JP2002139372A - 電子天びん - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的な調整を厳密に行うことなく、計量表
示値から四隅誤差の影響を除去して、常に正確な表示を
行うことのできる電子天びんを提供する。 【解決手段】 測定皿３と荷重検出機構１との間に介在
する皿受け２を、４方向に伸びる片持ち梁２ａ〜２ｄに
よって構成し、その各片持ち梁２ａ〜２ｄの先端部近傍
で測定皿３を支承し、その各片持ち梁２ａ〜２ｄの撓み
量をそれぞさ検出する撓み量検出手段５ａ〜５ｄを設け
る。この各撓み量検出手段５ａ〜５ｄの出力を用いて、
測定皿３上の荷重の重心位置を算出し、あらかじめ記憶
している荷重の重心位置と四隅誤差との関係を用いて、
荷重検出機構３の出力を補正したうえで計量表示値を求
めるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は電子天びんに関し、
更に詳しくは、四隅誤差の調整作業を容易ないしは不要
とすることのできる電子天びんに関する。なお、本発明
は、測定皿上の荷重に対抗する電磁力を発生し、その発
生電磁力の大きさから測定皿上の荷重を検出する電磁力
平衡機構を荷重検出機構とする、いわゆる電子天びんの
ほか、ロードセル等の荷重センサを含む荷重検出機構を
有する、いわゆる電子はかりにも適用することができ
る。

【０００２】

【従来の技術】電子天びんや電子はかりにおいては、一
般に、荷重感応部に作用する荷重に応じた信号を出力す
る荷重検出機構を備え、その荷重検出機構に皿受けを介
して測定皿を支持した構造を採り、この荷重検出機構の
出力から、マイクロコンピュータ等の演算手段によって
測定皿上の荷重値を算出する。

【０００３】このような電子天びんや電子はかりにおい
ては、通常、測定皿上での荷重の重心位置に起因する誤
差、つまり四隅誤差を解消するために、荷重検出機構に
はロバーバル機構（パラレルガイドとも称される）を含
んだ構成が採用されることが多い。ロバーバル機構は、
天びんベース等に固定される固定柱と、皿受けが装着さ
れる可動柱とを、それぞれの両端部に可撓部を備えた互
いに平行な上下２本の梁を介して連結した構造を有し、
上下の梁の平行度を調整することによって、換言すれば
上下の梁の両端部に設けられている可撓部の上下方向へ
の間隔が互いに一致するように調整することによって、
測定皿の中心から任意の方向に偏った位置に荷重を加え
ても、荷重検出機構はその荷重に対応した一定の信号を
出力することができ、四隅誤差を解消することができ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な四隅誤差を解消すべく、ロバーバル機構の上下の梁の
平行度を機械的に調整する作業は、天びんの組立後に実
際に測定皿上での荷重の載置位置を変化させながら行う
ものであり、その作業には特別な技術を要していた。ま
た、しばしば四隅誤差が測定皿の対角方向に均等に現れ
ないという現象や、あるいは、四隅誤差が荷重の大きさ
並びに偏置距離（測定皿の中心から荷重の重心までの距
離）に比例しないという現象が生じ、このような場合に
は、ロバーバル機構の機械的な調整によっては四隅誤差
を厳密に解消することは実質的に不可能である。

【０００５】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
もので、機械的な調整を厳密に行うことなく、計量表示
値から四隅誤差の影響を除去して、常に正確な表示を行
うことのできる電子天びんの提供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の電子天びんは、皿受けを介して測定皿を支
持し、その測定皿上の荷重に対応する信号を出力する荷
重検出機構と、その荷重検出機構の出力を用いて測定皿
上の荷重値を算出する演算手段を備えた電子天びんにお
いて、上記皿受けは、水平面上で４方向に伸び、かつ、
それぞれの先端部近傍において上記測定皿の隅部を支承
する４本の片持ち梁を備えているとともに、その各片持
ち梁の撓み量を個々に検出する撓み量検出手段と、その
各片持ち梁の撓み量検出結果を用いて上記測定皿上の荷
重の重心位置を算出し、あらかじめ記憶している荷重の
重心位置と四隅誤差との関係を用いて、上記荷重検出機
構の出力を補正したうえで上記演算手段の荷重値の演算
に供する四隅誤差補正演算手段を備えていることによっ
て特徴づけられる。

【０００７】本発明は、測定皿上に載せられた荷重の重
心位置を検知して、その位置に応じて荷重検出機構の出
力を補正することによって、ロバーバル機構の機械的な
調整を厳密に行うことなく、四隅誤差を解消しようとす
るものである。

【０００８】すなわち、測定皿を受ける皿受けに、４方
向に伸びる片持ち梁を設けて、その各片持ち梁の先端部
近傍で測定皿を支承すると、その各片持ち梁はそれぞれ
に測定皿上の荷重の重心位置に応じた量だけ撓む。この
各片持ち梁の撓み量を、撓み量検出手段によって個々に
検出すると、その各撓み量の比率から、測定皿上におけ
る荷重の重心位置を計算によって求めることができる。
また、荷重検出機構の出力の四隅誤差（率）は、測定皿
上での荷重の重心位置に応じて一意的に決まる。

【０００９】そこで、測定皿上への荷重の重心位置と四
隅誤差との関係をあらかじめ実測して記憶しておき、実
際の使用に際して試料等の荷重を計量すべくそのその試
料を測定皿上の任意の位置に載置したとき、撓み量検出
手段による各片持ち梁の撓み量の検出結果に基づいて測
定皿上での試料の重心位置を計算によって求め、その計
算結果と、上記した記憶の内容とを用いることにより、
荷重検出機構の出力に含まれている四隅誤差を知ること
ができ、その分を荷重検出機構の出力から除外する補正
演算を行ったうえで、演算手段による荷重値の演算に供
すれば、荷重検出機構の実際の出力には四隅誤差が含ま
れているものの、計量表示値は四隅誤差を含まない正確
な値となる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態について述べる。図１は本発明実施の形態の
構成図で、機械的構成を表す模式的平面図と、電気的構
成を表すブロック図とを併記して示す図である。また、
図２には、機械的構成の模式的正面図を示す。

【００１１】荷重検出機構１は、例えば電磁力平衡機構
並びにロバーバル機構を備えた公知のものであり、ここ
ではその詳細な説明は省略するが、その概略を説明する
と、ロバーバル機構の可動柱に皿受け２が取り付けら
れ、その皿受け２を介して測定皿３が支持されている。
測定皿３上の荷重は皿受け２を介してロバーバル機構の
可動柱に伝達され、この可動柱に連結されている天びん
レバーを傾斜させる。天びんレバーの傾斜はセンサによ
り検出され、そのレバーの傾斜が常に０となるように電
磁力を発生して機構を平衡させ、その平衡状態を維持す
るための電磁力を発生するのに要した電流値が、測定抵
抗によって電圧信号に変換され、測定皿３上の荷重に対
応する荷重検出信号として出力される。

【００１２】荷重検出機構１による荷重検出信号は、Ａ
−Ｄ変換器１１によりデジタル化された後、刻々と演算
制御部１２に取り込まれる。演算制御部１２は、ＣＰ
Ｕ，ＲＯＭ，ＲＡＭを備えてなるマイクロコンピュータ
を主体とし、不揮発性のメモリをも含んでいる。この演
算制御部１２には表示器１３およびモード選択キー１４
等が接続されており、表示器１３は測定皿３上の荷重の
計量値を表示するためのもので、モード選択キー１４は
後述する計量用のプログラムもしくは調整用のプログラ
ムのいずれを実行するかを選択するためのキーである。

【００１３】さて、皿受け２は、荷重検出機構１の荷重
感応部であるロバーバル機構の可動柱の頂部に設けられ
た支持棒１ａに片持ち支持された状態で、互いに直交す
る４方向に伸びる４本の片持ち梁２ａ〜２ｄによって構
成されている。各片持ち梁２ａ〜２ｄには、その先端部
近傍の上面にそれぞれスペーサ４ａ〜４ｄが固着されて
おり、その各スペーサ４ａ〜４ｄを介して、測定皿３を
その四隅部において支承している。

【００１４】また、各片持ち梁２ａ〜２ｄには、それぞ
れの撓み量を検出するための撓み量センサ５ａ〜５ｄ
（例えば歪みゲージ等）が設けられており、この各撓み
量センサ５ａ〜５ｄの出力は、Ａ−Ｄ変換器１５によっ
て順次デジタル化された後、刻々と演算制御部１２に取
り込まれる。

【００１５】演算制御部１２には、通常の計量時におい
て用いられる計量用のプログラムのほか、四隅誤差の調
整時に用いられる調整用のプログラムがインストールさ
れており、以下、その各プログラムについて説明する。

【００１６】図３は調整用のプログラムの内容を示すフ
ローチャートである。このプログラムは、天びんの出荷
時あるいは必要に応じて四隅誤差を調整する際に実行に
供される。この調整用のプログラムにおいては、例えば
図１においてＡ〜Ｅで示される測定皿３上の中心（従っ
て支持棒１ａの直上）を含め、かつ、四隅方向をも含む
複数の位置に、例えば分銅等の同一の荷重を載置し、そ
の各位置における荷重検出機構１の出力と、各撓み量セ
ンサ５ａ〜５ｄの出力を採取する。

【００１７】ここで、各撓み量センサ５ａ〜５ｄの出力
の相互の比は、荷重の測定皿３上での重心位置によって
決まり、これらの各撓み量センサ５ａ〜５ｄの出力か
ら、荷重の重心位置を簡単な計算によって求めることが
できる。一方、荷重の各位置における荷重検出機構１の
出力の相違は、荷重の重心位置に対する当該荷重検出機
構１の四隅誤差に起因するものであり、従って、上記し
た動作により採取したデータから、荷重の重心位置と、
その各位置に対応する四隅誤差の率を求めることがで
き、この情報を不揮発性のメモリに格納してこの調整用
のプログラムを終了する。

【００１８】図４は計量用のプログラムの内容を示すフ
ローチャートである。このプログラムは通常の計量時に
おいて実行に供される。この測定用のプログラムにおい
ては、被測定試料等の物品を測定皿３上に載せた状態に
おいて荷重検出機構１の出力を刻々と取り込むととも
に、各撓み量センサ５ａ〜５ｄの出力から、その物品の
測定皿３上での重心位置を算出する。そして、不揮発性
メモリに記憶している重心位置と四隅誤差の率との関係
を用いて、荷重検出機構１の出力を補正し、その補正後
の荷重検出出力を例えば平均化して感度係数を乗じる等
の公知の演算によって、表示器１３に表示すべき計量値
を算出する。ここで、調整用のプログラムにより不揮発
性メモリに記憶されている荷重の重心位置と四隅誤差と
の関係は、重心位置が限られた位置のデータしかなく、
一方、試料の測定等の実際の測定時においてはその重心
位置は測定皿３上の任意の位置となり、不揮発性メモリ
の記憶内容からは直ちに四隅誤差の補正を行うことがで
きないが、不揮発性メモリ内に記憶されている複数の重
心位置と四隅誤差の関係を用いて、実際の測定時におけ
る重心位置と四隅誤差との関係を補完演算等の近似計算
によって求め、補正に供すればよい。

【００１９】以上のようにして荷重検出機構１からの出
力を補正したうえで求められた計量値は、被測定試料等
の測定皿３上の任意の位置に置かれていても、常に測定
皿３上の中心部に置いた場合と同等の四隅誤差を含まな
い値となる。

【００２０】なお、以上の実施の形態においては、各片
持ち梁２ａ〜２ｄの撓み量を検出する撓み量センサ５ａ
〜５ｄとして歪みゲージを用いた例について述べたが、
この各撓み量センサ５ａ〜５ｄは、発光素子と受光素子
とを用いた非接触型のセンサとしてもよい。すなわち、
各片持ち梁２ａ〜２ｄに対応して発光素子と受光素子と
の対を設け、その対の配設位置を、発光素子と受光素子
との間を各片持ち梁２ａ〜２ｄが横切る位置とし、各片
持ち梁２ａ〜２ｄの撓み量に応じて受光素子への入射光
量が変化するように構成する。

【００２１】また、以上の実施の形態では、荷重検出機
構１として電磁力平衡機構を含む、いわゆる電磁力平衡
型の電子天びんに本発明を適用した例を示したが、荷重
検出機構１としてロードセル等の荷重センサを用いた、
いわゆる電子はかりにも本発明を等しく適用し得ること
は勿論である。

【００２２】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、皿受け
に４方向に伸びる片持ち梁を含ませ、その各片持ち梁の
先端部近傍において測定皿を支承するとともに、各片持
ち梁にはそれぞれの撓み量を検出する撓み量検出手段を
設け、その各撓み量検出手段の出力から測定皿上の荷重
の重心位置を求め、あらかじめ記憶している荷重の重心
位置と四隅誤差との関係を用いて、荷重検出機構による
荷重検出出力の四隅誤差を補正し、補正後の出力を用い
て計量表示値を決定するので、荷重検出機構のロバーバ
ル機構等を機械的に厳密に調整することなく、従って熟
練を要した特殊な技術を必要とすることなく、四隅誤差
を解消することができる。

【００２３】以上のことから、製造時における調整のた
めのコストを低減させることができるのみならず、使用
時において四隅誤差が変化した場合においても、特殊な
技術を要することなく簡単に再調整することができる。

【００２４】更に、四隅誤差を機械的に調整する電子天
びんにおいても、四隅誤差が荷重・偏置距離に比例せ
ず、機械的調整のみでは四隅誤差の解消に限界があるよ
うな場合においても、本発明を適用することによって実
質的に四隅誤差を解消することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の構成図で、機械的構成を
表す模式的平面図と、電気的構成を表すブロック図とを
併記して示す図である。

【図２】図１の実施の形態における機械的構成の模式的
正面図である。

【図３】本発明の実施の形態の演算制御部１２に書き込
まれている調整用のプログラムの内容を示すフローチャ
ートである。

【図４】同じく本発明の実施の形態の演算制御部１２に
書き込まれている計量用のプログラムの内容を示すフロ
ーチャートである。

【符号の説明】

１ 荷重検出機構 １ａ 支持棒 ２ 皿受け ２ａ〜２ｄ 片持ち梁 ３ 測定皿 ４ａ〜４ｄ スペーサ ５ａ〜５ｄ 撓み量センサ １１，１５ Ａ−Ｄ変換器 １２ 演算制御部 １３ 表示器 １４ モード選択キー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 皿受けを介して測定皿を支持し、その測
   定皿上の荷重に対応する信号を出力する荷重検出機構
   と、その荷重検出機構の出力を用いて測定皿上の荷重値
   を算出する演算手段を備えた電子天びんにおいて、 上記皿受けは、水平面上で４方向に伸び、かつ、それぞ
   れの先端部近傍において上記測定皿の隅部を支承する４
   本の片持ち梁を備えているとともに、 その各片持ち梁の撓み量を個々に検出する撓み量検出手
   段と、その各片持ち梁の撓み量検出結果を用いて上記測
   定皿上の荷重の重心位置を算出し、あらかじめ記憶して
   いる荷重の重心位置と四隅誤差との関係を用いて、上記
   荷重検出機構の出力を補正したうえで上記演算手段の荷
   重値の演算に供する四隅誤差補正演算手段を備えている
   ことを特徴とする電子天びん。