JP2002146041A - 湿式摩擦材 - Google Patents

湿式摩擦材

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JP2002146041A
JP2002146041A JP2000346043A JP2000346043A JP2002146041A JP 2002146041 A JP2002146041 A JP 2002146041A JP 2000346043 A JP2000346043 A JP 2000346043A JP 2000346043 A JP2000346043 A JP 2000346043A JP 2002146041 A JP2002146041 A JP 2002146041A
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mixture
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Masahiro Mori
正博 森
Hideki Tatewaki
英樹 帯刀
Hirokazu Yagi
博和 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の湿式摩擦材よりもさらに高い摩擦係数
を有し、μs−V(静摩擦係数−回転数)特性が正勾配
となり、さらに寸法安定性の良好な湿式摩擦材を提供す
る。 【解決手段】 繊維基材と充填剤と結合剤とからなる湿
式摩擦材において、結合剤は下記式(1)及び(2)で
示されるシランカップリング剤の混合物の加水分解液の
硬化物からなるシリコーン樹脂である。 (R1 )(R2n Si(OR33-n (1) (式中、R1 は末端に一級アミンを有するアルキルアミ
ノ基を表し、R2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1〜
3のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表す。) (R4m Si(OR54-m (2) (式中、R4 及びR5 はそれぞれ独立に炭素数1〜3の
アルキル基を表し、mは1又は2の整数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両の
自動変速機等において、油中で使用されるクラッチ、ブ
レーキ等の摩擦係合装置に用いる湿式摩擦材に関する。
【0002】
【従来の技術】車両、例えば自動車の自動変速機は、通
常、金属製基板(コアプレート)の表面に湿式摩擦材を
接着した複数のフリクションプレートと、金属板等の一
枚板からなる摩擦相手材としてのセパレータプレートと
を交互に配した多板クラッチが組み込まれ、潤滑油とし
て使用されるATF(オートマチックトランスミッショ
ンフルード)の中で、これらのプレートを相互に圧接、
開放することによって、駆動力を伝達又は遮断するよう
にしている。
【0003】このような油中で使用される摩擦係合装置
に用いる湿式摩擦材としては、「ペーパー摩擦材」と呼
ばれるペーパー系湿式摩擦材が一般的である。この湿式
摩擦材は、天然パルプ繊維、有機合成繊維や無機繊維等
の繊維基材と、充填剤や摩擦調整剤と、結合剤からな
り、一般に、結合剤としてフェノール系樹脂が、充填剤
として珪藻土が用いられている。かかる湿式摩擦材は湿
式多板クラッチのフリクションプレートの両面に貼着さ
れる。そして湿式多板クラッチは通常このフリクション
プレートを4〜5枚備えている。従って、湿式摩擦材は
その2倍の8〜10枚用いられていることになる。
【0004】ところで、近年の自動車部品は小型化や軽
量化が進められている。湿式多板クラッチも事情は同じ
で、湿式多板クラッチに用いられているフリクションプ
レートの枚数を減らして軸方向寸法の短縮(小型化)や
軽量化を図ることが検討されている。このような背景か
ら湿式摩擦材はより少ない枚数で上記従来の湿式摩擦材
と同等のトルク容量を受け持ち、かつ従来と同等かそれ
以上の摩擦特性、耐熱性、耐久性を有していることが要
求される。
【0005】従来、湿式摩擦材の摩擦係数を高くするた
めに、充填剤にアルミナや窒化ケイ素等を用いることが
試みられていた。しかし、かかる湿式摩擦材は最終動摩
擦係数μoが高くなってしまうという特性を有していた
ため、クラッチに用いると変速ショックが出てしまうと
いう問題があった。また、最近ではさらに高い摩擦係数
が要求されるようになってきた。また、一部の湿式摩擦
材には、吸湿・吸水作用により、製品の保管時、或いは
輸送時などに空気中の水分を吸ってしまい、寸法が変化
してしまうという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、従来
の湿式摩擦材よりもさらに高い摩擦係数を有し、かつ最
終動摩擦係数が高くならないようμs−V(静摩擦係数
−回転数)特性が正勾配となり、さらに寸法安定性の良
好な湿式摩擦材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は、シランカップリング剤が有機ポリマー
と無機、金属材料とからなる複合材料の性能向上に広く
利用されていることに着目し、シランカップリング剤の
加水分解液について鋭意検討を重ねた。シランカップリ
ング剤は、一般式Y−SiX3 で示され、Yはアミノ
基、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、メルカプト
基に代表される反応性有機官能基を、Xはアルコキシ基
に代表される加水分解性基を表す。その作用機構は、加
水分解性基X、例えば、アルコキシ基が水と反応してシ
ラノール基となり、無機材料表面の水酸基と結合する。
一方、反応性有機官能基Y、例えば、アミノ基が有機ポ
リマーの反応性基と反応して、化学的に結合(共有結
合)する。つまり、シランカップリング剤が無機材料と
有機材料との仲立ちの役目を果たし、物理的強度の向
上、無機物の有機樹脂への親和性向上、高温高湿度下に
おける物理的強度低下の抑制などに効果をあげる。この
うような特性を有するシランカップリング剤をペーパー
系湿式摩擦剤に適用するにあたっては、湿式摩擦材全体
に均一に結合剤を含浸させる必要があるため、微細な多
孔性を有するペーパー基材への浸透性、ぬれ性に特に優
れたものでなければならない。かかる観点からシランカ
ップリング剤の加水分解液について鋭意研究を重ねた結
果、上記一般式式Y−SiX3 で示されるシランカップ
リング剤のうち、Yがアミノ基、Xがアルコキシ基で表
されるものが、ペーパー基材への浸透性、ぬれ性に特に
優れていること、さらには、このようなアミノシランの
加水分解液の硬化物の親水性に起因した吸水・吸湿作用
により、湿式摩擦材の寸法安定性にやや難があり、その
解決手段としてアルキル基を有するシリコンアルコキシ
ドとの併用が有効であることを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】即ち,本発明による湿式摩擦材は、繊維基
材と充填剤と結合剤とからなる湿式摩擦材において、前
記結合剤は下記式(1)及び(2)で示されるシランカ
ップリング剤の混合物の加水分解液の硬化物からなるシ
リコーン樹脂であること、を特徴としている。 (R1 )(R2n Si(OR33-n (1) (式中、R1 は末端に一級アミンを有するアルキルアミ
ノ基を表し、R2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1〜
3のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表す。) (R4m Si(OR54-m (2) (式中、R4 及びR5 はそれぞれ独立に炭素数1〜3の
アルキル基を表し、mは1又は2の整数を表す。) ここで、前記シランカップリング剤の混合物において、
前記式(1)及び(2)で示されるシランカップリング
剤の少なくとも一方は3個の加水分解性基を有するもの
であることが好ましい。また、前記シランカップリング
剤の混合物において、前記式(1)で示されるシランカ
ップリング剤のモル数に対して前記式(2)で示される
シランカップリング剤のモル数の比が0.1〜10とな
るように配合されることが好ましい。また、前記シラン
カップリング剤の混合物の加水分解液において、水の添
加量は、シランカップリング剤の有する加水分解性基の
半数が加水分解可能な量以上で、かつシランカップリン
グ剤の有する加水分解性基の全数が加水分解可能な量の
2倍以下とするのが好ましい。また、前記充填剤は珪藻
土及びモース硬度8〜9.5のフィラーのうち少なくと
も一方を含むものが好ましい。また、前記珪藻土は略円
盤状のものが好ましい。また、前記フィラーはアルミナ
が好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本発明の湿式摩擦材は、繊維基材と充填
剤と結合剤とからなる湿式摩擦材において、結合剤とし
てシランカップリング剤の混合物の加水分解液の硬化物
からなるシリコーン樹脂を用いたものである。ここで、
繊維基材としては、木材パルプ等の天然パルプ繊維、ア
ラミド等の有機合成繊維、ガラス、炭素等の無機繊維
等、従来から使用されているものを用いることができ
る。
【0010】また、充填剤として珪藻土及びモース硬度
8〜9.5のフィラーのうち少なくとも一方を用いるの
が好ましい。ここで、充填剤として用いる珪藻土は略円
盤状のものが好ましい。これは、円盤状の珪藻土を用い
ることによって、湿式摩擦材の表面平滑性が向上して相
手摩擦面との接触が良くなり、その結果、摩擦係数が高
くなるものと推定される。なお、円盤状の珪藻土は、そ
の直径が5〜50μm程度のものが好ましい。また、モ
ース硬度8〜9.5のフィラーとしては、窒化ケイ素、
アルミナ、アルミニウムシリカ等を用いる。上記各充填
剤は各々単独で使用しても、任意に組み合わせて使用し
ても良好な結果を得ることができるが、円盤状の珪藻土
とアルミナとの組み合わせが最も優れている。なお、上
記充填剤は摩擦調整剤としての機能も併せもつ。
【0011】本発明において、結合剤の基となるシラン
カップリング剤の加水分解液は、主原料であるシランカ
ップリング剤と、水、必要に応じて溶剤を反応釜に仕込
み、室温乃至は比較的低温下(溶剤(低級アルコール)
の沸点以下、例えば40〜50℃程度)で、一定時間
(例えば3〜5時間程度)混合攪拌することにより得ら
れる。
【0012】そして、シランカップリング剤としては、
ペーパー基材に対する浸透性・ぬれ性に優れる下記式
(1)で示されるシランカップリング剤と湿式摩擦材の
寸法安定性に寄与する下記式(2)で示されるシランカ
ップリング剤との混合物を使用する。 (R1 )(R2n Si(OR33-n (1) (式中、R1 は末端に一級アミンを有するアルキルアミ
ノ基を表し、R2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1〜
3のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表す。) (R4m Si(OR54-m (2) (式中、R4 及びR5 はそれぞれ独立に炭素数1〜3の
アルキル基を表し、mは1又は2の整数を表す。) 具体的には、式(1)で示されるシランカップリング剤
には1分子中に3個のアルコキシ基を有するアミノシラ
ンとして、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミ
ノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランなど
が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を用い
ることができる。また、1分子中に2個のアルコキシ基
を有するアミノシランとして、3−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエト
キシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチ
ル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが
挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を用いる
ことができる。また、式(2)で示されるシランカップ
リング剤には、3官能性のメチルトリメトキシシラン、
メチルトリエトキシシランなど、2官能性のジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げ
られ、これらの単量体又はその低縮合物(例えば2〜5
量体程度)の1種又は2種以上の混合物を用いることが
できる。
【0013】式(1)及び(2)で示されるシランカッ
プリング剤の少なくともどちらか一方には3個の加水分
解性基を有するシランカップリング剤を用いる。式
(1)及び(2)で示されるシランカップリング剤の加
水分解性基の数がどちらも2の場合、硬化物の耐熱性が
不十分となり、好ましくない。式(1)で示されるシラ
ンカップリング剤のモル数に対して、式(2)で示され
るシランカップリング剤のモル数の比が0.1〜10の
範囲で配合することが好ましい。モル数の比が0.1未
満の場合、硬化物の親水性に起因した吸湿・吸水作用に
より、湿式摩擦剤の寸法安定性が悪くなり、好ましくな
い。一方、モル数の比が10を超えた場合、基材ペーパ
ーへの浸透性・ぬれ性が悪くなり、湿式摩擦材の物理的
強度が低下するので好ましくない。
【0014】添加する水の量は、シランカップリング剤
が有する加水分解性基(アルコキシ基)の半数が加水分
解可能な量以上で、かつ、その全数が加水分解可能な量
の2倍以下、さらに好ましくはシランカップリング剤が
有する加水分解性基(アルコキシ基)の半数が加水分解
可能な量以上で、かつ、その全数が加水分解可能な量以
下である。これより水が少ない場合には、加水分解液中
に未反応のアルコキシ基が多数残存して硬化性が悪くな
り、生産性ひいては省エネルギーの観点から好ましくな
い。一方、添加する水の量が多いと、加水分解液中に余
剰の水が残存し、この余剰の水が加熱硬化の際、樹脂成
分濃度が内部から表層に向かって濃くなるという現象を
引き起す原因となり、硬化物含有量が摩擦材の厚さ方向
において不均一となって、物理的強度や摩擦特性に悪影
響を及ぼす。水の添加量が加水分解性基(アルコキシ
基)の全数が加水分解可能な量の2倍を越えると、加水
分解液中に余剰の水が多量に残存して、上記した現象が
顕著となり好ましくない。水の添加量が加水分解性基
(アルコキシ基)の全数が加水分解可能な量を越える
と、加水分解液中に余剰の水が残存するため、上記した
現象は起こるがその程度は許容できる範囲にある。水の
添加量を加水分解性基(アルコキシ基)の全数が加水分
解可能な量以下とすれば、加水分解液中に残存する水の
量が少なく、均一な摩擦材が得られるので、より好まし
い。
【0015】溶剤は必ずしも必須成分ではないが、出発
混合溶液中のシランカップリング剤と水とを均質に混合
するために通常は使用され、メタノール、エタノール、
プロパノール等の低級アルコールで出発混合溶液中のシ
ランカップリング剤の濃度を80重量%以下に薄めるの
が好ましい。これを越える濃度では、加水分解により生
成したシラノール基の縮合反応が進行し、加水分解液の
貯蔵安定性が損なわれる場合がある。
【0016】本発明の湿式摩擦材を製造するには、まず
抄紙体を形成しておく。この抄紙体は、木材パルプ等の
天然パルプ繊維、アラミド等の有機合成繊維、ガラス等
の無機繊維等の繊維基材と、珪藻土等の充填剤や摩擦調
整剤を、所定の割合で水中に分散させたスラリー液から
通常の方法で抄造し乾燥したもので、特に限定されたも
のではない。この抄紙体に上記シランカップリング剤の
混合物の加水分解液を基材100重量部に対して20〜
120重量部含浸し、乾燥した後、約100〜300℃
の温度で15〜30分加熱し硬化させ、湿式摩擦材を得
る。次に、所定の形状に打ち抜き、熱プレスにて接着剤
を塗布した基板(コアプレート)と一体化し、フリクシ
ョンプレートを得ることができるが、特に限定されるも
のではなく、他の方法でもよい。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、これらは例示であり、本発明の範囲を限定す
るものではない。
【0018】(抄紙体の調整)繊維基材成分としてセル
ロース繊維35重量%、アラミド繊維20重量%を用
い、充填剤として珪藻土45重量%の混合物を水中に分
散させたスラリー液から抄紙したものを乾燥して抄紙体
Aを得た。また、充填剤に円盤状の珪藻土25重量%、
アルミナ20重量%を用いる以外は同様の方法で処理し
て抄紙体Bを得た。なお、参考のため、ここで用いた円
盤状の珪藻土の拡大写真を図1に示す。
【0019】(加水分解液の調整)3−アミノプロピル
トリエトキシシラン221重量部とジメチルジエトキシ
シラン148重量部にエタノール156重量部、水90
重量部を加え、40℃で5時間反応させ、加水分解液A
を得た。また、3−アミノプロピルトリエトキシシラン
221重量部にエタノール93重量部、水54重量部を
加え、40℃で5時間反応させ、加水分解液Bを得た。
【0020】〔実施例1〕加水分解液Aをエタノールで
希釈し、抄紙体Aに含浸後、乾燥し、150℃で30分
間加熱して硬化させ、抄紙体100重量部に対して結合
剤40重量部の湿式摩擦材を得た。次に、外径130m
m、内径100mmのリング状に打ち抜き、200℃に
加熱した金型中で4.9MPa(50kg/cm2 )以
上の圧力で30秒間保持することにより、リング状の金
属製コアプレートと一体化し、直径130mm、厚さ
2.3mmのフリクションプレートを得た。
【0021】〔実施例2〕加水分解液Aをエタノールで
希釈し、抄紙体Bに含浸後、乾燥し、150℃で30分
間加熱して硬化させ、抄紙体100重量部に対して結合
剤40重量部の湿式摩擦材を得た。以下、実施例1と同
様の方法で直径130mm、厚さ2.3mmのフリクシ
ョンプレートを得た。
【0022】〔比較例1〕レゾール型の液状未変成フェ
ノール樹脂をエタノールで希釈し、抄紙体Aに含浸後、
乾燥し、150℃で30分間加熱して硬化させ、抄紙体
100重量部に対して結合剤40重量部の湿式摩擦材を
得た。以下、実施例1と同様の方法で直径130mm、
厚さ2.3mmのフリクションプレートを得た。
【0023】〔比較例2〕加水分解液Bをエタノールで
希釈し、抄紙体Aに含浸後、乾燥し、150℃で30分
間加熱して硬化させ、抄紙体100重量部に対して結合
剤40重量部の湿式摩擦材を得た。以下、実施例1と同
様の方法で直径130mm、厚さ2.3mmのフリクシ
ョンプレートを得た。
【0024】(評価試験)寸法安定性評価 実施例1、2及び比較例1、2に示した各フリクション
プレートを温度23℃、湿度60%に調整した恒温恒湿
槽内に7日間放置し、その厚さ変化を測定した。その結
果を図2に示す。図2から分かるように、実施例1及び
2は比較例2に比べ、厚さ変化が少なく寸法安定性に優
れていることが分かる。
【0025】μs−V特性試験 実施例1、2及び比較例1、2に示した湿式摩擦材につ
いて、摩擦性能試験機(SAE No.2)を用いて、
下記の試験条件にて湿式摩擦材のμs−V特性を評価し
た。その結果を図3及び図4に示す。
【0026】 回転数:0.72,2,5,10,15,20rpm 面圧:785kPa イナーシャ:0.343N・m・s2 摩擦面数:6面 油量:油浴700ml 油温:40℃(図3)、100℃(図4) 摩擦面積:47.38cm2 /面
【0027】図3及び図4から分かるように、実施例
1、2の湿式摩擦材は比較例1の湿式摩擦材に比べ、μ
sの値が高く、また高温下でもμsの値がほとんど低下
しておらず温度依存性が非常に少ない。また、実施例2
の湿式摩擦材は比較例2のそれに比べ、μsの値が高い
ことが分かる。また、実施例1、2の湿式摩擦材はμs
−V特性が正勾配、つまり回転数の増加に伴って摩擦係
数が増加している(比較例1、2も同様)。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明の湿式摩擦材
によれば、従来の湿式摩擦材(結合剤としてフェノール
樹脂を用いたもの)に比べて高い摩擦係数をもち、かつ
μs−V特性が正勾配となり、さらに寸法安定性も良好
なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円盤状の珪藻土の拡大写真。
【図2】厚さ変化量を比較したグラフ。
【図3】油温40℃でのμs−V特性の比較を示すグラ
フ。
【図4】油温100℃でのμs−V特性の比較を示すグ
ラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/14 520 C09K 3/14 520L 520M 530 530F F16D 13/62 F16D 13/62 A 69/02 69/02 C (72)発明者 八木 博和 静岡県袋井市愛野2345番地 エヌエスケ ー・ワーナー株式会社内 Fターム(参考) 3J056 AA60 BA01 BE17 CA16 EA13 EA21 EA24 EA26 EA30 GA05 GA12 3J058 BA76 FA29 GA33 GA34 GA54 GA85 GA92 GA93 GA94 4F071 AA67 AB18 AB26 AE17 AH07 DA01 DA17 DA19 4J002 AH002 CL062 CP091 DE147 DJ037 DL006 FA042 FA046 FD017 GN00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維基材と充填剤と結合剤とからなる湿式
    摩擦材において、前記結合剤は下記式(1)及び(2)
    で示されるシランカップリング剤の混合物の加水分解液
    の硬化物からなるシリコーン樹脂であることを特徴とす
    る湿式摩擦材。 (R1 )(R2n Si(OR33-n (1) (式中、R1 は末端に一級アミンを有するアルキルアミ
    ノ基を表し、R2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1〜
    3のアルキル基を表し、nは0又は1の整数を表す。) (R4m Si(OR54-m (2) (式中、R4 及びR5 はそれぞれ独立に炭素数1〜3の
    アルキル基を表し、mは1又は2の整数を表す。)
  2. 【請求項2】前記シランカップリング剤の混合物におい
    て、前記式(1)及び(2)で示されるシランカップリ
    ング剤の少なくとも一方は3個の加水分解性基を有する
    ものである請求項1に記載の湿式摩擦材。
  3. 【請求項3】前記シランカップリング剤の混合物におい
    て、前記式(1)で示されるシランカップリング剤のモ
    ル数に対して前記式(2)で示されるシランカップリン
    グ剤のモル数の比が0.1〜10となるように配合され
    てなる請求項1又は2に記載の湿式摩擦材。
  4. 【請求項4】前記シランカップリング剤の混合物の加水
    分解液において、水の添加量は、シランカップリング剤
    の有する加水分解性基の半数が加水分解可能な量以上
    で、かつシランカップリング剤の有する加水分解性基の
    全数が加水分解可能な量の2倍以下である請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の湿式摩擦材。
  5. 【請求項5】前記充填剤は珪藻土及びモース硬度8〜
    9.5のフィラーのうち少なくとも一方を含む請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の湿式摩擦材。
  6. 【請求項6】前記珪藻土は略円盤状のものである請求項
    5に記載の湿式摩擦材。
  7. 【請求項7】前記フィラーはアルミナである請求項5又
    は6に記載の湿式摩擦材。
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