JP2002178344A - ポリイミドベルトの製造方法 - Google Patents

ポリイミドベルトの製造方法

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JP2002178344A
JP2002178344A JP2000379535A JP2000379535A JP2002178344A JP 2002178344 A JP2002178344 A JP 2002178344A JP 2000379535 A JP2000379535 A JP 2000379535A JP 2000379535 A JP2000379535 A JP 2000379535A JP 2002178344 A JP2002178344 A JP 2002178344A
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polyimide
polyimide belt
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belt
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正美 ▲柳▼田
Masami Yanagida
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
Koji Sezaki
好司 瀬崎
Yoshio Sakata
嘉男 坂田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザービームプリンターあるいはファクシ
ミリなどの電子写真装置に用いられるポリイミドベルト
に関し、電子写真装置の低価格化を実現せしめるポリイ
ミドベルトを提供することにある。 【解決手段】 ポリアミック酸を含有する溶液を成形型
に塗布する工程を含むポリイミドベルトの製造方法であ
って、ポリアミック酸溶液の温度以下に予め冷却された
成形型上に溶液を塗布することを特徴とするポリイミド
ベルトの製造方法を示す事ができる。この方法を用い
て、ポリイミドベルトを極めて効率よく安価に製造する
ことが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリイミド又はポリ
イミド系樹脂フィルムからなるポリイミドベルトの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、優れた耐熱性、寸法
安定性、機械強度、化学的安定性を有し、フレキシブル
プリント基板、耐熱電線絶縁材料等、種々の用途に使用
されている。また、そのベルト状形成物の応用は、例え
ば複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装
置において、熱定着用ベルト、中間転写ベルト等が挙げ
られる。以下、電子写真装置の熱定着用ベルトを例に挙
げて説明する。
【0003】従来、電子写真装置の定着装置としては、
加熱ローラー方式が一般的であった。しかし近年、加熱
ローラー方式に取って代わり、ポリイミドベルトを用い
た方式が注目されている。この方式は、薄膜ポリイミド
ベルトに近接してヒーターを設け、ポリイミド層を介し
てヒーターと接触している紙上のトナー像を定着せしめ
るものである。この定着装置の利点としては、紙が薄膜
ポリイミドベルトを介してヒーターと接触しているた
め、加熱ローラー方式のような予備加熱する時間及び電
力を必要とせず、装置の電源投入後、速やかに装置が使
用可能な状態になる点にある。また必要とするヒーター
の熱容量も加熱ローラー方式と比較して小さく、総じて
消費電力の低減にも繋がる技術である。このポリイミド
ベルトは、従来、以下のような方法で製造されていた。
たとえば、溶媒中にポリアミック酸を分散あるいは溶解
させた流動性の高いポリイミド前駆体溶液を、表面処理
をした円柱状又は円筒状の金型外表面に均一に塗布す
る、あるいは円筒状の金型内表面に塗布をし、しかる後
に厚み調整用治具を金型と相対的に移動することで厚み
調整をした後、比較的低温度の加熱によって溶媒を蒸散
させ、あるいはさらに高温に加熱することによってイミ
ド転化反応を促進しポリイミドベルトを製造していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法においては、塗布後に次のような問題を生じる。す
なわち、第一の問題は、塗布したポリイミド前駆体溶液
が自重により重力方向に移動することである。この問題
への対策としては、先ず金型を厳密に水平に保持し、同
時に該金型を水平に保持して定速回転せしめることが考
えられる。しかしながら、ポリイミド製造の全ての工程
において厳密な水平保持と定速回転を同時に実現するの
は極めて困難であり、装置が高価となる要因を形成して
いた。次に、ポリイミド前駆体溶液の粘度を高くするこ
とが考えられる。しかし、ポリイミド前駆体溶液の粘度
を高くすると、塗布時間の増大、塗布表面の荒れ、気泡
の残留(ポリイミド前駆体溶液中から気泡が抜けない)
等の問題が派生するため好ましくない。そこで、もう一
つの対策として、溶液を塗布した後、溶液を可能な限り
すばやく加熱乾燥せしめる方法が考えられる。しかしな
がらこの方法は、発泡によるボイドをポリイミドベルト
中に導入する原因となるため、製造歩留まりが低いとい
う問題を有しているため不適である。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、ポリイミドベルトを製造する工程において、自
重によるポリイミド前駆体溶液の垂れに起因するポリイ
ミドベルトの厚みムラを発生させない、工業的に極めて
簡便な手法でのポリイミドベルトの製造方法の提供を目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリイミドベルトの製造法は、ポリアミッ
ク酸を含む溶液を成形型に塗布する工程を含むポリイミ
ド製造法であって、ポリアミック酸溶液の温度以下に予
め冷却された成形型上に溶液を塗布することを特徴とす
る。すなわち本発明は、ポリイミドを主成分とする樹脂
により形成されるベルト状成形物の製造法に関するもの
である。
【0007】発明に係るポリイミドベルトの製造方法に
おいて、ポリアミック酸は、例えば芳香族テトラカルボ
ン酸成分とジアミン成分を有機極性溶媒中で重合反応さ
せて得られるものである。芳香族テトラカルボン酸成分
としては特に制限はなく、例えば、ブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4
−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シ
クロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−
トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,
6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、
2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸
二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラ
ル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−
7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピ
ロメリット酸二無水物、3,3‘,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’
−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,
4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカ
ルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフ
ェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,
4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無
水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水
物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホ
ン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,
4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二
無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオ
キサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニ
ルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフ
ェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル
酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス
(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタ
ン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,
3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオ
キソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−
1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサ
ヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジ
オキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン
−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキ
サヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−
ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラ
ン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカ
ルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテ
トラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0008】次に用いられるジアミンは、ジアミンであ
れば特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジア
ミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4’−ジアミノフェニルエタン、
4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジジ
アミノフェニルスルフィド、4,4’−ジジアミノフェ
ニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3
−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミ
ノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリ
メチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェ
ニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−
ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3‘−ト
リフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−
4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−
ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオ
レン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフル
オロプロパン、4,4‘−メチレン−ビス(2−クロロ
アニリン)、2,2’,5,5‘−テトラクロロ−4,
4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,
4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、
3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニ
ル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオ
ロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロ
プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフ
ェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレ
ン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビ
スアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリ
デン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミ
ノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘ
キサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−ア
ミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタ
フルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテト
ラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のア
ミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有
する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミ
ン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメ
チレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イ
ソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエ
ニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダ
ニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,
2.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−
メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジア
ミンおよび脂環式ジアミン等を挙げることができる。こ
れらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上組み合わ
せて用いることができる。ジアミンは、芳香族ジアミン
を用いることが好ましいが、特に限定されるものではな
い。ここで該ポリアミック酸の生成反応に使用される有
機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、
ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムア
ミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセト
アミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニ
ル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノー
ル、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノー
ル、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノー
ル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソ
ラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブ
タノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等の
セロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ
−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単
独または混合物として用いるのが望ましいが、更にはキ
シレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能で
ある。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するものであれば
特に限定されない。
【0009】本発明における樹脂層は、その主成分がポ
リイミドもしくはその前駆体であるポリアミック酸であ
ることが重要であるが、抵抗値、強度、対紫外線性、耐
湿性等の制御のために、一般的に樹脂の特性向上に用い
られている方法を応用することができる。例えば、ポリ
イミドベルトが転写能力を発現するためには、その体積
抵抗値を1×106〜1×1013Ω・cm好ましくは5
×108〜5×1010Ω・cmの範囲に制御する事が極
めて重要であるが、これを実現するための具体的方法と
しては、一般的に絶縁性樹脂の導電化・抵抗値低下・静
電気防止などの手段に用いられる、カーボンブラックを
はじめとする導電性無機粉体を樹脂中に適量混合する方
法が最も効果的である。カーボンブラック以外にも小径
金属粒体、金属酸化物粒体、また酸化チタンや各種無機
粒体・ウイスカーを金属酸化物など導電性物質で皮膜形
成したもの等が、同様の効果を得ることができる。さら
には、LiCl等のイオン導電性物質の添加も可能であ
る。また例えば、ポリイミドベルト樹脂中に熱伝導性の
無機紛体を導入することで、その熱定着能力を向上する
ことができる。熱伝導性無機粉末としては、熱伝導機能
を有する無機粉末であれば特に制限はなく、例えば窒化
アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、炭化珪素、珪
素、シリカ、グラファイト等があげられる。なかでも、
熱伝導機能が高く、離型効果を発揮し、化学的に安定
で、無害であるという点で、窒化ホウ素が好ましい。上
述の無機紛体は、単独または複数の混合系で用いること
により、ポリイミドベルトの用途に応じて適宜選択され
うる。ベルト中に含まれる無機紛体の量は特に制限を設
けないが、少なすぎると目的の性能を十分に発揮できな
いため好ましくなく、多すぎると樹脂の剛性及び靭性を
低下せしめるため好ましくない。従って上述の観点か
ら、ポリイミドベルト中の組成は、ポリイミド100重
量部に対して、無機紛体が5〜60重量部の範囲である
ことが望ましい。
【0010】ポリイミドベルトの最大厚みと最小厚みの
差は、大きすぎるとシワ寄りの原因となる。ベルトのシ
ワ寄りは、転写や定着を行った際に画質の低下を誘起す
るため、可能な限り低減する必要がある。この点から、
ポリイミドベルトの最大厚みと最小厚みの差は、ポリイ
ミドベルトの平均厚みの20%以下であることが望まし
い。ここで言うベルトの厚みとは、ベルトと5mm2
上の面積で接触した平板間の距離を測定する厚み計で測
定できる厚みのことであり、ベルト表面に特異的に存在
する幅50μm以下の突起物の高さを無視したものであ
る。また、ポリイミドベルトの厚さは、厚すぎると熱伝
導度や抵抗値等の観点から好ましくなく、薄すぎるとそ
の靭性が小さすぎるため好ましくない。従って、ベルト
の用途を考慮するとベルトの厚みは10〜1000μ
m、好ましくは30〜150μmであることが望まし
い。
【0011】引裂伝搬強度は、予め入れた直線状の切れ
目を上下に引裂く際に要する荷重をベルトの厚みで除し
て得られる値であり、靭性を定量的に示すパラメータで
ある。すなわち、引裂伝搬強度が大きいことは、靭性が
高いことと一致する。本発明に係るポリイミドベルトの
用途を考慮すると、ベルトには常にある程度の張力がか
かっているため、この張力下で破断しない程度の靭性を
有することが必須である。この点から、ポリイミドベル
トの引裂伝搬強度は200gf/mm以上好ましくは3
00gf/mm以上であることが望ましい。
【0012】また、このポリイミドベルトにおいて、他
の成分を有する層を外層に積層することも適宜選択され
うる。外層は、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ
(フッ化ビニリデン)などが例示されるが、これに限定
されるものではない。
【0013】次にポリイミドベルトを成形する具体的方
法について一例を示す。
【0014】ポリアミック酸を含む溶液を、塗布、浸
漬、噴射等の方法で、円筒状もしくは円柱状成形型の表
面に付着せしめる。この際、高い作業性を確保するため
には、ポリアミック酸を含む溶液の粘度は低いことが望
ましく、これを達成するためには溶液の温度を上昇させ
ればよい。溶液の温度を高めすぎると、溶媒中や空気中
に存在する水を介してポリアミック酸の加水分解がより
促進され、最終的に得られるポリイミド樹脂の強度を低
下させる傾向にあることから、ポリアミック酸を含む溶
液の温度は50℃以下であることが好ましい。さらに
は、ポリアミック酸を含む溶液の温度は50℃〜0℃、
好ましくは30℃〜5℃の範囲であることが望ましい。
さらに、ポリアミック酸を含む溶液が成形型に接触した
際に溶液の熱が瞬時に奪われて温度が急速に低下し、そ
のため溶液の粘度が急激に上昇し溶液の流動性を著しく
減少させることにより、塗布後の溶液の厚みムラを防ぐ
ことが本発明の要点であるが、この要請を達成するた
め、少なくとも成形型の溶液塗布部はポリアミック酸溶
液の温度以下に冷却されていることが必須であり、その
温度差は5℃以上、好ましくは10℃以上であることが
望ましい。この主旨から、ベルトの成形型はその素材の
大部分が金属製であることが好ましいがその限りではな
く、樹脂製、ガラス製、セラミック製など、従来既知の
様々な素材の成形型が、本発明に係る成形型として良好
に適用し得る。また、成形型の表面にガラスコートやセ
ラミックコートなどを設けること、また、シリコーン系
やフッ素系の剥離剤を使用することも適宜選択されう
る。溶液塗布の後、ポリイミド前駆体溶液の厚さを規定
するために、成形型に対してある一定のクリアランスを
有する冶具を相対的に移動させ、余分なポリイミド前駆
体溶液を除去することも適宜選択されうる。
【0015】結露による水の混入は、ポリアミック酸の
加水分解を促進し、結果として最終的に得られるポリイ
ミド樹脂の強度、特に靭性を低下せしめる。従って、成
形型の冷却によるその表面の結露を防ぐため、成形型周
辺の相対湿度は40%以下、好ましくは25%以下が、
良好なポリイミドベルトを作成するという観点から望ま
しい。
【0016】次に、ポリイミド前駆体溶液中の溶媒を揮
発除去せしめる。溶剤を揮発除去するには、熱風を吹き
付ける、赤外線を照射する等の方法によって、ポリイミ
ド前駆体溶液を加熱する、もしくは真空乾燥すればよ
い。加熱の温度は、発泡によるボイドの発生を防止する
ために、溶媒の沸点以下であるのが好ましい。真空乾燥
の条件に関しては、特に制限を設けない。
【0017】次に、乾燥させたポリイミド前駆体を、成
形型から取り外す、もしくは成形型に付着せしめたまま
加熱することで、イミド化反応を進行させる。最終的に
系を冷却し、目的のポリイミドベルトを得ることができ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係わる抵抗制御さ
れたポリイミドベルトおよびその製造方法の実施の形態
をより詳しく説明する。
【0019】
【実施例】本発明に関わる実施例を以下に説明する。
【0020】(実施例1)攪拌羽がついた容器に、モレ
キュラーシーブにて十分に脱水したジメチルホルムアミ
ド(DMF)を1500g入れ、4、4’−ジアミノジ
フェニルエーテル200gを加え、完全に溶解するまで
攪拌した。この系を約0℃に冷却し、ピロメリット酸二
無水物218gを徐々に加え、よく攪拌した。系の粘度
が約3000poiseになったところで攪拌を停止
し、ポリアミック酸溶液を得た。次に大塚化学社製金属
フィラーTM−200 60gとDMF300gを別の
容器に入れ、よく攪拌し、さらに超音波分散機にかける
ことで分散液中の金属フィラーを均一に分散させた。ま
た、さらに別の容器に三菱化学社製カーボンブラック3
030Bを15gとDMF300gを入れよく攪拌し、
超音波分散機にかけた。上記で得られた金属フィラー分
散液とカーボンブラック分散液を、同一のビーカー中に
それぞれ324gおよび45g採取し、よく攪拌した。
このビーカー中に、上記で得られたポリアミック酸溶液
300gを溶かし入れ、さらによく攪拌した。このよう
にして得られたポリアミック酸−金属フィラー−カーボ
ンブラックからなるポリアミック酸を含む溶液を40℃
に加熱・保温した。この際の溶液の粘度は約100po
iseであった。尚、溶液の粘度はB型回転式粘度計を
用いて測定した。前記ポリアミド酸を含む溶液を、加圧
容器内に封入し、コンプレッサーを用いて2.8kg/
cm2の圧力を加圧容器内に加えることで、該容器とテ
フロン(登録商標)チューブを介して接続されたSUS
製円形ダイからポリイミド前駆体溶液を塗出せしめた。
長軸方向(=ベルトの幅方向)を垂直に位置せしめた、
長さ400mm、内径82mmの円筒状SUS製金型を
予め10℃に冷却し、該金型の内側に、前記円形ダイを
用いて、ポリイミド前駆体溶液を一様に塗布した。金型
に接触した溶液は、瞬間的に15℃以下まで冷却され、
この温度における該溶液の粘度は500poise以上
に上昇する。尚、金型の結露を防ぐ目的で、系全体を除
湿し、相対湿度は20%以下に制御した。次に、金型の
内径とのクリアランスを0.7mmに調整された金型
を、圧縮空気によりガラス型の中で移動させることで、
金型の内側に0.7mmの厚さを有するポリイミド前駆
体溶液層を形成せしめた。さらに該金型を真空乾燥機に
封入し、Ulvac(株)製のロータリーポンプで10
-3torrまで減圧し、3時間減圧乾燥した。尚、揮発
溶媒によるロータリーポンプの損傷を防ぐ目的で、真空
乾燥機とロータリーポンプの間にコールドトラップを設
け、揮発溶媒をトラッピングした。このようにして大部
分の溶媒を揮発除去されたポリイミド前駆体を円筒型金
型から取り外し、表面を平滑に研磨した外径80mmの
SUS製円筒金型に装着した。次に該ポリイミド前駆体
を該SUS製金型ごとオーブンに封入し、100℃から
380℃まで約30分の時間をかけて連続的に温度を上
昇させることで、イミド転化反応を進行せしめた。38
0℃から室温まで徐冷し、SUS製金型からイミド化さ
れたベルトを取り外し、目的のポリイミドベルトを得
た。上述の手段で得られたポリイミドベルトの厚み測定
及び引裂伝搬強度測定を行った。厚み測定は、幅方向に
5cm間隔で7箇所試験片を切りだし、最小単位0.0
1μmまで測定可能なフィルム厚み計を用いて行った。
引裂伝搬強度は、同様にして作成した複数のポリイミド
ベルトから合計10箇所試験片を切りだし、JISK7
128に則して測定を行った。即ち、150mm×50
mmのトラウザー引裂試験片を作成し、引裂速度200
mm/minとした。引裂伝搬強度測定は、最大100
gf測定可能なロードセルを装着した島津製作所社製オ
ートグラフS−100−Cを用いて行った。この結果、
得られたポリイミドベルトの厚みは70±2μmであ
り、引裂伝搬強度は240±20gf/mmであった。 (実施例2)ポリイミド前駆体溶液の塗布において、3
0℃に加熱・保温したポリイミド前駆体溶液及び15℃
に冷却した金型を用いることを除いて実施例1と同様の
実験を行った。上述の手段で得られたポリイミドベルト
から、幅方向に5cm間隔で7箇所試験片を切りだし、
厚み測定及び引裂伝搬強度測定を行ったところ、得られ
たポリイミドベルトの厚みは69±5μmであり、引裂
伝搬強度は220±10gf/mmであった。 (比較例1)ポリイミド前駆体溶液の塗布において、室
温(25℃)の溶液及び金型を用いることを除いて実施
例1と同様の実験を行った。上述の手段で得られたポリ
イミドベルトから、幅方向に5cm間隔で7箇所試験片
を切りだし、厚み測定を行ったところ、得られたポリイ
ミドベルトの厚みは74±32μmであった。以上、本
発明に係わるポリイミドベルトの製造方法について説明
したが、本発明は上述の形態に限定されるものではな
い。例示するまでもなく記述した範囲内で種々の変形を
加えた態様で実施できるものである。
【0021】
【発明の効果】本発明に係るポリイミドベルトの製造法
は、以上説明したように、ポリアミック酸を主たる溶液
を成形型に塗布する工程を含むポリイミドベルトの製造
方法であって、ポリアミック酸溶液の温度以下に予め冷
却された成形型上に溶液を塗布することを特徴としてお
り、以下の効果を発揮する。ポリイミドベルト製造にお
ける歩留まり低下の主たる原因のひとつは、ポリイミド
前駆体溶液の流動性に起因する厚みムラの発生である。
溶液の流動性は粘度を上げることで低減できるが、高い
粘度の溶液を用いることは、作業性を低下せしめる要因
となり、好ましくない。本発明は、温度すなわち粘度の
高い溶液と相対的に温度の低い成形型を使用すること
で、相反するこの問題点を同時に解決し、高い作業性を
確保しつつポリイミドベルトの製造歩留まりを飛躍的に
向上せしめることを可能としている。また、このことに
より、総じてポリイミドベルトの製造コストを低減可能
となる。このように、この種従来例に存した課題がすべ
て解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして
大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 15/20 101 G03G 15/20 101 // B29K 79:00 B29K 79:00 B29L 7:00 B29L 7:00 29:00 29:00 Fターム(参考) 2H033 AA20 AA30 AA31 AA32 BA12 BE03 2H200 FA13 FA15 FA16 FA18 FA19 JC03 JC15 JC16 JC17 LA40 LC03 LC09 MA03 MA04 MA14 MA17 MA20 MB04 MC03 MC10 MC18 4D075 BB18X BB93X DA29 DC16 EB39 EC01 EC54 4F205 AA40 AG01 AM32 GA06 GB01 GC01 GE11 GF24 4J002 CM041 DA026 DE146 DF016 DJ006 DK006 FD016 GM01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミック酸を含む溶液を成形型に塗
    布する工程を含むポリイミドベルトの製造方法であっ
    て、ポリアミック酸溶液の温度未満に予め冷却された成
    形型上に溶液を塗布することを特徴とするポリイミドベ
    ルトの製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリアミック酸を含む溶液の温度が0〜
    50℃である請求項1記載のポリイミドベルトの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 成形型の温度がポリアミック酸を含む溶
    液の温度よりも5℃以上低いことを特徴とする請求項1
    または2に記載のポリイミドベルトの製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリアミック酸を含む溶液を塗布する成
    形型の雰囲気の相対湿度が40%以下である請求項1〜
    3のいずれか一項に記載のポリイミドベルトの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ポリイミドベルト中のポリイミド100
    重量部に対して、無機物が5〜60重量部含まれること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリ
    イミドベルトの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリイミドベルトの最大厚みと最小厚み
    の差が、ポリイミドベルトの平均厚みの20%以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載
    のポリイミドベルトの製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリイミドベルトの厚みが10〜100
    0μmの範囲であることを特徴とする、請求項1〜6の
    いずれか一項に記載のポリイミドベルトの製造方法。
  8. 【請求項8】 ポリイミドベルトの引裂伝搬強度が20
    0gf/mm以上であることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれか一項に記載のポリイミドベルトの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015059957A (ja) * 2013-09-17 2015-03-30 コニカミノルタ株式会社 シームレス樹脂ベルトの製造方法および管状発熱体

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