JP2002146836A - 建設機械の旋回装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 グリースバスと近い位置に配置される下側軸
受をグリースバスから噴上げてくる異物に対して保護
し、軸受の耐久性、寿命を延ばすようにする。 【解決手段】 旋回用の油圧モータ１０の回転を減速機
４内の遊星歯車減速機構１４，１９によって２段階に減
速し、減速機４の出力軸２４から高トルクの回転力が取
り出す。出力軸２４のピニオン２５は旋回輪３２の内歯
３７に噛合し、ピニオン２５の公転が出力軸２４からハ
ウジング５を介して旋回フレーム２に伝達され、上部旋
回体が下部走行体上で旋回駆動される。減速機４のハウ
ジング５内で出力軸２４を支持する上，下の軸受２６，
２８のうち、グリースバス３８内のグリースＧと上，下
で対向する下側軸受２８の下面側を、例えば発泡ウレタ
ン等の充填材４１で覆い、下側軸受２８を下側から保護
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベ
ル、油圧クレーン等の旋回式建設機械に好適に用いられ
る建設機械の旋回装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等
の建設機械は、下部走行体と、該下部走行体上に旋回可
能に搭載された上部旋回体とからなり、該上部旋回体と
下部走行体との間には、上部旋回体を下部走行体上で旋
回駆動するための旋回装置が設けられている。

【０００３】そして、該旋回装置は、下端側が上部旋回
体に取付けられ上端側に回転源が設けられたハウジング
と、該ハウジング内に設けられ前記回転源の回転を減速
する減速機構と、前記ハウジング内から下部走行体側に
向けて突出し該減速機構により減速された回転を出力す
るピニオンを有した出力軸と、該出力軸の軸方向に離間
して前記ハウジングと出力軸との間に設けられ該出力軸
を回転可能に支持する上，下の軸受と、前記上部旋回体
と下部走行体との間に設けられ前記出力軸のピニオンに
噛合する旋回輪と、該旋回輪の内側に位置して前記下部
走行体側に設けられ前記ピニオンと旋回輪との間を潤滑
するためのグリースを収容したグリースバスとを備えて
いる（例えば、特開平８−１２０７０７号公報等）。

【０００４】この種の従来技術による旋回装置は、旋回
用の油圧モータからなる回転源によりピニオンを回転駆
動すると、該ピニオンが旋回輪の内輪に設けた内歯と噛
合しつつ内輪の周囲を公転することにより、このピニオ
ンの公転力を旋回装置のハウジングを介して上部旋回体
側に伝え、これによって上部旋回体を下部走行体に対し
低速、高トルクで旋回駆動するものである。

【０００５】そして、旋回装置のグリースバス内に収容
したグリースは、旋回輪の内歯とピニオンとの間の噛合
部を潤滑することにより、ピニオンと旋回輪との円滑な
回転を補償するものである。しかし、グリースバス内の
グリースは、旋回輪の内歯とピニオンとが噛合するとき
のポンプ作用によって周囲に飛散し、例えばハウジング
内の下側軸受等に向けて噴出するように挙動することが
ある。

【０００６】そこで、従来技術にあっては、このような
グリースの噴出から下側軸受を保護するため、前記下側
軸受とピニオンとの間に位置して出力軸の下端側外周に
環状の保護プレート等を設け、グリースバスから噴出し
てくるグリースが下側軸受に突き上げるように衝突する
のを防止している。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による旋回装置は、グリースの噴出流から下側軸
受を保護するために環状の保護プレートを設けているも
のの、該保護プレートの外周縁とハウジングの下端側内
周との間には、出力軸の円滑な回転を補償するための隙
間を全周に亘って形成している。

【０００８】このため、前述の如く旋回輪の内歯とピニ
オンとの噛合部から噴出したグリースの一部は、前記保
護プレートとハウジングとの間の隙間からハウジング内
に侵入し、ハウジング内で下側軸受の下面等に付着する
ことがある。

【０００９】この場合、グリースバス内のグリース中に
は、旋回輪の内歯とピニオンとの噛合部から発生する摩
耗粉等の金属粉が混入し易く、このような金属粉が前記
グリースと共に下側軸受の下面等に付着すると、その転
動面に金属粉が侵入して軸受寿命が低下する虞れがあ
る。

【００１０】また、グリースバス内にあっては周囲温度
の変化等により結露が発生し、このような結露の影響で
グリースバス内に水分が溜まることがある。そして、グ
リースバス内に溜まった水分は、前述の如く噴出するグ
リースと共に前記保護プレートとハウジングとの間の隙
間からハウジング内に侵入し、ハウジング内で下側軸受
の下面等に付着してしまう。

【００１１】また、旋回装置のハウジング内でも、下側
軸受の下面等に結露が発生することがあり、下側軸受は
前記水分や結露の影響によって、その金属肌面が徐々に
腐食され易くなる。そして、このような腐食が進行する
と、軸受寿命が低下するばかりでなく、旋回装置として
の耐久性、寿命が低下するという問題がある。

【００１２】一方、下側軸受よりも下側に位置してハウ
ジングと出力軸との間にシール部材を設け、下側軸受を
潤滑する潤滑剤等がグリースバス側に漏洩するのをシー
ル部材によって防止する構成とした他の従来技術（例え
ば、特開平７−５２６８６号公報等）も知られている。

【００１３】そして、このような他の従来技術では、シ
ール部材を用いることにより前記グリース、水分等が下
側軸受に付着するのを防止することが可能となる。しか
し、この場合でもシール部材には、例えばリップ部の先
端等に前記金属粉がグリースと共に付着することがある
ため、シール部材が金属粉によって損傷される虞れがあ
り、シール寿命が低下し易いという問題がある。

【００１４】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明の目的は、グリースバスと近い位
置に配置される下側軸受を、グリースの噴出流による金
属粉等から保護できると共に、水分による発錆等も抑え
ることができ、軸受の寿命を延ばして装置全体の耐久
性、寿命を向上できるようにした建設機械の旋回装置を
提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明は、下端側が上部旋回体に取付けられ上
端側に回転源が設けられたハウジングと、該ハウジング
内に設けられ前記回転源の回転を減速する減速機構と、
前記ハウジング内から下部走行体側に向けて突出し該減
速機構により減速された回転を出力するピニオンを有し
た出力軸と、該出力軸の軸方向に離間して前記ハウジン
グと出力軸との間に設けられ該出力軸を回転可能に支持
する上，下の軸受と、前記上部旋回体と下部走行体との
間に設けられ前記出力軸のピニオンに噛合する内歯を有
した旋回輪と、該旋回輪の内側に位置して前記下部走行
体側に設けられ前記ピニオンと旋回輪の内歯との間を潤
滑するためのグリースを収容したグリースバスとからな
る建設機械の旋回装置に適用される。

【００１６】そして、請求項１の発明が採用する構成の
特徴は、前記上，下の軸受のうち前記グリースバスと近
い位置に配置される下側軸受は、自己潤滑性を有する軸
受により構成し、該下側軸受には前記グリースバスと対
向する面側を外部の異物から保護するために高分子材料
からなる充填材を設ける構成としたことにある。

【００１７】このように構成したことにより、自己潤滑
性を有する下側軸受は、外部から潤滑油を供給すること
なく、出力軸の円滑な回転を長期に亘って補償すること
ができる。そして、グリースバス内のグリースと共に金
属粉、水分等の異物が、旋回輪の内歯とピニオンとの噛
合部から噴き上げられ、グリースバスと上，下で対向す
る下側軸受の下面側等に向け噴出してきたとしても、下
側軸受に設けた高分子材料からなる充填材は、このよう
な異物から下側軸受を保護でき、下側軸受が金属粉で損
傷されたり、水分で発錆したりするのを長期に亘って防
止することができる。

【００１８】また、請求項２の発明によると、下側軸受
は、ハウジングの下端側内周に嵌合された外輪と、出力
軸の下端側外周に嵌合された内輪と、前記外輪と内輪と
の間に転動可能に設けられた複数の転動体とからなり、
充填材は前記下側軸受の外輪と内輪のうちいずれか一方
側に固着され、他方側には摺動接触する構成としてい
る。

【００１９】これにより、充填材は下側軸受の外輪と内
輪との相対回転を補償しつつ、下側軸受（外輪、内輪お
よび各転動体）の下面側を充填材で覆うことができ、外
輪および内輪の転動面等に金属粉、水分等の異物が侵入
するのを防止できる。

【００２０】また、請求項３の発明によると、充填材
は、ウレタン樹脂、発泡ウレタン樹脂、シリコン樹脂、
発泡シリコン樹脂のうちいずれか１つの高分子材料によ
り構成している。

【００２１】これにより、ウレタン樹脂、発泡ウレタン
樹脂、シリコン樹脂または発泡シリコン樹脂からなる高
分子材料を下側軸受の下面側に塗布したり、スプレー等
で吹き付けたりして、下側軸受の下面側を充填材で覆う
ことができる。

【００２２】さらに、請求項４の発明は、充填材には、
外部の水分から下側軸受を保護するための乾燥剤を混入
してなる構成としている。この場合には、充填材中に混
入した乾燥剤により、外部からの水分を吸収したり、外
部に揮散させたりして、外部からの水分が下側軸受の下
面側に浸入するのを遮断でき、下側軸受が発錆するのを
長期に亘って防止することができる。

【００２３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
建設機械の旋回装置を、添付図面に従って詳細に説明す
る。

【００２４】ここで、図１ないし図３は本発明の第１の
実施の形態を示している。図中、１は建設機械の下部走
行体（図示せず）の一部を構成する丸胴、２は上部旋回
体（図示せず）の一部を構成する旋回フレームをそれぞ
れ示している。

【００２５】３は下部走行体側の丸胴１に対して上部旋
回体側の旋回フレーム２を旋回駆動するための旋回装置
で、該旋回装置３は、後述する旋回用の減速機４と、旋
回用の油圧モータ１０、旋回輪３２およびグリースバス
３８等とにより構成されている。

【００２６】４は旋回フレーム２上に設けられた旋回用
の減速機を示し、該減速機４は、後述のハウジング５、
遊星歯車減速機構１４，１９、出力軸２４、ピニオン２
５、上側軸受２６および下側軸受２８等から大略構成さ
れている。

【００２７】５は減速機４の外殻をなす筒状のハウジン
グで、該ハウジング５は、下端側が旋回フレーム４の上
面側に固着された下側ハウジング６と、該下側ハウジン
グ６の上端側に固着して設けられた上側ハウジング７等
とにより構成されている。

【００２８】ここで、下側ハウジング６の下端側には、
径方向外向きに突出しボルト８等により旋回フレーム２
に固着された下フランジ部６Ａと、該下フランジ部６Ａ
の径方向内側に位置して下向きに突出し、内周側に後述
の下側軸受２８が取付けられた環状の軸受取付部６Ｂと
が形成されている。

【００２９】また、下側ハウジング６の内周側には、軸
受取付部６Ｂよりも上側に位置して後述のシールリング
３１が装着されるシール装着部６Ｃと、該シール装着部
６Ｃの上側に位置して後述の上側軸受２６が取付られる
他の軸受取付部６Ｄとが設けられている。そして、下側
ハウジング６の上端側にはテーパ状に拡径した上フラン
ジ部６Ｅが形成され、該上フランジ部６Ｅには上側ハウ
ジング７の下端側がボルト９等によって固着されてい
る。

【００３０】ここで、上側ハウジング７の上端側には、
回転源としての旋回用の油圧モータ１０がボルト１１等
により固着され、該油圧モータ１０の回転軸１０Ａは、
上側ハウジング７内へと下向きに伸長している。また、
上側ハウジング７の内周側には、上下方向（軸方向に）
に離間して２つの内歯１２，１３が全周に亘って形成さ
れている。

【００３１】１４は油圧モータ１０の下方に位置して上
側ハウジング７内に配設された１段目の遊星歯車減速機
構で、該遊星歯車減速機構１４は、油圧モータ１０の回
転軸１０Ａにスプライン結合された太陽歯車１５と、該
太陽歯車１５と上側ハウジング７の内歯１２とに噛合
し、該太陽歯車１５の周囲を自転しつつ公転する複数の
遊星歯車１６（１個のみ図示）と、該各遊星歯車１６を
ピン１７を介して回転可能に支持するキャリア１８とか
ら構成されている。

【００３２】１９は遊星歯車減速機構１４の下方に位置
して上側ハウジング７内に配設された２段目の遊星歯車
減速機構を示し、該遊星歯車減速機構１９は、遊星歯車
減速機構１４のキャリア１８にスプライン結合された太
陽歯車２０と、該太陽歯車２０と上側ハウジング７の内
歯１３とに噛合し、該太陽歯車２０の周囲を自転しつつ
公転する複数の遊星歯車２１（１個のみ図示）と、該各
遊星歯車２１をピン２２を介して回転可能に支持するキ
ャリア２３とから構成されている。

【００３３】そして、キャリア２３は、後述する出力軸
２４の上端側にスプライン結合され、各遊星歯車２１の
公転を出力軸２４に伝達するものである。これにより油
圧モータ１０は、回転軸１０Ａの回転が遊星歯車減速機
構１４，１９によって２段階に減速され、出力軸２４を
大トルクで、低速回転させる。

【００３４】２４はハウジング５内に回転可能に設けら
れた出力軸を示し、該出力軸２４は下側ハウジング６内
で後述の上側軸受２６と下側軸受２８によって回転可能
に支持されている。そして、出力軸２４は、油圧モータ
１０の回転を各遊星歯車減速機構１４，１９によって減
速して出力するものである。

【００３５】２５は出力軸２４の下端側に一体に設けら
れたピニオンで、該ピニオン２５は、下側ハウジング６
の軸受取付部６Ｂよりも下方へと後述のグリースバス３
８内に向けて突出し、後述する旋回輪３２の内歯３７と
噛合している。

【００３６】２６は下側ハウジング６の軸受取付部６Ｄ
と出力軸２４との間に設けられた上側軸受で、該上側軸
受２６は後述の下側軸受２８と共に出力軸２４を回転可
能に支持している。また、上側軸受２６は、出力軸２４
の外周側に螺着された環状のナット部材２７により、内
輪側が出力軸２４の軸方向に位置決めされている。

【００３７】２８は下側ハウジング６と出力軸２４との
間に設けられた下側軸受で、該下側軸受２８は、図２、
図３に示す如く下側ハウジング６の軸受取付部６Ｂ内周
側に嵌合された外輪２８Ａと、出力軸２４の下端側外周
に挿嵌された内輪２８Ｂと、外輪２８Ａと内輪２８Ｂと
の間に設けられた複数の転動体としてのローラ２８Ｃ
（１個のみ図示）等とにより構成されている。

【００３８】そして、下側軸受２８は、外輪２８Ａと内
輪２８Ｂとの間に位置してローラ２８Ｃの軸方向両側
（上，下両側）等に固形潤滑剤２９が設けられた自己潤
滑性の軸受として構成され、上側軸受２６と共に出力軸
２４を回転可能に支持するものである。

【００３９】また、下側軸受２８の内輪２８Ｂには、図
３に示す如く下端側に環状の鍔部２８Ｂ1 が形成され、
該鍔部２８Ｂ1 はローラ２８Ｃの端部を下側から抜止め
しつつ回転可能に支持している。また、下側軸受２８は
外輪２８Ａ、内輪２８Ｂおよび各ローラ２８Ｃの下面側
等が後述の充填材４１によって覆われている。

【００４０】ここで、前記固形潤滑剤２９は、例えばポ
リアミド、ポリエチレン、フッ素樹脂等からなる液状の
樹脂材料にグリース等の潤滑油を含浸させ、これを加
熱、冷却することにより固形油として形成されるもので
ある。

【００４１】即ち、固形潤滑剤２９は、下側軸受２８の
外輪２８Ａと内輪２８Ｂとの間にローラ２８Ｃの上，下
両側から液状のまま充填され、この状態で固形化される
ことによりローラ２８Ｃの上，下両側を覆うように配置
される。

【００４２】そして、下側軸受２８は、外輪２８Ａと内
輪２８Ｂとの間でローラ２８Ｃが転動するときに、固形
潤滑剤２９が両者の転動面に徐々に滲み出し、これによ
って外輪２８Ａ、内輪２８Ｂとローラ２８Ｃとの間の転
動面を常に潤滑状態に保持するものである。

【００４３】３０は下側軸受２８とピニオン２５との間
に設けられた環状の間座で、該間座３０は、図２、図３
に示す如く下側軸受２８の内輪２８Ｂとピニオン２５と
の間に位置して出力軸２４の外周に嵌合され、下側軸受
２８の内輪２８Ｂを出力軸２４の軸方向に位置決めする
ものである。

【００４４】３１は上側軸受２６と下側軸受２８との間
に位置してハウジング５内に設けられたシール部材とし
てのシールリングで、該シールリング３１は、外周側が
下側ハウジング６のシール装着部６Ｃに装着され、内周
側が出力軸２４の外周面に適度な弾性力をもって液密に
摺接している。

【００４５】そして、シールリング３１は、遊星歯車減
速機構１４，１９および上側軸受２６等を潤滑するため
図１に示す如くハウジング５内に収容した潤滑油Ｌを、
下側ハウジング６のシール装着部６Ｃと出力軸２４との
間で封止すると共に、この潤滑油Ｌが下側ハウジング６
内でシール装着部６Ｃよりも下方へと漏洩するのを阻止
している。

【００４６】３２は丸胴１と旋回フレーム２との間に設
けられた旋回輪で、この旋回輪３２は、丸胴１の上面に
ボルト３３等を用いて固着された内輪３４と、旋回フレ
ーム２の下面に他のボルト（図示せず）等を用いて固着
された外輪３５と、内輪３４と外輪３５との間に配設さ
れた複数の転動体としての鋼球３６（１個のみ図示）と
により構成され、旋回フレーム２を丸胴１に対して旋回
可能に支持するものである。

【００４７】また、旋回輪３２には内輪３４の内周側に
内歯３７が全周に亘って形成され、該内歯３７には前述
した減速機４のピニオン２５が噛合している。そして、
旋回輪３２は、ピニオン２５の公転力が減速機４のハウ
ジング５側に伝えられると、外輪３５が旋回フレーム２
を伴って内輪３４の周囲を回転するようになり、これに
よって上部旋回体は下部走行体に対し低速、高トルクで
旋回駆動されるものである。

【００４８】３８は内歯３７の下側に位置して下部走行
体の丸胴１に設けられたグリースバスで、該グリースバ
ス３８は、旋回輪３２の内側に位置して丸胴１の上端側
内周に固着して設けられている。そして、グリースバス
３８内には、内輪３４に設けられた内歯３７とピニオン
２５との噛合部を潤滑するため、図１中に仮想線で示す
如くグリースＧが収容されている。

【００４９】４１は下側軸受２８の下面側に設けた充填
材で、該充填材４１は、例えばウレタン樹脂、発泡ウレ
タン樹脂、シリコン樹脂、発泡シリコン樹脂等の高分子
材料を、図２、図３に示す如く下側軸受２８の外輪２８
Ａ、内輪２８Ｂおよび各ローラ２８Ｃ等の下面側にスプ
レー等の手段で吹き付けたり、または塗布したりするこ
とにより構成されている。

【００５０】これにより、充填材４１は、下側軸受２８
の下面側と共にピニオン２５の上端面、間座３０の外周
面、下側ハウジング６の軸受取付部６Ｂ下端内周側等を
全周に亘って覆い、グリースバス３８内から図２中の矢
示Ｈ方向にグリースＧと共に噴出してくる金属粉、水分
等の異物に対して下側軸受２８を下面側で保護するもの
である。

【００５１】ここで、下側軸受２８の下面側に充填材４
１を設ける場合には、まず、下側軸受２８の外輪２８Ａ
側（例えば、外輪２８Ａの下面側、下側ハウジング６の
軸受取付部６Ｂの下端内周側）等に予め油液等を薄く塗
布し、この状態で前述の如く高分子材料を下側軸受２８
の下面側に向けて（例えば、図３中の矢示Ｆ方向に）吹
き付け、または塗布することにより、充填材４１を図示
の如く設ける。

【００５２】これにより、充填材４１は、下側軸受２８
の内輪２８Ｂ側（例えば、内輪２８Ｂの下面側、ピニオ
ン２５の上端面側、間座３０の外周面側等）に密着する
ように固着される固定部４１Ａと、外輪２８Ａの下面
側、軸受取付部６Ｂの下端内周側に対して摺動可能に接
触する摺動接触部４１Ｂとを有している。

【００５３】この結果、ハウジング５内で出力軸２４が
回転するときに、充填材４１は固定部４１Ａにより下側
軸受２８の内輪２８Ｂ等と一緒に回転し、外輪２８Ａの
下端内周側および下側ハウジング６の軸受取付部６Ｂに
対しては摺動接触部４１Ｂ側で摺動接触を続ける。そし
て、グリースバス３８内のグリースＧと上，下で対向す
る下側軸受２８の下面側に設けた充填材４１は、ローラ
２８Ｃの転動等に影響されることはなく、下側軸受２８
を下側から保護し続けるものである。

【００５４】さらに、４２，４２，…は図３に示す如く
充填材４１中に混入した乾燥剤で、該乾燥剤４２は、例
えば活性炭、シリカゲル等の吸湿材料を細かい粒子状に
調製した状態で、これらを前記高分子材料に混合するこ
とによって形成される。そして、乾燥剤４２は、充填材
４１に外部から付着した水分等を一時的に吸収すると共
に、外部雰囲気中の湿度が低下したときには水分を外部
に揮散させ、これにより、下側軸受２８の金属肌面に水
分が浸入するのを防ぐものである。

【００５５】本実施の形態による旋回装置３は上述の如
き構成を有するもので、次にその作動について説明す
る。

【００５６】まず、旋回用の油圧モータ１０に外部から
圧油を給排して回転軸１０Ａを回転駆動すると、この回
転は減速機４のハウジング５内で遊星歯車減速機構１
４，１９によって２段階に減速され、減速機４の出力軸
２４には高トルクの回転力が伝達される。

【００５７】そして、該出力軸２４のピニオン２５は、
旋回輪３２の内輪３４に設けられた内歯３７に噛合し、
該内歯３７に沿って公転する。この場合、旋回輪３２は
内輪３４が下部走行体の丸胴１に固着され、外輪３５が
上部旋回体の旋回フレーム２に固着されているから、ピ
ニオン２５の公転が出力軸２４からハウジング５を介し
て旋回フレーム２に伝達され、上部旋回体が下部走行体
上で旋回駆動される。

【００５８】また、このように減速機４が作動している
間は、グリースバス３８内に収容されたグリースＧによ
り旋回輪３２の内歯３７とピニオン２５との噛合部が潤
滑される。そして、このグリースＧによりピニオン２５
は、旋回輪３２の内歯３７に噛合しつつ、旋回輪３２の
内側で円滑に自転、公転するのが補償される。

【００５９】ところで、ピニオン２５が旋回輪３２の内
歯３７に噛合しつつ回転する間、両者の噛合部に生じる
ポンプ作用により、グリースバス３８内のグリースＧ
は、その一部が旋回輪３２の内歯３７とピニオン２５と
の噛合部から上方（例えば、図２中の矢示Ｈ方向）へと
下側軸受２８の下面等に向けて噴き上げるように飛散す
ることがある。

【００６０】この場合、グリースバス３８内のグリース
Ｇ中には、旋回輪３２の内歯３７とピニオン２５との噛
合部から発生する摩耗粉等の金属粉が混入し易い。ま
た、グリースバス３８内では周囲温度の変化等により結
露が発生し易く、このような結露の影響でグリースバス
３８内には水分が溜まることがある。

【００６１】そして、グリースバス３８内に溜まった水
分、金属粉等の異物は、前述の如く噴出するグリースＧ
と共に図２中の矢示Ｈ方向に吹き上げられたときに、下
側ハウジング６内で下側軸受２８の下面等を損傷させた
り、下側軸受２８の金属肌面を腐食させたりする原因と
なってしまう。

【００６２】そこで、本実施の形態では、グリースバス
３８内のグリースＧと上，下で対向する下側軸受２８の
下面側に、例えばウレタン樹脂、発泡ウレタン樹脂、シ
リコン樹脂、発泡シリコン樹脂等の高分子材料からなる
充填材４１を塗布、吹き付け等の手段で設け、この充填
材４１によって下側軸受２８の下面側と共にピニオン２
５の上端面、間座３０の外周面、下側ハウジング６の軸
受取付部６Ｂ下端内周側等を全周に亘って覆う構成とし
ている。

【００６３】そして、充填材４１は、固定部４１Ａが下
側軸受２８の内輪２８Ｂ側（例えば、内輪２８Ｂの下面
側、ピニオン２５の上端面側、間座３０の外周面側等）
に密着するように固着され、外輪２８Ａの下面側、軸受
取付部６Ｂの下端内周側に対しては摺動接触部４１Ｂが
摺動可能に接触する構成となっている。

【００６４】これにより、ハウジング５内で出力軸２４
が回転するときに、充填材４１は下側軸受２８の内輪２
８Ｂと一緒に回転し、外輪２８Ａの下端内周側および下
側ハウジング６の軸受取付部６Ｂに対しては摺動接触を
続ける。そして、充填材４１はローラ２８Ｃの転動等に
影響されることはなく、下側軸受２８を下側から保護し
続けるようになる。

【００６５】このため、グリースバス３８内に溜まった
水分、金属粉等の異物がグリースＧと共に図２中の矢示
Ｈ方向に噴き上げられる場合でも、下側軸受２８の下面
側を充填材４１によって異物から保護することができ、
下側軸受２８の外輪２８Ａ、内輪２８Ｂおよびローラ２
８Ｃ等が異物により損傷されたり、水分や結露の影響で
発錆したりするのを長期に亘って防止できる。

【００６６】また、充填材４１を発泡ウレタン、発泡シ
リコン等の発泡樹脂材料で形成した場合には、充填材４
１が多孔質構造に成形されるために、噴出してくるグリ
ースＧの一部等を浸み込ませる含有できると共に、その
多孔質部分により断熱効果も発揮することができ、下側
軸受２８の金属肌面等に結露が発生するのを抑えること
ができる。

【００６７】一方、充填材４１中にグリースＧの一部を
含油させたり、または他の潤滑油、防錆油等を予め含油
（含浸）しておくことにより、外輪２８Ａの下端内周
側、下側ハウジング６の軸受取付部６Ｂに対して充填材
４１を滑らかに摺動接触させることができ、下側軸受２
８の回転を円滑化できると共に、下側軸受２８等の防錆
効果も高めることができる。

【００６８】また、下側軸受２８の外輪２８Ａと内輪２
８Ｂとの間には、各ローラ２８Ｃを上，下両側から覆う
ように固形潤滑剤２９が設けられているため、ローラ２
８Ｃの下面側を固形潤滑剤２９で保護でき、前記水分等
がローラ２８Ｃに付着するのを防ぐことができる。

【００６９】そして、この固形潤滑剤２９は、下側軸受
２８の外輪２８Ａと内輪２８Ｂとの間で各ローラ２８Ｃ
が転動するときに、両者の転動面に潤滑油となって徐々
に滲み出し、外輪２８Ａ、内輪２８Ｂとローラ２８Ｃと
の間の転動面を常に潤滑状態に保持することができる。

【００７０】さらに、充填材４１中には、例えば活性
炭、シリカゲル等からなる乾燥剤４２を混入しているた
め、充填材４１中の乾燥剤４２により、外部からの水分
が下側軸受２８の下面側に浸入するのを遮断でき、これ
によっても下側軸受２８が発錆するのを長期に亘って防
止することができる。

【００７１】従って、本実施の形態によれば、グリース
バス３８と近い位置に配置される下側軸受２８の下面側
を、高分子材料からなる充填材４１で覆うことにより、
下側軸受２８の下面側を外部の異物から確実に保護で
き、下側軸受２８の寿命を延ばすことができ、これによ
って、旋回装置３全体の耐久性、寿命を向上することが
できる。

【００７２】次に、図４は本発明の第２の実施の形態を
示し、本実施の形態でも、第１の実施の形態と同一の構
成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとす
る。しかし、本実施の形態の特徴は、下側軸受２８とピ
ニオン２５との間に間座等を用いることなく、下側軸受
２８の内輪２８Ｂをピニオン２５の上面に直に当接させ
る構成としたことにある。

【００７３】図中、５１は本実施の形態で採用した下側
ハウジングで、該下側ハウジング５１は、第１の実施の
形態で述べた下側ハウジング６とほぼ同様に構成され、
下フランジ部５１Ａ、軸受取付部５１Ｂ、シール装着部
５１Ｃおよび他の軸受取付部５１Ｄ等を有している。

【００７４】しかし、本実施の形態では、第１の実施の
形態で用いた間座３０を省略しているため、下側ハウジ
ング５１の軸受取付部５１Ｂがシール装着部５１Ｃから
前記間座の高さ分だけ軸方向に離間して形成されてい
る。そして、下側ハウジング５１の軸受取付部５１Ｂに
は、下側軸受２８の外輪２８Ａが嵌合して取付けられて
いる。また、下側軸受２８は内輪２８Ｂが出力軸２４の
外周側に嵌合して設けられ、内輪２８Ｂの下面側はピニ
オン２５の上面側に直に当接している。

【００７５】５２は下側軸受２８の下面側に設けた充填
材で、該充填材５２も第１の実施の形態で述べた充填材
４１と同様に構成されている。そして、充填材５２は、
下側軸受２８の下面側と共にピニオン２５の上端側、下
側ハウジング５１の軸受取付部５１Ｂ下端側等を全周に
亘って覆い、グリースバス３８内から図４中の矢示Ｈ方
向にグリースＧと共に噴出してくる金属粉、水分等の異
物に対して下側軸受２８を下面側で保護するものであ
る。

【００７６】ここで、下側軸受２８の下面側に充填材５
２を設ける場合には、まず、下側軸受２８の外輪２８Ａ
側（例えば、外輪２８Ａの下面側、下側ハウジング５１
の軸受取付部５１Ｂの下端側）等に予め油液等を薄く塗
布し、この状態で前述の如く高分子材料を下側軸受２８
の下面側に向けて吹き付け、または塗布することによ
り、充填材５２を図示の如く設ける。

【００７７】これにより、充填材５２は、下側軸受２８
の内輪２８Ｂ側（例えば、内輪２８Ｂの下面側、ピニオ
ン２５の上端側等）に密着するように固着される固定部
５２Ａと、外輪２８Ａの下面側、軸受取付部６Ｂの下端
側に対して摺動可能に接触する摺動接触部５２Ｂとを有
しているものである。また、充填材５２中にも乾燥剤４
２が混入されている。

【００７８】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、前記第１の実施の形態とほぼ同様の作用効果
を得ることができる。

【００７９】次に、図５は本発明の第３の実施の形態を
示し、本実施の形態の特徴は、下側軸受の内輪とピニオ
ンの上面との間に環状プレートを設け、該環状プレート
とハウジングの下端側との間で下側軸受の下面側に充填
材を保持する構成としたことにある。なお、本実施の形
態では、前記第１の実施の形態と同一の構成要素に同一
符号を付し、その説明を省略するものとする。

【００８０】図中、６１は本実施の形態で採用した下側
ハウジングを示し、該下側ハウジング６１は、前記第２
の実施の形態で述べた下側ハウジング５１とほぼ同様に
構成され、下フランジ部６１Ａ、軸受取付部６１Ｂ、シ
ール装着部６１Ｃおよび他の軸受取付部６１Ｄ等を有し
ている。

【００８１】しかし、本実施の形態では、下側ハウジン
グ６１の軸受取付部６１Ｂにリング状突起６１Ｂ1が下
向きに突出して設けられ、該リング状突起６１Ｂ1の内
径は、後述する環状プレート６２の外径よりも大径に形
成されている。そして、このリング状突起６１Ｂ1は、
後述の充填材６３を保持するための環状空間Ｓを環状プ
レート６２との間で形成しているものである。

【００８２】６２は下側軸受２８とピニオン２５との間
に設けられた環状プレートで、該環状プレート６２は、
内周側が下側軸受２８の内輪２８Ｂとピニオン２５の上
面との間で挟持され、外周側は下側軸受２８の外輪２８
Ａよりも径方向外側へとリング状突起６１Ｂ1に近接す
る位置まで延びている。

【００８３】そして、環状プレート６２は、例えば鋼板
等の剛性板を用いて形成され、グリースバス３８から矢
示Ｈ方向に噴出してくるグリースＧ等の異物が下側軸受
２８に直接的に衝突するのを防ぐと共に、前記環状空間
Ｓをリング状突起６１Ｂ1との間に形成するものであ
る。

【００８４】６３は下側軸受２８の下面側に設けた充填
材で、該充填材６３も第１の実施の形態で述べた充填材
４１と同様に構成されているものの、充填材６３は、下
側ハウジング６１のリング状突起６１Ｂ1と環状プレー
ト６２との隙間を介して環状空間Ｓ内に前記高分子材料
をスプレー等で充填、注入することにより形成されてい
る。

【００８５】そして、充填材６３は、環状空間Ｓ内で下
側軸受２８の下面側と共に下側ハウジング６１の軸受取
付部６１Ｂ下端側、リング状突起６１Ｂ1の内周側等を
全周に亘って覆い、グリースバス３８内から図５中の矢
示Ｈ方向にグリースＧと共に噴出してくる金属粉、水分
等の異物に対して下側軸受２８を環状プレート６２と共
に保護するものである。

【００８６】ここで、充填材６３は、例えば下側ハウジ
ング６１の軸受取付部６１Ｂ側に固着され、環状プレー
ト６２の上面等に対して摺動接触する構成としてもよ
く、逆に環状プレート６２側に固着され、下側ハウジン
グ６１の軸受取付部６１Ｂ側に対しては摺動接触する構
成としていもよい。

【００８７】また、充填材６３は環状空間Ｓ内に抜止め
状態で保持され、下側軸受２８の下面側を前記異物から
保護できればよいので、例えば下側ハウジング６１の軸
受取付部６１Ｂ側と環状プレート６２との両方に充填材
６３を摺動接触させる構成としてもよいものである。さ
らに、充填材６３中にも乾燥剤等を混入しておくのがよ
い。

【００８８】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、前記第２の実施の形態とほぼ同様の作用効果
を得ることができるが、特に本実施の形態では、下側ハ
ウジング６１のリング状突起６１Ｂ1と環状プレート６
２との間に、充填材６３を保持するための環状空間Ｓを
形成しているので、充填材６３を環状空間Ｓ内に抜止め
状態で保持でき、下側軸受２８の下面側を金属粉、水分
等の異物からより長期に亘って保護することができる。

【００８９】次に、図６は本発明の第４の実施の形態を
示し、本実施の形態の特徴は、下側軸受の内輪とピニオ
ンの上面との間に環状プレートを設け、該環状プレート
とハウジングの下端側との間で下側軸受の下面側に充填
材を保持する構成としたことにある。なお、本実施の形
態では、前記第１の実施の形態と同一の構成要素に同一
符号を付し、その説明を省略するものとする。

【００９０】図中、７１は本実施の形態で採用した下側
ハウジングを示し、該下側ハウジング７１は、前記第２
の実施の形態で述べた下側ハウジング５１とほぼ同様に
構成され、下フランジ部７１Ａ、軸受取付部７１Ｂ、シ
ール装着部７１Ｃおよび他の軸受取付部７１Ｄ等を有し
ている。

【００９１】しかし、下側ハウジング７１の軸受取付部
７１Ｂは、その下面側で後述の環状プレート７２との間
に環状空間Ｓ1を形成し、該環状空間Ｓ1内には後述の充
填材７３が径方向外側から充填して設けられているもの
である。

【００９２】７２は下側軸受２８とピニオン２５との間
に設けられた環状プレートで、該環状プレート７２は、
前記第３の実施の形態で述べた環状プレート６２と同様
に構成され、その内周側が下側軸受２８の内輪２８Ｂと
ピニオン２５の上面との間で挟持されている。

【００９３】しかし、環状プレート７２は外径寸法がよ
り大きく形成され、その外周側は軸受取付部７１Ｂの下
面に沿って径方向外側へとほぼ平行に延びている。そし
て、環状プレート７２は、グリースバス３８から矢示Ｈ
方向に噴出してくるグリースＧ等の異物が下側軸受２８
に直接的に衝突するのを防ぐと共に、前記環状空間Ｓ1
を軸受取付部７１Ｂの下面との間に形成するものであ
る。

【００９４】７３は下側軸受２８の下面側に設けた充填
材で、該充填材７３も第１の実施の形態で述べた充填材
４１と同様に構成されているものの、充填材７３は、下
側ハウジング７１の軸受取付部７１Ｂ下面と環状プレー
ト７２との隙間を介して環状空間Ｓ1内に径方向外側か
ら前記高分子材料をスプレー等で充填、注入することに
より形成されている。

【００９５】そして、充填材７３は、環状空間Ｓ1内で
下側軸受２８の下面側と共に下側ハウジング７１の軸受
取付部７１Ｂ下面側等を全周に亘って覆い、グリースバ
ス３８内から図６中の矢示Ｈ方向にグリースＧと共に噴
出してくる金属粉、水分等の異物に対して下側軸受２８
を環状プレート７２と共に保護するものである。

【００９６】ここで、充填材７３は、例えば下側ハウジ
ング７１の軸受取付部７１Ｂ側に固着され、環状プレー
ト７２の上面等に対して摺動接触する構成としてもよ
く、逆に環状プレート７２側に固着され、下側ハウジン
グ７１の軸受取付部７１Ｂ側に対しては摺動接触する構
成としていもよい。

【００９７】また、充填材７３は環状空間Ｓ1内に抜止
め状態で保持され、下側軸受２８の下面側を前記異物か
ら保護できればよいので、例えば下側ハウジング７１の
軸受取付部７１Ｂ側と環状プレート７２との両方に充填
材７３を摺動接触させる構成としてもよいものである。
さらに、充填材７３中にも乾燥剤等を混入しておくのが
よい。

【００９８】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、前記第２の実施の形態とほぼ同様の作用効果
を得ることができるが、特に本実施の形態では、下側ハ
ウジング７１の軸受取付部７１Ｂと環状プレート７２と
の間に、充填材７３を保持するための環状空間Ｓ1を形
成しているので、充填材７３を環状空間Ｓ1内に抜止め
状態で保持でき、下側軸受２８の下面側を異物からより
長期に亘って保護することができる。

【００９９】次に、図７は本発明の第５の実施の形態を
示し、本実施の形態の特徴は、下側ハウジングの軸受取
付部下面側に環状プレートの外周側を固定して設け、該
環状プレートの内周側と下側軸受の下面側との間で充填
材を保持する構成としたことにある。なお、本実施の形
態では、前記第１の実施の形態と同一の構成要素に同一
符号を付し、その説明を省略するものとする。

【０１００】図中、８１は本実施の形態で採用した下側
ハウジングを示し、該下側ハウジング８１は、前記第２
の実施の形態で述べた下側ハウジング５１とほぼ同様に
構成され、下フランジ部８１Ａ、軸受取付部８１Ｂ、シ
ール装着部８１Ｃおよび他の軸受取付部８１Ｄ等を有し
ている。

【０１０１】しかし、本実施の形態では、下側ハウジン
グ８１の軸受取付部８１Ｂが軸方向下向きに大きく突出
し、該軸受取付部８１Ｂの下面は、下側軸受２８の内輪
２８Ｂ下面よりも僅かに下側となる位置まで延びてい
る。

【０１０２】８２は下側ハウジング８１の軸受取付部８
１Ｂ下面に固定して設けられた環状プレートで、該環状
プレート８２は、例えば鋼板等の剛性板を用いて形成さ
れ、その外周側が軸受取付部８１Ｂの下面に溶接、接着
またはねじ止め等の手段を用いて固着されている。

【０１０３】また、環状プレート８２内周側は、ピニオ
ン２５の歯先に近接する位置まで径方向内側へと延び、
軸受取付部８１Ｂの内周側で下側軸受２８の下面との間
に後述の充填材８３を保持するための環状空間Ｓ2を形
成しているものである。

【０１０４】８３は下側軸受２８の下面側に設けた充填
材で、該充填材８３も第１の実施の形態で述べた充填材
４１と同様に構成されているものの、充填材８３は、ピ
ニオン２５の歯先と環状プレート８２との隙間を介して
環状空間Ｓ2内に前記高分子材料をスプレー等で充填、
注入することにより形成されている。

【０１０５】そして、充填材８３は、環状空間Ｓ2内で
下側軸受２８の下面側と共に下側ハウジング８１の軸受
取付部８１Ｂ内周側、ピニオン２５の上面等を全周に亘
って覆い、グリースバス３８内から図５中の矢示Ｈ方向
にグリースＧと共に噴出してくる金属粉、水分等の異物
に対して下側軸受２８を環状プレート８２と共に保護す
るものである。

【０１０６】ここで、充填材８３は、例えばピニオン２
５の上面側等に固着される固定部８３Ａと、下側ハウジ
ング８１の軸受取付部８１Ｂ、環状プレート８２の上面
等に対して摺動接触する摺動接触部８３Ｂとを有する構
成となっている。そして、充填材８３は環状プレート８
２により環状空間Ｓ2内に抜止め状態で保持されいる。
なお、充填材８３中にも乾燥剤等を混入しておくのがよ
い。

【０１０７】かくして、このように構成される本実施の
形態でも、前記第２の実施の形態とほぼ同様の作用効果
を得ることができるが、特に本実施の形態では、下側ハ
ウジング８１の軸受取付部８１Ｂと環状プレート８２と
の間に、充填材８３を保持するための環状空間Ｓ2を形
成しているので、充填材８３を環状空間Ｓ2内に抜止め
状態で保持でき、下側軸受２８の下面側を金属粉、水分
等の異物から長期に亘って保護することができる。

【０１０８】なお、前記第１の実施の形態では、充填材
４１を下側軸受２８の内輪２８Ｂ側に固着して設け、外
輪２８Ａの下面側、軸受取付部６Ｂの下端内周側に対し
ては充填材４１を摺動可能に接触させるものとして述べ
たが、これに替えて、例えば充填材４１を外輪２８Ａの
下面側、軸受取付部６Ｂの下端内周側に対し固着して設
け、下側軸受２８の内輪２８Ｂ側（例えば、内輪２８Ｂ
の下面側、ピニオン２５の上端面側、間座３０の外周面
側等）に対して充填材４１を摺動可能に接触させる構成
としてもよい。

【０１０９】また、前記各実施の形態では、充填材４１
（５２，６３，７３，８３）中に乾燥剤４２を混入させ
るものとして述べたが、必ずしも乾燥剤を混入する必要
はない。また、充填材を発泡樹脂等の高分子材料で形成
する場合には、乾燥剤に替えて、潤滑油等を含浸させる
構成としてもよい。

【０１１０】

【発明の効果】以上詳述した如く、請求項１に記載の発
明によれば、グリースバスと近い位置に配置される下側
軸受を、自己潤滑性を有する軸受により構成し、該下側
軸受には少なくとも前記グリースバスと対向する面側に
高分子材料からなる充填材を設ける構成としたので、下
側軸受に外部から潤滑油を供給することなく、この下側
軸受を用いて出力軸の円滑な回転を長期に亘って補償で
きる。そして、グリースバス内のグリースと共に金属
粉、水分等の異物が、旋回輪の内歯とピニオンとの噛合
部から下側軸受の下面側に向けて噴き上げられたとして
も、充填材によって下側軸受を異物から保護でき、下側
軸受が損傷、発錆されるのを長期に亘って防止できると
共に、軸受の寿命を延ばすことができ、装置全体の耐久
性、寿命を向上できる。

【０１１１】また、請求項２に記載の発明は、充填材を
下側軸受の外輪と内輪のうちいずれか一方側に固着して
設け、他方側には摺動接触させる構成としているので、
充填材により下側軸受の外輪と内輪との円滑な相対回転
を補償しつつ、下側軸受の下面側を充填材で覆うことが
でき、外輪および内輪の転動面等に金属粉、水分等の異
物が侵入するのを防止できると共に、下側軸受を長期に
亘って円滑に作動させることができる。

【０１１２】また、請求項３に記載の発明は、充填材を
ウレタン樹脂、発泡ウレタン樹脂、シリコン樹脂、発泡
シリコン樹脂のうちいずれか１つの高分子材料により構
成しているため、例えばウレタン樹脂、発泡ウレタン樹
脂、シリコン樹脂または発泡シリコン樹脂からなる高分
子材料を下側軸受の下面側に塗布したり、スプレー等で
吹き付けたりして、下側軸受の下面側を充填材で覆うこ
とができ、軸受寿命を向上することができる。

【０１１３】さらに、請求項４に記載の発明は、外部の
水分から下側軸受を保護するための乾燥剤を充填材に混
入させる構成としているので、充填材中に混入した乾燥
剤により、外部雰囲気との相対湿度に応じて外部の水分
を吸収したり、外部に揮散させたりして、外部からの水
分が下側軸受の下面側に浸入するのを遮断でき、下側軸
受が発錆するのを長期に亘って防止することができると
共に、軸受の寿命を確実に延ばすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態による旋回装置を示
す縦断面図である。

【図２】図１中の出力軸、ピニオン、旋回輪および充填
材等を示す拡大断面図である。

【図３】図２中の下側軸受、充填材等を拡大して示す要
部拡大図である。

【図４】第２の実施の形態による旋回装置の出力軸、ピ
ニオン、旋回輪および充填材等を示す拡大断面図であ
る。

【図５】第３の実施の形態による旋回装置の出力軸、ピ
ニオン、旋回輪および充填材等を示す拡大断面図であ
る。

【図６】第４の実施の形態による旋回装置の出力軸、ピ
ニオン、旋回輪および充填材等を示す拡大断面図であ
る。

【図７】第５の実施の形態による旋回装置の出力軸、ピ
ニオン、旋回輪および充填材等を示す拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 丸胴（下部走行体） ２ 旋回フレーム（上部旋回体） ３ 旋回装置 ４ 減速機 ５ ハウジング ６，５１，６１，７１，８１ 下側ハウジング １０ 油圧モータ（回転源） １４，１９ 遊星歯車減速機構 ２４ 出力軸 ２５ ピニオン ２６ 上側軸受 ２８ 下側軸受 ２８Ａ 外輪 ２８Ｂ 内輪 ２８Ｃ ローラ（転動体） ２９ 固形潤滑剤 ３２ 旋回輪 ３７ 内歯 ３８ グリースバス ４１，５２，６３，７３，８３ 充填材 ４２ 乾燥剤

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 忍 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 井川 裕二 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 栗原 猛 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 Ｆターム(参考） 2D015 DA02 DA04 3F205 AA05 BA01 EA10

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下端側が上部旋回体に取付けられ上端側
   に回転源が設けられたハウジングと、該ハウジング内に
   設けられ前記回転源の回転を減速する減速機構と、前記
   ハウジング内から下部走行体側に向けて突出し該減速機
   構により減速された回転を出力するピニオンを有した出
   力軸と、該出力軸の軸方向に離間して前記ハウジングと
   出力軸との間に設けられ該出力軸を回転可能に支持する
   上，下の軸受と、前記上部旋回体と下部走行体との間に
   設けられ前記出力軸のピニオンに噛合する内歯を有した
   旋回輪と、該旋回輪の内側に位置して前記下部走行体側
   に設けられ前記ピニオンと旋回輪の内歯との間を潤滑す
   るためのグリースを収容したグリースバスとからなる建
   設機械の旋回装置において、 前記上，下の軸受のうち前記グリースバスと近い位置に
   配置される下側軸受は、自己潤滑性を有する軸受により
   構成し、該下側軸受には前記グリースバスと対向する面
   側を外部の異物から保護するために高分子材料からなる
   充填材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械の
   旋回装置。
2. 【請求項２】 前記下側軸受は、前記ハウジングの下端
   側内周に嵌合された外輪と、前記出力軸の下端側外周に
   嵌合された内輪と、前記外輪と内輪との間に転動可能に
   設けられた複数の転動体とからなり、前記充填材は前記
   下側軸受の外輪と内輪のうちいずれか一方側に固着され
   他方側には摺動接触する構成としてなる請求項１に記載
   の建設機械の旋回装置。
3. 【請求項３】 前記充填材は、ウレタン樹脂、発泡ウレ
   タン樹脂、シリコン樹脂、発泡シリコン樹脂のうちいず
   れか１つの高分子材料により構成してなる請求項１また
   は２に記載の建設機械の旋回装置。
4. 【請求項４】 前記充填材には、外部の水分から前記下
   側軸受を保護するための乾燥剤を混入してなる請求項
   １，２または３に記載の建設機械の旋回装置。