JP2001150803A - インクジェット記録用フィルム及びそれを用いた医用画像形成方法 - Google Patents

インクジェット記録用フィルム及びそれを用いた医用画像形成方法

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JP2001150803A
JP2001150803A JP33604199A JP33604199A JP2001150803A JP 2001150803 A JP2001150803 A JP 2001150803A JP 33604199 A JP33604199 A JP 33604199A JP 33604199 A JP33604199 A JP 33604199A JP 2001150803 A JP2001150803 A JP 2001150803A
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recording film
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jet recording
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Akihisa Nakajima
彰久 中島
Eiichi Ueda
栄一 上田
Kamiyuki Sasaki
頂之 佐々木
Ikuo Kurachi
育夫 倉地
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価で、デジタルの形で診断評価に好適な画
像を出力する医用画像形成方法を提供することであり、
医用に適したインクジェット記録用フィルムを提供す
る。 【解決手段】 透明支持体上に色材受容層が設けられて
なるインクジェット記録用フィルムにおいて、該色材受
容層には平均1次粒子径が5〜100nmのシリカ微粒
子と水溶性樹脂が含有され、該微粒子と水溶性樹脂の質
量比が3:1〜10:1の範囲であり、かつ該色材受容
層の空隙率が50〜80%であって、さらに23℃55
%RHの雰囲気下での該記録フィルムの立ち上がりカー
ルが、3〜30mmであることを特徴とするインクジェ
ット記録用フィルム及びそれを用いた医用画像形成方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用フィルムに関し、特に医療診断で得られた人体の内
部の画像を表示するのに適した医用画像形成用のインク
ジェット記録用フィルム及び医用画像形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、人体の内部の画像を与える検査法
として、超音波検査、医療サーモグラフィ、磁気共鳴画
像形成、陽電子放出断層撮影法(PET)、及びX線等
の放射線を使用する方法などがある。今日の医用診断と
してポピュラーな放射線写真システムは、放射線が人体
を透過して人体の内部情報を持つ放射線画像を出力し、
いわゆる増感紙(X線変換スクリーン)によって、ハロ
ゲン化銀乳剤の感度のある波長に変換され、ハロゲン化
銀写真フィルムを露光する。次に露光されたフィルムは
現像定着後に洗浄・乾燥して、放射線画像に対応した銀
塩写真フィルム画像となる。診断は、この銀塩写真フィ
ルム画像を見て行わる。
【0003】一方、デジタル医用画像の場合は、ディス
プレイスクリーン又は透明フィルムハードコピーに画像
を出力することが可能である。医用画像検査法(以下、
医用画像検査法とは前記人体の内部の画像を与える各種
検査法のことを示す)は、近年、デジタルの形で診断評
価に好適なデジタル医用画像(以下、医用画像とは前記
医用画像検査法により得られた画像のことを示す)を提
供している。デジタルの形で診断評価に好適な画像を提
供する医用画像の例としては、デジタル減算方式血管造
影法、磁気共鳴画像形成法、コンピューター断層撮影
法、コンピューター使用放射線写真などが挙げられる。
通常、医用画像は一人或いは数人の医師により詳細に診
断される。つまり、医用画像は容易に適時に見られるこ
とが必要であり、多くの場合に、場所の制限があっては
ならない。更に詳細な観察を必要とする場合には、ディ
スプレイスクリーンにかけて評価する。この場合には高
解像度/高ダイナミックレンジを有するディスプレイ装
置が必要となる。
【0004】従ってこれら種々の事情により、診断には
透明フィルムハードコピーが必要となっている。デジタ
ル医用画像のハードコピーはレーザイメージャによって
主に提供される。レーザイメージャは、通常ハロゲン化
銀記録層と透明支持体からなる記録媒体上に医用画像を
形成する。レーザイメージャ構成は、フィルム取り扱い
部分とレーザ露光部分と現像処理部分と洗浄・乾燥処理
部分からなっており、かなり複雑な構成を有している。
従って、現在市販されているレーザイメージャは非常に
高価な装置である。一般の使用方法としては、1台のレ
ーザイメージャが病院の中心的な場所に設置され、各種
医用画像検査法により得られたデジタル医用画像を画像
ネットワークで結び、印刷できるようにシステム化され
ている。つまり、レーザイメージャをネットワークの核
としてシステム化している。このようなシステムの最大
の懸念点は、レーザイメージャやネットワークの故障に
より、レーザイメージャによる医用画像出力ができなく
なった場合である。
【0005】周知のごとく、医用診断には時間が緊迫し
ている場合が多々あり、重大な問題となる。多くの場合
は、このような問題を回避するために数台のレーザイメ
ージャを設置したり、緊急用回線を設置している。従っ
て、高価なレーザイメージャを安全対策のために数台設
置することを余儀なくされている。これらの行為は最終
的には医療費のコストアップへつながっていく。更に、
小規模な病院では高価なレーザイメージャのためにデジ
タル化への対応が遅れるという大きな問題をも有してい
る。従って、上記状況より、安価なイメージャが望まれ
ている。
【0006】ところで、上記と異なる分野であるが、オ
フィス用やパーソナル用向けにコンピュータやワードプ
ロセッサの画像出力装置が開発されている。画像出力方
式としては、例えばワイヤードット出力方式、感熱発色
出力方式、感熱溶融転写出力方式、感熱昇華転写出力方
式、電子写真出力方式、インクジェット出力方式などが
開発されている。これらの画像形成出力装置の主な使用
方法は、コンピュータなどによって作成された文字、図
形などを紙などの不透明支持体に出力することである。
また、会議や各種学会発表などにおいてOHP(オーバ
ーヘッドプロジェクタ)などの原稿としても使用される
場合がある。そして近年の技術動向としては、文字、図
形などの一部を強調するためにカラー化技術が開発され
ている。
【0007】ところでインクジェット記録は、インクの
微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記
録フィルムに付着させ、画像・文字などの記録を行うも
のであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である
等の利点を有している。この方式で従来から問題となっ
ていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、イ
ンクおよび装置の両面から改良が進み、現在では各種プ
リンター、ファクシミリ、コンピューター端末等、さま
ざまな分野に急速に普及している。例えば、インクジェ
ット記録技術の動向(中村孝一編、平成7年3月31
日、日本科学情報株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。このインクジェット記録方式で使用されるインクジ
ェット記録材料(以下、単に記録材料ともいう)として
は、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであ
ること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合
に於いてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、
印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、
かつ周辺が滑らかでぼやけないこと等の性能が一般的に
は要求されている。具体的には、各種支持体上に記録層
としてインク吸収層を塗布したものが一般的に使用され
ている。上記インク吸収層としては、親水性バインダー
を主体に構成されるいわゆる膨潤型のインク吸収層と、
空隙層を記録層中に持つ空隙型のインク吸収層に大きく
分けられる。そのうち、空隙型のインク吸収層を有する
インクジェット記録材料は、親水性バインダー中に微粒
子を存在させることにより空隙を形成させた空隙層をイ
ンク吸収層として支持体上に有するものであり、これ
は、インク吸収性に優れ、膨潤型に比較して高インク領
域における画像のビーディングが起こりにくく高濃度域
において画質の劣化が少ないという利点を有している。
【0008】インクジェット記録で得られる画質を高品
質にする試みが近年数多く行われている。そのひとつと
して、空隙型インク吸収層を形成するために用いる微粒
子として、低屈折率でしかも粒径の小さな微粒子を用い
ることによって、比較的透明性の高い層を形成すること
ができる。また、このとき低屈折率でしかも、粒径な小
さなシリカ微粒子を用いることによって空隙を効率よく
形成し、しかも、比較的高い光沢性が得られ、また、濃
度の高い画像が得られることがわかっている。また、染
料の耐水性や耐湿性を改良するために、従来から染料を
バインダー中に固定させる種々の方法が提案されてい
る。特に有効な手段は3級または4級の窒素原子を有す
るポリマーを添加することであり、特開昭57−366
92号、同53−49113号、同58−24492
号、同63−224988号、同63−307979
号、同59−198186号、同59−198188
号、同60−46288号、同61−61887号、同
61−72581号、同61−252189号、同62
−174184号、同63−162275号、特開平6
−153798号等をはじめとして、非常に多くの方法
が提案されている。
【0009】このようなオフィス用装置が、出力装置と
して使えるならば、安価でありデジタルの形で診断評価
に好適な画像を出力する医用画像形成方法を提供するこ
とができる。
【0010】しかしながら、支持体の片面に親水性樹脂
と無機微粒子とからなる層を有するため、湿度変化や、
シャーカステンの熱によりフィルムがカール変動を起こ
し、それによりインク受容層がはがれやすくなり、シャ
ーカステンにはさんだりはずしたりすることをつづける
と、受容層がはがれやすくなるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、安価
でありデジタルの形で診断評価に好適な画像を出力する
医用画像形成方法を提供することであり、詳しくは、医
用に用いられた場合の課題であるハンドリング性つま
り、記録フィルムをシャーカステンにはさむなど多少手
荒に扱ってもインク受容層が容易にはがれないインクジ
ェット記録用フィルム及びそれを用いた医用画像記録方
法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】われわれは、鋭意検討を
続けた結果、以下の構成により上記課題を解決すること
ができた。
【0013】(1)透明支持体上に色材受容層が設けら
れてなるインクジェット記録用フィルムにおいて、該色
材受容層には平均1次粒子径が5〜100nmのシリカ
微粒子と水溶性樹脂が含有され、該微粒子と水溶性樹脂
の質量比が3:1〜10:1の範囲であり、かつ該色材
受容層の空隙率が50〜80%であって、さらに23℃
55%RHの雰囲気下での該記録フィルムの立ち上がり
カールが、3〜30mmであることを特徴とするインク
ジェット記録用フィルム。
【0014】(2)透明支持体が60〜250μmの膜
厚のポリエステルフィルムであることを特徴とする前記
1項記載のインクジェット記録用フィルム。
【0015】(3)記録フィルムが外径100mm以上
400mm以下の巻き芯に巻かれた状態で、透明支持体
のガラス転移点(Tg)から(Tg−40℃)の温度範
囲で1分〜1500時間熱処理されることを特徴とする
前記1又は2項記載のインクジェット記録用フィルム。
【0016】(4)水溶性樹脂がケン化度97%以上の
ポリビニルアルコールであることを特徴とする前記1〜
3の何れか1項記載のインクジェット記録用フィルム。
【0017】(5)医用画像記録用フィルムであること
を特徴とする前記1〜4の何れか1項記載のインクジェ
ット記録フィルム。
【0018】(6)前記1〜4の何れか1項記載のイン
クジェット記録フィルムを用いることを特徴とする医用
画像形成方法。
【0019】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる透明支持体としては、種々の樹脂フィルムを
用いることができるが、好ましくはポリエステルフィル
ムである。ポリエステル(以降ポリエステルと称す)と
しては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸
成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形
成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要
な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチ
オエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン
酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることが
できる。また、ジオール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレン
ジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキ
サンジオールなどを挙げることができる。これらを主要
な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的
強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分とし
て、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、
ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シ
クロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリ
エステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とす
るポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレン
ジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリ
エステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混
合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
【0020】本発明においては二軸延伸ポリエステルフ
ィルムが好ましく用いられる。二軸延伸ポリエステルを
構成するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範
囲であれば、さらに他の共重合成分が共重合されていて
も良いし、他のポリエステルが混合されていても良い。
これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジ
オール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げ
ることができる。本発明に用いられるポリエステルに
は、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化
合物、チオエーテル系化合物などの酸化防止剤が含有さ
れていても良い。これらの酸化防止剤は一種を単独で使
用しても良いし、二種以上を組合せて使用してももちろ
ん良い。
【0021】本発明に用いられる二軸延伸ポリエステル
フィルムの原料のポリエステルの合成方法は、特に限定
があるわけではなく、従来公知のポリエステルの製造方
法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジ
オール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化
法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステル
を用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応さ
せ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去
することにより重合させるエステル交換法を用いること
ができる。本発明に用いられる二軸延伸ポリエステルフ
ィルムの厚みは60〜250μm、特に90〜180μ
mであることが好ましい。本発明に用いられる二軸延伸
ポリエステルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与
することもできる。本発明に用いられる二軸延伸ポリエ
ステルフィルムは、ヘーズが3%以下であることが好ま
しい。さらに好ましくは1%以下である。上記ヘーズ
は、ASTM−D1003−52に従って測定したもの
である。
【0022】本発明に好ましく用いられる二軸延伸ポリ
エステルフィルムのTgは、60℃以上が好ましい。T
gは示差走査熱量計で測定するところのベースラインが
偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度と
の平均値として求められる。
【0023】次に、本発明に用いられるポリエステルフ
ィルムの製造方法は従来公知の方法で行うことができ
る。例えば、原料のポリエステルをペレット状に成型
し、熱風乾燥または真空乾燥した後、溶融押出し、Tダ
イよりフィルム状に押出して、静電印加法などにより冷
却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを
得る。次いで、得られた未延伸フィルムを複数のロール
群および/または赤外線ヒーターなどの加熱装置を介し
てポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+1
00℃の範囲内に加熱し、一段または多段縦延伸する方
法である。延伸倍率は、通常2.5倍〜6倍の範囲で、
続く横延伸が可能な範囲とする必要がある。フィルムが
多層構成の場合の延伸温度の設定は各構成層のポリエス
テルのTgのなかで最も厚い層のポリエステルのTgを
基準にすることが好ましい。この際、ポリエステルを積
層してもよい。上記の様にして得られた縦方向に一軸延
伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm−20℃
(ポリエステルフィルム融点をTmとする)の温度範囲
内で、横延伸し、次いで熱固定する。横延伸倍率は通常
3〜6倍である。熱固定はその最終横延伸温度より高温
で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜30
0秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域
で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固
定することが好ましい。熱固定されたフィルムは通常T
g以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分
をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以
下、Tg以上の温度範囲内で、幅方向及び/または長手
方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。弛
緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行
えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これ
らの処理を行うことが好ましい。これら熱固定条件、冷
却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成
するポリエステルにより異なるので、得られた二軸延伸
フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように
適宜調整することにより決定すればよい。また、上記フ
ィルム製造に際し、延伸の前および/または後で帯電防
止層、易滑性層、接着層、バリアー層などの機能性層を
塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、薬液処理な
どの各種表面処理を必要に応じて施すことができる。さ
らに、強度を向上させる目的で、多段縦延伸、再縦延
伸、再縦横延伸、横・縦延伸など公知の延伸フィルムに
用いられる延伸を行うこともできる。もちろんカットさ
れたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理され
た後、あるいは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合
などの処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料とし
てまたは異なる品種のフィルム用原料として再利用でき
る。
【0024】次に本発明の立ち上がりカール付与処理に
ついて述べる。カールは、ポリエステルの非晶部分が、
Tg以下にも関わらず長時間で凝集を始め球晶構成要素
であるフィブリル状リボンを形成するため(P.H.G
ell etal.J.Macromol.Sci.P
hys.,B1,235,251(1967))と考え
られ、放置している形状のまま安定化するためにつくま
き癖カールと、インク受容層が吸脱湿することにより、
伸縮して発生するカールとがある。
【0025】インクジェット受像層は、バインダーに対
して無機微粒子を大量に含むため非常にリジッドで、湿
度変化によるカールの変化により受像層がひび割れやす
い。特に、正カールから逆カールしたり、逆カールから
正カールに変化するなどカールの方向が逆転する場合に
ひび割れがおきやすいことがわかった。ここで正カール
とは、受像面を上にした時に、フィルムの両端が立ち上
がるカールのことで逆カールとは受像面を下にした時
に、フィルムの両端が立ち上がることを言う。
【0026】つまり、カール変動により支持体と受容層
の間の接着性が弱くなり、シャーカステンなどにフィル
ムを差し込む衝撃で膜がはがれたりひび割れたりする。
これは、湿度変化ばかりでなくシャーカステンに長時間
はさんでおいた時にその熱でカール変動したりするので
厄介である。
【0027】そこで、あらかじめ、23℃55%RHの
状態で3〜30mmの立ち上がりカールを記録フィルム
に付与することによりカール変動による膜はがれが抑え
られることを見出した。
【0028】ここで立ち上がりカールとは、4ツ切サイ
ズにカットされたフィルムの、カールにより立ち上がる
4隅の高さを平均したものをいう。
【0029】カールを付与する方法は、透明支持体とな
るポリエステルフィルムもしくは、該支持体上に色材受
容層が形成されたインクジェット記録用フィルムを、外
径100mm以上1000mm以下の巻き芯に巻かれた
状態で該支持体のガラス転移点(Tg)から(Tg−4
0℃)の温度で1分〜1500時間、熱処理することに
より、3〜30mmの立ち上がりカールを付与するもの
である。
【0030】本発明のインクジェット記録用フィルム
は、透明支持体と、支持体上に形成された透明な色材受
容層とからなる基本構成を有する。本発明の色材受容層
は、空隙率50〜80%を有する三次元網目構造の層で
あり、そして三次元網目構造は、平均1次粒子径が5〜
100nmのシリカ微粒子と水溶性樹脂を、シリカ微粒
子と水溶性樹脂の質量比を3:1〜10:1の範囲で用
いて形成することにより得ることができる。
【0031】二次粒子を形成するシリカ微粒子は、平均
一次粒子径が100nm以下(好ましくは5〜50n
m)で且つ屈折率が1.45であり、そしてこのシリカ
微粒子を用いて、上記範囲の量にて水溶性樹脂を用いて
分散させることにより、微粒子の二次粒子を鎖単位とす
る3次元ネットワーク構造が形成され、このネットワー
クの間隙に微細孔が形成されることから、空隙率が極め
て高く、光透過性の高い、多孔質膜構造が得られる。一
般に、粒子径が小さくなるに従い、質量当たりの表面積
(比表面積)が大きくなり表面特性による粒子相互作用
の影響が強くなる。この為分散液中に超微粒子を高度に
分散したゾル液においては、分散液中で粒子同士が衝突
した場合、表面の電気特性や水素結合により粒子同士が
付着する確率が高くなり、つまり粒子同士の接触点の少
ない、いわゆるフロキュレーション(軟凝集状態)が生
じ、更にこれが連結した三次元ネットワーク構造となり
ウエットゲルが生じる。これを乾燥し分散液が蒸発する
と、三次元ネットワーク(網状)構造内に微細な空隙が
生じ、多孔質キセロゲルを生成する。これは広義に解釈
すればゾルゲル法と言われる方式の応用であり、本発明
の色材受容層の形成もこれを利用したものである。この
三次元網状構造内に微細な空隙の形成は、粒子が小さく
なる程顕著であり、本発明のように特に平均一次粒子径
が100nm以下のシリカ微粒子を(及び上記範囲内の
量にて水溶性樹脂と組み合わせて)を用いた場合に光散
乱の少ない細孔径100nm以下で且つ空隙率が大きい
透明多孔質膜を形成することができる。シリカ粒子は、
表面のシラノール基による水素結合により粒子同士が付
着やすい為、上記のように平均一次粒子径が100nm
以下(好ましくは30nm以下、特に好ましくは3〜1
0nm)の場合に於いて空隙率の大きい構造を形成する
ことができる。シリカ粒子は製造法により湿式法と乾式
法に大別される。湿式法はケイ酸塩の酸分解により活性
シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させ含
水シリカを得る方法が主流である。一方の乾式法シリカ
は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火
炎加水分解法)、ケイ砂とコークスを電気炉中でアーク
により加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(ア
ーク法)で無水シリカを得る方法が主流である。これら
の含水シリカ及び無水シリカは表面のシラノール基の密
度、空孔の有無等の相違があり異なった性質を示すが、
無水珪酸(無水シリカ)の場合に特に空隙率が高い三次
元構造を形成し易く好ましい。この理由は明確ではない
が表面のシラノール基の密度が含水シリカの場合は5〜
8個/nm2と多く粒子が密に凝集(アグリゲート)し
易く、一方の無水シリカの場合は2〜3個/nm2と少
ない為、粗な軟凝集(フロキュレート)となり空隙率が
高い構造になると推定される。本発明に用いられるシリ
カ微粒子としては、気相法で製造した無水シリカ微粒子
を用いることが最も好ましい。上記三次元網目構造は、
シリカ微粒子が凝集した10〜300nmの粒径を有す
る二次粒子の連結により形成されることが好ましく、さ
らに20〜100nmが好ましい。また三次元網目構造
の50〜80%の空隙率は56〜80%であることが好
ましく、その空隙を形成する細孔は、5〜100nmの
平均直径(平均細孔径)を有することが好ましく、特に
10〜50nmが好ましい。細孔の容量(細孔容量)
は、0.5〜0.9ml/gが好ましく、更に0.6〜
0.9ml/gが好ましい。更に、色材受容層の比表面
積は、100〜250m2/gの範囲が好ましく、特に
120〜200m2/gが好ましい。また色材受容層の
光線透過率は、70%以上が好ましい。
【0032】シリカ微粒子以外に、本発明の目的を損な
わない範囲で、次の材料を用いても良い。使用される微
粒子としては、透明性を低下させない点から屈折率が
1.40〜1.60にあるものが好ましく、例えばコロ
イダルシリカ、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナ
イト、ハロイサイト、白雲母、タルク、炭酸カルシウ
ム、硫酸カルシウム等を挙げることができる。
【0033】さらに、加工液塗布時の欠陥を防止する上
で消泡材を添加してもかまわない。本発明の消泡剤とし
ては、一般に知られている種々の消泡剤、例えば油脂
系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、エー
テル系、りん酸エステル系、アミン系、アミド系、金属
石鹸系、硫酸エステル系、シリコン系等が使用できる
が、中でも脂肪酸エステル系、エーテル系、金属石鹸
系、シリコン系が好ましく、シリコン系が特に好まし
い。これらは単独または、2種以上の組み合わせで使用
しても良い。
【0034】本発明のインクジェット記録用フィルムに
おいて、上記無機微粒子と組み合わせて用いられる親水
性バインダーとしては、ポリビニルアルコールおよびそ
の誘導体、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ヒドロキシル
エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、プ
ルラン、カゼイン、デキストラン等を用いることができ
るが、インクが含有する高沸点有機溶媒や水に対する膨
潤性や溶解性が低い親水性バインダーを使用するのが印
字直後の皮膜強度の点から好ましい。
【0035】本発明では特に皮膜形成性のため、ポリビ
ニルアルコールまたはその誘導体が好ましく、中でも平
均重合度が1000以上が好ましく、最も好ましくは平
均重合度が2000以上のポリビニルアルコールまたは
その誘導体である。また、ケン化度は70〜100%が
好ましく、特に80〜100%が好ましい。
【0036】上記親水性バインダーは2種以上併用する
こともできるが、この場合であってもポリビニルアルコ
ールまたはその誘導体を少なくとも50質量%以上含有
してるのが好ましい。上記ポリビルアルコール誘導体と
しては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン
変性ポリビニルアルコールまたはノニオン変性ポリビニ
ルアルコールが上げられる。カチオン変性ポリビニルア
ルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより
得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量
体としては、例えばトリメチル(2−アクリルアミド−
2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、ト
リメチル(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロ
ピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾー
ル、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−
ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキ
シルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメ
チル(メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロラ
イド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプ
ロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性
ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比
率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好まし
くは0.2〜5モル%である。カチオン変性ポリビニル
アルコールの重合度は通常500〜4000、好ましく
は1000〜4000が好ましい。酢酸ビニル基のケン
化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99
モル%である。アニオン変性ポリビニルアルコールは、
例えば、特開平1−206088号公報に記載されてい
るようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、
特開昭61−237681号および同63−30797
9号公報に記載されているようなビニルアルコールと水
溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平
7−285265号公報に記載されているような水溶性
基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。ま
た、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例え
ば、特開平7−9758号公報に記載されているような
ポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部
に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−2
5795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化
合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げ
られる。本発明のインクジェット記録材料の空隙層の親
水性バインダーに対する無機微粒子の比率は質量比で3
倍以上であることが、高い空隙率と高い皮膜強度を得る
上で好ましい。
【0037】同様の観点から更に好ましい無機微粒子の
親水性バインダーに対する比率は6以上である。親水性
バインダーに対する無機微粒子の比率の上限は、皮膜の
ひび割れ性能の点から概ね8以下であることが好まし
い。本発明のインクジェット記録用フィルムの空隙層中
には前記親水性バインダーと架橋し得る硬膜剤を添加す
るのが空隙層の造膜性の改良、皮膜の耐水性、および本
発明の目的である印字後の皮膜強度を改善する点で好ま
しい。そのような硬膜剤としてはエポキシ基、エチレン
イミノ基、活性ビニル基等を含有する有機硬膜剤、クロ
ムみょうばん、ほう酸、あるいはほう砂等の無機硬膜剤
が挙げられる。親水性バインダーがポリビニルアルコー
ルである場合には特に、分子中に少なくとも2個のエポ
キシ基を有するエポキシ系硬膜剤、ほう酸またはその
塩、ほう砂が好ましい。ほう酸としてはオルトほう酸だ
けでなく、メタほう酸や四ほう酸等も使用出来る。前記
硬膜剤の添加量は上記親水性バインダー1g当たり通常
1〜200mg、好ましくは2〜100mgである。本
発明のインクジェット記録用フィルムの空隙層中には、
画像の耐水性、耐滲み性を改良する目的で、カチオン性
ポリマーを含有させることが好ましい。本発明に用いら
れるカチオン性ポリマーとしては、例えば1級〜3級ア
ミノ基及び4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポ
リマーを用いることが出来るが、経時での変色や耐光性
の劣化が少ないこと、染料の定着性が高いこと等から、
4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好
ましい。
【0038】さらに必要に応じて、特開昭57−366
92号公報の塩基性ラテックスポリマー、特公平4−1
5744号、特開昭61−58788号、同62−17
4184号等各公報記載のポリアリルアミン、特開昭6
1−47290号公報記載のアルカリ金属弱酸塩等を併
用することができる。本発明に好ましく用いられるカチ
オン性ポリマーは、以下のような4級アンモニウム塩基
を有するモノマーの単独重合体やその他のモノマーとの
共重合体として得られる。次に好ましく用いられる4級
アンモニウム塩基を有するモノマーの具体例を挙げる
【0039】
【化1】
【0040】
【化2】
【0041】次に上記モノマーと共重合しうるモノマー
の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0042】
【化3】
【0043】
【化4】
【0044】以下に好ましく用いられる4級アンモニウ
ム塩基を有するカチオン性ポリマーの具体例を挙げる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。数字は
モノマーのモル百分率を示す。
【0045】
【化5】
【0046】
【化6】
【0047】
【化7】
【0048】カチオン性ポリマーは水溶性でも乳化重合
によるラテックス粒子でもよいが、本発明では、水溶性
のカチオン性ポリマーを用いる方が好ましい。
【0049】水溶性カチオン性ポリマーの中でも、平均
分子量が5万以下であるカチオン性ポリマーが、無機微
粒子との凝集が少なく、光沢性が劣化しにくいため好ま
しい。より好ましくは平均分子量が3万以下である。平
均分子量の下限は特に制約はないが、耐水性、耐湿性か
らおおよそ2000以上である。ここでの平均分子量と
は、数平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーから求めたポリスチレン換算値をいう。上
記カチオンポリマーは記録層中に使用する親水性バイン
ダーに対し質量比で0.5倍以上であることが十分な耐
水性、耐湿性を得ることができる点で好ましい。また、
空隙層の造膜性等のために、2倍以下が好ましい。使用
量の上限は特に限定されないが、インクの吸収性や、記
録用フィルムのカール等の点から3g/m2以下が好ま
しい。本発明のインクジェット記録用フィルムの空隙層
には、塗布後乾燥時の皮膜の脆弱性を改良するために、
各種液滴やポリマーラテックスを含有することが好まし
い。そのような液滴としては例えば流動パラフィン、ジ
オクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリ
コンオイルのような、室温で水に対する溶解性が約0.
01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒、例えばスチレ
ン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチ
ルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリ
レート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリ
レート等のモノマーを1種以上を乳化重合、あるいは重
合後乳化分散させて得られるようなポリマーラテックス
を添加することができる。
【0050】このような液滴、ラテックス粒子は、好ま
しくは親水性バインダーに対し10〜50質量%用いる
ことができる。クラック防止や皮膜の脆弱性に対して
は、分子量が300以下のポリオール類を含有させるこ
とも好ましい。このようなポリオール類としては、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ン、1,6−ヘキサンジオール、分子量が300以下の
ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0051】本発明のインクジェット記録用フィルムの
色材受容層側の任意の層中には、必要に応じて各種の添
加剤を含有させることが出来る。例えば、特開昭57−
74193号公報、同57−87988号公報及び同6
2−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭
57−74192号、同57−87989号公報、同6
0−72785号公報、同61−146591号公報、
特開平1−95091号公報及び同3−13376号公
報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン
またはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−429
93号公報、同59−52689号公報、同62−28
0069号公報、同61−242871号公報および特
開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増
白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、ジ
エチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電
防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させるこ
ともできる。
【0052】本発明のインクジェット記録用フィルムに
おける色材受容層側の塗布固形分の量は5〜40g/m
2が好ましく、10〜30g/m2がより好ましい。本発
明のインクジェット記録用フィルムの乾燥膜厚は皮膜の
空隙率や要求される空隙量により決まるが、一般には1
5μm以上、好ましくは20μm以上である。本発明の
インクジェット記録用フィルムの色材受容層の空隙容量
は記録材料1m<SP>2</SP>当たり10〜40
mlが好ましく、15〜30mlになる範囲に調整され
ることがより好ましい。但し、空隙容量はJ.TAPP
I紙パルプ試験方法No.51−87紙及び板紙の液体
吸収性試験方法(ブリストー法)に記載された方法で記
録材料のインク吸収性側を測定した時、吸収時間が2秒
における液体転移量(ml/m2)で表される。なお、
この時使用する液体は純水(イオン交換水)であるが、
測定面積の判別を容易にするために2%未満の水溶性染
料を含有していても良い。本発明の記録材料は、前記し
た空隙層を有する記録層を2層以上有していても良く、
この場合、2層以上の空隙層の無機微粒子の親水性バイ
ンダーに対する比率はお互いに異なっていてもよい。ま
た、上記空隙層以外に、空隙層を有さず、あるいは空隙
層と共にインクに対して膨潤性の層を有していても良
い。このような膨潤層は空隙層の下層(支持体に近い
側)あるいは空隙層の上層(支持体から離れた側)に設
けても良く、更には空隙層が2層以上有る場合には空隙
層の間に設けられても良い。
【0053】かかる膨潤性層には通常親水性バインダー
が用いられ、ここに用いられる親水性バインダーの例と
しては、前記空隙層に用いられる親水性バインダーが挙
げられる。本発明のインクジェット記録用フィルムの色
材受容層を有する側とは反対側にはカール防止や印字直
後に重ね合わせた際のくっつきやインク転写防止性を更
に向上させるために種々の種類のバック層を設けること
が好ましい。バック層の構成は支持体の種類や厚み、色
材受容層の構成や厚みによっても変わるが一般には親水
性バインダーや疎水性バインダーが用いられる。バック
層の厚みは通常は0.1〜10μmの範囲である。ま
た、バック層には他の記録材料とのくっつき防止、筆記
性改良、さらにはインクジェット記録装置内での搬送性
改良のために表面を粗面化できる。この目的で好ましく
用いられるのは粒径が2〜20μmの有機または無機の
微粒子である。従って、本発明の好ましい実施態様とし
ては、ポリエステル支持体上に、少なくとも親水性バイ
ンダーと平均粒径100nm以下の無機微粒子、カチオ
ン性ポリマー及び消泡剤を含有する空隙層を少なくとも
1層有するインクジェット記録用フィルムが挙げられ
る。
【0054】次に本発明のインクジェット記録用フィル
ムを製造する方法について説明する。本発明のインクジ
ェット記録用フィルムは、支持体上に少なくとも本発明
に係る空隙層を塗布乾燥して得られる。空隙層を形成す
るための材料を適当な溶媒、例えば水、アルコール、あ
るいは各種有機溶媒を添加し、前記支持体上に塗布し乾
燥して得られる。本発明の効果を得るためには、塗布液
調製時の粘度が重要で、好ましくは100cp以下、よ
り好ましくは50cpで調製することによって、十分な
効果を得ることができる。
【0055】本発明のインクジェット記録用フィルムを
塗布する際の塗布液の温度は通常25〜60℃であり、
30〜50℃が好ましい。支持体上に塗布後にいったん
冷却して塗布液の粘度を増大させるか、ゲル化させてか
ら、温風乾燥させるのが好ましい。塗布後の膜面温度は
20℃以下、好ましくは5〜15℃になるようにするの
が好ましい。冷却後の乾燥は通常20〜60℃の温風を
吹き付けて乾燥するのが、均一な膜面を得るのに好まし
い。塗布時の湿潤膜厚は目的とする乾燥膜厚によって異
なるが、概ね50〜300μm、好ましくは70〜25
0μm塗布速度は、乾燥能力に大きく依存するが、概ね
20〜200m/分であり、乾燥時間は概ね2〜10分
である。上記空隙層を支持体上に塗布する方法は公知の
方法から適宜選択して行うことが出来る。塗布方式とし
ては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング
法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング
法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,
294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージ
ョンコート法が好ましく用いられる。
【0056】インクジェット記録方法において、記録方
法としては、従来公知の各種の方式を用いることがで
き、その詳細はたとえば、インクジェット記録技術の動
向(中村孝一編、平成7年3月31日、日本科学情報株
式会社発行)に記載されている。
【0057】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0058】実施例1 平均粒径0.3μmのシリカ粒子を0.005質量%、
染料を0.015質量%含有し、固有粘度0.60であ
るポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トをダイスリットより溶融押出し、キャスティングドラ
ム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作製した。この
未延伸フィルムを、縦方向(機械軸方向)に3.0倍、
横方向(幅方向)に3.3倍逐次二軸延伸して熱固定
し、厚みが175μmの二軸配向フィルムを得た。熱固
定後、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ、加熱搬
送ロール後の搬送ロールの速度を減速させ、この二軸配
向フィルムの両端部にエンボスの高さが75μmとなる
ように処理を行った後、二軸配向フィルムをロールに巻
取った。なお、フィルム長手方向(MD)に直角に交わ
る直線上に存在するそれぞれのエンボスの高さの差は5
μmであった。
【0059】得られた二軸配向フィルムから幅1500
mm、長さ2000mのフィルムをサンプリングし、直
径165mmの巻芯(材質:炭素繊維+エポキシ樹脂)
に巻取ってサンプルロールとした。この状態で、ロール
全体を100℃まで24時間かけて昇温し、24時間保
持後、24時間かけて室温まで降温する加熱処理をし
て、厚みが175μmの二軸配向フィルムを得た。巻き
外から順番に300mごとにサンプリングしてフィルム
サンプルを取り、下記の色材受容層液を塗布して、試料
1〜6を得た。
【0060】同様にして、二軸配向フィルムから幅15
00mm、長さ2000mのフィルムをサンプリング
し、直径95mmの巻芯(材質:炭素繊維+エポキシ樹
脂)に巻取ってサンプルロールとした。この状態で、ロ
ール全体を100℃まで24時間かけて昇温し、24時
間保持後、24時間かけて室温まで降温する加熱処理を
して、厚みが175μmの二軸配向フィルムを得た。巻
き外から順番に300mごとにサンプリングしてフィル
ムサンプルを取り、下記の色材受容層液を塗布して、試
料7〜12を得た。
【0061】また、二軸配向フィルムにおいて、熱処理
を施さなかったフィルムサンプルを用いて得られた試料
を試料13とした。
【0062】下記に色材受容層液を示す。平均1次粒径
が12nmの気相法により合成された微粒子シリカ18
0gを純水1000ml中に添加し、高速ホモジナイザ
ーで分散し青い透明な分散液を得た。次にこのシリカ水
分散液中に、カチオン性ポリマーとして例示カチオン性
ポリマーMor−1の25%水溶液を100ml添加
し、消泡剤DF−1(ポリプロピレンオキシ−ポリエチ
レンオキシ−ジコハク酸エステル)を塗布液に対して、
0.01%添加し、30分間高速ホモジナイザーで分散
して、青白い透明な分散液を得た。次に平均重合度30
0でケン化度98%の10%ポリビニルアルコール水溶
液を1mlを添加し、更に平均重合度が3500でケン
化度95%の5%ポリビニルアルコール水溶液(酢酸エ
チルを4質量%含有)600mlを徐々に添加し、つい
で粘度向上剤として4%ほう砂水溶液100mlを添加
し、さらに20mlのエタノールを添加した。この中に
下記分散物1を30ml添加し、空隙を有する層を形成
する色材受容層液−1を調製した。 (分散物1)下記組成の溶液1と溶液2を調製し、混合
して超音波分散機で分散した。 溶液1 ジ−i−デシルフタレート 3.0g 酢酸エチル 5ml 溶液2 ゼラチン 1.0g 界面活性剤(丸善製薬(株)QC−100) 2.8g 純水 22ml 上記のようにして得られた色材受容層液−1を、グロー
放電により易接着処理した上記フィルム支持体上の記録
面側に湿潤膜厚が240μmとなるように塗布し、塗布
皮膜温度を15℃以下に冷却したあと、40℃の温風で
150秒間乾燥し、試料1を作製した。この試料の顕微
鏡観察から2次凝集粒子の大きさは約75nmであるこ
とがわかった。同様にして試料2〜13を作製し、4ツ
切サイズに断裁して立ち上がりカールを測定した。
【0063】定法にしたがって、着色剤にはダイレクト
ブラック154を用い、溶剤としてイオン交換水の他
に、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル、エタノール、ポリエチ
レングリコール、n−プロパノール、などを用いさら
に、添加剤として、サーフィノールTG、サーフィノー
ルB2、サーフィノール440を用いて黒インクを調製
した。各種のインクを単独または組み合わせて用いて、
ピエゾ方式のインクジェットプリントを行った。使用す
るインクに応じて、プリンターのインク吐出条件を最適
化して、プリンタードライバーを作製し各種の医療診断
画像データを、上記インクジェット記録用フィルムにプ
リントし、医用画像として評価した。
【0064】評価 5:医用画像として問題ない 4:かすかに濃度むらがある 3:濃度むらがある 2:やや擦り傷がある 1:擦り傷が多く画像が見えにくい 医用画像を印刷した試料1〜13を湿度可変室にて、1
時間間隔で相対湿度が20%と80%の間を10回変化
させた。
【0065】その試料を、シャーカステンにさしたりは
ずしたりを10回繰り返してその画像の状態を評価し
た。
【0066】評価 5:医用画像として問題ない 4:端部がかすかにひび割れ 3:9回でひびわれた 2:6〜8回目でひび割れた 1:1〜5回目でひび割れた 評価結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】予め強制的に有る範囲のカールを付与し
た支持体フィルムを用いたインクジェット記録用フィル
ムにより、優れた医用画像記録フィルム及びそれを用い
た医用画像形成方法を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉地 育夫 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA15 BA19 BA33 BA35 BA41 BA46

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に色材受容層が設けられて
    なるインクジェット記録用フィルムにおいて、該色材受
    容層には平均1次粒子径が5〜100nmのシリカ微粒
    子と水溶性樹脂が含有され、該微粒子と水溶性樹脂の質
    量比が3:1〜10:1の範囲であり、かつ該色材受容
    層の空隙率が50〜80%であって、さらに23℃55
    %RHの雰囲気下での該記録フィルムの立ち上がりカー
    ルが、3〜30mmであることを特徴とするインクジェ
    ット記録用フィルム。
  2. 【請求項2】 透明支持体が60〜250μmの膜厚の
    ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1
    記載のインクジェット記録用フィルム。
  3. 【請求項3】 記録フィルムが外径100mm以上40
    0mm以下の巻き芯に巻かれた状態で、透明支持体のガ
    ラス転移点(Tg)から(Tg−40℃)の温度範囲で
    1分〜1500時間熱処理されることを特徴とする請求
    項1又は2記載のインクジェット記録用フィルム。
  4. 【請求項4】 水溶性樹脂がケン化度97%以上のポリ
    ビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3
    の何れか1項記載のインクジェット記録用フィルム。
  5. 【請求項5】 医用画像記録用フィルムであることを特
    徴とする請求項1〜4の何れか1項記載のインクジェッ
    ト記録フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4の何れか1項記載のインク
    ジェット記録フィルムを用いることを特徴とする医用画
    像形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003175667A (ja) * 2001-12-11 2003-06-24 Toyobo Co Ltd インクジェットプリンター用記録ロール体の製造方法
JP2003285539A (ja) * 2002-03-28 2003-10-07 Konica Corp インクジェット記録方法及び記録画像

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