JP3610311B2 - セラミックス−金属複合部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒状のセラミック基材の内周面に溶射法によって多層金属層を形成したセラミックス−金属複合部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、セラミックスは、金属材料よりも剛性に優れ、軽量かつ低熱膨張性である等、構造材料として優れた特性を有することが知られている。これらの特性から、セラミックスは、例えば半導体製造装置等に使用されており、また高精度に制御することが要求される各種精密機械部材への適用が試みられている。
【0003】
しかしながら、セラミックスは極めて硬いことから加工効率に劣り、それが原因で多種多様の寸法を有する部材や複雑形状の部材としては製造コストが高くなるという問題点があった。更に、セラミックスは脆性材料であることから、加工時に欠けや割れを発生し易く、例えセラミックスが精密機械部材に適用されたとしても、金属材料のように形状や寸法の簡単な微修正加工が容易に施せないという問題点があった。
【0004】
一方、金属製構造体では、ナノ(nm)オーダーの高精度な寸法精度を有する安価な部材を得ることは極めて困難であった。即ち、ナノオーダーの高精度な寸法精度を得るためには極めて慎重な加工を行なわなければならず、加工に時間がかかるとともに加工歩留まりも低下するため、製造コストが大となる。また、金属製構造体に快削性の材料を用いると加工性には優れるものの、快削性の材料は基本的に柔らかく剛性が低いので、加工後に加工機械から取り外すと、特に精密機械部材等で大型の部材では変形を生じ易く、その結果、所望の寸法精度が得られないという欠点があった。
【0005】
そこで、軽量で剛性に優れた特性を有するセラミックスの難加工性といった短所を補う対策として、例えば平板状や円板状のセラミック基材の主面にセラミックスの特性を損なわないような厚さの金属層を設け、この金属層の厚さ等を微修正加工することにより、セラミックスと金属の特性を併せ持つ複合部材を製作することが試みられている。即ち、セラミックスが有する軽量かつ高剛性等の特性と、金属が有する快削性および靭性を併せ持つ複合部材を得んとするものである。
【0006】
また、従来のセラミック基材表面への金属層形成技術としては、溶射法の他にめっき法や物理的気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)、化学的気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等が知られている。これらのうち、溶射法は、金属,セラミックス,プラスチック等の材料をプラズマ,ガス燃焼熱,アーク熱,レーザ加熱,誘導加熱等の方法により高温で溶融し、空気圧や急激な温度変化による大気の体積膨張で生じる圧力を利用して、溶滴として母材に吹き付け溶射材料を被覆する方法である。
【0007】
この溶射法による成膜メカニズムは、上述した溶滴が母材に衝突し扁平化し、瞬間的に溶滴から母材に熱が移動して溶滴が凝固する際に熱収縮を起し、母材主面の凹凸に食い込みアンカー効果で接合するものである。そして、そのような溶滴の粒子が次々と積み重なり、上述した衝突、変形、熱移動を繰り返して金属が層状に被着されることになる。
【0008】
次に、めっき法は大型複雑形状部材に適用可能ではあるものの、合金層の組成が層厚方向で均一にならないという問題点がある。他方、PVD法やCVD法においては、大型複雑形状のセラミック基材の表面に数百μmの合金層を形成させることは、製造コストおよび設備的にも極めて難しい等の問題点がある。
【0009】
一方、従来溶射法により当初適用された、セラミック基材表面に形成する金属層の材料は、加工し易さに注目して選定されたものではなく、セラミックスとの密着性のみに主眼をおいたものであった。例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),鉄(Fe)等の純金属から成るものが形成されていた。そのため、金属層を微修正加工する際には、セラミックスより加工性に優れるものの、研削剤等の加工液を使用しなければならず、金属層の錆や部材の汚染等を嫌うようなクリーン度が要求される精密部材としては不適当であった。
【0010】
他方、セラミック基材の表面に高精度加工が必要な部分のみにメタライズ層を形成した後、ショットブラスト加工によりメタライズ層の表面を粗面化し、その上面に溶射法で銅合金の金属層を形成することにより、快削性を有し、容易に微修正加工が可能であるセラミック部材が提案されている(従来例1;特開平8−91967号公報参照)。このセラミック部材によれば、セラミック基材の主面に加工性の優れた銅合金層を所定の厚さに容易に被着形成することができ、加工液を使用しなくとも被着した銅合金層を機械加工することが可能となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例1の銅合金層はせいぜい厚さが500μm程度が限界である。例えば、内径が数十〜数百mm程度の大口径の筒状の金属製構造体に相当するような、図6に示す大口径のセラミック基材102の内面に被着させる金属溶射層103の厚さは、セラミック基材102の焼成変形(収縮変形)および加工取り代を考慮すると、セラミック基材102の剛性を損なわない範囲で厚さ数mmの単位で形成することが必要となる。
【0012】
そこで、上記従来例1のようにして、筒状または環状のセラミック基材102の内面に数mm以上の厚さの銅合金から成る金属溶射層103を被着させると、セラミック基材102より金属溶射層103の方が一般的に熱膨張が大となる。例えば、セラミック基材102の熱膨張係数は、アルミナ(Al2O3)セラミックスでは約7×10−6/℃(室温〜800℃)であり、セラミック基材102の内面に被着されたモリブデン(Mo)−マンガン(Mn)合金から成るメタライズ層は約7.5×10−6/℃(室温〜800℃)であり、Cu合金やステンレス鋼から成る金属溶射層103は約15×10−6〜20×10−6/℃(室温〜800℃)と大きく相違している。
【0013】
そのため、例えば、大口径のセラミック基材102の内面にセラミック基材102の焼成変形を考慮して厚さ2mm以上の金属溶射層103を被着すると、金属溶射層103の熱収縮応力が環状のセラミック基材102の中心方向に作用し、金属溶射層103がセラミック基材102の内面から剥離するという問題点があった。これは、熱収縮による残留応力を有する金属溶射層103に外部からの温度サイクルによる熱応力によって圧縮応力が加わった場合、環状のセラミック基材102の内面に形成された金属溶射層103は容易に界面剥離を起すことに起因する。
【0014】
また、得られたセラミックス−金属複合部材101を機械加工する際、金属溶射層103の残留応力から環状のセラミック基材102の内面においてセラミック基材102と金属溶射層103との界面が剥がれて口を開くという問題点もあった。
【0015】
従って、本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大口径の筒状のセラミック基材の内面に厚さ数mmの厚い金属層を溶射法により被着するものにおいて、外部から温度サイクル等による熱応力が加わった際、または機械加工した際に、セラミック基材の内面に被着された厚さ数mmの厚い金属層が容易に界面から剥離することのないセラミックス−金属複合部材を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックス−金属複合部材は、筒状のセラミック基材の内面に、Mo−Mn合金から成るメタライズ層と、Niめっき層と、Ni−Al合金から成る金属溶射層とを順次被着した下地層を介して、溶射法により銅合金またはステンレス鋼から成る一層の厚さが10〜50μmである複数の金属層を積層して成る厚さ2〜4mmの多層金属層が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明は、セラミック基材の内面に、Mo−Mn合金から成るメタライズ層と、Niめっき層と、Ni−Al合金から成る金属溶射層とを順次被着した下地層を介して、厚さが2〜4mmと厚い多層金属層を、厚さが10〜50μmの薄い金属層を幾層にも積層して形成したことから、各金属層を被着する際に、セラミック基材の表面温度が、金属層の積層体の熱収縮による残留応力がセラミック基材と多層金属層との界面に影響しない50〜180℃の低い温度範囲に抑制される。そのため、各金属層を互いに良好に接合させることができるとともに、セラミック基材と銅合金またはステンレス鋼から成る多層金属層との熱膨張係数の相違に起因する熱応力を効果的に吸収緩和することができる。その結果、多層金属層がわずかな外力等によりセラミック基材の内面から容易に界面剥離するようなことがないという作用効果を奏する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のセラミックス−金属複合部材を図面に基き以下に詳細に説明する。図1は、本発明のセラミックス−金属複合部材について実施の形態の例を示す断面図であり、図2は図1のセラミックス−金属複合部材の要部を拡大した断面図である。図1および図2において、1は、セラミック基材2と、銅合金またはステンレス鋼から成る多層金属層3とから主として構成されたセラミックス−金属複合部材である。
【0019】
本発明の筒状のセラミック基材2は、その内面に厚さTが2〜4mmである銅合金またはステンレス鋼から成る多層金属層3が被着されており、この多層金属層3は、一層の厚さtが10〜50μmの薄い金属層4が複数積層された積層体で構成されている。この多層金属層3は、Mo−Mn合金から成るメタライズ層と、Niめっき層と、Ni−Al合金から成る金属溶射層を順次被着した下地層5を介して被着されている。なお、セラミック基材2の形状は環状を含む筒状であり、高さが低い場合環状ということができる。
【0020】
また、この多層金属層3は、その厚さTが2mm未満では、例えば内径が100mmを超えるような大口径の筒状のセラミック基材2を、各種寸法や複雑形状に対応して研削加工により所定寸法に近づけた後、高精度に微修正加工する被加工層としては厚さ不足となり、不適当である。また、筒状のセラミック基材2の焼成変形(収縮変形)等により、2mm未満の多層金属層3を形成しても設計値よりも小さい内面寸法となる場合があり、微修正加工する意味がなくなる。即ち、セラミック基材2の内面の全周での多層金属層3の加工代が確保できなくなる。その結果、多層金属層3の研削加工による所定寸法の微修正加工を容易に行なうことができず、精密加工をすることが困難となる。
【0021】
他方、多層金属層3の厚さTが4mmを超えると、多層金属層3の内部に発生する熱応力によりセラミック基材2内面の上下方向の端部から多層金属層3が界面剥離を起こし易くなる。
【0022】
また、多層金属層3を構成する金属層4の一層の厚さtが10μm未満の場合、均一な金属層4を溶射法により形成することが極めて困難となる。一方、金属層4の一層の厚さtが50μmを超えると、溶射時に母材としてのセラミック基材2の表面温度が180℃を超え、250℃に達する温度にまで昇温してしまう。その結果、金属層4の熱応力から密着不良を生じ、溶射中に金属層4が剥離して所定の厚さの多層金属層3を形成することができない。従って、多層金属層3を構成する金属層4の一層の厚さtは10〜50μmに限定して、母材の温度上昇を抑制するように制御することが必要である。
【0023】
本発明の多層金属層3は、銅合金から成る場合Cu(59重量%)−Zn(38重量%)−Pd(3重量%)合金等であり、ステンレス鋼から成る場合Fe(74重量%)−Cr(18重量%)−Ni(8重量%)合金等である。
【0024】
本発明のセラミック基材2は、例えば、アルミナ(Al2O3)セラミックス等から成り、アルミナ,シリカ(SiO2),マグネシア(MgO),カルシア(CaO)等の原料粉末に適宜有機バインダ、溶剤等を添加混合した後、この混合物を例えば従来周知のプレス成形法により所定形状に成形し、得られた成形体を約1600℃の高温で焼成することにより製作される。
【0025】
また、セラミック基材2の少なくとも内面にはメタライズ層が被着される。このメタライズ層は、Mo粉末とMn粉末と若干のSiO2を含有する金属ペーストを、セラミック基材2の内面に塗布し、これを高温で焼成することにより、セラミック基材2の内面に焼き付けられ被着される。この場合、Mo−Mn合金中のMnおよびSiO2成分がセラミック基材2中の例えばアルミナ質焼結体と化合し、セラミック基材2の内面とメタライズ層との界面にAl2O3とMnとガラスとの複合酸化物を形成することにより、強固に被着するものと考えられる。
【0026】
このメタライズ層は、セラミック基材2に強固に被着しており、そしてNiめっき層とNi−Al合金から成る金属溶射層を介して多層金属層3をセラミック基材2に接合させるための下地金属層として機能する。そして、メタライズ層の厚さは12〜25μmの範囲が好ましく、この範囲内であると、上記の複合酸化物の形成によりセラミック基材2との密着強度が向上するとともにメタライズ層自体の強度が向上し、従ってメタライズ層自体のクラック等によるセラミック基材2との界面剥離が防止されるという効果がある。
【0027】
また、メタライズ層の上面には、Niめっき層が従来周知の電解めっき法や無電解めっき法により被着される。このNiめっき層は、メタライズ層にNi−Al合金から成る金属溶射層を強固に被着させるための下地金属層として機能する。また、このNiめっき層は、メタライズ層とNi−Al合金から成る金属溶射層との間に発生する両者の熱膨張差に起因する熱応力を良好に吸収緩和するものである。
【0028】
更に、Niめっき層は、金属層接合時のアンカー効果を得るため、その上面が算術平均粗さRaで約0.5〜3μm程度に粗面化されているのが良い。また、Niめっき層は、メタライズ層とNi−Al合金から成る金属溶射層の両方にそれぞれ強固に被着させるために、その厚さを0.5〜15μm程度とすることが好ましい。
【0029】
次に、Niめっき層の上面に被着されたNi−Al合金から成る金属溶射層は、銅合金またはステンレス鋼から成る多層金属層3を被着させるための下地金属層として機能する。また、Ni−Al合金から成る金属溶射層は、Niめっき層との良好な接合性および金属溶射層自体に発生する内部応力の抑制という点から、その厚さは5〜1500μm程度が好ましい。さらに、Ni−Al合金から成る金属溶射層は、Niめっき層との接着性の点から、Niの含有率が80〜95重量%であり、Alの含有率が5〜20重量%である組成範囲が好ましい。
【0030】
そして、Mo−Mn合金から成るメタライズ層と、Niめっき層と、Ni−Al合金から成る金属溶射層とを順次被着した下地層5を介することにより、銅合金またはステンレス鋼から成る一層の厚さtが10〜50μmの金属層4を複数層強固に接合した積層体から成る多層金属層3を形成できる。
【0031】
因みに、銅合金またはステンレス鋼から成る多層金属層3の熱膨張係数が約15×10−6〜20×10−6/℃(室温〜800℃)であるのに対して、セラミック基材2の熱膨張係数は約7×10−6/℃(室温〜800℃)と大きく異なる。しかしながら、セラミック基材2と多層金属層3との間には、セラミック基材2側から熱膨張係数が約7.5×10−6/℃(室温〜800℃)のメタライズ層と、熱膨張係数が約13×10−6/℃(室温〜800℃)のNiめっき層と、熱膨張係数が約15×10−6〜18×10−6/℃(室温〜800℃)のNi−Al合金から成る金属溶射層が順次被着されて、セラミック基材2側から順次熱膨張係数が大きくなって多層金属層3の熱膨張係数に近づくように整合されている。しかも、多層金属層3自体が一層の厚さtを10〜50μmとした薄い金属層4を順次積層して成ることから、セラミック基材2の温度上昇を、セラミック基材2と多層金属層3との界面に影響しない50〜180℃の温度範囲内に制御できる。その結果、多層金属層3には、セラミック基材2との界面から剥離するような熱収縮に伴う残留応力が発生することはない。
【0032】
従って、本発明の多層金属層3が例えば−40〜80℃の温度サイクルに繰返し曝されたり、溶射時の温度変化に対しても、多層金属層3が一層の厚さtが10〜50μmの薄い金属層4から成る積層体で構成されていることから、多層金属層3の熱収縮応力が効果的に緩和される。また、多層金属層3の接合力が大きいため、研削加工時においても多層金属層3がセラミック基材2から界面剥離することはない。しかも、セラミック基材2と多層金属層3との間に発生する両者の熱膨張差による応力は、下地層5によっても良好に吸収緩和される。
【0033】
【実施例】
本発明の実施例について以下に説明する。
【0034】
(実施例)
先ず、純度99重量%のアルミナ質焼結体から成る、下記表1に示す内外径と厚さを有する円筒状のセラミック基材2を用意した。次いで、セラミック基材2の内面全面に、MoとMnとSiO2をそれぞれ89重量%、6重量%、5重量%の割合で含有する金属ペーストを、10〜15μmの厚さとなるように印刷塗布し、乾燥後、加湿したフォーミングガス中で1400℃の温度で焼成した。こうして、セラミック基材2の内面全面にMo−Mn合金から成るメタライズ層を被着した。
【0035】
その後、メタライズ層上にNiめっき層を電解めっき法により約2μmの厚さで被着し、次いでサンドブラスト法でNiめっき層の表面をRaが10μm程度となるように粗面化した。次に、Niめっき層の表面に、Ni(95重量%)−Al(15重量%)合金の金属溶射層を、アーク溶射法により被着した。その際、溶射ガン電流は30A、電圧は150V、吐出圧力は49MPa(メガパスカル)の溶射条件にて、約50μmの厚さに被着した。
【0036】
引き続いて、メタライズ層、Niめっき層、金属溶射層を下地層5として、その上にCu(59重量%)−Zn(38重量%)−Pd(3重量%)合金の銅合金、またはFe(74重量%)−Cr(18重量%)−Ni(8重量%)合金のステンレス鋼から成る多層金属層3を、ガスワイヤ溶射法により被着した。その際、溶射ガン電流が30A、電圧が150V、吐出圧力が49MPa(メガパスカル)の溶射条件にて、一層当りの金属層4の厚さtを制御して溶射を繰返して積層した。このとき、それぞれの金属層4をインターバルをもって被着することにより、多層金属層3が表1に示す各種厚さTとなるようにして、各種セラミックス−金属複合部材を作製した。その際、セラミック基材2の内部の内面近傍で表面温度を測定し、溶射中のセラミック基材2の表面温度をモニタリングした。
【0037】
一方、比較例として、上記実施例の代表例(表1の試料番号5〜7)と同一寸法のセラミック基材2の内面全面に、厚さ2mmの上記実施例と同一組成の銅合金から成る多層金属層3を、上記実施例と同様の下地層5を介して被着した試料を作製した。
【0038】
かくして、得られた評価用試料を用いて、先ず多層金属層3を形成した時点での多層金属層3とセラミック基材2との密着状態を双眼顕微鏡を用いて検査したが、本発明品では全く界面剥離が認められなかった。また、その際、金属層4の厚さtおよび多層金属層3の厚さTをそれぞれ確認した。一方、比較例品では、多層金属層3を形成した段階でセラミック基材2と銅合金から成る多層金属層3との界面で剥離が認められた。
【0039】
次に、多層金属層3のセラミック基材2の内面から上下端面にかけての端部のはみ出し部である盛り上りを機械加工して、セラミック基材2の高さ寸法と同一寸法にした後、多層金属層3のセラミック基材2からの剥離を双眼顕微鏡を用いて検査した。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1より明らかなように、比較例の試料番号17では、厚さ2mmの銅合金から成る多層金属層3を筒状のセラミック基材2の内面全面に溶射中に、セラミック基材2の表面温度が250℃にも昇温してしまい、セラミック基材2との界面から剥離した。
【0042】
それらに対して、本発明品ではいずれも金属層4の剥離は認められず強固に密着しており、溶射工程の熱履歴にも、その後の機械加工にも十分耐え得る接合強度を有していることが判った。
【0043】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を行なうことは可能である。例えば、図3に示すように、セラミック基材2の内面の縦断面形状を、厚さ方向(上下方向)に向かって内径が小さくなるような階段状にして設ける構成としてもよい。この場合、厚さ方向に向かって多層金属層3の厚さTが段階的に大きくなるようにすることもできる。また、図4に示すように、セラミック基材2の内面の縦断面形状を曲面的な窪み状(凹状)とした構成とし得る。さらに、図5に示すように、セラミック基材2の内面の縦断面形状を厚さ方向(上下方向)に向かって内径が漸次小さくなるような形状、即ち側壁の断面形状がテーパー状となるような構成とし得る。
【0044】
これら図3〜図5の構成においては、多層金属層3のセラミック基体2に対する接触面積が向上して密着の度合いが強化されるため、上記実施例と同等以上の作用効果が得られる。
【0045】
また、上記実施例では円筒状のセラミック基材2について説明したが、セラミック基材2の横断面形状は、円形、楕円形、長円形、多角形、またはその他の複雑形状であってもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明は、筒状のセラミック基材の内面に、Mo−Mn合金から成るメタライズ層と、Niめっき層と、Ni−Al合金から成る金属溶射層とを順次被着した下地層を介して、溶射法により銅合金またはステンレス鋼から成る一層の厚さが10〜50μmである複数の金属層を積層して成る厚さ2〜4mmの多層金属層が形成されていることから、各金属層を被着する際のセラミック基材の表面温度が、金属層の積層体の熱収縮による残留応力がセラミック基材と多層金属層との界面に影響しない50〜180℃の低い温度範囲に抑制される。そのため、各金属層を互いに強固に密着させることができるとともに、セラミック基材と銅合金またはステンレス鋼から成る多層金属層との熱膨張係数の相違に起因する熱応力を効果的に吸収緩和することができる。その結果、大口径のセラミック基材の内面全面に2〜4mmの厚さの多層金属層を被着しても、溶射時や、外部から温度サイクル等による熱応力が加わった際、または機械加工した際に、セラミック基材の内面から容易に界面剥離を起すことのない、軽量で高剛性を有し快削性を有するセラミックス−金属複合部材が得られる。更に、内径が100mm以上の大型の筒状構造体であって、ナノオーダーの寸法精度を有する安価なセラミックス−金属複合部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックス−金属複合部材について実施の形態の例を示す断面図である。
【図2】本発明のセラミックス−金属複合部材の要部拡大断面図である。
【図3】本発明のセラミックス−金属複合部材について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明のセラミックス−金属複合部材について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明のセラミックス−金属複合部材について実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図6】従来のセラミックス−金属複合部材を示す断面図である。
【符号の説明】
1:セラミックス−金属複合部材
2:セラミック基材
3:多層金属層
4:金属層
Claims (1)
- 筒状のセラミック基材の内面に、Mo−Mn合金から成るメタライズ層と、Niめっき層と、Ni−Al合金から成る金属溶射層とを順次被着した下地層を介して、溶射法により銅合金またはステンレス鋼から成る一層の厚さが10〜50μmである複数の金属層を積層して成る厚さ2〜4mmの多層金属層が形成されていることを特徴とするセラミックス−金属複合部材。
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