JP2013190027A - 動力伝達装置 - Google Patents

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Masateru Nishiyama
征輝 西山
Masanori Sugiura
杉浦  正典
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Abstract

【課題】ギアードニュートラル状態を実現すべくCVT22の変速比を操作するに際し、実際の変速比がギアードニュートラル状態を実現するうえで要求される値から僅かにずれる場合には、駆動輪14に過大なトルクが加わるおそれがあること。
【解決手段】シフトレンジがDレンジに切り替えられる場合、循環用クラッチ24を締結状態とし、エンジン20を起動させるとともに、CVT22の変速比を、ギアードニュートラル状態を実現できると認識されている変速比に操作する。この際、循環用クラッチ24の締結力を制限する。これに伴い、循環用クラッチ24の入力側および出力側に滑りが生じる場合、CVT22の変速比を、進行しようとする方向とは逆方向に駆動輪14を回転させる側に変更する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、無段変速装置の変速比の操作によって、駆動源の回転速度がゼロでない状況下、駆動輪の回転速度をゼロとするギアードニュートラル状態を実現可能な動力伝達装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、エンジンのクランク軸に遊星歯車機構のキャリアを機械的に連結するとともに、無段変速装置を介してサンギアを機械的に連結し、リングギアに駆動輪を機械的に連結するものも提案されている。これは、無段変速装置の変速比によって、エンジンから駆動輪までのトータルの変速比を無限大とすることを狙ったものである。これにより、エンジンの回転速度がゼロでないときに駆動輪の回転速度をゼロとする状態(ギアードニュートラル状態)を実現することができる。
特開2002−89669号公報
ところで、ユーザによってブレーキが踏まれた状態で、上記ギアードニュートラル状態を実現すべく無段変速装置の変速比を操作するに際し、実際の変速比がギアードニュートラル状態を実現するうえで要求される値から僅かにずれる場合には、駆動輪に過大なトルクが加わるおそれがある。
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、無段変速装置の変速比の操作によって、駆動源の回転速度がゼロでない状況下、駆動輪の回転速度をゼロとするギアードニュートラル状態を実現可能な新たな動力伝達装置の提供にある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、駆動源(20)の回転速度がゼロでない状況下、駆動輪(14)の回転速度をゼロとするギアードニュートラル状態を実現すべく、前記駆動源の動力を駆動輪に伝達する経路に設けられた無段変速装置の変速比を操作する操作手段(S12)と、ギアードニュートラル状態を実現すべく前記操作手段によって前記無段変速装置が操作される状況下、前記駆動源の動力に起因して前記駆動輪に加わるトルクを制限する制限手段(S12,S16,16a,S16b,40,42,50)と、を備えることを特徴とする。
上記発明では、制限手段を備えることで、操作手段による無段変速装置の変速比の操作によってギアードニュートラルが実現できない場合であっても、無段変速装置等に過大なトルクが加わる事態を回避することができる。
なお、本発明にかかる以下の代表的な実施形態に関する概念の拡張については、代表的な実施形態の後の「その他の実施形態」の欄に記載してある。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかる遊星歯車機構の共線図。 同実施形態にかかるCVTの変速比とCVTの入力トルク比との関係を示す図。 同実施形態にかかるトータル変速比のフィードバック制御の処理手順を示す流れ図。 第2の実施形態にかかるトータル変速比のフィードバック制御の処理手順を示す流れ図。 第3の実施形態にかかるトータル変速比のフィードバック制御の処理手順を示す流れ図。 第4の実施形態にかかるシステム構成図。 第5の実施形態にかかるシステム構成図。 第6の実施形態にかかるシステム構成図。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる動力伝達装置を車載主機として内燃機関を備える車両に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図示される遊星歯車機構10は、動力分割用回転体としてのサンギアS,キャリアCおよびリングギアRを備える。遊星歯車機構10のキャリアCには、デフギア12を介して駆動輪14が機械的に連結されている。また、遊星歯車機構10のサンギアSには、車載主機としての内燃機関(エンジン20)が機械的に連結されている。すなわち、エンジン20とサンギアSとは、互いに連動して回転するための機械的な結合経路として、遊星歯車機構10を構成する他の動力分割用回転体を備えない経路を有している。
また、遊星歯車機構10のサンギアSとリングギアRとは、無段変速装置(CVT22)、循環用クラッチ24、およびギア26を介して機械的に連結されている。ちなみに、CVT22として、本実施形態では、機械式のものを想定している。詳しくは、金属ベルトやゴムベルトを用いたベルト式のものを想定している。また、循環用クラッチ24は、入力側および出力側間の締結状態および解除状態を切り替えるべく油圧駆動される電子制御式の締結手段である。なお、入力側、出力側は、それぞれエネルギの入力側とエネルギの出力側とを意味する。さらに、ギア26は、入力側と出力側との回転速度の比を固定された比率で変換する手段であって且つ入力側と出力側との回転速度の符号を反転させる手段(カウンタギア)である。
上記サンギアSには、さらに、エアコン用クラッチ32を介して、車載空調装置のコンプレッサ30が機械的に連結されている。ここで、エアコン用クラッチ32は、入力側および出力側間の締結状態および解除状態を切り替えるべく油圧駆動される電子制御式の締結手段である。
制御装置28は、上記遊星歯車機構10およびCVT22を備えて構成される動力伝達装置を制御対象とする。詳しくは、制御装置28は、循環用クラッチ24やCVT22を操作することで、動力伝達態様を制御する処理を行なう。さらに、制御装置28は、エンジン20の制御量を制御する処理や、エアコン用クラッチ32を操作することで、コンプレッサ30を駆動するための処理を行なう。ちなみに、循環用クラッチ24の入力側および出力側のそれぞれには、回転速度センサ33,34が備えられている。
上述したように、本実施形態では、サンギアSおよびリングギアRの機械的な連結に際して、カウンタギア(ギア26)を用いた。これは、循環用クラッチ24が締結された状態において、駆動源(エンジン20)が回転しているにもかかわらず、キャリアCの回転速度がゼロとなるギアードニュートラル状態を実現するための設定である。すなわち、ギア26を備えたことで、図2(a)の共線図に示すように、サンギアSの回転速度の符号とリングギアRの回転速度の符号とが、互いに逆となる。このため、図2(b)に示すように、サンギアSとリングギアRとの動力(パワー)の符号が互いに逆となり、サンギアSから入力された回転エネルギがリングギアRから出力される動力循環が生じる。そしてこの場合、サンギアSおよびリングギアRが回転している状況下、キャリアCが停止したとしても、エネルギ保存則に矛盾しないため、キャリアCの停止状態が実現可能となる。
ギアードニュートラル状態は、CVT22の変速比の操作によって可能となる。本実施形態では、ギアードニュートラル状態を実現できるCVT22の変速比を、ギアードニュートラルポイント(GNP)とする。
ギアードニュートラル状態は、車両の停車時においてエンジン20を稼動状態とし、車両の発進準備を整えることができる等のメリットを有する。すなわち、ユーザがシフトレバーを操作することで、NレンジやPレンジからDレンジへの切り替えがなされると、循環用クラッチ24が締結される。ここで、エンジン20が稼動したとしても、CVT22の変速比がGNPに操作されることで、ギアードニュートラル状態を実現することができる。このため、その後、ユーザがブレーキを解放し、アクセルを操作するに際して、CVT22の変速比をGNPからずらすことで、迅速な発進が可能となる。
ところで、車両の停車時においては、駆動輪14に制動力が付与される。こうした状況下、CVT22の変速比をGNPに操作したつもりが、実際の変速比が、ギアードニュートラル状態を実現することができる変速比(真のGNP)からずれている場合には、駆動輪14に加わる力が非常に大きくなる。これは、エンジン20から駆動輪14までのトータルの変速比が非常に大きい値となるためである。そしてこの場合、駆動輪14に制動力が加わっているために、CVT22に過度に大きいトルクが加わるおそれがあり、ひいてはCVT22の信頼性の低下を招くことが懸念される。
図3に、CVT22の変速比がGNPからずれた場合にエンジン20の出力トルクに対するCVT22に加わるトルクの比(入力トルク比)の関係を示す。図示されるように、CVT22の変速比がGNPからずれることで、入力トルク比が増大する。
そこで本実施形態では、ギアードニュートラル状態への制御を図4に示す処理によって実現する。
図4は、本実施形態にかかるギアードニュートラル制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置28によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、シフトレンジがNレンジまたはPレンジから、Dレンジに切り替えられたか否かを判断する。これは、車両の発進を予測する処理である。すなわち、車両の停車状態から車両の発進可能状態への切替操作がなされる場合、これはユーザが車両を発進させるためであると考えられるため、車両が発進すると予測することができる。そして、車両が発進すると予測される場合、ステップS12において、車両の発進を準備する。すなわち、循環用クラッチ24を締結状態に切り替え、エンジン20を起動するとともに、CVT22の変速比を制御装置28によって認識されているGNPに操作する。
この際、循環用クラッチ24の締結力は、車両走行時と比較して小さい値に制限する(締結力制限処理)。これは、CVT22の変速比が真のGNPからずれることでCVT22に大きいトルクが加わる場合に、循環用クラッチ24の入力側と出力側とを滑らせることを狙ったものである。これは、第1に、CVT22の変速比が真のGNPからずれる状況下、これを滑りによって検出するための設定である。第2に、CVT22に過度に大きい力が加わることを回避するための設定である。なお、このステップS12の処理は、締結制限手段を構成する。
続くステップS14においては、ブレーキ制御がなされていることと、循環用クラッチ24の入力側および出力側間の回転速度の差の絶対値(|Nc1−Nc2|)が規定値Δ以上であることとの論理積が真であるか否かを判断する。この処理は、CVT22の変速比がGNPからずれることで、駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回るか否かを判断するものである。この処理は、判断手段を構成する。ここで、規定トルクは、CVT22に信頼性の低下を招くトルクが加わる際の下限トルク未満に設定される。
ステップS14において肯定判断される場合、ステップS16において、フラグFを「1」とし、駆動輪14に加わるトルクを制限する処理として、次の処理を行なう。すなわち、エンジン20から駆動輪14までのトータルの変速比(エンジン20の回転速度/駆動輪14の回転速度)の絶対値を増大させるようにCVT22の変速比を操作する。これにより、駆動輪14を回転させようとする方向とは逆方向に駆動輪14を回転させる側にCVT22が操作される。これは、CVT22の変速比を真のGNPにフィードバック制御する処理である。なぜなら、CVT22の変速比がGNPからずれている場合、真のGNPとした場合と比較してトータルの変速比が小さくなるからである。この処理は、フィードバック制御手段を構成する。ちなみに、駆動輪14を回転させようとする方向は、循環用クラッチ24の入力側に対する出力側の相対回転速度に応じて把握すればよい。
またこの際、エアコン用クラッチ32を締結状態とすることで、エンジン20の動力のうち、車載補機に入力される割合を増大させる処理を行なう。これにより、エンジン20の動力のうち駆動輪14へと出力される動力が減少することから、CVT22に加わるトルクを減少させることができる。これは、上記フィードバック制御によって、キャリアの回転方向が頻繁に反転するハンチング現象が生じることを抑制する効果を有する。なお、この処理は、増大手段を構成する。
上記ステップS16の処理は、ステップS14において否定判断されるまで実行される。そして、ステップS14において否定判断される場合、ステップS18において、フラグFが「1」であるか否かを判断する。この処理は、上記ステップS16の処理がなされた状態からなされなくなる状態に移行したタイミングであるか否かを判断するためのものである。
そしてステップS18において肯定判断される場合、ステップS20において、制御装置28の認識するGNPを、そのときのCVT22の変速比に更新する。すなわち、ステップS14において肯定判断される場合、制御装置28の認識するGNPは、真のGNPからずれていることとなる。これに対し、ステップS16の処理の結果、ステップS14において否定判断されるようになった場合、そのときのCVT22の変速比は、それまで認識されていたGNPと比較して真のGNPにより近い値となっていると考えられる。このため、制御装置28の認識するGNPを更新することで、GNPを学習することができる。この処理は、学習手段を構成する。
また、ステップS20においては、エアコン用クラッチ32を解除するとともに、フラグFを「0」とする。なお、ステップS20の処理が完了する場合や、ステップS10において否定判断される場合には、ステップS22において、締結制限処理を解除する。そして、ステップS22の処理が完了する場合や、ステップS10において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以下、本実施形態の効果のいくつかを記載する。
(1)ギアードニュートラル状態への制御時において、循環用クラッチ24の締結力を制限することで、入力側と出力側との滑りに基づき、駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回るか否かを判断することができる。
(2)ギアードニュートラル状態への制御時において、循環用クラッチ24の締結力を制限することで、CVT22の変速比が真のGNPからずれることに起因して、駆動輪14に過大なトルクが加わる事態を回避することができる。
(3)駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回ると判断される場合、トータル変速比を増大させることで、CVT22の変速比が真のGNPからずれることに起因して、駆動輪14に過大なトルクが加わる事態を回避することができる。
(4)トータル変速比を増大させるに際し、エアコン用クラッチ32を強制的に締結状態とした。これにより、CVT22に加わるトルクを低減することができ、また、GNPへのフィードバック制御に際してハンチングを抑制することができる。
(5)トータル変速比の増大制御によって駆動輪14に加わるトルクが低減する場合、そのときのCVT22の変速比によって、制御装置28の認識するGNPを更新した。これにより、次回以降のギアードニュートラル制御の制御性を向上させることができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態にかかるギアードニュートラル制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置28によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。なお、図5において、先の図4に示した処理に対応するものについては、便宜上、同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS14において肯定判断される場合、ステップS16aにおいて、駆動輪14に加わるトルクを低減する処理として、ブレーキアクチュエータの操作によって、ブレーキ圧を低減する処理を行なう。すなわち、これにより、駆動輪14が僅かに加速することで、駆動輪14に加わるトルクを低減する。なお、この処理は、低減手段を構成する。また、この処理は、ステップS14において否定判断された後、ステップS18の処理を経て、ステップS20aの処理に移行することで解除される。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態にかかるギアードニュートラル制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置28によって、たとえば所定周期でくり返し実行される。なお、図6において、先の図4に示した処理に対応するものについては、便宜上、同一のステップ番号を付している。
この一連の処理では、ステップS14において肯定判断される場合、ステップS16bにおいて、駆動輪14に加わるトルクを低減する処理として、CVT22のベルトを緩める処理を行なう。これは、CVT22のプーリがベルトを押し付ける力を低減することで実現することができる。これにより、CVT22に加わるトルクを軽減することができる。なお、この処理は、緩め制御手段を構成する。また、この処理は、ステップS14において否定判断された後、ステップS18の処理を経て、ステップS20bの処理に移行することで解除される。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図7において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、エンジン20をトルクコンバータ40を介してサンギアSに機械的に連結する。トルクコンバータ40は、入力側の回転を作動流体を介して出力側に伝達するものである。ただし、入力側と出力側とを機械的に連結するロックアップクラッチを備えるものを想定している。このロックアップクラッチは、制御装置28によって電気的に操作される。
こうした構成によれば、ギアードニュートラル制御時においては、トルクコンバータ40のロックアップクラッチを解除しておくことで、CVT22に過度に大きいトルクが加わる事態を回避することができる。これは、CVT22の変速比が真のGNPからずれる場合、エンジン20側とサンギアS側との滑りが大きくなるためである。
なお、トルクコンバータ40は、エンジン20の動力を熱エネルギに変換する変換機構を構成する。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図8において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、キャリアCとデフギア12との間に、ダンパ42を備える。これにより、CVT22に過度に大きいトルクが加わる事態を回避することができる。これは、CVT22の変速比が真のGNPからずれる場合、キャリアCの回転がデフギア12に直接伝えられる代わりに、ダンパ42で吸収されるからである。ダンパ42は、エンジン20の動力を熱エネルギに変換する変換機構を構成する。
なお、本実施形態では、ギアードニュートラル制御時においてCVT22を保護する対策として、先の図4のステップS16の処理を併せ行なうことが望ましい。これは、ダンパ42によるトルクの吸収は短時間に限って可能であるためである。
<第6の実施形態>
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかるシステム構成を示す。なお、図9において、先の図1に示した部材に対応するものについては、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、キャリアCとデフギア12との間に、空気溜まり50を備える。空気溜まり50は、内部にキャリアCと一体的に回転する軸に連結されたフィン52を備える。これにより、CVT22に過度に大きいトルクが加わる事態を回避することができる。これは、CVT22の変速比が真のGNPからずれる場合、空気溜まり50がキャリアCのトルクを吸収するからである。空気溜まり50は、エンジン20の動力を熱エネルギに変換する変換機構を構成する。もっとも、空気溜まり50を変換機構として利用するためには、駆動輪14の回転を許容するようにブレーキ力を弱める等することが望ましい。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「判断手段について」
たとえば、ベルトの滑りを検出することで、駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回るか否かを判断する手段であってもよい。また、たとえば、歪ゲージ式トルク検出器を備えてその検出値を利用する手段であってもよい。
さらに、遊星歯車機構10とデフギア12との間等には、通常、機械的ながたが存在すため、駆動輪14が静止状態であってもキャリアCの微小回転が可能となっている。このため、これを利用して、キャリアCの回転に基づき、駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回るか否かを判断してもよい。なお、この手段は、実際に規定トルクを上回る以前に、上回るであろうことを予測判断する手段となる。
「フィードバック制御手段について」
駆動輪14を回転させようとする方向の把握手法としては、循環用クラッチ24の入力側に対する出力側の相対回転速度の符号の検出結果に基づくものに限らない。たとえば遊星歯車機構10のキャリアCの回転方向の検出結果に基づくものであってもよい。
駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回ると判断されることをトリガとして、駆動輪14の進行しようとする回転方向とは逆向きに回転する側にCVT22の変速比を操作する処理を必ず行なうものに限らない。たとえば、駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回ると判断される場合、CVT22のプーリの溝巾を固定する力を低減し(緩め制御手段による処理)、それによっても規定トルクを上回る状態が解消されない場合に限ってトータル変速比の絶対値を増大させるものであってもよい。
また、増大手段(図4;ステップS16)、低減手段(図5;ステップS16a)、緩め制御手段(図6;ステップS16b)による処理を併せ行なうものに限らない。たとえば増大手段を備えなくても、締結制限手段による締結力制限処理を行なうなら、ハンチング抑制の効果を奏する。
ハンチング対策としては、他にも、フィードバックゲインを低減することで対処してもよい。加えて、トータル変速比の符号が正である領域において絶対値を増大させる側にCVT22の変速比を変更する処理と、負である領域において絶対値を増大させる側にCVT22の変速比を変更する処理との一対の処理について、それらの切り替えにヒステリシスを持たせる設定としたりすることで対処してもよい。
「学習手段について」
上記各実施形態では、フラグFが1であるときにステップS14において否定判断される都度、ギアードニュートラルポイントGNPの学習値を変更したがこれに限らない。たとえば、ブレーキが解除されることでステップS14において否定判断される場合には、学習を禁止してもよい。
「締結制限手段について」
判断手段が締結制限手段を利用しないなら、これを設けなくてもよい。もっとも、判断手段が締結制限手段を利用しない場合であっても、締結制限手段を備えるなら、ドライブレンジに切り替えられた際にCVT22の変速比が真のGNPからずれていたとしても、CVT22に過大なトルクが加わる事態を好適に回避することはできる。
「増大手段について」
駆動源(エンジン20)の動力を吸収する負荷としては、コンプレッサ30に限らない。たとえば、ウォータポンプ等であってもよい。
「変換機構について」
先の第4の実施形態(図7)において、トルクコンバータ40を、リングギアRとギア26との間や、キャリアCとデフギア12との間に設けてもよい。
先の第5の実施形態において、ダンパ42を、リングギアRとギア26との間や、エンジン20とサンギアSとの間に設けてもよい。
上記各実施形態で例示したものに限らず、たとえばトルクリミッタを備えるようにしてもよい。
「制限手段について」
たとえば、駆動輪14に加わるトルクが規定トルクを上回ると判断される場合、駆動源(エンジン20)の動力を低減する処理を行なうものであってもよい。
「共線図上において回転速度が1直線上に並ぶ3つの回転体について」
駆動輪14に機械的に連結される回転体(第3の回転体)がキャリアCであるものに限らない。たとえば、リングギアRに駆動輪14を機械的に連結し、キャリアCとサンギアSとをCVT22を介して機械的に連結してもよい。
また、3つの回転体としては、遊星歯車機構を構成するものに限らず、たとえばデフギアを構成するものであってもよい。
「駆動源について」
エンジン20に限らない。たとえばモータジェネレータであってもよい。また、エンジンとモータジェネレータとの双方を備えるものであってもよい。この場合、たとえば、先の図1において、モータジェネレータについては、CVT22とリングギアRとの間に機械的に連結してもよい。
10…遊星歯車機構、14…駆動輪、20…エンジン、22…CVT、28…制御装置。

Claims (9)

  1. 駆動源(20)の回転速度がゼロでない状況下、駆動輪(14)の回転速度をゼロとするギアードニュートラル状態を実現すべく、前記駆動源の動力を駆動輪に伝達する経路に設けられた無段変速装置の変速比を操作する操作手段(S12)と、
    ギアードニュートラル状態を実現すべく前記操作手段によって前記無段変速装置が操作される状況下、前記駆動源の動力に起因して前記駆動輪に加わるトルクを制限する制限手段(S12,S16,16a,S16b,40,42,50)と、
    を備えることを特徴とする動力伝達装置。
  2. 前記制限手段は、
    ギアードニュートラル状態を実現すべく前記無段変速装置が操作される状況下、前記駆動源の動力に起因して前記駆動輪に加わるトルクが規定トルクを上回るか否かを判断する判断手段(S14)と、
    前記判断手段によって規定トルクを上回ると判断される場合、進行しようとする方向とは逆方向に前記駆動輪が回転する側に前記無段変速装置の変速比を操作するフィードバック制御手段(S16,S16a,S16b)と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
  3. 前記駆動源の動力を駆動輪に伝達する経路は、共線図上において回転速度が一直線上に並ぶ3つの回転体である第1の回転体(R)、第2の回転体(S)、および第3の回転体(C)を備え、
    前記第3の回転体には駆動輪が機械的に連結されており、
    前記第1の回転体および前記第2の回転体は、前記無段変速装置を介して機械的に連結可能とされており、
    前記第1の回転体および前記第2の回転体の間には、入力側および出力側の締結および解除を切り替える締結手段(24)が備えられ、
    前記制限手段は、ギアードニュートラル状態を実現すべく前記無段変速装置が操作される状況下、前記締結手段による前記入力側および前記出力側を締結させる力を制限する締結制限手段(S12)を備え、
    前記判断手段は、前記締結制限手段による締結の制限がなされる状況下、前記入力側および前記出力側間の滑りの検出に基づき、前記規定トルクを上回るか否かを判断することを特徴とする請求項2記載の動力伝達装置。
  4. 前記フィードバック制御手段は、前記無段変速装置の変速比の操作によってギアードニュートラル状態となる変速比を学習する学習手段(S14,S16,S18,S20)を備え、
    前記操作手段は、前記学習手段によって学習された変速比に基づき、前記ギアードニュートラル状態を実現すべく前記無段変速装置を操作することを特徴とする請求項2または3記載の動力伝達装置。
  5. 前記フィードバック制御手段による前記無段変速装置の変速比の操作がなされる状況下、前記駆動輪に加わる制動力を低減させる低減手段(S16a)を備えることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
  6. 前記駆動源には、車載補機(30)が機械的に連結可能とされており、
    前記フィードバック制御手段による前記変速比の制御がなされる状況下、前記駆動源の動力のうち前記車載補機に入力される割合を増大させる増大手段(S16)を備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
  7. 前記無段変速装置は、ベルト式のものであり、
    前記制限手段は、
    ギアードニュートラル状態を実現すべく前記無段変速装置が操作される状況下、前記駆動源の動力に起因して前記駆動輪に加わるトルクが規定トルクを上回るか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段によって規定トルクを上回ると判断される場合、前記無段変速装置のベルトを緩める処理を行なう緩め制御手段(S16b)と、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の動力伝達装置。
  8. 前記制限手段は、前記駆動源の動力を熱エネルギに変換する変換機構(24,40,42,50)を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の動力伝達装置。
  9. 前記駆動源の動力を駆動輪に伝達する経路は、共線図上において回転速度が一直線上に並ぶ3つの回転体である第1の回転体、第2の回転体、および第3の回転体を備え、
    前記第1の回転体および前記第2の回転体は、前記無段変速装置を介して機械的に連結可能とされており、
    前記第1の回転体および前記第2の回転体の間には、入力側および出力側の締結および解除を切り替える締結手段が備えられ、
    前記制限手段は、ギアードニュートラル状態を実現すべく前記無段変速装置が操作される状況下、前記締結手段による前記入力側および前記出力側を締結させる力を制限する締結制限手段を備えることで、前記締結手段を前記変換機構とすることを特徴とする請求項8記載の動力伝達装置。
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