JP2002155152A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JP2002155152A
JP2002155152A JP2000353837A JP2000353837A JP2002155152A JP 2002155152 A JP2002155152 A JP 2002155152A JP 2000353837 A JP2000353837 A JP 2000353837A JP 2000353837 A JP2000353837 A JP 2000353837A JP 2002155152 A JP2002155152 A JP 2002155152A
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polyester
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Shoji Nakajima
彰二 中島
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
Hiroshi Kubota
啓 窪田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性に優れ、巻き姿、生産性が良好で
ある二軸配向ポリエステルを提供する。 【解決手段】 主成分がポリエステル及びポリイミドで
あり、かつ、スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基を有
する帯電防止剤を含有する樹脂組成物からなる二軸配向
ポリエステルフィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二軸配向ポリエステ
ルフィルムの改良に関するものである。更に詳しくは、
帯電防止性に優れ、巻き姿、生産性が良好であり、磁気
記録用フィルム、感熱孔版印刷原紙用、写真製版用、感
熱転写リボン用、電気絶縁用、包装用等の各種工業材料
用フィルムとして適した二軸配向ポリエステルフィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフィルムは、他の素材から
は得られないような大面積のフィルムの連続生産が可能
であり種々の用途に幅広く用いられている。特に磁気記
録用、包装用、熱転写リボン用として、その有用性は周
知である。近年、これらの用途においては薄膜化が要求
されてきている。一方、ポリエステルフィルムは一般に
静電気の発生が激しく、フィルムが帯電することによっ
て、手にまとわり付き作業性の低下や、あるいは塵や埃
を吸着して外観を損ねるばかりでなく、人体に不快な電
撃を与えるおそれがある。
【0003】従来、このような問題を解決するために、
フィルムの表面に帯電防止機能のある塗剤を塗布したフ
ィルム(例えば特開平7−81015号公報、特開平1
0−119218号公報)、または、ポリマー中に帯電
防止剤を混入したポリエステルフィルム(例えば特開平
2−151650号公報)が知られている。しかしなが
らフィルムの表面に帯電防止層を塗布する方法は、塗布
工程速度が遅いためにコスト高になり、また、塗布層が
剥れやすく帯電防止効果が失われたり、また良好な帯電
防止性を付与するために添加量を多くすると塗膜の亀裂
が発生しフィルム破れが多発するという問題がある。一
方、ポリマー中に帯電防止剤を混入する方法は溶融押出
し時に分解が生じたり、分解しないまでも延伸時にフィ
ルム破れが多発するという問題、また帯電防止剤がポリ
マー中に微分散されていなかったり、帯電防止剤の凝集
のためにフィルム表面に陥没形態が見られるという表面
性の悪化、また、帯電防止剤のブリードアウトによる帯
電防止効果の消失の問題がある。フィルムの帯電防止性
が不十分であると、ロール状に巻き取った時に帯電によ
りフィルム同士が互いに吸着して、巻き皺、押し跡状の
欠点が発生して巻き姿不良となり製品歩留が低下する。
【0004】また、ポリエステルとポリイミドからなる
組成物からなるフィルムとしては、例えばエチレンテレ
フタレート単位を主成分とするポリエステルとポリエー
テルイミドからなる二軸配向フィルム(特開2000−
141475号公報)が知られているが、静電気の発生
が非常に多く、生産性、巻き姿性において不十分であっ
た。近年、ますますフィルムの薄膜化、フィルム表面の
平坦化、製膜や加工速度の高速化にともなって、これら
のフィルム帯電による問題の解決が重要視されてきてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記問
題を解決し、巻き姿に優れ、生産性も大幅に向上した各
種用途へ展開可能な二軸配向ポリエステルフィルムを提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の二軸配
向ポリエステルフィルムは、主成分がポリエステル及び
ポリイミドであり、かつ、スルホン酸基あるいはスルホ
ン酸塩基を有する帯電防止剤を含有する樹脂組成物から
なることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルは、特
に限定されないが、エチレンテレフタレート、エチレン
α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4
´−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフタレー
ト単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構
成成分とする場合が好ましく、特に、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレートまたは
これらの共重合体および変性体が好ましい。なお、本発
明の効果を阻害しない範囲内で2種以上のポリエステル
を混合しても良いし、共重合のポリマーを用いても良
い。
【0008】本発明のポリイミドは、溶融成形性であれ
ば特に限定されないが、例えば、下記一般式で示される
ような構造単位を含有するものが好ましい。
【0009】
【化1】 (ただし、式中のR1は、
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】 などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭
化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表し
て、
【0012】また、式中のR2 は、
【化4】 などの脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭
化水素基から選ばれた一種もしくは二種以上の基を表
す。かかる好ましいポリイミドとしては、テトラカルボ
ン酸および/またはその酸無水物と、脂肪族一級モノア
ミン、芳香族一級モノアミン、脂肪族一級ジアミンおよ
び芳香族一級ジアミンよりなる群から選ばれる一種もし
くは二種以上の化合物とを脱水重縮合することにより得
られる重合体を挙げることができる。
【0013】テトラカルボン酸および/またはその酸無
水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸、
1,2,3,4―ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタ
ンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、1,2,3,4―
ベンゼンテトラカルボン酸、3,3',4,4'―ビフェニ
ルテトラカルボン酸、2,2',3,3'―ビフェニルテト
ラカルボン酸、3,3',4,4'―ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸、2,2',3,3'―ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸、ビス(2,3―ジカルボキシフェニル)メタ
ン、ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)メタン、1,
1'―ビス(2,3―ジカルボキシフェニル)エタン、
2,2'―ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)プロパ
ン、2,2'―ビス(2,3―ジカルボキシフェニル)プ
ロパン、ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)エーテ
ル、ビス(2,3―ジカルボキシフェニル)エーテル、
ビス(3,4―ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス
(2,3―ジカルボキシフェニル)スルホン、2,3,6,
7―ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8―ナフ
タレンテトラカルボン酸、1,2,5,6―ナフタレンテ
トラカルボン酸、2,3,6,7―アントラセンテトラカ
ルボン酸、1,2,7,8―フェナントレンテトラカルボ
ン酸、3,4,9,10―ペリレンテトラカルボン酸、4,
4'―(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、4,4'
―(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸、2,2'―ビ
ス[(2,3―ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロ
パン等、および/またはそれらの酸無水物等が用いられ
る。
【0014】脂肪族一級モノアミンとしては、例えば、
炭素数2〜22の飽和または不飽和の直鎖、分岐または
脂環系のモノアミンが用いられ、具体的には、エチルア
ミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミ
ン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、
デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、ト
リデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルア
ミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オク
タデシルアミン、ノナデシルアミン、エイコシルアミ
ン、ヘネイコシルアミン、ドコシルアミン、シクロヘキ
シルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシ
クロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミンお
よびこれらの構造異性体などが用いられる。
【0015】芳香族一級モノアミンとしては、例えば、
非置換あるいは炭素数1〜22のアルキル置換の一級ア
ニリンが用いられ、具体的には、アニリン、トルイジ
ン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ブチルアニリ
ン、ペンチルアニリン、ヘキシルアニリン、ヘプチルア
ニリン、オクチルアニリン、ノニルアニリン、デシルア
ニリン、ウンデシルアニリン、ドデシルアニリン、トリ
デシルアニリン、テトラデシルアニリン、ペンタデシル
アニリン、ヘキサデシルアニリン、ヘプタデシルアニリ
ン、オクタデシルアニリン、ノナデシルアニリン、エイ
コシルアニリン、ヘネイコシルアニリン、ドコシルアニ
リン、およびこれらの構造異性体等が用いられる。
【0016】脂肪族一級ジアミンとしては、例えば、炭
素数1〜12のメチレン基で結合された一級ジアミンや
脂環基を有するジアミンが用いられ、具体的には、エチ
レンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレン
ジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジア
ミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、
ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、
1, 3―ビスアミノシクロヘキサン、ジアミノジシク
ロヘキシルメタン、m−キシレンジアミン、およびこれ
らの構造異性体などが用いられる。
【0017】芳香族一級ジアミンとしては、例えば、ベ
ンジジン、ジメチルベンジジン、ジアミノジフェニルメ
タン、ジアミノジトリルメタン、ジアミノジフェニルエ
タン、ジアミノジフェニルプロパン、ジアミノジフェニ
ルブタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフ
ェニルスルホン、ジアミノジフェニルベンゾフェノン、
o, m, p―フェニレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシレンジアミン等およびこれらの例示した芳香族
一級ジアミンの炭化水素基を構造単位に有する芳香族一
級ジアミン等が用いられる。
【0018】本発明で用いるポリイミドは、ポリエステ
ルと相溶し得るポリイミドであれば特に限定されない
が、ポリエステルとの溶融成形性や取り扱い性などの点
から、例えば、下記一般式で示されるように、ポリイミ
ド構成成分にエーテル結合を含有するポリエーテルイミ
ドが好ましい。
【0019】
【化5】 (ただし、上記式中R1 は、6〜30個の炭素原子を有
する2価の芳香族または脂肪族残基;R2 は6〜30個
の炭素原子を有する2価の芳香族残基、2〜20個の炭
素原子を有するアルキレン基、2〜20個の炭素原子を
有するシクロアルキレン基、及び2〜8個の炭素原子を
有するアルキレン基で連鎖停止されたポリジオルガノシ
ロキサン基からなる群より選択された2価の有機基であ
る。) 上記R1 、R2 としては、例えば、下記式群に示される
芳香族残基を挙げることができる。
【化6】
【0020】本発明では、ポリエステルとの相溶性、コ
スト、溶融成形性等の観点から、下記式で示される構造
単位を有する、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボ
キシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フ
ェニレンジアミン、またはp−フェニレンジアミンとの
縮合物が好ましい。このポリエーテルイミド(以下PE
Iという)は、“ウルテム”(登録商標)の商標名で、
ジーイープラスチックス社より入手可能である。
【0021】
【化7】 または
【化8】
【0022】ここでいう相溶とは、ブレンドして得られ
たチップのガラス転移温度(Tg)が単一であることに
より判断できる。また、得られたチップのTgとは、ポ
リエステルのペレットのTgとポリイミドのペレットの
Tgの間に存在するものを指し、さらに、熱流束のギャ
ップが、ポリエステルの熱流束のギャップの1/10以
下のものは含まない。
【0023】本発明において、ポリイミドをポリエステ
ルに添加する時期は、特に限定されないが、ポリエステ
ルの重合前、例えば、エステル化反応前に添加してもよ
いし、重合後に溶融押出前に添加してもよい。また、溶
融押出前に、ポリエステルとポリイミドをペレタイズし
てもよい。
【0024】本発明のポリイミドの含有量は、特に限定
されないが5〜50重量%、好ましくは7〜45重量
%、より好ましくは10〜40重量%であることが、フ
ィルム生産性や、巻き姿性などの観点から好ましい。ポ
リエステルとポリイミドの溶融粘度は大きく異なるた
め、ポリイミドの含有量が5重量%未満であれば、押出
機にて十分な混練を得て互いに相溶することが困難なこ
とがある。また、ポリイミドの含有量が50重量%を超
える量であると、押出、延伸が困難になり生産性が悪化
することがある。
【0025】本発明で用いるスルホン酸基あるいはスル
ホン酸塩基を有する帯電防止剤としては、特に限定され
ないが、例えば、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ド
デシルスルホン酸カリウムといったアルキルスルホン酸
のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩や、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼン
スルホン酸リチウムといったようなアルキルベンゼンス
ルホン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。特に、アル
キルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩は、これ自体
ではフィルムの表面突起を形成しないので帯電防止剤と
して好ましい。
【0026】また、スルホン酸基あるいはスルホン酸塩
基を有する帯電防止剤は、各種ジカルボン酸またはその
エステル形成性誘導体と、スルホン酸塩基を有する化合
物とを共重合させることにより帯電防止性を付与した共
重合ポリエステルにして、樹脂組成物中に含有させても
良い。この時のジカルボン酸成分としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカル
ボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸もしくはこ
れらのエステル形成性誘導体を挙げることができる。そ
の他、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン
酸、ダイマー酸を挙げることができる。またスルホン酸
塩基を有する化合物としては、例えば5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸、5−アンモニウムスルホイソフタル
酸、4−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−メチルア
ンモニウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイ
ソフタル酸等のスルホン酸アルカリ金属塩またはスルホ
ン酸アミン塩系化合物等が挙げられる。
【0027】また、上記の帯電防止剤を付与した共重合
ポリエステルには、さらにポリオール成分を共重合させ
てもよい。このポリオール成分としてはエチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4シクロヘキサン
ジメタノール、1,4−ブタンジオール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレング
リコール等を挙げることができ、これらの成分は1種の
み用いても良く、また2種以上併用しても良い。
【0028】また本発明では、帯電防止剤としてさらに
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、
ヘキサメチレングリコールといったポリアルキレングリ
コールを併用することが有効である。中でも特に、数平
均分子量が200〜50000、好ましくは400〜2
0000、さらに、好ましくは600〜10000であ
り、ポリエチレングリコールをフィルム中に0.05〜
15重量%、好ましくは0.1〜13重量%、更に好ま
しくは0.2〜10重量%含有することによって、優れ
た帯電防止性が得られ、またフィルム延伸性が良好とな
り生産性が向上できるので好ましい。
【0029】なお、本発明の目的を阻害しない範囲内
で、二種以上の帯電防止剤を含有しても良い。
【0030】本発明におけるスルホン酸あるいはスルホ
ン酸塩の表層濃度とは、X線光電子分光ESCAを用い
て、フィルム表層100ÅにおけるC1sに対するS2pの
相対強度比で表す。本発明のポリエステルフィルムのス
ルホン酸基あるいはスルホン酸塩基の表層濃度は特に限
定されないが、0.002〜5%、好ましくは0.00
4〜2.5%、さらに好ましくは0.008〜1.2%
の場合にブリードアウトした帯電防止剤がクレーター状
の表面凹みなどの表面欠点を誘起することなく、優れた
帯電防止性が得られ、またフィルム延伸性が良好となり
生産性が向上できるので好ましい。
【0031】該帯電防止剤はポリエステル中で充分に微
分散されていることが好ましい。分散が不十分であると
帯電防止性の低下や異物となり易い。帯電防止剤の分散
状態は、帯電防止剤含有ポリマペレット0.01mgあ
たりの分散径1μm以上の異物個数が500(個/0.01m
g)以下、好ましくは350(個/0.01mg)以下、より好
ましくは300(個/0.01mg)以下であるように制御す
ると、帯電防止剤を多量に添加した場合でも、フィルム
表面の凹みや、また粗大突起が形成されずフィルム表面
品質が向上し、また、生産性、巻き姿性、の点から好ま
しい。また帯電防止剤のフィルム中の分散径は全て2μ
m以下、好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは
0.8μm以下である場合により一層帯電防止性が向上
する。
【0032】帯電防止剤含有ポリエステルを製造する方
法としては、公知の方法が用いられる。例えば、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)に帯電防止剤としてア
ルキルスルホン酸金属塩を添加する場合には、重合開始
段階で重合触媒として例えば二酸化ゲルマニウムを添加
した後に帯電防止剤を添加し、所定の重合度が得られた
時点で重合を完了することにより得られる。また、その
重合最終段階における温度で、ポリマーを攪拌しながら
帯電防止剤を添加する方法が好ましい。さらにまた、帯
電防止剤を高濃度に含有するマスターペレットを製造
し、このマスターペレットと非含有ポリエステルペレッ
トとを二軸押出機を用いて混練し再押し出しする方法
が、帯電防止剤の微分散化を図るために効果がある。
【0033】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、粒子を含有しなくても良いが、平均粒子径0.01
〜3μmの粒子を含有していることがフィルムに適度な
易滑性を与え、フィルムのハンドリング性、巻き姿性を
向上させる点で好ましい。平均粒子径が3μmを越える
とその粒子によって形成する表面突起が大きくなるため
にその部分が粒子ごと脱落しやすく、ロール状に巻き取
った時に突起形状が転写して表面欠点となる場合があ
る。添加する粒子は特に限定されないが、クレー、マイ
カ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、
湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、ケイ酸アル
ミニウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ
およびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレ
ン等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応
時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒
子などがある。
【0034】粒子添加によって形成されるフィルムの表
面は粗いほど帯電しにくくなり帯電防止性の観点からは
好ましい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはフ
ィルムの少なくとも一方における表面の十点平均粗さR
zと中心線平均粗さRaとの比(Rz/Ra)が18以
下、好ましくは15以下であると本発明の効果がより顕
著になる。該Rz/Raがこの範囲であると、薄膜フィ
ルムにおいても延伸破れや、巻き姿がさらに向上するの
で好ましい。用途によって表面粗さRaは異なるが、磁
気記録材料用、各種工業材料用として用いる場合は、表
面の中心線平均粗さRaが0.1〜50nm、特に0.
2〜30nmであることが好ましい。このように表面が
平滑であってもポリイミドと帯電防止剤とを共に含有し
ていることによって生産性、巻き姿性が優れた二軸配向
ポリエステルフィルムが得られる。
【0035】本発明のポリエステルフィルムは、本発明
の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、防錆剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エ
ステル、ワックスなどの有機滑剤などが添加されてもよ
い。
【0036】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、単層でも2層以上の積層構成でも構わないが、生産
性、巻き姿性の点からは、2層以上の積層フィルム(例
えばA/B層)であって、その少なくとも1層(例えば
A層)が、ポリエステルとポリイミドを主成分とし、さ
らに帯電防止剤を含有する層であることが好ましい。こ
の場合のポリエステルA層の積層厚みは、特に限定され
ないが、A層厚みは0.1μm以上、好ましくは0.5
μm以上、さらに好ましくは1μm以上であればよい。
ポリエステルB層を構成するポリマは、ポリエステル、
特にエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフ
タレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を
主要構成成分とすることが望ましい。ポリエステルB層
には、特に限定されないが、ポリイミド、帯電防止剤、
粒子を含有していてもかまわない。
【0037】本発明のポリエステルフィルムの用途は、
特に限定されないが、磁気記録媒体用、感熱転写リボン
用、感熱孔版印刷原紙用などに用いられる。
【0038】本発明におけるフィルムの全体厚みは、フ
ィルムの用途、使用目的に応じて適宜に定めればよい。
例えば、磁気材料用途では通常1〜20μmが好まし
く、中でも高密度磁気記録塗布型媒体用途では2〜9μ
m、高密度磁気記録蒸着型媒体用途では3〜9μmが好
ましい。フロッピー(登録商標)ディスク用途では、3
0〜100μmが好ましい。また、工業材料用途関係、
例えば、熱転写リボン用途では、1〜6μm薄膜フィル
ムが適用され、帯電防止性が優れているため、印字する
際のしわがなく、印字むらやインクのハジキや過転写を
生じることなく、高精細な印刷が行うことができる。感
熱孔版原紙用途では、好ましくは0.5〜5μmの薄膜
フィルムが適用され、低エネルギーでの穿孔性にも優
れ、エネルギーレベルに応じて穿孔径を変化させること
が可能であり、複数版でのカラー印刷を行う場合などの
印刷性にもすぐれている。
【0039】次に、本発明の二軸配向ポリエステルフィ
ルムの製造方法の具体例について説明するが、以下の記
述に限定されものではない。ここでは、ポリエステルと
して、ポリエチレンテレフタレートを用い、ポリイミド
として、ポリエーテルイミドを用いた例を示す。ポリエ
ーテルイミド(PEI)は特に限定されるものではない
が、例えば、“ウルテム”(General Electric社製)を
用いることができる。用いるポリエステルやポリイミド
に応じて製造条件を最適化する。まず、常法に従い、テ
レフタル酸とエチレングリコールとをエステル化し、ま
たは、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエ
ステル交換反応することにより、ビスーβ―ヒドロキシ
エチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBH
Tを重合槽に移行しながら、真空下で280℃に加熱し
て重合する。この時、所定量のポリエーテルイミドを添
加しておいてもよい。必要に応じて、得られたポリエス
テルペレットを減圧下で固相重合する。固相重合する場
合は、あらかじめ180℃以下の温度で予備結晶化させ
た後、190〜250℃で1mmHg程度の減圧下、3
〜50時間固相重合させ、固有粘度0.5〜1.5(d
l/g)のペレットを作る。
【0040】また公知の方法で重合したポリエチレンテ
レフタレートのペレットとポリエーテルイミドのペレッ
トとを任意の割合で混合して、270〜300℃に加熱
されたベント式2軸混練押出機に供給して溶融押出し、
両者を混練する。このときの剪断速度は50〜300s
ec-1が好ましく、より好ましくは100〜200se
-1、滞留時間は0.5〜20分が好ましく、より好ま
しくは1〜15分の条件である。また、必要に応じて、
得られたチップを再び二軸押出機に投入し相溶するまで
押出を繰り返してもよい。上記混練によって、ポリエチ
レンテレフタレートとポリエーテルイミドとは相溶し、
ガラス転移点が単一の混合ポリエステルのペレットを得
ることができる。
【0041】ポリエステルに、帯電防止剤たとえばドデ
シルベンゼンスルホン酸リチウムを添加する時期は特に
限定されるものではないが、重縮合反応工程前の低重合
体段階で0.1〜3重量%添加、攪拌混合するか、もし
くは重縮合反応前に添加、混練することが好ましい。ま
た、二軸混練押出機等を用いてポリエステルチップに帯
電防止剤を混練しても良し、重合時添加した後、さらに
二軸混練押出機等を用いて混練することによって微分散
化することが好ましい。
【0042】ポリエステルに粒子を含有させる場合は、
エチレングリコールに粒子を所定割合にてスラリーの形
で分散させ、このエチレングリコールをテレフタル酸と
重合させる方法が好ましい。粒子を添加する際には、例
えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル
を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよ
い。また、粒子の水スラリーを直接所定のポリエステル
ペレットと混合し、ベント式2軸混練押出機を用いて、
ポリエステルに練り込む方法も有効である。
【0043】ポリエーテルイミド、あるいは、帯電防止
剤または粒子の含有量を調節する方法としては、上記方
法で作ったPEIを高濃度含有するペレット、あるいは
帯電防止剤を高濃度に、粒子を高濃度に含有するマスタ
−ペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的
に含有しないポリエステルペレットで希釈して、それぞ
れの含有量を調節する方法が有効である。
【0044】次に、これらのポリエステル、ポリイミ
ド、さらに帯電防止剤含有ペレットまたは、そのブレン
ドしたペレットを110〜190℃で3時間以上真空乾
燥した後、押出機でスリット状口金から溶融押出し、2
0〜60℃のキャスティングドラム上で冷却固化せしめ
て未延伸フィルムを作る。この場合、溶融ポリマーの異
物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、
例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網な
どの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。
また、必要に応じて、それぞれのポリマー流路にスタテ
ィックミキサー、ギヤポンプを設置し、ポリマ押出量を
制御する方法は本発明の効果を得るのに有効である。
【0045】フィルム構成を例えば2層積層構成とする
場合は2台の押出機で積層用マニホールド又は矩形の合
流ブロックを用いて、上述と同様に押出し積層未延伸フ
ィルムを得る。この場合ポリエステルA層とB層を構成
する、各ポリマーの固有粘度の差(絶対値)を0〜1.
5(dl/g)、好ましくは0〜1(dl/g)の範囲
にしておくことが、本発明のフィルムを安定して工業的
に製造するのに有効である。また該未延伸フィルムにお
いて、溶融状態のポリマーを口金から押し出す場合のド
ラフト比(=口金リップポリマ流速/キャスティングド
ラム上のフィルム(ポリマ)流速)は5〜30とするこ
とが、本発明のフィルムを得る上で好ましい。
【0046】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法
が、延伸破れなく本発明フィルムを得るのに有効であ
る。長手方向の延伸は、通常ロールを用いて行われる
が、延伸温度は80〜180℃、好ましくは90〜15
0℃である。長手方向の延伸は、1段もしくは2段階以
上の多段階で行い、2〜8倍、好ましくは2.5〜7倍
の範囲で延伸することが好ましい。
【0047】幅方向の延伸は、公知のテンターを用い
て、80〜160℃、好ましくは90〜150℃の延伸
温度で2.5〜6倍、好ましくは3〜5倍、幅方向の延
伸速度は3000〜30000%/分の範囲で行うこと
がよい。次にこの延伸フィルムを熱処理する。この場合
の熱処理は温度180〜250℃、特に200〜230
℃で1〜20秒間で行うことがよい。必要なら縦及び横
方向に弛緩処理を施しながらフィルムを冷やして巻き取
り、目的とする二軸配向ポリエステルフィルムを得る。
このとき、縦又は横方向にさらに強度を高めたい場合に
は、前記熱処理を行う前に、縦・横方向に再延伸するこ
とが好ましい。この場合の延伸条件は、延伸温度を11
0〜190℃、延伸倍率を1.1〜2にすることが好ま
しい。 (物性の測定方法ならびに効果の評価方法)本発明にお
ける特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通り
である。
【0048】(1)表面粗さRa、Rz小坂研究所製の
高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて中心線平均粗
さRaと十点平均粗さRz(単位は両方ともnm)とを
測定した。条件は下記のとおりであり、フィルム幅方向
に走査して20回測定を行ない、その平均値をとった。 (測定条件) 触針先端半径:0.5μm 触針荷重 :5mg 測定長 :0.5mm カットオフ値:0.08mm
【0049】(2)固有粘度 オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下式から計算される値を用いる。すなわち、 ηsp/C=[η]+K[η]2・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶
媒100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100m
l、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とす
る)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド
粘度計を用いて測定した。
【0050】(3)積層厚さ、帯電防止剤の分散状態 透過型電子顕微鏡(日立製H−600型)を用いて、加
速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(R
uO4染色、)で観察し、積層界面や分散状態をTEM
写真のコントラストの濃淡差でとらえる。また積層厚み
に関しては隣接する層の一方が粒子を含有する場合は粒
子の有無や粒子の形状の違いから、各層の界面をとら
え、その積層厚さを求める。倍率は、判定したい積層厚
さによって選ぶことが通常であり、特に限定されない
が、1万〜20万倍が適当である。
【0051】(4)ポリイミド(例えばPEI)の含有
量 PEI含有のポリエステル(例えばPETの場合)フィ
ルムをヘキサフルオロイソプロパノールとクロロホルム
のようなPEIとポリエステルを溶解する適切な溶媒に
溶解し、次のような条件で、1H核のNMR(核磁気共
鳴)スペクトルを測定する。得られたスペクトルで、P
EIのビスフェノールAの芳香族のプロトンに相当する
吸収(7.0ppm)と、ポリエステルの芳香族プロト
ンに相当する吸収(PETの場合、8.1ppm)との
ピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりブ
レンドのモル比を算出し、重量比に換算する。
【0052】1)NMR測定条件 装置 :BRUKER DRX-500(ブルカー社製) 溶媒 :HFIP/重クロロホルム 観測周波数 :499.8MHz 基準 :TMS(0ppm) 測定温度 :30℃ 観測幅 :10KHz データ点 :64K acquisiton time :4.952秒 pulse delay time:3.048秒 積算回数 :256回 (5)スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基の表層濃度 X線光電子分光ESCA750(島津製作所(株)製)
を用いて以下に示す測定条件でフィルム表層(複合の場
合はA層)におけるC1sに対するS2pの相対強度比で表
した。
【0053】測定条件 励起X線:MgKα1,2線(hν=1253.6eV) X線出力:8KV,30mA 温度:20℃ 光電子脱出角度:90度(表層100Å) 測定真空度:1.0×10-5Pa エネルギー補正:C1sメインピークの結合エネルギー値
を284.6eV。
【0054】(6)帯電防止性 金属ドラム(65mm幅×150mmφ)を860rp
mで回転させ、ドラム表面に測定サンプル表面が接触す
るように沿わせて5秒間擦る。その直後に静電気測定器
によりフィルムに荷電した電位を測定し帯電防止性を判
定した。
【0055】 帯電量が−1KV以上〜+1KV以下 :◎ 帯電量が−2KV以上〜+2KV以下 :○ 帯電量が−3KV以上〜+3KV以下 :△ 帯電量が−4KV未満あるいは+4KVを越えるもの :× 静電気測定器:スタチロンTH型、シシド静電気(株)製 測定距離、ヘッド開口部より50mm 測定サンプル:30mm幅×300mm長さ(接触面長さ117mm) 一方の端を固定し他方の端に255gの荷重を付ける。
【0056】(7)生産性 製膜に伴なうフィルム破れを観察して破れ頻度から生産
性を評価した。
【0057】(8)巻き姿性 フィルムを1000mm幅で長さ3000mを巻き取り
速度150m/分で巻いた時の巻き上がりロール状態を
観察して判定した。判定方法は、フィルム帯電によるロ
ール表面に発生した、大きさ3mmφ以上の押し跡状模
様の発生個数と横皺状の発生状況を測定する。押し跡状
模様個数は、全幅1000mmにおいてロール外周の1
周分のロール表面を観察し、押し跡状欠点個数(個/m
2)を求める。また横皺はロール1周分をロールから引
きとり、フィルムに発生した横皺の発生比率を求める。
横皺発生の比率(%)は、[(フィルム幅方向につなが
っている横皺の、フィルム長さ方向の長さ合計、つまり
横皺の発生している幅の合計)/(ロール1周分の長
さ)]×100、により求める。なお、押し跡状欠点と
横皺が観察しにくい場合は、煙草の灰、トナーを吹き付
ける等の方法で帯電状態が容易に測定できる。なお評価
は5本以上巻いた時の1本当たりの平均値で次のように
判定した。
【0058】
【実施例】本発明を実施例に基づき説明する。
【0059】実施例1 ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコ
ール60重量部の混合物に、ジメチルテレフタレート量
に対して0.04重量%の酢酸マグネシウムを添加して
常法により加熱昇温してエステル交換反応を行った。次
いで該エステル交換反応生成物にジメチルテレフタレー
ト量に対して0.02重量%のリン酸トリメチルを添加
した後、0.02重量%の酸化ゲルマニウムを添加し、
更にドデシルベンゼンスルホン酸リチウム塩(DBS−
Li)をジメチルテレフタレート量に対して6重量%、
消泡剤0.10重量%を添加した後、重縮合反応槽に移
行した。ついで加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧し
て1mmHgの減圧下、290℃で常法により重合し、
固有粘度[η]=0.65のポリエステル組成物のペレ
ットを得た(ペレットa)。
【0060】また、DBS−Liを添加しない以外は上
記と同様の方法でポリエチレンテレフタレート(固有粘
度0.85)のペレットを得た(ペレットb)。
【0061】上記ペレットb(40重量%)とポリエー
テルイミドのペレット(“Ultem1010”(Ge
neral Electric社 登録商標))(60
重量%)とを、280℃に加熱されたベント式の2軸混
練押出機に供給して剪断速度100sec-1、滞留時間
1分にて溶融押出し、ポリエーテルイミドを60重量%
含有したペレット(固有粘度0.62)を得た(ペレッ
トc)。
【0062】また、重縮合反応槽に移行する前に平均粒
径0.3μmの炭酸カルシウム粒子又は0.6μmの球
状架橋ポリジビニルベンゼン粒子をジメチルテレフタレ
ート量に対してそれぞれ2重量%添加した以外はペレッ
トbと同様の方法で、それぞれの粒子含有ポリエステル
のペレット(固有粘度0.62)を得た(ペレットd、
e)。
【0063】ペレットa、b、c、d、eを、それぞ
れ、180℃で4時間真空乾燥した後、表1に示すよう
なポリマー組成になるように、ペレットa/b/c/d
/eを重量比30/37.5/20/10/2.5でブ
レンドし、通常の押出機にて290℃でシート状に押出
した。これを静電印加キャスト法を用いて、表面温度2
5℃のキャスティングドラム上に巻き付けて冷却固化
し、未延伸フィルムを作った。
【0064】この未延伸フィルムを100℃で長手方向
に3.2倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周
速差を利用して行った。その後ステンタを用いて100
℃で幅方向に3.8倍延伸した。さらに長手方向に14
0℃で1.5倍延伸し、続いてこのフィルムを定長下で
220℃、5秒間熱処理し、厚さ9μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。このポリエステルフィルム
は、表2に示したとおり優れた特性を有していた。
【0065】実施例2 ペレットaの重合時に、さらに、分子量4000のポリ
エチレングリコールを5重量%添加して得られたペレッ
トa’を、実施例1で用いた他のペレットb,c,d,
eを、それぞれ表1に示すような組成になるようにペレ
ットブレンドし、押出温度を280℃に変更した以外
は、実施例1と同様にして厚さ9μmの二軸配向ポリエ
ステルフィルムを得た。このフィルムの摩擦帯電量は小
さく生産性、巻き特性が優れたものであった。
【0066】実施例3 ペレットa’とペレットcとのブレンド比を実施例2の
2倍にして、実施例2と同様に押出し、未延伸フィルム
を作った。この未延伸フィルムを95℃で長手方向に
3.4倍延伸し、その後ステンタを用いて95℃で幅方
向に4.5倍延伸した。続いてこのフィルムを定長下で
210℃、6秒間熱処理し、厚さ36μmの二軸配向ポ
リエステルフィルムを得た。このポリエステルフィルム
は、表2に示したとおり優れた特性を有していた。
【0067】実施例4 A/Bの2層積層フィルムとした。A層用として、実施
例1における粒子含有ペレット(ペレットd、e)と同
様に重合して得られた、平均粒子径0.03μmの球状
コロイダルシリカを1.0重量%含有したペレットfを
用いて、表1の組成になるようにペレットa’/b/c
/fをブレンドした後、乾燥した混合ペレットを押出機
1に供給した。一方、B層用には、ペレットa/b/c
/d/eを重量比25/50/10/10/5でブレン
ドし乾燥して得られた混合ペレットを押出機2に供給
し、A層は285℃、B層は280℃で押出した。この
時それぞれの押出機にギアポンプを取り付け、A層/B
層の吐出比を1/8になるように調節し、実施例1と同
様にしてフィルム全体厚み9μmの二軸配向ポリエステ
ルフィルムを得た。このポリエステルフィルムは、表2
に示したとおり優れた特性を有していた。
【0068】実施例5 A/Bの2層積層フィルムとした。A層用原料として、
ペレットbに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5w
t%と、分子量600のポリエチレングリコールを10
wt%共重合したペレットb’を用いて、それぞれ乾燥
したペレットをブレンドした。乾燥はペレットb’は1
20℃で6時間真空乾燥し、その他のペレットは180
℃で4時間真空乾燥して、ペレットb’/c/fの重量
比30/60/10でブレンドして押出機1に供給し、
一方、B層は、実施例4で用いたB層用の混合ペレット
と同様のものを乾燥して押出機2に供給し、A層は27
0℃、B層は285℃で押出した。この時それぞれの押
出機にギアポンプを取り付け、A層/B層の吐出比を1
/5になるように調節し、未延伸フィルムを作った。こ
の未延伸フィルムを93℃で長手方向に3.4倍延伸
し、その後ステンタを用いて95℃で幅方向に4.5倍
延伸した。続いてこのフィルムを定長下で210℃、6
秒間熱処理し、厚さ36μmの二軸配向ポリエステルフ
ィルムを得た。このポリエステルフィルムの特性は、表
2に示したとおり優れた特性を有していた。
【0069】比較例1 帯電防止剤のペレットを添加しないで、PEIの量を変
える以外は実施例1と同様にして9μmの二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。表2に示したように、帯電防
止性が劣り、生産性、巻き姿共に優れたフィルムが得ら
れなかった。
【0070】比較例2 A層用ポリマにもB層用ポリマにもポリイミドを添加し
ないようにペレットブレンドした以外は実施例4と同様
にして、A/Bの2層積層の二軸配向ポリエステルフィ
ルムを得た。表2に示したように、生産性、巻き姿共に
優れたフィルムが得られなかった。
【0071】比較例3 A層用ポリマにペレットa’/b’を重量比30/60
/10で混合した混合ペレットを用い、B層用ポリマに
ペレットb/c/d/eを重量比75/10/10/5
で混合した混合ペレットを用いた以外は実施例5と同様
にして、A/Bの2層積層の二軸配向ポリエステルフィ
ルムを得た。表2に示したように、帯電防止性が劣り、
生産性、巻き姿共に優れたフィルムが得られなかった。
【0072】比較例4 実施例1における粒子含有ペレットdと同様にして、平
均粒径1.4μmの炭酸カルシウムを2重量%含有した
ペレット(ペレットg)と、平均粒径0.6μmの球状
架橋ポリジビニルベンゼン粒子を含有するペレット(ペ
レットe)とを作成し、このペレットg,eと実施例1
でのペレットbとを用いて、ペレットb/e/gを重量
比82.5/15/2.5でブレンドし、180℃で4
時間真空乾燥した後、公知の押出機にて290℃で押出
した。これを静電印加キャスト法を用いて、表面温度2
5℃のキャスティングドラム上に巻き付けて冷却固化
し、未延伸フィルムを作った。この未延伸フィルムを実
施例5と同様にして95℃で長手方向に3.4倍延伸
し、その後ステンタを用いて100℃で幅方向に4.5
倍延伸した。続いてこのフィルムを定長下で210℃、
6秒間熱処理し、厚さ36μmの二軸配向ポリエステル
フィルムを得た。このポリエステルフィルムの特性は、
ポリイミド、帯電防止剤を含有していないために、表2
に示したとおり、フィルム表面の十点平均粗さRzと中
心線平均粗さRaとの比(Rz/Ra)が大きいにもか
かわらずフィルム静電気の発生がひどく巻き特性が劣っ
ていた。
【0073】
【表1】 (注) PEI:ポリエーテルイミド DBS−Li:ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム SSIA:5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル PEG4000:分子量4000のポリエチレングリコ
ール PEG600:分子量600のポリエチレングリコール 炭カル:炭酸カルシウム粒子 ジビニル:球状架橋ポリジビニルベンゼン粒子
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、主成分がポリエステル
及びポリイミドであり、かつ、特定の帯電防止剤を含有
させているので、帯電防止性に優れ、巻き姿、生産性が
良好であり例えば、磁気記録用フィルム、感熱孔版印刷
原紙用、写真製版用、感熱転写リボン用、電気絶縁用、
包装用等の各種工業材料用フィルムとして適した二軸配
向ポリエステルフィルムを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 67/00 (C08L 67/00 79:08) 79:08) B29K 67:00 B29K 67:00 79:00 79:00 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA44 AA60 AE16 AF38 BB08 BC01 BC16 4F100 AH04A AH08A AK41A AK42A AK49A AL05A AT00B BA01 BA02 CA22A EJ38A GB43 YY00A 4F210 AA24 AA26 AA40 AB09 AG01 AG03 QA02 QA03 QC05 QC06 QG01 QG18 4J002 CF061 CF081 CH023 CM042 EV256 FD106 GF00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分がポリエステル及びポリイミドで
    あり、かつ、スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基を有
    する帯電防止剤を含有する樹脂組成物からなることを特
    徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリイミドがポリエーテルイミドであ
    り、該ポリエーテルイミドのフィルム中の含有率が5〜
    50重量%であることを特徴とする請求項1記載の二軸
    配向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基の
    表層濃度が0.002〜5%であることを特徴とする請
    求項1または2記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 スルホン酸基あるいはスルホン酸塩基を
    有する帯電防止剤として、アルキルベンゼンスルホン酸
    金属塩及び/又はその誘導体を含有することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向ポリエステ
    ルフィルム。
  5. 【請求項5】 帯電防止剤としてさらにポリオキシアル
    キレングリコール成分を含有することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルがポリエチレンテレフタレ
    ート又はポリエチレン−2、6−ナフタレートであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配
    向ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 フィルムの少なくとも一方における表面
    の十点平均粗さRzと中心線平均粗さRaとの比(Rz
    /Ra)が13以下であることを特徴とする請求項1〜
    6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 フィルム構成が2層以上であって、少な
    くとも1層が請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向
    ポリエステルフィルムであることを特徴とする二軸配向
    積層ポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019065271A (ja) * 2017-09-28 2019-04-25 東レ株式会社 二軸配向ポリエステルフィルム

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