JP2002136872A - アンモ酸化用触媒およびその触媒を用いたニトリル化合物の製造方法 - Google Patents

アンモ酸化用触媒およびその触媒を用いたニトリル化合物の製造方法

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Yasushi Kuroda
黒田  靖
Yoko Omori
陽子 大森
Katsuyuki Tsuji
勝行 辻
Tsutomu Nozawa
勉 能沢
Tetsuo Nakajo
哲夫 中條
Katsuomi Takehira
勝臣 竹平
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相アンモ酸化法によって、ニトリル化合物
を製造する際に用いる触媒に関して、高収率かつ長寿命
の触媒を提供すること。また、その触媒を用いたニトリ
ル化合物の製造方法を提供すること。更に気相アンモ酸
化法に用いられる触媒の評価方法を提供すること。 【解決手段】 アルキル基を有する有機化合物の気相ア
ンモ酸化を実施する際、バナジウム、クロムを含み、特
定の粉末X線回折ピークを有する結晶性複合酸化物を触
媒成分として用いることを特徴とするアンモ酸化用触媒
を提供する。また、該触媒を用いたニトリル化合物の製
造方法を提供する。粉末X線回折を用いる気相アンモ酸
化触媒の性能評価方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる気相アン
モ酸化法によって、ニトリル化合物を製造する際に用い
る触媒に関するものである。また、その触媒を用いてニ
トリル化合物を製造する方法に関するものである。すな
わち、高められた温度において、触媒の存在下、有機化
合物をアンモニアおよび酸素と、気相で接触させること
により、ニトリル化合物を製造する際に、目的とする生
成物を高収率で効率よく製造できる触媒に関し、併せて
その触媒を使用するニトリル化合物の製造方法に関する
ものである。本発明は、芳香族ニトリル化合物、特にフ
タロニトリル類の製造に関して、大きな効果を発現す
る。
【0002】
【従来技術】ニトリル化合物は、医農薬中間体を始め、
機能性樹脂の原料、染料や顔料の原料等に有用な化合物
である。これらのもっとも安価な製造方法として、アル
キル基を有する有機化合物の気相アンモ酸化法が知られ
ている。
【0003】これらの反応で使用する触媒系として、V
−Crからなる触媒系を用いる方法は、古くから知られ
ている。例えば、特公昭35−15689号公報と特公
昭41−19690号公報では、アルミナに担持された
V−Crからなる酸化物触媒系が提案されている。
【0004】V−Cr系触媒については、その後種々の
改良系が提案されている。例えば、V−Cr−Bからな
る触媒系(特公昭45−19284号公報)、V−Cr
−Pからなる触媒系(特公昭50−1264号公報)等
が例示できる。
【0005】これらの触媒系を用いたアンモ酸化法は、
商業的に実施する場合、生成物の収率も低く、原料であ
る有機化合物の燃焼による炭酸ガスの生成や、アンモニ
アの燃焼などが起こるなど、解決すべき種々の課題を含
んでいる。
【0006】これらの報告の中には、バナジウム及びク
ロムを必須成分とする複合金属酸化物中に存在する特定
の結晶性物質の構造と触媒性能との相関性を考察してい
るものもあるが、触媒の種類によっては、結晶性が不十
分であったり、複数の結晶性物質の混合物であるため
に、特定の結晶性物質の構造からは触媒性能が説明でき
ない場合が多かった。一般的に、触媒の性能は、その組
成や結晶構造に大きく依存する。しかしながら、それら
について明確に説明できている触媒系は、極めて少な
い。
【0007】特公昭43−27218号公報では、メタ
バナジン酸アンモニウムと硝酸クロムを原料として得ら
れるV/Cr原子比が約1.5/1付近の沈殿を500
〜750℃の発熱性転移点以上の温度で焼成して得られ
る触媒系を提案している。この特許では、X線回折パタ
ーンと赤外分光スペクトルが示されている。しかしなが
ら、X線回折パターンから、化合物の結晶性は低く、本
発明で提示した粉末X線回折のピークパターンとは明ら
かに異なる。結晶構造も特定できていない。また、β−
ピコリン、またはγ−ピコリンのアンモ酸化については
高い性能が示されているが、他の芳香族ニトリル化合物
を製造する際の触媒性能は、商業的に実施するには不十
分である。
【0008】バナジウムとクロムを含む複合酸化物とそ
のアンモ酸化触媒性能に関する学術論文が報告されてい
る。Itoらは、Bull.Chem.Soc.Jp
n.,41巻,716ページ,(1968年)におい
て、m−キシレンのアンモ酸化反応に有効な触媒成分の
解析を行ない、報告している。しかしながら、結晶構造
を決定することはできていない。粉末X線回折のピーク
パターンも示されているが、本発明で示した粉末X線回
折ピークと比較した場合、確認できているピーク数も少
なく、ピーク強度比も大きく異なる。Takehira
らは、Bull.Chem.Soc.Jpn.,51
巻,1685ページ,(1978年)において、バナジ
ウムとクロムからなる複合酸化物触媒の解析とその触媒
を用いたシクロヘキセンの液相酸化について検討してい
る。ここでは、気相反応における触媒能については全く
検討されていない。また、触媒成分の結晶構造について
は、明らかにできていない。
【0009】一方、バナジウムとクロムの複合酸化物の
構造決定に関する論文がある。Touboulらは、E
ur.J.Solid State Inorg.Ch
em.,32巻,577ページ,(1995年)におい
て、これまで報告されていない、新たなバナジウム−ク
ロム複合酸化物の構造を報告し、この結晶構造を、“C
rVO4−I”と命名した。この結晶構造を有する複合
酸化物の触媒性能については、従来まったく報告されて
いない。
【0010】このように、従来知られているV−Cr系
触媒については、アンモ酸化反応に有効な触媒成分の結
晶構造が明らかではなかった。結晶構造とアンモ酸化反
応の触媒性能との関係が明確になっていなかったため、
触媒調製法のみによって触媒を規定しており、このこと
が触媒性能の再現性の悪さや、原因不明の劣化などにつ
ながっていた。また、目的物の収率などの点から、触媒
性能にも改善の余地があった。目的とする反応に対し
て、有効な触媒となり得る化合物の結晶構造が特定でき
れば、その意義は大きいと考える。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、気
相アンモ酸化法によって、ニトリル化合物を製造する際
に用いる触媒に関して、高収率かつ長寿命の触媒を提供
することを課題とする。あわせて、その触媒を用いた、
ニトリル化合物の製造方法を提供することを課題する。
更に気相アンモ酸化触媒の性能評価方法をも提供するこ
とを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を達成するために鋭意検討した結果、アルキル基を有す
る有機化合物の気相アンモ酸化を実施する際、特定の粉
末X線回折ピークを有するバナジウム、クロムを含む結
晶性複合酸化物を触媒成分として用いることにより、目
的とするニトリル化合物が高収率で得られることを見出
した。また、この触媒成分は、ラマン分光測定において
特定のラマンシフトに主要な散乱光のピークを有するこ
とを見出した。すなわち、特定の結晶構造を有する触媒
成分が、気相アンモ酸化反応において非常に有効である
ことを見出した。これにより、以下の事項からなる発明
に到達した。
【0013】[1] Cu−Kα1線を用いる粉末X線
回折で、面間隔d(Å)および比較強度[()内に%で
表す。]の解析パターンが実験誤差の範囲内で、少なく
とも、6.44(25)、3.26(22)、3.21
(100)、3.19(35)、3.16(20)、
3.02(16)、2.58(11)、2.14(2
4)、1.71(13)および1.64(10)のピー
クを持つバナジウムおよびクロムを含む結晶性複合酸化
物を含む気相法アンモ酸化触媒。
【0014】[2] ラマン分光測定において、ラマン
シフトが900〜930cm-1および880〜900c
-1に散乱光のピークを有し、940〜1000cm-1
に散乱光のピークを有さない[1]の気相法アンモ酸化
触媒。
【0015】[3] ラマン分光測定において、ラマン
シフトが900〜930cm-1、880〜900cm-1
および940〜1000cm-1に散乱光のピークを有
し、940〜1000cm-1の散乱光のピークが、90
0〜930cm-1および880〜900cm-1の散乱光
のピークより弱いピークである[1]の気相法アンモ酸
化触媒。
【0016】[4] バナジウム:クロムの比率が原子
比で、1:0.7〜1.5である[1]〜[3]の気相
法アンモ酸化触媒。
【0017】[5] タングステン、モリブデン、鉄、
アンチモン、ジルコニウム、リン、ホウ素、チタン、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウ
ムからなる群から選択される1種以上の元素の金属酸化
物を含有する[1]〜[4]の気相法アンモ酸化触媒。
【0018】[6] 選択される1種以上の元素の金属
酸化物が酸化カルシウムおよび/または酸化タングステ
ンである[5]の気相法アンモ酸化触媒。
【0019】[7] 酸素を含むガスを流通させなが
ら、400〜650℃で焼成を行うことを特徴とするバ
ナジウムおよびクロムの結晶性複合酸化物を含む気相法
アンモ酸化触媒の製造方法。
【0020】[8] 触媒の金属成分を含む溶液のpH
をアンモニア、アミンまたはその溶液を用いて調整した
後、乾固(または担体に担持)、乾燥、焼成することを
特徴とする[7]の気相法アンモ酸化触媒の製造方法。
【0021】[9] [1]〜[6]の気相法アンモ酸
化触媒の存在下、アルキル基を有する有機化合物を、ア
ンモニアおよび酸素と気相で反応させてアルキル基をニ
トリル基に変換することによるニトリル化合物の製造方
法。
【0022】[10] アルキル基を有する有機化合物
がアルキル置換基を有する芳香族化合物であり、ニトリ
ル化合物が対応する芳香族ニトリル化合物である[9]
のニトリル化合物の製造方法。
【0023】[11] アルキル置換基を有する芳香族
化合物がベンゼン環上にメチル基を有する化合物であ
り、芳香族ニトリル化合物が対応するベンゼン環上にニ
トリル基を有する化合物である[10]のニトリル化合
物の製造方法。
【0024】[12] ベンゼン環上にメチル基を有す
る化合物が、トルエン、o−キシレン、m−キシレンま
たはp−キシレンであり、ベンゼン環上にニトリル基を
有する化合物が対応するベンゾニトリル、o−フタロニ
トリル、イソフタロニトリルまたはテレフタロニトリル
である[11]のニトリル化合物の製造方法。
【0025】[13] ベンゼン環上にメチル基を有す
る化合物が、o−キシレン、m−キシレンまたはp−キ
シレンであり、ベンゼン環上にニトリル基を有する化合
物が対応する、o−フタロニトリル、イソフタロニトリ
ルまたはテレフタロニトリルである[11]のニトリル
化合物の製造方法。
【0026】[14] ベンゼン環上にメチル基を有す
る化合物が、o−キシレンであり、ベンゼン環上にニト
リル基を有する化合物が対応するo−フタロニトリルで
ある[11]の製造方法。
【0027】[15] 粉末X線回折を用いることを特
徴とする気相法アンモ酸化触媒の性能評価方法。
【0028】[16] 併せてラマン分光測定を用いる
[15]の評価方法。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0030】本発明のアルキル基を有する有機化合物と
は、炭素と水素を必須成分元素として含み、アルキル基
を有する化合物が使用される。炭素と水素のみからなる
化合物でも良いが、他に酸素、窒素、ハロゲン元素など
を含む化合物も使用できる。好ましくは、オレフィン、
またはアルキル置換基を有する芳香族化合物である。オ
レフィンとは、例として、プロピレン、イソブテン、2
−ペンテン、2−ヘキセンなどが挙げられる。アルキル
置換基を有する芳香族化合物とは、例としてトルエン、
o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレ
ン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−ト
リメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベン
ゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,
2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベン
ゼン、ヘキサメチルベンゼン等のベンゼン環上にメチル
基を有する化合物、1−メチルナフタレン、2−メチル
ナフタレン、1,2−ジメチルナフタレン、2,3−ジ
メチルナフタレン、1,3−ジメチルナフタレン、1,
4−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレ
ン、1,2,3−トリメチルナフタレン、1,6,7−
トリメチルナフタレン、2,6,7−トリメチルナフタ
レン、1,4,5−トリメチルナフタレン、1,4,6
−トリメチルナフタレンン、2,3,5−トリメチルナ
フタレン、2,3,6−トリメチルナフタレン、1,
4,5,8−テトラメチルナフタレン、2,3,6,7
−テトラメチルナフタレン等のナフタレン環上にメチル
基を有する化合物が挙げられる。アルキル置換基を有す
る芳香族化合物には、芳香族環上にさらにハロゲン置換
基やアルコキシ置換基を有する化合物も含まれ、例とし
て、モノクロロトルエン類、ジクロロトルエン類、モノ
クロロキシレン類、ジクロロキシレン類、モノブロモト
ルエン類、ジブロモトルエン類、モノブロモキシレン
類、ジブロモキシレン類、モノメトキシトルエン類、ジ
メトキシトルエン類、モノメトキシキシレン類、ジメト
キシキシレン類などが挙げられる。
【0031】これらのうち、好ましくは、トルエン、o
−キシレン、m−キシレン、p−キシレンである。更に
好ましくは、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレ
ンである。最も好ましくは、o−キシレンである。
【0032】本発明の製造方法により得られるニトリル
化合物は、上記のアルキル基を有する有機化合物のアル
キル基がニトリル基に変換された化合物である。
【0033】例えば、原料がトルエンの場合はベンゾニ
トリルが得られ、原料がo−、m−またはp−キシレン
の場合、対応するo−、m−またはp−フタロニトリル
が得られる。
【0034】本発明のアルキル基を有する有機化合物に
は、特別な高純度品ではない工業グレードでもそのまま
使用できる。
【0035】本発明におけるアンモニア、酸素には特別
な高純度品ではない工業グレードでも使用することがで
きる。酸素源として通常空気を使用するが、酸素濃度を
高めた空気や、逆に窒素などで希釈した空気を利用する
こともできる。好ましくは、酸素源としては空気を使用
する。希釈ガスとしては窒素、アルゴン、ヘリウム、二
酸化炭素などが使用でき、さらに水蒸気を用いても良
い。好ましくは、汎用の窒素を希釈ガスとして使用す
る。水蒸気は、燃焼を抑制する効果があるので、反応系
に少量添加してもよい。
【0036】本発明に使用する触媒について説明する。
【0037】本発明における触媒は、バナジウムとクロ
ムを含み、少なくとも表1に示すような粉末X線回折ピ
ークを有する結晶性複合酸化物からなることを特徴とす
る。
【0038】表1に示す粉末X線回折ピークのパターン
は、Touboulらが、Eur.J.Solid S
tate Inorg.Chem.,32巻,577ペ
ージ,(1995年)において、 “CrVO4−I”と
命名した結晶構造のX線回折ピークと同様のものであ
る。すなわち、この触媒成分は4つの(CrO4)ユニ
ットがクラスターを形成しその廻りに(VO4)ユニッ
トが取り囲んでいる単斜晶系の結晶構造を有する、V:
Cr=1:1(原子比)の複合酸化物と帰属される。
“CrVO4−I”と命名された結晶構造を持つバナジ
ウム、クロムの複合酸化物がアルキル基を有する有機化
合物のアンモ酸化反応に対して有効な触媒成分であるこ
とは、本発明者らにより初めて見出されたものである。
【表1】
【0039】本発明における触媒は、バナジウムとクロ
ムの比に関して、特に制限はない。表1の粉末X線回折
パターンを持つ結晶成分を有することが重要であり、そ
れ以外のV化合物やCr化合物が混合していてもよい。
つまり、“CrVO4−I”とV25またはCr23
の混合物となっていても良い。また、別の結晶形を有す
るバナジウムとクロムの複合酸化物が含まれていても良
い。ただし、“CrVO4−I”を合成しようとする工
程においては、少なくとも仕込みV:Cr比を1.0:
0.7から1.0:1.5の範囲内にしておくことが好
ましい。“CrVO4−I”の合成方法にもよるが、上
記範囲外の組成比では、“CrVO4−I”は、得るこ
とが難しい。
【0040】本発明における触媒は、ラマン分光測定に
おいてラマンシフトが900〜930cm-1と880〜
900cm-1にそれぞれ主要な散乱光のピークを有して
おり、940〜1000cm-1の範囲内に散乱光のピー
クを有していないか、または前記の2つの主要な散乱光
よりも強い散乱光のピークを示さないことを特徴とす
る。その化学的な根拠については必ずしも明らかになっ
ているわけではないが、特定の化学結合状態を有する金
属−酸素化学結合が、目的とするアンモ酸化反応に有効
に作用していると推定される。特にバナジウム−酸素結
合に由来するラマン散乱については、Hardcast
leらが、J.Phys.Chem.,95巻,503
1ページ,(1991年)において、詳細な研究が報告
されている。これを参考にすると、前記の2つの主要な
散乱光については、“CrVO4−I”中の4配位型バ
ナジウムのバナジウム−酸素結合に対応すると推定さ
れ、900〜930cm-1のピークは結合距離1.64
オングストロームに対応し、880〜900cm-1のピ
ークは結合距離1.66オングストロームに対応する
と、それぞれ推定される。多くの場合は、900〜93
0cm-1のピークがもっとも強く現れ、次いで880〜
900cm-1のピークが強く現れる。また、940〜1
000cm-1の範囲内には、異なった結合次数、または
異なった結合距離のバナジウム−酸素結合に由来する散
乱が観察される。本発明者らは、この領域内に、先に示
した2つの主要な散乱光のいずれかよりも強いピークが
存在する場合は、十分な触媒性能を示さないことを見出
した。一般的には、主要な2つの散乱光のうち、880
〜900cm-1のピークの方が弱いため、このピークよ
りも強いピークが、940〜1000cm-1の範囲内に
は存在しないことを示す。この範囲内に強いピークが存
在した場合、燃焼など、好ましくない副反応が促進さ
れ、目的とするアンモ酸化反応の選択性が低下する。
【0041】本発明における触媒は、表1に示すような
粉末X線回折ピークを有する結晶性複合酸化物のみで使
用しても良いが、それ以外に、バナジウムまたはクロム
以外の金属成分を含んでいてもよい。添加される成分と
しては、タングステン、モリブデン、鉄、アンチモン、
ジルコニウム、リン、ホウ素、チタン、マグネシウム、
カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムからなる群
から選ばれた1種以上の元素からなる金属酸化物である
ことが好ましい。これらは、単独の金属酸化物の混合物
でも良いし、複合酸化物を形成していてもよい。また、
添加物が“CrVO4−I”と複合酸化物等を形成して
もよいが、表1に示す粉末X線回折ピークと明らかに異
なるパターンを示した場合は、本発明の範囲外である。
【0042】本発明における触媒は、前記結晶性複合酸
化物と添加金属成分からなる触媒成分のみで用いること
も可能であるが、酸化物担体に担持して使用しても良
い。その際使用する酸化物担体は、例えば、アルミナ、
シリカ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、マグ
ネシアなどが使用できる。
【0043】本発明における触媒の調製方法は、当該技
術分野で通常使用されている方法が用いられる。例え
ば、本触媒の金属成分を含む化合物を、水、またはアル
コールなどの溶媒に溶解し、乾固(または担体に担持
し、)、乾燥、焼成する方法で行なうことができる。ま
たは、ある成分を懸濁させ、他の成分の溶液中で加熱し
ながら撹拌することによって、懸濁成分と溶解成分を反
応させ、その成分を分離した後に、乾固(または担体に
担持し、)、乾燥、焼成する方法で行なってもよい。ま
たは、複数種の金属化合物粉末を共粉砕した後に、焼成
する方法で行なってもよい。
【0044】金属成分の原料は、該金属成分を含む酸化
物、塩または錯体等の化合物でよい。通常は、酸化物が
そのままで用いられるか、または容易に酸化物になり得
る各種の化合物が用いられる。
【0045】したがって、バナジウムの原料としては、
五酸化バナジウムがそのまま用いられるか、容易に酸化
物になり得るバナジウム化合物が用いられる。容易に酸
化物になり得るバナジウム化合物としては、例えば、メ
タバナジン酸アンモニウム、硫酸バナジルおよびシュウ
酸、酒石酸等の有機酸のバナジウム塩が使用される。好
ましくは、五酸化バナジウムがそのまま用いられるか、
メタバナジン酸アンモニウムとシュウ酸または五酸化バ
ナジウムとシュウ酸を反応させることで得られるシュウ
酸バナジルが用いられる。
【0046】クロムの原料としては、例えばクロム酸、
硝酸クロム、水酸化クロム、クロム酸アンモニウム、重
クロム酸アンモニウムおよびシュウ酸、酒石酸等の有機
酸のクロム塩が使用される。好ましくはクロム酸や硝酸
クロムがそのまま用いられるか、またはクロム酸とシュ
ウ酸を反応させることで得られるシュウ酸クロムが用い
られる。
【0047】タングステンの原料としては、例えば、酸
化タングステン、パラタングステン酸アンモニウム、メ
タタングステン酸アンモニウム、シュウ酸、酒石酸、ク
エン酸などとの錯化合物などが用いられる。
【0048】モリブデンの原料としては、例えば、酸化
モリブデン、モリブデン酸アンモニウム、カルボニルモ
リブデン、シュウ酸、酒石酸、クエン酸などとの錯化合
物などが用いられる。
【0049】鉄の原料としては、例えば、酸化鉄(I
I)、酸化鉄(III)、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III) 、シ
ュウ酸、酢酸、酒石酸、クエン酸などとの錯化合物など
が用いられる。
【0050】アンチモンの原料としては、例えば、酸化
アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、シュウ
酸、酒石酸、クエン酸などとの錯化合物などが用いられ
る。
【0051】ジルコニウムの原料としては、例えば、酸
化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウ
ム、酢酸ジルコニウムなどが用いられる。
【0052】リンの原料としては、例えば、リン酸、リ
ン酸アンモニウムなどが用いられる。
【0053】ホウ素の原料としては、例えば、ホウ酸な
どが用いられる。
【0054】チタンの原料としては、例えば、酸化チタ
ン、テトラエトキシチタン、硝酸チタンなどが用いられ
る。
【0055】マグネシウムの原料としては、例えば、硝
酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシ
ウムなどが用いられる。
【0056】カルシウムの原料としては、例えば、硝酸
カルシウム、シュウ酸カルシウム、酢酸カルシウムなど
が用いられる。
【0057】ストロンチウムの原料としては、例えば、
硝酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウムなどが用いら
れる。
【0058】バリウムの原料としては、例えば、硝酸バ
リウム、シュウ酸バリウム、酢酸バリウムなどが用いら
れる。
【0059】本発明で使用する触媒の調製の際に、触媒
の金属成分を含む化合物を、溶媒に溶解し、乾固(また
は担体に担持し、)、乾燥、焼成する方法で触媒調製を
行う場合の溶媒としては、水、アルコール、ハロゲン化
炭化水素、炭化水素、窒素、リン、硫黄などを含む溶媒
などが例示でき、混合溶媒としても使用できる。一般的
には、水、アルコールであり、最も好ましくは、水であ
る。
【0060】これら触媒の金属成分を含む溶液を乾固ま
たは担体に担持する前に、適当なpHにするために、ア
ンモニア、アミンまたはその溶液を添加してもよい。
【0061】本発明における触媒は、前記結晶性複合酸
化物と添加金属成分からなる触媒成分のみで用いても良
い。溶液から調製する場合は、触媒成分を含む溶液を乾
固した後に、焼成を行ない、触媒成分の粉末を得ること
ができる。溶液中で懸濁させながら調製する場合は、懸
濁成分をろ別した後に、乾燥し、焼成を行ない、触媒成
分の粉末を得ることができる。また、粉末の原料をその
まま混合し、共粉砕した後に、焼成し、触媒成分の粉末
を得ることができる。得られた粉末をそのままで、また
は成型して使用することができる。また、触媒成分を含
む溶液に、例えばシリカゾルなどのように担体となる成
分を混合し、噴霧乾燥法によって触媒を調製してもよ
い。その場合は、噴霧乾燥法で得られた粉末状触媒を焼
成して使用する。
【0062】本発明で使用する触媒は、担持型触媒とし
ても良い。触媒成分を担体に担持する方法には、例とし
て以下のような方法が挙げられる。触媒成分を含む溶液
に担体を浸漬することにより触媒成分を担体に含浸さ
せ、網やろ紙などで余分な液分と分離した後に、触媒成
分を含んだ担体を乾燥することにより担持される。溶液
を経由しない方法で触媒成分の粉末を調製した場合は、
得られた触媒成分の粉末と担体を液体中に懸濁させなが
らその液体を留去させる方法で担持することもできる。
【0063】乾燥方法は、一般的には、空気中で60℃
〜200℃に加熱することによって行なう。好ましく
は、空気中で80℃〜150℃に加熱することによって
行なう。
【0064】焼成は、酸素を含むガスを流通させなが
ら、300℃〜800℃で数時間行なう。焼成温度は、
好ましくは400℃〜650℃で行なう。酸素を含むガ
スに制限はないが、空気が好ましい。本焼成の前に予備
焼成を行なってもよい。
【0065】次に上記の方法により調製した触媒を用い
たニトリル化合物の製造法について説明する。
【0066】有機化合物に対する酸素のモル比は、3〜
15倍程度であり、該有機化合物に対するアンモニアの
モル比は2〜40倍程度が好ましい。原料の有機化合物
の含量が0.1〜5vol%となるガス混合物を用いた
とき、良好なる結果が得られるので、酸素あるいはアン
モニアの量をそれに応じて変えることが望ましい。反応
温度は300℃〜600℃、好ましくは320℃〜58
0℃の間で行なわれる。より好ましくは、350℃〜5
50℃である。反応温度を600℃以上にすると炭酸ガ
ス、青酸等の生産が上昇し、芳香族ニトリルの収率が低
下する。原料のガス混合物の触媒上における滞留時間は
0.1〜25秒、好ましくは0.5秒〜10秒である。
反応は常圧、加圧、減圧いずれの状態でも行ないうる
が、望ましくは常圧から300kPa(ゲージ圧)の範
囲内で行なうのがよい。
【0067】反応の形式は、通常は、気相流通固定床や
流動層形式である。流動相形式では、一般に、プロセス
上、触媒の微粉末が製品に混入しやすい。そのため、製
品への微粉末の混入を嫌う場合には気相流通固定床が有
利である。
【0068】反応器の材質は、原料種類や反応条件によ
るが、一般にはステンレス鋼や炭素鋼などが使用され
る。
【0069】連続流通方式で長時間反応させると、触媒
はわずかながら活性が低下し、転化率も低下してくる。
その場合、反応温度や接触時間を調整し転化率を一定に
保つことは有効な手段である。酸素量を制御する方法も
ありえる。
【0070】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、何ら本発明
を制限するものではない。
【0071】触媒調製例1 メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)40.35
gに水60mlとシュウ酸・2水和物((COOH)2
・2H2O)91.5gを加え、80〜90℃に加温し
ながら撹拌し、溶解した。一方で、無水クロム酸(Cr
3)34.5gに水50mlを加えて溶解し、50〜
60℃の浴中でシュウ酸・2水和物142.0gを少量
ずつ添加して溶解させた。こうして得られたシュウ酸バ
ナジル溶液とシュウ酸クロム溶液を混合し、50〜60
℃の浴中で30分間撹拌した。目視で観察する限り均一
溶液であった。ロータリーエバポレーターを用いて、こ
の溶液の水を留去した後に、120℃の乾燥器に入れ、
乾燥させた。その後に、空気を流しながら550℃で8
時間焼成した。こうして、触媒1を得た。触媒1の粉末
X線回折パターンを、図1に示す。粉末X線回折の測定
方法は、測定装置としてRigaku−ローターフレッ
クスを使用し、X線源はCuKα1を使用し、出力は5
0kV−180mA、スリットはDS1/2°−SS1
/2°−RS0.15mmとし、スキャンスピード5°
/minで測定範囲5°〜90°について測定した。図
1の回折ピークを、表2に示す。
【表2】
【0072】これらの結果より、触媒1は、Toubo
ulらが命名した“CrVO4−I”を主成分として含
んでいることがわかる。
【0073】触媒1のラマン分光測定で得られたチャー
トを図2に示す。ラマン分光測定の方法は、測定装置と
して日本分光NR−1800型レーザーラマン分光光度
計を使用し、励起光にアルゴンイオンレーザー(波長5
14.5nm)を使用し、レーザー出力はサンプルポイ
ントにて5mW、照射時間120秒、積算2回で、測定
範囲300〜1900cm-1について測定した。反応に
使用する際には、加圧成型した後に、得られた錠剤を砕
き、ふるい分けをして、目の開きが0.7mmから1.
7mmのふるいの間に入ったものを使用した。
【0074】触媒調製例2 メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)40.35
gに水300mlを加え、80〜90℃に加温しながら
撹拌し、溶解した。一方で、硝酸クロム・9水和物(C
r(NO33・9H2O)138.0gに水200ml
を加えて溶解させた。こうして得られたバナジウムを含
む溶液とクロムを含む溶液を混合し、pHメーターでp
Hを測定しながら、アンモニア水を添加した。溶液のp
Hが10になったところで、アンモニア水の添加を止
め、この溶液(懸濁液)を80〜90℃の浴中で3時間
撹拌した。
【0075】ロータリーエバポレーターを用いて、この
溶液の水を留去した後に、120℃の乾燥器に入れ、乾
燥させた。その後に、空気を流しながら550℃で8時
間焼成した。こうして、触媒2を得た。触媒2の粉末X
線回折パターンは、図1と同様であり、主要なピークの
d値、強度比に特筆すべき変化は認められなかった。触
媒2のラマン分光測定で得られたチャートは、図2と同
様であり、特筆すべき変化は認められなかった。
【0076】比較触媒調製例1 触媒調製例1と同様の方法で、シュウ酸バナジル溶液と
シュウ酸クロム溶液を調製した。これらの溶液を混合す
る際に、VとCrが原子比で1:0.66となるように
混合した。混合した後に、50〜60℃の浴中で30分
間撹拌した。目視で観察する限り均一溶液であった。こ
うして得られた溶液を、触媒調製例1と同様の方法で、
溶媒留去、乾燥を行なった後に、空気を流しながら、6
00℃で8時間焼成した。こうして、比較触媒1を得
た。比較触媒1の粉末X線回折パターンを、図3に示
す。測定方法は、触媒調整例1と同様である。図3の回
折ピークを、表3に示す。
【表3】
【0077】これらの結果より、比較触媒1は、Tou
boulらが命名した“CrVO4−I”とは、全く異
なる結晶構造を有する成分が主成分である。小さなピー
クを見ても、“CrVO4−I”は含まれていない。比
較触媒1のラマン分光測定で得られたチャートを図4に
示す。ラマン分光測定の方法は、触媒調整例1と同様で
ある。
【0078】触媒調製例3 触媒調製例1で得られたバナジウムとクロムを含む溶液
に、α−アルミナ担体(ノートン社製 低表面積アルミ
ナ/シリカ,α−アルミナ含量89%,シリカ含量10
%,比表面積 0.05m2/g)を浸漬し、60℃に
保持したまま30分間含浸させた後に、担体を引き上げ
て120℃で乾燥し、空気を流しながら550℃で8時
間焼成した。こうして、触媒3を得た。
【0079】触媒3の粉末X線回折パターンは、図1の
パターンに担体のピーク・パターンを加えたものと同様
であり、触媒成分に起因する主要なピークのd値、強度
比に特筆すべき変化は認められなかった。また、ラマン
分光測定で得られたチャートは、図2と同様で、特筆す
べき変化は認められなかった。実施例にて反応に使用す
る際には、触媒を乳鉢で砕き、ふるい分けをして、目の
開きが0.7mmから1.7mmのふるいの間に入った
ものを使用した。
【0080】比較触媒調製例2 比較触媒調製例1で得られたバナジウムとクロムを含む
溶液に、触媒調製例3で用いたα−アルミナ担体を浸漬
し、触媒調製例3と同様の方法で処理した。こうして、
比較触媒2を得た。
【0081】比較触媒2の粉末X線回折パターンは、図
1のパターンに担体のピーク・パターンを加えたものと
同様であり、触媒成分に起因する主要なピークのd値、
強度比に特筆すべき変化は認められなかった。また、ラ
マン分光測定で得られたチャートは、図2と同様で、特
筆すべき変化は認められなかった。
【0082】触媒調製例4 触媒調製例1で得られたバナジウムとクロムを含む溶液
に、メタタングステン酸アンモニウム溶液(WO3とし
て50質量%のW成分を含む)と、酢酸カルシウム・1
水和物(Ca(CH3COO)2・H2O)を少量の水に
溶解させた溶液を加え、全溶液中に含まれるV:Cr:
W:Caの原子比が1:1:0.1:0.02となるよ
うにした。得られた溶液を60℃浴中で1時間撹拌し
た。溶液は、目視で観察する限り均一溶液であった。こ
の溶液に、触媒調製例3で用いたα−アルミナ担体を浸
漬し、触媒調製例3と同様の方法で処理した。こうし
て、触媒4を得た。
【0083】実施例1(反応例:o−キシレンからo−
フタロニトリルの製造) 反応は常圧固定床流通型反応装置を用いた。反応管は、
内径10mmのステンレス管に外径3mmのステンレス
管を内挿し固定して触媒層での反応温度が測定できるよ
うにしたものを用いた。反応管内に7mlの触媒1を充
填し、反応管を外部から加熱し、340℃とした。ヘリ
ウムガス、酸素ガス、アンモニアガスを、各々流量を制
御した後に、ミキサーで混合し、気化室に導いた。o−
キシレンと水を気化室に一定流量で供給し、200℃に
加熱した気化室で気化させて、前記の3種のガスと混合
し、反応管中の触媒層に送り込んだ。供給ガスの総量は
7L/Hrで、供給組成は、o−キシレン:NH3
2:He:H2O=1:20:10:64:5(体積
比)とした。触媒層を通過した反応ガスは、空冷トラッ
プ、溶液トラップで捕捉し、トラップを抜けたガスはガ
ス捕集した。340℃での生成物を捕集した後に、反応
温度を350℃に上昇させ、同様に生成物を捕集した。
生成物はガスクロマトグラフィーにて分析した。炭酸ガ
スの分析は、アルカリ溶液に吸収させた後に、滴定法で
定量した。アンモニア燃焼量については、反応管出口で
の窒素ガス量を定量し、その値からアンモニア燃焼量を
算出した。得られた結果を表4に示した。
【表4】
【0084】実施例2〜4、比較例1〜2(反応例:o
−キシレンからo−フタロニトリルの製造) 触媒2〜4または比較触媒1〜2を用いた以外は、実施
例1と同様の方法で反応を行なった。得られた結果を表
4に示した。
【0085】実施例5〜7、比較例3〜5(反応例:m
−キシレンまたはp−キシレンのアンモ酸化反応) 触媒1、比較触媒1、触媒3、比較触媒2のいずれかを
使用し、原料としてo−キシレンの代わりにm−キシレ
ンまたはp−キシレンを用い、ガスの供給組成として、
(m−またはp−キシレン):NH3:O2:He:H2
O=1:8:8:78:5(体積比)とした以外は、実
施例1と同様の方法で反応を行なった。得られた結果を
表5に示した。
【表5】
【0086】実施例8(触媒寿命試験) 触媒4を用い、実施例1と同様の反応を480℃にて8
000時間継続した時点での生成物を分析したところ、
o−フタロニトリル収率76%が得られた。
【0087】
【発明の効果】本発明による触媒を用いることにより、
アルキル基を有する有機化合物からニトリル化合物を効
率良く製造することができる。本発明で見出した触媒
は、ニトリル化合物の選択性が高く、長時間の使用にお
いても劣化が少なく、長寿命である。また、触媒成分の
結晶が特定されており、触媒性能の再現性が極めて高
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 触媒調製例1で得られた触媒1の粉末X線回
折パターン。
【図2】 触媒調製例1で得られた触媒1のラマン分光
測定チャート。
【図3】 比較触媒調製例1で得られた比較触媒1の粉
末X線回折パターン。
【図4】 比較触媒調製例1で得られた比較触媒1のラ
マン分光測定チャート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 23/20 G01N 23/20 (72)発明者 辻 勝行 神奈川県川崎市川崎区扇町5−1 昭和電 工株式会社総合研究所川崎研究室内 (72)発明者 能沢 勉 神奈川県川崎市川崎区扇町5−1 昭和電 工株式会社総合研究所川崎研究室内 (72)発明者 中條 哲夫 神奈川県川崎市川崎区扇町5−1 昭和電 工株式会社総合研究所川崎研究室内 (72)発明者 竹平 勝臣 広島県東広島市高屋高美ヶ丘7−9−11 Fターム(参考) 2G001 AA01 BA18 CA01 EA01 GA01 KA08 MA04 NA20 4G069 AA02 AA03 AA08 BA03B BC09A BC09B BC10A BC12A BC13A BC26A BC50A BC51A BC54A BC54B BC58A BC58B BC59A BC60A BC60B BC66A BD03A BD07A CB07 CB53 CB54 CB55 DA05 EC22X EC22Y EC25 EC27 FB05 FB09 4H006 AA02 AA05 BA06 BA10 BA12 BA14 BA18 BA30 BA60 BA85 BC32 BE30 QN24 4H039 CA70 CL50

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu−Kα1線を用いる粉末X線回折
    で、面間隔d(Å)および比較強度[()内に%で表
    す。]の解析パターンが実験誤差の範囲内で少なくと
    も、6.44(25)、3.26(22)、3.21
    (100)、3.19(35)、3.16(20)、
    3.02(16)、2.58(11)、2.14(2
    4)、1.71(13)および1.64(10)のピー
    クを持つバナジウムおよびクロムを含む結晶性複合酸化
    物を含む気相法アンモ酸化触媒。
  2. 【請求項2】 ラマン分光測定において、ラマンシフト
    が900〜930cm-1および880〜900cm-1
    散乱光のピークを有し、940〜1000cm-1に散乱
    光のピークを有さない請求項1に記載の気相法アンモ酸
    化触媒。
  3. 【請求項3】 ラマン分光測定において、ラマンシフト
    が900〜930cm-1、880〜900cm-1および
    940〜1000cm-1に散乱光のピークを有し、94
    0〜1000cm-1の散乱光のピークが、900〜93
    0cm-1および880〜900cm-1の散乱光のピーク
    より弱いピークである請求項1に記載の気相法アンモ酸
    化触媒。
  4. 【請求項4】 バナジウム:クロムの比率が原子比で、
    1:0.7〜1.5である請求項1乃至3のいずれかに
    記載の気相法アンモ酸化触媒。
  5. 【請求項5】 タングステン、モリブデン、鉄、アンチ
    モン、ジルコニウム、リン、ホウ素、チタン、マグネシ
    ウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムから
    なる群から選択される1種以上の元素の酸化物を含有す
    る請求項1乃至4のいずれかに記載の気相法アンモ酸化
    触媒。
  6. 【請求項6】 選択される1種以上の元素の酸化物が酸
    化カルシウムおよび/または酸化タングステンである請
    求項5に記載の気相法アンモ酸化触媒。
  7. 【請求項7】 酸素を含むガスを流通させながら、40
    0〜650℃で焼成を行うことを特徴とするバナジウム
    およびクロムの結晶性複合酸化物を含む気相法アンモ酸
    化触媒の製造方法。
  8. 【請求項8】 アンモニア、アミンまたはその溶液を用
    いて触媒の金属成分を含む溶液のpHを調整した後、乾
    固(または担体に担持)、乾燥、焼成することを特徴と
    する請求項7に記載の気相法アンモ酸化触媒の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至6のいずれかに記載の気相
    法アンモ酸化触媒の存在下、アルキル基を有する有機化
    合物を、アンモニアおよび酸素と気相で反応させてアル
    キル基をニトリル基に変換することによるニトリル化合
    物の製造方法。
  10. 【請求項10】 アルキル基を有する有機化合物がアル
    キル置換基を有する芳香族化合物であり、ニトリル化合
    物が対応する芳香族ニトリル化合物である請求項9に記
    載のニトリル化合物の製造方法。
  11. 【請求項11】 アルキル置換基を有する芳香族化合物
    がベンゼン環上にメチル基を有する化合物であり、芳香
    族ニトリル化合物が対応するベンゼン環上にニトリル基
    を有する化合物である請求項10に記載のニトリル化合
    物の製造方法。
  12. 【請求項12】 ベンゼン環上にメチル基を有する化合
    物が、トルエン、o−キシレン、m−キシレンまたはp
    −キシレンであり、ベンゼン環上にニトリル基を有する
    化合物が対応するベンゾニトリル、o−フタロニトリ
    ル、イソフタロニトリルまたはテレフタロニトリルであ
    る請求項11に記載のニトリル化合物の製造方法。
  13. 【請求項13】 ベンゼン環上にメチル基を有する化合
    物が、o−キシレン、m−キシレンまたはp−キシレン
    であり、ベンゼン環上にニトリル基を有する化合物が対
    応するo−フタロニトリル、イソフタロニトリルまたは
    テレフタロニトリルである請求項11に記載のニトリル
    化合物の製造方法。
  14. 【請求項14】 ベンゼン環上にメチル基を有する化合
    物が、o−キシレンであり、ベンゼン環上にニトリル基
    を有する化合物が対応するo−フタロニトリルである請
    求項11に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 粉末X線回折を用いることを特徴とす
    る気相法アンモ酸化触媒の性能評価方法。
  16. 【請求項16】 併せてラマン分光測定を用いる請求項
    15に記載の評価方法。
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