JP2002175647A - 情報記録担体用基体の製造装置、情報記録担体用基体の製造方法、及び情報記録担体の製造方法 - Google Patents

情報記録担体用基体の製造装置、情報記録担体用基体の製造方法、及び情報記録担体の製造方法

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JP2002175647A
JP2002175647A JP2000353962A JP2000353962A JP2002175647A JP 2002175647 A JP2002175647 A JP 2002175647A JP 2000353962 A JP2000353962 A JP 2000353962A JP 2000353962 A JP2000353962 A JP 2000353962A JP 2002175647 A JP2002175647 A JP 2002175647A
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Japan
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substrate
recording carrier
unit
manufacturing
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Tetsuya Kondo
哲也 近藤
Eiji Nakagawa
栄治 中川
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一段と微細化された微細パターンを形
成することが可能な情報記録担体用基体の超微細な加工
装置を提供する。 【解決手段】 ブランク基体支持ユニットとエネルギ
ー線照射ユニットと相対運動付与ユニットと中和ユニッ
トとから少なくとも構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光又は磁気を記録
再生に利用したディスク、カード、テープなどの情報記
録担体、特に再生専用型や光磁気や相変化などの記録再
生型情報記録担体に好適な情報記録担体用基体の製造装
置、情報記録担体用基体の製造方法、情報記録担体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高密度に情報を再生又は記録再生
する情報記録担体として、光カードや光ディスク、光テ
ープがあった。特にディスク状であり、再生専用型情報
記録担体としては、音楽情報やプログラムなどが記録さ
れるCD、画像情報が記録されるLD、ビデオCDなど
が知られている。一方、近年では記録再生に使用する半
導体レーザーが従来の830nm、780nmの波長に
代わり650nm近傍の波長で登場し、記録パターンの
微細化により7倍近い記録容量としたDVD(デジタル
バーサタイルディスク)が開発された。このため市場で
はCDがDVDオーディオやSACDに、またLD、ビ
デオCDがDVDビデオに置き変わりつつある。このよ
うな事情は記録再生型の記録担体でも同様であり、光磁
気ディスクは従来のMOディスクから、GIGAMOや
ASMOに、相変化ディスクはPDからDVD−RA
M、DVD−RW、DVD+RWに置き変わりつつあ
る。また、CD−Rのような追記型ディスクも同様に、
DVD−Rに置き換わりつつある。
【0003】更に、最近では半導体レーザーの波長が6
50nmから400nmへと、より短波長化したものが
開発されている。これによって、従来の60%近い波長
短縮が行われるので、記録担体の記録容量が更に増大す
るものと期待されている。これに伴って、より微細なパ
ターンを刻み込むいわゆるマスタリング技術の開発が進
められている。しかしながら今までのところ、波長短縮
に見合った超微細なマスタリングはまだ達成されていな
い。
【0004】また、ハードディスクに代表される磁気デ
ィスクでも事情は同じであり、高密度化が急ピッチで進
められている。PERMディスクに代表される、ガイド
溝やアドレスピットを予めマスタリングするディスクが
次世代の候補であり、このようなディスクは開発途上で
ある。本発明人はこのような、高密度時代、短波長時代
に相応しいマスタリング技術について鋭意検討を行い、
本発明に至ったものである。
【0005】いわゆるマスタリングは、高精度に研磨さ
れた基体にエネルギー線感応膜が形成されたブランク基
体11に行われる。このエネルギー線感応膜は、例えば
波長10〜1500nmの電磁波(γ線、X線、極端紫
外線、遠紫外線、紫外線、可視光、赤外線など)に感応
する材料や、粒子線(α線、β線、陽子線、中性子線、
電子線など)に感応する材料から選ばれ、薄く形成され
ている。この膜に対してエネルギー線を照射すると、両
者の相互作用によって、エネルギー線感応膜に所望の像
が形成される。具体的には像を記録し、記録後に行う現
像処理によって、記録された像が浮かび上がる。
【0006】ところで所望のパターンの微細化に伴い、
エネルギー線感応膜の性能として高感度、高解像度のも
のが求められてきている。その要求に応えるために酸発
生剤を含有した樹脂からなるエネルギー線感応膜が開発
されている。この酸発生剤はエネルギー線の照射を受け
ると分解し、内部で酸を発生し、発生した酸がベースの
樹脂や添加剤に作用することによって像形成に導く。特
に材料を工夫することによってベース樹脂や添加剤に作
用する際に、新たな酸を発生させ、それが再度ベース樹
脂や添加剤に作用するように設計することもできる。こ
のようにすると反応は爆発的に進行することになり、高
感度で高コントラストな像形成が可能となる。特に照射
と現像の間で加温処理を短時間行うと、内部で酸が程良
く拡散するために更に望ましい結果となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな酸発生剤を含有した樹脂は、高感度、高解像度とい
う利点を持ちながら、使用する大気環境に敏感であると
いう欠点を併せ持つ。つまり、エネルギー線感応膜内部
のpHが像の感度を左右するために、大気中に塩基成分
や酸成分が微量でも含まれていると、像が歪んだり、ノ
イズを含んだりする。最悪の場合には所望の形状が形成
されない場合も出てくる。
【0008】このような欠点を克服するために、空気循
環システムにフィルターを配備したいわゆるクリーンル
ーム内に、照射装置や現像装置、さらには加温装置を配
置することが考えられる。しかしながら、このような環
境下で、実際、情報記録担体用基体に記録を行っても再
現性が不充分であり、C/N特性も満足のゆくものでは
なかった。特に情報記録担体の場合、記録時間が1〜5
時間であり、半導体製造などと比べても非常に長く、照
射最初と最後では信号特性が異なるという問題があっ
た。
【0009】本発明は、従来の情報記録担体用基体より
も一段と微細化された微細パターンを形成することが可
能な超微細な加工方法である情報記録担体用基体の製造
装置、情報記録担体用基体の製造方法、情報記録担体の
製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、平坦基体とエネルギー線感応膜からなるブラン
ク基体に対し、エネルギー線を部分的に照射する情報記
録担体用基体の製造装置であって、大気を取り込み、中
性に中和すると共に、中和された中和大気を前記ブラン
ク基体に供給する中和ユニットと、前記ブランク基体を
支持するブランク基体支持ユニットと、前記中和ユニッ
トによって供給された中和大気中で、前記ブランク基体
支持ユニットに支持されたブランク基体にエネルギー線
を照射するエネルギー線照射ユニットと、前記ブランク
基体ユニット及び/又は前記エネルギー照射線ユニット
に接続され、前記ブランク基体ユニット及び/又は前記
エネルギー線照射ユニットを相対運動させる相対運動付
与ユニットとからなる情報記録担体用基体の製造装置を
提供する。
【0011】また、前記中和ユニットから排出された中
和大気が、ブランク基体に対し周囲よりも陽圧で吹き付
けられるように気流制御されていることを特徴とする請
求項1に記載の情報記録担体用基体の製造装置を提供す
る。
【0012】更に、前記エネルギー線の照射は、酸によ
って分解しうる感応基を有したベース樹脂と酸発生剤と
から少なくともなるエネルギー線感応膜に対して行うこ
とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報記録
担体用基体の製造装置を提供する。
【0013】また更に、平坦基体とエネルギー線感応膜
からなるブランク基体を支持する工程と、大気を取り込
み、中性に中和すると共に、中和された中和大気を前記
ブランク基体に供給する工程と、前記中和大気中で前記
ブランク基体にエネルギー線を照射する工程と、前記エ
ネルギー線が照射された後の前記エネルギー線感応膜を
塩基性水溶液によって現像する工程とを有する情報記録
担体用基体の製造方法を提供する。
【0014】更にまた、平坦基体とエネルギー線感応膜
からなるブランク基体を支持する工程と、前記ブランク
基体にエネルギー線を照射する工程と、大気を取り込
み、中性に中和すると共に、中和された中和大気を前記
ブランク基体に供給する工程と、前記エネルギー線が照
射された後の前記エネルギー線感応膜を前記中和大気中
で塩基性水溶液によって現像する工程とを有する情報記
録担体用基体の製造方法を提供する。
【0015】また、前記中和ユニットから排出された中
和大気が、ブランク基体に対し周囲よりも陽圧で吹き付
けられるように気流制御されていることを特徴とする請
求項4又は請求項5に記載の情報記録担体用基体の製造
方法を提供する。
【0016】更に、前記エネルギー線の照射は、酸によ
って分解しうる感応基を有したベース樹脂と酸発生剤と
から少なくともなるエネルギー線感応層に対して行うこ
とを特徴とする請求項4乃至請求項6いずれか一項に記
載の情報記録担体用基体の製造方法を提供する。
【0017】また更に、情報記録担体の製造方法におい
て、請求項4乃至請求項7いずれか一項に記載の情報記
録担体用基体の製造方法によって製造した情報記録担体
用基体のエネルギー線感応膜上に機能層を成膜する工程
を設けたことを特徴とする情報記録担体の製造方法を提
供する。
【0018】更にまた、情報記録担体の製造方法におい
て、請求項4乃至請求項7いずれか一項に記載の情報記
録担体用基体の製造方法によって製造した情報記録担体
用基体のエネルギー線感応膜に対してスタンパーを作成
する工程と、前記スタンパーによって支持体を成形し
て、この支持体に少なくとも機能層を成膜する工程とを
設けたことを特徴とする情報記録担体の製造方法を提供
する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明なる情報記録担体用
基体の製造装置の実施例を、図1〜図3を用いて詳しく
説明する。本発明者は上記問題点に鑑み、ブランク基体
11にマスタリングを行う記録装置を鋭意検討した結
果、本発明に至ったものである。
【0020】まず、情報記録担体用基体の製造装置1を
説明する。本発明なる情報記録担体用基体の製造装置1
は、従来マスタリングでは用いられていなかった中和ユ
ニット10を内蔵した製造装置であり、具体的にはブラ
ンク基体支持ユニット13とエネルギー線照射ユニット
12と相対運動付与ユニット14と中和ユニット10と
から少なくともなるものである。
【0021】ここで、ブランク基体支持ユニット13は
ブランク基体11を設置し、少なくともエネルギー線照
射により記録を行う間、支持できるユニットである。具
体的には高精度に研磨されたテーブルが該当し、それに
ブランク基体11が設置できるように固定機構(ねじ止
め、真空吸着、静電吸着など)が付与されたものであ
る。
【0022】ここで設置されるブランク基体11は、図
9に一例を示すように、平坦基体71上にエネルギー線
感応膜72が少なくとも片面に形成されたものである。
ここでエネルギー線感応膜72は、ベース樹脂と酸発生
剤から少なくともなるものである。また具体的には酸に
よって分解しうる感応基を有したベース樹脂と後述する
エネルギー線によって分解しうる酸発生剤とから少なく
ともなり、この他、架橋剤などの添加剤を付与してもよ
いものである。なお、少なくともエネルギー線照射と現
像によってポジ型(照射部が溶解)又はネガ型(非照射
部が溶解)のパターンを形成する。なおエネルギー線感
応膜は単層でも複層でもよいし、別の目的の機能膜との
積層でもよいものである。
【0023】また平坦な基体71は、表面が光学グレー
ド並みにフラットに仕上げられた基体であり、酸化珪素
や、ANガラス、7913ガラス、シリコン、モリブデ
ン、タングステンやこれらの合金(酸化物、窒化物、炭
化物の例を含む)などから選ばれる。なお直接光を入射
して信号を読み出し、又は記録する場合には、その光波
長に対し略透明(透過率50%以上)であることが必要
である。
【0024】また、エネルギー線照射ユニット12は、
波長10〜1500nmの電磁波(γ線、X線、極端紫
外線、遠紫外線、紫外線、可視光、赤外線など)や、粒
子線(α線、β線、陽子線、中性子線、電子線など)を
照射するユニットである。例えばエネルギー線源と、情
報記録に相応しいビーム形状に整形し、信号変調するビ
ーム整形器から少なくともなる。
【0025】また、相対運動付与ユニット14は、微細
パターンをマスタリングするにあたって走査するユニッ
トであり、エネルギー線ユニット12又はブランク基体
支持ユニット13の少なくとも一方に接続される。その
機構としてはモーターやリニアドライブなどが用いら
れ、回転、X移動、Y移動、Z移動又はこれらの複合移
動を行う。なお、必要に応じて位置モニターを設置し、
モニターされた位置に応じて制御を行うようにしてもよ
い。
【0026】中和ユニット10は本発明の主点であり、
大気の化学成分を制御するためのユニットである。本発
明なる製造装置1の内部又は周辺の大気を取り入れ、そ
れが塩基性の場合、中性に中和する。また、製造装置1
の内部が酸性の場合にも、中性に中和する。固相、液
相、気相のいずれかにおいて、又はこれらの複合により
中和を行うことができる。具体的には、固相の場合には
中和材料自体の粉体や、多孔質体へ中和材料吸着された
もの、高分子繊維へ中和材料を吸着させたものを用いる
ことができる。大気が塩基性の場合、固相では活性炭
や、燐酸を担持させた人工高分子繊維、スルホン酸基を
含む有機物をがん浸させたゼオライト、液相の場合は純
水や燐酸水溶液、気相の場合には燐酸ガスなどを用いる
ことができる。また大気が酸性の場合、固相では水酸化
カリウムをがん浸させた活性炭、液相の場合は水酸化カ
リウム水溶液などを用いることができる。このようにし
て大気を中和することによって、残存塩基の総量を例え
ば1ng/l以下とすることができ、エネルギー感応膜
の内部での反応を阻害することなくマスタリングでき
る。また、このようにして大気を中和することによっ
て、残存酸の総量を例えば1ng/l以下とすることが
でき、エネルギー感応膜の内部での反応を過剰に促進す
ることなくマスタリングできる。
【0027】なお、中和ユニット10は、その中和能力
を最大限に引き出すために加湿器を内蔵してもよく、大
気を一度加湿してから中和を行うようにしてもよい。ま
た、中和ユニット10は必要に応じて大気モニターと連
動して制御してもよい。この大気モニターは例えばイオ
ンクロマトグラフやガスクロマトグラフを用いることが
でき、中和ユニット10の吸気側又は排気側又はその両
方に設置される。また、必要に応じて微粒子除去のため
の物理フィルターを併設してもよい。例えば、公知のH
EPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ
ーや、ULPA(Ultra Low Penetration Air)フィル
ターを好適に用いることができる。また、公知の温湿度
制御システムと組み合わせてもよい。
【0028】更に、中和ユニット10の最も効果的な配
置方法は、その中和された大気が、少なくともブランク
基体11に輸送されるように配置することである。その
ためには中和ユニット10の直下にブランク基体11
(及びブランク基体支持ユニット13)を設置するか、
中和ユニット10から配管によって中和大気を輸送する
ようにすればよい。
【0029】更に望ましいのは、ブランク基体11上の
大気圧と、その周辺の大気圧に差があり、ブランク基体
11上の大気が陽圧となるように大気制御されているこ
とである。これは中和された大気が直接ブランク基体1
1上に高い純度で供給されることを助け、安定したパタ
ーン形成を可能にする。具体的には、中和ユニット10
の吸気側と排気側の相対的な位置関係の調節によって大
気制御を行う。望ましいのはエアートンネル(31、3
4、35a、35b)をブランク基体11の上方に設置
し、中和ユニット10により中和された大気を導入する
方法であり、簡便にして効率的に大気を陽圧に制御でき
る。特にエアートンネル(31、34、35a、35
b)のサイズを、ブランク基体11と略同サイズ又はそ
れよりもやや大きなサイズとするのが最もよい。
【0030】以上述べたように、本発明なる情報記録担
体用基体の製造装置1は構成される。本発明なる情報記
録担体用基体の製造装置1は、ブランク基体支持ユニッ
ト13とエネルギー線照射ユニット12と相対運動付与
ユニット14と中和ユニット10とから少なくともな
り、中和ユニット10により中和された大気が、少なく
ともブランク基体11に輸送されるように配置するとき
最大の効果が得られる。
【0031】なお、以上の説明は本発明の基本的な部分
のみであり、用途に応じて種々変形や機能追加が可能で
ある。以下具体的な実施例について図面を用いて説明す
る。
【0032】実施例1 図1に従って、実施例1を説明する。図1の本発明なる
情報記録担体用基体の製造装置1はブランク基体支持ユ
ニット13とエネルギー線照射ユニット12と相対運動
付与ユニット14と中和ユニット10とから少なくとも
構成されている。なお理解を容易にするために、ブラン
ク基体支持ユニット13にブランク基体11を取り付け
た状態の図面で説明を行う。
【0033】そして、相対運動付与ユニット14はブラ
ンク基体支持ユニット13に接続され、ブランク基体支
持ユニット13が自在に相対運動できるようになってい
る。
【0034】一方、エネルギー線照射ユニット12は、
紫外線(例えば364nm、355nm、351nm、
325nmの波長)を照射するエネルギー線源120
と、情報記録に相応しいビーム形状に整形し、信号変調
するビーム整形器121からなっている。なお、ビーム
整形器121は公知の電気光学結晶素子による露光量調
節器とエクスパンダーなどからなる。そしてエネルギー
線照射ユニット12と相対運動付与ユニット14は光学
定盤20上に設置されている。
【0035】一方、大気の循環であるが、大気は本発明
なる情報記録担体用基体の製造装置1の内部又は外部に
設置された導入口33から取り入れられる。そして適量
に風速を調整した配風器32によって、中和ユニット1
0に運ばれる。この中和ユニット10は大気を中和し、
配管によってブランク基体支持ユニット13近傍に輸送
される。ここで中和された大気が、少なくとも情報記録
担体用基体11に運ばれるようにフード状のエアートン
ネル31が接続され、このエアートンネル31がブラン
ク基体11の上方に配置される。なお、ここでブランク
基体11は厚み10mm、直径200mmの円盤であ
り、縦に設置されているが、エアートンネル31はこれ
をやや越える大きさ、すなわち、20×300mm角の
角形となっている。このように配置することによってブ
ランク基体11には常に中和大気30が供給され、紫外
線による記録は正常に行われる。
【0036】実施例2 図2に従って、実施例2を説明する。図2の本発明なる
情報記録担体用基体の製造装置1も、ブランク基体支持
ユニット13とエネルギー線照射ユニット12と相対運
動付与ユニット14と中和ユニット10とから少なくと
も構成されている。なお、理解を容易にするために、情
報記録担体用基体支持ユニット13にブランク基体11
を取り付けた状態の図面で説明を行う。
【0037】そして、相対運動付与ユニット14はブラ
ンク基体支持ユニット13に接続され、ブランク基体支
持ユニット13が回転運動と共に水平運動できるように
なっている。
【0038】一方、エネルギー線照射ユニット12は、
遠紫外線(例えば275nm、266nm、257n
m、248nm、244nm)を照射するエネルギー線
源120と、情報記録に相応しいビーム形状に整形し、
信号変調するビーム整形器121とミラー122及び図
示しない対物レンズからなっている。なおビーム整形器
121は公知の電気光学結晶素子による露光制御器と、
電気光学結晶素子変調器(EOM)と、エクスパンダー
などからなる。そしてエネルギー線照射ユニット12と
相対運動付与ユニット14は光学定盤20上に設置され
ている。
【0039】一方、大気の循環であるが、大気は本発明
なる情報記録担体用基体の製造装置1の内部又は外部に
設置された導入口33から取り入れられる。そして、適
量に風速を調整した配風器32によって、中和ユニット
10に運ばれる。この中和ユニット10は大気を中和す
る。そして中和ユニット10は情報記録担体用基体11
のみならず、エネルギー線照射ユニット12をも覆うよ
うに配置され、中和ユニット10から排出された中和大
気30が直接これらに吹き付けられるようになってい
る。なお、ここで主要部分を陽圧とするために、中和ユ
ニット10周囲は大型のエアートンネル34によって囲
われている。なお、ここで情報記録担体用基体11のサ
イズは厚み10mm、直径220mmの円盤であり、横
に設置されている。またエアートンネル34はこれを越
えて、900×1300mm角の角形となっている。こ
のように配置することによってブランク基体11には常
に中和大気30が陽圧で供給され、エネルギー線による
記録は正常に行われる。
【0040】なお、図2の構成なる製造装置1とした場
合の副次的な効果として、エネルギー線照射ユニット1
2の経時的な汚れが軽減される。具体的にはビーム整形
器121及び対物レンズは、多くのレンズからなってい
るが、遠紫外線を通過させるために材料として石英又は
蛍石が使用されている。これらの材料は大気中に微量に
含まれる有機珪素を吸着しやすく、曇りを生じることが
ある。特に遠紫外線の高いエネルギーが通過する光路
は、この反応を促進し、場合によっては吸着物が変質し
て、いわゆるヤケが進行しやすい。しかしながら中和ユ
ニット10は、本来狙いの機能ではない有機珪素もある
程度除去する能力を持っており、このような構成とする
ことでエネルギー線照射ユニット12の寿命を延ばすこ
とができる。また、メンテナンスの頻度も軽減できるこ
とになる。
【0041】実施例3 図3に従って、実施例3を説明する。図3の本発明なる
情報記録担体用基体の製造装置1もブランク基体支持ユ
ニット13とエネルギー線照射ユニット12と相対運動
付与ユニット14と中和ユニット10とから少なくとも
構成されている。なお、理解を容易にするために、ブラ
ンク基体支持ユニット13にブランク基体11を取り付
けた状態の図面で説明を行う。
【0042】ここで相対運動付与ユニット14はエネル
ギー線照射ユニット12の一部に接続され、水平運動で
きるようになっている。
【0043】エネルギー線照射ユニット12は、遠紫外
線(例えば275nm、266nm、257nm、24
8nm、244nm)を照射するエネルギー線源120
と、情報記録に相応しいビーム形状に整形し、信号変調
するビーム整形器121とミラー122及び図示しない
対物レンズからなっている。なおビーム整形器121は
公知の音響光学結晶素子による露光制御器と、音響光学
結晶素子変調器(AOM)と、エクスパンダーなどから
なる。そしてエネルギー線照射ユニット12と相対運動
付与ユニット14は光学定盤20上に設置されている。
【0044】一方、大気の循環であるが、大気は本発明
なる情報記録担体用基体の製造装置1の内部又は外部に
設置された導入口33から取り入れられる。そして適量
に風速を調整した配風器32によって、中和ユニット1
0に運ばれる。この中和ユニット10は大気を中和す
る。そして中和ユニット10はブランク基体11を少な
くとも覆うように配置され、中和ユニット10から排出
された中和大気30が直接これに吹き付けられるように
なっている。なお、ここで主要部分を陽圧とするため
に、中和ユニット10周囲はエアートンネル35によっ
て囲われている。なおここでブランク基体11のサイズ
は厚み6mm、直径200mmの円盤であり、横に設置
されている。エアートンネル35は直径250mmの円
柱状であり、ブランク基体11をすっぽり覆っている。
ただし相対運動付与ユニット14とエネルギー線照射ユ
ニット12の一部は水平移動するので、この可動距離分
の隙間が設けられている。具体的には円柱状エアートン
ネル35の相対運動付与ユニット14と対峙する側35
bには切り欠きが設けられている。一方、その対局側3
5aには切り欠きがなく、平坦な面となっている。この
ように配置することによってブランク基体11には常に
中和大気30が陽圧で供給され、エネルギー線による記
録は正常に行われる。
【0045】このような構成とすることにより、陽圧と
する領域はブランク基体11にほぼ限定されてくるの
で、中和ユニット10と配風器32を小型とすることが
できる。
【0046】以上、本発明なる情報記録担体用基体の製
造装置1について縷々説明を行ってきた。本発明はこれ
ら実施例に記載した内容に限定されるものではなく、本
発明の要点を損なわないものであれば、種々改変が可能
である。例えば各構成材料や寸法は、必要に応じ随時変
更することができる。また、各実施例の構成要素を互い
に入れ替えても構わない。
【0047】実施例4 図4は実施例2の情報記録担体用基体の製造装置1を改
良し、ビーム整形器121を6つの機能パートに分解し
て構成した情報記録担体用基体の製造装置1である。具
体的には、ビーム整形器121に置き換えて、電気光学
結晶素子露光制御器1211、電気光学結晶素子変調器
(EOM)1212、電気光学結晶素子偏向器(EO
D)1213、エクスパンダー1214、ビームスプリ
ッター1215、光検出素子1216からなる6つの機
能部品を配置したものであり、総合してビーム整形器1
21と同様の作用を行うものである。なおここで、電気
光学結晶素子露光制御器1211は、照射する強度を調
節し、安定に制御するための素子である。また電気光学
結晶素子変調器(EOM)1212は、形成する微細パ
ターンの形状に対応して、ビームをON、OFFするた
めのものである。
【0048】また電気光学結晶素子偏向器(EOD)1
213は、形成する微細パターンの位置に対応して、ビ
ームを偏向させるためのものである。またエクスパンダ
ー1214は、最終的に結像するビーム径に調整するた
めのビームサイズ調節器である。そしてビームスプリッ
ター1215は、エクスパンダー1214を通過したビ
ームを、ミラー122と光検出素子1216に振り分け
るための分割素子である。そして光検出素子1216
は、エクスパンダー1214を通過したビームをモニタ
ーするための素子であり、例えばビームの強度を電気信
号に変換する素子である。ビーム整形器121をこのよ
うな構成することによって、本発明なる情報記録担体用
基体の製造装置1は、微細パターンを自在に描く装置と
することができる。
【0049】実施例5 図5は実施例3の情報記録担体用基体の製造装置1を改
良し、ビーム整形器121を6つの機能パートに分解し
て構成した情報記録担体用基体の製造装置1である。ま
た更に相対運動付与ユニット14を、ブランク基体支持
ユニット13に接続し、ブランク基体支持ユニット13
が回転運動と共に水平運動できるように改変したもので
ある。ビーム整形器121は、音響光学結晶素子露光制
御器1217、音響光学結晶素子変調器(AOM)12
18、音響電気光学結晶素子偏向器(AOD)121
9、エクスパンダー1214、ビームスプリッター12
15、光検出素子1216からなる6つの機能部品を配
置したものであり、総合してビーム整形器121と同様
の作用を行うものである。なおここで、音響光学結晶素
子露光制御器1217は、照射する強度を調節し、安定
に制御するための素子である。また音響光学結晶素子変
調器(AOM)1218は、形成する微細パターンの形
状に対応して、ビームをON、OFFするためのもので
ある。また音響電気光学結晶素子偏向器(AOD)12
19は、形成する微細パターンの位置に対応して、ビー
ムを偏向させるためのものである。またエクスパンダー
1214は、最終的に結像するビーム径に調整するため
のビームサイズ調節器である。そしてビームスプリッタ
ー1215は、エクスパンダー1214を通過したビー
ムを、ミラー122と光検出素子1216に振り分ける
ための分割素子である。そして光検出素子1216は、
エクスパンダー1214を通過したビームをモニターす
るための素子であり、例えばビームの強度を電気信号に
変換する素子である。ビーム整形器121をこのような
構成することによって、本発明なる情報記録担体用基体
の製造装置1は、微細パターンを自在に描く装置とする
ことができる。
【0050】なお以上説明してきた本発明なる情報記録
担体用基体の製造装置1は、既存の基体前処理装置、基
体研磨装置、エネルギー線感応膜形成装置、加熱装置、
現像装置、導電化装置、鍍金装置などと組み合わせるこ
とも可能であり、これらの一部又はすべてによって、一
貫連続製造ラインを構成してもよい。
【0051】次に、本発明なる情報記録担体用基体及び
情報記録担体の製造方法について説明する。本発明なる
情報記録担体用基体2の製造方法及び情報記録担体4、
5の製造方法は、酸によって分解しうる感応基を有した
ベース樹脂と酸発生剤から少なくともなるエネルギー線
感応層72に対して、上述したような情報記録担体用基
体の製造装置1を用いてエネルギー線記録を行うことに
よって達成される。
【0052】具体的には図6に示すような少なくとも4
つのステップによって、情報記録担体用基体2の製造方
法は達成される。すなわちまず先述したブランク基体1
1(図9)を用意する(ステップ(a))。繰り返すが
ここでブランク基体11とは、平坦基体71と、酸によ
って分解しうる感応基を有したベース樹脂と酸発生剤か
ら少なくともなるエネルギー線感応膜72が少なくとも
一面に形成されているものである。そしてこのブランク
基体11に対して、本発明なる情報記録担体用基体の製
造装置1を用いてエネルギー線記録を行う(ステップ
(b))。具体的には平坦基体71上に形成されたエネ
ルギー線感応膜72に対して、直接記録を行う。この
後、水溶性現像液によって現像を行う(ステップ
(c))。具体的には記録されたエネルギー線感応膜7
2に対して、PH10以上の塩基性水溶液を適量塗布す
ることによって、溶解反応を行わせる。例えばポジ型の
エネルギー線感応膜72の場合には、エネルギー線照射
部が現像によって溶解され、窪みが形成される。またネ
ガ型のエネルギー線感応膜72の場合には、エネルギー
線を照射しなかった部分が現像によって溶解され、窪み
が形成される。なお現像液の具体的な材料としては、燐
酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、珪酸ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、テトラアルキルア
ンモニウムヒドリドの少なくとも1つを用いて水溶液と
したものである。また必要に応じてこの現像の前後に超
純水による洗浄を行ってもよい。また必要に応じて、少
なくともエネルギー線感応膜72を加熱し、エネルギー
線感応膜72と平坦基体71の密着力を向上させてもよ
い。このようにして情報記録担体用基体2が完成する
(ステップ(d))。図10に一例の断面図を示すが、
エネルギー線感応膜72の内部に窪み70が形成され
る。なお図10ではこの窪み70が平坦基体71と接し
てもいるが、接していなくてもよいものである。以上説
明したようにして、情報記録担体用基体2は製造され
る。
【0053】次に、本発明なる情報記録担体の製造方法
について説明する。具体的には図7に示すような少なく
とも7つのステップによって、情報記録担体4の製造方
法は達成される。すなわち図6と同様の方法によって情
報記録担体用基体2を製造する(ステップ(a)〜
(d))。続いて内部に窪み70が形成されたエネルギ
ー線感応膜72に対して、機能層73を形成する(ステ
ップ(e))。ここで機能層73とは、少なくとも電場
及び磁場の変化として再生しうる機能を有した材料から
構成された層である。例えば磁気ヘッドにより、磁場の
変化として再生が可能な磁気記録膜や、電磁波、例えば
光の印加により再生可能な光記録膜である。再生のみな
らず、記録する機能を併せ持ってもよい。具体的には磁
気記録膜の場合には、面内磁気材料(CoPt、CoC
rTaPtなど)や垂直磁気材料(CoCrなどであ
る。また光記録膜の場合には、高反射率反射材料(アル
ミニウム、金、銀など)、色素材料(シアニン色素、フ
タロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アゾ色素、
ナフトキノン色素、フルギド色素、ポリメチン色素、ア
クリジン色素など)、相変化材料(AgInSbTe、
CuAlTeSb、GeSbTe)、光磁気材料(Tb
FeCo、GdFeCo、DyFeCoなど)から用途
に応じて選択して用いる。なおこれら機能層73には、
再生出力向上や書き換え回数向上、保存安定性向上等の
目的で、補助層を併用して積層してもよい。続いて機能
膜73の情報記録担体用基体2とは反対側に樹脂層74
を成膜する(ステップ(f))。ここで樹脂層74は機
能層73を保存環境や使用環境から保護するものであ
り、磁気記録の場合にはフッ素系やシリコン系の潤滑性
樹脂が、光記録の場合には、硬度の高い熱可塑性樹脂、
熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂から選
ばれて使用される。このようにして情報記録担体4が完
成する(ステップ(g))。なおこの情報記録担体4の
断面図は図12に記載したようになる。
【0054】次に、本発明なる情報記録担体の第2の製
造方法について説明する。具体的には図8に示すような
少なくとも9つのステップによって、情報記録担体5の
製造方法は達成される。すなわち図6と同様の方法によ
って情報記録担体用基体2を製造する(ステップ(a)
〜(d))。続いて内部に窪み70が形成されたエネル
ギー線感応膜72に対して、公知のスタンパープロセス
技術によってスタンパー3を作成する(ステップ
(e))。ここでスタンパー3とは、例えばニッケルな
どの硬度の高い金属による金型部品を指し、図11に示
す如く、情報記録担体用基体2の表面形状を、凹凸を逆
として形成したものである。このスタンパー3を用いて
公知の成形技術(射出成形、圧縮成形、2P成形、熱硬
化樹脂成形など)により、支持体75を形成する(ステ
ップ(f))。ここで支持体76はその表面形状を、ス
タンパー3の凹凸と逆にして転写され、結果的に情報記
録担体用基体2と同じ凹凸になる。更にステップ(g)
にて機能層73が、ステップ(h)にて樹脂層74が形
成されるが、その内容は先述図7のステップ(e)、
(f)とそれぞれ同じである。このようにして情報記録
担体5が完成する(ステップ(i))。なおこの情報記
録担体5の断面図は図13に記載したようになる。
【0055】以上述べたように本発明なる情報記録担体
用基体及び情報記録担体の製造方法は、酸によって分解
しうる感応基を有したベース樹脂と酸発生剤から少なく
ともなるエネルギー線感応層72に対して、本発明なる
情報記録担体用基体の製造装置1を用いてエネルギー線
記録を行うことによって達成される。このような製造方
法によって従来技術よりも一段と微細化された微細パタ
ーンを形成することが可能となる。
【0056】実施例6 図7記載の製造方法によって、情報記録担体4を製作し
た。ここでステップ(a)で使用したブランク基体11
(図9)は、半径60mmの円盤状酸化珪素平坦基体7
1上に、遠紫外線に感応して、酸によって分解しうる感
応基を有したベース樹脂と酸発生剤からなるエネルギー
線感応層72を形成したものである。またステップ
(b)に使用した情報記録担体用基体の製造装置1は、
実施例4に記載した製造装置1と同じ構成のもので、エ
ネルギー線照射ユニット12は266nmの遠紫外線を
照射するものである。エネルギー線記録は、半径23〜
58mmの範囲を、螺旋状に5時間かけて行った。具体
的にはピット長0.2μmの単一周波数信号を、トラッ
クピッチ0.35μmとなるように、内周から外周に向
かって等速度螺旋記録した。なお本製造装置1の周囲の
大気は、塩基成分を18ng/l含むものであったが、
大気導入口33から取り入れられ、配風器32を経由し
て中和ユニット10(燐酸を担持させた人工高分子繊維
を含むユニット)を通過した中和大気30は1ng/l
以下に減じられていた。また大気導入口33に対して、
中和ユニット10の出口は8mmH2Oの陽圧であっ
た。そしてステップ(c)ではテトラメチルアンモニウ
ムヒドリドからなる塩基性現像液により現像し、ステッ
プ(d)で情報記録担体用基体2を得た。更にステップ
(e)では機能層73をアルミチタン合金、ステップ
(f)では樹脂層74を熱可塑性樹脂であるポリカーボ
ネイトで構成した。
【0057】このようにして製造した情報記録担体4
を、波長405nm、対物レンズ開口数(NA)0.8
のピックアップで再生したところ、図14の結果を得
た。図14は記録開始径23mmから記録終了径58m
mまで7mm刻みで、C/N(搬送波対雑音比)を測定
した結果である(解像度幅30kHz、ビデオバンド幅
0.1kHz)。どの半径でも、再生上必要なC/N4
5dB以上を確保しており、大気のpHを中和すること
により記録が円滑に行われたことを示している。
【0058】実施例7 図8記載の製造方法によって、情報記録担体5を製作し
た。ここでステップ(a)で使用したブランク基体11
(図9)は、半径100mmの円盤状酸化珪素平坦基体
71上に、遠紫外線に感応して、酸によって分解しうる
感応基を有したベース樹脂と酸発生剤からなるエネルギ
ー線感応層72を形成したものである。またステップ
(b)に使用した情報記録担体用基体の製造装置1は、
実施例5に記載した製造装置1と同じ構成のもので、エ
ネルギー線照射ユニット12は266nmの遠紫外線を
照射するものである。エネルギー線の記録は、半径23
〜58mmの範囲を、螺旋状に5時間かけて行った。具
体的にはピット長0.2μmの単一周波数信号を、トラ
ックピッチ0.35μmとなるように、内周から外周に
向かって等速度螺旋記録した。なお本製造装置1の周囲
の大気は、塩基成分を18ng/l含むものであった
が、大気導入口33から取り入れられ、配風器32を経
由して中和ユニット10(燐酸を担持させた人工高分子
繊維を含むユニット)を通過した中和大気30は1ng
/l以下に減じられていた。また大気導入口33に対し
て、中和ユニット10の出口は8mmH2Oの陽圧であ
った。そしてステップ(c)ではテトラメチルアンモニ
ウムヒドリドからなる塩基性現像液により現像し、ステ
ップ(d)で情報記録担体用基体2を得た。更にステッ
プ(e)ではニッケル製のスタンパーを作成し、ステッ
プ(f)ではポリカーボネイト製の支持体75を得た。
そして実施例6と同様に、ステップ(g)では機能層7
3をアルミチタン合金、ステップ(h)では樹脂層74
を熱可塑性樹脂であるポリカーボネイトで構成した。
【0059】このようにして製造した情報記録担体5
を、実施例6と同様の手法で測定し、図14の結果を得
た。どの半径でも、再生上必要なC/N45dB以上を
確保しており、大気のpHを中和することにより記録が
円滑に行われたことを示している。
【0060】比較例 実施例6と同様の製造方法で、情報記録担体4を製作し
た。ただしここで本製造装置1の周囲の大気は、塩基成
分を18ng/l含むものであったが、中和ユニット1
0の代わりに、通常のHEPAフィルターとしたもので
ある。大気導入口33から取り入れられ、配風器32を
経由してを通過した中和大気30は塩基成分が17ng
/l程度にしかなっていなかった。
【0061】完成した情報記録担体4を実施例6と同様
の手法で測定し、図14の結果を得た。最終記録半径5
8mmではC/N45dB以上を確保したが、内周に進
むに従ってC/Nが著しく低下し、半径51mmではC
/Nが42dBに低下していた。更に記録初期である半
径23〜37mmに至っては、信号すら見受けられず、
ほとんどパターンが形成されていなかった。このように
記録直後から大気のpHがエネルギー線感応層72に影
響を与え始め、情報記録担体4に必要な記録時間が確保
できないことが分かった。また記録できた半径44〜5
8mmであっても、その信号品質は一定ではなく、情報
記録担体4に必要な信号の安定性が確保できないことが
明らかになった。
【0062】以上の実施例6,7及び比較例により、大
気pHが記録に与える影響は甚大であり、本発明なる情
報記録担体の製造方法がこの影響を充分排除できること
が確認できた。なお実施例6と実施例7を比較したとき
に見られる信号特性の差については、その原因が充分特
定されたとはいえないが、実施例6で使用した図4なる
製造装置1の場合には、大気を光学定盤20周辺より取
り入れていることに原因があると考えられる。すなわち
光学定盤20は多くの場合、ブラックアルマイトを使用
しているが、その製造過程ではジアゾ染料を使用するた
めに、製造後のブラックアルマイトから大気中に塩基成
分が発生しやすい。従って光学定盤20を含んで全体を
陽圧とする図4なる製造装置1(及び図2なる製造装置
1)の場合、発生した塩基成分の回り込みが若干影響す
ると推定される。その点、実施例7で使用した図5なる
製造装置1(及び図3なる製造装置1)の場合、事実上
ブランク基体のみ局所に陽圧となるために、影響が少な
いと考えられる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、中和され
た大気を、少なくともブランク基体11に供給すること
により、基体の製造時に大気中に塩基成分や酸成分が含
まれている場合でも反応を阻害又は過剰に促進すること
なく情報記録担体用基体を製造することが可能となる。
そしてこの情報記録担体用基体を用いることによって、
情報記録担体の高密度化、大容量化を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録担体用基体の製造装置を説明
するための図である。
【図2】本発明の情報記録担体用基体の製造装置を説明
するための図である。
【図3】本発明の情報記録担体用基体の製造装置を説明
するための図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る情報記録担体用基体
の製造装置の変形例を示す図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る情報記録担体用基体
の製造装置の変形例を示す図である。
【図6】本発明に係る情報記録担体用基体の製造方法を
示す図である。
【図7】本発明に係る情報記録担体の製造方法を示す図
である。
【図8】本発明に係る情報記録担体の製造方法の他の例
を示す図である。
【図9】本発明に係る情報記録担体に使用するブランク
基体を示す図である。
【図10】本発明に係る情報記録担体用基体を示す図で
ある。
【図11】本発明にて使用されるスタンパーを示す図で
ある。
【図12】本発明に係る情報記録担体の一実施例を示す
図である。
【図13】本発明に係る情報記録担体の他の例を示す図
である。
【図14】本発明の実施例と比較例との搬送波対雑音比
を示す図である。
【符号の説明】
1 情報記録担体用基体の製造装置 2 情報記録担体用基体 3 スタンパー 4 情報記録担体 5 情報記録担体 10 中和ユニット 11 ブランク基体 12 エネルギー線照射ユニット 13 ブランク基体支持ユニット 14 相対運動付与ユニット 30 中和大気 32 配風器 33 大気導入口 31、34、35a、35b エアートンネル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平坦基体とエネルギー線感応膜からなるブ
    ランク基体に対し、エネルギー線を部分的に照射する情
    報記録担体用基体の製造装置であって、 大気を取り込み、中性に中和すると共に、中和された中
    和大気を前記ブランク基体に供給する中和ユニットと、 前記ブランク基体を支持するブランク基体支持ユニット
    と、 前記中和ユニットによって供給された中和大気中で、前
    記ブランク基体支持ユニットに支持されたブランク基体
    にエネルギー線を照射するエネルギー線照射ユニット
    と、 前記ブランク基体ユニット及び/又は前記エネルギー照
    射線ユニットに接続され、前記ブランク基体ユニット及
    び/又は前記エネルギー線照射ユニットを相対運動させ
    る相対運動付与ユニットと、からなる情報記録担体用基
    体の製造装置。
  2. 【請求項2】前記中和ユニットから排出された中和大気
    が、ブランク基体に対し周囲よりも陽圧で吹き付けられ
    るように気流制御されていることを特徴とする請求項1
    に記載の情報記録担体用基体の製造装置。
  3. 【請求項3】前記エネルギー線の照射は、酸によって分
    解しうる感応基を有したベース樹脂と酸発生剤とから少
    なくともなるエネルギー線感応膜に対して行うことを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報記録担体用
    基体の製造装置。
  4. 【請求項4】平坦基体とエネルギー線感応膜からなるブ
    ランク基体を支持する工程と、 大気を取り込み、中性に中和すると共に、中和された中
    和大気を前記ブランク基体に供給する工程と、 前記中和大気中で前記ブランク基体にエネルギー線を照
    射する工程と、 前記エネルギー線が照射された後の前記エネルギー線感
    応膜を塩基性水溶液によって現像する工程と、を有する
    情報記録担体用基体の製造方法。
  5. 【請求項5】平坦基体とエネルギー線感応膜からなるブ
    ランク基体を支持する工程と、 前記ブランク基体にエネルギー線を照射する工程と、 大気を取り込み、中性に中和すると共に、中和された中
    和大気を前記ブランク基体に供給する工程と、 前記エネルギー線が照射された後の前記エネルギー線感
    応膜を前記中和大気中で塩基性水溶液によって現像する
    工程と、を有する情報記録担体用基体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記中和ユニットから排出された中和大気
    が、ブランク基体に対し周囲よりも陽圧で吹き付けられ
    るように気流制御されていることを特徴とする請求項4
    又は請求項5に記載の情報記録担体用基体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記エネルギー線の照射は、酸によって分
    解しうる感応基を有したベース樹脂と酸発生剤とから少
    なくともなるエネルギー線感応層に対して行うことを特
    徴とする請求項4乃至請求項6いずれか一項に記載の情
    報記録担体用基体の製造方法。
  8. 【請求項8】情報記録担体の製造方法において、 請求項4乃至請求項7いずれか一項に記載の情報記録担
    体用基体の製造方法によって製造した情報記録担体用基
    体のエネルギー線感応膜上に機能層を成膜する工程を設
    けたことを特徴とする情報記録担体の製造方法。
  9. 【請求項9】情報記録担体の製造方法において、 請求項4乃至請求項7いずれか一項に記載の情報記録担
    体用基体の製造方法によって製造した情報記録担体用基
    体のエネルギー線感応膜に対してスタンパーを作成する
    工程と、 前記スタンパーによって支持体を成形して、この支持体
    に少なくとも機能層を成膜する工程とを設けたことを特
    徴とする情報記録担体の製造方法。
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