JP2002168930A - 樹脂成形物および電池 - Google Patents

樹脂成形物および電池

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JP2002168930A
JP2002168930A JP2000361708A JP2000361708A JP2002168930A JP 2002168930 A JP2002168930 A JP 2002168930A JP 2000361708 A JP2000361708 A JP 2000361708A JP 2000361708 A JP2000361708 A JP 2000361708A JP 2002168930 A JP2002168930 A JP 2002168930A
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battery
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Hiroshi Inoue
浩 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性と熱変色性を併せ持つ樹脂成形物、そ
の様な樹脂成形物を応用した起電力検査装置、および起
電力検査装置を組み込んだ電池をそれぞれ提供する。 【解決手段】 樹脂成形物は発色剤、顕色剤、および減
感剤よりなる熱変色性材料と、金属等の導電性材料を含
む導電性樹脂との混合物、または導電性樹脂と上記の熱
変色性材料を含む樹脂組成物とが積層されたものとす
る。起電力検査装置1は、フイルム性基板2、上記の樹
脂成形物よりなる熱変色部3、等よりなる導電層5の2
層で構成される。さらに導電性樹脂と上記の熱変色性材
料を原料として二色成形により、ケースと起電力検査装
置が一体化された電池パック40が構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性と熱変色性
と併せ持つ樹脂成形物に関する、さらにそれらの樹脂成
形物を利用した起電力検査装置、さらに、それらの起電
力検査装置を組み込んだ電池に関する。
【0002】
【従来の技術】バッテリーチェッカー(株式会社サクラ
クレパスの商標)と称されるシート状の起電力検査装置
が知られている(実用新案登録第2515623号
他)。従来の起電力検査装置70は、単1形、単2形等
の円筒形であって、両端に電極を持つ形式の乾電池に使
用されるものであり、図5のように基板71上に、通電
によって変色する熱変色部72と、基板71の両端付近
に電池との二つ接点73a、73bを備えている。
【0003】すなわち起電力検査装置70は、図5
(b)に示すように、基板71の一面側に導電層75と
保護層76が設けられ、導電層75の一部が保護層76
から露出して接点73a、73bが形成されている。
【0004】前記した導電層75には、一部に括れた部
分であって、部分的に断面積が小さい発熱部77が有
る。
【0005】基板71の他面側には、着色層78と、熱
変色層79が積層されている。ここで着色層78は、赤
色、黄色、青色等の単色の印刷層或いはこれらを適宜塗
り分けた印刷層である。着色層78は通常のインキをも
って印刷された層であり、熱によって変色することはな
い。
【0006】一方、熱変色層79は、特殊なインキを使
用して印刷されており、雰囲気温度の上昇に感応して有
色から無色透明へと可逆的に変色する。前記した着色層
78は、常温状態においては、表面側の熱変色層79に
隠蔽されている。
【0007】起電力検査装置70は、図5(c)に示す
ようにシートを撓ませることにより、接点73a、73
bを電池の電極と接続して使用する。
【0008】その結果、導電層75に電気が流れ、断面
積が小さくて電流密度が高い発熱部77が発熱する。そ
してその熱が基板71を経て他面側の熱変色層79に伝
わり、熱変色層79の一部が無色透明に変化する。その
結果、熱変色層79に隠蔽されていた着色層78の一部
が視認可能となる。すなわち基板71上の一部であって
導電層75の発熱部77に相当する部位が通電されるこ
とによって変色し、電池80に起電力があることが分か
る。
【0009】従来技術の起電力検査装置70は、予め基
板71を成形し、当該基板71上に前記した導電層7
5、保護層76、着色層78及び熱変色層79を積層し
て製造される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の様に、従来技術
の起電力検査装置は、基板71を成形する工程と、当該
基板71に多数の層を積層する工程が必須であり、製造
工程が複雑であった。
【0011】また発熱部たる導電層75と熱変色層79
の間に基板71があるので発熱部の熱が熱変色部に伝わ
りにくく、起電力を検査する際の電池の消耗が激しいと
いう欠点があった。
【0012】また本出願人は、電池と起電力検査装置が
一体化した製品を企画し、試作したが、電池の表面に多
数の層を設けることは製造工程が煩雑であり、画期的な
改良が望まれていた。
【0013】そこで本発明は、従来技術の上記した問題
点に注目し、導電性と熱変色性とを併せ持つ樹脂成形物
を開発することを課題とする。また本発明は、それらの
樹脂成形物を使用した起電力検査装置及び、起電力の検
査機能を備えた電池の開発を課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】そして上記した課題を解
決するための請求項1の発明は、熱変色性材料と、導電
性樹脂との混合物よりなる樹脂成形物である。
【0015】本発明の樹脂成形物は、熱変色性材料と、
導電性樹脂との混合物よりなり、導電性樹脂と熱変色性
材料とが、混合により単一相をなしており、均一物であ
りながら導電性と熱変色性を併せて発現することが出来
る。
【0016】また請求項2の発明は、熱変色性材料と樹
脂が混合された樹脂組成物層と、導電性樹脂層とが積層
された樹脂成形物である。
【0017】本発明の樹脂成形物は樹脂組成物層と、導
電性樹脂層を持ち、導電性と熱変色性を併せて発現する
ことが出来る。
【0018】また請求項3の発明は、熱変色性材料と導
電性樹脂が混合された樹脂組成物によって構成される導
電性熱変色部と、他の樹脂組成物によって構成される樹
脂成形部が一体に成形された樹脂成形物である。
【0019】本発明の樹脂成形物は、導電性と熱変性を
併せて発現する部位と、一般の樹脂によっとて作られた
部位を持つ。そのため導電性と熱変性を併せて発現する
部位によって起電力検査機能を発揮させ、一般の樹脂に
よって作られた部位によって形状の保持や剛性を発揮さ
せることができる。
【0020】また本発明の樹脂成形物は、導電性熱変色
部によって構成される機能部分と、樹脂成形部によって
構成される剛性部分を簡便に形成させることが出来る。
【0021】また請求項4の発明は、導電性樹脂は金
属、金属酸化物、黒鉛、アセチレンブラック、カーボン
の内の少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求
項1乃至3のいずれかに記載の樹脂成形物である。
【0022】本発明の樹脂成形物は、構成する導電性樹
脂は金属、金属酸化物、カーボンの少なくとも一つ以上
を含んでおり、それらの配合を変化させることにより、
樹脂成形物の電導度を適宜に調整することが出来る。
【0023】また請求項5の発明は、熱変色性材料は、
発色剤、顕色剤、および減感剤を含有し、温度変化によ
り可逆的に変色することを特徴とする請求項1乃至4の
いずれかに記載の樹脂成形物である。
【0024】本発明の樹脂成形物は、構成する熱変色性
材料である発色剤、顕色剤、および減感剤の選択と配合
の調整により、任意の温度で可逆的に変色(発色および
消色)させることが出来る。
【0025】また請求項6の発明は、一部又は全部が請
求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂成形物によって構
成され、電極への接触部を有し、前記接触部を電池の電
極に接続することにより、電池の使用可否の判定が可能
な起電力検査装置である。
【0026】本発明の電池の起電力検査装置は、電極へ
の接触部を有し、接触部を介して樹脂成形物の内部に通
電される。ここで本発明で採用する樹脂成形物は、導電
性と熱変色性を兼ね備えている。そのため樹脂成形物に
電圧がかけられると、樹脂成形物に電気が流れて発熱
し、樹脂成形物は自らの熱によって変色する。そのため
電池の起電力が検知される。すなわち電池の良否を判断
することができる。
【0027】また請求項7の発明は、電気発生部の外周
面を樹脂製の外皮部材で覆ってなる電池において、前記
外皮部材の一部または全部は、請求項1乃至5のいずれ
かに記載の樹脂成形物によって構成され、前記電気発生
部から樹脂成形物に対して通電可能であることを特徴と
する電池である。
【0028】電気発生部の外周面が樹脂製の外皮部材で
覆われている。ここで本発明で採用する外皮部材は、導
電性と熱変色性を兼ね備えた樹脂成形物によって構成さ
れている。また本発明の電池では、電気発生部から樹脂
成形物に対して通電可能である。そのため電気発生部が
発生する電圧が樹脂成形物にかけられると、樹脂成形物
に電気が流れて発熱し、樹脂成形物は自らの熱によって
変色する。そのため電池の起電力が検知される。すなわ
ち電池の良否を判断することができる。
【0029】さらに請求項8に記載の発明は、一部又は
全部が請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂成形物に
よって構成されたケース部を有し、当該ケース部内に電
気発生部材が配されて成る電池であって、前記電気発生
部から樹脂成形物に対して通電可能であることを特徴と
する電池である。
【0030】本発明は、電池パックと称される形式の電
池に関するものである。すなわち本発明では樹脂成形物
によって構成されたケース部を有し、当該ケース部内に
電気発生部材が配されて成る電池である。そして本発明
では、ケース部の少なくとも一部が導電性と熱変色性を
兼ね備えた樹脂成形物によって構成されている。また本
発明の電池では、電気発生部から樹脂成形物に対して通
電可能である。そのため電気発生部が発生する電圧が樹
脂成形物にかけられると、樹脂成形物に電気が流れて発
熱し、樹脂成形物は自らの熱によって変色する。そのた
め電池の起電力が検知される。すなわち電池の良否を判
断することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。本発明の樹脂成形物は、金属、金属酸化物、黒鉛、
アセチレンブラック、カーボンの少なくとも一つ以上を
含む導電性樹脂の粉を熱変色性材料と混和した粉体を融
解の後、公知の造粒法によるペレットとして得られるも
のとすることが出来る。ここで前記した導電性樹脂のベ
ースとなる樹脂には、PP,ABS,PA,PBT,P
E,PVC,PC,PS等の公知の樹脂が採用可能であ
る。
【0032】本発明の樹脂成形物は、上記の導電性樹脂
の粉またはペレットを公知の成形機によってシートとな
し、これに上記の熱変色材料と合成樹脂とが混合された
樹脂組成物を、吹き付け機などを用いて、塗布により積
層したものとすることが出来る。
【0033】さらには、導電性熱変色部と一般の樹脂か
らなる樹脂成形部を一体成形物とすることが出来る。こ
の場合の成形法としては、例えば、導電性樹脂に熱変色
材料が混合された上記の樹脂組成物を原料とし、さらに
般の樹脂を原料とした二色成形が好適である。熱変色性
材料は、所定の温度範囲内で所定の色を呈し、所定の温
度範囲外では可逆的に変色する様に配合を調整される公
知のものである。発色剤は一般にはキノン類を代表とす
るロイコ染料等の電子供与性化合物が使用される。顕色
剤はフェノール類等の電子受容性化合物で、ロイコ染料
等と反応して発色/変色させる物質である。減感剤は所
定の温度範囲外では発色剤と顕色剤との反応を抑制する
ことにより変色を抑止し、所定の温度範囲内で変色を促
す作用する物質で、アルコール類や有機酸エステル類等
が使用される。本発明の起電力検査装置は、導電性樹脂
に熱変色性材料が混合された樹脂組成物をフイルム状の
一般の樹脂層に塗布した樹脂成形物、又は、導電性樹脂
の表面を熱変色性材料で積層してなる樹脂成形物のいず
れかに、通電用の接点(接触部)を設けることによって
得られる。通電用の接点は良導電性の金属の蒸着による
のが好適である。
【0034】上記の導電性樹脂の表面を熱変色性材料で
積層してなる樹脂成形物は、導電性樹脂に熱変色材料が
混合された上記の樹脂組成物を原料とし、さらに一般の
樹脂を原料とした二色成形一体成形物であっても良い。
【0035】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 (実施例1)本発明者らは、本発明の実施例として導電
性変色フィルムを成形した。導電性変色フィルムは、導
電性樹脂と熱変色性色素の混合物によって作られる。実
施例に使用した導電性樹脂は、ABS樹脂をベースとす
る濃灰色の導電性射出材ABS(新東工業社製)であ
り、熱変色性色素は、平常色が赤であって45℃以上で
無色になる熱変色性色素(ロイコ染料、顕色剤、減感剤
を公知の方法でマイクロカプセルにしたもの)である。
そして前記した導電性樹脂1gと熱変色性色素0.5g
を180℃にて、短時間で混合し、プレス、冷却を経
て、厚み1mmの導電性変色フィルムを得た。このフィ
ルムを5mm×20mmの長方形に成形し、両端を1.
5Vの乾電池および、3.8Vのリチウムイオン二次電
池で通電したところ、いずれの場合も、赤味の灰色が導
電性射出材ABSのみの色である灰色に変色し、通電を
止めると平常色である赤味の灰色に戻った。
【0036】(実施例2)さらに本発明者らは、本発明
の第2実施例として薄板状の成形物を試作した。薄板状
の成形物は、二種類の樹脂を使用した二色成形によって
成形される。成形に使用した樹脂の一つは、前記した導
電性射出材ABS(新東工業社製)である。またもう一
つの樹脂は、熱変色性色素をABS樹脂中に混合したも
のを採用した。ここで熱変色性色素は、先の実施例と同
様にロイコ染料、顕色剤、減感剤を公知の方法でマイク
ロカプセルにしたものであり、ABS樹脂100重量部
に対して50重量部配合し公知の造粒法によってペレッ
ト化した。そして公知の二色成形法により、一面に熱変
色性色素とABS樹脂が混合された樹脂組成物層が現
れ、他面側に導電性樹脂層が被覆積層された樹脂成形物
を得た。この薄板状の成形物の導電性樹脂層に3.8V
のリチウムイオン二次電池で通電したところ、他面側の
赤味の灰色が導電性射出材ABSのみの色である灰色に
変色し、通電を止めると平常色である赤味の灰色に戻っ
た。
【0037】(実施例3)図1は本発明の実施例3の電
池起電力検査装置1の斜視図(a)、(a)の断面図
(b)、及び起電力検査装置1を電池パック10に取り
付けた図(c)である。本実施例の起電力検査装置1は
電極が窪んだ部分に互いに接近して設けられている携帯
電話用等の電池パック形式の電池の起電力検査に好適で
あるが、円筒形の乾電池に対しても、前記図5(c)に
示した、シートを撓ませる方法と同様にしても適用出来
るものである。
【0038】起電力検査装置1は、帯状であって略長方
形の透明なフィルム状の基板2と、接点4a、4bを有
する導電層5から構成されている。導電層5の外観は図
2(a)のようであり、基板2の中央部を長手方向の両
端までに亘って対角に設けられており、両端から接点4
a、4bが水平方向へ突出して設けられている。
【0039】本実施例においては、導電層5は、実施例
1の樹脂成形物(導電性変色フィルム)であって、通電
可能な導電部と、熱によって変色する熱変色部を構成し
ている。すなわち図1(a)に破線で示したような、一
部が括れた部分的に断面積が小さい熱変色部(発熱部)
3を持つ形状であって、導電性と熱変色性を兼ね備えた
樹脂成形物の膜が基板2の面の一部に積層されている。
【0040】本実施例の導電層5を構成する樹脂成形物
は、合成樹脂と熱変色性材料が混合された樹脂組成物が
成形された膜であって、実施例1に示したように単一層
でありながら導電性と熱変色性を併せて発現することが
出来る。
【0041】樹脂成形物に含まれる導電性樹脂は、金
属、金属酸化物、カーボン、導電性ポリマーの少なくと
も一つ以上を含んでおり、樹脂成形物の導電性の程度を
適宜に調整することが出来る。
【0042】また熱変色性材料は、(1)電子供与性呈
色性有機化合物である発色剤と、(2)該発色剤と反応
して発色および変色させる顕色剤および(3)所定の温
度範囲外では発色剤と顕色剤との反応を抑制することに
より変色を抑止し、所定の温度範囲内で変色を促す作用
をする減感剤とを含有し、温度変化により可逆的に変色
する。
【0043】このように基板2の一面に積層される樹脂
成形物は、実施例1の様に、導電性ポリマー等と熱変色
性色材料の混合組成物を主成分とし、温度変化と変色の
関係は、熱変色性材料に含有されている発色剤、顕色
剤、減感剤の配合の調整によって決められる。
【0044】本例では実施例1と同種の樹脂成形物(
濃灰色の導電性射出材ABSと、平常色が赤であって
45℃以上で無色になる熱変色性色素を混合したもの)
を用いているので、赤味の灰色が導電性射出材ABSの
みの色である灰色に変色し、通電を止めると平常色であ
る赤味の灰色に戻る。
【0045】基板2は帯状の本体部2cを持ち、長手方
向の両端に本体部2cから突出した基板突出部2a、2
bを有する合成樹脂のフィルムであって、接点4a、4
bは基板突出部2a、2bの表面に良導電性の金属が蒸
着されたものである。
【0046】すなわち本実施例の起電力検査装置1で
は、基板2は略長方形であり、その対向する辺から外側
に向かって三角形に突出して接点4a、4bが設けられ
ている。
【0047】フィルム状基板2の材質としては、透明で
絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、耐熱
性と熱伝導性が良好で、熱変形が少なく、起電力検査装
置として使い易いために、可撓性が良好で、容易に湾曲
および復元するものが好ましい。フィルム状基板2は、
少なくともヘアピン状となって折り曲げられた部位同士
が互いに平行となる程度まで撓むことが望ましい。
【0048】透明性の要件は、起電力検査装置の使用時
は導電層5側を電池(電池パック10)に接触させ、基
板2側から熱変色部の表示を見るために必要であり、透
明性が長時間劣化しない材質が好ましい。通常はポリイ
ミド、ポリエステルなどが利用される。基板2の厚さは
0.05〜0.8 mm程度とするのが好ましい。
【0049】導電層5に通電されると電池(電池パック
10)の起電力の変化に応じて熱変色部(発熱部)3が
発熱し、適度に変色するように、膜をなす導電層5の電
気抵抗と、温度変化等の性能が設計されている。
【0050】以上のように構成された起電力検査装置1
は、図1(c)のように、二つの接点4a、4bが互い
に接する程度までシート面の長手方向の中央付近を撓ま
せ、電池パック10の電極11a,11bの設けられて
いる窪んだ箇所に、突出している接点4a、4bを差し
込むようにして電極11a,11bに接続し、使用す
る。
【0051】本実施例の起電力検査装置1は、接点4
a、4bが電池パック10の電極11a,11bと接す
ると、接点4a、4bを介して導電層5に電気が流れ
る。そして断面積が小さい熱変色部(発熱部)3が発熱
する。その結果、当該部分が自らの熱によって変色し、
起電力の有無が分かり、電池パック10の良否が判別で
きる。すなわち電池パック10が充電された状態である
か、放電状態であるかが判別される。
【0052】なお本実施例では、導電層5は合成樹脂と
熱変色性材料が混合された樹脂組成物によって構成した
が、これに代わって、実施例2で説明した様な一面に熱
変色性色素と樹脂が混合された樹脂組成物層があり、他
面側に導電性樹脂層が被覆積層された樹脂成形物を採用
することも可能である。
【0053】(実施例4)図2は本発明の実施例4の電
池21の斜視図(a)、(a)のA−A断面図(b)、
および(b)の要部拡大図(c)である。電池21は汎
用の円筒型の乾電池で単1型1.5Vのものである。電
池21は電池本体(電気発生部)22と本発明の樹脂成
形物よりなる外皮部材23とから構成されている。外皮
部材23はポリカーボネート樹脂と実施例1と同種の材
料からなる樹脂組成物(濃灰色の導電性射出材ABS
と、平常色が赤であって45℃以上で無色になる熱変
色性色素を混合したもの)とを用いた二色成形物であっ
て、ポリカーボネート樹脂が外皮部材23の基板層24
を形成し、上記の樹脂組成物が基板層24の外側の一部
を占める導電熱変色層25を形成している。導電熱変色
層25の外表面の形状は、5mm×30mmの略長方形
で、基板層24の単一層部の外表面と同一面をなしてい
る。導電熱変色層25は大部分が基板層24と二層をな
しているがスイッチ部26の部分のみが一層であって、
図2(c)の様に外皮部材23の内面に露出している。
このスイッチ部26と電池の負極28をなす電池本体2
2円筒面との間は厚さが約0.1mmの隙間27が設け
られている。さらに電池の正極29と導電熱変色層25
の上端部を接続するリード線30が、絶縁材31を間に
挟んで電池本体22の上表面に設けられている。
【0054】この様な構成の電池は、外皮部材の外側の
スイッチ部26が押されると、スイッチ部26は隙間2
7を埋める様に内側に凹むことにより、電池の負極28
と接し、導電熱変色層25に通電される。導電熱変色層
25は通電されると自らの内部抵抗により発熱して変色
する。導電熱変色層25の組成物は、前記の様に、実施
例1と同種の導電性樹脂と熱変色性色剤からなる樹脂組
成物であるため、本来の色である赤味の灰色が、45℃
以上において灰色に変色し、通電を止めると平常色であ
る赤味の灰色に戻る作用を有する。従って起電力が正常
の電池から通電されると導電熱変色層25が45℃以上
になるように、導電性樹脂と熱変色性色剤の配合を設計
することにより、電池の起電力の適否を検査することが
出来、導電熱変色層25を含む外皮部材23を有する起
電力検査装置と一体型の電池21が得られる。
【0055】なお本実施例では、導電熱変色層25は合
成樹脂と熱変色性材料が混合された樹脂組成物によって
構成したが、これに代わって、実施例2で説明した様な
一面に熱変色性色素と樹脂が混合された樹脂組成物層が
あり、他面側に導電性樹脂層が被覆積層された樹脂成形
物を採用することも可能である。
【0056】(実施例5)図3は、本発明の実施例5の
電池パック40の斜視図である。図4は、本発明の実施
例5の電池パック40の平面図(a)、(a)のA−A
断面図(b)、および(b)のB−B断面図(c)であ
る。
【0057】実施例5の電池40は二次電池であるリチ
ウムイオン電池(電気発生部)が内蔵された、携帯電話
用の3.7V、540mAのパック形式の電池(以下
電池パック40)である。電池パック40は、図4
(b)、(c)の様な合成樹脂製の外皮部材(上部ケー
ス41と、下部ケース42)と、それらの内部に収容さ
れた、シート状の二次電池43からなる。二次電池43
は、リチウムイオン電池からなる電池本体44、電極端
子基板45、正極リード線46a、負極リード線46
b、正極端子47a、負極端子47bより構成されてい
る。電池の回路は、図4(c)の様に、正極リード線4
6aが、電池本体44の左端の正極48aから出て、電
極端子板45の下側を通り、電極端子基板45の上部先
端にある正極端子47aに繋がっている。負極リード線
46bが、電池本体44の右端の負極48bから出て、
電池本体44の側面を経て、電極端子基板45の上部先
端にある負極端子47bに繋がっている。
【0058】本実施例の電池パック40は、上記の上部
ケース41がポリカーボネート樹脂と第1実施例と同種
の樹脂組成物(濃灰色の導電性射出材ABSと、平
常色が赤であって45℃以上で無色になる熱変色性色素
を混合したもの)を用いた二色成形によって製造され
た、起電力検査装置との一体物となっているのが特徴で
ある。上部ケース41の外観は図3の様で、ポリポリカ
ーボネート樹脂よりなる基板部51と、その内側表面
の、前記樹脂組成物よりなる導電熱変色部52と、電極
接続部53(a、b)から構成されている。
【0059】電極接続部53a、bは基板部51の樹脂
面に導電性の金属が蒸着されたもので、基板部51の左
端部に設けられ、二次電池43の正極端子47a、負極
端子47bに接続している。導電熱変色部52は電極接
続部53aと隣接する始点52aから、基板部51上で
馬蹄形を描き、途中に上記樹脂組成物が欠損したスイッ
チ部54が設けられ、さらに終点52bへ至って、電極
接続部53bに繋がっている。この導電熱変色部52は
実施例3と同様に、電池の起電力の変化に追随して変色
することによって電池の使用可否が判定出来るように、
上記樹脂組成物に含まれる導電性樹脂と熱変色性色剤の
配合が設計されている。
【0060】本実施例の電池パック40の上部ケース4
1を起電力検査装置として使用する時は、導電熱変色部
52のスイッチ部54(上記樹脂組成物の欠損した部
分)に電気良導体、例えばニッケル製のコインなどを当
てがうことによって、導電熱変色部52に通電される。
これにより、導電熱変色部52は、自らの内部抵抗によ
って発熱し変色する。この変色の経過から電池の起電力
の適否が判定される。
【0061】なお本実施例では、導電熱変色部52は、
合成樹脂と熱変色性材料が混合された樹脂組成物によっ
て構成したが、これに代わって、実施例2で説明した様
な一面に熱変色性色素と樹脂が混合された樹脂組成物層
があり、他面側に導電性樹脂層が被覆積層された樹脂成
形物を採用することも可能である。
【0062】
【発明の効果】本発明の樹脂成形物は一体物で導電性と
熱変色性を併せて発現出来るので、本発明の樹脂成形物
は通電により変色する特徴の玩具や、情報資材が得られ
る。本発明の樹脂成形物に通電用の接点を設けることに
より、起電力検査装置を容易に構成できる。本発明の起
電力検査装置は熱変色層を導電層と別に設ける必要がな
く、導電熱変色層の熱変色部の面積を大きく取れるの
で、表示が見や易いものが得られる。また本発明の電池
パック形体の電池は、起電力検査装置部分が二色成形等
により、ケースと一体となっており、表示が劣化しにく
く、簡略に製作出来る。さらに本発明の起電力検査装
置、起電力検査装置一体形の電池パックは使用時に熱変
色部が直接に発熱するので、効率が良く、電池の消耗が
少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3の電池起電力検査装置1の斜
視図(a)、(a)の断面図(b)、及び起電力検査装
置1を電池パック10に取り付けた図(c)
【図2】本発明の実施例4の電池21の斜視図(a)、
(a)のA−A断面図(b)、および(b)の要部拡大
図(c)
【図3】本発明の実施例5の電池パック40の斜視図
【図4】本発明の実施例5の電池パック40の平面図
(a)、(a)のA−A断面図(b)、および(b)の
B−B断面図(c)
【図5】従来技術の起電力検査装置70の正断面図
(a)、および平面図(b)、及び起電力検査装置70
を乾電池に取り付けた図(c)
【符号の説明】
1 起電力検査装置 2 基板 3 熱変色部(発熱部) 4a、4b 接点 5 導電層 10 電池パック 11a、11b 電極 21 電池 22 電池本体(電気発生部) 23 外皮部材 24 基板層 25 導電熱変色層 26 スイッチ部 27 隙間 28 負極 29 正極 30 リード線 31 絶縁材 40 電池パック 41 上部ケース 42 下部ケース 43 二次電池 44 電池本体(電気発生部) 45 電極端子板 46a 正極リード線 46b 負極リード線 47a 正極端子 47b 負極端子 48a 正極 48b 負極 51 基板部 52 導電熱変色部 53a、53b 電極接続部 54 スイッチ部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱変色性材料と、導電性樹脂との混合物
    よりなる樹脂成形物。
  2. 【請求項2】 熱変色性材料と樹脂が混合された樹脂組
    成物層と、導電性樹脂層とが積層された樹脂成形物。
  3. 【請求項3】 熱変色性材料と導電性樹脂が混合された
    樹脂組成物によって構成される導電性熱変色部と、他の
    樹脂組成物によって構成される樹脂成形部が一体に成形
    された樹脂成形物。
  4. 【請求項4】 導電性樹脂は金属、金属酸化物、黒鉛、
    アセチレンブラック、カーボンの内の少なくとも一つ以
    上を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
    記載の樹脂成形物。
  5. 【請求項5】 熱変色性材料は、発色剤、顕色剤、およ
    び減感剤を含有し、温度変化により可逆的に変色するこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂
    成形物。
  6. 【請求項6】 一部又は全部が請求項1乃至5のいずれ
    かに記載の樹脂成形物によって構成され、電極への接触
    部を有し、前記接触部を電池の電極に接続することによ
    り、電池の使用可否の判定が可能な起電力検査装置。
  7. 【請求項7】 電気発生部の外周面を樹脂製の外皮部材
    で覆ってなる電池において、前記外皮部材の一部または
    全部は、請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂成形物
    によって構成され、前記電気発生部から樹脂成形物に対
    して通電可能であることを特徴とする電池。
  8. 【請求項8】 一部又は全部が請求項1乃至5のいずれ
    かに記載の樹脂成形物によって構成されたケース部を有
    し、当該ケース部内に電気発生部材が配されて成る電池
    であって、前記電気発生部から樹脂成形物に対して通電
    可能であることを特徴とする電池。
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