JP2002172037A - 座席シート - Google Patents
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Abstract
への移行動作を円滑にして、操作力の低減化を図ると共
に、振動や振動音の発生を抑制する。 【解決手段】 クラッチユニットは、入力側部材として
の外輪1と、出力側部材としての出力軸2と、制御部材
としての内輪3と、静止側部材としての外輪4と、外輪
1と内輪3との間に設けられた第1クラッチ部5と、外
輪4と出力軸2との間に設けられた第2クラッチ部6と
を主要な要素として構成される。第2クラッチ部6の内
部には、基油粘度が750cSt以上の潤滑グリースが
封入されている。
Description
ユニットが組み込まれた座席シートに関する。
材間に、該部材同士を楔係合力によってロックするロッ
ク手段を設け、該ロック手段のロック・ロック解除動作
を通じて上記二部材間でトルクの伝達・遮断を行なうク
ラッチが知られている。この種のクラッチには、大別し
て、ロック手段の楔係合部を上記二部材に固定的に設け
たものと、ロック手段の楔係合部に独立した部材である
係合子を用いるものとがある。後者のクラッチでは、上
記二部材間に楔隙間を形成し、この楔隙間に対して係合
子を楔係合・離脱させることによって、両部材間のロッ
ク・ロック解除(空転)を切換える構成にしている。係
合子としては、円形断面のローラ又はボール、非円形断
面のスプラグ等が使用される。
は、ロック手段の楔係合力が大きいと、ロック状態を解
除するために大きな操作力が必要になったり、また、ロ
ック状態からロック解除状態に移行する際の摩擦抵抗力
に起因して振動や振動音が発生する場合がある。
ッチユニットにおいて、ロック手段のロック状態からロ
ック解除状態への移行動作を円滑にして、操作力の低減
化を図ると共に、振動や振動音の発生を抑制することを
目的とする。
め、本発明は、着座シートと、背もたれシートと、座席
シート調整装置とを有する座席シートにおいて、座席シ
ート調整装置は、その操作レバーと回動部材との間に介
装されるクラッチユニットを有し、クラッチユニット
は、操作レバーに結合される入力側部材と、回動部材に
連結される出力側部材と、入力側部材と出力側部材との
間のトルク伝達経路に介在する制御部材と、回転が拘束
される静止側部材と、入力側部材と制御部材との間に設
けられた第1クラッチ部と、静止側部材と前記出力側部
材との間に設けられた第2クラッチ部とを備え、第2ク
ラッチ部は、出力側部材からの逆入力トルクに対して出
力側部材と静止側部材とを楔係合力によってロックする
ロック手段と、入力側部材からの入力トルクに対してロ
ック手段によるロック状態を解除するロック解除手段
と、ロック手段によるロック状態が解除された状態のと
きに制御部材と出力側部材との間で入力トルクを伝達す
るトルク伝達手段とを備え、少なくとも第2クラッチ部
のロック手段を含む内部に潤滑グリースが封入され、か
つ、該潤滑グリースの基油の粘度が750cSt以上で
ある構成を提供する。
ける値である(本明細書において基油粘度は全て25°
C時の値で示す。)。一般に、この種のクラッチに使用
されている潤滑グリースの基油粘度は100cSt程度
あるが、基油粘度を750cSt以上と大きくすること
により、潤滑グリースの油膜形成力が高められ、ロック
手段の周辺に油膜強度および油膜厚さの大きい潤滑油膜
が形成される。そのため、ロック手段がロック状態から
ロック解除状態へ移行する際の滑りに対する摩擦抵抗力
が低減する。また、油膜強度および油膜厚さが大きくな
ることにより、振動衝撃の緩和効果も大である。その結
果、ロック手段の移行動作が円滑化され、操作力が低減
すると同時に、移行動作時の振動や振動音の発生が抑制
される。
添加剤を添加することができる。これにより、上記摩擦
抵抗力を一層低減して、上記効果を高めることができ
る。固体潤滑剤としてはPTFE、グラファイト、極圧
添加剤としては二硫化モリブデン、有機モリブデンを例
示することができる。
する係合子を有するものとすることができ、その場合、
係合子は前記2つの部材と軸方向に線接触する形状を有
するものとすることができる。係合子には、円形断面の
ローラ又はボールと、非円形断面のスプラグ等があり、
その中で、ローラおよびスプラグ等が「軸方向に線接触
する形状を有する」係合子に該当する。
動面にクラウニングを施こすことができる。これによ
り、ローラの転動面との接触部分におけるエッジロード
が抑制され、潤滑グリースによる油膜形成が促進され
る。ここで、「クラウニング」とは、ローラの転動面に
僅かな曲率を設けることをいう。転動面の両端部領域に
曲率を設けた構成のほか、転動面の全領域を1つの曲率
で描いた所謂フルクラウングも含まれる。また、クラウ
ニング領域を直線(傾斜線)で描いた所謂カットクラウ
ニングも含まれる。転動面の両端部領域にクラウニング
を設ける場合、クラウニング量(クラウニング領域の軸
方向長さや半径方向ドロップ量)を左右異ならせること
もできる。また、転動面にフルクラウニングを設ける場
合、クラウニングの曲率中心をローラの軸方向中心位置
に対して軸方向にオフセットさせることもできる。上記
の効果が得られるほか、ローラの転動面の接触面圧が左
右不均一になるので、ロック状態からロック解除状態へ
の移行時に、ローラにスキューを生じさせることができ
る。したがって、これらの構成は下記の「スキュー発生
手段」にもなる。
め、着座シートと、背もたれシートと、座席シート調整
装置とを有する座席シートにおいて、座席シート調整装
置は、その操作レバーと回動部材との間に介装されるク
ラッチユニットを有し、クラッチユニットは、操作レバ
ーに結合される入力側部材と、回動部材に連結される出
力側部材と、入力側部材と出力側部材との間のトルク伝
達経路に介在する制御部材と、回転が拘束される静止側
部材と、入力側部材と制御部材との間に設けられた第1
クラッチ部と、静止側部材と出力側部材との間に設けら
れた第2クラッチ部とを備え、第2クラッチ部は、出力
側部材からの逆入力トルクに対して出力側部材と静止側
部材とを楔係合力によってロックするロック手段と、入
力側部材からの入力トルクに対してロック手段によるロ
ック状態を解除するロック解除手段と、ロック手段によ
るロック状態が解除された状態のときに制御部材と出力
側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝達手段と
を備え、ロック手段は出力側部材および静止側部材と楔
係合する係合子を有し、該係合子は出力側部材および静
止側部材と軸方向に線接触する形状を有し、ロック手段
によるロック状態が解除されるときに、係合子にスキュ
ーを生じさせるスキュー発生手段を設けた構成を提供す
る。
合子の軸線がクラッチの軸線に対して傾く現象をいう。
ロック状態からロック解除状態への移行時、係合子にス
キューを生じさせることにより、係合子の楔係合部分
(線接触部分)が軸方向の一端部から他端部にかけて漸
次に外れてゆくので、移行動作時の摩擦抵抗が低減す
る。そのため、ロック手段の移行動作が円滑化され、操
作力が低減すると同時に、移行動作時の振動や振動音の
発生が抑制される。
ロック状態を解除する係合要素をさらに備えた構成にお
いては、前記係合要素の係合面に段差部を設けることに
よってスキュー発生手段を構成することができる。係合
要素の係合面が係合子を押圧する際、段差部以外の領域
が先に係合子の一部と接触してこれを押圧するので、係
合要素の押圧力が係合子の軸方向中心位置に対して左右
不均一となり、係合子にスキューが生じる。同様に、前
記係合要素の係合面に軸方向の傾斜を設けることによっ
ても、スキュー発生手段を構成することができる。「軸
方向の傾斜」を設けた係合面には、直線状のもの、曲線
状のものが含まれる。
触部のうち、少なくとも一方の接触部について、前記係
合子の軸方向中心位置を基準とする左右領域間で、接触
長さを相異ならせることによって、スキュー発生手段を
構成することができる。これは、例えば、前記係合子と
接触する前記2つの部材の接触面のうち、少なくとも一
方の接触面に段差部を設けることによって実現すること
ができる。この段差部を設けた領域では、係合子は上記
係合面と接触しないか、あるいは、段差部の高さが微小
である場合は、段差部以外の領域に比べて低い面圧で接
触する。そのため、係合子に作用する摩擦抵抗力が軸方
向中心位置に対して左右不均一となり、係合子にスキュ
ーが生じる。
か、ローラの転動面やこれと接触する接触面の表面性状
を、ローラの軸方向中心位置に対して左右異ならせた構
成とすることもできる。具体的には、上記接触面の表面
粗さを部分的に変える{例えば、部分的にディンプル処
理(ショットピーニング等)を行なう。)、上記接触に
部分的に摩擦低減処理(例えば、りん酸塩被膜処理等、
摩擦低減のための被膜処理を行なう。)を行なうことが
できる。
用いることができ、また、前記ロック手段を含む内部に
潤滑グリースを封入し、かつ、該潤滑グリースの基油の
粘度を750cSt以上とすることができる。この潤滑
グリースには、固体潤滑剤や極圧添加剤を添加すること
ができる。
トの高さを調整するシート高さ調整装置、背もたれシー
トの傾斜を調整するシート傾斜調整装置、着座シートの
前後位置を調整するシートスライド調整装置が含まれる
が、本発明は、着座シートのシート高さ調整装置に特に
好適である。この構成によれば、着座シートの高さ調整
を操作レバーの揺動操作によって行うことが可能になる
ので、従来装置に比べて操作上の利便性が増すと同時
に、車体や座席シートの設計自由度を高めることがで
き、特に小型車や大衆車のシート高さ調整装置に極めて
有用である。
をスライド可動部材に対して昇降自在に支持する四節リ
ンク機構と、前記着座シートに回動自在に枢着され、前
記四節リンク機構にリンク部材を介して連結されるセク
ターギヤと、前記クラッチユニットの出力側部材に連結
され、前記セクターギヤと噛合するピニオンギヤとを備
えたものとすることができる。
従って説明する。
座席シートのシート高さ調整装置(31:図19及び図
20参照)に組み込まれるクラッチユニットの全体構成
を示している。このクラッチユニットは、入力側部材と
しての外輪1と、出力側部材としての出力軸2と、制御
部材としての内輪3と、静止側部材としての外輪4と、
外輪1と内輪3との間に設けられた第1クラッチ部5
と、外輪4と出力軸2との間に設けられた第2クラッチ
部6とを主要な要素として構成される。
ている。外輪1の外周には、外径側に突出した複数(例
えば3つ)のリブ1aと、複数(例えば4つ)のリブ1
bと、複数(例えば2つ)のリブ1eと、1つ又は複数
のリブ1fが円周方向に所定間隔で形成される。リブ1
aの軸方向一端側部分は外輪1の一端から軸方向に突出
して、突出部1a2を形成する。また、3つのリブ1a
のうち何れか1つ、例えば同図で上側に位置するリブ1
aの外周に、このクラッチユニットを相手側部材に取付
ける際の方向識別に用いる識別マーク1a1が設けられ
ている。この実施形態において、識別マーク1a1は軸
方向溝の形態をなしている。これらリブ1a、1b、1
eおよび1fは、外輪1の外周に装着される操作レバー
(13:図8、図9参照)と回転方向に係合して、操作
レバー(13)の外輪1に対する相対回転を防止する。
成される。操作レバー(13)の外輪1に対する軸方向
相対移動は、リブ1bのねじ穴1b1に操作レバー(1
3)をねじ結合することによって防止される。図9に示
すように、この実施形態では、右ハンドル車や左ハンド
ル車、車体や座席シートの設計等に応じて、クラッチユ
ニットおよび操作レバー(13)を座席シートの左右い
ずれの側にも配置可能とするため、外輪1を同図におけ
るY軸に対して左右対称形状にして、操作レバー(1
3)を左右いずれの向きにも装着できるようにしてい
る。この場合、操作レバー(13)の操作トルクは主に
180°対向した位置にある2つのリブ1bのねじ結合
部分に作用するので、これらの2つのリブ1bにのみね
じ穴1b1を形成し、残りの2つのリブ1bにはねじ穴
1b1を加工する際の下穴(貫通穴)をそのまま残して
おいても良い。これにより、ねじ穴加工の加工コストを
低減することができる。例えば、操作レバー(13)を
同図で右向きに装着する場合(実線)は、同図でY軸に
対して右方向に傾斜した傾斜線上に位置する2つのリブ
1bにねじ穴1b1を形成し、左方向に傾斜した傾斜線
上に位置する2つのリブ1bは下穴1b1’にする。操
作レバー(13)を同図で右向きに装着する場合(2点
鎖線)は、上記とは逆にする。勿論、4つのリブ1bに
全てねじ穴1b1を形成しても良い。
ラッチ部(5)のセンタリングバネ(12:図11参
照)が収容される。また、突出部1a2が後述する外輪
(4:図5参照)のストッパ部(4a1)と回転方向に
係合することによって、外輪1の回動範囲が規制され
る。
鍔部1cが形成される。この鍔部1cは、後述する第1
クラッチ部(5)の保持器(11:図1、図10参照)
を軸方向の一方に抜け止め規制すると共に、外輪1の内
輪3に対する同軸性を保持する役割を持つ。また、外輪
1の内周には、複数(例えば10個)のカム面1dが円
周方向に等間隔で形成される。各カム面1dは、円周方
向中央部が深く、そこから円周方向両側に向かって傾斜
状に浅くなっている。
素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、
浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入
れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施され
る。この実施形態では、外輪1を形成する鋼材として肌
焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用
し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、少
なくともカム面1dにおける表層部の表面硬さを57〜
62HRCに調整している。ここで、HRCはロックウ
ェル硬さのCスケールを表している。尚、外輪1は、鋼
材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延鋼鈑)のプレス成
形品とすることもできる。
している。出力軸2は、一端側にジャーナル部2a、中
央側に大径部2b、他端側に連結部2cを備えている。
ジャーナル部2aは、後述する内輪(3:図4参照)の
ラジアル軸受面(3a1)に挿入される。大径部2bの
外周には、複数(例えば8つ)のカム面2b1が円周方
向に等間隔で形成される。各カム面2b1は、出力軸2
の軸心を中心とする円に対して弦をなす平坦面状に形成
される。また、大径部2bの一端側部分には軸方向の複
数(例えば8つ)のピン孔2b3が円周所定間隔に形成
される。これらピン孔2b3には後述する内輪(3:図
4参照)のピン(3b1)が挿入される。また、大径部
2bの他端側部分には環状凹部2b4が形成される。こ
の環状凹部2b4には後述する摩擦部材(9:図7参
照)が装着され、また、環状凹部2b4の内周壁2b5
は、後述する固定側板(7:図6参照)のラジアル軸受
面(7e2)に挿入されるジャーナル面になる。連結部
2cには、他の回動部材を連結するための歯型2c1が
形成される。
炭素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形さ
れ、浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波
焼入れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施
される。この実施形態では、出力軸2を形成する鋼材と
して肌焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)
を使用し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行っ
て、表層部の表面硬さを57〜62HRCに調整してい
る。尚、出力軸2は、鋼材の削出し品とすることもでき
る。
いる。内輪3は、筒状部3aと、筒状部3aの一端から
外径側に延びたフランジ部3bと、フランジ部3bの外
径端から軸方向の一方に延びた複数(例えば8本)の柱
部3cとを主体として構成される。筒状部3aは、出力
軸2のジャーナル部2aに外挿され、かつ、外輪1の内
部に内挿される。筒状部3aの他端側部分の内周には、
出力軸2のジャーナル部2aをラジアル方向に支持する
ラジアル軸受面3a1が形成され、筒状部3aの他端側
部分の外周には、外輪1のカム面1dとの間に正逆両回
転方向に楔隙間を形成する円周面3a2が形成される。
フランジ部3bには、軸方向の一方に突出した複数(例
えば8つ)のピン3b1が円周方向に所定間隔で形成さ
れる。これらピン3b1は、出力軸2のピン孔2b3に
それぞれ挿入される。また、円周方向に隣接した柱部3
c間には、軸方向の一方に向かって開口したポケット3
c1が形成され、これらポケット3c1に後述する第2
クラッチ部(6:図15参照)のローラ(20)と板ば
ね(21)が収容される。ローラ(20)と板ばね(2
1)を、ポケット3c1の軸方向の開口部から該ポケッ
ト3c1内に組み入れることができるので、組立作業が
容易である。
素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、
浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入
れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施され
る。この実施形態では、内輪3を形成する鋼材として肌
焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用
し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表
層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。
尚、内輪3は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延
鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
ている。外輪4は、半径方向に延びたフランジ部4a
と、フランジ部4aの外径端から軸方向の一方に延びた
筒状部4cと、筒状部4cの一端から外径側に突出した
鍔部4dとを主体として構成される。フランジ部4aに
は、軸方向の他方に突出した複数(例えば3つ)のスト
ッパ部4a1が円周方向に所定間隔で配列形成される。
これらストッパ部4a1は、外輪1の突出部1a2と回
転方向に係合して、外輪1の回動範囲を規制する。ま
た、フランジ部4aには、軸方向の他方に突出した一対
の係止部4a2と、複数(例えば2つ)の装着部4a3
とが形成される。一対の係止部4a2の円周方向外側面
には、後述する第1クラッチ部(5)のセンタリングバ
ネ(12:図11参照)の係合部(12a1、12a
2)がそれぞれ係止される。また、装着部4a3の外周
には、センタリングバネ(12)の巻き部(12a)が
装着される。
2b1との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成する円周
面4c1が形成される。鍔部4dには、複数(例えば6
つ)の切欠き部4d1が円周方向に所定間隔で形成され
る。切欠き部4d1は、後述する固定側板(7)の加締
部(7c:図6参照)と適合する。
素鋼、軸受鋼等の鋼材から鍛造加工によって成形され、
浸炭焼入れ焼戻し、浸炭窒化焼入れ焼戻し、高周波焼入
れ焼戻し、ずぶ焼入れ焼戻し等の適宜の熱処理が施され
る。この実施形態では、外輪4を形成する鋼材として肌
焼鋼(例えばクロムモリブデン鋼SCM420)を使用
し、これに熱処理として浸炭焼入れ焼戻しを行って、表
層部の表面硬さを57〜62HRCに調整している。
尚、外輪4は、鋼材の削出し品、鋼鈑(例えば冷間圧延
鋼鈑)のプレス成形品とすることもできる。
示している。固定側板7は、半径方向に延びたフランジ
部7aと、フランジ部7aの外径端から外径側に突出し
た複数(例えば4つ)のブラケット部7bと、フランジ
部7aの外径端から軸方向の一方に突出した複数(例え
ば6つ)の加締部7cと、フランジ部7aから軸方向の
一方に突出した複数(例えば4つ)の係止部7a1と、
フランジ部7aの内径端から軸方向の一方に突出したボ
ス部7eとを主体として構成される。4つのブラケット
部7bは円周方向に所定間隔で形成され、それぞれに中
空ピン状の加締部7b1が一体(又は別体)に形成され
る。6つの加締部7cは円周方向に所定間隔で形成さ
れ、それぞれ、二股状に分岐した一対の爪部7c1を備
えている。この加締部7cを外輪4の切欠き部4d1に
装着し、一対の爪部7c1を円周方向の相反する方向に
加締めて鍔部4dに当接させることにより、外輪4の固
定側板7に対する軸方向相対移動および回転方向相対移
動を防止することができる。加締部7b1は、相手側部
材の取付け穴に加締固定される。
e2が形成される。ボス部7eは出力軸2の環状凹部2
b4に挿入され、ボス部7eの外周と環状凹部2b4の
外周壁との間に後述する摩擦部材(9:図7参照)が装
着される。係止部7a1は摩擦部材(9)の凹部(9
a)と回転方向に係合して、摩擦部材(9)の固定側板
7に対する相対回転を防止する。ボス部7eのラジアル
軸受面7e2は、環状凹部2b4のジャーナル面2b5
に外挿され、ジャーナル面2b5をラジアル方向に支持
する。
鋼鈑材からプレス加工によって成形される。この実施形
態では、固定側板7を形成する鋼板材として冷間圧延鋼
鈑(例えばSPCE)を使用している。また、加締部7
c及び7b1を加締加工する際の加工性等に配慮して、
熱処理は施していない。尚、加締部7c及び7b1等の
加締加工を行う部位に防炭処理(又は防炭防窒処理)を
施して、浸炭焼入れ焼戻し(又は浸炭窒化焼入れ焼戻
し)を行っても良い。
している。この実施形態において、摩擦部材9はリング
状のもので、その一方の端面には複数(例えば4つ)の
凹部9aが円周方向に所定間隔で形成される。凹部9a
は、固定側板7の係止部7a1と回転方向に係合して、
摩擦部材9の固定側板7に対する相対回転を防止する。
料で形成され、例えば出力軸2の環状凹部2b4の外周
壁に締代をもって圧入される。摩擦部材9の外周と環状
凹部2b4の外周壁との間に生じる摩擦力によって、出
力軸2に回転方向の制動力(摩擦制動力)が与えられ
る。この制動力(制動トルク)の大きさは、出力軸2に
入力される逆入力トルクの大きさを勘案して適宜設定す
れば良いが、逆入力トルクの還流現象を効果的に防止す
る観点から、想定される逆入力トルクと同程度の大きさ
に設定するのが好ましい。シート高さ調整装置の場合で
は、着座シートに着座者が着座した状態で出力軸2に作
用する逆入力トルクと同程度の大きさに設定するのが良
い。この実施形態のように、制動手段として摩擦部材9
を用いると、制動力を摩擦部材9の締代調整によって設
定し、また変更できるという利点がある。
実施形態では、摩擦部材9を合成樹脂材料、例えばポリ
アセタール(POM)にグラスファイバーを30重量%
配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
チ部5を示している。第1クラッチ部5は、外輪1に設
けられた複数(例えば10個)のカム面1dと、内輪3
に設けられた円周面3a2と、カム面1dと円周面3a
2との間に介在する係合子としての複数(例えば9個)
のローラ10と、ローラ10を保持する保持器11と、
保持器11を外輪(4)に回転方向に連結する弾性部
材、例えばセンタリングバネ(12:図11参照)とを
主要な要素として構成される。カム面1d、円周面3a
2、及びローラ10によってロック手段が構成され、保
持器11およびセンタリングバネ(12)によって復帰
手段が構成される。この実施形態において、カム面1d
は円周面3a2との間に正逆両回転方向に楔隙間を形成
する。また、外輪1には操作レバー13が結合され、操
作レバー13から外輪1に正方向又は逆方向の入力トル
クが入力される。また、外輪1の内周と内輪3(筒状部
3a)の外周との間の空間部、特にカム面1dと円周面
3a2との間に潤滑グリースが封入されている。
器11は、ローラ10を収容する複数(例えば10個)
の窓形のポケット11aと、一方の端面から軸方向の一
方に突出した係止部11bを備えている。係止部11b
は例えば円弧状に形成され、外輪4の係止部4a2の内
周側に挿入される。また、係止部11bの円周方向両側
面11b1、11b2には、センタリングバネ(12:
図11参照)の係合部(12a1、12a2)がそれぞ
れ係止される。
実施形態では、保持器11を合成樹脂材料、例えばポリ
アミド66(PA66)にグラスファイバーを30重量
%配合した合成樹脂材料の射出成形品としている。
周方向側面11b1および11b2のうち一方と近接す
るポケット11a’の軸方向寸法を他のポケット11a
よりも小さくしている。このポケット11a’には、ロ
ーラ10は収容されていない。ただし、この形態に限定
されるものではなく、ポケットを全て同じポケット11
aにして、計10個のローラ10を収容しても良い。
いる。センタリングバネ12は、複数の巻き部12a
と、内径側に屈曲した両端の係合部12a1、12a2
を備えている。係合部12a1、12a2は、円周方向
に所定間隔で相対向する。センタリングバネ12は例え
ば角形線材で形成され、この実施形態では、線材として
ピアノ線材(SWPB)を使用している。角形線材を用
いることにより、同一の内外径に対して、大きなバネ力
を得ることができる。また、各巻き部12aの相互間に
隙間を設けることにより、巻き部12a同士の接触によ
る摩擦損失を回避してバネ力の増大を図っている。
ンタリングバネ12の各巻き部12aの巻き中心は、同
図における横軸方向に互いにオフセットされている。同
図に示す例では、各巻き部12aの巻き中心が奥部側
(係合部12a2の側)から手前側(係合部12a1の
側)にかけて、漸次、横軸左方向にオフセットされてい
る。
バネ12は、係合部12a1、12a2間の間隔を自然
状態から円周方向に押し広げて(この時、センタリング
バネ12は若干拡径する。)、外輪4の係止部4a2お
よび保持器11の係止部11bに係止する。これによ
り、保持器11がセンタリングバネ12を介して外輪4
に回転方向に連結される。上記のオフセットを設けてい
るため、係合部12a1、12a2を外輪4の係止部4
a2および保持器11の係止部11bに係止した状態
で、すなわち、センタリングバネ12を所定量拡径させ
た状態で、各巻き部12aの巻き中心が一致して、全て
の巻き部12aが略同心円状になる。
4に対して時計方向に相対回転すると、センタリングバ
ネ12の時計方向(回転方向前方)の係合部12a1が
保持器11の係止部11bに押されて時計方向に弾性変
位する{反時計方向(回転方向後方)の係合部12a2
は外輪4の係止部4a2に係止される。}。これによ
り、センタリングバネ12は一対の係合部12a1、1
2a2間の間隔が押し広げられる方向(拡径する方向)
に撓み、その撓み量に応じた弾性力が蓄積される。尚、
上記のオフセットを設けているため、センタリングバネ
12が同図に示す状態に拡径した場合でも、外輪1の突
出部1a2との干渉は起こらない。また、保持器11が
同図で反時計方向に相対回転した場合も、上記とは逆の
動作によってセンタリングバネ12に弾性力が蓄積され
る。
1クラッチ部5の作用について説明する。尚、図12〜
図14において、センタリングバネ12および外輪4は
模式化され、概念的に示されている。また、操作レバー
13も記載が省略されている。
示している(図8に示す状態)。中立位置において、ロ
ーラ10はカム面1dの中央部に位置し、カム面1dと
円周面3a2との間に形成される正逆両回転方向の楔隙
間からそれぞれ離脱する。ローラ10の直径は、カム面
1dの中央部と円周面3a2との間の半径方向距離より
も若干小さく設定されており、ローラ10とカム面1d
の中央部および円周面3a2との間には半径方向隙間が
ある。尚、後述するように、出力軸2から入力される逆
入力トルクは第2クラッチ部6で正逆両回転方向にロッ
クされる。従って、内輪3は、操作レバー13(外輪
1)から入力される入力トルクに対してのみ回動動作を
行い、出力軸2から逆入力トルクが入力されても回動せ
ず、その位置を保持する。
て、外輪1に入力トルクを入力した時の状態を示してい
る。例えば、同図において、外輪1に反時計方向の入力
トルクが入力されると、外輪1の回動に伴い、カム面1
dがローラ10に対して反時計方向に相対移動して、ロ
ーラ10がその方向の楔隙間に楔係合する。これによ
り、外輪1からの入力トルクがローラ10を介して内輪
3に伝達され、外輪1、ローラ10、保持器11、およ
び内輪3が一体となって反時計方向に回動する。そし
て、保持器11の回動に伴ってセンタリングバネ12が
撓み、その撓み量に応じた弾性力fが蓄積される。尚、
外輪1の回動量の最大範囲は、外輪1の突出部1a2と
外輪4のストッパ部4a1との係合によって規制され
る。
ー13(外輪1)を開放した時の状態を示している。セ
ンタリングバネ12に蓄積された弾性力fによって、保
持器11に時計方向の回動力が働き、ローラ10が保持
器11に押されてカム面1dを押圧する。そうすると、
外輪1が開放されているので、ローラ10、保持器1
1、および外輪1が内輪3に対して時計方向に空転し
て、図12に示す中立位置に復帰する。その際、内輪3
は、図13の回動操作によって与えられた回動位置をそ
のまま維持する。従って、図13の回動操作を繰り返し
行った場合では、内輪3に各回動操作ごとの回動量が重
畳的に蓄積される。尚、図12において、外輪1に時計
方向の入力トルクが入力された場合は、上記とは逆の動
作を行う。
ッチ部6を示している。第2クラッチ部6は、外輪4に
設けられた円周面4c1と、出力軸2に設けられた複数
(例えば8つ)のカム面2b1と、各カム面2b1と円
周面4c1との間に介在する係合子としての一対(例え
ば総数8対)のローラ20と、一対のローラ20間に介
在する弾性部材、例えば断面N字形の板バネ21と、内
輪3の柱部3cと、内輪3のピン3b1および出力軸2
のピン孔2b3とを主要な要素として構成される。カム
面2b1、円周面4c1、一対のローラ20、および板
ばね21によってロック手段が構成され、一対のローラ
20の円周方向両側に位置する内輪3の柱部3cによっ
てロック解除手段が構成され、内輪3のピン3b1およ
び出力軸2のピン孔2b3によってトルク伝達手段が構
成される。尚、この実施形態において、板バネ21はス
テンレス鋼(例えばSUS301CPS−H)で形成
し、熱処理としてテンパー処理を施している。また、外
輪4の内周と出力軸2(大径部2b)の外周との間の空
間部、特にカム面2b1と円周面4c1との間に後述す
る潤滑グリースが封入されている。
おいて、一対のローラ20は板ばね21によって、それ
ぞれ、カム面2b1と円周面4c1との間に形成される
正逆両回転方向の楔隙間の方向に押圧される。この時、
内輪3の各柱部3cと各ローラ20との間にはそれぞれ
回転方向隙間δ1が存在する。また、内輪3のピン3b
1と出力軸2のピン孔2b3との間には正逆両回転方向
にそれぞれ回転方向隙間δ2が存在する。回転方向隙間
δ1と回転方向隙間δ2とは、δ1<δ2の関係を有す
る。回転方向隙間δ1の大きさは、例えば0〜0.4m
m(第2クラッチ部6の軸心を中心として0〜1.5
°)程度、回転方向隙間δ2の大きさは、例えば0.4
〜0.8mm(第2クラッチ部6の軸心を中心として
1.8〜3.7°)程度である。
計方向の逆入力トルクが入力されると、反時計方向(回
転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間と楔係合
して、出力軸2が外輪4に対して時計方向にロックされ
る。出力軸2に反時計方向の逆入力トルクが入力される
と、時計方向(回転方向後方)のローラ20がその方向
の楔隙間と楔係合して、出力軸2が外輪4に対して反時
計方向にロックされる。従って、出力軸2からの逆入力
トルクは、第2クラッチ部6によって正逆両回転方向に
ロックされる。
で時計方向)が第1クラッチ部5を介して内輪3に入力
され、内輪3が同図で時計方向に回動を始めた初期状態
を示している。回転方向隙間がδ1<δ2に設定されて
いるため、先ず、内輪3の反時計方向(回転方向後方)
の柱部3cがその方向(回転方向後方)のローラ20と
係合して、これを板ばね21の弾性力に抗して時計方向
(回転方向前方)に押圧する。これにより、反時計方向
(回転方向後方)のローラ20がその方向の楔隙間から
離脱して、出力軸2のロック状態が解除される。従っ
て、出力軸2は時計方向に回動可能となる。
18に示すように、内輪3のピン3b1が出力軸2のピ
ン孔2b3と時計方向に係合する。これにより、内輪3
からの時計方向の入力トルクがピン3b1およびピン孔
2b3を介して出力軸2に伝達され、出力軸2が時計方
向に回動する。外輪1に反時計方向の入力トルクが入力
された場合は、上記とは逆の動作で出力軸2が反時計方
向に回動する。従って、外輪1からの正逆両回転方向の
入力トルクは、第1クラッチ部5、内輪3、およびトル
ク伝達手段としてのピン3b1およびピン孔2b3を介
して出力軸2に伝達され、出力軸2が正逆両回転方向に
回動する。尚、内輪3からの入力トルクがなくなると、
板ばね21の弾性復元力によって図16に示す中立位置
に復帰する。
4、第1クラッチ部5、第2クラッチ部6、固定側板7
および摩擦部材9を図1に示す態様でアッセンブリする
と、この実施形態のクラッチユニットが完成する。外輪
1には例えば樹脂製の操作レバー(13)が結合され、
出力軸2は図示されていない出力側機構の回動部材に連
結される。また、固定側板7は図示されていないケーシ
ング等の固定部材に加締部7b1で加締固定される。
尚、外輪1は、鍔部1cの外側に装着されたワッシャ
(又はナット)18と外輪4のフランジ部4aとの間で
所定の隙間をもって軸方向の両側に抜け止め規制され
る。
バネ12は外輪1の突出部1a2の内周に収容され、外
輪1の一方の端面と外輪4のフランジ部4aとの間で軸
方向の両側に抜け止め規制される。また、保持器11お
よびローラ10は、外輪1の鍔部1cと外輪4のフラン
ジ部4aとの間で軸方向の両側に抜け止め規制される。
第1クラッチ部5の保持器11、ローラ10、およびセ
ンタリングバネ12が外輪1の内部に収容されており、
入力側部分に突出した部分がない。また、保持器11が
内輪3の円周面3a2に外挿され、保持器11の回動が
内輪3の円周面3a2によって案内されるので、回動時
の保持器11の傾きがなく、円滑なクラッチ動作が可能
である。
とで囲まれた空間部に径方向および軸方向にコンパクト
に収められている。また、ロック解除手段としての柱部
3cと、トルク伝達手段としてのピン3b1が内輪3に
一体に設けられているので、部品点数が少なく、構造も
簡単である。また、柱部3c間のポケット3c1が軸方
向の一方(側板7側)に開口した形状であるため、出力
軸2、内輪3、外輪4等をアッセンブリした後、ローラ
20と板ばね21を、ポケット3c1の軸方向の開口部
から該ポケット3c1内に組み入れることができ、組立
作業が容易である。
面3a1と固定側板7のラジアル軸受面7e2によって
両持ち的に支持する構造であるため、出力軸2の回動動
作が安定し、しかも第1クラッチ部5および第2クラッ
チ部6に偏荷重が作用しにくく、円滑なクラッチ動作が
可能である。
席シート30を示している。座席シート30は着座シー
ト30aと背もたれシート30bとで構成され、着座シ
ート30aの高さHを調整するシート高さ調整装置3
1、背もたれシート30bの傾斜θを調整するシート傾
斜調整装置32、および着座シート30aの前後位置L
を調整するシートスライド調整装置(図示省略)を備え
ている。着座シート30aの高さHの調整はシート高さ
調整装置31の操作レバー31aによって行い、背もた
れシート30bの傾斜θの調整はシート傾斜調整装置3
2の操作レバー32aによって行い、着座シート30a
の前後位置Lの調整はシートスライド調整装置の操作レ
バー(図示省略)によって行う。上述した実施形態のク
ラッチユニットは、例えばシート高さ調整装置31に組
込まれる。
の一構造例を概念的に示している。シートスライドアジ
ャスタ31bのスライド可動部材31b1にリンク部材
31c、31dの一端がそれぞれ回動自在に枢着され
る。リンク部材31cの他端はリンク部材31eを介し
てセクターギヤ31fに回動自在に枢着される。セクタ
ーギヤ31fは着座シート30aに回動自在に枢着さ
れ、支点31f1回りに揺動可能である。リンク部材3
1dの他端は着座シート30aに回動自在に枢着され
る。上述した実施形態のクラッチユニットXは、固定側
板7を介して着座シート30aの適宜の部位に固定さ
れ、その外輪1に例えば樹脂製の操作レバー31a(図
8、図9における操作レバー13に相当)が結合され、
出力軸2にセクターギヤ31fと噛合するピニオンギヤ
31gが連結される。
ー31aを反時計方向(上側)に揺動操作すると、その
方向の入力トルクがクラッチユニットXを介してピニオ
ンギヤ31gに伝達され、ピニオンギヤ31gが反時計
方向に回動する。そして、ピニオンギヤ31gと噛合す
るセクターギヤ31fが時計方向に揺動して、リンク部
材31cの他端をリンク部材31eを介して引っ張る。
その結果、リンク部材31cとリンク部材31dが共に
起立して、着座シート30aの座面が高くなる。このよ
うにして、着座シート30aの高さHを調整した後、操
作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが第1
クラッチ部5のセンタリングバネ12の弾性力(弾性復
元力)によって時計方向に回動して元の位置(中立位
置)に戻る。尚、操作レバー31aを時計方向(下側)
に揺動操作した場合は、上記とは逆の動作によって、着
座シート31aの座面が低くなる。また、高さ調整後に
操作レバー31aを開放すると、操作レバー31aが反
時計方向に回動して元の位置(中立位置)に戻る。
ば、操作レバー31aの揺動操作のみで着座シート30
aの高さHを調整することができ、しかも、高さ調整後
の着座シート30aの高さ位置を自動的に保持すること
ができる。また、高さ調整後に操作レバー31aを開放
すると、操作レバー31aを中立位置に自動復帰させる
ことができ、その場合でも復帰時の動作が円滑でラチェ
ット機構のような騒音発生の問題も生じない。さらに、
摩擦部材9によって出力軸2に回転方向の制動力を与え
ているので、操作レバー31aの操作時における逆入力
トルクの還流現象がなく(又は少なく)、安定した調整
操作が可能である。
の中立位置において、一対のローラ20のうち一方のロ
ーラ20は、座席シート30の側から出力軸2に入力さ
れる逆入力トルク(座席シート30の自重と着座者の体
重によって発生する。)を受けて、カム面2b1と円周
面4c1の双方に比較的大きな係合力で楔係合する。そ
のため、該ローラ20が内輪3の柱部3cによって押圧
されて楔隙間から離脱する際(図17参照)の摩擦抵抗
力が大きいと、着座シート30の位置を下げる方向に操
作レバー31a(13)を操作する時に大きな操作力が
必要になったり(以下、この方向の操作を「押し下げ操
作」という。)、該ローラ20の係合部分から振動や振
動音が発生する場合がある。そこで、この実施形態で
は、第2クラッチ部6に封入する潤滑グリースとして、
基油粘度が750cSt以上のもの、例えば、協同油脂
社製「マルテンプSH−Y」(基油:PAO、増ちょう
剤:Li−Ohst、添加剤:PTFE+特殊固体潤滑
剤を成分とする)を使用して、かかる不都合を解消して
いる。
のみが異なる4種類の潤滑グリースをそれぞれ封入し
(基油粘度100cSt、410cSt、750cS
t、1650cSt)、操作レバー31a(13)の押
し下げ操作と復帰動作とを繰り返し行なって、振動の発
生を測定した結果を示している。横軸の1目盛は5se
cで、縦軸は振動加速度である。振動波形はローラ20
の楔係合が外れる瞬間にピークを示している。同図に示
す結果から、潤滑グリースの基油粘度が大きくなるに従
って、振動のレベル値が小さくなることが確認された。
22)の平均値をプロットして、基油粘度と振動値(加
速度)との相関関係を線図化したものである。操作レバ
ー31a(13)を押し下げ操作する際に若干の振動や
振動音が発生したとしても、それが着座者に感知できな
いものであったり、不快感を感じさせないものであるな
ど、許容範囲内に入っている場合は、とりたてて問題視
する必要はない。同図に示すように、基油粘度が750
cSt以上の潤滑グリースを封入したクラッチユニット
では、振動値が許容範囲内に低減することが確認され
た。
4c1、及び出力軸2のカム面2b1のうち、少なくと
も一の接触面に摩擦低減のための被膜処理、例えば、り
ん酸塩被膜処理、りん酸マンガン被膜処理、固体潤滑被
膜処理などを施すと、上記の効果が一層顕著になる。ま
た、上記の潤滑グリースは第2クラッチ部6のみなら
ず、第1クラッチ部5の内部にも封入しても良い。
ローラ20の転動面にクラウニング20aを施しても良
い。これにより、ローラ20の転動面との接触部分にお
けるエッジロードが抑制され、潤滑グリースによる油膜
形成が促進される。尚、第1クラッチ部5のローラ10
の転動面にもクラウニングを設けても良い。
ラッチ部6にスキュー発生手段を設けたものである。
ーラ20と係合する内輪3の柱部3cの係合面に段差部
3c1を設けたもので、図25は段差部3c1を柱部3
cの先端側に設けた例、図26は段差部3c1を柱部3
cの基端部に設けた例を示している。
際、段差部3c1以外の領域が先にローラ20の一部と
接触してこれを押圧するので、柱部3cの押圧力がロー
ラ20の軸方向中心位置Zに対して左右不均一となり、
ローラ20にスキューが生じる{図25(b)参照}。
ロック状態からロック解除状態への移行時、ローラ20
にスキューを生じさせることにより、ローラ20とカム
面2b1および円周面4c1との楔係合部分(線接触部
分)が軸方向の一端部から他端部にかけて漸次に外れて
ゆくので、移行動作時の摩擦抵抗が低減する。そのた
め、ロック状態からロック解除状態への移行動作が円滑
化され、操作力が低減すると同時に、移行動作時の振動
や振動音の発生が抑制される。
cの係合面に軸方向の傾斜θを設けたものである。上記
と同様の態様で、ローラ20にスキューが生じる。
面2b1に段差2b11を設けたものである。段差2b
11を設けることにより、ローラ20とカム面2b1と
の接触部において、ローラ20の軸方向中心位置Zから
の接触長さが左右不均一となり、ローラ20にスキュー
を生じる。すなわち、段差部2b11を設けた領域で
は、ローラ20はカム面2bと接触しないので(段差部
2b11の高さを微小にして、ローラ20を段差部2b
11と低い面圧で接触させても良い。)、ローラ20に
作用する摩擦抵抗力が軸方向中心位置Zに対して左右不
均一となり、ローラ20にスキューが生じる。尚、外輪
4の円周面4c1に同様の段差部を設けても良い。さら
には、出力軸2のカム面2b1と外輪4の円周面4c1
の双方に同様の段差部を設けても良い。
における内輪3に代えて、図21に示す内輪3’を使用
しても良い。同図に示す内輪3’は、筒状部3aと、そ
れ以外の部分(フランジ部3b、柱部3c、及びピン3
b1からなる部分)とを別体構造とし、両部分をロー付
け等の適宜の固着手段で固着したものである。一体構造
の内輪3に比べ、比較的低コストでかつ精度良く製造で
きるという利点がある。
手段を備え、座席シートに組み込まれるクラッチユニッ
トにおいて、ロック手段のロック状態からロック解除状
態への移行動作を円滑にして、操作力の低減化を図ると
共に、振動や振動音の発生を抑制することができる。
図である。
(a)}、正面図{図2(b)}である。
(a)}、正面図{図3(b)}である。
断面図{図4(b)}、ポケット周辺部を外径側から見
た図{図4(c)}である、
縦断面図{図5(b)}である。
{図6(b)}である。
(a)}、正面図{図7(b)}である。
断面}である。
9(a)}、縦断面図{図9(b)}、正面図{図9
(c)}である。
面図{図10(a)}、正面図{図10(b)}、装着
図{図10(c)}、動作図{図10(e)}、巻き部
の断面図{図10(d)}である。
る(中立位置)。
る(トルク伝達時)。
る(復帰時)。
A断面}である。
断面図である(中立位置)。
断面図である(ロック解除時)。
断面図である(トルク伝達時)。
である。
図{図20(a)}、縦断面図{図20(b)}であ
る。
生を測定した結果を示す図である。
す図である。
る。
示す平面図である。
示す平面図である。
示す平面図である。
示す縦断面図である。(c)}である。
Claims (9)
- 【請求項1】 着座シートと、背もたれシートと、座席
シート調整装置とを有する座席シートにおいて、前記座
席シート調整装置は、その操作レバーと回動部材との間
に介装されるクラッチユニットを有し、前記クラッチユ
ニットは、前記操作レバーに結合される入力側部材と、
前記回動部材に連結される出力側部材と、前記入力側部
材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する
制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、前記入力
側部材と前記制御部材との間に設けられた第1クラッチ
部と、前記静止側部材と前記出力側部材との間に設けら
れた第2クラッチ部とを備え、 前記第2クラッチ部は、前記出力側部材からの逆入力ト
ルクに対して前記出力側部材と前記静止側部材とを楔係
合力によってロックするロック手段と、前記入力側部材
からの入力トルクに対して前記ロック手段によるロック
状態を解除するロック解除手段と、前記ロック手段によ
るロック状態が解除された状態のときに前記制御部材と
前記出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝
達手段とを備え、 少なくとも前記第2クラッチ部の前記ロック手段を含む
内部に潤滑グリースが封入され、かつ、該潤滑グリース
の基油の粘度が750cSt以上であることを特徴とす
る座席シート。 - 【請求項2】 前記ロック手段が、前記出力側部材およ
び前記静止側部材と楔係合するローラを有し、前記ロー
ラの転動面にクラウニングが施されている請求項1記載
の座席シート。 - 【請求項3】 着座シートと、背もたれシートと、座席
シート調整装置とを有する座席シートにおいて、前記座
席シート調整装置は、その操作レバーと回動部材との間
に介装されるクラッチユニットを有し、前記クラッチユ
ニットは、前記操作レバーに結合される入力側部材と、
前記回動部材に連結される出力側部材と、前記入力側部
材と前記出力側部材との間のトルク伝達経路に介在する
制御部材と、回転が拘束される静止側部材と、前記入力
側部材と前記制御部材との間に設けられた第1クラッチ
部と、前記静止側部材と前記出力側部材との間に設けら
れた第2クラッチ部とを備え、 前記第2クラッチ部は、前記出力側部材からの逆入力ト
ルクに対して前記出力側部材と前記静止側部材とを楔係
合力によってロックするロック手段と、前記入力側部材
からの入力トルクに対して前記ロック手段によるロック
状態を解除するロック解除手段と、前記ロック手段によ
るロック状態が解除された状態のときに前記制御部材と
前記出力側部材との間で入力トルクを伝達するトルク伝
達手段とを備え、 前記ロック手段は前記出力側部材および前記静止側部材
と楔係合する係合子を有し、該係合子は前記出力側部材
および前記静止側部材と軸方向に線接触する形状を有
し、 前記ロック手段によるロック状態が解除されるときに、
前記係合子にスキューを生じさせるスキュー発生手段を
設けたことを特徴とする座席シート。 - 【請求項4】 前記ロック解除手段は、前記係合子に係
合し、これを押圧して前記ロック状態を解除する係合要
素を備え、 前記スキュー発生手段が、前記係合要素の係合面に段差
部を設けることによって構成されている請求項3記載の
座席シート。 - 【請求項5】 前記ロック解除手段は、前記係合子に係
合し、これを押圧して前記ロック状態を解除する係合要
素を備え、 前記スキュー発生手段が、前記係合要素の係合面に軸方
向の傾斜を設けることによって構成されている請求項3
記載の座席シート。 - 【請求項6】 前記スキュー発生手段が、前記係合子と
前記出力側部材および前記静止側部材との接触部のう
ち、少なくとも一方の接触部について、前記係合子の軸
方向中心位置を基準とする左右領域間で、接触長さを相
異ならせることによって構成されている請求項3記載の
座席シート。 - 【請求項7】 前記係合子と接触する前記出力側部材お
よび前記静止側部材の接触面のうち、少なくとも一方の
接触面に段差部を設けた請求項6記載の座席シート。 - 【請求項8】 前記座席シート調整装置が、着座シート
のシート高さ調整装置である請求項1から7の何れかに
記載の座席シート。 - 【請求項9】 前記シート高さ調整装置は、着座シート
をスライド可動部材に対して昇降自在に支持する四節リ
ンク機構と、前記着座シートに回動自在に枢着され、前
記四節リンク機構にリンク部材を介して連結されるセク
ターギヤと、前記クラッチユニットの出力側部材に連結
され、前記セクターギヤと噛合するピニオンギヤとを備
えている請求項8記載の座席シート
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JP2011153675A (ja) * | 2010-01-28 | 2011-08-11 | Imasen Electric Ind Co Ltd | クラッチ装置およびシート装置 |
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