JP2002173489A - α−アセチル−γ−ブチロラクトンの製造方法 - Google Patents

α−アセチル−γ−ブチロラクトンの製造方法

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JP2002173489A
JP2002173489A JP2000370206A JP2000370206A JP2002173489A JP 2002173489 A JP2002173489 A JP 2002173489A JP 2000370206 A JP2000370206 A JP 2000370206A JP 2000370206 A JP2000370206 A JP 2000370206A JP 2002173489 A JP2002173489 A JP 2002173489A
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butyrolactone
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ethylene oxide
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Masahiko Shimizu
雅彦 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 副生成物の生成を抑制し、高純度のα−アセ
チル−γ−ブチロラクトンを効率よく製造する。 【解決手段】 アルカリ金属成分の存在下、アルコール
溶媒中でアセト酢酸エステルと酸化エチレンとを反応さ
せて、α−アセチル−γ−ブチロラクトンを得る方法に
おいて、アセト酢酸エステルに対して1.01〜1.1
当量の酸化エチレン、及び0.8〜1.2当量のアルカ
リ金属成分を用い、高純度のα−アセチル−γ−ブチロ
ラクトンを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビタミンB1など
の医薬品や、有機工業薬品の中間体として使用され、工
業的に有用なα−アセチル−γ−ブチロラクトンを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】α−アセチル−γ−ブチロラクトンは、
医薬、有機工業分野などにおいて、薬品の原料又は中間
体などとしてであり、種々の製造方法が提案されてい
る。特公昭40−23006号公報には、アルコール溶
媒中、アルカリアルコラート、アルカリ金属又はその水
酸化物などのアルカリ成分の存在下、アセト酢酸エステ
ルと酸化エチレンとを反応させ、反応混合物を酢酸で中
和する方法が開示されている。また、米国特許2443
827号、英国特許740993号、チェコスロバキア
特許95116号、特公昭42−12662号公報等も
同様の方法を提供している。しかし、これらの文献で
は、反応原料として使用するアセト酢酸エステル及び酸
化エチレン、反応の促進剤として使用するアルカリ成分
などの各成分の割合に関して明確な制限はなく、例え
ば、過剰のアルカリの混合は収率には有害でないとの記
載があり(英国特許740993号)、アルカリ縮合剤
を反応成分の等量以下で2回以上に分けて仕込むことで
副反応を押さえること(チェコスロバキア特許9511
6号)などが開示されているものの、前記割合が、反応
の効率や生成物の収率に与える影響については、十分な
技術確立が行えていないのが実情である。
【0003】また、上記文献には、α−アセチル−γ−
ブチロラクトンの精製方法に関する具体的な記載も無
く、反応原料及び反応促進剤の仕込比率の微少な違い
で、反応速度の大小が大きく左右され、極めて精製しが
たい不純物(アセト酢酸エステルの二量体など)が生成
したり、α−アセチル−γ−ブチロラクトンの分解反応
が起こるため、結果的に高純度なα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを得るのが困難であり、単離収率を大幅に
低減させることは、これまで全く知られていなかった。
【0004】特に、前記アセト酢酸エステルの二量体
(5−アセチル−6−ヒドロキシ−2−メチルピラン−
4−オン)は、アセト酢酸エステル濃度の2乗に比例し
て生成量が増加するため、極僅かなアセト酢酸エステル
濃度の上昇であっても、生成量が大幅に増加してしま
う。なお、この副反応の反応速度自体は、α−アセチル
−γ−ブチロラクトン生成速度に対して、例えば0.1
〜2%程度と僅かな生成量でしかない。しかし、得られ
た二量体は、α−アセチル−γ−ブチロラクトンと沸点
が極めて近く、しかも高沸点化合物であることに加え、
極性、化学的安定性も類似しているため、抽出、蒸留精
製などの慣用の精製処理では、生成した二量体のほとん
ど全てが製品のα−アセチル−γ−ブチロラクトンに混
入してしまう。また、この二量体の工業的有効な除去方
法も未だ知られていない。従って、α−アセチル−γ−
ブチロラクトンの純度が予想をはるかに上回って低下
し、蒸留精製しても高沸不純物として前記二量体ととも
に、大量のα−アセチル−γ−ブチロラクトンを廃棄す
ることになる。その結果、分解等の副反応によるα−ア
セチル−γ−ブチロラクトン収率の低下とは比較になら
ない程大幅な製造量低下を引き起こし、回収率が大幅に
低下する。このような状況を改善するためには、工業的
な経済性を無視した高理論段蒸留塔が必要となる。
【0005】従って、純度の高いα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを高収率で、効率よく製造するには、仕込
原料比を厳密に制御する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、工業的に有利な方法で、高い純度のα−アセチル−
γ−ブチロラクトンを安定して効率よく製造する方法を
提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、α−アセチル−γ−
ブチロラクトンを高選択率及び高収率で製造する方法を
提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、副生成物の生
成を抑えて、α−アセチル−γ−ブチロラクトンの純度
を向上させる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、反応原料及び反応促
進剤の割合を精度よく特定の範囲に制御することによ
り、高純度のα−アセチル−γ−ブチロラクトンを効率
よく製造できることを見いだし、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明では、アルカリ金属成分
の存在下、アルコール溶媒中でアセト酢酸エステルと酸
化エチレンとを反応させてα−アセチル−γ−ブチロラ
クトンを生成する方法において、アセト酢酸エステルに
対して1.01〜1.1当量の酸化エチレン、及び0.
8〜1.2当量のアルカリ金属成分を用い、高純度のα
−アセチル−γ−ブチロラクトンを製造する。前記アセ
ト酢酸エステルは、アセト酢酸C1-4アルキルエステル
であってもよい。前記反応混合物から溶媒を留去し、中
和して層分離させ、有機層を蒸留し、α−アセチル−γ
−ブチロラクトンを得てもよい。中和処理は、硫酸水溶
液により、温度10〜60℃程度で行ってもよい。ま
た、層分離後の水層から、さらにα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを抽出してもよい。
【0011】本発明には、水酸化ナトリウムの存在下、
メタノール中で、アセト酢酸メチルと酸化エチレンとを
反応させ、得られた反応混合物からα−アセチル−γ−
ブチロラクトンを生成する方法において、アセト酢酸メ
チルに対して1.05〜1.08当量の酸化エチレン、
及び0.9〜1.1当量の水酸化ナトリウムを用い、純
度98%以上のα−アセチル−γ−ブチロラクトンを製
造する方法も含まれる。また、前記反応混合物からメタ
ノールを留去し、反応混合物中の残存メタノール濃度を
0.5〜20重量%にし、硫酸水溶液で中和して、層分
離させ、層分離後の水層から有機溶媒で抽出し、得られ
た抽出液と層分離後の有機層とを合わせて蒸留し、α−
アセチル−γ−ブチロラクトンを得てもよく、前記反応
工程、メタノール留去工程、及び中和処理工程を10〜
50℃程度で行ってもよい。
【0012】本発明には、アルカリ金属成分の存在下、
アルコール溶媒中でアセト酢酸エステルと酸化エチレン
とを反応させて、得られた反応混合物からα−アセチル
−γ−ブチロラクトンを得る方法において、アセト酢酸
エステルに対して1.01〜1.1当量の酸化エチレ
ン、及び0.8〜1.2当量のアルカリ金属成分を用い
ることにより、得られるα−アセチル−γ−ブチロラク
トンの純度を向上させる方法も含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】[反応工程]本発明では、アセト
酢酸エステルと酸化エチレンとを、アルコール溶媒中、
アルカリ金属成分の存在下で反応させる。
【0014】アセト酢酸エステルとしては、アセト酢酸
メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチルなどのア
セト酢酸C1-4アルキルエステルなどが使用できる。好
ましいアセト酢酸エステルはアセト酢酸メチルである。
【0015】アルカリ金属成分としては、ナトリウム、
カリウムなどのアルカリ金属、これらの水酸化物、又は
これらのアルコラート(メチラート、エチラートなどの
1- 4アルコラートなど)などが挙げられる。なお、ア
ルコラートは、例えば、アルカリ金属又はその水酸化物
と反応溶媒であるアルコールとから系中で生じる成分で
あってもよい。好ましいアルカリ金属成分は、ナトリウ
ム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド(特
に、ナトリウムメトキシド)などのナトリウム成分であ
る。
【0016】反応溶媒であるアルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの
1-4アルコールが使用できる。好ましいアルコール
は、C1 -2アルコール(特にメタノール)である。な
お、反応溶媒と、前記アセト酢酸アルキルエステルのア
ルコール成分とは同一種類のアルコールを用いる場合が
多い。
【0017】アセト酢酸エステルと酸化エチレンとの反
応は、室温付近、例えば、0〜60℃(例えば、0〜5
0℃程度)、好ましくは10〜50℃(例えば、10〜
35℃)程度、さらに好ましくは15〜35℃程度(特
に、22〜28℃程度)で行うことができる。
【0018】(各成分の割合)酸化エチレンの割合は、
アセト酢酸エステルに対して、例えば1.01〜1.1
当量、好ましくは1.03〜1.09当量、さらに好ま
しくは1.05〜1.08当量程度である。
【0019】アルカリ金属成分の割合は、アセト酢酸エ
ステルに対して、例えば0.8〜1.2当量程度、好ま
しくは、0.9〜1.1当量程度、さらに好ましくは
0.93〜1.04当量程度である。
【0020】このような割合で、各成分を用いると、副
生成物の生成を抑制して、得られるα−アセチル−γ−
ブチロラクトンの純度を大幅に向上でき、例えば、精製
後の純度が98%以上(好ましくは99%以上)である
高純度の生成物も得ることができる。
【0021】前記アルカリ金属成分の割合が0.8当量
未満及び/又は酸化エチレンの割合が1.01当量未満
では、反応速度が急激に低下するため、滞留時間が大幅
に延長され、大きな反応設備が必要になるとともに、副
反応の相対的な割合が増え、収率低下を招く。さらに、
未反応のアセト酢酸エステルが高濃度で存在すると、α
−アセチル−γ−ブチロラクトンとは非常に分離しがた
い不純物であるアセト酢酸エステルの2量体(5−アセ
チル−6−ヒドロキシ−2−メチルピラン−4−オン)
が副生し、結果としてα−アセチル−γ−ブチロラクト
ンの純度が低下し、収率も低下する。
【0022】前記アルカリ金属成分の割合が1.2当量
を超えると、反応速度が急激に上昇するため前記二量体
の生成は急激に低下するものの、アルカリ成分増加によ
る生成物の分解速度が、主反応の速度をはるかに上回っ
て増大するため、α−アセチル−γ−ブチロラクトンの
収率が急激に低下する。また、前記酸化エチレンの割合
が1.1当量を超えると、酸化エチレンの分解量が増加
する虞がある。
【0023】本発明では、前記の反応工程で得られた反
応混合物から、溶媒を留去し、留去後の混合物を中和し
て、層分離させ、水層からα−アセチル−γ−ブチロラ
クトンを抽出してもよい。さらに、抽出後の抽出液を蒸
留精製し、α−アセチル−γ−ブチロラクトンを得ても
よい。
【0024】[溶媒留去工程]溶媒の留去は、一般に、
中和処理の前でも後でもよいが、中和処理の前に溶媒ア
ルコールを留去するのが好ましい。中和処理の前にアル
コールを留去すると、温和な条件で中和処理を行うこと
ができ、ひいてはα−アセチル−γ−ブチロラクトンを
効率よく得ることができる。
【0025】溶媒留去の温度は、特に制限されず、5〜
100℃程度の広い範囲で行ってもよいが、α−アセチ
ル−γ−ブチロラクトン及びアセト酢酸エステルの分解
を低減するため、低温、例えば、60℃以下(例えば、
10〜60℃程度)、好ましくは、10〜50℃(例え
ば、10〜40℃)程度、さらに好ましくは10〜35
℃程度、さらに好ましくは10〜28℃程度(特に、2
0〜28℃程度)で留去するのが好ましい。
【0026】なお、低温で溶媒留去する場合、減圧下で
留去することが多い。減圧度は、例えば、6.65〜3
9.9kPa、好ましくは13.3〜37.2kPa、
さらに好ましくは20〜33.3kPa程度である。
【0027】なお、留去した溶媒アルコールは、必要に
応じて脱水した後、反応溶媒として再利用してもよい。
【0028】アルコール留去後の反応混合物の残存アル
コール濃度は、例えば、0.1〜20重量%程度、好ま
しくは0.5〜10重量%程度、さらに好ましくは0.
5〜5重量%程度である。アルコール濃度が20重量%
を超えると、(1)後述の中和処理時に、水層にアルコ
ールが大量に溶解し、水層中のα−アセチル−γ−ブチ
ロラクトンやアセト酢酸エステルの濃度も増加するた
め、抽出効率が低下する。また、(2)水層中のα−ア
セチル−γ−ブチロラクトンやアセト酢酸エステルの濃
度が増加すると、α−アセチル−γ−ブチロラクトンや
アセト酢酸エステルの加水分解速度が増加する。さら
に、(3)水層にアルコールが大量に溶解するため、例
えば、硫酸等の鉱酸で中和する場合、鉱酸塩(硫酸ナト
リウム塩など)が析出し易くなり、中和処理を低温で行
うことができなくなる。高温で中和処理すると、α−ア
セチル−γ−ブチロラクトンやアセト酢酸エステルが加
水分解しやすくなる。すなわち、アルコール濃度が20
重量%を超えると、抽出効率の低下、水層濃度上昇によ
る加水分解速度の増大、中和処理温度上昇による加水分
解速度の増大などの相乗効果により、得られるα−アセ
チル−γ−ブチロラクトンの量が予想外に低下する。一
方、アルコール濃度0.1重量%未満までアルコールを
留去すると、生産効率が低下する。
【0029】[中和処理工程]溶媒留去後の反応混合物
は、酸、例えば、硫酸水溶液などを用いて中和する。硫
酸水溶液を使用する場合、その濃度は、例えば、5〜3
0重量%程度、好ましくは、10〜20重量%程度、さ
らに好ましくは13〜18重量%程度である。希薄硫酸
水溶液(5重量%未満濃度)を用いると生産効率が低下
し、また、濃度が30重量%を超えると、α−アセチル
−γ−ブチロラクトンが分解するためか、収率が低下す
る。
【0030】そして、反応混合物中のアルコール量を所
定量まで低減すると、中和を比較的低い温度で行うこと
ができる。中和処理の温度は、10〜60℃、好ましく
は10〜50℃程度(例えば、20〜40℃程度)、さ
らに好ましくは10〜29℃程度(例えば、10〜28
℃程度)、特に20〜29℃程度(例えば、20〜28
℃程度)である。中和処理温度が、高すぎるとα−アセ
チル−γ−ブチロラクトンやアセト酢酸エステルが、加
水分解しやすくなり、抽出効率が低下する。
【0031】なお、本発明において、アセト酢酸エステ
ルと酸化エチレンとの反応工程、アルコールの留去工
程、及び中和処理工程を、温度10〜60℃(例えば1
0〜50℃)程度、好ましくは10〜29℃程度(例え
ば、10〜28℃程度)、さらに好ましくは20〜29
℃程度(例えば、20〜28℃程度)で行ってもよい。
全ての工程を10〜29℃程度で行うと、簡便にα−ア
セチル−γ−ヒドロキシブチロラクトンを製造できる。
【0032】中和処理液のpHは、例えば、2〜6程
度、好ましくは2〜4程度である。
【0033】このようにして得られた中和処理液は、α
−アセチル−γ−ブチロラクトンとアセト酢酸エステル
を主として有機層に含有している。このため、有機層と
水層とを分離することにより、有機層からα−アセチル
−γ−ブチロラクトンを得ることができる。なお、中和
処理液の水層にも少量のα−アセチル−γ−ブチロラク
トンとアセト酢酸エステルとを含有しているものの、本
発明では、予めアルコールを留去しているため、水層へ
のロス量は小さい。
【0034】有機層中のα−アセチル−γ−ブチロラク
トンの割合は、水層中と有機層中のα−アセチル−γ−
ブチロラクトンの総量に対して、例えば、80〜99%
(重量基準)程度、好ましくは92〜99%(重量基
準)程度である。
【0035】また、有機層中のアセト酢酸エステルの割
合は、水層中と有機層中のアセト酢酸エステルの総量に
対して、例えば、80〜99%(重量基準)程度、好ま
しくは92〜99%(重量基準)程度である。 [抽出処理工程]水層中のα−アセチル−γ−ブチロラ
クトンとアセト酢酸エステルは、必要に応じて、さらに
有機溶媒などの抽剤により抽出できる。
【0036】有機溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒
(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、エス
テル系溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブ
チルなど)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテ
ル、メチルt−ブチルエーテルなど)、ハロゲン系溶媒
(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなど)などを挙
げることができる。溶媒は単独で又は二種以上組み合せ
て使用してもよい。
【0037】有機溶媒の使用量は、水層の重量100重
量部に対して、例えば、10〜300重量部程度、好ま
しくは40〜100重量部程度である。
【0038】抽出温度は、例えば、10〜40℃程度、
好ましくは10〜35℃程度、さらに好ましくは10〜
28℃程度(特に、20〜28℃程度)であってもよ
い。なお、前記反応工程、アルコール留去工程、中和処
理工程を同じ温度範囲で行う場合、抽出工程も同じ温度
範囲で行ってもよい。
【0039】抽出液と前記有機層とを合わせた場合のα
−アセチル−γ−ブチロラクトンの割合[抽出効率(回
収率)]は、有機層中と水層中とのα−アセチル−γ−
ブチロラクトンの総重量に対して、例えば、91〜99
%(重量基準)、好ましくは93〜99%(重量基準)
である。また、アセト酢酸エステルの抽出効率(回収
率)は、有機層中と水層中のアセト酢酸エステルの総量
に対して、例えば、91〜99%(重量基準)、好まし
くは93〜99%(重量基準)である。
【0040】[脱抽剤処理工程]有機層、又は有機層と
水層から抽出した抽出液との混合物には抽剤が含まれる
ため、脱抽剤処理することにより、α−アセチル−γ−
ブチロラクトン及び未反応アセト酢酸エステルが得られ
る。脱抽剤処理は、特に制限されないが、通常、脱溶剤
蒸留塔などを用いて反応工程などの工程と一連の工程で
行う。脱溶剤蒸留塔を用いる場合、蒸留塔の運転条件
は、例えば、圧力1.33kPa〜常圧程度、好ましく
は6.65〜39.9kPa程度であり、還流比0.0
1〜10程度、好ましくは0.1〜1程度である。蒸留
塔塔頂から留出(α−アセチル−γ−ブチロラクトンよ
り高沸点の場合は塔底又は塔の下部(缶出)から留出)
した抽剤は抽出工程にリサイクルされる。 [精製処理工程]得られたα−アセチル−γ−ブチロラ
クトン、未反応アセト酢酸エステル、及び少量の抽出溶
剤から、蒸留処理により、アセト酢酸エステル、抽出溶
剤、高沸不純物、及び脱低沸不純物などを除去する。蒸
留処理も、精製蒸留塔などを用いて、他の工程と一連の
連続工程で行うことができ、精製蒸留塔のサイドカット
から高純度α−アセチル−γ−ブチロラクトンを得るこ
とができる。精製蒸留塔の運転条件は、例えば、圧力
0.133kPa〜常圧程度、好ましくは0.655〜
6.65kPa程度であり、還流比0.1〜30程度、
好ましくは1〜10程度で行う。蒸留塔留出(α−アセ
チル−γ−ブチロラクトンより高沸点の場合は塔底又は
塔の下部(缶出)から留出)から抜取ったアセト酢酸エ
ステル及び抽出溶剤は更なる精製工程にて回収リサイク
ルする。塔底又は塔の下部(缶出)から抜取られたα−
アセチル−γ−ブチロラクトン含みの高沸不純物は更な
る精製設備に送られ、α−アセチル−γ−ブチロラクト
ンを回収リサイクルする。精製工程での回収率は82〜
100モル%程度、好ましくは90〜99モル%程度
(消費したアセト酢酸エステル基準)である。なお、消
費したアセト酢酸エステルとは、用いたアセト酢酸エス
テル量(モル)から回収したアセト酢酸エステル量(モ
ル)を差引いた残りのアセト酢酸エステル量(モル)の
ことをいう。
【0041】このようにして得られたα−アセチル−γ
−ブチロラクトンは、ビタミンB1などの医薬品や、有
機工業薬品の中間体として有用である。
【0042】
【発明の効果】本発明では、アセト酢酸エステルに対し
て特定の割合で、酸化エチレン及びアルカリ金属成分を
用いるので、工業的に有利な方法で、高い純度のα−ア
セチル−γ−ブチロラクトンを安定して効率よく製造で
きる。また、副生成物の生成を抑制できるため、高選択
率及び高収率でα−アセチル−γ−ブチロラクトンを製
造できる。
【0043】また、前記のように、各成分を特定の割合
で用いることにより、副生成物の生成を抑えて、α−ア
セチル−γ−ブチロラクトンの純度を向上させることも
できる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0045】比較例1 反応器に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度1
0重量%)1990g/h(4.98mol/h)、ア
セト酢酸メチル735g/h(6.33mol/h)、
及び酸化エチレン280g/h(6.36mol/h)
を連続的に投入し、滞留時間を13時間として25℃で
反応させた。減圧下(26.6kPa)、薄膜蒸発機を
用いて、薄膜蒸発機の缶出温度75℃で、反応液からメ
タノール及び未反応酸化エチレンを留去した。残った反
応混合物を攪拌しつつ、この反応混合物に28℃で15
重量%硫酸水溶液を1148g/hの供給速度で添加し
て、pHを2.5に調整した。反応混合物は2層に分離
した。2層分離した上層(有機相)及び下層(水相)の
混合相を抽出塔の塔頂に仕込み、抽剤としてのトルエン
を420g/hの供給速度で塔底から仕込んで、水相中
のα−アセチル−γ−ブチロラクトンと未反応のアセト
酢酸メチルとを抽出した。次いで、減圧蒸留塔(塔頂圧
力13.3kPa,還流比0.5,段数10段)で、抽
剤のトルエンを留出、回収した。なお、回収したトルエ
ンは、抽出工程にリサイクルした。一方、缶出からは、
α−アセチル−γ−ブチロラクトン、未反応のアセト酢
酸メチル、及び少量のトルエンを回収した。さらに減圧
精製蒸留塔(塔頂圧力1.33kPa,還流比5,段数
10段)で、塔頂から未反応のアセト酢酸メチル、抽剤
トルエン及び低沸不純物を留出し、別途、減圧蒸留を行
うことにより、回収し、リサイクルした。一方、前記減
圧精製蒸留塔の缶出から、アセト酢酸エステルの2量体
(5−アセチル−6−ヒドロキシ−2−メチルピラン−
4−オン)を含むα−アセチル−γ−ブチロラクトンを
抜取り、更に単蒸発工程(圧力1.33kPa)に供し
て、α−アセチル−γ−ブチロラクトンを回収し、リサ
イクルした。また、前記減圧精製蒸留塔のサイドカット
から、99.4%(GC面積純度)のα−アセチル−γ
−ブチロラクトン252.4g/h(1.97mol/
h)を得た。なお、釜残高沸物は排出除去した。
【0046】以下に反応条件とその成績を示す。 水酸化ナトリウム/アセト酢酸メチル=0.79mol
/mol 酸化エチレン/アセト酢酸メチル=1.00mol/m
ol トータル収率: α−アセチル−γ−ブチロラクトン 54.6モル% (消費アセト酢酸エステル基準) 選択率: 消費アセト酢酸エステル基準 78モル% 消費酸化エチレン基準 59モル% 回収率(=100−原料損失率+α−アセチル−γ−ブ
チロラクトン損失率): 消費アセト酢酸エステル基準 70モル% 消費酸化エチレン基準 69モル% 比較例2 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)
1970g/h(4.93mol/h)、アセト酢酸メ
チル474g/h(4.08mol/h)及び酸化エチ
レン180g/h(4.09mol/h)を連続的に投
入する以外は、比較例1と同様にα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを製造し、精製回収した。
【0047】比較例3 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)
1990g/h(4.98mol/h)、アセト酢酸メ
チル735g/h(6.33mol/h)及び酸化エチ
レン310g/h(7.04mol/h)を連続的に投
入する以外は、比較例1と同様にα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを製造し、精製回収した。
【0048】比較例4 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)
2000g/h(5.00mol/h)、アセト酢酸メ
チル480g/h(4.13mol/h)及び酸化エチ
レン203g/h(4.61mol/h)を連続的に投
入する以外は、比較例1と同様にα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを製造し、精製回収した。
【0049】比較例5 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)
2000g/h(5.00mol/h)、アセト酢酸メ
チル480g/h(4.13mol/h)及び酸化エチ
レン194g/h(4.40mol/h)を連続的に投
入する以外は、比較例1と同様にα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを製造し、精製回収した。
【0050】比較例6 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)
1980g/h(4.95mol/h)、アセト酢酸メ
チル576g/h(4.96mol/h)及び酸化エチ
レン245g/h(5.56mol/h)を連続的に投
入する以外は、比較例1と同様にα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを製造し、精製回収した。
【0051】実施例1 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(濃度10重量%)
2020g/h(5.05mol/h)、アセト酢酸メ
チル585g/h(5.04mol/h)及び酸化エチ
レン236g/h(5.36mol/h)を連続的に投
入する以外は、比較例1と同様にα−アセチル−γ−ブ
チロラクトンを製造し、精製回収した。
【0052】実施例及び比較例で得られた結果を表1に
示す。
【0053】
【表1】

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属成分の存在下、アルコール
    溶媒中でアセト酢酸エステルと酸化エチレンとを反応さ
    せてα−アセチル−γ−ブチロラクトンを生成する方法
    において、アセト酢酸エステルに対して1.01〜1.
    1当量の酸化エチレン、及び0.8〜1.2当量のアル
    カリ金属成分を用いる高純度のα−アセチル−γ−ブチ
    ロラクトンの製造方法。
  2. 【請求項2】 純度が98%以上のα−アセチル−γ−
    ブチロラクトンを得る請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 アセト酢酸エステルに対して1.03〜
    1.09当量の酸化エチレンを用いる請求項1記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 アセト酢酸エステルが、アセト酢酸C
    1-4アルキルエステルである請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応混合物から溶媒を留去し、中和して
    層分離させ、有機層を蒸留し、α−アセチル−γ−ブチ
    ロラクトンを得る請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 反応混合物から溶媒を留去し、温度10
    〜60℃で硫酸水溶液で中和処理する請求項5記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 層分離後の水層から、さらにα−アセチ
    ル−γ−ブチロラクトンを抽出する請求項5記載の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 水酸化ナトリウムの存在下、メタノール
    中で、アセト酢酸メチルと酸化エチレンとを反応させ、
    得られた反応混合物からα−アセチル−γ−ブチロラク
    トンを生成する方法において、アセト酢酸メチルに対し
    て1.05〜1.08当量の酸化エチレン、及び0.9
    〜1.1当量の水酸化ナトリウムを用い、純度98%以
    上のα−アセチル−γ−ブチロラクトンを製造する方
    法。
  9. 【請求項9】 反応混合物からメタノールを留去し、反
    応混合物中の残存メタノール濃度を0.5〜20重量%
    にし、硫酸水溶液で中和して、層分離させ、層分離後の
    水層から有機溶媒で抽出し、得られた抽出液と層分離後
    の有機層とを合わせて蒸留し、α−アセチル−γ−ブチ
    ロラクトンを得る方法において、反応工程、メタノール
    留去工程、及び中和処理工程を10〜60℃で行う請求
    項8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 アルカリ金属成分の存在下、アルコー
    ル溶媒中でアセト酢酸エステルと酸化エチレンとを反応
    させて、得られた反応混合物からα−アセチル−γ−ブ
    チロラクトンを得る方法において、アセト酢酸エステル
    に対して1.01〜1.1当量の酸化エチレン、及び
    0.8〜1.2当量のアルカリ金属成分を用いることに
    よりα−アセチル−γ−ブチロラクトンの純度を向上さ
    せる方法。
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