JP2002167506A - ポリアミド組成物、それからなる成形品およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド組成物、それからなる成形品およびその製造方法

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JP2002167506A
JP2002167506A JP2000367696A JP2000367696A JP2002167506A JP 2002167506 A JP2002167506 A JP 2002167506A JP 2000367696 A JP2000367696 A JP 2000367696A JP 2000367696 A JP2000367696 A JP 2000367696A JP 2002167506 A JP2002167506 A JP 2002167506A
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acid
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Hajime Fujii
一 藤井
Hirofusa Yamamoto
浩房 山本
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 再溶融時、特に溶融紡糸時においてモノマ
ー、オリゴマー等の低重合物の生成を抑制し、溶融時の
ポリアミドの重合度上昇抑制の面から繊維成形品を得る
のに好適なポリアミド組成物を提供する。 【解決手段】 ポリアミド構成モノマー単位においてジ
カルボン酸単位が、カルボキシル基とアミド結合が形成
可能なアミノ基を2つ以上有するポリアミン単位より多
く、その差が0.1モル%以上、0.55モル%未満で
あるポリアミドと、該ポリアミド100gに対して、
0.5ミリモル以上、30ミリモル未満のマグネシウム
とからなるポリアミド組成物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアミド組成物に
関するものであり、特に溶融紡糸時のモノマー、オリゴ
マー等の低重合物の発生を低減し、紡糸時の口金表面汚
れを抑制することで紡糸操業性を改善し、かつ溶融時の
ポリアミドの重合度上昇を抑制しパック内のポリマー滞
留分布による重合度変化を抑制し、口金糸条間の繊維品
質ばらつき、特に正量繊度ばらつきを改善することがで
きるポリアミド組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドは機械的性質、化学的性質、
熱的性質において優れた特性を有することから、衣料
用、産業用等の繊維用途あるいはエンジニアリングプラ
スチック及びフィルム用途として幅広く使用されてい
る。
【0003】通常、繊維、樹脂成形品、フィルムなど
は、ポリアミドを形成することが可能な例えばカプロラ
クタムなどのモノマーの重合、チップ化、及び必要に応
じて重合体中に含まれる未反応の低重合体及び水分の除
去などの工程を経て得られたポリアミドペレットを再度
溶融し成形することにより得られる。
【0004】ポリカプラミドの場合では、原料であるカ
プロラクタム及びそのオリゴマーの開閉環平衡の関係か
ら、重合後のポリマー中には約10〜12重量%の低重
合物を含む。このため、一般的に溶融成形前にこれらの
低重合物を熱水などにより可能な限り除去する方法が採
用されているが、平衡反応のため再溶融するとモノマ
ー、オリゴマーが再生し、成形口金表面が汚染される。
特に溶融紡糸により繊維を製造する場合、溶融時に生成
するモノマー、オリゴマーは、口金表面汚れによる糸切
れの原因となるため生産の安定化、生産性向上をはかる
上で大きな障害となっていた。
【0005】また、ポリアミドを溶融するとそのポリマ
ー末端にあるアミノ基とカルボキシル基が縮合し、重合
度が上昇する。この重合度上昇はポリアミド成形品の物
性に影響し、特に溶融紡糸の場合、パック内でのポリマ
ーの滞留分布によってポリアミドの重合度が変化し、繊
維の品質ばらつき、特に正量繊度ばらつき原因のひとつ
となっていた。
【0006】このため、例えば特開平8−231711
号公報において、成形装置の口金汚染低減、成形時のポ
リマー重合度変化抑制を目的に、ポリアミドのアミノ末
端基やカルボキシル末端基量を極端に低く制限し、かつ
低分子量成分の含有量を規制する方法が提案されている
が、この方法ではモノアミン、モノカルボン酸などの末
端封鎖剤を多く添加する必要があり、この場合、成形加
工に必要な重合度のポリアミドを得るためには重合に長
時間要したり、減圧重合など特殊な重合が必要となり熱
分解反応による品質劣化の可能性、また、工業的規模の
生産においては経済的観点で抜本的な解決策が求められ
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では成
形品、特に繊維製品を経済的にかつ品質良く生産するた
めに、再溶融時、例えば溶融紡糸時におけるモノマー、
オリゴマーの生成抑制、溶融時のポリアミドの重合度上
昇抑制の面から繊維製品を得るのに特に好適なポリアミ
ド組成物およびその製造方法を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は主として次のような構成を有している。す
なわち、(1)ポリアミド構成モノマー単位においてジ
カルボン酸単位が、カルボキシル基とアミド結合が形成
可能なアミノ基を2つ以上有するポリアミン単位より多
く、その差が0.1モル%以上、0.55モル%未満で
あるポリアミドと、該ポリアミド100gに対して、
0.5ミリモル以上、30ミリモル未満のマグネシウム
とからなるポリアミド組成物、(2)前記(1)記載の
ポリアミド組成物からなる成形品であって、熱水抽出法
により検出される低重合物(モノマー、オリゴマー)量
が1.8重量%以下である成形品、(3)前記(1)記
載のポリアミド組成物からなる成形品であって、窒素雰
囲気下で270℃、10分間溶融した後の重合度上昇分
が、98%硫酸相対粘度(ηr)として0.1以下であ
る成形品、(4)ポリアミド構成モノマーを重合し、ポ
リアミドを得るに際し、ポリアミド構成モノマーにおけ
るジカルボン酸単位が、カルボキシル基とアミド結合が
形成可能なアミノ基を2つ以上有するポリアミン単位よ
り多く、その差が0.1モル%以上、0.55モル%未
満の範囲となるように、重合前あるいは重合中にジカル
ボン酸成分を添加し、かつ、重合前、重合中あるいは重
合後のいずれかの段階にマグネシウム化合物を該ポリア
ミド100gに対してマグネシウムとして0.5ミリモ
ル以上、30ミリモル未満の範囲となるように、重合反
応系またはポリアミドに添加するポリアミド組成物の製
造方法、である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明に言うポリアミドは、いわゆる炭化水素基が主鎖に
アミド結合を介して連結された高分子量体であって、そ
の種類は特に制限されないが、好ましくは、主としてポ
リカプラミドからなるポリアミドであることが好まし
い。ここで言う主としてとは、カプラミド単位として8
0モル%以上であることを言い、さらに好ましくは90
モル%以上であることが好ましい。その他の成分として
は、特に制限はないが、例えば、ポリドデカノアミド、
ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンア
ゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサ
メチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミ
ド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメ
チレンイソフタラミド等を構成するモノマーである、ア
ミノカルボン酸、ジカルボン酸、ジアミンなどの単位が
挙げられる。
【0010】本発明のポリアミドは、ポリアミド構成モ
ノマー単位におけるジカルボン酸単位が、カルボキシル
基とアミド結合が形成可能なアミノ基を2つ以上有する
ポリアミン単位より多く、その差(以降、ジカルボン酸
率Aと略す)が0.1モル%以上、0.55モル%未満
の範囲であるポリアミドである。下限として好ましく
は、0.15モル%以上、さらに好ましくは0.2モル
%以上である。また、上限として好ましくは0.5モル
%未満である。ジカルボン酸率Aが0.1モル%未満で
は、マグネシウムが本発明の範囲内に含まれていた場合
においても、成形口金表面汚染や糸切れが発生したり、
溶融時におけるパック内のポリアミド重合度が不安定に
なり繊維品質がばらつき、本発明の目的を達成すること
ができない。また、0.55モル%以上であると、ポリ
アミド重合の際、重合速度が極端に低下し、熱分解やゲ
ル化また品質バラツキなど品質上の問題や生産性の問題
が生じる。
【0011】このジカルボン酸成分は、ポリアミド中で
ジカルボン酸単位構造を与える成分であるが、カルボキ
シル基を2つ有するため、ポリアミド主鎖中の末端ある
いは末端以外に共重合される。かかるジカルボン酸単位
としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカル
ボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン
酸等の脂肪族ジカルボン酸単位、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸単位、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、キシリレンジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸単位およびこれらの混合物などが挙げら
れるが、好ましい成分としてはアジピン酸、セバシン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸から選ばれる少なくと
も一種以上のジカルボン酸単位である。
【0012】本発明のポリアミドは、常法で重合するこ
とができ、例えば、カプロラクタムとジカルボン酸成分
および少量の水の混合物を反応器内で大気圧下、240
〜270℃の条件で10〜15時間加熱するか、あるい
は加圧条件で初期重合させた後さらにその後の常圧下で
の重合反応などにより液相重合を行い、得られたポリア
ミドを常法により反応器から吐出、冷却、ペレタイズ
化、抽出、乾燥するなどの操作を経て得る方法が挙げら
れる。重合時におけるジカルボン酸のカプロラクタムに
対する添加率は重合してポリアミドとなるカプロラクタ
ムの割合を考慮して調整する。通常のカプロラクタムの
重合では重合してポリアミドとなるカプロラクタムの割
合は約90%であり、この場合、カプロラクタムに対す
るジカルボン酸成分の添加率は必要とする共重合量の約
0.9倍とすればよい。また重合時に添加するジカルボ
ン酸成分の添加率は、工業的規模の生産における経済的
観点から、重合速度を極端に低下させない範囲で選ぶこ
とが好ましく、具体的にはカプロラクタムに対し、ジカ
ルボン酸添加率を0.5モル%以下とするのが好まし
い。 また、必要に応じて重合前、重合中あるいは重合
後のポリアミド原料あるいはポリアミドに酢酸、プロピ
オン酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、トリデカン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウ
リル酸、リノール酸のような脂肪族モノカルボン酸、シ
クロヘキサンカルボン酸のような脂環式モノカルボン
酸、安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸
およびこれらモノカルボン酸と同様にアミノ基と反応す
る酸無水物、また、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘ
キシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミンのよう
な脂肪族モノアミン、シクロへキシルアミンのような脂
環式モノアミン、ベンジルアミンのような芳香族モノア
ミンなどを添加しこれらをポリマー末端に反応付加させ
ても良い。
【0013】重合により得られるポリアミドの重合度が
低すぎる場合は重合時の初期加熱温度を上げ、逆にポリ
アミドの重合度が高すぎる場合は重合時の初期加熱温度
を下げればよい。このようにポリアミドの重合度は主に
重合温度により制御することができる。
【0014】重合されたポリアミドは、90〜120℃
程度の熱水とポリアミドを接触させ、低重合物(モノマ
ー、オリゴマー)を抽出する。抽出操作後にポリアミド
に含まれる低重合物は、ポリマ粉末化後の熱水可溶成分
として通常1.0〜1.5重量%である。抽出操作を終
えたポリアミドは約10%程度の水分を含むために乾燥
する。ポリアミドの乾燥方法は1.3kPa以下の減圧
下でバッチ方式に加熱する方法、あるいはポリアミドと
加熱された窒素とを連続的に接触させる方法が挙げられ
る。大量生産を行う場合は連続運転が可能な後者が有利
であり、少量多品種生産の場合は前者が有利である。通
常の場合、乾燥はポリアミドの融点以下の温度である1
00〜120℃において、10〜30時間程度保持する
ことにより、含水率が概ね0.1%以下となるまで行わ
れる。
【0015】重合度が溶融紡糸などの成形に鑑みて充分
に高くない場合、該ポリアミドをさらに固相重合し、重
合度を必要な程度まで高めても良い。固相重合は、上記
抽出操作の後に行われる乾燥時の温度を重合反応が進む
120〜170℃程度とすれば乾燥操作を兼ねて行うこ
とができ、効率的かつ経済的である。固相重合による重
合度の上昇を大きくしたい場合は、温度を高くするかま
たは操作時間を長くすれば良い。逆に固相重合における
重合度の上昇を抑制したい場合には、乾燥操作が充分に
行われる範囲において温度を低くするか操作時間を短く
すれば良い。
【0016】本発明のポリアミド組成物の重合度は成形
性あるいは成形物の特性からの要求により適宜選択して
良いが、好ましくは98%硫酸相対粘度(ηr)として
2.1〜3.6の範囲であり、さらに好ましくは2.5
〜3.4の範囲である。
【0017】本発明のポリアミド組成物は、マグネシウ
ムをポリアミド100gに対して、0.5ミリモル以上
30ミリモル未満含有する。好ましくは1〜3ミリモル
である。このマグネシウムは陽イオン状態あるいは塩と
して存在する。マグネシウムの含有量が0.5ミリモル
未満では、たとえジカルボン酸率Aが本発明の範囲を満
足する場合でも、溶融紡糸時におけるモノマー、オリゴ
マーの再生を充分抑制することができず、成形口金表面
汚染や糸切れが発生する。また、30ミリモル以上とし
ても、効果はそれ以上は改善されず、経済的観点から好
ましくない。また、含有量が多くなると異物が生じやす
くなる傾向が現れる。
【0018】マグネシウム成分を含有せじめる方法とし
ては、ポリアミドペレットへマグネシウム化合物をブレ
ンドし溶融する方法、溶融状態のポリアミドへマグネシ
ウム化合物を添加し混練する方法、重合前あるいは重合
中の段階で原料あるいは反応系へマグネシウム化合物を
添加する方法などが挙げられるが、両者が均一に混ざれ
ばいかなる方法でも良い。
【0019】マグネシウム化合物としては、酸化マグネ
シウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムなど、
およびこれらの混合物が挙げられるが、酸化マグネシウ
ムまたは水酸化マグネシウムを用いることが好ましい。
【0020】本発明のポリアミド組成物には、本発明の
目的を阻害しない範囲において、ポリドデカノアミド、
ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンア
ゼラミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサ
メチレンドデカノアミド、ポリメタキシリレンアジパミ
ド、ポリヘキサメチレンテレフタラミド、ポリヘキサメ
チレンイソフタラミド等が含有されていても良い。
【0021】本発明のポリアミド組成物には、本発明の
効果を損なわない範囲において種々の添加剤を含んでも
良い。この添加剤を例示すれば、マンガン化合物などの
安定剤、酸化チタン(TiO2)などの着色剤、可塑
剤、滑剤、難燃剤、導電性付与剤、繊維状強化剤などで
ある。
【0022】本発明のポリアミド組成物は好適に公知の
成形方法を用いて、繊維、フィルム、シート、射出成形
品、押出成形品などの成形体に加工された態様をとるこ
とができる。とりわけ本発明の効果が最も効果的に反映
できる繊維とすることが好ましい。
【0023】かかる本発明のポリアミド組成物からなる
成形品は、熱水抽出法により検出される低重合物(モノ
マー、オリゴマー)量が好ましく1.8重量%以下であ
る。かかる範囲とすることにより、特に溶融紡糸時のモ
ノマー、オリゴマー等の低重合物発生を低減し紡糸時の
口金表面汚れをより良好に抑制し、糸切れが更に抑制さ
れ、優れた製糸操業性が実現できる。
【0024】ここで、熱水抽出法により検出される低重
合物(モノマー、オリゴマー)量は、次の方法により定
義される。 (1)試料を粉砕した後、1インチあたり35メッシュ
と115メッシュのフルイにかけ、35メッシュを通過
し、115メッシュに留まる粉末を分取する。 (2)(1)項で得られた粉末を水分率が0.03重量
%以下となるまで乾燥後秤量し、その重量をW1とす
る。 (3)(2)項で秤量した粉末を粉末重量に対して20
0倍以上の重量の沸騰水で4時間抽出する。 (4)(3)項で得られた粉末を水洗し、ついで再び水
分率が0.03重量%以下となるまで乾燥後秤量し、そ
の重量をW2とする。 (5)上記W1,W2から下式により算出する。 低重合物量(重量%)=(W1−W2)/W1×100
【0025】また、本発明のポリアミド組成物からなる
成形品は、窒素雰囲気下で270℃で10分間溶融した
後の重合度上昇分が、98%硫酸相対粘度(ηr)とし
て好ましく0.1以下である。このため、特に繊維を製
造するとき、本発明のポリアミド組成物は、紡糸操業性
を改善し、かつ溶融時のポリアミドの重合度上昇を抑制
しパック内のポリマー滞留分布による重合度変化を抑制
することで繊維品質ばらつき、特に正量繊度ばらつきを
改善することができる。
【0026】ここで、この重合度上昇分は次の方法によ
り定義される。 (1)試料を秤量し、98重量%濃硫酸に試料濃度
(C)が約1g/100mlとなるように溶解する。 (2)(1)項の溶液をオストワルド粘度計にて25℃
での落下秒数(T1)を測定する。 (3)試料を溶解していない98重量%濃硫酸の25℃
での落下秒数(T2)を(2)項と同様に測定する。 (4)試料の98%硫酸相対粘度(ηr)を下式により
を算出する。 (ηr)=(T1/T2)+{1.891×(1.00
0−C)} (5)次いで、同試料約5gを窒素雰囲気中下で270
℃、10分間溶融させる処理を行った後、試料を窒素雰
囲気中に取り出し、室温まで冷却する。 (6)取り出した試料について、前記(1)〜(4)の
操作を行い、溶融処理後の硫酸相対粘度(ηr’)を求
める。 (7)重合度上昇分は、溶融後の(ηr’)から溶融前
の(ηr)を差し引いた値として求める。 (重合度上昇分)=(ηr’)−(ηr)
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。物性の測定方法は次の通りである。 A.低重合物(モノマー、オリゴマー)量 先述の方法を用いた。 B.98%硫酸相対粘度(ηr) 先述の方法を用いた。
【0028】C.正量繊度ばらつき(CV%) 紙管やボビン等に巻き取られた繊維糸条を、糸条が抵抗
なく解舒できるようにスタンドに置く。糸条の糸端を外
周が1.125mの検尺機に結び、200回転巻き取り
後、糸カセを検尺機から引き出す。その糸カセを105
℃の熱風乾燥機で1時間乾燥後、秤量する(W
(g))。その重量から下式により正量繊度を算出す
る。 正量繊度(dtex)=(W/225)×10000×
1.045 正量繊度ばらつき、すなわち正量繊度CV%は、測定糸
条数48本での正量繊度の標準偏差を平均値で割った値
(百分率)として求められる。
【0029】実施例1〜4、比較例3、5 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムに、ジカル
ボン酸として表1に示す量のテレフタル酸を加えた。こ
れらを常法により重合した後ペレット化し、熱水抽出に
より低重合物(モノマー、オリゴマー)量が1.3重量
%のポリアミドペレットを得た。これらポリアミドペレ
ットを水分率0.03重量%以下になるまで乾燥した
後、マグネシウム化合物として表1に示す量の酸化マグ
ネシウムを粉末ブレンドした。これらを、押出機で溶融
混練し、そしてそのまま口金周辺部の発生ガスの強制除
去を行わずに紡糸し、5000m/分の速度で巻き取っ
た。紡糸開始から口金汚れにより糸切れが発生するまで
の時間と、紡糸により得られた繊維糸条中に含有された
低重合物量、およびこれら繊維糸条の前記重合度上昇分
を測定した。また、得られた繊維糸条48本の正量繊度
ばらつきを調べた。結果を表1に示す。
【0030】比較例1 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムを、常法に
より重合した後ペレット化し、熱水抽出により低重合物
(モノマー、オリゴマー)量が1.3重量%のポリアミ
ドペレットを得た。このポリアミドペレットを水分率
0.03重量%以下になるまで乾燥した。これを、押出
機で溶融し、そしてそのまま口金周辺部の発生ガスの強
制除去を行わずに紡糸し、5000m/分の速度で巻き
取った。紡糸開始から口金汚れにより糸切れが発生する
までの時間と、紡糸により得られた繊維糸条中に含有さ
れた低重合物量、およびこれら繊維糸条の前記重合度上
昇分を測定した。また、得られた繊維糸条48本の正量
繊度ばらつきを調べた。結果を表1に示す。
【0031】比較例2 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムを、常法に
より重合した後ペレット化し、熱水抽出により低重合物
(モノマー、オリゴマー)量が1.3重量%のポリアミ
ドペレットを得た。このポリアミドペレットを水分率
0.03重量%以下になるまで乾燥した後、マグネシウ
ム化合物として表1に示す量の酸化マグネシウムを粉末
ブレンドした。これを、押出機で溶融し、そしてそのま
ま口金周辺部の発生ガスの強制除去を行わずに紡糸し、
5000m/分の速度で巻き取った。紡糸開始から口金
汚れにより糸切れが発生するまでの時間と、紡糸により
得られた繊維糸条中に含有された低重合物量、およびこ
れら繊維糸条の前記重合度上昇分を測定した。また、得
られた繊維糸条48本の正量繊度ばらつきを調べた。結
果を表1に示す。
【0032】比較例4 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムに、ジカル
ボン酸として表1に示す量のテレフタル酸を加えた。こ
れを常法により重合した後ペレット化し、熱水抽出によ
り低重合物(モノマー、オリゴマー)量が1.3重量%
のポリアミドペレットを得た。このポリアミドペレット
を水分率0.03重量%以下になるまで乾燥した。これ
を、押出機で溶融し、そしてそのまま口金周辺部の発生
ガスの強制除去を行わずに紡糸し、5000m/分の速
度で巻き取った。紡糸開始から口金汚れにより糸切れが
発生するまでの時間と、紡糸により得られた繊維糸条中
に含有された低重合物量、およびこれら繊維糸条の前記
重合度上昇分を測定した。また、得られた繊維糸条48
本の正量繊度ばらつきを調べた。結果を表1に示す。
【0033】実施例5 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムに、ジカル
ボン酸として表1に示す量のアジピン酸を加えた。これ
を常法により重合した後ペレット化し、熱水抽出により
低重合物(モノマー、オリゴマー)量が1.3重量%の
ポリアミドペレットを得た。このポリアミドペレットを
水分率0.03重量%以下になるまで乾燥した後、マグ
ネシウム化合物として表1に示す量の水酸化マグネシウ
ムを粉末ブレンドした。これを、押出機で溶融し、そし
てそのまま口金周辺部の発生ガスの強制除去を行わずに
紡糸し、5000m/分の速度で巻き取った。紡糸開始
から口金汚れにより糸切れが発生するまでの時間と、紡
糸により得られた繊維糸条中に含有された低重合物量、
およびこれら繊維糸条の前記重合度上昇分を測定した。
また、得られた繊維糸条48本の正量繊度ばらつきを調
べた。結果を表1に示す。
【0034】実施例6 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムに、ジカル
ボン酸として表1に示す量のテレフタル酸を加えた。こ
れを常法により重合した後ペレット化し、熱水抽出によ
り低重合物(モノマー、オリゴマー)量が1.3重量%
のポリアミドペレットを得た。このポリアミドペレット
を水分率0.03重量%以下になるまで乾燥した。これ
を2軸スクリュータイプのエクストルーダーを用いて、
温度250℃で溶融しつつ、マグネシウム化合物として
表1に示す添加量となるように酸化マグネシウムを定量
フィーダーで供給、混練してペレット化した。このポリ
アミドペレットを水分率0.03重量%以下になるまで
乾燥した。これを、押出機で溶融し、そしてそのまま口
金周辺部の発生ガスの強制除去を行わずに紡糸し、50
00m/分の速度で巻き取った。紡糸開始から口金汚れ
により糸切れが発生するまでの時間と、紡糸により得ら
れた繊維糸条中に含有された低重合物量、およびこれら
繊維糸条の前記重合度上昇分を測定した。また、得られ
た繊維糸条48本の正量繊度ばらつきを調べた。結果を
表1に示す。
【0035】実施例7 水分を3重量%含有するε−カプロラクタムに、ジカル
ボン酸として表1に示す量のテレフタル酸を、マグネシ
ウム化合物として表1に示す量の酸化マグネシウムを加
えた。これを常法により重合した後ペレット化し、熱水
抽出により低重合物(モノマー、オリゴマー)量が1.
3重量%のポリアミドペレットを得た。このポリアミド
ペレットを水分率0.03重量%以下になるまで乾燥し
た。これを、押出機で溶融し、そしてそのまま口金周辺
部の発生ガスの強制除去を行わずに紡糸し、5000m
/分の速度で巻き取った。紡糸開始から口金汚れにより
糸切れが発生するまでの時間と、紡糸により得られた繊
維糸条中に含有された低重合物量、およびこれら繊維糸
条の前記重合度上昇分を測定した。また、得られた繊維
糸条48本の正量繊度ばらつきを調べた。結果を表1に
示す。
【0036】
【表1】 表1の結果から明らかなように、本発明のポリアミド組
成物は、再溶融後においてもモノマー、オリゴマーの生
成が抑制され、従来のポリアミド組成物と比較して糸切
れまでの時間が長く、また、ポリアミドの重合度上昇が
抑制され、正量繊度ばらつきが従来のポリアミド組成物
と比較して小さいという極めて顕著な効果を奏すること
が判る。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、再溶融時、特に溶融紡
糸時のモノマー、オリゴマー等の低重合物の生成を抑制
し、紡糸時の口金表面汚れを抑制することで紡糸操業性
を改善し、かつ、再溶融時のポリアミドの重合度上昇を
抑制し、特に、パック内のポリマー滞留分布による重合
度変化を抑制することで、繊維品質ばらつき、特に正量
繊度ばらつきを改善することができるポリアミド組成物
を提供することができる。 従って、各種成形品に用い
られることはもちろんのことであるが、好適に繊維成形
品用途に本発明は用いられる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド構成モノマー単位においてジ
    カルボン酸単位が、カルボキシル基とアミド結合が形成
    可能なアミノ基を2つ以上有するポリアミン単位より多
    く、その差が0.1モル%以上、0.55モル%未満で
    あるポリアミドと、該ポリアミド100gに対して、
    0.5ミリモル以上、30ミリモル未満のマグネシウム
    とからなるポリアミド組成物。
  2. 【請求項2】 前記ポリアミドが主としてポリカプラミ
    ドからなる請求項1記載のポリアミド組成物。
  3. 【請求項3】 前記ジカルボン酸単位がアジピン酸、セ
    バシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸から選ばれた少
    なくとも一種以上のジカルボン酸に由来する請求項1ま
    たは2記載のポリアミド組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか記載のポリアミド
    組成物からなる成形品であって、熱水抽出法により検出
    される低重合物(モノマー、オリゴマー)量が1.8重
    量%以下である成形品。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3いずれか記載のポリアミド
    組成物からなる成形品であって、窒素雰囲気下で270
    ℃、10分間溶融した後の重合度上昇分が、98%硫酸
    相対粘度(ηr)として0.1以下である成形品。
  6. 【請求項6】 ポリアミド構成モノマーを重合し、ポリ
    アミドを得るに際し、ポリアミド構成モノマーにおける
    ジカルボン酸単位が、カルボキシル基とアミド結合が形
    成可能なアミノ基を2つ以上有するポリアミン単位より
    多く、その差が0.1モル%以上、0.55モル%未満
    の範囲となるように、重合前あるいは重合中にジカルボ
    ン酸成分を添加し、かつ、重合前、重合中あるいは重合
    後のいずれかの段階にマグネシウム化合物を該ポリアミ
    ド100gに対してマグネシウムとして0.5ミリモル
    以上、30ミリモル未満の範囲となるように、重合反応
    系またはポリアミドに添加するポリアミド組成物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 前記ジカルボン酸がアジピン酸、セバシ
    ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸から選ばれた少なく
    とも一種以上のジカルボン酸であることを特徴とする請
    求項6記載のポリアミド組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記マグネシウム化合物が酸化マグネシ
    ウムまたは水酸化マグネシウムである請求項6または7
    記載のポリアミド組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリアミド構成モノマーが、主としてε
    −カプロラクタムであることを特徴とする請求項6〜8
    いずれか記載のポリアミド組成物の製造方法。
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