JP2002137393A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置

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JP2002137393A
JP2002137393A JP2000336819A JP2000336819A JP2002137393A JP 2002137393 A JP2002137393 A JP 2002137393A JP 2000336819 A JP2000336819 A JP 2000336819A JP 2000336819 A JP2000336819 A JP 2000336819A JP 2002137393 A JP2002137393 A JP 2002137393A
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Shuya Abe
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Koji Onishi
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Kunihiro Yamanaka
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 インク滴を吐出するノズルと、ノズルが連通
するインク流路と、流路の壁面を形成する振動板と、こ
の振動板に対向する電極とを備え、振動板を静電力で変
形させてノズルからインク滴を吐出させる静電型インク
ジェットヘッドにおいて、低コストで信頼性の高い液滴
吐出ヘッド及びその製造方法並びに低コストで信頼性の
高いインクジェット記録装置の提供。 【解決手段】 流路基板1と電極基板2との間のスペー
サ部13に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18
を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法並びにインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含
む。)に用いられるインクジェット記録装置における液
滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとして、イン
ク滴を吐出するノズルと、ノズルが連通する吐出室(イ
ンク流路、インク室、液室、圧力室、加圧室、加圧液室
などとも称される。)と、吐出室の壁面を形成する第一
電極を兼ねる振動板と、これに対向する電極(第二電
極)とを備え、振動板を静電力で変形変位させてノズル
からインク滴を吐出させる静電型インクジェットヘッド
が知られている。
【0003】従来の静電型インクジェットヘッドとして
は、例えば特開平6−71882号公報や特開平5−5
0601号公報に開示されているように、吐出室及び振
動板を形成する第1基板と電極を設ける第2基板との陽
極接合面のいずれか一方又は両方の面に振動室用の凹部
或いは電極形成用の凹部若しくはシリコン酸化膜を形成
することにより、振動板と電極との間のギャップ長を所
定の長さに規定するようにしたものがある。
【0004】また、特開平6−23986号公報に開示
されているように、ノズル及び圧力室となるべきキャビ
ティが形成された第一のシリコン基板と振動板となる第
二のシリコン基板とを構成部材とし、高濃度P型シリコ
ン層を形成した第二のシリコン基板と第一のシリコン基
板とをシリコン−シリコンの直接接合法により接合し、
接合後の第二のシリコン基板をアルカリ異方性エッチン
グしてP型シリコン層を残留させて振動板を形成したも
のがある。
【0005】さらに、特開平9−267479号公報に
開示されているように、片側に高濃度p型シリコン層を
形成した第一のシリコン基板の高濃度p型シリコン層
と、ノズルが形成された第二のシリコン基板を向かい合
わせて、常温からの昇温速度を摂氏5度/分以下とした
直接接合により貼り合わせて振動板を形成したものもあ
る。
【0006】また、静電型インクジェットヘッドの製造
方法としては、例えば特開平9−286101号公報に
開示されているように、ノズルを形成したシリコンウエ
ハの貼り合わせ面に、シリコン酸化とNa2O及び水から
なる珪酸ナトリウム水溶液を希釈したものをスピンコー
トを用いてコートすることで珪酸ナトリウム層を形成
し、形成後直ちにシリコンウエハと振動板を形成したシ
リコンウエハを貼り合わせ、貼り合わせ面の反対側より
荷重をかけ、80℃以上200℃以下の大気中で加熱を
行うことにより、接合ウエハを得る方法が知られてい
る。
【0007】さらに、特開平10−286954号公報
に開示されているように、第一シリコン基板と第二シリ
コン基板を洗浄・乾燥後、第一シリコン基板の貼り合わ
せ面側に、スピンコートでポリシラザン層を形成し、形
成後、直ちに第一シリコン基板と第二シリコン基板を貼
り合わせ、貼り合わせ面の反対側より荷重をかけ、45
0℃の大気中で1時間加熱を行い接合ウエハを得る方法
が知られている。その他、特開平9−286101号公
報に記載されているように第1基板と第2基板とを陽極
接合するもの、特開平6−8449号公報に記載されて
いるように第1基板と第2基板とを直接接合するものな
どが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
1基板と第2基板の接合に水ガラス(珪酸ナトリウム溶
液)を用いたものにあっては、この材料は低温で良好な
接合性を示すが、水分の含有量が多いため膜中からの出
ガス(水蒸気など)の影響が避けられない。また、上記
第1基板と第2基板の接合にポリシラザンを利用したも
のにあっては、信頼性に優れるが、やはり出ガスの問題
を内在している。
【0009】さらに、上記陽極接合を利用するものあっ
ては、400℃程度の温度下で、100〜2000Vと
いう高電圧を印加することによる振動板へのストレス蓄
積などの問題を有している。
【0010】そこで、上述したウェハ同士を直接的に接
合する方式(直接接合)が使われている。ところが、静
電気力駆動においては、電極間短絡防止、接触面の保護
や、駆動信頼性を高めるために、個別電極及び/又は振
動板に信頼性の高い絶縁膜を形成しなくてはいけない。
このため、通常、シリコン酸化膜等の酸化膜を用いた絶
縁膜が利用されている。
【0011】ところが、直接接合を用いた接合では、そ
の接合面によって信頼性のある接合を得るために必要な
温度が大きく異なる。例えば、もっとも低温で接合可能
なのは、シリコンとシリコンの接合である。続いて、シ
リコン酸化膜とシリコンの接合が続き、これらの接合は
800℃〜1100℃程度の接合温度で使用可能であ
る。これに対して、シリコン酸化膜とシリコン酸化膜の
接合においては、きわめて安定な界面同士の接合となる
ため、確実な接合を得るためには1200℃以上での接
合が必要になる。このような高い温度では、特殊な炉が
必要になったり、ヘッドを構成する材料が限られたりす
るため、現実的な接合技術とはならない。
【0012】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで信頼性の高い液滴吐出ヘッド及びそ
の製造方法並びに低コストで信頼性の高いインクジェッ
ト記録装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設ける第
1基板と電極を設ける第2基板との間のスペーサ部の少
なくとも接合面側にシリコン酸化膜を有し、このシリコ
ン酸化膜が1000℃以下の温度で軟化性を示す組成を
持つ構成としたものである。
【0014】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を
設ける第1基板と電極を設ける第2基板との間のスペー
サ部の少なくとも接合面側にシリコン酸化膜を有し、こ
のシリコン酸化膜には燐及び/又は硼素が含まれている
構成としたものである。
【0015】ここで、スペーサ部の全体を燐及び/又は
硼素が含まれているシリコン酸化膜とすることができ
る。また、振動板と電極の各対向側表面には燐及び/又
は硼素が含まれているシリコン酸化膜を有しないことが
好ましい。
【0016】さらに、シリコン酸化膜が燐及び硼素を含
まないシリコン酸化膜上に硼素及び/又は含むシリコン
酸化膜を積層してなる層構成とすることができる。ま
た、シリコン酸化膜が燐及び硼素を含まないシリコン酸
化膜上に、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜、及
び、硼素及び/又は燐を含むシリコン酸化膜を順次積層
してなる層構成とすることもできる。
【0017】また、スペーサ部は電極の上に形成したシ
リコン酸化膜で形成することができる。この場合、電極
の材料が硼素又は燐を不純物として含む多結晶シリコン
であり、ギャップ層はこの多結晶シリコンの電極材料の
上に形成されたシリコン酸化膜で形成されていることが
好ましい。この場合、ギャップ層は電極を形成する多結
晶シリコンを酸化することで形成されていることが好ま
しい。
【0018】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を
設ける第1基板と電極を設ける第2基板との間のスペー
サ部の少なくとも接合面側にシリコン酸化膜を有し、接
合面にはダミー溝が形成されている構成としたものであ
る。
【0019】ここで、シリコン酸化膜は、燐及び/又は
硼素を含み、電極間の隔壁幅と略同じ幅にパターニング
されていることが好ましい。
【0020】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を
設ける第1基板と電極を設ける第2基板とが接合され、
第1基板の接合面の保護膜と電極の保護膜とが同じ層構
造のシリコン酸化膜である構成としたものである。
【0021】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を
設ける第1基板と電極を設ける第2基板との間のスペー
サ部の接合面側にシリコン酸化膜を有し、このシリコン
酸化膜を形成する下地層上にダミー電極が形成されてい
る構成としたものである。
【0022】ここで、ダミー電極は電極と電気的に分離
されていることが好ましい。この場合、シリコン酸化膜
の表面には振動板と前記電極との間に形成される振動室
間又は空気溜まり室に連通する溝又は空間を有すること
ができる。
【0023】これらの各本発明に係る液滴吐出ヘッドに
おいては、シリコン酸化膜中に存在する元素が共有結合
性であり、その酸化物の電気陰性度が2.0以下である
ことが好ましい。
【0024】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板表
面側には酸化硼素層上に不純物を含まないシリコン酸化
膜を有する構成としたものである。
【0025】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板と
電極との間に形成される振動室が密閉された空間であ
り、この空間が略真空状態である構成としたものであ
る。
【0026】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、上記シリコン酸化膜を用いる各発明を適用したイン
クジェットヘッドを製造する製造方法であって、シリコ
ン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜がリフロー性を
示す温度以上で個別に熱処理を施し、このリフロー性を
示す温度未満の温度で第1基板と第2基板とを加熱して
接合する構成としたものである。
【0027】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、上記シリコン酸化膜を用いる各発明を適用したイン
クジェットヘッドを製造する製造方法であって、シリコ
ン酸化膜を形成した後、接合面となる表面の平坦化処理
を行い、さらに第1基板と第2基板とを接合する際の接
合温度以上の温度で個別に熱処理した後、第1基板と第
2基板を加熱して接合する構成としたものである。
【0028】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、スペーサ部となるシリコン酸化膜に振動板と電極と
の間の振動室となるギャップを形成する液滴吐出ヘッド
を製造する製造方法であって、スペーサ部となるシリコ
ン酸化膜に振動板と電極との間の振動室となるギャップ
を形成した後、電極を形成する構成としたものである。
【0029】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、本発明を適用したインクジェットヘッドを製造する
製造方法であって、第1基板を第2基板に接合した後機
械的な研磨研削によって第1基板を液室高さまで減じた
後、熱処理を加える構成としたものである。
【0030】本発明に係るインクジェット記録装置は、
本発明に液滴吐出ヘッドをインク滴を吐出するインクジ
ェットヘッドとして搭載したものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。先ず、本発明を適用したイン
クジェットヘッドの第1実施形態について図1乃至図4
を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視
説明図、図2は同ヘッドのノズル板を除いた上面説明
図、図3は図2のA−A線に沿う同ヘッドの振動板長手
方向の断面説明図、図4は図2のB−B線に沿う同ヘッ
ドの振動板短手方向の要部拡大断面説明図である。
【0032】このインクジェットヘッドは、単結晶シリ
コン基板を用いた第1基板である流路基板1と、この流
路基板1の下側に設けた単結晶シリコン基板を用いた第
2基板である電極基板2と、流路基板1の上側に設けた
第3基板であるノズル板3とを積層した構造を有し、イ
ンク滴を吐出する複数のノズル4、各ノズル4が連通す
るインク流路である吐出室6、各吐出室6にインク供給
路を兼ねた流体抵抗部7を介して連通する共通液室8な
どを形成している。
【0033】流路基板1にはノズル4が連通する複数の
吐出室6及びこの吐出室6の壁面である底部をなす振動
板10(電極を兼ねている)を形成する凹部を形成して
いる。この振動板10の面外方向(電極基板2側)表面
には電極間の短絡を防止するためのシリコン酸化膜から
なる絶縁膜11を形成している。
【0034】ここで、流路基板1は、例えば(110)
面方位の単結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板
厚さに高濃度P型不純物(例えば硼素)を注入してエッ
チングストップ層となる高濃度硼素拡散層を形成し、電
極基板2と接合した後、吐出室6となる凹部をKOH水
溶液などのアルカリエッチング液を用いて異方性エッチ
ングすることにより、このとき高濃度硼素拡散層がエッ
チングストップ層となって(エッチレートが極端に小さ
くなって)振動板10が高精度に形成される。高濃度P
型不純物としては、硼素(ボロン)の他、ガリウム、ア
ルミニウムなどもあるが、半導体分野では硼素が一般的
である。
【0035】また、流路基板1としては、ベース基板と
活性層基板とを酸化膜を介して接合したSOI(Silic
on On Insulator)基板を用いることも可能である。
現在、高性能な半導体デバイス製造を目的として、1〜
3μmほどのシリコン活性層(インクジェットヘッドで
はこの活性層を振動板10に用いる。)を持つウェハを
容易に入手でき、コストの低減を図れる。
【0036】また、電極基板2には、単結晶シリコン基
板を用いて、熱酸化法などで酸化膜12を形成し、この
酸化膜12に電極形成用の溝となるとともに流路基板1
と電極基板2との間のギャップスペーサ部13を形成す
る凹部(電極形成用溝)14を形成して、この凹部14
底面に振動板10に対向する電極15を設け、振動板1
0と電極15との間に所定の(例えば0.2μm程度
の)ギャップ16を形成し、これらの振動板10と電極
15とによって静電型マイクロアクチュエータを構成し
ている。
【0037】電極基板2の電極15としては、金、或い
は、通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられ
るAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W
等の高融点金属、不純物をドープした多結晶シリコン膜
などを用いることができる。また、電極15は外部に延
設して電極パッド部15aとし、この電極パッド部15
aにヘッド駆動回路であるドライバIC22をワイヤボ
ンドなどによって搭載したFPCケーブルを異方性導電
膜などを介して接続する。
【0038】さらに、電極基板2には共通液室8へイン
クを供給するためのインク取り入れ口9を形成してい
る。このインク取入れ口9にインク供給管を接着して接
続することにより、共通液室8、吐出室6等には、図示
しないインクタンクからインク取入れ口9を通して供給
されたインクが充填されることが可能となる。なお、使
用するインクは、水、アルコール、トルエン等の主溶媒
にエチレングリコール等の界面活性剤と、染料または顔
料とを溶解または分散させることにより調製される。さ
らに、インクジェットヘッドにヒーター等を付設すれ
ば、ホットメルトインクも使用できる。
【0039】ノズル板3には、多数のノズル4を形成す
るとともに、共通液室8と吐出室6を連通するための流
体抵抗部7を形成する溝部を形成している。ここでは、
インク吐出面(ノズル表面側)には撥水性皮膜を成膜し
ている。このノズル板3にはガラス基板、プラスチック
板、ステンレス等の金属板、シリコン基板、エレクトロ
フォーミング(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜、ポ
リイミド等の樹脂にエキシマレーザー加工をしたもの、
金属と樹脂とを積層したもの等を用いることができる。
【0040】ここで、流路基板1と電極基板2との間の
スペーサ部13の接合面側には、酸化膜12上に100
0℃以下の温度で軟化性を示す組成を持つシリコン酸化
膜18を形成している。このシリコン酸化膜18とし
て、ここでは、硼素を含むシリコン酸化膜(BSG膜:
Boro-Silicate Glass)を用いている。このシリコン酸
化膜18は、電極15表面に形成するシリコン酸化膜で
ある電極保護膜(絶縁膜)17を一体に形成している。
【0041】なお、シリコン酸化膜18としては、硼素
を含まず、燐素を含むシリコン酸化膜(PSG膜:Phos
pho-Silicate Glass)、或いは、燐及び硼素を含むシリ
コン酸化膜(BPSG膜:BoroPhospho-Silicate Glas
s)を用いることもできる。また、流路基板1と電極基
板2との間の接合層となるシリコン酸化膜18は流路基
板1の振動板10の表面側(この例では絶縁膜11表面
側)に形成することもできる。
【0042】このように、流路基板1と電極基板2との
間のスペーサ部13の少なくとも接合面側に1000℃
以下で軟化性を示す組成を持つシリコン酸化膜18を設
けることにより、シリコン酸化膜18を成膜後、熱処理
によりリフローさせることで、良好な直接接合が可能な
表面性が得られる。具体的には、成膜直後にはAFMを
用いた表面性の評価で、表面粗さRa値が1〜3nm程
度であったものが0.1〜0.2nmとなり、非常に良
好な直接接合が可能な表面性が得られた。
【0043】これにより、低温(1000℃)以下でシ
リコン基板同士を接合することが可能になるとともに、
基板同士の密着性が向上する。さらに、第1基板及び第
2基板にシリコン基板を用いた場合には、シリコン基板
同士をシリコン酸化膜で接合することで、基板同士の熱
膨張差を最小にすることができて、熱履歴による歪みの
発生を抑えることができる。さらに、ヘッドを貫通する
形でインク供給口(インク取り入れ口)を形成した場合
にも、接合面へのインクによる腐食、染み込みを防止す
ることができる。
【0044】また、流路基板1と電極基板2との間のス
ペーサ部13の少なくとも接合面側にシリコン酸化膜1
8として燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜、例え
ばBSG膜、PSG膜、或いはBPSG膜などを用いる
ことで、容易に1000℃以下で軟化性を示す組成を持
つシリコン酸化膜を形成することができ、シリコン酸化
膜18を成膜後、熱処理によりリフローさせることで、
良好な直接接合が可能な表面性が得られる。
【0045】ここで、シリコン酸化膜中に第3の元素が
入ると、シリコンと酸素の結合にとって変わる共有性の
結合を持つものと、シリコンと酸素の結合中に電気的に
修飾する形で進入存在するイオン結合性の元素がある。
インクジェットヘッドに使用するシリコン酸化膜では、
そのインクが高いアルカリ性を示すものが多く、イオン
結合性の元素では、インクに対して溶出したり、接合に
用いた場合は剥離したりする。また、共有結合性の元素
を用いた場合でも、酸化物の電気陰性度が2.0以下で
ある場合には、イオン結合性の元素と同様に、インクに
対して溶出したり、接合に用いた場合は剥離したりする
おそれがある。
【0046】したがって、インクジェットヘッドのスペ
ーサ部或いは接合層として用いるシリコン酸化膜18に
含める元素としては、共有結合性の元素で、酸化物の電
気陰性度が2.0以下であることが好ましい。具体的
は、硼素、硫黄、燐、砒素、アンチモン、ゲルマニウ
ム、鈴、チタン、ジルコニウム、ベリリウム、アルミニ
ウムなどを挙げることができる。これらの元素を用いる
ことで、インクへの溶出や接合部分の剥離を抑えること
ができ、一層信頼性が向上する。
【0047】すなわち、電気陰性度は、シリコン酸化膜
(ガラス)の共有結合性を示す尺度となり、酸素原子の
電気陰性度χ0から、金属原子の電気陰性度χmを引いた
値(χ0−χm)≦2であると、その金属酸化物はシリコ
ン酸化膜(ガラス)の骨格をなすような構造となる。逆
に、(χ0−χm)>2であると、その金属はシリコン酸
化膜のシリコンと酸素で形成されるような骨格の隙間を
浮遊するような形(網目修飾酸化物)になる。このよう
な網目修飾酸化物は、シリコン酸化膜中で比較的自由に
動くことができるので、インクのようなアルカリ性の高
い溶液などが触れると、インク中に溶出してしまう。そ
の際、シリコンと酸素の結合を切るような挙動がある
と、シリコン酸化膜はインクに溶けることになる。した
がって、シリコン酸化膜としては、特にアルカリ性のイ
ンクを用いるインクジェットヘッドの場合、電気陰性度
が2以下であること、金属元素は共有結合性を有してい
ることが好ましい。
【0048】このインクジェットヘッドではノズル4を
二列配置し、この各ノズル4に対応して吐出室6、振動
板10、電極15なども二列配置し、各ノズル列の中央
部に共通液室8を配置して、左右の吐出室6にインクを
供給する構成を採用している。これにより、簡単なヘッ
ド構成で多数のノズルを有するマルチノズルヘッドを構
成することができる。
【0049】そして、電極15の電極パッド部15a側
のギャップ16開口は、エポキシ樹脂等の接着剤を用い
たギャップ封止剤21にて気密封止している。これによ
り、ギャップ16内に湿気や異物が侵入して振動板10
が変位しなくなったり、空気の流通による振動板10の
変位特性の変化を防止している。
【0050】このとき、振動板10と電極15との間に
形成されるギャップ16(振動板10が変形する室とし
ての振動室)を略真空状態にしておくことで、振動板変
形時の振動室内の気体の圧縮などの余分なエネルギーが
必要でなくなるため、低電圧駆動化を図れる。
【0051】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を簡単に説明すると、振動板10を共通電極と
し、電極15を個別電極として、振動板10と電極15
との間に駆動波形を印加することにより、振動板10と
電極15との間に静電力(静電吸引力)が発生して、振
動板10が電極15側に変形変位する。これにより、吐
出室6の内容積が拡張されて内圧が下がるため、流体抵
抗部7を介して共通液室8から吐出室6にインクが充填
される。
【0052】次いで、電極15への電圧印加を断つと、
静電力が作用しなくなり、振動板10はそれ自身のもつ
弾性によって復元する。この動作に伴い吐出室6の内圧
が上昇し、ノズル5からインク滴が吐出される。再び電
極に電圧を印加すると、再び静電吸引力によって振動板
10は電極15側に引き込まれる。したがって、振動板
10と電極15との間に記録画像に応じて駆動電圧を印
加することで記録画像に応じてインク滴を吐出させるこ
とができる。
【0053】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第2実施形態について図5及び図6を参照して説
明する。なお、図5は同ヘッドの振動板長手方向の断面
説明図、図6は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断
面説明図である。
【0054】このインクジェットヘッドは、スペーサ部
13の熱酸化膜12上に不純物(燐及び硼素)を含まな
いシリコン酸化膜28を形成し、このシリコン酸化膜2
8上に1000℃以下の温度で軟化性を示す組成を持つ
燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18を積層した
2層構造としたものである。
【0055】ここで、不純物を含まないシリコン酸化膜
28としては燐及び硼素などを含まないNSG膜(Non
-doped Silicate Glass)、燐及び/又は硼素を含む
シリコン酸化膜18としてはBSG膜を用いているが、
これに限られるものではない。例えば、不純物を含まな
いシリコン酸化膜28としては、NSG膜に代えて、熱
酸化膜、塗布型のSOG膜(Spin On Glass)を用い
ることもできる。また、燐及び/又は硼素を含むシリコ
ン酸化膜18としては、BSG膜に代えて、前述したP
SG膜、BPSG膜などを用いることもできる。
【0056】このように硼素及び/又は燐を含むシリコ
ン酸化膜18の下地層として、遮蔽層となる不純物を含
まないシリコン酸化膜28を設けることによって、硼素
や燐が電極基板2や電極15に拡散して、品質が劣化す
ることを防止できる。
【0057】例えば、電極15の材料としてドープドポ
リシリコンを用いた場合などは、電極15とリフロー膜
(硼素及び/又は燐を含むシリコン酸化膜、例えばBS
G膜)18との間に不純物を含まないシリコン酸化膜
(NSG膜)28を介在させた構造とすることで、後工
程での熱処理時にリフロー膜となるシリコン酸化膜18
に含まれる硼素や燐などの不純物が電極15に再分布す
ることが防止されて、個別電極15の抵抗値などの電気
特性の変動を抑制することができる。
【0058】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第3実施形態について図7及び図8を参照して説
明する。なお、図7は同ヘッドの振動板長手方向の断面
説明図、図8は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断
面説明図である。
【0059】このインクジェットヘッドは、スペーサ部
13の熱酸化膜12上に不純物(燐及び硼素)を含まな
いシリコン酸化膜(熱酸化膜、NSG膜又はSOG膜な
ど)28を形成し、このシリコン酸化膜28上に燐及び
硼素を含むシリコン酸化膜(BPSG膜)18bを形成
し、さらにこのシリコン酸化膜18a上に硼素を含むシ
リコン酸化膜(BSG膜)18aを形成した多層構成と
している。なお、BPSG膜18bに代えて、燐を含む
シリコン酸化膜(PSG膜)とすることもできる。
【0060】このような膜構造とすることで、上記NS
G膜などの不純物を含まないシリコン酸化膜28による
不純物の拡散防止を行うことができるとともに、BSG
膜18aよりも流動性の高いBPSG膜(あるいはPS
G膜)18bなどによる埋め込み効果の向上(例えばプ
ロセス中についてしまう微細な表面傷はBPSG膜18
bがリフローするときに埋められる)を図れ、インクな
どの液体を通した場合のリークなどの発生を防止でき
る。なお、深い傷や幅の広い傷などは埋めきれないの
で、そのような傷が付かないような工程設計を行う必要
はある。また、接合強度も前述のように十分な強度が得
られる。
【0061】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第4実施形態について図9及び図10を参照して
説明する。なお、図9は同ヘッドの振動板長手方向の断
面説明図、図10は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡
大断面説明図である。
【0062】このインクジェットヘッドは、上記第1実
施形態のインクジェットヘッドにおいて、ノズル板3を
シリコン基板から形成し、このノズル板3の流路基板1
との接合面に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜2
9を形成して、ノズル板3と流路基板1とを燐及び/又
は硼素を含むシリコン酸化膜29を介して接合したもの
である。
【0063】このシリコン酸化膜29としては、CVD
等の方法で形成したBSG膜を用いているが、前述した
ように、BSG膜に代えて、BPSG膜、PSG膜、N
SG膜とBSG膜の2層構造膜、NSG膜とBPSG膜
の2層構造膜、又は、NSG膜とBPSG膜及びPSG
との3層構造膜などを用いることもできる。
【0064】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第5実施形態について図11乃至図14を参照し
て説明する。なお、図11は同ヘッドの分解斜視説明
図、図12は同ヘッドのノズル板を除いた上面説明図、
図13は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図1
4は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明図で
ある。
【0065】このインクジェットヘッドは、流路基板1
と電極基板2との間のスペーサ部13の接合面側に10
00℃以下で軟化性を示すシリコン酸化膜でもある燐及
び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18を有し、このシ
リコン酸化膜18を形成する下地部材である酸化膜12
にはスペーサ部13のうちの接合面積が広い部分(電極
形成用溝:凹部14が疎な部分)にダミー溝31、32
を形成している。
【0066】このようなダミー溝31、32を設けるこ
とで、特に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18
の膜厚のバラツキを低減してより確実に高い信頼性で流
路基板1と電極基板2とを接合することができる。すな
わち、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18のリ
フロー後の形状が、下地形状の影響を僅かに受け、接合
面積が広い部分では、接合面積が狭い部分に比べて、僅
かに膜厚が薄くなる。この膜厚差は1nm以下のレベル
であるが、シリコン酸化膜を用いた接合では、接合不良
となる可能性がある。そこで、このダミー溝31、32
を設けることで、シリコン酸化膜を形成する下地部材の
面積の均一化(接合面積の均一化)を図ることができ、
シリコン酸化膜の膜厚ばらつきを低減することができ
る。
【0067】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第6実施形態について図15を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。
【0068】このインクジェットヘッドは、第2実施形
態と第5実施形態とを組み合せたものであり、流路基板
1と電極基板2との間のスペーサ部13の接合面側に形
成したシリコン酸化膜を、不純物を含まないシリコン酸
化膜28と燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18
との2層構成とし、更にこれらのシリコン酸化膜28、
18を形成する下地部材である酸化膜12にはスペーサ
部13のうちの接合面積が広い部分(電極形成用溝:凹
部14が疎な部分)にダミー溝31、32(32のみ図
示)を形成している。
【0069】このように硼素及び/又は燐を含むシリコ
ン酸化膜の下に、遮蔽層となる不純物を含まないシリコ
ン酸化膜を設けることによって、硼素及び/又は燐の電
極や基板への拡散、品質劣化を防ぐことができるととも
に、ダミー溝を設けることで、燐及び/又は硼素を含む
シリコン酸化膜の膜厚のバラツキを低減してより確実に
高い信頼性で流路基板と電極基板とを接合することがで
きる。
【0070】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第7実施形態について図16を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。
【0071】このインクジェットヘッドは、上記第3実
施形態と第5実施形態とを組み合せたものであり、ノズ
ル板3を燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜29を
介して流路基板1に接合し、更に流路基板1と電極基板
2との間のスペーサ部13の接合面側に燐及び/又は硼
素を含むシリコン酸化膜18を有し、このシリコン酸化
膜18を形成する下地部材である酸化膜12にはスペー
サ部13のうちの接合面積が広い部分(電極形成用溝:
凹部14が疎な部分)にダミー溝31、32(32のみ
図示)を形成している。
【0072】これによりノズル板の接合が容易になると
ともに、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜の膜厚
バラツキが低減して信頼性の高い接合を行うことができ
る。
【0073】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第8実施形態について図17を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。このインクジェットヘッドは、電極基板2の
酸化膜12上に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜
18を形成し、更にシリコン酸化膜18上に電極15を
形成することで、スペーサ部13のみに燐及び/又は硼
素を含むシリコン酸化膜18を形成している。
【0074】したがって、電極15表面には燐及び/又
は硼素を含むシリコン酸化膜18がなく、また、振動板
10の電極側対向表面には熱酸化膜などの燐及び/又は
硼素を含まない絶縁膜11を形成しているので、振動板
10と電極15の各対向側表面には燐及び/又は硼素が
含まれているシリコン酸化膜を有しない。これにより、
電気的な信頼性が向上する。
【0075】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第9実施形態について図18を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。このインクジェットヘッドは、電極基板2の
酸化膜12上に不純物を含まないシリコン酸化膜28、
燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18を順次積層
形成し、更にシリコン酸化膜18上に電極15を形成す
ることで、スペーサ部13のみに、不純物を含まないシ
リコン酸化膜28と燐及び/又は硼素を含むシリコン酸
化膜18との積層膜を形成している。
【0076】したがって、電極15表面には燐及び/又
は硼素を含むシリコン酸化膜18がなく、また、振動板
10の電極側対向表面には熱酸化膜などの燐及び/又は
硼素を含まない絶縁膜11を形成しているので、振動板
10と電極15の各対向側表面には燐及び/又は硼素が
含まれているシリコン酸化膜を有しない。これにより、
電気的な信頼性が向上する。
【0077】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第10実施形態について図19を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。このインクジェットヘッドは、スペーサ部1
3のみに燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18を
形成し、酸化膜12上に直接電極15を形成し、この電
極15上には別途保護膜37を形成している。このヘッ
ドは電極基板2の酸化膜12上にシリコン酸化膜18を
形成した後に凹部14を形成したものであり、シリコン
酸化膜18は電極間の隔壁幅と略同じにパターニングさ
れる。
【0078】したがって、このヘッドにおいては、電極
15表面には燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜1
8がなく、また、振動板10の電極側対向表面には熱酸
化膜などの燐及び/又は硼素を含まない絶縁膜11を形
成しているので、振動板10と電極15の各対向側表面
には燐及び/又は硼素が含まれているシリコン酸化膜を
有しないので、電気的な信頼性が向上する。それととも
に、シリコン酸化膜18を凹部14を形成する前の平坦
な酸化膜12上に形成することができるので、シリコン
酸化膜18の膜厚バラツキが低減する。
【0079】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第11実施形態について図20乃至図22を参照
して説明する。なお、図20は同ヘッドのノズル板を除
いた上面説明図、図21は同ヘッドの振動板長手方向の
断面説明図、図22は同ヘッドの振動板短手方向の要部
拡大断面説明図である。
【0080】このインクジェットヘッドは、流路基板1
と電極基板2との間のスペーサ部13の接合面側に10
00℃以下で軟化性を示すシリコン酸化膜でもある燐及
び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18を有し、このシ
リコン酸化膜18を形成する下地部材(下地層)である
酸化膜12にはスペーサ部13のうちの接合面積が広い
部分(電極形成用溝:凹部14が疎な部分)にダミー電
極35を形成している。このダミー電極35は、幅が略
均一になるように形成するとともに、電極15とは電気
的に分離させている。
【0081】このようなダミー電極35を設けること
で、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18の膜厚
のバラツキを低減してより確実に高い信頼性で流路基板
1と電極基板2とを接合することができる。すなわち、
前述したように、シリコン酸化膜18のリフロー後の形
状が、下地形状の影響を僅かに受け、接合面積が広い部
分では、接合面積が狭い部分に比べて、僅かに膜厚が薄
くなる。そこで、このダミー電極35を設けることで、
接合面積の均一化を図ることができ、膜厚ばらつきを低
減することができる。
【0082】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第12実施形態について図23及び図24を参照
して説明する。なお、図23は同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図、図24は同ヘッドの振動板短手方向の
要部拡大断面説明図である。
【0083】このインクジェットヘッドは、上記第2実
施形態と第11実施形態とを組み合せたものであり、流
路基板1と電極基板2との間のスペーサ部13の接合面
側に不純物を含まないシリコン酸化膜28と燐及び/又
は硼素を含むシリコン酸化膜18との積層膜を形成し、
これらのシリコン酸化膜28、18を形成する下地部材
(下地層)である酸化膜12にはスペーサ部13のうち
の接合面積が広い部分(電極形成用溝:凹部14が疎な
部分)にダミー電極35を形成している。このダミー電
極35は、幅が略均一になるように形成するとともに、
電極15とは電気的に分離させている。
【0084】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第13実施形態について図25乃至図28を参照
して説明する。なお、図25はダミー電極の配置パター
ンを説明する上面説明図、図26は図25のC−C線に
沿う断面説明図、図27は図25のD−D線に沿う断面
説明図、図28は図25のE−E線に沿う断面説明図で
ある。
【0085】この例は、ダミー電極として複数に分割し
たダミー電極36を飛び石状に配置したものである。こ
のように、複数のダミー電極36を設けることにより、
個別電極15とドライバ回路を接続する際に、ダミー電
極36を介して短絡してしまう可能性を防止することが
できる。
【0086】このとき、ダミー電極36、36の間隔
(隙間)37を0.5μm以下にすることで、硼素や燐
を含んだシリコン酸化膜18を堆積させる際にその隙間
37を確実に埋めることができ、気密性を確保すること
ができる。このダミー電極36の形成は、シリコン基板
を熱酸化した酸化膜12上で行うため、平坦性が高く、
0.5μm以下のリソグラフィー、パターニングも問題
無く実施することができる。
【0087】なお、第12実施形態のように、シリコン
酸化膜18を形成する下地層としての不純物を含まない
シリコン酸化膜28として、塗布型シリコン酸化膜(S
OG膜)を用いる場合は、埋め込み性がよくなるので、
ダミー電極36、36の隙間37は1μm程度まで広げ
ることができる。
【0088】このように構成することで、振動室内部
(ギャップ16内)は外気から完全に遮断されるため、
製造工程での異物のギャップ16内への進入を防ぐこと
ができ、さらに、振動板10の振動によりギャップ16
内の気体が外部と行き来することで生じる抵抗によるエ
ネルギー損失を防ぐことができる。
【0089】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第14実施形態及び第15実施形態について図2
9及び図30を参照して説明する。なお、両図はいずれ
もダミー電極の配置パターンを説明する上面説明図であ
る。図29の第14実施形態はライン状のダミー電極3
8を複数配置した例であり、図30の第15実施形態は
枠状のダミー電極39を配置した例である。これらの各
実施形態によっても燐及び/又は硼素を含むシリコン酸
化膜18などの膜厚ばらつきを低減することができる。
【0090】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第16実施形態について図31を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。このインクジェットヘッドは、上記第13実
施形態において飛び石状に配置する複数のダミー電極3
6のうちの一部のダミー電極36、36の隙間38を他
の隙間37よりも広く(例えば1μm以上)し、あえて
シリコン酸化膜18による埋め込みが不可能な個所を形
成したものである。
【0091】これにより、流路基板1と接合した状態で
シリコン酸化膜18上には凹部39が生じ、この凹部3
9によって隣接する振動室間(ギャップ間)、あるい
は、別途設ける気体溜りとの気体の流路(直通溝)を形
成することができる。
【0092】したがって、ギャップ内の気体が外部と行
き来することで生じる抵抗によるエネルギー損失を防ぐ
ことができる。また、この凹部39で形成される連通溝
を一旦外部に開口させ、水素や、ヘリウム、乾燥空気
や、窒素などのような特殊な気体を振動室内(ギャップ
内)に封じこめた後、封止したりすることも可能とな
る。
【0093】この場合、各ビットが開放している場合に
比べ、共通開口部から気体の封じ込めができるので、後
工程での封止作業も簡単になる。また、ダミー電極36
の配置や、隙間を工夫することで、気体流体抵抗のよう
な働きを持たせることもでき、振動特性をコントロール
しやすくなる。
【0094】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第17実施形態について図32及び図33を参照
して説明する。なお、図32は同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図、図33は同ヘッドの振動板短手方向の
拡大断面説明図である。
【0095】このインクジェットヘッドは、電極基板2
側の全面に電極15表面を含めて燐及び/又は硼素を含
むシリコン酸化膜18(ここではBSG膜を用いてい
る。)を形成するとともに、流路基板1の振動板10の
電極側表面にも燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜
18(ここではBSG膜を用いている。)を形成してい
る。
【0096】このように振動板10側の電極対向側表面
の保護膜と電極15の保護膜とを同じ組成の膜とするこ
とにより、接触帯電などの電気的トラブルを防止するこ
とができる。
【0097】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第18実施形態について図34及び図35を参照
して説明する。なお、図34は同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図、図35は同ヘッドの振動板短手方向の
拡大断面説明図である。
【0098】このインクジェットヘッドは、電極基板2
のスペーサ部13のみに燐及び/又は硼素を含むシリコ
ン酸化膜18(ここではBSG膜を用いている。)を形
成し、電極15の材料(電極材料)にはシリコンを用い
て、このシリコンを熱酸化することによって電極15表
面にシリコン酸化膜41を形成している。また、流路基
板1の振動板10の電極側表面にも熱酸化膜42を形成
している。
【0099】このように振動板10側の電極対向側表面
の保護膜と電極15の保護膜とを同じ組成の膜とするこ
とにより、接触帯電などの電気的トラブルを防止するこ
とができるとともに、電極15上に燐及び/又は硼素を
含むシリコン酸化膜を形成していないので電気的信頼性
が更に向上する。
【0100】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第19実施形態について図36及び図37を参照
して説明する。なお、図36は同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図、図37は同ヘッドの振動板短手方向の
拡大断面説明図である。
【0101】このインクジェットヘッドは、電極基板2
の酸化膜12表面を平坦化し、この酸化膜12上に電極
15を形成して、更に燐及び/又は硼素を含むシリコン
酸化膜18(ここではBPSG膜を用いている。)を形
成し、このシリコン酸化膜18に開口44を形成するこ
とでギャップ16及びスペーサ部13を形成している。
そして、電極15の表面にはチタン窒化膜などの電極保
護膜47を設けている。
【0102】このように構成した場合には、スペーサー
部13の全体が燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜
18で形成され、このシリコン酸化膜18の膜厚が流路
基板1の振動板10と電極基板2の電極15との間のギ
ャップ長を規定することになり、高精度のギャップ形成
が可能になる。また、電極保護膜47に窒化チタン膜を
用いることで、チタン酸化物は誘電率が非常に高いこと
から、駆動電圧の低電圧化を図れる。
【0103】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第20実施形態について図38及び図39を参照
して説明する。なお、図38は同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図、図39は同ヘッドの振動板短手方向の
断面説明図である。
【0104】このインクジェットヘッドは、電極基板2
の酸化膜12表面を平坦化し、この酸化膜12上に電極
15及びダミー電極51を形成して、更にこれらの電極
15及びダミー電極51の間を不純物を含まないシリコ
ン酸化膜52(ここでは、SOG膜を用いている。)で
埋め込んで平坦化し、これらの上に燐及び/又は硼素を
含むシリコン酸化膜18(ここではBPSG膜を用いて
いる。)を形成し、このシリコン酸化膜18に開口54
を形成することでギャップ16及びスペーサ部13を形
成している。そして、電極15の表面にはチタン窒化膜
などの電極保護膜57を設けている。
【0105】このように構成した場合にも、スペーサー
部13の全体が燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜
18で形成され、このシリコン酸化膜18の膜厚が流路
基板1の振動板10と電極基板2の電極15との間のギ
ャップ長を規定することになり、高精度のギャップ形成
が可能になる。また、電極保護膜57に窒化チタン膜を
用いることで、チタン酸化物は誘電率が非常に高いこと
から、駆動電圧の低電圧化を図れる。
【0106】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第21実施形態について図40及び図41を参照
して説明する。なお、図40は同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図、図41は同ヘッドの振動板短手方向の
拡大断面説明図である。
【0107】このインクジェットヘッドは、電極基板2
の酸化膜12表面を平坦化し、この酸化膜12上にポリ
シリコン膜からなる電極15及びダミー電極61を形成
して、更にこれらの電極15及びダミー電極61の間を
不純物を含まないシリコン酸化膜62(ここでは、SO
G膜を用いている。)で埋め込みで平坦化し、これらの
上に不純物を含まないシリコン酸化膜63(ここでは、
NSG膜を用いている。)を形成し、さらに、このシリ
コン酸化膜63上に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸
化膜18(ここではBPSG膜を用いている。)を形成
して、このシリコン酸化膜18に凹部64を形成するこ
とで振動板10と非平行になるギャップ66及びスペー
サ部13を形成している。
【0108】この場合、電極15をポリシリコン膜で形
成しているが、このポリシリコン膜の研磨レートがSO
G膜62に比べて非常に低いために、電極15間の間隔
が広いとSOG膜62のみが研磨されて平坦化の平面精
度が得られなくなるが、ダミー電極61を設けることに
よって所要の平面精度が得られるようになる。
【0109】なお、前記第4実施形態で説明したように
ノズル板3としてシリコン基板を用いる場合において
は、流路基板1との接合について、電極基板2と流路基
板1との接合で説明した上記各他の実施形態、例えばダ
ミー溝、ダミー電極、シリコン酸化膜の組成、種類、層
構成などをそのまま適用することができる。
【0110】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第1実施形態について図42乃至図4
4を参照して説明する。この第1実施形態は本発明を適
用したインクジェットヘッドの第1実施形態の製造工程
を説明するものであるが、適宜他の実施形態のヘッドに
ついても説明する。
【0111】まず、電極基板2の製造方法について説明
する。はじめに、図42(a)に示すように、半導体用
として販売されている厚さ約625μmのp型の単結晶
シリコンで、結晶面方位が(100)である電極基板2
となるシリコン基板に、ウェットあるいはドライの熱酸
化法によって保護膜となる酸化膜12を約2μmの厚さ
に形成する。ここでは、安価に市場に出ているp型の単
結晶シリコン基板を用いたが、n型の基板であっても良
い。また、グレードとしては、モニタウェハグレードで
も問題ない。
【0112】続いて、酸化膜12が形成されたウェハに
フォトレジストを塗布し、電極15及びスペーサ部13
を形成するための凹部14を形成するためのパターニン
グを行い、フォトレジストパターンをマスクとして、弗
化アンモニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液(例
えば、ダイキン工業製:BHF-63U、商品名など)
を用いて、酸化膜12に凹部14を掘り込む。
【0113】このときの掘り込み量は電極材料の厚さ
(電極15の厚み)と、電極15と振動板10との間に
必要な空間量(ギャップ長)を足した分だけ掘り込むこ
とになる。なお、この掘り込み量は約1μm程度と少な
いので、弗化水素溶液を用いたウェットエッチングによ
る掘り込みにおいても、ウェハ面内の掘り込み量のばら
つきは極めて小さくできる。
【0114】続いて、電極材料となる窒化チタンを反応
性スパッタにより約300nmの厚さに堆積し、リソグ
ラフィー及びドライエッチングの手法を用いて所望の電
極15の形状に加工する。ここでは、窒化チタンのよう
な導電性のセラミックスを電極として使用したが、前述
したように、不純物がドーピングされた多結晶シリコン
を電極に用いることもできるし、タングステンのような
高融点金属を利用しても良い。
【0115】次に、同図(b1)に示すように、硼素を
含むシリコン酸化膜(BSG膜)18をCVDなどの手
法を用いて、電極15が形成されたウェハ全面に約10
0nmの厚さに堆積させる。この場合のBSG膜18a
は、電極15の保護、酸化防止の役目も併せ持つ。ここ
で、BSG膜18aは、硼素濃度4.0%になるように
成膜した。この硼素の濃度は、半導体プロセスで一般的
に使われている濃度であり、この濃度に限定されるもの
ではない。
【0116】或いは、同図(b2)に示すように、電極
15が形成されたウェハ全面にNSG膜28aを堆積し
た後、このNSG膜28a上にBSG膜18を積層した
2層構成などとすることもできる(この形態は、本発明
を適用したインクジェットヘッドの第2実施形態として
説明した。)。更に、NSG膜28a上にBPSG膜1
8b及びBSG膜18aを順次積層した3層構成とする
こともできる。
【0117】ここでの重点は、シリコン酸化膜中に、燐
及び/又は硼素を含有させることによって、軟化点を下
げたシリコン酸化膜18を形成することにある。この軟
化点を下げるという目的を達成するだけであれば、ゲル
マニウムなどの、燐、硼素以外の不純物を含有させる手
法もある。ただし、電極15となる材料(電極材料)と
の親和性やデバイスとしての信頼性を考えた場合、半導
体プロセスで実績のある燐及び/又は硼素を用いること
が本発明を達成する上でより利点が大きい。
【0118】次いで、このシリコンウェハを窒素ガス雰
囲気下で熱処理する。このとき温度は、950℃、2時
間の処理を行った。この950℃という温度は、この次
に行う直接接後の温度900℃よりも50℃だけ高い温
度としている。もちろん、直接接合の温度がこれよりも
低ければ、これよりも低い温度での熱処理で良い。ただ
し、BSG膜18aがリフロー性を示す温度よりも低く
なってはいけない。この熱処理によって、BSG膜a1
8中に存在する水分や水素ガスなどが放出され、接合時
の出ガスによるボイドの発生を防ぐことができる。ま
た、この処理によってBSG膜18a表面がリフローを
起こし、成膜直後にはAFMを用いた表面評価で、Ra
値で1〜3nm程度あった表面の荒れが0.1〜0.2
nmとなり、非常に良好な直接接合性を持つようにでき
る。
【0119】次に、流路基板1となる基板について説明
する。ここでは、同図(c)に示すように、流路基板1
となるシリコン基板71として、p型の極性を持ち、
(110)の面方位を持つ厚さ約500μmの両面研磨
したシリコン基板を用いた。このようなシリコン基板を
用いる目的は、シリコンのウェットエッチング速度の結
晶面異方性を利用し、精度の良い加工形状を得るための
ものである。
【0120】このシリコン基板71に固体拡散法により
硼素を拡散し、高濃度硼素拡散層72を形成する。例え
ば、シリコン基板71と固体拡散源を向かい合わせて並
べ750℃の炉の中にセットする。炉の中には0.25
%の酸素を混入した窒素を流しておく。炉の温度を8℃
/分のレートで1125℃まで上昇させ、その状態で5
0分保持した後、8℃/分のレートで750℃まで下げ
サンプルを取り出すことで、高濃度硼素拡散層72が形
成されたシリコン基板71が得られる。なお、拡散方法
は、この他にBBr3を用いた気相拡散法、イオン注入
法、B23を有機溶媒に分散させウエハ上にスピンコー
トする塗布拡散法などを用いても良い。
【0121】その後、シリコン基板71表面に形成され
た酸化硼素層をフッ酸により除去する。酸化硼素層の下
にシリコンと硼素の化合物層が形成されており、これを
除去する場合は、さらに酸化することによってフッ酸で
除去できるようになる。しかし、このように酸化してフ
ッ酸で化合物層を除去しても硼素の拡散されたシリコン
表面には荒れが生じているので、後に行う直接接合で接
合できない。
【0122】そこで、CMP研磨により直接接合可能な
表面性(AFMを用いた測定にてRa=0.2nm以
下)を得た。CMP研磨では、最表面を100nm以下
の研磨量で、面内均一に研磨することができるので、高
濃度硼素拡散層72の変化は微量であり、また研磨量を
見込んで拡散条件を決めることも容易である。また、酸
化してフッ酸処理して化合物層を除去してからCMP研
磨してもよいし、酸化してできた酸化膜(シリコンと硼
素の化合物であり、酸化することで硼素を含んだシリコ
ン酸化膜(BSG)が得られる。)をCMP研磨して良
好な表面性を有する酸化膜11を形成してもよい。
【0123】ここでは、CMP研磨により良好な表面性
がもたらされた後のシリコン基板71(高濃度硼素拡散
層72)を熱酸化することにより良好な表面性(Ra=
0.3nm以下)を有する酸化膜11を形成した。
【0124】なお、流路基板1となる基板としては、例
えばシリコン基板71の接合面になる面に、酸化硼素を
含む有機溶剤をスピンコート法を用いて塗布し、拡散さ
せたものでも良いし、BBr3を用いた気相拡散法、高
濃度の硼素をイオン注入(5×1019原子/cm3
上)後これを活性化し、所定の深さ(振動板の厚さ)ま
で拡散させたものでも良い。また、SOI(Silicon On
Insulator)基板の活性層を振動板として使用すること
も可能であるし、、高濃度不純物を拡散させた基板上
に、シリコンをエピ成長させた基板のエピ層を振動板と
とすることもできる。これらの基板を熱酸化し、振動板
の接合面となる側に振動板(電極)保護のための酸化膜
11を形成して、流路基板1となる基板とすることがで
きる。
【0125】続いて、図43(a)に示すように、流路
基板1となるシリコン基板71と電極基板2とを接合す
る。各基板71、2をRCA洗浄で知られる基板洗浄法
を用いて洗浄した後、硫酸と過酸化水素水の熱混合液に
浸漬し、接合面を親水化させることで直接接合をし易い
表面状態とする。
【0126】ここで、重要な点は、流路基板1となるシ
リコン基板71の接合面である酸化膜11の表面は良好
な表面性(Ra:0.3nm以下)であり、かつ電極基
板2の接合面であるシリコン酸化膜18表面も良好な表
面性(Ra:0.3nm以下)を持つことである。接合
する両基板1、2の表面性が良くないと室温でプリボン
ドすることはなく、また信頼性の高い接合はできない。
【0127】これらの各基板71、2を静かにアライメ
ントし各基板71、2を接合する。具体的には、アライ
メントが完了した基板を真空チャンバー中に導入し、1
×10-3mbar以下の真空度になるまで減圧する。続い
て、各基板71、2のアライメントがずれない様な状態
で、各ウェハを押さえつけることでプリ接合を完了し
た。
【0128】このとき、真空下で接合するのは、凹部1
4の溝パターンが多くあるウェハの接合で、空気を巻き
込んだエアトラップボイドの発生を防止するためであ
る。また、このとき位置ずれしないように押さえるとこ
とと、押圧力は基板71、2に歪みを与えたり、位置ず
れを起こさない限り強く押さえることが重要である。さ
らに、この後、貼り合わせたウェハを窒素ガス雰囲気下
で、BSG膜18aがリフロー性を示す温度以上の90
0℃、2時間焼成し強固な接合を得た。
【0129】このように、シリコン酸化膜18を形成し
た後、シリコン酸化膜18がリフロー性を示す温度以上
で個別に熱処理を施し、このリフロー性を示す温度未満
の温度で第1基板である流路基板1と第2基板である電
極基板2とを加熱して接合することにより、接合面を高
い表面性にして接合することができ、信頼性が向上す
る。
【0130】また、シリコン酸化膜18を形成した後、
接合面となる表面の平坦化処理(ここではCMP研磨処
理)を行い、さらに第1基板と第2基板とを接合する際
の接合温度以上の温度で個別に熱処理した後、第1基板
と第2基板を加熱して接合することで、リフロー法で埋
めきれないような「うねり」も埋めることができて更に
表面性が良くなり、一層信頼性が向上する。
【0131】次に、同図(b)に示すように、シリコン
基板71をウェハの初期厚さよりも低くするため、研
磨、研削、CMP等の手段によって、ウェハ厚さを薄く
して、シリコン基板71の厚さを所望の液室高さまで低
くする。このような機械的、物理的あるいは、化学的手
法によってウェハの厚さを薄くしても、BSG膜18a
による接合によって接合した界面が剥離したり破壊され
ることはない。具体的には、シリコンウェハを貼り合わ
せた後、液室高さが95±5μmになるまで研磨し、そ
の後の液室加工を施しても何ら問題にならなかった。
【0132】続いて、接合した基板71、2を熱処理す
る。このとき、同時に酸化雰囲気下で熱処理し、バッフ
ァ酸化膜を約50nmの厚さに形成する。更に、後工程
でのエッチングバリア層となるシリコン窒化膜74a、
74bをCVDなどの方法で約100nmの厚さに形成
する。
【0133】ここでの、熱処理の目的は、シリコン基板
71を研磨したことによる応力を緩和させ、インクジェ
ットヘッドに反りや、歪を生じさせないためのものであ
る。すなわち、クロストークなどの問題から液室高さは
低くする方がよく、そのため、上述したように基板を貼
り合わせた後液室側の基板71を研磨するが、このと
き、シリコン基板71の厚さが変化することで接合面に
存在するシリコン酸化膜18a、11や電極基板2であ
るシリコン基板のそれぞれの応力バランスが変化して、
貼り合わせた基板71、2が反ってしまうことがある。
これを防止するため、熱を加えることでシリコン酸化膜
(低融点)の軟化(機械的変形がないレベルで)させ、
応力を緩和することで、基板の反りを防ぐことができ
る。また、この熱処理によって、応力が緩和されること
で、接合面にストレスが加わることが防止されて、接合
信頼性(剥離防止など)をより高めることができる。
【0134】次に、同図(c)に示すように、フォトエ
ッチングの手法を用いて、液室などを形成するためのパ
ターニングを行い、フォトレジスト膜をマスクにして、
シリコン窒化膜74a、74b及びバッファ酸化膜を順
次エッチングし、シリコン基板71上に吐出液室などを
形成する領域を形作るとともに、電極基板2にインク取
り入れ口9を形成する領域を形作る。
【0135】そして、この接合した基板71、2を高濃
度の水酸化カリウム溶液(例えば、90℃に加熱したア
ルコール添加の10%濃度KOH溶液)中に浸漬し、シ
リコンの異方性エッチングを行うことで、シリコン基板
71には所望の吐出室6、共通液室8となる凹部などを
形成する。このときの凹部深さは、エッチング液が高濃
度硼素拡散層(5×1019/cm3濃度層)72に到達
した時、エッチングレートが著しく低下することで、ほ
ぼ自動的に停止した状態になり、高濃度硼素拡散層72
からなる振動板10が形成され、流路基板1が得られ
る。また、電極基板2にはインク取り入れ口9を形成す
るための溝部75が形成される。ここでは、この後、超
純水を使ってリンス(約10分間以上)した後、スピン
乾燥等で乾燥させる。
【0136】続いて、図44(a)に示すように、溝部
75の酸化膜12をフッ酸水溶液などでエッチング除去
してインク取り入れ口9を形成し、シリコン窒化膜74
a及び74bを熱燐酸溶液などによるウェットエッチン
グ、或いはドライエッチングによって除去する。ただ
し、このシリコン窒化膜は無理に除去する必要はない。
そのまま残しておいても問題にならない。
【0137】そして、同図中の一点鎖線で示す位置をダ
イシングすることによって、ウェハからヘッドチップサ
イズに切り出す。その後、インク取り入れ口9に対応す
る流路基板1側の高濃度硼素拡散層72を電極基板2側
からドライエッチングで除去し、インク取り入れ口9を
形成する。
【0138】次に、同図(b)に示すように、電極基板
2側から吐出室6および共通液室8を保護するようにメ
タルマスクをかぶせて、電極パッド15a上にある高濃
度硼素拡散層72、及び、電極15を保護しているシリ
コン酸化膜18をドライエッチングにより除去して保護
膜17を形成する。
【0139】最後に、ノズル4及び流体抵抗部7を形成
したノズル板3をエポキシ接着剤などを用いて流路基板
1上に接合することでインクジェットヘッドが完成す
る。なお、ノズル板3は、1枚として用いたが、流体抵
抗部や、連結穴を設けた別プレートを接合した後、更に
ノズルプレートを貼り付けた多層構造とすることもでき
る。
【0140】ここで、前記第4実施形態に係るインクジ
ェットヘッドのようにノズル板3としてシリコン基板を
用いた場合には、図9に示すように、ノズル板3の接合
面に、CVD等の方法でBSG膜29を堆積し、リフロ
ーさせた後、流路基板1と接合する。このときの成膜条
件は、電極基板2上に形成したBSG膜18aと同じで
かまわない。もちろん、この組成などはデバイスの構造
や製造方法によって自由に変更できることは言うまでも
ない。
【0141】そして、ノズル板3と流路基板1とを接合
した後、インクジェットヘッドを窒素ガス雰囲気下で熱
処理する。このときの熱処理は、850℃、2時間の処
理を行った。もちろん、直接接合の温度がこれよりも低
ければ、これよりも低い温度での熱処理で良い。
【0142】この後、貼り合わせウェハをアライメント
した後、流路基板1とノズル板3となる両シリコン基板
を貼り合わせ、上述した流路基板1と電極基板2との接
合で説明したと同様な条件で焼成した。このとき、先に
接合した流路基板1及び電極基板2のウェハよりも低い
温度で焼成することが好ましいが、少なくとも先に接合
した基板と同じ温度で焼成するようにすれば、出ガスな
どの問題も無く接合することができる。
【0143】また、ここでは、電極となる基板から順次
接合していったが、各基板を所望の形状に加工した後、
接合面にBSG膜などを成膜し、ウェハ貼り合わせ用の
アライナー(例えば、EV社400シリーズ、カールズ
ース社MA/SB−6など:いずれも商品名)を用いて
一度に接合することも可能である。
【0144】さらに、このようにして製造したインクジ
ェットヘッドは、ヘッドを構成する主要部材がシリコン
であるため、実使用時の温度上昇等によってもヘッドの
膨張が略均一になり、ヘッドの反りや歪みの発生がな
く、ラインヘッドと呼ばれる長尺ヘッド(例えばA4サ
イズヘッド)を作ることも可能となる。
【0145】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第2実施形態について図45乃至図4
7を参照して説明する。この第2実施形態は本発明を適
用したインクジェットヘッドの第5、第6実施形態の製
造工程を説明するものである。
【0146】この実施形態では、図45(a)に示すよ
うに、半導体用として販売されている厚さ約625μm
のp型(n型でもよい。)の単結晶シリコンで、結晶面
方位が(100)であるシリコン基板を電極基板2とし
て用いて、ウェットあるいはドライの熱酸化法によって
保護膜となる酸化膜12を約2μmの厚さに形成する。
【0147】続いて、酸化膜12が形成されたウェハに
フォトレジストを塗布し、電極15及びスペーサ部13
を形成するための凹部14、ダミー溝31、32を形成
するためのパターニングを行い、フォトレジストパター
ンをマスクとして、弗化アンモニウムなどの緩衝成分を
含む弗化水素溶液を用いて、酸化膜12に凹部14及び
ダミー溝31、32(ダミー溝32のみ図示)を掘り込
む。
【0148】その後は、上記図42乃至図44で説明し
た本発明を適用したインクジェットヘッドの製造方法の
第1実施形態と同様にして、図45(b1)、(b2)
に示すように、硼素を含むシリコン酸化膜(BSG膜)
18(第5実施形態に係るヘッドの場合)、又はNSG
膜28a及びBSG膜18a(第6実施形態に係るヘッ
ドの場合)を積層し、同図(c)に示す流路基板1とな
るシリコン基板71と電極基板2とを図46(a)に示
すように直接接合し、同図(b)、(c)に示すように
シリコン基板71の研削、異方性エッチングによる流路
パターンの形成を行い、図47(a)、(b)に示すよ
うに各チップに分割した後ノズル板3を接合して、イン
クジェットヘッドを完成する。
【0149】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第3実施形態について図48を参照し
て説明する。この第3実施形態は本発明を適用したイン
クジェットヘッドの第8、第9実施形態の製造工程を説
明するものである。
【0150】この実施形態では、同図(a)に示すよう
に、半導体用として販売されている厚さ約625μmの
p型(n型でもよい。)の単結晶シリコンで、結晶面方
位が(100)であるシリコン基板を電極基板2として
用いて、ウェットあるいはドライの熱酸化法によって保
護膜となる酸化膜12を約2μmの厚さに形成する。
【0151】続いて、酸化膜12が形成されたウェハに
フォトレジストを塗布し、電極15及びスペーサ部13
を形成するための凹部14を形成するためのパターニン
グを行い、フォトレジストパターンをマスクとして、弗
化アンモニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液を用
いて、酸化膜12に凹部14を掘り込む。
【0152】そして、第8実施形態に係るヘッドの場合
には、同図(b1)に示すように、電極基板2の全面に
硼素を含むシリコン酸化膜(BSG膜)18aを形成し
た後、凹部14のBSG膜18上に電極15を形成す
る。また、第9実施形態に係るヘッドの場合には、同図
(b2)に示すように、電極基板2の全面にNSG膜2
8を形成し、更にNSG膜28a上の全面にBSG膜1
8aを積層した後、凹部14のBSG膜18a上に電極
15を形成する。
【0153】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第4実施形態について図49を参照し
て説明する。この第4実施形態は本発明を適用したイン
クジェットヘッドの第10実施形態の製造工程を説明す
るものである。
【0154】この実施形態では、同図(a)に示すよう
に、半導体用として販売されている厚さ約625μmの
p型(n型でもよい。)の単結晶シリコンで、結晶面方
位が(100)であるシリコン基板を電極基板2として
用いて、ウェットあるいはドライの熱酸化法によって保
護膜となる酸化膜12を約2μmの厚さに形成し、更に
酸化膜12が形成されたウェハの全面に硼素を含むシリ
コン酸化膜(BSG膜)18aを形成する。
【0155】そして、同図(b)に示すように、BSG
膜18a上にフォトレジストを塗布し、電極15及びス
ペーサ部13を形成するための凹部14を形成するため
のパターニングを行い、フォトレジストパターンをマス
クとして、BSG膜18及び酸化膜12に凹部14を掘
り込む。
【0156】次いで、同図(c)に示すように、凹部1
4の底面に電極15を形成し、同図(d)に示すよう
に、電極15表面に保護膜37を形成する。
【0157】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第5実施形態について図50を参照し
て説明する。この第5実施形態は本発明を適用したイン
クジェットヘッドの第11、第12実施形態の製造工程
を説明するものである。
【0158】この実施形態では、同図(a)に示すよう
に、半導体用として販売されている厚さ約625μmの
p型(n型でもよい。)の単結晶シリコンで、結晶面方
位が(100)であるシリコン基板を電極基板2として
用いて、ウェットあるいはドライの熱酸化法によって保
護膜となる酸化膜12を約2μmの厚さに形成する。
【0159】続いて、酸化膜12が形成されたウェハに
フォトレジストを塗布し、電極15及びスペーサ部13
を形成するための凹部14を形成するためのパターニン
グを行い、フォトレジストパターンをマスクとして、弗
化アンモニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液を用
いて、酸化膜12に凹部14を掘り込み、電極基板2の
全面に電極15及びダミー電極35を形成するための電
極材料である窒化チタン膜81を形成する。
【0160】そして、第11実施形態のヘッドの場合に
は、同図(b1)に示すように、リソグラフィー及びド
ライエッチングの手法を用いて窒化チタン膜81を所望
の電極15及びダミー電極35の電極形状に加工した
後、電極基板2の全面に電極15及びダミー電極35表
面を含めてBSG膜18aを形成する。なお、ダミー電
極の形状、配置パターンとしては他の実施形態のものを
用いることもできる(以下の実施形態の説明でも同じで
ある。)。
【0161】また、第12実施形態のヘッドの場合に
は、同図(b2)に示すように、リソグラフィー及びド
ライエッチングの手法を用いて窒化チタン膜81を所望
の電極15及びダミー電極35の電極形状に加工した
後、電極基板2の全面に電極15及びダミー電極35表
面を含めてSNG膜28aを形成し、このNSG膜28
上にBSG膜18を形成する。なお、ダミー電極の形
状、配置パターンとしては他の実施形態のものを用いる
こともできる。
【0162】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの各実施形態で用いることのできる流路基板の製造
方法について図51を参照して説明する。流路基板1と
なるシリコン基板71は、前述したと同様に、p型の極
性を持ち、(110)の面方位を持つ厚さ約500μm
の両面研磨したシリコン基板を用いている。このような
シリコン基板を利用する目的は、シリコンのウェットエ
ッチング速度の結晶面異方性を利用し、精度の良い加工
形状を得るためのものである。
【0163】そこで、このシリコン基板71に固体拡散
法により硼素を拡散し、高濃度硼素拡散層72を形成す
る。なお、拡散方法は、この他に、例えばBBr3を用
いた気相拡散法、イオン注入法、B23を有機溶媒に分
散させウエハ上にスピンコートする塗布拡散法などを用
いても良い。
【0164】そして、シリコン基板71と固体拡散源を
向かい合わせて並べ750℃の炉の中にセットする。炉
の中には0.25%の酸素を混入した窒素を流してお
く。炉の温度を8℃/分のレートで1125℃まで上昇
させ、その状態で50分保持した後、8℃/分のレート
で750℃まで下げサンプルを取り出すことで、シリコ
ン基板71に高濃度硼素拡散層72が形成される。
【0165】このとき、シリコン基板71の振動板側
(拡散面)には、酸化硼素の層91が生成される。この
酸化硼素の層91は、ガラス様の性質を持ち、本発明で
利用しているBSG膜と似た性質を持っているので、こ
の膜を本発明の各実施形態のような接合用のシリコン酸
化膜の代わりに使用することもできる。ところが、この
酸化硼素の層(膜)91は、空気中の水分などと反応
し、析出物ができたり、酸化硼素自身が反応して別の物
質に変化したりしやすい。発明者らの経験では、拡散処
理後、12時間を過ぎた酸化硼素膜は変質してしまって
いた。
【0166】そこで、拡散工程後の酸化硼素の膜91の
上に、CVDなどの方法でNSG膜92を例えば50n
mの厚さに成膜する。その後、800〜1000℃の温
度で熱処理し、酸化硼素の層91とNSG膜92を反応
させるとともに、リフローさせ表面を平坦化することに
より、良好な表面性(Ra:0.3nm以下)を有する
酸化膜11を得ることができる。なお、熱処理による硼
素の再拡散が発生する場合、先の拡散時間を調整するこ
とで、再拡散を加味した振動板厚さの設計が可能にな
る。
【0167】このように、振動板となるシリコン基板面
に酸化硼素拡散源からの熱拡散によって酸化硼素層を形
成した(或いは硼素酸化化合物を塗布してもよい。)
後、この酸化硼素層上に不純物を含まないシリコン酸化
膜(NSG膜やSOG膜など)を形成して、熱処理を加
えて不純物を含まないシリコン酸化膜表面の平坦化を図
ることにより、硼素拡散時に自然に生成する酸化硼素層
を接合層として用いることが可能になって低コスト化を
図れる。
【0168】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの各実施形態で用いることのできる流路基板の他の
製造方法について図52を参照して説明する。この実施
形態の流路基板は、流路基板1側にのみ、或いは電極基
板2側とともに、接合用のシリコン酸化膜を形成したも
のである。
【0169】すなわち、同図(a)に示すように、流路
基板1となるシリコン基板71は、前述したと同様に、
p型の極性を持ち、(110)の面方位を持つ厚さ約5
00μmの両面研磨したシリコン基板を用いている。こ
のシリコン基板71に固体拡散法により硼素を拡散し、
高濃度硼素拡散層72を形成する。なお、拡散方法は、
この他に、例えばBBr3を用いた気相拡散法、イオン
注入法、B23を有機溶媒に分散させウエハ上にスピン
コートする塗布拡散法などを用いても良い。
【0170】そして、このシリコン基板71の振動板と
なる高濃度硼素拡散層72の表面にNSG膜93を形成
した後、同図(b)に示すようにNSG膜93の表面に
BSG膜94を形成する。
【0171】次に、本発明に係る各液滴吐出ヘッドに用
いることができる多結晶シリコンからなる電極を有する
電極基板の製造方法について図53を参照して説明す
る。同図(a)に示すように、p型(n型でもよい。)
の単結晶シリコンで、結晶面方位が(100)であるシ
リコン基板を電極基板2として用いて、ウェットあるい
はドライの熱酸化法によって保護膜となる酸化膜12を
約2μmの厚さに形成する。
【0172】続いて、酸化膜12が形成されたウェハに
フォトレジストを塗布し、電極15及びスペーサ部13
を形成するための凹部14を形成するためのパターニン
グを行い、フォトレジストパターンをマスクとして、弗
化アンモニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液を用
いて、酸化膜12に凹部14を掘り込み、電極基板2の
全面に電極15又は電極15及びダミー電極35を形成
するための電極材料である多結晶シリコン膜82を形成
する。
【0173】その後、同図(b)に示すように、多結晶
シリコン膜82に不純物である硼素イオンを注入し、同
図(c)に示すように、多結晶シリコン膜82をパター
ニングして電極15又は電極15及びダミー電極35を
形成する。
【0174】そして、ダミー電極35を残さない場合に
は、同図(d1)に示すように、ダミー電極35を除去
した後、電極基板2の全面に燐及び/又は硼素を含むシ
リコン酸化膜18を形成する。また、ダミー電極35を
残す場合には、同図(d2)に示すように、そのまま電
極基板2の全面に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化
膜18を形成する。
【0175】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第6実施形態について図54を参照し
て説明する。この第6実施形態は本発明を適用したイン
クジェットヘッドの第19実施形態と同様な電極基板の
製造工程を説明するものである。
【0176】この実施形態では、同図(a)に示すよう
に、電極基板となるシリコン基板2に熱酸化により酸化
膜12を0.5から1.0μmの厚さで形成し、更に、
個別電極15となる窒化チタン膜81を約0.3μmの
厚みで成膜する。そして、同図(b)に示すように、窒
化チタン膜81を写真製版によってパターン形成して、
ドライエッチング或いはウェットエッチングによってエ
ッチングを行なうことで、電極15及びダミー電極35
の形状に形成する。
【0177】その後、同図(c)に示すように、ギャッ
プスペーサー膜となるBPSG膜18bを成膜し、成膜
後900℃〜1050℃の窒素雰囲気中でBPSG膜1
8bのアニール処理を行う。この場合のBPSG膜18
bの膜厚は、駆動エアギャップ分と電極保護膜の1/2
分を合わせた厚さに設定する。例えば駆動エアギャップ
(ギャップ長)を0.2μm、保護絶縁膜47の厚さを
0.2μmとした場合では、BPSG膜18bの厚さは
約0.3μmとする。
【0178】次いで、同図(d)に示すように、BPS
G膜18bに写真製版によって個別電極15に対応する
部分にパターン形成する。このとき、電極15に対応す
る部分の開口は個別電極エリアより小さいものとする。
そして、ウェットエッチング或いはドライエッチングに
より、個別電極15をエッチングストップ層としてBP
SG膜18bのエッチングを行ってギャップ16となる
開口部47を形成する。このとき、個別電極15でエッ
チストップさせることにより、エッチング深さが高精度
に制御できる。
【0179】次に、エッチング後のレジストを除去した
後熱酸化処理を行い、個別電極15である窒化チタン膜
81を熱酸化することにより、電極15表面にチタン酸
化膜47を形成し電極保護膜とする。窒化チタンの熱酸
化は500℃から600℃の酸素雰囲気中で行う。
【0180】この場合、駆動ギャップ長はギャップスペ
ーサー膜となるBPSG膜18bの厚さと個別電極であ
る窒化チタン81を熱酸化して形成した電極保護膜47
との差で決定されるが、何れも成膜の工程によるもので
あり、高精度なギャップ形成が可能となる。また、個別
電極15と振動板10間の電気絶縁性はギャップスペー
サー膜としてのBPSG膜18bによって形成されるこ
とから、十分な絶縁性が保たれる。さらに、電極保護膜
47としてチタン酸化膜を用いることで十分な保護性が
得られること、形成されたチタン酸化物の性質として、
誘電率が非常に高いことから駆動電圧の低電圧化が実現
できる。
【0181】ここで、ここで、電極15の材料として多
結晶シリコンを用いる場合について説明する。なお、工
程は上記図54で説明した工程と同様であるので、同図
を引用して(符号は同じものを用いる)説明する。同図
(a)に示すように、電極基板となるシリコン基板2に
熱酸化により酸化膜12を0.5から1.0μmの厚さ
で形成し、更に、個別電極15となる多結晶ポリシリコ
ン膜81を約0.3μmの厚みで成膜する。そして、同
図(b)に示すように、多結晶シリコン膜81をエッチ
ングして電極15及びダミー電極35の形状に形成す
る。
【0182】その後、同図(c)に示すように、ギャッ
プスペーサー膜となるBPSG膜18bを成膜し、成膜
後900℃〜1050℃の窒素雰囲気中でBPSG膜1
8bのアニール処理を行う。この場合のBPSG膜18
bの膜厚は、駆動エアギャップ分と電極保護膜の1/2
分を合わせた厚さに設定する。例えば駆動エアギャップ
(ギャップ長)を0.2μm、保護絶縁膜47の厚さを
0.2μmとした場合では、BPSG膜18bの厚さは
約0.3μmとする。
【0183】次いで、同図(d)に示すように、BPS
G膜18bに写真製版によって個別電極15に対応する
部分にパターン形成し、そして、ウェットエッチング或
いはドライエッチングにより、個別電極15をエッチン
グストップ層としてBPSG膜18bのエッチングを行
ってギャップ16となる開口部44を形成する。
【0184】その後、電極15を形成しているポリシリ
コンを熱酸化することによって形成されるシリコン酸化
膜を電極保護膜47とすることができる。電極材料とし
ての窒化チタン電極と比較して異なる点は、電極保護膜
形成時のポリシリコンの熱酸化温度が850℃から95
0℃の高温域での酸化が必要となることである。
【0185】このように、電極材料に多結晶シリコンを
用いて、この多結晶シリコン上にシリコン酸化膜を形成
することにより、多結晶シリコンの導電性を発揮させる
ドーパント(燐、硼素)によって増速酸化させることが
可能になって比較的厚い酸化膜を形成することができる
ようになり、堆積膜よりも信頼性が向上する。また、多
結晶シリコン自体を酸化してシリコン酸化膜を形成する
ことによりギャップ精度を一層高くすることができる。
【0186】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第7実施形態について図55及び図5
6を参照して説明する。この第7実施形態は本発明を適
用したインクジェットヘッドの第21実施形態の電極基
板の製造工程を説明するものである。
【0187】まず、同図(a)に示すように、電極基板
2として半導体用として販売されている厚さ約625μ
mのp型の単結晶シリコンで、面方位が(100)であ
る基板を用いて、このシリコン基板にウェット或いはド
ライの熱酸化法によって保護膜となるシリコン酸化膜1
2を約2μmの厚さに形成する。ここでは、安価に市場
に出ているp型の単結晶シリコン基板を用いたが、n型
の基板であっても良い。また、グレードとしては、モニ
タウェハグレードでも問題ない。
【0188】続いて、シリコン熱酸化膜12が形成され
たウェハ上に電極材料となるポリシリコン膜を約300
nmの厚さに堆積し、リソグラフィー及びドライエッチ
ングの手法を用いて所望の形状の電極15及びダミー電
極35を形成する。このとき、広い接合エリアとなる部
分にダミー電極35を設置するようなパターンとする。
【0189】なお、ここでは、電極材料としてポリシリ
コン膜を用いたが、窒化チタンのような導電性のセラミ
ックス、不純物がドーピングされた多結晶シリコン、タ
ングステンのような高融点金属を利用しても良いことは
前述したとおりである。
【0190】次に、同図(b)に示すように、電極基板
2の全面に電極15及びダミー電極35表面を含めて厚
さ350nmのSOG膜62を堆積させる。 SOG膜
はスピンコート法のため平坦化に適しており、ここでは
直接接合などの後工程での熱処理温度に耐えうる無機の
SOG膜を用いている。その後、900℃−60分の熱
処理によりSOG膜62中の水分を排出する。なお、1
回のスピンコートで所望の厚さが堆積できない場合は、
スピンコートとベークを繰り返し行っても良いし、加え
てBPSG膜などのリフロー膜を堆積してもよい。
【0191】次いで、同図(c1)に示すように、CM
P研磨を行うことにより電極基板2を平坦化する。スラ
リー液はSS25(キャボット社製:商品名)を超純水
と1:1に希釈したもの、研磨パッドは硬いポリウレタ
ンの発泡体/ポリエステル繊維不織布の積層構造を用い
た。また、研磨条件は、テーブル速度/キャリア速度=
40rpm/29rpm、研磨加圧=250g/cm2で行っ
た。
【0192】このとき、研磨はSOG膜62の研磨から
進むことになるが、ポリシリコン膜の研磨レートがSO
G膜62に対して非常に低いため、ポリシリコン膜から
なる個別電極15及びダミー電極35は研磨の停止膜と
して利用できる。つまり、ポリシリコン膜が露出する
と、キャリアのトルクが急激に上昇することにより研磨
の終点が検知でき、高精度に研磨量の制御が可能とな
る。CMP研磨後、基板2は平坦化された。
【0193】ここで、ダミー電極35が形成されていな
い場合、同図(c2)に示すように、個別電極15のパ
ターンが疎の部分77でSOG膜62が薄くなり、後の
直接接合で、接合不良が発生しやすくなる。ダミー電極
パターンを設けることにより、これを防止して膜厚の均
一化を図れる。
【0194】その後、同図(d)に示すように、平坦化
された電極基板2にNSG膜63をCVD法により15
0nm堆積し、更にガス種を変更(燐濃度4.5%、硼
素濃度4.0%)し、シリコン酸化膜としてBPSG膜
18bを約200nmの厚さに堆積させる。そして、図
56にも示すように、レジストパターンの厚さに傾斜を
付け、そのレジスト越しにドライエッチングを行う方法
で、BPSG膜18bにギャップ形状が非平行状態であ
る凹部64を形成する。
【0195】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第8実施形態について図57及び図5
8を参照して説明する。この第8実施形態は本発明を適
用したインクジェットヘッドの第20実施形態の電極基
板の製造工程を説明するものである。
【0196】上述した第7実施形態と同様に、まず、同
図(a)に示すように、電極基板2として半導体用とし
て販売されている厚さ約625μmのp型の単結晶シリ
コンで、面方位が(100)である基板を用いて、この
シリコン基板にウェット或いはドライの熱酸化法によっ
て保護膜となるシリコン酸化膜12を約2μmの厚さに
形成する。
【0197】続いて、シリコン熱酸化膜12が形成され
たウェハ上に電極材料となる窒化チタン膜を約300n
mの厚さに堆積し、リソグラフィー及びドライエッチン
グの手法を用いて所望の形状の電極15及びダミー電極
35を形成する。このとき、広い接合エリアとなる部分
にダミー電極35を設置するようなパターンとする。
【0198】次に、同図(b)に示すように、電極基板
2の全面に電極15及びダミー電極35表面を含めて厚
さ350nmのSOG膜52を堆積させる。 その後、
900℃−60分の熱処理によりSOG膜52中の水分
を排出する。なお、1回のスピンコートで所望の厚さが
堆積できない場合は、スピンコートとベークを繰り返し
行っても良いし、加えてBPSG膜などのリフロー膜を
堆積してもよい。
【0199】次いで、同図(c)に示すように、CMP
研磨を行うことにより電極基板2を平坦化する。このと
き、研磨はSOG膜52の研磨から進むことになるが、
窒化チタン膜の研磨レートがSOG膜52に対して非常
に低いため、窒化チタン膜からなる個別電極15及びダ
ミー電極35は研磨の停止膜として利用できる。
【0200】その後、同図(d)に示すように、平坦化
された電極基板2にNSG膜53をCVD法により15
0nm堆積し、更にガス種を変更(燐濃度4.5%、硼
素濃度4.0%)し、シリコン酸化膜としてBPSG膜
18bを約200nmの厚さに堆積させる。
【0201】次に、エッチング後のレジストを除去した
後熱酸化処理を行い、個別電極15である窒化チタン膜
を熱酸化することにより、電極15表面にチタン酸化膜
57を形成し電極保護膜とする。窒化チタンの熱酸化は
500℃から600℃の酸素雰囲気中で行う。
【0202】次に、本発明に係るインクジェット記録装
置について図59及び図60を参照して簡単に説明す
る。なお、図59は同記録装置の機構部の概略斜視説明
図、図60は同機構部の側面説明図である。
【0203】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明を適用したインクジェ
ットヘッドであるインクジェットヘッドからなる記録ヘ
ッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリ
ッジ等で構成される印字機構部112等を収納し、給紙
カセット114或いは手差しトレイ115から給送され
る用紙113を取り込み、印字機構部112によって所
要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ
116に排紙する。
【0204】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向に摺動自在に保持している。
【0205】このキャリッジ123にはイエロー
(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B
k)の各色のインク滴を吐出する本発明を適用したイン
クジェットヘッドであるインクジェットヘッドからなる
ヘッド124をノズル列方向を副走査方向(主走査方向
と直交する方向)にして、インク滴吐出方向を下方に向
けて装着している。
【0206】記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド1
24を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズル
を有する1個のヘッドでもよい。
【0207】また、キャリッジ123の上側にはヘッド
124に各色のインクを供給するための各インクタンク
(インクカートリッジ)125を交換可能に装着してい
る。インクカートリッジ125は上方に大気と連通する
大気口、下方にはインクジェットヘッド124へインク
を供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔
質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェ
ットヘッド124へ供給されるインクをわずかな負圧に
維持している。このインクカートリッジ125から前記
インク取り入れ口9を介してインクをヘッド124内に
供給する。
【0208】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ133に
固定しており、主走査モータ127の正逆回転によりキ
ャリッジ123が往復駆動される。また、記録ヘッドと
してここでは各色のヘッド124を用いているが、各色
のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでも
よい。
【0209】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0210】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0211】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。
【0212】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング
手段を有している。キャリッジ123は印字待機中には
この回復装置147側に移動されてキャッピング手段で
ヘッド124をキャッピングされ、吐出口部(ノズル
孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出
不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しな
いインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク
粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0213】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル4)を密封
し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとと
もに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴ
ミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復
される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置さ
れた廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部
のインク吸収体に吸収保持される。
【0214】なお、上記各実施形態においては、本発明
を適用した液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適
用した例で説明したが、これに限るものではなく、例え
ば、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体
レジストを吐出する液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、各実施形態で説明した静電アクチュエータは、マイ
クロモータ、マイクロポンプ、マイクロリレーなどのマ
イクロアクチュエータ部などにも適用することができ
る。
【0215】また、上記実施形態においては、主として
本発明を振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じにな
るサイドシュータ方式のインクジェットヘッドに適用し
たが、前述したように振動板変位方向とインク滴吐出方
向と直交するエッジシュータ方式のインクジェットヘッ
ドにも同様に適用することができる。また、振動板と液
室とを同一基板から形成したが、振動板と液室形成基板
とを別体にして接合することもできる。
【0216】さらに、上記各実施形態においては、リフ
ロー膜となる燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜
を成膜する構成で説明したが、接合面(スペーサ部)を
形成するシリコン酸化膜にホウ素や燐をイオン注入する
ことで、シリコン酸化膜の接合面のみリフロー膜化して
形成することなどもできる。
【0217】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドは、振動板を設ける第1基板と電極を設ける
第2基板との間のスペーサ部の少なくとも接合面側にシ
リコン酸化膜を有し、このシリコン酸化膜が1000℃
以下の温度で軟化性を示す組成を持つ構成としたので、
低温での直接接合が可能になり、基板同士の密着性が向
上し、低コスト化及び信頼性の向上を図れる。
【0218】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板を設ける第1基板と電極を設ける第2基板との間の
スペーサ部の少なくとも接合面側にシリコン酸化膜を有
し、このシリコン酸化膜には燐及び/又は硼素が含まれ
ている構成としたので、低温での直接接合が可能にな
り、基板同士の密着性が向上し、低コスト化及び信頼性
の向上を図れる。
【0219】ここで、スペーサ部の全体を燐及び/又は
硼素が含まれているシリコン酸化膜とすることで、シリ
コン酸化膜の膜厚の均一化を容易に図ることができる。
また、振動板と電極の各対向側表面には燐及び/又は硼
素が含まれているシリコン酸化膜を有しないことで、対
向側表面に熱酸化膜よりも若干品質の劣る堆積膜がない
ので、電気的信頼性が向上する。
【0220】さらに、シリコン酸化膜が燐及び硼素を含
まないシリコン酸化膜上に硼素及び/又は燐を含むシリ
コン酸化膜を積層してなる層構成とすることで、硼素や
燐が基板や電極に拡散し品質を劣化させることを防止で
きる。また、シリコン酸化膜が燐及び硼素を含まないシ
リコン酸化膜上に、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸
化膜、及び硼素を含むシリコン酸化膜を順次積層してな
る層構成とすることで、硼素や燐が基板や電極に拡散し
品質を劣化させることを防止できる。
【0221】また、スペーサ部は電極の上に形成したシ
リコン酸化膜で形成することで、ギャップをシリコン酸
化膜の厚さで決めることができ、ギャップのバラツキを
小さくできる。この場合、電極の材料が硼素又は燐を不
純物として含む多結晶シリコンであり、ギャップ層はこ
の多結晶シリコンの電極材料の上に形成されたシリコン
酸化膜で形成することで、ギャップ精度が高く、比較的
厚い酸化膜を形成することができ、堆積膜よりも信頼性
が向上する。そして、ギャップ層は多結晶シリコンを酸
化して形成することで、ギャップ精度が更に向上する。
【0222】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板を設ける第1基板と電極を設ける第2基板との間の
スペーサ部の少なくとも接合面側にシリコン酸化膜を有
し、接合面にはダミー溝が形成されている構成としたの
で、シリコン酸化膜のリフロー後平坦性が下地層によっ
て変化することを防止でき、一層接合信頼性が向上す
る。
【0223】ここで、シリコン酸化膜は、燐及び/又は
硼素を含み、電極間の隔壁幅と略同じ幅にパターニング
されていることで、低温で高い信頼性の接合を行うこと
ができる。
【0224】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板を設ける第1基板と電極を設ける第2基板とが接合
され、第1基板の接合面の保護膜と電極の保護膜とが同
じ層構造のシリコン酸化膜である構成としたので、軟化
する温度が一致し、より溶融接合し易くなり、また組成
が同じ層の接合になるために接合後の応力発生が少なく
信頼性が向上する。
【0225】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板を設ける第1基板と電極を設ける第2基板との間の
スペーサ部の接合面側にシリコン酸化膜を有し、このシ
リコン酸化膜を形成する下地層上にダミー電極が形成さ
れている構成としたので、シリコン酸化膜のリフロー後
平坦性が下地層によって変化することを防止でき、一層
接合信頼性が向上する。
【0226】ここで、ダミー電極は電極と電気的に分離
されていることで、シリコン酸化膜で電極間を埋め込む
ことができて電気的絶縁性を確保でき、隣接電極間の短
絡を防止できる。この場合、シリコン酸化膜の表面には
振動板と前記電極との間に形成される振動室間又は空気
溜まり室に連通する溝又は空間を有することで、振動板
の振動特性を改善することができる。
【0227】これらの各本発明に係る液滴吐出ヘッドに
おいて、シリコン酸化膜中に存在する元素が共有結合性
であり、その酸化物の電気陰性度が2.0以下であるこ
とで、溶出や接合部分の剥離を抑えることができ、一層
信頼性が向上する。
【0228】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板表面側には酸化硼素層上に不純物を含まないシリコ
ン酸化膜を有する構成としたので、低コストで接合用の
硼素を含むシリコン酸化膜を形成することができる。
【0229】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板と電極との間に形成される振動室が密閉された空間
であり、この空間が略真空状態である構成としたので、
振動特性の向上を図れる。
【0230】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、上記シリコン酸化膜を用いる各発明を適用した
インクジェットヘッドを製造する製造方法であって、シ
リコン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜がリフロー
性を示す温度以上で個別に熱処理を施し、このリフロー
性を示す温度未満の温度で第1基板と第2基板とを加熱
して接合するので、接合面の表面性が向上し、信頼性が
向上する。
【0231】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、上記シリコン酸化膜を用いる各発明を適用した
インクジェットヘッドを製造する製造方法であって、シ
リコン酸化膜を形成した後、接合面となる表面の平坦化
処理を行い、さらに第1基板と第2基板とを接合する際
の接合温度以上の温度で個別に熱処理した後、第1基板
と第2基板を加熱して接合するので、接合面の表面性が
向上するとともに、第1基板の内部応力を緩和させるこ
とができて、振動特性の安定化、接合信頼性の向上を図
れる。
【0232】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、スペーサ部となるシリコン酸化膜に振動板と電
極との間の振動室となるギャップを形成する液滴吐出ヘ
ッドを製造する製造方法であって、スペーサ部となるシ
リコン酸化膜に振動板と電極との間の振動室となるギャ
ップを形成した後、電極を形成する構成としたので、電
極表面の工程上のダメージを低減でき、電気的信頼性が
向上する。
【0233】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、本発明を適用したインクジェットヘッドを製造
する製造方法であって、第1基板を第2基板に接合した
後機械的な研磨研削によって第1基板を液室高さまで減
じた後、熱処理を加える構成としたので、熱処理で低融
点のシリコン酸化膜を機械的変形のないレベルまで軟化
させ、応力を緩和することができ、基板の反りが防止さ
れ、また接合面へのストレスが低減して、接合信頼性が
向上する。
【0234】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、本発明に係る液滴吐出ヘッドをインク滴を吐出す
るインクジェットヘッドとして搭載したので、信頼性の
高い記録装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドのノズル板を除いた上面説明図
【図3】図2のA−A線に沿う同ヘッドの振動板長手方
向の断面説明図
【図4】図2のB−B線に沿う同ヘッドの振動板短手方
向の要部拡大断面説明図
【図5】本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係る
インクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図6】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図7】本発明の液滴吐出ヘッドの第3実施形態に係る
インクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図8】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図9】本発明の液滴吐出ヘッドの第4実施形態に係る
インクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図10】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図
【図11】本発明の液滴吐出ヘッドの第5実施形態に係
るインクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図12】同ヘッドのノズル板を除いた上面説明図
【図13】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図14】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図
【図15】本発明の液滴吐出ヘッドの第6実施形態に係
るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図16】本発明の液滴吐出ヘッドの第7実施形態に係
るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図17】本発明の液滴吐出ヘッドの第8実施形態に係
るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図18】本発明の液滴吐出ヘッドの第9実施形態に係
るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図19】本発明の液滴吐出ヘッドの第10実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図20】本発明の液滴吐出ヘッドの第11実施形態に
係るインクジェットヘッドのノズル板を除いた上面説明
【図21】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図22】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図
【図23】本発明の液滴吐出ヘッドの第12実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図24】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図
【図25】本発明の液滴吐出ヘッドの第13実施形態に
係るインクジェットヘッドのダミー電極の配置パターン
を説明する上面説明図
【図26】図25のC−C線に沿う断面説明図
【図27】図25のD−D線に沿う断面説明図
【図28】図25のE−E線に沿う断面説明図
【図29】本発明の液滴吐出ヘッドの第14実施形態に
係るインクジェットヘッドのダミー電極の配置パターン
を説明する上面説明図
【図30】本発明の液滴吐出ヘッドの第15実施形態に
係るインクジェットヘッドのダミー電極の配置パターン
を説明する上面説明図
【図31】本発明の液滴吐出ヘッドの第16実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図32】本発明の液滴吐出ヘッドの第17実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図33】同ヘッドの振動板短手方向の拡大断面説明図
【図34】本発明の液滴吐出ヘッドの第18実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図35】同ヘッドの振動板短手方向の拡大断面説明図
【図36】本発明の液滴吐出ヘッドの第19実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図37】同ヘッドの振動板短手方向の拡大断面説明図
【図38】本発明の液滴吐出ヘッドの第20実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図39】同ヘッドの振動板短手方向の断面説明図
【図40】本発明の液滴吐出ヘッドの第21実施形態に
係るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明
【図41】同ヘッドの振動板短手方向の拡大断面説明図
【図42】本発明の製造方法の第1実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図43】図42に続く工程を説明する断面説明図
【図44】図44に続く工程を説明する断面説明図
【図45】本発明の製造方法の第2実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図46】図45に続く工程を説明する断面説明図
【図47】図46に続く工程を説明する断面説明図
【図48】本発明の製造方法の第3実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図49】本発明の製造方法の第4実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図50】本発明の製造方法の第5実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図51】流路基板の製造方法の他の例を説明する断面
説明図
【図52】流路基板の製造方法の更に他の例を説明する
断面説明図
【図53】電極基板の製造方法の他の例を説明する断面
説明図
【図54】本発明の製造方法の第6実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図55】本発明の製造方法の第7実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向
の断面説明図
【図56】同じく振動板短手方向の断面説明図
【図57】本発明の製造方法の第8実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向
の断面説明図
【図58】同じく振動板短手方向の断面説明図
【図59】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を説明する斜視説明図
【図60】同記録装置の機構部の説明図
【符号の説明】
1…流路基板、2…電極基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、10
…振動板、12…酸化膜、14…凹部、15…電極、1
6…ギャップ、18…燐及び/又は硼素を含むシリコン
酸化膜。
フロントページの続き (72)発明者 大西 晃二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 山中 邦裕 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF69 AF93 AG15 AG30 AG55 AG85 AN01 AP02 AP22 AP25 AP27 AP32 AP34 AP42 AP52 AP53 AP56 AP57 AP59 AQ02 BA03 BA15

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通
    する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、この
    振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力で
    変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板を設ける第1基板と前記電極を設ける第2基
    板との間のスペーサ部の少なくとも接合面側にシリコン
    酸化膜を有し、このシリコン酸化膜が1000℃以下の
    温度で軟化性を示す組成を持つことを特徴とする液滴吐
    出ヘッド。
  2. 【請求項2】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通
    する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、この
    振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を変形させ
    て液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動
    板を設ける第1基板と前記電極を設ける第2基板との間
    のスペーサ部の少なくとも接合面側にシリコン酸化膜を
    有し、このシリコン酸化膜には燐及び/又は硼素が含ま
    れていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記スペーサ部の全体が前記燐及び/又は硼素が含
    まれているシリコン酸化膜であることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記振動板と電極の各対向側表面には燐及び
    /又は硼素が含まれているシリコン酸化膜を有しないこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項2乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記シリコン酸化膜が燐及び硼素
    を含まないシリコン酸化膜上に硼素及び/又は燐を含む
    シリコン酸化膜を積層してなることを特徴とする液滴吐
    出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記シリコン酸化膜が燐及び硼素
    を含まないシリコン酸化膜上に、燐及び/又は硼素を含
    むシリコン酸化膜、及び、硼素及び/又は燐を含むシリ
    コン酸化膜を順次積層してなることを特徴とする液滴吐
    出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項2又は3に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記スペーサ部は、前記電極の上に形成した
    シリコン酸化膜で形成されていることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記電極の材料が硼素又は燐を不純物として含む多
    結晶シリコンであり、ギャップ層はこの多結晶シリコン
    の電極材料の上に形成されたシリコン酸化膜で形成され
    ていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記ギャップ層は前記電極を形成する多結晶シリコ
    ンを酸化することで形成されていることを特徴とする液
    滴吐出ヘッド。
  10. 【請求項10】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連
    通する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、こ
    の振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力
    で変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板を設ける第1基板と前記電極を設ける第
    2基板との間のスペーサ部の少なくとも接合面側にシリ
    コン酸化膜を有し、前記接合面にはダミー溝が形成され
    ていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の液滴吐出ヘッドに
    おいて、前記シリコン酸化膜は、燐及び/又は硼素を含
    み、前記電極間の隔壁幅と略同じ幅にパターニングされ
    ていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  12. 【請求項12】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連
    通する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、こ
    の振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力
    で変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板を設ける第1基板と前記電極を設ける第
    2基板とが接合され、前記第1基板の接合面の保護膜と
    前記電極の保護膜とが同じ層構造のシリコン酸化膜であ
    ることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連
    通する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、こ
    の振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力
    で変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板を設ける第1基板と前記電極を設ける第
    2基板との間のスペーサ部の接合面側にシリコン酸化膜
    を有し、このシリコン酸化膜を形成する下地層上にダミ
    ー電極が形成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載の液滴吐出ヘッドに
    おいて、前記ダミー電極は前記電極と電気的に分離され
    ていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の液滴吐出ヘッドに
    おいて、前記シリコン酸化膜の表面には前記振動板と前
    記電極との間に形成される振動室間又は空気溜まり室に
    連通する溝又は空間を有していることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至15のいずれかに記載の
    液滴吐出ヘッドにおいて、前記スペーサ部となるシリコ
    ン酸化膜中に存在する元素が共有結合性であり、その酸
    化物の電気陰性度が2.0以下であることを特徴とする
    液滴吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連
    通する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、こ
    の振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力
    で変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板表面側には酸化硼素層上に不純物を含ま
    ないシリコン酸化膜を有することを特徴とする液滴吐出
    ヘッド。
  18. 【請求項18】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連
    通する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、こ
    の振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力
    で変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板と前記電極との間に形成される振動室が
    密閉された空間であり、この空間が略真空状態であるこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至16のいずれかに記載の
    液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記シリ
    コン酸化膜を形成した後、このシリコン酸化膜がリフロ
    ー性を示す温度以上で個別に熱処理を施し、このリフロ
    ー性を示す温度未満の温度で前記第1基板と第2基板と
    を加熱して接合することを特徴とする液滴吐出ヘッドの
    製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項1乃至16のいずれかに記載の
    液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記シリ
    コン酸化膜を形成した後、接合面となる表面の平坦化処
    理を行い、さらに第1基板と第2基板とを接合する際の
    接合温度以上の温度で個別に熱処理した後、第1基板と
    第2基板を加熱して接合することを特徴とする液滴吐出
    ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1乃至6のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記スペー
    サ部となるシリコン酸化膜に前記振動板と電極との間の
    振動室となるギャップを形成した後、前記電極を形成す
    ることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1乃至18のいずれかに記載の
    液滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、第1基板
    を第2基板に接合した後機械的な研磨研削によって第1
    基板を液室高さまで減じた後、熱処理を加えることを特
    徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 インクジェットヘッドを搭載したイン
    クジェット記録装置において、前記インクジェットヘッ
    ドが前記請求項1乃至17のいずれかに記載の液滴吐出
    ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
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US8455271B2 (en) 2007-03-29 2013-06-04 Xerox Corporation Highly integrated wafer bonded MEMS devices with release-free membrane manufacture for high density print heads

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