JP2002134424A - バッチ式熱処理装置及びその制御方法 - Google Patents

バッチ式熱処理装置及びその制御方法

Info

Publication number
JP2002134424A
JP2002134424A JP2000329716A JP2000329716A JP2002134424A JP 2002134424 A JP2002134424 A JP 2002134424A JP 2000329716 A JP2000329716 A JP 2000329716A JP 2000329716 A JP2000329716 A JP 2000329716A JP 2002134424 A JP2002134424 A JP 2002134424A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
wafer
heat treatment
processed
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000329716A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Sakamoto
浩一 坂本
Bunryo O
文凌 王
Fujio Suzuki
富士雄 鈴木
Moyuru Yasuhara
もゆる 安原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Electron Ltd
Original Assignee
Tokyo Electron Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Electron Ltd filed Critical Tokyo Electron Ltd
Priority to JP2000329716A priority Critical patent/JP2002134424A/ja
Publication of JP2002134424A publication Critical patent/JP2002134424A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被処理体の面内の温度差を小さく抑える。 【解決手段】 反応管2は、複数のヒータ31〜35
と、複数の温度センサSin1〜Sin5とSout1〜Sout5と
を備え、ウエハボート23を収容する。制御部100
は、ヒータ31〜35の出力及び温度センサSin1〜Si
n5とSout1〜Sout5との出力から、反応管2内のウエハ
Wの中心部と周縁部の温度を計算するための数学モデル
と熱処理の手順を定めるレシピとを記憶している。制御
部100は、ウエハWの加熱または冷却を開始すると、
ヒータ31〜35の出力及び温度センサSin1〜Sin5と
Sout1〜Sout5の出力から、反応管2内のウエハWの中
心部と周縁部の温度を計算し、平均温度がレシピが指示
する温度となるように制御すると共に、ウエハWの中心
部の温度と周縁部の温度との差を求め、温度差が許容値
を超えると、温度差が小さくなるように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ等の
被処理体を多数枚一括して熱処理するバッチ式熱処理装
置とその制御方法に関し、特に、収容している半導体ウ
エハの温度を測定し、測定結果に基づいて、最適な制御
を行う適応制御型のバッチ式熱処理装置及びその制御方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウエハの表面に、酸化膜を形成し
たり、ドーパントの拡散を行うために、半導体ウエハに
熱処理が施される。半導体ウエハに熱処理を施すため
に、外気巻き込みが少なくかつ省スペース化を図ること
ができる、いわゆる縦型熱処理装置が多く使用されてい
る。
【0003】縦型熱処理装置は、反応空間を内部に形成
する反応管を備え、ウエハはウエハボート所定枚数(例
えば100枚)搭載され、ウエハボートごと反応管内に
ロード・アンロードされるように構成されている。
【0004】そして処理にあたってはまず前記反応管を
処理温度よりも低い温度、例えば400゜Cに加熱して
おき、前記搭載治具を反応管内にロードした後、この反
応管内を所定の処理に必要な減圧度まで減圧し、さらに
所定の昇温速度、例えば50℃/分以上の速さで反応空
間内を所定の処理温度、例えば800゜Cにまで昇温さ
せ、この温度を維持して例えばウエハ表面にシリコン酸
化膜を形成させ、成膜後は、所定の速度で再び400゜
Cにまで降温させてから、反応管からアンロードするよ
うにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】反応管内を昇温又は降
温させる際、その温度変化が急激であると、ウエハの周
縁部側と中央部とに温度差が生じる。この温度差(面内
温度差)によってウエハ表面にスリップと呼ばれる一種
の結晶断層が生じたり、ウエハに反りが発生したりす
る。このようなウエハ上の欠陥があると、歩留まりの低
下につながってしまう。
【0006】この種の問題を解決するため、特開平9−
82655には、加熱時に減圧度を落としたり、水素ガ
スを供給すること、あるいはウエハとの接触部分の表面
荒さを大きくすること等が開示されている。これらの方
法は、スリップや反りを防止するために、有効ではある
が、完全ではない。従って、スリップや反りをより確実
に防止する方法が望まれている。同様の問題は、ウエハ
以外の被処理体、例えば、ガラス基板を加熱又は冷却す
る場合にも発生していた。
【0007】本発明は、上記実状に鑑みてなされたもの
であり、被処理体の面内の温度差を小さく抑えることが
できるバッチ式熱処理装置及びその制御方法を提供する
ことを目的とする。また、本発明は、多品種少量生産に
適したバッチ式熱処理装置及びその制御方法を提供する
ことを目的とする。また、本発明は、バッチ式でありな
がら、個々のウエハを適切に処理できるバッチ式熱処理
装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の第1の観点に係るバッチ式熱処理装置
は、加熱部を備え、内部に被処理体を収容する加熱炉
と、前記加熱炉内の被処理体上の複数箇所の温度を測定
する温度測定部と、前記温度測定部の出力から、被処理
体の温度の分布を求め、求めた温度分布が予め定めた基
準範囲に収まるように、前記加熱部を制御する制御部
と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】被処理体の加熱時又は冷却時には、被処理
体上で温度のばらつきが発生する。このばらつきが大き
いと、被処理体に反りが発生したりする。また、被処理
体がウエハ(半導体ウエハ)である場合には、スリップ
(一種の結晶断層)が生ずる場合もある。この発明によ
れば、被処理体上の温度のばらつきを監視しつつ加熱部
を制御するので、温度のばらつきが大きくなり、被処理
体に欠陥が生じる事態を防止することができる。
【0010】前記温度測定部は、例えば、加熱炉内に収
容されている被処理体に設置された温度センサを含み、
前記温度センサの出力から被処理体上の複数箇所の温度
を測定してもよい。
【0011】また、前記温度測定部は、加熱炉の光透過
部を通して前記被処理体の放射温度を測定する放射温度
計から構成されてもよい。
【0012】また、前記温度測定部は、前記被処理体に
非接触の状態で前記加熱炉に設置された複数の温度セン
サと、前記複数の温度センサの出力から、前記加熱炉内
の被処理体上の複数箇所の温度を推定するためのモデル
を記憶するモデル記憶部と、前記モデル記憶部に記憶さ
れているモデルに基づいて、前記温度センサの出力から
前記被処理体の複数箇所の温度を推定する温度推定部
と、を備えてもよい。
【0013】この構成によれば、被処理体の温度を非接
触で比較的正確に測定することができる。しかも、加熱
炉内の金属汚染を防止でき、取り扱いも容易である。そ
して、ウエハの温度分布を刻一刻と推定し、被処理体に
欠陥が起こらない範囲で加熱したり・冷却したりするこ
とが可能となる。
【0014】前記モデルは、例えば、被処理体の中心部
の温度と縁部の温度とを推定するためのモデルを含む。
この場合、前記制御部は、例えば、前記基準範囲とし
て、被処理体が反りを起こさないような、中心部の温度
と縁部の温度との差の範囲を示すデータを記憶する前記
基準範囲記憶部を備え、前記温度推定部により推定され
た被処理体の中心部の温度と縁部の温度との差が、前記
基準値記憶部が記憶しているデータが定義する基準範囲
に収まるように、前記加熱部を制御する。
【0015】前記基準範囲記憶部は、例えば、テーブル
または関数の形式で、基準範囲を記憶する。
【0016】前記制御部は、被処理体の温度の目標値の
軌道を示すを示す温度目標軌道を記憶する温度目標軌道
記憶部を備え、前記被処理体の温度が、前記温度目標軌
道記憶部が記憶する温度目標軌道に沿って変化するよう
に前記加熱部を制御し、その結果、温度分布が基準より
大きくなる場合には、温度目標軌道から外れて制御す
る。このような構成とすれば、ユーザがどのような温度
目標軌道(温度レシピ)を設定した場合でも、被処理体
上の温度のばらつきを抑え、被処理体に欠陥が生じる事
態を防止することができる。
【0017】前記加熱部は、例えば、縦方向に配置さ
れ、独立して制御可能な複数のヒータから構成される。
この温度目標軌道は、例えば、加熱炉内でのガス流や圧
力のばらつきに起因する処理のばらつき(例えば、成膜
処理の場合、膜厚のばらつき)を、被処理体に与える熱
量を調整することにより解消できるように、加熱炉内の
位置等に応じて修正されたものであることが望ましく、
前記制御部は、各ゾーンの目標温度軌道に従って、前記
ヒータを個別に制御する。ゾーン別に温度目標軌道を設
定することにより、全被処理体について1つの温度目標
軌道を設定する場合よりも、各被処理体に適切な熱処理
を行うことができる。
【0018】前記制御部は、被処理体上の温度分布を小
さくするために、例えば、加熱時に、温度の上昇率を低
下させる(加熱炉内の温度を一定値に維持したり、一時
的に降下させることを含む)、冷却時に、温度の降下率
を低下させる(加熱炉内の温度を一定値に維持したり、
一時的に上昇させることを含む)、或いは、加熱炉内に
例えばガスを導入することにより、加熱炉内の熱伝導率
を向上させてもよい。
【0019】また、この発明の第2の観点に係るバッチ
式熱処理装置の制御方法は、縦方向に配置された複数の
ヒータと、複数の温度センサと、内部に複数の被処理体
を収容する反応管とを備え、被処理体に熱処理を施すバ
ッチ式熱処理装置の制御方法であって、前記温度センサ
の出力から被処理体の複数箇所の温度を推定するための
数学モデルを記憶し、前記数学モデルを用いて、温度セ
ンサの出力から被処理体の上の複数箇所の温度を推定し
て、そのばらつきを求め、求めたばらつきが目標値内に
収まるように制御しながら前記被処理体を昇温又は降温
するように、前記複数のヒータを適応制御する、ことを
特徴とする。
【0020】この構成によれば、被処理体の温度を非接
触で比較的正確に測定(推定)することができる。しか
も、実際の測定値に応じてヒータを独立して制御できる
ので、バッチ処理でありながら、緻密な温度制御が可能
となる。このような温度制御が可能であるため、例え
ば、加熱炉内でのガス流や圧力のばらつきに起因する処
理のばらつき(例えば、成膜処理の場合、膜厚のばらつ
き)を、被処理体に与える熱量を調整することにより解
消できる。従って、バッチ処理でありながら、枚葉処理
と同様な高精度の処理が可能となる。しかも、被処理体
上の温度分布を刻一刻と推定しながら熱処理を行うの
で、被処理体に欠陥が起こらない範囲で急速に加熱した
り、急速に冷却したりすることが可能となる。
【0021】また、温度センサの出力とモデルにより、
被処理体の温度を非接触で間接的に推測する。従って、
加熱炉内に温度検出用のセンサを装着したダミーの被処
理体などを配置する必要がなく、被処理体が金属で汚染
される等の問題を引き越すおそれがない。さらに、操作
処理が容易であり、高スループットを維持できる。ま
た、放射温度計を使用する場合には、加熱炉が光不透過
性であったり、被処理体が積層されているために被処理
体の温度を測定することができない場合がある。この発
明では、そのような問題も発生しない。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のバッチ式熱処理装置を縦
型熱処理装置に適用した実施の形態について説明する。
この縦型熱処理装置は、図1に示すように、例えば、石
英で作られた内管2a及び外管2bよりなる二重管構造
の反応管2を備え、反応管2の下側には金属性の筒状の
マニホールド21が設けられている。内管2aは上端が
開口されており、マニホールド21に支持されている。
外管2bは有天井に形成され、下端がマニホールド21
の上端に気密に接合されている。
【0023】反応管2内には、多数枚、例えば、150
枚の被処理体を成すウエハW(製品ウエハ)が水平な状
態で、上下に間隔をおいてウエハ保持具であるウエハボ
ート23に棚状に配置されている。このウエハボート2
3は蓋体24の上に保温筒(断熱体)25を介して保持
されている。
【0024】反応管2の周囲には、例えば、抵抗体より
成る加熱部3が設けられている。加熱部3は、5段に配
置されたヒータ31〜35から構成される。ヒータ31
〜35には、電力コントローラ36〜40より、それぞ
れ独立して電力が供給される。反応管2、マニホールド
21、加熱部3により加熱炉が構成される。ヒータ31
〜35により、反応管内は、図3(a)に示すように5
つのゾーンに分けられている。
【0025】また、マニホールド21には、内管2a内
にガスを供給するように複数のガス供給管が設けられて
おり、図1では、理解を容易にするため、3本のガス供
給管41,42,43を示している。各ガス供給管4
1,42,43には、ガス流量を調整するためのマスフ
ローコントローラ(MFC)などの流量調整部44,4
5,46を介してジクロルシラン、アンモニア、窒素が
それぞれ供給される。さらにマニホールド21には、内
管2aと外管2bとの隙間から排気するように排気管2
7が接続されている。排気管27は、図示しない真空ポ
ンプに接続されている。排気管27には、反応管2内の
圧力を調整するための、コンビネーションバルブ、バタ
フライバルブやバルブ駆動部などを含む圧力調整部28
が設けられている。
【0026】内管2aの内面には、垂直方向に一列に5
つの熱電対(温度センサ)Sin1〜Sin5が配置されてい
る。熱電対Sin1〜Sin5は、半導体ウエハWの金属汚染
を防止するため、例えば、石英のパイプ等によりカバー
されており、図3(a)に示す5つのゾーンにそれぞれ
配置されている。
【0027】また、外管2bの外面には、垂直方向に一
列に複数の熱電対(温度測定部)Sout1〜Sout5が配置
されている。熱電対Sout1〜Sout5も、図3(a)に示
す5つのゾーンに対応して、それぞれ配置されている。
【0028】この縦型熱処理装置は、反応管2内の処理
雰囲気の温度、ガス流量、圧力といった処理パラメータ
を制御するための制御部(コントローラ)100を備え
ている。制御部100は、熱電対Sin1〜Sin5とSout1
〜Sout5の出力信号を取り込み、ヒータ31〜35の電
力コントローラ36〜40、圧力調整部28、流量調整
部44〜46に制御信号を出力する。
【0029】図2は、制御部100の構成を示す。図示
するように、制御部100は、モデル記憶部111と,
レシピ記憶部112と、ROM113と、RAM114
と、I/Oポート115と、CPU116と、これらを
相互に接続するバス117とから構成される。
【0030】モデル記憶部111は、熱電対Sin1〜Si
n5及びSout1〜Sout5の出力信号(測定温度)からウエ
ハボート23に載置されているウエハWの中心部と端部
との温度を推定(計算)し、さらに、推定した温度を目
標値に設定するためにヒータ31〜35に供給すべき電
流(電力)を指示するために設計されたモデル(数学モ
デル;高次・多次元関数)を記憶している。なお、モデ
ルの設計手法については後述する。
【0031】レシピ記憶部112には、この熱処理装置
で実行される成膜処理の種類に応じて、制御手順を定め
るレシピが記憶されている。各レシピは温度レシピ(処
理対象たるウエハWが経るべき温度変化の目標値;温度
目標軌道)を含んでいる。通常のバッチ処理の場合、1
種類の成膜処理については、全ウエハについて1つの温
度レシピが用意される。これに対し、この実施の形態に
おいては、個々の熱処理装置の特性に応じて、面間及び
面内で膜厚が均一に成るように、図3(a)に例示する
ように、反応管2内を縦方向に複数(5つ)のゾーンに
分け、図3(b)に示すように、ゾーン毎に調整された
温度レシピ(温度目標軌道)が用意されている。ゾーン
毎に調整された温度レシピは、ガスの流量や濃度の差等
の要因による膜厚のばらつきを温度制御で吸収(キャン
セル)できるように調整されている。温度レシピの設計
手法については後述する。
【0032】ROM113は、EEPROM、フラッシ
ュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU1
16の動作プログラム等を記憶する記録媒体である。R
OM113は、ウエハWがスリップ(一種の結晶断層)
及び反りを生じないような、中心部の温度(中心温度T
c)と周縁部の温度(周縁温度Te)との許容最大温度差
を記憶する。図4の破線はスリップが発生しないような
許容最大温度差を示し、実線は、反りが生じないようよ
うな許容最大温度差を示す。図示するように、許容最大
温度差は、ウエハWの温度が高くなるに従って小さくな
る。例えば、ウエハWの平均温度が800℃程度では、
スリップも反りもほとんど発生しないが、1000℃近
辺では、中心温度Tcと周縁温度Teとの差が約5℃以上
となると反りが発生し、17℃以上になると、スリップ
が発生してしまう。従って、ウエハWの欠陥を抑えるた
めには、中心温度Tcと周縁温度Teとの差Tdを、実線
で示す範囲より狭い許容範囲内に抑える必要がある。R
OM113は、図4に示す許容最大温度差を、例えば、
関数形式又はテーブル形式で記憶する。
【0033】RAM114は、CPU116のワークエ
リアなどとして機能する。I/Oポート115は、熱電
対Sin1〜Sin5及びSout1〜Sout5の測定信号をCPU
116に供給すると共に、CPU116が出力する制御
信号を各部へ出力する。また、I/Oポート115に
は、操作パネル118が接続されている。バス117
は、各部の間で情報を伝達する。
【0034】CPU116は、DSPなどから構成され
てもよく、ROM113に記憶された制御プログラムに
従って動作し、操作パネル118からの指示に応答し、
レシピ記憶部112に記憶されているレシピに従って、
熱処理装置の動作を制御する。具体的には、CPU11
6は、モデル記憶部111に記憶されているモデルを読
み出し、また、レシピ記憶部112に記憶されている複
数のレシピの内から該当するものを選択して読み出す。
そして、レシピに従って処理動作を実行する。特に、こ
の実施の形態においては、CPU116は、熱電対Sin
1〜Sin5及びSout1〜Sout5からの測定値及び電力コン
トローラ36〜40への指示値(電力コントローラ36
〜40がヒータ31〜35に供給した電力を示す値)を
取り込んで、ウエハWの中心温度Tcと周縁温度Teとを
刻一刻と推定し、中心温度Tcと周縁温度Teの平均値T
avがレシピに含まれている温度レシピが指示する値に一
致するように、電力コントローラ36〜40に、供給電
力を指示する。
【0035】さらに、CPU116は、ウエハWの中心
温度Tcと周縁温度Teとの温度差Tdを求め、この温度
差Tdが、図4に示す許容範囲内となるように、リアル
タイムに電力コントローラ36〜40に、供給電力を指
示する。また、CPU116は、通常の熱処理装置の制
御と同様に、流量コントローラ44〜46への指示、圧
力調整部28への指示なども行う。
【0036】次に、上記構成のバッチ式熱処理装置によ
る成膜処理について説明する。まず、オペレータは、処
理の内容(例えば窒化膜の形成)を、操作パネル118
より入力する。CPU116は、指示に応答し、窒化膜
形成用のレシピをレシピ記憶部112から読み出す。一
方、ウエハボート23に、製品ウエハ(処理対象のウエ
ハ)Wが必要枚数載置される。加熱部3によって反応管
2内を約400゜Cに設定しておく。次に、被処理体で
あるウエハWが所定枚数、例えば100枚搭載されたウ
エハボート23を、昇降台26によって上昇させてウエ
ハWを反応管2内にロードし、マニホールド21の下端
のフランジと蓋体24とを気密状態とする。
【0037】CPU116は、ウエハボート23のロー
ドが完了すると、ROM113から読み出したレシピに
従って、圧力制御部28を含む排気系を制御して、排気
動作を開始する。
【0038】一方、CPU116は、図5に示す昇温動
作を開始し、ヒータ部3に供給する電力を増加させて昇
温を開始する(ステップS1)。さらに、CPU116
は、熱電対Sin1〜Sin5及びSout1〜Sout5の出力信号
及びヒータ31〜35に供給するパワー(電力)の値を
取り込み(ステップS2)、ROM113から読み出し
たモデルに従って、上段(ゾーン1)、中上段(ゾーン
2)、中段(ゾーン3)、中下段(ゾーン4)、下段
(ゾーン5)の5つのゾーンに配置されているウエハW
の中心温度Tcと周縁温度Teを計算(推定)する(ス
テップS3)。
【0039】次に、CPU116は、各ゾーンのウエハ
Wについて、推定した中心温度Tcと周縁温度Teか
ら、各ゾーンのウエハWの温度の平均値Tav=(Tc
+Te)/2を求める(ステップS4)。
【0040】次に、ステップS4で求めた平均温度Ta
vが、温度目標軌道(図3(b))が指示する目標値に
達したか否か、即ち、昇温処理が終了したか否かを判別
し(ステップS5)、達していれば、昇温処理を終了
し、一定温度を維持するための保温処理に移る。
【0041】一方、ステップS5で、平均温度Tavが
目標値に達していない、即ち、昇温処理が終了していな
いと判別された場合には、CPU116は、いずかのゾ
ーンのウエハWの中心温度Tcと周縁温度Teとの差T
dが、図4に実線で示す許容範囲内であるか否かを判別
する(ステップS6)。温度差Tdが許容範囲内の場
合、すなわち、ウエハWの反りやスリップが発生するお
それのない場合には、推定した各ゾーンのウエハWの温
度の平均値Tavが全体として温度目標軌道(図3
(b))が指示している温度の組み合わせに最も近づく
ように、ヒータ31〜35に供給する電力を電力コント
ローラ36〜40を介して制御する(ステップS7)。
即ち、推定したウエハ温度に基づいて、ウエハWの温度
を適応(アダプティブ)制御する。
【0042】例えば、5つのゾーンのウエハの温度の平
均値がTav1、Tav2、Tav3、Tav4、Tav5であると計
算され、温度目標軌道が指示する温度がTt1、Tt2、T
t3、Tt4、Tt5である場合には、実際の温度と目標温度
との差が全体として最も小さくなるように制御を行う。
例えば、最小2乗法を用いて、(Tav1−Tt1)
(Tav2−Tt2)+(Tav3−Tt3)+(Tav4−Tt
4)+(Tav5−Tt5) が最小に成るように、ヒータ
31〜35に供給する電力を個々に制御する。
【0043】その後、処理をステップS2に移し、熱電
対Sin1〜Sin5及びSout1〜Sout5の出力信号とヒータ
31〜35に供給している電力値とを取り込んで、ヒー
タ31〜35を制御する動作を繰り返す
【0044】一方、ステップS6で、いずれかのゾーン
のウエハWの中心温度Tcと周縁温度Teとの差Tdが、
許容範囲を超えている(または限界値に近い)と判別さ
れた場合には、温度差Tdの絶対値を小さくするための
制御を行う(ステップS8)。
【0045】図1に示す構造の加熱炉の場合、昇温時に
は、ウエハは周縁部から加熱され、周縁部より中心部の
温度が低い。このため、ウエハWの中心部と周縁部との
温度差を小さくするためには、一時的に、温度目標軌道
から離れて、その時点での温度を維持するか、または、
冷却するように制御すればよい。従って、CPU116
は、例えば、ウエハWの温度を降下するために、各ヒー
タ31〜35に供給すべき電力をモデルから求め、これ
を電力コントローラ36〜40に指示する。
【0046】その後、処理をステップS2に移し、ヒー
タ31〜35を制御する動作を繰り返す。
【0047】このような制御を繰り返すことにより、た
とえば、図6に示すように、反応管2内全体の温度上昇
に伴って、あるウエハWの中心温度Tcと周縁温度Teと
の差Tdが徐々に大きくなり、限界値Tlimitを越える
と、反応管2内の温度を一旦低下し、ウエハWの中心温
度Tcと周縁温度Teの温度差Tdが徐々に小さくする。
そして、温度差Tdが限界値Tlimit以下になった時点か
ら、再び昇温を開始する。
【0048】このようにしてゾーン別に、ウエハWの中
心温度Tcと周縁温度Teの差Tdを一定範囲内に維持し
ながら、適応制御を続ける。昇温が終了すると、CPU
116は、各ゾーンの温度を一定に維持するように適応
制御を続ける。
【0049】表現を変えると、CPU116は、熱電対
Sin1〜Sin5及びSout1〜Sout5の出力及びヒータの電
力に従って各ウエハWの温度を刻一刻と求め、求めたウ
エハWの温度が予め定められている温度目標軌道に一致
するよう5つのヒータ31〜35を個別に適応制御(ア
ダプティブ制御)する。しかも、CPU116は、単純
に適応制御を行うだけでなく、各ウエハWの中心温度T
cと周縁温度Teの差Tdが、図4に示す許容範囲内に収
まっているか否かを判別し、許容範囲内の場合には、そ
のまま昇温動作を継続し、許容範囲を越えている場合に
は、面内温度差を小さくするための制御を行い、ウエハ
Wの面内温度差(温度分布)を抑えつつ、ウエハWを加
熱する。ウエハWの温度が目標値に達すると、CPU1
16は、昇温動作を終了し、続いて、その温度を目標値
に維持するように適応制御を続ける。
【0050】昇温終了後、反応管2内の温度が安定する
のに十分な時間が経過すると、反応管2に処理ガスを供
給し、成膜を開始する。成膜処理の間も、上段、中上
段、中段、中下段、下段の各ゾーンのウエハWの温度が
全体として温度目標軌道が規定する温度に最も近づくよ
うに温度制御を行う。このため、各ゾーンのウエハW
は、異なる温度で成膜処理が成される。ただし、モデル
及びレシピが、後述するように、均一な膜が形成できる
ように調整された値(成膜ガスの濃度や、ウエハの枚数
や配置のばらつきの影響などを、熱に換算して調整され
た値)であるので、面間及び面内で比較的均一な厚さの
膜が成長する。
【0051】成膜が終了すると、CPU116は、成膜
ガスの供給を停止し、反応管2内にパージガスを供給し
て、成膜ガスをパージすると共に、図7に示す冷却処理
を開始し、加熱部3への電力の供給を停止(または低
減)するなどして、降温動作を開始する(ステップS1
1)。さらに、CPU116は、熱電対Sin1〜Sin5及
びSout1〜Sout5の出力信号を取り込み(ステップS1
2)、ROM113から読み出したモデルに従って、5
つのゾーンのウエハWの中心温度Tcと周縁温度Teを計
算する(ステップS13)。
【0052】次に、CPU116は、各ゾーンのウエハ
Wについて、推定した中心温度Tcと周縁温度Teから、
平均温度Tavを求める(ステップS14)。
【0053】次に、ステップS14で求めた平均温度T
avが、目標値(アンロードできる温度)に達したか否
か、即ち、冷却処理が終了したか否かを判別し(ステッ
プS15)、達していれば、降温処理を終了し、ウエハ
ボート23をアンロードするための処理に移る。
【0054】一方、ステップS15で、終了していない
と判別された場合には、CPU116は、いずれかのゾ
ーンのウエハWの中心温度Tcと周縁温度Teとの差Td
が、図4に示す許容範囲内であるか否かを判別する(ス
テップS16)。温度差Tdが許容範囲内の場合、すな
わち、ウエハWの反りやスリップが発生するおそれのな
い場合には、そのまま降温を続ける。許容範囲内の場
合、すなわち、ウエハWの反りやスリップが発生するお
それのない場合には、推定した各ゾーンのウエハの温度
の平均値が全体として温度目標軌道(図3(b))が指
示している温度の組み合わせに最も近づくように、ヒー
タ31〜35に供給する電力を電力コントローラ36〜
40を介して制御する(ステップS17)。即ち、推定
したウエハ温度に基づいて、ウエハ温度を適応制御す
る。
【0055】その後、処理をステップS12に移し、熱
電対Sin1〜Sin5及びSout1〜Sout5の出力信号を取り
込んで、ヒータ31〜35を制御する動作を繰り返す。
【0056】一方、ステップS16で、いずれかのウエ
ハWの中心温度Tcと周縁温度Teとの温度差Tdが、許
容範囲を超えていると判別された場合には、温度差Td
の絶対値を小さくするための制御を行う(ステップS1
8)。
【0057】図1に示す構造の加熱炉の場合、降温時に
は、ウエハは周縁部から冷却され、周縁部より中心部の
温度が高い。このため、温度差Tdを小さくするために
は、一時的に、温度目標軌道から離れて、その時点での
温度を維持するか、または、加熱するように制御すれば
よい。従って、CPU116は、例えば、ウエハWのの
温度を上昇させるために、各ヒータ31〜35に供給す
べき電力をモデルから求め、これを電力コントローラ3
6〜40に指示する。
【0058】その後、処理をステップS12に移し、熱
電対Sin1〜Sin5及びSout1〜Sout5の出力信号を取り
込んで、ヒータ31〜35を制御する動作を繰り返す。
【0059】このような制御を繰り返すことにより、た
とえば、図8に示すように、反応管2内全体の温度降下
に伴って、あるウエハWの中心部の温度Tcと周縁部の
温度Teとの差Tdが徐々に大きくなり、限界値Tlimit
を越える直前に、反応管2内の温度を一旦上昇させ、ウ
エハWの中心部の温度Tcと周縁部の温度Teの温度差T
dの絶対値を徐々に小さくする。そして、温度差Tdが許
容範囲に収まるようになった時点から、再び降温を開始
する。
【0060】降温が終了すると、蓋体24を降下させ、
処理済のウエハボート23をアンロードする。
【0061】以上説明したように、このバッチ式熱処理
装置は、ウエハボート23に載置されているウエハWの
中心温度Tcと周縁温度Teとを非接触で監視し、その温
度差Tdがスリップや反りを起こさないような範囲内と
なるように、加熱部3を適応制御する。従って、ウエハ
のスリップや反りを抑える事ができる。
【0062】また、温度レシピがゾーン毎に調整されて
いるので、ガスの流れ、ガス密度の分布、温度勾配等に
よる膜厚の差の発生を抑えることができる。
【0063】次に、モデルとレシピの設計手法につい
て、説明する。モデルは、熱電対Sin1〜Sin5及びSou
t1〜Sout5の出力(測定値)及びヒータ31〜35への
供給電力などから、各ゾーンのウエハWの温度を推測
し、さらに、推測した5つの温度を全体として目的温度
に近接させるために、ヒータ31〜35に供給する電力
を特定可能な数学モデルであるならば任意のモデル(多
変数、多次元、多出力関数)を利用可能である。このよ
うなモデルとしては、例えば、米国特許第5,517,
594号公報に開示されたモデルを使用することができ
る。
【0064】以下、米国特許第5,517,594号公
報に開示されたモデルを例に説明する。まず、図1に示
す熱処理装置に、中心と中心から例えば6mm離れた位置
とに熱電対SwcとSweを組み込んだ5枚のテスト用ウエ
ハを用意する。次に、これらの5枚のテスト用ウエハ
が、図3(a)の5つのゾーンに1つずつ位置するよう
に、テスト用ウエハと通常のウエハとをウエハボート2
3に載置する。次に、このウエハボート23を反応管2
にロードする。次に、ヒータ31〜35に高周波帯域の
信号及び低周波帯域の信号を印加し、熱電対Sin1〜Si
n5及びSout1〜Sout5の出力、テスト用ウエハ上の熱電
対SwcとSweの出力(ウエハ温度)、ヒータに供給され
る電流などのデータを、例えば、1〜5秒のサンプリン
グ周期で取得する。
【0065】次に、一定の温度範囲、例えば400℃〜
1100℃の範囲で、100℃間隔で温度帯域を設定す
る(広温度帯域を1つのモデルでカバーすると温度の推
定などが不正確になってしまうため)。取得したデータ
から、各温度帯域について、数式1に示すARX(自動
回帰)モデルを設定する。
【0066】
【数1】y+AAt−1+AAt−2+...
+AAt−n=BBt−1+BB
t−2+...+BBt−n +e:時点tでの以下の内容を成分とするp行1列のベ
クトル 内容:熱電対Sin1〜Sin5の出力の平衡温度ybiasから
の変動量(この例では5成分)、熱電対Sout1〜Sout5
の出力の平衡温度ybiasからの変動量(この例では5成
分)、ウエハの中心部にセットした熱電対Swcの出力の
平衡温度y biasからの変動量(この例では5つ)、ウエ
ハの周縁部にセットした熱電対Sweの出力の平衡温度y
biasからの変動量(この例では5つ)。従って、この例
では、ytは20行1列のベクトルとなる。 u:時点tでのヒータ電力平衡値ubiasからの変動量
を成分とするm行1列のベクトル(この例では、ヒータ
が5ゾーンのため、5行1列)。 e:ホワイトノイズを成分とするm行1列のベクト
ル。 n:遅れ(例えば8)。 AA〜AA:p行p列の行列(この例では、20行
20列)。 BB〜BB:p行m列の行列(この例では、20行
5列)。
【0067】ここで、各係数AA〜AAとBB
BB を、最小二乗法などを用いて決定する。
【0068】求められたARXモデルを空間状態方程式で
表現すると、数式2で示すようになる。
【数2】
【0069】ここから、熱電対(Sin1〜Sin5、Sout1
〜Sout5)、温度Tthermo、ヒータ電力uからウエハ
温度を推測するモデルを求める。数式1の出力yを測
定可能部分S(P行1列)とウエハ温度W(P
行1列)に分ける。それに応じて、CをCとCに分
割し、ybiasをSbiasとWbiasに分割する。ウエハ温度
モデルは数式3により計算される。
【0070】
【数3】Xt+1=AX+BU+k=C+[I、0]e 上式に対して適切なリカッチ方程式を解き、フィードバ
ックゲインLを求めると、ウエハ温度モデルは数式4で
示すようになる。
【0071】
【数4】Xt+1 =AX+B(U+Ubias)+L(T
thermo―CSX+Sbias) Tmodel、t=CX+Wbias ここで、Tmodel、tが予測ウエハ温度である。
【0072】次に、テスト用ウエハを用いてウエハ温度
を再度測定する。数式4に基づいて推定されたウエハ温
度Tmodelと実測値Twaterを比較し、モデルをチューニン
グする。このチューニング動作を必要に応じて複数回繰
り返す。
【0073】実際の成膜形の処理速度を向上するため、
作成したモデルの次数を10次程低次元化し、熱処理装
置に実装する。
【0074】一方、CPU116の動作プログラムに関
しては、温度の設定値から推測したウエハ温度の変動の
時間平均を最小化するように動作を設定する。
【0075】さらに、成膜処理の種類に応じて、各ゾー
ン内で均一な成膜が可能となるような温度目標軌道Ttr
aj(t)、すなわち、温度レシピを設計する。続いて、
5つのゾーンが全てこの温度目標軌道を追従するように
制御を行ってテスト的に成膜処理を実行する。処理後、
成膜された膜の厚さを測定し、膜厚のばらつき等をチェ
ックする。
【0076】例えば、上段のウエハの膜厚が下段のウエ
ハの膜厚よりも小さい場合、直接的な原因は不明でも、
上段の温度を相対的に上昇させることにより、膜厚をほ
ぼ等しくすることができる。そこで、最小二乗法等を用
いて、ばらつきが最も小さくなるように、温度目標軌道
Ttraj(t)を修正する。これが、図3(b)に示すよ
うなゾーン毎の温度レシピである。この温度レシピをさ
らにチューニングすることも可能である。
【0077】このようにして、ウエハの処理枚数及びそ
の配置に応じて、ウエハの温度推定及びウエハ温度を目
標温度とするための出力を定義するモデルと、レシピが
それぞれ設定され、モデル記憶部111とレシピ記憶部
112に記憶される。
【0078】その後、実際の成膜時に、これらのモデル
及びレシピは適宜選択されまた読み出されて制御に使用
される。
【0079】例えば、以上の説明では、ウエハWの中心
温度Tcと周縁温度Teとの差Tdが限界値を越えた段階
で、温度差Tdの絶対値を低下させるように制御してい
るが、図4に示す限界値に基づいて基準値(限界値の絶
対値>基準値の絶対値)を設定し、温度差Tdとこの基
準値とを比較するようにしてもよい。また、温度差Td
と限界値或いは基準値との単純な比較ではなく、PI
(比例積分)制御、PID(比例積分微分)制御などに
基づいて制御するようにしてもよい。
【0080】さらに、加熱部3に供給する電流を制御す
る代わりに、反応管2内の圧力を制御することにより、
ウエハWの中心温度と周縁温度との差Tdを小さくする
ようにしてもよい。例えば、加熱中又は冷却中に、ウエ
ハWの中心部と周縁部との間の温度差Tdが基準値以上
になった場合に、パイプ43から窒素を反応管内に導入
してもよい。窒素の導入により、熱伝導率が高くなり、
ウエハの温度の面内ばらつきが低減する。温度差Tdが
低減したら、必要に応じて排気を行う。
【0081】上述の例では、ウエハの中心温度Tcと周
縁温度Teとの差Tdに基づいて、加熱部3を制御した
が、ウエハW上の任意の複数点の温度差や温度のばらつ
き(温度分布)を求めて、加熱部3を制御することがで
きる。
【0082】また、上記実施の形態では、成膜処理のた
めに、ウエハを加熱及び冷却する際に、ウエハのスリッ
プや反りを防止する技術を説明したが、加熱しながら成
膜する場合や、一旦加熱してから冷却しながら成膜する
場合等に、スリップや反りを防止することも可能であ
る。
【0083】上記実施の形態においては、反応管2の内
外に配置した複数の温度センサSin1〜Sin5とSout1〜
Sout5の出力及びヒータ31〜35のパワーから、数学
モデルにより、間接的に、非接触で各ゾーンのウエハの
中心部と周縁部の温度を求めた。しかし、この方法によ
らず、放射温度計を使用して、直接ウエハの温度を測定
し、測定値をCPU116に供給することにより、同様
の制御を行うことも可能である。
【0084】また、ダミーウエハの中心部と周縁部に熱
電対(温度センサ)を配置し、このウエハをウエハボー
トに配置し、熱電対の出力からウエハの温度を直接測定
することも可能である。
【0085】ただし、放射温度計を使用する方法は、形
成される膜の種類によっては、光不透過性の膜である場
合等には、温度を測定できない。また、ウエハがウエハ
ボート23に積層して配置されている場合には、ウエハ
の温度を測定できない。さらに、温度センサを配置した
ダミーウエハを使用する方法では、反応管2内の高温に
より、ダミーウエハに装着したセンサやワイヤから金属
が蒸発し、ウエハが金属で汚染されるおそれがある。こ
の発明によれば、センサを内管2aの外側に配置するこ
とにより、反応管内の金属汚染を抑えつつ各ゾーンのウ
エハの中心部及び周縁部の温度を比較的正確に測定(推
定)することができる。
【0086】上記実施の形態においては、ウエハの平均
温度がレシピが決定する温度になるように制御したが、
場合により、できる限り急速に昇温したい場合がある。
この場合には、ウエハの面内温度差が、スリップマージ
ンを越えない範囲で、できるだけ急速に昇温することも
可能である。
【0087】この場合、例えば、次のように、制御を行
う。まず、ウエハの現在のセンタ及び端部の温度を測定
する。差分及び平均値を求める。平均値をキーとして差
分の許容値をテーブルを参照して求める。次に、P制
御、PI制御、PID制御のいずれかにより、温度の差
分が許容値を超えない範囲で、各ヒータに供給する電流
の最大値を求める。求めた最大値の電流を各ヒータに給
電する。このような構成によれば、ウエハのスリップや
反りを予防しつつ、ウエハを高速に加熱することができ
る。
【0088】制御系の応答の遅れにより、ウエハの加熱
時に、図9に実線で示すように、ウエハの温度が目的温
度よりも一時的に高くなる現象、いわゆる、オーバーシ
ュートが発生することがある。この発明によれば、オー
バーシュートが発生するような制御系でも、制限値Xを
適当な値に設定することにより、スリップを防止でき
る。
【0089】また、常時監視しているウエハの温度を用
いて、既知の制御技術(例えば、PID制御)により、
図9に破線で示すようにオーバーシュートが発生しない
ように制御することも可能である。また、オーバーシュ
ートを起こすような制御モードと起こさないような制御
モードとを切り替えて使用できるようにしてもよい。
【0090】上記実施の形態では、窒化膜形成用の熱C
VD装置を例にこの発明を説明したが、処理の種類は任
意であり、他種類の膜を形成するCVD装置、酸化装
置、エッチング装置、等の様々なバッチ式熱処理装置に
適用可能である。ただし、種類毎に、モデルとレシピを
設計する。
【0091】また、機器構成や動作も上記実施の形態に
限定されない。例えば、上記実施の形態では、ヒータの
数と反応管2内のゾーンを5つとしたが、ヒータの数や
温度ゾーンの数は任意である。また、ヒータは、電気抵
抗型のものに限定されず、ランプなどでもよい。また、
温度を測定するための構成も熱電対に限定されず、任意
の温度センサを適用可能である。
【0092】また、全ての装置について、モデルを個々
に設計するのは煩雑であり、同一仕様の熱処理装置につ
いて1つのモデル及び/又はレシピを作成し、これを装
置毎に最適化処理することにより、モデル及びレシピを
共通化してもよい。この方法によれば、モデルの作成と
チューニングを効率よく行うことができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、バッチ式の熱処理装置において、被処理体のスリッ
プや反りを防止しつつ、被処理体を昇温・降温すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る熱処理装置の構造
を示す図である。
【図2】制御部の構成例を示す回路図である。
【図3】(a)は反応管内のゾーンを示し、(b)はゾ
ーン別の目標温度軌道の例を示す図である。
【図4】ウエハの温度分布の許容範囲を説明するための
図である。
【図5】昇温処理を説明するためのフローチャートであ
る。
【図6】昇温処理に伴う面内温度差の変化を説明するた
めの図である。
【図7】降温処理を説明するためのフローチャートであ
る。
【図8】降温処理に伴う面内温度差の変化を説明するた
めの図である。
【図9】オーバーシュートを説明するための模式図であ
る。
【符号の説明】
2 反応管 3 加熱部 21 マニホールド 23 ウエハボート 24 蓋体 25 保温筒(断熱体) 31 上段ヒータ 32 上中断ヒータ 33 中段ヒータ 34 下中段ヒータ 35 下段ヒータ 36〜40 電力コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 富士雄 神奈川県津久井郡城山町町屋1丁目2番41 号 東京エレクトロン東北株式会社相模事 業所内 (72)発明者 安原 もゆる 東京都港区赤坂五丁目3番6号 東京エレ クトロン株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AC05 AC12 AC15 BB11 BB13 DP19 DQ05 EB17 EC02 EC03 EF02 EF08 EK06 EK22 EK27 GB05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱部を備え、内部に被処理体を収容する
    加熱炉と、 前記加熱炉内の被処理体上の複数箇所の温度を測定する
    温度測定部と、 前記温度測定部の出力から、被処理体の温度の分布を求
    め、求めた温度分布が予め定めた基準範囲に収まるよう
    に、前記加熱部を制御する制御部と、を備える、ことを
    特徴とするバッチ式熱処理装置。
  2. 【請求項2】前記温度測定部は、加熱炉内に収容されて
    いる被処理体に設置された温度センサから構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のバッチ式熱処理装
    置。
  3. 【請求項3】前記加熱炉は、光透過部を備え、 前記温度測定部は、前記光透過部を通して前記被処理体
    の放射温度を測定する放射温度計から構成される、こと
    を特徴とする請求項1に記載のバッチ式熱処理装置。
  4. 【請求項4】前記温度測定部は、 前記被処理体に非接触の状態で前記加熱炉に設置された
    複数の温度センサと、 前記複数の温度センサの出力から、前記加熱炉内の被処
    理体上の複数箇所の温度を推定するためのモデルを記憶
    するモデル記憶部と、 前記モデル記憶部に記憶されているモデルに基づいて、
    前記温度センサの出力から前記被処理体の複数箇所の温
    度を推定する温度推定部と、を備える、ことを特徴とす
    る請求項1に記載のバッチ式熱処理装置。
  5. 【請求項5】前記モデルは、被処理体の中心部の温度と
    縁部の温度とを推定するためのモデルを含み、 前記制御部は、前記基準範囲として、被処理体が反りを
    起こさないような、中心部の温度と縁部の温度との差の
    範囲を示すデータを記憶する基準範囲記憶部を備え、前
    記温度推定部により推定された被処理体の中心部の温度
    と縁部の温度との差が、前記基準範囲記憶部が記憶して
    いるデータが定義する基準範囲に収まるように、前記加
    熱部を制御することを特徴とする請求項4に記載のバッ
    チ式熱処理装置。
  6. 【請求項6】前記基準範囲記憶部は、テーブルまたは関
    数の形式で、基準範囲を記憶する、ことを特徴とする請
    求項5に記載のバッチ式熱処理装置。
  7. 【請求項7】前記制御部は、被処理体の温度の目標値の
    軌道を示すを示す温度目標軌道を記憶する温度目標軌道
    記憶部を備え、前記被処理体の温度が、前記温度目標軌
    道記憶部が記憶する温度目標軌道に沿って変化するよう
    に前記加熱部を制御し、その結果、温度分布が基準より
    大きくなる場合には、温度目標軌道から外れて制御す
    る、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に
    記載のバッチ式熱処理装置。
  8. 【請求項8】前記加熱部は、縦方向に配置され、独立し
    て制御可能な複数のヒータから構成されており、 前記目標軌道記憶部は、前記加熱炉内の、縦方向の複数
    のゾーン別に、修正された目標温度軌道を記憶し、 前記制御部は、各ゾーンの目標温度軌道に従って、前記
    ヒータを個別に制御する、ことを特徴とする請求項1乃
    至7のいずれか1項に記載のバッチ式熱処理装置。
  9. 【請求項9】前記制御部は、被処理体上の温度分布を小
    さくするために、 加熱時に、温度の上昇率を低下させ、冷却時に、温度の
    降下率を低下させ、或いは、加熱炉内の熱伝導率を向上
    させる、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1
    項に記載のバッチ式熱処理装置。
  10. 【請求項10】縦方向に配置された複数のヒータと、複
    数の温度センサと、内部に複数の被処理体を収容する反
    応管とを備え、被処理体に熱処理を施すバッチ式熱処理
    装置の制御方法であって、 前記温度センサの出力から被処理体の複数箇所の温度を
    推定するための数学モデルを記憶し、 前記数学モデルを用いて、温度センサの出力から被処理
    体の上の複数箇所の温度を推定して、そのばらつきを求
    め、 求めたばらつきが目標値内に収まるように制御しながら
    前記被処理体を昇温又は降温するように、前記複数のヒ
    ータを適応制御する、ことを特徴とするバッチ式熱処理
    装置の制御方法。
JP2000329716A 2000-10-27 2000-10-27 バッチ式熱処理装置及びその制御方法 Pending JP2002134424A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000329716A JP2002134424A (ja) 2000-10-27 2000-10-27 バッチ式熱処理装置及びその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000329716A JP2002134424A (ja) 2000-10-27 2000-10-27 バッチ式熱処理装置及びその制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002134424A true JP2002134424A (ja) 2002-05-10

Family

ID=18806348

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000329716A Pending JP2002134424A (ja) 2000-10-27 2000-10-27 バッチ式熱処理装置及びその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002134424A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004038776A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Tokyo Electron Limited 熱処理装置及び熱処理方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004038776A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Tokyo Electron Limited 熱処理装置及び熱処理方法
CN100367458C (zh) * 2002-10-25 2008-02-06 东京毅力科创株式会社 热处理装置和热处理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3497450B2 (ja) バッチ式熱処理装置及びその制御方法
JP4493192B2 (ja) バッチ式熱処理装置及びその制御方法
US8507296B2 (en) Substrate processing method and film forming method
US7138607B2 (en) Determining method of thermal processing condition
US6922522B2 (en) Heat treatment apparatus, calibration method for temperature measuring system of the apparatus, and heat treatment system
JP5101243B2 (ja) 基板処理装置,基板処理装置の制御方法,およびプログラム
JP4553266B2 (ja) 熱処理装置、制御定数の自動調整方法及び記憶媒体
JP2003282461A (ja) 基板処理装置及び半導体装置の製造方法
JP3688264B2 (ja) 熱処理方法及び熱処理装置
JP4546623B2 (ja) 熱処理装置の制御条件決定方法
JP2013161857A (ja) 熱処理装置及び熱処理装置の制御方法
JP3764689B2 (ja) 半導体製造方法および半導体製造装置
JP2002252220A (ja) 熱処理システム及び熱処理方法
JP4222461B2 (ja) バッチ式熱処理方法
JP2002134424A (ja) バッチ式熱処理装置及びその制御方法
TW202245074A (zh) 基板處理設備、溫度量測方法及溫度控制方法
JP4514915B2 (ja) 熱処理装置、基板の熱処理方法、および処理レシピを記録した媒体
JP2002130961A (ja) 熱処理装置の校正方法及び熱処理装置の数学モデル生成・校正方法
JP4783029B2 (ja) 熱処理装置及び基板の製造方法
JPH05267200A (ja) 半導体熱処理装置
JP2001217233A (ja) 膜厚測定方法、温度調整方法及び温度調整装置
JP4391734B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2005136370A (ja) 基板処理装置
JP2001345275A (ja) 熱処理装置、熱処理装置の制御方法、および基板の周縁測定箇所の決定方法
JP2005333032A (ja) モニタ用被処理体の温度換算関数の形成方法、温度分布の算出方法及び枚葉式の熱処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080826

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090106