JP2002135010A - 非放射性誘電体線路およびミリ波送受信器 - Google Patents

非放射性誘電体線路およびミリ波送受信器

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JP2002135010A
JP2002135010A JP2000330134A JP2000330134A JP2002135010A JP 2002135010 A JP2002135010 A JP 2002135010A JP 2000330134 A JP2000330134 A JP 2000330134A JP 2000330134 A JP2000330134 A JP 2000330134A JP 2002135010 A JP2002135010 A JP 2002135010A
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dielectric line
millimeter
wave signal
frequency
dielectric
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Nobuki Hiramatsu
信樹 平松
Takeshi Okamura
健 岡村
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Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】誘電体線路の平行平板導体に対する接着性に優
れ、高周波信号の伝送損失が小さく、従って信頼性が高
く低損失な非放射性誘電体線路を提供すること。 【解決手段】高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で
配置した平行平板導体間に高周波信号が伝送される誘電
体線路を介装して成る非放射性誘電体線路において、平
行平板導体の誘電体線路に対向する面の算術平均粗さR
aが0.1μm≦Ra≦50μmである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばミリ波等の
高周波帯域で用いられる非放射性誘電体線路であってミ
リ波集積回路等に好適に使用される非放射性誘電体線路
に関するものであり、また非放射性誘電体線路型のミリ
波集積回路,ミリ波レーダーモジュール等のミリ波送受
信器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の非放射性誘電体線路(Nonradiati
ve Dielectric Waveguideで、以下、NRDガイドと
いう)S1の構成を図1に示す。図1のNRDガイドS
1は、使用周波数において空気中を伝搬する電磁波(高
周波信号)の波長λに対して、間隔dがλ/2以下であ
る一対の平行平板導体1,3の間に誘電体線路2を介装
することにより、その誘電体線路2に沿って電磁波が伝
搬でき、放射波は平行平板導体1,3の遮断効果によっ
て抑制されるという動作原理に基づいている。
【0003】このNRDガイドS1の電磁波伝搬モード
としては、LSMモード,LSEモードの2種類がある
ことが知られているが、損失の小さいLSMモードが一
般的に使用されている。また、NRDガイドの他のタイ
プとして、図2のような曲線状の誘電体線路14を設け
たNRDガイドS2もあり、これにより電磁波を容易に
曲線的に伝搬させることができ、ミリ波集積回路の小型
化や自由度の高い回路設計ができるという利点を持って
いる。
【0004】なお、図1および図2において、上側の平
行平板導体3は内部を透視するように一部を切り欠く
か、破線で示した。また、1は下側の平行平板導体であ
る。
【0005】また、従来、NRDガイドS1,S2の誘
電体線路2,14の材料としては、手軽に加工できると
いう簡便さと低損失という点で、テフロン(登録商
標),ポリスチレン等の比誘電率2〜4の樹脂材料が使
われてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来用
いられてきたテフロン,ポリスチレン等の比誘電率2〜
4の誘電体からなる誘電体線路でNRDガイドS1,S
2を構成すると、曲線部での曲げ損失や、誘電体線路の
接合部での損失が大きいという欠点があった。このた
め、急峻な曲線部を設けることができなかった。また、
緩やかな曲線部とした場合にも、その曲線部の曲率半径
を精密に決定する必要があった。さらに、小さい曲げ損
失でもって使用可能な周波数範囲が、例えば60GHz
付近では1〜2GHzと十分ではなかった。これは、比
誘電率が2〜4の誘電体を用いてNRDガイドS1,S
2を構成した場合、上記LSMモードとLSEモードの
分散曲線が非常に近いため、LSMモードの電磁波の1
部がLSEモードに変換されてしまい、損失が増大する
ためであった。
【0007】また、誘電体線路2,14の材料として、
アルミナ(Al23)セラミックス等の比誘電率が10
程度のセラミックスを用いたものもあるが、50GHz
以上の高周波で使用するためには、誘電体線路2,14
の幅を非常に細くしなければならず、加工性および実装
上実用的ではない。
【0008】また、従来用いられてきたテフロン等の樹
脂材料からなる誘電体線路でNRDガイドを構成する
と、誘電体線路と平行平板導体の接着が難しく、振動や
熱膨張差によって誘電体線路が位置ずれを起こし、正常
に機能しなくなるという問題があった。
【0009】従って、本発明は上記事情に鑑みて完成さ
れたものであり、その目的は、LSMモードの電磁波の
LSEモードへの変換が少なく、従って小さい曲率半径
で使用周波数範囲が広い急峻な曲線部を作製することが
でき、その結果ミリ波集積回路等を小型化でき、しかも
信頼性が高く、損失が小さい高性能なNRDガイドを提
供することである。また、このようなNRDガイドを用
いることにより、高周波信号の伝送損失が小さく、小型
化されたミリ波送受信器を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の非放射性誘電体
線路は、高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で配置
した平行平板導体間に前記高周波信号が伝送される誘電
体線路を介装して成る非放射性誘電体線路において、前
記平行平板導体の誘電体線路に対向する面の算術平均粗
さRaが0.1μm≦Ra≦50μmであることを特徴
とする。
【0011】本発明のNRDガイドは、平行平板導体
を、その誘電体線路に対向する面(平行平板導体の内部
空間側の面であり、以下、平行平板導体の内面ともい
う)の算術平均粗さRaが0.1μm≦Ra≦50μm
であるように形成しているので、平行平板導体の内面に
適当な凹凸があることから、誘電体線路を接着剤等で平
行平板導体に接着した際にアンカー効果で強固に接着さ
れて耐久性に優れたものにすることができる。また、内
面の電流経路を短くすることができて表面抵抗を小さく
することができる結果、高周波信号の伝送損失を効果的
に抑制することができる。このようにして、信頼性が高
く、損失が小さい高性能なNRDガイドを構成すること
ができる。このような、0.1μm≦Ra≦50μmで
ある面は、平行平板導体の内面の全体である必要はな
く、少なくとも誘電体線路に対応する部位がこのような
範囲のRaであればよい。
【0012】本発明において、好ましくは、前記誘電体
線路は、Mg,Al,Siの複合酸化物を主成分とする
セラミックスからなるとともに、測定周波数60GHz
でのQ値が1000以上であることを特徴とする。
【0013】上記の構成により、LSMモードの電磁波
のLSEモードへの変換が少なく、従って誘電体線路に
小さい曲率半径で使用周波数範囲が広い急峻な曲線部を
作製することができ、その結果ミリ波集積回路等を小型
化でき、しかも加工が容易で作製の自由度の高いNRD
ガイドを作製できる。また、高周波信号の伝送損失が小
さいものとなり、また形状精度が精密で安定した誘電体
線路をセラミックスにより容易に多数個作製できるため
安価なものとなる。また、誘電体線路の比誘電率がテフ
ロン等の樹脂材料と比して高いので、例えばこれらの樹
脂材料を用いて誘電体線路の支持用治具や回路基板等を
作製し、誘電体線路近傍に配置してもその影響を受けに
くくなる。
【0014】また本発明において、好ましくは、前記複
合酸化物のモル比組成式がxMgO・yAl23・zS
iO2(但し、x=10〜40モル%,y=10〜40
モル%,z=20〜80モル%,x+y+z=100モ
ル%を満足する)で表されることを特徴とする。
【0015】上記の構成により、さらに伝送損失が少な
く、かつ安価で高い形状精度の誘電体線路を用いたNR
Dガイドを作製できる。
【0016】本発明のミリ波送受信器は、ミリ波信号の
波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体間
に、高周波ダイオード発振器が一端部に付設され、前記
高周波ダイオード発振器から出力されたミリ波信号を伝
搬させる第1の誘電体線路と、バイアス電圧印加方向が
前記ミリ波信号の電界方向に合致するように配置され、
前記バイアス電圧を周期的に制御することによって前記
ミリ波信号を周波数変調した送信用のミリ波信号として
出力する可変容量ダイオードと、前記第1の誘電体線路
に、一端側が電磁結合するように近接配置されるかまた
は一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー
側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、前記平行平板導体
に平行に配設されたフェライト板の周縁部に所定間隔で
配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされ
た第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有
し、一つの前記接続部から入力された前記ミリ波信号を
フェライト板の面内で時計回りまたは反時計回りに隣接
する他の接続部より出力させるサーキュレータであっ
て、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に
前記第1の接続部が接合されるサーキュレータと、該サ
ーキュレータの第2の接続部に接合され、前記ミリ波信
号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを有す
る第3の誘電体線路と、前記送受信アンテナで受信され
第3の誘電体線路を伝搬して前記サーキュレータの第3
の接続部より出力した受信波をミキサー側へ伝搬させる
第4の誘電体線路と、前記第2の誘電体線路の中途と前
記第4の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結合させ
るかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と受信波
とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサー部
と、を設けたミリ波送受信器において、前記第1〜第4
の誘電体線路の少なくとも一つの誘電体線路および前記
平行平板導体が上記本発明の非放射性誘電体線路を構成
していることを特徴とする。
【0017】本発明は、上記の構成により、信頼性が高
く、高性能かつ小型のミリ波送受信器とすることができ
る。
【0018】また、本発明のミリ波送受信器は、ミリ波
信号の波長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導
体間に、高周波ダイオード発振器が一端部に付設され、
前記高周波ダイオード発振器から出力されたミリ波信号
を伝搬させる第1の誘電体線路と、バイアス電圧印加方
向が前記ミリ波信号の電界方向に合致するように配置さ
れ、前記バイアス電圧を周期的に制御することによって
前記ミリ波信号を周波数変調した送信用のミリ波信号と
して出力する可変容量ダイオードと、第1の誘電体線路
に、一端側が電磁結合するように近接配置されるかまた
は一端が接合されて、前記ミリ波信号の一部をミキサー
側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、前記平行平板導体
に平行に配設されたフェライト板の周縁部に所定間隔で
配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号の入出力端とされ
た第1の接続部,第2の接続部および第3の接続部を有
し、一つの前記接続部から入力された前記ミリ波信号を
フェライト板の面内で時計回りまたは反時計回りに隣接
する他の接続部より出力させるサーキュレータであっ
て、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波信号の出力端に
前記第1の接続部が接続されるサーキュレータと、該サ
ーキュレータの第2の接続部に接続され、前記ミリ波信
号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有する
第3の誘電体線路と、先端部に受信アンテナ、他端部に
ミキサーが各々設けられた第4の誘電体線路と、前記サ
ーキュレータの第3の接続部に接続され、前記送信アン
テナで受信混入したミリ波信号を伝搬させるとともに先
端部に設けられた無反射終端部で前記ミリ波信号を減衰
させる第5の誘電体線路と、前記第2の誘電体線路の中
途と前記第4の誘電体線路の中途とを近接させて電磁結
合させるかまたは接合させて成り、ミリ波信号の一部と
受信波とを混合させて中間周波信号を発生させるミキサ
ー部と、を設けたミリ波送受信器において、前記第1〜
第5の誘電体線路のうち少なくとも一つの誘電体線路お
よび前記平行平板導体が上記本発明の非放射性誘電体線
路を構成していることを特徴とする。
【0019】本発明は、上記の構成により、信頼性が高
く、高性能かつ小型のミリ波送受信器とすることができ
る。また、送信用のミリ波信号がサーキュレータを介し
てミキサーへ混入することがなく、その結果受信信号の
ノイズが低減し、ミリ波レーダー等に適用した際に探知
距離が増大し、ミリ波信号の伝送特性に優れたものとな
る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のNRDガイドについて以
下に詳細に説明する。本発明のNRDガイドの基本的な
全体構成は図1と同様であり、以下図1に基いて説明す
る。図1はNRDガイドS1の斜視図であり、同図にお
いて、1,3は高周波信号の波長λの2分の1以下の間
隔dで配置した下側,上側の平行平板導体、2は平行平
板導体1,3間に介装、挟持された誘電体線路である。
この誘電体線路2は、例えば複数の線路部分の端面同士
を所定間隔で対向配置させて構成されていてもよい。な
お、上記波長λは、使用周波数における高周波信号の空
気中での波長に相当する。
【0021】本発明のNRDガイドS1用の平行平板導
体1,3は、高い電気伝導度および加工性等の点で、C
u,Al,Fe,SUS(ステンレススチール),A
g,Au,Pt等からなり、鍛造法、鋳造法、ダイカス
ト法、研削法等で加工された金属板、あるいはセラミッ
クス,樹脂等から成る絶縁板の表面にこれらの導体層を
形成したものでもよい。
【0022】本発明において、各平行平板導体1,3
は、誘電体線路2に対向する面(内面)の算術平均粗さ
Raが0.1μm≦Ra≦50μmを満足するものであ
る。
【0023】この算術平均粗さRaとは、日本工業規格
であるJISB0601−1994に規定されているも
のである。すなわち、算術平均粗さRaは、粗さ曲線か
らその平均線の方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜
き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY
軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、式
Ra=(1/L)∫0 L|f(x)|dx(∫は積分記
号、∫の添字の0,Lは積分範囲)により求められる値
をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
【0024】Raが0.1μmよりも小さな値になる
と、誘電体ストリップ2を平行平板導体1,3に接着剤
などで固着したときに、アンカー効果が小さいため長期
にわたって強固に保持することが困難となり、時間が経
過すると誘電体ストリップ2が平行平板導体1,3から
剥離されやすくなる。すなわち、耐久性に劣る。したが
って、内面に適当な凹凸があることにより接着剤がアン
カー効果で内面に強固に接着されることになることか
ら、算術平均粗さRaを0.1μm以上とする必要があ
る。
【0025】またRaを50μm以下としたのは、高周
波信号により平行平板導体1,3に生じる電流は表皮効
果のために平行平板導体1,3の内面の表面に集中する
ことになるが、Raが50μmよりも大きな値になる
と、表面の電流経路が長くなって表面抵抗が大きくなる
結果、高周波信号の導体損失が増大して伝送損失が大き
くなる。このため、伝送損失を効果的に抑制するため、
Raを50μm以下とする必要がある。なおRaは好ま
しくは0.1μm≦Ra≦10μmを満足するのがよ
く、より好ましくは0.2μm≦Ra≦5μm、最適に
は0.3μm≦Ra≦3μmを満足するのがよい。
【0026】本発明の誘電体線路2は、使用周波数60
GHzでのQ値が1000以上である、Mg,Al,S
iの複合酸化物を主成分としたセラミックスを用いるの
がよい。上記のセラミックスは比誘電率が4.5〜8程
度である。比誘電率をこの範囲に限定したのは、比誘電
率が4.5未満の場合、上記したようにLSMモードの
電磁波のLSEモードへの変換が大きくなるからであ
る。また、比誘電率が8を超えると、50GHz以上の
周波数で使用する際、誘電体線路2の幅を非常に細くし
なければならず、加工が困難になって形状精度が劣化
し、強度の点でも問題が生じる。また、使用周波数60
GHzでのQ値が1000以上である、Mg,Al,S
iの複合酸化物を主成分としたセラミックスの場合、こ
れは、近年におけるマイクロ波帯域,ミリ波帯に含まれ
る60GHzで使用される誘電体線路として、十分な低
損失性を実現するものである。
【0027】そして、誘電体線路2の組成および組成比
は、モル比組成式をxMgO・yAl23・zSiO2
と表した時に、x=10〜40モル%,y=10〜40
モル%,z=20〜80モル%,x+y+z=100モ
ル%を満足する、Mg,Al,Siの複合酸化物を主成
分とする。
【0028】本発明の誘電体線路2の材料であるセラミ
ックス(誘電体磁器組成物)の主成分の組成比を上記範
囲に限定したのは、次の理由による。即ち、xを10〜
40モル%としたのは、10モル%未満では良好な焼結
体が得られず、また40モル%を超えると比誘電率が大
きくなるからである。特にxは、60GHzでのQ値を
2000以上とするという点から15〜35モル%が望
ましい。
【0029】また、yを10〜40モル%としたのは、
yが10モル%よりも小さい場合には良好な焼結体が得
られず、40モル%を超えると比誘電率が大きくなるか
らである。yは、60GHzでのQ値を2000以上と
するという点から17〜35モル%が望ましい。
【0030】zを20〜80モル%としたのは、zが2
0モル%よりも小さい場合には比誘電率が大きくなり、
80モル%を超えると良好な焼結体が得られずQ値が低
下するからである。zは、60GHzでのQ値を200
0以上とするという点から30〜65モル%が望まし
い。
【0031】これらMgO,Al23,SiO2のモル
%を示すx,y,zは、EPMA(Electron Probe M
icro Analysis)法,XRD(X−ray Diffraction:
X線回折)法等の分析方法で特定できる。
【0032】また、本発明の誘電体線路2用のセラミッ
クスは、主結晶相がコーディエライト(2MgO・2A
23・5SiO2)であり、他の結晶相としてムライ
ト(3Al23・2SiO2),スピネル(MgO・A
23),プロトエンスタタイト{メタ珪酸マグネシウ
ム(MgO・SiO2)を主成分とするステアタイトの
一種},クリノエンスタタイト{メタ珪酸マグネシウム
(MgO・SiO2)を主成分とするステアタイトの一
種},フォルステライト(2MgO・SiO2),クリ
ストバライト{珪酸(SiO2)の一種},トリジマイ
ト{珪酸(SiO2)の一種},サファリン(Mg,A
lの珪酸塩の一種)等が析出する場合があるが、組成に
よってその析出相が異なる。なお、本発明のセラミック
スではコーディエライトのみからなる結晶相であっても
よい。
【0033】本発明の誘電体線路2用のセラミックス
(誘電体磁器組成物)は、以下のようにして製造する。
原料粉末として、例えばMgCO3粉末,Al23
末,SiO2粉末を用い、これらを所定割合で秤量し、
湿式混合した後乾燥し、この混合物を大気中において1
100〜1300℃で仮焼した後、粉砕し粉末状とす
る。得られた粉末に適量の樹脂バインダを加えて成形
し、この成形体を大気中1300〜1450℃で焼成す
ることにより得られる。
【0034】原料粉末中に含まれるMg,Al,Siの
元素から成る原料粉末は、それぞれ酸化物,炭酸塩,酢
酸塩等の無機化合物、もしくは有機金属等の有機化合物
のいずれであってもよく、焼成により酸化物となるもの
であれば良い。
【0035】なお、本発明の誘電体磁器組成物の主成分
は、Mg,Al,Siの複合酸化物を主成分とし、60
GHzでのQ値を1000以上であるという特性を損な
わない範囲で、上記元素以外に、粉砕ボールや原料粉末
の不純物が混入したり、焼結温度範囲の制御、機械的特
性向上を目的に他の成分を含有させても良い。例えば、
希土類元素化合物、Ba,Sr,Ca,Ni,Co,I
n,Ga,Ti等の酸化物、ならびに窒化ケイ素等の窒
化物などの非酸化物である。これらは単独または複数種
が含まれていても良い。
【0036】本発明でいう高周波帯域は、数10〜数1
00GHz帯域のマイクロ波帯域およびミリ波帯域に相
当し、例えば30GHz以上、特に50GHz以上、更
には70GHz以上の高周波帯域が好適である。
【0037】さらに、誘電体線路2のその他の材料とし
て、テフロン,ポリスチレン,ガラスエポキシ樹脂等の
樹脂系のもの、アルミナセラミックス,ガラスセラミッ
クス,フォルステライトセラミックス等のものでもよい
が、誘電特性、加工性、強度、小型化、信頼性等の点で
コーディエライトセラミックスが好ましい。
【0038】本発明のNRDガイドSは、無線LAN,
自動車のミリ波レーダ等に使用されるものであり、例え
ば自動車の周囲の障害物および他の自動車に対しミリ波
を照射し、反射波を元のミリ波と合成して中間周波信号
を得、この中間周波信号を分析することにより障害物及
び他の自動車までの距離、それらの移動速度等が測定で
きる。
【0039】かくして、本発明は、誘電体線路の平行平
板導体に対する接着性が良好であり、長期間にわたり強
固な接着性を維持でき、また高周波信号の伝送特性に優
れたものとなる。したがって、信頼性が高く、高性能で
小型なNRDガイドを構成することができる。また、従
来のアルミナセラミックス等よりも低比誘電率のセラミ
ックスからなる誘電体線路を用いているため、LSMモ
ードの電磁波のLSEモードへの変換を少なくでき、高
周波信号の損失が抑えられる。
【0040】本発明のNRDガイドを用いたミリ波送受
信器について、以下に説明する。図3,図4は本発明の
ミリ波送受信器としてのミリ波レーダーを示すものであ
り、図3は送信アンテナと受信アンテナが一体化された
ものの平面図、図4は送信アンテナと受信アンテナが独
立したものの平面図である。
【0041】図3において、51は本発明の一方の平行
平板導体(他方は省略する)、52は第1の誘電体線路
53の一端に設けられた、高周波ダイオード発振器を有
する電圧制御型のミリ波信号発振部(電圧制御発振部)
であり、バイアス電圧印加方向が高周波信号の電界方向
に合致するように、第1の誘電体線路53の高周波ダイ
オード近傍に配置された可変容量ダイオードのバイアス
電圧を周期的に制御して、三角波,正弦波等とすること
により、周波数変調した送信用のミリ波信号として出力
する。
【0042】53は、高周波ダイオード発振器が一端部
に付設され、高周波ダイオード発振器から出力されたミ
リ波信号が変調された送信用のミリ波信号を伝搬させる
第1の誘電体線路、54は、第1,第3,第4の誘電体
線路53,55,57にそれぞれ結合される第1,第
2,第3の接続部54a,54b,54cを有する、フ
ェライト円板等から成るサーキュレータ、55は、サー
キュレータ54の第2の接続部54bに接続され、ミリ
波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナ5
6を有する第3の誘電体線路、56は、第3の誘電体線
路55の先端をテーパー状等とすることにより構成され
た送受信アンテナである。
【0043】なお、送受信アンテナ56は、平行平板導
体51に形成された貫通孔を通して高周波信号を入出力
させ、平行平板導体51の外面に貫通孔に接続された金
属導波管を介して設置されたホーンアンテナ等であって
もよい。
【0044】また57は、送受信アンテナ56で受信さ
れ第3の誘電体線路55を伝搬してサーキュレータ54
の第3の接続部54cより出力した受信波をミキサー5
9側へ伝搬させる第4の誘電体線路、58は、第1の誘
電体線路53に一端側が電磁結合するように近接配置さ
れて、ミリ波信号の一部をミキサー59側へ伝搬させる
第2の誘電体線路、58aは、第2の誘電体線路58の
ミキサー59と反対側の一端部に設けられた無反射終端
部(ターミネータ)である。また、図中M1は、第2の
誘電体線路58の中途と第4の誘電体線路57の中途と
を近接させて電磁結合させることにより、ミリ波信号の
一部と受信波を混合させて中間周波信号を発生させるミ
キサー部である。
【0045】本発明のサーキュレータ54は、平行平板
導体51,51間に平行に配設された一対のフェライト
円板の周縁部に所定間隔、例えばフェライト円板の中心
点に関して角度で120°間隔で配置され、かつそれぞ
れミリ波信号の入出力端とされた第1の接続部54a,
第2の接続部54bおよび第3の接続部54cを有し、
一つの接続部から入力されたミリ波信号をフェライト円
板の面内で時計回りまたは反時計回りに隣接する他の接
続部より出力させるものである。また、平行平板導体5
1の外側主面のフェライト円板に相当する部位には、フ
ェライト円板を伝搬する電磁波の波面を回転させるため
の磁石が、磁力線がフェライト円板に対し略垂直方向
(略上下方向)に通過するように設けられる。なお、本
発明のフェライト板は円板状のもの限らず、多角形状等
のものでもよい。
【0046】また、本発明のミリ波送受信器の他の実施
形態として、送信アンテナと受信アンテナを独立させた
図4のタイプがある。同図において、61は一方の平行
平板導体(他方は省略する)、62は第1の誘電体線路
63の一端に設けられた、高周波ダイオード発振器を有
する電圧制御型のミリ波信号発振部であり、バイアス電
圧印加方向が高周波信号の電界方向に合致するように第
1の誘電体線路63の高周波ダイオード近傍に配置され
た可変容量ダイオードのバイアス電圧を周期的に制御し
て、三角波,正弦波等とすることにより、周波数変調し
た送信用のミリ波信号として出力する。
【0047】63は、高周波ダイオード発振器が一端部
に付設され、高周波ダイオード発振器から出力されたミ
リ波信号が変調された送信用のミリ波信号を伝搬させる
第1の誘電体線路、64は、第1,第3,第5の誘電体
線路63,65,67にそれぞれ接続される第1,第
2,第3の接続部(図3と同様であり図示せず)を有す
る、フェライト円板等から成るサーキュレータ、65
は、サーキュレータ64の第2の接続部に接続され、ミ
リ波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナ6
6を有する第3の誘電体線路、66は、第3の誘電体線
路65の先端をテーパー状等とすることにより構成され
た送信アンテナ、67は、サーキュレータ64の第3の
接続部に接続され、送信用のミリ波信号を減衰させる無
反射終端部67aが先端に設けられた第5の誘電体線路
である。
【0048】また68は、第1の誘電体線路63に一端
側が電磁結合するように近接配置されて、ミリ波信号の
一部をミキサー71側へ伝搬させる第2の誘電体線路、
68aは、第2の誘電体線路68のミキサー71と反対
側の一端部に設けられた無反射終端部、69は、受信ア
ンテナ70で受信された受信波をミキサー71側へ伝搬
させる第4の誘電体線路である。また、図中M2は、第
2の誘電体線路68の中途と第4の誘電体線路69の中
途とを近接させて電磁結合させることにより、ミリ波信
号の一部と受信波とを混合させて中間周波信号を発生さ
せるミキサー部である。
【0049】なお、送信アンテナ66および受信アンテ
ナ70は、平行平板導体61に形成された貫通孔を通し
て高周波信号を入力または出力させ、平行平板導体61
の外面に貫通孔に接続された金属導波管を介して設置さ
れたホーンアンテナ等であってもよい。
【0050】本発明では、図3において、第1の誘電体
線路53に第2の誘電体線路58の一端側を近接配置す
るかまたは一端部を接合するが、接合する場合、接合部
において、第1の誘電体線路53を直線状、第2の誘電
体線路58を円弧状となし、その円弧状部の曲率半径r
を高周波信号の波長λ以上とする。これにより、高周波
信号を損失を小さくして均等の出力で分岐させ得る。ま
た、接合部において、第2の誘電体線路58を直線状、
第1の誘電体線路53を円弧状となし、その円弧状部の
曲率半径rを高周波信号の波長λ以上としてもよく、こ
の場合も上記と同様の効果が得られる。
【0051】また、ミキサー59部において、第2の誘
電体線路58と第4の誘電体線路57とを接合すること
もでき、この場合、上記と同様に、これらの誘電体線路
58,57のいずれか一方の接合部を円弧状となし、そ
の円弧状部の曲率半径rを高周波信号の波長λ以上とす
るのがよい。また、第2の誘電体線路58と第4の誘電
体線路57とを電磁結合するように近接配置する場合、
その近接部において、第2の誘電体線路58と第4の誘
電体線路57との近接部の少なくとも一方を円弧状とす
ることにより、近接配置の構成とすることができる。
【0052】また好ましくは、上記の接合部の曲率半径
rは3λ以下が良く、3λを超えると接合構造が大きく
なり小型化のメリットが得られない。接合部の曲率半径
rを波長λより小さく設定すると、円弧状の接合部を有
する誘電体線路への分岐強度は小さくなる。
【0053】このような第1の誘電体線路53と第2の
誘電体線路58との接合構造、および第2の誘電体線路
58と第4の誘電体線路57との接合構造、並びに第2
の誘電体線路58と第4の誘電体線路57との近接配置
の構成については、図4の場合も上記と同様である。
【0054】そして、これらの各種部品は、ミリ波信号
の波長λの2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体
間に設けられる。
【0055】図3のものにおいて、第1の誘電体線路5
3の中途にスイッチを設け、それをオン−オフ(ON−
OFF)することでパルス変調制御することもできる。
例えば、図6に示すような、配線基板88の一主面に第
2のチョーク型バイアス供給線路112を形成し、その
中途に半田実装されたビームリードタイプのPINダイ
オードやショットキーバリアダイオードを設けたスイッ
チである。なお、図6においてEは誘電体線路77内を
伝搬する高周波信号の電界方向を示す。
【0056】この配線基板88を、第1の誘電体線路5
3の第2の誘電体線路58との信号分岐部とサーキュレ
ータ54との間に、PINダイオードやショットキーバ
リアダイオードのパルス変調用ダイオードのバイアス電
圧印加方向がLSMモードの高周波信号の電界方向に合
致するように配置し、第1の誘電体線路53に介在させ
るものである。また、第1の誘電体線路53にもう一つ
のサーキュレータを介在させ、その第1,第3の接続部
に第1の誘電体線路53を接続し、第2の接続部に他の
誘電体線路を接続し、その誘電体線路の先端部の端面
に、図8ような構成でショットキーバリアダイオードを
設けたスイッチを設置してもよい。
【0057】図4のものにおいて、サーキュレータ64
をなくし、第1の誘電体線路63の先端部に送信アンテ
ナ66を接続した構成とすることもできる。この場合、
小型化されたものとなるが、受信波の一部が電圧制御発
振部(ミリ波信号発振部)62に混入しノイズ等の原因
となり易いため、図4のタイプが好ましい。
【0058】また、図4のタイプにおいて、第2の誘電
体線路68は、第3の誘電体線路65に一端側が電磁結
合するように近接配置されるか第3の誘電体線路65に
一端が接合されて、ミリ波信号の一部をミキサー71側
へ伝搬させるように配置されていてもよい。この構成に
おいても、図4のものと同様の機能、作用効果を有す
る。
【0059】この図4のものにおいて、第1の誘電体線
路63の中途に、図6に示したものと同様に構成したス
イッチを設け、それをオン−オフすることでパルス変調
制御することもできる。例えば、図6のような、配線基
板88の一主面に第2のチョーク型バイアス供給線路1
12を形成し、その中途に半田実装されたビームリード
タイプのPINダイオードやショットキーバリアダイオ
ードを設けたスイッチである。この配線基板88を、第
1の誘電体線路63の第2の誘電体線路68との信号分
岐部と、サーキュレータ64との間に、PINダイオー
ドやショットキーバリアダイオードのバイアス電圧印加
方向がLSMモードの高周波信号の電界方向に合致する
ように配置し、第1の誘電体線路63に介在させるもの
である。
【0060】また、第1の誘電体線路63にもう一つの
サーキュレータを介在させ、その第1,第3の接続部に
第1の誘電体線路63を接続し、第2の接続部に他の誘
電体線路を接続し、その誘電体線路の先端部の端面に、
図6のような構成のショットキーバリアダイオードを設
けたスイッチを設置してもよい。
【0061】また、これらのミリ波送受信器において、
平行平板導体間の間隔は、ミリ波信号の空気中での波長
であって、使用周波数での波長λの2分の1以下とな
る。
【0062】また、図3,図4のミリ波送受信器はFM
CW(Frequency Modulation Cotinuous Waves)方
式であり、FMCW方式の動作原理は以下のようなもの
である。電圧制御発振部の変調信号入力用のMODIN
端子に、電圧振幅の時間変化が三角波等となる入力信号
を入力し、その出力信号を周波数変調し、電圧制御発振
部の出力周波数偏移を三角波等になるように偏移させ
る。そして、送受信アンテナ56,送信アンテナ66よ
り出力信号(送信波)を放射した場合、送受信用アンテ
ナ56,送信アンテナ66の前方にターゲットが存在す
ると、電波の伝搬速度の往復分の時間差をともなって、
反射波(受信波)が戻ってくる。この時、ミキサー5
9,71の出力側のIFOUT端子には、送信波と受信
波の周波数差が出力される。
【0063】このIFOUT端子の出力周波数等の周波
数成分を解析することで、Fif=4R・fm・Δf/c
{Fif:IF(Intermediate Frequency)出力周波数,
R:距離,fm:変調周波数,Δf:周波数偏移幅,
c:光速}という関係式から距離を求めることができ
る。
【0064】このように、自動車のミリ波レーダ等に適
用した場合、自動車の周囲の障害物および他の自動車に
対しミリ波を照射し、反射波を元のミリ波と合成して中
間周波信号を得、この中間周波信号を分析することによ
り障害物および他の自動車までの距離、それらの移動速
度等が測定できる。
【0065】本発明の高周波ダイオード発振器を用いた
電圧制御発振部52,62について以下に説明する。図
5,図6は本発明のNRDガイド型の高周波ダイオード
発振器を示し、これらの図において、71は一対の平行
平板導体、72はガンダイオード73を設置(マウン
ト)するための略直方体状の金属ブロック等の金属部
材、73はマイクロ波,ミリ波を発振する高周波ダイオ
ードの1種であるガンダイオード、74は金属部材72
の一側面に設置され、ガンダイオード73にバイアス電
圧を供給するとともに高周波信号の漏れを防ぐローパス
フィルタとして機能するチョーク型バイアス供給線路7
4aを形成した配線基板、75はチョーク型バイアス供
給線路74aとガンダイオード73の上部導体とを接続
する金属箔リボン等の帯状導体、77はガンダイオード
73の近傍に配置され高周波信号を受信し外部へ伝搬さ
せる誘電体線路(第1の誘電体線路53,63に相当す
るもの)である。
【0066】また図5において、チョーク型バイアス供
給線路74aは、幅の広い線路および幅の狭い線路の長
さがそれぞれ略λ/4であり、また帯状導体75の長さ
は略{(3/4)+m}λ(mは0以上の整数)であ
る。この帯状導体75の長さは略3λ/4〜略{(3/
4)+3}λが良く、略{(3/4)+3}λを超える
と帯状導体75が長くなり、撓み、捩じれ等が生じ易く
なり、個々の高周波ダイオード発振器間で発振周波数等
の特性のばらつきが大きくなるとともに、種々の共振モ
ードが発生して、所望の発振周波数と異なる周波数の信
号が発生するという問題が生じる。より好ましくは、略
3λ/4,略{(3/4)+1}λである。
【0067】また、略{(3/4)+m}λとしたの
は、{(3/4)+m}λから多少ずれていても共振は
可能だからである。例えば、帯状導体5を{(3/4)
+m}λよりも10〜20%程度長く形成しても良く、
その場合、帯状導体75の接するチョーク型バイアス供
給線路74aの1パターン目の長さλ/4のうち一部が
共振に寄与すると考えられるからである。従って、帯状
導体5の長さは{(3/4)+m}λ±20%程度の範
囲内で変化させることができる。
【0068】これらチョーク型バイアス供給線路74a
および帯状導体75の材料は、Cu,Al,Au,A
g,W,Ti,Ni,Cr,Pd,Pt等から成り、特
にCu,Agが、電気伝導度が良好であり、損失が小さ
く、発振出力が大きくなるといった点で好ましい。
【0069】また、帯状導体75は金属部材72の表面
から所定間隔をあけて金属部材72と電磁結合してお
り、チョーク型バイアス供給線路74aとガンダイオー
ド73間に架け渡されている。即ち、帯状導体75の一
端はチョーク型バイアス供給線路74aの一端に半田付
け等により接続され、帯状導体75の他端はガンダイオ
ード73の上部導体に半田付け等により接続されてお
り、帯状導体75の接続部を除く中途部分は宙に浮いた
状態となっている。
【0070】そして、金属部材72は、ガンダイオード
73の電気的な接地(アース)を兼ねているため金属導
体であれば良く、その材料は金属(合金を含む)導体で
あれば特に限定するものではなく、真鍮(黄銅:Cu−
Zn合金),Al,Cu,SUS(ステンレススチー
ル),Ag,Au,Pt等から成る。また金属部材72
は、全体が金属から成る金属ブロック、セラミックスや
プラスチック等の絶縁基体の表面全体または部分的に金
属メッキしたもの、絶縁基体の表面全体または部分的に
導電性樹脂材料等をコートしたものであっても良い。
【0071】また、誘電体線路77は、図3,図4の第
1の誘電体線路53,63に相当するものであり、その
材料は上記の通りコーディエライト(2MgO・2Al
23・5SiO2)セラミックス(比誘電率4〜5)等
が好ましく、これらは高周波帯域において低損失であ
る。ガンダイオード73と誘電体線路77との間隔は
1.0mm程度以下が好ましく、1.0mmを超えると
損失を小さくして電磁的結合が可能な最大離間幅を超え
る。
【0072】また、本発明の高周波ダイオードとして
は、インパット(impatt:impact ionisation avalan
che transit time)・ダイオード,トラパット(trap
att:trapped plasma avalanche triggered transi
t)・ダイオード,ガンダイオード等のマイクロ波ダイ
オードおよびミリ波ダイオードが好適に使用される。
【0073】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で変更
を行うことは何等差し支えない。
【0074】
【実施例】本発明の実施例を以下に示す。
【0075】(実施例)図1のNRDガイドS1を以下
のように構成した。誘電体線路2の材料として、本発明
のMg,Al,Siの複合酸化物を主成分としたセラミ
ックスであって、種々の組成比としたものを作製した。
それらの比誘電率と周波数60GHzにおけるQ値を表
1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】一対の平行平板導体1,3として、アルミ
ダイカスト法で加工した縦60mm×横60mm×厚さ
10mmの金属板を1.8mmの間隔で配置し、表1の
NO.24のコーディエライトセラミックスからなる誘
電体線路2を介装した。この誘電体線路2は、高さ1.
8mm、幅0.8mm、長さ10mmの誘電体線路部分
を伝送方向に順次4本並べて、擬似的に1本となるよう
に構成した。平行平板導体1,3の内面の算術平均粗さ
Raを触針式の表面粗さ測定器で測定したところ、0.
3μmであった。平行平板導体1,3と誘電体線路2は
1液硬化型のエポキシ樹脂で接着した。接着強度をオー
トグラフを用いてせん断応力を加えて破壊荷重を測定し
たところ、530Nであり、十分な強度があった。ま
た、温度サイクル(−40〜100℃、各60分、10
00サイクル)試験後も420Nの十分な強度があっ
た。76.5GHzの高周波信号の伝送損失をネットワ
ークアナライザーで評価したところ、0.18dB/c
mであり、実用上十分低損失であった。
【0078】(比較例)一対の平行平板導体1,3とし
て、その表面を鏡面研磨したCu板を用いた以外は上記
実施例と同様に図1のNRDガイドS1を構成した。誘
電体線路2の接着強度は100Nであり、温度サイクル
(−40〜100℃、各60分、1000サイクル)試
験後は、誘電体線路2が平行平板導体1,3から外れて
いた。76.5GHzの高周波信号の伝送損失をネット
ワークアナライザーで評価したところ、0.16dB/
cmであった。
【0079】なお、本発明は上記実施形態および実施例
に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない
範囲内で種々の変更を行うことは何等差し支えない。
【0080】
【発明の効果】本発明は、高周波信号の波長の2分の1
以下の間隔で配置した平行平板導体間に高周波信号が伝
送される誘電体線路を介装して成る非放射性誘電体線路
において、平行平板導体の誘電体線路に対向する面の算
術平均粗さRaが0.1μm≦Ra≦50μmであるこ
とにより、高い信頼性と低損失を両立させる高性能な非
放射性誘電体線路とすることができる。
【0081】また好ましくは、誘電体線路は、Mg,A
l,Siの複合酸化物を主成分とするセラミックスから
なるとともに、測定周波数60GHzでのQ値が100
0以上であることにより、従来のアルミナセラミックス
等よりも低比誘電率のセラミックスからなる誘電体線路
を用いることにより、LSMモードの電磁波のLSEモ
ードへの変換を少なくでき、高周波信号の損失が抑えら
れる。
【0082】また好ましくは、複合酸化物のモル比組成
式がxMgO・yAl23・zSiO2(但し、x=1
0〜40モル%,y=10〜40モル%,z=20〜8
0モル%,x+y+z=100モル%を満足する)で表
されることにより、さらに伝送損失が少なく、かつ安価
で高い形状精度の誘電体線路を用いたNRDガイドを作
製できる。
【0083】本発明のミリ波送受信器は、送受信アンテ
ナを備えたタイプ、および送信アンテナと受信アンテナ
とが独立したタイプにおいて、誘電体線路のうち少なく
とも一つの誘電体線路および平行平板導体が上記本発明
の非放射性誘電体線路を構成していることにより、誘電
体線路を伝搬するLSMモードの電磁波のLSEモード
への変換が少なく、従って誘電体線路に小さい曲率半径
で使用周波数範囲が広い急峻な曲線部を作製することが
でき、その結果ミリ波送受信器を使用周波数範囲が広
く、小型化でき、しかも加工が容易で作製の自由度の高
いものとすることができる。さらに、送信アンテナと受
信アンテナとが独立したタイプでは、送信用のミリ波信
号がサーキュレータを介してミキサーへ混入することが
なく、その結果受信信号のノイズが低減し探知距離が増
大し、さらにミリ波信号の伝送特性に優れたものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のNRDガイドの内部を透視した斜視図
である。
【図2】従来のNRDガイドの一例を示し、その内部を
透視した斜視図である。
【図3】本発明のNRDガイドを備えたミリ波レーダー
の一実施形態の平面図である。
【図4】本発明のNRDガイドを備えたミリ波レーダー
の他の実施形態の平面図である。
【図5】本発明のミリ波レーダー用のミリ波発振部の内
部透視斜視図である。
【図6】図5のミリ波発振部に組み込まれる可変容量ダ
イオードを設けた配線基板の斜視図である。
【符号の説明】
1:下側の平行平板導体 2:誘電体線路 3:上側の平行平板導体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高周波信号の波長の2分の1以下の間隔で
    配置した平行平板導体間に前記高周波信号が伝送される
    誘電体線路を介装して成る非放射性誘電体線路におい
    て、前記平行平板導体の誘電体線路に対向する面の算術
    平均粗さRaが0.1μm≦Ra≦50μmであること
    を特徴とする非放射性誘電体線路。
  2. 【請求項2】前記誘電体線路は、Mg,Al,Siの複
    合酸化物を主成分とするセラミックスからなるととも
    に、測定周波数60GHzでのQ値が1000以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の非放射性誘電体線
    路。
  3. 【請求項3】前記複合酸化物のモル比組成式がxMgO
    ・yAl23・zSiO2(但し、x=10〜40モル
    %,y=10〜40モル%,z=20〜80モル%,x
    +y+z=100モル%を満足する)で表されることを
    特徴とする請求項2記載の非放射性誘電体線路。
  4. 【請求項4】ミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で
    配置した平行平板導体間に、 高周波ダイオード発振器が一端部に付設され、前記高周
    波ダイオード発振器から出力されたミリ波信号を伝搬さ
    せる第1の誘電体線路と、 バイアス電圧印加方向が前記ミリ波信号の電界方向に合
    致するように配置され、前記バイアス電圧を周期的に制
    御することによって前記ミリ波信号を周波数変調した送
    信用のミリ波信号として出力する可変容量ダイオード
    と、 前記第1の誘電体線路に、一端側が電磁結合するように
    近接配置されるかまたは一端が接合されて、前記ミリ波
    信号の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路
    と、 前記平行平板導体に平行に配設されたフェライト板の周
    縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号
    の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および
    第3の接続部を有し、一つの前記接続部から入力された
    前記ミリ波信号をフェライト板の面内で時計回りまたは
    反時計回りに隣接する他の接続部より出力させるサーキ
    ュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波
    信号の出力端に前記第1の接続部が接合されるサーキュ
    レータと、 該サーキュレータの第2の接続部に接合され、前記ミリ
    波信号を伝搬させるとともに先端部に送受信アンテナを
    有する第3の誘電体線路と、 前記送受信アンテナで受信され第3の誘電体線路を伝搬
    して前記サーキュレータの第3の接続部より出力した受
    信波をミキサー側へ伝搬させる第4の誘電体線路と、 前記第2の誘電体線路の中途と前記第4の誘電体線路の
    中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて
    成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周
    波信号を発生させるミキサー部と、を設けたミリ波送受
    信器において、 前記第1〜第4の誘電体線路のうち少なくとも一つの誘
    電体線路および前記平行平板導体が請求項1〜3のいず
    れかに記載の非放射性誘電体線路を構成していることを
    特徴とするミリ波送受信器。
  5. 【請求項5】ミリ波信号の波長の2分の1以下の間隔で
    配置した平行平板導体間に、 高周波ダイオード発振器が一端部に付設され、前記高周
    波ダイオード発振器から出力されたミリ波信号を伝搬さ
    せる第1の誘電体線路と、 バイアス電圧印加方向が前記ミリ波信号の電界方向に合
    致するように配置され、前記バイアス電圧を周期的に制
    御することによって前記ミリ波信号を周波数変調した送
    信用のミリ波信号として出力する可変容量ダイオード
    と、 第1の誘電体線路に、一端側が電磁結合するように近接
    配置されるかまたは一端が接合されて、前記ミリ波信号
    の一部をミキサー側へ伝搬させる第2の誘電体線路と、 前記平行平板導体に平行に配設されたフェライト板の周
    縁部に所定間隔で配置されかつそれぞれ前記ミリ波信号
    の入出力端とされた第1の接続部,第2の接続部および
    第3の接続部を有し、一つの前記接続部から入力された
    前記ミリ波信号をフェライト板の面内で時計回りまたは
    反時計回りに隣接する他の接続部より出力させるサーキ
    ュレータであって、前記第1の誘電体線路の前記ミリ波
    信号の出力端に前記第1の接続部が接続されるサーキュ
    レータと、 該サーキュレータの第2の接続部に接続され、前記ミリ
    波信号を伝搬させるとともに先端部に送信アンテナを有
    する第3の誘電体線路と、 先端部に受信アンテナ、他端部にミキサーが各々設けら
    れた第4の誘電体線路と、 前記サーキュレータの第3の接続部に接続され、前記送
    信アンテナで受信混入したミリ波信号を伝搬させるとと
    もに先端部に設けられた無反射終端部で前記ミリ波信号
    を減衰させる第5の誘電体線路と、 前記第2の誘電体線路の中途と前記第4の誘電体線路の
    中途とを近接させて電磁結合させるかまたは接合させて
    成り、ミリ波信号の一部と受信波とを混合させて中間周
    波信号を発生させるミキサー部と、を設けたミリ波送受
    信器において、 前記第1〜第5の誘電体線路のうち少なくとも一つの誘
    電体線路および前記平行平板導体が請求項1〜3のいず
    れかに記載の非放射性誘電体線路を構成することを特徴
    とするミリ波送受信器。
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