JP2002168328A - 変速比無限大無段変速機の制御装置 - Google Patents

変速比無限大無段変速機の制御装置

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JP2002168328A
JP2002168328A JP2000366894A JP2000366894A JP2002168328A JP 2002168328 A JP2002168328 A JP 2002168328A JP 2000366894 A JP2000366894 A JP 2000366894A JP 2000366894 A JP2000366894 A JP 2000366894A JP 2002168328 A JP2002168328 A JP 2002168328A
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pressure
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clutch
range
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Hiromasa Sakai
弘正 酒井
Shunichi Oshitari
俊一 忍足
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低車速時にエンジンブレーキが過大になるの
を防いで、運転性を向上させる。 【解決手段】 トロイダル型の無段変速機構2は、画成
された油室30A、30Bの差圧に応じて変速比を制御
する油圧シリンダ30へ供給する油圧を制御する変速制
御弁246と、選択した運転レンジに応じてライン圧を
供給する油路を切り換え、複数のクラッチへの選択レン
ジ圧を設定するマニュアルバルブ230と、無段変速機
構2の変速比に応動する後退トルク遮断バルブ240と
を備え、油圧シリンダ30の一方の油室には、選択レン
ジ圧を後退トルク遮断バルブ240及び変速制御弁24
6を介して供給する一方、他方の油室には変速制御弁2
46を介してライン圧を供給し、無段変速機構2の変速
比icがギアードニュートラルポイントを含んで予め設
定した範囲内にあり、かつ、油室30A、30Bの差圧
が0のときには、エンジンブレーキ側のトルクの伝達を
規制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに採用さ
れる変速比無限大無段変速機の制御装置の改良に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から車両の変速機として、ベルト式
やトロイダル型の無段変速機が知られており、このよう
な無段変速機の変速領域をさらに拡大するために、無段
変速機に一定変速機と遊星歯車機構を組み合わせて変速
比を無限大まで制御可能とする変速比無限大無段変速機
が知られており、例えば、特開平9−42428号公報
などがある。
【0003】これは、エンジンに連結される変速比無限
大無段変速機のユニット入力軸に変速比を連続的に変更
可能なハーフトロイダル型の無段変速機と、一定変速機
(減速機)を並列的に連結するとともに、これらの出力
軸を遊星歯車機構で選択的に結合したもので、無段変速
機の出力軸を遊星歯車機構のサンギアに、一定変速機の
出力軸は動力循環モードクラッチを介して遊星歯車機構
のキャリアに連結される。
【0004】サンギアと連結した無段変速機出力軸は、
直結モードクラッチを介して変速比無限大無段変速機の
出力軸であるユニット出力軸に結合される一方、遊星歯
車機構のリングギアもユニット出力軸に結合される。
【0005】このような変速比無限大無段変速機では、
トラニオンを駆動する油圧アクチュエータのピストンの
差圧を制御することで、伝達トルクと変速比の制御を行
っており、図22に示すように、動力循環モードクラッ
チを締結する一方、直結モードクラッチを解放すること
により、無段変速機と一定変速機の変速比の差に応じ
て、ユニット変速比(以下IVT比iiでユニット入力
軸回転数/ユニット出力軸回転数)を負の値から正の値
まで無限大(=ギアードニュートラルポイント)を含ん
で連続的に変速制御を行う動力循環モードと、動力循環
モードクラッチを解放する一方、直結モードクラッチを
締結して無段変速機の変速比(以下CVT比ic)に応
じて変速制御を行う直結モードを選択的に使用すること
ができる。
【0006】また、変速比無限大無段変速機の前進方向
と後退方向で、それぞれ変速制御を行うものとして、例
えば、特開平10−325459号公報などがある。
【0007】これは、前進レンジのときには、図22で
示すギアードニュートラルポイントGNPに対応したC
VT比icgnpより大側(回転同期点RSP側=Lo
側)で変速制御を行うアクチュエータ及び制御弁と、後
退レンジのときには、ギアードニュートラルポイントG
NPに対応したCVT比icgnpより小側(Hi側)
で変速制御を行うアクチュエータ及び制御弁を、それぞ
れ備えたもので、コントロールユニットの故障などで、
アクチュエータが進行方向とは反対側のCVT比icへ
向けて駆動されても、進行方向とは反対側の伝達トルク
(=エンジンブレーキ)を遮断し、故障時にエンジンブ
レーキが過大になるのを抑制している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者の従来例では、車両の前進時には車速の低下に伴っ
て、動力循環モードのギアードニュートラルポイントG
NPへ向かうが、コントローラの故障やアクチュエータ
の誤作動により、変速比がギアードニュートラルポイン
トGNP側へ変速すると、通常のダウンシフトと異な
り、意図しない過大なエンジンブレーキが作用するた
め、運転者に違和感を与えてしまうという問題がある。
【0009】また、上記後者の従来例では、ギアードニ
ュートラルポイントGNPに対応したCVT比icgn
pによって、進行方向に応じて制御領域を分けて、コン
トロールユニットまたはアクチュエータの故障や、信号
回路の断線などが発生してもエンジンブレーキが過大に
なるのを抑制することはできるが、直結モードでは、図
22の斜線で示す領域のように、ギアードニュートラル
ポイントGNPに対応したCVT比icgnpよりも小
側(Hi側)のCVT比icを利用することができず、
IVT比iiの変速制御範囲が狭くなるのに加えて、複
数のアクチュエータ及び制御弁を使用しなければならな
いため、制御装置の機構や制御が複雑になって、製造コ
ストが上昇するという問題があった。
【0010】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、故障などによってエンジンブレーキが過大
になるのを防ぎながらも、幅広い変速制御範囲を確保
し、さらに、製造コストの上昇を抑制することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、無段変速
機構と一定変速機構とをユニット入力軸にそれぞれ連結
するとともに、無段変速機構と一定変速機構の出力軸を
遊星歯車機構及び複数のクラッチを介してユニット出力
軸に連結した変速比無限大無段変速機と、運転状態に応
じて前記複数のクラッチをそれぞれ制御して運転モード
を設定するクラッチ制御手段とを備えた変速比無限大無
段変速機の制御装置において、前記無段変速機構は、画
成された油室の差圧に応じて変速比を制御する油圧シリ
ンダと、この油圧シリンダへ供給する油圧を制御する変
速制御弁と、選択した運転レンジに応じて油路を切り換
え、ライン圧を選択レンジ圧として前記クラッチに供給
するマニュアルバルブと、前記無段変速機構の変速比に
応動する切換弁とを備え、前記油圧シリンダの一方の油
室には、前記選択レンジ圧を切換弁及び変速制御弁を介
して供給する一方、他方の油室には前記変速制御弁を介
してライン圧を供給し、前記無段変速機構の変速比がギ
アードニュートラルポイントを含んで予め設定した範囲
内にあり、かつ、前記油室の差圧が0のときには、エン
ジンブレーキ側のトルクの伝達を規制する。
【0012】また、第2の発明は、前記第1の発明にお
いて、前記切換弁は、前記選択レンジ圧が供給される第
1のポートと、前記油室と連通可能な第2のポートを備
えて選択的に連通させるとともに、これらポートと連通
する油路の間には、前記選択レンジ圧が油室へ向かう流
れを遮断する逆止弁を介装する。
【0013】また、第3の発明は、前記第2の発明にお
いて、前記切換弁は、変速比に応じて変位可能なスプー
ルを有し、このスプールの変位に応じて、前記油室と連
通可能な第2ポートを、前記選択レンジ圧が供給される
第1ポートまたはドレーンポートの一方と連通させると
ともに、前記第1ポートとドレーンポートとの連通を切
り換える際には、一時的に第2ポートを封止する。
【0014】
【発明の効果】したがって、第1の発明は、複数のクラ
ッチの締結状態をそれぞれ制御することにより、動力循
環モードと直結モードの2つの運転モードを切り換えて
おり、動力循環モードでは、無段変速機と一定変速機の
変速比の差に応じて、総変速比(=ユニット変速比=ユ
ニット入力軸回転数/ユニット出力軸回転数)を負(後
退側)の値から正(前進側)の値まで無限大(=ギアー
ドニュートラルポイント)を含んで連続的に変速制御を
行い、直結モードでは、無段変速機の変速比に応じて変
速制御を行う。
【0015】そして、運転状態(例えば、変速比など)
が、ギアードニュートラルポイントを挟んで予め設定さ
れた範囲になると、運転レンジで設定された進行方向と
は逆方向のトルクの伝達を抑制して、エンジンブレーキ
側のトルクが抑制されるため、制御装置やアクチュエー
タが故障しても、エンジンブレーキが過大になるのを確
実に防止でき、また、マニュアルバルブは、運転レンジ
に応じてライン圧を供給する油路を切り換えて、クラッ
チへの選択レンジ圧を設定する構成としたため、マニュ
アルバルブの構成を簡易にすることができ、エンジンブ
レーキ側のトルクを規制する機能をマニュアルバルブに
設けないようにしたため、マニュアルバルブの小型化と
加工精度の向上を図ることができる。
【0016】また、第2及び第3の発明は、切換弁の第
1ポートには、マニュアルバルブの位置に応じて前進レ
ンジ圧(Dレンジ圧)または後退レンジ圧(Rレンジ
圧)が供給されており、変速制御弁を介して一方の油室
と連通可能な第2ポートの間には逆止弁を介装したた
め、第2ポートと連通するポートを、第1ポートとドレ
ーンポートの間で切り換える際には、第2ポートが一時
的に封止されても、エンジンブレーキ側のトルクの遮断
に関与しない油圧の排出を妨げることがなくなって、円
滑な変速を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0018】図1は、ハーフトロイダルで構成されたダ
ブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機構2を用い
て変速比無限大無段変速機を構成した一例を示す。
【0019】図1において、変速比無限大無段変速機は
エンジンのクランクシャフト(図示せず)に連結される
ユニット入力軸1aに、変速比を連続的に変更可能な無
段変速機構2と、ギア3a、ギア3bから構成された一
定変速機構3(減速機)とを並列的に連結し、これらの
出力軸4、3cをユニット出力軸6側へ配設するととも
に遊星歯車機構5で連結したものである。
【0020】無段変速機出力軸4は、ユニット出力軸6
と同軸的かつ、相対回転自在に支持され、無段変速機構
2の出力スプロケット2a、チェーン4b及びスプロケ
ット4aを介して連結されており、無段変速機出力軸4
の一端を遊星歯車機構5のサンギア5aに結合し、他端
を直結モードクラッチ10に結合する。
【0021】ギア3bと結合した一定変速機構3の出力
軸3cも、ユニット出力軸6と同軸的かつ、相対回転自
在に支持され、動力循環モードクラッチ9を介して遊星
歯車機構5のキャリア5bに連結されており、キャリア
5bのピニオンと歯合する遊星歯車機構5のリングギア
5cは、変速比無限大無段変速機の出力軸であるユニッ
ト出力軸6に結合される。
【0022】そして、ユニット出力軸6の図中右側に
は、変速機出力ギア7が設けられ、この変速機出力ギア
7がディファレンシャルギア8のファイナルギア12と
歯合し、ディファレンシャルギア8に結合する駆動軸1
1は、無段変速機構2の変速比(以下CVT比とする)
に応じた総変速比(以下、ユニット変速比でIVT比i
iとする)で駆動力が伝達される。
【0023】ここで、トロイダル型の無段変速機構2
は、図1に示すように、2組の入力ディスク21、出力
ディスク22で、パワーローラ20をそれぞれ挟持、押
圧するダブルキャビティのトロイダル型で構成される。
【0024】パワーローラ20は、図3に示すように、
下端を油圧シリンダ30に結合して軸方向へ変位可能か
つ軸まわりに回転可能なトラニオン23(パワーローラ
支持部材)に軸支され、複数のトラニオン23のうちの
一つトラニオン23の下端には、トラニオン23の軸方
向変位量とパワーローラ20の傾転角(トラニオン23
の回転角≒実変速比)をシフトコントロールバルブ24
6(変速制御弁)にフィードバックするためのプリセス
カム135が設けられる。
【0025】そして、プリセスカム135は、図3に示
すように円周方向に所定の傾斜を備えたカム溝またはカ
ム面を備えており、このカム溝またはカム面に揺動自在
なフィードバックリンク38の一端が摺接する。
【0026】フィードバックリンク38は、例えば、L
字状に形成されるとともに揺動軸39を中心に揺動自在
に支持されており、一端で上記カム溝またはカム面と摺
接する一方、他端で変速リンク37の一端と係合し、ト
ラニオン23の軸方向変位量及び回転量、すなわちパワ
ーローラ20の傾転角を変速リンク37の一端に伝達す
る。
【0027】変速リンク37は、図4に示すように、中
央部でシフトコントロールバルブ246のスプール24
6Sと連結する一方、フィードバックリンク38と連結
した変速リンク37の他端はステップモータ136(ア
クチュエータ)と連結し、変速リンク37はステップモ
ータ136の駆動によってシフトコントロールバルブ2
46(変速制御弁)を軸方向に変位させるとともに、ト
ラニオン23の回動と軸方向変位に応じてシフトコント
ロールバルブ246のスプール246Sを軸方向に変位
させる。
【0028】次に変速比無限大無段変速機の制御は、図
2に示すように、マイクロコンピュータを主体に構成さ
れた変速制御コントロールユニット80によって変速比
と運転モードの制御が行われる。
【0029】変速制御コントロールユニット80には、
ユニット入力軸1の回転数Nt(=エンジン回転数N
e)を検出する入力軸回転数センサ81からの出力と、
無段変速機出力軸4の回転数Noを検出する無段変速機
出力軸回転数センサ82からの出力と、ユニット出力軸
6の回転数等から車速VSPを検出する車速センサ83
からの出力や、図示しないセレクトレバーまたはスイッ
チに応動するインヒビタスイッチ84からのセレクト位
置POS、アクセル操作量センサ85が検出したアクセ
ルペダルの踏み込み量APSがそれぞれ入力される。
【0030】変速制御コントロールユニット80は、こ
れらの検出値を運転状態として処理し、この運転状態に
応じて直結クラッチソレノイド190と動力循環クラッ
チソレノイド210を駆動することで動力循環モードク
ラッチ9と直結モードクラッチ10を選択的に締結し
て、運転モードを切り換えるとともに、運転状態に応じ
たユニット変速比(IVT比)となるようにステップモ
ータ136を駆動する。
【0031】トロイダル型無段変速機構2では、本願出
願人が提案した特開平11−247964号公報(特願
平10−53187号)などにも示したように、図3、
図4に示した油圧シリンダ30のピストン31に加わる
差圧ΔPがパワーローラ20の伝達トルクであり、制御
圧(PlcまたはPhc)を供給圧PLとすることで差
圧ΔPが0になり、伝達トルクを0とすることができ
る。
【0032】そして、差圧ΔPを0に設定する際には、
油室30A、30Bの油圧を供給圧PLに一致させるた
め、ピストン31の表裏に油圧をかけた状態で差圧ΔP
を0に設定でき、作動油にエアーなどが混入して体積弾
性係数が変化することによる差圧ΔPの変動を抑制する
ことができ、制御精度を確保することができる。
【0033】差圧制御を行う動力循環モードにおいて
は、油圧シリンダ30が支持するトルクの方向に応じ
て、シフトコントロールバルブ246を切り換えればよ
く、例えば、図4において、油室30B側に供給圧PL
が供給されている場合には、図3に示すように、入力デ
ィスク21が回転しているとすると、正の伝達トルク
(入力ディスク21から出力ディスク22へトルクが伝
達される方向を正とする。以下同様)を制御圧(Plc
またはPhc)との差圧ΔPによって制御できる。
【0034】逆に、図4において、油室30A側に供給
圧PLが供給されている場合には、図3に示すように、
入力ディスク21が回転しているとすると、負の伝達ト
ルク(出力ディスク22から入力ディスク21へのトル
ク。以下同様)を制御圧との差圧ΔPによって制御でき
る。
【0035】ここで、直結モードでは、無段変速機構2
からのトルクがユニット出力軸6へ伝達されるため、正
方向のトルクで車両の駆動が行われる一方、負方向のト
ルクでエンジンブレーキが作用する。
【0036】ところが、動力循環モードでは、動力循環
モードクラッチ9が締結される一方、直結モードクラッ
チ10が解放されるため、図1、図2において、一定変
速機構3に駆動されるキャリア5bの公転速度と、無段
変速機構2のCVT比に応じたサンギア5aの回転速度
の差によって、車両の前後進とギアードニュートラルポ
イントGNPが決定され、この動力循環モードでは、車
両の進行方向によって、無段変速機構2を通過するトル
クの方向が変化する。
【0037】まず、動力循環モードにおける前進時は、
キャリア5bのピニオンの公転速度がサンギア5aの回
転速度よりも大きい場合、すなわち、無段変速機構2の
CVT比が図22に示すギアードニュートラルポイント
GNPより大側(Lo側)にあるときで、キャリア5b
に伝達されたトルクは、リングギア5cとサンギア5a
に伝達されるため、無段変速機構2への入力トルクは、
チェーン4bを介して出力ディスク22側から入力さ
れ、負の方向となる。ちなみに、出力ディスク22から
入力ディスク21へ伝達されたトルクは、ユニット入力
軸1aから一定変速機構3へ伝達されて、駆動力が循環
することになる。
【0038】一方、動力循環モードにおける後進時で
は、サンギア5aの回転速度がキャリア5bの公転速度
よりも十分大きい場合、すなわち、無段変速機構2のC
VT比が、図22に示すギアードニュートラルポイント
GNPよりも小側(Hi側)にあるときで、このとき、
サンギア5aに伝達されたトルクは、キャリア5bとリ
ングギア5cに伝達されるため、無段変速機構2への入
力トルクは、入力ディスク21から出力ディスク22へ
伝達される正方向となり、サンギア5aを介してキャリ
ア5bに伝達されたトルクは、一定変速機構3を介して
再び入力ディスク21へ循環する。
【0039】したがって、動力循環モードの前進時で
は、無段変速機構2を通過する負のトルクを制御するこ
とで、駆動側の伝達トルクを制御でき、すなわち、図
3、図4に示したように、油室30Aに供給される油圧
と、油室30Bに供給される油圧との差圧ΔPを制御す
ればよい。
【0040】また、動力循環モードの前進時でエンジン
ブレーキを制御するには、無段変速機構2を通過する正
のトルクを制御すればよく、油室30Bに供給される油
圧と、油室30Aに供給される油圧との差圧ΔPを制御
すればよい。
【0041】一方、動力循環モードの後進時では、上記
の関係が逆になって、無段変速機構2を通過する正のト
ルクを制御することで、駆動側の伝達トルクを制御で
き、油室30Bに供給される油圧と、油室30Aに供給
される油圧との差圧ΔPを制御すればよい。
【0042】同様に、後進方向のエンジンブレーキの制
御は、油室30Aに供給される油圧と、油室30Bに供
給される油圧の差圧ΔPを制御すればよい。
【0043】ここで、変速比無限大無段変速機の変速比
及び運転モードの制御を行う変速制御装置の油圧回路に
ついて、図4〜図9を参照しながら詳述する。
【0044】まず、図4〜図9に示した油圧回路につい
て、各要素毎に説明する。
【0045】<1−1.ライン圧及び潤滑圧制御系>オ
イルポンプ110の吐出ポート110pは、ライン圧回
路101を介してプレッシャーレギュレータバルブ10
0のライン圧ポート100pに導かれる一方、ライン圧
ソレノイド90からの信号圧Psigplがプレッシャ
ーレギュレータバルブ100のポート100fに接続さ
れる。
【0046】この信号圧Psigplによる力と、スプ
リング100bの付勢力の合力と、吐出ポート110p
からの油圧が釣り合うようにスプール100aが変位し
て、ライン圧ポート100pに接続されたライン圧回路
101のライン圧PLが所定の値に制御される。
【0047】なお、ライン圧ソレノイド90は、変速制
御コントロールユニット80に制御されており、パイロ
ット圧回路102からのパイロット圧Ppを元圧として
信号圧を調圧するもので、このパイロット圧Ppは、パ
イロットバルブ103がプレッシャーレギュレータバル
ブ100からのライン圧PLに比例して調圧したもので
ある。また、ライン圧ソレノイド90とポート100f
の間には、アキュームレータ120が介装されている。
【0048】オイルポンプ110の吸入ポート110i
は、ポンプ吸入油路104に接続されており、ライン圧
PLが上昇した場合には、このポンプ吸入油路104と
連通したプレッシャーレギュレータバルブ100の第2
ドレンポート100dと、ライン圧ポート100pが連
通することで、ライン圧PLの上昇が抑制される。な
お、ライン圧PLが所定値を超えた場合には、リリーフ
バルブ140が作動して、ライン圧回路101の減圧を
行う。
【0049】第1ドレンポート100eは、クーラーレ
デューシングバルブ155の供給圧になっており、クー
ラーポート291にクーラーレデューシングバルブ15
5の制御圧が接続されている。
【0050】クーラーレデューシングバルブ155は、
クーラ供給圧が一定値を超えて増大することを防止し、
クーラ配管系を保護している。また、クーラーレデュー
シングバルブ155がスティックした場合に、クーラ系
圧力の異常上昇を防止するため、さらに作動の迅速なク
ーラリリーフバルブ150が、クーラーレデューシング
バルブ155の制御圧に接続されている。
【0051】クーラーレデューシングバルブ155の制
御圧は、クーラーポート291並びにオリフィスを介し
て潤滑ポート292に接続されて、変速比無限大無段変
速機の各部へ供給されて潤滑、冷却を行う。
【0052】プレッシャーレギュレータバルブ100に
よって調圧されたライン圧回路101には、図示しない
シフトレバーに応動するマニュアルバルブ230、トラ
ニオン23の傾転角φに応動する後退トルク遮断バルブ
240(切換弁)、変速リンク37を介してステップモ
ータ136とプリセスカム135に応動するシフトコン
トロールバルブ246が接続される。
【0053】なお、ステップモータ136は、図2に示
すように、変速制御コントロールユニット80によって
駆動されるもので、ステップモータ136は、ステップ
数を減少させるとCVT比icが小側(Hi側)となる
ように変速リンク37を駆動し、ステップ数を増大させ
るとCVT比icが大側(Lo側)となるように変速リ
ンク37を駆動する。
【0054】これに伴って、図3、図4に示すように、
プリセスカム135のカム面135Aも、回転方向とフ
ィードバックリンク38の駆動方向の関係は、図3にお
いてに、プリセスカム135がCVT比icの大側(L
o側)に回転すると、フィードバックリンク38の端部
38aを図中下方に変位させる一方、プリセスカム13
5がCVT比icの小側(Hi側)に回転すると、フィ
ードバックリンク38の端部38aを図中上方に変位さ
せ、他端で係合した変速リンク37を駆動する。
【0055】<1−2.シフトコントロールバルブ>次
に、シフトコントロールバルブ246は、ライン圧回路
101に連通した供給ポート246Pと、油圧シリンダ
30の油室30Aと連通したLo側ポート246Lと、
油圧シリンダ30の油室30Bと連通したHi側ポート
246Hとを備え、変速リンク37と連結したスプール
246Sの変位に応じて、ライン圧PLがLo側ポート
246LまたはHi側ポート246Hの一方に供給され
る。そして他方のポートは、排出ポート(ドレーン側ポ
ート)246Cまたは246Dに接続される。
【0056】Lo側ポート246Lと連通可能な排出ポ
ート246Cは、油路105を介してモードフィックス
バルブ(モード切換制御弁)160のポート160kに
接続され、また、Hi側ポート246Hと連通可能なポ
ート246Dは、油路106を介して後退トルク遮断バ
ルブ240のポート240fに接続される。
【0057】<1−3.マニュアルバルブ>次に、マニ
ュアルバルブ230のスプール230aは、セレクトレ
バー等に応じて回動する図示しないカム等によって、図
7にも示すように、Pレンジ(駐車レンジ)、Rレンジ
(後退レンジ)、Nレンジ(ニュートラルレンジ)、D
レンジ(走行レンジ)、Dsレンジ(スポーツ走行レン
ジまたはエンブレ用レンジ)、Lレンジ(低速レンジ)
の6つのシフト位置(運転レンジ)のいずれかに設定さ
れる。
【0058】すなわち、Pレンジが選択されときには、
図7(A)のように、スプール230aが図中最も下方
に変位する一方、Lレンジが選択されたときには、図7
(F)のように、スプール230aは図中最も上方に変
位し、Rレンジから、Nレンジ、Dレンジ、Dsレンジ
と変化するにつれて、スプール230aは図7の上方へ
順次変位していく。
【0059】{Pレンジ選択時}Pレンジが選択された
ときには、図7(A)のように、スプール230aは図
中再下方に位置し、Dレンジ圧ポート230cを大気開
放して図中上方よりドレーンするとともに、Rレンジ圧
ポート230dをドレーンポート230eへ接続して、
Dレンジ圧回路107とRレンジ圧回路108を共にド
レーンし、直結クラッチ制御バルブ180と動力循環ク
ラッチ制御バルブ200へのライン圧PLを遮断するこ
とで、動力循環モードクラッチ9、直結モードクラッチ
10の元圧を遮断して解放させる。
【0060】{Rレンジ(後退レンジ)選択時}Rレン
ジの後退レンジが選択された場合には、図7(B)のよ
うに、Pレンジから所定量だけスプール230aは図中
上方へ変位して、Rレンジ圧ポート230dをライン圧
ポート230bと連通させる一方、Dレンジ圧ポート2
30cを大気開放して図中上方よりドレーンする。
【0061】この結果、Dレンジ圧回路107の油圧が
抜ける一方、Rレンジ圧ポート230dにライン圧PL
が加わるため、シャトル弁270の弁体は図4において
左側へ移動し、Rレンジ圧回路108にライン圧PLが
供給されて、動力循環クラッチ制御バルブ200を介し
て動力循環モードクラッチ9の締結を行うことができ、
また、直結クラッチ制御バルブ180には油圧が供給さ
れないため、直結モードクラッチ10は解放される。
【0062】また、Rレンジ圧ポート230dと連通し
た後退トルク遮断バルブ240のポート240eにもラ
イン圧PLが供給される。
【0063】{Nレンジ(ニュートラルレンジ)選択
時}Nレンジが選択されたときには、図7(C)のよう
に、Dレンジから所定量だけスプール230aは図中上
方へ変位して、Dレンジ圧ポート230cを大気開放し
て図中上方よりドレーンするとともに、Rレンジ圧ポー
ト230dをドレーンポート230eへ接続して、Dレ
ンジ圧回路107とRレンジ圧回路108を共にドレー
ンし、直結クラッチ制御バルブ180と動力循環クラッ
チ制御バルブ200へのライン圧PLを遮断すること
で、動力循環モードクラッチ9、直結モードクラッチ1
0の元圧を遮断して解放させる。
【0064】{Dレンジ、Dsレンジ、Lレンジ選択
時}Dレンジやスポーツ走行に用いるDsレンジあるい
は低速走行用のLレンジ等の前進レンジが選択されたと
きには、図7(D)、(E)、(F)のように、上記N
レンジからそれぞれ所定量だけスプール230aは図中
上方へ変位して、ライン圧回路101と連通したライン
圧ポート230bが、Dレンジ圧ポート230cに接続
され、Dレンジ圧回路107へライン圧PLが供給され
る。
【0065】また、シャトル弁270と連通したRレン
ジ圧ポート230dは、ドレンポート230eに接続さ
れる。このシャトル弁270は、Rレンジ圧ポート23
0dとDレンジ圧回路107の油圧のうち、高い方をR
レンジ圧回路108へ供給するもので、Dレンジを選択
したときには、図4のように、シャトル弁270の弁体
は図中右側に移動して、Dレンジ圧回路107からRレ
ンジ圧回路108へライン圧PLが供給されて、直結ク
ラッチ制御バルブ180と動力循環クラッチ制御バルブ
200の両方にライン圧PLが供給される。
【0066】したがって、動力循環モードクラッチ9と
直結モードクラッチ10は、運転モードに応じて締結す
ることができる。
【0067】また、Dレンジ圧回路107は、後退トル
ク遮断バルブ240のポート240dにもライン圧PL
を供給する。このとき、後退トルク遮断バルブ240の
ポート240dが図4、図6のように、ポート240c
と連通する状態(傾転角φ≒GNP)であれば、Dレン
ジ圧回路107からがポート240d、240cを介し
てモードフィックスバルブ160のポート160jにも
ライン圧PLが供給される。
【0068】<1−4.クラッチ制御バルブ>次に、パ
イロットバルブ103で調圧されたパイロット圧回路1
02は、直結モードクラッチ10を制御するための直結
クラッチソレノイド190と、動力循環モードクラッチ
9を制御するための動力循環クラッチソレノイド210
にパイロット圧Ppを供給する。
【0069】これら、直結クラッチソレノイド(H/C
SOL)190と、動力循環クラッチソレノイド(L
/C SOL)210は、図2に示すように、変速制御
コントロールユニット80によってデューティ制御され
る。
【0070】直結クラッチソレノイド190で調圧され
た信号圧PsolH/Cは、直結クラッチ制御バルブ1
80のポート180eと、モードフィックスバルブ16
0のポート160cへ供給される。
【0071】また、動力循環クラッチソレノイド210
で調圧された信号圧PsolL/Cは、動力循環クラッ
チ制御バルブ200のポート200eへ供給される。
【0072】直結クラッチ制御バルブ180は、ポート
180eに供給された信号圧PsolH/Cに応じてス
プール180aを駆動し、ポート180gに供給された
Dレンジ圧回路107からのDレンジ圧Pd(=ライン
圧PLで選択レンジ圧)を減圧して、出力ポート180
cから制御圧Phcとしてインヒビタバルブ170に供
給する。なお、ポート180dは、ポンプ吸入油路10
4に接続されている。
【0073】信号圧PsolH/Cは、スプリング18
0bとともにDレンジ圧Pdに対抗してスプール180
aを付勢しており、信号圧PsolH/Cと、制御圧P
hcの関係は、図8に示すように設定され、信号圧Ps
olH/Cの増大に応じて、制御圧Phcが増大する。
【0074】そして、信号圧PsolH/Cが0のとき
には、直結クラッチ制御バルブ180は、スプリング1
80bの付勢力によって所定の制御圧Phcを生成する
ようになっており、この所定の制御圧は、直結モードク
ラッチ10のリターンスプリング力と同等の油圧に設定
されて、クラッチの無駄ストローク分だけストロークさ
せるが、クラッチの締結力がほとんど発生しない油圧に
設定されている。
【0075】同様に、動力循環クラッチ制御バルブ20
0は、ポート200eに供給された信号圧PsolL/
Cに応じてスプール200aを駆動し、ポート200g
に供給されたRレンジ圧回路108からのRレンジ圧P
r(=ライン圧PLで選択レンジ圧)を減圧して、出力
ポート200cから制御圧Plcとしてインヒビタバル
ブ170に供給する。なお、ポート200dは、ポンプ
吸入油路104に接続されている。
【0076】信号圧PsolL/Cは、スプリング20
0bとともにRレンジ圧Prに対抗してスプール200
aを付勢しており、信号圧PsolL/Cと、制御圧P
lcの関係は、図8に示すように設定され、信号圧Ps
olL/Cの増大に応じて、制御圧Plcが増大する。
【0077】そして、信号圧PsolL/Cが0のとき
には、動力循環クラッチ制御バルブ200は、スプリン
グ200bの付勢力によって所定の制御圧を生成するよ
うになっており、この所定の制御圧は、動力循環モード
クラッチ9のリターンスプリング力と同等の油圧に設定
されて、クラッチの無駄ストローク分だけストロークさ
せるが、クラッチの締結力がほとんど発生しない油圧に
設定されている。
【0078】また、これらの制御バルブ180、200
は、運転モード切換制御時にショックが小さくなるよう
に制御圧Phc、Plcを調整する。
【0079】<1−5.インヒビタバルブ>直結クラッ
チ制御バルブ180と動力循環クラッチ制御バルブ20
0から供給される制御圧Plc、Phcは、パワーロー
ラ20の傾転角φに応動するスプール170aを備えた
インヒビタバルブ170を介して、動力循環モードクラ
ッチ9と直結モードクラッチ10へそれぞれ供給され
る。
【0080】直結クラッチ制御バルブ180の出力ポー
ト180cと、動力循環クラッチ制御バルブ200の出
力ポート200cは、それぞれインヒビタバルブ170
のポート170c、170fに接続されている。
【0081】インヒビタバルブ170のポート170
e、170hは、モードフィックスバルブ160の出力
ポート160h、160fにそれぞれ接続され、インヒ
ビタバルブ170のポート170d、170gは、それ
ぞれ直結モードクラッチ10、動力循環モードクラッチ
9に接続されて、スプール170aの変位に応じて、制
御圧Phc、Plcと、モードフィックスバルブ160
の出力ポート160f、160hからの油圧が選択的に
供給される。
【0082】インヒビタバルブ170のスプール170
aの端部には、ピン171が形成されており、このピン
171がトラニオン23に連結されたカム280のカム
溝280aに係合し、パワーローラ20の傾転角φに応
じてスプール170aが駆動される。
【0083】インヒビタバルブ170のスプール170
aの位置に応じて、ポート170dに接続された直結モ
ードクラッチ10へ、ポート170cまたは170eか
らの油圧を選択的に供給し、また、ポート170gに接
続された動力循環モードクラッチ9へ、ポート170f
または170hからの油圧を選択的に供給する。
【0084】カム280は、図4〜図6において、CV
T比icがLo側(大側)へ変化するとき時計回りに回
転する一方、CVT比icがHi側(小側)へ変化する
と反時計回りに回転するトラニオン23に結合される。
【0085】図4〜図6において、カム280のカム溝
280aは、パワーローラ20の傾転角φ(以下、単に
傾転角φとする)がCVT比icのHi側へ変化すると
き、図中所定の傾転角φclからφchにかけて、イン
ヒビタバルブ170のスプール170aを図中上方から
下方へストロークさせるように形成されており、φcl
よりもCVT比icのLo側では図中上方に固定される
一方、φchよりHi側では図中下方の位置で固定され
るようになっている。
【0086】なお、CVT比icと傾転角φの関係は、
図10に示すように設定されて、CVT比icのLo側
(大側)が傾転角φの小側、CVT比icのHi側(小
側)が傾転角φの大側となり、CVT比icの制御で用
いる傾転角φの範囲は、CVT比icの最Lo=icl
oに相当する傾転角φloから、CVT比icの最Hi
=ichiに相当する傾転角φhiの範囲に設定され、
φlo<φhiである。
【0087】そして、スプール170aが、図4〜図6
の上方と下方の間で位置を変更する傾転角φは、図9
(B)、図10に示すように、傾転角φclとφchの
間のφcに設定されている。
【0088】図4〜図6でスプール170aが図中上方
に固定される状態、つまり図9(A)の状態では、傾転
角はφclより小側(CVT比icはLo側)にあり、
ポート170dと170cが連通して、直結モードクラ
ッチ10には直結クラッチ制御バルブ180からの制御
圧Phcが供給され、また、ポート170gと170f
が連通して、動力循環モードクラッチ9には動力循環ク
ラッチ制御バルブ200からの制御圧Plcが供給され
る。
【0089】一方、スプール170aが図4〜図6の下
方に固定される状態、つまり図9(C)の状態では、傾
転角がφchより大側(CVT比icはHi側)にあ
り、ポート170dと170eが連通して、直結モード
クラッチ10はモードフィックスバルブ160のポート
160hと連通し、また、ポート170gと170hが
連通して、動力循環モードクラッチ9はモードフィック
スバルブ160のポート160fと連通する。
【0090】また、スプール170aの位置が、図9
(A)の上方と、図9(C)の下方のほぼ中間となる傾
転角φcでは、図9(B)に示すように、直結モードク
ラッチ10と連通したポート170dと、動力循環モー
ドクラッチ9と連通したポート170gがそれぞれ封止
されて、締結または解放状態が維持される。
【0091】つまり、このインヒビタバルブ170は、
傾転角がφcよりも小側で動力循環モードクラッチ9、
直結モードクラッチ10に、各々のクラッチ制御バルブ
180、200の出力ポートを接続し、傾転角がφcよ
りも大側では、モードフィックスバルブ160のスプー
ル160aの位置に応じて、動力循環モードクラッチ9
または直結モードクラッチ10の一方にライン圧PLが
供給され、他方が大気開放される。
【0092】したがって、傾転角がφcより小側(CV
T比icのLo側)では、動力循環モードクラッチ9と
直結モードクラッチ10の油圧を同時に制御できるの
で、運転モード切り換えの際に両者のクラッチ容量制御
を許可することになり、傾転角がφcより大側(CVT
比icのHi側)ではモードフィックスバルブ160の
スプール160aの位置によって、どちらか一方のクラ
ッチが締結されて運転モードが決定されることになる。
【0093】ここで、傾転角φcは、図10に示したよ
うに、CVT比ic=iccに対応しており、図11に
示すCVT比icとIVT速度比eの関係では、CVT
比iccのときに、動力循環モードではIVT速度比=
ecl、直結モードではIVT速度比=echとなる。
なお、IVT速度比eは、IVT比iiの逆数で、ユニ
ット出力軸回転数/ユニット入力軸回転数である。
【0094】そして、スプール170aの位置が切り替
わる傾転角φcに対応したCVT比iccでは、図11
に示すように、CVT比がiccよりも大きい(Lo
側)ときに、動力循環モードクラッチ9(図中L/C)
と直結モードクラッチ10(H/C)が同時に油圧を制
御可能となって、運転モードの切り換えを行うことがで
きる。
【0095】一方、CVT比がicc以下(Hi側)で
は、動力循環モードクラッチ9または直結モードクラッ
チ10のどちらか一方のみが、締結を許可されて動力循
環モードか直結モードの一方を維持する。
【0096】なお、動力循環クラッチ制御バルブ200
の油圧制御範囲は、CVT比icc以上でのみ、直結モ
ードクラッチ10と同時に締結できないようにしている
ため、少なくとも、図11においてIVT速度比ecl
以上で、必要な油圧以上に設定すれば十分である。
【0097】通常、動力循環モードクラッチ9に必要な
伝達トルク容量TL/Cは、図16にも示すように、I
VT速度比eが小さくなる(GNPに近づく)程大きく
なる。
【0098】よって、このインヒビタバルブ170は、
動力循環クラッチ制御バルブ200の油圧制御範囲を、
図16のL/Ccont.V必要容量で示すように小さ
くすることができ、制御圧Plcのバラツキ減少と制御
精度の向上による運転モード切換え時の制御精度を向上
させることが可能となり、運転モード切換え時のショッ
クの低減にも寄与している。
【0099】<1−6.モードフィックスバルブ>図4
〜図6において、インヒビタバルブ170のポート17
0e、170hへの油圧を制御して、運転モードの切り
換えを許可するモードフィックスバルブ160には、直
結クラッチソレノイド190からの信号圧PsolH/
Cに応じて変位可能、かつ、カム280の位置に応じて
選択的に変位を規制されるスプール160aが収装さ
れ、このスプール160aの位置に応じてポート170
e、170hへの油圧が決定される。
【0100】モードフィックスバルブ160のポート1
60cには、直結クラッチソレノイド190からの信号
圧PsolH/Cが導かれ、図4〜図6の下方に配設さ
れたスプリング160bに対抗してスプール160aを
付勢する。
【0101】図4〜図6及び図9の(D)に示すよう
に、スプール160aが上方の位置にあるとき、Rレン
ジ圧回路108を介してRレンジまたはDレンジが選択
されたときにライン圧回路101に接続される出力ポー
ト160dを、動力循環モードクラッチ9と連通可能な
インヒビタバルブ170のポート170hに接続された
出力ポート160fと連通させるとともに、直結モード
クラッチ10と連通可能なインヒビタバルブ170のポ
ート170eに接続された出力ポート160hをドレン
ポート160gに連通させる。
【0102】また、スプール160aが図4〜図6及び
図9の(D)に示すように、上方の位置にあるときで
は、油路105を介してシフトコントロールバルブ24
6の排出側ポート246Cに接続されたポート160k
を、後退トルク遮断バルブ240のポート240に接続
されたポート160jと連通させる。
【0103】一方、図9(E)に示すように、スプール
160aが図中下方の位置にあるときは、Dレンジ圧回
路107に接続されたポート160iを、直結モードク
ラッチ10と連通可能なインヒビタバルブ170のポー
ト170eに接続された出力ポート160hと連通させ
るとともに、動力循環モードクラッチ9と連通可能なポ
ート170hに接続された出力ポート160fを、ドレ
ンポート160gに連通させる。
【0104】さらに、スプール160aが図9(E)の
ように下方の位置では、シフトコントロールバルブ24
6の排出側ポート246Cに接続されたポート160k
を、ポンプ吸入油路104に接続されたポート160l
に連通させる。
【0105】ここで、モードフィックスバルブ160の
スプール160aは、傾転角φに応じて回動するカム2
80によって、スプール160aの変位を規制するロッ
ク機構を備えている。
【0106】このロック機構は、図4〜図6、図9
(D)、図9(E)、図12に示すように、バルブボデ
ィ(図示せず)に支持されて図中左右方向へ摺動自在な
スライダ161(係止部材)と、スライダ161の一端
に配設されてカム280に形成したカム溝280bと係
合するピン162と、スプール160aに形成されてス
ライダ161の端部と係合可能な溝部163、164か
ら構成される。
【0107】カム溝280bは、上記インヒビタバルブ
170を制御するカム溝280aと同一のカム280で
隣り合うように配設されて、図12(A)〜(C)に示
すように、傾転角φに応じてピン162を介してスライ
ダ161を変位させ、スプール160aの溝部163ま
たは164と対向したときには係合可能となり、溝部1
63または164にスライダ161が係合したときに
は、スプール160aを軸方向で固定することができ
る。なお、溝部163は、図4〜図6、図9の上方に形
成され、また、溝部164は、図4〜図6、図9の下方
に形成される。
【0108】運転モードが動力循環モードのときには、
直結モードクラッチ10を締結する必要がないため、直
結クラッチソレノイド190からの信号圧PsolH/
Cは発生していないので、ポート160cには油圧が供
給されない。
【0109】よって、モードフィックスバルブ160の
スプール160aは、スプリング160b(弾性部材)
に付勢されて図4〜図6、図9(D)のように上方に位
置する。
【0110】この位置では、動力循環モードクラッチ9
と連通可能なインヒビタバルブ170のポート170h
には、出力ポート160f、ポート160d、Rレンジ
圧回路108を介してRレンジ圧Pr(ライン圧PL)
が導かれ、直結モードクラッチ10と連通可能な出力ポ
ート170eは、ポート160h、ポート160gを介
してドレーンされている。
【0111】また、シフトコントロールバルブ246の
排出ポート246Cは、このとき、油路105、モード
フィックスバルブ160のポート160k、160jを
介して後退トルク遮断バルブ240のポート240cと
連通する。
【0112】運転モードが直結環モードのときには、直
結モードクラッチ10を締結するため、直結クラッチソ
レノイド190からの信号圧PsolH/Cが運転状態
に応じて発生し、ポート160cには油圧が供給され
る。
【0113】よって、モードフィックスバルブ160の
スプール160aは、スプリング160bに抗して付勢
され、図4〜図6、図9(E)のように下方に位置す
る。
【0114】この位置では、直結モードクラッチ10と
連通可能なインヒビタバルブ170のポート170eに
は、出力ポート160h、ポート160i、Dレンジ圧
回路107を介してDレンジ圧Pdが導かれ、動力力循
環モードクラッチ10と連通可能なポート170hは、
出力ポート160f、ポート160gを介してドレーン
されている。
【0115】また、シフトコントロールバルブ246の
排出ポート246Cは、このとき、油路105、モード
フィックスバルブ160のポート160k、160lを
介して、ポンプ吸入油路104と連通する。
【0116】次に、パワーローラ20の傾転角φと、カ
ム溝280b及びスライダ161を主体とするロック機
構について説明する。
【0117】カム280に形成されたカム溝280b
は、上記<1−5.インヒビタバルブ>で述べたよう
に、トラニオン23に連結されてパワーローラ20の傾
転角φに応じて回動する。
【0118】そして、カム溝280bは、図4〜図6、
図12において、傾転角φがCVT比icのLo側から
Hi側へ変化するとき、図中所定の傾転角φclからφ
chにかけては、ピン162がスライダ161を図中左
側{図12(C)}から右側{図12(A)}へ変位さ
せるように形成されており、また、傾転角がφclより
もCVT比icのLo側では図中左側{図12(C)}
に固定される一方、傾転角がφchよりHi側では図中
右側{図12(A)}の位置で固定されるようになって
いる。
【0119】なお、図12において、傾転角がφcより
も大きいとき(CVT比icがHi側)には、図12
(A)のようにスライダ161がスプール160aの溝
部163または164へ挿入されて、スプール160a
を係止する一方、傾転角がφc以下のとき(CVT比i
cがLo側)には、図12(B)、(C)のように、ス
ライダ161がスプール160aの溝部163または1
64から抜けて、スプール160aの変位を許容する。
この状態では、後述するように、信号圧PsolH/C
に応じてスプール160aが変位でき、運転モードの切
り換えが許可される。
【0120】この傾転角φとCVT比icの関係は、上
記図10のように設定されて、CVT比icのLo側
(大側)が傾転角φの小側、CVT比icのHi側(小
側)が傾転角φの大側となり、CVT比icの制御で用
いる傾転角φの範囲は、CVT比icの最Lo=icl
oに相当する傾転角φloから、CVT比icの最Hi
=ichiに相当する傾転角φhiの範囲に設定され、
φlo<φhiである。
【0121】そして、スライダ161が、スプール16
0aの溝部163または164への挿入が開始される傾
転角φcは、図10〜図12に示すように、傾転角φc
lとφchの間のφcよりも小側、すなわち、CVT比
icが図10のiccよりも大側のときとなる。
【0122】いま、図12において、傾転角がφcより
も小側のときには、スライダ161は(C)の位置とな
り、スライダ161の端部がスプール160aの側面か
ら離れてロック機構が解除されるため軸方向変位を許容
し、スプール160aは信号圧PsolH/Cの大きさ
に応じてストロークできる。
【0123】一方、傾転角がφcより大側では、図12
(A)のように、スライダ161がスプール160aの
溝部163または164に挿入されて、ロック機構が作
動することとなり、スプール160aは図9(D)、
(E)に示した上方のまたは下方のいずれかで固定され
る。
【0124】つまり、スプール160aが変位できない
ため、出力ポート160f、160hへの油圧を切り換
えることができず、運転モードの切り換えが禁止され
る。
【0125】したがって、図10、図11に示すよう
に、パワーローラ20の傾転角がφcよりも大側、換言
するとCVT比icがiccよりも小側(Hi側)であ
れば、動力循環モードクラッチ9と直結モードクラッチ
10を繋ぎ替えて運転モードを切り換えたり、同時に双
方のクラッチを締結することは不可能で、運転モードは
スプール160aの位置に応じてメカニカルに固定され
る。
【0126】一方、傾転角がφc以下の場合、換言する
とCVT比icがiccよりも大側(Lo側)であれ
ば、スプール160aはスライダ161に係止されるこ
となく信号圧PsolH/Cに応じて変位できるため、
動力循環モードクラッチ9と直結モードクラッチ10を
繋ぎ替えて運転モードの切り換えを行うことができ、ま
た、同時に双方のクラッチを締結することが可能とな
る。
【0127】<1−7.後退トルク遮断バルブ>次に、
図4〜図6において、シフトコントロールバルブ246
のPhi側の排出ポート246D、Rレンジ圧ポート2
30d、Dレンジ圧回路107及びモードフィックスバ
ルブ160のポート160jと接続された後退トルク遮
断バルブ240について説明する。
【0128】後退トルク遮断バルブ240のスプール2
40aは、トラニオン23’に連結されたカム290の
カム溝290aと係合して、傾転角φに応じて変位す
る。
【0129】そして、スプール240aの変位に応じ
て、モードフィックスバルブ160のポート160jと
連通したポート240cを、Dレンジ圧回路107に接
続されたポート240dに連通さたり、Rレンジ圧ポー
ト230dに接続されたポート240eと、シフトコン
トロールバルブ246の排出ポート246Dに接続され
たポート240fに連通させるか、油室30A、30B
と連通可能なポート240c、240fの一方をドレー
ンポート240g、240hに接続して、ポンプ吸入油
路104へ圧油を排出する。
【0130】図4〜図6及び図13に示すように、後退
トルク遮断バルブ240のスプール240aの一端に
は、カム溝290aに係合したピン241が形成され、
CVT比icが大側(Lo側)に変化するとトラニオン
23’及びカム290は図中反時計回りに回動する一
方、CVT比icが小側(Hi側)に変化すると、トラ
ニオン23’及びカム290は図中時計回りに回転す
る。
【0131】カム290に形成されたカム溝290a
は、ギアードニュートラルポイントGNPに対応する傾
転角φgnpの近傍に設定された、傾転角φd(CVT
比icd=第1変速比またはIVT速度比ed=第1の
総変速比)、φr(CVT比icr=第2の変速比また
はIVT速度比er=第2の総変速比)を境にして、ス
プール240aの駆動を行う。
【0132】なお、傾転角φgnp、φd、φrの関係
は、図10に示すとおりで、φlo<φd<φgnp<
φr<φhiで、これらの傾転角とCVT比icの関係
は、φgnp=icgnp、φd=icd、φr=ic
r、φlo=iclo、φhi=ichiとなる。
【0133】また、スプール240aの下端には、スプ
ール240aをカム290へ向けて付勢するスプリング
240bが配設される。
【0134】図13において、傾転角がφloからφd
未満での区間では、図13(A)に示すように、スプー
ル240aは図中上方の位置に固定されて、モードフィ
ックスバルブ160のポート160jに接続されたポー
ト240cをドレーンポート240hに接続する一方、
Rレンジ圧ポート230dに接続されたポート240e
と、シフトコントロールバルブ246の排出ポート24
6Dに接続されたポート240fを連通させる。なお、
Dレンジ圧回路107に接続されたポート240dは封
止される。
【0135】また、傾転角φd未満でスプール240a
を図中上方へ固定するようにしたため、バルブの全長を
短縮できる。
【0136】CVT比icがicloから小側(Hi
側)へ変化して、傾転角がφd以上になると、図13
(B)のように、スプール240aが図中若干下方へ変
位して、ポート240cが封止される一方、ポート24
0eとポート240fの連通状態は維持される。
【0137】さらに、CVT比icが小側(Hi側)へ
変化して、傾転角がφgnpになると、図13(C)の
ように、スプール240aはストロークのほぼ中央に位
置して、Dレンジ圧回路107に接続したライン圧ポー
ト240dと、モードフィックスバルブ160のポート
160jに接続されたポート240cを接続する一方、
ポート240eとポート240fの連通状態を維持す
る。
【0138】次に、傾転角がφgnpからφrへ向けて
CVT比icの小側へ変化すると、図13(D)のよう
に、ポート240dとポート240cが連通したまま、
ポート240fが封止される。
【0139】さらに傾転角がφrを超えてφhiへ向け
て変化すると、Dレンジ圧回路107に接続されたポー
ト240dとポート240cが連通した状態を維持する
一方、シフトコントロールバルブ246の排出ポート2
46Dに接続されたポート240fがドレーンポート2
40gに連通して、シフトコントロールバルブ246の
一方の排出ポート246Deをポンプ吸入油路104に
接続して、ドレーンする。
【0140】なお、所定の傾転角φdは、少なくとも使
用するCVT比icの制御範囲(変速比幅)の中の最L
o(iclo)よりHi側であり、かつ動力循環モード
と直結モードの回転同期点であるRSPの傾転角φrs
pよりは、CVT比icのHi側に設定される。
【0141】また、カム溝290aは、ギアードニュー
トラルポイントGNPに対応する傾転角φgnpを挟ん
で設定されたφdからφrの範囲でのみ、スプール24
0a変位させ、その他の傾転角φではスプール240a
を固定するようにしたため、スプール240aの全スト
ロークを縮小することができ、後退トルク遮断バルブ2
40及びカム290の小型化を図ることが可能となる。
【0142】さらに、傾転角φd、φr近傍のポート切
り換え時では、ポート240cが連通するポートを24
0dから240hへ切り替える際には、図13(B)の
ように、一旦、ポート240cを封止してから連通する
ポートを切り替えるようにオーバーラップを設けたた
め、バルブリークを低減することができる。
【0143】<1−8.動作>上記図4〜図13に示し
たような、変速制御装置による変速制御の一例につい
て、各運転状態毎に説明する。
【0144】{1−8.1 NレンジまたはPレンジ}
主に車両の停車状態で選択されるNレンジまたはPレン
ジの停止レンジでは、図4〜図6、図7(A)または図
7(C)に示すように、ライン圧回路101に接続され
たライン圧ポート230bが封止され、Dレンジ圧回路
107とRレンジ圧回路108に接続されるDレンジ圧
ポート230c、Rレンジ圧ポート230dは、それぞ
れドレーンされるため、動力循環モードクラッチ9及び
直結モードクラッチ10のいずれにも油圧が供給され
ず、無段変速機構2はトルクを伝達することができな
い。
【0145】よって、変速比無限大無段変速機も動力を
伝達できず、ニュートラルを実現している。この状態に
おいても、無段変速機構2は傾転角φを制御できるよう
に、油室30A(油圧=Plo)、油室30B(油圧=
Phi)の双方の排出ポート246C、246Dは、モ
ードフィックスバルブ160及びマニュアルバルブ23
0、後退トルク遮断バルブ240を介してポンプ吸入油
路104に接続されており、無段変速機構2単体は増
速、減速どちらの方向にも自由に変速させることが可能
である。
【0146】なお、車両の停止状態(車速=0)であれ
ば、CVT比ic及びIVT速度比eは、通常ギアード
ニュートラルポイントGNPに制御される。
【0147】{1−8.2 N−Dセレクト}Nレンジ
で停車中に運転者が図示しないセレクトレバーをDに入
れると、マニュアルバルブ230のスプール230a
は、図7(C)に示すNレンジの位置より上方にストロ
ークし、図7(D)の位置となり、ライン圧ポート23
0bがDレンジ圧ポート230cと連通して、Dレンジ
圧回路107にライン圧PLが供給され、Dレンジ圧P
d(=PL)が発生する。
【0148】モードフィックスバルブ160のスプール
160aは、車両の停止時には動力循環モードでCVT
比icがギアードニュートラルポイントGNPのため、
図10に示したように、傾転角φ=φgnp>φcであ
るから、図4〜図6及び図9(D)に示したように、図
中上方の位置にあり、ここでスプール160aがロック
されている。
【0149】CVT比icは、ギアードニュートラルポ
イントGNPに制御されている状態で、Dレンジ圧回路
107、シャトル弁270、Rレンジ圧回路108から
のDレンジ圧Pd(ライン圧PL)が、モードフィック
スバルブ160の出力ポート160f並びにインヒビタ
バルブ170の出力ポート170gを介して動力循環モ
ードクラッチ9に供給され、NレンジまたはPレンジで
解放状態となっていた動力循環モードクラッチ9(L/
C)が締結され、セレクト制御が終了する。
【0150】{1−8.3 発進および動力循環(L)
モード走行}アクセルペダルの解放状態(APS=0)
では、特開平10−267117号にも開示されるとお
り、所定のクリープトルクを得るため、図11に示すよ
うに、ステップモータ136が前進方向(CVT比ic
の大側)に送られる。
【0151】そして、アクセルペダルを踏み込むと、通
常のCVT比icの制御は、車速VSPに対して、所定
の入力軸回転を達成するように制御され、例えば、図1
4の変速マップに示すように、アクセル踏み込み量AP
Sと、車速VSPに応じた目標入力軸回転数Ninが決
定される。
【0152】なお、図14の変速マップにおいて、目標
入力軸回転数Nin/無段変速機出力軸回転数Noが目
標とするCVT比icを示し、回転同期点RSPに対応
したCVT比icrspと、目標CVT比と車速VSP
に基づいて、運転モードも決定される。なお、このマッ
プでは、運転モードの切り換えを、回転同期点RSPに
対応したCVT比icrspで行う場合を示している。
【0153】そして、ユニット出力軸回転数Noutを
この目標入力軸回転数Ninで除して、目標のIVT速
度比e=Nout/Ninを算出し、さらに図15のマ
ップより運転モードを考慮して、目標のCVT比icを
算出する。
【0154】その後、図10の逆算にて、目標とするC
VT比icから、目標とする傾転角φを算出し、ステッ
プモータ136の位置を目標傾転角に対してフィードバ
ック制御する。
【0155】この動力循環モードにおける油圧回路の動
作は、次のようになる。
【0156】マニュアルバルブ230のスプール230
aは、図4〜図6、図7(D)の位置になっており、モ
ードフィックスバルブ160は、図9(D)の位置に設
定されるから、図4〜図6に示すように、シフトコント
ロールバルブ246のPlo側の排出ポート246C
が、油路105からポート160k、160jを介して
後退トルク遮断バルブ240のポート240cに接続さ
れる。
【0157】一方、シフトコントロールバルブ246の
Phi側の排出ポート246Dは、後退トルク遮断バル
ブ240のポート240f、240e、マニュアルバル
ブ230のRレンジ圧ポート230dを介してドレーン
に接続される。
【0158】後退トルク遮断バルブ240のポート24
0dにはライン圧PLが供給されており、スプール24
0aはカム290の溝290aにより、図4〜図6に示
すギアードニュートラルポイントGNPの位置に設定さ
れる。
【0159】ギアードニュートラルポイントGNPに対
応した傾転角φgnpにおいて、シフトコントロールバ
ルブ246のPlo側の排出ポート246Cがモードフ
ィックスバルブ160のポート160j、160kを介
して接続されている後退トルク遮断バルブ240のポー
ト240cは、ライン圧ポート240dと連通する一
方、ポンプ吸入油路104に接続されたポート240h
とは遮断されている。
【0160】したがって、ギアードニュートラルポイン
トGNPにおいては、シフトコントロールバルブ246
のPlo側の排出ポート246Cがライン圧PLとなっ
ているため、シフトコントロールバルブ246のスプー
ル位置に関わらず、油室30Aの油圧Ploは必ずライ
ン圧PLとなる。
【0161】一方、シフトコントロールバルブ246の
Phl側の排出ポート246Dは、後退トルク遮断バル
ブ240のポート240f、ポート240e、マニュア
ルバルブ230のRレンジ圧ポート230dを介してド
レーンに接続されるため、スプール246Sの位置に応
じて油室30Bの油圧=Phiは、ほぼ0からライン圧
PLの間で変化するが、油圧Phiの方がPloよりも
高い圧力となることは有り得ない。
【0162】したがって、Dレンジの動力循環モードに
おけるギアードニュートラルポイントGNPでは、常に
Plo≧Phiという差圧の関係が成立する。
【0163】この差圧の関係は、傾転角がφd(図1
0、図11参照)以上ならば成立するようにカム290
のカム溝290aが設定されている。
【0164】これにより、Dレンジ(前進レンジ)の動
力循環モードにおいて、IVT速度比eが前進側(e≧
0)で、所定の値ed(CVT比=icd)よりもギア
ードニュートラルポイントGNP側(IVT速度比eの
Lo側)になったところで、エンジンブレーキ側(=後
退側)のトルクが発生しないように制御できる。
【0165】次に、IVT速度比eがギアードニュート
ラルポイントGNP(e=o)から前進側、すなわちC
VT比icのLo側に変速すると、後退トルク遮断バル
ブ240のスプール240aは図4〜図6の上方へ移動
する。
【0166】そして、傾転角がφgnpからφd(CV
T比icd)まで変速すると、油室30Aの排出ポート
246Cと連通した後退トルク遮断バルブ240のポー
ト240cは、図13(B)のように、ライン圧ポート
240dから遮断された後、さらに傾転角がφloへ向
けて変速することで、後退トルク遮断バルブ240のス
プール240aは図13(A)の位置となり、ポート2
40cはポート240hと連通して、ポンプ吸入油路1
04に接続され、油圧Ploが抜かれることになる。
【0167】これにより、Plo側の排出ポート246
Cと連通した後退トルク遮断バルブ240のポート24
0cはほぼ大気圧となり、油圧シリンダ30の油圧Pl
o、Phiの大小関係はシフトコントロールバルブ24
6のスプール246S位置に応じて入れ代わることも可
能となる。
【0168】このDレンジの動力循環モードでは、IV
T速度比eが正で(前進側)で、所定の値ed(図11
参照)よりも増速側(IVT速度比eの大側)になった
ところで、エンジンブレーキ側(逆走=後退側)の伝達
トルクを制御することが可能になる。
【0169】すなわち、動力循環モードの前進レンジ
で、エンジンブレーキを必要としない低速域(図11で
CVT比icd以下)においては、たとえステップモー
タ136が変速制御コントロールユニット80の故障等
により、CVT比icの小側(Hi側)に駆動される誤
動作が生じても、CVT比icがギアードニュートラル
ポイントGNPに至る手前の所定の変速比icdで、エ
ンジンブレーキ側(後退側)へのトルクの発生を防止で
きる。
【0170】{1−8.4 運転モード切り換え(動循
→直結)}図14の変速マップに基づいて走行している
際に、車速VSPの増大やアクセルペダルの解放など
で、目標とするIVT速度比eが所定の速度比(例え
ば、回転同期点ersp、図11参照)より大きく(H
i側)なって、動力循環モード(Lモード)から直結モ
ード(Hモード)に切り換える判断を行った場合には、
締結するクラッチを動力循環モードクラッチ9から直結
モードクラッチ10へ掛け換える運転モード切り換え制
御を行う。
【0171】なお、運転モードの切り換えの判断は、例
えば、図14の変速マップに示すように、車速VSPと
アクセル踏み込み量APSで決まるCVT比icの目標
値が、回転同期点RSPに対応するCVT比icrsp
をよぎるときに行ってもよい。
【0172】動力循環モードでは、動力循環クラッチソ
レノイド210から信号圧PsolL/Cが出力され
て、動力循環モードクラッチ9には、動力循環クラッチ
制御バルブ200からの制御圧Plcが出力されてい
る。
【0173】ただし、インヒビタバルブ170の働きに
より、CVT比がiccより大側(φ<φc)の運転モ
ード切り換え領域でないと、スプール170aは図9
(B)、(C)の位置となるため、動力循環クラッチ制
御バルブ200と直結クラッチ制御バルブ180の制御
圧Plc、Phcがクラッチには供給されないようにな
っている。
【0174】なお、運転モード切り換え領域は、IVT
速度比eを用いる場合には、図11に示すように、回転
同期点RSPでの速度比erspを挟んだecl以上か
つech未満の範囲となる。
【0175】また、モードフィックスバルブ160は、
CVT比がicc以下の小側の運転モード切り換え禁止
領域では、図9(D)に示すように、ロック機構が作動
してスプール160aが係止されるため、運転モードの
切り換えを行うことができない。
【0176】したがって、運転モード切換制御は、図1
1に示したように、CVT比icc以上の領域で動力循
環クラッチ制御バルブ200と直結クラッチ制御バルブ
180を同時に制御することで、スムーズな掛け換え制
御を行う。
【0177】アクセル踏み込み量APSが一定で車速V
SPが増大する場合のオートアップ変速は、IVT速度
比eの目標値が連続的に変化するので、図11におい
て、CVT比icがicc以上で変速及びクラッチ切り
換えの開始判断を行い、例えば、回転同期点RSPでク
ラッチの切り換えを行った後に、目標のCVT比icへ
向けて再び変速する。なお、回転同期点RSPでは、無
段変速機出力軸4とユニット出力軸6の回転数が一致
し、また、一定変速機出力軸3cとキャリア5bの回転
数が一致するため、クラッチを締結する際のショックを
防いで、円滑な切換を行うことができる。
【0178】また、動力循環モードで走行中に、踏み込
んでいたアクセルを解放する足離しアップシフトによ
り、IVT速度比eの目標が動力循環モードから直結モ
ードへ急変するときには、図11において、一旦CVT
比icがicc以上になる領域まで変速させた後、動力
循環クラッチ制御バルブ200と直結クラッチ制御バル
ブ180を同時に作動させて、半クラッチ状態としてク
ラッチの掛け換え制御を完了させた上で、CVT比ic
を目標値へ向けて制御する。
【0179】なお、CVT比icがicc以上の領域で
は、図12(C)のように、モードフィックスバルブ1
60のロックが解除されて、スプール160aの変位が
許容されており、この状態でクラッチ掛け換えのため
に、直結クラッチソレノイド190に通電して信号圧P
soIH/Cが発生すると、モードフィックスバルブ1
60は図4〜図6の下方にストロークし、その結果図9
(E)の位置となり、インヒビタバルブ170への油圧
供給を、動力循環モードクラッチ9と直結モードクラッ
チ10へ、信号圧PsolH/Cのオン、オフによって
切り換えることができる。
【0180】ただし、CVT比が所定値iccより大側
では、インヒビタバルブ170が、動力循環クラッチ制
御バルブ200と直結クラッチ制御バルブ180の制御
圧Plc、Phcを、ポート170f、170g及びポ
ート170c、170dを介してそれぞれのクラッチに
供給しており、モードフィックスバルブ160からの油
路(ポート170e、170h)は遮断されるため、実
際のモード切り換えは、動力循環クラッチ制御バルブ2
00と直結クラッチ制御バルブ180に制御されること
になり、単純なオン、オフ切換えではなく、例えば、両
クラッチを半クラッチ状態とすれば、滑らかなモード切
換えが可能になる。
【0181】ここで、動力循環クラッチ制御バルブ20
0と直結クラッチ制御バルブ180の制御が同時に可能
となるCVT比iccは、エンジンブレーキ側へのトル
ク伝達を許可するCVT比icdよりも回転同期点RS
P側に設定されており、モード切換制御を行う領域(図
11のL/C&H/C制御可)では、どちらの向きのC
VT通過トルク(無段変速機構2の通過トルク)も伝達
することが可能となっているため、モード切換制御中に
はCVT通過トルクが反転するが、これに対してCVT
比制御性を悪化させないようになっている。
【0182】なお、変速比無限大無段変速機では、無段
変速機構2を通過する伝達トルクの方向(通過トルク)
は、直結モードと動力循環モードの前進時では、次のよ
うに異なる。
【0183】いま、図1において、入力ディスク21か
ら出力ディスク22へトルクが伝達される方向を正と
し、出力ディスク22から入力ディスク21へトルクが
伝達されると負の方向とする。
【0184】直結モードでは、無段変速機構2からのト
ルクがユニット出力軸6へ伝達されるため、正方向のト
ルクで車両の駆動が行われる一方、負方向のトルクでエ
ンジンブレーキが作用する。
【0185】したがって、直結モードでは、無段変速機
構2を通過する正のトルクを制御することで、駆動側の
伝達トルクを制御できる。
【0186】一方、動力循環モードでは、動力循環モー
ドクラッチ9が締結される一方、直結モードクラッチ1
0が解放されるため、図1において、一定変速機構3に
駆動されるキャリア5bのピニオンの公転速度と、無段
変速機構2のCVT比に応じたサンギア5aの回転速度
の差によって、車両の前後進とギアードニュートラルポ
イントGNPが決定され、この動力循環モードでは、車
両の進行方向によって、無段変速機構2を通過するトル
クの方向が変化する。
【0187】まず、動力循環モードにおける前進時は、
キャリア5bのピニオンの公転速度がサンギア5aの回
転速度よりも大きい場合、すなわち、無段変速機構2の
CVT比icが、図11に示すギアードニュートラルポ
イントGNPより大側(Lo側)にあるときで、キャリ
ア5bに伝達されたトルクは、リングギア5cとサンギ
ア5aに伝達されるため、無段変速機構2への入力トル
クは、チェーン4bを介して出力ディスク22側から入
力され、負の方向となる。ちなみに、出力ディスク22
から入力ディスク21へ伝達されたトルクは、ユニット
入力軸1から一定変速機構3へ伝達されて、駆動力が循
環することになる。
【0188】一方、動力循環モードにおける後進時で
は、サンギア5aの回転速度がキャリア5bのピニオン
の公転速度よりも十分大きい場合、すなわち、無段変速
機構2のCVT比が、図11に示すギアードニュートラ
ルポイントGNPよりも小側(Hi側)にあるときで、
このとき、サンギア5aに伝達されたトルクは、キャリ
ア5bとリングギア5cに伝達されるため、無段変速機
構2への入力トルクは、入力ディスク21から出力ディ
スク22へ伝達される正方向となり、サンギア5aを介
してキャリア5bに伝達されたトルクは、一定変速機構
3を介して再び入力ディスク21へ循環する。
【0189】したがって、動力循環モードの前進時で
は、無段変速機構2を通過する負のトルクを制御するこ
とで、駆動側の伝達トルクを制御でき、動力循環モード
の後進時では、上記の関係が逆になって、無段変速機構
2を通過する正のトルクを制御することで、駆動側の伝
達トルクを制御できる。
【0190】{1−8.5 直結(H)モード走行}上
記8.4で動力循環モードから直結モードへ運転モード
切り換えを行った後、この直結モードから動力循環モー
ドへ切り換えを行わない限り、直結モードクラッチ10
を締結した状態で無段変速機構2を制御して走行する直
結モード走行となる。
【0191】この直結モードでは、動力循環クラッチ制
御バルブ200の故障等で、急に制御圧Plcが発生し
た場合でも、CVT比icがicc以下(傾転角はφc
以上)の同時締結禁止領域では、図4〜図6及び図9
(C)のように、インヒビタバルブ170のスプール1
70aが図中下方に変位し、モードフィックスバルブ1
60のスプール160aが図9(E)のように下方に位
置しており、動力循環モードクラッチ9と連通した出力
ポート170gが、ポート170h、160f、160
gを介してドレーンされているため、動力循環モードク
ラッチ9の油圧は動力循環クラッチ制御バルブ200の
状態に関わらず大気開放している。
【0192】なお、同時締結禁止領域は、CVT比ic
cに代わって、図11に示すように、IVT速度比eを
用いる場合ではecl以下またはech以上の領域であ
る。
【0193】したがって、動力循環クラッチ制御バルブ
200等が故障しても、動力循環モードクラッチ9が締
結されることを確実に防止し、運転者の意図しない変速
(ダウンシフト)を防止することができる。
【0194】一方、CVT比icがicc以上では、図
11に示したように、動力循環モードクラッチ9と直結
モードクラッチ10を同時に締結することが可能になる
が、上記のような故障によって両クラッチが同時に締結
されても、IVT速度比eの変化は、図11に示すec
hからeclの範囲で、変速幅が小さいため、大きなダ
ウンシフトは発生しない。
【0195】すなわち、両クラッチの同時締結を許可す
るCVT比iccを、回転同期点RSP側に設定するこ
とで、インヒビタバルブ170とモードフィックスバル
ブ160の働きにより、直結モード走行中に動力循環ク
ラッチ制御バルブ200が故障しても、IVT速度比e
のLo側への変速幅を小さくすることができ、意図しな
いダウンシフトを低減することが可能になる。
【0196】{1−8.6 運転モード切り換え(直結
→動循)}直結モードから動力循環モードへの運転モー
ド切り換えは、上記8.4に示した動力循環モードから
直結モードへの運転モード切り換えの逆になる。
【0197】直結モード走行中に、車速VSPの低下や
アクセルの踏み込みが発生し、図14の変速マップで、
目標のCVT比icがモード切り換え用のCVT比ic
rspをよぎると、直結モード走行から動力循環モード
への切り換え制御が開始される。
【0198】直結モードでは、直結モードクラッチ10
を締結するように、直結クラッチソレノイド190、直
結クラッチ制御バルブ180から信号圧PsolH/
C、制御圧Phcがそれぞれ出力されている。
【0199】ただし、インヒビタバルブ170の働きに
より、CVT比がiccより大側にないと、スプール1
70aが図4〜図6及び図9(C)の下方に位置し、動
力循環クラッチ制御バルブ200と直結クラッチ制御バ
ルブ180の制御圧Plo、Phcが、直接クラッチに
は供給されないようになっている。
【0200】また、モードフィックスバルブ160は、
CVT比がicc以下では、図9(E)のように、ロッ
ク機構が作動して変位が規制されているため、運転モー
ド切り換えが禁止されている。
【0201】したがって、運転モード切換制御は、図1
1に示したように、CVT比icがicc以上の領域
で、動力循環クラッチ制御バルブ200と直結クラッチ
制御バルブ180を同時に制御することでスムーズな掛
け換えを行う。
【0202】まず、アクセルを解放したコーストダウン
では、IVT速度比eの目標値が連続的に変化するの
で、CVT比icがicc以上となってから、変速及び
クラッチ切り換えの判断を行い、例えば、回転同期点R
SPでクラッチの切り換えを行った後に、CVT比ic
を小側(Hi側)へ変速させる(IVT速度比eはLo
側)。
【0203】一方、アクセルを踏み込んでIVT速度比
の目標値が急変するときには、一度CVT比icがic
c以上になる領域まで変速させた後、動力循環クラッチ
制御バルブ200と直結クラッチ制御バルブ180を使
用して掛け換え制御を完了させた上で、CVT比icを
到達目標に制御する。
【0204】なお、CVT比icがicc以上では、図
12(C)のように、モードフィックスバルブ160の
スプール160aはロックが解除されており、この状態
で掛け換えのために直結クラッチソレノイド190制御
して信号圧PsoIH/Cを低下させると、モードフィ
ックスバルブ160はリターンスプリング力により図4
〜図6の上方へストロークし、動力循環モードクラッチ
9側の出力ポート160fと160dを連通させて、イ
ンヒビタバルブ170のポート170e、170fに供
給するライン圧PLを切り換え、オン、オフすることが
できる。
【0205】ただし、CVT比がiccより大側では、
インヒビタバルブ170のスプール170aは、図9
(A)の位置で、動力循環クラッチ制御バルブ200と
直結クラッチ制御バルブ180の制御圧Plo、Phi
を、ポート170f、170g及びポート170c、1
70dを介してそれぞれのクラッチに供給して、モード
フィックスバルブ160からの油路(ポート170e、
170h)を遮断しているため、実際のモード切り換え
は、動力循環クラッチ制御バルブ200と直結クラッチ
制御バルブ180に制御され、単純なオンオフ切り換え
ではなく、滑らかなモード切り換えが可能になる。
【0206】{1−8.7 Rレンジ}運転者がセレク
トレバー(図示せず)をNレンジからRレンジ(後退レ
ンジ)に設定すると、これに連動するマニュアルバルブ
230は、図7(B)のようにスプール230aを図中
下方にストロークさせ、Rレンジ圧ポート230dがラ
イン圧ポート230bと連通してRレンジ圧回路108
にライン圧PLが供給され、Rレンジ圧Pr(=PL)
が発生する。
【0207】モードフィックスバルブ160のスプール
160aは、停止時は動力循環モードのため、図9
(D)に示すように図中上方にあり、ここでスプール1
60aがロックされている。
【0208】そして、CVT比icはギアードニュート
ラルポイントGNPに対応するicgnpに制御されて
いる状態で、図4〜図6に示すように、Rレンジ圧Pr
がモードフィックスバルブ160のポート160d、出
力ポート160f並びにインヒビタバルブ170のポー
ト170h及び出力ポート170gを介して動力循環モ
ードクラッチ9に供給され、動力循環モードクラッチ9
は締結してセレクト制御が終了する。
【0209】アクセルを解放した状態では、上記N−D
セレクトと同様に、所定のクリープトルクを得られるよ
うに、ステップモータ136が後退方向(図11でIV
T速度比eが負)に駆動される。
【0210】また、RレンジにおけるCVT比icの制
御も、上記動力循環モードのDレンジと同様に、車速V
SPとアクセル踏み込み量APSに基づいて、図14の
変速マップから求めた目標入力回転Ninより、目標の
CVT比icを演算してステップモータ136を駆動す
る。
【0211】このRレンジでは、マニュアルバルブ23
0が図7(B)の位置に、モードフィックスバルブ16
0が図9(D)の位置に設定され、シフトコントロール
バルブ246のPlo側排出ポート246Cは、ポート
160k、160j、後退トルク遮断バルブ240のポ
ート240c、240d、マニュアルバルブ230のD
レンジ圧ポート230cを介してドレーンされる。
【0212】また、シフトコントロールバルブ246の
Phi側の排出ポート246Dは、後退トルク遮断バル
ブ240のポート240fに接続される。
【0213】後退トルク遮断バルブ240のスプール2
40aは、カム290のカム溝290aにより、傾転角
φに応じて位置が規制され、Rレンジへ切り換えた直後
では、ギアードニュートラルポイントGNPに対応した
位置となる、ギアードニュートラルポイントGNPに対
応した傾転角φgnpにおいて、図13(C)のよう
に、シフトコントロールバルブ246のPhi側の排出
ポート246Dと連通した後退トルク遮断バルブ240
のポート240fは、Rレンジ圧ポート240eに接続
されており、ポンプ吸入油路104に接続されたポート
240gとは遮断されている。
【0214】ギアードニュートラルポイントGNPにお
いては、シフトコントロールバルブ246のPhi側排
出ポート246Dがライン圧PLとなるため、シフトコ
ントロールバルブ246のスプール位置に関わらず、油
室30Bの油圧Phiはライン圧PLとなる。
【0215】油室30A側の排出ポート246Cは、モ
ードフィックスバルブ160のポート160k、160
j、後退トルク遮断バルブ240のポート240c、2
40d、マニュアルバルブ230のDレンジ圧ポート2
30cを介してドレーンされている。
【0216】したがって、Rレンジのギアードニュート
ラルポイントGNPにおいては、常にPhi≧Ploと
いう差圧の関係が成立する。
【0217】この関係は、図10、図11、図13に示
すように、傾転角がφr以上(CVT比icr以下)な
らば成立するようにカム290の溝290aが設定され
ており、Rレンジでは、IVT速度比eが後退側で、傾
転角φが所定の値φrよりも減速側(GNP側)になっ
たところで、エンジンブレーキ側(逆走=前進側)のト
ルクが発生しないようになる。
【0218】Rレンジの走行では、図11において、I
VT速度比eが後退側(e≦0で、所定の速度比er=
CVT比icr)よりもギアードニュートラルポイント
GNP側(IVT速度比eのLo側)になったところ
で、エンジンブレーキ側(=前進側)のトルクが発生し
ないように制御できる。
【0219】次に、IVT速度比eがギアードニュート
ラルポイントGNP(e=o)から後退側、すなわちC
VT比icのHi側に変速すると、後退トルク遮断バル
ブ240のスプール240aは図4〜図6の下方へ移動
する。
【0220】そして、傾転角がφgnpからφr(CV
T比icr)まで変速すると、油室30Bの排出ポート
246Dと連通したポート240fは、図13(D)の
ように、Rレンジ圧ポート240eから遮断された後、
さらに傾転角がφhiへ向けて変速することで、後退ト
ルク遮断バルブ240のスプール240aは図13
(E)の位置となり、ポート240fはポート240g
と連通して、ポンプ吸入油路104に接続され、油圧P
hiが抜かれることになる。
【0221】これにより、Phi側の排出ポート246
Dと連通した後退トルク遮断バルブ240のポート24
0eはほぼ大気圧となり、油圧シリンダ30の油圧Pl
o、Phiの大小関係は、シフトコントロールバルブ2
46のスプール246S位置に応じて入れ代わることも
可能となる。
【0222】したがって、後退レンジでは、IVT速度
比eが負(後退側)で、所定の値erよりも増速側(後
退レンジのHi側)になったところで、エンジンブレー
キ側(前進側)の伝達トルクを制御することが可能にな
る。
【0223】そして、後退レンジでエンジンブレーキを
必要としない低速域(図11でCVT比icr以上)に
ついては、ステップモータ136などがCVT比icの
大側(Lo側)に駆動される誤動作が生じても、CVT
比icがギアードニュートラルポイントGNPに至る手
前の所定の変速比icrで、エンジンブレーキ側(逆走
側)へのトルクの発生を防止できる。
【0224】以上のように、パワーローラ20の傾転角
φに応動するインヒビタバルブ170と、後退トルク遮
断バルブ240及び傾転角φと信号圧PsolH/Cに
応動するモードフィックスバルブ160を設けたため、
CVT比icが所定の値icdよりも大側となるまで
は、動力循環モードクラッチ9と直結モードクラッチ1
0が同時に締結されるのを確実に禁止して、前記従来例
のように、故障などによって同時締結が発生すると回転
同期点RSPへ向けて意図しない変速が生じるのを防止
できる。
【0225】また、動力循環モードクラッチ9と直結モ
ードクラッチ10の同時締結を許容するCVT比icc
以上の運転モード切り換え領域は、このCVT比icc
がギアードニュートラルポイントGNPよりも回転同期
点RSP側に設定されているため、仮に、故障などによ
って同時締結が生じても、速度比eの変速幅が小さいた
め、故障による意図しない変速を低減できる。
【0226】さらに、後退トルク遮断バルブ240によ
って、前進側ではCVT比がicd以下の低速域で、後
退側ではCVT比がicr以上の低速域で、それぞれエ
ンジンブレーキ側のトルクを伝達しないようにしたた
め、故障などによりステップモータ136がエンジンブ
レーキ側へ誤動作しても、エンジンブレーキ側のトルク
が遮断されているため、低速域での故障等によるエンジ
ンブレーキ側(逆走側)へのトルク伝達を防止できるの
である。
【0227】こうして、CVT比ic(換言すれば、I
VT速度比e)に応動する後退トルク遮断バルブ240
と、インヒビタバルブ170及びモードフィックスバル
ブ160を設けたため、図11に示したように、前進方
向のDレンジでは、ギアードニュートラルポイントGN
Pより回転同期点RSP側に設定されたCVT比icd
から小側(Hi側)のCVT比icでは、エンジンブレ
ーキ側(逆走側)のトルクが遮断されて、変速制御コン
トロールユニット80の故障などによって、ステップモ
ータ136がギアードニュートラルポイントGNPを超
えてCVT比icの小側へ駆動された場合であっても、
エンジンブレーキが過大になるのを確実に防ぎ、また、
後退方向のRレンジでは、ギアードニュートラルポイン
トGNPよりも小側(Hi側)に設定されたCVT比i
crよりも大側(Lo側)になると、エンジンブレーキ
側のトルクが遮断されて、前進方向と同様に過大なエン
ジンブレーキを抑制することができる。
【0228】そして、ギアードニュートラルポイントG
NPの近傍では前進及び後退の双方で過大なエンジンブ
レーキを防止しながらも、直結モードでは、ギアードニ
ュートラルポイントGNPに対応したCVT比icgn
p(IVT速度比e=0)よりも小側の変速比を利用す
ることで、無段変速機構2で設定可能なCVT比icを
すべて利用することが可能となり、前記後者の従来例に
比してIVT速度比eの制御範囲を拡大でき、変速比無
限大無段変速機の制御性の向上と運転性の確保を両立さ
せることが可能となるのである。
【0229】また、マニュアルバルブ230は、運転レ
ンジに応じてライン圧を供給する油路を切り換えて、動
力循環モードクラッチ9または直結モードクラッチ10
への供給圧(選択レンジ圧)を設定するだけの構成とし
たため、マニュアルバルブ230の構成を簡易にするこ
とができ、エンジンブレーキ側のトルクを規制する機能
をマニュアルバルブ230に設けないようにしたため、
マニュアルバルブ230の小型化を推進でき、これによ
りスプール230aの加工精度の向上を図ることができ
る。
【0230】さらに、本発明の制御装置では、前記後者
の従来例のように複数のステップモータ及び制御弁を用
いる必要がなく、ひとつのステップモータ136及びシ
フトコントロールバルブ246で変速制御を行うことが
でき、機構及び制御を簡易にして製造コストの低減を図
ることができるのである。
【0231】図17は第2の実施形態を示し、前記第1
実施形態の後退トルク遮断バルブ240のポート240
cに接続された油路と、Rレンジ圧ポート230dに接
続されたDレンジ圧回路107との間に逆止弁300を
介装するとともに、ポート240fに接続された油路1
06と、ポート240eに接続された油路の間に逆止弁
310を介装したもので、その他の構成は前記第1実施
形態と同様である。
【0232】逆止弁300は、モードフィックスバルブ
160のポート160jからDレンジ圧回路107への
流れ、すなわち、ポート240c(第2ポート)からポ
ート240d(第1ポート)への圧油の供給を許容する
一方、Dレンジ圧Pdがポート240c側の油路を介し
て油室30Aと連通可能なポート246Cへ供給される
のを遮断する。
【0233】したがって、図13(B)のように、後退
トルク遮断バルブ240に設けたオーバーラップによっ
て、傾転角φd近傍では、一旦、ポート240cが封止
されることになるが、このとき、逆止弁300がポート
240dからポート240cへの圧油の流れを遮断する
一方、ポート240cから240dへの流れを許容する
ようにしたため、ポート240cが連通するポートを、
ポート240dとドレーンポート240hの間で切り換
える際に、ポート240cが一時的に封止されても、エ
ンジンブレーキ側のトルクの遮断に関与しない油圧の排
出を妨げることがなくなって、円滑な変速を行うことが
でき、エンジンブレーキ側のトルクを抑制する機構(後
退トルク遮断バルブ240)を設けたことによる通常の
変速制御への影響を回避することができる。
【0234】次に、逆止弁310は、シフトコントロー
ルバルブ246のPhi側の排出ポート246Dとポー
ト240f(第2ポート)とを連通する油路106か
ら、ポート240e(第1ポート)と連通したRレンジ
圧ポート230dへの流れを許容する一方、ポート24
0e側のRレンジ圧Prが油路106を介して油室30
Bへ供給されるのを遮断する。
【0235】したがって、図13(D)のように、後退
トルク遮断バルブ240に設けたオーバーラップによっ
て、傾転角φr近傍では、一旦、ポート240fが封止
されることになるが、このとき、逆止弁310がポート
240eからポート240fへの圧油の流れを遮断し、
ポート240fからポート240eへの圧油の供給を許
容することで、エンジンブレーキ側のトルクの遮断に関
与しない油圧の排出を妨げることがなくなって、エンジ
ンブレーキ側のトルクを抑制する機構(後退トルク遮断
バルブ240)を設けたことによる通常の変速制御への
影響を回避して、円滑な変速制御を行うことが可能とな
る。
【0236】図18〜図21は、第3の実施形態を示
し、前記第1実施形態の変速比無限大無段変速機のユニ
ット出力軸側を直列的に配置して、油圧制御のクラッチ
を、ドライブクラッチ96、オーバーラン&リバースク
ラッチ98、直結モードクラッチ10とするとともに、
一定変速機構3からキャリア5bへのトルクを伝達する
ワンウェイクラッチ99を設け、油圧制回路のうち前記
第2実施形態のカム280をモード切換ソレノイド26
0に置き換えて、モード切換ソレノイド260の信号圧
に応じてインヒビタバルブ175を駆動するようにした
ものである。
【0237】以下に、各要素毎に説明する。
【0238】<2−1.変速機構>まず、図18におい
て、トロイダル型の無段変速機構2の入力側と連結した
ユニット入力軸1には、一定変速機構3のギア3aが設
けられ、また、無段変速機構2の出力側には、出力スプ
ロケット2aが設けられている。
【0239】このユニット入力軸1と平行して、一定変
速機出力軸361、キャリア362、無段変速機出力軸
363、ユニット出力軸364が順次、同軸的に配設さ
れる。
【0240】一定変速機出力軸361の一端には、ユニ
ット入力軸1のギア3aと歯合するギア3bが配設され
る。
【0241】一定変速機出力軸361の途中には、キャ
リア362の一端に設けたドライブクラッチ(DR/
C)96と選択的に締結するオーバーラン&リバースク
ラッチ(OVR&R/C)98が介装される。
【0242】すなわち、一定変速機出力軸361とキャ
リア362との間には、オーバーラン&リバースクラッ
チ98とドライブクラッチ96が直列的に介装される。
【0243】そして、一定変速機出力軸361には、オ
ーバーラン&リバースクラッチ98と並列的に、一定変
速機構3からキャリア362側へのトルクのみを伝達す
る一方、逆方向(キャリア362から一定変速機出力軸
361)のトルクを遮断するワンウェイクラッチ(OW
C)99が配設される。
【0244】このキャリア362の他端は、無段変速機
出力軸363の途中に配設された遊星歯車機5のピニオ
ン5b’に連結される。
【0245】ここで、一定変速機出力軸361と同軸的
に配設された無段変速機出力軸363の一端には、チェ
ーン4bを介して無段変速機構2の出力スプロケット2
aと連結されたスプロケット4aが配設され、無段変速
機出力軸363の途中には、遊星歯車機5のサンギア5
aが形成される。
【0246】遊星歯車機5は、このサンギア5aがキャ
リア362を介して一定変速機出力軸361と選択的に
結合するピニオン5b’と歯合し、さらにこのピニオン
5b’は、一定変速機出力軸361及び無段変速機出力
軸363と同軸的に配設されたユニット出力軸364の
一端に形成されてリングギア5cと歯合する。
【0247】そして、無段変速機出力軸363の他端
と、ユニット出力軸364の途中との間には、選択的に
締結するハイクラッチ(H/C)97が介装される。
【0248】この変速比無限大無段変速機の出力軸とな
るユニット出力軸364は、他端に設けた変速機出力ギ
ア7から、ファイナルギア12を介して駆動軸11へト
ルクを伝達する。
【0249】上記のような構成の変速比無限大無段変速
機では、直結モードクラッチ10、ドライブクラッチ9
6、オーバーラン&リバースクラッチ98を選択的に締
結することにより、次の表のように運転状態を選択する
ことができる。
【0250】
【表1】 ただし、○:締結 ×:解放である。
【0251】まず、NレンジまたはPレンジのときに
は、直結モードクラッチ10、ドライブクラッチ96、
オーバーラン&リバースクラッチ98をすべて解放する
ことで、キャリア362は、フリーとなってサンギア5
aの回転に応じて空転し、リングギア5cにはトルクが
伝達されない。
【0252】後退レンジのRレンジのときには、ドライ
ブクラッチ96とオーバーラン&リバースクラッチ98
を締結することで、キャリア362と一定変速機出力軸
361を結合し、サンギア5aに伝達された無段変速機
構2からのトルクを、ピニオン5bとリングギア5cへ
それぞれ分割して伝達し、図11、図22に示したよう
に、IVT速度比eが負となる動力循環モードの後退方
向となる。
【0253】この、動力循環モードの後退方向では、キ
ャリア362へ伝達された無段変速機構2からのトルク
の一部は、一定変速機出力軸361、一定変速機構3を
介して、ユニット入力軸1から無段変速機構2へ再度入
力されて、トルクが循環する。
【0254】一方、前進レンジとしてのDレンジでは、
図11、図22に示したように動力循環モード(上記表
1のL)と、直結モード(上記表1のH)でクラッチの
締結状態が異なる。
【0255】まず、Dレンジの動力循環モードでは、ド
ライブクラッチ96を締結することで、一定変速機出力
軸361からワンウェイクラッチ99、ドライブクラッ
チ96を介してキャリア362へトルクを伝達し、図1
1、図22に示したように、IVT速度比e(またはI
VT比ii)が正で、ギアードニュートラルポイントG
NPから回転同期点RSPの範囲でCVT比ic及びI
VT速度比eを制御することができる。
【0256】この、動力循環モードの前進方向では、一
定変速機出力軸361からワンウェイクラッチ99、ド
ライブクラッチ96を介してキャリア362へ伝達され
たトルクが、ピニオン5b’と歯合したリングギア5c
及びサンギア5aへそれぞれ伝達され、リングギア5c
へ伝達されたトルクで車両が推進され、サンギア5aへ
伝達されたトルクは、無段変速機構2の出力側から入力
側へ伝達され、ユニット入力軸1を介して一定変速機構
3へ入力されて循環する。
【0257】動力循環モードの前進方向では、ドライブ
クラッチ96のみを締結している場合、ワンウェイクラ
ッチ99によって、キャリア362から一定変速機出力
軸361へ向かうトルク(エンジンブレーキ側のトル
ク)が遮断されるので、エンジンブレーキは作動しな
い。
【0258】DsレンジやLレンジが選択されて運転者
がエンジンブレーキを要求したときには、上記表1で示
すように、オーバーラン&リバースクラッチ98も同時
に締結して、エンジンブレーキ側のトルクも伝達する。
【0259】次に、Dレンジで、ドライブクラッチ96
に代わって、直結モードクラッチ10を締結すると、無
段変速機出力軸363とユニット出力軸364が結合さ
れて、無段変速機構2のCVT比icに応じてユニット
出力軸364へトルクが伝達される直結モードとなり、
図11、図22に示したように、IVT速度比eが回転
同期点ersp以上の領域で、変速制御を行うことがで
きる。
【0260】この直結モードでは、遊星歯車機5のサン
ギア5aとともに、ピニオン5b’が公転してキャリア
362も駆動されるが、図11において、回転同期点R
SPに対応するIVT速度比ersp以上では、キャリ
ア362の回転数が、一定変速機出力軸361の回転数
よりも高くなり、ワンウェイクラッチ99によってキャ
リア362から一定変速機出力軸361への動力伝達経
路が遮断されるため、キャリア362はサンギア5a及
びリングギア5cとともに連れ回るだけとなる。
【0261】次に、図19の油圧回路について説明す
る。
【0262】図19は、前記第1、第2実施形態のカム
280、モードフィックスバルブ160をモード切換ソ
レノイド260と、この信号圧に応動するインヒビタバ
ルブ175に置き換え、また、動力循環クラッチソレノ
イド210をオーバーラン&リバースクラッチソレノイ
ド(以下、OVR&R/Cソレノイド)211に、動力
循環クラッチ制御弁200を、オーバーラン&リバース
クラッチ制御弁(以下、OVR&R/C制御弁)201
に置き換えたもので、その他の構成は前記第2実施形態
と同様である。
【0263】マニュアルバルブ230は、前記第1実施
形態と同様に、ライン圧回路101に接続されたライン
圧ポート230bが、スプール230aの位置(シフト
位置)に応じて、Dレンジ圧回路107に接続したDレ
ンジ圧ポート230cへライン圧PLを供給したり、あ
るいは、シャトル弁271を介してOVR&R/C98
と連通可能なRレンジ圧回路108’と接続されたRレ
ンジ圧ポート230dにライン圧PLを供給する。
【0264】なお、Dレンジ圧回路107には、直結ク
ラッチ制御バルブ180のポート180g、後退トルク
遮断バルブ240のポート240hが接続されるのに加
えて、シャトル弁272を介してドライブクラッチ96
が接続される。
【0265】また、Rレンジ圧回路108’には、後退
トルク遮断バルブ240のポート240eとシャトル弁
271を介してOVR&R/C98が接続されるととも
に、シャトル弁272を介してドライブクラッチ96が
接続される。
【0266】<2−4.クラッチ制御バルブ>次に、パ
イロットバルブ103で調圧されたパイロット圧回路1
02は、直結モードクラッチ10を制御するための直結
クラッチソレノイド190と、OVR&R/C98を制
御するためのOVR&R/Cソレノイド211にパイロ
ット圧Ppを供給する。なお、直結モードクラッチ制御
系は前記第1、第2実施形態と同様であるため重複説明
を省略する。
【0267】OVR&R/Cソレノイド211で調圧さ
れた信号圧PsolOVR&R/Cは、OVR&R/C
制御バルブ201のポート201eへ供給される。
【0268】OVR&R/C制御バルブ201は、ポー
ト201eに供給された信号圧PsolOVR&R/C
に応じてスプール201aを駆動し、ポート201gに
供給された後退トルク遮断バルブ240からのDレンジ
圧(ライン圧PL)を調圧し多油圧を、出力ポート20
1cから制御圧Povrcとしてインヒビタバルブ17
5に供給する。なお、ポート201dは、ポンプ吸入油
路104に接続されている。
【0269】信号圧PsolOVR&R/Cは、スプリ
ング201b及びRレンジ圧Prに対抗してスプール2
01aを付勢しており、信号圧PsolOVR&R/C
の増大に応じて、制御圧Povrcが増大する。
【0270】そして、信号圧PsolOVR&R/Cが
0のときには、OVR&R/C制御バルブ201は、ス
プリング201bの付勢力によって出力ポート201c
とポート201dを連通させて、制御圧Povrcをポ
ンプ吸入油路104へ排出する。
【0271】<2−5.インヒビタバルブ>直結クラッ
チ制御バルブ180と、OVR&R/C制御バルブ20
1から供給される制御圧PhcとPovrcは、モード
切換ソレノイド260からの信号圧PsolINHに応
動するスプール175aを備えたインヒビタバルブ17
5を介して、OVR&R/C98と直結モードクラッチ
10へそれぞれ供給される。
【0272】直結クラッチ制御バルブ180の出力ポー
ト180cと、OVR&R/C制御バルブ201の出力
ポート201cは、それぞれインヒビタバルブ175の
ポート175d、175hに接続されている。
【0273】インヒビタバルブ175のポート175e
は、直結モードクラッチ10と連通する一方、ポート1
75gは、シャトル弁271を介してOVR&R/C9
8と連通し、これらポート175e、175gの間に形
成されたポート175fは、ドレーンされ、スプール1
75aの変位に応じて、直結モードクラッチ10への制
御圧PhcまたはOVR&R/C98への制御圧Pov
rcのどちらか一方が供給される。
【0274】このため、インヒビタバルブ175のスプ
ール175aの端部には、モード切換ソレノイド260
からの信号圧PsolINHを受ける油室175cが形
成されており、信号圧PsolINHがスプリング17
5bに対向してスプール175aを押圧する。
【0275】信号圧PsolINHが0のときには、図
19に示すように、スプール175aはスプリング17
5bに押し切られて図中上方へ変位し、ポート175d
をポート175eと連通して、制御圧Phcを直結モー
ドクラッチ10へ供給する一方、ポート175g、17
5fを連通させて、シャトル弁271への油圧、換言す
れば、OVR&R/C98の油圧をドレーンする。
【0276】一方、信号圧PsolINHが最大になる
と、図19において、スプール175aはスプリング1
75bを押し切って図中下方へ変位し、ポート175g
をポート175hと連通して、制御圧Povrcをシャ
トル弁271からOVR&R/C98へ供給する一方、
ポート175e、175fを連通させて、直結モードク
ラッチ10をドレーンさせて解放する。
【0277】<2−6.後退トルク遮断バルブ>次に、
図19において、マニュアルバルブ230及びシフトコ
ントロールバルブ246に接続された後退トルク遮断バ
ルブ240について説明する。
【0278】後退トルク遮断バルブ240のスプール2
40aは、トラニオン23に連結されたカム290のカ
ム溝290aと係合して、傾転角φに応じて変位する。
【0279】そして、スプール240aの変位に応じ
て、OVR&R/C制御弁201のポート201gに接
続されたポート240cを、Dレンジ圧回路107に接
続されたポート240hまたはポンプ吸入油路104に
接続されたポート240dに連通するとともに、シフト
コントロールバルブ246の排出ポート246Dに接続
されたポート240fを、Rレンジ圧ポート230d及
びシャトル弁271に連通したRレンジ圧回路108’
と接続されたポート240eまたはポンプ吸入油路10
4に接続されたポート240gに連通する。
【0280】図19に示すように、後退トルク遮断バル
ブ240のスプール240aの一端には、カム溝290
aに係合したピン241が形成され、CVT比icが大
側(Lo側)に変化するとトラニオン23及びカム29
0は図中反時計回りに回動する一方、CVT比icが小
側(Hi側)に変化すると、トラニオン23及びカム2
90は図中時計回りに回転する。
【0281】カム290に形成されたカム溝290a
は、前記第1実施形態に示した図10、図11に示すよ
うに、ギアードニュートラルポイントGNPに対応する
傾転角φgnpよりも大側に設定された傾転角φrを境
にして、φhiからφgnpの間で、スプール240a
の駆動を行い、CVT比icがギアードニュートラルポ
イントGNPよりも小側の領域、換言すれば、動力循環
モードの後退側の領域で、シフトコントロールバルブ2
46の排出ポート246Cにかかる油圧を制御する。
【0282】なお、傾転角φgnp、φr、φhiの関
係は、図10、図11に示したとおりで、φgnp<φ
r<φhiで、これらの傾転角とCVT比icとの関係
は、φgnp=icgnp、φr=icr、φhi=i
chiとなる。
【0283】図20において、傾転角がφloからφd
未満での区間では、図20(A)に示すように、スプー
ル240aは図中上方の位置に固定されて、OVR&R
/C制御バルブ201のポート201gに接続されたポ
ート240cを、Dレンジ圧回路107に接続されたポ
ート240hと連通する一方、シフトコントロールバル
ブ246の排出ポート246Dに接続されたポート24
0fを、Rレンジ圧ポート230dに接続されたポート
240eと連通させる。なお、ポンプ吸入油路104に
接続されたポート240dは封止される。
【0284】また、傾転角φd未満でスプール240a
を図中上方へ固定するようにしたため、バルブの全長を
短縮できる。
【0285】CVT比icがicloから小側(Hi
側)へ変化して、傾転角がφd以上になると、図20
(B)のように、スプール240aが図下方へ若干変位
して、ポート240cが封止される一方、ポート240
eとポート240fの連通状態は維持される。
【0286】さらに、CVT比icが小側(Hi側)へ
変化して、傾転角がφgnpになると、図20(C)の
ように、スプール240aはストロークのほぼ中央に位
置して、OVR&R/C制御バルブ201のポート20
1gに接続したポート240cを、ポート240dと連
通させてポンプ吸入油路104に接続する一方、ポート
240eとポート240fの連通状態を維持する。
【0287】次に、傾転角がφgnpからφrへ向けて
CVT比icの小側へ変化すると、図20(D)のよう
に、ポート240dとポート240cが連通したまま、
ポート240fが封止される。
【0288】さらに傾転角がφrを超えてφhiへ向け
て変化すると、OVR&R/C制御バルブ201のポー
ト201gに接続されたポート240cはポート240
dからドレーンされた状態を維持する一方、シフトコン
トロールバルブ246の排出ポート246Dに接続され
たポート240fが、ドレーンポート240gに連通し
て、シフトコントロールバルブ246の一方の排出ポー
ト246Deをポンプ吸入油路104に接続して、ドレ
ーンする。
【0289】なお、所定の傾転角φdは、少なくとも使
用するCVT比icの制御範囲(変速比幅)の中の最L
o(iclo)よりHi側であり、かつ動力循環モード
と直結モードの回転同期点であるRSPの傾転角φrs
pよりは、CVT比icのHi側に設定される。
【0290】また、カム溝290aは、前記第1実施形
態と同様にギアードニュートラルポイントGNPに対応
する傾転角φgnpを挟んで設定されたφdからφrの
範囲でのみ、スプール240a変位させ、その他の傾転
角φではスプール240aを固定するようにしたため、
スプール240aの全ストロークを縮小することがで
き、後退トルク遮断バルブ240及びカム290の小型
化を図ることが可能となる。
【0291】さらに、傾転角φd、φr近傍のポート切
り換え時では、ポート240cが連通するポートを24
0dからドレーンポート240hへ切り替える際には、
図20(B)、(D)のように、一旦、ポート240c
を封止してから連通するポートを切り替えるようにオー
バーラップを設けたため、バルブリークを低減すること
ができる。
【0292】なお、シフトコントロールバルブ246の
排出ポート246Dと後退トルク遮断バルブ240のポ
ート240fを連通する油路106と、ポート240e
に接続されたRレンジ圧回路108’との間には、シフ
トコントロールバルブ246の排出ポート246Dから
Rレンジ圧回路108’へ向かう流れを許容する逆止弁
320が配設され、変速の途中で、上記図20(D)に
示す傾転角φrで、ポート240fが封止されたときで
も、排出ポート246DからRレンジ圧回路108’へ
の流れを許容する一方、Rレンジ圧回路108’のRレ
ンジ圧Prが排出ポート246D を介して油室30B
へ加わるのを遮断することが可能となって、エンジンブ
レーキ側のトルクを抑制する機構(後退トルク遮断バル
ブ240)を設けたことによる通常の変速制御への影響
を回避して、円滑な変速制御を行うことが可能となる。
【0293】<2−7.動作>次に、運転状態に応じた
動作について説明する。
【0294】{2−7.1 N−Dセレクト及び動力循
環モード走行}停車レンジから前進レンジへ切り換える
と、まず、マニュアルバルブ230のポート230bか
らDレンジ圧ポート230cへDレンジ圧(ライン圧P
L)が供給されて、シャトル弁272はDレンジ圧回路
107とドライブクラッチ96を連通し、ドライブクラ
ッチ96が締結され、動力循環モードとなる。
【0295】このとき、上記したように、ワンウェイク
ラッチ99の作用により、動力循環モードで前進側のみ
のトルクが伝達され、エンジンブレーキ側のトルクは伝
達されない。したがって、この動力循環モードの前進方
向では、変速制御コントロールユニット80の故障など
によってCVT比icが後退側に変速しても、エンジン
ブレーキ側(逆走側)にトルクが発生することはない。
【0296】一方、動力循環モードの前進方向で、エン
ジンブレーキが必要な状況、例えば、運転者がDsレン
ジやLレンジ等を選択した場合、所定の車速(10Km/h
程度)以上であれば、OVR&R/Cソレノイド211
に通電し、制御圧Povrcを生成するとともに、モー
ド切換ソレノイド260にも通電して信号圧PsolI
NHをインヒビタバルブ175へ供給し、スプール17
5aを図19の下方に押し下げて、ポート175hから
ポート175gを介して、シャトル弁271から制御圧
Povrcを供給してOVR&R/C98を締結させ
る。
【0297】ただし、いかなる運転状態においても、極
低車速域(車速10Km/h以下程度)においては、OVR
&R/C98を解放して、エンジンブレーキ側のトルク
が伝達されるのを防止する。
【0298】なお、OVR&R/C98の解放は、モー
ド切換ソレノイド260への通電を遮断するだけでも行
うことができ、信号圧PsolINHが0になると、ス
プール175aはスプリング175bに押し切られて図
19の上方へ変位し、ポート175gをポート175f
に連通させて、OVR&R/C98の油圧をドレーンす
る。
【0299】このOVR&R/C98を解放する判断
は、所定車速以下で判断してもよいし、IVT速度比e
(またはIVT比ii)が、遊星歯車式の自動変速機に
おける1速相当の変速比や、トルクコンバータ付き無段
変速機の最Lo変速比程度になったところで行っても良
く、このようにOVR&R/C98を制御することによ
り、低車速領域においてエンジンブレーキ側トルクの伝
達が防止できるため、変速制御コントロールユニット8
0の故障などによる過大なエンジンブレーキを抑制でき
る。
【0300】{2−7.2 運転モード切り換え(動循
→直結)}動力循環モードから直結モードへの切り換え
を行う際には、まず、OVR&R/C98を締結してい
る場合には、OVR&R/Cソレノイド211への通電
を遮断して、速やかにOVR&R/C98を解放する。
【0301】そして、このOVR&R/C98の解放と
同時または少し遅延して、直結クラッチソレノイド19
0に通電して、制御圧Phcの供給を開始して直結モー
ドクラッチ10を締結する。
【0302】このとき、インヒビタバルブ175は、O
VR&R/C98の解放時にモード切換ソレノイド26
0への通電が遮断されているため、スプール175aは
図19のように上昇して、制御圧Povrcに係わらず
OVR&R/C98を解放するとともに、直結モードク
ラッチ10の締結を行うことができる。
【0303】ドライブクラッチ96は、上記表1にも示
したように、Pレンジ、Nレンジ以外では常時締結され
ているため、動力循環モードの前進方向における駆動側
のトルクは、運転モードの切り換え期間中でも、ドライ
ブクラッチ96とワンウェイクラッチ99によるトルク
の伝達が継続する。
【0304】ここで、直結モードクラッチ10を締結す
る際には、直結クラッチソレノイド190をノーマルク
ローズ式で構成した場合、このソレノイドを制御するO
Nデューティ比を徐々に増大させることで、直結クラッ
チ制御バルブ180からの制御圧Phcを徐々に上昇さ
せていき、直結モードクラッチ10の締結に必要な制御
圧Phcまで上昇すると、直結モードに切り替わる。
【0305】この直結モードにおいては、ワンウェイク
ラッチ99の作用により、図18で示したキャリア36
2から一定変速機出力軸361へのトルク伝達を行わな
いため、直結モードクラッチ10のみによって、駆動側
及びエンジンブレーキ側の双方のトルクが伝達される。
【0306】そして、直結モードでは、図11に示した
ように、回転同期点RSPに対応したCVT比icrs
pから最Hi側のCVT比ichiまで、無段変速機構
2で設定可能なすべての変速領域を使用することができ
る。
【0307】{2−7.3 運転モード切り換え(直結
→動循)}直結モードで走行中に、直結クラッチソレノ
イド190を制御するONデューティ比を下げ、直結ク
ラッチ制御バルブ180からの制御圧Phcを抜いて
(低下させて)いくことで、最終的に直結モードクラッ
チ10を解放すると、締結しているクラッチはドライブ
クラッチ96のみとなって、直結モードから動力循環モ
ードへ滑らかに切り替わる。
【0308】そして、制御圧Phcを抜いた後に、モー
ド切換ソレノイド260に通電して、ポート175eを
ドレーンポート175fに連通させることにより、運転
モードの切換時のショックを抑制することができる。
【0309】なお、動力循環モードの前進方向で、エン
ジンブレーキが必要な場合では、上記と同様に、OVR
&R/Cソレノイド211を制御することで、OVR&
R/C98を締結させればよい。
【0310】{2−7.4 Rレンジ}後退レンジのR
レンジ走行においては、OVR&R/C98にマニュア
ルバルブ230のRレンジ圧ポート230dから、シャ
トル弁271を介してライン圧PLが供給され、常時締
結状態となる。
【0311】また、シフトコントロールバルブ246の
Phi側の排出ポート246Dは、傾転角φgnpにお
いては、図19のように、後退トルク遮断バルブ240
のポート240f、240eを介してRレンジ圧回路1
08’と連通し、ライン圧PLを受ける。
【0312】このRレンジでは、エンジンブレーキ側の
トルク(前進側のトルク)は、後退トルク遮断バルブ2
40が、ギアードニュートラルポイントGNPに対応し
た傾転角φgnpと、CVT比icの小側に設定された
傾転角φhiの間の傾転角φr以下(φrよりCVT比
icの大側)で、図20(C)に示すように、シフトコ
ントロールバルブ246の排出ポート246Dと連通し
たポート240fを、Rレンジ圧ポート230dに接続
するため、油室30Bの油圧Phiに供給される油圧
は、ライン圧ポート246P、排出ポート246Dのど
ちらに連通してもライン圧PLとなる。
【0313】一方、油室30Aの油圧は、排出ポート2
46Cがポンプ吸入油路104を介してドレーンされて
いるため、ライン圧PLと0の間で差圧ΔPが変化す
る。
【0314】したがって、後退レンジでギアードニュー
トラルポイントGNP近傍に設定された傾転角φr以
下、すなわち、図11において、IVT速度比eがer
よりも前進側の範囲では、Phi≧Ploの範囲でしか
油圧シリンダ30の差圧制御を行うことができないた
め、後退レンジにおけるエンジンブレーキ側(前進側)
のトルクを伝達することはできず、変速制御コントロー
ルユニット80の故障などによって、過大なエンジンブ
レーキが発生するのを防止できるとともに、Rレンジの
ギアードニュートラルポイントGNP近傍でエンジンブ
レーキを禁止することで、従来の自動変速機付き車両と
同様の運転性を確保できる。
【0315】また、Rレンジにおいて、エンジンブレー
キ側のトルクを遮断する傾転角φrは、ギアードニュー
トラルポイントGNPとCVT比icの最Hi側との間
に設定されるため、Rレンジの走行中で、傾転角φr以
上、すなわち、図11でIVT速度比erより負側の領
域では、後退トルク遮断バルブ240は、図20(E)
のようになって、シフトコントロールバルブ246の排
出ポート246Dを、後退トルク遮断バルブ240のポ
ート240f、ドレーンポート240gを介してポンプ
吸入油路104からドレーンするため、エンジンブレー
キ側のトルクを伝達して、運転性を確保できる。
【0316】なお、動力循環モードの後退方向では、前
記第1実施形態でも述べたように、無段変速機構2の入
力ディスク21から出力ディスク22へ伝達される正の
トルクが駆動側(後退側)、負のトルクがエンジンブレ
ーキ側(前進側)で、図3に示したように、油室30B
の油圧Phiで正のトルクを伝達し、油室30Aの油圧
Ploで負のトルクを伝達するため、油圧シリンダ30
の差圧が、上記Phi≧Ploのときには、負のトルク
が伝達されず、したがって、上記傾転角φr以上の変速
領域(IVT速度比erより前進側)でのエンジンブレ
ーキを防止できるのである。
【0317】以上のように、変速比無限大無段変速機に
ドライブクラッチ96、直結モードクラッチ10、OV
R&R/C98の3つのクラッチと、ワンウェイクラッ
チ99を用いた場合でも、傾転角φに応動する後退トル
ク遮断バルブ240とインヒビタバルブ175を備える
ことで、変速制御コントロールユニット80等の故障に
よって、ステップモータ136がギアードニュートラル
ポイントGNPを超えて進行方向とは反対側のCVT比
icへ駆動されても、過大なエンジンブレーキが発生す
るのを確実に防止し、また、ギアードニュートラルポイ
ントGNPの近傍では前進及び後退の双方でエンジンブ
レーキを防止しながらも、直結モードでは、ギアードニ
ュートラルポイントGNPに対応したCVT比icgn
pよりもHi側の領域を利用でき、運転性の確保と制御
領域の拡大を両立させることができるのである。
【0318】なお、上記実施形態において、メカニカル
フィードバック手段として、変速リンク37を用いた例
について述べたが、図示はしないが、特開昭63−13
0954号公報に開示されるように、シフトコントロー
ルバルブのスプールと相対変位可能なスリーブを、プリ
セスカムに連結してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す変速比無限大無段変
速機の概略構成図。
【図2】同じく変速比無限大無段変速機の制御概念図。
【図3】トロイダル型無段変速機の概念図。
【図4】変速制御装置の油圧回路図の全体図。
【図5】同じく変速制御装置の油圧回路図の拡大図を示
し、その前半部。
【図6】同じく変速制御装置の油圧回路図の拡大図を示
し、その後半部。
【図7】マニュアルバルブを示し、(A)はDレンジ、
(B)はNレンジまたはPレンジ、(C)はRレンジの
ときの、スプールとポートの関係を示す。
【図8】信号圧と直結クラッチ制御バルブ及び動力循環
クラッチ制御バルブの制御圧の関係を示すグラフ。
【図9】カムの位置に応じたインヒビタバルブとモード
フィックスバルブのスプールの位置関係を示し、(A)
は傾転角がφcl未満のときのインヒビタバルブ、
(B)は傾転角がφcのときのインヒビタバルブ、
(C)は傾転角がφchを超えるときのインヒビタバル
ブを示し、(D)は動力循環モードでのモードフィック
スバルブ、(E)は直結モードでのモードフィックスバ
ルブをそれぞれ示す。
【図10】傾転角φとCVT比icの関係を示すマップ
である。
【図11】CVT比icとIVT速度比eの関係を示す
マップ。
【図12】カムの位置に応じたモードフィックスバルブ
のロック機構の概略図で、(A)は傾転角がφchを超
えるときのスプールとスライダの係止状態を、(B)は
傾転角がφcのときでスライダがスプールと摺接する位
置を、(C)は傾転角がφcl未満で、スライダが溝部
から抜けた位置をそれぞれ示す。
【図13】カムの位置に応じた後退トルク制御バルブの
概略図で、(A)は傾転角がφloのとき、(B)は傾
転角がφdのとき、(C)は傾転角がφgnpのとき、
(D)は傾転角がφrのとき、(E)は傾転角がφhi
のときをそれぞれ示す。
【図14】車速VSPとアクセル踏み込み量APSに応
じた目標入力軸回転数Ninの変速マップで、図中波線
がCVT比icを示す。
【図15】IVT速度比eとCVT比icに応じた運転
モードのマップである。
【図16】IVT速度比eに応じた動力循環モードクラ
ッチの伝達トルクを示すマップである。
【図17】第2の実施形態を示し、変速制御装置の油圧
回路図の要部拡大図を示す。
【図18】第5の実施形態を示し、変速比無限大無段変
速機の概略構成図。
【図19】変速制御装置の油圧回路図。
【図20】カムの位置に応じた後退トルク制御バルブの
概略図で、(A)は傾転角がφhiのとき、(B)は傾
転角がφrのとき、(C)は傾転角がφgnpのとき
の、スプールとポートの関係をそれぞれ示す。
【図21】同じく変速比無限大無段変速機の制御概念
図。
【図22】無段変速機の変速比(CVT比)とユニット
変速比(IVT比)の逆数の関係を示すマップ。
【符号の説明】
1 ユニット入力軸 2 無段変速機構 3 一定変速機構 5 遊星歯車機構 9 動力循環モードクラッチ 10 直結モードクラッチ 20 パワーローラ 23 トラニオン 30 油圧シリンダ 30A、30B 油室 31 ピストン 80 変速制御コントロールユニット 83 車速センサ 84 インヒビタスイッチ 96 ドライブクラッチ 98 オーバーラン・リバースクラッチ 99 ワンウェイクラッチ 101 ライン圧回路 102 パイロット圧回路 103 パイロットバルブ 104 ポンプ吸入油路 107 Dレンジ圧回路 108 Rレンジ圧回路 110i 吸入ポート 110p 吐出ポート 135 プリセスカム 160 モードフィックスバルブ 163、164 溝部 170 インヒビタバルブ 180 直結クラッチ制御バルブ 190 直結クラッチソレノイド 200 動力循環クラッチ制御バルブ 201 オーバーランクラッチ制御バルブ 210 動力循環クラッチソレノイド 211 オーバーランクラッチソレノイド 230 マニュアルバルブ 230 マニュアルバルブ 240 後退トルク遮断バルブ 246 シフトコントロールバルブ 260 モード切換ソレノイド 270、271、272 シャトル弁 280 カム 290 カム 300、310、320 逆止弁 361 一定変速機出力軸 362 キャリア 363 無段変速機出力軸 364 ユニット出力軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J552 MA09 MA29 NA01 NB01 PB01 PB10 QA06B QA10A QA24C QA28A QB02 RB07 RC07 SA46 SA53 SA57 VA27W VA32Z VA37Z VA58Z VA62Z VB01Z VC03Z VD02Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無段変速機構と一定変速機構とをユニット
    入力軸にそれぞれ連結するとともに、無段変速機構と一
    定変速機構の出力軸を遊星歯車機構及び複数のクラッチ
    を介してユニット出力軸に連結した変速比無限大無段変
    速機と、 運転状態に応じて前記複数のクラッチをそれぞれ制御し
    て運転モードを設定するクラッチ制御手段とを備えた変
    速比無限大無段変速機の制御装置において、 前記無段変速機構は、 画成された油室の差圧に応じて変速比を制御する油圧シ
    リンダと、 この油圧シリンダへ供給する油圧を制御する変速制御弁
    と、 選択した運転レンジに応じて油路を切り換え、ライン圧
    を選択レンジ圧として前記クラッチに供給するマニュア
    ルバルブと、 前記無段変速機構の変速比に応動する切換弁とを備え、 前記油圧シリンダの一方の油室には、前記選択レンジ圧
    を切換弁及び変速制御弁を介して供給する一方、他方の
    油室には前記変速制御弁を介してライン圧を供給し、 前記無段変速機構の変速比がギアードニュートラルポイ
    ントを含んで予め設定した範囲内にあり、かつ、前記油
    室の差圧が0のときには、エンジンブレーキ側のトルク
    の伝達を規制することを特徴とする変速比無限大無段変
    速機の制御装置。
  2. 【請求項2】前記切換弁は、前記選択レンジ圧が供給さ
    れる第1のポートと、前記油室と連通可能な第2のポー
    トを備えて選択的に連通させるとともに、これらポート
    の間には、前記選択レンジ圧が油室へ向かう流れを遮断
    する逆止弁を介装したことを特徴とする請求項1に記載
    の変速比無限大無段変速機の制御装置。
  3. 【請求項3】前記切換弁は、変速比に応じて変位可能な
    スプールを有し、このスプールの変位に応じて、前記油
    室と連通可能な第2ポートを、前記選択レンジ圧が供給
    される第1ポートまたはドレーンポートの一方と連通さ
    せるとともに、前記第1ポートとドレーンポートとの連
    通を切り換える際には、一時的に第2ポートを封止する
    ことを特徴とする請求項2に記載の変速比無限大無段変
    速機の制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013190027A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Denso Corp 動力伝達装置

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JP2013190027A (ja) * 2012-03-14 2013-09-26 Denso Corp 動力伝達装置

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