JP2002151042A - セパレータ及びその製造方法並びにそれを用いた電池及びその製造方法 - Google Patents

セパレータ及びその製造方法並びにそれを用いた電池及びその製造方法

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JP2002151042A
JP2002151042A JP2000348122A JP2000348122A JP2002151042A JP 2002151042 A JP2002151042 A JP 2002151042A JP 2000348122 A JP2000348122 A JP 2000348122A JP 2000348122 A JP2000348122 A JP 2000348122A JP 2002151042 A JP2002151042 A JP 2002151042A
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organic polymer
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polymer
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JP2000348122A
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English (en)
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Hiroe Nakagawa
裕江 中川
Shuichi Ido
秀一 井土
Takaaki Kishi
隆明 紀氏
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Yuasa Corp
Original Assignee
Yuasa Corp
Yuasa Battery Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発熱時においても安全性に優れた電池用セパ
レータを提供することを目的とする。 【解決手段】 多孔性基材の表面又は孔内の少なくとも
一部に有機ポリマー層が形成されたセパレータにおい
て、前記有機ポリマー層を形成するポリマーが180℃
以下の温度において融点を有さないことを特徴とするセ
パレータを用いることで、上記課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セパレータ及びそ
の製造方法に関するもので、さらに詳しくは、セパレー
タ中の有機ポリマーの改良に関するものである。また、
前記セパレータを用いた電池及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、PHS、小型パーソナ
ルコンピュータ等の携帯機器類は、エレクトロニクス技
術の進展に伴って小型化、軽量化が著しく、これらの機
器類に用いられる電源としての電池においても小型化、
軽量化が求められるようになってきている。
【0003】このような用途に期待できる電池の1つと
してリチウム電池があるが、既に実用化されているリチ
ウムイオン二次電池に加えて、ポリマー電解質を用いた
リチウムポリマー二次電池の実用化に向けた研究が進め
られている。特に、従来のリチウムイオン二次電池はい
ずれも円筒形あるいは角形が中心であるのに対し、薄形
のリチウムポリマー二次電池の実用化に向け、各種の研
究開発がなされている。ここでいうポリマー電解質と
は、少なくともリチウム塩とポリマー骨格を含むもので
あり、一般にはさらに非水溶媒を含んだゲル状のものが
広く開発されている。
【0004】リチウムイオン二次電池の場合、主に正
極、負極、及びセパレータからなる極群を円筒形あるい
は角形の電槽に挿入した後、液体の電解液を注液すると
いう工程を経て作製される。これに対し、リチウムポリ
マー二次電池においては、主に正極と負極とをポリマー
電解質を介して対向させた後、パッキングする方法で作
製される。
【0005】しかし、このようなリチウムポリマー二次
電池は、リチウムイオン二次電池に比較して、ハイレー
ト充放電性能やサイクル寿命が短いという欠点があっ
た。この原因として、以下のような要因が挙げられる。
即ち、リチウムイオン二次電池の場合、液体の電解液を
注液するため、電極及びセパレータ中のリチウムイオン
伝導度は、一般に電池作動に必要なレベルと言われる1
×10-3S/cmオーダーを確保することが容易であ
る。ここで、一般にセパレータとして使用される微多孔
膜や不織布は、ポリエチレンやポリプロピレンといった
ポリオレフィンを主原料とするものがほとんどである。
ポリオレフィンは一般に電解液に対する親和性が低いの
で、充分な量の電解液をセパレータ中に注液するため、
真空注液や遠心注液等の手段で強制的に注液することが
行われている。これに対し、リチウムポリマー二次電池
の場合、電解質が固体状のため、電解質作製時には一般
に注液工程を必要としないが、リチウムイオン伝導度は
液系に比較して低く、一般に1×10-3S/cmオーダ
ーを確保することは困難であった。そのため、充放電性
能が劣るという欠点があった。
【0006】一般に広く開発されているポリマー電解質
として、ポリエチレンオキシド構造やポリアクリロニト
リル構造、ポリフッ化ビニリデン構造等をポリマー骨格
に用い、これにリチウム塩及び有機溶媒からなる電解液
を加えたゲル状のポリマー電解質がある。例えば、特開
平5−117522号公報等には、ポリエチレンオキシ
ド構造を骨格に持つポリマー電解質が提案されている。
また、特開平8−264205号公報等には、ポリアク
リロニトリル構造を骨格に持つポリマー電解質が提案さ
れている。これらの構造をポリマー骨格に用い、リチウ
ム塩や有機溶媒との混合比を規定することにより、現在
までに液系電解質に匹敵する1×10-3S/cmオーダ
ーのリチウムイオン伝導度が実現されており、これらの
ポリマー電解質を用いたリチウム電池は、ほぼ実用化レ
ベルに至っている。これらゲル状のポリマー電解質は、
ポリマーと有機溶媒が分子レベルで相溶し、均一なゲル
状を呈している。
【0007】一方、米国特許第5296318号公報、
米国特許第5418091号公報等には、ポリフッ化ビ
ニリデン構造を骨格に持つポリマー電解質が提案されて
いる。これらのポリマー電解質は、前記ゲル状のポリマ
ー電解質と異なり、微多孔膜の形態であり、ポリマー骨
格形成後、電解液を溶媒抽出工程により含浸させ、保持
させる形態をとっている。そこで最近では、広義のポリ
マー電解質とは、一様なゲル状を呈するものだけでな
く、微多孔構造中に液体状電解液を含浸させたものも意
味するようになってきている。
【0008】しかし、これまで述べたようなポリマー電
解質を用いたリチウム電池は、それぞれ次の点で問題が
あり、性能の上で従来のリチウムイオン二次電池に匹敵
するものではなかった。
【0009】まず、ポリエチレンオキシド構造を骨格に
持つゲル状のポリマー電解質を用いたリチウム電池は、
ローレート放電時には充分な電池性能を示すが、ハイレ
ート放電時や低温放電時には、今なおリチウムイオンの
移動度が不足しており、電池性能を充分なレベルに保持
することが困難であるという問題点があった。また、ポ
リエチレンオキシド構造がリチウムイオンを拘束する性
質も持つため、ポリマー電解質内のリチウムイオンの移
動が逆に阻害されるうえ、サイクル充放電性能も充分な
レベルに保持することが困難であるという問題点があっ
た。
【0010】また、ポリアクリロニトリル構造を骨格に
持つゲル状のポリマー電解質は、前記ポリエチレンオキ
シド構造を骨格に持つゲル状のポリマー電解質に比較す
れば、液体の電解液に近いリチウムイオン伝導度が実現
されている。しかし、温度変化の繰り返しにより、ポリ
マー電解質が不可逆な結晶化・非晶化を起こし、安定な
構造を維持できなくなる恐れがあるという問題点があっ
た。また、これを用いたリチウム電池は、ハイレート放
電時や低温放電時にはリチウムイオンの移動度が不足
し、電池性能を充分なレベルに保持することが困難であ
るという問題点があった。さらに、ポリマー電解質が電
解液保持性に劣るため、電池が漏液を起こす恐れがある
という問題点があった。また、ポリマー電解質の熱可塑
性のため、高温下で溶解してしまい、電池短絡の発生の
恐れがあるという問題点があった。
【0011】一方、ポリフッ化ビニリデン構造を骨格に
持ち、微多孔構造中に液体電解液を含浸させたポリマー
電解質は、微多孔構造中に存在する遊離の液体状電解液
の作用により、リチウムイオンの移動度は充分実用化レ
ベルに達している。しかし、その製造には溶媒抽出工程
を必要とする等、製造工程が複雑で、製造コストも高く
なるという問題点があった。加えて、電解液保持性に劣
るため、これを用いたリチウム電池は漏液の恐れがある
という問題点があった。また、ポリマー電解質の熱可塑
性のため、高温下で溶解してしまい、電池短絡の発生の
恐れがあるという問題点や、温度変化の繰り返しによ
り、不可逆な結晶化・非晶化を起こし、安定な構造を維
持できなくなる恐れがあるという問題点があった。米国
特許第5429891号等には、特に耐熱性の改善を目
的として、架橋されたポリマー骨格が提案されている。
しかし、製造工程が複雑で、製造コストも高くなるとい
う問題点については、解決されていない。
【0012】また、リチウムイオン二次電池やゲル状の
ポリマー電解質を用いたリチウムポリマー二次電池は、
有機溶媒を電解質に用いているが、これらの有機溶媒は
一般に揮発しやすく、引火性も高いため、可燃性物質に
分類されるものである。従って、過充電、過放電やショ
ート等のアブユース時や高温環境下における安全性に問
題点があった。
【0013】そこで、高温環境下での安全性を確保する
ため、微多孔膜からなるセパレータに、温度ヒューズ機
能を兼備させることが提案されている。即ち、正常な使
用状態においては、正極と負極の間に存在して両極のシ
ョートを防止すると共に、その微多孔構造により両極間
の抵抗を低く抑えて電池性能を維持するが、異常の発生
により電池の内部温度が上昇した場合には、一定の温度
で膜の微多孔を塞いで無孔化(熱閉塞)することにより
抵抗を増大させて電池反応を遮断し、さらなる温度上昇
を防止して安全性を確保しようとするものである。この
熱閉塞による電池反応の遮断機能は、セパレータのシャ
ットダウン特性と呼ばれており、リチウムイオンセパレ
ータに求められる重要な機能の一つとなっている。この
熱閉塞が起こる温度(シャットダウン開始温度)に影響
を与える重要なパラメータの一つとして、セパレータを
構成する材料の融点が挙げられる。
【0014】さらに、安全性確保の観点からは、上記熱
閉塞により増大した抵抗は、適当な温度まで、適当な時
間維持されることが必要である。熱閉塞が完全に起こっ
た場合は、セパレータが絶縁体になるため、理想的には
電流は瞬時に0まで低下することになるが、実際には、
シャットダウン開始温度に達した後も電池の内部温度は
さらに上昇することが多い。従って、シャットダウン開
始温度を超えて、さらに温度が上昇した場合にも、熱閉
塞したセパレータが収縮や破損することなく一定の膜面
積を維持し続ける性質(形状保持力)も重要となる。ま
た、この形状保持力が喪失する温度(耐熱温度)に影響
を与える重要なパラメータとしては、セパレータを構成
する材料の融点及び厚さ、開孔率等が挙げられる。形状
保持力に劣る微多孔膜をセパレータとして用いた場合に
は、シャットダウン開始温度を超えて電池の内部温度が
上昇した場合に、セパレータが収縮又は破損し、正極と
負極とが直接接触して内部短絡を引き起こし、熱暴走を
引き起こすなど非常に危険な状態を導く。
【0015】従って、シャットダウン特性と形状保持力
とを兼備させるため、従来のポリエチレンやポリプロピ
レン等の単独樹脂製の微多孔膜に代わって、近年は、融
点の異なる樹脂を組み合わせて用いることが提案されて
いる。
【0016】例えば、特公平4−38101号公報に
は、少なくとも1枚の約80℃乃至150℃の温度にお
いて実質的に無孔化する微細孔性第1種シートと、少な
くとも1枚の第1種シートが無孔化する温度よりも少な
くとも約10℃高い温度において形状保持力を有する第
2種シート、の少なくとも2層を有するセパレータが提
案されている。
【0017】しかし、このような微多孔膜を用いた従来
のセパレータは、専らポリエチレンとポリプロピレンと
組み合わせて用いているため、ポリエチレンの融点とポ
リプロピレンの融点との間でしかシャットダウン特性と
形状保持力を兼備させることができなかった。例えば、
ポリエチレンの融点が140℃であり、ポリプロピレン
の融点が160℃であるとすると、前記ポリエチレンと
前記ポリプロピレンとの2層からなる微孔膜をセパレー
タとしたものは、シャットダウン開始温度が約140℃
であり、耐熱温度が約160℃となるので、シャットダ
ウン開始温度と耐熱温度との間を広く設計することがで
きないという問題点があった。そこで、シャットダウン
特性を兼備しながらも、さらに耐熱温度の高いセパレー
タが求められていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みてなされたものであり、高いイオン伝導度を確保
し、且つリチウムイオンのスムーズな移動を実現し、電
解液保持性に優れ、機械的強度や高温や温度変化の繰り
返しに対する耐久性に優れ、高温環境下での安全性に優
れた電池用セパレータを提供することを目的としたもの
である。また、特殊な製造工程等を必要としなくても、
前記セパレータが効率よく得られる製造方法を提供する
ことを目的としたものである。さらに、前記セパレータ
を電池に応用することにより、ローレート充放電時だけ
でなく、ハイレート放電時や低温放電時にも電池性能を
充分なレベルに保持し、高温や温度変化の繰り返しに対
する耐久性に優れ、長寿命で安定した電池性能を得るこ
とができ、さらに過充電、過放電やショート等のアブユ
ース時や高温環境下における安全性に優れた電池及びそ
の製造方法を提供することを目的としたものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第1は、多孔性基材の表面又は孔内の少な
くとも一部に有機ポリマー層が形成されたセパレータに
おいて、前記有機ポリマー層を形成するポリマーが18
0℃以下の温度において融点を有さないことを特徴とす
るセパレータである。即ち、前記有機ポリマー層を形成
するポリマーは、180℃より高い温度に融点を有する
ものであってもよく、多くの架橋ポリマーに見られるよ
うに、180℃より高い温度においても融点を有さずに
分解に至るものであってもよい。
【0020】本発明の第2は、前記有機ポリマーが、次
の(i)〜(iii)の構造を全て備えていることを特
徴とするセパレータである。 (i)有機ポリマーの骨格が架橋構造を有している (ii)有機ポリマーが微細孔構造を有している (iii)有機電解液が、有機ポリマーの骨格に膨潤に
よって保持されていると共に、微細孔内にも保持されて
いる 本発明の第3は、前記多孔性基材を形成する樹脂の融点
が、120〜180℃であることを特徴とするセパレー
タである。
【0021】本発明の第4は、前記多孔性基材が、厚さ
25μm未満であり、かつ、開孔率40%以上の微多孔
膜であることを特徴とするセパレータである。
【0022】本発明の第5は、前記有機ポリマーが、分
子内に重合性官能基を有するモノマーを電離性放射線照
射により重合することにより、骨格の架橋構造が形成さ
れると同時に微細孔構造が形成されることにより形成さ
れたことを特徴とするセパレータの製造方法である。
【0023】本発明の第6は、前記セパレータを用いる
ことを特徴とする電池である。
【0024】本発明の第7は、正極と負極とを、有機電
解液が未含有である前記セパレータを介して、積層又は
巻回する極群形成工程と、前記極群を電池容器内に格納
し、未注液電池を形成する極群格納工程と、前記未注液
電池に電解液を注液する注液工程と、からなることを特
徴とする電池の製造方法である。
【0025】即ち、第1の発明によれば、本発明のセパ
レータは多孔性基材を用いているので、機械的強度が高
く、耐熱性に優れ、温度変化の繰り返しに対する耐久性
に優れる。また、基材を用いないものに比べ、セパレー
タの製造時及び電池の製造時の取り扱いが容易となる。
【0026】また、前記多孔性基板の表面又は孔内の少
なくとも一部に有機ポリマー層が形成されているので、
前記有機ポリマーとして電解液との親和性が良好な材料
を選択すれば、単独のポリオレフィン製微多孔膜をセパ
レータとして用いた場合に比べ、電解液に対するセパレ
ータの濡れ性が向上するので、セパレータ部分の抵抗を
小さくでき、高いイオン伝導度を確保し、且つリチウム
イオンのスムーズな移動を実現し、電解液保持性に優れ
たセパレータとすることができる。
【0027】また、前記有機ポリマー層を形成するポリ
マーが180℃以下の温度において融点を有さないもの
とされているので、例えば前記多孔性基材にポリオレフ
ィン樹脂等を選択すると、シャットダウン特性と形状保
持力を兼備し、かつシャットダウン開始温度と耐熱温度
との間を広く設計したセパレータとすることができる。
【0028】また、第2の発明によれば、上記作用に加
え、本発明のセパレータに有機電解液を含浸した場合、
セパレータ中の有機電解液が、有機ポリマーに膨潤して
拘束されたゲル状のポリマー中電解液と、微細孔内に存
在する遊離の液体状電解液とがミクロに混在する状態と
なる。従って、この技術を電池、例えばリチウム電池に
応用した場合、充放電時における実際のリチウムイオン
の移動度は、遊離の液体状電解液中のリチウムイオンが
支配することになり、セパレータのイオン伝導度を少な
くとも1×10-3S/cmオーダーに保持すると共に、
リチウムイオンのスムーズな移動を実現することが可能
となる。また、一般に充放電時にはリチウムイオンとア
ニオンの移動度の差により濃度勾配ができる。その結
果、微細孔の存在しない均一なゲル状のポリマー電解質
では、電解質中に浸透流動が起こるため、電解液の偏在
が発生し、電池のサイクル寿命劣化の原因となるが、本
発明のセパレータ中の有機ポリマーは微細孔構造を有し
ているので、微細孔内に存在する遊離の液体状電解液は
有機ポリマーに拘束されず、緩和がスムーズに起こり、
長寿命で安定した電池性能を得ることができる。さら
に、セパレータ中の有機ポリマーの骨格が架橋されてい
るので、高温や温度変化の繰り返しに対する耐久性に優
れ、長期に渡り安定な構造を維持することが可能とな
る。さらに、多孔性基材が有機ポリマーの緻密化や結晶
化を防止し、微細孔構造をより効果的に得ることが可能
となる。
【0029】また、第3の発明によれば、適切な温度で
シャットダウン特性を発現させることができるので、上
記作用をより効果的に得ることができる。
【0030】また、第4の発明によれば、厚さが薄く、
開孔率や空孔径の大きい多孔性基材を用いているので、
電気抵抗が充分に小さいセパレータとすることができる
ので、上記作用をより効果的に得ることができる。
【0031】また、第5の発明によれば、抽出工程等の
特殊な製造工程等を必要としなくても、微細孔構造を持
つ有機ポリマーを有するセパレータを容易に得ることが
できる。さらに、重合開始剤等の添加剤を用いずに重合
性モノマーを重合することが可能となるので、材料コス
トが低減でき、前記添加剤が不純物として電池性能に悪
影響を与える虞を回避することができ、且つ、有機ポリ
マーの微細孔構造を短時間で容易に得ることが可能とな
る。
【0032】また、第6の発明によれば、ハイレート放
電時や低温放電時にも電池性能を充分なレベルに保持
し、長寿命で安定した電池性能を得ることができ、さら
に過充電、過放電やショート等のアブユース時や高温環
境下における安全性に優れた電池を得ることが可能とな
るだけでなく、多孔性基材の開孔率や空孔径が大きい場
合でも、製造工程中の短絡不良や、充放電中の電池短絡
を防止することが可能となる。
【0033】また、第7の発明によれば、電解液を含浸
する前の乾燥状態で極群を電池容器内に組み込むため、
製造工程が簡略化でき、上記作用を実現する電池を、さ
らに容易に得ることが可能となる。また、電池内への水
分混入が最低限に抑制できることからも、特に本発明を
リチウム電池に用いた場合に、上記作用を実現する電池
を容易に得ることが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0035】本発明のセパレータは、その表面又は孔内
の少なくとも一部に電解液を膨潤する性質を持ち、骨格
が架橋された有機ポリマーを有し、かつ、有機ポリマー
が微細孔構造を有するものであることが望ましい。これ
は、分子中に重合性官能基を有し、かつ、電解液と親和
性のある構造を有するモノマーを重合することにより形
成されることが望ましい。例えば、モノマーと溶媒を混
合したモノマー液を、多孔性基材に含浸、又は塗布、も
しくはキャストし、加熱、紫外線(UV)照射、電子線
照射等により前記モノマーを重合させて架橋有機ポリマ
ーを形成した後、前記溶媒を乾燥し、これに電解液を含
浸することにより、得ることができる。このとき、重合
開始剤等の添加剤を用いずに重合性モノマーを重合する
ことが可能となり、且つ、微細孔構造を短時間で容易に
得ることが可能となることから、電子線照射によりモノ
マーを重合させて架橋有機ポリマーを形成することが望
ましい。また、有機ポリマーの微細孔構造は、溶媒中に
均一に溶解したモノマーが溶媒中で重合する際、溶媒に
対する溶解度が低下することにより、相分離することで
形成される。このため、有機ポリマー骨格の架橋構造を
形成すると同時に微細孔構造を形成することができる。
ここで、モノマー液に用いる溶媒は必ずしも電解液を構
成する有機溶媒と同一である必要はなく、モノマーが溶
解可能な各種溶媒から選択することができる。
【0036】例えば、電解液を構成する溶媒としては、
リチウム電池において、一般に使用される化学的に安定
であるものが使用できる。例えば、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、
ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ
−ブチロラクトン、プロピオラクトン、バレロラクト
ン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキ
シエタン、メトキシエトキシエタン等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0037】また、前述した電解液を構成する溶媒以外
では、汎用的に用いられる化学的に安定であるものが使
用できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、アセトン、トルエン、アセトニトリ
ル、ヘキサン等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。場合によっては水を使用してもよい。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよ
い。
【0038】分子中に重合性官能基を有するモノマーと
しては、モノマーの状態では比較的溶媒と親和性が高
く、溶媒と均一に混合でき、重合することにより溶媒へ
の溶解度が低下し、有機ポリマー骨格を形成すると同時
に多孔質化する性質を有するモノマーである必要があ
り、用いる溶媒との親和性により選択される。このよう
な性質は、例えば、エチレンオキシド、ポリプロピレン
オキシド等のエーテル基、エステル基等の親水性の高い
構造とともに、アルキル鎖、フルオロアルキル鎖、ベン
ゼン骨格等の親水性の低い構造を同時に有することによ
り実現されるが、この方法に限定されるものではない。
分子中の重合性官能基としては、アクリレート、メタク
リレート、アリルエーテル、スチレン等が挙げられる
が、重合反応性の面からはアクリレートモノマーが適し
ている。また、架橋させるために、これらモノマーは少
なくとも2官能以上であることが必要である。このよう
なモノマーを重合して得られる架橋ポリマーは、少なく
とも180℃以下の温度において融点を有さないもので
あることが必要である。
【0039】電解液を構成する電解質化合物としては、
リチウム電池においては、一般に使用される広電位領域
において安定であるリチウム塩が使用できる。例えば、
LiBF 4,LiPF6,LiClO4,LiSO3CF3,LiN(SO2CF3)2,LiN
(SO2C2F5)2,LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)等が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。これらは単独で用い
てもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0040】多孔性基材としては、一般に液系の各種セ
パレータとして使用される微多孔膜や不織布、織布等が
そのまま使用できる。多孔性基材の材質は、溶媒や電解
液に対して化学的に安定であり、且つ電気化学的に安定
であるものが使用できる。例えば、ポリエチレンやポリ
プロピレン等のポリオレフィンを主原料とするものや、
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステルを主原料とするもの、セルロース
を主原料とするもの等が挙げられる。
【0041】このうち、適切な温度でシャットダウン特
性を発現するためには、多孔性基材を形成する樹脂の融
点が、120〜180℃であることが必要であり、特に
120〜150℃であることが望ましい。具体的にはポ
リエチレンを主原料とするものが適している。ここで、
ポリエチレンとしては、高密度、中密度、低密度の各種
直鎖ポリエチレン、分枝ポリエチレン等何れのポリエチ
レンも使用できる。電池内温度の上昇に伴って、多孔性
基材のポリエチレンが溶融し熱閉塞することで、セパレ
ータとしてのシャットダウン特性が発現する。従って、
適切な温度範囲でシャットダウン特性を発現するため
に、このポリエチレンの融点は120〜150℃、より
好ましくは120〜140℃の温度範囲にあることが望
ましい。
【0042】このとき、多孔性基材は、厚さ25μm以
下であり、かつ、開孔率40%以上の微多孔膜であるこ
とが望ましく、さらに言えば、厚さ5〜15μm、開孔
率45〜80%であることが望ましい。多孔性基材の厚
さが25μm以上、あるいは、開孔率40%未満では、
本来電気絶縁性である多孔性基材の電気抵抗が大きく、
このようなセパレータを用いた電池では、各種電池性能
を良好に保つことが困難となり、好ましくない。このこ
とから、厚さ25μm以下、かつ、開孔率40%以上で
あり、さらに好ましくは、厚さ15μm以下、あるい
は、開孔率45%以上である多孔性基材、特に微多孔膜
を用いることにより、多孔性基材の電気抵抗が充分に低
いため、本発明のセパレータの作用が効果的に得られ
る。しかし、厚さ5μm以下、あるいは、開孔率80%
以上の多孔性基材を用いた場合には、機械的強度に劣っ
たり、ハンドリングが困難となる。さらに、このような
セパレータを用いた電池では、電極間の微小短絡が発生
しやすくなるだけでなく、シャットダウン開始温度を超
えて電池の内部温度が上昇した場合に、微多孔膜が収縮
や破損し、正負極が直接接触して内部短絡を引き起こ
し、熱暴走する可能性が高くなり、好ましくない。
【0043】
【実施例】以下に、本発明について、実施例によりさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらの記述により限定
されるものではない。
【0044】(実施例1)(化1)で示される構造を持
つ2官能アクリレートモノマー3g及びエタノール12
gを混合し、完全に溶解させ、モノマー液を得た。前記
モノマー液をポリエチレン製微多孔膜(厚さ16μm、
開孔率45%)に含浸し、電子線照射によりモノマーを
重合させて有機ポリマー骨格を形成させた後、エタノー
ルを乾燥させ、膜厚20μmの本発明セパレータaを得
た。この本発明セパレータaの表面及び断面を走査型電
子顕微鏡にて観察したところ、平均孔径約0.5μmの
微細孔構造が形成された有機ポリマーのみからなる層が
微多孔膜表面に平均厚さ2.5μmずつ形成されてお
り、かつ、微多孔膜の孔内には、平均孔径約0.8μm
の微細孔構造が形成された有機ポリマーのみからなる層
がごく薄く形成されていることが確認された。
【0045】
【化1】
【0046】(実施例2)(化1)で示される構造を持
つ2官能アクリレートモノマー3g及びエタノール12
gを混合し、完全に溶解させ、モノマー液を得た。前記
モノマー液をポリエチレンテレフタレートフィルム上に
キャストし、電子線照射によりモノマーを重合させて有
機ポリマー骨格を形成させた後、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムを除去してエタノールを乾燥させ、膜厚
10μmの乾燥ポリマー多孔体を得た。次に、得られた
乾燥ポリマー多孔体を、別のポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に保持し、ポリエチレン製微多孔膜(厚さ
16μm、開孔率45%)の片面に積層し、ロールプレ
スした後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去
して乾燥ポリマー多孔体を微多孔膜表面に転写すること
により、膜厚20μmの本発明セパレータbを得た。こ
の本発明セパレータbの表面及び断面を走査型電子顕微
鏡にて観察したところ、平均孔径約0.3μmの微細孔
構造が形成された有機ポリマーのみからなる層が微多孔
膜片面に平均厚さ4μm形成されており、微多孔膜内部
には、ほとんど有機ポリマーは存在しないことが確認さ
れた。
【0047】(実施例3)(化1)で示される構造を持
つ2官能アクリレートモノマー3g及びエタノール12
gを混合し、完全に溶解させ、モノマー液を得た。前記
モノマー液をポリプロピレン製微多孔膜(厚さ16μ
m、開孔率45%)に含浸し、電子線照射によりモノマ
ーを重合させて有機ポリマー骨格を形成させた後、エタ
ノールを乾燥させ、膜厚20μmの本発明セパレータc
を得た。この本発明セパレータcの表面及び断面を走査
型電子顕微鏡にて観察したところ、平均孔径約0.5μ
mの微細孔構造が形成された有機ポリマーのみからなる
層が微多孔膜表面に平均厚さ2.5μmずつ形成されて
おり、かつ、微多孔膜の孔内には、平均孔径約0.8μ
mの微細孔構造が形成された有機ポリマーのみからなる
層がごく薄く形成されていることが確認された。
【0048】(実施例4)(化1)で示される構造を持
つ2官能アクリレートモノマー3g、エタノール12g
を混合し、完全に溶解させ、モノマー液を得た。前記モ
ノマー液をポリエチレンテレフタレートフィルム上にキ
ャストし、電子線照射によりモノマーを重合させて有機
ポリマー骨格を形成させた後、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルムを除去してエタノールを乾燥させ、膜厚1
0μmの乾燥ポリマー多孔体を得た。次に、得られた乾
燥ポリマー多孔体を、別のポリエチレンテレフタレート
フィルム上に保持し、ポリエチレン製微多孔膜(厚さ2
5μm、開孔率38%)の片面に積層し、ロールプレス
した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し
て乾燥ポリマー多孔体を微多孔膜表面に転写することに
より、膜厚30μmの本発明セパレータdを得た。この
本発明セパレータdの表面及び断面を走査型電子顕微鏡
にて観察したところ、平均孔径約0.3μmの微細孔構
造が形成されたポリマーのみからなる層が微多孔膜片面
に平均厚さ5μm形成されており、微多孔膜内部には、
ほとんど乾燥ポリマーは存在しないことが確認された。
【0049】(実施例5)(化1)で示される構造を持
つ2官能アクリレートモノマー3g及びγ−ブチロラク
トンとエチレンカーボネートを体積比3:2の割合で混
合した混合溶媒1リットルに1モルのLiBF4を溶解
した電解液12gを混合し、完全に溶解させ、モノマー
液を得た。前記モノマー液をポリプロピレン製不織布
(厚さ15μm、開孔率60%)に含浸し、電子線照射
によりモノマーを重合させて有機ポリマー骨格を形成さ
せ、膜厚20μmの本発明セパレータeを得た。この本
発明セパレータeを乾燥し、電解液を除去して得られた
乾燥ポリマーフィルムの表面及び断面を走査型電子顕微
鏡にて観察したところ、不織布表面のポリマーのみから
なる層及び不織布内部共に微細孔構造を有さず、一様な
ポリマーが形成されていることが確認された。
【0050】(比較例1)ポリプロピレン/ポリエチレ
ン/ポリプロピレン3層積層微多孔膜(厚さ25μm、
開孔率38%)を比較セパレータfとした。
【0051】表1に、これらセパレータa〜fの、20
℃におけるイオン伝導度をまとめて示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1より、本発明のセパレータはいずれ
も、10―3S/cmオーダーの高いイオン伝導度が得
られている。セパレータaとセパレータbがほぼ同じイ
オン伝導度の値を示すことから、有機ポリマー層は基材
上にキャスト・含浸する事によって形成しても良く、別
途作成した有機ポリマー層を貼り合わせることによって
形成しても良いことがわかる。また、厚さ25μm、開
孔率38%の多孔性基材を用いたセパレータdのイオン
伝導度がやや低い値を示すことから、基材の厚さは25
μm未満、開孔率は40%以上とすることが好ましいこ
とがわかる。また、ポリマー層が微細孔構造を有さない
セパレータeのイオン伝導度がやや低い値を示すことか
ら、有機ポリマーは微細孔構造を有することが好ましい
ことがわかる。
【0054】(本発明電池)本発明の電池の製造方法を
用いて製造された電池の断面図を図1に示す。1は正極
活物質であるコバルト酸リチウムを主成分とした正極合
剤であり、アルミ箔からなる正極集電体3上に塗布され
てなる。また、2は負極活物質であるカーボンを主成分
とした負極合剤であり、銅箔からなる負極集電体4上に
塗布されてなる。また、前記正極合剤1と負極合剤2
は、本発明のセパレータ5を介して積層されている。さ
らに、このようにして積層した発電要素を金属樹脂複合
フィルム6で覆い、四方を熱溶着により封止し、リチウ
ムを活物質とする電池としたものである。
【0055】次に、上記構成の電池の製造方法を説明す
る。はじめに、正極合剤1は次のようにして得た。ま
ず、正極活物質であるコバルト酸リチウムと、導電剤で
あるアセチレンブラックを混合し、さらに結着剤として
ポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶
液を混合したものを正極集電体3であるアルミ箔上に塗
布した後、乾燥し、合剤厚みが0.1mmとなるように
プレスすることにより、正極活物質シートを得た。以上
の工程により正極合剤1を得た。また、負極合剤2は、
負極活物質であるカーボンを用い、負極集電体4に銅箔
を用いる以外は前記正極合剤1と同様の方法により得
た。
【0056】以上のようにして得られた正極合剤1、負
極合剤2及びセパレータ5を積層し、発電要素を作製
し、金属樹脂複合フィルム6で覆い、三方を熱溶着によ
り封止した後、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネ
ートを体積比3:2の割合で混合した混合溶媒1リット
ルに1モルのLiBF4を溶解した電解液を注液した
後、さらに残りの一方を熱溶着により封止する製法によ
り、容量10mAhのポリマー電解質電池を作製した。
【0057】セパレータ5として、上記実施例で作成し
た本発明のセパレータa、b、c、d及びeをそれぞれ
用い、それぞれ本発明電池A、B、C、D及びEとし
た。
【0058】(比較電池)セパレータ5の部分に比較セ
パレータfを用い、比較電池Fとした。
【0059】(電池性能試験)次に、これらの本発明電
池A、B、C、D、E及び比較電池Fについて、放電レ
ート特性を取得した。試験温度は20℃とした。充電は
電流2mA、終止電圧4.2Vの定電流定電圧充電と
し、放電は種々の電流値で定電流放電を行い、終止電圧
は2.7Vとした。電池設計容量との比率を放電容量
(%)とした。結果を図2に示す。
【0060】図2において、放電電流30mAにおける
放電容量を比較すると、比較電池Cでは設計容量の65
%前後、比較電池Dでは設計容量の45%前後、比較電
池Eでは設計容量の20%前後、比較電池Fでは設計容
量の60%前後の放電容量しか得られないのに対し、本
発明電池Aでは設計容量の70%前後、本発明電池Bで
は設計容量の85%前後の放電容量が得られることがわ
かった。
【0061】(シャットダウン特性評価)さらに、これ
らの本発明電池A、B、C、D、E及び比較電池Fにつ
いて、シャットダウン特性評価を実施した。電流2m
A、終止電圧4.2Vの定電流定電圧充電をした電池を
温度制御可能なオーブン中に設置し、電池電圧及び内部
抵抗を測定しながら5℃/分の速度で170℃まで昇温
し、90分間保持した。所定時間経過後、オーブンから
電池を取り出して電池を解体し、セパレータを取り出
し、収縮、破損の有無、閉塞の程度を観察した。結果を
表2に示す。
【0062】一方、支差走査熱量分析装置によりセパレ
ータを構成する樹脂及びポリマーの融点を測定した結
果、ポリエチレンの融点は約135℃、ポリプロピレン
の融点は約165℃、(化1)で示される構造を持つ2
官能アクリレートモノマーを重合して得られるポリマー
の融点は少なくとも200℃以上であった。
【0063】
【表2】
【0064】表2より、本発明電池C及びEは形状保持
力は有するが、シャットダウン特性を発現するには至ら
ないことがわかった。また、比較電池Fはシャットダウ
ン特性を発現したが、形状保持力に欠けることがわかっ
た。これに対し、本発明電池A、B及びDはシャットダ
ウン特性を発現すると共に良好な形状保持力を示すこと
がわかった。
【0065】以上、リチウム電池を例に挙げて説明した
が、本発明のセパレータはリチウム電池に限定されるも
のではなく、ニッケル水素電池をはじめ水系電解液を用
いる種々の電池系においても用いることができる。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、特
殊な製造工程等を必要としなくても、高いイオン伝導度
を確保し、且つイオンのスムーズな移動を実現し、電解
液保持性に優れ、機械的強度や高温や温度変化の繰り返
しに対する耐久性に優れ、高温環境下での安全性に優れ
たセパレータ及びその製造方法を提供することができ
る。また、前記セパレータを電池に応用することによ
り、ハイレート放電時や低温放電時にも電池性能を充分
なレベルに保持し、高温や温度変化の繰り返しに対する
耐久性に優れ、長寿命で安定した電池性能を得ることが
でき、さらに過充電、過放電やショート等のアブユース
時や高温環境下における安全性に優れた電池及びその製
造方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム電池の断面図である。
【図2】本発明電池及び比較電池のレート特性を示した
図である。
【符号の説明】
1 正極合剤 2 負極合剤 3 正極集電体 4 負極集電体 5 セパレータ 6 金属樹脂複合フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H021 CC00 CC04 EE02 HH02 HH03 HH06 5H029 AJ12 AK03 AL06 AM03 AM05 AM07 BJ03 CJ07 CJ13 DJ02 DJ04 HJ04 HJ14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性基材の表面又は孔内の少なくとも
    一部に有機ポリマー層が形成されたセパレータにおい
    て、前記有機ポリマー層を形成するポリマーが180℃
    以下の温度において融点を有さないことを特徴とするセ
    パレータ。
  2. 【請求項2】 前記有機ポリマーが、次の(i)〜(i
    ii)の構造を全て備えていることを特徴とする請求項
    1記載のセパレータ。 (i)有機ポリマーの骨格が架橋構造を有している (ii)有機ポリマーが微細孔構造を有している (iii)有機ポリマーの骨格が有機電解液を膨潤する
    性質を有している
  3. 【請求項3】 前記多孔性基材の融点が、120〜18
    0℃であることを特徴とする請求項1又は2記載のセパ
    レータ。
  4. 【請求項4】 前記多孔性基材が、厚さ25μm未満で
    あり、かつ、開孔率40%以上の微多孔膜であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセパレー
    タ。
  5. 【請求項5】 前記有機ポリマーが、分子中に重合性官
    能基を有するモノマーを電離性放射線照射により重合す
    ることにより、骨格の架橋構造が形成されると同時に微
    細孔構造が形成されることにより得られたことを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載のセパレータの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載のセパレ
    ータを用いたことを特徴とする電池。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載のセパレ
    ータを介して、正極と負極とを積層又は巻回する発電要
    素形成工程と、前記発電要素を電池容器内に格納する未
    注液電池作成工程と、前記未注液電池に電解液を注液す
    る注液工程と、からなることを特徴とする請求項6記載
    の電池の製造方法。
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