JP2002172854A - インクジェット用受像シート - Google Patents

インクジェット用受像シート

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JP2002172854A
JP2002172854A JP2000374308A JP2000374308A JP2002172854A JP 2002172854 A JP2002172854 A JP 2002172854A JP 2000374308 A JP2000374308 A JP 2000374308A JP 2000374308 A JP2000374308 A JP 2000374308A JP 2002172854 A JP2002172854 A JP 2002172854A
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JP2000374308A
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Akihisa Nakajima
彰久 中島
Eiichi Ueda
栄一 上田
Yasuyuki Motokui
康之 元杭
Ikuo Kurachi
育夫 倉地
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 搬送性に優れたインクジェット用受像シー
ト、特に医用診断に用いられるインクジェット用受像シ
ートを提供すること。 【解決手段】 プラスチックフィルムの片面にインク受
容層及びその裏面に背面層を有するインクジェット用受
像シートにおいて、該背面層のベック平滑度が0.1〜
150秒であることを特徴とするインクジェット用受像
シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搬送性に優れたイ
ンクジェット用受像シートに関し、特に医用診断に用い
られるインクジェット用受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液
滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シート
に付着させ、画像・文字等の記録を行うものであるが、
比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有
している。この方式で従来から問題となっていたノズル
の目詰まりとメンテナンスについては、インク及び装置
の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファ
クシミリ、コンピューター端末等、さまざまな分野に急
速に普及している。
【0003】このインクジェット記録方式で使用される
受像シートは、搬送性に優れていること、印字ドットの
濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インクの吸
収が早く印字ドットが重なった場合にもインクが流れ出
したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡
散が必要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけ
ないこと等が要求される。
【0004】従来、これらの問題を解決するために、非
常に多くの技術が提案されている。例えば、特開昭52
−53012号に記載されている低サイズ原紙に表面加
工用の塗料を湿潤させた受像シート、特開昭55−58
30号に記載されている支持体表面にインク吸収性の塗
布層を設けた受像シート、特開昭56−157号に記載
されている被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含
有する受像シート、特開昭57−107878号に記載
されている無機顔料と有機顔料を併用した受像シート、
特開昭58−110287号に記載されている2つの空
孔分布ピークを有する多孔質層からなる受像シート、特
開昭62−111782号に記載されている上下2層の
多孔質層からなる受像シート、特開昭62−14947
5号等に記載されている微粉末層を有する受像シート、
特開平3−27976号等に記載されている特定の物性
値を有する顔料や微粒子シリカを含有する受像シート等
が知られている。
【0005】一方、人体の内部の画像を与える検査法と
して、超音波検査、医療サーモグラフィ、磁気共鳴画像
形成、陽電子放出断層撮影法(PET)及びX線等の放
射線を使用する方法がある。さらにデジタルの形で診断
評価に好適な画像を提供する医用画像の例としては、デ
ジタル減算方式血管造影法、磁気共鳴画像形成法、コン
ピューター断層撮影法、コンピューター使用放射線写真
等が挙げられる。これらの医用画像は、デジタル情報と
して取り出すことができるので、近年、銀塩写真に近似
の画像を出力できるインクジェット印刷法により出力さ
れるシステムが提案されてきている。
【0006】特に医療診断では、画像を正確に出力する
(搬送不良があると用紙が曲がった状態で印刷されるこ
とがある)ことが要求され、さらに画像評価のため腰が
必要とされ、支持体自身が分厚く重いため、搬送性、特
にジャミング、斜行、重送等搬送不良が発生し易くそれ
に対応する技術が求められてきた。これら搬送性に起因
する問題点を改良する技術として、特開平6−2783
57号や特開2000−190620号等のように、イ
ンクジェット受像紙の表裏の摩擦係数を規定する提案が
なされているが、医療用のメディアとして信頼して使用
されるためには、該特許よりさらに搬送性を向上し、搬
送不良は0.2%以下にする必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、搬送
性に優れたインクジェット用受像シート、特に医用診断
に用いられるインクジェット用受像シートを提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は以下
の手段により達成される。
【0009】1.プラスチックフィルムの片面にインク
受容層及びその裏面に背面層を有するインクジェット用
受像シートにおいて、該背面層のベック平滑度が0.1
〜150秒であることを特徴とするインクジェット用受
像シート。
【0010】2.プラスチックフィルムの片面にインク
受容層及びその裏面に背面層を有するインクジェット用
受像シートにおいて、該背面層の23℃、55%RHに
おけるスムースター値が0.65〜55kPaであるこ
とを特徴とするインクジェット用受像シート。
【0011】3.プラスチックフィルムの片面にインク
受容層を有するインクジェット用受像シートにおいて、
該プラスチックフィルムの750cm2当たり、80μ
mを越える異物が0個、10〜80μmの異物が0〜5
0個であることを特徴とするインクジェット用受像シー
ト。
【0012】4.医用診断に用いられることを特徴とす
る上記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用
受像シート。
【0013】以下、詳細に本発明を説明する。本発明者
は鋭意研究の結果、ベック平滑度またはスムースター値
で表される背面層(インク受容層の裏面)のマット度を
特定範囲に限定することにより、搬送性に優れたインク
ジェット用受像シートが得られることを見出した。本発
明により、搬送不良は0.2%以下に改善され、医療用
のメディアとして十分信頼して使用できる。
【0014】また、インクジェット用受像シートの支持
体であるプラスチックフィルムを製造する際に発生する
異物は、溶融、押出時にフィルターである大きさ以上の
異物は除去されるが、小さな異物はなお補集されずに支
持体中に残る。これらの異物は、延伸の影響を受けて支
持体表面に出てくるため、このプラスチックフィルムを
インクジェット用受像シートの支持体として用いた場合
には、インクジェット用受像シート背面層のマット度に
影響を与える。特にマット剤より大きい異物は搬送性に
影響し、減少または除去することが必要である。
【0015】本発明のインクジェット用受像シートは、
支持体の片側にインクジェット受像層を有し、その裏面
に背面層を有する、いわゆる片面受像シートである。以
下、背面層について説明する。
【0016】《背面層》 (マット度)本明細書において、マット度とはいわゆる
「表面粗さ」の度合いを表すものである。ここで表面粗
さとは、小さい間隔で起こる表面の凹凸による粗さであ
り、通常感覚的に「つるつる」、あるいは「ざらざら」
していると認める感覚のもとになるものである。
【0017】搬送性のため、なぜ背面層のマット度が重
要であるかといえば、インクジェット用受像シートのイ
ンク受容層に搬送性のためマット剤を多く使用すると、
マット剤のある部分でインクがはじかれ、星屑状の故障
につながる可能性が高く、特に医療診断に用いる場合に
は不適であり、インク受容層のマット剤使用量には限界
があるからである。
【0018】かかるマット度の測定法は種々あり、表面
粗さ計、光学顕微鏡、走査電子顕微鏡等による表面形態
観察法がある。また、ベック平滑度、スムースター値は
下記のような方法で測定するマット度の指標である。
【0019】ベック平滑度は、JIS P 8119に
記載されている方法である。ベック平滑度は、有効面積
10cm2の平面板を9.8N/cm2の圧力で被測定面
に押しつけたとき、ほぼ49kPaの圧力差の下で10
mlの空気が流れる秒数をもって表される。つまり、秒
数が大きい程マット度が小さいことを表す。また、JI
S P 8119より精度よくベック平滑度を測定する
には、空気マイクロメーター型試験器を用いることが好
ましく、特に、J.TAPPI紙パルプ試験法No.5
記載の王研式平滑度測定法を用いることで簡便に再現性
の良好なベック平滑度が得られる(山本等、紙パ技協
誌、20[2]、17〜24(1966))。背面層を
有する側のマット度は、ベック平滑度で0.1〜150
秒が好ましく、0.1〜120秒がさらに好ましい。
【0020】本発明のスムースター値とは、23℃、5
5%RHにおいて4時間調湿した試料の背面層をスムー
スター(東栄電子工業(株)製)を用いて吸引したと
き、吸引できる最小吸引圧をいう。吸引圧の値が大きい
ほどマット度が高いことを表す。背面層を有する側のマ
ット度は、スムースター値で0.65〜55kPaが好
ましい。
【0021】(マット剤)インクジェット用受像シート
にマット度を付与するためには、マット剤を用いる。マ
ット剤は、一般に有機または無機化合物の微粒子であ
る。本発明ではどちらのタイプも使用できる。
【0022】有機化合物の例としては、水分散性ビニル
重合体(例えば、ポリメチルアクリレート、ポリメチル
メタクリレート、ポリアクリロニトリル、アクリロニト
リル−α−メチルスチレン共重合体、ポリスチレン、ス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリビニルアセテ
ート、ポリエチレンカーボネート、ポリテトラフルオロ
エチレン等)、セルロース誘導体(例えば、メチルセル
ロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート
プロピオネート等)、澱粉誘導体(例えば、カルボキシ
澱粉、カルボキシニトロフェニル澱粉、尿素−ホルムア
ルデヒド−澱粉反応物等)、硬化剤で硬化したゼラチン
及びコアセルベート硬化して微少カプセル中空粒体とし
た硬化ゼラチン等を挙げることができる。
【0023】無機化合物の例としては、二酸化珪素、二
酸化チタン、二酸化マグネシウム、、酸化アルミニウ
ム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、公知の方法で減感
した塩化銀、同じく臭化銀、ガラス、珪藻土等を挙げる
ことができる。
【0024】上記のマット剤は必要に応じて異なる種類
の物質を混合して用いることができる。マット剤の大き
さ、形状に特に限定はないが、本発明では、0.1〜3
0μmの粒径のものを用いるのが好ましい。マット剤の
粒径は走査型電子顕微鏡で測定することができる。ま
た、マット剤の粒径分布に特に限定はないが、マット剤
が受像シートのヘイズ、表面光沢に影響することを考慮
する必要がある。
【0025】本発明において、マット剤は受像シートの
背面層の最外層もしくは最外層に近い層に含有されるの
が好ましく、またいわゆる保護層として作用する層に含
有されることが好ましい。
【0026】(有機バインダー)本発明において、マッ
ト剤は有機バインダーと併用して用いられる。好ましい
有機バインダーとしては、水溶性高分子もしくは、水分
散性高分子を挙げることができる。
【0027】(水溶性高分子)本発明でいう水溶性高分
子とは、加熱もしくは冷却工程を経て、最終的に20℃
において水100gに対し0.05g以上溶解するもの
をいい、好ましくは0.1g以上溶解するものをいう。
本発明に用いられる水溶性高分子としては、例えば、合
成水溶性高分子及び天然水溶性高分子が挙げられ、いず
れも好ましく用いることができる。
【0028】このうち、合成水溶性高分子としては、水
溶性ポリエステル、分子構造中に例えば、ノニオン性基
を有するもの、アニオン性基を有するもの並びにノニオ
ン性基及びアニオン性基を有するものが挙げられる。ノ
ニオン性基としては、例えば、エーテル基、エチレンオ
キサイド基、ヒドロキシ基等が挙げられ、アニオン性基
としては、例えば、カルボン酸基あるいはその塩、リン
酸基あるいはその塩等が挙げられる。
【0029】本発明に用いられる合成水溶性高分子の
内、水溶性ポリエステルとは、多塩基酸またはそのエス
テル形成性誘導体と、ポリオールまたはそのエステル形
成性誘導体とを重縮合反応して得られる実質的に線状の
ポリエステルであり、さらに水溶性であるために、親水
性基を有する成分、例えば、スルホン酸塩を有する成
分、ジエチレングリコール成分、ポリアルキレンエーテ
ルグリコール成分、ポリエーテルジカルボン酸成分等を
ポリエステル中に共重合成分として導入されたポリエス
テルをいう。親水性基を有する成分としては、スルホン
酸塩を有するジカルボン酸を用いるのが好ましい。スル
ホン酸塩を有するジカルボン酸は、水溶性及び耐水性の
点から全ジカルボン酸成分に対し5〜15モル%の範囲
内、特に6〜10モル%の範囲内で用いることが好まし
い。
【0030】水溶性ポリエステルとしては、主たるジカ
ルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を有す
るものが好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸の割合
は、モル比で30/70〜70/30であることがポリ
エステル支持体への塗布性及び水に対する溶解性の点で
特に好ましい。また、これらテレフタル酸成分及びイソ
フタル酸成分を全ジカルボン酸成分に対し50〜80モ
ル%含むことが好ましく、さらに共重合成分として脂環
族ジカルボン酸を用いるのが好ましい。これら脂環族ジ
カルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロ
ペンタンジカルボン酸、4,4′−ビシクロヘキシルジ
カルボン酸を挙げることができる。
【0031】更に、主たるジカルボン酸成分としてテレ
フタル酸とイソフタル酸を用いた本発明の水溶性ポリエ
ステルには、上記以外のジカルボン酸を共重合成分とし
て用いることができる。これらジカルボン酸としては、
例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖状脂肪族ジカルボン
酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、全ジカルボン
酸成分の30モル%以下の範囲内で用いることが好まし
い。これら芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、
フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。また、直鎖
状脂肪族ジカルボン酸は、全ジカルボン酸成分の15モ
ル%以下の範囲内で用いることが好ましい。これら直鎖
状脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸が挙げられる。
【0032】また、ポリオール成分としては、例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ト
リメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリ
コール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを
用いることができる。本発明ではエチレングリコールを
全グリコール成分の50モル%以上有するものを使用す
ることが好ましい。
【0033】本発明に用いられる水溶性ポリエステル
は、出発原料としてジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体及びグリコールまたはそのエステル形成性誘
導体を用いて合成することができる。
【0034】水溶性ポリエステル以外の合成水溶性高分
子としては、ケン化度が80〜98%の部分ケン化ポリ
ビニルアルコール、ケン化度が98〜100%の完全ケ
ン化ポリビニルアルコールもしくはその誘導体(例えば
完全ケン化ポリビニールアルコールをアセトアセトキシ
ル基で変性したもの(Z200、Z100として日本合
成化学(株)より市販))、または水可溶性のアクリル
アミド系、メタクリルアミド系、アクリルエステル系、
メタクリルエステル系の合成水溶性高分子が好ましいも
のとして挙げられる。
【0035】水可溶性のアクリルアミド系、メタクリル
アミド系、アクリルエステル系、メタクリルエステル系
の合成水溶性高分子のモノマー単位としては、例えば、
アクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリルア
ミド、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエ
チルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト等がある。
【0036】本発明において、これらのモノマーを含む
共重合体は、これらのモノマー単位を少なくとも1種含
んでいればよい。また、共重合体中のこれらモノマー単
位の比率は30質量%以上であることが好ましい。
【0037】また、天然水溶性高分子としては、分子構
造中に、ノニオン性基を有するもの、アニオン性基を有
するもの並びにノニオン性基及びアニオン性基を有する
ものが挙げられる。例えば、水溶性高分子水分散型高分
子の総合技術資料集(経営開発センター出版部)に詳し
く記載されているものが挙げられているが、リグニン、
澱粉、プルラン、セルロース、アルギン酸、デキストラ
ン、デキストリン、グァーガム、アラビアゴム、グリコ
ーゲン、ラミナラン、リケニン、ニゲラン等、及びその
誘導体が好ましく用いられる。また、天然水溶性高分子
の誘導体としては、特にスルホン化、カルボキシル化、
リン酸化、スルホアルキレン化、またはカルボキシアル
キレン化、アルキルリン酸化したもの、及びその塩が好
ましく用いられる。本発明において、天然水溶性高分子
は2種以上併用して用いてもよい。
【0038】また、天然水溶性高分子の中では、グルコ
ース重合体及びその誘導体が好ましく、グルコース重合
体及びその誘導体の中でも、澱粉、グリコーゲン、セル
ロース、リケニン、デキストラン、ニゲラン等が好まし
く用いられる。
【0039】セルロース誘導体としては、代表的なもの
として、セルロースの水酸基の水素原子の少なくとも1
つがアルキル基、ヒドロキシアルキル基及び/またはア
シル基で置きかえられた構造のものが挙げられる。セル
ロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキ
サヒドロフタレート、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、プロピルセルロース等が挙げられる。
【0040】(水分散性高分子)本発明に用いられる水
分散性高分子は、例えば、水中にビニル系モノマーを分
散させ、乳化重合あるいは懸濁重合させることにより得
ることができる。ビニル系モノマーの重合には重合開始
剤が用いられる。重合開始剤としては、例えば、過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過
酸化ベンゾイルが挙げられる。この中で好ましいものは
過硫酸アンモニウムである。重合安定性を改良する目的
で、界面活性剤を乳化剤として用いることも可能であ
る。この場合、一般のノニオン型、アニオン型いずれの
界面活性剤も使用することができる。
【0041】ビニル系モノマーとしては、アクリル系モ
ノマー、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタ
クリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シク
ロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチ
ル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト等のヒドロキシ基含有モノマー;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロー
ルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミ
ド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニ
ルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N,N−
ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチル
アミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有モノマ
ー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリ
ル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含む
モノマー等が挙げられる。また、アクリル系モノマー以
外のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエー
テル等のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン
酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基また
はその塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン
酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩(ナトリウ
ム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシ
ル基またはその塩を含有するモノマー;無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー;
ビニルイソシアネート;アリルイソシアネート;スチレ
ン;ビニルトリスアルコキシシラン;アルキルマレイン
酸モノエステル;アルキルフマール酸モノエステル;ア
クリロニトリル;メタクリロニトリル;アルキルイタコ
ン酸モノエステル;塩化ビニリデン;酢酸ビニル;塩化
ビニル、活性メチレン基を有するモノマーを挙げること
ができる。
【0042】乳化重合法によって調製される水分散性高
分子の分散粒子径は特に限定されないが、好ましい範囲
は0.01〜1.0μmである。
【0043】本発明においては、少なくとも一種類の乳
化剤として水溶性ポリマーを用いることが好ましい。こ
れに、水あるいは水に混和しうる有機溶媒(例えばメタ
ノール、エタノール、アセトン等)中でモノマーを乳化
させ、ラジカル重合開始剤を用いて一般に30〜100
℃、好ましくは40〜90℃で乳化重合される。水に混
和しうる有機溶媒の量は、水に対して体積比で0〜10
0%、好ましくは0〜50%である。
【0044】本発明においては、これら水溶性高分子を
単独で用いること、複数の水溶性高分子を組み合わせて
用いること、または、水溶性高分子と50%以下の水分
散性高分子を組み合わせて用いることができる。特に、
水溶性高分子と水分散性高分子を組み合わせる際には、
水溶性高分子の存在下で水分散性高分子を構成するモノ
マーを分散重合することが好ましい。
【0045】水溶性高分子の水溶液中でモノマーを分散
重合させた水性分散液は、例えば、水溶性高分子を水中
に溶解し、得られた水溶性高分子の水溶液にビニル系モ
ノマーを分散させ、乳化重合あるいは懸濁重合させるこ
とにより得ることができる。重合は乳化重合によること
が好ましい。ビニル系モノマーの使用量は、(水溶性高
分子)/(ビニル系モノマー)が質量比で99/1〜5
/95の範囲にあるのが好ましく、97/3〜50/5
0の範囲にあるのが更に好ましい。水溶性高分子として
は、水溶性ポリエステルを用いることが好ましい。
【0046】次に、本発明で使用するインクジェット用
受像シートの支持体について説明する。
【0047】《支持体》 (異物)本発明でいう異物は、インクジェット用受像シ
ートの支持体であるプラスチックフィルムを製造する際
に発生するもので、出発プラスチック中に含まれる異物
は、溶融、押出時にフィルターである大きさ以上の異物
は濾過、除去されるが、小さな異物はなお補集されずに
通過する。フィルターで補集されなかった触媒残さ、塵
埃、ポリマー劣化物等の異物は、支持体中に残る。異物
の形状は、必ずしも円状、塊状ではなく、ポリマー劣化
物等は一部延伸の影響も受けて、板状、棒状の物もあ
り、これらが支持体表面に出てくるため、表面の形状が
変化して、インクジェット用受像シートの支持体として
用いた場合には、搬送性に影響を与える。異物の大きさ
及び量は、経験的に、インクジェット用受像シートの面
積750cm2(25cm×30cm;四つ切り)当た
り、大きさ80μmを越える異物が0個で、さらに10
〜80μmの異物が50個以下であることが必要であ
る。
【0048】(プラスチックフィルム)本発明における
プラスチックフィルムとは、プラスチックを構成要素と
して含むシート状のものであれば特に制限はなく、単層
のプラスチックフィルムでも、該プラスチックフィルム
を同種もしくは異種のプラスチックもしくは紙等と積層
されたものであってもよい。本発明のプラスチックフィ
ルムの厚みは特に限定はない。その使用目的に応じて必
要な強度を有するように設定すればよいが、50〜10
000μm、特に60〜350μmであることが好まし
い。
【0049】本発明に適用できるプラスチックフィルム
またはプラスチックフィルム積層体を構成するプラスチ
ックとしては、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、
ポリイミド、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエチレンやポ
リプロピレン等のポリオレフィン、セルローストリアセ
テートやセルロースジアセテート、硝酸セルロース等の
セルロース系プラスチック、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のフィルム、ポリ
エチレンラミネート紙等が挙げられる。これらの中でも
シンジオタクチックポリスチレンやポリエステルが好ま
しく、中でもポリエステルは、機械的、光学的性能が優
れ、比較的安価であるという面から好ましい。
【0050】(ポリエステル)本発明において好ましく
用いられるポリエステルフイルムを構成するポリエステ
ルとは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導
体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合
成される実質的に線状飽和のポリエステルである。かか
るポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチ
レンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレート等が例示できる。これらポリエ
ステルには、共重合体及びこれらポリエステルと小割合
の他の高分子とのブレンド物等も含まれる。
【0051】これらのポリエステル類は、単独もしくは
必要に応じて適宜混合され、通常、溶融押出により、あ
るいは、溶剤に溶解させてキャスチングすることにより
ポリエステルフィルムを得ることができる。得られたポ
リエステルフィルムは必要に応じて一軸もしくは二軸に
延伸される。ポリエステルフィルムは、延伸し、結晶配
向化を完了せしめたものが好ましい。本発明では、二軸
延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
【0052】また、ポリエステルフィルムは、走査型示
差熱量計によって窒素気流中、10℃/分の昇温速度に
おいて測定した結晶融解熱の値が、16J/g以上を呈
する程度に結晶配向したものが好ましい。本発明に用い
られるポリエステルは、特に限定されるものではない
が、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分
とするフィルム形成性を有するポリエステルであること
が好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6ナ
フタレンジカルボン酸、2,7ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエー
テルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、
ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケト
ンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を挙
げることができる。
【0053】また、ジオール成分としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノール
フルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、
シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0054】これらを主要な構成成分とするポリエステ
ルの中でも、透明性、機械的強度、寸法安定性等の点か
ら、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、ジオール成
分としてエチレングリコール及び/または1,4シクロ
ヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエス
テルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート
を主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸
と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコー
ルからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエス
テルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエ
ステルが好ましい。
【0055】ポリエステルに対してエチレンテレフタレ
ートユニットが70質量%以上含有していると、透明
性、機械的強度、寸法安定性等に高度に優れたフィルム
が得られる。
【0056】本発明に用いられるポリエステルは、本発
明の効果を阻害しない範囲であれば、さらに他の成分が
共重合されていてもよいし、他のポリエステルが混合さ
れていてもよい。これらの例としては、先に挙げたジカ
ルボン酸成分やジオール成分、またはそれらから成るポ
リエステルを挙げることができる。
【0057】(酸化防止剤)本発明に用いられるポリエ
ステルには、酸化防止剤が含有されていてもよい。特に
ポリエステルが、ポリオキシアルキレン基を有する化合
物を含む場合に効果が顕著となる。含有される酸化防止
剤の種類については特に限定はなく、各種の酸化防止剤
を使用することができるが、例えばヒンダードフェノー
ル系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化
合物等の酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明
性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が
好ましい。
【0058】酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステ
ルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜
0.5%である。酸化防止剤の含有量をこの範囲とする
ことで、写真感光材料の未露光部分の濃度が高くなるい
わゆるかぶり現象を防止でき、かつ、フィルムのヘーズ
を低く抑えられるので、透明性に優れた写真用支持体が
得られる。なお、これらの酸化防止剤は一種を単独で使
用してもよいし、二種以上を組合せて使用してもよい。
【0059】(易滑性)本発明に用いられるポリエステ
ルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与することも
できる。易滑性付与手段としては特に限定はないが、ポ
リエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方
法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる
内部粒子析出方法、あるいは界面活性剤等をフィルム表
面に塗布する方法等が一般的である。これらの中でも、
析出する粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒
子析出方法が、フィルムの透明性を損なうことなく易滑
性を付与できるので好ましい。
【0060】本発明に用いられるポリエステルフィルム
の合成触媒としては、公知の各種触媒が使用できるが、
特にCa、Mnを使用すると高い透明性が得られるので
好ましい。これらの触媒は一種でもよいし、二種を併用
してもよい。
【0061】本発明のポリエステルフィルムの原料のポ
リエステルの合成方法は、特に限定があるわけではな
く、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造で
きる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接
エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカル
ボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これと
ジオール成分とでエステル交換反応反応させ、これを減
圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することによ
り重合させるエステル交換法を用いることができる。こ
の際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応
触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することができ
る。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、
結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫
外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止
剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
【0062】また、本発明に用いられるポリエステルフ
ィルムは、ヘーズが5%以下であることが好ましい。さ
らに好ましくは3%以下である。上記ヘーズは、AST
M−D1003−52に従って測定したものである。
【0063】本発明に用いられるポリエステルフィルム
のTg(ガラス転移温度)は、60℃以上が好ましい。
Tgは示差走査熱量計で測定し、ベースラインが偏奇し
始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平均
値として求められる。Tgがこの値以上であると、現像
処理機の乾燥工程でのフィルムのが変形がなく、現像処
理後の巻きぐせカールの小さいプラスチックフィルムが
得られる。
【0064】(ポリエステルフィルムの製造方法)次
に、本発明に用いられるポリエステルフィルムの製造方
法について説明する。未延伸シートを得る方法及び縦方
向に一軸延伸する方法は、従来公知の方法で行うことが
できる。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成
型し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、T
ダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却
ドラムに密着させて冷却固化させ、未延伸シートを得
る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及
び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエ
ステルのTgからTg+100℃の範囲内に加熱し、一
段または多段縦延伸する方法である。延伸倍率は、通常
2.5〜6倍の範囲で、続く横延伸が可能な範囲とする
必要がある。シートが多層構成の場合の延伸温度の設定
は、各構成層のポリエステルのTgのなかで最も厚い層
のポリエステルのTgを基準にすることが好ましい。
【0065】この際、ポリエステルを積層する場合も従
来公知の方法でよい。例えば、複数の押出機及びフィー
ドブロック式ダイあるいはマルチマニフォールド式ダイ
による共押出法、積層体を構成する単層フィルムまたは
積層フィルム上に積層体を構成するその他の高分子を押
出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化させる押
出ラミネート法、積層体を構成する単層フィルムまたは
積層フィルムを必要に応じてアンカー剤や接着剤を介し
て積層するドライラミネート法等が挙げられる。中で
も、製造工程が少なくて済み、各層間の接着性が良好な
共押出法が好ましい。
【0066】(熱固定)次に、上記のようにして得られ
た縦方向に一軸延伸されたポリエステルフィルムを、T
g〜Tm(融点)−20℃の温度範囲内で、横延伸し、
次いで熱固定する。横延伸倍率は通常3〜6倍であり、
また、縦、横延伸倍率の比は、得られた二軸延伸フィル
ムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調
整する。本発明の場合、巾方向の弾性率が長手方向の弾
性率より大きくなるようにする。使用目的に応じて変化
させてもよい。この時、2つ以上に分割された延伸領域
で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら横延伸
すると巾方向の物性の分布が低減でき好ましい。さらに
横延伸後フィルムを、その最終横延伸温度以下でTg−
40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると、巾方
向の物性の分布がさらに低減でき好ましい。
【0067】熱固定はその最終横延伸温度より高温で、
Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒
間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温
度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定す
ることが好ましい。
【0068】熱固定されたフィルムは、通常Tg以下ま
で冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカット
し巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下でTg以
上の温度範囲内で、巾方向及び/または長手方向に0.
1〜10%弛緩処理することが好ましい。また、冷却
は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒10〜100
℃の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処
理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行える
が、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの
処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好
ましい。なお、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フ
ィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間を
tとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
【0069】これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件の
最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより
異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定
し、好ましい特性を有するように適宜調整することによ
り決定すればよい。
【0070】本発明に用いられるプラスチックを乾燥、
溶融、押出して製膜するにあたり、押出フィルターとし
て、絶対濾過径が9μm以下である不織布状焼結多孔体
フィルター及び、金属粒子焼結多孔体フィルターを、そ
れぞれ単独または組み合わせて使用することで、本発明
の異物の量を達成できる。
【0071】次に、インク受容層について説明する。 《インク受容層》本発明に係るインク受容層は、空隙率
10〜80%を有する層であり、これは、平均1次粒子
径が5〜150nm以下の無機微粒子や有機微粒子と、
膨潤性高分子を主成分として含有する層であり、微粒子
と膨潤性高分子の質量比はおおむね1/1以上である
が、好ましくは、4/1〜20/1である。
【0072】(無機微粒子)無機微粒子としては、シリ
カ粒子やアルミナ水和物が用いられる。シリカ粒子は製
造法により湿式法と乾式法に大別される。湿式法はケイ
酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に
重合させ凝集沈降させ含水シリカを得る方法が主流であ
る。一方、乾式法シリカは、ハロゲン化珪素の高温気相
加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコー
クスを電気炉中でアークにより加熱還元気化し、これを
空気で酸化する方法(アーク法)で無水シリカを得る方
法が主流である。無水珪酸(無水シリカ)の場合に特に
空隙率が高く好ましい。
【0073】アルミナ水和物としては、市販のもの、あ
るいはアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン
酸ナトリウムの加水分解等を用いた公知の方法によって
製造されたものを用いることができる。その粒子形状は
繊毛状または針状、板状、紡錘状等に限定されず、ま
た、配向性の有無も問わない。更に、アルミナ水和物
は、透明性、光沢性、染料定着性の高いもので、かつ被
膜形成時にクラック等が入らず、塗工性のよいものであ
ればさらによい。工業的に市販されているものとして
は、例えば、触媒化成工業社製の「カタロイドAS−
2」、「カタロイドAS−3」、日産化学社製「アルミ
ナゾル−520」等が挙げられる。また、無配向性アル
ミナ水和物を調製するには、例えば、アルミニウムアル
コキシドの加水分解・解膠法及び硝酸アルミニウムとア
ルミン酸ナトリウムによる加水分解・解膠法を用いるこ
とができる。
【0074】(有機微粒子)有機微粒子としては、好ま
しくは疎水性ポリマー微粒子を挙げることができる。疎
水性ポリマー微粒子としては、粒径が0.05〜数μm
のポリマー粒子で、好ましくは高分子の水分散物を挙げ
ることができる。高分子の水分散物としては、アクリル
系高分子、ポリエステル高分子、ゴム類、ポリ酢酸ビニ
ル類、ポリビニルアルコール変性物、セルロースエステ
ル類、ポリウレタン類、ポリ塩化ビニル類、ポリ塩化ビ
ニリデン類、等を挙げることができる。
【0075】これらの高分子の内、活性メチレン基を有
する高分子やカチオン性基を有する高分子が好ましく用
いることができる。
【0076】(活性メチレン基を有する高分子)活性メ
チレン基を有する高分子としては、活性メチレン基を有
するエチレン性不飽和モノマーから誘導される繰り返し
単位とメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、マ
レイン酸エステル、ジエン類から選ばれるエチレン性不
飽和モノマーから誘導される繰り返し単位を有するポリ
マーを挙げることができ、好ましくは、下記一般式1で
表すことのできる高分子である。
【0077】 一般式1 −(A)x−(B)y−(C)z− 式中、Aは下記一般式2で表される活性メチレン基を有
するエチレン性不飽和モノマーより誘導される繰り返し
単位を表し、Bは単独重合体のTgが35℃以下である
メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、マレイン
酸エステルから選ばれるエチレン性不飽和モノマーより
誘導される繰り返し単位を表し、CはA、B以外のエチ
レン性不飽和モノマーより誘導される繰り返し単位を表
す。ここでx、y、zはポリマー中の各成分の質量百分
率比を表し、それぞれ0.5≦x≦41、0≦y≦5
9、x+y+z=100である。
【0078】
【化1】
【0079】式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のア
ルキル基またはハロゲン原子を表し、Lは単結合または
二価の連結基を表す。Xは活性メチレン基を含む一価の
基を表す。
【0080】一般式1のBで表されるエチレン性不飽和
モノマーは、その単独重合体のTgが35℃以下となる
様なモノマーであり、具体的には、アルキルアクリレー
ト(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレー
ト、ベンジルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、iso−ノニルアクリレート、n−ドデシルア
クリレート等)、アルキルメタクリレート(例えば、n
−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、iso−ノニ
ルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート等)、
ジエン類(例えばブタジエン、イソプレン)等を挙げる
ことができる。活性メチレン基を有するポリマー微粒子
として好ましくは、一般式1の高分子組成で表されるポ
リマーラテックスである。
【0081】一般式1で表されるポリマーにおける、A
で表される活性メチレン基を有するモノマーやポリマー
ラテックスの種類やその合成法については上記の他、米
国特許第3,459,790号、同3,619,195
号、同3,929,482号、同3,700,456
号、西独特許第2,442,165号、欧州特許第1
3,147号、特開昭50−73625号、同50−1
46331号等の記載を参考に行うことができる。
【0082】カチオン性基を有する高分子としては、4
級アミン基を有する高分子であれば特に限定されない
が、下記一般式3、4で表される高分子を用いることが
好ましい。
【0083】
【化2】
【0084】式中、A1は少なくとも2つのエチレン性
不飽和基をもつ重合可能なモノマーユニットを表し、B
1はエチレン性不飽和基を有する共重合可能なモノマー
ユニットを表す。QはNまたはP、R1、R2、R3はア
ルキル基を表し、M-はアニオンを表す。x1は0.2
5〜5モル%、y1は0〜90モル%、z1は10〜9
9モル%を表す。ただし、x1+y1+z1=100モ
ル%である。
【0085】A1の例としては、エチレングリコールジ
アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、
トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレング
リコールジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタク
リレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロ
ールジメタクリレート、グリセロールジアクリレート、
グリセロールアクロキシジメタクリレート、1,1,1
−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート、1,
1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレー
ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジメタ
クリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタ
ントリメタクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシ
メチルエタントリメタクリレート、1,1,1−トリス
ヒドロキシメチルプロパンジアクリレート、1,1,1
−トリスヒドロキシメチルプロパンジアクリレート、
1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリメタ
クリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソ
シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルテ
レフタレート、ジアリルフタレート及びジビニルベンゼ
ン等を挙げることができる。
【0086】B1の例としては、アクリル酸エステル類
(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、
n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、
ベンジルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、iso−ノニルアクリレート、n−ドデシルアクリ
レート、t−ブチルアクリレート、フェニルアクリレー
ト、2−ナフチルアクリレート等)、メタクリル酸エス
テル類(例えば、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキ
シルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、iso−ノニルメタクリレート、n−ドデシルメタ
クリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジル
メタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレー
ト、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、クレジルメタクリレート、4−クロロベンジル
メタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート
等)、ビニルエステル類(例えば、安息香酸ビニル、ピ
バロイルオキシエチレン等)、アクリルアミド類(例え
ば、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルア
クリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリ
ルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシル
アクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシ
メチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミ
ド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルア
クリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアク
リルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(例え
ば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチ
ルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチ
ルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シ
クロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルア
ミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエ
チルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリ
ルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタク
リルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエ
チルメタクリルアミド等)、スチレン類(例えば、スチ
レン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチル
スチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、メ
トキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレ
ン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香
酸メチルエステル等)、ジビニルベンゼン、アクリルニ
トリル、メタアクリロニトリル、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルオキサゾリドン、塩化ビニリデン、フェ
ニルビニルケトン等を挙げることができる。これらのモ
ノマーは単独で用いても、2種以上用いてもよい。カチ
オン性基を有するポリマー微粒子として好ましくは、一
般式3、4の高分子組成で表されるポリマーラテックス
である。
【0087】ポリマー微粒子を乳化重合する際に乳化剤
としての水溶性ポリマーを用いてもよく、水溶性ポリマ
ーとしては、天然ポリマーあるいは半合成的な水溶性ポ
リマー等も含み、これらの例としてアルギン酸またはそ
の塩、デキストラン、デキストラン硫酸塩、グリコーゲ
ン、アラビアゴム、アルブミン、寒天、でんぷん誘導
体、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、ヒドロ
キシセルロース、セルロース硫酸エステル等を挙げるこ
とができるが、これらの誘導体も使用できる。
【0088】乳化重合においては、その目的に応じて、
重合開始剤、濃度、重合温度、反応時間等を幅広く変更
できることはいうまでもない。また、乳化重合反応は、
モノマー、界面活性剤、水溶性ポリマー、媒体を予め容
器に全量入れておき、開始剤を投入して行ってもよい
し、必要に応じて各成分の一部あるいは全量を滴下しな
がら重合を行ってもよい。
【0089】これらのポリマー微粒子は、ラテックス重
合で作製する以外に、高分子を水中に分散したり、水中
で自己乳化したり、懸濁重合法により得ることができ
る。また、これらの高分子の分散物は、単独で用いても
複数の種類を用いてもよい。
【0090】(膨潤性高分子)本発明に用いられる膨潤
性高分子としては、有機高分子もしくは、無機高分子を
挙げることができる。
【0091】有機高分子としては、好ましくは架橋した
ゼラチンが用いられるが、それ以外の架橋した親水性高
分子も用いることができる。例えば、ゼラチン誘導体、
ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミ
ン、カゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エス
テル等のごときセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、
セルロース硫酸エステル、デキストリン、デキストラ
ン、デキストラン硫酸塩等の糖誘導体、ポリ−N−ビニ
ルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニ
ルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多種の合
成親水性高分子の架橋体を用いることができる。ゼラチ
ンとしては、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを
併用してもよく、さらにゼラチンの加水分解物、ゼラチ
ンの酵素分解物を用いることもできる。これらの親水性
ポリマーは、単独で用いても複数の種類を用いてもよ
い。膨潤性は、吸水することによって見かけの体積が増
加すれば特に限定されないが、好ましくは、見かけの体
積増加率が1.2倍以上さらに好ましくは、1.4倍以
上である。
【0092】架橋は架橋剤を用いても、高分子の自己架
橋で形成してもよい。有機高分子に用いる架橋剤は、膨
潤性を持たせることができれば特に限定されないが、例
えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルア
ルデヒド、サクシンアルデヒド等のアルデヒド類、ムコ
クロール酸、ムコブロム酸等のムコハロゲン酸類、ジメ
チロール尿素等のN−メチロール類、ジクロロ−s−ト
リアジン類、ビニルスルホン基やアクリルアミド基等を
有する活性エチレン類、エチレンイミン類、エポキシ
類、カルボジイミド類を挙げることができる。架橋した
ゼラチンを得るには、ジクロロ−s−トリアジン類、ビ
ニルスルホン型活性エチレン類、カルボジイミド類が好
ましく用いられる。
【0093】無機高分子としては、架橋した水ガラスを
挙げることができる。水ガラスとしては、SiO2/N
2O及び/またはSiO2/K2Oで表されるが、好ま
しくは、SiO2/Na2O及び/またはSiO2/K2
のモル比が1〜5の範囲内にある水ガラスである。無機
高分子としては、公知のアルカリ水ガラス硬化剤やその
反応機能を有している水溶性の化学物質であれば特に限
定されないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、燐
酸等で代表される無機塩類、水溶性重硫酸塩類、水溶性
重炭酸塩類、水溶性酸性硫酸塩、水溶性酸性燐酸塩等で
代表される無機酸塩類、水溶性有機酸類、アルカリ中で
除放性の酸を放出する水溶性有機硬化剤等が挙げられ
る。
【0094】インク受容層は任意の方法で形成すること
ができるが、水媒体の塗布液をコーティング後乾燥して
得ることができる。コーティング方法としては、ブレッ
ドコーター塗布法、リバースローラー塗布法、エアード
クター塗布法、ナイフコーター塗布法、スクイズコータ
ー塗布法、バーコーター塗布法、カーテン塗布法、押し
出し塗布法、スライドホッパー塗布法等を用いることが
できる。乾燥条件は特に限定されないが、好ましくは塗
膜面の温度が高分子のTg以下が好ましい。また、塗布
直後に塗膜面を冷却後乾燥してもよい。乾燥後の層の厚
さは、5〜100μmが好ましく、単層あるいは多層コ
ーティングで形成してもよい。多層の場合は、全く同じ
組成物からなる塗布液を重層塗布して形成してもよく、
組成が異なる塗布液を重層して形成してもよい。多層の
形成では、一層塗布乾燥後さらに塗布乾燥する逐次塗布
でもよいし、同時塗布してもよい。
【0095】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0096】実施例1 (支持体の作製)青色に着色した厚さ175μmのポリ
エチレンテレフタレートの両面に、コロナ放電を施した
後下記の下引第1層、第2層を順次設け、140℃で2
分間熱処理を行い、下引き済み支持体を得た。
【0097】 下引第1層 ポリマーラテックス1 40mg/m2(固形分) ポリマーラテックス2 760mg/m2(固形分) 水溶性ポリマー1 40mg/m2 界面活性剤1 6mg/m2 下引第2層 ポリマーラテックス3 300mg/m2(固形分) 水溶性ポリマー1 15mg/m2 架橋剤1 100mg/m2 界面活性剤2 7mg/m2 シリカ微粒子 1mg/m2 ここに、ポリマーラテックス1:スチレン/グリシジル
メタクリレート/n−ブチルアクリレート(20/40
/40質量%)共重合ポリマーラテックス ポリマーラテックス2:スチレン/グリシジルメタクリ
レート/n−ブチルアクリレート/アセトアセトキシエ
チルメタクリレート(35/40/5/20質量%)共
重合ポリマーラテックス ポリマーラテックス3:スチレン/グリシジルメタクリ
レート/n−ブチルアクリレート(40/40/20質
量%)共重合ポリマーラテックス 水溶性ポリマー1:イソプレンスルホン酸ナトリウム/
スチレン共重合体である。
【0098】得られた支持体を8インチ径のコアに巻
き、110℃で1時間熱処理した。以下、コアに巻いて
熱処理したとき外側になる面をA面、その裏面をB面と
いう。
【0099】(インク受容層塗布液の調製)気相法によ
り合成された平均1次粒径が12nmの微粒子シリカ1
80gを純水1000ml中に添加し、高速ホモジナイ
ザーで分散し青い透明な分散液(1)を得た。次にこの
分散液(1)中に、カチオン性ポリマーとしてMor−
1の25%水溶液を100ml添加し、サンノブコ
(株)製消泡剤SN381を塗布液に対し0.01%添
加し、30分間高速ホモジナイザーで分散して、青白い
透明な分散液を得た。次に平均重合度300でケン化度
98%の10%ポリビニルアルコール水溶液1mlを添
加し、更に平均重合度が3500でケン化度95%の5
%ポリビニルアルコール水溶液(2)(酢酸エチルを4
質量%含有)600mlを徐々に添加し、ついで粘度向
上剤として4%ほう砂水溶液100mlを添加し、さら
に20mlのエタノールを添加した。この中に下記分散
物1を30ml添加し、空隙層を形成するインク受容層
塗布液を調製した。
【0100】
【化3】
【0101】
【化4】
【0102】(分散物1)下記組成の溶液1と溶液2を
調製し、混合して超音波分散機で分散した。
【0103】 溶液1 ジ−iso−デシルフタレート 3.0g 酢酸エチル 5ml 溶液2 ゼラチン 1.0g 界面活性剤(丸善製薬(株)製、QC−100) 2.8g 純水 22ml (塗布、乾燥) 得られたインク受容層塗布液を下引き済み支持体のA面
に湿潤膜厚が240μmで塗布し、0℃に冷却した後、
40℃の風で150秒間乾燥した。この試料のB面(A
面の裏面)に各成分が以下の塗布量となるように背面層
塗布液を調製し、塗布、乾燥し、受像シート試料No.
1〜6を作製した。なお、ポリメタクリル酸メチルの平
均粒径(xμm)と塗布量(ymg/m2)は表1のよ
うに変えた。
【0104】 (背面層塗布液の調製) ゼラチン 1000mg/m2 ポリメタクリル酸メチル(平均粒径xμm) ymg/m2 x、yは、表1参照 ポリメタクリル酸メチル(平均粒径0.75μm) 81mg/m2 ポリスチレンスルホン酸カリウム(平均分子量60万) 2mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 13mg/m2 (評価) 上記ポリメタクリル酸メチルの平均粒径は、走査型電子
顕微鏡で100個の粒子径を測定し、その平均値を求め
た。マット度は、前記王研式平滑度測定法に従い、試料
の背面層のベック平滑度を測定した。次に、着色剤液
(ダイレクトブラック154を18.9g、エチレング
リコール30g、トリエチレングリコール4g、純水4
1.3g)と薄め液(エチレングリコール30g、トリ
エチレングリコール14.2g、純水55.6g)を組
み合わせ、4濃度のインクを調製した。医療診断画像出
力用に35μm四方に最高4滴打てるように改造したピ
エゾ方式のインクジェットプリンター(MJ6000
C)を、新たに作製したプリンタードライバーにより6
4階調で表現できるようにし、足の医療診断画像データ
を試料の受像シートに1000枚プリントし、シートの
ジャミング枚数を数えた。その結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】本発明の試料は、明らかにジャミングが少
ない。 実施例2 (インク受容層塗布液の調製)ゼラチン30gを純水1
99g中によく分散し、一夜放置後40℃に加熱してゼ
ラチンを完全に溶解させた。この中に、あらかじめ40
℃に加熱しておいたポリマーラテックス(スチレン/グ
リシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ア
セトキシエチルメタクリレート(0.35/0.4/
0.05/0.2質量%共重合体:固形分濃度30
%))を770g加えよく攪拌した。
【0107】(塗布、乾燥)得られたインク受容層塗布
液を実施例1で作製した下引き済み支持体のA面に湿潤
膜厚が82μmとなるように塗布し、0℃に冷却した
後、40℃の風で150秒間乾燥した。この試料のB面
(A面の裏面)に各成分が以下の塗布量となるように背
面層塗布液を調製し、塗布、乾燥し、受像シート試料N
o.7〜11を作製した。なお、ポリメタクリル酸メチ
ルの平均粒径(xμm)と塗布量(ymg/m2)は表
2のように変えた。
【0108】 (背面層塗布液) ゼラチン 1000mg/m2 ポリメタクリル酸メチル(平均粒径xμm) ymg/m2 x、yは、表2参照 ポリメタクリル酸メチル(平均粒径0.75μm) 81mg/m2 ポリスチレンスルホン酸カリウム(平均分子量60万) 2mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 13mg/m2 (評価) 上記ポリメタクリル酸メチルの平均粒径は、実施例1と
同様にして求めた。スムースター値は、23℃、55%
RHにおいて4時間調湿した試料の背面層をスムースタ
ー(東栄電子工業(株)製)を用いて吸引圧を測定し
た。次に、実施例1と同様して4濃度のインクを調製
し、医療診断画像出力用に35μm四方に最高4滴打て
るように改造したピエゾ方式のインクジェットプリンタ
ー(MJ6000C)を新たに作製したプリンタードラ
イバーにより64階調で表現できるようにし、足の医療
診断画像データを、受像シートのサイドの押さえをフリ
ーにし1000枚プリントし、搬送不良(ジャミング及
び斜め搬送)枚数を数えた。その結果を表2に示す。
【0109】
【表2】
【0110】本発明の試料は、明らかに搬送不良枚数が
少ない。 実施例3 (支持体の作製と評価)2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチルエステル100部とエチレングリコール60
部とを、エステル交換触媒として酢酸コバルト4水塩
0.03部を使用して、常法に従ってエステル交換反応
させた後、トリメチルフォスフェート0.023部を添
加し更に三酸化アンチモン0.024部を添加後、引き
続き高温高真空下で常法通り重縮合反応を行ない、固有
粘度(フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒にて、
35℃で測定)0.60dl/gのポリエチレンナフタ
レートを得た。このポリエチレンナフタレートのペレッ
トを180℃で3時間乾燥後、押出機ホッパーに供給
し、溶融温度300℃で溶融し、表3に示すろ過径のス
テンレス製不織布状焼結多孔質フィルターを通してこの
溶融ポリマーを2mmのスリット状ダイより、表面温度
40℃の回転冷却ドラム上に押出し、未延伸フィルムを
得た。このようにして得られた未延伸フィルムを120
℃にて予熱し、更に低速、高速のロール間で15mm上
方より表面温度900℃のIRヒーター1本にて加熱し
て3.0倍に延伸し、続いてステンターに供給し、14
0℃にて横方向に3.2倍に延伸した。得られた二軸配
向フィルムを230℃で10秒間熱固定し、厚み175
μmのポリエチレンナフタレート二軸配向フィルム試料
No.12〜14を作製した。光学顕微鏡により、得ら
れたフィルムの750cm2当たり、80μmを越える
異物及び10〜80μmの異物を数えた。その結果を表
3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】得られたポリエチレンナフタレート二軸配
向フィルム試料No.12〜14の両面に、コロナ放電
を施した後、実施例1と同様にして下引第1層、第2層
を順次設け、140℃で2分間熱処理を行い、それぞれ
下引き済み支持体試料No.12〜14を作製した。以
下、熱処理時コア巻きの外側になる面をA面、その裏面
をB面という。
【0113】(インク受容層塗布液の調製)下記組成物
の固形分が16質量%となるように塗布液を調製した。
【0114】 アルミニウムアルコキシドの加水分解、解膠法で合成した固形分 18.35質量%のベーマイトゾル 100g 硼酸(5質量%水溶液) 2g ポリビニルアルコール(ケン化度97%、重合度2300)の10質量%水 溶液 20.2g ジエチレングリコールメチルエチルエーテル 1.5g (塗布、乾燥) 得られた下引き済み支持体試料No.12〜14のA面
に、乾燥後の固形分が20g/m2となるようにワイヤ
ーバーコーターによりインク受容層塗布液を塗布し、8
5℃のオーブン中で10分間乾燥した。
【0115】この試料のB面(A面の裏面)に、各成分
が以下の塗布量となるように背面層塗布液を調製し、塗
布、乾燥し、それぞれ受像シート試料No.12〜14
を作製した。
【0116】 (背面層塗布液) ゼラチン 1000mg/m2 ポリメタクリル酸メチル(平均粒径8μm) 20mg/m2 ポリスチレンスルホン酸カリウム(平均分子量60万) 2mg/m2 ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 13mg/m2 (評価) 実施例2と同様にして搬送不良を評価した。その結果を
表4に示す。
【0117】
【表4】
【0118】本発明の試料は、明らかに搬送不良枚数が
少ない。
【0119】
【発明の効果】搬送性に優れたインクジェット用受像シ
ート、特に医用診断に用いられるインクジェット用受像
シートを提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 倉地 育夫 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA01 BA19 BA24 BA41 BA44

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムの片面にインク受
    容層及びその裏面に背面層を有するインクジェット用受
    像シートにおいて、該背面層のベック平滑度が0.1〜
    150秒であることを特徴とするインクジェット用受像
    シート。
  2. 【請求項2】 プラスチックフィルムの片面にインク受
    容層及びその裏面に背面層を有するインクジェット用受
    像シートにおいて、該背面層の23℃、55%RHにお
    けるスムースター値が0.65〜55kPaであること
    を特徴とするインクジェット用受像シート。
  3. 【請求項3】 プラスチックフィルムの片面にインク受
    容層を有するインクジェット用受像シートにおいて、該
    プラスチックフィルムの750cm2当たり、80μm
    を越える異物が0個、10〜80μmの異物が0〜50
    個であることを特徴とするインクジェット用受像シー
    ト。
  4. 【請求項4】 医用診断に用いられることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用
    受像シート。
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