JP2002146156A - 着色剤含有重合体エマルジョン及びその製造方法 - Google Patents

着色剤含有重合体エマルジョン及びその製造方法

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JP2002146156A JP2000347834A JP2000347834A JP2002146156A JP 2002146156 A JP2002146156 A JP 2002146156A JP 2000347834 A JP2000347834 A JP 2000347834A JP 2000347834 A JP2000347834 A JP 2000347834A JP 2002146156 A JP2002146156 A JP 2002146156A
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Shinkiyuushi Takasu
真弓子 高巣
Toshifumi Shiratani
俊史 白谷
Kimiya Takeshita
公也 竹下
Tetsuo Murayama
徹郎 村山
Kanji Shimizu
完二 清水
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 着色剤を含有する重合体微粒子が分散した着
色剤含有重合体エマルジョンにおいて、重合体微粒子中
に着色剤を高濃度で含有させ得ると共に、その着色剤の
重合体微粒子からの経時による滲出がない着色剤含有重
合体エマルジョン、及びその着色剤含有重合体エマルジ
ョンの製造方法を提供する。 【構成】 着色剤を含有する重合体微粒子が分散した着
色剤含有重合体エマルジョンであって、該着色剤含有重
合体微粒子における着色剤が、該重合体の単量体に可溶
の2種以上の油溶性染料である着色剤含有重合体エマル
ジョン、及び、重合可能な単量体、及び着色剤として
の、該単量体に可溶の2種以上の油溶性染料を含有する
油相を、界面活性剤の存在下に水中に乳化させて着色剤
含有単量体エマルジョンとなした後、重合開始剤の存在
下に該単量体を重合させる前記着色剤含有重合体エマル
ジョンの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着色剤含有重合体
エマルジョン及びその製造方法に関し、特に水性インク
や水性塗料等として用いるに好適な着色剤含有重合体エ
マルジョン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機顔料としての着色剤含有
重合体エマルジョンは、その固形分濃度を調整するか、
或いは、乾燥させた後の重合体微粒子を再乳化させる等
により、水性インクや水性塗料等に用いられており、そ
のエマルジョンの製造方法としては、通常、結着材用重
合体成分の単量体を乳化重合して得られる重合体微粒子
を染色するか、或いは、着色剤の存在下に乳化重合する
乳化重合法が採られているが、更に、結着材用重合体成
分の単量体を分散重合して得られた重合体微粒子を油溶
性染料等で染色する分散重合染色法も提案されている
(例えば、特開平10−206428号公報等参
照。)。
【0003】しかしながら、乳化重合法においては、染
色操作が必要となったり、色調の鮮明さが不十分である
等の欠点があり、又、分散重合染色法においては、染色
工程に時間を要するばかりか、重合体微粒子の粒径が十
分な小粒径とは言えず、又、一般に着色力が不足してい
る等の欠点があった。
【0004】これに対して、乳化重合法及び分散重合染
色法等における前述の欠点を解消することを目的とし
て、WO99/40123号公報には、重合体微粒子が
微小粒径であると共に、該重合体微粒子中に着色剤を高
濃度で含有させることにより十分な着色力を有し、水性
インクや水性塗料等に用いたときの色調の鮮明さ等を発
現できる着色剤含有重合体エマルジョンの製造方法が開
示されている。しかしながら、本発明者等の検討による
と、そこに開示される方法では、重合体微粒子中に着色
剤を高濃度で含有させたときに、経時によりその着色剤
が重合体微粒子から滲出し、水性インクや水性塗料等に
用いたときの色調の鮮明さ等が欠けるという問題がある
ことが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来
技術に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、着色
剤を含有する重合体微粒子が分散した着色剤含有重合体
エマルジョンにおいて、重合体微粒子中に着色剤を高濃
度で含有させ得ると共に、その着色剤の重合体微粒子か
らの経時による滲出がない着色剤含有重合体エマルジョ
ン、及びその着色剤含有重合体エマルジョンの製造方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、重合体微粒子に含有さ
せる着色剤を特定の2種以上の染料とすることによっ
て、前記目的が達成できることを見出し本発明を完成し
たもので、即ち、本発明は、着色剤を含有する重合体微
粒子が分散した着色剤含有重合体エマルジョンであっ
て、該着色剤含有重合体微粒子における着色剤が、該重
合体の単量体に可溶の2種以上の油溶性染料である着色
剤含有重合体エマルジョン、を要旨とする。
【0007】又、本発明は、重合可能な単量体、及び着
色剤としての、該単量体に可溶の2種以上の油溶性染料
を含有する油相を、界面活性剤の存在下に水中に乳化さ
せて着色剤含有単量体エマルジョンとなした後、重合開
始剤の存在下に該単量体を重合させる前記着色剤含有重
合体エマルジョンの製造方法、を要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の着色剤含有重合体エマル
ジョンにおいて、重合体微粒子を構成する重合体は、着
色剤の結着材としての機能を有し、後述する重合可能な
単量体の重合によって得られたものであり、その単量体
としては、特に限定されるものではなく、従来より、例
えば着色剤含有重合体のエマルジョン重合等に用いられ
ている各種の単量体が挙げられる。
【0009】本発明における単量体としては、ビニル系
単量体が好ましく、具体的には、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、α−エチルスチレン等のα−置換ス
チレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、
2,5−ジメチルスチレン等の核置換スチレン、p−ク
ロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン
等の核置換ハロゲン化スチレン等のビニル芳香族類、
(メタ)アクリル酸[尚、ここで、「(メタ)アクリ
ル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものと
し、以下も同様とする。]、クロトン酸、マレイン酸、
フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボ
ン酸類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、ベンジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボ
ン酸エステル類、(メタ)アクリルアルデヒド、(メ
タ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の不
飽和カルボン酸誘導体類、N−ビニルピリジン、N−ビ
ニルピロリドン等のN−ビニル化合物類、蟻酸ビニル、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル
類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロ
ゲン化ビニル化合物類、アリルアルコール、アリルメチ
ルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルメチルケト
ン、アリル酢酸、アリルフェノール等のアリル化合物
類、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールア
クリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−
メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレイン
アミド酸エステル、N−メチロールマレイミド、N−エ
チロールマレイミド等のN−置換不飽和アミド類、ブタ
ジエン、イソプレン等の共役ジエン類、ジビニルベンゼ
ン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン等の
多官能ビニル化合物類、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロ
ールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビト
ールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ
(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)ア
クリレート等の多官能アクリレート類等が挙げられる。
尚、これらの中で、N−置換不飽和アミド類、共役ジエ
ン類、多官能ビニル化合物類、及び多官能アクリレート
類等は、生成された重合体に架橋反応を生起させること
もできる。
【0010】本発明において、これらのビニル系単量体
の重合によって得られるビニル系重合体としては、具体
的には、例えば、スチレン単独重合体、スチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル
酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリ
ル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が代表的
なものとして挙げられる。
【0011】又、本発明の着色剤含有重合体エマルジョ
ンにおいて、着色剤としては、前記単量体に可溶の2種
以上の油溶性染料であることを必須とし、これらの条件
を満足しない着色剤では本発明の目的を達成することが
できない。尚、ここで、単量体に可溶とは、25℃にお
いて、用いられる単量体に対して0.01g以上の溶解
度を示すものを言う。
【0012】本発明における着色剤としての油溶性染料
としては、具体例には、例えば、ブラック用として、例
えば、C.I.(カラーインデックス)Nameで、
C.I.ソルベントブラック3、同5、同7、同27、
同28、同29、同34等が、又、イエロー用として、
例えば、C.I.ソルベントイエロー16、同21、同
25、同29、同33、同56、同82、同88、同8
9、同150、同151、同163等、及び、C.I.
ソルベントオレンジ14、同37、同40、同44、同
45等が、又、マゼンタ用として、例えば、C.I.ソ
ルベントレッド24、同27等、及び、C.I.ソルベ
ントバイオレット13、同14、同21、同27等が、
又、シアン用として、例えば、C.I.ソルベントブル
ー14、同25、同38、同48、同67、同68、同
70、同132等、及び、C.I.ソルベントグリーン
3等が挙げられる。
【0013】又、これらは、アゾ系(モノアゾ系、ジス
アゾ系、トリスアゾ系等)、トリフェニルメタン系、フ
タロシアニン系、ナフタロシアニン系、アントラキノン
系、スチリル系、ナフタレン系、ペリレン系、テリレン
系、クアテリレン系、ジケトピロロピロール系、クマリ
ン系、オキサジン系、アントラセン系、アザメチン系、
イソインドリン系、イソインドリノン系、メチン系、又
はポルフィリン系であるのが好ましく、これらの中で、
2種以上の油溶性染料としては、化学構造上互いに異種
骨格(系列)の染料の組み合わせであってもよいが、化
学構造上互いに同種骨格(系列)の染料の組み合わせで
あるのが好ましい。
【0014】又、前記油溶性染料において、2種以上の
油溶性染料が、最多含有量の染料と、それの無機性/有
機性値に対して0.2〜2倍の無機性/有機性値を有す
る染料であるのが好ましく、0.5〜1.5倍の無機性
/有機性値を有する染料であるのが更に好ましく、0.
75〜1.25倍の無機性/有機性値を有する染料であ
るのが特に好ましい。
【0015】尚、ここで、染料の前記無機性/有機性値
は、例えば「有機概念図−基礎と応用」(甲田善生著、
三共出版発行)に基づいて、染料の無機性値(I)と有
機性値(O)を求め、その両者値から算出したものであ
る。
【0016】更に、本発明の着色剤含有重合体エマルジ
ョンにおいて、重合体微粒子における着色剤の含有量
は、重合体100重量部に対して0.01〜150重量
部であるのが好ましく、0.5〜130重量部であるの
が更に好ましく、5〜100重量部であるのが特に好ま
しい。
【0017】又、本発明の着色剤含有重合体エマルジョ
ンにおいて、重合体微粒子は、平均粒子径が20〜50
0nmであるのが好ましく、20〜300nmであるの
が更に好ましく、20〜200nmであるのが特に好ま
しい。尚、ここで、平均粒子径とは、光ドップラー式粒
度分布計(日機装社製「MICROTRAC粒度分布
計」)で測定した体積平均粒子径である。
【0018】本発明の前記着色剤含有重合体エマルジョ
ンは、通常の乳化重合法等によっても製造することがで
きるが、例えば、前記の重合可能な単量体、及び着色剤
としての、該単量体に可溶の2種以上の前記の油溶性染
料を含有する油相を、界面活性剤の存在下に水中に乳化
させて着色剤含有単量体エマルジョンとなした後、重合
開始剤の存在下に該単量体を重合させる方法により製造
するのが、重合体微粒子中に着色剤を高濃度に含有させ
ることができるので好ましい。
【0019】ここで、用いられる界面活性剤としては、
特に限定されるものではなく、従来よりエマルジョン重
合に用いられているアニオン性界面活性剤、カチオン性
界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等の各種界面活性剤
を用いることができる。
【0020】そのアニオン性界面活性剤としては、具体
的には、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸
ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩
類、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウ
ム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル
塩類、オクチルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラ
ウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルア
ルコール硫酸エステルアンモニウム等の高級アルコール
硫酸エステル塩類、アセチルアルコール硫酸エステルナ
トリウム等の脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ラウ
リルベンゼンスルホン酸ナトリウム、セチルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、オレイルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の
アルキルベンゼンスルホン酸塩類、イソプロピルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスル
ホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸
ナトリウム等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン
酸塩類、ラウリル燐酸ナトリウム、ステアリル燐酸ナト
リウム等のアルキル燐酸エステル塩類、ラウリルエーテ
ル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイド付加物、ラ
ウリルエーテル硫酸アンモニウムのポリエチレンオキサ
イド付加物、ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミ
ンのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエーテ
ル硫酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニルフ
ェニルエーテル硫酸ナトリウムのポリエチレンオキサイ
ド付加物等のアルキルフェニルエーテル硫酸塩のポリエ
チレンオキサイド付加物類、ラウリルエーテル燐酸ナト
リウムのポリエチレンオキサイド付加物等のアルキルエ
ーテル燐酸塩のポリエチレンオキサイド付加物類、ノニ
ルフェニルエーテル燐酸ナトリウムのポリエチレンオキ
サイド付加物等のアルキルフェニルエーテル燐酸塩のポ
リエチレンオキサイド付加物類等を挙げることができ
る。
【0021】又、カチオン性界面活性剤としては、具体
的には、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セ
チルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルト
リメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチル
アンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ラノリン誘導第4級アンモニウム塩
等の第4級アンモニウム塩類、ラウリルピリジニウムク
ロライド、ラウリルピリジニウムブロマイド、セチルピ
リジニウムクロライド等のピリジニウム塩類、2−ステ
アリル−ヒドロキシエチル−2−イミダゾリン誘導体等
のイミダゾリニウム塩類、N,N−ジエチル−ステアロ
アミド−メチルアミン塩酸塩、ポリオキシエチレンステ
アリルアミン等のアミン塩類等を挙げることができる。
【0022】又、ノニオン性界面活性剤としては、具体
的には、例えば、ポリエチレングリコールセチルエーテ
ル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリ
エチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレング
リコールベヘニルエーテル等のポリエチレングリコール
アルキルエーテル類、ポリエチレングリコールポリプロ
ピレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールポリプロピレングリコールデシルテトラデシルエー
テル等のポリエチレングリコールポリプロピレングリコ
ールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールオク
チルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールノニル
フェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキル
フェニルエーテル類、モノステアリン酸エチレングリコ
ール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン
酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレン
グリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、
モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイ
ン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコー
ル脂肪酸エステル類、モノミリスチン酸グリセリル、モ
ノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリ
セリル、ジステアリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリ
セリル等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノパルミチ
ン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリス
テアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ト
リオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル
類、モノステアリン酸グリセリルのポリエチレンオキサ
イド付加物、モノオレイン酸グリセリルのポリエチレン
オキサイド付加物等のグリセリン脂肪酸エステルのポリ
エチレンオキサイド付加物類、モノパルミチン酸ソルビ
タンのポリエチレンオキサイド付加物、モノステアリン
酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加物、トリス
テアリン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイド付加
物、モノオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオキサイ
ド付加物、トリオレイン酸ソルビタンのポリエチレンオ
キサイド付加物等のソルビタン脂肪酸エステルのポリエ
チレンオキサイド付加物類、モノラウリン酸ソルビット
のポリエチレンオキサイド付加物、テトラステアリン酸
ソルビットのポリエチレンオキサイド付加物、ヘキサス
テアリン酸ソルビットのポリエチレンオキサイド付加
物、テトラオレイン酸ソルビットのポリエチレンオキサ
イド付加物等のソルビット脂肪酸エステルのポリエチレ
ンオキサイド付加物類、ヒマシ油のポリエチレンオキサ
イド付加物類等を挙げることができる。
【0023】又、本発明においては、重合可能な単量
体、及び着色剤としての、該単量体に可溶の2種以上の
油溶性染料を含有する油相の平均粒子径を後述する特定
の範囲に保つために、前記界面活性剤に共界面活性剤を
共存させることが好ましく、その共界面活性剤として
は、水不溶性若しくは難溶性で且つ単量体可溶性であ
り、詳細後述する、従来公知の“ミニエマルジョン重
合”において用いられているものを用いることができ
る。
【0024】好適な共界面活性剤としては、具体的に
は、例えば、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等
の炭素数8〜30のアルカン類、ラウリルアルコール、
セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数8
〜30のアルキルアルコール類、ラウリル(メタ)アク
リレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート等の炭素数8〜30のアルキル
(メタ)アクリレート類、ラウリルメルカプタン、セチ
ルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等の炭素数8
〜30のアルキルチオール類、及び、その他、ポリスチ
レン、ポリメチルメタクリレート等のポリマー又はポリ
アダクト類、カルボン酸類、ケトン類、アミン類等が挙
げられる。
【0025】本発明の着色剤含有重合体エマルジョンの
製造方法において、重合可能な単量体、及び着色剤とし
ての、該単量体に可溶の2種以上の油溶性染料を含有す
る油相を、前記界面活性剤の存在下に、好ましくは前記
共界面活性剤の共存下に、水中に乳化させて着色剤含有
単量体エマルジョンとなすには、例えば、着色剤、或い
は更に共界面活性剤を加えた単量体溶液と、界面活性剤
の水溶液とを、ピストンホモジナイザー、マイクロ流動
化装置(例えば、マイクロフルーディックス社製「マイ
クロフルーダイザー」)、超音波分散機等の剪断混合装
置によって均一に混合し、乳化させる。その際、水に対
する単量体の仕込み量は、水との合計量に対して0.1
〜50重量%程度とし、着色剤の使用量は、前記単量体
100重量部に対して、好ましくは0.01〜150重
量部、更に好ましくは0.5〜130重量部、特に好ま
しくは5〜100重量部とし、界面活性剤の使用量は、
前記単量体100重量部に対して、0.01重量部以上
で、形成されるエマルジョンの存在下において臨界ミセ
ル濃度(CMC)未満とすることが好ましく、又、共界
面活性剤の使用量は、前記単量体100重量部に対し
て、好ましくは0.001重量部以上、更に好ましくは
0.1〜10重量部とする。
【0026】尚、この着色剤含有単量体エマルジョンに
おける単量体液滴の平均粒子径は、前述と同様の方法に
よる体積平均粒子径として、20〜500nmであるの
が好ましく、20〜300nmであるのが更に好まし
く、20〜200nmであるのが特に好ましい。
【0027】次いで、本発明の着色剤含有重合体エマル
ジョンの製造方法において、前記着色剤含有単量体エマ
ルジョンを、重合開始剤の存在下に該単量体を重合させ
るには、例えば、前述の着色剤含有単量体エマルジョン
形成時の、着色剤、或いは更に共界面活性剤を加えた単
量体溶液、又は界面活性剤の水溶液のいずれかに、単量
体100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重
量部、更に好ましくは0.1〜10重量部の重合開始剤
を予め加えておくか、又は、着色剤含有単量体エマルジ
ョン形成後の該エマルジョンに水溶液等として同上量の
重合開始剤を加え、その重合開始剤の分解温度以上の温
度、例えば、好ましくは30〜95℃、更に好ましくは
50〜95℃の温度で、通常1〜6時間の時間加熱する
ことによりなされる。
【0028】ここで、重合開始剤としては、特に限定さ
れるものではなく、従来よりラジカル重合等に用いられ
ているもの中から使用する単量体の種類に応じて適宜選
択して用いることができ、具体的には、例えば、2,
2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,
2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル、、2,2’−アゾ
ビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリ
ル)、2,2’−アゾビス(シクロヘキシルカルボニト
リル)等のアゾビスニトリル類、アセチルパーオキサイ
ド、オクタノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキ
サイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のジアルキル
パーオキサイド、α−クミルパーオキシピバレート、t
−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキ
シネオデカノエート、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチ
ルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル、
t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘ
キサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒド
ロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパー
オキサイド等のヒドロパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボ
ネート等の有機過酸化物類等、過酸化水素等の無機過酸
化物類、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸ア
ンモニウム等の過硫酸塩類等のラジカル重合開始剤が挙
げられる。尚、これらは2種以上を併用してもよく、
又、レドックス重合開始剤を併用してもよい。
【0029】尚、本発明における、前述の、臨界ミセル
濃度(CMC)未満の界面活性剤量及び共界面活性剤の
共存下における単量体エマルジョンの重合開始剤の存在
下での該単量体の重合は、例えば、P.L.Tang, E.D.Sudo
l, C.A.Silebi, M.S.El-Aasser ;J.Appl.Polym.Sci.,第
43巻, 1059頁(1991)等に記載されている、所謂“ミニエ
マルジョン重合”として知られており、臨界ミセル濃度
(CMC)以上の界面活性剤量の存在下での、数μ程度
の粒径の単量体液滴の水性エマルジョンを水溶性重合開
始剤を用いて重合させる従来の乳化重合が、界面活性剤
ミセル内で重合を開始し、単量体液滴からの単量体の拡
散による供給を受けて重合体微粒子が成長し形成される
のに対して、“ミニエマルジョン重合”では、単量体液
滴内で単量体が重合することから均一な重合体微粒子が
形成され、又、更に、本発明のような着色剤使用の場合
には、従来の乳化重合においては、単量体エマルジョン
段階では単量体液滴内に存在している着色剤が、単量体
とのその水溶解性等の差により、単量体のミセルへの拡
散による重合に伴って単独で存在することとなるのに対
して、“ミニエマルジョン重合”では、重合過程におい
て単量体の拡散が不要なことから、着色剤はそのまま重
合体微粒子内に存在し得ることとなるという相違が生じ
る。
【0030】又、例えば、J.S.Guo, M.S.El-Aasser, J.
W.Vanderhoff ;J.Polym.Sci.:Polym.Chem.Ed.,第27巻,6
91頁(1989)等に記載されている、粒子径5〜50nmの
微粒子の所謂“マイクロエマルジョン重合”は、臨界ミ
セル濃度(CMC)以上の界面活性剤を多量に使用する
ものであり、得られる重合体微粒子中に多量の界面活性
剤が混入するとか、或いは、その除去のために水洗浄、
酸洗浄、或いはアルカリ洗浄等の工程に多大な時間を要
する等の問題が存在する。
【0031】尚、本発明において、前記重合後、重合体
微粒子表面からの着色剤の滲出を更に抑える等の目的
で、熱処理を施す等により重合体微粒子表面に架橋を施
してもよい。又、用いた界面活性剤等は、必要に応じ
て、水洗浄、酸洗浄、或いはアルカリ洗浄等によって除
去してもよい。
【0032】又、本発明の着色剤含有重合体エマルジョ
ンには、必要に応じてこの種重合体微粒子に用いられる
酸化防止剤、紫外線吸収剤等の公知の各種添加剤が添加
されてもよい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
【0034】実施例1 スチレン8.8g、メタクリル酸0.8g、下記構造式
(A)であり、無機性/有機性値が0.49のスチリル
系油溶性染料4.8g、下記構造式(B)であり、無機
性/有機性値が0.43のスチリル系油溶性染料1.6
g、及び共界面活性剤としてのヘキサデカン0.32g
を、室温で攪拌混合して均一溶液となし、該溶液を、脱
塩水62.5gに界面活性剤としてのドデシル硫酸ナト
リウム1.10g、及び炭酸水素ナトリウム0.081
gを溶解させた水溶液中に、攪拌しながら滴下し、滴下
終了後、更に10分間スターラーで攪拌して得た黄色分
散液を、超音波分散機(SMT社製「ULTRASON
IC HOMOGENIZER UH−600」)にて
20分間処理することにより、黄色の、着色剤含有単量
体エマルジョンを作製した。得られた単量体エマルジョ
ンの単量体液滴の平均粒子径を光ドップラー式粒度分布
計(日機装社製「MICROTRAC粒度分布計」)で
測定したところ、体積平均粒子径で約80nmであっ
た。
【0035】
【化1】
【0036】得られた着色剤含有単量体エマルジョン
を、攪拌器、冷却器、及び温度計を取り付けた内容積2
00mlの4つ口フラスコに移し、窒素気流下、60℃
に昇温した後、脱塩水1.5gに重合開始剤としての過
硫酸カリウム0.24gを溶解させた水溶液を添加して
重合を開始し、3.5時間経過後に重合を終了させるこ
とにより、黄色の、着色剤含有スチレン−メタクリル酸
共重合体のエマルジョンを作製した。得られた共重合体
エマルジョンの共重合体微粒子の平均粒子径は体積平均
粒子径で約80nmであり、着色剤を該共重合体100
重量部に対して66.7重量部含有するものであった。
又、単量体の転化率は94%であった。
【0037】得られた着色剤含有共重合体エマルジョン
を、フラスコ中で室温で1日静置した後、共重合体微粒
子から滲出しフラスコ底に析出した染料結晶の有無を目
視観察したところ、その存在を確認できなかった。
【0038】比較例1 スチレン9.2g、メタクリル酸0.8g、前記構造式
(A)のスチリル系油溶性染料6.0g、及び共界面活
性剤としてのヘキサデカン0.32gを、室温で攪拌混
合して均一溶液となし、該溶液を、脱塩水62.5gに
界面活性剤としてのドデシル硫酸ナトリウム0.74
g、及び炭酸水素ナトリウム0.081gを溶解させた
水溶液中に、攪拌しながら滴下し、滴下終了後、更に1
0分間スターラーで攪拌して得た黄色分散液を、超音波
分散機にて20分間処理することにより、黄色の、着色
剤含有単量体エマルジョンを作製した。得られた単量体
エマルジョンの単量体液滴の平均粒子径は体積平均粒子
径で約80nmであった。
【0039】得られた着色剤含有単量体エマルジョン
を、重合時間を4時間とした外は、実施例1と同様にし
て重合させることにより、黄色の、着色剤含有スチレン
−メタクリル酸共重合体のエマルジョンを作製した。得
られた共重合体エマルジョンの共重合体微粒子の平均粒
子径は体積平均粒子径で約80nmであり、着色剤を該
共重合体100重量部に対して60.0重量部含有する
ものであった。又、単量体の転化率は95%であった。
得られた着色剤含有共重合体エマルジョンについて、実
施例1と同様にして共重合体微粒子から滲出しフラスコ
底に析出した染料結晶の有無を目視観察したところ、多
量の染料結晶が認められた。
【0040】比較例2 スチレン12g、メタクリル酸0.8g、前記構造式
(B)のスチリル系油溶性染料3.2g、共界面活性剤
としてのヘキサデカン0.32g、及び重合開始剤とし
てのアゾビスイソブチロニトリル0.48gを、室温で
攪拌混合して均一溶液となし、該溶液を、脱塩水64.
0gに界面活性剤としてのドデシル硫酸ナトリウム2.
21gを溶解させた水溶液中に、攪拌しながら滴下し、
滴下終了後、更に10分間スターラーで攪拌して得た黄
色分散液を、超音波分散機にて20分間処理することに
より、黄色の、着色剤含有単量体エマルジョンを作製し
た。得られた単量体エマルジョンの単量体液滴の平均粒
子径は体積平均粒子径で約65nmであった。
【0041】得られた着色剤含有単量体エマルジョン
を、重合開始剤水溶液をあらたに加えなかった外は、実
施例1と同様にして重合させることにより、黄色の、着
色剤含有スチレン−メタクリル酸共重合体のエマルジョ
ンを作製した。得られた共重合体エマルジョンの共重合
体微粒子の平均粒子径は体積平均粒子径で約65nmで
あり、着色剤を該共重合体100重量部に対して25.
0重量部含有するものであった。又、単量体の転化率は
94%であった。得られた着色剤含有共重合体エマルジ
ョンについて、実施例1と同様にして共重合体微粒子か
ら滲出しフラスコ底に析出した染料結晶の有無を目視観
察したところ、多量の染料結晶が認められた。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、着色剤を含有する重合
体微粒子が分散した着色剤含有重合体エマルジョンにお
いて、重合体微粒子中に着色剤を高濃度で含有させ得る
と共に、その着色剤の重合体微粒子からの経時による滲
出がない着色剤含有重合体エマルジョン、及びその着色
剤含有重合体エマルジョンの製造方法を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹下 公也 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 村山 徹郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 清水 完二 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4J002 AA001 BC011 BC031 BC071 BC081 BC091 BC111 BD031 BD101 BD111 BE001 BE011 BE041 BF011 BF021 BG011 BG041 BG051 BG101 BG131 BH021 BJ001 BL001 CD191 FA081 FD096 FD310 GH01 HA07 4J011 KA01 KA12 KB29 PA22 PB25 PC02 PC06 4J039 AD02 AD03 AD04 AD05 AD06 AD08 AD09 AD10 AD11 AD12 AD13 AD14 AD15 AD20 BC03 BC12 BC33 BC44 BD02 BE07 BE22 CA06 EA44

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色剤を含有する重合体微粒子が分散し
    た着色剤含有重合体エマルジョンであって、該着色剤含
    有重合体微粒子における着色剤が、該重合体の単量体に
    可溶の2種以上の油溶性染料であることを特徴とする着
    色剤含有重合体エマルジョン。
  2. 【請求項2】 2種以上の油溶性染料が、最多含有量の
    染料と、それの無機性/有機性値に対して0.2〜2倍
    の無機性/有機性値を有する染料である請求項1に記載
    の着色剤含有重合体エマルジョン。
  3. 【請求項3】 2種以上の油溶性染料が、化学構造上同
    種骨格を有する染料である請求項1又は2に記載の着色
    剤含有重合体エマルジョン。
  4. 【請求項4】 重合体微粒子における着色剤の含有量
    が、重合体100重量部に対して0.01〜150重量
    部である請求項1乃至3のいずれかに記載の着色剤含有
    重合体エマルジョン。
  5. 【請求項5】 重合体微粒子が、平均粒子径20〜50
    0nmのものである請求項1乃至4のいずれかに記載の
    着色剤含有重合体エマルジョン。
  6. 【請求項6】 重合可能な単量体、及び着色剤として
    の、該単量体に可溶の2種以上の油溶性染料を含有する
    油相を、界面活性剤の存在下に水中に乳化させて着色剤
    含有単量体エマルジョンとなした後、重合開始剤の存在
    下に該単量体を重合させることを特徴とする請求項1乃
    至5のいずれかに記載の着色剤含有重合体エマルジョン
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 乳化及び重合を、単量体100重量部に
    対して0.001重量部以上の共界面活性剤の共存下で
    なす請求項6に記載の着色剤含有重合体エマルジョンの
    製造方法。
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