JP2002167679A - セラミック基材表面の溶射皮膜 - Google Patents

セラミック基材表面の溶射皮膜

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JP2002167679A
JP2002167679A JP2000364695A JP2000364695A JP2002167679A JP 2002167679 A JP2002167679 A JP 2002167679A JP 2000364695 A JP2000364695 A JP 2000364695A JP 2000364695 A JP2000364695 A JP 2000364695A JP 2002167679 A JP2002167679 A JP 2002167679A
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metallized
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Kosuke Katabe
浩介 形部
Yoshihiro Ushio
義弘 潮
Makoto Yamamoto
真 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】温度サイクルに繰り返し曝されると、銅合金や
ステンレススチールから成る溶射層とセラミック基材と
の接合強度が弱くなり、溶射層がセラミック基材から容
易に剥離するという問題があった。 【解決手段】セラミック基材1表面に厚み12〜25μmの
モリブデン−マンガン合金から成るメタライズ層2と、
ニッケルから成るめっき層3と、ニッケル−アルミニウ
ム合金からなる第1溶射層4と、銅合金またはステンレ
ススチールから成る第2溶射層5とが順次被着されて成
る溶射皮膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック基材の
表面にメタライズ層を介して溶射法による金属層を被着
させて成るセラミックス器材表面の溶射皮膜に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】アルミナセラミックスから成るセラミッ
ク基材は、剛性に優れ、軽量かつ低熱膨張性である等、
構造材料としての優れた特性を有していることから、例
えば半導体製造装置等に使用される精密部材への適用が
試みられている。
【0003】しかしながら、セラミック基材は一般に焼
成時に不均一な焼成収縮を伴うことから、その寸法ばら
つきが大きいという問題点を有している。
【0004】この問題点を解決するために、セラミック
基材を研削加工等により精密加工して所定寸法の精密部
材を得ることも考えられるが、セラミック基材は、極め
て固いことから、加工に長時間を要するとともに加工工
具の摩耗も著しいため加工の効率が極めて悪いものとな
ってしまう。また、セラミック基材は脆い性質を有して
いることから、加工時に精密部材に欠けやクラック、割
れ等が発生し易い。
【0005】そこで、アルミナセラミックス等のセラミ
ック基材の表面に、例えば銅合金やステンレススチール
から成る金属層を溶射技術により被着させ、この銅合金
やステンレススチールから成る溶射皮膜を研削加工等に
より精密に加工することにより、セラミック基材を主体
とした所定寸法の精密部材を得る方法が特開2000−7473
号において提案されている。
【0006】この従来技術について図1にて説明する。
図1は、セラミック基材1の表面上に2000μm以上の金
属の溶射皮膜であり、厚みが5〜25μmのモリブデン−
マンガン合金から成るメタライズ層2と、ニッケルから
成るめっき層3と、ニッケル−アルミニウム合金から成
る第1溶射層4と、銅合金またはステンレススチールか
ら成る第2溶射層5とが順次被着されて成り、セラミッ
ク基材1の熱応力を緩和することで各界面を密着させ
る、セラミック基材表面の溶射皮膜である。
【0007】ここで、溶射技術を簡単に説明する。金
属、セラミックス、プラスチック等の材料をプラズマ、
ガス燃焼熱、アーク熱、レーザ加熱、誘導加熱等の方法
により、高温で溶融し、空気圧や急激な温度変化による
大気の体積膨張で生じる圧力を利用して、溶滴として母
材に吹き付け溶射材料を被着する方法である。
【0008】溶射の製膜メカニズムは、上述した溶滴が
母材に衝突し偏平化し、瞬間的に溶滴から母材に熱が移
動して溶滴が固まる際に熱収縮を引き起こし、母材表面
の凹凸に食い込みアンカー効果で接合するものである。
そのような溶滴の粒子が次から次へと積み重なり、上述
した衝突、変形、熱移動を繰り返して被着される。この
溶射技術を利用して、金属の溶射皮膜をセラミック基材
表面にモリブデン−マンガン合金から成るメタライズ層
を介して被着させる方法が特開2000−7473号に記載され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術においては以下のような問題があった。例え
ば、温度サイクルの繰り返しの熱応力により劣化し易
い、筒状のセラミック基材の内面などに、金属の溶射皮
膜を被着する場合において、−40〜80℃の温度サイクル
が繰り返し加わる使用環境では、溶射皮膜の線膨張係数
とセラミック基材の線膨張係数の違いにより各層の界面
密着強度のバラツキにより、セラミック基材表面で溶射
皮膜が界面剥離を起こすといった問題点を有していた。
【0010】それは、各種の異種部材を高温処理で被着
させる溶射技術による金属の溶射皮膜の場合、熱膨張係
数の差による内部残留応力が筒状のセラミック基材内面
の各層の界面部に引っ張り応力が残存していると考えら
れ、内部残留応力を有するセラミック基材表面の溶射皮
膜に温度サイクルの熱応力が加わると、セラミック基材
表面より容易に界面剥離を起こすからであると推測でき
る。
【0011】例えば、アルミナセラミックス等のセラミ
ック基材1の熱膨張係数は約7.5×10 6/℃(室温〜80
0℃)で、セラミック基材1の表面に被着されたモリブ
デン−マンガン合金から成るメタライズ層2は約7.5×1
0 6/℃(室温〜800℃)で、ニッケルから成るめっき
層3は約13ラ10 6/℃(室温〜800℃)で、ニッケル−
アルミニウム合金から成る第1溶射層4は約15ラ10 6
18ラ10 6/℃(室温〜800℃)で、銅合金やステンレス
スチールから成る第2溶射層5は約15ラ10 6〜20ラ10 6
/℃(室温〜800℃)と相違している。
【0012】従って、それぞれの層には、各種の異種部
材を高温処理の溶射技術で金属膜を被着した際の熱膨張
係数差に起因する大きな応力が発生する。この大きな熱
膨張係数差による残留応力は、筒状のセラミック基材内
面において、線膨張係数差の最も大きい、モリブデン
(Mo)−マンガン(Mn)から成るメタライズ層とニ
ッケルから成るめっき層との間の界面で、外部からの温
度サイクルに基く熱応力が加わると、この層間の界面で
剥離を起こすおそれがある。
【0013】そこで、本発明は、例えば筒状のセラミッ
ク基材1内面の表面と溶射皮膜の密着強度向上に着目し
て、密着強度の一番弱い界面である、めっき層3とセラ
ミック基材1表面との間にあるモリブデン−マンガン合
金から成るメタライズ層2について改良を施し、より強
固なメタライズ層2とすることで、セラミック基材1表
面の密着強度を顕著に向上させ、外部から加えられる温
度サイクルに基く熱応力による界面剥離を防止するもの
である。
【0014】従って、本発明は従来技術における問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的は、セラミック
基材1の表面により強固で密着強度の安定したモリブデ
ン−マンガン合金から成るメタライズ層を被着させ、そ
の結果外部から加えられる温度サイクルに基く熱応力に
よる界面剥離の発生を抑制し、例えば筒状のセラミック
基材内面の表面に、容易に剥離等を起こさない安定した
溶射皮膜を被着することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のセラミック基材
表面の溶射皮膜は、セラミック基材の表面に、厚み12〜
25μmのモリブデン−マンガンから成るメタライズ層
と、ニッケルから成るめっき層と、ニッケル−アルミニ
ウム合金から成る第1溶射層と、銅合金またはステンレ
ススチールから成る第2溶射層とが順次被着されて成る
ことを特徴とする。
【0016】本発明は、上記の構成により、−40〜80℃
の温度サイクルといった熱応力によりセラミック基材表
面から容易に界面剥離を起こさない安定した溶射皮膜を
形成できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のセラミック基材表面の溶
射皮膜について以下に詳細に説明する。図2は、本発明
のセラミック基材表面の金属の溶射皮膜について一実施
形態を示す部分拡大断面図であり、1はセラミック基
材、2はモリブデン−マンガン合金から成るメタライズ
層、3はニッケルから成るめっき層、4はニッケル−ア
ルミニウム合金から成る第1溶射層、5は銅合金または
ステンレススチールから成る第2溶射層である。なお、
モリブデン−マンガン合金から成るメタライズ層2は、
モリブデンおよびマンガンを主成分とするものであり、
他の成分を少量含んでいてもよい。同様に、ニッケル−
アルミニウム合金から成る第1溶射層4は、ニッケルお
よびアルミニウムを主成分とするものであり、他の成分
を少量含んでいてもよい。
【0018】セラミック基材1は、たとえばアルミナ
(Al23)セラミックス等からなり、アルミナ,シリ
カ,マグネシア,カルシア等の原料粉末に適当な有機バ
インダ,溶剤等を添加混合するとともに、これを例えば
従来周知のプレス成形法により所定形状の生セラミック
成形体とし、この生セラミック成形体を約1600℃の高温
で焼成することによって製作される。
【0019】そして、セラミック基材1の表面にはメタ
ライズ層2が被着される。メタライズ層2は、モリブデ
ン粉末とマンガン粉末と若干のシリカを含有する金属ペ
ーストを、セラミック基材の表面に塗布するとともにこ
れを高温で焼成することによって、セラミック基材表面
に焼き付け被着されるものである。
【0020】この場合、モリブデン−マンガン合金中の
マンガンおよびシリカ成分がセラミックス中の例えばア
ルミナ質焼結体と化合し、セラミック基材1の表面とメ
タライズ層2との界面にアルミナとマンガンとガラスの
複合酸化物を形成することで強固に被着するものと考え
られる。
【0021】このメタライズ層2は、銅合金またはステ
ンレススチールからなる第2溶射層5を、ニッケルから
成るめっき層3およびニッケル−アルミニウム合金から
成る第1溶射層4を介してセラミック基材1に接合させ
るための下地金属皮膜として機能し、またメタライズ層
2はセラミック基材1に強固に被着する。また、メタラ
イズ層2の表面にはニッケルからなるめっき層3が強固
に被着される。そして、メタライズ層2の熱膨張係数は
約7.5×10 6/℃(室温〜800℃)である。
【0022】この場合、メタライズ層2は熱膨張係数が
約7.5×10 6/℃(室温〜800℃)であり、セラミック
基材1の熱膨張係数に近似することから、従来セラミッ
ク基材1とメタライズ層2との間に大きな熱応力が発生
することはないとされ、セラミック基材1表面の溶射皮
膜に例えば−40〜80℃の温度サイクルが繰り返し加わっ
ても、メタライズ層2とセラミック基材1との結合力が
低下することはないとされていた。
【0023】しかし、メタライズ層2は厚みが5μm未
満の場合には上述した複合酸化物層の形成が起こり難く
くなる。これは、厚みが薄いと接合面積当たりのマンガ
ンおよびシリカの量が少ない傾向にあるからだ考えられ
る。
【0024】一方、メタライズ層2の厚みが5μmを超
えると、マンガンおよびシリカの量が多くかつ安定した
複合酸化物層が形成され始め、厚み12μmで、マンガン
およびシリカの量が多くかつ安定した複合酸化物層の形
成が充分となり、このような複合酸化物層により密着強
度が向上する傾向にある。
【0025】これは、セラミック基材1の例えばアルミ
ナと複合酸化物を形成できるマンガンおよびシリカの量
は、モリブデン−マンガン合金から成るメタライズ層2
を焼き付ける時間に依存しており、焼き付ける時間を一
定として、メタライズ層2の厚みが適切な厚みに達する
と、反応に寄与しないマンガンおよびシリカはメタライ
ズ層2の内部に残留する傾向にあるからだと考えられ
る。
【0026】また、メタライズ層2の厚みが25μmを超
えると、セラミック基材1表面に溶射皮膜を形成した後
にメタライズ層2の中に割れが発生する危険が大きいも
のとなる。
【0027】これは、反応に寄与しないマンガンおよび
シリカが、メタライズ層2の強度を低下させる傾向にあ
るからだと考えられるが、実際には溶射皮膜形成後セラ
ミック基材1とメタライズ層2の界面がクラック等によ
り割れる傾向にある。従って、セラミック基材1の表面
に被着されたメタライズ層2は、その厚みを12〜25μm
の範囲とすると、その被着強度が最も大きくかつ安定し
たものとなるため、本発明ではメタライズ層2の厚みを
12〜25μmの範囲とする。
【0028】メタライズ層2の表面には、ニッケルから
成るめっき層3が従来周知の電解めっき法や無電解めっ
き法等により被着されている。このめっき層3は、メタ
ライズ層2にニッケル−アルミニウム合金から成る第1
溶射層4を被着させるための下地金属皮膜として機能
し、まためっき層3はメタライズ層2に強固に被着す
る。そして、めっき層3の熱膨張係数は約13ラ10 6/℃
(室温〜800℃)である。
【0029】この場合、めっき層3は熱膨張係数が約13
ラ10 6/℃(室温〜800℃)であり、メタライズ層2の
熱膨張係数とニッケル−アルミニウム合金から成る第1
溶射層4の熱膨張係数との中間の熱膨張係数を有してい
る。従って、めっき層3は、メタライズ層2と第1溶射
層4との間に両者の熱膨張係数の相違に起因して発生す
る熱応力を良好に吸収緩和することができる。
【0030】また、めっき層3は、第1溶射層4との接
合をいわゆるアンカー効果により強固とするために、例
えばショットブラスト法によりその表面が算術平均粗さ
Raで約0.5〜3μmとなるように粗面化されているのが
よい。Raが0.5μm未満の場合、第1溶射層4をアン
カー効果により強固に被着させることが困難となり、R
aが3μmを超えると、下地のメタライズ層2が露出し
やすく、そのため第1溶射層4を強固に被着させること
ができなくなる場合がある。
【0031】なお、めっき層3は厚みが0.5μm未満で
あると、めっき層3上にニッケル−アルミニウム合金か
ら成る第1溶射層4を強固に被着させることが困難とな
り、厚みが15μmを超えると、めっき層3を形成する際
にめっき層3に発生する応力が大きなものとなり、メッ
キ層3をメタライズ層2に強固に被着させることが困難
となる。従って、めっき層3は厚みを0.5〜15μmの範
囲としておくことが好ましい。
【0032】めっき層3の表面には、ニッケル−アルミ
ニウム合金から成る第1溶射層4が被着される。第1溶
射層4は、めっき層3に銅合金やステンレススチールか
ら成る第2溶射層5を被着させるための下地金属皮膜と
して機能し、また第1溶射層4はめっき層3に強固に被
着する。また、その表面に銅合金やステンレススチール
から成る第2溶射層5が強固に被着される。そして、第
1溶射層4の熱膨張係数は約15ラ10 6〜18ラ10 6/℃
(室温〜800℃)である。
【0033】この場合、第1溶射層4は熱膨張係数が約
15ラ10 6〜18ラ10 6/℃(室温〜800℃)であり、銅合
金やステンレススチールから成る第2溶射層5の熱膨張
係数に近似することから、第2溶射層5との間に大きな
熱応力が発生することはない。従って、本発明のセラミ
ックス表面の溶射皮膜が例えば−40〜80℃の温度サイク
ルに繰り返し曝されたとしても、第1溶射層4と第2溶
射層5との接合力が劣化することはない。
【0034】なお、第1溶射層4は厚みが5μm未満で
あるとめっき層3に強固に接合することが困難となり、
厚みが1500μmを超えると、第1溶射層4を形成する際
に第1溶射層4内に発生する応力が大きなものとなり、
めっき層3に強固に被着させることが困難となる。従っ
て、第1溶射層4は厚みを5〜1500μmの範囲とするこ
とが好ましい。
【0035】さらに、第1溶射層4は、ニッケルの含有
率が80重量%未満でアルミニウムの含有率が20重量%
を超えると、あるいはニッケルの含有率が95重量%を超
えアルミニウムの含有率が5重量%未満であると、この
第1溶射層4をめっき層3に強固に被着させることが困
難となる。従って、第1溶射層4は、ニッケルの含有率
が80〜95重量%で、アルミニウムの含有率が5〜20重量
%の範囲であることが好ましい。
【0036】また、第1溶射層4の表面には、銅合金や
ステンレススチールから成る第2溶射層5が0.5〜2000
μmの厚みに被着されている。第2溶射層5は、表面に
溶射皮膜が被着されたセラミック基材1を高精度の寸法
を有する部材となすための被加工層として機能し、第2
溶射層5を例えば研削加工することにより所定寸法の部
材を容易に得ることができる。
【0037】なお、第2溶射層5は厚みが0.5μm未満
では研削により所定寸法に加工するのが困難となり、厚
みが2000μmを超えると第2溶射層5を形成する際に第
2溶射層5内に発生する応力が大きなものとなり、第2
溶射層5を第1溶射層4に強固に被着させることが困難
となる。従って、第1溶射層5は厚みを0.5〜2000μm
の範囲とすることが好ましい。
【0038】この第2溶射層5は熱膨張係数が15ラ10 6
〜20ラ10 6/℃程度であり、セラミック基材1の熱膨張
係数7×10-6/℃(室温〜800℃)と大きく異なる。しか
しながら、セラミック基材1と第2溶射層5との間に
は、セラミック基材1側から熱膨張係数が7.5×10
6/℃(室温〜800℃)の強固で密着強度的に安定した厚
み12〜25μmのメタライズ層2、熱膨張係数が13ラ10 6
/℃(室温〜800℃)のめっき層3、熱膨張係数が15ラ10
6〜18ラ10 6/℃(室温〜800℃)の第1溶射層4が順
次被着されていることから、本発明の溶射皮膜を例えば
−40〜80℃の温度サイクルに繰り返し曝したとしても、
セラミック基材1と第2溶射層5との間に両者の熱膨張
係数の相違により発生する熱応力は、メタライズ層2、
めっき層3、第1溶射層4により良好に吸収緩和され
る。その結果、第2溶射層5がセラミック基材1から容
易に剥離するようなことはない。
【0039】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において
種々の変更を行うことは何等差し支えない。
【0040】
【実施例】本発明の実施例について以下に説明する。
【0041】(実施例1)純度99%アルミナ質焼結体か
ら成る、直径40mm×長さ40mmのセラミック円柱を多
数準備した。なお、セラミックス円柱表面の溶射皮膜の
層構成は図2と同様である。
【0042】セラミック円柱の片方の端面に、モリブデ
ン(Mo)とマンガン(Mn)とシリカとをそれぞれ89
重量%、6重量%、5重量%の割合で含有する金属ペー
ストを、厚みが6.25〜31.25μmとなるように印刷塗布
し、これを乾燥させた後、加湿したフォーミングガス中
で1400℃の温度で焼成した。これにより、セラミックス
円柱の片方の端面に、種々の厚みのモリブデン−マンガ
ン合金から成るメタライズ層2を被着させた。
【0043】次に、メタライズ層2上にニッケル(N
i)から成るめっき層3を電解めっき法により3μmの
厚みで被着させた後、めっき層3の表面に170〜340μm
のアルミナボールを49MPa(メガパスカル)の圧力で
噴射することにより、めっき層3の表面を算術平均粗さ
Raが約1.5μm程度になるように粗面化した。
【0044】次に、めっき層3の表面に95重量%Ni−
5重量%Alの第1溶射層4を、アーク溶射法を採用し
て、溶射ガン電流30A、電圧150V、吐出圧力49MPa
で50μmの厚みに被着させた。
【0045】次に、第1溶射層4上に、59重量%Cu−
38重量%Zn−3重量%Pdの銅合金または74重量%F
e−18重量%Cr−8重量%Niのステンレススチール
から成る第2溶射層5を、フレームワイヤ溶射法を採用
して、溶射ガン電流30A、電圧150V、吐出圧力49MP
aで200μmの厚みに被着させて、本発明の溶射皮膜の
試料とした。
【0046】これらを、JIS H8664に規定の付着力
試験に準じて、59重量%Cu−38重量%Zn−3重量%
Pdの銅合金または74重量%Fe−18重量%Cr−8重
量%Niのステンレススチールから成る第2の溶射層5
のセラミック基材1に対する密着強度を測定した。その
結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1より、メタライズ層2の厚みが5〜11
μmの試料番号1〜5では、第2溶射層5が59重量%C
u−38重量%Zn−3重量%Pd(59Cu−38Zn−3
Pd)の銅合金の場合、10.976〜13.23MPaと密着強
度はメタライズ層2の厚みと比例して徐々に大きくなっ
た。また、第2溶射層5が74重量%Fe−18重量%Cr
−8重量%Ni(74Fe−18Cr−8Ni)のステンレス
スチールの場合、9.8000〜12.936MPaとなり、銅合金
と同様に密着強度はメタライズ層2の厚みに比例して徐
々に大きくなることがわかった。
【0049】メタライズ層2の厚みが12〜25μmである
試料番号6〜14では、第2溶射層5が59Cu−38Zn
−3Pdの銅合金の場合、14.210〜15.288MPaとな
り、密着強度はメタライズ層2の厚みとは相関のないほ
ぼ均一な値で最大値となった。これは、第2溶射層5が
74Fe−18Cr−8Niのステンレススチールの場合も
同様であり、14.504〜15.386MPaとメタライズ層2の
厚みとは相関のないほぼ均一な値で最大値となった。
【0050】そして、図3にメタライズ層2の厚みに関
する第2溶射層5の密着強度のグラフ化したデータを示
す。
【0051】メタライズ層2の厚み5μmと12〜25μm
とで密着強度を比較すると、59Cu−38Zn−3Pdの
銅合金の場合は、厚みが12〜25μmの方が5μmよりも
約1.37倍と密着強度が増大しており、74Fe−18Cr−
8Niのステンレススチールの場合も、厚みが12〜25μ
mの方が5μmよりも約1.56倍と密着強度が増大した。
【0052】なお、メタライズ層2の厚み12〜25μmを
被着させた密着試験の際の剥離面は、第2溶射層5が59
Cu−38Zn−3Pdの銅合金と74Fe−18Cr−8N
iのステンレススチールの両方場合で、第1溶射層4と
第2溶射層5層との間であった。
【0053】また、メタライズ層2の厚みが25μmを超
えると、セラミック基材1に割れおよびクラック等が発
生し測定が不可能となった。
【0054】(実施例2)外径300mm、内径270mm、
高さ25mmの円筒状であり、純度99%アルミナ質焼結体
から成るセラミック基材1を多数準備した。なお、セラ
ミックス基材1の内面に形成した溶射皮膜の層構成は図
2と同様である。
【0055】このセラミック基材1の内面全面に、Mo
とMnとシリカとをそれぞれ89重量%、6重量%、5重量
%の割合で含有する金属ペーストを、厚みが6.25〜31.2
5μmとなるように印刷塗布し、乾燥させた後、加湿し
たフォーミングガス中で1400℃の温度で焼成した。これ
により、セラミック基材1表面に種々の厚みのメタライ
ズ層2を被着させた。
【0056】次に、メタライズ層2上にNiから成るめ
っき層3を電解めっき法により3μmの厚みに被着させ
た後、めっき層3の表面に170〜340μmのアルミナボー
ルを49MPaの圧力で噴射することにより、めっき層
3の表面を算術平均粗さRaが約1.5μm程度になるよ
うに粗面化した。
【0057】次に、めっき層3の表面に95重量%Ni−
5重量%Alの第1溶射層4を、アーク溶射法を採用し
て、溶射ガン電流30A、電圧150V、吐出圧力49MPa
で50μmの厚みに被着させた。
【0058】次に、第1溶射層4上に、59Cu−38Zn
−3Pdの銅合金または74Fe−18Cr−8Niのステン
レススチールから成る第2溶射層5を、フレームワイヤ
溶射法を採用して、溶射ガン電流30A、電圧150V、吐
出圧力49MPaで2000μmの厚みに被着させて、本発明
の溶射皮膜の試料とした。
【0059】これらについて、実施例1と同様に、JI
S H8664に規定の付着力試験に準じて、59Cu−38Z
n−3Pdの銅合金または74Fe−18Cr−8Niのス
テンレススチールから成る第2の溶射層5のセラミック
基材1に対する密着強度を測定した。その結果を表2に
示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2より、メタライズ層2の厚みが5μm
の試料番号1の場合、第2溶射層5が59Cu−38Zn−3
Pdの銅合金である場合と74Fe−18Cr−8Niのス
テンレススチールである場合の両方で、第2溶射層5の
溶射中に1000〜1300μmを被着させた時点でセラミック
基材1とメタライズ層2の界面で剥離が発生した。
【0062】また、メタライズ層2の厚みが8μmの試
料番号2の場合、第2溶射層5が59Cu−38Zn−3Pd
の銅合金である場合と74Fe−18Cr−8Niのステン
レススチールである場合の両方で、2000μmを被着後、
−40〜80℃の温度サイクルに10回曝した後に常温にて
検査をした際、セラミック基材1とメタライズ層2間で
剥離していた。
【0063】また、メタライズ層2の厚みが9〜11μm
の試料番号3〜5の場合、第2溶射層5が59Cu−38Z
n−3Pdの銅合金である場合と74Fe−18Cr−8Ni
のステンレススチールである場合の両方で、2000μm被
着後、−40〜80℃の温度サイクルに150サイクル曝した
後常温で検査をした際に、セラミック基材1とメタライ
ズ層2間で剥離していた。
【0064】メタライズ層2の厚みが12〜25μmの試料
番号6〜14の場合、第2溶射層5が59Cu−38Zn−3
Pdの銅合金である場合と74Fe−18Cr−8Niのス
テンレススチールである場合の両方で、2000μm被着
後、−40〜80℃の温度サイクルに300回曝しても剥離は
なかった。
【0065】メタライズ層2の厚みが25μmを超える試
料番号15〜17の場合、第2溶射層5が59Cu−38Z
n−3Pdの銅合金である場合と74Fe−18Cr−8Ni
のステンレススチールである場合の両方で、2000μm被
着直後に、セラミック基材1に割れが発生したものと、
セラミック基材1とメタライズ層2との間が剥離したも
のがあった。
【0066】なお、本発明は上記の実施例に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
変更、改良を施すことは何ら差し支えない。
【0067】
【発明の効果】本発明は、セラミック基材の表面に、厚
み12〜25μmのモリブデン−マンガン合金から成るメタ
ライズ層と、ニッケルから成るめっき層と、ニッケル−
アルミニウム合金から成る第1溶射層と、銅合金または
ステンレススチールから成る第2溶射層とが順次被着さ
れて成ることにより、従来、例えば筒状のセラミック基
材の内面に溶射皮膜を形成した場合に、−40〜80℃の温
度サイクルが繰り返し加わって熱応力により容易に劣化
していたものが、溶射皮膜の各層の界面の剥離等が解消
され、信頼性の高い安定した特性のセラミック部品を提
供をすることが可能となった。
【0068】また、重切削条件で加工しても剥離の起こ
らないセラミック基材表面の溶射皮膜を得ることがで
き、その結果金属溶射皮膜を形成したセラミック構造物
の形状、用途に多様性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のセラミック基材表面の溶射皮膜の部分拡
大断面図である。
【図2】本発明のセラミック基材表面の溶射皮膜の一実
施形態を示す部分拡大断面図である。
【図3】メタライズ層の厚みに関する第2溶射層の密着
強度のグラフである。
【符号の説明】
1:セラミック基材 2:モリブデン−マンガン合金から成るメタライズ層 3:ニッケルから成るめっき層 4:ニッケル−アルミニウム合金から成る第1溶射層 5:銅合金またはステンレススチールから成る第2溶射
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K031 AA01 AB03 AB08 BA05 CB08 CB22 CB26 CB35 DA03 FA04 4K044 AA13 AB03 BA02 BA06 BA10 BB05 BC05 BC11 CA11 CA18 CA53 CA62

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック基材の表面に、厚み12〜25μm
    のモリブデン−マンガン合金から成るメタライズ層と、
    ニッケルから成るめっき層と、ニッケル−アルミニウム
    合金から成る第1溶射層と、銅合金またはステンレスス
    チールから成る第2溶射層とが順次被着されて成ること
    を特徴とするセラミック基材表面の溶射皮膜。
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