JPH06329481A - セラミックス−金属複合体およびその製造方法 - Google Patents

セラミックス−金属複合体およびその製造方法

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JPH06329481A
JPH06329481A JP14303393A JP14303393A JPH06329481A JP H06329481 A JPH06329481 A JP H06329481A JP 14303393 A JP14303393 A JP 14303393A JP 14303393 A JP14303393 A JP 14303393A JP H06329481 A JPH06329481 A JP H06329481A
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ceramic
metal
layer
silver
sintered body
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JP14303393A
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English (en)
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Masanori Hirano
正典 平野
Noriyoshi Yamauchi
則義 山内
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Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度変化によるセラミック焼結体と金属の剥
離、セラミック焼結体のクラック等の問題を好適に解消
し得るセラミックス−金属複合体を提供する。 【構成】 複合基板30は、アルミナ基板16と、金属
層34と、金属層34を介してアルミナ基板16に接合
されている銅板26とから成る。この金属層34は、低
熱膨張率であるタングステン層34aと、タングステン
と銀−銅合金の混合層34bと、高熱膨張率である銀−
銅合金層34cとから成り、混合層34bは、アルミナ
基板16から遠ざかるに従って、銀−銅合金の含有率の
タングステンの含有率に対する比率が大きくされてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス−金属複
合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウ
ム等のセラミック焼結体は、耐熱性、耐摩耗性、絶縁性
等に優れているため、半導体用基板や自動車部品などに
広く用いられている。この中には、例えばパワーモジュ
ールやエンジン部品、ロケットの外壁材等のように放熱
性が共に要求される場合があるが、セラミック焼結体は
一般に熱伝導性に劣るため、このような場合には、熱伝
導性に優れた金属(例えば銅など)と接合して放熱性を
高めることが行われている。この接合方法には、例えば
銀ろう等を用いてセラミック焼結体に金属体をろう付す
る方法や、特公昭57−13515号公報に開示されて
いるようにセラミック焼結体を金属体に接触して位置さ
せ、所定の雰囲気下で共晶反応により接合する方法等が
ある。
【0003】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、一般的なセラ
ミック焼結体の熱膨張率は3〜10×10-6/℃程度で
あるのに対し、例えば銅やステンレス鋼等の金属の熱膨
張率は16〜18×10-6/℃程度と大きい。したがっ
て、このようなセラミックス−金属複合体は、接合され
た両者の熱膨張率が大きく異なるため、その接合工程や
使用時の温度変化により熱膨張率の差に起因する応力
(熱応力)が発生し、接合界面で剥離が生じたり、セラ
ミック焼結体の強度が熱応力に比べて低い場合にはクラ
ック(ひび、割れ等)が発生することがある。そこで、
セラミック焼結体と金属の接合界面に、両者の中間の熱
膨張率を有する緩衝材や、特開昭56−41879号公
報に開示されているような熱応力を塑性変形により吸収
する延性に富む緩衝材を介挿する方法が行われている
が、前者の方法では、緩衝材とセラミック焼結体との間
にも相当の熱膨張率の差があるため、それに起因する熱
応力が生じるという問題があり、後者の方法では、発生
する熱応力がきわめて大きい場合には緩衝材の塑性変形
では応力が充分に吸収できないという問題があった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであって、その目的は、温度変化によるセラミック
焼結体と金属の剥離、セラミック焼結体のクラック等の
問題を好適に解消し得るセラミックス−金属複合体を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための第一の手段】斯かる目的を達成
するために、本発明のセラミックス−金属複合体の要旨
とするところは、セラミック焼結体と、そのセラミック
焼結体の少なくとも一部の表面上に固着された金属層と
を含むセラミックス−金属複合体であって、その金属層
は、高融点金属および銀−銅系合金を含み、その銀−銅
系合金の含有率の高融点金属の含有率に対する比率が、
前記セラミック焼結体の表面から遠ざかるに従って連続
的または段階的に大きくされたものであることにある。
【0006】
【作用および第一発明の効果】このようにすれば、セラ
ミック焼結体上に固着された金属層は、銀−銅系合金の
含有率の高融点金属の含有率に対する比率が、前記セラ
ミック焼結体の表面から遠ざかるに従って連続的または
段階的に大きくされているため、金属層の熱膨張率はセ
ラミック焼結体側で比較的小さく、その反対側で比較的
大きくされる。これは、タングステン、モリブデン等の
高融点金属の熱膨張率が5×10-6/℃程度と小さく、
反対に銀−銅系合金の熱膨張率が16〜18×10-6
℃と大きいため、金属層の熱膨張率は両者の含有率の比
率に応じてそれぞれの熱膨張率の中間の値に決定される
からである。したがって、セラミック焼結体と金属層と
の固着面における熱膨張率の差が小さくなり、温度変化
が生じた際にその差に起因する熱応力が小さくされて、
剥離やセラミック焼結体のクラックの発生が好適に解消
される。
【0007】好適には、前記金属層において、前記高融
点金属と銀−銅系合金の界面にニッケル層が介在されて
いる。このようなセラミックス−金属複合体は、この高
融点金属と銀−銅系合金の接合が強固にされて、金属層
全体として緻密化するため一層熱伝導性に優れた金属層
が得られる。
【0008】また、好適には、金属体が、前記金属層を
介して前記セラミック焼結体と接合されている。このよ
うなセラミックス−金属複合体は、温度変化が生じた際
の金属体の熱膨張に起因する熱応力が前記金属層によっ
て好適に緩和されて、剥離、クラックが生じないため信
頼性が高くなるとともに、セラミック焼結体側で発生し
た熱が接合された金属体により好適に放散されるため、
半導体基板やエンジン部品、ロケットの外壁材などの絶
縁性や耐熱性と共に放熱性が必要な部品に適している。
【0009】また、好適には、前記セラミック焼結体は
基板であり、前記金属体は銅板または銅合金板である。
このような構造のセラミック基板は、パワーモジュール
や圧電素子用の半導体モジュール等に用いられた際に
は、半導体や電子部品等で発生した熱が金属体により放
散されて基板の温度上昇が好適に緩和されるとともに、
前述のように、温度変化が生じた際にも剥離、クラック
が発生せず、高温下で用いられる半導体や電子部品等の
基板として好適である。
【0010】また、好適には、前記セラミック基板にお
いて、銅板または銅合金板の少なくとも一部に回路パタ
ーンが形成されている。このようなセラミック基板は、
大電流に対応できると共に、温度変化が生じた際に回路
パターンの剥離が生じず、信頼性の高いセラミック回路
基板が得られる。
【0011】また、好適には、前記セラミック焼結体
は、アルミナ焼結体または窒化アルミニウム焼結体であ
る。このようなセラミックス−金属複合体は熱伝導性、
絶縁性、機械的特性等に特に優れているため、前述のよ
うな半導体や電子部品等の基板等に特に好適である。
【0012】
【課題を解決するための第二の手段】また、本発明のセ
ラミックス−金属複合体の製造方法の要旨とするところ
は、セラミック焼結体の少なくとも一部の表面上に、多
数の開放性気孔を有し、そのセラミック焼結体の表面か
ら遠ざかるに従って、その気孔率が連続的または段階的
に大きくされた多孔質の高融点金属層を形成するメタラ
イズ工程と、その高融点金属層内に銀−銅系合金を含浸
させる含浸工程とを含むことにある。
【0013】
【作用および第二発明の効果】このようにすれば、セラ
ミック焼結体の表面から遠ざかるに従って、その気孔率
が連続的または段階的に大きくされた高融点金属層の多
数の開放性気孔に、銀−銅系合金がその気孔率の分布に
応じて含浸される。したがって、前記金属層における銀
−銅系合金の含有率の高融点金属の含有率に対する比率
が、セラミック焼結体の表面から遠ざかるに従って大き
くされたセラミックス−金属接合体を容易に得ることが
できる。
【0014】好適には、前記セラミックス−金属複合体
の製造方法は、前記含浸工程の前に、前記多孔質の高融
点金属層内の開放性気孔を形成する表面にニッケル層を
形成する工程を含む。このようにすれば、ニッケル層に
より銀−銅系合金の高融点金属に対する濡れ性が向上
し、前記高融点金属層内のセラミック焼結体に近い側の
低気孔率のところまで銀−銅系合金が含浸される。
【0015】また、好適には、前記メタライズ工程は、
セラミック成形体またはセラミック焼結体の表面に、高
融点金属を主成分とし焼結後の気孔率の異なる少なくと
も二種の高融点金属ペースト或いは高融点金属生シート
を焼結後の気孔率の小さい順に積層する積層工程と、該
積層工程後に所定の条件で焼成する焼成工程とを含む。
このようにすれば、高融点金属ペースト或いは高融点金
属生シートを所定種類用意し、所定数積層することによ
り、多数の開放性気孔を有し、セラミック焼結体の表面
から遠ざかるに従って、その気孔率が連続的または段階
的に大きくされた高融点金属層を容易に得ることができ
る。
【0016】また、好適には、前記含浸工程は、前記高
融点金属層の前記セラミック焼結体と反対側の表面に銀
−銅系合金層を形成する合金層形成工程と、金属体を、
該銀−銅系合金層の前記高融点金属層と反対側の面に接
して位置させる工程と、所定の条件で加熱処理する加熱
工程とを含む。このようにすれば、高融点金属層上に形
成された合金層が、加熱処理時に高融点金属層の開放性
気孔に浸透するため、容易に高融点金属層に銀−銅系合
金が含浸されるとともに、含浸工程において金属体を同
時に接合することが可能である。
【0017】また、好適には、前記合金層形成工程は、
前記高融点金属層の表面に銀−銅系合金箔を載置する
か、または銀−銅系合金ペーストを印刷する工程であ
る。このようにすれば、容易に高融点金属層上に銀−銅
系合金層を形成することが可能である。
【0018】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明する。
【0019】図1は本実施例の工程流れ図である。例え
ばAl2 3 94重量%、残部をCaO、MgO、Si
2 等の焼結助剤と、微量の不可避不純物とから成るア
ルミナ原料を調合し、例えばメタクリル酸エステル樹脂
を加えて混合したスラリーを所定の粘度に調整して、例
えばドクターブレード法により厚さ0.77mmのアル
ミナ生シート成形した。一方、例えば平均粒径1.0μ
m、2.4μm、3.0μmの三種のタングステン粉末
(純度99.9%)をそれぞれ90重量%と、前記アル
ミナ生シートに用いたものと同一組成のアルミナ原料粉
末10重量%とから成る原料を調合し、例えばテルピネ
オールおよびエチルセルロースを主成分とする助剤を添
加して、例えば三本ロールミルで混練し、三種のタング
ステンペーストA、B、Cを作製した。
【0020】上記のアルミナ生シートを、例えばカッタ
ー等により例えば62×42mmに切断し、数枚の基板
用生シート10を得た。この基板用生シート10の両面
に上記タングステンペーストA、B、Cを順にそれぞれ
例えば約40μmの厚さで印刷後、例えば約80℃で乾
燥する作業を繰り返し、図2に示すような印刷層12が
両面に形成された印刷生シート14を得た。なお、印刷
層12は、図3に一部断面を示すように、それぞれタン
グステンペーストA、B、Cに対応する、所定の厚さの
三層(12a、12b、12c)から成っており、印刷
生シート14の一方の面(図2における上面)には所定
の回路パターンが形成されている。また、印刷層12は
両面とも同様な断面構造であるため、図3では一方の面
の構造のみ示している。
【0021】この印刷生シート14を、例えばN2 −H
2 混合ガス雰囲気中で1600℃で焼成し、アルミナ基
板16の両面にメタライズ層18が形成されたメタライ
ズ基板20を得た。このメタライズ層18は、図4に示
すように前記三層の印刷層に12に対応する所定の厚さ
の三層(18a、18b、18c)から成っており、前
記印刷層12aに対応するアルミナ基板16に最も近い
第一層18aは緻密に焼結しており、印刷層12bに対
応する第二層18bは気孔22を有して多孔質に、印刷
層12cに対応する第三層18cは更に多孔質に焼結し
ている。すなわち、このメタライズ基板20は、メタラ
イズ層18の気孔率がアルミナ基板16から遠ざかるに
従って段階的に大きくされている。なお、本実施例で
は、基板用生シート10がセラミック成形体に、アルミ
ナ基板16がセラミック焼結体に、メタライズ層18が
高融点金属層に相当する。
【0022】次に、銀粉末(平均粒径1.3μm)72
重量%、銅粉末(平均粒径1.5μm)28重量%から
成る原料をアトライタにて粉砕・混合後、エチルセルロ
ースとテルピネオールを主成分とする助剤を添加し、三
本ロールミルで混練し、銀−銅ろう材ペーストを作製し
た。この銀−銅ろう材ペーストを前記メタライズ基板2
0の両面に厚さ30μmで印刷してろう材層24を形成
し、乾燥後、N2 雰囲気下600℃にて脱脂した。脱脂
後、一部のメタライズ基板20の両面のろう材層24上
に厚さ300μmおよび350μmの無酸素銅板26、
28を載置し、スペーサーを介して0.3g/mm2
荷重をかけて、他のメタライズ基板20と共にAr雰囲
気下850℃で15分間加熱処理して、図5に示す複合
基板30および、複合基板30において両面の銅板2
6、28がない形状の被膜基板を得た。なお、本実施例
では、銀−銅ろう材が銀−銅系合金に相当する。
【0023】上記複合基板30はアルミナ基板16と、
その上下面に固着された金属層34と、その金属層34
をそれぞれ介してアルミナ基板16に接合されている銅
板26、28とから成っており、前記印刷層12の回路
パターンを形成した面の側に載置した銅板26には、印
刷層12すなわちメタライズ層18に形成されたものに
対応する回路パターンが形成されている。この複合基板
30の金属層34は図6に一部断面を示すように、アル
ミナ基板16に最も近く銀−銅合金を全く含有しないタ
ングステン層34aと、そのタングステン層34aのア
ルミナ基板16の反対側に位置するタングステンと銀−
銅合金の混合層34bと、最もアルミナ基板16から遠
くタングステンを全く含有しない銀−銅合金層34cと
から構成されており、この混合層34bはアルミナ基板
16から遠ざかるに従って、銀−銅合金の含有率が多く
されている。すなわち、金属層34は、銀−銅合金の含
有率のタングステンの含有率に対する比率が、アルミナ
基板16から遠ざかるに従って段階的に大きくされてい
る。なお、図6において、混合層34b中の36はタン
グステンを、38は銀−銅合金を示している。また、本
実施例では複合基板30がセラミックス−金属複合体
に、無酸素銅板26、28が金属体に相当する。また、
前記被膜基板も金属層は同様な構造になっており、必要
に応じて銅板その他の所定の金属体を、一方の面或いは
両面に別途用意された銀ろう等により接合されて用いら
れる。
【0024】ここで、この複合基板30の、銅板26、
28とアルミナ基板16との接合強度をピール強度試験
により測定したところ、約17Kg/cmであった。こ
れに対し、同時に測定した従来法(ろう材による直接接
合或いは緩衝材を用いる方法)にて作製した複合体の接
合強度は約10Kg/cmと低いものであった。なお、
ピール強度試験は、複合基板30に引張端子を接合し、
銅板26または28をアルミナ基板16に対して90°
の方向に引張試験機で引き剥がし、剥がれた際の荷重を
測定して求めたものである。
【0025】また、複合基板30および被膜基板の耐熱
衝撃性を評価するため、熱衝撃試験機内で−50℃に3
0分保持後、150℃に加熱し、30分保持する一連の
工程を1サイクルとする試験を繰り返し行った。なお、
温度調節は試験機内に冷気或いは熱気を送り込むことに
よりきわめて速やかに行った。この結果、複合基板30
および被膜基板は500サイクル後もクラック、剥離の
発生は認められなかった。これに対して、同時に試験に
供した上記の従来法にて作製した複合体は約50サイク
ル後に割れが発生しており、以上の試験から、本実施例
の複合基板30および被膜基板は接合強度が強く、ま
た、温度変化(温度サイクル)に対しても充分な耐久性
を有することが示された。
【0026】すなわち、複合基板30および被膜基板に
おいては、アルミナ基板16に固着された金属層34
が、アルミナ基板16側ではタングステンのみの低熱膨
張率層(タングステン層34a)に、その反対側では銀
−銅合金のみの高熱膨張率層(銀−銅合金層34c)に
されており、且つその中間の層はアルミナ基板22から
遠ざかるに従って銀−銅合金の含有率が大きく、すなわ
ち熱膨張率が大きくなるようにされたタングステンと銀
−銅合金の混合層34bであるため、隣接する層相互の
熱膨張率の差がきわめて小さく、したがって銅板26、
28或いは金属層34とアルミナ基板16との熱膨張率
の差に起因する熱応力が殆ど発生しない。このため、金
属層34の固着および銅板26、28の接合の際の加熱
・冷却による熱応力の残留(残留応力)が小さくなり、
上記のように高い接合強度が得られると共に、温度変化
が生じてもクラックや剥離の発生しない複合基板30お
よび被膜基板が得られるのである。
【0027】また、本実施例の複合基板30は、一方の
面に放熱板としての銅板28が接合されているため、発
熱量の大きなパワーモジュール等の基板として用いる
と、半導体で発生した熱が、銅板28によって好適に放
散されて、高い耐久性と信頼性が得られる。これは、銅
板28とアルミナ基板16の接合層の役割を果たす金属
層34が、タングステンおよび銀−銅合金の両方または
何れか一方から成る比較的緻密な層で形成されて、熱伝
導が良好であるとともに、前述のように熱応力が小さく
されることにより、剥離、クラック等が発生し難いため
である。
【0028】また、本実施例においては、粒度すなわち
焼結性の異なる3種のタングステン粉末を用いて印刷層
12を印刷・積層により形成しているため、これを焼成
することにより、アルミナ基板16から遠ざかるに従っ
て気孔率が大きくなるメタライズ層18が得られる。し
たがって、このメタライズ層18上に銀−銅ろう材層2
4を印刷により形成し、加熱処理することによりメタラ
イズ層18内の気孔22に銀−銅合金が含浸されて、ア
ルミナ基板16から遠ざかるに従って銀−銅合金の含有
率のタングステンの含有率に対する比率が大きくなる金
属層34が容易に得られる。このとき、最もアルミナ基
板16に近い印刷層12aに用いるタングステンペース
トAが、そのタングステン粉末粒度および焼結助剤が緻
密に焼結するように決定されているので、銀−銅合金を
含まないタングステン層34aが形成され、且つ、高融
点金属粉末にアルミナ基板16と同組成のアルミナ原料
粉末が含有されているため、金属層34とアルミナ基板
16との充分な接合強度が得られる。
【0029】また、複合基板30においては、メタライ
ズ層18上に印刷するろう材層24が、メタライズ層1
8のアルミナ基板16とは反対側の面に銀−銅合金層3
4cを形成できるだけの厚みにされているため、ろう材
印刷・乾燥・脱脂後に銅板26、28を載置し、所定の
荷重をかけて加熱処理することで銀−銅合金とタングス
テンから成る金属層34の形成と、銅板26、28の接
合が同時に行われる。
【0030】また、本実施例においては、アルミナ基板
16の両面に同様な構造の金属層34が固着(更に複合
基板30においては銅板26、28が接合)されている
ため、温度変化が生じた際に両面に同程度の熱応力が発
生して相殺され、一層温度変化に対して高い耐久性を有
する複合基板30および被膜基板が得られる。
【0031】また、本実施例においては、複合基板30
に用いられるセラミック焼結体がアルミナ基板16であ
るため、機械的特性、熱伝導性、絶縁性に優れ、パワー
モジュール等に用いる基板として好適である。
【0032】また、複合基板30においては、接合する
金属体として無酸素銅板26、28を用いているため、
銅板とろう材との濡れ性が良好にされて、銅板とセラミ
ック焼結体の強固な接合体が得られる。
【0033】なお、前記の銀−銅ろう材にはチタンが含
有されていても良い。例えば、前記の銀−銅ろう材の原
料粉末95重量%とチタン粉末(平均粒径15μm)5
重量%から成る銀−銅−チタンろう材ペーストを、前述
と同様な方法で作製して銀−銅ろう材に替えて用い、真
空中(1×10-5torr)、850℃、20分加熱処理す
る以外は、前述と同様な方法によって複合基板30およ
び被膜基板と同様な基板が得られる。これらの基板を前
述と同様な方法で評価したところ、接合強度は約20k
g/cmであり、耐熱衝撃性試験においては500サイ
クル後もクラック、剥離の発生は認められなかった。
【0034】次に、本発明の他の実施例を説明する。
【0035】例えば、AlN96重量%と、Y2 3
重量%と、微量の不可避不純物から成る窒化アルミニウ
ム原料を調合し、前記第一実施例と同様にして、例えば
厚さ0.8mmの窒化アルミニウム生シートを成形し
た。一方、例えば平均粒径1.0μm、2.3μm、
2.7μm、3.4μmの4種のタングステン原料(純
度99.9%)90%と、前記生シートと同様に調合さ
れた原料10%とから成る原料を調合し、第一実施例と
同様にしてタングステンペーストD、E、F、Gを作製
した。
【0036】上記の窒化アルミニウム生シートを、例え
ば打ち抜き加工により例えば64×62mmに切断し、
数枚の基板用生シートを得た。この基板用生シートに第
一実施例と同様にしてタングステンペーストD、E、
F、Gを順次印刷・積層した後、N2 −H2 雰囲気下で
1750℃にて焼成し、四層になっている他は第一実施
例におけるメタライズ基板20(図4)と同様の構造の
メタライズ基板を得た。これに第一実施例と同様にニッ
ケルメッキ後、銀−銅−チタンペーストを同様に印刷・
脱脂し、一部のメタライズ基板には無酸素銅板を両面に
載置し、0.4g/mm2 の荷重をかけ、他のメタライ
ズ基板と共に例えば1×10-5torrの真空中850℃で
20分間加熱処理して、図5および図6に示したものと
同様な窒化アルミニウム複合基板および被膜基板を得
た。
【0037】上記2種の基板を、第一実施例と同様な方
法で接合強度および耐熱衝撃性を評価した。その結果、
接合強度は18kg/cmであり、熱衝撃試験では50
0サイクル以上でも割れ、剥離の発生は見られなかっ
た。また、第一実施例と同様に、従来の方法で作製した
窒化アルミニウム複合基板についても同時に評価を行っ
たが、接合強度は11kg/cmであり、50サイクル
で割れが発生した。したがって、本実施例においても従
来法に比較して特性の向上が確認された。
【0038】すなわち、本実施例においても、前記第一
実施例と同様に、金属層において、窒化アルミニウム基
板から遠ざかるに従って、銀−銅合金の含有率のタング
ステンの含有率に対する比率が大きくされているため、
熱応力が小さくされて、温度変化に対して高い耐久性を
示すと同時に、高い接合強度が得られるのである。ま
た、第一実施例と同様に両面が同様な構造にされている
ため、一層高い耐久性、強度が得られる。更に、本実施
例においては、金属層が四層であるため、第一実施例に
比較して一層熱応力を低減する効果が大きい。
【0039】また、セラミック焼結体として窒化アルミ
ニウム基板が用いられているため、第一実施例よりも一
層熱伝導性に優れ、一層高い耐久性が得られ、パワーモ
ジュール等に用いる基板として更に好適である。
【0040】また、その他、第一実施例と同様に、容易
に前記のような金属層の構造が得られると共に、銅板の
同時接合も可能であり、無酸素銅板に関しても同様な効
果が得られる。
【0041】次に、本発明の更に別の実施例を説明す
る。
【0042】例えば平均粒径1.0μm、1.8μm、
2.5μmの三種のモリブデン粉末をそれぞれ85重量
%と、二酸化マンガン(MnO2 )13重量%と、酸化
チタン(TiO2 )2重量%とから成る原料を調合し、
第一実施例と同様に三種のモリブデンペーストH、I、
Jを作製した。このモリブデンペーストを、例えば、粉
末加圧成形等で成形の後所定の温度で焼成された、純度
94%のアルミナ焼結体(50×50×10mm厚み)
の一方の面に、例えば約30μmの厚さで順次印刷・乾
燥(120℃)し、N2 −H2 雰囲気下で1500℃に
て焼成してアルミナ焼結体に三層のモリブデンメタライ
ズ層を形成した。
【0043】このメタライズ層は、第一実施例と同様な
構造に形成されており、これに厚さ50μmのBAg−
8板ろう材をメタライズ面上に載置し、更にその上に厚
み500μmの無酸素銅板を載置した後、スペーサーを
介して0.5g/mm2 の荷重をかけて、例えば1×1
-5torrの真空中850℃で20分間加熱処理して、ア
ルミナ−銅接合体を得た。
【0044】このアルミナ−銅接合体の剪断強度を測定
したところ、15Kg/mm2 であった。また、第一実
施例と同様に熱衝撃試験を行ったところ、やはり、50
0サイクル後にも割れ、剥離の発生は見られなかった。
一方、同時に従来の方法で作製したアルミナ−銅接合体
を評価したが、剪断強度は9Kg/mm2 であり、ま
た、50サイクルで割れが発生し、本実施例においても
従来の接合方法に対する特性の向上が確認された。
【0045】すなわち、本実施例においても、アルミナ
焼結体と銅板を接合する金属層が、アルミナ焼結体から
遠ざかるに従って、銀−銅合金の含有率のモリブデンの
含有率に対する比率が大きくされているため、熱応力が
小さくされて、温度変化に対して高い耐久性を示すと同
時に、高い接合強度が得られるのである。
【0046】また、本実施例においては、前記第一実施
例と同様に、アルミナ焼結体から遠ざかるに従って気孔
率が大きくされたモリブデン層が容易に得られると共
に、このモリブデン層上に板ろう材を、銅板で挟み込ん
で載置し、荷重をかけ、加熱することで第一実施例より
も一層容易に所定の金属層が得られると共に金属層の形
成と同時に銅板が接合される。
【0047】なお、高融点金属と銀−銅系合金の界面に
ニッケル層を介在させることも可能である。例えば、こ
れまでの第一〜第三実施例において、図4に示すような
メタライズ基板20のメタライズ面に無電解ニッケルメ
ッキを施し、メタライズ層18b、18c内の気孔22
を形成するタングステン或いはモリブデン等の高融点金
属メタライズ表面に、ニッケル金属層を形成した。その
後、前述のぞれぞれの実施例と同様な方法で複合基板を
得た。
【0048】本実施例においては、ろう材をメタライズ
層18に含浸する前に、メタライズ層18にニッケルメ
ッキを施しているため、ニッケル層により銀−銅系合金
のタングステンに対する濡れ性が向上し、前記メタライ
ズ層18内のアルミナ基板16等のセラミック基板に近
い側の低気孔率のところまで銀−銅合金が含浸されて、
タングステンと銀−銅合金の接合を強固とすることがで
きる。したがって、全体として緻密化するため一層熱伝
導性に優れた金属層34が得られる。
【0049】次に、本発明の更に別の実施例を説明す
る。
【0050】例えば、ムライト粉末に0.5重量%のM
gOを含有する原料粉末を用い、第一実施例と同様にし
て厚さ0.8mmのムライト生シートを成形した。一
方、例えば平均粒径1.2μm、2.6μm、3.1μ
mのそれぞれ粒径の異なる三種のタングステン粉末90
重量%に、上記ムライト生シートと同一組成の原料粉末
を10重量%添加した混合粉末を用い、第一実施例と同
様にしてタングステンペーストK、L、Mを作製した。
【0051】上記のムライト生シートを例えばカッター
により例えば45×45mmに切断し、数枚の基板用生
シートを得た。この基板用生シートに第一実施例と同様
にしてタングステンペーストK、L、Mを約30μmの
厚さで順次印刷・積層した後、N2 −H2 雰囲気下で1
630℃にて焼成し、第一実施例におけるメタライズ基
板20(図4)と同様の構造のメタライズ基板を得た。
これに前述の銀−銅−チタンペーストを同様に印刷・脱
脂し、一部のメタライズ基板には厚さ250μmの無酸
素銅板を両面に載置し、スペーサーを介して0.3g/
mm2 の荷重をかけ、他のメタライズ基板と共に例えば
1×10-5torrの真空中850℃で20分間加熱処理し
て、図5および図6に示したものと同様なムライト複合
基板および被膜基板を得た。
【0052】上記2種の基板を、第一実施例と同様な方
法で接合強度および耐熱衝撃性を評価した。その結果、
接合強度は18kg/cmであり、熱衝撃試験では50
0サイクル以上でも割れ、剥離の発生は見られなかっ
た。
【0053】本実施例においても、前述してきた実施例
と同様な作用により熱応力が小さくされて、温度変化に
対して高い耐久性を示すと共に高い接合強度が得られ
る。
【0054】また、本実施例においては、セラミック焼
結体としてムライトが用いられているため、アルミナや
窒化アルミニウムと比較して誘電率が低く、基板材料と
して用いた場合にこれらに比較して信号遅延時間が短縮
され、一層好適である。
【0055】次に、本発明の更に別の実施例を説明す
る。
【0056】例えば、Si3 4 92重量%、Al2
3 3重量%、Y2 3 2重量%および微量の不可避不純
物を含む窒化ケイ素原料を調合し、アクリル樹脂系の成
形助剤を添加してスラリーを作製し、スプレードライヤ
ーによって造粒粉末を得た。これを例えば油圧成形機等
で所定の形状に予備成形後、2ton/cm2 の圧力で
静水圧成形し、φ15mm×50mmの円柱状の成形体
を得た。一方、例えば平均粒径1.1μm、2.5μ
m、3.3μmのそれぞれ粒径の異なる三種類のタング
ステン粉末に、上記窒化ケイ素原料と同一組成の原料粉
末を、1.1μmのものに対しては25内部重量%、他
の二つには10内部重量%添加した混合粉末を用い、第
一実施例と同様にしてタングステンペーストN、O、P
を作製した。
【0057】上記の円柱状成形体の一方の端面に、第一
実施例と同様にしてタングステンペーストN、O、Pを
例えば約30μmの厚さで順次印刷・積層した後、4気
圧のN2 ガス雰囲気下で1750℃にて焼成し、一方の
端面に第一実施例と同様なメタライズ層18を有する窒
化ケイ素焼結体を得た。これに厚さ50μmのLiを
0.3重量%含むBAg−8ろう材箔を、前記メタライ
ズ層上に載置し、更にその上に厚さ500μmの無酸素
銅板を両面に載置し、スペーサーを介して0.3g/m
2 の荷重をかけ、例えば1×10-5torrの真空中85
0℃で15分間加熱処理して、円柱状の窒化ケイ素焼結
体の一方の端面に銅板の接合された複合構造体を得た。
【0058】上記複合構造体を第三実施例と同様な方法
で接合強度(剪断強度)および耐熱衝撃性を評価した。
その結果、剪断強度は15kg/mm2 であり、熱衝撃
試験では100サイクル以上でも割れ、剥離の発生は見
られなかった。
【0059】本実施例においても、前述してきた実施例
と同様な作用により、熱応力が小さくされて温度変化に
対して高い耐久性を示すと共に高い接合強度が得られ
る。
【0060】また、本実施例において、セラミック焼結
体として用いられている窒化ケイ素は、一般的な基板材
料の中では比較的強度の高いアルミナと比較しても、そ
の曲げ強度が1.5〜2倍程度であり、また、破壊靭性
値も2〜3倍程度であるため、特に耐熱衝撃性に優れて
いる。例えば、本実施例の方法において、ろう材と銅板
との間に10μmのチタン箔を載置する他は同様にし
て、本実施例と同形状の銅板−アルミナ接合体を製作
し、その耐熱衝撃性を上記と同様に評価したところ、約
10サイクルで割れが発生した。それに対して本実施例
の複合構造体は上記のように100サイクル後も割れ、
剥離の発生が認められない。すなわち、窒化ケイ素複合
構造体は、接合強度を高くするためにチタン箔を用いた
銅−アルミナ接合体よりも高い耐熱衝撃性を有し、特に
温度サイクルの厳しい条件下で用いられる接合体として
適している。
【0061】以上、本発明の実施例を詳細に説明した
が、本発明は更に別の態様でも実施される。
【0062】前述の実施例では、セラミック焼結体とし
て、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト、窒化ケイ
素を用いたが、その他にもジルコニア、マグネシア、窒
化ホウ素、炭化ケイ素、酸窒化アルミニウム、炭化ホウ
素、ホウ化ジルコニウム等が利用可能であり、これらの
セラミック焼結体には不可避不純物の他、焼結助剤が含
まれていても良い。焼結助剤としては、実施例で述べた
ものの他に、例えば、アルミナに対してはY2 3 、B
aO、Cr2 3 等が、窒化アルミニウムに対しては、
CaO、BaO、SrO、CaCO3 、BaCO3 、S
rCO3 、アルミン酸カルシウム、La2 3 、CeO
2 等が挙げられる。また、その形状は実施例の板状、円
柱状の他に角柱状等用途に応じたものにできる。また、
その成形方法は、等方圧成形、押出成形、鋳込み成形、
射出成形等でも良い。なお、本発明の方法によれば、発
生する熱応力が小さいため、比較的低強度のセラミック
焼結体にも金属体を接合することが可能である。
【0063】また、高融点金属としては、熱膨張率の小
さいタングステン(W)やモリブデン(Mo)等が用い
られ、好ましいものであるが、これにそれらの酸化物や
セラミック焼結体と同組成の原料、マンガン、チタン、
レニウム等が一種乃至数種適量添加されたものも好適で
ある。例えば、アルミナや窒化アルミニウム、窒化ケイ
素、ムライト等の用いられるセラミック焼結体材料を構
成する成分を添加成分として含有する、W−Al
2 3 、W−Al2 3 −SiO2 −MgO−CaO、
W−AlN、W−AlN−Y2 3 、W−AlN−Ca
O、W−Si3 4 、W−Si3 4 −Y2 3 −Al
2 3 、W−Al2 3 −SiO2 、W−Al2 3
SiO2 −MgO等や、上記の組成系においてWをWO
3 を含むW、Mo、MoO3 を含有するMoに置換した
組成系に加え、これらに種々の添加物を加えたMo−M
n、Mo−Mn−Ti、Mo−SiO2 、Mo−MoO
2 −TiO2 、MoO3 −MnO2 −TiO2 −SiO
2 、W−MnO2 −TiO2 −SiO2 、W−Re−M
nO2 −TiO2 等が代表的なものとして挙げられる。
これらの添加物の種類および量は、セラミック焼結体と
高融点金属との密着性、金属層の熱伝導率、熱膨張率等
を考慮して定められる。なお、添加量は、高融点金属の
熱伝導率、熱膨張率等が適正な範囲にあるように30%
以下、更に好適には10%程度が良い。また、前述の実
施例では、高融点金属の粒径の異なるものを用いること
により、高融点金属層の気孔率が連続的或いは段階的に
変化するようにしたが、上述の添加物の種類・量を変え
て焼結性を調節することによっても良い。
【0064】また、高融点金属層は、実施例で示したよ
うに、セラミック生成形体と同時焼成する方法(湿式
法)、或いは予め焼結されたセラミック焼結体上に焼成
によって形成させる方法(乾式法)の何れによって形成
されても良い。また、高融点金属の積層方法としては、
実施例で述べたペーストを印刷する方法の他に、例えば
実施例のアルミナ生シートと同様な製法で作製した、所
定の種類の高融点金属生シートを積層する方法によって
も良く、印刷法による場合に、比較的厚い(50μm以
上)層が必要であれば同じペーストを重ねて印刷する等
の方法によれば良い。
【0065】また、高融点金属層を形成するときの焼成
条件は、セラミック生成形体或いは焼結体の種類、高融
点金属の種類等により定められるものであり、必要に応
じて加圧下で焼成されても良い。
【0066】また、金属層は、銀−銅系合金の含有率と
高融点金属の含有率の比率が連続的に変化する方が熱応
力の低減には好ましいが、この比率の異なる二層以上
(すなわち、比率が段階的に変化する層)で構成されて
いれば充分な効果が得られる。上記比率が連続的に変化
する金属層を得るには、例えば、各メタライズ層間の気
孔率の差を小さくし、且つ、できるだけ多層構造とすれ
ば良い。このようにすれば、銀−銅系合金の含浸量が各
層内で流通抵抗等に起因して深さ方向に不均一、すなわ
ちセラミック焼結体に近い側では少なく、遠い側では多
くされることにも影響されて、各層界面での急激な上記
比率の変化がなくなり、上記比率が連続的に変化する金
属層が得られる。なお、段階的に変化する場合には、上
記比率の異なる三層以上で構成されていることが熱応力
低減のためには一層好ましい。更に、金属層の最下層お
よび最上層は、必ずしも実施例で示したように銀−銅系
合金を含まない層或いは高融点金属を含まない層でなく
ともよい。銀−銅系合金の含有率と高融点金属の含有率
の比率は、必要な接合強度、熱膨張率等により適宜定め
られるものである。なお、高融点金属層内の気孔に完全
に銀−銅系合金が含浸されなくとも、すなわち、金属層
内に気孔が残っていても、本発明の効果は充分に得られ
る。
【0067】また、実施例で示したように、接合強度が
充分であればメタライズ層形成後のニッケルメッキは必
ずしも必要ではないが、ニッケルメッキが施されると、
酸化膜が形成されている高融点金属層内の気孔表面とろ
う材との濡れ性が改善されて両者の密着性が高められる
ため、一層高い接合強度が得られる。
【0068】また、銀−銅系合金は、銀が40〜96重
量%、銅が4〜60重量%の範囲内で合計100重量%
になるようにされたものが良い。また、実施例で示した
チタンの他に、Nb、Hf、Zr等が含まれていても、
チタンを添加した場合と同様な効果が得られ、更に、必
要に応じてLi、Sn、Ni、In等が微量添加されて
いても良い。なお、充分な接合強度が得られるのであれ
ば、これらの添加物は必ずしも用いなくとも良い。
【0069】また、含浸工程における加熱は、Ar等の
不活性ガス雰囲気や1×10-3torr以上の真空中で、温
度範囲650〜950℃、0.1〜0.5g/mm2
度の荷重をかけた条件が好ましい。これらの条件は、金
属層の厚み、銀−銅系合金の組成等によって適宜定めら
れるものである。
【0070】また、接合する金属体は、無酸素銅板の他
に、タフピッチ銅、SS鋼板、ステンレス鋼板等でも良
い。本発明の接合構造によれば、セラミック焼結体と接
合される金属体の熱膨張率の差に起因する熱応力が殆ど
発生しないため、熱応力をその展性で吸収する銅以外に
も様々な金属体の接合が可能であり、更に、従来の作製
或いは使用限界であった100×100×0.5mm程
度よりもはるかに大きな面積・厚み(例えば厚み5mm
以上)の金属板の接合が可能である。したがって、例え
ば圧電素子用の半導体モジュールのように50〜60A
もの大電流を必要とする基板等に用いる場合に、必要と
される比較的厚い銅回路板を接合することができる。
【0071】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の工程流れ図である。
【図2】図1のメタライズ工程における印刷生シートの
斜視図である。
【図3】図2の一部断面図である。
【図4】図1の含浸工程におけるメタライズ基板の一部
断面図である。
【図5】図1に示す工程により製造された複合基板の斜
視図である。
【図6】図5の複合基板の一部断面図である。
【符号の説明】
16:アルミナ基板 26:銅板 30:複合基板 34:金属層(34a:タングステン層、34b:混合
層、34c:銀−銅合金層) 36:タングステン 38:銀−銅合金

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック焼結体と、該セラミック焼結
    体の少なくとも一部の表面上に固着された金属層とを含
    むセラミックス−金属複合体であって、 該金属層は、高融点金属および銀−銅系合金を含み、該
    銀−銅系合金の含有率の該高融点金属の含有率に対する
    比率が、前記セラミック焼結体の表面から遠ざかるに従
    って連続的または段階的に大きくされたものであること
    を特徴とするセラミックス−金属複合体。
  2. 【請求項2】 前記金属層において、前記高融点金属と
    銀−銅系合金の界面にニッケル層が介在されていること
    を特徴とする請求項1のセラミックス−金属複合体。
  3. 【請求項3】 金属体が、前記金属層を介して前記セラ
    ミック焼結体と接合されていることを特徴とする請求項
    1のセラミックス−金属複合体。
  4. 【請求項4】 前記セラミック焼結体は基板であり、前
    記金属体は銅板または銅合金板であることを特徴とする
    請求項3のセラミックス−金属複合体。
  5. 【請求項5】 前記金属体の少なくとも一部に回路パタ
    ーンが形成されていることを特徴とする請求項4のセラ
    ミックス−金属複合体。
  6. 【請求項6】 前記セラミック焼結体は、アルミナ焼結
    体または窒化アルミニウム焼結体であることを特徴とす
    る請求項1のセラミックス−金属複合体。
  7. 【請求項7】 セラミック焼結体の少なくとも一部の表
    面上に、多数の開放性気孔を有し、該セラミック焼結体
    の表面から遠ざかるに従って、その気孔率が連続的また
    は段階的に大きくされた多孔質の高融点金属層を形成す
    るメタライズ工程と、 該高融点金属層内に銀−銅系合金を含浸させる含浸工程
    とを含むことを特徴とするセラミックス−金属複合体の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記含浸工程の前に、前記多孔質の高融
    点金属層内の開放性気孔を形成する表面にニッケル層を
    形成する工程を含むことを特徴とする請求項7のセラミ
    ックス−金属複合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記メタライズ工程は、セラミック成形
    体またはセラミック焼結体の表面に、高融点金属を主成
    分とし焼結後の気孔率の異なる少なくとも二種の高融点
    金属ペースト或いは高融点金属生シートを焼結後の気孔
    率の小さい順に積層する積層工程と、 該積層工程後に所定の条件で焼成する焼成工程とを含む
    ことを特徴とする請求項7のセラミックス−金属複合体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記含浸工程は、前記高融点金属層の
    前記セラミック焼結体と反対側の表面に銀−銅系合金層
    を形成する合金層形成工程と、 金属体を、該銀−銅系合金層の前記高融点金属層と反対
    側の面に接して位置させる工程と、 所定の条件で加熱処理する加熱工程とを含むことを特徴
    とする請求項7のセラミックス−金属複合体の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記合金層形成工程は、前記高融点金
    属層の表面に銀−銅系合金箔を載置するか、または銀−
    銅系合金ペーストを印刷する工程であることを特徴とす
    る請求項10のセラミックス−金属複合体の製造方法。
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