JP2002088196A - ゴム材料組成物及び直動装置 - Google Patents

ゴム材料組成物及び直動装置

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JP2002088196A
JP2002088196A JP2000279486A JP2000279486A JP2002088196A JP 2002088196 A JP2002088196 A JP 2002088196A JP 2000279486 A JP2000279486 A JP 2000279486A JP 2000279486 A JP2000279486 A JP 2000279486A JP 2002088196 A JP2002088196 A JP 2002088196A
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Takahiko Uchiyama
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Keisuke Yokoyama
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C29/00Bearings for parts moving only linearly
    • F16C29/08Arrangements for covering or protecting the ways
    • F16C29/084Arrangements for covering or protecting the ways fixed to the carriage or bearing body movable along the guide rail or track
    • F16C29/086Seals being essentially U-shaped, e.g. for a U-shaped carriage

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シール性が優れていて、切削粉等の異物が侵
入しやすい環境下で使用しても長寿命な直動装置を提供
する。 【解決手段】 スライダ2と、スライダ2に隙間を介し
て対向する案内レール1と、スライダ2と案内レール1
との間に転動自在に配設され、スライダ2と案内レール
1とを相対移動させる複数の転動体と、前記隙間の開口
を密封する接触シール装置12と、を備えたリニアガイ
ド装置において、接触シール装置12を、カルボキシル
化アクリロニトリルブタジエンゴム100重量部及びポ
リオレフィン系樹脂10〜60重量部を有するゴム材料
組成物と、芯金と、で構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リニアガイド装
置,ボールねじ等の直動装置のシール装置等に好適に使
用されるゴム材料組成物に関する。また、該ゴム材料組
成物を使用した直動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的に使用される直動装置の代
表的なものとしては、直動案内装置として用いられるリ
ニアガイド装置や、直動駆動装置として用いられるボー
ルねじ等がある。リニアガイド装置は例えば図8に示す
ように、外面に転動体転動溝3を有して軸方向に延びる
案内レール1と、その案内レール1を跨いで組み付けら
れたスライダ2とを備えたものが知られている。
【0003】スライダ2はスライダ本体2Aとその軸方
向両端部に取り付けられたエンドキャップ2B,2Bと
からなり、スライダ本体2Aは両袖部4の内側面に案内
レール1の転動体転動溝3に対向する図示されない転動
体転動溝を有するとともに、袖部4の肉厚部分を軸方向
に貫通する図外の転動体戻し路を有している。そして、
案内レール1の転動体転動溝3とスライダ本体2Aの転
動体転動溝とで、図示されない転動体転動路が形成され
ている。
【0004】一方、エンドキャップ2Bは、前記転動体
転動路とこれに平行な転動体戻し路とを連通させる図示
されない湾曲路を有しており、これら転動体転動路と転
動体戻し路と両端の湾曲路とで、転動体の循環路が形成
されている。その転動体の循環路内には、例えば鋼球か
らなる多数の転動体が装填されている。案内レール1に
組み付けたスライダ2は、前記転動体転動路内の転動体
の転動を介して案内レール1に沿って滑らかに移動し、
その移動中、転動体はスライダ2内の前記循環路を転動
しつつ無限循環する。
【0005】スライダ2には、案内レール1との間の隙
間の開口をシールする防塵シール装置として、図9に示
すように、両端部(各エンドキャップ2Bの端面)にサ
イドシール5(案内レール1に対してマイナス隙間の接
触シール)、下面にアンダーシール6が装着されてい
る。これら従来のシールとしては、一般的には、NBR
(アクリロニトリルブタジエンゴム)などのゴムと鋼板
などの補強部材とを一体化したものが用いられている。
なお、図8中の符号7は、グリースニップルである。
【0006】一方、直動駆動装置であるボールねじにあ
っても、図示は省くが、ボールねじナットの両端にシー
ル装置として例えばプラスチックシールを装着して、外
部からの異物の侵入や内部の潤滑剤の外部への拡散を防
止することが行われている。ボールねじの場合は、ねじ
軸の外周面に設けた螺旋状のねじ溝と、ボールねじナッ
トの内周面に設けた螺旋状のねじ溝との間に装填された
複数のボールを介して、ねじ軸(又はボールねじナッ
ト)の回転をボールねじナット(又はねじ軸)の軸方向
の変位に変換する構造であり、ボールねじナットの端部
にシール装置が装着される。
【0007】当該シール装置は、一般にポリアセタール
樹脂等の樹脂材でリング状に形成され、その内周面にね
じ軸のねじ溝に嵌合する凸部を有するとともに、そのリ
ングを切断する径方向の切欠き(切割)を備えている。
そして、その切割を開きリングを拡開させてねじ軸に嵌
め合わせた後、ボールねじナットの端部外周面からシー
ル取付けねじをねじ込み、シール装置の外径面を内側に
圧迫することにより固定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来のリニアガイド装置やボールねじには、それ
ぞれシール装置に関する問題点があった。まず、リニア
ガイド装置の問題点を説明する。案内レール1に沿った
スライダ2の走行に伴って、スライダ2内部に装填され
たグリースが減少していく。それにしたがって、サイド
シール5のリップ部と案内レール1との間に潤滑不良が
生じ、それによって前記リップ部が徐々に摩耗すること
となる。
【0009】そして、かかる摩耗進行によってシール性
が低下し、切削粉等の異物がスライダ2内部に侵入し、
場合によってはリニアガイド装置自体の焼付きの原因と
なる恐れがあった。また、案内レール1の転動体転動溝
3にはスライダ2の走行に伴って転動体を介してグリー
スが供給されるので、前記リップ部のうち転動体転動溝
3に接触する部分は比較的の摩耗が少なくて済むのに対
し、転動体を介してグリースが供給されない例えば案内
レール1の上面等に接触する部分は、潤滑不良を起こし
やすい。その結果、前記リップ部が通常のニトリルゴム
からなる場合は、前記リップ部に摩耗・破損が生じシー
ル性が低下してしまい、上記と同様にリニアガイド装置
自体の焼付きの原因となる恐れがあった。
【0010】次に、ボールねじの問題点を説明する。前
述のように、リング状のシール装置はボールねじナット
に止めねじによって固定されているので、ねじ軸のねじ
溝とシール装置の凸部との嵌合隙間は、ねじ軸のねじ溝
とシール装置との寸法関係に依存することとなる。この
ため、嵌合隙間は常にゼロになるとは限らず、ボールね
じの使用条件によっては、十分なシール性が得られない
場合がある。その結果、ボールねじナット内部に切削粉
等の異物が侵入しやすくなって、ボールねじ自体の焼付
きの原因となる恐れがあった。
【0011】そこで本発明は、上記のような従来の直動
装置の有する問題点を解決し、シール性が優れていて、
切削粉等の異物が侵入しやすい環境下で使用しても長寿
命な直動装置を提供することを課題とする。また、該直
動装置のシール装置等に好適に使用可能なゴム材料組成
物を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明に係る請求項1記載のゴム材料組成物は、カルボキシ
ル化アクリロニトリルブタジエンゴム100重量部とポ
リオレフィン系樹脂10〜60重量部とを有することを
特徴とする。
【0013】また、本発明に係る請求項2記載の直動装
置は、外方部材と、該外方部材に隙間を介して対向する
内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との間に転動
自在に配設され、前記外方部材と前記内方部材とを相対
移動させる複数の転動体と、前記隙間の開口を密封する
接触シール装置と、を備えた直動装置において、前記接
触シール装置は、請求項1記載のゴム材料組成物と、前
記ゴム材料組成物を補強する補強部材と、を備えること
を特徴とする。
【0014】このような構成であれば、前記接触シール
装置を構成するゴム材料組成物が耐摩耗性及び耐屈曲疲
労性に優れているので、前記接触シール装置の高いシー
ル性が長期にわたって維持されて、切削粉等の異物が侵
入しやすい環境において使用しても長寿命である。な
お、本発明における前記外方部材とは、直動装置がリニ
アガイド装置の場合にはスライダ、同じくボールねじの
場合にはボールねじナットをそれぞれ意味する。また、
本発明における前記内方部材とは、直動装置がリニアガ
イド装置の場合には案内レール、同じくボールねじの場
合にはねじ軸をそれぞれ意味する。
【0015】本発明の直動装置において使用される前記
補強部材は、金属,プラスチック等から構成され、前記
ゴム材料組成物と一体化されて前記接触シール装置を構
成している。前記接触シール装置に強度を付与できるな
らば、その形状,構造等は特に限定されるものではな
い。次に、本発明のゴム材料組成物について、詳細に説
明する。
【0016】本発明のゴム材料組成物は、原料ゴムであ
るカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴムと、
摩耗改良材(補強材)として作用するポリオレフィン系
樹脂とを有している。そして、必要に応じて、補強材,
加硫系添加剤,老化防止剤,及び加工助剤等の各種添加
剤がさらに添加され、前記接触シール装置の材料として
好適に使用される。
【0017】原料ゴムであるカルボキシル化アクリロニ
トリルブタジエンゴムとは、通常のアクリロニトリルブ
タジエンゴムがカルボキシル基を備えた構造を有してい
るものである。そして、カルボキシル基によりゴム材料
組成物において架橋が進行し、加硫密度が高くなって、
ゴム材料組成物の引張強度が向上する。その結果、ゴム
材料組成物の耐摩耗性,耐屈曲疲労性が向上する。
【0018】このようなカルボキシル化アクリロニトリ
ルブタジエンゴムは、乳化重合等による製造時に、アク
リロニトリルブタジエンゴムの重合で使用される通常の
単量体であるアクリロニトリルとブタジエンとに加え
て、カルボキシル基含有単量体であるアクリル酸,メタ
クリル酸等をさらに添加して共重合する等の方法により
得ることができる。
【0019】カルボキシル基含有単量体の添加量は、全
単量体中の20重量%以下、好ましくは3〜10重量%
の範囲である。だだし、添加した重量比の通りに各単量
体が重合するわけではなく(すなわち、添加した単量体
の重量比と得られた重合体の組成比とは異なる)、カル
ボキシル基含有単量体は重合しにくいため、得られた重
合体中のカルボキシル基含有単量体成分の組成比は、添
加した重量比と比べて必ず低いものとなる。
【0020】得られた重合体中の実際のカルボキシル基
の量は、酸当量で表すと、1×10 -4〜9×10-2ep
hrであることが好ましく、2×10-3〜5×10-2
phrの範囲であることがより好ましい。酸当量が1×
10-4ephr未満であると、通常の(カルボキシル化
されていない)アクリロニトリルブタジエンゴムと比較
して加硫密度がほとんど変わらないので、ゴム材料組成
物の引張強度,耐摩耗性等にほとんど向上が見られな
い。
【0021】また、酸当量が9×10-2ephrを越え
ると、カルボキシル基の量が非常に多くなり加硫密度が
高くなりすぎて、後述するゴム材料組成物の物性、具体
的にはスプリング硬度が90を越え、引張破断伸びが2
00%未満となる可能性があるとともに、スコーチの恐
れが高くなる。なお、上記の酸当量は、次のようにして
測定した値である。すなわち、ゴムをアセトンに溶解し
n−へキサンで再沈精製した後、この再沈精製したゴム
をピリジンに再溶解する。そして、このゴム溶液を、
0.02Nの水酸化カリウムのエタノール溶液を用い
て、チモールフタレインを指示薬として滴定し、ゴム1
00gに対する当量として求めた。
【0022】また、カルボキシル化アクリロニトリルブ
タジエンゴムには、通常のアクリロニトリルブタジエン
ゴムと同じく、アクリロニトリルの含有量により、低い
方から、低ニトリル,中ニトリル,中高ニトリル,高ニ
トリル,極高ニトリルがあるが、耐熱性,耐油性を考慮
すると、中ニトリル,中高ニトリル,高ニトリルが好ま
しく、アクリロニトリルの含有量で言えば20〜40%
が好ましい。
【0023】また、ポリオレフィン系樹脂は、摺動性を
改良するための摩耗改良材として添加するものであり、
具体的には、ポリエチレン,ポリプロピレン、より好ま
しくはカルボキシル変性(無水マレイン酸変性)ポリエ
チレン,カルボキシル変性(無水マレイン酸変性)ポリ
プロピレンである。ポリエチレン及びポリプロピレン
は、カルボキシル変性されると、構造中のカルボキシル
基によって各種樹脂や酸化物等に吸着(接着)しやすく
なる。ゴムに添加した場合、補強材であるシリカや加硫
促進助剤である酸化亜鉛等の酸化物の表面に存在するO
H基等の表面官能基に吸着して、これらの粒子と複合し
た状態になり、より効果的な摩耗改良材として働くよう
になる。
【0024】なお、原料ゴムであるカルボキシル化アク
リロニトリルブタジエンゴムが有するカルボキシル基
も、上記と同様にOH基等の表面官能基に吸着するとい
う性質を有するので、上記のような複合状態を形成し
て、ゴム材料組成物の引張強度,耐摩耗性,耐屈曲疲労
性等の機械的強度が大幅に改善されると考えられる。ポ
リオレフィン系樹脂の添加量は、耐摩耗性等とゴム材料
組成物の物性(硬さ,伸び等)とのバランスから、カル
ボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム100重量
部に対し10〜60重量部とすることが好ましい。
【0025】ポリオレフィン系樹脂の添加量がカルボキ
シル化アクリロニトリルブタジエンゴム100重量部に
対し10重量部未満であると、耐摩耗性等の改善効果が
低い。反対に、60重量部を越えると、ゴム材料組成物
の硬度が高く、伸びが低くなり、ゴム弾性が低下して、
直動装置の接触シール装置として使用した場合、以下の
ような不具合が起こることが予想される。
【0026】例えば、直動装置がリニアガイド装置の場
合を例に説明する。リニアガイド装置においては、スラ
イダの直線的な往復運動によって接触シール装置のリッ
プ部が変形して、該変形によってスライダと案内レール
との間の隙間が0以下に保たれるようになっている。し
かしながら、リップ部のゴム弾性が低いと、リップ部の
変形がスライダの動きに追従することが難しくなるの
で、リップ部と案内レールとの間に間欠的に隙間が生じ
る。そうすると、その隙間からスライダ本体の内部に異
物が徐々に侵入するので、最終的にスライダに焼付きが
生じる恐れが出てくる。
【0027】ゴム材料組成物の硬度は、上記のようにポ
リオレフィン系樹脂の添加量等によって影響を受ける
が、接触シール装置に適用した際の密封性や変形の追従
性から、デュロメータAスケールで測定したスプリング
硬度が、60〜90の範囲が好ましい。スプリング硬度
が60未満の場合は、直動装置の運動側部材(リニアガ
イド装置ではスライダ、ボールねじではボールねじナッ
ト)が直線的な往復運動を行う際に、それに付帯する接
触シール装置のリップ部が必要以上に変形するので、結
果として摩擦抵抗が大きくなる。そして、それによって
運動時の摩擦力が大きくなり、スムーズな往復運動がで
きなくなる。
【0028】また、スプリング硬度が90を越えると、
上記のようにゴム弾性が低下し、往復運動でのリップ部
の追従性、つまり密封性が悪くなり、異物が多い環境下
で使用すると、寿命に差が生じてくる。なお、上記のリ
ップ部の変形度合やゴム弾性のような性能を特に好まし
くするには、ゴム材料組成物のスプリング硬度は70〜
80の範囲とすることが、さらに好ましい。
【0029】また、リップ部の変形が往復運動に速やか
に追従し、リップ部が損傷を引き起こしにくくするため
には、ゴム材料組成物は上記の硬度を有するとともに、
引張破断伸びが200%以上、好ましくは300%以
上、且つ引張破断強さが20MPa以上、好ましくは2
5MPa以上の機械的強度を有している必要がある。通
常のアクリロニトリルブタジエンゴムを原料ゴムとして
使用した場合は、引張破断伸びを200%以上を確保し
ようとすると、引張破断強さはせいぜい15〜20MP
a程度であって、上記のような高い引張破断強さがカル
ボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴムを原料ゴム
として使用した場合の大きな特徴である。カルボキシル
化アクリロニトリルブタジエンゴムは、前述のような補
強材等との相互作用を有していることに加えて、ブタジ
エンに起因する二重結合部分の他にカルボキシル基部分
でも架橋が進み、加硫密度が高くなることによって、引
張強度,耐摩耗性,耐屈曲疲労性が向上する性質を有し
ている。
【0030】次に、カルボキシル化アクリロニトリルブ
タジエンゴムにポリオレフィン系樹脂とともに添加する
添加剤である、補強材,加硫系添加剤,老化防止剤につ
いて説明する。補強材は、ゴム材料組成物の特性のう
ち、特に機械的強度を向上させるとともに、耐摩耗性も
向上させる効果を有している。具体的には、シリカ,ク
レー,塩基性炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム,珪酸
マグネシウム,カーボンブラック等のような、球状ある
いは不定形粒子状のものや、チタン酸カリウムウィスカ
ー,下記の化学式1に示されるポリm−フェニレンイソ
フタルアミド又は化学式2に示されるポリp−フェニレ
ンテレフタルアミドのようなアラミド繊維(芳香族ポリ
アミド繊維)等の繊維状形態のものを使用できる。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】これらの補強材、特にシリカなどの酸化物
系の補強材に、一端にアミノ基,メルカプト基等の官能
基を有し、他端に加水分解性基(具体的には、メトキシ
基等のアルコキシ基など)を有するシランカップリング
剤などのカップリング剤をさらに添加すると、原料ゴム
−カップリング剤−補強材の相互作用(互いに擬似的な
結合)が強くなって、補強効果が向上するので好まし
い。補強材の添加量は、ゴム材料組成物が前述の機械的
強度を有するように適宜調整される。
【0034】また、加硫系添加剤としては、加硫剤(架
橋剤),加硫促進剤,加硫促進助剤がある。加硫剤(架
橋剤)としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、高分散
性硫黄などの各種硫黄、モルホリンジスルフィド、アル
キルフェノールジスルフィド、N,N−ジチオ−ビス
(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポ
リスルフィドなどの硫黄を生成可能な硫黄化合物、ジク
ミルパーオキサイド、ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイ
ソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオ
キサイド等の過酸化物等があげられる。このうち、分散
性,取扱いの容易さ,耐熱性の点で、高分散性硫黄やモ
ルホリンジスルフィドを使用することが好ましい。
【0035】また、硫黄系の加硫剤を用いた場合は、グ
アニジン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール
系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジ
チオカルバメート系、ザンテート系等の加硫促進剤を用
いる必要がある。このうち、高分散性硫黄を少量配合し
た場合には、チウラム系のテトラメチルチウラムジスル
フィド等やスルフェンアミド系のN−シクロヘキシル−
2−ベンゾチアジル・スルフェンアミドと、チアゾール
系の2−メルカプトベンゾチアゾール等とを併用するこ
とが好ましい。
【0036】さらに、加硫促進助剤としては、酸化亜鉛
等の金属酸化物、金属炭酸塩、金属水酸化物、ステアリ
ン酸等の脂肪酸とその誘導体、及びアミン類などがあげ
られる。この中でステアリン酸亜鉛と酸化亜鉛との組合
わせを用いると、引張強度や耐摩耗性などが改善され、
さらに好ましい.また、酸化劣化を防止する老化防止剤
としては、アミン・ケトン縮合生成物、芳香族第二級ア
ミン類、モノフェノール誘導体、ビス又はポリフェノー
ル誘導体、ヒドロキノン誘導体、硫黄系老化防止剤、リ
ン系老化防止剤、マイクロクリスタリンワックス等のワ
ックスがあげられる。
【0037】この中でも、アミン・ケトン縮合生成物系
の2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン
重合体、ジフェニルアミンとアセトンとの縮合反応物、
芳香族第二級アミン系のN,N’−ジ−β−ナフチル−
p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス−(α,α−
ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−
N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプ
ロピル)−p−フェニレンジアミン等が特に好ましい。
【0038】また、熱分解を防止して耐熱性を向上する
ため、上記の老化防止剤とともに2次老化防止剤を併用
することがより好ましい。2次老化防止剤としては、硫
黄系の2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカ
プトメチルベンズイミダゾール、及びこれらの亜鉛塩等
があげられる。成形性を向上させる必要がある場合に
は、上記のような添加剤の他に、加工助剤として可塑剤
が適宜添加される。ただし、成形に特に支障がない場合
は添加しなくてもよい。添加する場合は、原料ゴム10
0重量部に対して3〜20重量部添加すればよく、必要
以上に添加すると、ゴム材料組成物が軟化すると同時
に、完全に混合されずにブリードアウトしてくる場合が
ある。
【0039】可塑剤の具体例としては、ジオクチルフタ
レートなどのフタル酸ジエステル,ポリエステル系可塑
剤,ポリエーテル系可塑剤,ポリエーテルエステル系可
塑剤,液状ニトリルゴム等があげられる。さらに、ゴム
材料組成物には、耐摩耗性を向上させるために、平均粒
径10〜20μm程度の球状や粒状の炭素微粒子(ガラ
ス状カーボン,球状黒鉛)を、原料ゴム100重量部に
対して5〜20重量部添加することが好ましい。
【0040】このような炭素微粒子としてはベルパール
−C(商品名)が知られており、フェノール・ホルムア
ルデヒド樹脂を窒素中で800〜2000℃の温度で炭
化焼成した等方性カーボンである。この炭素微粒子は、
通常のカーボンブラックに比べて粒径が大きいので、凝
集することなく均質に分散させることができる。さら
に、この炭素微粒子は、ゴム材料組成物の表面に存在す
ると効果的に荷重を受けるので、耐摩耗性を大きく向上
させることができる。
【0041】また、ゴム材料組成物には、通常、老化防
止、具体的には、日光あるいはオゾンの作用による亀裂
を抑制させる日光亀裂防止剤として、融点が55〜70
℃程度のワックス類が、原料ゴム100重量部に対して
0.5〜2重量部程度添加される。さらに、上記の老化
防止用のワックス類とは別に、融点が75〜130℃の
範囲にあるワックス類あるいは脂肪酸アミドを、原料ゴ
ム100重量部に対して5〜20重量部程度さらに添加
すると、ゴム材料組成物の表面での潤滑性が向上し、好
適である。
【0042】このような潤滑性の向上は、添加したワッ
クス類あるいは脂肪酸アミドが表面にブルームすること
によって生じるものであるが、直動装置が動作すること
により発生する摺動発熱によって、さらに多くのワック
ス類あるいは脂肪酸アミドが表面にブリードアウトする
ので、その効果はさらに大きくなる。潤滑性を向上させ
るために添加するワックス類の具体例としては、上記の
融点範囲にある、パラフィン系合成ワックス,ポリエチ
レンワックス,モンタンワックス,カルナウバワック
ス,エステル系ワックス等がある。また、脂肪酸アミド
としては、ステアロアミド,オキシステアロアミド,エ
ルシルアミド,ラウリルアミド,パルミチルアミド,べ
へンアミド,メチロールアミド,エチレンビスオレイル
アミド,ステアリルオレイルアミド等がある。
【0043】本発明のゴム材料組成物を用いた接触シー
ル装置を配設した直動装置には、潤滑剤含有ポリマから
なる潤滑剤供給部材を、前記接触シール装置に近接して
配設してもよい。該潤滑剤供給部材から前記接触シール
装置に潤滑剤が供給されるようにすれば、前記接触シー
ル装置の摺動部分の潤滑がより良好となって、該摺動部
分が摩耗しにくくなるので、より長期間にわたって高い
シール性が維持され、直動装置の寿命がさらに向上す
る。
【0044】次に、前記潤滑剤供給部材を構成する潤滑
剤含有ポリマの材料について、詳細に説明する。潤滑剤
含有ポリマは、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブ
チレン,ポリメチルペンテン等の、基本的に同じ化学構
造を有するポリオレフィン系樹脂の群から選ばれた少な
くとも1種に潤滑剤を混合し、この混合物を該ポリオレ
フィン系樹脂の融点以上に加熱して可塑化し、その後冷
却することで固形状にしたものである。ただし、潤滑剤
を含有する能力(以降は保油性と記す)等、潤滑剤含有
ポリマの材料として必要な性質を備えていれば、他の樹
脂であっても使用可能である。
【0045】前記潤滑剤としては、ポリα−オレフィン
油のようなパラフィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水
素油、鉱油、ジアルキルジフェニルエーテルのようなエ
ーテル油、フタル酸エステルのようなエステル油等があ
げられ、これらは単独又は2種以上混合して用いること
ができる。また、潤滑剤に酸化防止剤,錆止め剤,摩耗
防止剤,あわ消し剤,極圧剤等の各種添加剤を、予め加
えたものを使用してもよい。
【0046】潤滑剤含有ポリマにおけるポリオレフィン
系樹脂と潤滑剤との組成比は、全重量に対してポリオレ
フィン系樹脂を10〜50重量%、潤滑剤を90〜50
重量%とすることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂が
10重量%未満の場合は、潤滑剤含有ポリマの硬さ,強
度が十分ではなく、直動装置の動作によって負荷がかか
った時に破損等の不具合を生じる可能性が高くなる。ま
た、ポリオレフィン系樹脂が50重量%を越える場合
(つまり、潤滑剤が50重量%未満の場合)は、摺動部
分(リップ部)への潤滑剤の供給量が少なくなり、該摺
動部分の摩擦を低減する効果が少なくなる。
【0047】通常、樹脂には種々の平均分子量のものが
あり(基本構造は同じで、その平均分子量は700〜5
×106 の範囲に及んでいる)、平均分子量によってそ
の物性が異なる場合がある。よって、必要に応じて種々
の平均分子量の樹脂を混合して、所望の物性を有する樹
脂を調整することができる。例えば、ポリオレフィン系
樹脂の場合には、平均分子量700〜1×104 のワッ
クスに分類されるもの(例えば、ポリエチレンワック
ス)と、平均分子量1×104 〜1×106 の比較的低
分子量のものと、平均分子量1×106 〜5×106
超高分子量のものと、がある。
【0048】比較的低分子量のものと潤滑剤との組合せ
によって、ある程度の機械的強度,潤滑剤供給能力,保
油性を有する潤滑剤含有ポリマが得られる。この中の比
較的低分子量のものの一部をワックスに分類されるもの
に置き換えると、ワックスに分類されるものと潤滑剤と
の分子量の差が小さいために、潤滑剤との親和性が高く
なり、結果として潤滑剤含有ポリマの保油性が向上し、
より長期間にわたって潤滑剤の供給が可能となる。ただ
し、その反面、機械的強度は低下する。なお、ワックス
としては、ポリエチレンワックスのようなポリオレフィ
ン系樹脂の他、融点が100〜130℃以上の範囲にあ
る炭化水素系のワックス(例えばパラフィン系合成ワッ
クス)も使用できる。
【0049】それに対して、比較的低分子量のものの一
部を超高分子量のものに置き換えると、超高分子量のも
のと潤滑剤との分子量の差が大きいために、潤滑剤との
親和性が低くなり、結果として保油性が低下する方向と
なる。その結果、潤滑剤含有ポリマから潤滑剤がしみ出
す速度を調整する効果が低下する方向となる(潤滑剤が
速くしみ出してしまう)。このことにより、潤滑剤含有
ポリマから供給可能な潤滑剤量に達する時間が短くな
り、直動装置の寿命が低下する。ただし、機械的強度は
向上する。
【0050】成形性,機械的強度,保油性,潤滑剤供給
量のバランスを考慮すると、潤滑剤含有ポリマの組成比
は、ワックスに分類されるものが0〜5重量%、比較的
低分子量のものが8〜48重量%、超高分子量のものが
2〜15重量%で、前記3種の合計が10〜50重量%
(残部は潤滑剤)とすることが好適である。なお、本発
明の目的を損なわない範囲で各種添加剤を添加した潤滑
剤含有ポリマにより、潤滑剤供給部材を構成しても差し
支えない。
【0051】例えば、潤滑剤含有ポリマの機械的強度を
向上させるため、上述のポリオレフィン系樹脂に、以下
のような熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を添加してもよ
い。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド,ポリ
カーボネート,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェ
ニレンサルファイド,ポリエーテルスルホン,ポリエー
テルエーテルケトン,ポリアミドイミド,ポリスチレ
ン,ABS樹脂等があげられる。
【0052】熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポ
リエステル樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,フェノール
樹脂,ポリイミド樹脂,エポキシ樹脂等があげられる。
これらの熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂は、単独または2
種以上混合して用いてもよい。さらに、ポリオレフィン
系樹脂とそれ以外の樹脂とを、より均一な状態で分散さ
せるために、必要に応じて適当な相溶化剤を加えてもよ
い。
【0053】また、機械的強度を向上させるために、充
填材を添加してもよい。例えば、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、チタン酸カリウムウィスカーやホウ酸ア
ルミニウムウィスカー等の無機ウィスカー類、ガラス繊
維や金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組し
たもの、カーボンブラック、黒鉛粉末、カーボン繊維、
アラミド繊維、ポリエステル繊維等があげられる。
【0054】さらに、ポリオレフィン系樹脂の熱による
劣化を防止する目的で、N,N' −ジフェニル−p−フ
ェニレンジアミン、2,2' −メチレンビス(4−エチ
ル−6−t−ブチルフェノール)等の老化防止剤、また
光による劣化を防止する目的で、2−ヒドロキシ−4−
n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2' −ヒドロキ
シ−3' −t−ブチル−5' −メチルフェニル)−5−
クロロベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤を添加して
もよい。
【0055】以上の全ての添加剤(ポリオレフィン系樹
脂及び潤滑剤以外)の添加量としては、全体の20重量
%以下であることが、潤滑剤供給部材の潤滑剤の供給能
力を維持する上で好ましい。
【0056】
【発明の実施の形態】本発明に係る直動装置の実施の形
態を、図面を参照しながら詳細に説明する。 〔第一実施形態〕図1は、本発明に係る直動装置の第一
実施形態であるリニアガイド装置の構造を示す斜視図で
ある。なお、図1においては、前述の従来例の説明に使
用した図面(図8及び図9)と同一又は相当する部分に
は、同一の符号を付してある。
【0057】横断面形状が略コ字状のスライダ2が角形
の案内レール1上に、軸方向に相対移動可能に跨架され
ている。スライダ2は、スライダ本体2Aと、その軸方
向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ2
Bと、から構成されている。案内レール1の上面1aと
両側面1bが交叉する稜線部には、断面ほぼ1/4円弧
形状の凹溝からなる一方の転動体転動溝3Aが軸方向に
形成され、案内レール1の両側面1bの中間位置には、
断面ほぼ半円形の他方の転動体転動溝3Bが軸方向に形
成されている。
【0058】一方、スライダ本体2Aの両袖部4の内側
のコーナ部には、案内レール1の一方の転動体転動溝3
Aに対向する断面ほぼ半円形の転動体転動溝(図示され
ない)が形成され、両袖部4の内側面の中央部には案内
レール1の他方の転動体転動溝3Bに対向する断面ほぼ
半円形の転動体転動溝(図示されない)が形成されてい
る。
【0059】上記の案内レール1の転動体転動溝3A,
3Bと両袖部4の2つの転動体転動溝とで、図示されな
い転動体転動路が構成されている。これら2つの転動体
転動路は、断面ほぼ円形の直線状をなしている。さら
に、スライダ2は、スライダ本体2Aの袖部4の肉厚部
分の上部及び下部に、軸方向に貫通する断面円形の貫通
孔からなる転動体戻し路(図示されない)を2本備えて
いる。
【0060】また、エンドキャップ2Bは、前記転動体
転動路とこれに平行な前記転動体戻し路とを連通させる
図示されない湾曲路を有しており、これら前記転動体転
動路と前記転動体戻し路と両端の前記湾曲路とで、転動
体の循環路が形成されている。この転動体の循環路内に
は、例えば鋼球からなる多数の転動体(図示されない)
が転動自在に装填されている。
【0061】案内レール1に組み付けたスライダ2は、
転動体転動路内の転動体の転動を介して案内レール1に
沿って滑らかに移動し、その移動中、転動体はスライダ
2内の前記循環路を転動しつつ無限循環する。スライダ
2には、案内レール1との間に形成される隙間の開口を
シールする防塵用の接触シール装置12が、軸方向両端
部(エンドキャップ2Bのさらに外側)に取り付けられ
ている。この接触シール装置12は、原料ゴム及びポリ
オレフィン系樹脂を有するゴム材料組成物(詳細な構成
は後述する)と、エンドキャップ2Bの外形に合わせた
略コ字状のSECC材(亜鉛めっき鋼板)からなる芯金
(補強部材)と、が加硫接着により一体化されて形成さ
れている。
【0062】接触シール装置12のうち少なくとも案内
レール1と摺接する部分は、前記ゴム材料組成物で構成
されていて、スライダ2と案内レール1との間の隙間を
シールできるように、案内レール1の断面形状に合わせ
て案内レール1の上面1a及び両側面1bに摺接可能な
形状に成形されている。ただし、その内面寸法は、案内
レール1との間の隙間を確実にシールするために、案内
レール1の表面に接する寸法よりも若干(0.3〜0.
4mm程度)小さくしてある。ただし、前記芯金は案内
レール1とは非接触である。
【0063】なお、接触シール装置12の内側のゴム面
の案内レール1と摺接する部分(リップ部)には、図2
に示すように、3個の凸状部分20が形成されていて、
この凸状部分20により優れたシール性が発現される。
ただし、この凸状部分20は3個に限らず、1個又は2
個であってもよいし、4個以上であってもよい。次に、
接触シール装置12を構成するゴム材料組成物について
説明する。ゴム材料組成物は、原料ゴム,ポリオレフィ
ン系樹脂,及び各種添加剤を表1に示すような比率で配
合し、以下に示すような各工程により製造した。
【0064】
【表1】
【0065】まず、使用した各種材料(表1中に記載の
もの)について説明する。 ・原料ゴムA:カルボキシル化中高ニトリルゴム(日本
ゼオン株式会社製、Nipol DN631) ・原料ゴムB:中高ニトリルゴム(JSR株式会社製、
JSR NBR N230S) ・ポリオレフィン系樹脂A:超高分子量ポリエチレン
(三井化学株式会社製、ミペロンXM220) ・ポリオレフィン系樹脂B:カルボキシル変性ポリエチ
レン(三菱化学株式会社製、モディック−AP H50
1粉砕品) ・ポリオレフィン系樹脂C:カルボキシル変性ポリプロ
ピレン(三菱化学株式会社製、モディック−AP P5
02粉砕品) ・摩耗改良材:カルナウバワックス ・補強材:含水シリカ(日本シリカ工業株式会社製、ニ
ップシールAQ) ・カップリング剤:γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン(信越シリコーン株式会社製、KBM803) ・架橋剤:ジクミルパーオキサイド(日本油脂株式会社
製、パークミルD) ・加硫剤:高分散性硫黄(鶴見化学工業株式会社製、S
ulfax PMC) ・加硫促進剤A:テトラメチルチウラムジスルフィド
(川口化学工業株式会社製、アクセルTMT) ・加硫促進剤B:テトラエチルチウラムジスルフィド
(大内新興化学工業株式会社製、ノクセラーTET) ・加硫促進剤C:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチア
ジル・スルフェンアミド(川口化学工業株式会社製、ア
クセルCZ−R) ・加硫促進助剤A(滑剤を兼ねる):ステアリン酸(花
王株式会社製、Lunac S−35) ・加硫促進助剤B:酸化亜鉛(堺化学株式会社製、フラ
ンス1号) ・加硫促進助剤C(活性剤を兼ねる):有機アミン(吉
富製薬株式会社製、アクチングSL) ・可塑剤:ジオクチルフタレート(大八化学工業株式会
社製、DOP) ・老化防止剤A:4,4’−ビス−(α, α−ジメチル
ベンジル)ジフェニルアミン(大内新興化学工業株式会
社製、ノクラックCD) ・老化防止剤B:2−メルカプトベンズイミダゾール
(大内新興化学工業株式会社製、ノクラックMB) 次に、接触シール装置12を製造する各工程を説明す
る。 (1)素練り工程 表1の架橋剤,加硫促進剤以外の材料をバンバリーミキ
サーに投入し、ミキサー温度80℃で素練りを行った。 (2)混練り工程 素練りした材料をバンバリーミキサーから取り出し、ゴ
ム混練用の2本ロールに投入した。ロール温度を50℃
に制御しながら表1の加硫促進剤(あるいは架橋剤)を
投入し、均一になるまで切り返し操作を行った後、シー
ト状にした。 (3)加硫工程及び加硫接着工程 170℃に加熱したホットプレスに厚さ2mm用のシー
ト加硫金型を装着し、そこに混練り工程で得られた前記
シートを載置した。そして、15分間加熱して、縦15
0mm,横150mm,厚さ2mmの加硫されたゴムシ
ートを得た。
【0066】目的の形状となるような金型中で、あらか
じめ接着剤を焼き付けたSECC製芯金(略コ字状で、
取付けねじ穴を3箇所あけたもの)に前記ゴムシートを
加硫接着して一体化することにより、接触シール装置1
2を製造した。なお、過酸化物系の架橋剤を用いた実施
例1〜3及び比較例1は、さらに150℃で2時間加熱
することにより2次加硫を行った。
【0067】このようにして製造したゴム材料組成物
(実施例1〜4及び比較例1,2)について、各種物性
を測定した結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】表2に示した結果から分かるように、実施
例1〜4のゴム材料組成物は、ポリオレフィン系樹脂が
添加されていない比較例1のゴム材料組成物と比較し
て、摩耗深さが小さくなっている。また、カルボキシル
変性されたポリオレフィン系樹脂を用いた場合(実施例
2〜4)は、カルボキシル変性されていないポリオレフ
ィン系樹脂を用いた場合(実施例1)と比較して、さら
に摩耗深さが小さくなっており、耐摩耗性が向上してい
ることが分かる。さらに、引張破断強さも向上してい
る。
【0070】また、原料ゴムとして未変性(カルボキシ
ル化されていない)のニトリルゴムを用いた場合(比較
例2)は、原料ゴムにカルボキシル化アクリロニトリル
ブタジエンゴムを用いた場合(比較例2以外のもの)に
比べて、耐摩耗性(摩耗深さ)が数段劣っており、引張
破断強さもかなり低いことが分かる。なお、各種物性の
測定方法は以下の通りである。 (a)硬さ試験 加硫工程で得られたシートをJIS3号試験片の形状に
打ち抜き、それを3枚重ねて、JIS K6301に基
づいて硬さを測定した。 (b)引張試験 JIS3号試験片について万能型試験機により引張試験
を行い、破断する引張強さ及び引張り伸びを測定した。 (c)摩擦摩耗試験 JIS K7218のプラスチックの滑り摩耗試験方法
A法に基づいて試験を行った。摩擦摩耗試験機は、EF
M−III−E(TOYOBALDWIN CO.,L
TD.製)を用いた。
【0071】摩耗深さは、試験前後の試験片の表面形状
をSurfcom(Tokyo SEIMITSU社)
を測定することにより算出した。試験条件を以下に示
す。 ・滑り速度:1100mm/sec ・滑り距離:20km ・荷重 :9.8N ・面圧 :4.9N/cm2 ・試験温度:室温 ・相手材 :SUJ2 ・相手材面粗さ:0.4Ra ・相手材硬さ:HRC55〜62 次に、リニアガイド装置による走行試験の結果について
説明する。実施例1〜4及び比較例1,2のゴム材料組
成物と芯金とを一体化した接触シール装置12を、第一
実施形態のリニアガイド装置のスライダ2(LH30m
m,高さ45mm,幅60mm,長さ85.6mm,レ
ール幅28mm)の両端に各1枚ずつ取り付けて、以下
の条件で走行試験を行った。
【0072】・潤滑:無潤滑 ・送り速度:平均32m/min ・ストローク:800mm ・試験温度:40℃(雰囲気) ・予圧:0 ・走行距離:10km ・接触シール装置12のゴムリップ部と案内レール1と
の間の隙間 :マイナス隙間(締め代)0.35mm 走行終了後の接触シール装置12のゴムリップ部(摺動
部分)の摩耗量を、表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】表3の結果は、表2の摩耗深さの結果に対
応しており、カルボキシル変性ポリオレフィン系樹脂を
使用した実施例2〜4は、10km走行終了時において
も摩耗が全く生じておらず、耐摩耗性に加えて耐屈曲疲
労性にも優れていることが分かる。なお、比較例2は、
摩耗によってほとんど締め代が残存していない状態であ
った。
【0075】〔第二実施形態〕図3は、本発明に係る直
動装置の第二実施形態であるリニアガイド装置の端部の
各部材の取り付け状態を示す斜視図である。なお、第二
実施形態のリニアガイド装置の構造は、第一実施形態の
リニアガイド装置とほぼ同様であるので、異なる点のみ
説明し、同様の部分の説明は省略する。また、図3にお
いては、図1と同一又は相当する部分には図1と同一の
符号を付してある。
【0076】スライダ2のスライダ本体2Aの軸方向の
両端部に固着されているエンドキャップ2Bのさらに外
側には、エンドキャップ2Bに近い側から、補強板1
0,潤滑剤含有ポリマからなる潤滑剤供給部材11,及
び接触シール装置12が、重ね合わされた状態で固定さ
れている。これらのうち接触シール装置12は、第一実
施形態における接触シール装置12と全く同様の構成で
ある。
【0077】また、補強板10は、エンドキャップ2B
の外形に合わせた略コ字状の鋼板である。ただし、この
補強板10は、案内レール1とは非接触である。そし
て、これら接触シール装置12及び補強板10間に挟ま
れている潤滑剤供給部材11も、図3にその斜視図を示
すように、エンドキャップ2Bの外形に合わせた略コ字
状の部材であり、そのコ字状の内側の面は、接触シール
装置12の内面と同様に、案内レール1の断面形状に合
わせて案内レール1の上面1a及び両側面1bに非接触
又は少なくとも一部分が摺接可能な形状となっている
(潤滑剤供給部材11と案内レール1との隙間は、0〜
0.2mm)。
【0078】なお、潤滑剤含有ポリマの組成は、超高分
子量ポリエチレン(超高分子量のもの)10wt%、高
密度ポリエチレン(比較的低分子量のもの)20wt
%、パラフィン系鉱油70wt%である。そして、潤滑
剤供給部材11は、このような潤滑剤含有ポリマを射出
成形することにより作製した。なお、潤滑剤含有ポリマ
の構成や成形方法は特に限定されるものではなく、所望
により適宜変更可能である。
【0079】また、潤滑剤供給部材11には、スライダ
本体2Aに固定する際に取付用ねじが貫通する貫通孔1
1a,11bと、グリースニップル7取付用の貫通孔1
1cとが形成されており、貫通孔11a,11b,及び
11cには、管状のスリーブ15A,15B,16がは
め込まれるようになっていて、そのスリーブ16の内側
をグリースニップル7が貫通する。なお、これらのスリ
ーブ15A,15B,16の長さは、潤滑剤供給部材1
1の厚さと等しくするか、若しくは若干(〜0.2mm
程度)長くなるようにする。
【0080】そして、スリーブ15A,15Bの外径
は、接触シール装置12の貫通孔12a,12b及び補
強板10の貫通孔10a,10bよりも大きくされてい
る。こうすることによって、潤滑剤供給部材11を接触
シール装置12と補強板10との間に挟み込んで取付用
ねじ17A,17Bで締め付けたとき、その押圧力が潤
滑剤供給部材11に加わらず、この潤滑剤供給部材11
の自己収縮作用が妨げられることはない。
【0081】そして、これら接触シール装置12,潤滑
剤供給部材11,及び補強板10は、その組み立て状態
を示す斜視図である図3に示すように、取付用ねじ17
A,17Bを、接触シール装置12のねじ用の貫通孔1
2a,12b、潤滑剤供給部材11のねじ用の貫通孔1
1a,11b、及び補強板10のねじ用の貫通孔10
a,10bを貫通させて、エンドキャップ2Bと一体に
スライダ本体2Aにねじ止めされる。なお、符号12c
は接触シール装置12に形成されたグリースニップル7
取付用の貫通孔、符号10cは補強板10に形成された
グリースニップル7取付用の貫通孔である。
【0082】このような構成のリニアガイド装置は、接
触シール装置12により案内レール1とスライダ2との
対向面の隙間の前後の開口がシールされるから、その接
触シール装置12に摩耗等が生じなければ、スライダ2
の前後からの塵埃等の侵入を完全に阻止することができ
る。また、リニアガイド装置が駆動されると、潤滑剤供
給部材11も案内レール1に非接触又は接触しつつ移動
し、その潤滑剤供給部材11から潤滑剤が経時的に徐々
にしみ出すが、潤滑剤供給部材11が接触シール装置1
2のリップ部(即ち、接触シール装置12の案内レール
1に接触する内面)に近接して配設されているため、そ
のしみ出した潤滑剤により接触シール装置12のリップ
部の潤滑が長期間にわたって安定して行われる。
【0083】また、潤滑剤供給部材11を案内レール1
に接触させているものにあっては、その案内レール1の
表面を介して接触シール装置12のリップ部に潤滑剤を
供給することもできるから、リップ部への潤滑剤の供給
が特に安定的に行われる。よって、接触シール装置12
のリップ部の摩耗が最小限に抑えられるから、接触シー
ル装置12によるシール性が長期間維持され、スライダ
本体2Aの内部への異物の侵入が防止され、リニアガイ
ド装置自体の長寿命化が図られるのである。
【0084】しかも、潤滑剤供給部材11からしみ出し
た潤滑剤は、案内レール1の特に転動体転動溝3A,3
Bを介して、その転動体転動溝3A,3B内を転動する
転動体へ自動的に供給される。この自己潤滑性により、
長期間にわたり安定した滑らかな動作が行われる。した
がって、殊更に潤滑剤を外部からスライダ2に供給しな
くても、低トルクで良好な運転を長時間続けることがで
きる。
【0085】また、潤滑剤供給部材11が案内レール1
に接触しているものにあっては、潤滑剤供給部材11か
ら潤滑剤がしみ出すにつれて、潤滑剤供給部材11自体
が自己収縮するから、その潤滑剤供給部材11は、その
収縮力により案内レール1の被シール面に密着して接触
し、シール機能と潤滑機能を果たすという作用も得られ
る。
【0086】さらに、潤滑剤供給部材11を、補強板1
0を介してエンドキャップ2Bと接触シール装置12と
の間に挟み込んで配設しているため、接触シール装置1
2のリップ部は、スライダ2が往復移動してもまくり上
がりにくいから、スライダ2内部の潤滑剤が外部に漏出
することも低減される。なお、第二実施形態のような構
造であれば、グリースニップル7取付孔は盲プラグで塞
いでもよいが、必要に応じて適時にここを開けて、グリ
ース等の潤滑剤をスライダ2内に供給するようにしても
よい。
【0087】また、第二実施形態のリニアガイド装置に
おいては、潤滑剤供給部材11を補強板10と接触シー
ル装置12との間に挟んだ状態で、エンドキャップ2B
の端面に固定しているが、このような構造に限定される
ものでない。例えば、エンドキャップ2Bの端面に接触
シール装置12を直接取り付けるとともに、その接触シ
ール装置12が取り付けられたエンドキャップ2Bの端
面に、二枚の補強板10で挟まれた状態の潤滑剤供給部
材11を固定してもよい。このような構成であっても、
潤滑剤供給部材11が接触シール装置12のリップ部に
近接して配設されていれば、第二実施形態と同様の上記
作用効果が奏される。
【0088】このようなリニアガイド装置について、第
一実施形態の場合と同様に走行試験を行った。接触シー
ル装置12を構成するゴム材料組成物は、第一実施形態
と同様の実施例1〜4及び比較例1,2のゴム材料組成
物である。10km走行終了時の結果を、第一実施形態
の結果と比較して、表4に示す。
【0089】
【表4】
【0090】第二実施形態のリニアガイド装置は潤滑剤
供給部材11を備えているので、接触シール装置12の
リップ部へ潤滑剤が供給される。その結果、第一実施形
態のリニアガイド装置と比較して、摩耗が低減した。 〔第三実施形態〕図4は、本発明に係る直動装置の第三
実施形態であるボールねじの構造を示す一部を破断した
平面図である。また、図5は、図4のボールねじの正面
図であり、図6は、図4のボールねじのうち、ねじ軸3
1のねじ溝31aと接触シール装置42との接触部分を
示す図である。
【0091】ボールねじは、外周面に断面円弧状の螺旋
状のねじ溝31aを有するねじ軸31と、ねじ軸31の
ねじ溝31aに対向する螺旋状のねじ溝を内面に有して
ねじ軸31に螺合される円筒状のボールねじナット32
と、ねじ軸31のねじ溝31aとボールねじナット32
のねじ溝とから形成される断面ほぼ円形の螺旋状のボー
ル転動空間に転動自在に装填される多数のボール(図示
せず)と、を備えている。
【0092】ボールねじナット32の軸方向両端部の内
側には、潤滑剤含有ポリマからなる円筒状の潤滑剤供給
部材41,41が嵌挿されていて、潤滑剤供給部材41
の内径面はねじ軸31の外径面にのみ接触し、ねじ溝3
1aには非接触となっている。この潤滑剤供給部材41
は、2つの半円筒状部材で構成されるとともに、その外
周面に細い溝を有していて、ここに配置されたガータス
プリング33により、潤滑剤供給部材41は一定の圧力
でねじ軸31の外周に向かってラジアル方向に押圧され
ている。そのため、たとえ長期間の動作により潤滑剤供
給部材41の内周面が摩耗したとしても、ねじ軸31と
の適切な接触が常に保たれて、良好な潤滑が確保される
ようになっている。
【0093】なお、潤滑剤供給部材41を構成する潤滑
剤含有ポリマの組成は、第二実施形態における潤滑剤供
給部材11と同様であるが、これに限定されるものでは
なく、適宜変更可能である。そして、潤滑剤供給部材4
1の軸方向外側には、接触シール装置42,42が圧入
されている。この接触シール装置42は、金属製又はプ
ラスチック製の芯金(補強部材)42bと、芯金42b
を内包した円板状のシール本体42cと、シール本体4
2cから内方に伸びた略円錐形(各図においては左方に
傾斜した形状)のシール片42dとから構成されてい
る。
【0094】シール片42dは、ねじ軸31の断面形状
に対応し且つそれよりやや小さい内径を有するような開
口42aを、その中央に備えている。そして、図5にお
いては図示しないボールねじナット32にその外周を固
定するシール本体42cと、シール片42dとは、第一
及び第二実施形態と同様のゴム材料組成物で一体的に形
成されている。そして、この一体の前記ゴム材料組成物
からなる部分と芯金42bとは、加硫接着により一体化
されている。なお、前記ゴム材料組成物の組成は、第一
及び第二実施形態のゴム材料組成物に限定されるもので
はなく、所望により適宜変更可能である。
【0095】芯金42bは、その外周は円形となってい
るが、その内周は開口42aと相似形となっており、す
なわち図6に示すように、その上部の幅D1と比べて下
部の幅D2が小さくなっている。したがって、芯金42
bの内周縁からシール本体42cの内周縁までの距離D
0と、シール本体42cの内周縁からシール片42dの
内周縁までの距離D3とを、全周にわたってそれぞれ一
定とすることができ、このことにより、ねじ軸31に当
接する際の接触シール装置42の撓み量を、ほぼ一定と
することができる。
【0096】図7は、接触シール装置42がねじ軸31
に当接して変形した状態を示した部分拡大図である。実
線で示した接触シール装置42は、ねじ軸31に当接し
ていない状態であり、二点鎖線で示した接触シール装置
42は、ねじ軸31に当接し変形した状態である。接触
シール装置42のシール片42dのねじ軸31との接触
部分(リップ部)は、ねじ軸31の外径面及びねじ溝3
1aに対して常にしめしろとなっている(実際には、変
形により隙間を0以下に保つようになっている)。
【0097】図7から分かるように、接触シール装置4
2がねじ軸31の何れの部分(ねじ軸31の外径面又は
ねじ溝31a)と当接した場合でも、シール片42dの
撓む方向はその形状に基づいて予測することができる。
したがって、このことによりシール性が最も高くなるよ
うに、シール片42dの形状を設計することが可能であ
る。なお、このような接触シール装置42の構成,形状
等は、この第三実施形態に限定されるものではない。
【0098】ボールねじナット32の移動時には、接触
シール装置42がねじ軸31と摺接することで内部を確
実に密封していて、ねじ軸31とボールねじナット32
との間の間隙の開口から塵埃等の異物が侵入すること
や、ボールねじナット32の外部への潤滑剤の漏出を防
止している。したがって、ボールねじの長寿命化が達成
される。また、接触シール装置42は、潤滑剤供給部材
41からしみ出た潤滑剤が供給されるため、リップ部の
摩耗が生じにくくシール性が優れている。
【0099】なお、第一,第二,及び第三実施形態にお
いては、直動装置としてリニアガイド装置及びボールね
じを例示して説明したが、本発明の直動装置は他の種類
の様々な直動装置に対して適用することができ、本発明
は本実施形態に限定されるものではない。
【0100】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る請求項1記
載のゴム材料組成物は、直動装置のシール装置に好適に
使用することができる。また、本発明に係る請求項2記
載の直動装置は、カルボキシル化アクリロニトリルブタ
ジエンゴムを原料ゴムとして使用したゴム材料組成物か
ら構成され、耐摩耗性や耐屈曲疲労性に優れたリップ部
を有する接触シール装置を備えているので、リップ部に
摩耗が生じにくくシール性が優れていて、切削粉等の異
物が侵入しやすい環境下で使用しても長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る直動装置の第一実施形態のリニア
ガイド装置の斜視図である。
【図2】図1のリニアガイド装置の接触シール装置のリ
ップ部の形状を示す部分拡大図である。
【図3】本発明に係る直動装置の第二実施形態のリニア
ガイド装置の端部の各部材の取り付け状態を示す斜視図
である。
【図4】本発明に係る直動装置の第三実施形態のボール
ねじの平面図である。
【図5】図4のボールねじの正面図である。
【図6】図4のボールねじのねじ溝と接触シール装置と
の接触部分を示す図である。
【図7】接触シール装置がねじ軸のねじ溝に当接してい
る状態を示す拡大図である。
【図8】従来のリニアガイド装置の斜視図である。
【図9】図8のリニアガイド装置の下面側を示す斜視図
である。
【符号の説明】
1 案内レール 2 スライダ 11,41 潤滑剤供給部材 12,42 接触シール装置 31 ねじ軸 32 ボールねじナット 42b 芯金 42c シール本体 42d シール片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23:00) C08L 23:00) (72)発明者 内山 貴彦 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 横山 景介 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J016 AA08 BB03 CA01 3J104 AA03 AA23 AA33 AA36 AA57 AA65 AA69 AA74 AA76 BA62 CA13 DA04 4J002 AC111 BB032 BB122 BB212 GM00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル化アクリロニトリルブタジ
    エンゴム100重量部とポリオレフィン系樹脂10〜6
    0重量部とを有することを特徴とするゴム材料組成物。
  2. 【請求項2】 外方部材と、該外方部材に隙間を介して
    対向する内方部材と、前記外方部材と前記内方部材との
    間に転動自在に配設され、前記外方部材と前記内方部材
    とを相対移動させる複数の転動体と、前記隙間の開口を
    密封する接触シール装置と、を備えた直動装置におい
    て、前記接触シール装置は、請求項1記載のゴム材料組
    成物と、前記ゴム材料組成物を補強する補強部材と、を
    備えることを特徴とする直動装置。
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