JP2002169186A - エレクトロクロミック調光ガラスの製造方法 - Google Patents

エレクトロクロミック調光ガラスの製造方法

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JP2002169186A
JP2002169186A JP2000365140A JP2000365140A JP2002169186A JP 2002169186 A JP2002169186 A JP 2002169186A JP 2000365140 A JP2000365140 A JP 2000365140A JP 2000365140 A JP2000365140 A JP 2000365140A JP 2002169186 A JP2002169186 A JP 2002169186A
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Japan
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cell
electrolyte
container
electrochromic
substrate
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JP2000365140A
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English (en)
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Yukio Kobayashi
幸雄 小林
Tomohiro Totani
智博 戸谷
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AGC Inc
Eneos Corp
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色むら等の不具合が生じることがないエレ
クトロクロミック調光ガラスの製造方法を提供する。 【解決手段】 所定の間隔を隔てて対向させた2つの透
明導電基板間の周縁部をシールしてセルを形成し、その
セル内に注入口を介して電解質又はその前駆体を真空注
入して電解質層を形成せしめてエレクトロクロミック調
光ガラスを製造する際に、前記セルに押付具を装着して
基板の外面を押圧し基板間の間隔を制御したままの状態
で、電解質又はその前駆体のセル内への注入を行うと共
に、注入後の注入口の封止を行い、その後に、押付具を
セルから取り外す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエレクトロクロミッ
ク調光ガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液系電解質を用いてエレクトロクロミッ
ク調光ガラスを製造する方法としては、種々の方法が挙
げられ、あらかじめエレクトロクロミック調光ガラス用
セルを形成しておき、そのセル内に例えば真空注入法に
より液系電解質を注入する方法が知られている。この真
空注入方法は、図6(a)に示すように、まず、容器1
5内に、注入口16が下向きになるように(下部にくる
ように)セル17を垂直に立て、そのセル17の下方に
液系電解質18を貯留する。そして、容器15内を排気
してセル17内及び液系電解質18の脱気を行った後
に、図6(b)に示すように、液系電解質18にセル注
入口16を浸漬する。浸漬後、容器15内を常圧に戻す
ことにより液系電解質18をセル17内に注入するもの
である。また、他のエレクトロクロミック調光ガラス用
セルへの液系電解質注入方法としては、特開平7−19
9235号公報に開示されているものがある。この方法
は、注入口が上向きになるようにセルを容器内に設置
し、容器内を脱気後、セル内に残留する空隙をなくすた
めに、セルを液系電解質に完全に浸漬させて、セル内に
液系電解質を注入するものである。また、特開平2−2
89830号公報にも液系電解質注入方法が開示されて
おり、この方法は、前記と同様に注入口が上向きになる
ようにセルを容器内に設置し、容器内を脱気した後、容
器外部に設置した滴下ロートより液系電解質をセル上部
に取り付けた液溜に滴下して貯留させた後、容器を常圧
に戻すことにより注入を行うものである。また、特開平
11―282022号公報にもセルへの液系電解質注入
方法が開示されており、この方法は、注入口に注入管を
付けたセルを容器内に設置し、容器内を脱気した後、容
器外部から液系電解質を容器内に入れて、注入管の先端
部(開口部)を液系電解質に没入させてから、容器内の
圧力を上げることにより注入を行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
製造方法においては、セルの基板間の間隔にばらつきが
あるので、セルの基板間の間隔を調整した後にセル内に
液系電解質を注入できたとしても、調光ガラス用途のよ
うにセルが大型化した場合等、着色むら等の不具合が生
じることがある。そこで、本発明は、このような実状に
鑑みなされたものであり、その目的は、着色むら等の不
具合が生じることがないエレクトロクロミック調光ガラ
スの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のエレクトロクロミック調光ガラスの製造方
法は、所定の間隔を隔てて対向させた2つの透明導電基
板間の周縁部をシールしてセルを形成し、そのセル内に
注入口を介して電解質又はその前駆体を注入して電解質
層を形成せしめてエレクトロクロミック調光ガラスを製
造する際に、前記セルの基板面外側より基板に押付具を
装着して、押付具により基板の外面を押圧して基板間の
間隔を制御した後、この押付具を装着したセルを容器内
に設置し、容器内を排気してから容器の圧力を上げるこ
とにより前記注入口を介して前記電解質又はその前駆体
をセル内に注入し、注入後、注入口を封止してから前記
押付具をセルから取り外すものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容について詳細
に説明する。本発明においては、少なくとも2枚の透明
導電基板が使用される。透明導電基板は、通常、透明な
基板上に透明電極層を設けた形態にある。ここで、透明
とは、可視光領域において10〜100%の光透過率を
有することを意味する。透明基板としては、透明であれ
ば特に限定されないが、例えば無色あるいは有色ガラ
ス、強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは有色の
透明性を有する樹脂等でも良い。具体的には、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリ
エーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
フェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミ
ド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げ
られる。なお、基板の形状は、平面でも曲面のどちらで
もよい。
【0006】前記透明電極としては、例えば金、銀、ク
ロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化物から
なる導電膜、又はこれらの積層体等が挙げられる。前記
金属酸化物としては、例えばITO(In23−SnO
2)、酸化錫、酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が
挙げられる。電極膜の膜厚は、透明性を有する値である
ならば特に限定されず、通常10〜2000nm、好ま
しくは50〜1500nmが望ましい。また、表面抵抗
(抵抗率)は、本発明の基板の用途により適宜選択でき
るが、通常、0.5〜500Ω/sq.、好ましくは1
〜50Ω/sq.が望ましい。前記電極の形成方法とし
ては、特に限定されず、電極を構成する前記金属及び金
属酸化物等の種類により適宜公知の方法が選択できる。
通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタ
リング法あるいはゾルゲル法等で形成することができ
る。何れの場合も、基板温度が通常100〜350℃の
範囲内で形成することが望ましい。
【0007】また、前記透明電極層には、酸化還元能の
付与、導電性の付与、電気二重層容量の付与の目的で、
部分的に不透明な電極活物質を付与することもできる。
この際、その付与量は電極面全体の透明性が損なわれな
い範囲で選択されることは勿論である。不透明な電極活
物質としては、例えば、銅、銀、金、白金、鉄、タング
ステン、チタン、リチウム等の金属、ポリアニリン、ポ
リチオフェン、ポリピロール、フタロシアニン等の酸化
還元能を有する有機物、活性炭、グラファイト等の炭素
材、V25、WO3、MnO2、NiO、Ir23等の金
属酸化物又はこれらの混合物等を用いることができる。
また、これらを電極に結着させるために、さらに各種樹
脂を用いても良い。この不透明な電極活物質等を電極に
付与するには、例えば、ITO透明電極上に、活性炭繊
維、グラファイト、アクリル樹脂等からなる組成物をド
ット状等の微細パターンに形成したり、金(Au)薄膜
上に、V25、アセチレンブラック、ブチルゴム等から
なる組成物をメッシュ状に形成したりすることができ
る。
【0008】なお、導電基板の一部に開口部を設けて、
電解質又はその前駆体の注入口とすることが望ましく、
その位置は、端(周縁部)に近い部分が好ましい。
【0009】本発明におけるエレクトロクロミック調光
ガラス用セルは、2つの導電基板を電極面を内側として
所定の間隔をおいて対向させたのち、これら基板間の周
縁部をシールすることを基本的な構造とする。その間隙
(間隔)、即ちセル間隔は、通常10〜1000μm、
好ましくは100〜1000μm、特に好ましくは20
0〜700μmである。もちろん、導電基板同士は異な
る種類でも同一のものでも構わない。本発明においてエ
レクトロクロミック層の配設場所は特に限定されること
はなく、例えば、エレクトロクロミック層として形成す
るのであれば、前記導電基板の電極層上の少なくとも一
方もしくは両方にエレクトロクロミック性物質を含む層
を予め設けてもよい。この場合、1対の基板を対向させ
てシールしてもよく、また、電解質とエレクトロクロミ
ック性物質を兼ねるエレクトロクロミック性電解質層を
用いる場合には、単に導電基板同士を対向させてシール
してもよい。
【0010】前記エレクトロクロミック性物質とは、電
気化学的な酸化、あるいは還元反応等によって着色、消
色、色変化等を示す物質を意味し、本発明の目的を達す
るものである限り特に限定されなく、公知の化合物を用
いることができるが、具体的には、Mo23、Ir
23、NiO、V25、WO3、ポリチオフェン化合
物、ポリアニリン化合物、ポリピロール化合物、金属フ
タロシアニン化合物、ビオロゲン化合物又はその塩、フ
ェロセン化合物又はこれらの誘導体等が特に好適なもの
として挙げられる。前記エレクトロクロミック性物質を
含有する層としては、前記エレクトロクロミック性物質
のみからなる層(膜)でもよく、またエレクトロクロミ
ック性物質をマトリックス成分に分散させてえられる層
(膜)でもよい。前記エレクトロクロミック性物質層の
厚さは、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜80
0nmが望ましい。前記エレクトロクロミック性物質を
含有する層の形成方法としては、特に限定されず、蒸着
法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、電解
重合法、ディップコート法、スピンコート法等の種々の
周知の方法を用いることができる。
【0011】シールの方法としては、特に限定されない
が、各種シール材により種々の周知の方法を用いること
ができる。シール材としては、特に限定されないが、セ
ル内部を密封し外部とを隔絶して、セルの性能に影響を
与える成分、例えば、水分や酸素、一酸化炭素等の活性
ガス等の透過を阻止することが可能で、かつ、セル内部
に注入される電解質又はエレクトロクロミック性物質を
兼ねるエレクトロクロミック性電解質層に対して影響を
与えない材料であれば特に制限されることはない。具体
的には例えば、樹脂、ゴム等の高分子材料、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミ
ド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
カーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリスチレン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペ
ンテン、ポリシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ酢酸セルロース、フェノール樹脂、尿素樹脂、
エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセター
ル、ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル、シアノアクリル酸エステル、ポリア
ミド、天然ゴムや合成ゴム、例えば、イソプレンゴム、
ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴ
ム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロ
ロスルホン化ポリエチレン、ニトリルゴム、ウレタンゴ
ム、多硫化ゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴ
ム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴ
ム、等の材料を挙げることができる。
【0012】また、シール材として硬化性樹脂を用いる
場合には、すでに硬化させた状態のものを用いてもよい
し、また、硬化させてシールを行うようにしてもよい。
シールの際に硬化させる場合の硬化性樹脂としては、熱
硬化型、光硬化型、電子線硬化型等の種々の硬化型のも
のが利用可能であり、特に限定されることはないし、そ
の硬化方法についても樹脂に応じた硬化方法が適用可能
である。この硬化性樹脂としては、具体的には、フェノ
ール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、
ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、アクリ
ル酸エステル、メタクリル酸エステル、シアノアクリル
酸エステル、ポリアミド、ブチルゴム、シリコーン樹脂
等が挙げられ、これらは単体で用いても、また、2種あ
るいはそれ以上を混合して用いてもよい。また、これら
を変成したり、フィラーを加える等して、種々の改良を
加えたものであっても良い。
【0013】前記樹脂やゴム中には、基板間の幅を調節
する等の目的でスペーサー材料を含んでも良い。この目
的のために利用するスペーサー材料は、少なくとも非導
電性の材料であって、その形状はシート状、球状、繊維
状、棒状、等特に限定されない。
【0014】次に、これらの樹脂やゴムを用いて基板を
シールする方法についていくつか述べるが、シールの方
法としては特に限定されず、各種の周知の方法が適用可
能であることは言うまでもない。例えば、 あらかじめ、シール形状に加工、成形した材料を作
製した後、基板間に挟み込む方法; 前記硬化性樹脂のペーストを基板表面に公知の印刷
方法を用いて所望の形状に形成する方法; 基板表面に随時塗布していく方法; 前記樹脂やゴムをノズルから吐出させながら掃引
し、基板上に任意のパターンを形成する方法; 等によりシール材を塗布してシールすることができ、特
に又はによる方法が好ましい。
【0015】基板への塗布は2つの基板のうち、片方の
みでも、また両方に行っても良い。硬化性樹脂を塗布し
た場合には、基板を貼りあわせ硬化するが、硬化方法は
用いる硬化性樹脂により異なることは言うまでもない。
熱硬化の場合では、室温で硬化可能なものも用いること
ができるが、通常加熱が必要な場合は、室温〜150℃
の間で、好ましくは室温〜100℃の間で硬化できれば
よい。また、硬化に要する時間は、エレクトロクロミッ
ク特性を損なわない範囲であれば特に限定されないが、
好ましくは24時間以内、さらに好ましくは1時間以内
である。光硬化の場合では、開始剤の吸収波長に適合し
たランプであれば、低圧、高圧、超高圧の各水銀ラン
プ、キセノンランプ、白熱ランプ、レーザー光等が利用
できる。硬化の際には素子全面を均一露光することで、
全面同時硬化しても良いし、ランプや光源を移動させた
り、光ファイバー等の導光性材料を利用することによっ
て集光したスポット光を走査して逐次硬化しても良い。
また、2回以上繰り返すことによって硬化させても良
い。前記方法により作製される基板シールは、1カ所以
上の注入口あるいは排気口を設けることもできる。注入
口は、例えば、意図的にシール剤を塗布しない等によっ
て容易に作ることができるが、その形状は単に基板シー
ルにより仕切られた二つの空間を導通していればどのよ
うなものでも良いし、例えば、中空材料等を使って、導
通させることもできる。また使用する基板の一方に注入
口を設けて基板の全周縁部をシールしても良い。
【0016】次に電解質について説明する。本発明に用
いられる電解質は、エレクトロクロミック性物質を着
色、消色、色変化等をさせることができるものである限
り特に限定されないが、通常室温で1×10-7S/cm
以上のイオン伝導度を示す物質であるものが好ましい。
電解質としては、特に限定されることはなく、液系電解
質、ゲル化液系電解質あるいは固体系電解質等が挙げら
れる。本発明においては、特に固体系電解質が望まし
い。前記液系電解質としては、溶媒に塩類、酸類、アル
カリ類等の支持電解質を溶解したもの等を用いることが
できる。前記溶媒としては、支持電解質を溶解できるも
のであれば特に限定されないが、特に極性を有するもの
が好ましい。具体的には水や、メタノール、エタノー
ル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニト
リル、γ−ブチロラクトン、スルホラン、1、3ージオ
キサン、N、N−ジメチルホルムアミド、1、2−ジメ
トキシエタン、テトラヒドロフラン等の有機極性溶媒等
が挙げられ、好ましくは、プロピレンカーボネート、エ
チレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキ
シエタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スル
ホラン、1、3ージオキサン、N、N−ジメチルホルム
アミド、1、2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラ
ン等の有機極性溶媒等が望ましい。これらは、使用に際
して単独もしくは混合物として使用できる。
【0017】支持電解質としての塩類は、特に限定され
ず、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無
機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウ
ム塩等が挙げられ、具体的にはLiClO4、LiSC
N、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiP
6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、Na
BF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、N
a、Kのアルカリ金属塩等や、(CH34NBF4
(C254NBF4、(n−C494NBF4、(C2
54NBr、(C254NClO4、(n−C49
4NClO4等の4級アンモニウム塩及び環状4級アンモ
ニウム塩等、もしくはこれらの混合物が好適なものとし
て挙げられる。支持電解質としての酸類は、特に限定さ
れず、無機酸、有機酸等が挙げられ、具体的には硫酸、
塩酸、リン酸類、スルホン酸類、カルボン酸類等が挙げ
られる。支持電解質としてのアルカリ類は、特に限定さ
れず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチ
ウム等が挙げられる。
【0018】前記ゲル化液系電解質としては、前記液系
電解質に、さらにポリマーを含有させたり、ゲル化剤を
含有させたりして粘稠若しくはゲル状としたもの等を用
いることができる。前記ポリマーとしては、特に限定さ
れず、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチル
セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレ
ート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、セルロース、
ポリエステル、ポリプロピレンオキサイド、ナフィオン
等が挙げられる。前記ゲル化剤としては、特に限定され
ず、オキシエチレンメタクリレート、オキシエチレンア
クリレート、ウレタンアクリレート、アクリルアミド、
寒天、等が挙げられる。なお、ゲル化液系電解質は、ポ
リマーの前駆体モノマーやゲル化剤の前駆体を液系電解
質を混合したのち、前記の通り特定の方法によりセル内
に注入した後、ゲル化することにより対向する導電基板
の間に挟持させることができる。
【0019】前記固体系電解質としては、室温で固体で
あり、かつイオン導電性を有するものであれば特に限定
されず、ポリエチレンオキサイド、オキシエチレンメタ
クリレートのポリマー、ナフィオン、ポリスチレンスル
ホン酸、Li3N、Na-β-Al23、Sn(HPO4
2・H2O等を挙げることができ、特にオキシアルキレン
メタクリレート系化合物、オキシアルキレンアクリレー
ト系化合物又はウレタンアクリレート系化合物を前駆体
の主成分とし、当該前駆体を重合することによって得ら
れる高分子化合物等を用いた高分子固体電解質が好まし
い。前記高分子固体電解質の第1の例としては、下記一
般式(1)で示されるウレタンアクリレート、前記有機
極性溶媒、及び前記支持電解質を含む組性物(以下、
「組成物A」と略す。)を前駆体とし、当該前駆体を固
化することにより得られる高分子固体電解質が挙げられ
る。
【0020】
【化1】 (式(1)中、R1及びR2は同一又は異なる基であっ
て、下記一般式(2)〜(4)から選ばれる基を示す。
3及びR4は同一又は異なる基であって、炭素数1〜2
0、好ましくは2〜12の2価炭化水素残基を示す。Y
はポリエーテル単位、ポリエステル単位、ポリカーボネ
ート単位又はこれらの混合単位を示す。またmは1〜1
00、好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20
の範囲の整数を示す。)
【0021】
【化2】 (一般式(2)〜(4)中、R5〜R7は同一又は異なる
基であって、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を
示す。またR8は炭素数1〜20、好ましくは炭素数2
〜8の2価有機残基を示す。R9は炭素数1〜20、好
ましくは炭素数2〜8の3価有機残基を示す。R10は炭
素数1〜20、好ましくは炭素数2〜8の4価有機残基
を示す。)
【0022】一般式(1)のR3及びR4で示される2価
炭化水素残基としては、鎖状2価炭化水素基、芳香族炭
化水素基、含脂環炭化水素基等が挙げられる。前記一般
式(1)で示されるウレタンアクリレートの分子量は、
特に制限されないが、好ましくは2,500〜30,0
00、より好ましくは3,000〜20,000が望ま
しい。
【0023】有機極性溶媒の添加量はウレタンアクリレ
ート100重量部に対して通常100〜1200重量
部、好ましくは200〜900重量部の割合である。有
機極性溶媒の添加量が少なすぎると、イオン伝導度も十
分ではなく、また有機非水溶媒の添加量が多すぎると機
械強度が低下してしまう場合がある。支持電解質として
は、本発明の高分子固体電解質の用途等その目的により
適宜選択され、本発明の目的を損なわない限り、特に限
定されないが、前記に例示したものが好適なものとして
挙げられる。添加量としては有機極性溶媒に対し0.1
〜30wt%好ましくは1〜20wt%である。もちろ
ん、任意成分として本発明の目的を損なわないさらに別
の成分を必要に応じて加えることができ、係る任意成分
としては、例えば架橋剤や重合開始剤(光又は熱)、紫
外線吸収剤等が挙げられる。
【0024】前記高分子固体電解質の第2の例として
は、下記一般式(5)で表される単官能アクリロイル変
性ポリアルキレンオキシド、多官能アクリロイル変性ポ
リアルキレンオキシド、有機極性溶媒、及び前記支持電
解質を含む組性物(以下、「組成物B」と略す。)を前
駆体とし、当該前駆体を固化することにより得られる高
分子固体電解質が挙げられる。
【化3】 (式中、R11、R12、R13及びR14は、各々個別に水素
原子又は1〜5の炭素原子を有するアルキル基であり、
nは1以上の整数を示す。)
【0025】一般式(5)において、R11、R12、R13
及びR14は、各々個別に水素原子又は1〜5の炭素原子
を有するアルキル基であり、互いに同一でも異なっても
よく、特にR11は水素原子、メチル基、R12は水素原
子、メチル基、R13は水素原子、メチル基、R14は水素
原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、一般式
(5)のnは、1以上の整数、通常1≦n≦100、好
ましくは2≦n≦50さらに好ましくは2≦n≦30の
範囲の整数を示すものである。また、nが2以上の場
合、オキシアルキレンユニットが互いに異なるいわゆる
共重合オキシアルキレンユニットを持つものでもよい。
本発明に使用される多官能アクリロイル変性ポリアルキ
レンオキシドとしては、好適なものとして、一般式
(6)で示される化合物、いわゆる2官能アクリロイル
変性ポリアルキレンオキシド及び一般式(7)で示され
る化合物、いわゆる3官能以上の多官能アクリロイル変
性ポリアルキレンオキシド等が挙げられる。
【0026】
【化4】 (式中、R15、R16、R17及びR18は、各々個別に水素
原子又は1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示し、
pは1以上の整数を示す。)
【0027】
【化5】 (式中、R19、R20及びR21は、各々個別に水素原子又
は1〜5の炭素原子を有するアルキル基を示し、qは1
以上の整数を示し、rは2〜4の整数であり、Lはr価
の連結基を示す。) 連結基Lとしては、通常、炭素数1〜30、好ましくは
1〜20のニ価、三価又は四価の炭化水素基である。
【0028】もちろん、前記一般式(6)で示される2
官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドと前記一
般式(7)で表される3官能以上の多官能アクリロイル
変性ポリアルキレンオキシドを併用してもよい。一般式
(6)で示される化合物と一般式(7)で示される化合
物を併用する場合、その重量比は通常0.1/99.9
〜99.9/0.1、好ましくは1/99〜99/1、
さらに好ましくは20/80〜80/20の範囲が望ま
しい。本発明に使用される一般式(5)で示される化合
物と多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドの
重量比は通常1/0.001〜1/1、好ましくは1/
0.05〜1/0.5の範囲である。前記有機極性溶媒
の配合割合としては、一般式(5)で示される化合物及
び多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシドの重
量和に対して通常50〜800wt%、好ましくは10
0〜500wt%の範囲が望ましい。また、前記支持電
解質の配合割合は、一般式(5)で示される化合物、多
官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシド及び有機
極性溶媒の重量和に対して通常1〜30wt%、好まし
くは3〜20wt%の範囲である。
【0029】任意成分としては、特に限定されないが、
光重合のための光重合開始剤や熱重合するための熱重合
開始剤や紫外線吸収剤等を挙げることができる。本発明
に使用される重合開始剤の使用量は、一般式(5)で示
される化合物及び、多官能アクリロイル変性ポリアルキ
レンオキシドの重量和に対して通常0.005〜5wt
%、好ましくは0.01〜3wt%の範囲である。な
お、この種の高分子固体電解質については、例えば特開
平11−282022号公報において詳細に記載されて
おり、本発明は係る高分子固体電解質を好適に用いるこ
とができる。もちろん、本発明において用いられる電解
質においては、これらに限定されるものではない。
【0030】また、本発明において用いる電解質とし
て、電解質中にエレクトロクロミック物質を含有させ
た、いわゆるエレクトロクロミック性電解質を用いても
良い。エレクトロクロミック物質を高分子固体電解質に
含有させる方法としては、特に限定されないが、通常そ
の前駆体にエレクトロクロミック物質を混合・含有した
のち固化させる方法が好適である。エレクトロクロミッ
ク物質の含有量は特に限定されないが、通常0.1mM
〜100mM程度であることが望ましい。
【0031】次に本発明のエレクトロクロミック調光ガ
ラスセルの製造方法について説明する。本発明において
は、セルの基板面外側より基板に押付具を装着して、押
付具により基板の外面を押圧して基板間の間隔を制御し
た後、この押付具を装着したセルを容器内に設置し、容
器内を排気してから容器の圧力を上げることにより前記
注入口を介して前記電解質又はその前駆体をセル内に注
入し、注入後、注入口を封止してから前記押付具をセル
から取り外すものである。本発明において基板間の間隔
を制御することとは、セルを形成する2つの透明導電基
板を所定の間隔を隔てて配置したとき又は重ね合わせた
とき、基板間の任意の複数の測定ポイントにおいて最大
値と最小値の差が所定の値を超えないようにすることを
いう。所定の値とは、着色応答性が悪く色むら等の不具
合が生じることがない数値であり、具体的には例えば、
通常120μm以下、好ましくは100μm以下である
ことが望ましい。基板間隔を測定するポイントは、特に
限定されず、任意の複数の箇所を選択することができ
る。例えば、前記最大値と最小値との差が所定の値を超
えているかどうかを測定する際には、上下左右に所定の
間隔を隔てて全体をほぼ把握できるような複数の箇所が
好ましい。間隔が制御されているかどうかを測定する際
には、最大値と最小値との差が所定の値を超えていた箇
所やその周辺の複数の箇所であってもよく、また、全体
をほぼ把握できるような複数の箇所であってもよい。基
板間隔の測定方法としては、特に限定されないが、セル
外部より光学的に観測できる、レーザー変位計を用いる
方法が好適なものとして挙げられる。
【0032】基板間の間隔を制御する押付具4は、セル
への着脱が自在なものであり、具体的には例えば、図1
乃至図3に示すように、一対の押付部材1,1と、これ
ら押付部材1,1をセル2(基板)に押しつけるための
締付部材3とから構成されるもの等が挙げられる。押付
具4は、押付部材1,1をセル2に押し付ける押付力を
可変できる構造のものが好ましい。押付部材1は、板状
のものでも、断面円形、三角形、矩形、多角形の棒状の
ものでもよく、簡便であることから断面矩形の棒状のも
のが好ましい。また、基板が曲面状のときは、実質同じ
曲率の形状を有する押付部材1を用いることが好まし
い。
【0033】押付部材1の材質は、セル2の基板外部に
押し付けた時にセル2の反発力により変形しないもので
あれば特に限定されず、プラスチック材料、金属材料、
ガラス材料等締め付けに必要なねじ穴等を加工できるも
のであれば良い。具体的には例えば、アルミニウム、ス
テンレス、チタン合金等の金属材料、ガラスやセラミッ
ク等の無機材料、ザイダー・エコノールに代表される高
分子液晶、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステ
ル、ポリアミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホ
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチル
メタクリレート、ポリオキシメチレン、ポリメチルペン
テン、フッ素樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキ
シ樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の高分子材料
等が挙げられる。
【0034】締付部材3としては、一対の押付部材1,
1の両端等に貫通孔を設けて、これら貫通孔にボルトを
貫通させてナットにより締め付けるボルトナット方式、
一対の押付部材の両端等にネジ孔を設けて、これらネジ
孔にねじを螺合して締め付けるネジ方式、スプリングの
付勢力により挟持を行うスプリング方式、空気圧を利用
するエアーチャック方式等が使用可能であり、特にボル
トナット方式、ネジ方式が簡便であり好ましい。図示例
では、ボルトナット方式のものである。締付部材3の取
付箇所は、特に限定されず、押付部材1の両端のみ、両
端以外の箇所、両端と両端以外の数箇所であってもよ
い。また、押付部材1,1でセル2を押し付ける(挟
む)場合、少なくとも一方の基板と押付部材1の間にフ
ッ素樹脂等の高分子材料を挟み込んで行うとセル2の間
隔調整が基板を傷つけることなく容易に行えることにな
り好ましい。押しつけ時の圧力は、基板の種類、形状、
厚さ、強度により、適宜選択されることは勿論である。
【0035】押付部材1,1を用いて間隔を制御する場
合は、作製したセル2の外側に一対の押付部材1,1を
取り付け、セル間隙を測定しながら押付部材1,1の押
付力(挟持力)を調整して、基板間隔を所定の値に制御
することが好ましい。このようにすれば、測定値を見な
がら間隔を調節できるので、確実に基板間隔の制御を行
える。押付部材1,1でセル2を挟む場合、間隔を制御
できるならばどのように挟んでもよいが、例えば、曲面
基板の間隔を制御するとき、棒状の押付部材1,1を曲
面基板に装着する場合には、直線状の押付部材1,1の
装着は、曲面基板の曲がり方向とは直角な方向に押付部
材1,1を配置して押し付けるようにする。また、同一
の曲面基板を用いた調光ガラスを多量に製造する場合等
は、実質同じ曲率の形状を有する(セルの曲がりに沿っ
た)一対の押付部材を形成し、これら押付部材をセルの
曲がり方向に沿って装着するようにしてもよい。
【0036】このように本発明の押付部材1,1によ
り、セル2の基板間の間隔を制御したままの状態で、電
解質又はその前駆体の真空注入及び注入後の注入口の封
止を行う。電解質又はその前駆体の真空注入方法につい
て以下に説明するが、電解質又はその前駆体をセル内に
注入できればどのような方法を用いても良く、その方法
としては限定されず、各種周知の方法が適用可能なこと
は言うまでもない。例えば注入口を設けたセルを容器内
に設置してセル内を真空脱気した後、注入口を電解質又
はその前駆体液に浸漬し、しかる後に容器内を窒素、ア
ルゴン等の不活性ガスを用いて常圧に戻すことにより、
注入が可能な真空注入法等が好ましい。また、真空容器
内にセルを垂直にして注入口を下部又は上部に設置して
注入しても良く、セルを水平又は傾斜した状態で設置し
て注入してもよいが、セルが大型化した場合には、液系
電解質の静水圧による影響を考慮すると、セルを水平又
は傾斜した状態で設置することが好ましい。
【0037】具体的には例えば、一例として図1を用い
て説明すると、押付部材1,1により基板間の間隙を制
御したセル2を容器5内の所定の位置に設置する。この
際、セル2の注入口6(図2参照)には、注入管7付き
注入冶具8を取り付けておき、その注入管7の先端開口
部を貯留容器9の低部付近に位置させる。セル2及び注
入管7の配置の終了後、排気バルブ10を介して容器5
内を排気する。この排気により、容器5と共に注入管7
を介してセル2内も排気される。排気後、注入バルブ1
1を開け、外部保存容器12内の電解質又はその前駆体
13を容器5内の貯留容器9に所定量注入(供給)して、
注入管7の先端開口部を完全に埋没させる。注入後、リ
ークバルブ14を開けて、容器5内に不活性ガス等を導
入して、容器5内を昇圧して例えば常圧に戻す。これに
より、容器5内とセル2内との間に圧力差が生じて、貯
留容器9内の電解質又はその前駆体13が注入管7を介
してセル2内に導かれる。この際、セルは、押付部材
1,1により押さえつけられており、注入時にセル2の
間隔が変動することはなく、予め調整されたセル2の面
内での間隔は維持される。なお、電解質又はその前駆体
として電解質前駆体を用いた場合、その前駆体を電解質
とするための操作、例えば光重合、光架橋、熱重合、熱
架橋等を行う必要があるが、当該操作は、後述する封止
操作後に行うことが好ましい。
【0038】次いで、注入口6を封止するが、そのとき
に前記押付部材1,1を封止前に外してしまうと、制御
されていたセル2の間隔は元に戻ってしまうことがある
ため、押付部材1,1は封止後にはずす必要がある。こ
れによりセル2の面内における間隔は通常制御状態を実
質的に維持されることになる。セル2の注入口6の封止
は、通常封止材等により行う。封止操作は、特に限定さ
れないが、真空注入法では通常容器5を開放して行われ
る。この場合、できるだけ不活性ガス雰囲気下か湿度の
極めて低い状態で行うことが望ましい。封止材として
は、特に限定されないが、例えば注入口部分に注入、充
填あるいは塗布することによりセル2内部を密封し外部
とを隔絶して、セル2の性能に影響を与える成分、例え
ば、水分や酸素、一酸化炭素、等の活性ガス等の透過を
阻止することが可能な材料であれば特に制限されること
はない。
【0039】例えば、注入口6を隙間無く埋めることが
できる無機材料、例えばガラスやセラミック、あるいは
樹脂、ゴム等の高分子材料、例えばポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリサルホ
ン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、
ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン、トリ酢酸セルロース、ポリメチルペンテン、ポリシ
ロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸セ
ルロース、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、
ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルア
ルコール、アクリル及びメタクリル酸エステル、シアノ
アクリル酸エステル、ポリアミド、天然ゴムや合成ゴ
ム、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレ
ンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴ
ム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレ
ン、ニトリルゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、アクリ
ルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、フ
ッ素ゴム、水素化ニトリルゴム等の材料があげられる。
【0040】また、封止材として硬化性樹脂を用いる場
合には、硬化性樹脂を封止口に注入、充填あるいは塗布
などした後、硬化させて塞ぐようにしてもよい。この方
法に用いる硬化性樹脂としては、熱硬化型、光硬化型、
電子線硬化型等の種々の硬化型材料が利用可能であり、
特に限定されることはないし、その硬化方法についても
樹脂に応じた硬化方法が適用される。この硬化性樹脂と
しては、具体的には例えば、フェノール樹脂、尿素樹
脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタ
ール、ポリビニルアルコール、アクリル及びメタクリル
酸エステル、シアノアクリル酸エステル、ポリアミド等
が挙げられ、これらは単体で用いても、また、2種ある
いはそれ以上を混合して用いてもよい。また、これらを
変成したり、フィラーを加える等して、種々の改良を加
えたものであっても良い。
【0041】熱硬化の場合では、室温で硬化可能なもの
も用いることができるが、加熱が必要な場合は公知の装
置を用いて加熱すれば良く、室温〜150℃の間で、好
ましくは室温〜100℃の間で硬化できればよい。ま
た、硬化に要する時間は、エレクトロクロミック特性を
損なわない範囲であれば特に限定されないが、好ましく
は24時間以内、さらに好ましくは1時間以内である。
光硬化の場合では、開始剤の吸収波長に適合したランプ
であれば特に限定されなく、各種のランプ、レーザー光
等が利用できる。硬化の際には素子全面を均一露光し、
全面同時硬化しても良いし、ランプや光源を移動させた
り、光ファイバー等の導光性材料で導いたり、ミラー等
を利用することによって集光したスポット光を走査して
逐次硬化しても良い。前記の封止材は単体で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0042】このように、電解質が封入されたエレクト
ロクロミック調光ガラスセルが作成され、これに公知の
電極部材、電源系を接続することにより、エレクトロク
ロミック調光ガラスを容易に製造することができる。
【0043】本発明のエレクトロクロミック調光ガラス
の製造方法では、前記のようにセルの透明導電基板間の
間隔を押付部材により制御した後、その状態のまま電解
質又はその前駆体の真空注入を行い、次いでその状態で
注入口を封止することにより、基板間の間隔が所定の値
を超えることはなくなる。このため、セルが大型化した
場合でも、従来の方法では得ることが出来ないセル面内
での着色応答性の改善が達成できる。これらのことか
ら、結果として、着色むらがないことはもちろんのこと
セル面内での着色応答性が改善されたエレクトロクロミ
ック調光ガラスを得ることが可能となる。また、本発明
においては、セルの基板同士の形状がわずかに異なり、
セル間隙の分布を一定の範囲内に保つことが難しい場合
においても、前述の優れた性能のエレクトロクロミック
調光ガラスを製造することができ、基板の寸法精度によ
る影響を改善することができる。
【0044】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に記載されたものに限定
されるものではない。
【0045】(実施例1)エレクトロクロミック用導電
膜付き基板は次のように作製した。厚み3mmで80×
40cmの曲率半径1.6mの曲面状強化ガラス上に、
スパッタリング法により抵抗が5Ω/sq.となるよう
にITOを成膜して、対向電極基板を作製した。エレク
トロクロミック用発色電極は次のようにして作製した。
基板は前記と同じ曲面状強化ガラス(図2に示すように
ガラスの辺から約25mmの距離に4mmφの開口部が
あるもの)を用い、前記と同様にITOを成膜し、この
導電膜基板を、室温において1〜3nm/sの条件で、
膜厚が500nmとなるように酸化タングステンを蒸着
し、エレクトロクロミック発色電極を作製し、これを発
色電極基板とした。これらのように作製した前記対向電
極基板及び発色電極基板を400μmの間隔を隔てて対
向させ、これら基板間の周縁部を全てシール材を用いて
接着(密封)し、セル断面ではなくセル表面に液系電解
質注入口を備える80×40cmサイズのセルを組み立
てた。セルの外部より間隔を制御する一対の押付部材
は、長さ100cmで20mm角のアルミ材料を2本用
意して、2本のアルミ材料の各両端近傍に10mm径の
穴を設けてボルトナットで締め付けられるように作製し
た。さらに一方のアルミ材の中央部内側に長さ200m
mで10mm角のテフロン(登録商標)材料を設置し
た。次にセルの外部に前記一対の押付部材を曲面方向と
は直角な方向のほぼセル中央部に装着し、レーザー変位
計でセル面内の間隙を350〜450μmになるように
調整した。この際の測定位置を図4に示す。
【0046】次にその状態のものを図1に示すように注
入管7付き注入治具8を注入口6に取り付け、容器5内
に配設した。このとき注入管7の先端開口部を貯留容器
9の底部付近に配置するとともに、外部に設置した注入
バルブ11付き液系電解質の液保存器12と連結してい
る導管もその容器9の上方に配置した。次にγ−ブチロ
ラクトンを溶媒としたLiIの電解質含む液系電解質
(濃度0.6mol/L)を外部保存容器12に入れ
て、液系電解質を予め脱気した。以上の装填が完了した
後、排気バルブ10を開けて容器5内を30分間ロータ
リーポンプにて排気した。次いで排気バルブ10を閉じ
た後液系電解質注入バルブ11を開けて、容器5内の貯
留容器9にセル2内に電解質を注入するために必要な所
定量の液系電解質13を導入しバルブ11を閉じた。こ
のときセル注入口6に連結している注入管7の先端開口
部は液系電解質中に浸され容器5内とセル2は隔離され
る。この状態でリークバルブ14を解放し窒素を容器5
内に導入することにより常圧に戻した。容器5を解放し
てセルを取り出し、注入口6を封止した。次いでセル2
の外部に設置された押付部材1,1を取り外した。セル
2の間隔の面内分布に関して表1に押付部材1,1によ
る調整前後及び注入・封止後の測定値を示した。次いで
このようにして得られたセル2を90℃のオーブンに入
れて100時間放置した。
【0047】着色試験 次に、得られたエレクトロクロミック調光ガラスについ
て着色試験を行った。この素子の着色応答性変化は以下
の要領で求めた。ビームエキスパンダーで直径約20m
mに拡大されたHe−Neレーザーの633nmの光が
エレクトロクロミック調光ガラスを通過するように照射
し、その透過光をSiフォトダイオードで計測した。素
子に着色電圧を印加し透過率が55%から20%に達し
た時の時間を求める。着色時の透過率変化の測定は図5
に示したように5点の位置で行い、素子面内での均一性
を測定した。エレクトロクロミック発色電極側が負極、
対向電極側が正極になるように電圧1.5V、電流0.
5Aを印加し透過率が55%から20%になる着色時間
を求めた。前記で求めた着色時間を表4示した。
【0048】(実施例2)実施例1において液系電解質
にメトキシテトラエチレングリコールメタクリレートを
20wt%添加し、光硬化触媒としてダロキュアー11
73(チバスペシャリティケミカルズ社製)を0.02
wt%を添加した光重合性液系電解質を調整した。この
液系電解質を用いた以外は実施例1と同様に行った。実
施例1と同様に液系電解質を注入後注入口を封止し、押
付部材を取り外した後このセルに高圧水銀灯を用いて2
0J照射し液系電解質を重合させた。このようにして得
られたエレクトロクロミック調光ガラスについて前記実
施例1と同様に着色試験を行った。表2にセル間隔の変
動、表4に着色応答性時間の測定結果を示した。
【0049】(比較例1)実施例1においてセルを押付
部材を用いずに容器内に固定した以外は同様の方法で行
った。このようにして得られたエレクトロクロミック調
光ガラスについて前記実施例1と同様に着色試験を行っ
た。表3にセル間隔の変動、表4に着色応答性時間の測
定結果を示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】以上の結果から所定の間隔で作製したセル
を、基板間隔にばらつきがあっても、電解質又はその前
駆体を注入する前にセルの外側より押付部材を用いてセ
ル面内の間隔を制御し、その状態で電解質又はその前駆
体を注入し、注入口を封止した後前記押付部材を取り外
すことにより、着色応答性が改善されたエレクトロクロ
ミック調光ガラスが得られる。
【0055】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、着色むら
等の不具合が生じることがなくエレクトロクロミック調
光ガラスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロクロミック調光ガラスの製
造方法を実施するための液系電解質注入装置の一例を示
す概略図である。
【図2】本発明の押付部材をセルに取り付けた状態を示
す斜視図である。
【図3】本発明の押付部材をセルに取り付けた状態を示
す断面図である。
【図4】本発明の実施例、比較例における基板間隔の測
定点の位置を示す図である。
【図5】本発明の実施例、比較例における透過率測定位
置を示す図である。
【図6】従来のエレクトロクロミック素子用セルの液系
電解質注入方法を示す工程図で、その(a)は減圧工程
を、(b)は注入工程をそれぞれ示す図である。
【符号の説明】
1 押付部材 2 セル 3 締付部材 4 押付具 5 容器 6 注入口 7 注入管 8 注入治具 9 貯留容器 10 排気バルブ 11 注入バルブ 12 外部保存容器 13 電解質又はその前駆体 14 リークバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K001 AA08 BB43 BB48 CA02 CA04 CA08 CA09 CA30 CA35 CA42 CA45 DA02 DA23 DA25

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の間隔を隔てて対向させた2つの透
    明導電基板間の周縁部をシールしてセルを形成し、その
    セル内に注入口を介して電解質又はその前駆体を真空注
    入して電解質層を形成せしめてエレクトロクロミック調
    光ガラスを製造する際に、 前記セルの基板面外側より基板に押付具を装着して、押
    付具により基板の外面を押圧して基板間の間隔を制御し
    た後、該押付具を装着したセルを容器内に設置し、容器
    内を排気してから容器の圧力を上げることにより前記注
    入口を介して前記電解質又はその前駆体をセル内に注入
    し、注入後、注入口を封止してから前記押付具をセルか
    ら取り外すことを特徴とするエレクトロクロミック調光
    ガラスの製造方法。
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