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【特許請求の範囲】
【請求項1】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)を配置し、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記混合ガスを前記るつぼ内に導入するために用いる導入配管(50)の途中に第1の断熱材(51)を設けると共に、この第1の断熱材から離間した位置に第2の断熱材(52)を設け、前記導入配管に対し、前記るつぼに近づく程高温になる温度勾配を設けることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項2】 前記導入配管として、前記るつぼに近づく程前記導入配管の穴の断面積が小さくなっているものを用いることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項3】 前記導入配管の温度勾配を、前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部から前記導入配管のうち500℃になっている部位までの平均が100℃/cm以上となるようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項4】 前記導入配管の温度勾配を、前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部から前記導入配管のうち500℃になっている部位までの平均が500℃/cm以上となるようにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項5】 前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部における前記混合ガスの流速を50cm/s以上にすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項6】 前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部における前記混合ガスの流速を500cm/s以上とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項7】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)を配置し、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記混合ガスにキャリアガスを混ぜて、前記混合ガスを前記るつぼ内に導入するために用いる導入配管(50)を介して前記混合ガスと前記キャリアガスとを前記るつぼ内に導入し、
前記導入配管(50)の途中に第1の断熱材(51)を設けると共に、この第1の断熱材から離間した位置に第2の断熱材(52)を設け、前記導入配管に対し、前記るつぼに近づく程高温になる温度勾配を設けたことを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項8】 前記導入配管内における前記混合ガスと前記キャリアガスとを合わせた流量を、前記導入配管に前記混合ガスのみを流す場合よりも大きくすることを特徴とする請求項7に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項9】 前記キャリアガスが、水素及び不活性ガスの少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項7又は8に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項10】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)を配置し、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記るつぼのうち前記混合ガスが導入される導入部の温度よりも、前記るつぼのうち前記混合ガスが前記るつぼから排出される排出部の温度の方を高くすることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項11】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)を配置し、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記るつぼの外部に、可動式の温度上昇手段(9)とX線装置とを設け、
前記混合ガスから形成された堆積物が前記るつぼに堆積している部位を前記X線装置により確認し、前記温度上昇手段を移動して前記部位の温度を上げることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造方法。
【請求項12】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)を配置し、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、
前記るつぼのうち前記炭化珪素単結晶基板上への炭化珪素単結晶の成長が行われる領域である成長室内から排出される前記混合ガスを通過させる部屋(40)を設け、
前記部屋を前記成長室よりも低温にすることにより、前記部屋に前記混合ガスから堆積物を堆積させることを特徴とする炭化珪素の製造方法。
【請求項13】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記混合ガスを前記るつぼ内に導入するための導入配管(50)は、その途中に第1の断熱材(51)が設けられると共に、この第1の断熱材から離間した位置に第2の断熱材(52)が設けられ、前記導入配管は前記るつぼ側が高温になるような温度勾配が設けられる構成となっていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項14】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記混合ガスを前記るつぼ内に導入するための導入配管(50)の途中に第1の断熱部材(51)が設けられて、前記導入配管が前記るつぼ側が高温になるような温度勾配が設けられる構成となっており、前記導入配管の材質は、前記導入配管から前記るつぼに前記混合ガスが排出される部位である出口(50d)側から、黒鉛、石英、金属の順になっていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項15】 前記導入配管において、前記黒鉛からなる部位の途中に前記第1の断熱部材が設けられていることを特徴とする請求項14に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項16】 前記導入配管は、前記るつぼに近づく程前記導入配管の穴の断面積が小さくなっていることを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項17】 前記導入配管の温度勾配は、前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部から前記導入配管のうち500℃になっている部位までの平均が100℃/cm以上となっていることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項18】 前記導入配管の温度勾配は、前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部から前記導入配管のうち500℃になっている部位までの平均が500℃/cm以上となっていることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項19】 前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部における前記混合ガスの流速が50cm/s以上となっていることを特徴とする請求項13乃至18のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項20】 前記導入配管のうち前記るつぼ側の先端部における前記混合ガスの流速が500cm/s以上となっていることを特徴とする請求項13乃至19のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項21】 前記るつぼと前記導入配管との間に第2の断熱部材(52)が設けられていることを特徴とする請求項14乃至20のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項22】 前記導入配管のうち、少なくとも前記導入配管から前記るつぼに前記混合ガスが排出される部位である出口(50d)における内面の表面粗さRaが7μm以下であることを特徴とする請求項13乃至21のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項23】 前記導入配管のうち、少なくとも前記導入配管から前記るつぼに前記混合ガスが排出される部位である出口(50d)における内面にTaCが形成されて前記導入配管の内面が構成され、前記TaCの表面粗さRaが7μm以下であることを特徴とする請求項13乃至21のいずれか1つに記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項24】 前記導入配管の前記出口における内面が磨き面となっていることを特徴とする請求項22又は23に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項25】 前記導入配管の前記出口における内面が鏡面となっていることを特徴とする請求項22又は23に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項26】 前記導入配管の前記出口における内面の表面粗さRaが1μm以下であることを特徴とする請求項22又は23に記載の炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項27】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記るつぼのうち前記炭化珪素単結晶基板上への炭化珪素単結晶の成長が行われる領域である成長室(35)と前記混合ガスを前記るつぼ内に導入するための導入配管(50)とを繋ぐ連通通路(38a)を有する突出部(38)が、前記炭化珪素単結晶基板側に突出するようにして前記るつぼ内に形成されており、
前記連通通路の開口面積は前記炭化珪素単結晶基板側に向かうにつれて大きくなっており、
前記連通通路の壁面が凹凸面となっていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項28】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記るつぼのうち前記混合ガスが導入される導入部の温度よりも、前記るつぼのうち前記混合ガスが前記るつぼから排出される排出部の温度の方が高い構成となっていることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項29】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記るつぼの外部に、可動式の温度上昇手段(9)とX線装置とが設けられ
前記混合ガスから形成された堆積物が前記るつぼに堆積している部位を前記X線装置により確認し、前記温度上昇手段を移動させて前記堆積物が堆積している部位の温度を上昇させることを特徴とする炭化珪素単結晶の製造装置。
【請求項30】 るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、前記るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、前記炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、
前記るつぼのうち前記炭化珪素単結晶基板上への炭化珪素単結晶の成長が行われる領域である成長室(35)内から排出される前記混合ガスを通過させる部屋(40)が設けられており、
前記部屋が前記成長室よりも低温になっていることを特徴とする炭化珪素の製造装置。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)を配置し、るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造方法において、混合ガスをるつぼ内に導入するために用いる導入配管(50)の途中に第1の断熱材(51)を設けると共に、この第1の断熱材から離間した位置に第2の断熱材(52)を設け、前記導入配管に対して、るつぼに近づく程高温になる温度勾配を設けることを特徴としている。
請求項7に記載の発明では、混合ガスにキャリアガスを混ぜて、導入配管(50)を介して混合ガスとキャリアガスとをるつぼ内に導入し、導入配管(50)の途中に第1の断熱材(51)を設けると共に、この第1の断熱材から離間した位置に第2の断熱材(52)を設け、導入配管に対し、るつぼに近づく程高温になる温度勾配を設けたことを特徴としている。
この様にキャリアガスを導入配管に流すことにより、導入配管内の流速を高めることができる。従って、混合ガスが導入配管に詰まることを抑制することができる。又、温度勾配を設けることにより、混合ガスがるつぼ内に導入されてから急激に加熱されるのではなく、導入配管を通過する際に加熱された高温の混合ガスがるつぼ内に導入されるため、品質の良い炭化珪素単結晶を形成することができる。
請求項13に記載の発明では、るつぼ(30)内に種結晶となる炭化珪素単結晶基板(34)が配置され、るつぼ内にSiを含有するガスとCを含有するガスとを含む混合ガスを導入することにより、炭化珪素単結晶基板上に炭化珪素単結晶を成長させる炭化珪素単結晶の製造装置において、導入配管(50)は、その途中に第1の断熱材(51)が設けられると共に、この第1の断熱材から離間した位置に第2の断熱材(52)が設けられ、導入配管はるつぼ側が高温になるような温度勾配が設けられる構成となっていることを特徴としている。これにより、請求項1の炭化珪素単結晶の製造方法を好適に行うことができる製造装置を提供することができる。
導入配管の途中に第1の断熱部材を設けることにより、高温になっているるつぼ近傍の導入配管の熱を伝わり難くし、好適に導入配管に温度勾配を設けることができる。
又、請求項1に記載の発明は、導入配管の材質が導入配管からるつぼに混合ガスが排出される部位である出口(50d)側から、黒鉛、石英、金属の順になっていることを特徴としている。るつぼは高温になっているため、るつぼ近傍の導入配管の材質を黒鉛にすると好適である。また、黒鉛と金属との間に石英を設けると黒鉛から金属への熱伝導を抑制することができる。
この場合、請求項15に記載の発明のように、導入配管において、黒鉛からなる部位の途中に第1の断熱部材を設けると、るつぼから伝わった熱の伝導を調節して、黒鉛からなる部位において好適に温度勾配を設けることができる。

請求項16に記載の発明では、請求項13〜15の発明において、導入配管は、るつぼに近づく程導入配管の穴の断面積が小さくなっていることを特徴としている。これによれば、請求項2の発明と同様に、導入配管の穴の断面積が一定である場合と比較して、更に混合ガスの流速を高めることができる。
この場合、請求項17に記載の発明のように、導入配管の温度勾配は、導入配管のうちるつぼ側の先端部から導入配管のうち500℃になっている部位までの平均が100℃/cm以上となっていると好適である。更に、請求項18に記載の発明のように、500℃/cm以上となっていると望ましい。
また、請求項19に記載の発明のように、導入配管のうちるつぼ側の先端部における混合ガスの流速が50cm/s以上となっていると好適である。更に、請求項20に記載の発明のように、500cm/s以上となっていると望ましい。
請求項21に記載の発明では、請求項1420の発明において、るつぼと導入配管との間に第2の断熱部材(52)が設けられていることを特徴としている。
また、請求項22に記載の発明のように、請求項13〜21の発明において、導入配管のうち、少なくとも出口(50d)における内面の表面粗さRaを7μm以下にすると、導入配管の内面と混合ガスとの接触面積が小さくなるため、導入配管の内面付近での混合ガスの流速の低下を抑制することができる。その結果、導入配管が詰まることを更に抑制することができる。
また、請求項23に記載の発明のように、導入配管のうち、少なくとも出口(50d)における内面にTaCを形成して導入配管の内面を構成し、TaCの表面粗さRaを7μm以下にしても良い。
これらの場合、具体的には、請求項24に記載の発明のように、導入配管の内面を磨き面としたり、請求項25に記載の発明のように、導入配管の内面を鏡面としたりすることができる。また、請求項26に記載の発明のように、導入配管の内面の表面粗さRaを1μm以下にすると更に好適である。
請求項27に記載の発明は、成長室(35)と導入配管とを繋ぐ連通通路(38a)を有する突出部(38)が、炭化珪素単結晶基板側に突出するようにしてるつぼ内に形成されており、連通通路の開口面積は炭化珪素単結晶基板側に向かうにつれて大きくなっており、連通通路の壁面が凹凸面となっていることを特徴としている。
請求項28に記載の発明では、るつぼのうち混合ガスが導入される導入部の温度よりも、るつぼのうち混合ガスがるつぼから排出される排出部の温度の方が高い構成となっていることを特徴としている。これにより、請求項10の炭化珪素単結晶の製造方法を好適に行うことができる製造装置を提供することができる。
請求項29に記載の発明では、るつぼの外部に、可動式の温度上昇手段(9)とX線装置とが設けられ混合ガスから形成された堆積物がるつぼに堆積している部位をX線装置により確認し、温度上昇手段を移動させて堆積物が堆積している部位の温度を上昇させることを特徴としている。これにより、請求項11の炭化珪素単結晶の製造方法を好適に行うことができる製造装置を提供することができる。
請求項30に記載の発明では、成長室(35)内から排出される混合ガスを通過させる部屋(40)が設けられており、部屋が成長室よりも低温になっていることを特徴としている。これにより、請求項12の炭化珪素単結晶の製造方法を好適に行うことができる製造装置を提供することができる。
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