JP2002170290A - 光ディスク用基板の製造方法とその作製装置 - Google Patents

光ディスク用基板の製造方法とその作製装置

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JP2002170290A JP2000364544A JP2000364544A JP2002170290A JP 2002170290 A JP2002170290 A JP 2002170290A JP 2000364544 A JP2000364544 A JP 2000364544A JP 2000364544 A JP2000364544 A JP 2000364544A JP 2002170290 A JP2002170290 A JP 2002170290A
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disk substrate
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板表面にレーザー光照射で物理的あるいは
化学的に変化する記録層を形成して情報の記録・再生を
行う光ディスクでは、基板表面の微細な凹凸がノイズ増
大の原因となり、記録・再生特性を低下させる問題があ
った。また、寿命試験や保存中に欠陥を生ずる問題があ
った。 【解決手段】 凹凸パターンを有する基板に紫外線照射
を施して有機物を改質する。これにより、該基板の透過
率が波長300nm以上375nm以下の範囲のうちい
ずれかの波長で50%以下とした。 【効果】 光ディスク用基板の表面を平滑化し、基板ノ
イズの低減、記録・再生特性の向上の効果を得た。ま
た、基板と基板上に設けた他の層との接着性を向上さ
せ、発生する欠陥数を低減した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はCD−Audio、
CD−I、CD−ROM、Video―CD、LD、D
VD−Video、DVD−ROM等の読み出し専用
型、CD−R,DVD−R等のライトワンス(追記)
型、あるいはDVD−RAM、DVD−RW、MO等の
書換え可能型、等の各種光ディスク装置に使用する光デ
ィスク媒体において、該光ディスク媒体に用いる光ディ
スク基板、その作製方法およびその作製装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の光ディスク複製方法は、表面に光
スポット案内溝、及び/またはアドレスピット、記録情
報などのエンボスピットからなる凹凸パターンを有す
る、フォトレジスト付き原盤からニッケルメッキにより
金属スタンパを作製し,そのスタンパを設置した金型内
に高温融解させたプラスチック基板材料(例えばポリカ
ーボネートなど)を高圧で注入した後に冷却して取り出
すと、表面に凹凸パターンが複製されたプラスチック基
板が完成する。この手法は現在のCD−Audio、C
D−R、CD−ROMをはじめDVD−ROM、DVD
−R,DVD−RAM、DVD−RW、MOなどのプラ
スチック基板作製における一般的な手法(射出成形法)
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術はフォト
レジスト付きガラス基板である原盤のフォトレジスト層
に形成した凹凸からニッケルメッキにより凹凸を転写し
たスタンパを作製する。
【0004】この際、上記フォトレジスト膜表面の意図
せずに生じる微細な凹凸(平均荒さが約1〜3nm程
度)までもが、光スポット案内溝、及び/またはアドレ
スピット、または記録情報などのエンボスピットからな
る凹凸パターンと一緒にスタンパの表面に転写される。
このスタンパから、上記従来技術として述べた射出成形
法により基板表面に上記凹凸が転写される。さらにこの
基板に反射層または記録層を形成する。
【0005】ところで、光ディスクの情報は、上記の基
板表面に形成した反射層に照射した光の反射光の強弱に
よって情報の再生を行う、あるいは、上記基板表面に物
理的または化学的に変化する記録層を形成して、案内溝
部分に照射する光によって情報の記録・再生を行う。す
なわち、後者の場合、情報の記録・再生は、上記基板表
面に形成した記録層にレーザー光を照射して反射率など
を変化させ、反射光量の強弱を情報の担い手にしてい
る。この際、上記の基板表面に形成した記録層の形状が
上記の意図せずに生じる微細な凹凸を反映した膜形状に
なるため、ノイズの原因となり、記録・再生特性を低下
させる問題があった。
【0006】本発明の目的は上記の基板表面に形成され
る意図せずに生じる微細な凹凸を低減し、積層して形成
する記録媒体のノイズを低減し、記録・再生特性を向上
させる光ディスク用基板を提供することにある。
【0007】また、後述するように、本発明の光ディス
ク用基板の製造方法を使用した場合、その製造装置に様
々な性能が要求される。したがって、本発明のもう一つ
の目的は上記した低ノイズ基板を高速に、制御性良く製
造するためのUV処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は,凹凸パター
ンを有するフォトレジスト付き原盤あるいは凹凸を転写
された光ディスク用基板に紫外線を照射することにより
達成される。
【0009】プラスチックの一部のものはエネルギーの
高い短波長の紫外線を照射することにより、表面が改質
されることが一般的にわかっている。これは紫外線照射
によりプラスチック表面にある安定した化学結合が切断
され、これに空気中の酸素が結合するなどして変化して
いるものである。
【0010】射出成形で作製された光ディスク用基板は
プラスチック材料から成っているため、エネルギーの高
い短波長の紫外線を照射することにより、基板表面から
わずか数μm程度の深さ範囲では化学結合が切断される
ため、波長280nmから400nmの紫外線域での基
板の光吸収率が増加し、基板表面は削られ平滑になる。
この時、照射する紫外線光源の主波長が、オゾンを生じ
させない254nmのものでは、基板表面付近での分解
と基板表面の平滑化が顕著に起こるが、オゾンを生じさ
せる波長184nmの紫外線を同時に用いると、この紫
外線で光源の近くにオゾンが発生し、波長254nmの
紫外線がオゾンの分解反応で吸収されるため基板表面付
近での光吸収増加と基板表面の平滑化は進行しにくい。
【0011】上記光ディスク用基板が、主鎖に酸素原子
をもつプラスチックであるポリカーボネートの場合に上
記紫外線照射による効果が顕著となる。
【0012】従って本発明においては、(1)ポリカー
ボネートより成り、表面に光スポット案内溝及び/また
はアドレスピット、または記録情報などのエンボスピッ
トからなる凹凸パターンを有する光ディスク用基板にお
いて、該基板の透過率が波長300nm以上375nm
以下の範囲のうちいずれかの波長で50%以下であるこ
とを特徴とする光ディスク用基板とする。紫外線照射し
ない基板ではこの波長の透過率はもっと高いため、簡単
な光学測定で紫外線照射を施しているかまたその照射条
件などが推定でき、表面平滑化の指標とすることができ
る。表面平滑化を目的とした他の方法では透過率の変化
が異なる。なお、用いる基板厚は0.6mm、1.2m
mとした。
【0013】(2)(1)に記載の光ディスク用基板に
おいて、該基板の透過率波長依存性が波長650nm付
近から短波長側にむけて吸収が始まり、すなわち透過率
の低下が始まり、260nm付近以下では透過率がほと
んど0%になることを特徴とする光ディスク用基板とす
る。
【0014】(3)(1)に記載の光ディスク用基板に
おいて、該基板の表面から約0.5μm迄の範囲の硬度
が両面から約100μmを除く残りの範囲より50%〜
85%高いことを特徴とする光ディスク用基板とする。
紫外線照射は表面の硬度を上げることがわかったので硬
度測定で比較的測定が難しい表面平滑度の指標とするこ
とができるし、表面硬度が高いと多数回記録書き換え
(オーバーライト)しても劣化し難いという効果があ
る。
【0015】(4)(3)に記載の光ディスク用基板の
表面から約0.5μm迄の範囲の硬度が140N/mm
以上であることを特徴とする光ディスク用基板とす
る。
【0016】(5)(1)に記載の光ディスク用基板に
おいて、基板表面の意図せずに生じる微細な凹凸の平均
面粗さ(Ra)が0.8nm以下であることを特徴とす
る光ディスク用基板とする。
【0017】(6)表面に光スポット案内溝及び/また
はアドレスピット、記録情報などのエンボスピットから
なる凹凸パターンを有する光ディスク用基板の表面から
約20μm迄の範囲の平均分子量のポリスチレン換算値
が、両面から約100μmを除く残りの重量平均分子量
より4%〜22%小さいことを特徴とする光ディスク用
基板とする。エネルギーの高い短波長の紫外線照射によ
り基板の表面の化学結合が切断され、平均分子量が変化
していることがわかったので、基板の表面から約20μ
m迄の範囲と両面から約100μmを除く残りの範囲の
分子量分布を測定することで表面平滑度の指標とするこ
とができる。
【0018】(7)(6)に記載の光ディスク用基板の
表面から約20μm迄の範囲の平均分子量のポリスチレ
ン換算値が3.0以下であることを特徴とする光ディス
ク用基板とする。
【0019】(8)(1)、(6)のいずれかの光ディ
スク用基板において、該基板が主鎖に酸素原子をもつプ
ラスチックを主成分とすることを特徴とする光ディスク
用基板とする。エネルギーの高い短波長の紫外線照射に
より基板が光反応(光フリース転位)を起こす。この際
に酸素原子をもつ主鎖が切断され基板表面が改質するこ
とにより平滑になることがわかったのでプラスチックの
主成分から効果の有無がある程度わかる。
【0020】(9)(1)または(6)の光ディスク用
基板を用い、該基板の上に直接または他の層を介して、
反射膜またはレーザー光照射によって変化する記録膜を
形成したことを特徴とする情報記録媒体とする。
【0021】なお、本発明において、光ディスク用基板
上の凹凸形状のことを、光スポット案内溝(いわゆるグ
ルーブ)と呼び、上記光スポット案内溝上の記録膜に情
報を記録することを前提としているが、情報が記録され
る領域は、特にグルーブである必要はない。本発明の基
本は、光ディスク基板上に凹凸形状を形成する際に発生
する、ノイズ成分の原因となる表面形状の微小な乱れ
を、紫外線照射により平坦化することである。したがっ
て、情報が記録される領域は、たとえば、グルーブとグ
ルーブの間の領域(いわゆるランド)であっても差し支
えない。特に、上記ランドとグルーブの両方に情報が記
録される方式(ランド-グルーブ方式)においては、溝
深さ(ランドとグルーブの段差の大きさに相当)がλ/
6n(λ;情報の再生を行うためのレーザービームの波
長、n:光ディスク用基板の波長λにおける屈折率)で
あり、グルーブ記録の場合の溝深さλ/8nと比較して
溝が深い。このように溝が深い場合、一般的に上記ノイ
ズ成分が大きくなる傾向にある。しかしながら、本発明
を用いることにより、ランド-グルーブ記録用の光ディ
スク用基板のノイズを、著しく低下させることが可能と
なる。
【0022】上記詳細に説明した方法により、光ディス
ク用基板のノイズ低減を図ることが可能となるが、実際
に上記光ディスク用基板を大量生産する場合には様々な
問題が発生した。例えば、通常の射出成形機により1枚
の光ディスク用基板を作製する時間は数秒から10秒程
度である。しかしながら、本発明の光ディスク用基板製
造方法を採用した場合、光ディスク用基板一枚を作製す
る時間が数百秒となるため実用的ではなかった。また、
数万枚程度の光ディスク用基板に紫外線照射を行った場
合、紫外線ランプの出力が徐々に低下するため、充分な
ノイズ低減効果が得られなくなるという問題が発生し
た。これらの課題を解決するため、発明者らが鋭意研究
した結果、以下に示した光ディスク用基板の製造方法、
および光ディスク用基板の作製装置により解決可能であ
ることが明らかになった。
【0023】(10)表面に凹凸のある、主鎖に酸素原
子をもつプラスチック材料を有する光ディスク用基板
に、酸素を含むガスを流し、前記光ディスク用基板上に
略185nmの光を遮蔽し、略254nmの波長の紫外
線を照射して、前記ポリカーボネイトの表面改質を行う
ことを特徴とする光ディスク用基板の製造方法。
【0024】(11)光ディスク用基板の表面処理を行
う光ディスク用基板の作製装置において、略185nm
の波長の光が遮蔽され、略254nmの波長の光を照射
する紫外線光源と、前記光ディスク用基板と前記紫外線
光源との距離を相対的に変化させる手段と、を有するこ
とを特徴とする光ディスク用基板の作製装置。
【0025】(12)光ディスク用基板の表面処理を行
う光ディスク用基板の作製装置において、略185nm
の波長の光が遮蔽され、略254nmの波長の光を照射
する紫外線光源と、前記光ディスク用基板と前記紫外線
光源とを相対的に運動させる手段と、を有することを特
徴とする光ディスク用基板の作製装置。
【0026】(13)光ディスク用基板の表面処理を行
う光ディスク用基板の作製装置において、略185nm
の波長の光が遮蔽され、略254nmの波長の光を照射
する紫外線光源と、前記光ディスク用基板への前記紫外
線光源からの紫外線照射時間を制御する手段と、を有す
ることを特徴とする光ディスク用基板の作製装置。
【0027】(14)光ディスク用基板の表面処理を行
う光ディスク用基板の作製装置において、略185nm
の波長の光が遮蔽され、略254nmの波長の光を照射
する複数の紫外線光源と、各々の紫外線光源の発光エネ
ルギーを独立に制御する手段と、を有することを特徴と
する光ディスク用基板の作製装置。
【0028】また、紫外線照射中に光ディスク用基板を
保持する基板ホルダーの材質、形状によっては、光ディ
スク用基板が加熱され、この結果、光ディスク用基板が
著しく変形してしまうという問題が発生した。この問題
を解決するためには、以下に示した光ディスク用基板の
作製装置を使用すれば良い。
【0029】(15)(12)に記載の光ディスク用基
板の作製装置において、前記光ディスク用基板を保持す
るための、フッ素樹脂からなる基板ホルダーを有するこ
とを特徴とする光ディスク用基板の作製装置。
【0030】(16)(15)に記載の光ディスク用基
板の作製装置において、前記フッ素樹脂がポリテトラフ
ルオロエチレンであることを特徴とする光ディスク用基
板の作製装置。
【0031】
【発明の実施の形態】実施例1 表面に光ヘッド案内溝及びアドレス等を表わすピットの
凹凸パターンを有する、フォトレジスト付き原盤からニ
ッケルメッキにより金属スタンパを作製し,そのスタン
パを設置した金型内にポリカーボネートを高温融解させ
て流し込んだ後に圧力を加えて成形、冷却硬化させて取
り出すと、表面に凹凸パターンが作製されたポリカーボ
ネート製の光ディスク用基板が完成する。さらに基板の
凹凸パターン面に紫外線照射を150秒間行うと表面に
あった意図せずに生じる微細な凹凸が平滑になった光デ
ィスク用基板が得られた。この時使用したランプは低圧
水銀灯C−200UF(ケミトロニクス社製)で主波長
は254nmである。ランプ下面から基板までの距離は
10mmとした。酸素ガスを10リットル/分で流し続
けた雰囲気中でランプ8本を平行に並べその下で基板を
回転させながら紫外線照射を行った。ランプは装置内で
点灯したままであり、基板がランプ下に挿入されて出て
くるまでをタイマーでセットし処理時間とした。
【0032】上記基板を走査型電子顕微鏡で観察した結
果、上記フォトレジスト膜表面の意図せずに生じる微細
な凹凸を大幅に低減できた。同じ様に原子間力顕微鏡
(AFM)で表面形状を測定した結果、紫外線照射前に
比べ平均面粗さ Raが約25%小さくなっていた。基
板の板厚は約30nm減少していた。一方、上記光ヘッ
ド案内溝及びアドレス等を表わすピットなどの凹凸パタ
ーンのマクロな形状は変化していない。
【0033】紫外線照射時間とAFMによる平均面粗さ
の関係は以下のとおりである。紫外線照射時間および紫
外線照射エネルギー密度との関係を以下に示す。紫外線
照射エネルギー測定はトプコン社製照度計 UVR1、
受光部UVR25(波長254nm用)を用いた。
【0034】 紫外線照射時間(秒) 照射エネルギー密度(J/cm2) 平均面粗さ(nm ) 0 0 1.0 30 3.9 1.0 60 7.8 0.8 100 13.0 0.7 150 19.5 0.6 300 39.0 0.5 450 58.5 0.5 600 78.0 0.6 900 117.0 1.3 上記結果でもわかるように紫外線照射時間の短いうちは
平均面粗さの変化は小さい。60秒以上で平滑化の効果
がみられるようになるが、長すぎるとかえって荒れてき
て平均面粗さが大きくなってくる。
【0035】次に上記紫外線照射時間を変えた平均面粗
さの異なる基板のノイズとの関係を調べるためにRIN
(Relative Intencity Noise)を測定した。 RINは反
射率で規格化したノイズである。以下のとおりである。
図2に示す。
【0036】 紫外線照射時間(秒) 平均面粗さ(nm) ノイズレベルの変化量(dBm/Hz ) 0 1.0 −123.0 30 1.0 −123.5 60 0.8 −125.2 100 0.7 −126.4 150 0.6 −127.3 300 0.5 −127.1 450 0.5 −128.8 600 0.6 −125.6 900 1.3 −123.7 上記結果から、基板表面にある微細な面粗さが平滑化さ
れ平均面粗さが小さくなるとノイズレベルも低くなるこ
とがわかった。2つの関係から基板表面にある微細な面
粗さを平滑にし、ノイズレベルを低減する効果が得られ
る紫外線照射時間は60秒以上600秒以下であり、好
ましい平均面粗さは0.8nm以下であることがわかっ
た。より好ましい範囲は100秒以上450秒以下であ
る。
【0037】同様にしてポリ塩化ビニル製基板でも紫外
線照射による変化を調べた。
【0038】 紫外線照射時間(秒) 平均面粗さ(nm) ノイズレベルの変化量(dBm/Hz ) 0 13.0 −118.0 30 13.0 −118.0 60 13.2 −117.9 100 13.3 −117.9 150 13.3 −117.9 300 13.3 −117.9 450 13.8 −117.0 600 14.1 −116.8 900 14.8 −116.4 上記結果からもわかるようにポリ塩化ビニル基板では基
板表面が平滑になる方向には変化しなかった。以後ポリ
カーボネート基板の結果だけを示す。
【0039】紫外線照射による反応で案内溝の深さおよ
びアドレスを表すピットにも変化がおこることがわかっ
た。紫外線照射時間と案内溝の深さおよびピットの読み
出しエラーの関係の一例を以下に示す。紫外線照射時間
と案内溝の深さの関係を図1に示す。
【0040】 紫外線照射時間(秒) 案内溝深さ(nm) 読み出しエラー(%) 0 64.9 7.5 30 63.5 6.5 60 62.7 6.0 100 62.0 5.5 150 61.1 5.0 300 57.2 5.5 450 53.5 5.7 600 48.9 6.0 900 40.5 7.5 紫外線照射時間が長くなると読み出しエラーが大きくな
ることがわかった。
【0041】次に、紫外線照射時の雰囲気ガスとポリカ
ーボネートのエッチング量との関係を調べた。紫外線照
射時に酸素と窒素の混合ガスを流し続けた場合に、酸素
濃度とポリカーボネート基板の反応速度の変化が対応し
ていることがわかった。酸素濃度が高くなるほど反応が
速くなった。これは紫外線照射によりポリカーボネート
基板表面の化学結合が切れ、雰囲気中の酸素と結合して
いくためと考えられる。紫外線照射時間を300秒にし
た時の、雰囲気中の酸素濃度とポリカーボネート基板の
エッチング量の関係を示す。
【0042】 同じ300秒の紫外線照射を窒素を10リットル/分で
流し続けた場合のエッチング量は45nmであった。ま
た、ガスを流さずにそのままの雰囲気あるいはドライエ
アーを10リットル/分で流し続けた場合は48nmで
あった。この結果からも反応速度を速くするためには酸
素が必要であることがわかるが装置構造上酸素を流すこ
とができない場合でもそのままの雰囲気あるいはドライ
エアー、窒素で問題はない。
【0043】さらに図3に上記基板の紫外線照射時間に
対する透過率波長依存性の変化を示す。透過率には紫外
線照射密度に対して正の相関を示す変化が起こる。紫外
線を照射する前の基板では波長650nm付近から短波
長側に向けて透過率低下が始まり、波長450nm付近
まではゆるやかな透過率低下が進み、400nm付近か
らは透過率低下が顕著となり波長260nm付近以下で
は透過率がほとんど0%になった。。それに対し紫外線
を照射した基板では、波長650nm付近までと波長2
60nm付近以下では同じ様な透過率であるが、波長4
40nm付近から顕著な透過率低下が始まり、280〜
320nm付近で透過率変化の第2のカーブが現れる。
この第2のカーブは紫外線照射時間に対して以下のよう
に変化した。波長300nmの基板透過率を示す。
【0044】 さらに、波長450nm、300nmの基板透過率を示
す。
【0045】 紫外線照射時間(秒)450nmの基板透過率(%)300nmの基板透過率(% ) 0 95 58 30 95 52 60 95 32 100 95 28 150 95 25 300 95 18 450 88 15 600 80 12 900 75 10 この結果から基板の透過率が波長450nmで80%以
上かつ300nmで35%以下である場合に前述のノイ
ズレベルおよびピットの読み出しエラー率が低いことが
わかった。基板の透過率を測定することで紫外線処理を
施しているか、またその処理条件、基板表面の状態等が
ほぼ推測できる。
【0046】上記の紫外線処理した基板の表面に下部保
護層としてZnS・SiO2膜を120nm、情報の記
録層としてGe−Sb−Te膜を8nm、上部保護層と
してZnS・SiO2膜を135nm積層し、熱拡散層
及び反射層としてCr−O膜を30nm、Al−Ti膜
を80nm積層した。上記のディスクを用いて記録・再
生特性の評価を行った。
【0047】この時の紫外線照射時間と上記ディスクで
10万回オーバーライト後のデータエラーレートおよび
PIDの読み出しエラーとの関係を以下に示す。
【0048】 10万回オーバーライト後の PIDの 紫外線照射時間(秒) エラーレート 読み出しエラー 0 1×10-2 なし 60 1×10-3 なし 100 1×10-4 なし 150 1×10-5 なし 300 5×10-5 なし 450 1×10-4 なし 500 5×10-3 なし 600 1×10-3 なし 900 1×10-2 発生 上記結果から紫外線照射時間は60秒以上600秒以下
が好ましく、より好ましい範囲は100秒以上450秒
以下であることがわかった。
【0049】また、上記の紫外線処理した基板の表面に
下部保護層としてSiN膜を70nm、情報の記録層と
してTeFeCo膜を80nm、上部保護層としてSi
N膜を70nm積層した。上記のディスクを用いてマー
ク幅0.5μmでの記録・再生特性の評価を行った。こ
の時の紫外線照射時間とC/Nの関係を以下に示す。
【0050】 上記結果から紫外線照射時間は60秒以上600秒以下
が好ましく、より好ましい範囲は100秒以上450秒
以下であることがわかった。
【0051】次に紫外線照射によるポリカーボネート基
板の硬度変化を調べた。測定装置はFischer社製、フィ
ッシャースコープH100を用いた。平らな面が必要な
ため、ポリカーボネート基板において、凹凸パターンを
有する面の反対側の面に紫外線を照射し、紫外線照射の
有無による違いを比較した。硬度単位はN/mm2であ
る。
【0052】 表面0.5μmの 内部20μm 内部100μm 硬度 の硬度 の硬度 照射時間 0秒 139 104 80〜100 照射時間 60秒 141 106 80〜100 照射時間 100秒 150 110 80〜100 照射時間 300秒 162 116 80〜100 照射時間 600秒 173 121 80〜100 照射時間 900秒 175 122 80〜100 上記結果から紫外線照射によりポリカーボネート基板の
表面が固くなることがわかった。これは紫外線により基
板表面の材料が架橋したために固くなったものと思われ
る。表面が固くなったことにより前述の10万回オーバ
ーライト後のエラーレート結果が示すように多数回書き
換えに対する耐力が増すとものと考えられる。照射時間
600秒以上では硬さ変化が小さくなる。
【0053】紫外線照射時間によるポリカーボネート基
板の分子量分布を調べた。測定方法としてGPC法(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。紫
外線照射をしたポリカーボネート基板と照射していない
ポリカーボネート基板の表面を片刃ナイフで約20μm
削ったもの(約0.5g)それぞれを2mlの溶剤(テ
トラヒドロフラン)に溶かし、さらに溶かすため超音波
をかけて測定試料とした。
【0054】値はポリスチレン換算されたもので、様々
な分子量を有する分子の重量平均値を示す重量平均分子
量から分子量の分布を推測する。Miなる分子量をもつ
高分子がNi個あるとすると重量平均分子量はΣNiM
2/ΣNiMiで表される。重量平均分子量の数値が
小さいほど低分子量のものが多いことに相当する。紫外
線照射時間と重量平均分子量との関係の一例を以下に示
す。
【0055】 基板表面の分子量分布は図4のようになり、モノマー、
オリゴマーなどの特に分子量の低い成分がほとんど生じ
ないでむしろ減少していることにより、保存寿命試験で
発生する欠陥の数1cm2当たり約10個を1個以下に
減少させる効果も見られた。これもエラーレートの低減
に寄与している。この効果は、界面の接着性向上によっ
て現れていると考えられる。表面から約20μm迄の範
囲の重量平均分子量のポリスチレン換算値が、両面から
約100μmを除く残りの平均分子量より4%〜22%
小さい、紫外線照射時間が60秒以上600秒以下の場
合、エラーレートが1×10-3以下の良好な結果が得ら
れた。紫外線照射時間が100秒以上450秒以下の場
合、エラーレートが1×10-4以下でさらに良好な結果
が得られた。
【0056】ポリカーボネート基板上に下部保護層とし
てZnS・SiO2膜を100nm、情報の記録層とし
てGe−Sb−Te膜を6nm、上部保護層としてZn
S・SiO2膜を40nm積層し、熱拡散層及び反射層
としてCr−O膜を30nm、Al−Ti膜を80nm
積層したディスクを用いて非破壊でのディスク反射率を
測定した。ポリカーボネート基板側からの反射率を分光
器で測定した。波長330nmから波長360nmの間
で紫外線照射時間による反射率の変化が見られた。波長
330nmから反射率があがりはじめ波長345nmを
ピークに波長360nmにかけて反射率は下がってい
く。波長345nmでの紫外線照射時間によるディスク
分光反射率変化を示す。 この結果からディスクの分光反射率を測定することによ
り紫外線処理を施しているか、またはその条件、基板表
面の状態などがほぼ推測できる。
【0057】また、波長500nmから波長800nm
範囲でも紫外線照射による変化がみられた。紫外線照射
時間によらず波長500nmから波長800nmにかけ
て徐々に反射率は上がりはじめる。しかし、紫外線照射
時間が長いほど上記波長範囲で反射率が高いことがわか
った。波長700nmでの紫外線照射時間とディスク分
光反射率の関係を示す。 この結果からディスクの分光反射率を測定することによ
り紫外線処理を施しているか、またはその条件、基板表
面の状態などがほぼ推測できる。
【0058】なお、記録特性を評価した前述のディスク
から記録媒体を除去したあとの基板表面の分子量分布を
再度測定したところ記録媒体積層前と同じ結果が得られ
た。
【0059】透過率、基板硬度を測定した結果も記録媒
体積層前と同じであった。以下に示す。
【0060】 波長320nmの 紫外線照射時間(秒) 基板透過率(%) 表面0.5μmの硬度 0 60 139 30 52 60 32 141 100 28 150 150 25 300 17 162 450 15 600 12 173 900 10 175 本発明によれば光ディスクに必要な光スポット案内溝、
及び/または、アドレスピットからなる凹凸パターンの
形状を損なうことなく、上記の光ディスク用基板表面の
意図せずに生じる微細な凹凸を減少できる。
【0061】なお、紫外線照射600秒後の原盤または
基板と光源の間でのオゾン濃度を測定したところ0.1
ppm以下であった。
【0062】実施例2 表面にエンボスピットによる凹凸パターンとしての情報
面を有する、フォトレジスト付き原盤からニッケルメッ
キにより金属スタンパを作製し,そのスタンパを設置し
た金型内にポリカーボネートを高温融解させて流し込ん
だ後に圧力を加えて成形、冷却硬化させて取り出すと、
表面に凹凸パターンが作製されたポリカーボネート製の
光ディスク用基板が完成する。さらに基板の凹凸パター
ン面に紫外線を150秒照射すると表面にあった意図せ
ずに生じる微細な凹凸が平滑になった光ディスク用基板
が得られた。ここで、紫外線照射時間を変えた時の、平
均面粗さ、情報凹凸パターンの深さおよび上記情報面の
読み出しエラーの関係を測定した。 結果は以下のとおり
であった。
【0063】 紫外線照射時間 平均面粗さ 情報凹凸パターン深さ 情報面の読み出しエラー (秒) (nm) (nm) (%) 0 1.0 102.8 6.4 30 1.0 101.4 6.2 60 0.8 100.6 5.8 100 0.7 99.9 5.6 150 0.6 98.0 5.4 300 0.5 95.1 5.6 450 0.5 91.0 5.7 600 0.6 86.8 5.8 900 1.3 78.5 6.4 この結果からもわかるように情報凹凸パターンの深さ、
ピットの読み出しエラーが所望の値になるように紫外線
照射時間を決める必要がある。
【0064】なお、射出成形時の温度条件や圧力条件に
より作製される基板全体あるいは情報パターンが形成さ
れた表面から深さ方向で数μm程度の分子構造が多少変
化するため、紫外線照射による反応も当然異なる。その
ため射出条件ごと、材料ごとに最適時間が少しずつ異な
る。
【0065】実施例3 同様にして表面に光スポット案内溝、及び/または、ア
ドレスピット、セクタマーク、記録情報などの、エンボ
スピット、からなる凹凸パターンを有する、フォトレジ
スト付き原盤のフォトレジスト表面に紫外線照射を行っ
た。原盤表面をAFMで測定した結果を以下に示す。
【0066】 紫外線照射時間(秒) 照射エネルギー密度(J/cm2) 中心線平均面粗さ(nm) 0 0.0 0.6 30 3.9 0.6 60 7.8 0.5 100 13.0 0.5 15 19.5 0.4 30 39.0 0.4 50 58.5 0.4 600 78.0 0.5 900 117.0 0.6 上記結果でもわかるように紫外線照射時間により平滑化
の効果がみられが、長すぎるとかえって荒れてきて中心
線平均面粗さが大きくなってくる。
【0067】実施例4 以上詳細に説明した本発明の光ディスク用基板作製方法
を、大量生産に応用する場合の光ディスク用基板の作製
装置に関する実施例を以下に示す。図5は本発明の大量
生産に適した光ディスク用基板作製装置の一例を示す図
である。本装置はランプハウス部、および基板搬送用ベ
ルトコンベアー部からなっている。また、ランプハウス
部は紫外線ランプ5−1、紫外線ランプ電源5−2、紫
外線遮蔽板5−3、ランプ高さ調整部5−4、ソケット
部5−10からなり、基板搬送用ベルトコンベアー部は
コンベア‐ベルト5−5、基板ホルダー5−6、モータ
ー5−7、モーター回転速度制御回路5−8、ベルトコ
ンベアー保持台5−11からなっている。また、図に示
したように、基板ホルダーに信号面(凹凸形状が形成さ
れている面)が紫外線ランプ側に向くようにして光ディ
スク用基板5−9を装着するとともに、ランプハウスの
下部を通過させることにより、本発明の低ノイズ光ディ
スク用基板の大量生産が可能となる。
【0068】上記紫外線光源としては、紫外線発光部の
形状がU字形状の、185nmの波長の光が遮蔽され、
主波長が254nmの紫外線を発光する低圧水銀ランプ
を使用している。また、光ディスク基板に対して均一に
紫外線を照射するため、上記紫外線ランプを光ディスク
用基板進行方向に対して、左右対称になるよう配置して
いる。また、紫外線照度計を上記コンベアーベルト上に
設置し、上記光ディスク用基板を搬送するときと同様の
速度で搬送した場合の積算照度分布を測定した結果、各
ランプの発光部の長さは75mmであるが、65mmの
範囲において、照度分布目標の±5%以下となった。こ
の際、紫外線照度計の測定面と光ディスク用基板の信号
面の高さがが同じになるように調整した。このように、
U字形状の紫外線ランプを使用する場合、照度分布の均
一性を向上させるため、光ディスク用基板搬送方向に対
して、左右対称に配置することが重要である。
【0069】本装置では、上記紫外線ランプを15本使
用している。また各ランプの電源スイッチは独立してお
り、発光させるランプを選択できるようになっている。
また各ランプはランプ数に応じたソケットを設けたソケ
ット部5−10に装着されている。
【0070】また、紫外線は人体に悪影響を与えるた
め、紫外線を遮蔽するためのステンレス鋼製の紫外線遮
蔽板5−3を設けた。さらに、ソケット部5−10はラ
ンプ高さ調整部5−4を介して紫外線遮蔽板5−3と接
合されている。また、紫外線遮蔽板5−3はベルトコン
ベアー保持台5−11と接合されている。ランプ高さ調
整部5−4はネジ状になっており、ランプ高さ調整部5
−4の最上部を回転させることにより、ソケット部5−
10の高さを調整することができる。
【0071】コンベアーベルト5−5には光ディスク用
基板5−9の大きさに対応した間隔で多数の基板ホルダ
ー5−6が固定されている。基板ホルダー5−6には光
ディスク用基板5−9の中心に開いている穴に対応した
大きさの突起があり、ロボットアームにより光ディスク
用基板5−9が5枚一度に装着されるようになってい
る。コンベア‐ベルト5−5はモーター5−7により回
転されるようになっている。また、モーター5−7はベ
ルトコンベア‐保持台5−11に固定されている。モー
ター5−7はモーター回転速度制御回路5−8により回
転の制御が行なわれている。
【0072】さらに、本発明の光ディスク用基板の作製
装置には、ガス流入口5−12が設けられており、先に
述べたように、本装置内に酸素を含むガスを導入できる
ようになっている。また、本発明の光ディスク用基板の
作製装置には、排気口5−13が設けられており、光デ
ィスク用基板に対する紫外線照射によって発生する、有
機物を含むガスを効率的に排気できるように設計されて
いる。
【0073】このような装置により、量産試作を行なっ
た場合、光ディスク用基板一枚あたりの作製時間を5秒
程度にすることが可能になった。また、光ディスク用基
板のノイズ低減効果の半径方向依存性、周方向依存性を
測定した結果、いずれも0.5dB以下であり、実用上
問題ないことがわかった。このように、本発明の光ディ
スク用基板の作製装置は量産に適している。
【0074】ところが、この装置により、1万時間以上
の量産試作を行なった場合、二つの問題が発生すること
がわかった。ひとつは、長時間の紫外線照射により、紫
外線ランプの発光強度が徐々に低下するため、紫外線ラ
ンプを頻繁に交換しなければならないという問題であ
る。一般的に水銀ランプの発光強度は、1万時間程度発
光させると初期の発光強度と比較して70%程度に低下
する。この結果、光ディスク用基板に対するノイズ低減
効果が弱まってしまうという問題が発生するのである。
これらの問題を解決するため、以下の方法を試みた。
【0075】基板表面に照射される紫外線の積算照度が
一定となるように、発光させる紫外線ランプの本数を時
系列的に変化させる。
【0076】例えば、最初は15本のうち10本のみを
使用し、新品の紫外線ランプ1本あたりの積算照度を1
とすると、10本の紫外線による積算照度は10とな
る。あらかじめ、10の積算照度でも充分なノイズ低減
効果が得られるように、ベルトコンベアーのモーター5
−7の回転速度と、光ディスク用基板5−9と紫外線ラ
ンプ5−1の距離をモーター回転速度制御回路5−8、
およびランプ高さ調整部5−4により調整しておく。こ
のようにして、光ディスク用基板5−9の表面処理を行
なうと共に、時間の経過と共に低下する積算照度が常に
10程度になるように、発光させる紫外線ランプの数を
制御するのである。この方法は発光させる紫外線ランプ
の数を紫外線ランプ電源5−2により変更するだけで、
常に一定の積算照度が得られるため優れた方法である。
このようにすることにより、1万時間発光させた後にお
いても、発光させる紫外線ランプの数を15にすること
により、積算照度を10程度にすることができる。この
方法の弱点は、発光させる紫外線ランプを1本増やすた
びに数%程度、積算照度が急激に変化することになるた
め、やや制御性に劣る点である。
【0077】(2)基板表面に照射される紫外線の積算
照度が一定となるように、光ディスク基板5−9の移動
速度を遅くする。
【0078】例えば、最初に15本のランプ全てを発光
させ積算照度が10程度となるように、光ディスク基板
5−9の移動速度をモーター回転速度制御回路5−8に
より調整しておく、また、光ディスク基板5−9と紫外
線ランプ5−1の距離をランプ高さ調整部5−4により
調整しておく。このようにして、光ディスク用基板5−
9の表面処理を行なうと共に、時間の経過と共に低下す
る積算照度が常に10程度になるように、光ディスク用
基板5−9の移動速度をモーター回転速度制御回路5−
8により変化させるのである。このように光ディスク用
基板5−9の移動速度を時系列的に制御することによ
り、積算照度を常に10程度に制御することができる。
たとえば1万回照射後においても、光ディスク用基板5
−9の移動速度を70%程度に低減させることにより、
10程度の積算照度が得られる。この方法の弱点は、時
間の経過と共に光ディスク用基板1枚あたりの生産時間
(タクトタイム)が変化してしまう点である。本発明の
紫外線照射によるノイズ低減処理を、他のプロセスと独
立して行なう場合は問題ないが、ライン上に他のプロセ
スと連携させて、ノイズ低減処理を行なう場合、時間と
共に処理時間が変化することは好ましくない。
【0079】(3)基板表面に照射される紫外線の積算
照度が一定となるように、光ディスク基板5−9と紫外
線ランプの間の距離を変化させる。
【0080】たとえば、最初に15本のランプ全てを発
光させるとともに、光ディスク基板5−9と紫外線ラン
プ5−1の距離をランプ高さ調整部5−4により10m
mとなるように調整しておく。また、積算照度が10程
度となるように、光ディスク基板5−9の移動速度をモ
ーター回転速度制御回路5−8により調整しておく。こ
のようにして、光ディスク用基板5−9の表面処理を行
なうと共に、時間の経過と共に低下する積算照度が常に
10程度になるように、光ディスク用基板5−9と紫外
線ランプ5−1の距離をランプ高さ調整部5−4により
調整するのである。このように光ディスク用基板5−9
と紫外線ランプ5−1の距離を時系列的に制御すること
により、積算照度を常に10程度に制御することができ
る。たとえば1万回照射後においても、光ディスク用基
板5−9と紫外線ランプ5−1の間の距離を5mm程度
に短縮させることにより、10程度の積算照度が得られ
る。この方法によれば、時間の経過と共に光ディスク用
基板1枚あたりの生産時間(タクトタイム)を変化させ
ることなく、また、高精度な制御が可能なため、最も優
れた方法であることがわかった。
【0081】もちろん、必要に応じて、(1)(2)
(3)を使い分けることは可能であり、また、各方法を
併用しても何ら問題はないことは言うまでもない。
【0082】先に、上述した装置により量産試作を行な
った場合、二つの問題が発生することを述べたが、この
うちのもうひとつの問題は、基板ホルダーの材質、形状
によっては、光ディスク用基板が熱変形、あるいは、基
板ホルダー自体が紫外線照射により劣化してしまうとい
う問題である。
【0083】基板ホルダー5−6は強力な紫外線にさら
されるため、材質としては化学的、熱的に安定で、紫外
線を吸収しても発熱しにくい材質である必要がある。発
明者らは基板ホルダーの材質として様々なプラスチッ
ク、金属を試みたが、結果的に基板ホルダー5−6の材
質はフッ素樹脂が最適であった。フッ素樹脂の中でも、
特に、ポリテトラフルオロエチレン(ポリ(ジフルオロ
メチレン))あるいは、ポリ(クロロトリフルオロエチ
レン)が化学的安定性、熱可塑変形を起こしにくい、加
工しやすい等の特徴があり最適な材料であることがわか
った。Al、ステンレス鋼等の金属により基板ホルダー
を作製した場合、紫外線が照射された部分が著しく発熱
し、この熱により光ディスク用基板が変形してしまうと
いう問題が発生した。また、ポリカーボネート、ポリエ
チレン等のプラスチックを使用した場合、数ヵ月程度連
続使用すると、基板ホルダーの表面がひび割れする、あ
るいは紫外線照射による分解により、基板ホルダーの表
面が削れ形状が変化してしまう等の問題が発生した。フ
ッ素樹脂を使用した場合このような問題は発生しなかっ
た。
【0084】また、基板ホルダーの形状は基板を常に水
平に保持できる範囲で小さいほうが良い。本発明におい
て使用した水銀ランプでは、紫外線以外の可視光波長の
光も発生する。このような可視光光線は光ディスク用基
板に使用されている透明基板を透過するため、結果的に
基板ホルダーにも可視光光線が到達してしまう。この
際、基板ホルダーに吸収された可視光光線により熱が発
生するのである。したがって、たとえば、DVD−RA
M用の基板の用に、中心の穴径が15mm、基板の直径
が120mm、中心付近の平坦部分の直径が34mmの
場合、基板ホルダーの突起部分の直径は7mm±0.5
mm、基板ホルダーの直径は30〜33mmが良い。基
板ホルダーの直径が、情報が記録されている直径(44
mm以上)であると、基板ホルダーの発熱により、基板
が変形した際の影響が顕著になるため好ましくない。ま
た、基板ホルダーの直径が30mm以下の場合、安定に
光ディスク用基板を保持することが困難となるため好ま
しくない。
【0085】
【発明の効果】本発明は,以上説明したように従来の光
ディスク用基板の製造工程を変えることなく、後処理す
ることにより、接着性が優れていて欠陥数が少なく、意
図せずに生じる微細な凹凸のない平滑情報面を有する光
ディスク用基板の作製ができるという効果がある。その
結果、記録・再生特性が向上し、低いエラーレートが得
られ、光ディスクの性能が向上した。
【0086】また、紫外線照射用のランプとして、略1
85nmの波長の光が遮蔽され、略254nmの波長の
光を照射する紫外線光源を使用することにより、本発明
の効果を妨げるオゾンの発生を抑制することが可能とな
るため、極めて短時間に大量の光ディスク基板を処理す
ることが可能となる。
【0087】また、前記紫外線光源と前記光ディスク用
基板の距離を制御することにより、たとえ、紫外線の発
光強度が変化した場合においても、前記光ディスク用基
板に対する本発明の効果を常に一定に保つことが可能と
なる。
【0088】また、前記紫外線光源と前記光ディスク用
基板とを相対的に運動させることにより、光ディスク用
基板全面に対する均一な処理が可能となる。
【0089】さらに、前記光ディスク用基板への前記紫
外線光源からの紫外線積算照度を制御することにより、
たとえ紫外線の発光強度が時系列的に変化した場合にお
いても、前記光ディスク用基板に対する本発明の効果を
常に一定に保つことが可能となる。
【0090】紫外線積算照度を制御する方法としては、
前記紫外線光源を複数設け、積算照度が常に一定となる
よう発光させる紫外線光源の数を時系列的に変化させる
方法、また、前記光ディスク用基板の相対移動速度を、
積算照度が常に一定となるよう時系列的に制御する方
法、および、前記紫外線光源と光ディスク用基板の間の
距離を時系列的に変化させる方法が有効である。
【0091】さらに、光ディスク用基板の作製装置にお
いて、前記光ディスク用基板を保持するため、ポリテト
ラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる基板ホルダ
ーを使用することにより、紫外線照射中に発生する基板
変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例における紫外線照射時間とト
ラッキング用の溝深さとの関係を示す図。
【図2】本発明の1実施例における紫外線照射時間とノ
イズとの関係を示す図。
【図3】本発明の1実施例における紫外線照射時間と基
板の分光透過率の変化との関係を示す図。
【図4】本発明の1実施例における紫外光の照射時間と
基板の分子量分布変化との関係を示す図。
【図5】本発明の1実施例における光ディスク用基板の
作製装置の概要を示す図である。
【符号の説明】
5−1紫外線ランプ、5−2紫外線ランプ光源、5−3
紫外線遮蔽板、5−4ランプ高さ調整部、5−5コンベ
アーベルト、5−6基板ホルダー、5−7モーター、5
−8モーター回転速度制御回路、5−9光ディスク用基
板、5−10ソケット部、5−11ベルトコンベアー保
持台、5−12ガス流入口。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 69:00 C08L 69:00 (72)発明者 西田 哲也 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内 (72)発明者 宮本 真 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 4F073 AA05 AA07 AA21 BA26 BB01 CA45 DA01 DA11 5D029 KA07 KB11 5D121 DD13 DD17 GG02 GG20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に凹凸のある、主鎖に酸素原子をもつ
    プラスチック材料を有する光ディスク用基板に、酸素を
    含むガスを流し、前記光ディスク用基板上に略185n
    mの光を遮蔽し、略254nmの波長の紫外線を照射し
    て、前記ポリカーボネイトの表面改質を行うことを特徴
    とする光ディスク用基板の製造方法。
  2. 【請求項2】光ディスク用基板の表面処理を行う光ディ
    スク用基板の作製装置において、 略185nmの波長の光が遮蔽され、略254nmの波
    長の光を照射する紫外線光源と、前記光ディスク用基板
    と前記紫外線光源との距離を相対的に変化させる手段と
    を有することを特徴とする光ディスク用基板の作製装
    置。
  3. 【請求項3】光ディスク用基板の表面処理を行う光ディ
    スク用基板の作製装置において、 略185nmの波長の光が遮蔽され、略254nmの波
    長の光を照射する紫外線光源と、前記光ディスク用基板
    と前記紫外線光源とを相対的に運動させる手段とを有す
    ることを特徴とする光ディスク用基板の作製装置。
  4. 【請求項4】光ディスク用基板の表面処理を行う光ディ
    スク用基板の作製装置において、 略185nmの波長の光が遮蔽され、略254nmの波
    長の光を照射する紫外線光源と、前記光ディスク用基板
    への前記紫外線光源からの紫外線照射時間を制御する手
    段とを有することを特徴とする光ディスク用基板の作製
    装置。
  5. 【請求項5】光ディスク用基板の表面処理を行う光ディ
    スク用基板の作製装置において、略185nmの波長の
    光が遮蔽され、略254nmの波長の光を照射する複数
    の紫外線光源と、各々の紫外線光源の発光エネルギーを
    独立に制御する手段と、を有することを特徴とする光デ
    ィスク用基板の作製装置。
  6. 【請求項6】請求項3に記載の光ディスク用基板の作製
    装置において、前記光ディスク用基板を保持するため
    の、フッ素樹脂からなる基板ホルダーを有することを特
    徴とする光ディスク用基板の作製装置。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の光ディスク用基板の作製
    装置において、前記フッ素樹脂がポリテトラフルオロエ
    チレンであることを特徴とする光ディスク用基板の作製
    装置。
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