JP2002168248A - 直動装置 - Google Patents

直動装置

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JP2002168248A JP2000366098A JP2000366098A JP2002168248A JP 2002168248 A JP2002168248 A JP 2002168248A JP 2000366098 A JP2000366098 A JP 2000366098A JP 2000366098 A JP2000366098 A JP 2000366098A JP 2002168248 A JP2002168248 A JP 2002168248A
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Keisuke Yokoyama
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/66Special parts or details in view of lubrication
    • F16C33/6603Special parts or details in view of lubrication with grease as lubricant

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アミン系添加剤等を多く含むソリュブル型シ
ンセティック切削クーラント等の薬剤に対して高い耐薬
品性を持たせてこれらの薬剤が降りかかる環境で使用し
ても装置寿命を長期間にわたって確保する。 【解決手段】 スライダ2と、該スライダ2にすき間を
介して対向する案内レール1と、スライダ2と案内レー
ル1材との間に転動自在に配設され、案内レール1に対
してスライダ2を軸方向に相対移動させる複数の転動体
と、前記すき間の開口をシールする接触シール装置12
とを備えたリニアガイド装置において、接触シール装置
12のサイドシール部材を、フッ化ビニリデン−テトラ
フルオロエチレン−プロピレン3元共重合体及びテトラ
フルオロエチレン−プロピレン2元共重合体の内の少な
くとも一方の共重合体を基本構造とするフッ素ゴムを含
有するゴム材料組成物で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リニアガイド装置
やボールねじ装置等の直動装置に使用する接触ゴムシー
ル装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】直動装置の代表的なものとしては、例え
ば直動案内装置として用いられるリニアガイド装置や、
直動駆動装置として用いられるボールねじ装置等が知ら
れている。リニアガイド装置は、例えば図8に示すよう
に、軸方向に延びる案内レール(内方部材)1と、該案
内レール1上に軸方向に移動可能に所定のすき間を介し
て跨架されたスライダ(外方部材)2とを備えている。
【0003】案内レール1の両側面にはそれぞれ軸方向
に延びる直線状の転動体転動溝3が形成されており、ス
ライダ2のスライダ本体2Aには、その両袖部4の内側
面に、それぞれ転動体転動溝3に対向する直線状の転動
体転動溝(図示せず。)が形成されている。そして、こ
れらの向き合った案内レール1とスライダ2の両転動体
転動溝間には転動体としての多数の鋼球(図示せず。)
が転動自在に装填され、該鋼球の転動を介してスライダ
2が案内レール1上を軸方向に沿って移動できるように
なっている。この移動につれて、案内レール1とスライ
ダ2との間に介在する多数の鋼球は転動してスライダ2
のスライダ本体2Aの端部に移動するが、スライダ2を
軸方向に継続して移動させていくためには、これらの鋼
球を無限に循環させる必要がある。
【0004】そこで、スライダ本体2Aの袖部4内に軸
方向に貫通する直線状の転動体通路(図示せず。)を形
成すると共に、スライダ本体2Aの前後両端にそれぞれ
転動体循環部品としてのエンドキャップ2Bを取り付
け、このエンドキャップ2Bに上記両転動体転動溝間と
上記転動体通路とを連通する半円弧状に湾曲した転動体
循環R部を形成することにより、転動体無限循環軌道を
構成している。
【0005】また、スライダ2には、案内レール1との
間のすき間の開口をシールする接触シール装置として、
図9に示すように、両端(各エンドキャップ2Bの端
面)にサイドシール部材5(案内レール1に対してマイ
ナス隙間の接触シール)が装着され、下面にアンダーシ
ール部材6が装着されている。これらのシール部材5,
6は、一般的にはNBR(アクリロニトリルブタジエン
ゴム)などのゴム材が用いられて鋼板などの補強部材と
一体化されており、特に耐薬品性や耐熱性が必要とされ
る場合は、ゴム材としてフッ素ゴム(FKM:フッ化ビ
ニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム又は
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラ
フルオロエチレン系フッ素ゴム)が使用されることがあ
る。なお、図中7は、グリースニップルである。
【0006】一方、直動駆動装置であるボールねじ装置
は、図示は省略するが、ねじ軸(内方部材)の外周面に
設けた螺旋状のねじ溝と、ボールねじナット(外方部
材)の内周面に設けた螺旋状のねじ溝との間に装填され
た多数のボール(転動体)を介して、ねじ軸(又はボー
ルねじナット)の回転をボールねじナット(又はねじ
軸)の軸方向の変位に変換する装置であり、ボールねじ
ナットの両端に接触シール装置として例えばプラスチッ
クシール部材を装着して、外部からの異物の侵入や内部
の潤滑剤の外部への拡散を防止することが行われてい
る。
【0007】接触シール装置は、一般にポリアセタール
樹脂等の樹脂材でリング状に形成されており、その内径
部にねじ軸のねじ溝に嵌合する凸部を有すると共に、径
方向に切断する切欠き(切割)が設けてある。そして、
その切割を開きリングを拡開させてねじ軸に嵌め合わせ
た後、ボールねじナットの端部外周面から止めねじをね
じ込み、接触シール装置の外径面を内側に圧迫すること
により、該接触シール装置がボールねじナットの端部に
固定されるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のリニアガイド装置やボールねじ装置においては、そ
れぞれ接触シール装置に次のような問題が生じている。
まず、リニアガイド装置から説明すると、近年、リニア
ガイド装置が使用される工作機械の主軸回転数が高速化
し、工具においては耐熱性の高い材質やコーティング技
術の開発が飛躍的に進み、切削加工の高速化・高能率化
が図られている。それに伴って、切削油剤についても、
切削点近傍にて多量に発生する熱を吸収する冷却性、瞬
時に切削点に到達するための浸透性、及び高温・高圧の
切削点における潤滑性等を最高度に発揮するように、従
来のエマルジョンタイプの水溶性切削油に代わって、完
全に水に溶解することで廃水処理が可能になったソリュ
ブル型シンセティック切削クーラントが登場してきた。
【0009】ソリュブル型シンセティック切削クーラン
トの大きな特徴は、浸透性を向上させるためにアミン等
の各種添加剤が多数添加された点にあり、従って、ゴム
材への浸透性も高く、ゴム材が膨脹・軟化等の変質を引
き起こしやい。この結果、ソリュブル型シンセティック
切削クーラントが降りかかる環境で使用されるリニアガ
イド装置の接触シール装置のシール部材の摺動部(ゴム
リップ部)のゴム強度が弱くなると同時にシール部材の
締め代が大きくなって摩耗が促進され、シール性が落ち
てリニアガイド装置自体の寿命低下につながる虞れが出
てきた。
【0010】また、特にシール部材のゴム材質が、FK
M(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系フ
ッ素ゴム又はフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム)の場合、
構造中に多く存在するフッ化ビニリデンの部位が、アミ
ン系添加剤によって脱HFを引き起こして劣化し、ゴム
強度が低下することも考えられる。
【0011】一方、ボールねじ装置はリング状のシール
装置を止めねじによってボールねじナットに固定してい
るので、ねじ軸のねじ溝とシール装置の凸部との嵌合隙
間は、ねじ軸のねじ溝とシール装置との寸法関係に依存
することになり、このため、嵌合隙間は常にゼロになる
とは限らず、ボールねじ装置の使用条件によっては十分
なシール性が得られ無い場合が生じ、この結果、ボール
ねじナット内部に切削粉等の異物が侵入しやすくなって
ボールねじ装置自体の焼付きの原因となることがあっ
た。
【0012】この場合、シール性を改善するために、プ
ラスチックシール部材に代えて、リニアガイド装置の接
触シール装置と同様に、ゴム製のシール部材を用いる
と、リニアガイド装置と同様の不具合が生じることが考
えられる。本発明はこのような不都合を解消するために
なされたものであり、アミン系添加剤等を多く含むソリ
ュブル型シンセティック切削クーラント等の薬剤に対し
て高い耐薬品性を持ち、これらの薬剤が降りかかる環境
で使用しても装置寿命を長期間にわたって確保すること
ができる直動装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る直動装置は、外方部材と、該外方部材
にすき間を介して対向する内方部材と、前記外方部材と
前記内方部材との間に転動自在に配設され、前記内方部
材に対して前記外方部材を相対移動させる複数の転動体
と、前記すき間の開口をシールする接触シール装置とを
備えた直動装置において、前記接触シール装置のシール
部材を、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−
プロピレン3元共重合体及びテトラフルオロエチレン−
プロピレン2元共重合体の内の少なくとも一方の共重合
体を基本構造とするフッ素ゴムを含有するゴム材料組成
物で構成したことを特徴とする。
【0014】本発明のゴム材料組成物は、原料ゴムであ
るフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピ
レン3元共重合体あるいはテトラフルオロエチレン−プ
ロピレン2元共重合体の他、各種充填材、加硫系添加
剤、及び加工助剤等の各種添加剤が更に添加され、シー
ル装置の材料として好適に使用される。原料ゴムである
フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピレ
ン3元共重合体あるいはテトラフルオロエチレン−プロ
ピレン2元共重合体の製造には、塊状重合、懸濁重合、
乳化重合、溶液重合など各種重合方式の採用が可能であ
り、フリーラジカル開始剤を使用する触媒重合法、電離
性放射重合法、レドックス系重合法などが適宜採用され
得る。
【0015】フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレ
ン−ブロビレン3元共重合体は、有機過酸化物による加
硫を容易にするために加硫部位としてポリマーの主鎖に
脱フッ化水素により炭素−炭素二重結合を導入したり、
ヨウ素または臭素含有のモノマ−を共重合させてもよい
ものでもよい。この原料ゴムは、フッ化ビニリデン部位
を含有することから、通常有機過酸化物加硫用に行われ
る上記の加硫部位が導入されていなくとも、2価の金属
水酸化物及び2価の金属酸化物から選ばれるすくなくと
も1種及び有機オニウム化合物を配合すれば、良好な加
硫特性が得られ、良好な物性を有する加硫物を得ること
ができる。
【0016】3つのモノマーの共重合の割合は、フッ化
ビニリデンが1〜30モル%(より好ましくは2〜5モ
ル%)、テトラフルオロエチレンが40〜70モル%、
プロピレンが30〜60モル%が好ましい。アミン等へ
の耐薬品性と加硫特性を大きく左右するのは、フッ化ビ
ニリデンの重合割合であり、加硫特性を考えれば、その
割合は多い方が良いが、多すぎるとそれだけ耐薬品性は
低下する。加硫特性を犠牲にして、耐薬品性を追い求め
ると、その割合は2〜5モル%が好ましい。
【0017】テトラフルオロエチレン−プロピレン2元
共重合体は、構造中にフッ化ビニリデンが存在しないこ
とから、加硫特性はさらに悪いが、有機過酸化物加硫が
できるようにヨウ素または臭素含有のモノマーが共重合
されることで、加硫が可能になっている。テトラフルオ
ロエチレン−プロピレン2元共重合体の共重合の割合
は、テトラフルオロエチレンが40〜70モル%、プロ
ピレンが30〜60モル%が好ましい。
【0018】補強目的の充填材としては、カーボンブラ
ック、タルク、ウォラストナイト、ミストロンペーパ一
等を原料ゴム100重量部に対して好ましくは20〜7
0重量部添加する。なお、シリカ、クレーは、酸性で加
硫を遅延するため好ましくない。加硫剤としては、有機
過酸化物を用い、具体的には、ジクミルパーオキサイ
ト、2,5−ジメチル、2,5ジ(t−ブチルパーオキ
シ)へキサン、ベンゾイルパーオキサイト、1,3−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン
等を原料ゴム100重量部に対して0.5〜10重量部
添加するのが好ましい。フッ化ビニリデン−テトラフル
オロエチレン−プロピレン3元共重合体の場合は、有機
過酸化物によるパーオキサイド加硫に加えて、ポリアミ
ン加硫、ポリオール加硫が可能である。
【0019】加硫助剤としては、不飽和多官能性化合物
が用いられ、具体的にはトリアリルイソシアヌレート、
トリアリルシアヌレートなどの多アリル化合物、トリメ
チロールプロパントリメタクリレートなどのメタクリレ
ート化合物を原料ゴム100重量部に対して0.5〜1
0重量部添加するのが好ましい。フッ化ビニリデン−テ
トラフルオロエチレン−プロピレン3元共重合体の場合
に加硫助剤として用いる2価の金属水酸化物または2価
の金属酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、
鉛、亜鉛等の水酸化物及び酸化物が挙げられ、原料ゴム
100重量部に対して1〜20重量部添加するのが好ま
しい。
【0020】フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレ
ン−プロピレン3元共重合体の場合に加硫助剤として添
加する有機オニウム化合物は、加硫時のゴムからの脱フ
ッ化水素反応を促進し、加硫を円滑に行わしめるもので
あり、特に炭素数1〜20の脂肪酸4級アンモニウム硫
酸水素塩が好ましく、具体的には硫酸水素テトラブチル
アンモニウム、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫
酸水素テトラエチルアンモニウム、硫酸水素トリドデシ
ルメチルアンモニウム、硫酸水素トリメチルベンジルア
ンモニウム等が挙げられ、原料ゴム100重量部に対し
て0.3〜5重量部添加するのが好ましい。
【0021】本発明のゴム材料組成物の硬度は、接触シ
ール装置に適用した際の密封性・追従性から、デュロメ
ータAスケールで測定したスプリング硬度が、60〜9
0の範囲が好ましい。スプリング硬度が60未満の場合
は、リニアガイド装置のスライダやボールねじ装置のボ
ールねじナットが直線の往復運動を行う際にそれに付帯
する接触シール装置のシール部材のゴムリップ部が必要
以上に変形し、結果として摩擦抵抗が大きくなる場合が
あり、それによって、運動時の摩擦力が大きくなってス
ムーズな往復運動ができなくなる虞がある。
【0022】また、スプリング硬度が90を越えると、
ゴム弾性が低下し、往復運動でのシール部材のゴムリッ
プ部の追従性、つまり密封性が悪くなり、異物が多い環
境で使用すると、寿命に差が生じやすくなる。なお、ゴ
ムリップ部の変形度合やゴム弾性を特に好ましくするに
は、ゴム材料組成物のスプリング硬度を70〜80の範
囲にするとよい。
【0023】また、直動装置の運動部の往復運動に速や
かに追従し、ゴムリップ部の損傷を引き起こさないよう
にするためには、ゴム材料組成物が硬度以外に、引張破
断伸びが200%以上、引張破断強さが13MPa以上
の機械的強度を有していることが好ましい。本発明のゴ
ム材料組成物を用いた接触シール装置を配設した直動装
置には、接触シール装置に近接して、潤滑剤含有ポリマ
からなる潤滑剤供給部材を配設してもよい。
【0024】潤滑剤含有ポリマは、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン等の基
本的に同じ化学構造を有するポリオレフィン系樹脂の群
から選定された合成樹脂に、潤滑剤としてポリα−オレ
フィン油のようなパラフィン系炭化水素油、ナフテン系
炭化水素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテル油の
ようなエーテル油、フタル酸エステルのようなエステル
油等の何れか単独若しくは混合油の形で混ぜて調整した
原料を、樹脂の融点以上で加熱して可塑化し、その後冷
却することで固形状にしたものであり、潤滑剤の中に予
め酸化防止剤、錆止め剤、摩耗防止剤、あわ消し剤、極
圧剤等の各種添加剤を加えたものでもよい。
【0025】潤滑剤含有ポリマの組成比は、全重量に対
してポリオレフィン系樹脂10〜50重量%、潤滑剤9
0〜50重量%である。ポリオレフィン系樹脂が10重
量%未満の場合は、あるレベル以上の硬さ・強度が得ら
れず、直動装置の稼動によって負荷がかかった時に破損
等の不具合を生じる可能性が高くなる。また、ポリオレ
フィン系樹脂が50重量%を越える場合(つまり、潤滑
剤が50重量%未満の場合)は、ゴムリップ部への潤滑
剤の供給が少なくなり、ゴムリップ部の摩擦低減効果が
少なくなる。
【0026】上記合成樹脂の群は、基本構造は同じでそ
の平均分子量が異なって700〜5×106 の範囲に及
んでおり、平均分子量700〜1×104 のワックス
(例えばポリエチレンワックス)に分類されるものと、
平均分子量1×104 〜1×106 の比較的低分子量の
ものと、平均分子量1×106 〜5×106 の超高分子
量のものとを、単独若しくは必要に応じて混合して用い
る。比較的低分子量のものと潤滑剤との組合わせによっ
て、ある程度の機械的強度、潤滑剤供給能力、保油性を
持つ潤滑剤含有ポリマが得られる。
【0027】この中の比較的低分子量のものの一部を、
ワックスに分類されるものに置き換えると、ワックスに
分類されるものと潤滑油との分子量の差が小さいために
潤滑油との親和性が高くなり、結果として潤滑剤含有ポ
リマの保油性が向上し、長期間にわたっての潤滑剤の供
給が可能になる。但し、機械的強度は低下する。ワック
スとしては、ポリエチレンワックスのようなポリオレフ
ィン系樹脂の他、融点が100〜130°C以上の範囲
にある炭化水素系のもの(例えばパラフィン系合成ワッ
クス)が好適に使用できる。それに対して、超高分子量
のものに置き換えると、超高分子量のものと潤滑油との
分子量の差が大きいために潤滑油との親和性が低くな
り、結果として保油性が低下し、潤滑剤含有ポリマから
の潤滑剤の滲み出しが速くなる。
【0028】それによって、潤滑剤含有ポリマから供給
可能な潤滑剤量に達するまでの時間が短くなり、軸受の
寿命が短くなる。但し、機械的強度は向上する。成形
性、機械的強度、保油性、潤滑剤供給量のバランスを考
慮すると、潤滑剤含有ポリマの組成比は、ワックスに分
類されるもの0〜5重量%、比較的低分子量のもの8〜
48重量%、超高分子量のもの2〜15重量%、3つの
樹脂分の合計10〜50重量%(残りが潤滑剤90〜5
0重量%)が好適である。
【0029】なお、潤滑剤含有ポリマの機械的強度を向
上させるため、上述のポリオレフィン系樹脂に、以下の
ような熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を添加したもので
もよい。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカー
ボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエ−テル
エーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスチレン、A
BS樹脂等の各樹脂を使用することができる。
【0030】熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステ
ル樹脂、尿素樹脂、メラニン樹脂、フェノール樹脂、ポ
リイミド樹脂、エポキシ樹脂等の各樹脂を使用すること
ができる。これらの樹脂は、単独または混合して用いて
もよい。更に、ポリオレフィン系樹脂とそれ以外の樹脂
とを、より均一な状態で分散させるために、必要に応じ
て適当な相溶化剤を加えてあっても良い。
【0031】また、機械的強度を向上させるために、充
填材を添加しても良い。例えば、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカーやホウ酸ア
ルミニウムウィスカー等の無機ウィスカー類、或いはガ
ラス繊維や金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に
編組したもの、また有機化合物では、カーボンブラッ
ク、黒鉛粉末、カーボン繊維、アラミド繊維やポリエス
テル繊維等を添加してもよい。
【0032】更に、ポリオレフィン系樹脂の熱による劣
化を防止する目的で、N,N‘−ジフェニル−P−フェ
ニルジアミン、2,2‘−メチレンビス(4−エチル−
6−t−ブチルフェノール)等の老化防止剤、また光に
よる劣化を防止する目的で、2−ヒドロキシ−4−n−
オクトキシベンゾフェノン、2−(2‘−ヒドロキシ−
3‘−t−ブチル−5' −メチル−フェニル)−5−ク
ロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤を添加しても
よい。
【0033】以上の全ての添加剤(ポリオレフィン系樹
脂+潤滑剤以外)の添加量としては、添加剤全体とし
て、成形原料全量の20重量%以下であることが、潤滑
剤の供給能力を維持する上で好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態で
あるリニアガイド装置の斜視図、図2は接触シール装置
のシール部材のゴムリップ部の変形例を示す部分拡大
図、図3は本発明の第2の実施の形態であるリニアガイ
ド装置のスライダ端部の分解斜視図、図4は本発明の第
3の実施の形態であるボールねじ装置の平面図、図5は
図4の正面図、図6はねじ溝と接触シール装置との接触
部分を示す図、図7は接触シール装置がねじ軸のねじ溝
に当接した状態を示す拡大図である。なお、第1及び第
2の実施の形態は、前述の従来例(図8及び図9)のリ
ニアガイド装置と基本的構造が略同一であるので、重複
する部分については、各図に同一符号を付して説明す
る。
【0035】まず、図1を参照して、第1の実施の形態
から説明すると、このリニアガイド装置は、軸方向に沿
って延びる案内レール(内方部材)1上に断面略コ字状
のスライダ(外方部材)2が所定のすき間を介して軸方
向に相対移動可能に跨架されている。案内レール1の上
面1aと両側面1bとの境部には転動体転動溝3Aが軸
方向に沿って形成され、案内レール1の両側面1bの中
間位置には転動体転動溝3Bが軸方向に沿って形成され
ている。
【0036】スライダ2は、スライダ本体2Aと、該ス
ライダ本体2Aの軸方向両端部に着脱可能に取り付けら
れたエンドキャップ2Bとを備えており、スライダ本体
2Aの両袖部4の内側のコーナ部には案内レール1の転
動体転動溝3Aに対向する直線状の転動体転動溝(図示
せず。)が形成され、両袖部4の内側面の中央部には案
内レール1の転動体転動溝3Bに対向する直線状の転動
体転動溝(図示せず。)が形成されている。案内レール
1の転動体転動溝3A,3Bとこれらに対向するスライ
ダ本体2Aの両袖部4の各転動体転動溝とによって転動
体の転動路が形成されている。また、スライダ本体2A
の両袖部4の肉厚部分には軸方向に貫通する転動体通路
(図示せず。)が片側2本ずつ上下方向に互いに離間し
て形成されている。
【0037】エンドキャップ2Bには、前記転動体転動
路とこれに平行な前記転動体通路とを連通する半円弧状
に湾曲した転動体循環R部(図示せず。)が形成されて
おり、前記転動体転動路、前記転動体通路及び前記転動
体循環R部によって、転動体を無限に循環させる転動体
無限循環軌道を構成している。この転動体無限循環軌道
には、例えば鋼球からなる多数の転動体(図示せず。)
が転動自在に装填されており、スライダ2は、前記転動
体無限循環軌道の前記転動体転動路内の転動体の転動を
介して案内レール1に沿って滑らかに移動するようにな
っている。
【0038】スライダ2には、案内レール1との間に形
成されるすき間の開口をシールする防塵用の接触シール
装置12が取り付けられている。接触シール装置12
は、スライダ2の軸方向端部側のすき間開口をシールす
べく該スライダ2の軸方向の両端部(エンドキャップ2
Bの外面側)に装着されたサイドシール部材(案内レー
ル1に対してマイナス隙間の接触シール)と、スライダ
2の下面側のすき間開口をシールすべく該スライダ2の
下面に装着されたアンダーシール部材とを備えている。
【0039】サイドシール部材及びアンダーシール部材
は共に所定のゴム材料組成物で構成されており、SEC
C材(亜鉛めっき鋼板)等の芯金(補強部材)と加硫接
着により一体化されている。ここで、この実施の形態で
は、接触シール装置12の内でリニアガイド装置に降り
かかるソリュブル型シンセティック切削クーラント等の
薬剤の影響を最も受けやすいサイドシール部材を、フッ
化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピレン3
元共重合体及びテトラフルオロエチレン−プロピレン2
元共重合体の内の少なくとも一方の共重合体を基本構造
とするフッ素ゴムを含有するゴム材料組成物によって構
成している。
【0040】以下、サイドシール部材のゴム材料組成物
について、実施例と比較例とを比較しつつ説明する。
【0041】
【表1】
【0042】フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレ
ン−プロピレン3元共重合体を原料ゴムとした実施例1
及び2、テトラフルオロエチレン−プロピレン2元共重
合体を原料ゴムとした実施例3、フッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロピレン2元共重合体を原料ゴムとした
比較例1について、それぞれ原料ゴム100重量部に対
して補強材、架橋剤、加硫促進助剤を表1に示す配合比
率で配合し、次の(1)〜(3)の各工程を経て接触シ
ール装置を作成した。 (1)素練り工程 表1の架橋剤、加硫促進剤以外の材料を、バンバリーミ
キサーに投入し、ミキサー温度800°Cで素練りを行
った。 (2)混練り工程 素練りした材料をバンバリーミキサーから取出し、ゴム
混錬用の2本ロールに投入した。ロール温度50°Cに
制御しながら、表1に示す加硫促進剤(あるいは架橋
剤)を投入し、均一になるまで切り替えし操作を行った
後、シート状にした。 (3)加硫工程及び加硫接着工程 170°Cに加熱したホットプレスに、厚さ2mm用の
シート加硫金型を装着し、そこに混練り工程で得られた
前記シートを載置して、20分間加熱し、縦150m
m、横150mm、厚さ2mmの加硫されたゴムシート
(サイドシール部材)を得た。次いで、目的の形状とな
るような金型中で、あらかじめ接着剤を焼き付けたSE
CC(亜鉛めっき鋼板)製芯金(略コ字状で、取付けね
じ穴を3箇所あけたもの)に前記ゴムシートを加硫接着
して一体化することにより、接触シール装置12を作成
した。
【0043】なお、2次加硫条件は実施例1及び実施例
3が200°Cで4時間、実施例2が230°Cで24
時間、比較例1が180°Cで4時間とした。次に、実
施例1〜3及び比較例1のサイドシール部材毎に、硬
さ、引張り破断強さ及び伸び、体積変化率についての物
性試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】なお、物性試験方法は以下の通りである。 (硬さ試験)加硫工程で得られたシートをJIS3号試
験片の形状に打ち抜き、それを3枚重ねて、JISK6
301に基づいて、硬さを測定した。 (引張試験)JIS3号試験片について、万能型試験機
で、引張試験を行い、破断する引張り強さ及び引張り伸
びを測定した。 (体積変化率)ソリュブル型シンセティック切削クーラ
ント(ユシローケンシンセティック#660、ユシロ化
学工業)の実際の使用濃度(水で20倍希釈)に薄めた
液体中に70°Cで1週間、JIS3号試験片を浸漬し
た後、その体積変化率を測定した。
【0046】表2から明らかなように、体積変化率の測
定結果から、比較例1に対して実施例1〜3はいずれも
体積変化率が小さく、しかも、実施例1及び2について
は、フッ化ビニリデンのモル比が少ない実施例1の方が
体積変化率が小さいことが判る。また、フッ化ビニリデ
ンを含有しない実施例3に至っては、ソリュブル型シン
セティック切削クーラントの液体中でもほとんど膨張す
ることがないことが判る。
【0047】次に、リニアガイド装置のスライダ2(L
H30mm、高さ45mm、幅60mm、長さ85.6
mm、レール幅28mm)の両端(エンドキャップ2B
の外面)に、実施例1〜3と比較例1からなるサイドシ
ール部材と芯金を一体化した接触シール装置12を各1
枚ずつ取り付けて、グリース量を通常の10%にして以
下の走行条件のもとで走行試験を行った。
【0048】 送り速度:平均32m/min ストローク:800mm 試験温度:40°C(雰囲気) 予圧:Z1 走行距離:10km 接触シール装置12のサイドシール部材の摺動部(ゴム
リップ部)と案内レールとの隙間:マイナスすき間(締
め代)0.35mm 試験雰囲気:上記のソリュブル型シンセティック切削ク
ーラントの20倍希釈液が、リニアガイド装置全体に上
から1000ml/minの量だけ降りかかるようにし
て行った。
【0049】走行時間が経つにつれて、ソリュブル型シ
ンセティック切削クーラントの影響によるサイドシール
部材の膨張、強度低下等によって、ゴムリップ部の摩耗
が進行し、リニアガイド装置の内部にソリュブル型シン
セティック切削クーラントが侵入するとともに、案内レ
ール上に付着するグリースもソリュブル型シンセティッ
ク切削クーラントによって流出する現象が見られた。潤
滑が悪くなり、エンドキャップが破損する時間を比較例
1の時間を1とした場合の実施例1〜3のデータを表3
に示す。
【0050】
【表3】
【0051】表3から明らかなように、体積変化率と同
様に、比較例1に対して実施例1〜3はいずれもエンド
キャップが破損するまでの時間が長く、しかも、実施例
1及び2については、フッ化ビニリデンのモル比が少な
い実施例1の方がエンドキャップが破損するまでの時間
が長いことが判る。また、フッ化ビニリデンを含有しな
い実施例3に至っては、ソリュブル型シンセティック切
削クーラントの液体中でも比較例1の3倍の寿命の向上
が得られたことが判る。
【0052】なお、上記第1の実施の形態では、接触シ
ール装置12のサイドシール部材と案内レール1とが摺
接する部分(ゴムリップ部)に1個の凸状部分が形成さ
れているが、この凸状部分は1個に限らず、2個以上の
凸状部分を形成してよりシール性の向上を図るようにし
てもよい。図2にサイドシール部材のゴムリップ部に三
個の凸状部分20を形成した例を示す。
【0053】次に、図3を参照して、本発明の第2の実
施の形態であるリニアガイド装置を説明する。なお、こ
の実施の形態は、上記第1の実施の形態のリニアガイド
装置の接触シール装置に近接して潤滑剤含有ポリマから
なる潤滑剤供給部材を設けた点以外は第1の実施の形態
と同一であるので、相違する部分についてのみ説明し、
第1の実施の形態と重複する部分については、図に同一
符号を付してその説明を省略する。
【0054】スライダ2のスライダ本体2Aの軸方向の
両端部に固着されているエンドキャップ2Bの外面に、
該エンドキャップ2Bに近い側から順番に補強板10、
潤滑剤含有ポリマからなる潤滑剤供給部材11及び接触
シール装置12が互いに重なり合った状態で固定されて
いる。補強板10はエンドキャップ2Bの外形形状に対
応した略コ字状の鋼板で形成されており、案内レール1
に対して非接触になっている。接触シール装置12と補
強板10との間に挟まれる潤滑剤供給部材11について
も、エンドキャップ2Bの外形形状に対応した略コ字状
をなしており、そのコ字状の内側面は案内レール1の上
面1a及び両側面1bに非接触又は少なくとも一部分が
摺接可能(潤滑剤供給部材11と案内レール1との隙間
は、0〜0.2mm)になっている。
【0055】ここで、この実施の形態では、潤滑剤供給
部材11を構成する潤滑剤含有ポリマの組成を、超高分
子量ポリエチレン(超高分子量のもの)10wt%、高
密度ポリエチレン(比較的低分子量のもの)20wt
%、パラフィン系鉱油70wt%とし、該潤滑剤含有ポ
リマを射出成形により作成している。潤滑剤供給部材1
1には、該潤滑剤供給部材11をスライダ本体2Aに固
定する際の止めねじ17A,17Bの挿通孔11a,1
1b、及びグリースニップル7の挿通孔11cが形成さ
れている。挿通孔11a,11b、及び11cには、止
めねじ17A,17Bが挿通するスリーブ15A,15
B、及びグリースニップル7が挿通するスリーブ16が
嵌め込まれるようになっている。スリーブ15A,15
B,16の軸方向長さは潤滑剤供給部材11の厚さと同
一か若干長く(〜0.2mm程度)され、スリーブ15
A,15Bの外径は挿通孔11a,11bに対応して形
成された接触シール装置12の挿通孔12a,12b及
び補強板10の挿通孔10a,10bよりも大径とされ
ている。
【0056】これにより、止めねじ17A,17Bを、
接触シール装置12の貫通孔12a,12b、潤滑剤供
給部材11のスリーブ15A,15B及び補強板10の
貫通孔10a,10bに挿通して、接触シール装置1
2、潤滑剤供給部材11及び補強板10をエンドキャッ
プ2Bと共にスライダ本体2Aの端面にねじ止め固定し
た際に、該ねじ止めによる締め付け力が接触シール装置
12と補強板10との間に挟み込まれた潤滑剤供給部材
11に作用するのを防止することができ、この結果、潤
滑剤供給部材11の自己収縮作用が妨げられないように
することができる。なお、図において符号12cは接触
シール装置12に形成されたグリースニップル7取付用
の挿通孔、10cは補強板10に形成されたグリースニ
ップル7取付用の挿通孔である。
【0057】この実施の形態のリニアガイド装置におい
ては、リニアガイド装置が駆動されると、潤滑剤供給部
材11が案内レール1に非接触又は接触した状態でスラ
イダ2と共に案内レール1に沿って移動して該潤滑剤供
給部材11から潤滑剤が徐々に滲み出し、滲み出した潤
滑剤が潤滑剤供給部材11に近接配置された接触シール
装置12のゴムリップ部に供給されるため、接触シール
装置12のゴムリップ部の安定した潤滑を長期間に渡っ
て維持することができる。
【0058】また、潤滑剤供給部材11を案内レール1
に接触させる場合には、案内レール1の表面を介して接
触シール装置12のゴムリップ部及びスライダ2内の転
動体に潤滑剤が供給されるため、ゴムリップ部への潤滑
剤の供給をより安定的なものとすることができると共
に、スライダ2内の転動体に自己潤滑性を付与すること
ができる。なお、その他の構成及び作用効果は上記第1
の実施の形態と同一であるため、説明を省略する。
【0059】次に、かかる構成のリニアガイド装置につ
いて、第1の実施の形態と同様に走行試験を行った。接
触シール装置12のサイドシール部材を構成するゴム材
料組成物は、第1の実施の形態で用いた実施例1〜3及
び比較例1とし、また、走行試験条件及び判定基準は第
1の実施の形態と同一とした。表4に実施例1〜3と比
較例1との比較、及び第1の実施の形態と第2の実施の
形態との比較を示す。
【0060】
【表4】
【0061】表4から明らかなように、第1の実施の形
態と同様に、比較例1に対して実施例1〜3はいずれも
エンドキャップが破損するまでの時間が長く、しかも、
実施例1及び2については、フッ化ビニリデンのモル比
が少ない実施例1の方がエンドキャップが破損するまで
の時間が長いことが判る。また、フッ化ビニリデンを含
有しない実施例3に至っては、ソリュブル型シンセティ
ック切削クーラントの液体中でも比較例1の2倍以上の
寿命の向上が得られたことが判る。更に、接触シール装
置12に近接配置された潤滑剤供給部材11のゴムリッ
プ部への有効な潤滑剤の供給によって、該ゴムリップ部
の摩耗が低減するとともに、スライダ2内の転動体にも
潤滑剤が供給されてリニアガイド装置自体の潤滑に寄与
するため、第1の実施の形態に比べて、エンドキャップ
が破損するまでの時間が延長したことが判る。
【0062】次に、図4〜図7を参照して本発明の第3
の実施の形態であるボールねじ装置を説明する。このボ
ールねじ装置は、外周面に螺旋状のねじ溝31aを有す
るねじ軸(内方部材)31と、ねじ軸31のねじ溝31
aに対向する螺旋状のねじ溝を内面に有してねじ軸31
に所定のすき間を介して嵌合される円筒状のボールねじ
ナット(外方部材)32と、ねじ軸31のねじ溝31a
とボールねじナット32のねじ溝とから形成される断面
略円形の螺旋状のボール転動空間に転動自在に装填され
る多数のボール(転動体:図示せず)とを備えている。
【0063】ボールねじナット32の軸方向両端部に
は、それぞれ潤滑剤含有ポリマからなる円筒状の潤滑剤
供給部材41が嵌挿されており、潤滑剤供給部材41の
内径面はねじ軸31の外径面にのみ接触し、ねじ溝31
aには非接触となっている。潤滑剤供給部材41は、2
つの半円筒状部材で構成されるとともに、その外周面に
細い周溝を有しており、この周溝に配置されたガータス
プリング33によって一定の圧力でねじ軸31に向かっ
てラジアル方向に押圧されている。これにより、たとえ
長期間の動作により潤滑剤供給部材41の内周面が摩耗
したとしても、ねじ軸31との適切な接触が常に保たれ
て、良好な潤滑が確保されるようになっている。ここ
で、この実施の形態では、潤滑剤供給部材41を構成す
る潤滑剤含有ポリマの組成を、上記第2の実施の形態の
潤滑剤供給部材11と同様にしている。
【0064】ボールねじナット32の軸方向両端部の潤
滑剤供給部材41の軸方向外側には、それぞれ接触シー
ル装置42が配置されている。接触シール装置42は、
金属又はプラスチック製の芯金(補強部材)42bと、
芯金42bを内包した円環板状のシール本体42cと、
シール本体42cの内径部から斜めに延びた略円錐形
(各図においては左側に傾斜)のシール片42dとを備
えている。シール本体42c及びシール片42dによっ
て本発明のシール部材を構成している。シール片42d
の中心はシール本体42cの中心に対して偏心してお
り、また、シール片42dの内径側開口縁(ゴムリップ
部)42aはねじ軸31の外径より若干小径とされてい
る。これにより、シール片42dの内径側開口縁42a
がねじ軸31の全周に沿って密着できるようになってい
る。
【0065】ここで、この実施の形態では、シール本体
42c及びシール片42dは上記第1の実施の形態と同
様のゴム材料組成物で一体的に成形されており、また、
シール本体42c及びシール片42dは加硫接着により
芯金42bと一体化されている。そして、接触シール装
置42のシール本体42cがボールねじナット32の端
面に形成された凹部に圧入により取り付けられて潤滑剤
供給部材41に近接配置されている。
【0066】芯金42bは円環板状をなしており、外径
部の中心がシール本体42cの中心と略同心とされ、内
径部の中心がシール片42dの内径側開口縁42aと略
同心とされており、その幅は周方向で異なっている(図
6のD1>D2参照)。従って、芯金42bの内周縁か
らシール本体42cの内径縁までの距離D0と、シール
本体42cの内径縁からシール片42dの内径側開口縁
42aまでの距離D3とを全周にわたってそれぞれ均一
にすることができ、これにより、ねじ軸31に当接する
際の接触シール装置42のシール部材の周方向の撓み量
をほぼ一定とすることができる。
【0067】図7は接触シール装置42のシール片42
dがねじ軸31に当接して変形した状態を示す部分拡大
図である。図中、実線で示すシール片42dはねじ軸3
1に当接していない状態であり、二点鎖線で示すシール
片42dはねじ軸31に当接して変形した状態である。
シール片42dのねじ軸31との接触部分(内径側開口
縁42a:ゴムリップ部)は、ねじ軸31の外径面及び
ねじ溝31aに対して常に締め代となっている(実際に
は、シール片42dの変形によりすき間を0以下に保つ
ようになっている)。
【0068】図7から判るように、接触シール装置42
がねじ軸31の何れの部分(ねじ軸31の外径面又はね
じ溝31a)と当接した場合でも、シール片42dの撓
む方向はその形状に基づいて予測することができる。従
って、この予測結果に基づいてシール性が最も高くなる
ようにシール片42dの形状を設計することが可能とな
る。
【0069】そして、ボールねじナット32の移動時に
接触シール装置42のシール片42dがねじ軸31に摺
接することにより、ねじ軸31とボールねじナット32
との間のすき間の端部開口からボールねじナット32内
に塵埃等の異物が侵入するのを防止すると共に、ボール
ねじナット32の外部へ潤滑剤が漏出するのを防止して
いる。
【0070】なお、接触シール装置42及び潤滑剤供給
部材41による作用効果は上記第1及び第2の実施の形
態と略同一であるため、説明を省略する。
【0071】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、アミン系添加剤等を多く含むソリュブル型シ
ンセティック切削クーラント等の薬剤に対して高い耐薬
品性を持たせることができるため、これらの薬剤が降り
かかる環境で使用しても装置寿命を長期間にわたって確
保することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるリニアガイド
装置の斜視図である。
【図2】接触シール装置のゴムリップ部の変形例を示す
部分拡大図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態であるリニアガイド
装置のスライダ端部の分解斜視図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態であるボールねじ装
置の平面図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】ねじ溝と接触シール装置との接触部分を示す図
である。
【図7】接触シール装置がねじ軸のねじ溝に当接してい
る状態を示す拡大図である。
【図8】従来のリニアガイド装置の斜視図である。
【図9】図8の下面側を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…案内レール(内方部材) 2…スライダ(外方部材) 12…接触シール装置
フロントページの続き (72)発明者 横山 景介 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J016 AA08 BB03 CA01 3J104 AA03 AA23 AA36 AA65 AA69 AA74 AA76 BA62 CA13 DA04

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外方部材と、該外方部材にすき間を介し
    て対向する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材と
    の間に転動自在に配設され、前記内方部材に対して前記
    外方部材を相対移動させる複数の転動体と、前記すき間
    の開口をシールする接触シール装置とを備えた直動装置
    において、 前記接触シール装置のシール部材を、フッ化ビニリデン
    −テトラフルオロエチレン−プロピレン3元共重合体及
    びテトラフルオロエチレン−プロピレン2元共重合体の
    内の少なくとも一方の共重合体を基本構造とするフッ素
    ゴムを含有するゴム材料組成物で構成したことを特徴と
    する直動装置。
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