JP2002161165A - 多孔質フィルムの製造方法 - Google Patents

多孔質フィルムの製造方法

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JP2002161165A
JP2002161165A JP2000362087A JP2000362087A JP2002161165A JP 2002161165 A JP2002161165 A JP 2002161165A JP 2000362087 A JP2000362087 A JP 2000362087A JP 2000362087 A JP2000362087 A JP 2000362087A JP 2002161165 A JP2002161165 A JP 2002161165A
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JP
Japan
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porous film
treatment
antioxidant
weight
polyolefin
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JP2000362087A
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Toshisuke Nomi
俊祐 能見
Kazunari Yamamoto
一成 山本
Yoshihiro Uetani
慶裕 植谷
Mitsuhiro Kaneda
充宏 金田
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Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化防止剤を含有する多孔質フィルムに対し
ても、架橋反応を速やかかつ効率的に進行させることが
できる多孔質フィルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリオレフィン、二重結合を有する重合
体、及び酸化防止剤を含有する多孔質フィルムから、酸
化防止剤を抽出除去する抽出工程と、その後の何れかの
段階で、架橋処理を施す架橋工程とを含むことを特徴と
する多孔質フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン、
及び二重結合を有する重合体等を含有する多孔質フィル
ムに架橋処理を施す工程を含む多孔質フィルムの製造方
法に関し、耐熱性に優れる電池用セパレータ等の製造方
法として有用である。
【0002】
【従来の技術】リチウム電池等を負極とする非水電解液
電池は、高エネルギー密度を有するとともに自己放電が
少ないので、近年、大電流電池として注目されている。
この非水電解液電池は電解液の導電度が低く、大電流を
取出すために正負両極の面積を大きくする必要があり、
このため、正負両極間にポリエチレンやポリプロピレン
からなる不織布をセパレータとして介在せしめ、これら
を渦巻き状に捲回する渦巻式電極を採用している。
【0003】ところで、かような渦巻き式電池のような
大電流が流れる構造の電池にあっては、強制放電等の誤
使用に起因した外部短絡によって異常電流が流れ、これ
に伴って内部温度が急上昇することがある。このような
内部温度の上昇があった場合、不織布製セパレータを用
いていると、このセパレータが軟化ないし溶融し、正負
両極が短絡し、温度が更に上昇し、ついには火災、爆発
という重大事故に繋がる恐れがある。従って、より高い
温度まで、破膜、破断されないセパレータが切望されて
いる。特に、高容量化された電池や電池内部抵抗の低減
が進むと、発熱が大きくなる要素が増すため、ますます
重要である。
【0004】かかる耐熱性をセパレータに付与する方法
として、例えば特開平10−7831号公報ではポリエ
チレン微多孔膜に電子線を照射し、架橋点間分子量が2
0万以下になるように架橋することにより、高い耐熱性
を付与する方法が開示されている。しかし、電子線照射
を効率よく行なうためには、酸素濃度を低くする必要が
あるため、膜厚が薄くかつ多孔質の膜を処理するには、
従来技術以上の低酸素濃度にすることが要求される。さ
らには、部分的な酸素濃度の差により、架橋密度の斑が
出来る恐れもある。
【0005】この問題を解消すべく、本発明者らは鋭意
研究した結果、二重結合を有し、そのα位炭素に水素原
子が結合している架橋性樹脂を、主にポリオレフィンか
らなるセパレータ原材料に混合、分散させ、従来法と同
様に製膜後、熱処理して架橋させることによって、耐熱
性に優れたセパレータが得られる旨知見している。この
耐熱性向上の理由は、必ずしも明らかではないが、熱処
理で生じたポリマーラジカルが二重結合に付加し、その
際に架橋性樹脂どうし、あるいは架橋性樹脂とその他の
樹脂成分との間で架橋反応が起こるためと推定され、熱
処理による二重結合の消失とともに架橋が進行し、耐熱
性が大きく向上することが確認されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そして、上記の如き製
膜方法では、原料として架橋反応が起こり易いものを使
用し、高温での原料の溶解、混練等の工程を経るため、
それらの工程で樹脂が劣化しないように、原料に酸化防
止剤を少量添加するのが好ましい。しかしながら、この
酸化防止剤は溶解・混練等の工程での樹脂の劣化防止に
は有効となるものの、少量でも上記の如き架橋反応を阻
害する要因となることが判明した。
【0007】そこで、本発明の目的は、酸化防止剤を含
有する多孔質フィルムに対しても、架橋反応を速やかか
つ効率的に進行させることができる多孔質フィルムの製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記知見
に基づいて、上記目的を達成すべく更に鋭意検討した結
果、ポリオレフィンと二重結合を有する重合体等を含む
多孔質フィルムに対して、熱架橋処理前に酸化防止剤を
抽出除去することにより、その後の熱架橋処理時の反応
を速やかかつ効率的に進行させられることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の多孔質フィルムの製造方法
は、ポリオレフィン、二重結合を有する重合体、及び酸
化防止剤を含有する多孔質フィルムから、酸化防止剤を
抽出除去する抽出工程と、その後の何れかの段階で、架
橋処理を施す架橋工程とを含むことを特徴とする。ここ
で、酸化防止剤とは、他の名称で呼ばれることもある
が、酸化反応を抑制する機能を有する成分を指し、原料
配合時に添加した酸化防止剤の他、ポリオレフィンや二
重結合を有する重合体に元々含まれる酸化防止剤も含ま
れる。
【0010】上記において、前記抽出工程が、超臨界C
2 流体を用いて酸化防止剤の抽出除去を行なうもので
あることが好ましい。
【0011】また、前記架橋工程が、酸素の存在下で加
熱処理を行うものであることが好ましい。
【0012】[作用効果]本発明の多孔質フィルムの製
造方法によると、多孔質フィルムから酸化防止剤を抽出
除去してから、架橋処理を施すため、実施例の結果が示
すように、架橋反応を速やかかつ効率的に進行させるこ
とができる。
【0013】前記抽出工程が、超臨界CO2 流体を用い
て酸化防止剤の抽出除去を行なうものである場合、超臨
界CO2 流体が樹脂の内部まで浸透して高い抽出効果が
得られるため、架橋反応をより速やかかつ効率的に進行
させることができる。
【0014】前記架橋工程が、酸素の存在下で加熱処理
を行うものである場合、このような系では特に原料の溶
解・混練時に架橋反応が起こり易いため、原料に酸化防
止剤を配合するのが好ましいため、上記の如き作用効果
を奏する本発明が特に有効となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の多孔質フィルムの製造方法は、多
孔質フィルムから酸化防止剤を抽出除去する抽出工程
と、架橋処理を施す架橋工程とを含むことを特徴とす
る。抽出工程に用いられる孔質フィルムは、ポリオレフ
ィン、二重結合を有する重合体、及び酸化防止剤を含有
するものである。
【0016】ポリオレフィンとしては、好ましくは重量
平均分子量が5×105 以上の高分子量ポリオレフィン
であり、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、
4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン等を重合した
単独重合体、共重合体、及びこれらのブレンド物等が挙
げられる。中でも機械的強度に優れ、高い結晶性が得ら
れる高分子量ポリエチレンが素材として望ましい。該高
分子量ポリオレフィンの重量平均分子量としては、さら
に1×106 以上の超高分子量のものが好ましく、1.
5×106 以上がより好ましい。
【0017】ポリオレフィンの含有量は、多孔質フィル
ムの原料樹脂混合物中、好ましくは10〜99重量%、
より好ましくは20〜95重量%である。該含有量の下
限は製膜した膜の強度が十分である観点から、10重量
%以上が好ましい。またポリイソプレンを1%以上含有
する観点から、99重量%以下が好ましい。
【0018】二重結合を有する重合体としては、主鎖又
は側鎖に炭素間二重結合を有し、そのα位炭素に水素が
結合している重合体が好ましい。具体的にはポリノルボ
ルネン、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、未加硫の天
然ゴム、未加硫のニトリルゴム、未加硫のブチルゴムな
どのジエン系ゴムの未加硫物等が挙げられる。但し、架
橋性の点から、炭素間二重結合を有する繰り返し単位の
含量が高いもの、特に当該繰り返し単位の単独重合体が
好ましい。また、繰り返し単位自体の化学構造も架橋性
や均一分散性等に影響し、これらの観点から、ポリノル
ボルネン、1,4−ポリブタジエンがより好ましく用い
られる。
【0019】二重結合を有する重合体の含有量は、多孔
質フィルムの原料樹脂混合物中、1〜50重量%が好ま
しく、3〜40重量%がより好ましく、5〜35重量%
が更に好ましい。該含有量は、添加作用が有効である観
点から1重量%以上が好ましく、また多孔質フィルムの
空孔率が高く、高通気性を得る観点から、50重量%以
下が好ましい。
【0020】また、セパレータのシャットダウン温度を
下げ、安全性を高める目的として、5×105 未満のポ
リオレフィン類、熱可塑性エラストマー、グラフトコポ
リマーが1種類以上含有されてもよい。
【0021】重量平均分子量が5×105 未満のポリオ
レフィン類としては、ポリエチレン、ポリプロピレンな
どのポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の変性ポリ
オレフィン樹脂が挙げられる。熱可塑性エラストマーと
しては、ポリスチレン系や、ポリオレフィン系、ポリジ
エン系、塩化ビニル系、ポリエステル系等の熱可塑性エ
ラストマーが挙げられる。
【0022】グラフトコポリマーとしては、主鎖にポリ
オレフィン、側鎖に非相性基を有するビニル系ポリマー
を側鎖としたグラフトコポリマーが挙げられるが、ポリ
アクリル類、ポリメタクリル類、ポリスチレン、ポリア
クリロニトリル、ポリオキシアルキレン類が好ましい。
なお、ここで非相溶性基とは、ポリオレフィンに対して
非相溶性基を意味し、例えば、ビニル系ポリマーに由来
する基などが挙げられる。
【0023】これらの5×105 未満のポリオレフィン
類、熱可塑性エラストマー、グラフトコポリマーの含有
量は、多孔質フィルムの原料樹脂混合物中、70重量%
以下が好ましく、60重量%以下がより好ましく、50
重量%以下が更に好ましい。該含有量は、高分子量ポリ
オレフィンの架橋点を十分確保し、十分な耐熱性が得ら
れるという観点から70重量%以下が好ましい。
【0024】抽出工程に用いられる多孔質フィルムは、
例えば、ポリオレフィンと二重結合を有する重合体等を
含む樹脂混合物などに、溶媒を添加して得られた混合物
をそれぞれ溶融混練後、シート状に押出して冷却し、得
られたゲル状成形物に対して、延伸処理と脱溶媒処理等
を含む製膜処理を行なうことにより得ることができる。
本発明において製膜処理とは、シート状成形物の延伸、
脱溶媒、要すれば圧延等の処理により多孔質フィルムを
形成する処理工程を言う。
【0025】溶媒としては、各樹脂成分の溶解性に優れ
たものであればよく、例えばノナン、デカン、ウンデカ
ン、ドデカン、デカリン、流動パラフィン等の脂肪族、
または環状の炭化水素、あるいは沸点がれらに対応する
鉱油留分が挙げられるが、流動パラフィンなどの不揮発
性溶媒が好ましい。樹脂成分及び溶媒の配合量は、樹脂
の種類、溶解性、混練温度等により異なるため、一概に
は決定できないが、得られるスラリー状の混合物を溶融
混練してシート状に成形できる程度であれば特に限定さ
れない。例えば、樹脂成分の配合量は混合物中の5〜3
0重量%が好ましく、10〜30重量%がより好まし
く、10〜25重量%がさらに好ましい。樹脂成分の配
合量は、得られる多孔質フィルムの強度を向上させる観
点から、5重量%以上が好ましく、また、ポリオレフィ
ンを十分に溶媒に溶解させて、伸び切り状態近くまで混
練することができ、ポリマー鎖の十分な絡み合いを得ら
れる観点から、30重量%以下が好ましい。
【0026】混合物中の溶媒の配合量は70〜95重量
%が好ましく、70〜90重量%がより好ましく、75
〜90重量%がさらに好ましい。該配合量は、混練トル
ク、圧延、延伸応力が適度で、生産性に優れる観点か
ら、70重量%以上が好ましく、また、押出す際にダイ
ス出口でネックインが発生せず、成形が用意になる観点
から、95重量%以下が好ましい。
【0027】なお、前記混合物には、高温での原料の溶
解・混練等の工程で樹脂が劣化しないように、フェノー
ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、芳香族アミン系酸
化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤を配合す
るのが好ましい。酸化防止剤としては、例えば、ペンタ
エリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−
トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
イソシアヌレイト、テトラキス(2,4−ジーt−ブチ
ルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスファ
イト、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BH
T)が挙げられる。また、酸化防止剤の含有量はポリオ
レフィンの含有量に対して、0.1〜5重量%が好まし
く、0.5〜2.0重量%がより好ましい。
【0028】また必要に応じて、紫外線吸収剤、染料、
造核剤、顔料、帯電防止剤の添加剤を、本発明の目的を
損なわない範囲で添加することが出来る。
【0029】混合物の溶融混練は、高分子量ポリオレフ
ィンのポリマー鎖の十分な絡み合いを得るために混合物
に十分なせん断力を作用させて行なうことが好ましい。
従って、本発明における混合物の溶融混練には、通常、
混合物に強いせん断力を与えることが出来るニーダや二
軸混練機が好ましく用いられる。
【0030】混合物を溶解混練する際の温度は、溶媒が
高分子量ポリオレフィンを溶解開始させる温度(溶融開
始温度)〜+60℃の範囲で行なうことが好ましい。該
温度は、高分子量ポリオレフィンが効率よく分散する観
点から、溶解開始温度以上が好ましい。なお、高分子量
ポリオレフィンの分解を抑制するため、溶解後の混錬時
に、膜特性を低下させない程度に温度を下げても差し支
えない。
【0031】溶融混練物をシート状に押出す方法は、特
に限定されず、例えば、Tダイ等を取り付けた押出し機
を用いる方法が挙げられる。
【0032】本発明では、得られたシート状押出し物を
好ましくは0℃以下、より好ましくは−10℃以下に冷
却した金属板に挟み込み冷却して、シート状に成形する
ことが望ましい。このようにして得られるシート状成形
物の厚みは、通常0.5〜20mmが好ましい。
【0033】次に得られたシート状成形物を延伸処理す
る。延伸処理の方法は特に限定されるものではなく、通
常のテンター法、ロール法、またはこれらの方法の組み
合わせであってもよい。また、一軸延伸、二軸延伸等の
いずれの方法をも適用することができ、二軸延伸の場合
は、縦横同時延伸または逐次延伸のいずれでもよいが、
縦横同時延伸が好ましい。
【0034】延伸処理時の温度は、延伸の均一性が良好
で、十分な膜強度が得られる観点から、高分子量ポリオ
レフィンの融点+5℃以下の温度が好ましい。
【0035】次に延伸処理後のシート状成形物の脱溶媒
処理を行なう。脱溶媒処理は、シート状成形物から溶媒
を除去して多孔質構造を形成させる工程であり、例え
ば、シート状成形物を溶剤で洗浄して残留する溶媒を除
去することにより行なうことが出来る。溶剤は、樹脂混
合物の調製に用いた溶媒に応じて適宜選択することが出
来るが、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デ
カン、等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩
素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエー
テル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン類などの易揮発
性溶剤があげられ、これらは単独、または2種以上を混
合して用いることが出来る。
【0036】かかる溶剤を用いた洗浄方法は特に限定さ
れず、例えば、シート状成形物を溶剤中に浸漬して溶媒
を抽出する方法、溶剤をシート状成形物にシャワーする
方法等が挙げられる。脱溶媒処理は延伸前に行なっても
よい。例えば、シート状成形物を脱溶媒処理してから延
伸処理してもよく、あるいは延伸処理前に脱溶媒処理を
行ない、延伸処理後に再度脱溶媒処理を行なってもよ
い。
【0037】なお、本発明では、延伸及び脱溶媒処理の
前後に、さらに圧延処理を行なってもよい。例えば、前
記シート状成形物を延伸処理と脱溶媒処理(延伸と脱溶
媒の順序はいずれが先でもよい)を行なってから圧延処
理に供してもよく、またシート状成形物をそのまま圧延
処理してから延伸処理と脱溶媒処理(延伸と脱溶媒の順
序はいずれが先でもよい)を行なってもよい。あるい
は、延伸処理と脱溶媒処理の間に圧延処理を行なっても
よく、例えば、圧延処理前に脱溶媒処理を行ない、圧延
処理後に再度延伸処理と脱溶媒処理(延伸と脱溶媒の順
序はいずれが先でもよい)を行なって残存溶媒を除去す
る様態であってもよい。
【0038】本発明では、これらの方法によって得た多
孔質フィルムを用いて、酸化防止剤を抽出除去する抽出
工程を行なう。ここで除去される酸化防止剤は、原料配
合時に添加した酸化防止剤の他、ポリオレフィンや二重
結合を有する重合体に元々含まれる酸化防止剤も含まれ
る。また、抽出工程は延伸処理と脱溶媒処理とが完了し
た後に行うのが好ましいが、延伸処理を行う前に抽出工
程を行ってもよい。また、脱溶媒処理を行う際に、酸化
防止剤に対する溶解力の高いものを用いて、脱溶媒と同
時に抽出工程を行ってもよい。
【0039】酸化防止剤の抽出除去方法としては、樹脂
を溶解しない溶媒による抽出等も可能であるが、酸化防
止剤自体が非常に高度に分散されているため、セパレー
タの樹脂の内部まで浸透する抽出能力が要求される。従
って、臨界温度が比較的低温(100℃以下)の超臨界
流体を用いた抽出が好ましく、特に超臨界CO2 流体を
用いた抽出が好ましい。
【0040】超臨界CO2 抽出の条件としては、超臨界
状態を安定に保持できる条件であれば、特に限定されな
いが、多孔質フィルムの熱収縮の観点から、なるべく低
温での抽出が好ましい。例えば、抽出管系内が80℃、
25MPaの条件で抽出を安定して行なうことが出来
る。
【0041】超臨界CO2 流体による抽出を行なう前
に、形状固定のため、短時間の熱処理を行っても差し支
えない。条件は特に限定されないが、例えば100℃×
5分の条件で熱固定できる。
【0042】本発明では、上記方法によって抽出工程を
行った後、何れかの段階で架橋処理を施す架橋工程を行
う。架橋工程は、多孔質フィルムを熱、紫外線、電子
線、可視光線からなる群より選ばれる1種以上を用いる
架橋処理を施すことにより、二重結合を有する重合体の
二重結合を全部または一部消失させる。これらの架橋処
理を施すことによって、上記多孔質フィルムのゲル分率
が上がり、耐熱性が向上する。
【0043】本発明における架橋工程としては、雰囲気
制御、架橋の均一性、安定性等の点から、酸素の存在下
で加熱処理を行うのが好ましく、特に、空気中で加熱処
理を行うのが好ましい。その他、酸素含有ガス、オゾン
含有ガス、酸化性ガスなどを加熱雰囲気として使用する
こともできる。
【0044】二重結合を消失させる割合は所望の耐熱性
を考慮して適宜選択されるが、80〜100%(FT−
IR測定による二重結合由来ピークの大きさに基づき算
出)の消失率が好ましい。
【0045】また、二重結合の消失と同時にカルボニル
の生成が起こる。特に二重結合を有する重合体の添加量
が少ない場合、二重結合由来のIRピークが他のピーク
との重なり、多孔質ゆえの光の干渉等の理由で不明瞭に
なる場合がある。カルボニルピークは明瞭にピークが現
れるため、カルボニルピーク強度で反応の進行を観測る
ことが出来る。
【0046】前記架橋処理の方法として熱を用いる場
合、一回で熱処理する一段式熱処理法でも、最初に低温
でまず熱処理し、その後さらに高温での熱処理を行なう
多段式の熱処理法でもよく、あるいは昇温しながら熱処
理する昇温式熱処理法でもよいが、通気度等の多孔質フ
ィルムの元の諸特性を損なうことなく処理することが望
ましい。一段式熱処理の場合には、多孔質フィルムの組
成によるが40〜140℃が好ましい。また、低温から
熱処理を開始し、その後、処理温度を上げてゆくと、多
孔質フィルムの硬化とともに耐熱性が次第に向上してゆ
くので、加熱によって通気度等の元の諸特性を損なうこ
と高温に曝露することが出来るようになる。そのため、
諸特性を損なわずに、短時間で熱処理を完了するために
は、多段式あるいは昇温式熱処理法が好ましい。この場
合の熱処理時間は、温度により二重結合の消失速度が異
なるため、一概には決められないが例えば115℃であ
れば30分以上であることが好ましい。
【0047】多段式の熱処理法の最初の熱処理温度とし
ては、多孔質フィルムの組成にもよるが、好ましくは4
0〜90℃、2段目の熱処理温度としては、多孔質フィ
ルムの組成にもよるが、好ましくは90〜140℃であ
る。また、必要に応じてさらに高温で、さらに短時間の
3段目以降の熱処理を行なってもよい。
【0048】具体的な熱処理方法として、多孔質フィル
ムの四隅を固定してオーブンに投入する、ロールに捲回
してオーブンに投入する、テンターで面積固定して連続
的にオーブンに通す等の公知の方法が用いられる。
【0049】紫外線を用いる場合、例えば、製膜後の多
孔質フィルムをそのまま空気中で、あるいは重合開始剤
を含むメタノール溶液等に含浸させ溶媒乾燥後に、この
多孔質フィルムを水銀ランプにて照射することにより、
架橋処理を施すことが出来る。また、照射時の熱コント
ロールのため、水中で紫外線照射を行なってもよい。
【0050】このようにして得られた多孔質フィルム
は、酸化防止剤を除去することにより、均一に分散した
二重結合を有する重合体による架橋反応が効率的かつ速
やかに開始され、架橋が均一に起こり、耐熱性にムラが
無く、電池の様々な大きさや用途に対して安全性を向上
させることが期待出来る。
【0051】本発明においては、比較的容易に多孔質フ
ィルムの厚み、空孔率、平均孔径を制御することができ
る。例えば厚み5〜100μm、空孔率20〜80%、
平均孔径0.01〜0.5μm、JIS P8117に
準拠する通気度が25μm換算値で100〜1000s
ec/100mlといったものを好適に製造することが
できる。
【0052】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実
施例等について説明する。なお、各種特性については、
下記要領にて測定を行なう。
【0053】(重量平均分子量)ウォーターズ社製のゲ
ル浸透クロマトグラフ[GPC−150C]を用い、溶
媒にo−ジクロロベンゼンを、また、カラムとして昭和
電工(株)製の[Shodex−80M]を用いて13
5℃で測定する。データ処理にTRC社製データ収集シ
ステムを用いて行なう。分子量はポリスチレンを基準と
して算出する。
【0054】(フィルム厚)1/10000シックネス
ゲージにより測定。
【0055】(空孔率)測定対象の多孔質フィルムを直
径6cmの円状に切り抜き、その体積と重量を求め、得
られる結果から次式を用いて計算する。
【0056】空孔率(体積%)=100×(体積(cm
3 )−重量(g)/樹脂及び無機物の平均密度(g/c
3 ))/体積(cm3 ) (通気度(ガーレ値))JIS P8117に準拠して
測定した(単位:sec/100ml)。
【0057】(カルボニル強度比)日本分光(株)製の
赤外吸光分析計[FT/IR−230」を用い、積算回
数16回で測定したIRスぺクトルにより、カルボニル
に基づく1720cm-1(D1)及びポリエチレンに基
づく1462cm-1(D2)の吸光度を定し、下式より
求めた。
【0058】 カルボニル強度比(%)=D1/D2×100 [実施例1]重量平均分子量100万の超高分子量ポリ
エチレン91重量部と、重量平均分子量50万の1,4
ブタジエンゴム(未加硫物、日本ゼオン(株)製,BR
1220)9重量部からなるポリオレフィン混合物15
重量%と流動パラフィン85重量%、酸化防止剤として
イルガノックス1076(チバスペシャルティケミカル
ズ社製)、及びBHTを、ポリエチレンに対してそれぞ
れ0.5重量%、0.3重量%をさらに添加し、スラリ
ー状に均一に混合し、160℃の温度で二軸混練り機を
用い溶解混練りした。その後これらの混練物を0℃に冷
却された金属板に挟み込み10mmのシート状に急冷し
た。これらの急冷シートを115℃の温度でシート厚が
1mmなるまでヒートプレスし、125℃の温度で4.
5×4.5倍に縦横同時二軸延伸し、ヘプタンを使用し
て脱溶媒処理を行なった。脱溶媒後、形状を固定し10
0℃×5分熱処理を行なった。
【0059】上記多孔質フィルムを超臨界CO2 流体処
理し、酸化防止剤の抽出除去を行なった。抽出条件は二
酸化炭素流量5L/min、処理槽内部圧25MPa、
温度80℃で、1時間抽出を行なった。系外に取出され
た抽出物をFT−IR、1 H−NMR、13C−NMRを
用いて分析した結果、多くの低分子量のポリエチレンと
共にイルガノックス1076が検出された。
【0060】続いて85℃×6h+120℃×1hで空
気中で熱処理を行ない、架橋多孔質フィルムを得た。
【0061】[比較例1]超臨界CO2 流体による酸化
防止剤の抽出を行わなかった以外は実施例1と同様にし
て熱処理まで行って多孔質フィルムを得た。
【0062】[実施例2]重量平均分子量200万の超
高分子量ポリエチレン15.0重量部、及びポリノルボ
ルネン樹脂(ノーソレックスNB、重量平均分子量30
0万、日本ゼオン(株)製)2.14重量部からなるポ
リオレフィン組成物と流動パラフィン85重量部、酸化
防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャル
ティケミカルズ社製)及びBHTを、ポリエチレンに対
してそれぞれ4重量%、0.3重量%をさらに添加して
スラリー状に均一に混合し、160℃の温度で二軸混練
り機を用い溶解混練りした。その後これらの混練物を0
℃に冷却された金属板に挟み込み5mmのシート状に急
冷した。 これらの急冷シートを115℃の温度でシー
ト厚が0.7mmになるまでヒートプレスし、120℃
の温度で3.5×3.5倍に縦横同時に二軸延伸し、へ
プタンを使用して脱溶媒処理を行なった。脱溶媒後、形
状を固定し100℃×5分熱処理を行なった。
【0063】上記多孔質フィルムを超臨界CO2 流体処
理し、酸化防止剤の抽出除去を行なった。抽出条件は二
酸化炭素流量5L/min、処理槽内部圧25MPa、
温度80℃で、1時間抽出を行なった。系外に取出され
た抽出物をFT−IR、1 H−NMR、13C−NMRを
用いて分析した結果、多くの低分子量のポリエチレンと
共にイルガノックス1010及びイルガノックス107
6(原料由来分)が検出された。
【0064】続いて85℃×6h+120℃×1hで空
気中で熱処理を行ない、多孔質フィルムを得た。
【0065】[比較例2]超臨界CO2 流体による酸化
防止剤の抽出を行わなかった以外は実施例2と同様にし
て熱処理まで行って多孔質フィルムを得た。
【0066】
【表1】 表1の結果が示すように、超臨界CO2 流体による酸化
防止剤の抽出を行った実施例の多孔質フィルムでは、抽
出を行わなかった比較例よりカルボニル強度比がかなり
大きく、架橋反応を速やかかつ効率的に進行しているこ
とが判った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植谷 慶裕 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 金田 充宏 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA06 AA12 GB03 GC02 HB05 HB07 4F074 AA08 AA09 AA16 AA17 AB01 AG04 BB00 CA03 CB03 CC02Y CC06Z CD20 CE96 DA49 5H021 BB01 BB09 BB13 EE04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン、二重結合を有する重合
    体、及び酸化防止剤を含有する多孔質フィルムから、酸
    化防止剤を抽出除去する抽出工程と、その後の何れかの
    段階で、架橋処理を施す架橋工程とを含むことを特徴と
    する多孔質フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記抽出工程が、超臨界CO2 流体を用
    いて酸化防止剤の抽出除去を行なうものである請求項1
    記載の多孔質フィルム製造方法。
  3. 【請求項3】 前記架橋工程が、酸素の存在下で加熱処
    理を行うものである請求項1又は2に記載の多孔質フィ
    ルム製造方法。
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JP2006500438A (ja) * 2002-09-20 2006-01-05 ビーエイチエイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド 多孔質物品の処理
WO2008146758A1 (ja) 2007-05-24 2008-12-04 Nitto Denko Corporation 多孔質フィルムの製造方法及び多孔質フィルム、並びに非水電解質電池用セパレータ及びこれを用いた非水電解質電池

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US9340653B2 (en) 2007-05-24 2016-05-17 Nitto Denko Corporation Method for production of porous film, porous film, separator for non-aqueous electrolyte battery, and non-aqueous electrolyte battery using the separator

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