JP2002156079A - 管継手構造 - Google Patents

管継手構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 埋め戻しすることなく水圧試験を可能にし、
かつ、屈曲継手部に伸縮・耐震機能を付与する。 【解決手段】 受口1aと挿し口3a間にリング30を
嵌め、そのリング30の一端フランジ33を受口突条1
cに係止する。挿し口3a外周面にはフランジ35を溶
接し、このフランジ35とリングフランジ34間に発泡
ポリスチレン製部材36を介在する。図(a)の通常時
は、部材36が所定以下の抜き出し力に抗して、水圧試
験時の抜き出しが阻止され、埋め戻して試験を行う必要
はない。地震時には、伸びに対しては、図(b)のごと
く、部材36が潰れて、両フランジ34、35が当接す
るとともに、ロックリング2aに突起4が係止して抜け
止めがなされる。一方、縮みに対しては、同図(c)の
ごとく、挿し口3aの先端が受口内面段部1bに向かい
入り込んで吸収する。このようにして、耐震機能を発揮
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、常時は、抜け出
し方向において、受口への挿し口の挿入位置を所定に維
持し、さらに、地震等の大きな抜け出し力に対してもそ
の力に抗するようにした管継手構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】管路は、一の管の受口に他の管の挿し口
を挿入した管継手を管路方向に順々に構成して施設さ
れ、一般に、その管継手の伸縮と屈曲(受口に対する挿
し口の抜き差しと屈曲)によってある程度の地震や地盤
沈下などに順応する柔構造とされている。この柔構造管
路において、さらなる柔構造をなすものとして、さらに
大きな伸縮余裕代と離脱防止機能(抜け止め機能)を管
継手に付与した鎖構造が採用される。この鎖構造の管路
は、大きな地盤変動に対して、ちょうど地中に埋没され
た鎖のように継手が伸縮・屈曲しながら追従し、さらに
限界まで伸び出した後は、離脱防止構造によって管路を
維持する。
【0003】その離脱防止及び伸縮機能を有する継手と
して、例えば、図10に示すNS形継手、図11に示す
SII形継手及びS継手等がある。そのNS形継手は、同
図に示すように、一の管1の受口1aの内面に一ツ割開
き勝手のロックリング2を心出しゴム2aを介して設
け、他の管3の挿し口3aの外面には突起4を設けて、
挿し口3aを、その突起4を心出しゴム2aを収縮させ
ながらロックリング2を拡径させてロックリング2を乗
り越えさせて受口1に挿し込んだ構成である。この構成
においては、挿し口3aが受口1aにさらに入り込むこ
とにより、両管1、3間の収縮が吸収され、突起4がロ
ックリング2に係止することにより、両管1、3の伸
長、すなわち抜け出しを阻止する。図中、5はシール用
ゴム輪であり、一定以上の止水面圧を確保し、水圧が上
昇すれば、その水圧によってより強固に受口内面及び挿
し口外面に圧接して、面圧が上昇するセルフシール機能
を発揮する。
【0004】SII形継手は、図11に示すように、他の
管13の挿し口13aの外面に突起14を設けて、一の
管11の受口11aに挿し込み、その受口11a内面に
一ツ割開き勝手のロックリング12を設けた後、シール
用ゴム輪15を受口11aと挿し口13aの間に介在
し、そのゴム輪15を押し輪16でもって押し込み、そ
の押し込みは、押し輪16と受口11aのフランジ間に
挿通したT字ボルト・ナット17の締め付けによって行
う構成である。この構成においても、挿し口13aが受
口11にさらに入り込むことにより、両管11、13間
の収縮が吸収され、突起14がロックリング12に係止
することにより、両管11、13の抜け出しが阻止され
る。図中、18はバックアップリングである。
【0005】これらのNS形継手、SII形継手も含め
て、受口に対し挿し口が抜き挿し(伸縮)する継手は、
その伸縮性により、小さな地盤変動に対応して管路を確
保する。特に、NS形継手、SII形継手は、地震発生時
や不同沈下時などの地盤変動に対して、その伸縮機構、
屈曲機構により、管や継手部に大きな応力が生じること
無く、管路が地盤変動に順応するとともに、抜け出しを
防止する。
【0006】また、両管の伸縮機能を有するのみで、抜
け出し防止機能を有しない管継手において、管外面にそ
の抜け出し防止機能を付加した技術として、特開平10
−122466号公報に記載のものがある。この技術
は、受口と挿し口に亘る筒状部材を管継手外周に嵌め、
その筒状部材の両端の突片を受口と挿し口に係止させ
て、両者の抜けを防止する。
【0007】さらに、特開2000−17987号公報
には、受口と挿し口間に発泡樹脂を介在し、この発泡樹
脂によって、挿し口の所定の押し込み力(挿入力)以下
の場合、受口と挿し口の挿入位置を一定に維持し、その
圧以上の押し込み力に対しては、発泡樹脂が潰れて(収
縮して)、挿し口と受口の伸縮を許容する技術が開示さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のような伸縮機能
を有する管継手構造において、管路施工時の継手部の漏
水の確認を行う水圧試験は、施設管路の埋め戻しを行っ
てその土圧(受動土圧)で管路の移動を阻止した状態で
行っている。仮に、埋め戻しを行わずに水圧を負荷する
と、その水圧により、挿し口が抜け出し方向に移動して
管路が蛇行し、最悪の場合には、受口から挿し口が抜け
てしまうからである。
【0009】しかし、水圧試験時に、継手部に漏水が生
じて水圧が低下した場合、土中であるため、その漏水個
所の発見が容易でないうえに、埋め戻した土を取り除い
て漏水を確認して改修する必要があり、施工工程に深刻
な影響を与えている。
【0010】また、図14に示すように、管路のわん曲
部(同図(a))や分岐部(同(b))においては、各
種の異形管20が採用されるが、これらの管路部分に
は、同図P矢印のごとく、水圧により不平均力が働き、
管継手をなす受口と挿し口に対し、その抜け出し方向又
は屈曲方向の力が加わる。このとき、受口に対し挿し口
を不動にする(剛構造の)管継手を採用して、上記不平
均力Pに抗するようにする。
【0011】例えば、図12に示すように、直管受口1
aに異形管20の挿し口23を挿入した管継手にあって
は、受口1a内面に、心出し用ゴム6を介してライナ7
を設け、このライナ7により挿し口23aの差し込みを
阻止するとともに、ロックリング2に対する突起24の
移動幅を少なくして剛構造管継手としている。図中、8
は屈曲防止突部である。また、図13に示すように、異
形管受口21aに直管挿し口3aを挿入した管継手にあ
っては、同じく、ロックリング2に対する突起4の移動
幅を少なくし、屈曲防止リング9をセットボルト9aに
より挿し口3a外面に圧接して剛構造管継手としてい
る。
【0012】しかし、これらの剛構造管継手が管路のご
く一部であれば、支障はないが、輻輳する管路では、曲
がり配管等が連続するため、隣り合う異形管の剛構造部
分が連続してしまい、管路全体が剛構造となって上述の
鎖構造が非常に難しくなっている。剛構造の管路は耐震
性が低く、地震によって破損し易く、破損すれば、ライ
フラインの欠損となって問題となる。
【0013】この発明は、伸縮可能な管継手構造であっ
ても、埋め戻しすることなく水圧試験を行うことがで
き、また、異形管であっても、伸縮機能をもった管継手
を施工できるようにすることを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、上述の特開2000−17987号公
報に記載の所定の押し込み力に抗する技術に着目し、受
口と挿し口の間に挿し口の抜け出し方向の移動を阻止す
る部材を設け、この部材は所定以下の抜け出し力では収
縮せず、その所定以上の抜け出し力では収縮するように
したのである。
【0015】この発明において、上記所定抜け出し力を
水圧試験による水圧によって生じる力より高く設定して
おけば、埋め戻しをすることなく水圧試験を行っても、
受口に対する挿し口の移動が生じることがない。この埋
め戻しを行わないことは、管路が露出していることであ
り、漏洩個所の発見も容易であり、その改修も容易であ
る。
【0016】また、異形管の継手部においても、上記所
定抜け出し力を不平均力より高く設定しておけば、その
不平均力による管路変形を阻止できる。
【0017】そして、いずれの場合にも、地震等によ
り、上記所定抜け出し力以上の抜け出し力が働けば、阻
止部材が圧縮されて継手部の縮み方向の伸縮量を確保す
る。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態としては、上
記特開平10−122466号公報記載技術を参考にし
て、一の管の受口に他の管の挿し口を伸縮可能に挿入し
た管継手構造において、前記両管の一方外面にその一方
の管と一体に動くように部材を設け、この部材は他の管
の外面に至ってその外面に向かう突片を有し、この突片
より前記一方の管側の他方の管外面に突片を設け、その
両突片間に、挿し口の抜け出し方向の移動を阻止する部
材を設け、この部材は、所定以下の抜け出し力では収縮
せず、その所定以上の抜け出し力では収縮する構成を採
用する。
【0019】この構成においては、両突片間の介在部材
の破損等による最大収縮によって両突片が係止し、この
係止によって挿し口の抜け止め作用が行われる。
【0020】この構成において、上記他方の管外面の突
片は挿し口側に設けることが好ましい。一般に受口の開
口外周縁はフランジ状の突部となっており、その突部に
一方の管と一体に動く部材を一体に動くようにし得るか
らである(図1の実施例参照)。
【0021】また、これらの構成は、上記受口内面にロ
ックリングを設けるとともに、上記挿し口外面に突起を
設けて、そのロックリングと突起の係止により上記両管
の抜け止めを行う、いわゆる耐震継手に採用し得る。
【0022】この構成では上述の両突片の当接とロック
リングと突起の係止の両者によって、挿し口の抜け止め
作用が行われ、その当接と係止はどちらが早く生じるよ
うにしてもよい。その設定は、通常時の両突片間、及び
ロックリングと突起の間の距離調整によって行う。な
お、ロックリングと突起の係止を、両突片間の介在部材
の最大収縮時に行われるようにすれば、両突片の当接と
ロックリングと突起の係止による挿し口抜け止め作用が
同時に行われることとなり、別々に行う場合に比べれ
ば、その効果は高いものとなる。
【0023】上記両突片間に介在する部材としては、上
述の作用をし得るものならいずれでもよく、例えば、ば
ね、金属又は樹脂などの、例えばハニカム状の多孔部材
を採用でき、樹脂部材では発泡樹脂、例えば、発泡ポリ
スチレン、発泡ポリプロピレン等を採用でき、さらに、
金属又は樹脂製の中空体、自己破砕コンクリートなども
採用できる。
【0024】上記各実施形態は、直管同士のみならず、
直管と異形管、異形管同士の各種の管継手構造に採用で
き、このため、異形管路においても、鎖構造のものとし
得る。
【0025】
【実施例】一実施例を図1乃至図3に示し、この実施例
は、図10に示したダクタイル鋳鉄製NS形管継手構造
において、挿し口3aと受口1aに亘ってリング30が
被せられている。このリング30は、図1(b)に示す
ように、二ツ割りとなっており、その分割部分のフラン
ジ31をボルト・ナット32で締結することにより一体
化する。リング30の両側端縁はそれぞれフランジ3
3、34を有し、一方のフランジ33は受口1aの開口
縁の突条(フランジ)1cに係止する。リング30の素
材は、その作用に合ったものであれば、いずれでも良
く、例えば金属、エンジニアプラスチックなどを採用す
る。
【0026】一方、リング30の他方のフランジ34よ
り内側の挿し口3a外周面にはフランジ35が溶接によ
り固着され、このフランジ35とリング30のフランジ
34との間に、発泡ポリスチレンからなる環状部材36
がテープ巻き付け、接着などによって介設されている。
この環状部材36は、2分割、3分割などと周方向で分
割されており、リング30の取付前にセットされる。ま
た、環状部材36は、水圧試験の水圧、又は不平均力に
よっては弾性変形内に収まって管1と3の伸縮を招かず
に、破損しない程度の強さを有する。
【0027】なお、フランジ34、35が請求の範囲で
いう突片に相当し、このため、フランジ34、35は全
周に連続するものでなくとも、間欠的な突片の連続した
もの、又は突片一つでもよく、要は、部材36を保持す
ればよい。
【0028】この実施例は以上の構成であり、図2
(a)から(b)に示すように、従来と同様にして、受
口1aに挿し口3aを挿し込んで環状部材36を嵌め、
その後、リング30を取付ける(同図(c))。
【0029】そして、通常時には、図3(a)に示すよ
うに、図10で示した状態と同じように、挿し口3aの
先端(突起4)がロックリング2と受口内面段部1bの
間のほぼ中程に位置し、それらの間隙内の挿し口3aの
移動を許容して小さな地盤変形等に対応する。また、配
管施工時の水圧試験においては、環状部材36がその水
圧に抗して管の抜け出しを阻止する。
【0030】この状態において、地震等による大きな地
盤変動があると、伸びに対しては、図3(b)のごと
く、環状部材36が潰れて(塑性変形して)、両フラン
ジ34、35が当接するとともに、ロックリング2に突
起4が係止して抜け止めがなされる。一方、縮みに対し
ては、同図(c)のごとく、挿し口3aが受口内面段部
1bに向かい入り込んで吸収する。このようにして、耐
震機能を発揮する。
【0031】図4乃至図9には他の各実施例を示し、図
4の実施例はリング30のフランジ33に代えて、セッ
トボルト37を周方向に等間隔に設け、このセットボル
ト37と受口1aの突条1cを係止するようにして、リ
ング30を抜け出し方向に受口1aと一体に移動するよ
うにしたものである。図5の実施例は、挿し口3a側フ
ランジ35を、割リング38で形成したものであり、そ
の分割数は任意であって、その分割部はボルト・ナット
締結する。割リング38は挿し口3aの溝39に嵌めて
移動止めする。図6に示す実施例は図11のSII形の管
継手構造にこの発明を採用したものであり、図4のセッ
トボルト37、図5の割リング38の態様を採用し得
る。
【0032】図7乃至図9に示す実施例は、環状部材3
6を受口1a側に設けたものであり、このとき、受口1
a側の部材36の支持部材として、適宜なフランジ40
を溶接等によって設けることができる。リング30は、
図9のごとく、挿し口3a側に溶接してもよい。
【0033】上記各実施例は、従来における直管同士の
管継手構造の場合であるが、図12、13等で示した異
形管の管継手構造においても、上記各実施例と同様にし
て、伸縮機能及び耐震機能を有するものとし得る。ま
た、この発明は、ロックリング2と突起4の係止による
抜け止め機能を有しない管継手にも採用し得る。
【0034】
【発明の効果】この発明は、以上のように抜き止め部材
により抜き出し力に対し所定の力までは抗するようにし
たので、埋め戻しをすることなく、水圧試験を行うこと
ができ、また、異形管に伸縮機能を持たせ得るので、異
形管による鎖管路の構築が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は一実施例の上部切断部分正面図、
(b)は同リングの左側面図
【図2】同実施例の組立て作用図
【図3】同実施例の機能作用図
【図4】他の実施例の要部切断端面図
【図5】(a)は他の実施例の要部切断端面図、(b)
は同フランジの右側面図、(c)は同切断図
【図6】他の実施例の要部切断端面図
【図7】他の実施例の要部切断端面図
【図8】他の実施例の要部切断端面図
【図9】他の実施例の要部切断端面図
【図10】従来例の要部切断端面図
【図11】従来例の要部切断端面図
【図12】従来例の要部切断端面図
【図13】従来例の要部切断端面図
【図14】配管説明図
【符号の説明】 1、11、3、13 管 1a、11a、21a 受口 2、12 ロックリング 3a、13a、23a 挿し口 4、14 抜け止め突起 5 シール用ゴム輪 20 異形管 30 リング 34、35 フランジ(突片) 36 環状部材(移動阻止部材、介在部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 義徳 大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会 社栗本鐵工所内 (72)発明者 冨田 直岐 大阪市西区北堀江1丁目12番19号 株式会 社栗本鐵工所内 Fターム(参考) 3H015 CA01 CA13 CA14 FA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一の管1、11、20の受口1a、11
    a、21aに他の管3、13、23の挿し口3a、13
    a、23aを伸縮可能に挿入した管継手構造において、 上記受口と挿し口の間に、挿し口の抜け出し方向の移動
    を阻止する部材36を設け、この部材36は、所定以下
    の抜け出し力では収縮せず、その所定以上の抜け出し力
    では収縮することを特徴とする管継手構造。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記両管の一方外面
    にその一方の管と一体に動くように部材30を設け、こ
    の部材30は他の管の外面に至ってその外面に向かう突
    片34を有し、この突片34より前記一方の管側の他方
    の管外面に突片35を設け、その両突片34、35間に
    上記移動を阻止する部材36を介在したことを特徴とす
    る管継手構造。
  3. 【請求項3】 上記他方の管外面の突片35を挿し口側
    に設けたことを特徴とする請求項2に記載の管継手構
    造。
  4. 【請求項4】 上記両突片34、35間の介在部材36
    を発泡樹脂としたことを特徴とする請求項2又は3に記
    載の管継手構造。
  5. 【請求項5】 上記受口内面にロックリング2を設ける
    とともに、上記挿し口外面に突起4を設けて、そのロッ
    クリング2と突起4の係止により上記両管の抜け止めを
    行ない、かつ、そのロックリング2と突起4の係止は、
    上記両突片34、35間の介在部材36の最大収縮時に
    行われることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに
    記載の管継手構造。
  6. 【請求項6】 上記両管の少なくとも一方が異形管20
    であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記
    載の管継手構造。
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