル基、フッ化アルキル基、オキシアルキ
ル基はそれぞれ炭素数が1〜5であることが好ましい。
【0035】このようなアゾベンゼン誘導体の具体例と
しては以下のような化合物が挙げられる。
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】本発明の自己集合単分子膜は、以上に説明
したような自己集合性化合物が基材上に吸着することに
より形成される。ここで、本発明にかかる基材は特に限
定されないが、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウ
ム等の金属が挙げられ、中でも金、白金であることが好
ましい。
【0045】このような自己集合単分子膜は、自己集合
性化合物中のβ−シクロデキストリンの存在によって、
隣接する自己集合性化合物どうしの空間が15オングス
トローム以上に保たれるため、アゾユニットが異性化を
起こすために必要な自由空間が十分に確保されている。
また、アゾユニットを含むアゾベンゼン誘導体は、そこ
に含まれるベンゼン環が前記β−シクロデキストリンに
包接された構造を有しているため、β−シクロデキスト
リンからアゾベンゼン誘導体を可逆的に脱離または包接
させることが可能である。
【0046】次に、本発明の自己集合単分子膜の製造方
法について説明する。
【0047】本発明に自己集合単分子膜の製造方法は、
一般式(2)
【化16】 [式(2)中、R1は炭素数3〜21のアルキレン基を
示し、Xはアミド結合またはエーテル結合を示し、mは
0〜1の整数を示す。]で表される化合物を基材上に吸
着させる第1の工程と、前記一般式(2)で表される化
合物のβ−シクロデキストリンに一般式(3)
【0048】
【化17】 [式(3)中、Yは同一または異なっていてもよく、水
酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアル
キル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオ
キシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜
22のフッ化アルキル基、炭素数1〜21のアルコール
残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基
を有していてもよいアリール基及び置換基を有していて
もよいアゾベンゼン基からなる群より選ばれる少なくと
も一つを示し、nは0〜5の整数を示し、Zは同一また
は異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若しくは分枝鎖
状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状若しくは分枝
鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル基、直鎖状若し
くは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化アルキル基、炭
素数1〜21のアルコール残基、炭素数1〜21の脂肪
族カルボン酸残基、置換基を有していてもよいアリール
基及び置換基を有していてもよいアゾベンゼン基からな
る群より選ばれる少なくとも一つを示し、pは0〜5の
整数を示す。]で表される化合物を包接させる第2の工
程と、を含むことを特徴とする自己集合単分子膜の製造
方法である。
【0049】本発明にかかる第1の工程は、一般式
(2)で表される化合物を基材上に吸着させる工程であ
る。ここで、一般式(2)で表される化合物は、β−シ
クロデキストリンとアルカンチオールが結合可能な方法
であれば合成方法は特に制限されず、公知の方法を用い
て合成することが可能である。
【0050】一般式(2)で表される化合物を基材上に
吸着させる方法についても特に制限されず、公知の方法
を用いて前記化合物を基材に吸着させればよい。具体的
には、例えば、前述の基材を一般式(2)で表される化
合物が溶解している溶液に浸漬した後取り出し、基材表
面を洗浄して余分の前記化合物を除くことにより一般式
(2)で表される化合物が吸着した基材を得ることがで
きる。また、一般式(2)で表される化合物を溶解する
溶媒としては、例えば、メタノール、メタノール−水混
合溶液、エタノール、THF、ジエチルエーテル、ジク
ロロメタンが挙げられ、中でもメタノール−水混合溶
液、エタノールを用いることが好ましい。さらに、前記
洗浄液としては、例えば、メタノール、メタノール−水
混合溶液、エタノール、THF、ジエチルエーテル、ジ
クロロメタンが挙げられ、中でもメタノール−水混合溶
液、エタノールを用いることが好ましい。ここで、前記
浸漬の条件としては、例えば、溶媒の濃度が0.1〜1
0mmolであることが好ましく、1〜2mmolであ
ることがより好ましく、また、温度条件が0〜60℃
(溶媒の沸点以下)であることが好ましく、室温〜40℃
であることがより好ましく、さらに、時間が12〜48
時間であることが好ましい。
【0051】本発明にかかる第2の工程は、前記一般式
(2)で表される化合物のβ−シクロデキストリンに一
般式(3)で表される化合物を包接させる第2の工程で
ある。ここで、一般式(3)で表される化合物を合成す
る方法は特に制限されず、公知の方法を用いて合成すれ
ばよい。
【0052】また、一般式(2)で表される化合物のβ
−シクロデキストリンに一般式(3)で表される化合物
を包接させる方法についても特に制限されず、公知の方
法を用いて行えばよい。具体的には、例えば、一般式
(3)で表される化合物が溶解した溶液に、第1の工程
で製造した基材を浸漬した後取り出し、基材の表面を洗
浄して余分の前記化合物を除くことにより本発明の自己
集合単分子膜を得ることができる。ここで、前記一般式
(3)で表される化合物を溶解する溶媒としては、例え
ば、エタノール、THF、ジエチルエーテル、ジクロロ
メタンが挙げられ、中でもエタノールを用いることが好
ましい。さらに、前記洗浄液としては、例えば、エタノ
ール、THF、ジエチルエーテル、ジクロロメタンが挙
げられ、中でもエタノールを用いることが好ましい。こ
こで、前記浸漬の条件としては、溶媒の濃度が10mm
ol〜1molであることが好ましく、50〜200m
molであることがより好ましく、また、温度条件が0
〜60℃(溶媒の沸点以下)であることが好ましく、室
温〜40℃であることがより好ましく、さらに、時間が
12〜48時間であることが好ましい。
【0053】このようにして製造された自己集合単分子
膜は、基材の表面に非常に密な膜構造を有するという自
己集合単分子膜の特徴を有しつつ、自己集合性化合物で
あるアルカンチオールに結合したβ−シクロデキストリ
ンの存在により、隣接する自己集合性化合物どうしの空
間がβ−シクロデキストリンの外径以上に保たれてい
る。従って、自己集合性化合物どうしの凝集が十分に防
止され、自己集合単分子膜中でミクロな層分離が起こら
ず、アゾユニットが異性化を起こすために必要な自由空
間が十分に確保されている。具体的には、特開2000
−264874号公報に記載のジスルフィド誘導体化合
物を用いて自己集合単分子膜を製造した場合、隣接する
ジスルフィド誘導体化合物のアゾユニット間は5〜10
オングストローム程度であると考えられるが、本発明の
自己集合単分子膜の場合、その間隔はβ−シクロデキス
トリンの外径である15オングストローム以上であると
考えられる。従って、用いる自己集合性化合物の異性化
による物性の変化によって自己集合単分子膜の表面特性
を効率的にかつ均一に変化させることが可能となる。
【0054】以下、本発明の自己集合単分子膜中のアゾ
ユニットを異性化させ、自己集合単分子膜の表面特性を
変化させる方法について説明する。
【0055】前記アゾユニットの異性化を生じせしめる
には、例えば、紫外光の照射、可視光の照射、加熱のい
ずれかの方法を単独に用いることによって行うことが可
能であるが、これらの手段を適宜組合わせることで、よ
り効果的に異性化を行うことが可能である。
【0056】このような紫外光の照射条件としては、紫
外光の波長範囲が300〜400nmであることが好ま
しく、これによりアゾユニットをトランス体からシス体
に異性化する傾向にある。紫外光の範囲が前記下限より
小さい場合にはオゾンが発生し自己集合単分子膜の分解
を引き起こし易い傾向にある。
【0057】また、前記可視光の照射条件としては、可
視光の波長範囲が400〜800nmであることが好ま
しく、400〜500nmであることがより好ましい。
可視光の照射によりアゾユニットがシス体からトランス
体に異性化する傾向にある。
【0058】また、前記加熱の条件としては、50〜1
50℃で加熱することが好ましく、加熱時間は1〜10
分であることが好ましい。加熱によりアゾユニットがシ
ス体からトランス体に異性化する傾向にある。
【0059】このように、本発明の自己集合単分子膜は
アゾユニットの異性化によってその表面特性を可逆的に
変化させることが可能であり、例えば、自己集合単分子
膜の表面の濡れ性や接着性といった表面特性を変化させ
ることが可能である。
【0060】また、本発明の自己集合単分子膜において
は、還元等によってアゾ結合が分解された場合でも、分
解されたアゾベンゼン誘導体をβ−シクロデキストリン
から分離し、再度、新たなアゾベンゼン誘導体を包接さ
せることで、容易に異性化能を回復させることが可能で
ある。この場合、包接されるアゾベンゼン誘導体の種類
を変化させることにより、用いたアゾベンゼン誘導体に
固有の表面特性を有する自己集合単分子膜を製造するこ
とも可能となる。
【0061】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定
されるものではない。
【0062】実施例1 (11-メルカプトウンデカン-(N-モノ-6-デオキシ-β-シ
クロデキストリン)アミドの合成)0.4Nの水酸化ナトリ
ウム水溶液200mlを5℃以下に氷冷し、βシクロデキス
トリン(10g)を加え、溶けるまで攪拌した。この溶液
をさらに攪拌しながら塩化p-トルエンスルホニル(10g)
を加えた。生じた反応をTLC(シリカゲルプレート、展開
溶媒 1-ブタノール:エタノール:水=5:4:3(体積比、
検出試薬アニスアルデヒド))で追跡し、ジトシル化物が
TLC上で確認できる前(約45分)に、反応溶液を吸引ろ過
し、未反応物質を取り除いた。得られた濾液を塩酸水溶
液で中和すると白色沈殿が生じた。この溶液を室温下で
1時間放置してから濾取して真空乾燥後、水で再結晶し
て中間体を得た。反応式を以下に示す。
【0063】
【化18】
【0064】また、中間体の生成物のNMRの結果を
以下に示す。1 H NMR(DMSO−d6) δ(ppm):2.42(s,−CH3 ), 3.23
-3.62(m),4.42−4.47(m),4.84(m),5.68(m),7.46(d,−Ar
H),7.70(d,−ArH)。
【0065】次に、80℃の蒸留水50mlに中間体(5.
49g)を懸濁し、アジ化ナトリウム(3g)を加えて80
℃で5時間攪拌した後室温に冷却した。これを200mlの
アセトンに注ぎ込むと白色沈殿が生じた。これを室温下
1時間放置して濾取して真空乾燥後水で再結晶して中間
体を得た。反応式を以下に示す。
【0066】
【化19】
【0067】また、中間体の生成物のNMRの結果を
以下に示す。1 H NMR(DMSO−d6) δ(ppm):3.11−3.46(m),4.82
−4.87(m)。
【0068】次に、N,N-ジメチルホルムアミド(以下、
DMFと呼ぶ)15mlに、中間体(0.5g)及びトリフェ
ニルホスフィン(0.5g)を加え室温下で攪拌した後、28
%アンモニア水溶液(3ml)を加えて4時間攪拌した。
この溶液を100mlのアセトンに注ぎ込むと白色沈殿が
生じた。これを室温下1時間放置して濾取して真空乾燥
後、水で再結晶して中間体を得た。反応式を以下に示
す。
【0069】
【化20】
【0070】また、中間体の生成物のNMRの結果を
以下に示す。1 H NMR(DMSO−d6) δ(ppm):2.87,3.12−3.45(m),
3.50−3.64(m),3.80−4.82(m),5.07(m)。
【0071】次に、窒素雰囲気下、中間体(0.302
g)とドライDMF10mlを氷冷下で混合し、ドライDMF5
mlに溶かした11-メルカプトウンデカン酸(0.058g)
を加えて攪拌した。さらにドライDMF5mlに溶かしたN,
N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下、DCCと呼
ぶ。 55mg)をシリンジでゆっくりと滴下した。さら
に氷冷下で1時間攪拌した後、室温下で1週間攪拌した。
生じたジシクロヘキシルカルボジ尿素を濾過して取り除
き、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮後、200m
lのアセトンに注ぎ込むと白色沈殿が生じた。室温下1
時間放置して濾取して真空乾燥後、蒸留水とエタノール
で洗浄し目的物を得た。反応式を以下に示す。
【0072】
【化21】
【0073】また、得られた物質のNMRの結果を以下
に示す。1 H NMR(DMSO−d6) δ(ppm):1.14(m,−CH2−), 1.
98(m,SH),2.58−3.53(m),4.32(m),4.73(m),5.59(m)。
【0074】(4−ヘキサオキシアゾベンゼンの合成)
窒素気流下、NaH(1.3g)を石油エーテルで数回洗浄し
た後、ドライDMF50mlを加えた。この溶液にドライDMF10
mlに溶かした4−フェニルアゾベンゼン(3.0g)を氷冷下
でゆっくりと加え、その後室温に戻した後、4時間攪拌
した。この溶液に再び氷冷下で臭化ヘキシル(6ml)
をゆっくりと加えて徐々に加熱し、120℃で一晩攪拌し
ながら還流した。還流が終了した溶液を室温まで冷却
後、DMFを懸厚除去し、蒸留水を加え、過剰のNaHと反応
させた。続いて反応液をジクロロメタンで抽出を行い、
有機層に硫酸マグネシウムを加え、一晩放置した。この
溶液から硫酸マグネシウムを濾取し、溶媒を除去したあ
と、ヘキサン/メタノールで再沈殿を行い目的物を得
た。反応式を以下に示す。
【0075】
【化22】
【0076】また、得られた物質のNMRの結果を以下
に示す。1 H NMR(DMSO−d6) δ(ppm):0.90(t,3H,−CH3 ),
1.36−1.72(m,8H,-CH2 CH2 CH2 CH2 −),3.42(b,2H,−O−CH
2 −),7.48−9.45(m,9H,ArH) 。
【0077】(自己集合単分子膜の製造と光異性化の確
認)洗浄したステンレス板上に厚みが100〜200nmの金を
150℃で蒸着した後、330℃で1時間加熱した金蒸着基板
を11−メルカプトウンデカン−(N−モノ−6−デオキシ
−β−シクロデキストリン)アミドの1.5mMメタノール
−水混合溶液(体積比メタノール:水=7:3)に72時間以上
浸漬し、溶液から取り出した後、エタノールで表面を洗
浄して余分に付着したチオールを洗い流し、表面にβ−
シクロデキストリンが配列した修飾表面を作製した。
【0078】この修飾表面を4−ヘキサオキシアゾベン
ゼンの100mMエタノール溶液に24時間以上浸漬した後溶
液から取り出し、エタノールで表面をすすいで余分に付
着した4−ヘキサオキシアゾベンゼンを洗い流して、11
−メルカプトウンデカン−(N−モノ−6−デオキシ−β
−シクロデキストリン)アミドのβ−シクロデキストリ
ンに4−ヘキサオキシアゾベンゼンのベンゼン環が包接
したアゾベンゼン修飾表面を作製した。実施例1で合成
した自己集合性化合物の構造式を図1に示す。
【0079】前述のようにして製造したアゾベンゼン修
飾表面を用いて、アゾベンゼンの光異性化の有無を接触
角の変化を測定することにより確認した。接触角の測定
にはエルマゴニオメータ付き接触角測定機を使用し、水
を自己集合単分子膜にマイクロメータ付き注射器で0.
2μlずつ滴下してθ/2法により測定を行った。な
お、接触角の評価は5回の測定値の平均を求めることに
より行った。また、接触角測定時の光照射は200Wキセノ
ンランプを光源としてこれに可視吸収フィルターを装着
し紫外光のみを照射することにより行い、加熱は100℃
で5分間行った。被検体表面の水に対する接触角を紫外
光照射(300〜400nm)・加熱処理(100℃、
5分間)・紫外光照射(2回目) (300〜400n
m)後にそれぞれ測定し、その変化を見た。得られた結
果を図2に示す。
【0080】図2に示した結果から明らかなように、紫
外光照射・加熱・紫外光照射による処理により接触角が
変化している。これは、図3に示すようにアゾベンゼン
が紫外光照射によりシス体に異性化し、加熱によりトラ
ンス体に戻ったあと、再び紫外光照射によりシス体に異
性化していることを示している。
【0081】また、自己集合単分子膜形成時にミクロな
層分離が起きているか否かを確認した。その結果、ミク
ロな層分離が生じていないことが確認された。
【0082】また、自己集合性化合物内のアゾ結合が還
元によって異性化能を消失した場合に、β−シクロデキ
ストリンに包接されるアゾベンゼン誘導体を取り除き、
新たなアゾベンゼン誘導体を再度包接させることによ
り、異性化能が回復するか否かを検討した。その結果、
自己集合化合物の異性化能が回復することが確認され
た。
【0083】比較例1 自己集合化合物として化学式(4)で示した化合物を用
いた以外は実施例1と同様にして、自己集合単分子膜の
接触角の変化を調べた。化学式(4)の構造を以下に示
す。
【0084】
【化23】
【0085】シス体からトランス体への異性化は可視光
を照射することにより行った。光照射は200W水銀−キセ
ノンランプを光源として、紫外光照射時はこれに可視光
吸収フィルターを装着し紫外光のみを照射した。また、
可視光時は紫外吸収フィルターを装着して可視光のみを
照射することで行った。サンプル表面の水に対する接触
角を可視光照射(400〜750nm)・紫外光照射
(365nm)・可視光照射(2回目) (400〜75
0nm)後にそれぞれ測定し、その変化を確認した。得
られた結果を図4に示す。
【0086】図4に示した結果から明らかなように、可
視光及び紫外光の照射による接触角の変化は見られなか
った。これは、アゾベンゼンユニットが異性化していな
いことを示している。アゾベンゼンユニットに異性化が
生じなかった原因としては、化合物が自己集合単分子膜
中で非常に密に集合しているため、アゾベンゼンユニッ
トが異性化するための空間が不足しているためであると
考えられる。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の自己集合
単分子膜によれば、アゾベンゼンユニットが異性化可能
な自由空間が確保されており且つ表面特性を効率良く且
つ均一に変化させることが可能な自己集合単分子膜を提
供することが可能である。また、自己集合性化合物中の
アゾ結合が還元等によって異性化能を消失した際に、そ
の異性化能を容易に回復させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる自己集合性化合物の好適な一実
施形態の構造式である。
【図2】図1に示す自己集合性化合物の異性化と自己集
合単分子膜の接触角の変化との関係を示したグラフであ
る。
【図3】図1に示す自己集合性化合物の異性化による構
造変化を示す模式図である。
【図4】比較例1における一般式(4)の異性化と自己
集合単分子膜の接触角の変化との関係を示したグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH03B AH03K AJ01B AJ07K AT00A BA02 JB04 4H006 AA01 AB99

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 [式(1)中、R1は炭素数3〜21のアルキレン基を
    示し、 Xはアミド結合またはエーテル結合を示し、mは0〜1
    の整数を示し、 Yは同一または異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若
    しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状
    若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル
    基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化
    アルキル基、炭素数1〜21のアルコール残基、炭素数
    1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基を有していて
    もよいアリール基及び置換基を有していてもよいアゾベ
    ンゼン基からなる群より選ばれる少なくとも一つを示
    し、nは0〜5の整数を示し、 Zは同一または異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若
    しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状
    若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル
    基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化
    アルキル基、炭素数1〜21のアルコール残基、炭素数
    1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基を有していて
    もよいアリール基及び置換基を有していてもよいアゾベ
    ンゼン基からなる群より選ばれる少なくとも一つを示
    し、pは0〜5の整数を示す。]で表されるアゾベンゼ
    ン誘導体が基材上に吸着して形成されたものであること
    を特徴とする自己集合単分子膜。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 [式(2)中、R1は炭素数3〜21のアルキレン基を
    示し、Xはアミド結合またはエーテル結合を示し、mは
    0〜1の整数を示す。]で表される化合物を基材上に吸
    着させる第1の工程と、 前記一般式(2)で表される化合物のβ−シクロデキス
    トリンに一般式(3) 【化3】 [式(3)中、Yは同一または異なっていてもよく、水
    酸基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアル
    キル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオ
    キシアルキル基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜
    22のフッ化アルキル基、炭素数1〜21のアルコール
    残基、炭素数1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基
    を有していてもよいアリール基及び置換基を有していて
    もよいアゾベンゼン基からなる群より選ばれる少なくと
    も一つを示し、nは0〜5の整数を示し、 Zは同一または異なっていてもよく、水酸基、直鎖状若
    しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のアルキル基、直鎖状
    若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のオキシアルキル
    基、直鎖状若しくは分枝鎖状の炭素数1〜22のフッ化
    アルキル基、炭素数1〜21のアルコール残基、炭素数
    1〜21の脂肪族カルボン酸残基、置換基を有していて
    もよいアリール基及び置換基を有していてもよいアゾベ
    ンゼン基からなる群より選ばれる少なくとも一つを示
    し、pは0〜5の整数を示す。]で表される化合物を包
    接させる第2の工程と、を含むことを特徴とする自己集
    合単分子膜の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009280736A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Utsunomiya Univ シクロデキストリン誘導体、シクロデキストリン誘導体の製造方法、及びクオラムセンシングの阻害方法
CN104804198A (zh) * 2015-04-23 2015-07-29 吉林大学 自支持的二维单层超分子聚合物及其在纳米分离膜方面的应用
CN115558052A (zh) * 2022-09-09 2023-01-03 上海大学 亚稳态光酸-树枝化烷氧醚共聚物智能微球、其制备方法及其应用

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