JP2002131962A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

Info

Publication number
JP2002131962A
JP2002131962A JP2000322822A JP2000322822A JP2002131962A JP 2002131962 A JP2002131962 A JP 2002131962A JP 2000322822 A JP2000322822 A JP 2000322822A JP 2000322822 A JP2000322822 A JP 2000322822A JP 2002131962 A JP2002131962 A JP 2002131962A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
titanyl phthalocyanine
peak
photosensitive layer
intermediate layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000322822A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Uchida
真紀 内田
Kazuya Hamazaki
一也 浜崎
Daisuke Kuboshima
大輔 窪嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Mita Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Mita Corp filed Critical Kyocera Mita Corp
Priority to JP2000322822A priority Critical patent/JP2002131962A/ja
Publication of JP2002131962A publication Critical patent/JP2002131962A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】常に良好な感度特性を有する層を形成すること
が可能な、貯蔵安定性にすぐれた感光層用塗工液を製造
しうるY型チタニルフタロシアニン結晶を含む感光層
と、除電性能に優れた中間層とを備え、残留電位の上昇
および帯電安定性の悪化を抑止し、画像カブリや干渉縞
を防止する電子写真感光体とを提供する。 【解決手段】中間層に酸素含有金属化合物を含有させ、
感光層に下記の少なくとも一方の特性を満足するチタニ
ルフタロシアニンを含有させる。・示差走査熱分析にお
いて、吸着水の気化に伴なうピークを除いて50℃から
400℃まで温度変化のピークがない。・有機溶媒中で
24時間、放置しても、CuKα特性X線回折スペクト
ルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=2
7.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°に
ピークが発生しない。他の電子写真感光体は、感光層か
ら単離したチタニルフタロシアニン結晶をテトラヒドロ
フラン中で24時間浸漬後も、ブラッグ角2θ±0.2
°=26.2°のピークが、最大ピークを超えない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザープリン
タ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこ
れらの機能を併せ持つ複合装置などの画像形成装置に使
用される電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電式複写機、レーザープリンタ、普通
紙ファクシミリ装置などの画像形成装置に使用される電
子写真感光体としては、無機半導体材料を用いた無機感
光体に比べて製造が容易であるとともに、電荷発生剤、
電荷輸送剤、結着樹脂などの材料の選択肢が多様であ
り、機能設計の自由度が大きいという利点があるため、
有機感光体が広く使用されている。
【0003】この有機感光体としてはたとえば、光照射
により電荷を発生する電荷発生剤を、発生した電荷を輸
送する電荷輸送剤などとともに結着樹脂中に分散した単
層型の感光層を有するものや、あるいは上記電荷発生剤
を含有する電荷発生層を、電荷輸送剤を含有する電荷輸
送層と積層した積層型の感光層を有するものなどがあ
る。
【0004】上記の有機感光体では感光層底側に発生し
た電荷が容易に除去されるために、露光時に発生した電
荷が支持基体表面に残ってしまい、画像カブリの原因と
なったり、感光層が支持基体上に十分結着しないことが
ある。また、支持基体表面に傷などの欠陥があると、画
像上に黒点が発生してしまう。これらの問題点を解消す
るために、支持基体上に結着樹脂を含む中間層を設け
て、その上に感光層を設ける方法がある。すなわち、中
間層を設けることによって、感光層底側に発生した電荷
が容易に除去されるのを防ぐと共に、感光層を支持基体
上に強固かつ一体的に結着させ、支持基体からの反射光
を防止し、更に支持基体表面上の欠陥を被覆し平滑化す
ることができる。
【0005】感光層においては、上記有機感光体に使用
される電荷発生剤として、感光体の感度域に応じて種々
の顔料が使用されるが、たとえば半導体レーザーや赤外
線LEDなどの、赤外ないし近赤外の波長の光に感応す
る感光体用の電荷発生剤としてはフタロシアニン系顔料
が広く使用される。
【0006】上記フタロシアニン系顔料には、その構造
によって無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニ
ンなどがあり、またそのそれぞれが種々の結晶型をとり
うるため、電荷発生剤としての特性の向上を目指して、
種々の結晶型のものが検討されている。
【0007】たとえば特許第2907121号公報に
は、Y型の結晶型を有するチタニルフタロシアニンが、
他の結晶型を有するものに比べて電荷発生剤としての特
性にすぐれるため、単層型あるいは積層型の電子写真感
光体の感度向上に寄与しうることが示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の感光体には以下のような問題点がある。1.上記Y型
チタニルフタロシアニンを、前記電荷輸送剤や結着樹脂
などの他の成分とともに有機溶媒に加えて製造した単層
型感光層用の、あるいは積層型感光層のうち電荷発生層
用の塗工液は初期の特性、すなわち製造直後の塗工液を
用いて形成した層の感度特性にはすぐれるものの貯蔵安
定性が悪いために、製造後に一定期間、貯蔵した塗工液
を用いて形成した層の感度特性が、初期に比べて著しく
低下する。2.中間層を結着樹脂のみの構成とした場
合、結着樹脂が有する−OH基や−N原子といった極性
の強い基により電荷がトラップされ、中間層の導電性が
小さくなるため、露光により感光体表面から中間層外郭
部に移動してきた電荷を中間層を通して除去することが
でき難くなる。このため、電子写真感光体の残留電位が
高くなって画像メモリが発生したり、帯電安定性の悪化
して画像カブリが発生するといった問題を生じてしま
う。
【0009】本発明の目的は、常に良好な感度特性を有
する層を形成することが可能な、貯蔵安定性にすぐれた
感光層用塗工液を製造しうるY型チタニルフタロシアニ
ン結晶を含む感光層と、除電性能に優れた中間層とを備
え、残留電位の上昇および帯電安定性の悪化を抑止し、
画像カブリや干渉縞を防止する電子写真感光体とを提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは、従来のY型チタニルフタロシアニンを
用いた塗工液の貯蔵安定性が悪い原因について検討を行
った。
【0011】その結果、従来のY型チタニルフタロシア
ニンは、塗工液に含まれるテトラヒドロフランなどの有
機溶媒中での結晶の安定性が悪く、塗工液の貯蔵中に結
晶転移を起こして、その結晶型が、前記のように感光体
としての特性にすぐれたY型から、あまり特性のよくな
いβ型に変化しやすいために塗工液の貯蔵安定性が悪
く、初期の特性を維持できないことが判明した。
【0012】そこでチタニルフタロシアニンの物性につ
いてさらに検討した結果、 示差走査熱分析において、吸着水の気化に伴なうピ
ークを除いて50℃から400℃まで温度変化のピーク
がないか、あるいは 有機溶媒中で24時間、放置しても、CuKα特性
X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2
θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するととも
に、26.2°にピークが発生しないか、または 上記の両特性を同時に満足するチタニルフタロ
シアニン結晶が、貯蔵安定性にすぐれた感光層用塗工液
を製造するために好適であることを見出した。
【0013】これらのチタニルフタロシアニン結晶は、
基本的に感光体としての特性にすぐれたY型、またはそ
れに類似した結晶型を有している。
【0014】しかも製造後、有機溶媒中で24時間、放
置しても、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、
少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最
大ピークを有するとともに、26.2°にピークが発生
しないことや、あるいは示差走査熱分析において、吸着
水の気化に伴なうピークを除いて50℃から400℃ま
で、結晶転移が原因で発生する温度変化のピークを示さ
ないことから、とくに塗工液に含まれる有機溶媒中での
結晶の安定性にすぐれている。
【0015】このため、上記〜のいずれかのチタニ
ルフタロシアニン結晶を、電荷輸送剤や結着樹脂などの
他の成分とともに有機溶媒に加えて製造した感光層用塗
工液は貯蔵安定性に優れたものとなる。また上記〜
のチタニルフタロシアニン結晶はいずれも、感光体の製
造後も安定に結晶型を維持するので、感光層の感度特性
を向上することができる。
【0016】しかしながら、結着樹脂からなる中間層よ
り上部に感光層用塗工液を塗布し感光層を形成すると、
前述したように中間層により感光層表面からの電荷がト
ラップされるてしまう。つまり、感光層用塗工液の貯蔵
安定性を優れたものにして、感光層自体の感度特性を向
上させただけでは、電子写真感光体としての光感度や残
留電位などの電気特性がよくなるとは言えないのであ
る。
【0017】そこで、本発明者らは中間層の導電性を上
げることにより、感光層表面からの電荷が中間層でトラ
ップされないようにすることを検討した。その結果、酸
素含有金属化合物を中間層に含有させるのが最も効果が
高いことが分かった。(金属を含有させるとさらに導電
性が向上するが、感光層底面で発生した電荷が除去され
るという、中間層を設けないときと同様の問題点が再発
してしまう。)このことにより、上記〜のチタニル
フタロシアニンを含有する感光層の優れた感光特性を最
大限に引き出すことが可能となる。
【0018】従って、中間層に酸素含有金属化合物を含
有し、感光層の原材料として上記〜のいずれかのチ
タニルフタロシアニンを用いた電子写真感光体は、使用
時に感度特性が低下したりせず、経時的に安定して良好
な感度特性を保持しうるものとなる。
【0019】すなわち、本発明の第1の電子写真感光体
は、支持基体上に結着樹脂と酸素含有金属化合物を含む
中間層と、中間層よりも上部に結着樹脂とチタニルフタ
ロシアニンを含む感光層とを備え、この感光層の原材料
としてのチタニルフタロシアニンは、示差走査熱分析に
おいて、吸着水の気化に伴なうピークを除いて50℃か
ら400℃まで温度変化のピークを有さない、または/
および常温、常湿条件下で有機溶媒中で24時間、放置
しても、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少
なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大
ピークを有するとともに、26.2°にピークが発生し
ないことを特徴とするものである。
【0020】さらに、感光層に含有する上記〜のい
ずれかのチタニルフタロシアニンは、感光体製造後も長
期間に渡って安定に結晶型を維持できるものであり、支
持基体上に結着樹脂と酸素含有金属化合物を含む中間層
と、当該感光層を備える感光体は、使用時に感度特性が
低下したりせず、経時的に安定して良好な感度特性を保
持しうるものとなる。したがって、この感光層からチタ
ニルフタロシアニンを単離した結晶は、Y型の結晶型が
変化せず原材料のときの特性を保つか、β型に変化して
いてもその量は極微量に留まる。
【0021】また、本発明の第2の電子写真感光体は、
支持基体上に結着樹脂と酸素含有金属化合物を含む中間
層と、中間層よりも上部に結着樹脂とチタニルフタロシ
アニンを含む感光層とを備え、このチタニルフタロシア
ニンを感光層から単離した結晶は、常温、常湿条件下で
テトラヒドロフラン中に24時間、浸漬したのち回収し
て、CuKα特性X線回折スペクトルを測定した際に、
少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最
大ピークを有するとともに、26.2°のピーク強度
が、上記最大ピークの強度を超えないことを特徴とす
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 《中間層》 (層構成)中間層は支持基体上に設けられ、結着樹脂と
酸素含有金属化合物とを含む。この中間層は単層あるい
は積層のいずれの構成としてもよい。
【0023】中間層を積層の構成とする場合は、少なく
ともひとつの層について酸素含有金属化合物を含有して
いれば良い。例えば、導電層(結着樹脂と酸素含有金属
化合物を含む層)の上に導電性顔料である酸素含有金属
化合物を含有しない樹脂層を設ける構成としても良い。
特に後述の積層型感光層においては電荷発生層の膜厚が
極めて薄いので、中間層上に電荷発生層を形成するとき
に、塗布性改善、(電荷発生剤用の塗布液の)浸みこみ
防止、乾燥性改善、電子写真特性(画像かぶり・画像ム
ラ・繰り返し特性など)の向上などのために上記の導電
層上に樹脂層を設けることは非常に効果的である。
【0024】中間層(積層型中間層においては導電層)
においては、結着樹脂100重量部に対して酸素含有金
属化合物は10〜500重量部、特に30〜200重量
部、配合するのが適当である。
【0025】中間層の厚みは、単層の場合は0.02〜
50μm程度、特に0.1〜30μm程度に形成される
のが好ましい。積層の場合は導電層が0.02〜50μ
m、特に1〜30μm程度に形成されるのが好ましく、
樹脂層が0.02〜30μm、特に0.05〜20μm
程度に形成されるのが好ましい。 (結着樹脂)本発明の電子写真感光体の中間層に用いる
結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂
を使用することができる。例えばスチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−アクリロニトニトリル共重合体、
スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、ス
チレン−アクリル共重合体、ポリエチレン、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリ
アミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレ
ート、ポリスルホン、ジアリルフタレート、ケトン樹
脂、ポリビニルブチラール、ポリエーテル、ポリエステ
ル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、水
溶性ポリエステル、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、
ポリイミド、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレ
タン、塩化ビニリデン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポ
キシアクリレート、ウレタン−アクリレート、ニトロセ
ルロース等が使用可能である。
【0026】これらの中で、フェノール樹脂、ポリアミ
ド、アクリル共重合体、メラミン樹脂などのように、結
着樹脂の分子中に水酸基または窒素原子を有するものが
好適に用いられる。特に、線状のポリアミドとレゾール
型のフェノール樹脂が好ましく、ポリアミドの内、溶液
状で塗布できるような低ないし非結晶性の共重合ナイロ
ンやタイプ8ナイロンが最適である。
【0027】積層型の中間層において樹脂層を設ける場
合、使用する樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ンオキシド、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、ゼラチ
ン、デンプン等の水溶性樹脂、ポリアミド樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリビニルホルマール、アルキド樹脂等の樹
脂があげられる。 (酸素含有金属化合物)本発明の電子写真感光体の中間
層に含有させる酸素含有金属化合物としては、酸化チタ
ン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化アルミニウム(Al
2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム-チタン酸化物(I
TO)等の金属酸化物の他、炭酸カルシウム(CaCO3)、
炭酸バリウム(BaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)などの
アルカリ土類金属塩化合物が挙げられる。また、これら
の化合物に酸化アンチモン等をドープしたものや、酸化
スズや酸化インジウム(前記のドープしたものが好まし
い)を被覆したものを用いても良い。また、体積抵抗値
を低下させない限り、粒子の表面に種種の処理を施すこ
とができる。例えばアルミニウム、ケイ素、亜鉛、ニッ
ケル、アンチモン、クロム等を処理剤として、その粒子
表面にAl2O3、SiO2、ZnO等の酸化膜の被覆を行うことが
できる。その他必要に応じてカップリング剤やステアリ
ン酸、有機シロキサン等の表面処理剤により分散性を向
上させ、撥水性を付与することも可能である。
【0028】これらの内、酸化チタン、酸化スズ、酸化
亜鉛が好適に用いられ、これらに酸化アンチモンドープ
酸化スズや、酸化アンチモンドープ酸化インジウムを被
覆したものはさらに好ましい例として挙げられる。
【0029】以上の酸素含有金属化合物は1種のみを用
いるほか、2種以上を混合して用いることができる。
【0030】これら、酸素含有金属化合物の形状として
は、球状、柱状または紡錘状が挙げられる。柱状または
紡錘状のものは、粒子間距離を短くすることができるの
で、電気抵抗の高い樹脂を電気経路としてあまり使わな
くても済み、効率よく電荷を移動させることができる。
柱状または紡錘状の酸素含有金属化合物の一次粒子の体
積平均粒径は0.01〜0.5μm、長径が100μm
以下のものが好ましい。また、球状のものは、柱状や紡
錘状のものに比べて結着樹脂中での分散性が優れてお
り、生産効率を向上させることができるとともに、中間
層の電気的特性の均一化を図ることができる。球状の酸
素含有金属化合物の一次粒子の体積平均粒径は0.01
〜0.2μmのものが好ましい。
【0031】上記より、酸素含有金属化合物の形状は、
上述の事柄や組み合わせる結着樹脂の性質、酸素含有金
属化合物の導電性等を考慮して、適宜、選択すればよ
い。 (その他)本発明の電子写真感光体の中間層には、中間
層の導電性を上げるのを助けるために種々のフタロシア
ニン顔料、多環キノン顔料、アゾ顔料、ペリレン顔料等
の有機顔料やカーボンブラック等の無機顔料を含有させ
ることができる。また、中間層形成時における塗工効率
の向上と膜厚の均一化のために、レオロジーコントロー
ル剤を用いてもよい。 《感光層》 (層構成)本発明の電子写真感光体の感光層は結着樹脂
とチタニルフタロシアニンとを含有し、中間層よりも上
部に設けられる。すなわち、中間層の直上に感光層が設
けられるか、または中間層よりも上部に後述するその他
の機能層を挟んで感光層が設けられる。
【0032】感光層には、前述したようにいわゆる単層
型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明はこのいず
れにも適用可能である。
【0033】単層型の感光層は、電荷発生剤であるチタ
ニルフタロシアニンを、電荷輸送剤、ならびに結着樹脂
とともに適当な有機溶媒に溶解または分散した塗工液
を、塗布などの手段によって導電性基体上に塗布し、乾
燥させることで形成される。この単層型の感光層は、層
構成が簡単で生産性にすぐれている。
【0034】電荷輸送剤としては、電子輸送剤および正
孔輸送剤のうちのいずれか一方または両方が使用でき、
とくに上記両輸送剤を併用した単層型の感光層は、単独
の構成で正負いずれの帯電にも対応できるという利点が
ある。
【0035】電子輸送剤および正孔輸送剤としては、そ
れぞれ電荷発生剤であるチタニルフタロシアニンとのマ
ッチングがよく、当該チタニルフタロシアニンで発生し
た電子または正孔を引き抜いて、効率よく輸送できるも
のが望ましい。
【0036】また電子輸送剤と正孔輸送剤とが共存する
系では、両者が電荷移動錯体を形成して、感光層全体で
の電荷輸送能の低下を引き起こし、感光体の感度が低下
するのを防止すべく、両輸送剤の組み合わせについても
配慮する必要がある。つまり両輸送剤を、正孔輸送およ
び電子輸送が効率よく起こる高濃度で同一層中に含有さ
せても、層中で電荷移動錯体が形成されず、正孔輸送剤
は正孔を、電子輸送剤は電子を、それぞれ効率よく輸送
できる、電子輸送剤と正孔輸送剤との組み合わせを選択
するのが望ましい。
【0037】一方、積層型の感光層は、まず導電性基体
上に、蒸着または塗布などの手段によって、電荷発生剤
であるチタニルフタロシアニンを含有する電荷発生層を
形成し、ついでこの電荷発生層上に、電荷輸送剤と結着
樹脂とを含む塗工液を、塗布などの手段によって塗布
し、乾燥させて電荷輸送層を形成することで形成され
る。また上記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形
成し、その上に電荷発生層を形成してもよい。
【0038】ただし電荷発生層は、電荷輸送層に比べて
膜厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体
上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成す
るのが好ましい。
【0039】積層型感光層は、上記電荷発生層、電荷輸
送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の
種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択され
る。
【0040】たとえば上記の、導電性基体上に電荷発生
層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した層構成にお
いて、電荷輸送層の電荷輸送剤として正孔輸送剤を使用
した場合には、感光層は負帯電型となる。この場合、電
荷発生層には電子輸送剤を含有させてもよい。電荷発生
層に含有させる電子輸送剤としては、電荷発生剤である
チタニルフタロシアニン結晶とのマッチングがよく、当
該チタニルフタロシアニン結晶で発生した電子を引き抜
いて、効率よく輸送できるものが望ましい。
【0041】一方、上記の層構成において、電荷発生層
の電荷輸送剤として電子輸送剤を使用した場合には、感
光層は正帯電型となる。この場合、電荷発生層には正孔
輸送剤を含有させてもよい。
【0042】上述した、単層型または積層型の感光層に
使用される電子輸送剤および正孔輸送剤としては、従来
公知の種々の電子輸送性化合物がいずれも使用可能であ
る。たとえば、特開平10−26836号公報、特開平
11−102081号公報、特開平11−344813
号公報、特開平11−352710号公報、特開200
0−3049号公報、特開2000−3051号公報、
特開2000−10324号公報、特開2000−56
488号公報、特開2000−75510号公報に例示
の化合物である。これらの化合物はそれぞれ単独で使用
される他、2種以上を併用することもできる。
【0043】これらの内、電子輸送剤としては、特に下
記式(ET-1)〜(ET-6)で表される化合物が、いずれも前記
チタニルフタロシアニン結晶とのマッチングがよく、か
つ電子輸送能にすぐれており、好適に使用される。
【0044】
【化1】
【0045】
【化2】
【0046】また、正孔輸送剤としては、特に下記式(H
T-1)〜(HT-17)で表される化合物が、いずれも前記チタ
ニルフタロシアニン結晶とのマッチングがよく、かつ正
孔輸送能にすぐれており、好適に使用される。
【0047】
【化3】
【0048】
【化4】
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】積層型の感光体において、電荷発生層を構
成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で配合す
ることができるが、結着樹脂100重量部に対して、電
荷発生剤を5〜1000重量部、特に30〜500重量
部、配合するのが好ましい。
【0054】なお上記電荷発生剤の配合量は、電荷発生
剤として、前記チタニルフタロシアニン結晶を単独で用
いる場合は、当該チタニルフタロシアニン結晶の配合量
であり、チタニルフタロシアニン結晶と他の電荷発生剤
とを併用する場合は、両者の合計の配合量である。
【0055】チタニルフタロシアニン結晶と他の電荷発
生剤とを併用する場合、他の電荷発生剤は、前述したチ
タニルフタロシアニン結晶の効果を妨げない範囲で少
量、配合するのが好ましい。具体的には、他の電荷発生
剤を、チタニルフタロシアニン結晶100重量部に対し
て、30重量部以下の割合で配合するのが好ましい。
【0056】電荷輸送層を構成する電荷輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で、種々の割合で配合することができるが、光照
射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよ
うに、結着樹脂100重量部に対して、電荷輸送剤を1
0〜500重量部、特に25〜200重量部の割合で配
合するのが好ましい。
【0057】積層型の感光層の厚みは、電荷発生層が
0.01〜5μm程度、特に0.1〜3μm程度に形成
されるのが好ましく、電荷輸送層が2〜100μm、特
に5〜50μm程度に形成されるのが好ましい。
【0058】単層型の感光体においては、結着樹脂10
0重量部に対して電荷発生剤は0.1〜50重量部、特
に0.5〜30重量部、電荷輸送剤は20〜500重量
部、特に30〜200重量部、配合するのが適当であ
る。
【0059】なお、上記電荷発生剤の配合量は、前記と
同様に、電荷発生剤として本発明のチタニルフタロシア
ニン結晶のみを用いる場合は、当該チタニルフタロシア
ニン結晶の配合量であり、チタニルフタロシアニン結晶
と他の電荷発生剤とを併用する場合は、両者の合計の配
合量である。
【0060】チタニルフタロシアニン結晶と他の電荷発
生剤とを併用する場合、他の電荷発生剤は、前述したチ
タニルフタロシアニン結晶の効果を妨げない範囲で少
量、配合するのが好ましい。具体的には、他の電荷発生
剤を、チタニルフタロシアニン結晶100重量部に対し
て、100重量部以下の割合で配合するのが好ましい。
【0061】また電荷輸送剤の配合量は、当該電荷輸送
剤として、電子輸送剤、正孔輸送剤のうちのいずれか一
方のみを使用する場合は、当該輸送剤のみの配合量であ
り、電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用する場合は、両者
の合計の配合量である。
【0062】また電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用する
場合、電子輸送剤は、正孔輸送剤100重量部に対し
て、10〜100重量部の割合で配合するのが好まし
い。
【0063】単層型の感光層の厚みは5〜100μm、
特に10〜50μm程度に形成されるのが好ましい。 (結着樹脂)本発明の電子写真感光体の感光層に用いる
樹脂は、中間層と同様である。このうち、電荷発生剤で
あるチタニルフタロシアニンと相溶性のよい、ポリビニ
ルブチラールが好適に用いられる。これら結着樹脂は単
独で使用できるほか、2種以上を併用することもでき
る。 (チタニルフタロシアニン結晶)本発明の電子写真感光
体の感光層の原材料としてのチタニルフタロシアニン結
晶は、一般式(1):
【0064】
【化9】
【0065】〔式中、X1、X2、X3、およびX4は同一
または異なって、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキ
シ基、シアノ基、またはニトロ基を示し、a、b、cお
よびdは同一または異なって0〜4の整数を示す。〕で
表されるチタニルフタロシアニンの結晶であって、前記
のようにY型、またはそれに類似した結晶型を示すもの
である。すなわち銅の特性X線であるCuKα(波長
1.541Å)を線源として測定されたCuKα特性X
線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ
±0.2°=27.2°に最大ピークを有するととも
に、26.2°にピークがないチタニルフタロシアニン
結晶である。
【0066】また上記チタニルフタロシアニン結晶は、
先に述べたように、 示差走査熱分析において、吸着水の気化に伴なうピ
ークを除いて50℃から400℃まで温度変化のピーク
がないか、あるいは 有機溶媒中で24時間、放置しても、CuKα特性
X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2
θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するととも
に、26.2°にピークを有さないか、または 上記の両特性を同時に満足するものである必要
がある。この理由も前述したとおりである。上記有機溶
媒としては前述したテトラヒドロフランの他、トルエ
ン、ジクロロメタン、1,4−ジオキサンなどの1種ま
たは2種以上があげられる。
【0067】結晶の安定性を評価する基準となる有機溶
媒中での放置は、塗工液を実際に保管する際と同じ条件
下で行えばよく、たとえば常温、常湿の密閉系中で放置
するのがよい。
【0068】前記一般式(1)中のX1〜X4に相当するハ
ロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが
あげられる。またアルキル基としては、たとえばメチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
ペンチル、ヘキシルなどの、炭素数1〜6のアルキル基
があげられる。さらにアルコキシ基としては、たとえば
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキ
シ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、
tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ
などの、炭素数1〜6のアルコキシ基があげられる。
【0069】上記チタニルフタロシアニンの好適な例と
しては、前記一般式(1)中のX1〜X 4がいずれも同じ基
Xで、かつその置換数を示すa〜dがいずれも同じ数e
である、一般式(11):
【0070】
【化10】
【0071】〔式中、Xはハロゲン原子、アルキル基、
アルコキシ基、シアノ基、またはニトロ基を示し、eは
0〜4の整数を示す。〕で表される化合物があげられ、
中でもeが0である、式(11-1):
【0072】
【化11】
【0073】で表される無置換のチタニルフタロシアニ
ンが最も好適に使用される。
【0074】前記一般式(11)で表され、かつ前述した物
性を満足するチタニルフタロシアニン結晶は、たとえば
下記反応工程式:
【0075】
【化12】
【0076】〔式中、Xおよびeは前記と同じである。
またRは、前記と同じ炭素数1〜6のアルキル基を示
し、とくにn−ブチルが好ましい。〕に示すように、フ
タロニトリルまたはその誘導体(11a)とチタンアルコキ
シド(11b)とを反応させるか、あるいは下記反応工程
式:
【0077】
【化13】
【0078】〔式中、Xおよびeは前記と同じである。
またRは、前記と同じ炭素数1〜6のアルキル基を示
し、とくにn−ブチルが好ましい。〕に示すように、
1,3−ジイミノインドリンまたはその誘導体(11c)と
チタンアルコキシド(11b)とを反応させるなどして合成
されたチタニルフタロシアニン(11)を水溶性有機溶媒中
に加え、加熱下で一定時間、かく拌処理し、ついで当該
かく拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静
置して安定化処理する顔料化前処理を行ったのち、得ら
れた粗結晶を常法によって顔料化することで製造され
る。
【0079】上記顔料化前処理に使用する水溶性有機溶
媒としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプ
ロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン
酸、酢酸、N−メチルピロリドン、エチレングリコール
などがあげられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であ
れば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
【0080】顔料化前処理のうちかく拌処理の条件はと
くに限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度
範囲の一定温度条件下で、1〜3時間程度のかく拌処理
を行うのが好ましい。
【0081】またかく拌処理後の安定化処理の条件もと
くに限定されないが、およそ10〜50℃程度、とくに
好ましくは常温前後の温度範囲の一定温度条件下で、5
〜10時間程度、液を静置して安定化させるのが好まし
い。
【0082】そして上記顔料化前処理の終了後、水溶性
有機溶媒を除去して得たチタニルフタロシアニンの粗結
晶を、さらに常法に従って、溶媒に溶解したのち貧溶媒
中に滴下して再結晶させ、ついで必要に応じてろ過、洗
浄、乾燥などの工程を経て顔料化してやると、前述した
物性を全て満足する、本発明の第1の電子写真感光体の
原材料としてのチタニルフタロシアニン結晶が製造され
る。
【0083】なお上記合成ならびに顔料化前処理後に、
さらにアシッドペースト法にて処理した低結晶性チタニ
ルフタロシアニンを、水の存在下、たとえばクロロベン
ゼン、ジクロロメタンといったハロゲン系溶媒などの非
水系溶媒でミリング処理しても、同様に前述した物性を
全て満足する、本発明の第1の電子写真感光体の原材料
としてのチタニルフタロシアニン結晶が得られる。
【0084】また、以上のようにして得られたチタニル
フタロシアニンは、感光体製造後も長期間に渡って、安
定に結晶型を維持できるものである。すなわち、この感
光層からチタニルフタロシアニンを単離した結晶は、Y
型の結晶型が変化せず原材料のときの特性を保つか、β
型に転移していてもその量は極微量に留まる。このβ型
に転移する割合は、CuKα特性X線回折スペクトルを
測定した際に、少なくともY型の特徴であるブラッグ角
2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとと
もに、β型の特徴である26.2°のピーク強度が、上
記最大ピークの強度を超えない程度であればよい。
【0085】すなわち、本発明の第2の電子写真感光体
において、感光層から単離したチタニルフタロシアニン
結晶を、常温、常湿条件下でテトラヒドロフラン中に2
4時間、浸漬したのち回収して、当該チタニルフタロシ
アニン結晶のCuKα特性X線回折スペクトルが少なく
ともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピー
クを有するとともに、26.2°のピーク強度が、上記
最大ピークの強度を超えることがない。
【0086】ここで、24時間の浸漬後に、ブラッグ角
2θ±0.2°=26.2°のピーク強度が最大ピーク
(27.2°)の強度を超えるような、チタニルフタロ
シアニンは、感光体の製造後も安定に結晶型を維持して
いるとは言えず、このようなチタニルフタロシアニン結
晶を含有する感光体は、経時的に安定して良好な感度特
性を保持しうるものとはなりえない。
【0087】前記本発明の第2の電子写真感光体におい
て、感光層からチタニルフタロシアニン結晶を単離する
には、まず支持基材からはく離した感光層をテトラヒド
ロフランなどで溶解したのち、溶液をデカンテーション
するか、またはろ過すればよい。 《支持基体》上記各層が形成される支持基体としては、
導電性を有する種々の材料を使用することができ、たと
えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウ
ム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケ
ル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮など
の金属や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラ
スチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化イ
ンジウムなどで被覆されたガラスなどが例示される。こ
れらの支持基体は各種の表面処理、例えば陽極酸化処
理、粗面化処理などが施されていても良い。
【0088】導電性基体の形状は使用する画像形成装置
の構造に合わせて、シート状、ドラム状、ベルト状など
のいずれであってもよい。基体自体が導電性を有する
か、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
また、導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度
を有するものが好ましい。 《各層の形成方法》感光体を構成する各層を、塗布の方
法により形成する場合には、まず前記例示の電荷発生
剤、電荷輸送剤、結着樹脂などを、前述したテトラヒド
ロフランなどの有機溶媒とともに、公知の方法、たとえ
ば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシ
ェーカーあるいは超音波分散器などを用いて分散混合し
て塗工液を調整する。そして、この塗工液を公知の手
段、たとえば、ブレードコーティング法、マイヤーバー
コーティング法、スプレーコーティング法、浸セキコー
ティング法、ビードコーティング法、カーテンコーティ
ング法などを用いて塗布、乾燥すればよい。
【0089】単層型感光層、および積層型感光層のうち
電荷発生層などの、チタニルフタロシアニン結晶を含む
層用の塗工液をつくるための有機溶媒としては、前述し
たようにテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタ
ン、1,4−ジオキサンなどの1種または2種以上があ
げられる。
【0090】またその他の層用の塗工液を作るための有
機溶媒としては、上記各種溶媒の他に、たとえばメタノ
ール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなど
のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキ
サンなどの脂肪族系炭化水素、ベンゼン、キシレンなど
の芳香族炭化水素、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロ
ロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エ
チル、酢酸メチルなどのエステル類、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどの1種または2種以上があげられる。 《その他》感光層には、上記成分の他に酸化防止剤、増
感剤など各種添加剤を含有させることができ、感光体の
感度領域を調整するために、他の電荷発生剤を併用して
もよい。また、中間層と感光層の他に各種の機能層を設
けることができる。たとえば、特開平10−26836
号公報、特開平11−102081号公報、特開平11
−344813号公報、特開平11−352710号公
報、特開2000−3049号公報、特開2000−3
051号公報、特開2000−10324号公報、特開
2000−56488号公報、特開2000−7551
0号公報などに開示のものを、必要に応じて使用するこ
とができる。
【0091】
【実施例】以下に本発明を、製造例、実施例、および比
較例に基づいて説明する。 《チタニルフタロシアニン結晶》 [製造例1] (チタニルフタロシアニンの合成)アルゴン置換したフ
ラスコ中に、1,3−ジイミノイソインドリン25g
と、チタンテトラブトキシド22gと、ジフェニルメタ
ン300gとを加え、かく拌しつつ150℃まで昇温し
た。
【0092】つぎに、反応系から発生する蒸気を系外へ
留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維
持しつつさらに4時間、かく拌して反応させた。
【0093】反応終了後、150℃まで冷却した時点で
反応混合物をフラスコから取り出してガラスフィルター
によってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホル
ムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾
燥して、紫色の固体24gを得た。 (顔料化前処理)上記チタニルフタロシアニンの合成で
得られた紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルム
アミド100ミリリットル中に加え、かく拌しつつ13
0℃に加熱して2時間、かく拌処理を行った。
【0094】つぎに、2時間経過した時点で加熱を停止
し、常温まで冷却したのちかく拌も停止したのち12時
間、液を静置して安定化処理を行った。
【0095】そして安定化された液をガラスフィルター
によってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した
のち真空乾燥して、チタニルフタロシアニンの粗結晶
9.85gを得た。 (再結晶処理)上記顔料化前処理で得られたチタニルフ
タロシアニンの粗結晶5gを、ジクロロメタンとトリフ
ルオロ酢酸との混合溶媒(体積比4:1)100mmリ
ットルに加えて溶解した。
【0096】つぎにこの溶液を、メタノールと水の混合
貧溶媒(体積比1:1)中に滴下したのち、室温で15
分間、かく拌し、さらに室温で30分間、静置して再結
晶させた。
【0097】つぎに上記液をガラスフィルターによって
ろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗し
たのち、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散さ
せて1時間、かく拌した。
【0098】そして液をガラスフィルターによってろ別
したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥さ
せて、前記式(11-1)で表される無置換のチタニルフタロ
シアニンの結晶(青色粉末)4.2gを得た。 [製造例2]顔料化前処理工程を省略したこと以外は製
造例1と同様にして、チタニルフタロシアニンの結晶
4.2gを得た。 (CuKα特性X線回折スペクトル測定)上記各製造例
で得られた製造直後のチタニルフタロシアニン結晶0.
5gを、X線回折装置〔理学電機(株)製のRINT11
00〕のサンプルホルダーに充てんして初期測定を行っ
た。
【0099】ついで各結晶0.5gをそれぞれ、後述す
る実施例において塗工液に使用したテトラヒドロフラン
5g中に分散させ、常温、常湿条件下、密閉系中で24
時間、保管したのちテトラヒドロフランを除去して再測
定を行った。
【0100】なお測定の条件は、初期測定、再測定とも
に下記のとおりとした。
【0101】 X線管球:Cu 管電圧:40kV 管電流:30mA スタート角度:3.0° ストップ角度:40.0° 走査速度:10°/分 (示差走査熱量分析)示差走査熱量計〔理学電機(株)製
のTAS−200型、DSC8230D〕を用いて、各
製造例で得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走
査熱量分析を行った。測定条件は下記のとおり。
【0102】 サンプルパン:Al 昇温速度:20℃/分 以上の測定結果を図1〜図6に示す。なお各製造例の、
各図との対応は下記のとおりである。
【0103】
【表1】
【0104】上記製造例1で得られたチタニルフタロシ
アニン結晶は、図2に示すようにブラッグ角度2θ±
0.2°=9.5°、24.1°、および27.2°に
強いピークを有するとともに26.2°にピークがない
ことから、Y型の結晶型を有することが確認された。
【0105】また上記製造例1のチタニルフタロシアニ
ン結晶をテトラヒドロフラン中で24時間、放置して
も、図3に示すようにブラッグ角度2θ±0.2°=2
6.2°にピークが発生していないことから、結晶はY
型を維持しており、β型などの他の結晶型に転移してい
ないことが確認された。
【0106】さらに製造例1のチタニルフタロシアニン
結晶は、図1に示すように、吸着水の気化に伴なう90
℃付近のピークを除いて50℃から400℃まで温度変
化のピークを示さないことから、結晶転移を生じない安
定したものであることが確認された。
【0107】これに対し、製造例2で得られたチタニル
フタロシアニン結晶はいずれも、テトラヒドロフラン中
で24時間、放置することによってブラッグ角度2θ±
0.2°=27.2°のピークが小さくなり、代わって
26.2°に強いピークが発生したことから、結晶がY
型を維持できずにβ型に転移していることが確認され
た。
【0108】また上記製造例2のチタニルフタロシアニ
ン結晶を示差走査熱分析したところ、このいずれのもの
も、吸着水の気化に伴なう90℃付近のピークの他に、
247〜260℃の付近にピークを示しており、結晶転
移を生じることが確認された。 《単層型電子写真感光体》 [実施例1] (中間層の形成)結着樹脂としてフェノール樹脂(大日
本インキ社製のTD447)60重量部、酸素含有金属化合
物として酸化チタンTiO2(堺化学社製のSR-1T)100
重量部および分散媒としてメタノール100重量部およ
びジアセトンアルコール10重量部を、ボールミル(φ
1のジルコニアビーズ)にて24時間混合、分散させて中
間層用の塗布液を作製した。次いで、この塗布液をφ30
のアルミニウム素管(支持基体)上にテフロンブレード
を用いて塗布し、150℃で30分間乾燥させて、膜厚
が10μmの中間層を形成し、電子写真感光体の中間体
を作製した。 (感光層の形成)電荷発生剤として前記製造例1で得た
チタニルフタロシアニン結晶5重量部と、正孔輸送剤と
しての前記式(HT-1)で表される化合物70重量部と、電
子輸送剤としての前記式(ET-1)化合物30重量部と、結
着樹脂であるポリカーボネート100重量部とを、80
0重量部のテトラヒドロフランとともに、超音波分散機
を用いて混合、分散させて単層型感光層用の塗工液を製
造した。
【0109】ついでこの塗工液を製造直後、および常
温、常湿の密閉系中で24時間、放置して超音波分散機
で再分散させた後に、それぞれ前記中間体上に、テフロ
ンブレードを用いて塗布し、110℃で30分間、熱風
乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。 [実施例2〜36]感光層の形成において、正孔輸送剤
および電子輸送剤として表1に示された式番号の化合物
をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様にして、
単層型電子写真感光体を作成した。 [実施例37〜72]中間層の形成において、酸素含有
金属化合物を酸化チタンTiO2(堺化学社製のSTR-40N)
とした以外は実施例1〜36と同様にして、単層型電子
写真感光体を作成した。 [実施例73〜108]中間層の形成において、酸素含
有金属化合物を酸化亜鉛ZnO(シーアイ化成社製のナノ
チックZnO)とした以外は実施例1〜36と同様にし
て、単層型電子写真感光体を作成した。 [実施例109〜144]中間層の形成において、酸素
含有金属化合物を酸化スズSnO2(シーアイ化成社製のナ
ノチックSnO2)とした以外は実施例1〜36と同様にし
て、単層型電子写真感光体を作成した。 [比較例1〜36]前記製造例2で得たチタニルフタロ
シアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外は実施
例1〜36と同様にして、単層型電子写真感光体を作製
した。 [比較例37〜72]前記製造例2で得たチタニルフタ
ロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外は実
施例37〜72と同様にして、単層型電子写真感光体を
作製した。 [比較例73〜108]前記製造例2で得たチタニルフ
タロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外は
実施例73〜108と同様にして、単層型電子写真感光
体を作製した。 [比較例109〜144]前記製造例2で得たチタニル
フタロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外
は実施例109〜144と同様にして、単層型電子写真
感光体を作製した。 [比較例145〜180]中間層に酸素含有金属化合物
を使用しないこと以外は、実施例1〜36と同様にし
て、単層型電子写真感光体を作製した。 〈積層型電子写真感光体〉 [実施例145] (中間層の形成)中間層の形成はφ60のアルミニウム素
管を用いる他は実施例1と同様にして行い、電子写真感
光体の中間体を作製した。 (感光層の形成)電荷発生剤として前記製造例1で得た
チタニルフタロシアニン結晶2.5重量部と、結着樹脂
であるポリビニルブチラール1重量部とを、15重量部
のテトラヒドロフランとともに、超音波分散機を用いて
混合、分散させて、積層型感光層のうち電荷発生層用の
塗工液を得た。そしてこの塗工液を製造直後、および常
温、常湿の密閉系中で24時間、放置して超音波分散機
で再分散させた後に、前記中間体上に、テフロンブレー
ドを用いて塗布し、110℃で30分間、熱風乾燥し
て、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0110】また正孔輸送剤としての、前記式(HT-1)で
表される化合物1重量部と、結着樹脂であるポリカボネ
ート1重量部とを、10重量部のトルエンととともに、
超音波分散機を用いて混合、分散させて、電荷輸送層用
の塗布液を得た。そしてこの塗布液を、上記電荷発生層
上に、テフロンブレードを用いて塗布し、110℃で3
0分間、熱風乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形
成して、積層型感光層を有する電子写真感光体を製造し
た。 [実施例146〜161]感光層の形成において、正孔
輸送剤および電子輸送剤として表1に示された式番号の
化合物をそれぞれ使用したこと以外は実施例145と同
様にして、単層型電子写真感光体を作成した。 [実施例162〜178]中間層の形成において、酸素
含有金属化合物を酸化チタンTiO2(堺化学社製のSTR-40
N)とした以外は実施例145〜161と同様にして、
単層型電子写真感光体を作成した。 [実施例179〜195]中間層の形成において、酸素
含有金属化合物を酸化亜鉛ZnO(シーアイ化成社製のナ
ノチックZnO)とした以外は実施例145〜161と同
様にして、単層型電子写真感光体を作成した。 [実施例196〜212]中間層の形成において、酸素
含有金属化合物を酸化スズSnO2(シーアイ化成社製のナ
ノチックSnO2)とした以外は実施例145〜161と同
様にして、単層型電子写真感光体を作成した。 [比較例181〜197]前記製造例2で得たチタニル
フタロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外
は実施例145〜161と同様にして、単層型電子写真
感光体を作製した。 [比較例198〜214]前記製造例2で得たチタニル
フタロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外
は実施例162〜178と同様にして、単層型電子写真
感光体を作製した。 [比較例215〜231]前記製造例2で得たチタニル
フタロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外
は実施例179〜195と同様にして、単層型電子写真
感光体を作製した。 [比較例232〜248]前記製造例2で得たチタニル
フタロシアニン結晶を電荷発生剤として使用たこと以外
は実施例196〜212と同様にして、単層型電子写真
感光体を作製した。 [比較例249〜265]中間層に酸素含有金属化合物
を使用しないこと以外は、実施例145〜161と同様
にして、単層型電子写真感光体を作製した。 《評価試験》 [チタニルフタロシアニンの違いによる効果の比較試
験]製造例1によるチタニルフタロシアニンを使用した
本発明の電子写真感光体の電気的特性を、製造例2によ
るチタニルフタロシアニンを使用した感光体と比較し
た。 (暗電位変化量の測定)各実施例および比較例で得られ
た電子写真感光体の帯電安定性を調べるために、次に述
べる方法で暗電位の変化量を測定した。まず、各単層型
感光体(実施例1〜144および比較例1〜144)に
ついては複写機(京セラミタ社製のCreage7325)の内部
ユニットに、各積層型感光体(実施例145〜212お
よび比較例181〜248)についてはレーザープリン
タ(キャノン社製のLBP-450)の内部ユニットにセット
して、黒白帯状の画像を10枚、連続して印刷した。そ
して印刷10枚目にプリンタを停止して、感光体の白帯
部の表面電位を初期暗電位VH0(V)として測定した。
【0111】次に、黒白帯状の画像を1000枚、それ
ぞれ連続して印刷し、上記と同様にして暗電位VH(V)
を測定した。そして、下記式(2): ΔVH(V)= VH0(V)- VH(V) (2) を用いて暗電位の変化量ΔVHを算出した。 (残留電位の測定)各実施例および比較例で得られた電
子写真感光体について、上記暗電位変化量の測定と同様
にして黒白帯状の画像を印刷し、10枚後(初期)およ
び1000枚後の感光体の残留電位Vr(V)を測定し
た。残留電位Vr(V)の測定は次のようにして行った。
【0112】まず、ドラム感度試験機(ジェンテック社
製)を用いて、各実施例および比較例で得られた電子写
真感光体に印加電圧を加え、その表面を単層型感光体
(実施例1〜144および比較例1〜144)について
は+700±20Vに、積層型感光体(実施例145〜
212および比較例181〜248)については−70
0±20Vに帯電させた後、初期表面電位V0(V)を測
定した。次いで、露光光源であるハロゲンランプの白色
光からバンドパスフィルターを用いて取り出した780
nm(半値幅20nm)の単色光(光強度I=16μW/c
m2)を感光体表面に照射(照射時間80msec)し、露光
開始後330sec後の感光体の表面電位を残留電位V
r(V)として測定した。 (画像特性)各実施例および比較例の内、製造後24時
間、放置した塗工液を使用して電荷発生層を形成した感
光体について、上記の「暗電位変化量の測定」と同様に
黒白帯状の画像を印刷し、10枚目の画像カブリおよび
画像上の干渉縞を目視で確認した。判定の基準は以下の
通りとした。
【0113】◎:画像カブリ/干渉縞が目視では確認で
きない。
【0114】○:画像カブリ/干渉縞が僅かに発生して
いるが実用上問題ないレベルである。
【0115】△:画像カブリ/干渉縞が確認される。
【0116】×:画像カブリ/干渉縞が発生しているこ
とが一目でわかり、その程度がひどい。
【0117】上記各実施例および比較例で使用した感光
体の暗電位変化量ΔVHおよび残留電位Vrの測定結果、画
像特性を単層型感光体については表2〜表25に、積層
型感光体については表26〜表33に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】
【0122】
【表6】
【0123】
【表7】
【0124】
【表8】
【0125】
【表9】
【0126】
【表10】
【0127】
【表11】
【0128】
【表12】
【0129】
【表13】
【0130】
【表14】
【0131】
【表15】
【0132】
【表16】
【0133】
【表17】
【0134】
【表18】
【0135】
【表19】
【0136】
【表20】
【0137】
【表21】
【0138】
【表22】
【0139】
【表23】
【0140】
【表24】
【0141】
【表25】
【0142】
【表26】
【0143】
【表27】
【0144】
【表28】
【0145】
【表29】
【0146】
【表30】
【0147】
【表31】
【0148】
【表32】
【0149】
【表33】
【0150】表より、製造例2で得たチタニルフタロシ
アニン結晶を使用した比較例1〜144の単層型感光体
および比較例181〜248の積層型感光体のうち、製
造後24時間放置した塗工液を使用して電荷発生層を形
成したものは、製造直後の塗工液を用いて電荷発生層を
形成したものに比べて残留電位(絶対値)Vr、暗電位
変化量△VH0ともに著しく上昇しており、製造直後に比
べて感度特性および帯電安定性が著しく低下することが
わかった。しかも、残留電位(絶対値)は1000枚の
印刷で著しく上昇することがわかった。
【0151】また、比較例の感光体には、画像カブリの
発生が確認された。しかも、積層型感光体と一部の単層
型感光体については、画像上に干渉縞も確認された。
【0152】これに対し、製造例1のチタニルフタロシ
アニン結晶を使用した実施例1〜144の単層型感光体
および実施例145〜212の積層型感光体はいずれ
も、塗工液の製造後の経過期間や印刷枚数にかかわらず
常に安定して、良好な感度特性および帯電安定性を有す
ることが確認された。さらに、実施例の感光体は画像カ
ブリや干渉縞の発生が無く、良好な品質の画像を得るこ
とができた。 [酸素含有金属化合物の有無による効果の比較試験] (画像特性)各実施例および比較例の内、製造後24時
間、放置した塗工液を使用して電荷発生層を形成した感
光体について、上記の「暗電位変化量の測定」と同様に
黒白帯状の画像を印刷し、10枚目の画像カブリおよび
画像上の干渉縞を目視で確認した。判定の基準は以下の
通りとした。
【0153】◎:画像カブリ/干渉縞が目視では確認で
きない。
【0154】○:画像カブリ/干渉縞が僅かに発生して
いるが実用上問題ないレベルである。
【0155】△:画像カブリ/干渉縞が確認される。
【0156】×:画像カブリ/干渉縞が発生しているこ
とが一目でわかり、その程度がひどい。
【0157】上記各実施例および比較例で使用した感光
体の除電後電位Vjを単層型感光体については表34〜表
39に、積層型感光体については表40〜表42に示
す。
【0158】
【表34】
【0159】
【表35】
【0160】
【表36】
【0161】
【表37】
【0162】
【表38】
【0163】
【表39】
【0164】
【表40】
【0165】
【表41】
【0166】
【表42】
【0167】表より、酸素含有金属化合物を使用しない
比較例145〜180の単層型感光体および比較例24
9〜265の積層型感光体には、画像カブリおよび干渉
縞が確認された。
【0168】これに対し、酸素含有金属化合物を使用し
た実施例1〜144の単層型感光体および実施例145
〜212の積層型感光体はいずれも、画像カブリや干渉
縞の発生が無く、良好な品質の画像を得ることができ
た。 [単離後の試験] (CuKα特性X線回折スペクトル測定および示差走査
熱量分析)前記実施例1、および比較例1で製造した単
層型電子写真感光体を用いて黒白帯状の画像を1000枚、
それぞれ連続して印刷後、からそれぞれ感光層をはく離
し、常温、常湿条件下でテトラヒドロフランに溶解し
た。
【0169】そしてつぎに、この溶液をろ過してチタニ
ルフタロシアニン結晶を単離したのち、単離直後、およ
び単離したチタニルフタロシアニン結晶をテトラヒドロ
フラン中に分散させ、常温、常湿条件下、密閉系中で2
4時間、浸漬して回収した後の、それぞれの時点のサン
プルにおける、CuKα特性X線回折および示差走査熱
量分析を前記と同様にして行った。
【0170】以上の測定結果を図7〜図10に示す。な
お各サンプルの、各図との対応は下記のとおりである。
【0171】
【表43】
【0172】図7および図8の結果より、実施例1の単
層型電子写真感光体から単離されたチタニルフタロシア
ニン結晶は、単離直後および24時間浸漬後のいずれに
おいても、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に強
いピークを有するものの、26.2°にはピークが見ら
れなかった。そしてこのことから、実施例1の感光体で
使用した製造例1のチタニルフタロシアニン結晶は、感
光体の製造後も長期間に渡り、テトラヒドロフラン中で
安定に結晶型を維持できることが確認された。
【0173】一方、図9および図10の結果より、比較
例1の単層型電子写真感光体から単離されたチタニルフ
タロシアニン結晶は、単離直後こそブラッグ角2θ±
0.2°=27.2°に強いピークを有しており、2
6.2°にはピークが見られなかったが、24時間浸漬
後にはブラッグ角2θ±0.2°=26.2°のピーク
の強度が、27.2°のピークの強度のおよそ121%
まで増加しており、感光体の製造後に、テトラヒドロフ
ラン中で安定に結晶型を維持できないことが判明した。
【0174】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、中間層に酸
素含有金属化合物を含み、感光層にY型の結晶構造を安
定して維持できるチタニルフタロシアニンを含むため、
残留電位の上昇および帯電安定性の悪化を抑止し、除電
性能が良好で、画像カブリや干渉縞を防止することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造例1で得たチタニルフタロシアニ
ン結晶を示差走査熱分析した結果を示すグラフである。
【図2】上記製造例1のチタニルフタロシアニン結晶
の、合成直後の時点でのCuKα特性X線回折スペクト
ルを示すグラフである。
【図3】上記製造例1のチタニルフタロシアニン結晶
を、テトラヒドロフラン中で24時間、放置したのち、
再び測定したCuKα特性X線回折スペクトルを示すグ
ラフである。
【図4】製造例2で得たチタニルフタロシアニン結晶を
示差走査熱分析した結果を示すグラフである。
【図5】上記製造例2のチタニルフタロシアニン結晶
の、合成直後の時点でのCuKα特性X線回折スペクト
ルを示すグラフである。
【図6】上記製造例2のチタニルフタロシアニン結晶
を、テトラヒドロフラン中で24時間、放置したのち、
再び測定したCuKα特性X線回折スペクトルを示すグ
ラフである。
【図7】実施例1で製造した感光体の感光層から単離し
た、前記製造例1のチタニルフタロシアニン結晶の、単
離直後の時点でのCuKα特性X線回折スペクトルを示
すグラフである。
【図8】上記単離した製造例1のチタニルフタロシアニ
ン結晶を、テトラヒドロフラン中に24時間、浸漬した
のち、再び測定したCuKα特性X線回折スペクトルを
示すグラフである。
【図9】比較例1で製造した感光体の感光層から単離し
た、前記製造例2のチタニルフタロシアニン結晶の、単
離直後の時点でのCuKα特性X線回折スペクトルを示
すグラフである。
【図10】上記単離した製造例2のチタニルフタロシア
ニン結晶を、テトラヒドロフラン中に24時間、浸漬し
たのち、再び測定したCuKα特性X線回折スペクトル
を示すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持基体上に結着樹脂と酸素含有金属化合
    物を含む中間層と、中間層よりも上部に結着樹脂とチタ
    ニルフタロシアニンを含む感光層とを備え、この感光層
    の原材料としてのチタニルフタロシアニンは、示差走査
    熱分析において、吸着水の気化に伴なうピークを除いて
    50℃から400℃まで温度変化のピークを有さない、
    または/および常温、常湿条件下で有機溶媒中で24時
    間、放置しても、CuKα特性X線回折スペクトルにお
    いて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2
    °に最大ピークを有するとともに、26.2°にピーク
    が発生しないことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 【請求項2】有機溶媒が、テトラヒドロフラン、ジクロ
    ロメタン、トルエンおよび1,4−ジオキサンからなる
    群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の電
    子写真感光体。
  3. 【請求項3】支持基体上に結着樹脂と酸素含有金属化合
    物を含む中間層と、中間層よりも上部に結着樹脂とチタ
    ニルフタロシアニンを含む感光層とを備え、このチタニ
    ルフタロシアニンを感光層から単離した結晶は、常温、
    常湿条件下でテトラヒドロフラン中に24時間、浸漬し
    たのち回収して、CuKα特性X線回折スペクトルを測
    定した際に、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=2
    7.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°の
    ピーク強度が、上記最大ピークの強度を超えないことを
    特徴とする電子写真感光体。
  4. 【請求項4】酸素含有金属化合物が酸化チタン、酸化亜
    鉛および酸化錫の内、少なくとも1つであることを特徴
    とする、請求項1および請求項3に記載の電子写真感光
    体。
  5. 【請求項5】酸素含有金属化合物の形状が柱状または紡
    錘状であることを特徴とする、請求項1および請求項3
    に記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】感光層は、結着樹脂中に電荷発生剤として
    のチタニルフタロシアニンと電荷輸送剤を分散した単層
    型であることを特徴とする、請求項1および請求項3に
    記載の電子写真感光体。
JP2000322822A 2000-10-23 2000-10-23 電子写真感光体 Pending JP2002131962A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000322822A JP2002131962A (ja) 2000-10-23 2000-10-23 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000322822A JP2002131962A (ja) 2000-10-23 2000-10-23 電子写真感光体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002131962A true JP2002131962A (ja) 2002-05-09

Family

ID=18800627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000322822A Pending JP2002131962A (ja) 2000-10-23 2000-10-23 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002131962A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007108637A (ja) * 2005-09-13 2007-04-26 Ricoh Co Ltd 電子写真装置
JP2007248560A (ja) * 2006-03-14 2007-09-27 Kyocera Mita Corp 正帯電単層型電子写真感光体
JP2009116212A (ja) * 2007-11-09 2009-05-28 Kyocera Mita Corp 積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法
JP2009288289A (ja) * 2008-05-27 2009-12-10 Kyocera Mita Corp 電子写真感光体及び画像形成装置
JP2010033034A (ja) * 2008-06-27 2010-02-12 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、その製造方法、及びそれを使用した画像形成装置
JP2016142926A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007108637A (ja) * 2005-09-13 2007-04-26 Ricoh Co Ltd 電子写真装置
JP4567615B2 (ja) * 2005-09-13 2010-10-20 株式会社リコー 電子写真装置
JP2007248560A (ja) * 2006-03-14 2007-09-27 Kyocera Mita Corp 正帯電単層型電子写真感光体
JP2009116212A (ja) * 2007-11-09 2009-05-28 Kyocera Mita Corp 積層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体の製造方法
JP2009288289A (ja) * 2008-05-27 2009-12-10 Kyocera Mita Corp 電子写真感光体及び画像形成装置
JP2010033034A (ja) * 2008-06-27 2010-02-12 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、その製造方法、及びそれを使用した画像形成装置
JP2016142926A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
CN105843004A (zh) * 2015-02-02 2016-08-10 京瓷办公信息系统株式会社 电子照相感光体及其制造方法、以及图像形成装置
CN105843004B (zh) * 2015-02-02 2020-03-13 京瓷办公信息系统株式会社 电子照相感光体及其制造方法、以及图像形成装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5550686B2 (ja) チタニルフタロシアニン結晶、及び電子写真感光体
JP5156409B2 (ja) 単層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP4565047B1 (ja) 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置
JPH0598181A (ja) クロロガリウムフタロシアニンの新規な結晶、その新規な結晶よりなる光導電材料及びそれを用いた電子写真感光体
JP5266037B2 (ja) 単層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP3463032B2 (ja) チタニルフタロシアニン結晶とその製造方法、および電子写真感光体とその製造方法
JP5101854B2 (ja) チタニルフタロシアニン結晶の製造方法
JP4891010B2 (ja) 積層型電子写真感光体、その製造方法および下引き層塗布液
JP5405873B2 (ja) 単層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2002131962A (ja) 電子写真感光体
JP5255786B2 (ja) オキソチタニルフタロシアニン結晶、その製造方法及び電子写真感光体
JP3453330B2 (ja) 電子写真感光体
JP3244042B2 (ja) Ii型クロロガリウムフタロシアニン結晶およびその製造方法、電子写真感光体
JP5383843B2 (ja) 画像形成装置
JP2008003143A (ja) 積層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP3509795B2 (ja) 電子写真装置
JP5203568B2 (ja) 電子写真感光体
JP5459931B2 (ja) オキシチタニウムフタロシアニン組成物とその製造方法、電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置、およびカートリッジ
JP2000267323A (ja) 電子写真用感光体
JP5265881B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP4147714B2 (ja) X型無金属フタロシアニン顔料の製造方法
JPH11305462A (ja) 電子写真感光体
JP2000038390A (ja) テトラピラジノポルフィラジン化合物及びそれを用いた電子写真感光体
JPH11305469A (ja) 電子写真感光体
JPH11116839A (ja) クロロガリウムフタロシアニン結晶とその製造方法及びそれを用いた電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040427

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040628

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040817