JP2002167614A - 溶銑脱燐方法 - Google Patents
溶銑脱燐方法Info
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Abstract
改造や大量の滓化促進剤を用いることなく促進すると共
に、ダスト発生量抑制や熱裕度向上可能な技術を提供す
る。 【解決手段】 転炉型精錬炉による脱燐処理において吹
酸開始から7分以内に2.5分間以上二次燃焼率を12
%以上の範囲に維持すると共に、処理終了時のスラグ組
成をC/S1〜3.5、t.Fe8〜35%に維持する
スラグ滓化をを促進すると共に安定的に脱燐反応を向上
できる。
Description
可能とする溶銑脱燐方法に関する。
効率の良い低温で脱燐反応を進行させた後に排滓を行う
ため、次工程の脱炭処理時の復燐を防止することができ
る等生石灰などの副原料の削減が可能となる。近年、溶
銑脱燐処理を高速で実施すること等を目的に、フリーボ
ードの大きい転炉型精錬炉が溶銑脱燐処理に用いられる
ようになってきた。
開昭63-195209に示されるような脱燐処理終了後に溶銑
を一旦排出して脱炭専用炉にて脱炭処理する方法や、特
開平7-242922に示されるような、脱燐処理後に一旦炉傾
動によって排滓した後に同一転炉で脱炭処理を行う方法
などがある。
は、添加した生石灰や脱炭滓などの脱燐用フラックスを
速やかに溶融させ、滓化率を高位に維持して、スラグメ
タル反応を促進することが重要となる。滓化促進のため
には、フラックスを上吹きランスから吹き込む方法や、
蛍石やフッ化ナトリウム等のフッ化物系の滓化剤を大量
に炉内に添加する方法などがある。
上吹きを実施するためには、専用のホッパーや搬送系、
専用の上吹きランスなど大がかりな設備が必要となる
し、また、フッ化物系の滓化剤は高価であることからコ
スト的にも不利になる。本発明では、大がかりな設備改
造や、フッ化物系の滓化剤の大量使用を必要とせず、効
率的に脱燐用フラックスの滓化を促進して脱燐反応を促
進する手段を提供する。
法である。 (1) 転炉型精錬炉を用いる溶銑脱燐処理において、
脱燐処理中の二次燃焼率を12%以上の範囲として操業
することを特徴とする溶銑脱燐方法。 (2) (1)の方法において、脱燐処理中の溶銑温度
を1150〜1450℃の範囲とし、処理後のスラグ組
成を塩基度1.0〜3.5、t.Fe5〜35質量%の
範囲として、吹錬開始から7分までの間の少なくとも合
計2.5分間以上の二次燃焼率を12〜50%の範囲に
維持することを特徴とする溶銑脱燐方法。 (3) (1)または(2)の方法において脱燐処理終
了時のスラグ中フッ素濃度を0〜2質量%とすることを
特徴とする溶銑脱燐方法。 (4) (1)〜(3)のいずれかの方法において精錬
炉内の雰囲気温度をバッチまたは連続的に測温し、排ガ
ススーパーヒートを100℃以上に制御することを特徴
とする溶銑脱燐方法。
説明する。この図は、上底吹き転炉による溶銑脱燐処理
を模式的に示したものである。
ス3より酸素ガス4が吹き込まれている。炉内には、脱
燐フラックスがホッパー10より炉内に装入され、炉内
の酸化生成物や炉壁からの混入物などと共にスラグ7が
形成される。炉内の二次燃焼率は、排ガスフード8に設
置した排ガス分析計9を用いて行われ、二次燃焼率は以
下の(1)式で表される。 二次燃焼率(%)= 炉内発生CO2(%)/(炉内生成CO(%)+炉内発生CO2(%))×100 ………(1)
ガス分析計の位置には、排ガスフード8と転炉1の隙間
から空気浸入が発生するため、炉内の二次燃焼の推定に
は、浸入空気中の酸素が炉口COガスと反応して生成す
るCO2を窒素バランスで算定して炉内で発生ガス濃度
を評価する必要がある。また、底吹き羽口5より攪拌ガ
ス6が炉内に供給される場合には、攪拌ガスに起因する
生成CO,CO2も(1)式の炉内発生ガスとして算定す
る。
に出し入れ可能な二色温度計12を挿入して適宜測定し
た。この、脱燐処理中に、二次燃焼を一定以上に高める
ことによって、排ガスからの輻射熱が多くなり、スラグ
表面からの伝熱が促進されて、スラグ滓化が促進され
る。また、本発明では滓化促進による脱燐反応の促進以
外にも、滓化促進の効果によるダスト発生量の抑制効
果、二次燃焼熱の利用によるスクラップ配合比のアップ
等の等熱裕度向上、炉口などへの地金成長の抑制につい
てもメリットを享受することができる。図1では、上底
吹き転炉を例にしているが、本発明は、底吹き機能のな
い上吹き転炉や、上吹き機能を持つAODにも適用でき
る他、底吹き転炉や電気炉等の精錬炉においても二次燃
焼機能付与のための上吹き酸素機能を設けることで実施
可能である。
二次燃焼率と排ガススーパーヒート(排ガス温度とサブ
ランスで測定した溶銑温度の差)の関係を示す。このと
き、二次燃焼は排ガス分析からの測定値をモニターしつ
つ、目標の二次燃焼率になるようにランス高さをコント
ロールして行ったが、その他の手段でも良い。二次燃焼
が12%以上の領域で約100℃以上のスーパーヒート
が得られ、滓化促進効果が大きく、12%以上を適正な
二次燃焼範囲として規定する。但し、二次燃焼率50%
を超える領域では、スーパーヒートの増加は小さい。こ
れは、二次燃焼を50%以上まで高めるためにランスハ
イトを上昇させた場合、二色温度計の測定位置よりも高
い位置での燃焼が促進されていると考えられ、このよう
な燃焼はスラグの滓化促進には効果が小さい上に、炉口
付近の耐火物ダメージを著しく増加させることから、上
限値は特に規定しないが、最も適正な二次燃焼率の範囲
としては12〜50%と考えられる。この適正な二次燃
焼率、添加フラックスの滓化に効果のある時間維持する
必要がある。また、処理中の溶銑温度は1450℃を超
えると、排ガススーパーヒートと相まって、耐火物の受
けるダメージが顕著になることから適正操業温度範囲は
1150〜1450℃を望ましい範囲とした。1150
℃の下限値を設けたのは、溶銑の凝固温度近傍であり、
実質それ未満では安定操業は困難と考えられるためであ
る。溶銑温度のコントロールは通常の配合計算で評価で
き、また、サブランスによる測温値などに基づいて、送
酸速度のコントロールや副原料の投入量変更等によって
も適宜制御可能である。
のスラグ塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を1.0〜3.5に
すること、また、t.Feは5〜35質量%とすることが
望ましい。処理後スラグの採取方法としては、吹錬終了
後に金属板を設けたプローブでサブランスを用いて付着
サンプルを採取する方法や、出銑時や排滓時等の炉傾動
中に炉口より金属棒等をスラグに浸漬させて付着採取す
る方法が簡便であり、採取したスラグを粉砕して磁選し
たものを蛍光X線分析法で分析する方法が簡便かつ正確
な方法として推奨できるが、採取方法や分析方法は特に
限定しない。スラグの塩基度が1.0未満では、比較的
滓化は容易に進行することから二次燃焼を高めることに
よる滓化促進の効果は小さく、3.5を超える場合に
は、スラグの液相線温度が高くなり、二次燃焼を高めた
場合にも滓化促進効果が小さくなり塩基度を更に上昇さ
せることによる脱燐効率向上効果が小さくなる。また、
t.Feが35質量%を超える場合には、排ガス温度の上昇
によって、規定した1450℃以下の場合にも耐火物に
溶損傾向が認められ、また、t.Feが5質量%未満では酸
素ポテンシャル不足によって脱燐効率が大幅に低下する
ことからt.Feの適正範囲は5〜35質量%と規定した。
比較的高速で処理されることから、通常15分以内で処
理が終了するが、脱燐効率を高めるためには、処理の初
期より滓化促進を進めることが重要である。また、発明
者等の行った伝熱計算と、試験操業の結果から、排ガス
輻射による滓化を十分行うためには2.5分以上必要で
あることから、吹錬開始から7分以内の間に、二次燃焼
を12%以上の範囲に制御した時間を少なくとも合計2.
5分以上保持することが重要である。このときの2.5分は
7分以内のどこでも良く、必ずしも連続した時間である
必要はなく断続的な時間の合計でも良い。
であるフッ化物は、耐火物のダメージを大きくするが、
本発明では、これらの滓化剤を用いることなく滓化の促
進が可能であることから、フッ化物低減条件においても
脱燐反応を高位に維持することができることから、添加
フラックス配合の調整等により、脱燐処理後のスラグ中
フッ素濃度は0質量%以上2質量%以下に抑制すること
によって、耐火物ダメージを回避しつつ高位の脱燐効率
を達成できる。
ガス温度の測定をすることで、スラグへの伝熱量を正確
に評価できることから、スーパーヒートを滓化に効果が
大きい100℃以上の状態に正確に制御するためには、
処理中の炉内温度をバッチまたは連続的に測定し、測定
値に基づいてランスハイトの再調整などを行うことが望
ましく、測温方法としては、前述の二色温度計による連
続測定や、熱電対を利用したガスのバッチ測温などが適
用可能である。
の上底吹き転炉を用いて10chの溶銑脱燐試験を実施
した。
[Si]0.3〜0.4、[Mn]0.1〜0.2
[P]0.11〜0.12 [S]<0.02(何れも
質量%)とし、処理前の溶銑温度は1200〜1230
℃で、処理終了後の温度は1340〜1390℃であっ
た。副材の配合は、目標塩基度溶銑Si濃度に対して塩
基度2.0を目標に生石灰のみを添加した結果、処理後
のスラグ組成は塩基度1.6〜2.1、t.Feは15〜22質量%の
値が得られ、また、フッ素分析値は1質量%未満であっ
た。
たもので、上吹き酸素流量は10000〜12000Nm3/hの範囲
で、底吹きガスはCO2 200Nm3/h一定で約10分の吹錬を
行った。二次燃焼率は吹錬開始1分後から6分までの間
に目標を30%として排ガス連続測定値に基づいてラン
スハイトをコントロールした結果、二次燃焼12〜50
%の範囲を3.5〜5.2分維持できた。10chの試
験における処理終了時の[P]は平均0.022質量%、標
準偏差として0.004質量%であった。
に関しては、後述の比較例の操業と差異は認められなか
った。
条件、上底吹き流量は実施例と同様で、二次燃焼制御の
みを実施しない試験を10ch行った。処理後のスラグ
組成は実施例とほぼ同じ範囲の値が得られ、また、送酸
中の二次燃焼率は7〜15%であったが、二次燃焼率が
12%以上になる合計時間は最長のチャージでも1.6分
であった。
[P]は平均0.031質量%、標準偏差として0.007質量%
であり、到達[P]は実施例よりも高く、ばらつきも大
きかった。これは、本発明の実施例と比較してスラグ滓
化が不利であったためと考えられる。
量の比較では、実施例に比較して排ガス中のダスト濃度
が5%程度上昇しており、滓化によるカバー効果が低下
しているものと考えられる。処理後の溶銑温度は実施例
とほぼ同様であったが、二次燃焼が低いことから脱炭に
消費される酸素量が増加し、脱燐処理後の溶銑中炭素濃
度は平均して0.14質量%低くなり、次工程の脱炭炉
におけるスクラップ配合比は低下した。また、実施例と
比較すると炉口への地金成長が早く、試験のチャージ間
で地金除去作業が必要になるケースがあった。
物等の滓化促進剤の大量使用を必要とせず、転炉型精錬
炉による溶銑脱燐処理での脱りん反応効率を高めること
が出来ると共に、滓化促進によるダスト発生抑制や熱裕
度の向上、炉口付近の地金成長抑制が可能になった。
Claims (4)
- 【請求項1】 転炉型精錬炉を用いる溶銑脱燐処理にお
いて、脱燐処理中の二次燃焼率を12%以上の範囲とし
て操業することを特徴とする溶銑脱燐方法。 - 【請求項2】 脱燐処理中の溶銑温度を1150〜14
50℃の範囲とし、処理後のスラグ組成を塩基度1.0
〜3.5、t.Fe5〜35質量%の範囲として、吹錬
開始から7分までの間の少なくとも合計2.5分間以上
の二次燃焼率を12〜50%の範囲に維持することを特
徴とする請求項1記載の溶銑脱燐方法。 - 【請求項3】 脱燐処理終了時のスラグ中フッ素濃度を
0〜2質量%とすることを特徴とする請求項1または2
記載の溶銑脱燐方法。 - 【請求項4】 精錬炉内の雰囲気温度をバッチまたは連
続的に測温し、排ガススーパーヒートを100℃以上に
制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の溶銑脱燐方法。
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