JP2002159278A - 酒精含有調味料の製造法 - Google Patents
酒精含有調味料の製造法Info
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Abstract
5v/v%以上、全窒素が1.0w/v%以上を有し、
異味異臭がなく香りが良好で、原料の窒素利用率が85
%以上の値を示し、諸味液汁の全窒素成分に対するアミ
ノ酸の比率の高い酒精含有調味料を非常に短期間で得
る。 【解決手段】麦が70〜100w/w%で、残余部分が
大豆である原料を使用して、常法により醤油麹を調製
し、次いで諸味中の食塩が0〜5w/v%となるように
該醤油麹1重量部に対し水または食塩水を1.0〜2.
0重量部混和して諸味を調製し、該諸味をpH3.5〜
5.0、品温45〜65℃で20〜100時間酵素分解
して消化諸味を調製し、次いで諸味1g当り1×105
個以上となるように、該消化諸味にアルコ−ル産生能
を有する酵母を添加し、品温20〜35℃で5日以上発
酵、熟成させ課題の酒精含有調味料を得る。
Description
を行うことなくアルコ−ルが5v/v%以上、全窒素が
1.0w/v%以上を有し、異味異臭がなく香りが良好
で、原料の窒素利用率が高い値を示し、諸味液汁の全窒
素成分に対するアミノ酸の比率の高い酒精含有調味料を
速醸する方法に関する。
これらの混合物を0w/v%〜2w/v%未満の塩濃度
で消化するにあたり、初期諸味のpHを4〜6に調整
し、さらにアルコ−ル産生能を有する酵母を添加して、
諸味の消化とアルコ−ル発酵を同時に行い低塩調味液
(酒精含有調味料)を得る方法が知られている。すなわ
ち、小麦と脱脂大豆を等量使用して常法により醤油麹を
調製し、該醤油麹265kgに常法により調製した米麹
46.5kg、グルコ−ス14kg、酵母培養液372
リットルを混和して諸味を調製(pH5.78)し、該
諸味を品温25℃で40日間保持して、消化と同時にア
ルコ−ル発酵を行わせ、エタノ−ル7.32w/v%、
全窒素1.97w/v%の酒精含有調味料を得る方法が
知られている(特許第306695号公報参照)(以
下、従来の発明という)。従来の発明は、諸味の酵素分
解(以下、「消化」ということがある)と酵母によるア
ルコ−ル発酵を同時に行う方法であるが、酵母は、諸味
品温が40℃以上であるときは、増殖できず、アルコ−
ル発酵も殆ど行われない。そのため消化温度は40℃よ
り低い温度(例えば上述のように25℃)の採用を余儀
なくされる。一方消化温度が、40℃より低い場合は、
諸味の消化に時間を要し、諸味が容易に軟らかくなら
ず、このような場合、諸味の圧搾濾過性が非常に悪く、
圧搾歩留まりも低下する。また従来の発明においては原
料の窒素利用率が悪く、改良の余地を残している。ま
た、醤油の窒素成分にはアミノ酸やペプチド類がある
が、このうちアミノ酸がどの位あるのか、これを表す言
葉として、ホルモ−ル窒素がある。これは全窒素成分の
うち何%がアミノ酸として存在するかを示し、通常の醤
油醸造法による醤油は、55〜56%の値を示し、ま
た、このホルモ−ル窒素が少ないと味の”ノビ”がない
といわれる(「醤油と技術」、昭和42年6月3日、第
2054頁参照)。従来の発明は、小麦と脱脂大豆を等
量使用する原料配合は開示されているが、麦が70〜1
00w/w%で、残余部分が大豆である原料配合は開示
されていない。また諸味の消化温度が低く、また消化期
間が10日〜2週間程度では諸味液汁の全窒素成分に対
するアミノ酸の比率が低い問題を有している。さらにま
た、小麦と脱脂大豆を等量使用する従来の発明は、諸味
液汁にアルコ−ルを高濃度に蓄積することは非常に難し
く、そのため、諸味中に米麹やグルコ−ス等の炭水化物
を添加(以下、含糖操作という)しなければならない欠
点を有する。
は、諸味中に含糖操作を行うことなくアルコ−ルが5v
/v%以上、全窒素が1.0w/v%以上を有し、異味
異臭がなく香りが良好で、原料の窒素利用率が高く、諸
味液汁の全窒素成分に対するアミノ酸の比率の高い酒精
含有調味料を速醸することを目的とする。
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、麦が70〜1
00w/w%で、残余部分が大豆である原料を使用し
て、常法により醤油麹を調製し、次いで諸味中(即ち諸
味液汁)の食塩が0〜5w/v%となるように該醤油麹
1重量部に対し水または食塩水を1.0〜2.0重量部
混和して諸味を調製し、該諸味をpH3.5〜5.0、
品温45〜65℃で20〜100時間酵素分解して消化
諸味を調製し、次いで諸味1g当り1×105個以上と
なるように、該消化諸味に酵母を添加し、品温20〜3
5℃で5日以上発酵、熟成させるときは、上記課題の酒
精含有調味料を10日〜2週間で得ることを知った。ま
た、上記酒精含有調味料を得るに際し、麦が90〜10
0w/w%で、残余部分が大豆である原料を使用し、ま
た酵母として酒類醸造用酵母を使用し、さらにまた諸味
1g当り1×106個〜1×107個となるように、消化
諸味に酒類醸造用酵母を添加するときは、アルコ−ルが
8v/v%以上の酒精含有調味料を容易に得ることを知
り、この知見に基づいて本発明を完成した。
で、残余部分が大豆である原料を使用して、常法により
醤油麹を調製し、次いで諸味中の食塩が0〜5w/v%
となるように該醤油麹1重量部に対し水または食塩水を
1.0〜2.0重量部混和して諸味を調製し、該諸味を
pH3.5〜5.0、品温45〜65℃で20〜100
時間酵素分解して消化諸味を調製し、次いで諸味1g当
り1×105個以上となるように、該消化諸味に酵母を
添加し、品温20〜35℃で5日以上発酵、熟成させる
ことを特徴とする酒精含有調味料の製造法である。ま
た、本発明は麦が90〜100w/w%で、残余部分が
大豆である原料を使用して、常法により醤油麹を調製
し、次いで諸味中の食塩が0〜5w/v%となるように
該醤油麹1重量部に対し水または食塩水を1.0〜2.
0重量部混和して諸味を調製し、該諸味をpH3.5〜
5.0、品温45〜65℃で20〜100時間酵素分解
して消化諸味を調製し、次いで諸味1g当り1×106
〜1×107個となるように、該消化 諸味に酒類醸造用
酵母を添加し、品温20〜35℃で5日以上発酵、熟成
させ ることを特徴とする酒精含有調味料の製造法であ
る。
小麦、大麦などの麦が挙げられる。
豆、脱脂大豆、脱脂加工大豆などの大豆が挙げられる。
w/v%(特に90〜100w/v%が好ましい)で、
残余部分が大豆である配合割合の原料を使用する。そし
て、この際麦が90〜100w/v%で、残余部分が大
豆である配合割合の原料を使用するときは、目的とする
アルコ−ル濃度の諸味液汁が短期間に得られるので好ま
しい。
るときは諸味中に含糖操作を行うことなく、目的とする
アルコ−ル濃度の諸味液汁が容易に得られるので好まし
い。麦と大豆の配合割合において、麦が70w/v%未
満、すなわち、大豆が30w/v%より多くなると、エ
タノ−ルが5v/v%以上の諸味液汁が得にくくなる。
(即ち通常の醤油麹の製造法)により製麹し醤油麹を調
製する。上記配合割合において麦が100w/v%、大
豆が0である場合に得られる麹(麦麹)は、一般には醤
油麹とは言わないが、この麦麹も本発明では醤油麹とい
う。
に対し、1.0〜2.0重量部の水または食塩水を混和
(仕込)する。ここに用いられる水または食塩水を汲水
という。汲水が少ないと諸味濃度が高まり、酵母が増
殖、発酵できなくなるので好ましくない。また反対に汲
水が多いと目的とするアルコ−ルが5v/v%以上の諸
味液汁が得られないので好ましくない。
w/v%となるように、醤油麹1重量部に対し水または
食塩水を1.0〜2.0重量部混和して(仕込んで)諸
味を調製する。本発明において、食塩をこの範囲の濃度
に調整する操作も重要であって、食塩が5w/v%を越
えると、酵母のアルコ−ル発酵が著しく阻害され、また
諸味の消化も旺盛に行なわれなくなるので好ましくな
い。
常の醤油諸味の食塩濃度16〜18w/v%からする
と、非常に低い濃度であって、このように諸味を非常に
低い食塩濃度で消化した場合に、腐造しないかという問
題がある。しかしこの場合、腐造する危険性は非常に大
きく、遠からず腐造する運命にある。そこで、本発明で
は、諸味の食塩を0〜5w/v%に保持すると共に品温
を45〜65℃保持する、さらにpHを、3.5〜5.
0に調整する条件を組合せ、腐造を防止する。このう
ち、ひとつでも条件を満たさない場合は、腐造の危険性
が高まるので好ましくない。また、本発明は消化時間に
ついても100時間以内を限度としており、この範囲に
おいて腐造する危険性は殆どない。したがって、腐造に
よる異味異臭を発生することはない。
行うことが必要で、温度が低いと諸味が消化中に腐造す
る危険があるので好ましくない。反対に高いと、酵素分
解が阻害され、消化時間が長くなるので好ましくない。
00時間が好ましい。20時間未満では、蛋白質が容易
にアミノ酸とならず、旨味が中々出て来ない。また、酵
素分解の結果、消化液中にはペプチドおよびアミノ酸な
どの窒素成分(以下全窒素という)が溶出されるが、時
間が短いと、全窒素の分解、溶出は不十分で、しかも全
窒素に対するアミノ酸の比率が低いため、旨味の乏しい
ものとなるので好ましくない。反対に、100時間を越
えると、腐造する危険性がでて来るのと、諸味液汁に加
熱臭が付着し、また着色が進むため好ましくない。
0〜5w/v%でも腐造しにくくなり、50℃以上あれ
ば全く無塩でも腐造の危険性はなくなるのに反して、麹
菌酵素は非常によく働いて諸味成分を分解し、醤油の味
が速く出るので、短期間に速醸できる。しかし、研究室
内の仕事とは違って、実際諸味の消化を食塩濃度0〜5
w/v%で、しかも工場で行う場合には、多量の諸味を
均一に45℃以上に100時間保つという事は非常に困
難で、どうしても諸味の表面が幾分冷えて45℃以下と
なり、そこから腐敗して来て、遂には諸味全体に及ぶよ
うになり、失敗に帰する可能性が高まる。よって、10
0時間以内とすることが好ましい。
微生物及び空中より落下してきた微生物、特に酵母は4
0〜45℃では繁殖できず、45〜50℃の温度では死
滅する割合が増え、特に50℃以上の温度では殆ど死滅
してしまう。
この温度範囲は、麹菌酵素、特にプロテア−ゼおよびア
ミラ−ゼの最適温度であって、その他の酵素も非常によ
く働き、麹の蛋白質及び澱粉はよく溶解、分解されて、
当初かなり硬かった諸味が次第に軟らかくなり最終的に
かなりドロドロとして、ペプトン、ペプチド、アミノ
酸、糊精、直糖などが多量に速やかに生成し、濃稠な諸
味となる。
諸味に対し、酸を添加して、pHを3.5〜5.0、特
にpH3.5〜4.7に調整する。細菌類は一般にpH
に対して非常に敏感で、少し酸性が強くなると殆ど繁殖
活動出来なくなるから、無塩でも腐造しない、安心して
消化を行うことができる。即ち、諸味に、或いは仕込水
(汲水)に、乳酸、酢酸、コハク酸、クエン酸およびフ
マ−ル酸等の有機酸、塩酸及び硫酸等の無機酸を添加し
て、pH5以下、特にpH3.5〜pH4.7に調整す
ることが好ましい。pH5以下に調整すれば、細菌類に
繁殖は大いに阻止されるから、100時間くらいなら腐
造しない。反対に麹菌酵素はかなりよく働く。また、反
対にpH3.5未満となると、諸味中の酵素特にプロテ
ア−ゼが相当に阻害されるため、蛋白質の分解が遅くな
り、速醸できなくなるので好ましくない。なお、消化中
に、時々補酸して、絶えず初期のpHに保っておくこと
が好ましい。
噌状を呈していた諸味が、20〜100時間という非常
に短時間に、ペ−スト状にドロドロに溶解して、粘度も
低くなり、諸味液汁の全窒素成分に対するアミノ酸の比
率が高い旨味の非常に濃厚な消化諸味となる。また原料
の窒素利用率が非常に高い値を得ることができる。
℃)消化中の諸味の品温は45〜65℃と非常に高温で
あるた、麹中に居た微生物、空中より落下してきた微生
物は殆ど死滅してしまう。したがって、消化中、酵母に
よるアルコ−ル発酵、および細菌類による酸発酵も行わ
れず、したがって、複雑な風味を期待することができな
い。そこで、消化諸味を20〜35℃の品温に下げ、こ
の品温で所定期間保持する。この品温は、細菌類(生酸
菌)の増殖発酵にとって好都合の温度であるため、複雑
な風味を期待する場合は、必要により該諸味に乳酸菌、
酢酸菌などを添加し、酸発酵(乳酸発酵、酢酸発酵な
ど)を旺盛に行わせて味に複雑さを加え、押味と締まり
が付与された諸味液汁とする。また本発明においては、
無塩、あるいは減塩消化中に麹菌酵素をフルに働かせ
て、麹成分を溶解且つ分解するので、糖やアミノ酸が多
量に生成されるが、全部は溶解されずに一部の蛋白質及
び澱粉は残存する。そこで、消化諸味にある麹菌由来の
諸種の酵素、特にプロテア−ゼとアミラ−ゼをさらによ
く働かせて、消化中に分解溶出されなかった蛋白質及び
澱粉を分解して、アミノ酸及び糖を生成せしめる必要が
ある。一方また本発明においては、消化温度が45〜6
5℃と非常に高温であるた、麹中に居た微生物、空中よ
り落下してきた微生物は殆ど死滅してしまう。したがっ
て、消化中アルコ−ル発酵は行われず、消化諸味は香り
が悪い欠点を有する。そこで、酵母によりアルコ−ル発
酵を行わせる必要がある。そこで、諸味品温を20〜3
5℃に下げる。
に対し、酵母を添加し、好気的条件下で5日以上特に、
7〜10日間諸味管理を行う。
アルコ−ル濃度の高い酒精含有調味料を短期間に得るた
めに、また腐造防止のために重要であって、消化諸味1
g当り1×105個以上、好ましくは1×106〜1×1
07個となるよう に添加する。消化諸味1g当り1×1
05未満の濃度では諸味が途中で腐敗する危険性を有す
る。このように酵母を所定濃度以上添加することにより
諸味中に非常に短期間にアルコ−ルを産生、蓄積され、
目的とするアルコ−ル濃度の諸味液汁を得ることができ
る。
込と同時、仕込初期、消化中または消化後に添加する方
法が挙げられる。このうち、仕込と同時、仕込初期また
は消化中に添加する方法は、諸味品温が高温度(45〜
65℃)であるため、添加された酵母は繁殖できない、
また酒精発酵もできない。従って香気が良化することは
期待できないので好ましくない。したがって、消化後、
諸味品温を下げて20〜35℃になったら添加すること
が好ましい。この温度は、酵母の増殖発酵に好都合の温
度であって、この温度に保持することにより諸味をよく
発酵させて、香気を良化することができる。
酵母、酒類醸造用酵母、パン酵母など任意の酵母が使用
可能であるが、特に酒類醸造用酵母、特に、ウイスキ−
用酵母、清酒用酵母、焼酎用酵母、ワイン用酵母、ビ−
ル用酵母等のアルコ−ル産生能が高い酵母が好ましい。
酒類醸造用酵母は諸味中に非常に短期間にアルコ−ルを
産生、蓄積できる。
は、諸味を好気的条件下に保持する。すなわち、諸味
を、機械的にあるいは人手により、時々あるいは連続的
に、撹拌するか、通気するか、または撹拌と通気を併用
するかして、好気的条件下に、5日以上保持し、目的と
するアルコ−ルが5v/v%以上で、全窒素が1.0w
/v%以上で、異味異臭がない、アルコ−ル発酵終了諸
味(諸味液汁)を得ることができる。
説明する。
工大豆1w/w%の配合割合で醤油麹を調製した。即
ち、生小麦を常法により炒熬割砕し、これに脱脂加工大
豆に150重量%撒水し蒸煮した大豆を混和し、該混和
物に撒水して水分40重量%の盛込原料を得た。これに
常法により醤油用種麹菌を接種し、通風製麹装置で72
時間製麹し、醤油麹を得た。ついで、この醤油麹100
重量部を、温度50℃、乳酸添加によりpHを4.5に
調整した水150重量部に仕込み、均一に混和して諸味
を調製した(仕込み直後の諸味pH4.6)。この諸味
を回転軸にプロペラ翼を配置した竪型撹拌機により均一
に撹拌(100rpm)しつつ底部より通気(0.5v
vm)した。温度を50℃に保持しつつ40時間消化し
た。次いで、消化終了諸味の品温を30℃に下げ、これ
にウイスキ−酵母(Saccharomyces ce
revisiae IFO2112)を、1×10 6個
/g諸味となるように混和した。この諸味を、30℃で
さらに5日間発酵、熟成させ、圧搾濾過して、表1に記
載の成分分析値を有し、異味異臭がなく、香りが良好な
酒精含有調味料を得た。また本発明の原料の窒素利用率
は90.70%であった。また、色度はしょうゆの標準
色32番であった。
本発明の酒精含有調味料の製造において、「消化終了
後、諸味にウイスキ−酵母を混和」する代わりに、「仕
込みと同時に、諸味にウイスキ−酵母を混和」する以外
は、全く同様にして表1に示すごとき成分分析値を有す
る比較例1の酒精含有調味料を得た。原料の窒素利用率
は89.37%であった。
本発明の酒精含有調味料の製造において、「消化を、品
温50℃、諸味pH4.5で40時間行い、また消化終
了後、諸味にウイスキ−酵母を混和」する代わりに、
「消化を、品温30℃、諸味pH3.8で、7日間行
い、また仕込みと同時に、諸味にウイスキ−酵母を混
和」する以外は、全く同様に操作して、表1に示すごと
き成分分析値を有する比較例2の諸味液汁(酒精含有調
味料)を得た。原料の窒素利用率は86.01%であっ
た。
る、NaCl、FN、TN、Glu、RS、Alc.
は、それぞれ食塩、ホルモ−ル窒素、全窒素、グルタミ
ン酸、還元糖、アルコ−ルを表わし、分析法は、日本醤
油研究所編集「しょうゆ試験法」(昭和60年3月1日
発行)に記載されている方法により行った。また窒素利
用率は、醤油原料の大豆及び小麦に含まれる蛋白質等の
全窒素量に対する諸味液汁中に溶解している全窒素量の
割合(%)をいう。また、諸味粘度は、25℃に品温調
整した諸味を、容量500mlのビ−カ−に満たし、こ
れをB型粘度計を用いて、10rpm、30秒間の条件
で測定した。ロ−タ−は、No.3のものを使用した。
よるアルコ−ル発酵を同時に行う場合において、消化温
度が高い場合は酵母の生育が阻害され、アルコ−ル発酵
が十分に行われず、従って酒精含有調味料のアルコ−ル
が0.1v/v%と低く本願発明の目的が達成されない
ことが判る。また比較例2の結果から、消化と酵母によ
るアルコ−ル発酵を同時に行う場合において、消化温度
が30℃と、酵母の生育適温に保持する場合は、酵母の
増殖とアルコ−ル発酵が旺盛に行われ、従ってアルコ−
ルの産生、蓄積が良好に行われ、酒精含有調味料のアル
コ−ル濃度が5.3v/v%と高くなることが判る。し
かし、消化に7日もかかり、それでも原料の窒素利用率
が86%と低く、改善の余地があることが判る。また、
諸味の粘度が非常に高く、圧搾濾過性が悪いことが判
る。また、全窒素成分に対するアミノ酸の比率(FN/
TN)が約30%と低く、味に”ノビ”がない、調味料
であることが判る。一方、表1の本発明の結果から、本
発明によれば上記比較例1及び同2のごとき不都合はな
く、アルコ−ルが8.2v/v%、総窒素が1.26w
/v%含有し、熟成諸味の粘度が950cpsと非常に
低く、諸味の圧搾濾過性が良好で、原料の窒素利用率が
約90%、また全窒素成分に対するアミノ酸の比率(F
N/TN)が約50%とそれぞれ高く、味に”ノビ”が
あり、旨味に富む調味料が得られることが判る。また本
発明によれば、上記特徴の酒精含有調味料を、製麹期間
3日、諸味消化期間2日、酵母発酵期間5日、合計10
日間という短期間で得られることが判る。
製造において、「温度を50℃に保持しつつ40時間消
化した。」とあるを、「温度を60℃に保持しつつ30
時間消化した。」と変更する以外は、全く同様に処理
し、表1の本発明区分とほぼ同様な成分分析値を有し、
異味異臭がなく、香りが良好な酒精含有調味料を得た。
また実施例2の酒精含有調味料の原料の窒素利用率は、
92.65%であった。
により炒熬割砕し、これに脱脂加工大豆30w/w%を
常法により150重量%撒水し蒸煮した大豆を混和し、
該混和物に撒水して水分40w/w%の盛込原料を得
た。これに常法により醤油用種麹菌を接種し、通風製麹
装置で72時間製麹し、醤油麹を得た。ついで、この醤
油麹100重量部を、温度50℃、乳酸添加によりpH
を4.5に調整した水150重量部に仕込み、均一に混
和して諸味を調製した(仕込み直後の諸味pH4.
6)。この諸味を回転軸にプロペラ翼を配置した竪型撹
拌機により均一に撹拌(100rpm)しつつ底部より
通気(0.5vvm)した。温度を50℃に保持しつつ
40時間消化した。次いで、消化終了諸味の品温を30
に下げ、これに醤油酵母(Saccharomyces
rouxii)を、1×105個/g諸味となるよう
に混和した。この諸味を、30℃でさらに5日間発酵、
熟成させ、圧搾濾過して、表2に記載の成分分析値を有
し、異味異臭がなく、香りが良好な酒精含有調味料を得
た。原料の窒素利用率は90.20%であった。また、
色度はしょうゆの標準色30番であった。
−ルが5.8v/v%、全窒素が1.43w/v%を有
し、原料の窒素利用率が約90%、諸味液汁の全窒素成
分に対するアミノ酸の比率が約50%の酒精含有調味料
を10日と非常に短期間に得ることが判る。また、色沢
は非常に淡色であることが判る。
なくアルコ−ルが5v/v%以上、全窒素が1.0w/
v%以上を有し、異味異臭がなく香りが良好な酒精含有
調味料を得る諸味中に含糖操作を行うことなくアルコ−
ルが5v/v%以上、全窒素が1.0w/v%以上を有
し、異味異臭がなく香りが良好で、原料の窒素利用率が
85%以上の値を示し、諸味液汁の全窒素成分に対する
アミノ酸の比率が50%以上で、しかも色沢が非常に淡
色である特徴を備えた酒精含有調味料を10日〜2週間
と非常に短期間で得ることができる。また、本発明の酒
精含有調味料は、上記特徴を備えているため、たれ、つ
ゆ、ス−プ、佃煮などに使用する調味料として好適に用
いることができる。また、本発明の酒精含有調味料は、
アルコ−ルを5v/v%以上含有しているため、濃口醤
油、淡口醤油、白醤油、溜醤油、減塩醤油などに適量混
和して、当該醤油の風味改良と保存性向上を期待するこ
とができる。
Claims (5)
- 【請求項1】麦が70〜100w/w%で、残余部分が
大豆である原料を使用して、常法により醤油麹を調製
し、次いで諸味中の食塩が0〜5w/v%となるように
該醤油麹1重量部に対し水または食塩水を1.0〜2.
0重量部混和して諸味を調製し、該諸味をpH3.5〜
5.0、品温45〜65℃で20〜100時間酵素分解
して消化諸味を調製し、次いで諸味1g当り1×105
個以上となるように、該消化諸味に酵母を添加し、品温
20〜35℃で5日以上発酵、熟成させることを特徴と
する酒精含有調味料の製造法。 - 【請求項2】麦が90〜100w/w%で、残余部分が
大豆である原料を使用する請求項1に記載の酒精含有調
味料の製造法。 - 【請求項3】酵母として酒類醸造用酵母を使用する請求
項1に記載の酒精含有調味料の製造法。 - 【請求項4】諸味1g当り1×106個〜1×107個と
なるように、消化諸味に酵母を添加する請求項1に記載
の酒精含有調味料の製造法。 - 【請求項5】麦が90〜100w/w%で、残余部分が
大豆である原料を使用して、常法により醤油麹を調製
し、次いで諸味中の食塩が0〜5w/v%となるように
該醤油麹1重量部に対し水または食塩水を1.0〜2.
0重量部混和して諸味を調製し、該諸味をpH3.5〜
5.0、品温45〜65℃で20〜100時間酵素分解
して消化諸味を調製し、次いで諸味1g当り1×106
〜1×107個となるように、該消化諸味に酒類醸造用
酵母を添加し、品温20〜35℃で5日以上発酵、熟成
させることを特徴とする酒精含有調味料の製造法。
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