JP2002240282A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法

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JP2002240282A
JP2002240282A JP2001044923A JP2001044923A JP2002240282A JP 2002240282 A JP2002240282 A JP 2002240282A JP 2001044923 A JP2001044923 A JP 2001044923A JP 2001044923 A JP2001044923 A JP 2001044923A JP 2002240282 A JP2002240282 A JP 2002240282A
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silicon oxide
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droplet discharge
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JP2001044923A
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Kunihiro Yamanaka
邦裕 山中
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで信頼性の高い接合ができない。 【解決手段】 振動板10を設ける第1基板と電極15
を設ける第2基板とがシリコン基板であり、且つ、第1
及び/又は第2基板の接合面にはダミー溝31,32を
形成し、第1基板と第2基板をシリコン酸化膜を介して
接合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、プリンタ、ファクシミリ、複写
装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置を含
む。)に用いられる液滴吐出ヘッドであるインクジェッ
トヘッドとしては、インク滴を吐出するノズルと、この
ノズルが連通する吐出室(インク流路、インク室、液
室、圧力室、圧力発生室、加圧室、加圧液室等とも称さ
れる。)と、吐出室の壁面を形成する第一電極を兼ねる
振動板と、これに対向する電極(第二電極)とを備え、
振動板を静電力で変形変位させてノズルからインク滴を
吐出させる静電型インクジェットヘッドが知られてい
る。
【0003】このような静電型インクジェットヘッドに
おいては、振動板の機械的変形特性はインク滴噴射特性
に大きく影響し、振動板厚の薄膜化及び高精度な制御が
必要になることから、シリコン基板に高濃度ボロン拡散
層を形成し、この高濃度ボロン拡散層をエッチングスト
ップ層としてシリコン基板を異方性エッチングすること
で、高精度厚みの薄膜振動板を形成するようにしてい
る。
【0004】また、静電型インクジェットヘッドにおい
ては、振動板と電極間距離、即ちギャップ寸法を極めて
高精度に制御する必要があることから、例えば振動板を
形成する基板及び電極を形成する基板にシリコン基板を
用いる場合には、SOI(silicon-on-insulator)ウエハ
の製造などに用いられている信頼性の高い強固な接合力
が得られる直接接合法を用いて接合するようにしてい
る。
【0005】例えば、特開平6−23986号公報に開
示されているように、ノズル及び吐出室となるべきキャ
ビティが形成された第一のシリコン基板と振動板となる
第二のシリコン基板とを構成部材とし、高濃度p型シリ
コン層を形成した第二のシリコン基板と第一のシリコン
基板とをシリコン−シリコンの直接接合法により接合
し、接合後の第二のシリコン基板をアルカリ異方性エッ
チングしてp型シリコン層を残留させて振動板を形成し
たものがある。
【0006】さらに、特開平9−267479号公報に
開示されているように、片側に高濃度p型シリコン層を
形成した第一のシリコン基板の高濃度p型シリコン層
と、ノズルが形成された第二のシリコン基板を向かい合
わせて、常温からの昇温速度を摂氏5度/分以下とした
直接接合により貼り合わせて振動板を形成したものもあ
る。
【0007】ところで、このようなシリコン基板の直接
接合を用いる場合、接合温度が1100℃〜1200℃
という高温になることから、より低温での接合を可能に
するものとして、例えば、特開平9−23986号公報
に開示されているように、ノズルを形成したシリコンウ
エハの貼り合わせ面に、シリコン酸化とNa2O及び水か
らなる珪酸ナトリウム水溶液を希釈したものをスピンコ
ートを用いてコートすることで珪酸ナトリウム層を形成
し、形成後直ちにシリコンウエハと振動板を形成したシ
リコンウエハを貼り合わせ、貼り合わせ面の反対側より
荷重をかけ、80℃以上200℃以下の大気中で加熱を
行うことにより、接合ウエハを得る方法が知られてい
る。
【0008】また、特開平10−286954号公報に
開示されているように、第一シリコン基板と第二シリコ
ン基板を洗浄及び乾燥後、第一シリコン基板の貼り合わ
せ面側に、スピンコートでポリシラザン層を形成し、形
成後、直ちに第一シリコン基板と第二シリコン基板を貼
り合わせ、貼り合わせ面の反対側より荷重をかけ、45
0℃の大気中で1時間加熱を行い接合ウエハを得る方法
も知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように振動板
を形成する基板と電極を形成する基板とを接合する場
合、電極を形成する基板の耐熱性、上述のように振動板
に高濃度ボロン拡散層を用いた場合などはボロンの再分
布はそのまま振動板の厚さ及びそのばらつきに影響を与
えることから、接合温度の低温化を図る必要がある。
【0010】この場合、接合温度の低温化を図るために
両基板の接合に水ガラス(珪酸ナトリウム溶液)を用い
るものにあっては、この材料は低温で良好な接合性を示
すものの、水分の含有量が多いため膜中からの出ガス
(水蒸気など)の影響が避けられない。また、両基板の
接合にポリシラザンを利用したものにあっては、信頼性
に優れるものの、やはり出ガスの問題を内在している。
【0011】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで高精度、高密度かつ高信頼性を実現
した液滴吐出ヘッド及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を設ける第
1基板と電極を設ける第2基板とがシリコン基板であ
り、且つ、第1及び/又は第2基板の接合面にはダミー
溝が形成され、第1基板と第2基板がシリコン酸化膜を
介して接合されている構成としたものである。
【0013】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、ノズルを
設ける第3基板と振動板を設ける第1基板がシリコン基
板であり、且つ、第1基板及び/又は第3基板の接合面
にはダミー溝が形成され、第1基板と第3基板がシリコ
ン酸化膜を介して接合されている構成としたものであ
る。
【0014】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を
設ける第1基板と電極を設ける第2基板とがシリコン基
板であり、且つ、第1及び/又は第2基板の接合面には
ダミー電極が形成され、第1基板と第2基板がシリコン
酸化膜を介して接合されている構成としたものである。
【0015】また、シリコン酸化膜は1000℃以下の
温度で軟化性を示す組成を持つことが好ましい。さら
に、シリコン酸化膜が燐及び/又はホウ素を含んでいる
ことが好ましい。また、シリコン酸化膜が燐及び/又は
ホウ素を含むシリコン酸化膜と燐及び/又は硼素を含ま
ないシリコン酸化膜との積層膜であることが好ましい。
【0016】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する製造方法で
あって、シリコン酸化膜を形成した後、このシリコン酸
化膜がリフロー性を示す温度以上で個別に熱処理を施
し、このリフロー性を示す温度未満の温度で、且つ、1
000℃を超えない温度で第1基板と第2基板とを加熱
して接合する構成としたものである。
【0017】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、シリコン酸化膜を形成した後、このシリコン酸化膜
がリフロー性を示す温度以上で個別に熱処理を施し、こ
のリフロー性を示す温度未満の温度で、且つ、1000
℃を超えない温度で第1基板と第3基板とを加熱して接
合する構成となっている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。先ず、本発明を適用したイン
クジェットヘッドの第1実施形態について図1乃至図4
を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視
説明図、図2は同ヘッドのノズル板を除いた上面説明
図、図3は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図
4は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明図で
ある。
【0019】このインクジェットヘッドは、単結晶シリ
コン基板を用いた第1基板である流路基板1と、この流
路基板1の下側に設けた単結晶シリコン基板を用いた第
2基板である電極基板2と、流路基板1の上側に設けた
第3基板であるノズル板3とを積層した構造を有し、イ
ンク滴を吐出する複数のノズル4、各ノズル4が連通す
るインク流路である吐出室6、各吐出室6にインク供給
路を兼ねた流体抵抗部7を介して連通する共通液室8な
どを形成している。
【0020】流路基板1にはノズル4が連通する複数の
吐出室6及びこの吐出室6の壁面である底部をなす振動
板10(電極を兼ねている)を形成する凹部を形成して
いる。この振動板10の面外方向(電極基板2側)表面
には電極間の短絡を防止するためのシリコン酸化膜から
なる絶縁膜(絶縁層、酸化膜等とも称する)11を形成
している。
【0021】ここで、流路基板1は、例えば(110)
面方位の単結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板
厚さに高濃度p型不純物(例えばボロン)を注入してエ
ッチングストップ層となる高濃度ボロン拡散層を形成
し、電極基板2と接合した後、吐出室6となる凹部をK
OH水溶液などのアルカリエッチング液を用いて異方性
エッチングすることにより、このとき高濃度ボロン拡散
層がエッチングストップ層となって(エッチレートが極
端に小さくなって)振動板10が高精度に形成される。
高濃度P型不純物としては、ボロンの他、ガリウム、ア
ルミニウムなどもあるが、半導体分野ではボロンが一般
的である。
【0022】また、流路基板1としては、ベース基板と
活性層基板とを酸化膜を介して接合したSOI(Silic
on On Insulator)基板を用いることも可能である。
現在、高性能な半導体デバイス製造を目的として、1〜
3μmほどのシリコン活性層(インクジェットヘッドで
はこの活性層を振動板10に用いる。)を持つウェハを
容易に入手でき、コストの低減を図れる。
【0023】また、電極基板2には、単結晶シリコン基
板を用いて、熱酸化法などで酸化膜12を形成し、この
酸化膜12に電極形成用の溝となるとともに流路基板1
と電極基板2との間のギャップスペーサ部13を形成す
る凹部(電極形成用溝)14を形成して、この凹部14
底面に振動板10に対向する電極15を設け、振動板1
0と電極15との間に所定の(例えば0.2μm程度
の)ギャップ16を形成し、これらの振動板10と電極
15とによって静電型マイクロアクチュエータを構成し
ている。
【0024】電極基板2の電極15としては、金、或い
は、通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられ
るAl、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W
等の高融点金属、不純物をドープした多結晶シリコン膜
などを用いることができる。また、電極15は外部に延
設して電極パッド部15aとし、この電極パッド部15
aにヘッド駆動回路であるドライバIC22をワイヤボ
ンドなどによって搭載したFPCケーブルを異方性導電
膜などを介して接続する。
【0025】さらに、電極基板2には共通液室8へイン
クを供給するためのインク取り入れ口9を形成してい
る。このインク取入れ口9にインク供給管を接着して接
続することにより、共通液室8、吐出室6等には、図示
しないインクタンクからインク取入れ口9を通して供給
されたインクが充填されることが可能となる。なお、使
用するインクは、水、アルコール、トルエン等の主溶媒
にエチレングリコール等の界面活性剤と、染料または顔
料とを溶解または分散させることにより調製される。さ
らに、インクジェットヘッドにヒーター等を付設すれ
ば、ホットメルトインクも使用できる。
【0026】ノズル板3には、多数のノズル4を形成す
るとともに、共通液室8と吐出室6を連通するための流
体抵抗部7を形成する溝部を形成している。ここでは、
インク吐出面(ノズル表面側)には撥水性皮膜を成膜し
ている。このノズル板3にはガラス基板、プラスチック
板、ステンレス等の金属板、シリコン基板、エレクトロ
フォーミング(電鋳)工法によるニッケルメッキ膜、ポ
リイミド等の樹脂にエキシマレーザー加工をしたもの、
金属と樹脂とを積層したもの等を用いることができる。
【0027】このインクジェットヘッドにおいては、流
路基板1と電極基板2とが前述したようにシリコン基板
であり、且つ、第2基板である電極基板2の第1基板で
ある流路基板1との接合面にはダミー溝31,32を形
成し、流路基板1と電極基板2とを1100℃を越えな
い温度、好ましくは1000℃以下の温度で軟化性を示
す組成を持つシリコン酸化膜18を介して接合してい
る。このシリコン酸化膜18は、電極15表面に形成す
るシリコン酸化膜である電極保護膜(保護膜)17を一
体に形成している。なお、ダミー溝31は流路基板1に
設けることもできるし、流路基板1と電極基板2の両方
に設けることもできる。
【0028】この1000℃以下の温度で軟化性を示す
組成を持つシリコン酸化膜18としては、例えば、ホウ
素(ボロン)を含むシリコン酸化膜(BSG膜:Boro-S
ilicate Glass)、ホウ素を含まず、燐を含むシリコン
酸化膜(PSG膜:Phospho-Silicate Glass)、或い
は、燐及びホウ素を含むシリコン酸化膜(BPSG膜:
BoroPhospho-Silicate Glass)などを用いることができ
る。
【0029】このように、流路基板1と電極基板2とを
1000℃以下で軟化性を示す組成を持つシリコン酸化
膜18を介して接合することにより、シリコン酸化膜1
8を成膜後、融点以上の温度の熱処理によりリフローさ
せることで、良好な直接接合が可能な表面性が得られ
る。具体的には、成膜直後にはAFMを用いた表面性の
評価で、表面粗さRa値が1〜3nm程度であったもの
が0.1〜0.2nmとなり、非常に良好な直接接合が
可能な表面性が得られた。
【0030】また、シリコン酸化膜18として燐及び/
又は硼素を含むシリコン酸化膜、例えばBSG膜、PS
G膜、或いはBPSG膜などを用いることで、容易にシ
リコン酸化膜の融点を下げて1000℃以下で軟化性を
示す組成を持つシリコン酸化膜を形成することができ、
シリコン酸化膜18を成膜後、熱処理によりリフローさ
せることで、良好な直接接合が可能な表面性が得られ
る。
【0031】そして、電極基板2の接合面にダミー溝3
1、32を設けることで、特に燐及び/又はホウ素を含
むシリコン酸化膜18の膜厚のバラツキを低減してより
確実に高い信頼性で流路基板1と電極基板2とを接合す
ることができる。
【0032】すなわち、燐及び/又はホウ素を含むシリ
コン酸化膜18はリフロー形状に若干のパターン依存性
があり、凹部14が疎の部分(接合面積が広い部分)で
は、凹部14が密の部分(接合面積が狭い部分)に比べ
て僅かに膜厚が薄くなる部分が発生し易くなる。この膜
厚差は1nm以下のレベルであるが、シリコン酸化膜を
用いた接合では、接合不良となる可能性がある。そこ
で、このダミー溝31、32を設けることで、シリコン
酸化膜を形成する下地部材の面積の均一化(接合面積の
均一化)を図ることができ、シリコン酸化膜の膜厚ばら
つきを低減して、接合不良の発生を防止することができ
る。
【0033】このインクジェットヘッドではノズル4を
二列配置し、この各ノズル4に対応して吐出室6、振動
板10、電極15等も二列配置し、各ノズル列の中央部
に共通液室8を配置して、左右の吐出室6にインクを供
給する構成を採用している。これにより、簡単なヘッド
構成で多数のノズルを有するマルチノズルヘッドを構成
することができる。
【0034】そして、電極15の電極パッド部15a側
のギャップ16開口は、エポキシ樹脂等の接着剤を用い
たギャップ封止剤21にて気密封止している。これによ
り、ギャップ16内に湿気や異物が侵入して振動板10
が変位しなくなったり、空気の流通による振動板10の
変位特性の変化を防止している。
【0035】このとき、振動板10と電極15との間に
形成されるギャップ16(振動板10が変形する室とし
ての振動室)を略真空状態にしておくことで、振動板変
形時の振動室内の気体の圧縮などの余分なエネルギーが
必要でなくなるため、低電圧駆動化を図れる。
【0036】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を簡単に説明すると、振動板10を共通電極と
し、電極15を個別電極として、振動板10と電極15
との間に駆動波形を印加することにより、振動板10と
電極15との間に静電力(静電吸引力)が発生して、振
動板10が電極15側に変形変位する。これにより、吐
出室6の内容積が拡張されて内圧が下がるため、流体抵
抗部7を介して共通液室8から吐出室6にインクが充填
される。
【0037】次いで、電極15への電圧印加を断つと、
静電力が作用しなくなり、振動板10はそれ自身のもつ
弾性によって復元する。この動作に伴い吐出室6の内圧
が上昇し、ノズル5からインク滴が吐出される。再び電
極に電圧を印加すると、再び静電吸引力によって振動板
10は電極15側に引き込まれる。したがって、振動板
10と電極15との間に記録画像に応じて駆動電圧を印
加することで記録画像に応じてインク滴を吐出させるこ
とができる。
【0038】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第2実施形態について図5を参照して説明する。
なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図で
ある。
【0039】このインクジェットヘッドは、第1実施形
態と同様に、流路基板1と電極基板2とがシリコン基板
であり、電極基板2の接合面にはダミー溝31,32
(32のみ図示)を形成するとともに、流路基板1と電
極基板2とを燐及びホウ素を含まないシリコン酸化膜2
8と燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜(100
0℃以下で軟化性を示す組成を有するシリコン酸化膜)
18の積層膜を介して接合されている。
【0040】ここで、不純物を含まないシリコン酸化膜
28としては燐及び硼素などを含まないNSG膜(Non
-doped Silicate Glass)、燐及び/又は硼素を含む
シリコン酸化膜18としてはBSG膜を用いているが、
これに限られるものではない。例えば、不純物を含まな
いシリコン酸化膜28としては、NSG膜に代えて、熱
酸化膜、塗布型のSOG膜(Spin On Glass)を用い
ることもできる。また、燐及び/又は硼素を含むシリコ
ン酸化膜18としては、BSG膜に代えて、前述したP
SG膜、BPSG膜などを用いることもできる。
【0041】このように硼素及び/又は燐を含むシリコ
ン酸化膜18の下地層として、遮蔽層となる不純物を含
まないシリコン酸化膜28を設けることによって、ホウ
素や燐が電極基板2や電極15に拡散して、品質が劣化
することを防止できる。
【0042】例えば、電極15の材料としてドープドポ
リシリコンを用いた場合などは、電極15とリフロー膜
(ホウ素及び/又は燐を含むシリコン酸化膜、例えばB
SG膜)18との間に不純物を含まないシリコン酸化膜
(NSG膜)28を介在させた構造とすることで、後工
程での熱処理時にリフロー膜となるシリコン酸化膜18
に含まれるホウ素や燐などの不純物が電極15に再分布
することが防止されて、個別電極15の抵抗値などの電
気特性の変動を抑制することができる。
【0043】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第3実施形態について図6乃至図8を参照して説
明する。なお、図6は同ヘッドのノズル板を除いた上面
説明図、図7は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図、図8は同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図である。
【0044】このインクジェットヘッドは、電極基板2
の接合面にはダミー電極35を形成し、流路基板1と電
極基板2とを1000℃以下で軟化性を示すシリコン酸
化膜である燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18
を介して接合している。このダミー電極35は、幅が略
均一になるように形成するとともに、電極15とは電気
的に分離させている。
【0045】このようなダミー電極35を設けること
で、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜18の膜厚
のバラツキを低減してより確実に高い信頼性で流路基板
1と電極基板2とを接合することができる。
【0046】すなわち、前述したように、シリコン酸化
膜18のリフロー後の形状が、下地形状の影響を僅かに
受け、接合面積が広い部分では、接合面積が狭い部分に
比べて、僅かに膜厚が薄くなる。そこで、このダミー電
極35を設けることで、接合面積の均一化を図ることが
でき、膜厚ばらつきを低減することができる。
【0047】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第4実施形態について図9及び図10を参照して
説明する。なお、図9は同ヘッドの振動板長手方向の断
面説明図、図10は同ヘッドの振動板短手方向の拡大断
面説明図である。
【0048】このインクジェットヘッドは、電極基板2
の酸化膜12表面を平坦化し、この酸化膜12上にポリ
シリコン膜からなる電極15及びダミー電極36を形成
して、更にこれらの電極15及びダミー電極36の間を
不純物を含まないシリコン酸化膜(SOG膜)37で埋
め込みで平坦化し、これらの上にNSG膜38を形成
し、さらに、このNSG膜38上に燐及び/又はホウ素
を含むシリコン酸化膜18を形成して、このシリコン酸
化膜18に凹部44を形成することで振動板10と非平
行になるギャップ46を形成している。
【0049】このように、電極15上にNSG膜38及
び燐及び/又はホウ素を含むシリコン酸化膜18の積層
膜にすることにより、電極15に燐及び/又はホウ素を
含むシリコン酸化膜18からの不純物(BやP)が再分
布することを防止でき、電極15の信頼性を確保でき
る。
【0050】また、スピンコート法により形成できるS
OG膜37を用いることで平坦化は有利になるが、電極
15を形成するポリシリコン膜の研磨レートがSOG膜
37に比べて非常に低いために、電極15間の間隔が広
いとSOG膜37のみが研磨されて平坦化の平面精度が
得られなくなる。そこで、ダミー電極36を設けること
によって所要の平面精度が得られるようになる。
【0051】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第5実施形態について図11及び図12を参照し
て説明する。なお、図11は同ヘッドの振動板長手方向
の断面説明図、図12は同ヘッドの振動板短手方向の要
部拡大断面説明図である。
【0052】このインクジェットヘッドは、第3基板で
あるノズル板3と第1基板である流路基板1がシリコン
基板であり、且つ、ノズル板3の流路基板1との接合面
にはダミー溝42を形成し、流路基板1とノズル板3と
を1000℃以下で軟化性を示す組成を有するシリコン
酸化膜でもある燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜
43を介して接合したものである。なお、ダミー溝42
は流路基板1側の接合面に設けることもできるし、或い
はノズル板3と流路基板1の各接合面に設けることもで
きる。
【0053】このシリコン酸化膜43しては、CVD等
の方法で形成したBSG膜を用いているが、前述したよ
うに、BSG膜に代えて、BPSG膜、PSG膜、NS
G膜とBSG膜の2層の積層膜、NSG膜及びBPSG
膜の2層の積層膜又はNSG膜、BPSG膜及びPSG
膜の3層の積層膜等を用いることもできる。
【0054】このように、ノズル板3側にダミー溝42
を設けることで、前述したと同様に特に燐及び/又はホ
ウ素を含むシリコン酸化膜の膜厚バラツキを低減して高
信頼性の接合を行うことができる。
【0055】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの第6実施形態について図13を参照して説明す
る。なお、同図は同ヘッドの振動板長手方向の断面説明
図である。
【0056】このインクジェットヘッドは、流路基板1
と電極基板2とがシリコン基板であり、且つ、電極基板
2の接合面にはダミー溝31,32(32のみ図示)を
形成し、流路基板1と電極基板2とを燐及び/又は硼素
を含むシリコン酸化膜18を介して接合し、更にノズル
板3と流路基板1とを燐及び/又は硼素を含むシリコン
酸化膜43を介して接合している。
【0057】これによりノズル板の接合が容易になると
ともに、燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化膜の膜厚
バラツキが低減して信頼性の高い接合を行うことができ
る。
【0058】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第1実施形態について図14乃至図1
6を参照して説明する。この第1実施形態は本発明を適
用したインクジェットヘッドの第1実施形態の製造工程
を説明するものであるが、適宜他の実施形態のヘッドに
ついても説明する。
【0059】この実施形態では、図14(a)に示すよ
うに、厚さ約625μmの結晶面方位が(100)であ
るシリコン基板の片側に厚さ2μmの酸化膜12を形成
し、フォトリソグラフィ技術及びウェットエッチング
(弗化水素溶液を使用)により、凹部14、ダミー溝3
1,32(32のみ図示)、電極15を形成する。
【0060】具体的には、酸化膜12が形成されたウェ
ハにフォトレジストを塗布し、電極15及びスペーサ部
13を形成するための凹部14、ダミー溝31,32
(32のみ図示)を形成するためのパターニングを行
い、フォトレジストパターンをマスクとして、弗化アン
モニウムなどの緩衝成分を含む弗化水素溶液を用いて、
酸化膜12に凹部14及びダミー溝31,32(32の
み図示)を形成する。
【0061】次に、凹部14内にチタンナイトライドを
リアクティブスパッタリングして厚さ0.1μmにデポ
し、リソグラフィー及びドライエッチングによりパター
ンニングすることにより、同図(a)に示すように、電
極15を形成する。ここで、電極15にはチタンナイト
ライドを用いたが、ドープドポリシリコンやタングステ
ンなどの高融点金属を用いても良い。
【0062】続いて、同図(b1)に示すように、シリ
コン酸化膜としてBPSG膜18aをCVD(燐濃度
4.5%、ボロン濃度4.0%)などの手法を用いて、
電極15が形成されたウェハ全面に約100nmの厚さ
に堆積させる。この場合のシリコン酸化膜としてBPS
G膜18aは、電極15の保護、酸化を防止する役目も
併せ持つ。ここで使われている燐、ボロンの濃度は、こ
の濃度に限定されるものではない。また、シリコン酸化
膜18として、ボロンを含まないPSG膜或いは燐を含
まないBSG膜を用いることもできる。
【0063】或いは、同図(b2)に示すように、電極
15が形成されたウェハ全面に不純物を含まないシリコ
ン酸化膜であるNSG膜28aを堆積した後、このNS
G膜28a上にBPSG膜18aを積層した2層構成な
どとすることもできる(この形態は、本発明を適用した
インクジェットヘッドの第2実施形態として説明し
た。)。更に、NSG膜28a上にBPSG膜18a及
びPSG膜を順次積層した3層構成とすることもでき
る。
【0064】ここでの重点は、シリコン酸化膜中に、燐
及び/又はボロンを含有させることによって、融点を下
げたシリコン酸化膜18を形成することにある。
【0065】さらに、BPSG膜18aは成膜後、融点
以上の温度で、且つ、後述の図15(a)に示すような
直接接合の熱処理(850℃)よりも高い温度によりリ
フローさせる。この熱処理によりBPSG膜18aに含
まれる水分や水素ガスなどが放出され、以降の接合工程
で、この熱処理温度を越えなければ、出ガスによる接合
不良が発生しない。ここでは、リフローを示す温度95
0℃、60分の熱処理を行った。成膜直後にはAFMを
用いた表面性の評価で、表面粗さ(Ra値)が1〜3n
m程度であったのが0.1〜0.2nmとなり、非常に
良好な直接接合が可能な表面性が得られた。
【0066】また、もう一つ重要な点は、ダミーパター
ンとしてダミー溝32を設けていることである。このダ
ミー溝32は、接合面積が比較的広い(疎の)部分に設
けている。上述したBPSG膜18aのリフロー形状の
パターン依存性によって凹部14が疎の部分は密の部分
に対して膜厚が薄い部分が発生しやすくなるが、ダミー
溝32はこれを防ぎ、そこでの接合不良(未接合部分の
発生)を防止することができる。
【0067】また、前述したようにNSG膜28aとB
PSG膜18aの二層構造、すなわち不純物を含まない
シリコン酸化膜と燐及び/又はボロンを含むシリコン酸
化膜(リフロー膜)の二層以上の積層構造とした場合
(図14(b2)の場合)には、電極15にドープドポ
リシリコンを用いたときなどに後工程での熱処理時にリ
フロー膜に含まれるBやPなどの不純物が電極15に再
分布することが防止され、電極15の抵抗値などの電気
特性の変動を抑制することができる。
【0068】次に、流路基板1となる基板について説明
する。ここでは、同図(c)に示すように、(110)
の面方位を持つ厚さ500μmのシリコン基板51に固
体拡散法によりボロンを拡散し、高濃度ボロン拡散層5
2を形成する。なお、拡散方法には本実施形態の他にB
Br3を用いた気相拡散法、イオン注入法、B23を有
機溶媒に分散させウエハ上にスピンコートする塗布拡散
法等を用いても良い。
【0069】例えば、シリコン基板51と固体拡散源を
向かい合わせて並べ750℃の炉の中にセットする。炉
の中には0.25%の酸素を混入した窒素を流してお
く。炉の温度を8℃/分のレートで1125℃まで上昇
させ、その状態で50分保持した後、8℃/分のレート
で750℃まで下げサンプルを取り出すことで、高濃度
ボロン拡散層52が形成されたシリコン基板51が得ら
れる。
【0070】その後、シリコン基板51表面に形成され
たB層をフッ酸により除去する。B層の下
にシリコンとボロンの化合物層が形成されており、これ
を除去する場合は、酸化することによってフッ酸で除去
できるようになる。しかしながら、このように酸化して
フッ酸で化合物層を除去してもボロンの拡散されたシリ
コン表面には荒れが生じているので、後に行う直接接合
で接合できない。
【0071】そこで、CMP研磨により直接接合可能な
表面性(AFMを用いた5μmareaの測定にてRa=
0.2nm以下)を得た。CMP研磨では、最表面を1
000Å以下、面内均一に研磨することができるので、
高濃度ボロン拡散層52の変化は微量であり、また研磨
量を見込んで拡散条件を決めることも容易である。ま
た、酸化してフッ酸処理して化合物層を除去してからC
MP研磨してもよいし、酸化してできた酸化膜11をC
MP研磨して良好な表面性を有する酸化膜11を形成し
てもよい。ここでは、CMPにより良好な表面性がもた
らされたシリコン基板(高濃度ボロン拡散層52)を熱
酸化することにより良好な表面性(表面粗さRa=0.
3nm以下)を有する酸化膜11を形成する。
【0072】続いて、図15(a)に示すように、流路
基板1となるシリコン基板51と電極基板2とを直接接
合する。各基板51,2をRCA洗浄で知られる基板洗
浄法を用いて洗浄した後、硫酸過水(硫酸と過酸化水素
水の混合液で体積比2:1、温度100℃以上)にて洗
浄し、接合面を親水化させることで直接接合をし易い表
面状態とする。各基板51,2を乾燥後、各基板51,
2を減圧下(室温)で重ね合わせ、減圧下において押さ
えつけることでプリボンドを完了する。
【0073】ここで、重要な点は、流路基板1となるシ
リコン基板51の接合面である酸化膜11の表面が良好
な表面性(Ra:0.3nm以下)を持ち、且つ電極基
板2の接合面であるBPSG膜18a表面も良好な表面
性(Ra:0.3nm以下)を持つことである。接合す
る両基板51,2の表面性が良くないと室温でプリボン
ドすることはなく、また、信頼性の高い接合はできな
い。
【0074】さらにこの後、貼り合わせたウェハを窒素
ガス雰囲気下で、BPSG膜18aの融点以上である温
度で、かつ、BPSG膜18の熱処理温度(950℃)
より低い温度(850℃)、2時間で焼成した。その結
果、接合不良(未接合部)のない、強固な接合が得られ
た。
【0075】次に、図15(b)に示すように、厚さ5
00μmのシリコン基板51を厚さ100μmまで研磨
によって薄くし、接合基板にLP−CVDによりシリコ
ン窒化膜53a、53bを形成し、続いて、電極基板2
上のシリコン窒化膜53bをフォトリソグラフィー技
術、ドライエッチング技術によりパターニングし、温度
90℃にて25wt%の水酸化カリウム水溶液によって
電極基板2のシリコン基板を異方性エッチングする。こ
のエッチング液では結晶面方位(100)の面のエッチ
ングは2.5μm/分の速さで進行する。エッチングが
進行し酸化膜12に達すると、酸化膜12のエッチレー
トが非常に小さいためエッチングは停止する。ここで、
電極基板2のシリコン基板には溝部54が形成される。
【0076】そして、同図(c)に示すように、シリコ
ン窒化膜53aをフォトリソグラフィー技術、ドライエ
ッチング技術によりパターニングし、温度90℃にて1
0wt%の水酸化カリウム水溶液によって流路基板1と
なるシリコン基板51に異方性エッチングを行う。パタ
ーニングした側の凹部からエッチングが進みボロン濃度
が1E20/cmである深さに達した時エッチングが
ストップし(エッチレートが極端に下がり)、高濃度ボロ
ン拡散層(高濃度ボロンドープシリコン層)52からな
る振動板10及び吐出室6が形成される。
【0077】続いて、図16(a)に示すように、溝部
54の酸化膜12をフッ酸水溶液などでエッチング除去
してインク取り入れ口9を形成し、シリコン窒化膜53
a及び53bを熱燐酸溶液などによるウェットエッチ、
或いはドライエッチングによって除去する。ここで、こ
のシリコン窒化膜53a及び53bは除去せずにそのま
ま残しておいても良い。
【0078】次に、同図中の一点鎖線で示す位置をダイ
シングすることによって、ウェハからヘッドチップサイ
ズに切り出す。その後、インク取り入れ口9に対応する
流路基板1側の高濃度ボロン拡散層52を電極基板2側
からドライエッチングで除去し、インク取り入れ口9を
形成する。
【0079】次に、同図(b)に示すように、電極基板
2側から吐出室6及び共通インク室8を保護するように
メタルマスクをかぶせて、電極パッド部15aの上にあ
る高濃度ボロン拡散層52及び電極15を保護している
BPSG膜18aをドライエッチにより除去して保護膜
17を形成する。
【0080】最後に、ノズル4及び流体抵抗7を形成し
たノズル板3をエポキシ接着剤などを用いて流路基板1
上に接合することでインクジェットヘッドが完成する。
【0081】ここで、ノズル板3をシリコン基板で形成
した場合には、前述した第4実施形態で説明したよう
に、ノズル板3に燐及び/又は硼素を含むシリコン酸化
膜を成膜し、リフローさせた後、直接接合してもよい。
この場合も、リフロー形状のパターン依存による接合不
良を防ぐため、ダミー溝などを形成することによりイン
クシール性に優れた接合が可能になる。また、このとき
のシリコン基板同士の直接接合温度は接合温度(100
0℃)以下で行うことが好ましい。
【0082】このように、燐及び/又は硼素を含むシリ
コン酸化膜を形成した後、このシリコン酸化膜がリフロ
ー性を示す温度以上で熱処理を施し、この熱処理の温度
未満で且つ1000℃を超えない温度で加熱して基板同
士を接合することで、リフロー性を示す温度以上で熱処
理を行うことによって良好な表面性が得られ、この熱処
理の温度未満の温度で加熱することによって出ガスによ
る接合不良の発生が防止され、かつ1000℃を超えな
い温度で加熱することによって、電極や高濃度不純物拡
散層で振動板を形成するした場合の悪影響を防止するこ
とができて、高い信頼性で高精度な接合を行うことがで
きる。
【0083】次に、本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの製造方法の第2実施形態について図17乃至図1
8を参照して説明する。この第2実施形態は本発明を適
用したインクジェットヘッドの第3実施形態の電極基板
の製造工程を説明するものである。
【0084】まず、図17(a)に示すように、厚さ約
625μmの結晶面方位が(100)であるシリコン基
板の片側に厚さ2μmの酸化膜12を形成し、CVD法
によりウェハ全面にポリシリコン膜を150nmの厚さ
に堆積し、リンや砒素をイオン注入し、活性化の為の熱
処理を行う。ここではイオン注入を用いたが、リンガラ
スなどをスピンコート、熱処理によってポリシリコン膜
にドーピングしても良い。
【0085】具体的には、ポリシリコン膜を周知のフォ
トリソグラフィー技術及びドライエッチング技術により
パターニングし、電極15及びダミー電極35を形成す
る。ここで、電極15にはポリシリコン膜を用いたが、
タングステン、タングステンシリサイド等の高融点金属
膜や、これらの金属膜とポリシリコン膜との積層膜を用
いても良い。
【0086】次に、同図(b)に示すように、電極基板
2の全面に電極15及びダミー電極35表面を含めて厚
さ350nmのSOG膜37を堆積させる。 SOG膜
37はスピンコート法のため平坦化に適しており、ここ
では直接接合などの後工程での熱処理温度に耐えうる無
機のSOG膜37を用いている。その後、900℃−6
0分の熱処理によりSOG膜37中の水分を排出する。
なお、1回のスピンコートで所望の厚さが堆積できない
場合は、スピンコートとベークを繰り返し行っても良い
し、加えてBPSG膜18aなどのリフロー膜を堆積し
てもよい。
【0087】次いで、同図(c)に示すように、CMP
研磨を行うことにより電極基板2を平坦化する。スラリ
ー液はSS25(キャボット社製:商品名)を超純水と
1:1に希釈したもの、研磨パッドはIC1000/s
uba400(商品名、硬いポリウレタンの発泡体/ポ
リエステル繊維不織布の積層構造のもの)を用いた。ま
た、研磨条件は、テーブル速度/キャリア速度=40rp
m/29rpm、研磨加圧=250g/cm2で行った。
【0088】このとき、研磨はSOG膜37の研磨から
進むことになるが、ポリシリコン膜の研磨レートがSO
G膜37に対して非常に低いため、ポリシリコン膜から
なる個別の電極15及びダミー電極35はCMP研磨の
ストッパー膜として利用できる。つまり、ポリシリコン
膜が露出すると、キャリアのトルクが急激に上昇するこ
とにより研磨の終点が検知でき、高精度に研磨量の制御
が可能となる。CMP研磨により電極基板2は平坦化さ
れる。
【0089】ここで、ダミー電極35が形成されていな
い場合、同図(d)に示すように、個別の電極15のパ
ターンが疎の部分56でSOG膜37が薄くなり、後の
直接接合で、接合不良が発生しやすくなる。ダミー電極
35のパターンを設けることにより、これを防止するこ
とができる。
【0090】その後、平坦化された電極基板2にNSG
膜38をCVD法により150nm堆積し、更にガス種
を変更(燐濃度4.5%、ボロン濃度4.0%)し、シリ
コン酸化膜としてBPSG膜18aを約200nmの厚
さに堆積させる。そして、図18に示すように、レジス
トパターンの厚さに傾斜を付け、そのレジスト越しにド
ライエッチングを行う方法で、BPSG膜18aにギャ
ップ形状が非平行状態である凹部39を形成する。
【0091】この後の振動板基板の製造工程は、上記イ
ンクジェットヘッドの製造方法の第1実施形態と略同様
に行うことにより同ヘッドが完成するので、詳細な説明
は省略する。
【0092】なお、上記各実施形態においては、振動板
を設ける流路基板とノズル板とをシリコン酸化膜を介し
て接合するインクジェットヘッドとして静電型インクジ
ェットヘッドを例にして説明したが、振動板を圧電素子
で変形させるピエゾ型インクジェットヘッドにも同様に
適用することができる。また、本発明を適用したインク
ジェットヘッドをインクジェットヘッドに適用した例で
説明したが、これに限るものではなく、例えば、インク
以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを
吐出する液滴吐出ヘッドにも適用できる。さらに、各実
施形態で説明した静電アクチュエータは、マイクロモー
タ、マイクロポンプ、マイクロリレー等のマイクロアク
チュエータ部などにも適用することができる。
【0093】また、上記実施形態においては、主として
本発明を振動板変位方向とインク滴吐出方向が同じにな
るサイドシュータ方式のインクジェットヘッドに適用し
たが、前述したように振動板変位方向とインク滴吐出方
向と直交するエッジシュータ方式のインクジェットヘッ
ドにも同様に適用することができる。また、振動板と液
室基板とを同一基板から形成したが、振動板と液室基板
とを別体にして接合することもできる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、振動板を設ける第1基板と電極を
設ける第2基板とがシリコン基板であり、且つ、第1及
び/又は第2基板の接合面にはダミー溝が形成され、第
1基板と第2基板がシリコン酸化膜を介して接合されて
いるので、シリコン酸化膜の膜厚バラツキによる接合不
良が防止され、低融点シリコン酸化膜を用いることで、
低コストで、高精度、高信頼性の接合を行うことができ
る。
【0095】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、ノ
ズルを設ける第3基板と振動板を設ける第1基板がシリ
コン基板であり、且つ、第1基板及び/又は第3基板の
接合面にはダミー溝が形成され、第1基板と第3基板が
シリコン酸化膜を介して接合されているので、シリコン
酸化膜の膜厚バラツキによる接合不良が防止され、低融
点シリコン酸化膜を用いることで、低コストで、高精
度、高信頼性の接合を行うことができる。
【0096】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板を設ける第1基板と電極を設ける第2基板とがシリ
コン基板であり、且つ、第1及び/又は第2基板の接合
面にはダミー電極が形成され、第1基板と第2基板がシ
リコン酸化膜を介して接合されているので、シリコン酸
化膜の膜厚バラツキによる接合不良が防止され、低融点
シリコン酸化膜を用いることで、低コストで、高精度、
高信頼性の接合を行うことができる。
【0097】ここで、シリコン酸化膜は1000℃以下
の温度で軟化性を示す組成を持つことにより、低温での
高精度、高信頼性の接合を行うことができる。また、シ
リコン酸化膜は燐及び/又は硼素を含むことで、低温で
の高精度、高信頼性の接合を行うことができる。さら
に、シリコン酸化膜は燐及び/又は硼素を含むシリコン
酸化膜と燐及び/又は硼素を含まないシリコン酸化膜と
の積層膜とすることで、不純物が再分布が防止されて更
に信頼性が向上する。
【0098】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、シリコン酸化膜を形成した後、このシリコン酸
化膜がリフロー性を示す温度以上で個別に熱処理を施
し、このリフロー性を示す温度未満の温度で、且つ、1
000℃を超えない温度で第1基板と第2基板とを加熱
して接合するので、基板や振動板に影響を与えることな
く良好な表面性が得られ、低コストで高い信頼性の接合
を行うことができる。
【0099】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、シリコン酸化膜を形成した後、このシリコン酸
化膜がリフロー性を示す温度以上で個別に熱処理を施
し、このリフロー性を示す温度未満の温度で、且つ、1
000℃を超えない温度で第1基板と第3基板とを加熱
して接合するので、基板や振動板に影響を与えることな
く良好な表面性が得られ、低コストで高い信頼性の接合
を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドのノズル板を除いた上面説明図
【図3】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図5】本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係る
インクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図6】同ヘッドのノズル板を除いた上面説明図
【図7】本発明の液滴吐出ヘッドの第3実施形態に係る
インクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図8】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図9】本発明の液滴吐出ヘッドの第4実施形態に係る
インクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図10】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図
【図11】本発明の液滴吐出ヘッドの第5実施形態に係
るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図12】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説
明図
【図13】本発明の液滴吐出ヘッドの第6実施形態に係
るインクジェットヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図14】本発明の製造方法の第1実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する断面説明図
【図15】図14に続く工程を説明する断面説明図
【図16】図15に続く工程を説明する断面説明図
【図17】本発明の製造方法の第2実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する振動板長手方向
の断面説明図
【図18】同じく振動板短手方向の断面説明図
【符号の説明】
1…流路基板、2…電極基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、10
…振動板、12…酸化膜、14…凹部、15…電極、1
6…ギャップ、18…シリコン酸化膜、32…ダミー
溝、35,36…ダミー電極。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通
    する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、この
    振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力で
    変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板を設ける第1基板と前記電極を設ける第2基
    板とがシリコン基板であり、且つ、前記第1及び/又は
    第2基板の接合面にはダミー溝が形成され、前記第1基
    板と前記第2基板がシリコン酸化膜を介して接合されて
    いることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通
    する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、この
    振動板を変形させる駆動手段とを有し、前記振動板を変
    形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記ノズルを設ける第3基板と前記振動板を設ける第1基
    板がシリコン基板であり、且つ、前記第1基板及び/又
    は第3基板の接合面にはダミー溝が形成され、前記第1
    基板と前記第3基板がシリコン酸化膜を介して接合され
    ていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連通
    する吐出室と、吐出室の壁面を形成する振動板と、この
    振動板に対向する電極とを有し、前記振動板を静電力で
    変形させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板を設ける第1基板と前記電極を設ける第2基
    板とがシリコン基板であり、且つ、前記第1及び/又は
    第2基板の接合面にはダミー電極が形成され、前記第1
    基板と前記第2基板がシリコン酸化膜を介して接合され
    ていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記シリコン酸化膜は1000℃
    以下の温度で軟化性を示す組成を持つことを特徴とする
    液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記シリコン酸化膜が燐及び/又
    はホウ素を含んでいることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記シリコン酸化膜が燐及び/又
    はホウ素を含むシリコン酸化膜と燐及び/又はホウ素を
    含まないシリコン酸化膜との積層膜であることを特徴と
    する液滴吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1又は3に記載の液滴吐出ヘッド
    を製造する製造方法であって、前記シリコン酸化膜を形
    成した後、このシリコン酸化膜がリフロー性を示す温度
    以上で個別に熱処理を施し、このリフロー性を示す温度
    未満の温度で、且つ、1000℃を超えない温度で前記
    第1基板と前記第2基板とを加熱して接合することを特
    徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドを製造
    する製造方法であって、前記シリコン酸化膜を形成した
    後、このシリコン酸化膜がリフロー性を示す温度以上で
    個別に熱処理を施し、このリフロー性を示す温度未満の
    温度で、且つ、1000℃を超えない温度で前記第1基
    板と前記第3基板とを加熱して接合することを特徴とす
    る液滴吐出ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7033002B2 (en) * 2002-05-20 2006-04-25 Ricoh Company, Ltd. Electrostatic actuator and liquid droplet ejecting head having stable operation characteristics against environmental changes

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