JP2002173452A - ノルボルネン系モノマーの製造方法 - Google Patents
ノルボルネン系モノマーの製造方法Info
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Abstract
いノルボルネン系モノマーを簡便な操作で高収率で得る
ことができる製造方法を提供すること。 【解決手段】 エキソ体の含有率が0.8重量%以下で
あるジシクロペンタジエン類を分解して得られるシクロ
ペンタジエン類と、ジエノフィル化合物とをディールス
・アルダー反応させることを含むノルボルネン系モノマ
ーの製造方法。
Description
ノマーの製造方法に関し、詳しくは、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂の製造原料として好適なノルボルネン系モノ
マーの収率の高い製造方法に関する。
れる重合体は、透明性、低吸水性などに優れた樹脂とし
て、光学レンズ、医療器材、食品容器などの分野で使用
されてきている。ノルボルネン系モノマーの中でも、特
にテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどのモノマー
を重合して得られる樹脂の成形品は透明性、低吸水性な
どに加えて耐熱性にも優れるので、一層需要が広がりつ
つある。
クロペンタジエンまたはシクロペンタジエンとノルボル
ネン、エチレンなどを含むジエノフィル化合物とを熱処
理してディールス・アルダー反応させることにより、テ
トラシクロドデセン、ノルボルネンなどのノルボルネン
類混合物を合成する方法が開示されている。しかし、こ
の方法によるとノルボルネン類混合物を合成する際に、
ジシクロペンタジエンとシクロペンタジエンとが反応し
てシクロペンタジエン(以下、CPDと記すことがあ
る。)3量体が生成する。CPD3量体には、炭素−炭
素二重結合を、2個のノルボルネン環に各1個有するペ
ンタシクロ〔7.4.0.12,5 .19,12.0
8,13〕−3,10−ペンタデカジエン(フルオレン
型)と、ノルボルネン環と5員環に各1個有するペンタ
シクロ〔7.4.0.12,5 .17,13.0
8,12〕−3,10−ペンタデカジエン(ベンゾイン
デン型)2種の異性体があり、通常、両者は混在する。
しかし、フルオレン型CPD3量体が、生成物の類混合
物に混入すると、重合反応時に架橋反応を起こすため、
得られる重合体が高分子量化して溶剤への溶解性を低下
させたり、ゲルを発生させるなどの問題を引き起こす。
レン型CPD3量体の量を低減する方法として下記が提
案された。特開平7−173085号公報は、ジシクロ
ペンタジエンまたはシクロペンタジエンとジエノフィル
化合物とをディールス・アルダー反応させて得られる生
成混合物につき複数回減圧蒸留してフルオレン型CPD
3量体含有量を50〜5,000ppmに制御すること
を提案している。また、国際公開WO97/33848
号公報は、ノルボルネンおよび置換ノルボルネン誘導体
を得るためにジシクロペンタジエンなどの環状ジエンと
スチレン、1−ブテンなどのオレフィン化合物とをディ
ールス・アルダー反応させる際に、初期仕込みの環状ジ
エンを低濃度とし、かつ、反応進行とともに環状ジエン
を徐々に追加する手法を採ることにより、反応中の環状
ジエンを希薄状態にして二量化、三量化するのを阻止す
ることを提案している。しかし、これらの方法は、いず
れも高価な付帯設備と煩雑な操作を要し、生産性、生産
コストに問題を有するものである。
オレン型CPD3量体含有量の少ないノルボルネン系モ
ノマーを簡便な操作で、かつ、高収率で得ることができ
るノルボルネン系モノマー製造方法を提供することにあ
る。
を解決するために鋭意研究した結果、シクロペンタジエ
ン類とジエノフィル化合物とをディールス・アルダー反
応させてノルボルネン系モノマーを合成するにあたり、
立体異性体の一方であるエキソ体の含有率の少ないジシ
クロペンタジエン類を用いることにより、CPD3量体
の生成を抑制することができ、テトラシクロドデセン、
ノルボルネンなどのノルボルネン系モノマーを、簡単な
操作で、しかも高収率で得ることができることを見出
し、本発明を完成するに至った。かくして本発明によれ
ば、(1)エキソ体の含有率が0.8重量%以下である
ジシクロペンタジエン類を分解して得られるシクロペン
タジエン類と、ジエノフィル化合物とをディールス・ア
ルダー反応させることを含むノルボルネン系モノマーの
製造方法、(2)シクロペンタジエン類を温度40〜1
30℃、圧力440〜640kPaにて二量化反応させ
てエキソ体の含有率が0.8重量%以下であるジシクロ
ペンタジエン類を得、次いで該ジシクロペンタジエン類
を分解して得られるシクロペンタジエン類と、ジエノフ
ィル化合物とをディールス・アルダー反応させることを
含むノルボルネン系モノマーの製造方法、(3)前記ジ
シクロペンタジエン類および前記ジエノフィル化合物を
反応器内に連続的に供給して反応させる請求項1記載の
ノルボルネン系モノマーの製造方法、および、(4)シ
クロペンタジエン類を温度40〜130℃、圧力440
〜640kPaにて二量化反応させて得られる、エキソ
体の含有率が0.8重量%以下であるジシクロペンタジ
エン類、が提供される。
モノマーの製造方法を提供するものである。本発明の製
造方法は、シクロペンタジエン類とジエノフィル化合物
とをディールス・アルダー反応させることを含むノルボ
ルネン系モノマーの製造方法であり、その際にエキソ体
の含有率が0.8重量%以下であるジシクロペンタジエ
ン類を分解して得られるシクロペンタジエン類を用いる
ことを特徴とする。上記製造方法で得られるノルボルネ
ン系モノマーは、CPD三量体の含有量の少ないノルボ
ルネン系モノマー類である。これらのノルボルネン系モ
ノマーの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]−ヘ
プト−2−エン(慣用名ノルボルネン。以下、NBと略
記することがある。)、5−メチル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシ
クロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−エチル−
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ブチ
ル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−
ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エ
ン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−
2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]
−ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシク
ロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビ
シクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−プロペ
ニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン;
2.1]−ヘプト−2−エン、5−シアノ−ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−
メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト
−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキ
シカルボニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−
エン、ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エニル−
2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]−
ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシク
ロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカル
ボン酸無水物、5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシ
メチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エ
ン、5−ヒドロキシ−i−プロピル−ビシクロ[2.
2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシ−
ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボ
ン酸イミド、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.
1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシク
ロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−シクロヘキ
セニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、
5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−
エン、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−デカ−
3,7−ジエン、トリシクロ[4.3.0.
12,5 ]−デカ−3−エン、トリシクロ[4.4.
0.12,5 ]−ウンデカ−3,7−ジエンもしくは
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−ウンデカ−
3,8−ジエン、トリシクロ[4.4.0.
12,5 ]−ウンデカ−3−エンなどのノルボルナン
環を付帯しないノルボルネン系モノマー;
のモノマーの製造には本発明は特に有効である。テトラ
シクロ[7.4.0.110,13 .02,7 ]−
トリデカ−2,4,6、11−テトラエン(1,4−メ
タノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンと
もいう。以下、MTFと記すことがある。)、テトラシ
クロ[8.4.0.111,14 .03,8 ]−テ
トラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メ
タノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロ
アントラセンともいう)などのノルボルナン環を付帯し
ないノルボルネン系モノマー;および、
17,10]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロド
デセンともいう。以下、TCDと略記する。)、8−メ
チル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシ
クロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ
−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.
0.12,5 .17,1 0]−ドデカ−3−エン、8
−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.
12, 5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−ビ
ニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ド
デカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシク
ロ[4.4.12,5 .17,10.0]−ドデカ−
3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テト
ラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−ド
デカ−3−エン、8−ヒドロキシメチル−テトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−ドデカ−3
−エン、8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.
12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シ
クロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.
12,5 .17, 10]−ドデカ−3−エン、8−シ
クロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.
12,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−シ
クロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5 .17,10]−ドデカ−3−エン、8−フェ
ニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .1
7,10]−ドデカ−3−エン、ペンタシクロ[6.
5.11,8 .13,6 .02,7 .
09,13]−ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタ
シクロ[7.4.0.13,6 .110,13 .0
2,7 ]−ペンタデカ−4,11−ジエンなどのノル
ボルナン環を付帯するノルボルネン系モノマーなどが挙
げられる。本発明の方法は、これらのノルボルネン系モ
ノマーを、シクロペンタジエン類とジエノフィル化合物
とのディールス・アルダー反応により、単独にまたは数
種を同時に製造し得るものである。
は、トリシクロ[4.3.0.12 ,5 ] −デカ−
3,7−ジエン(慣用名でジシクロペンタジエンとい
う。以下、DCPDと略記する。)またはメチル基、エ
チル基などの炭素数1〜8のアルキル基を置換基として
環に1個または複数個有するDCPD誘導体である。D
CPD類には、立体異性体としてエキソ(exo)体と
エンド(endo)体とがある。DCPDは加熱すると
下式(1)のようにCPDに分解するが、その温度はエ
キソ体のDCPD類は190℃以上であり、エンド体の
DCPD類は150〜160℃である。
ソ体を1〜5重量%含有するが、本発明に使用するDC
PDは、エキソ体の含有率が0.8重量%以下、好まし
くは0.6重量%以下、さらに好ましくは0.4重量%
以下のものである。本発明では、大部分がエンド体であ
るDCPD類を使用するので、ディールス・アルダー反
応時に容易に分解するため、実質的な反応原料成分はC
PD類である。ここで、CPD類とは、CPDまたは置
換基としてメチル基、エチル基などの炭素数1〜8のア
ルキル基を環に1個もしくは複数個有するCPD誘導体
である。
されるが、エキソ体のDCPD類が0.8重量%以下に
なるようにするためには、この二量化反応を、好ましく
は40〜130℃、より好ましくは50〜120℃に、
圧力を、好ましくは440〜640kPa、より好まし
くは490〜590kPaにそれぞれ保持すればよい。
保持する時間は好ましくは0.5時間以上、より好まし
くは1.5時間以上である。上記範囲の温度において
も、低温ほど長い保持時間を要する。温度または/およ
び圧力が高すぎるとエキソ体のDCPD類が増大するお
それがある。また、低すぎると生成したDCPD類が粘
稠化して反応工程で移送等が困難になり、ディールス・
アルダー反応が進行しにくくなるおそれがある。
CPD類を使用すると、エキソ体DCPD類がCPD類
に分解しないために、ディールス・アルダー反応時に分
解したCPD類と反応して、下式(2)によりCPD3
量体が生成する。
0〜130℃)は、ディールス・アルダー反応の生成物
であるノルボルネン系モノマーの中で、特に、前記した
分子量150〜240のモノマーに沸点が近くて蒸留に
よる分離が困難なため、CPD3量体の生成が例え数モ
ル%の比較的少量であっても、反応生成物から該CPD
三量体を除去して目的とするノルボルネン系モノマーを
得ようとする場合、その収率は往々にして大幅な低下を
来す。また、精製が困難なため精製後のノルボルネン系
モノマーにCPD3量体がしばしば残留し、ノルボルネ
ン系モノマーを重合反応に使用すると、前記の架橋反応
を惹起して熱可塑性樹脂を製造する場合に障害となる。
本発明の方法によると、CPD3量体がほとんど生成し
ないので、目的とするノルボルネン系モノマーの生成率
が高く、また、簡便な精製によって高収率で単離できる
のである。また、分子量が150〜240のものより低
分子量の前記ノルボルネン系モノマーを本発明方法で得
た場合は、それらにはCPD3量体がほとんど含まれて
いないので、上記同様熱可塑性樹脂の製造に適する他、
ディールス・アルダー反応用ジエノフィルとしてDCP
D類と反応させ、高分子量のノルボルネン系モノマーを
高収率で製造するのに有効である。
ては、鎖状および環状の脂肪族ならびに芳香族のオレフ
ィンならびにジエンが含まれる。かかるジエノフィル化
合物の例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−
1、ブテン−2、イソブテン、ペンテン−1、ペンテン
−2、2−エチルプロピレン、3−ジメチルプロピレン
−1、3−ジメチルプロピレン−2、ヘキセン、オクテ
ン、デセン、ドデセンなどの脂肪族オレフィン類;ブタ
ジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン、
デカジエン、ドデカジエンなどの脂肪族ジエン類;シク
ロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどの脂
環族オレフィン類;シクロヘキサジエン、シクロオクタ
ジエンなどの脂環族ジエン類(CPD類を除く);スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニ
ル芳香族類;ジヒドロジシクロペンタジエン、NB、メ
チルノルボルネン、エチルノルボルネン、ブチルノルボ
ルネン、ジメチルノルボルネン、ビニルノルボルネンな
どのノルボルネン化合物(DCPD類を除く)などが挙
げられる。これらは1種または2種以上混合して使用す
ることができる。混合して使用する場合は、反応後に生
成物を蒸留で分離しやすいように、例えばエチレンとN
Bのように分子量が大きく離れているものの組み合わせ
であることが好ましい。上記ジエノフィル化合物は、一
般化して下式(3)で表すことができる。
互いに結合して環を形成する炭素数1〜20の炭化水素
基であり、該環は、水素原子、炭素原子、ハロゲン原
子、ケイ素原子、酸素原子、窒素原子からなる置換基を
有していてもよい。XおよびYは、水素原子または炭素
数1〜20の炭化水素基、または、ハロゲン原子、ケイ
素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を示
し、互いに結合して環を形成してもよい。
率が0.8重量%以下であるDCPD類を分解して得ら
れるCPD類と、ジエノフィル化合物とをディールス・
アルダー反応させることを含む。ジシクロペンタジエン
類とジエノフィル化合物の使用比率は、前者1モルに対
して後者2〜12モルが好ましく、より好ましくは5〜
9モルである。ジエノフィル化合物の使用量が過度に少
ないと、DCPD類が分解したCPD類相互の反応が優
先的に進行してCPD3量体を過剰に生成するおそれが
ある。逆に、ジエノフィル化合物の使用量が過度に多い
と、未反応のジエノフィル化合物が過剰に残存して目的
生成物の収率を低下させる可能性があるので好ましくな
い。
は、限定されず、通常のディールス・アルダー型の熱付
加反応と同様に行うことができる。反応の方法として
は、回分式の場合は、次に示す方法が挙げられる。例え
ば、DCPD類単独またはDCPD類とジエノフィル化
合物とを、窒素などの不活性ガス雰囲気下で反応させ
る。反応温度は、好ましくは120〜250℃、より好
ましくは130〜230℃、特に好ましくは150〜2
10℃の温度である。反応圧力は、好ましくは0.1M
Pa以上、より好ましくは0.2〜15MPaである。
反応時間は、好ましくは0.1〜4時間、より好ましく
は0.5〜3時間である。連続式(流通式)の場合は、
DCPD類とジエノフィル化合物を前記の使用比率で反
応器内に連続的に供給してディールス・アルダー反応を
行う。その際、両原料成分は、予め混合してから、ま
た、温度120〜140℃に予め加熱してから、反応器
に供給することが好ましい。反応温度および反応圧は上
記回分反応と同様の条件を、また、滞留時間は上記回分
反応の反応時間に相当する時間になるよう両原料成分の
供給速度を調整する。
0.8重量%以下であるDCPD類の分解生成物である
CPD類を使用するので、該CPD類と式(3)で表さ
れるジエノフィル化合物との間で下式(4)で表される
ディールス・アルダー反応が行われ、高い反応率でCP
D3量体の少ないノルボルネン系モノマーを生成するこ
とができる。本発明方法におけるCPD3量体の生成量
は、原料DCPD類に対して、通常、1.5モル%以
下、好ましくは1.0モル%以下、より好ましくは5,
000ppm以下である。
におけるA、B、XおよびYとそれぞれ同じ意味を有す
る。本発明におけるディールス・アルダー反応を例示す
る。CPDに対して、ジエノフィル化合物としてエチレ
ンを反応させる場合、ディールス・アルダー反応による
下式(5)が示すように、NBが生成する。
てブタジエンを反応させる場合は、ディールス・アルダ
ー反応により下式(6)が示すようにビニルノルボルネ
ンが生成する。
てNBを反応させる場合は、ディールス・アルダー反応
により下式(7)が示すようにTCDが生成する。
がさらにCPDと反応して、式(7)によってTCDが
微量副生する反応も起こり得ることを意味する。また、
CPDに対してジエノフィル化合物としてビニルノルボ
ルネンを反応させる場合は、ディールス・アルダー反応
により8−エチリデンテトラシクロドデセンが生成す
る。従って、式(6)の反応において、生成したビニル
ノルボルネンがさらにCPDと反応して8−エチリデン
テトラシクロドデセンが微量生成する反応も起こり得る
ことを意味する。このように、本発明方法による反応が
行われた後の成分組成としては、主成分の目的ノルボル
ネン系モノマーの他、場合により副生する微量の高次反
応生成物および未反応原料成分が含まれる。一般に、目
的のノルボルネン系モノマーと高次反応生成物とは分子
量が大きく異なるので沸点も離れているため(例えば、
NB:常圧下で96℃、TCD:219℃)、簡便な精
製蒸留によって単離することができる。
を精製する手順としては、先ず、未反応のCPD類およ
び炭素数2〜5の低級ジエノフィルを使用した場合はそ
れらを第1の蒸留塔で塔頂留分として分離する。第1の
蒸留塔は、塔頂部を圧力10〜90kPa、温度30〜
90℃に、塔底部を圧力20〜100kPa、温度70
〜180℃に条件設定することが好ましい。製造するノ
ルボルネン系モノマーが単独の場合は精製は1つの蒸留
塔で足りるが、複数のモノマーを製造したり、高次反応
生成物がある場合は、次いで、塔底留分を第2の蒸留塔
で精製する。第2の蒸留塔の条件としては、生成物の高
温による分解を避けるため通常、減圧度を強くして運転
する。塔頂部を圧力0.5〜15kPa、温度60〜1
20℃で、塔底部を圧力1〜20kPa、温度80〜1
50℃の範囲として、塔頂から目的のノルボルネン系モ
ノマーを、塔底から高次反応成分を留出するように調整
する。第2の蒸留塔の塔低留出成分が多い場合は、塔
頂、塔底の条件を途中の段でそれらを分離できるよう調
整する。
ノマーは、開環重合、付加重合などの公知の方法によっ
て熱可塑性の重合体の製造に利用することができる。開
環重合は、通常、重合触媒として、ルテニウム、ロジウ
ム、パラジウムのごとき白金族のハロゲン化物、硝酸塩
またはアセチルアセトン化合物と還元剤とからなる系、
または、チタン、バナジウム、モリブデン、タングステ
ンなどの遷移金属のハロゲン化物またはアセチルアセト
ン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるメタセシ
ス触媒を用い、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素などの
溶媒中で、温度−50〜100℃、圧力0〜5MPaに
て、1分〜100時間で行う。単量体の濃度は、溶液中
1〜50重量%が好ましい。DCPDのように開環重合
後も二重結合が残る場合は、耐熱性などの向上のために
有機溶媒の溶液中で水素化触媒を用いて水素化すること
も行われる。
はノルボルネン系モノマーと共重合可能なエチレン、プ
ロピレンなどα−オレフィンとの付加重合は、チタン、
ジルコニウム、またはバナジウムを含有する化合物と有
機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、−
50〜100℃、圧力0〜5MPaで重合する方法が採
られる。また、開環重合の1種に、DCPDのようなジ
オレフィンノルボルネン系モノマーにメタセシス重合触
媒を少なくとも含有する反応原液を成形型内に入れて塊
状重合することにより、架橋反応を伴った硬質成形体を
得る方法も可能である。
透明性、低吸水性などに優れるので射出成形、押出成
形、圧縮成形、インフレーション成形、キャスト成形な
どにより、光学レンズ、プリズム光拡散板、光ファイバ
ーなどの光学製品;液薬容器、アンプル、バイアル、医
療用輸液チューブなどの医療器材;抗吸湿変形精密機器
などに特に好適である。上記塊状重合によると、重合と
成形とが同時に行えるので、機器用ハウジング、浄化槽
などの大型容器;パーツ類などの精密機器部品などに利
用される。
を具体的に説明する。これらの例中の部数および%は、
特記しない限り重量基準である。各種測定は次の方法に
よった。 (1)DCPDのエキソ体含有率 ガスクロマトグラフィーによる。FDI検出器使用。 (2)ディールス・アルダー反応生成物の分析 ガスクロマトグラフィーによる。FDI検出器使用。
れ、温度115℃、圧力500kPaで2時間保持(エ
ージング)した。二量化反応により生成したDCPDの
エキソ体含有率が0.1%になったことを確認した後、
DCPD100部およびノルボルネン(NB)800部
を混合容器に入れて混合した。この混合液をオートクレ
ーブに直結した配管の途中で140℃に予備加熱し、エ
チレンで6MPaに加圧した該オートクレーブに定量ポ
ンプにて40部/hrで導入した。オートクレーブ内の
温度を210℃に制御し、エチレンはオートクレーブ圧
力が6MPaを維持するよう連続供給しつつ、ディール
ス・アルダー反応を進行させた。混合液のオートクレー
ブ内の滞留時間(反応時間)は30分以内とし、オート
クレーブの他方の配管から目的とする反応生成物を含む
反応液を40部/hrで取り出した。反応後の反応液を
第1蒸留塔(段数14)に送り、塔底部温度145℃、
塔頂部温度50℃、塔内圧力24kPaで精製して塔頂
から未反応DCPDを分け、次いで、塔底留分を第2蒸
留塔(段数18)にて、塔底部温度160℃、塔底部圧
力2.4kPa、塔頂部温度98℃、塔頂部圧力1.7
kPaで精製して、NBとTCDを分離した。反応結果
および精製結果を表1に記す。
0℃および150℃に変更し、DCPD類中のエキソ体
含有率を、それぞれ0.8%、1.0%及び1.2%に
変更した他は実施例1と同様の反応を計3種行った。そ
れぞれの反応結果および精製結果を表1に記す。
kPaで2時間保持(エージング)して得られたエキソ
体含有率0.78%のDCPDを用い、反応温度118
℃、滞留時間4時間とし、オートクレーブを初期は窒素
置換し、反応中はエチレン加圧を行わずに常圧で反応さ
せた他は実施例1と同様に行った。反応結果および精製
結果を表1に記す。比較例3 CPD(純度99.5%)を、温度145℃、圧力50
0kPaで2時間保持(エージング)して得られたエキ
ソ体含有率1.1%のDCPDを用いた他は実施例3と
同様に行った。反応結果および精製結果を表1に記す。
D3量体の量の、仕込みDCPD量に対するモル基準の
割合。 *2:DCPD未反応率(pモル%)は、残留したDC
PDおよび残留したCPDの重量の合計の、仕込みDC
PD重量に対する割合。 *3:TCD選択率(モル%)は、生成したTCDのモ
ル数の、変化したDCPDのモル数の2倍、即ち、仕込
みDCPDモル数×(100−p)×2除した割合。 *4:NB選択率は、存在するNBから未反応NBを減
じて求まる生成NBのモル数の、変化したDCPDのモ
ル数の2倍、即ち、仕込みDCPDモル数×(100−
p)×2で除した割合。未反応NBは、仕込みNBのモ
ル数から生成TCDのモル数を減じたモル数として求ま
る。 *5:TCD+NB生成率は、TCDおよびNBの生成
に与ったCPDのモル数を、変化したDCPDのモル数
2倍、即ち、仕込みDCPDモル数×(100−p)で
除した割合。TCD選択率とNB選択率の和に一致す
る。 *6:精製後TCD+NB収率は、CPD3量体の濃度
を5000ppmまでに低減する生成工程を経た後のT
CDおよびNBの生成率。
0.1%および0.8%であるDCPDを、エチレン加
圧下でNBとディールス・アルダー反応させると、CP
D3量体が生成せず、エチレンの影響でNBもモル比で
TCDの略半量生成し、両者の合計の生成率は99.2
%および98.2%と高い値となり、これらの精製後の
収率はTCD、NB合計で96.2%および95.3%
の高い値となった(実施例1および2)。これに対し
て、エキソ体の含有率が1.0%および1.2%と、
0.8%を超える量を含有するDCPDを用いると、C
PD3量体が各々3.4モル%、5.1モル%生成し、
TCDおよびNBの合計の生成率は数%づつ低下し、9
0モル%前後に低下した。精製前の生成率の低下度はさ
ほど大きくないものの、CPD3量体が数モル%生成し
たことによる精製の困難度の増加は大きく、そのため精
製後の収率は70モル%前後と大幅に低下した(比較例
1および2)。また、エキソ体含有量が0.78%と
1.1%のDCPDを用い、反応器をエチレン加圧をせ
ずに反応させた場合、前者(実施例3)ではCPD3量
体が生成せず、TCDのみを97.1モル%の選択率で
得、これを精製してTCDのみの収率で94.2モル%
の高い値を得た。しかし、後者(比較例3)ではCPD
3量体が7モル%生成したため、NBの副生はなくても
精製後のTCD収率は63.8%と低い値であった。実
施例3は、CPD3量体を生成せず、目的の精製TCD
を後収率で得られるという効果に加えて、本発明のもう
一つの効果を表わしている。それは、従来、TCDを得
ることが目的であっても、DCPDと反応させるジエノ
フィル化合物としてNBの他に実施例1、2のようにエ
チレンのごときオレフィンを加えてCPD3量体の生成
抑制を図る必要があり、そのためNBも副生した(特公
平1−60011号公報第6欄参照)。本発明によれ
ば、オレフィンの添加を必ずしも要さずに、CPD3量
体の副生なしにノルボルネン系モノマーを得ることがで
きた。
れ、温度を117℃、120℃、145℃および170
℃の4点に振り、圧力をいずれも500kPaとして各
2時間保持する4種の実験を行った。DCPDのエキソ
体含有率が各々0.4%、0.8%、1.1%および
1.4%であることを確認した後、それぞれDCPD1
00部およびインデン(以下、IDと記す。)200部
を混合容器に入れて混合した。これらの混合液をそれぞ
れ、窒素置換したオートクレーブに一方の配管から、流
路の途中で140℃に予熱させてから定量ポンプにて4
0部/hrで導入した。オートクレーブ内の温度を18
0℃に制御しつつ、オートクレーブの他方の配管から目
的とする反応生成物を含む反応液を40部/hrで取り
出した。滞留時間は各2時間であった。いずれも反応器
の圧力は常圧である。反応後の各反応液を実施例1と同
様にして蒸留塔2基で精製して、下式(8)により生成
する1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒド
ロフルオレン(MTF)を得た。反応結果および精製結
果を表2に記す。
化したDCPDのモル数の2倍、即ち、仕込みDCPD
モル数×(100−p)×2で除した割合。 *8:精製後MTF収率は、CPD3量体の濃度を50
00ppmまでに低減する生成工程を経た後のTCDお
よびNBの生成率。
8%以下であるDCPDを用いて反応器をエチレン加圧
をせずに反応させると、CPD3量体が生成せず、また
は0.2モル%の極めて微量の生成で済み、MTFを9
0モル%弱の高生成率で得ることができ、精製後のMT
Fも85モル%前後の高収率であった(実施例4、
5)。しかし、エキソ体含有量が0.8%を超えるDC
PDを用いると、CPD3量体が3〜6モル%生成した
ため、MTFの生成率が数モル%低下し、CPD3量体
の混入のため精製後のMTF収率は65%前後に大きく
低下した(比較例4、5)。
少ないノルボルネン系モノマーを簡便な操作で高収率で
得ることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 エキソ体の含有率が0.8重量%以下で
あるジシクロペンタジエン類を分解して得られるシクロ
ペンタジエン類と、ジエノフィル化合物とをディールス
・アルダー反応させることを含むノルボルネン系モノマ
ーの製造方法。 - 【請求項2】 シクロペンタジエン類を温度40〜13
0℃、圧力440〜640kPaにて二量化反応させて
エキソ体の含有率が0.8重量%以下であるジシクロペ
ンタジエン類を得、次いで該ジシクロペンタジエン類を
分解して得られるシクロペンタジエン類と、ジエノフィ
ル化合物とをディールス・アルダー反応させることを含
むノルボルネン系モノマーの製造方法。 - 【請求項3】 前記ジシクロペンタジエン類および前記
ジエノフィル化合物を反応器内に連続的に供給して反応
させる請求項1記載のノルボルネン系モノマーの製造方
法。 - 【請求項4】 シクロペンタジエン類を温度40〜13
0℃、圧力440〜640kPaにて二量化反応させて
得られる、エキソ体の含有率が0.8重量%以下である
ジシクロペンタジエン類。
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JP2003081889A (ja) * | 2001-09-11 | 2003-03-19 | Nippon Petrochemicals Co Ltd | 1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンの製造方法 |
JPWO2005023746A1 (ja) * | 2003-09-03 | 2007-11-01 | 日立化成工業株式会社 | ノルボルネン又はノルボルナン構造を有するジカルボン酸若しくはその誘導体の立体異性体を分離する方法 |
KR101074500B1 (ko) | 2008-01-25 | 2011-10-17 | 주식회사 엘지화학 | 비극성 알킬기를 포함하는 노보넨 단량체의 제조 방법 |
KR20160031412A (ko) | 2014-09-12 | 2016-03-22 | 제이에스알 가부시끼가이샤 | 블록 공중합체 및 그의 제조 방법 및 필름 |
-
2000
- 2000-12-05 JP JP2000369430A patent/JP4621348B2/ja not_active Expired - Fee Related
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