JP2003082073A - 環状オレフィン単量体組成物およびその製造方法ならびに環状オレフィン重合体組成物および環状オレフィン重合体水素化組成物 - Google Patents

環状オレフィン単量体組成物およびその製造方法ならびに環状オレフィン重合体組成物および環状オレフィン重合体水素化組成物

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JP2003082073A
JP2003082073A JP2001274788A JP2001274788A JP2003082073A JP 2003082073 A JP2003082073 A JP 2003082073A JP 2001274788 A JP2001274788 A JP 2001274788A JP 2001274788 A JP2001274788 A JP 2001274788A JP 2003082073 A JP2003082073 A JP 2003082073A
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cyclic olefin
cyclopentadiene
reaction
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composition
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JP2001274788A
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Takashi Suzuki
貴 鈴木
Yoshihisa Inomata
佳久 猪俣
Hitoshi Kogyo
均 光行
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度なオレフィン類とシクロペンタジエン
および/またはジシクロペンタジエンを用いることなく
ディールス・アルダー反応により得られる環状オレフィ
ン単量体組成物であって、光学特性および成形加工性に
優れた重合体や架橋重合体を安価に製造できる環状オレ
フィン単量体組成物の提供。 【解決手段】 石油留分の熱分解により得られる熱分解
油のうち沸点が特定の範囲の留分を主成分とする熱分解
油留分を単独の反応原料として、または前記熱分解油留
分とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタ
ジエンとを反応原料としてディールス・アルダー反応さ
せて得られる環状オレフィン単量体組成物により課題を
解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、石油留分の熱分解
により得られる熱分解油のうち特定の沸点範囲にある熱
分解油留分から製造される環状オレフィン単量体組成物
およびその製造方法ならびに環状オレフィン重合体組成
物および環状オレフィン重合体水素化組成物に関する。
本発明の環状オレフィン重合体組成物および環状オレフ
ィン重合体水素化組成物は、環状オレフィン単量体組成
物を開環メタセシス重合または付加型重合し、また開環
メタセシス重合物を水素化して得られるものであり、耐
熱性、耐衝撃性などの機械特性、透明性、低複屈折性、
耐候性、耐光性、低吸水性、耐湿性、低誘電率、低誘電
損失、成形加工性、耐薬品性等に優れ、電気絶縁材料、
電子部品、光学材料、医療用器材などに用いることがで
きる。
【0002】
【従来の技術】環状オレフィン(コ)ポリマ−は、優れ
た光学特性、高透明性や耐熱性、電気特性、機械特性等
を有するポリマ−として注目されており、その原料モノ
マーとしてノルボルネン類やテトラシクロドデセン類に
代表される環状オレフィンは有用である。ノルボルネン
類はオレフィン類とシクロペンタジエンおよび/または
ジシクロペンタジエンとを、またテトラシクロドデセン
類はオレフィン類とシクロペンタジエンおよび/または
ジシクロペンタジエンとノルボルネン類とをディ−ルス
・アルダ−反応させることにより製造されている。ノル
ボルネン類の製造法としては、例えば特開平1−306
419号公報等にスチレンなどのビニル芳香族化合物と
ジシクロペンタジエンとを加熱反応してフェニルノルボ
ルネンを得る方法が開示され、特表2000−5061
83号公報、特開2000−26330号公報、特開2
000−26331号公報にはインデンとジシクロペン
タジエンとの加熱反応により1,4−メタノ−1,4,
4a,9a−テトラヒドロフルオレンを製造する方法等
が開示されている。またテトラシクロドデセン類の製造
方法としては、例えば特開平3−128333号公報、
特開平6−9437号公報、特開平6−72909号公
報等に、シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペ
ンタジエンとノルボルネンとエチレンとを加熱混合し、
テトラシクロドデセンとノルボルネンを含む反応混合物
を得て、ノルボルネンを回収、循環させる方法が開示さ
れている。
【0003】上記の環状オレフィンの重合は、有機金属
錯体触媒を用いて行われるが、重合方法は大別して2つ
あげることができる。ひとつは、チグラー触媒やメタロ
セン触媒を用いた付加型重合で、環状オレフィンのオレ
フィン部位での単独重合または低級α−オレフィンとの
共重合が進行する。もうひとつは、メタセシス重合触媒
系を使用した開環メタセシス重合である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、上記の環状オレ
フィンをディールス・アルダー反応により製造する場
合、精製された高純度なオレフィン類とシクロペンタジ
エンおよび/またはジシクロペンタジエンを用いなけれ
ばならなかった。また、環状オレフィンを重合用モノマ
ーとするには、ディールス・アルダー反応混合物を精製
して特定の環状オレフィンを高純度で得る必要があっ
た。そのため、環状オレフィンの製造方法には制約があ
り、コストも高くならざるをえなかった。
【0005】本発明の第1の目的は、精製された高純度
なオレフィン類とシクロペンタジエンおよび/またはジ
シクロペンタジエンを用いることなくディールス・アル
ダー反応により得られる環状オレフィン単量体組成物で
あって、耐熱性、耐衝撃性などの機械特性、透明性、低
複屈折性、耐候性、耐光性、低吸水性、耐湿性、低誘電
率、低誘電損失、成形加工性、耐薬品性等に優れ、電気
絶縁材料、電子部品、光学材料、医療用器材などに用い
ることができる環状オレフィン重合体組成物および環状
オレフィン重合体水素化組成物を得ることができる環状
オレフィン単量体組成物を提供することであり、本発明
の第2の目的は、そのような環状オレフィン単量体組成
物を容易に低コストで製造する方法を提供することであ
り、本発明の第3の目的は、そのような製造方法によっ
て製造される環状オレフィン重合体組成物を提供するこ
とであり、本発明の第4の目的は、そのようにして製造
された環状オレフィン重合体組成物を水素化して得られ
る環状オレフィン重合体水素化組成物を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、工業的に
容易にかつ安価で大量に入手可能な石油留分の熱分解に
より得られる熱分解油のうち、特定の沸点範囲にある熱
分解油留分を単独の反応原料として、または該熱分解油
留分とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペン
タジエンとを反応原料としてディールス・アルダー反応
を行うことにより、環状オレフィン単量体組成物を製造
できることを見いだし、かつこの環状オレフィン単量体
組成物を用いて開環メタセシス重合または付加型重合を
行うことにより環状オレフィン重合体組成物を製造する
ことができ、かつこの環状オレフィン重合体組成物を水
素化することにより環状オレフィン重合体水素化組成物
を製造することができ、得られた重合体組成物および重
合体水素化組成物は光学材料などの各種用途に十分使用
可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明の請求項1は、石油留分の
熱分解により得られる熱分解油のうち沸点が140〜2
20℃の範囲の留分を主成分とする熱分解油留分を単独
の反応原料として、または前記熱分解油留分とシクロペ
ンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとを反
応原料としてディールス・アルダー反応させることによ
り得られることを特徴とする環状オレフィン単量体組成
物である。
【0008】本発明の請求項2は、請求項1に記載の環
状オレフィン単量体組成物において、シクロペンタジエ
ン3量体の含有量が5000ppm以下であることを特
徴とする。
【0009】本発明の請求項3は、石油留分の熱分解に
より得られる熱分解油のうち沸点が140〜220℃の
範囲の留分を主成分とする熱分解油留分を単独の反応原
料として、または前記熱分解油留分とシクロペンタジエ
ンおよび/またはジシクロペンタジエンとを反応原料と
して、前記反応原料においてディールス・アルダー反応
可能なモノオレフィン成分のモル数がシクロペンタジエ
ンのモル数の1/2とジシクロペンタジエンのモル数の
合計に対して1〜100倍モルであり、かつ反応温度1
00〜350℃、反応圧力0.1〜20MPa、滞留時
間1〜360分の条件下でディールス・アルダー反応を
行うことを特徴とする環状オレフィン単量体組成物の製
造方法である。
【0010】本発明の請求項4は、請求項1に記載の環
状オレフィン単量体組成物を開環メタセシス重合または
付加型重合することにより得られることを特徴とする環
状オレフィン重合体組成物である。
【0011】そして本発明の請求項5は、請求項4に記
載の開環メタセシス重合により得られる環状オレフィン
重合体組成物を水素化して得られることを特徴とする環
状オレフィン重合体水素化組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において使用する熱分解油留分は、原油、
灯軽油、ナフサ、ブタン等の石油留分の熱分解により得
られる熱分解油のうち、沸点が140〜220℃の範囲
にある成分を主成分とし、ディールス・アルダー反応可
能な炭素−炭素二重結合を有するモノオレフィン(以
下、モノオレフィン成分と称する。)と非ディールス・
アルダー反応性成分およびジシクロペンタジエン成分を
含むものである。該熱分解油留分は、通常の工業的な蒸
留により容易に得られるが、適宜に精密蒸留、多段蒸留
等を行うことにより得ることもできる。
【0013】また、上記熱分解油留分におけるモノオレ
フィン成分、非ディールス・アルダー反応性成分および
ジシクロペンタジエン成分の各組成は、熱分解する石油
留分の種類により異なるが、例えばナフサの熱分解油中
の沸点が140〜220℃の範囲にある留分を主成分と
する熱分解油留分は概ね以下のような組成である。モノ
オレフィン成分は、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン類や、インデ
ンおよびそのアルキル誘導体等である。それらの含有量
は、スチレンが0.1〜5質量%、α−メチルスチレン
が1〜5質量%、β−メチルスチレン(シス体とトラン
ス体の合計値)は1〜10質量%、ビニルトルエン類が
5〜30質量%、インデン類が5〜30質量%、その他
炭素数10ないし11のモノ不飽和成分が3〜20質量
%などであり、通常、これらの成分は合計で熱分解油留
分中に10〜90質量%存在する。熱分解油留分の沸点
が140℃未満あるいは220℃を超えると上記モノオ
レフィン成分組成が本発明の反応原料として不適になる
恐れがあるので、好ましくない。また、沸点が140℃
未満の熱分解油留分をディールス・アルダー反応の原料
として使用すると、得られる環状オレフィン単量体組成
物の重合により製造される重合体組成物の耐熱性等が低
下し、沸点が220℃を超える熱分解油留分を使用する
と、重合体組成物の成形加工性、透明性等の光学特性、
耐衝撃性等の機械特性および耐熱性等が低下し、いずれ
の場合も好ましくない。
【0014】非ディールス・アルダー反応性成分は、C
9 アルキルベンゼン類などのディールス・アルダー反応
性の2重結合をもたない炭化水素化合物が主であり、ト
リメチルベンゼン類、メチルエチルベンゼン類、インダ
ン、メチルインダン類、テトラメチルベンゼン類、ナフ
タレン等を含む。これらの成分は通常、熱分解油留分中
に合計で10〜90質量%存在し、反応には関与せず主
として溶剤の働きをなす。
【0015】ジシクロペンタジエン成分は、シクロペン
タジエン、メチルシクロペンタジエン、ジシクロペンタ
ジエンおよびそれらのアルキル誘導体等を含み、通常、
熱分解油留分中に合計で3〜30質量%存在する。ここ
でシクロペンタジエンおよびそのアルキル誘導体は、ジ
シクロペンタジエンあるいはそのアルキル誘導体が蒸留
塔内で熱分解することにより生成し、熱分解油留分に含
まれることがある。
【0016】また、熱分解油留分は、本発明の環状オレ
フィン単量体組成物の用途に応じて、特定の成分の含有
量を多くすることが可能であり、精密蒸留や多段蒸留に
より行うことができる。例えばビニルトルエン類やイン
デン類などある特定の成分の含有量を高めた熱分解油留
分を使用することもできる。例えば、熱分解油留分を理
論段数40段の蒸留塔で精留することにより、インデン
類の含有量を30〜60質量%にすることが可能であ
り、これを重合して得られる環状オレフィン重合体組成
物は優れた耐熱性を示す。また同様に、ビニルトルエン
類の含有量を30〜60質量%にすることも可能であ
り、これを重合して得られる環状オレフィン重合体組成
物は優れた成形加工性や酸化安定性等を示す。
【0017】本発明では、上記の熱分解油留分を単独で
ディールス・アルダー反応原料とすることができるが、
シクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエ
ンを混合して反応原料に用いることもできる。特に、ジ
シクロペンタジエンは、ナフサ等の熱分解油から回収さ
れ工業的に大量かつ安価に得られるので好ましい。シク
ロペンタジエンはジシクロペンタジエンの分解(シクロ
ペンタジエンの2量化によるジシクロペンタジエンの生
成と平衡)により生成し、ジシクロペンタジエン中にシ
クロペンタジエンが含まれていてもよい。ジシクロペン
タジエンは市販のものを使用することができ、純度70
%以上のものを使用することができる。通常は純度95
%程度のものが好適に用いられる。勿論、純度95%を
超えるものも使用することができる。またジシクロペン
タジエン中のエンド体含有量は80%以上であることが
好ましい。さらに、石油留分の熱分解油のうち、シクロ
ペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンを含
み、主として炭素数5のオレフィンまたはジオレフィン
からなる留分を使用することもできる。
【0018】本発明においては、上記の熱分解油留分を
単独の反応原料として、または上記の熱分解油留分とシ
クロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエン
とを反応原料として、加熱によりディールス・アルダー
反応を行う。本反応は主として、反応原料中のジシクロ
ペンタジエンの熱分解により生成するシクロペンタジエ
ンが、ディールス・アルダー反応可能なモノオレフィン
成分と付加反応することによって進行する。
【0019】ディールス・アルダー反応は、通常100
〜350℃の範囲で行い、好ましくは150〜300
℃、更に好ましくは180〜280℃の温度で行う。1
00℃よりも低温では反応が遅くなるため好ましくな
く、350℃よりも高温ではシクロペンタジエンの3量
体および4量体等(以下、シクロペンタジエン多量体と
称する。)や環状オレフィン単量体に更にシクロペンタ
ジエンが付加した化合物などの重質物(以下、シクロペ
ンタジエン付加重質物と称する。)の生成量が多くなる
ため好ましくない。
【0020】反応時間(滞留時間)は、通常1〜360
分、好ましくは10〜300分の範囲で行う。1分未満
では反応原料の転化率が低くなり、360分を超えると
シクロペンタジエン多量体およびシクロペンタジエン付
加重質物の生成量が多くなりいずれも好ましくない。ま
た、反応速度を大きくするため加圧下で反応を行うこと
が好ましい。圧力としては0.1〜20MPa、好まし
くは0.1〜10MPa、更に好ましくは0.1〜5M
Paである。0.1MPa未満では反応の進行が遅くな
り、20MPaを超えると反応の進行がそれ以上速くな
らずに反応器の耐圧性能等が過大になるなど経済的に不
利になりいずれも好ましくない。
【0021】反応原料中のモノオレフィン成分とシクロ
ペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンの量
は、シクロペンタジエンのモル数の1/2とジシクロペ
ンタジエンのモル数の合計値を1として、モノオレフィ
ン成分をその1〜100倍モルの割合、好ましくは5〜
70倍モル、更に好ましくは10〜50倍モルの量にな
るように調整する。ジシクロペンタジエン量が上記範囲
よりも少ない場合は環状オレフィン単量体組成物の収量
が少なくなるため好ましくなく、上記範囲よりも多い場
合はシクロペンタジエン多量体やシクロペンタジエン付
加重質物などの生成量が増えるため好ましくない。ま
た、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンを
上記範囲内で連続的または継続的に反応系中に供給する
ことができ、そうすることによってシクロペンタジエン
多量体やシクロペンタジエン付加重質物などの生成を抑
えることができるため好ましい。
【0022】反応原料は、そのままディールス・アルダ
ー反応に供することができるが、適当な溶媒を添加する
こともできる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン等の炭化水素化合物、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、ブタノール等のアルコール化合物、テト
ラヒドロフラン、エチルエーテル、プロピルエーテル、
1、4−ジオキサン等のエーテル化合物、酢酸エチル、
酢酸プロピル等のエステル化合物、塩化メチレン、クロ
ロホルム等の含ハロゲン化合物、N−メチルピロリドン
等の含窒素化合物、等を使用することができる。
【0023】上記の反応はバッチ式、セミバッチ式、連
続式いずれの形式で行ってもよい。連続式で行う場合の
反応器としては、完全混合型、ピストンフロ−型等いず
れの反応器であってもよく特に制限されない。ピストン
フロ−型反応器としては、ノリタケカンパニ−(株)製
「スタティックミキサ−」、住友重機械工業(株)製
「スル−ザ−ミキサ−」、櫻製作所(株)製「スケヤミ
キサ−」などの市販品があげられる。反応器は一つでも
よいが、二つ以上用いてもよく、完全混合型反応器やピ
ストンフロ−型反応器を直列または並列に組み合わせて
使用することができる。
【0024】また上記反応は、酸化防止剤、重合禁止剤
等の添加剤の存在下に行うことができる。添加剤として
は、例えば、ハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチ
ルフェノール、4−tert−ブチルカテコール、2,6−
ジ−tert−ブチル−p−クレゾ−ル、4−メトキシフェ
ノ−ル等のフェノ−ル系化合物、N,N−ジメチルヒド
ロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン
等のヒドロキシルアミン化合物などが好適に用いられ
る。その添加量は、反応器中に供給される反応原料の全
量に対して、通常10〜10000ppm、好ましくは
50〜5000ppmの範囲である。また反応終了後
に、環状オレフィン単量体組成物に対しても50〜50
00ppmの範囲で好ましく添加することができる。
【0025】上記のディールス・アルダー反応によっ
て、目的とする環状オレフィン単量体組成物を含んだ反
応混合物が得られる。環状オレフィン単量体組成物の組
成は、反応原料である沸点140〜220℃の範囲の熱
分解油留分において熱分解する石油系炭化水素類の種類
(例えば、原油、灯軽油、ナフサ、ブタン等)により変
化する。例えばナフサの熱分解油中の沸点140〜22
0℃の範囲の熱分解油留分を反応原料に用いた場合は概
ね以下のようである。すなわち、スチレンやそのアルキ
ル誘導体であるα−メチルスチレンあるいはβ−メチル
スチレンがシクロペンタジエンとディールス・アルダー
反応して生成したフェニルノルボルネンおよびメチルフ
ェニルノルボルネン類が1〜10質量%、ビニルトルエ
ン類やインデンあるいはそのアルキル誘導体等がシクロ
ペンタジエンとディールス・アルダー反応して生成した
トリルノルボルネン類、1,4−メタノ−1,4,4
a,9a−テトラヒドロフルオレンおよびそのアルキル
誘導体が5〜90質量%、その他炭素数15ないし16
のノルボルネン誘導体成分が3〜20質量%等である。
また、前記の熱分解油留分を例えば理論段数40段の蒸
留塔で精留してインデン類の濃度を30〜60質量%に
した熱分解留分や、ビニルトルエン類の濃度を30〜6
0質量%にした熱分解油留分を反応原料に用いた場合の
ディールス・アルダー反応混合物中における環状オレフ
ィン単量体組成物の組成は、ビニルトルエン類やインデ
ンあるいはそのアルキル誘導体等がシクロペンタジエン
とディールス・アルダー反応して生成したトリルノルボ
ルネン類、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テト
ラヒドロフルオレンおよびそのアルキル誘導体が30〜
95質量%である。
【0026】上記反応混合物には環状オレフィン単量体
組成物の他に、未反応のモノオレフィン成分、未反応の
シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン、非デ
ィールス・アルダー反応性成分、溶媒を使用した場合に
はその溶媒、さらにはシクロペンタジエン多量体および
シクロペンタジエン付加重質物などの副生成物も含まれ
ている。
【0027】反応混合物は次に精製工程に供され、未反
応の原料、溶媒、副生物等が除去されて、本発明の環状
オレフィン単量体組成物が得られる。精製は、蒸留によ
り行うのが工業的に最も好ましい。蒸留は常圧、減圧の
いずれでも行うことができるが減圧下で行うことが好ま
しい。蒸留塔の塔底温度は、300℃を超えない温度、
好ましくは250℃を超えない温度、より好ましくは2
00℃を超えない温度で、減圧条件を設定することが望
ましい。前記温度範囲外では、本発明の環状オレフィン
単量体組成物が熱的に比較的不安定なため一部熱分解を
起こして収率が低下し、またシクロペンタジエン多量体
やシクロペンタジエン付加重質物などの分解反応や重合
反応が進行するため好ましくない。また蒸留はバッチ
式、セミバッチ式および連続式のいずれの方式で行って
もよい。蒸留塔の数は1つでも複数でもよく特に制限は
ない。
【0028】精製工程で回収された未反応のモノオレフ
ィン成分、未反応のシクロペンタジエンおよびジシクロ
ペンタジエン、非ディールス・アルダー反応性成分およ
び反応溶媒等は、ディールス・アルダー反応に再使用す
ることができる。また、シクロペンタジエン多量体およ
びシクロペンタジエン付加重質物なども、加熱により分
解してシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペン
タジエンを生成することから、反応原料として再使用す
ることもできる。
【0029】蒸留により留出した環状オレフィン単量体
組成物に、熱分解によって生成したシクロペンタジエ
ン、ジシクロペンタジエンおよびモノオレフィン成分等
の軽質留分が含まれている場合は、必要に応じて適宜に
再蒸留し、軽質留分を留出させて環状オレフィン単量体
組成物を精製することもできる。この時回収される軽質
留分がモノオレフィン成分を高濃度で含有している場
合、蒸留により例えばインデン等のモノオレフィンを高
純度で単離することが可能であり、またディールス・ア
ルダー反応に再使用することもできる。
【0030】また、環状オレフィン単量体組成物とシク
ロペンタジエン3量体は沸点が近いため、蒸留条件によ
っては環状オレフィン単量体組成物中にシクロペンタジ
エン3量体が含まれる場合がある。シクロペンタジエン
3量体は下記式(1)および式(2)で示される2種類
の成分の混合物で、何れも環状オレフィン部位を2個有
しているため、重合を行うときに架橋成分となり得る。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】よって、環状オレフィン単量体組成物を開
環メタセシス重合または付加型重合させて熱可塑性重合
体を製造する場合には、架橋反応による実質的なゲルの
生成を防ぐため極力シクロペンタジエン3量体を混入さ
せないようにすることが好ましく、含有量は5000p
pm以下にすることが好ましい。このようにすることに
より、該重合体の実質的な光学特性や成形加工性などの
低下を防ぐことができる。一方、反応射出成形法(RI
M)などにより架橋重合体を製造する場合はこの限りで
なく、必要に応じて環状オレフィン単量体組成物に適宜
シクロペンタジエン3量体を含有させることができる。
【0034】以上のようにして製造される本発明の環状
オレフィン単量体組成物は、公知の方法により重合する
ことができる。開環メタセシス重合を行なう場合は、例
えば、特開平9−183832号公報、特開平8−15
1435号公報、特開平5−43663号公報、特開平
1−172422号公報、特開平1−172421号公
報、特開平1−168725号公報、特開平1−168
724号公報、特開昭60−26024号公報などで開
示されているような方法で行うことができる。具体的に
は例えば(a)遷移金属化合物触媒成分からなるメタセ
シス重合触媒と(b)金属化合物助触媒成分から成る活
性化剤の2成分の触媒系を用いる方法である。
【0035】メタセシス重合触媒(a)は、周期律表第
IVB、VB、VIB、VIIB、またはVIII族の
遷移金属の化合物であり、これら遷移金属のハロゲン化
物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、ア
ルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセト
ネート、カルボニル錯体、アセトニトリル錯体、ヒドリ
ド錯体、これらの誘導体、これらのホスフィン化合物等
の錯化剤による錯化物が挙げられる。
【0036】活性化剤(b)としては、周期律表第I
A、IIA、IIB、IIIA、またはIVA族の金属
の化合物で、少なくとも一つの金属元素−炭素結合また
は金属元素−水素結合を有するものであり、例えば、A
l、Sn、Li、Na、Mg、Zn、Cd、Bなどの有
機化合物が挙げられる。また、メタセシス重合活性を高
めるために、(a)、(b)両成分の他に、脂肪族第三
級アミン、芳香族第三級アミン、分子状酸素、アルコー
ル、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸ク
ロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合
物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他ルイス酸
等を加えることができる。更に分子量を制御するために
エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、スチ
レン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテ
ン、ヘキサジエンなどのオレフィンを添加してもよい。
【0037】また、その他の触媒として周期律表第IV
B、VB、VIB、VIIB、またはVIII族の遷移
金属のカルベン錯体やメタラシクロブテン錯体も使用す
ることができる。
【0038】上記の触媒系を用いて、本発明の環状オレ
フィン単量体組成物を単独で、またはノルボルネン類、
ジシクロペンタジエン類、テトラシクロドデセン類など
のノルボルネン環を有する多環の環状オレフィン類や単
環の環状オレフィン類、環状ジオレフィン類の少なくと
も1種類以上と混合して重合することにより、本発明の
環状オレフィン重合体組成物を得ることができる。
【0039】開環メタセシス重合により得られる重合体
組成物は、主鎖にオレフィン構造を含むものであり、オ
レフィンの一部あるいは全部を水素化して重合体水素化
組成物とすることによって、耐熱劣化性や耐光性を改善
することができる。水素化反応の触媒としては、ニッケ
ル、パラジウム、白金などの貴金属をアルミナ、ケイソ
ウ土等の担体に担持・分散させた不均一系触媒が使用さ
れる。また均一系の水素化触媒として、遷移金属化合物
とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒系、例
えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム系、ニッ
ケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウ
ム系、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム系、
ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム系、
テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム系、
その他、ウィルキンソン錯体のクロロトリス(トリフェ
ニルホスフィン)ロジウム(I) 等も使用することがで
きる。水素圧力は0.1〜20MPa、温度は0〜20
0℃で行われる。また重合体の分子内に芳香環を有する
場合は、芳香環の一部あるいは全部を同時に核水素化す
ることもできる。
【0040】また、反応射出成形法(RIM)、すなわ
ち、メタセシス重合性環状オレフィンおよびメタセシス
重合触媒からなるモノマー液(A)と、メタセシス重合
性環状オレフィンとおよび性化剤からなるモノマー液
(B)とを混合し、直ちに金型に注入して金型内におい
て重合架橋させる架橋重合体成形物の製造において、本
発明の環状オレフィン単量体組成物をモノマー液に用い
ることができる。一方、環状オレフィン単量体組成物の
単独での付加型重合、あるいは低級α−オレフィンとの
付加型共重合は、メタロセン触媒やチーグラー触媒を用
いて行なうことができる。メタロセン触媒を用いる場合
は、例えば特開平3−45612号公報、特開平2−1
73112号公報、特開平4−63807号公報、特開
昭64−106号公報、特開昭61−221206号公
報などに開示されている方法で行うことができる。具体
的には、周期律表のIVB、VB、またはVIB族から
成る遷移金属化合物成分(c)と有機アルミニウムオキ
シ化合物成分(b)からなる触媒系を用いる方法であ
る。遷移金属化合物成分(c)は、少なくとも2個のシ
クロアルカジエニル基またはその置換体、あるいはそれ
らが炭化水素基、シリレン基または置換シリレン基を介
して結合した多座配位性化合物を配位子とした化合物が
挙げられる。有機アルミニウムオキシ化合物成分(d)
は、下記の一般式(3)および一般式(4)で表される
化合物であり、式中の炭化水素基Rは具体的には、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などである。
【0041】
【化3】
【0042】
【化4】
【0043】また、チーグラー触媒を用いる場合は、例
えば特開平9−176396号公報、特開昭62−25
2406号公報、特開昭62−252407号公報など
に開示されている方法で行うことができる。具体的に
は、チタン化合物またはバナジウム化合物と有機アルミ
ニウム化合物とから形成される触媒系を用いて、本発明
の環状オレフィン単量体組成物とエチレン等のα−オレ
フィンとを共重合させることができる。
【0044】本発明の環状オレフィン単量体組成物の付
加型重合を行う場合にも、前述のように他の種類のオレ
フィン化合物、たとえばノルボルネン類、ジシクロペン
タジエン類およびテトラシクロドデセン類と共重合する
ことが可能である。
【0045】
【実施例】以下、本発明について実施例および比較例を
挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例
により何ら限定を受けるものではない。なお以下に記載
の%は特に言及しない限り質量%である。 (実施例1) (環状オレフィン単量体組成物の製造)ナフサの熱分解
油を蒸留し、沸点140〜220℃の範囲の成分を主と
する下記組成の熱分解油留分を得た。この熱分解油留分
1000g当たりトルエン300gを混合したものを反
応原料に用いた。 シクロペンタジエンおよびメチルシクロペンタジエンの合計量 0.0% スチレン 0.3% α−メチルスチレン 3.3% β−メチルスチレン(シス体、トランス体の合計量) 7.4% ビニルトルエン 24.4% インデン 22.1% 炭素数10のモノオレフィン類 5.0% C9 アルキルベンゼン類の合計量 36.2% ジシクロペンタジエン 6.3% メチルジシクロペンタジエン 2.7%
【0046】電磁誘導式攪拌器を備えた100mlオー
トクレーブに反応原料を連続的に導入し、圧力5.0M
Pa、反応温度190℃、空間速度2h-1として、反応
混合物を連続的に抜き出しながらディールス・アルダー
反応を5時間行った。反応混合物は圧力0.13kP
a、還流比10の条件下でバッチ形式の減圧蒸留を行
い、79〜105℃の留分の環状オレフィン単量体組成
物27gを得た。この留分をガスクロマトグラフィーで
分析した結果、フェニルノルボルネンおよびメチルフェ
ニルノルボルネン類5.2%、トリルノルボルネン類お
よび1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒド
ロフルオレン82.9%、炭素数15のノルボルネン誘
導体成分11.5%が含まれ、シクロペンタジエン3量
体が3900ppm含まれていた。
【0047】(環状オレフィン重合体組成物の製造)撹
拌羽根を取付けた2リットルの三つ口フラスコに、窒素
雰囲気下で乾燥したトルエン1000mlを導入し、さ
らにジクロロエトキシオキソバナジウム1mmolと、
先に合成した環状オレフィン単量体組成物10gを加え
た。この溶液を撹拌しながら、エチレンと窒素の混合ガ
ス(モル比は、エチレン/窒素=1/5)を200リッ
トル/hの流量で溶液中にバブリングした。ここにエチ
ルアルミニウムセスキクロリド10mmolを滴下して
重合を開始し、5℃で20分間重合を行った。メタノー
ル40mlを加えて重合を停止し、重合混合物を3リッ
トルのメタノールに注ぎ共重合体を析出させた。析出し
た共重合体をろ過後に減圧乾燥し、240℃で厚さ1 m
mのプレスシートを作成したところ、均質の透明なシー
トが得られ何らゲル状のものは観測されなかった。
【0048】(実施例2) (環状オレフィン単量体組成物の製造)実施例1で使用
した熱分解油留分を精密蒸留することにより下記組成の
熱分解油留分を得た。 シクロペンタジエンおよびメチルシクロペンタジエンの合計量 0.9% スチレン 0.3% α−メチルスチレン 0.7% β−メチルスチレン(シス体、トランス体の合計量) 9.5% ビニルトルエン 13.6% インデン 42.5% 炭素数10のモノオレフィン類 13.3% C9 アルキルベンゼン類の合計量 16.5% ジシクロペンタジエン 1.5% メチルジシクロペンタジエン 1.2%
【0049】この熱分解油留分1600g当たり、純度
95%のジシクロペンタジエン450gおよびトルエン
300gを混合したものを反応原料として、実施例1と
同様にディールス・アルダー反応を行った。反応混合物
は圧力0.13kPa、還流比20の条件下で減圧蒸留
を行い、84〜108℃の留分の環状オレフィン単量体
組成物41gを得た。この留分をガスクロマトグラフィ
ーで分析した結果、フェニルノルボルネンおよびメチル
フェニルノルボルネン類0.7%、トリルノルボルネン
類および1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラ
ヒドロフルオレン91.2%、炭素数15のノルボルネ
ン誘導体成分7.9%が含まれ、シクロペンタジエン3
量体が1300ppm含まれていた。
【0050】(環状オレフィン重合体組成物の製造)こ
の環状オレフィン単量体組成物20g、ノルボルネン
2.5g、ジシクロペンタジエン2.5gおよびトルエ
ン200mlを十分に乾燥した500mlオートクレー
ブに導入した。これにトリエチルアルミニウム3mmo
lを加え、更に四塩化チタン0.7mmolとトリエチ
ルアミン7mmolを加えて30℃で6時間、開環重合
を行った。重合混合物をアセトンとイソプロピルアルコ
ールの混合液に注いでポリマーを析出させ、得られたポ
リマーを再びトルエンに溶解し再沈澱の操作を2度繰返
し、減圧乾燥を行って開環共重合ポリマー22gを得
た。
【0051】(環状オレフィン重合体水素化組成物の製
造)次に200mlのオートクレーブに0.5%パラジ
ウムカーボン0.4%、トルエン100mlおよび開環
共重合ポリマー4gを加えた。水素ガスの圧力を5.0
MPaとし、温度30℃で2時間水素化反応を行った。
反応終了後、触媒をろ過し、メタノール中に再沈澱し
た。得られた共重合体を減圧乾燥し、350℃で厚さ1
mmのプレスシートを作成したところ、均質の透明なシ
ートが得られ、何らゲル状のものは観測されなかった。
【0052】(比較例1) (環状オレフィン単量体組成物の製造)実施例2で使用
した熱分解油留分1600g当たり、純度95%のジシ
クロペンタジエン1600gおよびトルエン300gを
混合したものを反応原料とした以外は実施例1と同様に
ディールス・アルダー反応を行った。反応混合物は圧力
0.13kPa、還流比15の条件下で減圧蒸留を行
い、85〜113℃の留分の環状オレフィン単量体組成
物117gを得た。この留分をガスクロマトグラフィー
で分析した結果、フェニルノルボルネンおよびメチルフ
ェニルノルボルネン類2.4%、トリルノルボルネン類
および1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒ
ドロフルオレン82.2%、炭素数15のノルボルネン
誘導体成分10.4%が含まれ、シクロペンタジエン3
量体が49300ppm含まれていた。
【0053】(環状オレフィン重合体組成物の製造)こ
の環状オレフィン単量体組成物を使用した以外は実施例
1と同様にエチレンとの共重合を行い、プレスシートを
作成した。シートにはゲルの存在が確認され、このゲル
を切り出してホットプレート上で300℃まで加熱した
が溶融しなかった。
【0054】(比較例2) (環状オレフィン重合体組成物および重合体水素化組成
物の製造)比較例1で使用した環状オレフィン単量体組
成物を使用した以外は、実施例2と同様に開環重合およ
び水素化反応を行ってポリマーを得た。これを用いて作
成したプレスシートにはゲル状のものが観測された。
【0055】(実施例3) (反応射出成形法による架橋重合体の製造)比較例1で
使用した環状オレフィン単量体組成物を、反応射出成形
法(RIM)により架橋重合体を製造した。まず下記の
組成で、メタセシス重合性環状オレフィンとメタセシス
重合触媒からなるモノマー液(溶液A)と、メタセシス
重合性環状オレフィンと活性化剤からなるモノマー液
(液溶液B)をそれぞれ窒素雰囲気下で調製した。
【0056】 溶液A:純度99%ジシクロペンタジエン 14.0g 環状オレフィン単量体組成物 6.0g エチレンプロピレンジエンターポリマー(三井化学(株)製) 20mg ジエチレングリコールジメチルエーテル 15mg WC104 29mg 4−ノニルフェノール 37mg 4,4’−メチレンビス( 2,6−ジ−tert−ブチルフェノール) 400mg
【0057】 (B)溶液:純度99%ジシクロペンタジエン 14.0g 環状オレフィン単量体組成物 6.0g ジエチレングリコールジメチルエーテル 222mg トリイソブチルアルミニウム( 1.0Mトルエン溶液) 128mg
【0058】次いで窒素雰囲気下で、溶液Aおよび溶液
Bを100mlフラスコ内に注ぎ5秒間撹拌した。この
混合液を直ちに30℃のステンレス製金型(直径90m
m)に注いだ。そのまま30分間放置した後に金型から
取り出したところ、架橋重合体成形物が得られた。
【0059】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の環状オレフィン
単量体組成物は、精製された高純度な環状オレフィン類
とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジ
エンを用いることなくディールス・アルダー反応により
得られる安価な環状オレフィン単量体組成物であって、
開環メタセシス重合または付加型重合することにより耐
熱性、耐衝撃性などの機械特性、透明性、低複屈折性、
耐候性、耐光性、低吸水性、耐湿性、低誘電率、低誘電
損失、成形加工性、耐薬品性等に優れ、電気絶縁材料、
電子部品、光学材料、医療用器材などに用いることがで
きる熱可塑性あるいは熱硬化性重合体を製造できる環状
オレフィン重合体組成物を提供でき、またこの環状オレ
フィン重合体組成物を水素化することにより熱可塑性重
合体を製造できる環状オレフィン重合体水素化組成物を
提供できるという顕著な効果を奏する。
【0060】本発明の請求項2記載の環状オレフィン単
量体組成物は、請求項1記載の環状オレフィン単量体組
成物において、シクロペンタジエン3量体の含有量が5
000ppm以下であるので、請求項1記載の環状オレ
フィン単量体組成物と同じ効果を奏する上、重合時の架
橋反応による実質的なゲルの生成を防止して熱可塑性重
合体を製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0061】本発明の請求項3記載の環状オレフィン単
量体組成物の製造方法により、環状オレフィン単量体組
成物を容易に低コストで製造することができるという顕
著な効果を奏する。
【0062】本発明の請求項4は、請求項1に記載の環
状オレフィン単量体組成物を開環メタセシス重合または
付加型重合することにより得られる環状オレフィン重合
体組成物であり、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性などの
機械特性、透明性、低複屈折性、耐候性、耐光性、低吸
水性、耐湿性、低誘電率、低誘電損失、成形加工性、耐
薬品性等に優れ、電気絶縁材料、電子部品、光学材料、
医療用器材などに用いることができるという顕著な効果
を奏する。
【0063】本発明の請求項5は、請求項4に記載の開
環メタセシス重合により得られる環状オレフィン重合体
組成物を水素化して得られる環状オレフィン重合体水素
化組成物であり、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性などの
機械特性、透明性、低複屈折性、耐候性、耐光性、低吸
水性、耐湿性、低誘電率、低誘電損失、成形加工性、耐
薬品性等にさらに優れ、電気絶縁材料、電子部品、光学
材料、医療用器材などに好適に用いることができるとい
う顕著な効果を奏する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J032 CA25 CA33 CA34 CA38 CA67 CA68 CC03 CD02 CD03 CD04 CD05 CD09 CF01 CG01 CG02 CG07 4J100 AR01P AR09P AR15P AR17P AR22P CA01 CA03 CA31 HA03 HB02 HD22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石油留分の熱分解により得られる熱分解
    油のうち沸点が140〜220℃の範囲の留分を主成分
    とする熱分解油留分を単独の反応原料として、または前
    記熱分解油留分とシクロペンタジエンおよび/またはジ
    シクロペンタジエンとを反応原料としてディールス・ア
    ルダー反応させることにより得られることを特徴とする
    環状オレフィン単量体組成物。
  2. 【請求項2】 シクロペンタジエン3量体の含有量が5
    000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記
    載の環状オレフィン単量体組成物。
  3. 【請求項3】 石油留分の熱分解により得られる熱分解
    油のうち沸点が140〜220℃の範囲の留分を主成分
    とする熱分解油留分を単独の反応原料として、または前
    記熱分解油留分とシクロペンタジエンおよび/またはジ
    シクロペンタジエンとを反応原料として、前記反応原料
    においてディールス・アルダー反応可能なモノオレフィ
    ン成分のモル数がシクロペンタジエンのモル数の1/2
    とジシクロペンタジエンのモル数の合計に対して1〜1
    00倍モルであり、かつ反応温度100〜350℃、反
    応圧力0.1〜20MPa、滞留時間1〜360分の条
    件下でディールス・アルダー反応を行うことを特徴とす
    る環状オレフィン単量体組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の環状オレフィン単量体
    組成物を開環メタセシス重合または付加型重合すること
    により得られることを特徴とする環状オレフィン重合体
    組成物。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の開環メタセシス重合に
    より得られる環状オレフィン重合体組成物を水素化して
    得られることを特徴とする環状オレフィン重合体水素化
    組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009256504A (ja) * 2008-04-18 2009-11-05 Jsr Corp 射出成形体形成用樹脂組成物および射出成形体

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