JP2002131957A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

画像形成方法及び画像形成装置

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JP2002131957A
JP2002131957A JP2000331076A JP2000331076A JP2002131957A JP 2002131957 A JP2002131957 A JP 2002131957A JP 2000331076 A JP2000331076 A JP 2000331076A JP 2000331076 A JP2000331076 A JP 2000331076A JP 2002131957 A JP2002131957 A JP 2002131957A
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JP2000331076A
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Junichiro Hashizume
淳一郎 橋爪
Shigenori Ueda
重教 植田
Tatsuji Okamura
竜次 岡村
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 消費電力が少なく、環境に優しく、かつ、融
着やフィルミングによる画像不良が発生せず、光受容部
材に傷や摩耗が発生せず、常に鮮明な画像が得られる、
耐久性に富んだ画像形成方法。 【解決手段】 導電性基体と、非単結晶材料から成る光
導電層と、非単結晶炭素からなる表面層を有する光受容
部材に、現像し、転写部材に転写し、定着する画像形成
方法において、表面層として少なくとも水素原子および
/またはハロゲン原子を35原子%以上55原子%以下
含有し、表面層の表面自由エネルギー(γ)が35〜6
5mN/mであり、静電荷像現像用トナーとして、少な
くとも結着樹脂、荷電制御剤及びワックスを含有し、ト
ナーの重量平均粒径が3〜11μm、結着樹脂のTgが
40〜80℃、ワックスが分子量400〜10000の
領域にメインピークを有し、昇温時の吸熱ピークを60
〜150℃の領域に有する静電荷像現像用トナーを用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低消費電力の画像形
成プロセスにおいて、定着性に優れたトナーを用いた場
合でも融着、フィルミングの発生がなく、傷や摩耗が付
きにくく、耐刷性に優れ、長寿命で、電位特性の変動が
少ない画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】(画像形成装置)従来、電子写真法を用
いた画像形成装置としては、米国特許第2297692
号明細書、特公昭42−23910号公報及び特公昭4
3−24748号公報に記載されている如く、多数の方
法が知られている。一般には光導電性物質を利用し、種
々の手段により光受容部材上に電気的潜像を形成し、つ
いで該潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等
の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力、加熱
加圧あるいは溶剤蒸気などにより定着し、複写物を得る
ものである。この工程においては、転写材へトナー画像
を転写した後でも光受容部材上には未転写のトナーが残
るため、これまではクリーニング工程により該未転写ト
ナーを回収し、いわゆる廃トナーとして系外に排出して
いた。
【0003】近年、情報処理量の増大にともない、コピ
ーボリュームの大きな複写機やレーザーブームプリンタ
ー等の画像形成装置(すなわち大型の高速機)の需要が
さらに大きくなりつつある。
【0004】光受容部材としては、高速に対応した光受
容部材特性の向上が要求されると共に、より精彩な画質
を要求される昨今においては、光受容部材特性の改善は
もとより、トナーの小粒径化が進められ、コールターカ
ウンター等による重量平均粒径が5〜11μmであるも
のが多く使われている。
【0005】一方、クリーニング性を向上する為に、特
開昭54−143149号公報に記載されている様な溝
付きブレードや、特開昭57−124777号公報に記
載されている様な突起付きブレード、等が考案されてい
る。
【0006】図1は複写機の画像形成プロセスの一例を
示す概略図であって、矢印X方向に回転する、面状内面
ヒータ123によって温度コントロールされた、光受容
部材101の周辺には、主帯電器102、静電潜像形成
部位103、現像器104、転写紙供給系105、転写
帯電器106(a)、分離帯電器106(b)、クリー
ナ107、搬送系108、除電光源109などが配設さ
れている。
【0007】以下、さらに具体例を以て画像形成プロセ
スを説明すると、光受容部材101は+6〜8kVの高
電圧を印加した主帯電器102により一様に帯電され、
これに静電潜像形成部位、すなわちランプ110から発
した光が原稿台111上に置かれた原稿112に反射
し、ミラー113、114、115を経由し、レンズユ
ニット117のレンズ118によって結像され、ミラー
116を経由し、導かれ投影された静電潜像が形成され
る。この潜像に現像器104からトナーが供給されてト
ナー像となる。
【0008】一方、転写紙供給系105を通って、レジ
ストローラ122によって先端タイミングを調整され、
光受容部材方向に供給される転写材Pは+7〜8kVの
高電圧を印加した転写帯電器106(a)と光受容部材
101の間隙において背面から、トナーとは反対極性の
電界を与えられ、これによって光受容部材表面のトナー
像は転写材Pに転移する。12〜14kVp−p、30
0〜600Hzの高圧AC電圧を印加した分離帯電器1
06(b)により、転写材Pは転写紙搬送系108を通
って定着装置(不図示)に至り、トナー像は定着されて
装置外に排出される。
【0009】光受容部材101上に残留するトナーはク
リーナー107のクリーニングブレード121によって
かき落とされ、残留する静電潜像は除電光源109によ
って消去される。
【0010】(光受容部材)光受容部材に用いる素子部
材の技術としては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜
鉛、フタロシアニン、アモルファスシリコン(以下「a
−Si」と記す)等、各種の材料が提案されている。中
でもa−Siに代表される珪素原子を主成分として含む
非単結晶質堆積膜、例えば水素及び/又はハロゲン(例
えばフッ素、塩素等)で補償されたa−Si等のアモル
ファスシリコン堆積膜は高性能、高耐久、無公害な光受
容部材として提案され、その幾つかは実用化されてい
る。こうした堆積膜の形成法として従来、スパッタリン
グ法、熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD
法)、光により原料ガスを分解する方法(光CVD
法)、プラズマにより原料ガスを分解する方法(プラズ
マCVD法)等、多数知られている。中でもプラズマC
VD法、即ち原料ガスを直流又は高周波(RF、VH
F)、マイクロ波、などのグロー放電等によって分解
し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フィルム、ステンレ
ス、アルミニュウム等の導電性基体上に薄膜状の堆積膜
を形成する方法であり、光受容部材用a−Si堆積膜の
形成方法等において現在、実用化が非常に進み、そのた
めの装置も各種提案されている。
【0011】例えば特開昭57−115551号公報に
は、シリコン原子を主体とし、水素原子またはハロゲン
原子の少なくともいずれか一方を含むアモルファス材料
で構成されている光導電層の上にシリコン原子及び炭素
原子を母体とし、水素原子を含む非光導電性のアモルフ
ァス材料で構成された表面障壁層を設けた光導電部材の
例が開示されている。
【0012】また、特開昭61−219961号公報に
は、a−Si系の感光層の上に形成された表面保護層と
して、10〜40原子%の水素原子を含有するa−C:
Hで構成された光受容部材の例が開示されている。
【0013】特開平6−317920号公報では、20
MHz以上の周波数の高周波を用い、シリコン原子を母
体とする非単結晶シリコン系材料からなる光導電層と、
水素原子含有量8〜45原子%のa−C:H表面保護層
から構成される光受容部材の製造方法が開示されてい
る。
【0014】また、特開昭60−186849号公報に
は、原料ガスの分解源として、マイクロ波(例えば周波
数2.45GHz)を用いたマイクロ波プラズマCVD
法による頂部阻止層を持った光受容部材デバイスの形成
方法及び装置が開示されている。
【0015】これらの技術により、電気的、光学的、光
導電的特性及び使用環境特性、耐久性が向上し、更に、
画像品位の向上も可能になっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
画像形成装置は更に高性能化、高寿命化してきている。
このような環境のもと、これまで充分な性能を発揮して
きた画像形成装置といえども使用環境や設定される画像
品質如何によっては、検討を要する場合があった。
【0017】例えば、近年の情報処理量の増大にともな
い、コピーボリュームの大きな複写機やレーザービーム
プリンター等の画像形成装置(すなわち大型の高速機)
の需要がさらに大きくなりつつある。言い換えれば、画
像形成装置はますます高速化されつつある。このように
高速化された画像形成装置において転写材にトナー画像
を定着させる能力は、定着器内で転写材のトナー画像を
いかに加熱するかに掛かっており、高速化に伴って、転
写材が定着器内を通過する時間が短くなると、定着器の
温度を上昇させなくてはならず、画像形成装置全体の消
費電力の約8割を占める定着器での消費電力を増加せざ
るを得ない状況にある。
【0018】こうした状況においても、市場ニーズとし
ての消費電力低減は重要な課題であるため、定着器の温
度をさほど上昇させなくても良好な定着性を得るため
に、トナー自体の定着性向上が進められている。また、
高速な画像形成装置のみならず、中速〜低速の画像形成
装置においても、近年のエコロジー対応の一環として省
エネルギー、省資源は、各方面から努力が続けられてお
り、その中の一つとして、定着器の省電力化が試みられ
ている。この場合もやはり定着器の温度を下げても良好
な定着性を得るために、従来のトナーよりも低い温度に
おいても良好な定着性を有する定着性の良いトナーの開
発が進められている。
【0019】このような定着性の良いトナーは低融点の
材料(結着樹脂及び/又はワックス等)を含有し、比較
的低い温度の定着においても充分に融着、定着するよう
に設計されるが、このような定着性の良いトナーを使用
する場合、画質、定着性に関しては実用上充分な性能が
得られるものの、その低融点の性質が光受容部材の表面
にも作用して融着という副作用を引き起こす場合があっ
た。融着とは、長期間の使用の間に光受容部材表面にト
ナーが溶けて付着するもので、付着の程度によってはベ
タ白画像やハーフトーン画像で融着跡が現れるため、実
用上、支障を来すことになる。このように融着が発生
し、画像上に現れるとサービスマンが客先に出向いてメ
ンテナンスを行なわなければならず、コストがかかる。
また、画像形成装置本体から光受容部材を取り外してメ
ンテナンスを行なうため、その作業中に打痕傷を付け、
光受容部材を使用不能にしてしまう可能性もあった。こ
のような融着現象は画像形成装置を使用する環境、トナ
ーに含まれる成分、光受容部材の表面性、クリーナーの
押し当て圧、プロセススピード等の組み合わせによって
は、発生頻度が高まる場合があった。
【0020】また、光受容部材としては、高速に対応し
た光受容部材特性の向上が要求されると共に、より精彩
な画質を要求される昨今においては、光受容部材特性の
改善はもとより、トナーの小粒径化が進められ、コール
ターカウンター等による重量平均粒径が5〜11μmで
あるものが多く使われている。しかし、粒径が小さいと
いうことも、融着に対しては更に不利な方向であるた
め、光受容部材にトナーが付着しにくくしたり、付着し
てしまったトナーを削りとる能力を高めるため、ブレー
ドの硬度を高めたり、押し当て圧を高めるなどの対策が
必要となる。しかし、ブレードの硬度を高めることは、
ブレードの特性としてはゴム的状態からガラス状態に近
づく為、光受容部材を削りやすくなる傾向があった。こ
のような削れが発生すると、a−Si系の硬度の高い光
受容部材においては表面が滑らかには削れずに筋状のム
ラ削れが発生してしまう場合があり、これは画像上に現
れてしまうため、a−Si系の光受容部材では表面の削
れが発生しない条件で使用することが望ましかった。
【0021】また、融着を防止する他の方法として、ト
ナー自体に研磨材として、シリカなどを添加したり、成
分を変えたり、分量を増したりする場合もある。トナー
自体に研磨材を含ませると、ドラム表面を擦る能力が高
まるため、溶けたトナーが付着しにくくなる。しかし、
このことは融着を防止する反面、副作用として、やはり
光受容部材表面を擦る力が強まるため、光受容部材表面
を削ることなく、融着のみ改善する範囲でバランスを取
ることが難しくなる場合があった。
【0022】以上の様な状況に鑑み、本発明の目的は、
高速機から中・低速機まで幅広く適用できる、消費電力
が少なく、環境に優しい画像形成方法及び装置を提供す
ることにある。
【0023】また、どのような環境下においても融着や
フィルミングによる画像不良が発生しない、高画質の画
像形成方法及び装置を提供することにある。
【0024】また、長期間に渡る使用においても、光受
容部材に傷や摩耗が発生せず、常に鮮明な画像が得られ
る、耐久性に富んだ画像形成方法を提供することにあ
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明によれば、導電性基体と、少なくとも水素原子
および/またはハロゲン原子を含有するシリコン原子を
母体とする非単結晶材料から成る光導電層と、少なくと
も水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶炭素
からなる表面層を有する光受容部材に静電潜像を形成
し、静電荷像現像用トナーで静電潜像を現像し、現像イ
メージを転写部材に転写し、定着する画像形成方法にお
いて、該表面層として少なくとも水素原子またはハロゲ
ン原子を35原子%以上55原子%以下含有し、該表面
層の表面自由エネルギー(γ)の値が、35〜65mN
/mの範囲である光受容部材を用い、該静電荷像現像用
トナーとして、少なくとも結着樹脂、荷電制御剤及びワ
ックスを含有し、該トナーの重量平均粒径が3〜11μ
mであり、該結着樹脂のTg(ガラス転移点温度)が4
0〜80℃であり、該ワックスが分子量400〜100
00の領域にメインピークを有し、該ワックスが示差熱
分析における昇温時の吸熱ピークを60〜150℃の領
域に少なくとも1つ有する静電荷像現像用トナーを用い
ることを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0026】また、導電性基体と、少なくとも水素原子
および/またはハロゲン原子を含有するシリコン原子を
母体とする非単結晶材料から成る光導電層と、少なくと
も水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶炭素
からなる表面層を有する光受容部材に静電潜像を形成
し、静電荷像現像用トナーで静電潜像を現像し、現像イ
メージを転写部材に転写し、定着する画像形成装置にお
いて、該表面層が少なくとも水素原子またはハロゲン原
子を35原子%以上55原子%以下含有し、該表面層の
表面自由エネルギー(γ)の値が、35〜65mN/m
の範囲である光受容部材であり、該静電荷像現像用トナ
ーとして、少なくとも結着樹脂、荷電制御剤及びワック
スを含有し、該トナーの重量平均粒径が3〜11μmで
あり、該結着樹脂のTg(ガラス転移点温度)が40〜
80℃であり、該ワックスが分子量400〜10000
の領域にメインピークを有し、該ワックスが示差熱分析
における昇温時の吸熱ピークを60〜150℃の領域に
少なくとも1つ有する静電荷像現像用トナーであること
を特徴とする画像形成装置が提供される。
【0027】なお、該電子写真感光体の表面自由エネル
ギー(γ)は、拡張Forkesの理論により導き出す
事ができる。
【0028】先にも述べたように、省電力、省資源とい
ったエコロジーの観点から、画像形成装置の高速化が進
んだ場合でも定着器の温度を上げることなく定着性を確
保するために、近年、低融点の定着性の良いトナーが開
発されつつある。しかし、これらのトナーを従来のa−
Si光受容部材に用いた場合、長期間に渡る使用におい
て融着やフィルミングという問題が発生する場合があ
る。また、融着・フィルミングの防止と密接な関係にあ
るクリーニング条件も鋭意検討されているが、融着を完
全に防止する条件に設定すると、逆に長期間にわたる使
用において光受容部材表面に筋削れを発生させてしまう
場合があり、この場合、筋削れがハーフトーン画像に現
れてしまうため、画像品質上のトラブルに直結するとい
う問題があった。
【0029】我々は画像形成装置の高速化、低消費電力
化を達成する場合に発生するこの問題に対して、光受容
部材の表面特性を改良することで対処出来ないかを鋭意
検討した。これらの対策としては、例えば光受容部材の
最表面をより滑りやすくすることにより、融着・フィル
ミングを防止すると共に、より硬くして傷、摩耗を防ぐ
という手法が考えられる。この目的に最適な材料を検討
したところ、水素を含有したアモルファス炭素膜(以
下、a−C:H膜とも呼ぶ)が最適であることが判明し
た。このa−C:H膜は別名ダイヤモンドライクカーボ
ン(DLC)と呼ばれるように非常に硬度が高く、また
特異な固体潤滑性を持っているので上記の目的に使うた
めには最適の材料と考えられる。
【0030】そこで、本発明者らはa−C:Hを表面層
に用いた光受容部材と定着性の良いトナーの組み合わせ
で融着・フィルミングの発生度合いについて鋭意検討を
行った。その結果、予想通り、従来のa−SiCを用い
た表面層に比べて融着・フィルミング防止に著しい効果
が見られた。しかし、その効果は万全というわけではな
く、たとえば非常に高速の画像形成装置など、プロセス
スピードが大変速い装置などに応用した場合、やはり融
着、あるいはフィルミングが発生する場合があった。こ
の原因について詳細は不明であるが、次のように予想し
ている。すなわち、画像形成装置のプロセススピードが
速くなると、相対的にクリーナー部分と光受容部材の相
対速度が高くなる。この場合、たとえa−C:H膜に固
体潤滑性があるとはいえ、やはり多少の摩擦力が働く。
a−Siを用いた光受容部材のクリーニングメカニズム
としては一般にクリーニングブレードが多く用いられて
いるが、プロセススピードが速くなるとクリーニングブ
レードにビビリが発生している可能性がある。このよう
なビビリが発生するとクリーニングブレードと光受容部
材表面での圧縮効果が高くなり、トナーが強く光受容部
材表面に押しつけられるために融着やフィルミングが発
生しやすくなったのではないかと想像している。
【0031】本発明者らはこの問題を解決するために更
に検討を進めた結果、融着・フィルミングの発生率とa
−C:H表面層の表面自由エネルギー(γ)の値に相関
があることが判明した。すなわち、表面層の表面自由エ
ネルギー(γ)の値を35乃至65mN/mの範囲とす
る場合に良好な結果が得られた。a−C:H表面層の表
面自由エネルギーをこの範囲内にすることによって、表
面層とクリーニングブレードの接触部分の摩擦力が減少
するものと考えられる。この結果、クリーニングブレー
ドのビビリ量が減少し、融着の発生を強力に防止したも
のと考えられる。また、表面自由エネルギーが65mN
/mを越えてしまうと、摩擦が増えてしまうため、高速
複写機や、低湿環境などの特定の環境下でやはり融着・
フィルミングが発生する傾向にあることが判明した。ま
た、表面自由エネルギーを35mN/mより小さくしよ
うとすると、a−C:H膜の特徴である硬さが損なわれ
てしまい、両者のバランスを取ることが困難となる場合
がある。
【0032】本発明は、以上の知見に基づいて完成され
たものである。上記のトナー、および光受容部材を組み
合わせることによって、高速の画像形成装置において定
着器の温度を上昇させなくても良好な定着性が得られ、
また、高速機のみならず、中速〜低速の画像形成装置に
おいては定着器の温度を下げても良好な定着性が得られ
る。これにより低消費電力を達成することが出来、か
つ、どのような環境下においても融着やフィルミングに
よる画像不良が発生せず、長期間にわたる使用において
も、光受容部材に傷や摩耗が発生せず、常に鮮明な画像
が得られる。耐久性に富んだ画像形成方法及び画像形成
装置を提供することが可能となったものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に図面を用いて本発明の具体
例を説明する。
【0034】図2は本発明の画像形成方法による光受容
部材を説明する模式図である。図2には導電性基体20
1の上に少なくとも水素またはハロゲン原子(言い換え
れば、水素原子およびハロゲン原子からなる群の少なく
とも一方)を含有するa−Siからなる光導電層20
2、非単結晶炭素からなる表面層203が積層された光
受容部材である。表面層203には少なくとも水素また
はハロゲン(言い換えれば、水素原子およびハロゲン原
子からなる群の少なくとも一方)を35原子%以上55
原子%以下含有しており、かつ、その表面層の表面自由
エネルギー(γ)の値を35乃至65mN/mの範囲と
するように制御されている。
【0035】図3は、図2に示した本発明の光受容部材
の表面層303と光導電層302の間に、バッファ層3
04を設けた場合の模式図である。バッファ層は、シリ
コン原子を母体とし、更に炭素原子、窒素原子および酸
素原子から選ばれる少なくとも1種以上の原子を含有す
る非単結晶材料で構成することができる。例えば、アモ
ルファス炭化珪素、アモルファス窒化珪素、アモルファ
ス酸化珪素などである。
【0036】図4は、図2に示した本発明の光受容部材
の光導電層402と導電性基体401の間に、更に下部
阻止層405を設けた場合の模式図である。
【0037】図5は、導電性基体501、光導電層50
2、表面層503に加えて更に下部阻止層505、バッ
ファ層504を設けた場合の模式図である。
【0038】図6には、光導電層を電荷発生層と電荷輸
送層の2つに機能分離している為、機能分離型と呼んで
いる光受容部材を示している。導電性基体601の上に
バンドギャップの広い電荷輸送層606、バンドギャッ
プが狭く、効率的に光を吸収できる電荷発生層607の
2つの層に機能分離された、少なくとも水素及び/又は
ハロゲンを含むa−Siからなる層が堆積され、その上
に非単結晶炭素からなる表面層603が積層されてい
る。ここで電荷輸送層606と電荷発生層607の順序
は、本模式図に示した順序だけではなく、任意であって
よい。
【0039】図7は、導電性基体701、下部阻止層7
05、電荷輸送層606、電荷発生層607、バッファ
層704、表面層703を順に設けた場合の模式図であ
る。
【0040】なお、図2〜7に挙げた光受容部材におい
て、それぞれの層は連続的な組成変化を伴ってもよく、
明確な界面を持たなくてもよい。
【0041】(表面層)本発明によるところの表面層2
03〜703は非単結晶質の炭素から成る。ここで言う
非単結晶炭素とは、黒鉛(グラファイト)とダイヤモン
ドとの中間的な性質を持つアモルファス状の炭素を主に
表しているが、微結晶や多結晶を部分的に含んでいても
良い。この表面層203〜703は自由表面を有し、主
に長期間の使用における融着や傷、摩耗の防止といった
本発明の目的を達成するために設けられる。
【0042】本発明の表面層203〜703は原料ガス
としては常温常圧でガス状の炭化水素を用い、プラズマ
CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法
等によって作製可能であるが、プラズマCVD法を用い
て作製した膜は透明度、硬度共に高く、光受容部材の表
面層として用いるには好ましい。また、本発明の表面層
203〜703を作製する際のプラズマCVD法に用い
る放電周波数としては如何なる周波数も用いることが出
来、工業的にはRF周波数帯と呼ばれる1〜450MH
z、特に13.56MHzの高周波が好適に用いること
が出来る。また、特に50〜450MHzのVHFと呼
ばれる周波数帯の高周波を用いた場合には、透明度、硬
度共に更に高く出来るので、表面層としての使用に際し
てはより好ましい。
【0043】炭素供給用ガスとなり得る物質としては、
CH4、C26、C38、C410等のガス状態の、また
はガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして
挙げられ、更に層作製時の取り扱い易さ、炭素供給効率
の良さ等の点でCH4、C2 6が好ましいものとして挙
げられる。また、これらの炭素供給用の原料ガスを必要
に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスにより希釈し
て使用してもよい。
【0044】本発明の表面層203〜703は表面自由
エネルギー(γ)の値を35乃至65mN/m、より好
ましくは40乃至60mN/mの範囲に調整される。a
−C:H表面層の表面自由エネルギーをこの範囲内にす
ることによって、表面層とクリーニングブレードの接触
部分の摩擦力が減少し、クリーニングブレードのビビリ
量が減少し、融着の発生が強力に防止される。表面自由
エネルギーが65mN/mを越えてしまうと、摩擦が増
えてしまうため、高速複写機や、低湿環境などの特定の
環境下で融着・フィルミングが発生してしまうことがあ
り、逆に表面自由エネルギーが35mN/mより小さく
なるような製造条件を選択すると、同時にa−C:H膜
の特徴である硬さが損なわれてしまい、光受容部材の表
面層として適さなくなる場合がある。
【0045】ここで言う表面自由エネルギー(γ)は、
拡張Forkesの理論(日本接着協会誌8(3)、1
31〜141(1972))を応用して算出することが
できる。具体的には3種類の試薬の感光体表面への接触
角を測定し、協和界面(株)製の表面自由エネルギー解
析ソフト「EG−11」に代入し算出することで得るこ
とができる。なお、測定方法は上記の他にも一般的な手
法の、例えばウィルヘルミ法(つり板法)、ドゥ・ヌイ
法等で測定することもできる。
【0046】これらの表面自由エネルギーを制御する方
法としては、例えば膜中に含有される水素原子やハロゲ
ン原子の含有量を変化させたり、成膜時の高周波電力や
原料ガス流量、原料ガス種、基板温度、圧力などを適宜
変化させることでも制御可能である。
【0047】表面層203〜703中に含有される水素
原子の含有量は35原子%〜55原子%が望ましい。含
有量を35原子%以上とすることによって本発明におい
て特定された範囲内の表面自由エネルギーとすることが
出来、融着、フィルミングを効果的に防止可能である。
また55原子%以下とすることでa−C:H膜の硬度も
表面層に適した値に保つことが出来る。
【0048】また、本発明のa−C:Hからなる表面層
203〜703には、水素原子に加えてハロゲン原子が
含まれていても良い。一般に、ハロゲン原子(例えばフ
ッ素原子)の方が結合エネルギーが高いため、長期間に
わたって表面自由エネルギーを所望の値に維持すること
が可能となる。ハロゲン原子と水素原子の総和は35原
子%〜55原子%とすることで本発明の効果が充分に得
られる。
【0049】光学的バンドギャップは一般には1.2e
V〜2.2eV程度の値であれば好適に用いることが出
来、感度の点からは1.6eV以上とすることが更に望
ましい。屈折率は1.8〜2.8程度であれば好適に用
いられる。膜厚は5nmから1000nm、好ましくは
10nmから200nmである。5nmより薄くなると
機械的強度に問題が出る傾向がある。1000nm以上
になると光感度の点で問題が発生する傾向がある。
【0050】さらに本発明においては、表面層203〜
703には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有さ
せてもよい。表面層203〜703に含有される伝導性
を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆ
る不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周
期律表第3b族に属する原子、またはn型伝導特性を与
える周期律表第5b族に属する原子を用いることができ
る。本発明において表面層203〜703中に含有され
る伝導性を制御する原子の含有量としては、所望にした
がって適宜決定されるが、好ましくは10〜1×104
原子ppm、より好適には50〜5×103原子pp
m、最適には1×102〜1×103原子ppmとされる
のが望ましい。
【0051】また、基板温度は室温から350℃までに
調整されるが、あまり基板温度が高過ぎるとバンドギャ
ップが低下して透明度が低下するため低めの温度設定が
好ましい。
【0052】高周波電力については、出来るだけ高い方
が炭化水素の分解が充分に進むため好ましく、具体的に
は炭化水素の原料ガスに対して5W/ml以上が好まし
いが、あまり高くなると異常放電が発生してしまい、光
受容部材の特性を劣化させるので、異常放電が発生しな
い程度の電力に抑える必要がある。
【0053】放電空間の圧力については、炭化水素のよ
うに分解されにくい原料ガスで成膜する場合には気相中
での分解主同士の衝突があると、ポリマーが発生し易い
ため、比較的高真空が望ましい。通常のRF(代表的に
は13.56MHz)電力を用いる場合には13.3P
a〜1330Pa、VHF帯(代表的には50〜450
MHz)を用いる場合には13.3mPa〜13.3P
a程度に保たれる。
【0054】(光導電層)本発明の光受容部材における
光導電層202〜702は膜中に水素原子および/また
はハロゲン原子が含有されることが必要である。これは
シリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に
光導電性および電荷保持特性を向上させるために不可欠
であるからである。よって水素原子またはハロゲン原子
の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量は全
原子の和に対して10〜40原子%、より好ましくは1
5〜25原子%とされるのが望ましい。光導電層202
〜702中に含有される水素原子および/またはハロゲ
ン原子の量を制御するには、例えば基体の温度、水素原
子および/またはハロゲン原子を含有させるために使用
される原料物質の反応炉内へ導入する量、放電電力等を
制御すればよい。
【0055】本発明においては、光導電層202〜70
2には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させる
ことが好ましい。伝導性を制御する原子としては周期律
表第3b族に属する原子、または周期律表第5b族に属
する原子を用いることができる。光導電層202〜70
2に含有される伝導性を制御する原子の含有量として
は、好ましくは1×10-2〜1×104原子ppm、よ
り好ましくは5×10-2〜5×103原子ppm、最適
には1×10-1〜1×103原子ppmとされるのが望
ましい。
【0056】さらに本発明においては、光導電層202
〜702に炭素原子および/または酸素原子および/ま
たは窒素原子を含有させてもよい。炭素原子および/ま
たは酸素原子および/または窒素原子の含有量は全原子
に対して好ましくは1×10 -5〜10原子%、より好ま
しくは1×10-4〜8原子%、最適には1×10-3〜5
原子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子お
よび/または窒素原子は必ずしも全層にわたって含有さ
れる必要はなく、一部分のみ、あるいは膜厚方向で分布
していても良い。
【0057】本発明において、光導電層202〜702
の層厚は所望の光受容部材特性が得られること及び経済
的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ま
しくは10〜50μm、より好ましくは20〜45μ
m、最適には25〜40μmとされるのが望ましい。
【0058】(製造方法)図8は本発明の画像形成装置
に用いられるa−Siからなる光受容部材を製造するた
めに供される、高周波電源(「RF」とも略記する)を
用いたプラズマCVD法による堆積装置の一例を模式的
に示した図である。
【0059】図中の8221〜8226のガスボンベに
は、本発明の光受容部材を形成するための原料ガス、例
えば各々SiH4、H2、CH4、B26、NO、Arな
どが密封されており、あらかじめ、ガスボンベ8221
〜8226を取りつける際に、各々のガスを、バルブ8
231〜8236から流入バルブ8241〜8246の
ガス配管内に導入してある。
【0060】例えば表面に旋盤を用いて鏡面加工を施し
たアルミニウムシリンダー(円筒状の導電性基体)81
12を基体ホルダー8125に挿入し、反応炉8111
の上蓋8120を開けて、反応炉8111内の加熱ヒー
ター8113に基体ホルダー8125を挿入する。
【0061】次にガスボンベ8221〜8226のバル
ブ8231〜8236、流入バルブ8241〜824
6、反応炉8111のリークバルブ8123が閉じられ
ていることを確認し、又、流出バルブ8251〜825
6、補助バルブ8260が開かれていることを確認して
まずメインバルブ8118を開いて真空ポンプ8117
により反応炉8111及びガス配管内を排気する。
【0062】その後、ガスボンベ8221〜8226よ
り各々のガスを、バルブ8231〜8236を開けて導
入し、圧力調整器8261〜8266により各ガス圧力
を所望の圧力に調整する。
【0063】次に、流入バルブ8241〜8246を徐
々に開けて、以上の各ガスをマスフローコントローラー
8211〜8216に導入する。
【0064】次に、流出バルブ8256及び補助バルブ
8260を徐々に開いてArガスをガス導入管8114
を通じて反応炉8111内に流入させる。このとき、A
rガス流量が所望の圧力となるように真空計8124を
見ながら真空ポンプ8117の排気速度を調整する。そ
の後、不図示の温度コントローラーを作動させて、基体
8112を加熱ヒーター8113により加熱し、基体8
112が所望の温度に加熱されたところで、流出バルブ
8256及び補助バルブ8260を閉じて、反応炉81
11内へのガス流入を止める。
【0065】次に、各々の層を形成するのに必要な原料
ガスの流出バルブ8251〜8256と補助バルブ82
60を徐々に開いて、原料ガスをガス導入管8114を
通じて反応炉8111内に流入させる。このとき、各原
料ガスの流量が所望の流量となるように各々のマスフロ
ーコントローラー8211〜8216で調整する。反応
炉8111内の圧力は、所望の圧力となるように真空計
8124を見ながら真空排気装置8117の排気速度を
調整する。その後、不図示のRF電源の電力を所望の電
力に設定し、マッチングボックス8115を通じて反応
炉8111内にRF電力を導入し、RFグロー放電を生
起させ、基体8112上又はすでに成膜した層上に所望
の層の形成を開始し、所望の膜厚を形成したところでR
Fグロー放電を止め、又、流出バルブ8251〜825
6及び補助バルブ8260を閉じて、反応炉8111内
へのガス流入を止め、層の形成を終える。
【0066】それぞれの層を形成する際に必要なガス以
外の流出バルブは完全に閉じられていることは言うまで
もなく、又、それぞれのガスが反応炉8111内、流出
バルブ8251〜8256から反応炉8111に至る配
管内に残留することを避けるために、流出バルブ825
1〜8256を閉じ、補助バルブ8260を開き、更に
メインバルブ8118を全開にして系内を一旦高真空に
排気する操作を必要に応じて行う。
【0067】また、必要に応じて、層形成を行っている
間に層形成の均一化を図るため、基体8112及び基体
ホルダー8125を、不図示の駆動装置によって所望さ
れる速度で回転させる。
【0068】a−C:Hから成る表面層を形成するに
は、一旦、反応炉8111内を高真空に引き上げた後、
導入管8114から所定の原料ガス、例えばCH4、C2
6、C38、C410などの炭化水素ガス、必要に応じ
て水素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの材料ガ
スをミキシングパネルにより混合した後に反応炉811
1内に導入する。次に、マスフローコントローラー82
11〜8216によって、各原料ガスが所定の流量にな
るように調整する。その際、反応炉8111内が13
3.3Pa以下の所定の圧力になるように、真空計81
24を見ながら排気速度を調整する。圧力が安定したの
を確認後、不図示の高周波電源を所望の電力に設定し、
電力を反応炉8111内に供給し、高周波グロー放電を
生起させる。このとき、マッチングボックス8115を
調整し、反射波が最小となるように調整し、高周波の入
射電力から反射電力を差し引いた値を所望の値に調整す
る。高周波電力の放電エネルギーによって反応炉811
1内に導入させた炭化水素などの原料ガスが分解され、
光導電層上に所定のa−C:H堆積膜が形成される。所
望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止
め、反応炉8111への各原料ガスの流入を止めて堆積
室内を一旦高真空に引き上げた後に表面層の形成を終え
る。この場合、a−C:Hから成る表面層に含有される
水素量を制御するためには、例えば基板温度を変化させ
たり、必要に応じて混合される水素ガス流量を変化させ
たり、高周波電力を変化させるといった方法で行うこと
ができる。
【0069】図9は、本発明の画像形成装置に用いられ
るa−Siからなる光受容部材を製造するために供され
る、VHF電源を用いたプラズマCVD法による堆積装
置の一例を模式的に示した図である。VHFプラズマC
VD法によるこの装置での堆積膜の形成は、以下のよう
に行なうことができる。
【0070】まず、反応炉9111内に導電性基体91
12を設置し、駆動装置9120によって基体9112
を回転し、不図示の排気装置(例えば拡散ポンプ)によ
り反応炉9111内を排気管9121を介して排気し、
反応炉9111内の圧力を1.33×10-5Pa以下に
調整する。続いて、加熱ヒーター9113により導電性
基体9112の温度を50〜500℃の所定の温度に加
熱保持する。
【0071】堆積膜形成用の原料ガスを反応炉9111
に流入させるには、ガスボンベのバルブ8231〜82
36、反応炉のリークバルブ(不図示)が閉じられてい
ることを確認し、又、流入バルブ8241〜8246、
流出バルブ8251〜8256、補助バルブ8260が
開かれていることを確認して、まずメインバルブ(不図
示)を開いて反応炉9111およびガス配管内を排気す
る。次に真空計(不図示)の読みが約6.65×10-4
Paになった時点で補助バルブ8260、流出バルブ8
251〜8256を閉じる。
【0072】その後、ガスボンベ8221〜8226よ
り各ガスをバルブ8231〜8236を開いて導入し、
圧力調整器8261〜8266により各ガス圧を2×1
5Paに調整する。次に、流入バルブ8241〜82
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
ー8211〜8216内に導入する。
【0073】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下のようにして導電性基体9112上に堆積膜の
形成を行う。
【0074】導電性基体9112が所定の温度になった
ところで流出バルブ8251〜8256のうちの必要な
ものおよび補助バルブ8260を徐々に開き、ガスボン
ベ8221〜8226から所定のガスをガス導入管(不
図示)を介して反応炉9111内の放電空間9130に
導入する。次にマスフローコントローラー8211〜8
216によって各原料ガスが所定の流量になるように調
整する。その際、放電空間9130内の圧力が133P
a以下の所定の圧力になるように真空計(不図示)を見
ながらメインバルブ(不図示)の開口を調整する。
【0075】圧力が安定したところで、例えば周波数5
00MHzのVHF電源(不図示)を所望の電力に設定
して、マッチングボックス9116介し、電極9115
を通じて放電空間9130にVHF電力を導入し、グロ
ー放電を生起させる。かくして基体9112により取り
囲まれた放電空間9130において、導入された原料ガ
スは、放電エネルギーにより励起されて解離し、基体9
112上に所定の堆積膜が形成される。この時、層形成
の均一化を図るため駆動装置9120によって、所望の
回転速度で回転させる。
【0076】所望の膜厚の形成が行われた後、VHF電
力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応炉へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0077】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容部材が形成される。
【0078】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応炉9111内、
流出バルブ8251〜8256から反応炉9111に至
る配管内に残留することを避けるために、流出バルブ8
251〜8256を閉じ、補助バルブ8260を開き、
さらにメインバルブ(不図示)を全開にして系内を一旦
高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0079】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作製条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0080】(トナー)本発明には、高速の画像形成装
置において転写材が定着器内を通過する時間が短くなっ
た場合や、省エネルギーのために定着温度を従来より下
げた場合においても良好な定着性が得られるトナーが用
いられる。
【0081】本発明のトナーに使用される結着樹脂とし
ては、下記の結着樹脂の使用が可能である。
【0082】例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロル
スチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびそ
の置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共
重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン
−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重
合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチ
ルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−イン
デン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニ
ル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹
脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エ
ポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テ
ルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが
使用できる。好ましい結着物質としては、スチレン系共
重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0083】スチレン系共重合体のスチレンモノマーに
対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−
2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリ
ル、メタクリルニトリル、アクリルアミドなどのような
二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;
例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メ
チル、マレイン酸ジメチルなどのような二重結合を有す
るジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、
酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエステ
ル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのよ
うなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケト
ン、ビニルヘキシルケトンなどのようなビニルケトン
類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテ
ル、ビニルイソブチルエーテルなどのようなビニルエー
テル類;等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用い
られる。
【0084】スチレン系重合体またはスチレン系共重合
体は架橋剤で架橋されていてもよく、また分子量および
/または組成の異なる樹脂を混合した混合樹脂でもかま
わない。
【0085】結着樹脂の架橋剤としては、主として2個
以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよ
い。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンな
どのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなど
のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジ
ビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィ
ド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3
個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合
物として用いられる。
【0086】該結着樹脂の合成方法としては、塊状重合
法、溶液重合法、懸濁重合法及び乳化重合法のいずれで
も良い。
【0087】塊状重合法では、高温で重合させて停止反
応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることも
できるが、反応をコントロールしにくい場合がある。溶
液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利用
して、また開始剤量や反応温度を調節することで低分子
量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、本発明
で用いる樹脂組成物の中で低分子量体を得る時には好ま
しい。
【0088】溶液重合で用いる溶媒としては、キシレ
ン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピル
アルコール等が用いられる。スチレンモノマー混合物の
場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ましい。重合
生成するポリマーによって適宜選択される。
【0089】反応温度としては、使用する溶媒、開始
剤、重合するポリマーによって異なるが、70〜230
℃で行なうのが良い。溶液重合においては溶媒100質
量部に対してモノマー30〜400質量部で行なうのが
好ましい。
【0090】更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を
混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合でき
る。
【0091】また、高分子量成分やゲル成分を得る重合
法としては、乳化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0092】このうち、乳化重合法は、水にほとんど不
溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水
相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行
なう方法である。この方法では反応熱の調節が容易であ
り、重合の行なわれる相(重合体と単量体からなる油
相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、そ
の結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。
さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重
合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造におい
て、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容
易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の
製造方法として他の方法に比較して有利である。
【0093】しかし、添加した乳化剤のため生成重合体
が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操
作が必要であるので懸濁重合が簡便な方法である。
【0094】懸濁重合においては、水系溶媒100質量
部に対して、モノマー100質量部以下、好ましくは1
0〜90質量部で行なうのが良い。使用可能な分散剤と
しては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール
部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、水系溶
媒に対するモノマー量等で適当量があるが、一般に水系
溶媒100質量部に対して0.05〜1質量部で用いら
れる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用す
る開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべき
である。また開始剤の種類としては、水に不溶或は難溶
のものであれば用いることが可能である。
【0095】使用する開始剤としては、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレ
ート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパ
ーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイ
ルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t
−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’
−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−
アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビ
ス(t−ブチルパーオキシカルボニル)シクロヘキサ
ン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、
n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリ
レート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタ
ン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、
ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,2−
ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシ
ル)プロパン、ジ−t−ブチルパーオキシα−メチルサ
クシネート、ジ−t−ブチルパーオキシジメチルグルタ
レート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフ
タレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼラート、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパー
オキシカーボネート)、ジ−t−ブチルパーオキシトリ
メチルアジペート、トリス(t−ブチルパーオキシ)ト
リアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラ
ン等が挙げられ、これらが単独あるいは併用して使用で
きる。
【0096】その使用量はモノマー100質量部に対
し、0.05質量部以上、好ましくは0.1〜15質量
部の濃度で用いられる。
【0097】本発明に用いられるポリエステル樹脂の組
成は以下の通りである。
【0098】2価のアルコール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また
(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0099】
【化1】
【0100】(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基
であり、x、yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、
x+yの平均値は0〜10である。) また(B)式で示されるジオール類;
【0101】
【化2】
【0102】(式中、R’は−CH2CH2−又は
【0103】
【化3】
【0104】であり、x’、y’は0以上の整数であ
り、かつ、x’+y’の平均値は0〜10である。)が
挙げられる。
【0105】2価の酸成分としては、例えばフタル酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベン
ゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエス
テル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級
アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデ
シルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアル
キルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステ
ル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタンコン
酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級ア
ルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が
挙げられる。
【0106】また、架橋成分としても働く3価以上のア
ルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ま
しい。
【0107】3価以上の多価アルコール成分としては、
例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロ
ール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、
1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタン
トリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオ
ール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,
3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0108】また、本発明における3価以上の多価カル
ボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリ
ット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,
5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフ
タレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボ
ン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−
ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシ
プロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、
1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポー
ル三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステ
ル;次式
【0109】
【化4】
【0110】(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以
上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレ
ン基)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの
無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及
びその誘導体が挙げられる。
【0111】本発明に用いられるアルコール成分として
は40〜60mol%、好ましくは45〜55mol
%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは5
5〜45mol%であることが好ましい。
【0112】また3価以上の多価の成分は、全成分中の
1〜60mol%であることも好ましい。
【0113】中でも、現像性,定着性,耐久性,クリー
ニング性の点からスチレン−不飽和カルボン酸誘導体共
重合体、ポリエステル樹脂、及びこれらのブロック共重
合体、グラフト化物、更にはスチレン系共重合体とポリ
エステル樹脂の混合物などが好ましい。本発明のトナー
に使用される結着樹脂のTg(ガラス転移点)は40〜
80℃、好ましくは50〜70℃であると、トナーの保
存性を損なうことなく、定着性を維持向上させることが
できる。
【0114】本発明に使用される結着樹脂としてはGP
C(ジェルパーメイションクロマトグラフィ)により測
定される分子量分布で3×103〜5×104の領域にピ
ークを有することが好ましく、更に105以上の領域に
もピークまたはショルダーを有することが定着性、耐久
性の点で好ましい。
【0115】また、耐オフセット性向上とトナー製造時
の混練物の溶融粘度の適正化のために結着樹脂のTHF
不溶分が0〜50質量%含有されていてもよい。
【0116】また、本発明に用いられる結着樹脂は良好
な定着性を維持するため、高分子量重合体成分と低分子
量重合体成分とを混合することで分子量分布の調整を図
ってもよい。
【0117】本発明に係るトナー中には上記結着樹脂成
分の他に、該結着樹脂成分の含有量より少ない割合で以
下の化合物を含有させてもよい。例えばシリコーン樹
脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキ
シ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、
テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフ
ィンの共重合体などが挙げられる。
【0118】本発明のトナーは荷電制御剤を含有する。
【0119】トナーを正荷電性に制御するものとしては
下記の物質がある。
【0120】ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成
物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ
−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、
及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム
塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及
びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタ
ングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモ
リブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェ
リシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金
属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサ
イド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガ
ノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチル
スズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジ
オルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾ
ール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて
用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメ
タン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級ア
ンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(a)
【0121】
【化5】
【0122】[式中、R1:H、CH3;R2、R3:置換
または未置換のアルキル基(好ましくは、C1〜C4)]
で表わされるモノマーの単重合体;前述したスチレン、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合
性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いる
ことができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹
脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0123】特に下記一般式(b)で表わされる化合物
が本発明の構成においては好ましい。
【0124】
【化6】
【0125】(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R
6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原
子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もし
くは未置換のアリール基を表わす。R7、R8、R9は、
各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロ
ゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表わす。A
-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸
イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸
イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほ
う酸イオン、テトラフルオロボレートなどの陰イオンを
示す。) トナーを負荷電性に制御するものとしては下記の物質が
ある。
【0126】例えば有機金属錯体、キレート化合物が有
効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯
体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボ
ン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシ
カルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金
属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノ
ール誘導体類などがある。
【0127】また次に示した一般式(c)で表わされる
アゾ系金属錯体が好ましい。
【0128】
【化7】
【0129】[式中、Mは配位中心金属を表わし、S
c、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Fe等があげ
られる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチ
ル基などがあげられ、置換基を有してもよい。この場合
の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシ
ル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、
アルコキシ基などがある。X、X’、Y、Y’は−O
−、−CO―、―NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4
のアルキル基)である。Kは水素、ナトリウム、カリウ
ム、アンモニウム、脂肪族アンモニウムあるいは無しを
示す。] 特に中心金属としてはFe、Crが好ましく、置換基と
してはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、
カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモ
ニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンタ
ーイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0130】あるいは、次の一般式(d)に示した塩基
性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発
明に使用できる。
【0131】
【化8】
【0132】[式中、Mは配位中心金属を表わし、C
r、Co、Ni、Mn、Fe、Zn、Al、Si、Bな
どが挙げられる。Aは
【0133】
【化9】
【0134】(アルキル基などの置換基を有していても
よい)、
【0135】
【化10】
【0136】(Xは、水素原子,ハロゲン原子,ニトロ
基,アルキル基を示す)および
【0137】
【化11】
【0138】(Rは、水素原子、C1〜C18のアルキル
又はアルケニル基を示す)を表わす。Yは水素、ナトリ
ウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウムあ
るいは無し等が挙げられる。Zは−O−あるいは
【0139】
【化12】
【0140】である。] 特に中心金属としてはFe、Cr、Si、Zn、Alが
好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、ア
リール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水
素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0141】電荷制御剤をトナーに含有させる方法とし
ては、トナー内部に添加する方法と外添する方法があ
る。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の
種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造
方法によって決定されるもので、一義的に限定されるも
のではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対し
て0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量
部の範囲で用いられる。
【0142】また、本発明においては、定着時の離型性
を良くする目的でワックスを含有することができる。
【0143】例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量
ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラ
フィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化
ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス
の酸化物;または、それらのブロック共重合物;カルナ
バワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワ
ックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス
類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一
部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さら
に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるい
は更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン
酸類などの、飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオ
ステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ス
テアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニル
アルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコー
ル、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル
基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコ
ール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノー
ル酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなど
の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、
エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン
酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなど
の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸ア
ミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’
−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイル
セバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キ
シレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリ
ルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ス
テアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステア
リン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金
属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族
炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニ
ル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベ
ヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコール
の部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによっ
て得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合
物などが挙げられる。本発明では、これらのワックスや
化合物を1種又は2種以上組み合わせて使用することが
でき、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量
部、好ましくは0.5〜10質量部使用するのが良い。
【0144】ワックスの分子量分布としては、分子量4
00〜10000の領域に、好ましくは700〜500
0の領域にメインピークを有することが良い。このよう
な分子量分布を持たせることによりトナーに好ましい熱
特性を付与することができる。
【0145】また、ワックスの示差熱分析における昇温
時の吸熱ピークを60〜150℃、好ましくは75〜1
40℃の領域に少なくとも1つ有することで、定着性や
転写性が更に向上し、適度な画像光沢性も得られる。
【0146】ワックスの示差熱分析における昇温時の吸
熱ピークは60〜150℃の領域に少なくとも1つあれ
ば効果があり、同時に昇温時の吸熱ピークが150℃を
超えるところにあっても構わない。また、60〜150
℃の領域に複数の昇温時の吸熱ピークがあっても良い。
但し、昇温時の吸熱ピークが60℃以下に存在する場合
は、画像濃度が低くなったり、保存性も不安定になる傾
向にあるので好ましくない。
【0147】ワックスは通常、樹脂を溶剤に溶解し、樹
脂溶液温度を上げ、攪拌しながら添加混合する方法や、
混練時に混合する方法などによって結着樹脂に含有され
る。
【0148】本発明中のトナーが、結着樹脂としてスチ
レン系共重合体を使用する時には、ワックスの効果を十
分に発揮させるとともに保存性,現像性の悪化を防ぐた
めに、以下のようなトナーが好ましい。トナーのGPC
による分子量分布において、3×103〜5×104の領
域、好ましくは3×103〜3×104の領域、特に好ま
しくは5×103〜2×104の領域に少なくともひとつ
のピーク(P1)が存在することで、良好な定着性,現
像性,耐ブロッキング性を得ることができる。
【0149】3×103未満では、良好な耐ブロッキン
グ性が得られず、5×104を超える場合には良好な定
着性が得られない傾向がある。また105以上の領域、
好ましくは3×105〜5×106の領域に少なくともひ
とつのピーク(P2)が存在し、3×105〜2×106
の領域に105以上の領域での最大ピークがあることが
特に好ましく、良好な耐高温オフセット性、耐ブロッキ
ング性、現像性が得られる。このピーク分子量は、大き
いほど高温オフセットには強くなるが、5×10 6以上
の領域ピークが存在する場合には、圧力のかけることの
できる熱ロールでは問題ないが、圧力のかけられない時
には、弾性が大きくなり定着性に影響を及ぼすようにな
る。従って、比較的圧力の低い加熱定着においては、3
×105〜2×106領域にピークが存在し、これが10
5以上の領域での最大ピークであることが好ましい。
【0150】また、105以下の領域の成分を50%以
上、好ましくは60〜90%、特に好ましくは65〜8
5%とする。この範囲内にあることで、良好な定着性を
示す。50%未満では、十分な定着性が得られないだけ
でなく粉砕性も劣るようになる。また90%を超えるよ
うな場合には、耐オフセット性に劣るようになる。
【0151】ポリエステル系樹脂の使用時には、トナー
のGPCによる分子量分布において分子量3×103
1.5×104の領域、好ましくは4×103〜1.2×
104の領域、特に好ましくは5×103〜1×104
領域にメインピークが存在することが好ましい。更に、
1.5×104以上の領域に少なくとも1つのピークま
たショルダーが存在するかあるいは5×104以上の領
域が5%以上であることが好ましい。またMw/Mnが
10以上であることも好ましい。
【0152】メインピークが3×103未満である場合
には、耐ブロッキング性,現像性が低下しやすくなる。
メインピークが1.5×104を超える場合には、良好
な定着性が得られなくなる。1.5×104以上の領域
にピーク,ショルダーが存在する場合や5×104以上
の領域が5%以上である場合やMw/Mnが10以上で
ある場合には良好な耐オフセット性が得られる。
【0153】また本発明のトナーは高転写性,帯電安定
性,現像性,流動性,耐久性向上のために無機微粉体を
添加することが好ましい。
【0154】無機微粉体としては公知のものが用いられ
るが、シリカ、アルミナ、チタニアあるいはその複酸化
物の中から選ばれることが好ましい。中でも、シリカで
あることが特に好ましい。例えば、かかるシリカは硅素
ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成さ
れたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾
式シリカ及びアルコキシド,水ガラス等から製造される
いわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及
びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、ま
たNa2O、SO3 2-等の製造残滓の少ない乾式シリカの
方が好ましい。
【0155】また乾式シリカにおいては、製造工程にお
いて例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン等の他の金
属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いるこ
とによって、シリカと他の金属酸化物との複合微粉体を
得ることも可能であり、それらも包含される。
【0156】本発明に用いられる無機微粉体はBET法
で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以
上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結
果を与え、トナー100質量部に対してシリカ微粉末
0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜5質量部、さら
に好ましくは1.0〜3.0質量部使用するのが特に好
ましい。
【0157】また、本発明に用いられる無機微粉体は、
疎水化、帯電性制御等の目的でシリコーンワニス(各種
変性シリコーンワニスを含む)、シリコーンオイル(各
種変性シリコーンオイルを含む)、シランカップリング
剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他有機
硅素化合物,有機チタン化合物等の処理剤で、あるい
は、種々の処理剤を併用して処理されていることも可能
であり好ましい。
【0158】シリコーンオイル処理の方法としては、例
えばシランカップリング剤で処理されたシリカ微粉体と
シリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を
用いて直接混合してもよいし、ベースとなる無機微粉体
にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あ
るいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分
散せしめた後、無機微粉体を加えて混合し、溶剤を除去
する方法でもよい。また、処理後に無機微粉体を不活性
ガス中で200℃以上、より好ましくは250℃以上に
加熱し、表面コートを安定化させることがより好まし
い。
【0159】本発明のトナーにおいては、必要に応じて
更に他の添加剤、例えばテフロン(登録商標)粉末、ス
テアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き
滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、チタン酸
ストロンチウム粉末などの研磨剤;例えば酸化チタン粉
末、酸化アルミニウム粉末などの流動性付与剤;ケーキ
ング防止剤、あるいは例えばカーボンブラック粉末、酸
化亜鉛粉末、酸化スズ粉末等の導電性付与剤、また、逆
極性の有機微粒子及び無機微粒子を現像性向上剤として
少量用いることもできる。
【0160】本発明のトナーは、キャリアと併用して二
成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に
用いる場合のキャリアとしては、従来知られているもの
がすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化また
は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロ
ム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物など
の平均粒径20〜300μmの粒子が好ましく使用され
る。
【0161】またそれらキャリア粒子の表面に、スチレ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素
系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着または被覆さ
せたもの等が好ましく使用される。
【0162】本発明のトナーは更に磁性材料を含有させ
磁性トナーとしても使用しうる。この場合、磁性材料は
着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、
磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイ
ト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバル
ト、ニッケルのような金属或いはこれらの金属とアルミ
ニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜
鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、
カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステ
ン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物等
が挙げられる。
【0163】これらの磁性材料は平均粒子径が2μm以
下、好ましくは0.1〜0.5μm程度のものが好まし
い。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100質
量部に対し約20〜200質量部、特に好ましくは樹脂
成分100質量部に対し40〜150質量部が良い。
【0164】本発明のトナーに使用し得る着色剤として
は、任意の適当な顔料又は染料があげられる。トナーの
着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラック、
アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイ
エロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリ
ンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダン
スレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を
維持するのに必要充分な量が用いられ、樹脂100質量
部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10
質量部の添加量が良い。また同様の目的で、更に染料が
用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染
料、キサンテン系染料、メチン系染料があり樹脂100
質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは0.3
〜10質量部の添加量が良い。
【0165】本発明に係る静電荷像現像用トナーを作製
するには、上記結着樹脂、荷電制御剤、ワックス、金属
塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔料、又は染料、
磁性体、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボ
ールミル等の混合機により充分混合し、加熱ロール、ニ
ーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融
混練して樹脂類を互いに相溶せしめ、更に金属化合物、
顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後
粉砕及び分級を行って本発明に係るトナーを得ることが
出来る。
【0166】また、本発明のトナーを得るための他の方
法として、重合法によってトナーを製造することが可能
である。懸濁重合法トナーは重合性単量体及び本発明の
帯電制御剤、顔料又は染料、磁性酸化鉄、重合開始剤、
更に必要に応じて架橋剤及びその他の添加剤、を均一に
溶解または分散せしめて単量体組成物とした後、この単
量体組成物あるいはこの単量体組成物をあらかじめ重合
したものを、分散安定性を有する連続相、例えば水、中
に適当な攪拌機を用いて分散し、同時に重合反応を行わ
せ、所望の粒径を有するトナーとしたものである。
【0167】さらに必要に応じて流動性や帯電安定性の
向上等を図るため、所望の添加剤をヘンシェルミキサー
等の混合機により充分混合し、本発明に係るトナーを得
ることができる。
【0168】本発明のトナーは、重量平均粒径が3〜1
1μmであり、好ましくは5〜10μmである。重量平
均粒径が11μmを超えると、現像工程において現像に
必要なトナー帯電量が不足し、トナー担持体上で比較的
高い帯電量を示す粒径の小さいトナーのみが選択的に現
像される為に、多数枚の現像を繰り返すうちに該担持体
上トナー粒径が粗大化することによって更に帯電量が減
少し、結果的に現像不足による画像濃度低下が生じやす
くなる。また逆に、重量平均粒径が3μm未満の場合
は、トナーの帯電量が過剰となり、トナーとトナー担持
体との鏡映力が過大となる為に、現像工程におけるトナ
ーの光受容部材への付着量が減少するために、やはり画
像濃度低下を引き起こしやすくなる。
【0169】(トナーに関わる物性の測定方法)本発明
のトナーに係る物性の測定方法は以下のとおりである。
【0170】[Tg(ガラス転移点温度)]Tg(ガラ
ス転移点温度)の測定方法は、示差走査熱量計(DSC
測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)を用
いて、ASTM D 3418−82に準じて行う。
【0171】測定試料は5〜20mg、好ましくは10
mgを精密に秤量する。これをアルミバン中に入れ、リ
ファレンスとして空のアルミバンを用い、測定温度範囲
30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温
常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度40〜10
0℃の範囲における昇温時の吸熱ピークが得られる。こ
のときのメインの吸熱ピークが出る前と出た後のベース
ラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明にお
けるTg(ガラス転移点温度)とする。
【0172】(結着樹脂及びトナーの分子量分布測定)
結着樹脂及びトナーのGPCによるクロマトグラムの分
子量分布は次の条件で測定される。
【0173】40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定
化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF
(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、T
HF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の
分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、
数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検
量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量
線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、
東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102
107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準
ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出
器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なおカラムとし
ては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合
わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex
GPC KF−801、802、803、804、8
05、806、807、800Pの組み合わせや、東ソ
ー社製のTSKgelG1000H(HXL)、G20
00H(HXL)、G3000H(HXL)、G400
0H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000
H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgua
rdcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0174】また、試料は以下のようにして作製する。
【0175】試料をTHF中に入れ、数時間放置した
後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がな
くなるまで)、更に12時間以上静置する。このときT
HF中への放置時間が24時間以上となるようにする。
その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45
〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25
−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマ
ン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通
過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度
は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整
する。
【0176】(THF不溶分の測定)THF不溶分は次
の条件で測定される。
【0177】結着樹脂あるいはトナーを秤量し、円筒ろ
紙(例えばNo.86Rサイズ28×10mm 東洋ろ
紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒と
してTHF200mlを用いて、6時間抽出する。この
とき、THFの抽出サイクルが約4〜5分に1回になる
ような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を
取り出し、秤量することによって不溶分を得る。
【0178】トナーが樹脂成分以外の磁性体又は顔料の
如き、THF不溶分を含有している場合、円筒ろ紙に入
れたトナーの重量をW1gとし、抽出されたTHF可溶
樹脂成分の重量をW2gとし、トナーに含まれている樹
脂成分以外のTHF不溶成分の重量をW3gとすると、
トナー中の樹脂成分のTHF不溶分の含有量は下記式か
ら求められる; THF不溶分(重量%)=100×[W1−(W3+W
2)]/(W1−W3)。
【0179】(ワックスの分子量分布)ワックスの分子
量分布はGPCにより次の条件で測定される; 装置 :GPC−150C(ウォーターズ社)、 カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)、 温度 :135℃、 溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール
添加)、 流速 :1.0ml/min、 試料 :0.15%の試料を0.4ml注入。
【0180】以上の条件で測定し、試料の分子量算出に
あたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した
分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Hou
wink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン
換算することによって算出される。
【0181】(ワックスの昇温時の吸熱ピーク)ワック
スの昇温時の吸熱ピークの測定は、示差走査熱量計(D
SC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)
を用いて、ASTM D 3418−82に準じて測定
する。
【0182】測定試料は2〜10mg、好ましくは5m
gを精密に秤量する。
【0183】これをアルミバン中に入れ、リファレンス
として空のアルミバンを用い、測定温度範囲30〜20
0℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測
定を行う。
【0184】この昇温過程で、温度30〜200℃の範
囲におけるDSC曲線の吸熱ピークが得られる。
【0185】(トナーの重量平均粒径)トナーの重量平
均粒径は、測定装置としてコールターマルチサイザー
(コールター社製)を用いる。電解液は特級又は1級塩
化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティ
フィックジャパン社製)が使用できる。測定方法として
は、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤とし
て界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸
塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料であるトナーを
2〜20mgを加える。試料を懸濁した電解液は超音波
分散機で約1〜3分間分散処理を行い、100μmアパ
ーチャーを用いて、トナーの体積、個数を測定して体積
分布と個数分布とを算出した。それから本発明に係わる
重量平均粒径を、該体積分布から求めた(各チャンネル
の中央値をチャンネル毎の代表値とする)。
【0186】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではな
い。
【0187】(実施例1)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体
上に下部阻止層、光導電層を順次積層し、光受容部材を
作製した。次に表2に示した条件で表面層を作製し、表
面層の表面自由エネルギーを変化させた。
【0188】同時に、鏡面研磨したSiウェハー上に表
2と同様の製造条件で表面層のみを1μm堆積し、赤外
吸収測定用サンプルを作製した。
【0189】このように作製した光受容部材に次のトナ
ーを組み合わせて図1に示す画像形成装置で画像評価を
行った。
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】 (トナー製造条件) スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸 ブチル−ハーフエステル共重合体(Tg60.1℃) 100質量部 マグネタイト(平均粒径:0.2μm) 100質量部 低分子量ポリプロピレン (示差熱分析吸熱ピーク:135℃、ピーク分子量3500) 4質量部 下記構造で示すアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
【0193】
【化13】
【0194】上記材料を予備混合した後に、130℃に
設定した二軸混練押し出し機によって溶融混練を行なっ
た。混練物を冷却後、粗粉砕をし次いでジェット気流を
用いた粉砕機によって微粉砕をし、さらに風力分級機を
用いて分級した。さらに、機械的衝撃力により表面処理
し黒色粉体(トナー粒子(1))を得た。トナー粒子
(1)中の結着樹脂のTHF不溶分は0質量%であっ
た。
【0195】上記トナー粒子(1)100質量部に対し
て、ヘキサメチルジシラザン/ジメチルシリコーンオイ
ル処理乾式シリカ1.2質量部とをヘンシェルミキサー
で攪拌混合し負帯電性トナーを得た。
【0196】得られた負帯電性トナーの重量平均粒径は
7.8μm、ピーク分子量は3×104であった。
【0197】評価は次のように行った。
【0198】(表面自由エネルギー評価方法)作製した
光受容部材の表面自由エネルギー(γ)は、協和界面
(株)製の接触角計CA−SROLLを使用して、純
水、ヨウ化メチレン、α−ブロモナフタレンの3種類の
試薬の感光体表面への接触角を測定し、その値を同社製
表面自由エネルギー解析ソフト「EG−11」に代入し
て算出した。
【0199】(融着評価方法)光受容部材を図1に示し
た構成のキヤノン製複写機NP−6085の改造機に搭
載し、加温手段123により光受容部材101の表面温
度が50℃になるようにコントロールし、25℃相対湿
度10%の環境条件で、光受容部材101の移動速度を
400mm/secとし、A4版の連続通紙耐久試験を
10万枚行い、融着の評価を行った。但し、原稿は白地
に1mm幅の黒ラインがたすき状に1本プリントされた
1ラインチャートを使用した。
【0200】耐久実験終了後、現像器104位置に於け
る暗部電位が400Vになるように主帯電器102の帯
電電流量を調整し、原稿台111にベタ白の原稿112
を置き、明部電位が50Vになるようにハロゲンランプ
110の点灯電圧を調整し、A3版のベタ白画像を作製
した。この画像によって現像剤の融着により発生する黒
ポチを観察し、更に顕微鏡により光受容部材表面を観察
する。
【0201】融着の評価は、比較例1での融着発生ラン
クを100とした相対比較である。従って、数値が小さ
いほど融着の発生個数が少なく、良好である事を示す。
【0202】(フィルミング評価方法)上記の条件でA
4版の連続通紙10万枚耐久実験をおこなった光受容部
材について、表面層の膜厚を反射分光計で測定した。次
に、100μmのアルミナ粉を濡れた柔らかい布につ
け、光受容部材表面を軽く10回擦った。この時の力加
減は、あらかじめ新品の光受容部材を擦った際に表面層
が削れないことを確認した程度の力で行った。
【0203】その後、再度反射分光計で表面層の膜厚を
測定し、その差分をフィルミング量と規定した。
【0204】フィルミング量の評価は、比較例1でのフ
ィルミング量を100とした相対比較である。従って、
数値が小さいほどフィルミングの発生個数が少なく、良
好である事を示す。
【0205】(削れ量評価方法)上記の10万枚耐久実
験前の表面層の膜厚をあらかじめ反射式分光計で測定し
ておく。この膜厚から、上記のフィルミングを除去した
後の表面層の膜厚を差し引き、その差を削れ量と定義し
た。
【0206】削れ量の評価は、比較例1での削れ量を1
00とした相対比較である。従って、数値が小さいほど
削れが少なく、良好である事を示す。
【0207】(水素量の定量)Siウェハー上に成膜し
た表面層サンプルを用い、赤外分光光度計により赤外吸
収スペクトルを測定した。そして、a−C膜の場合に
は、2960cm-1付近に現れるC−Hnの吸収ピーク
の面積と膜厚から膜中水素量を求めた。また、a−Si
C膜の場合には、2920cm-1付近に現れるC−Hn
の吸収ピークから求めた膜中水素量と、2000cm-1
付近に現れるSi−Hnの吸収ピークから求めた膜中水
素量を合計することで膜中水素量を求めた。
【0208】(比較例1)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体
に下部阻止層、光導電層を順次積層し、光受容部材を作
製した。次に表3に示した条件で表面層を更に積層し
た。本比較例では表面層は従来のa−SiCとした。
【0209】同時に、鏡面研磨したSiウェハー上に表
3と同様の製造条件で表面層のみを1μm堆積し、赤外
吸収測定用サンプルを作製した。
【0210】このように作製した光受容部材に実施例1
と同じトナーを組み合わせて実施例1と同様の評価を行
った。
【0211】
【表3】
【0212】(比較例2)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表1に示した条件により円筒形のAl基体
に下部阻止層、光導電層を順次積層し、光受容部材を作
製した。次に表2に示した条件で表面層を更に積層し
た。但し、本比較例では表面層の表面自由エネルギーは
本発明外に成るように調整した。同時に、鏡面研磨した
Siウェハー上に同様の製造条件で表面層のみを1μm
堆積し、赤外吸収測定用サンプルを作製した。
【0213】このように作製した光受容部材に実施例1
と同じトナーを組み合わせて実施例1と同様の評価を行
った。
【0214】実施例1、比較例1、比較例2の結果をま
とめて表4に示す。表4の結果から本発明の効果は表面
自由エネルギーを35〜65mN/mに制御したa−
C:H表面層にすることによって、定着性の良いトナー
と組み合わせても融着、フィルミングなどの弊害が出
ず、また削れも発生しないため、長期間に渡って安定し
て使用できることが分かる。
【0215】
【表4】
【0216】(実施例2)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表5に示した条件により円筒形のAl基体
上に下部阻止層、光導電層、a−SiCからなるバッフ
ァ層、表面層を順次積層し、光受容部材を完成させた。
本実施例ではa−C:H表面層の成膜時の基板温度を変
化させることで、膜中に含有される水素原子の量を変化
させた。この膜中水素量については鏡面研磨したSiウ
ェハー上に、同様の条件で表面層のみを1μm堆積する
ことにより、赤外吸収測定によって求めた。
【0217】
【表5】
【0218】このように作製した光受容部材に次のトナ
ーを組み合わせて画像評価を行った。
【0219】 (トナー製造条件) ポリエステル樹脂(プロポキシ化及びエポキシ化されたビスフェノールと フマル酸とトリメリット酸の縮重合体(Tg58.2℃) 100質量部 マグネタイト(平均粒径:0.2μm) 90質量部 長鎖アルキルアルコール(示差熱分析吸熱ピーク:105℃、 ピーク分子量830) 4質量部 下記構造で示すアゾ系鉄錯体化合物 2質量部
【0220】
【化14】
【0221】上記材料を予備混合した後に、130℃に
設定した二軸混練押し出し機によって溶融混練を行なっ
た。混練物を冷却後、粗粉砕をしジェット気流を用いた
粉砕機によって微粉砕をし、さらに風力分級機を用いて
分級し、黒色粉体(トナー粒子(2))を得た。トナー
粒子(2)中の結着樹脂のTHF不溶分は25質量%で
あった。
【0222】上記トナー粒子(2)100質量部に対し
て、ヘキサメチルジシラザン処理乾式シリカ1.0質量
部をヘンシェルミキサーで攪拌混合し負荷電性トナーを
得た。得られた負荷電性トナーの重量平均粒径は8.0
μm、ピーク分子量は8×103であった。
【0223】この様に作製した光受容部材を実施例1と
同様に評価した。
【0224】(比較例3)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表5に示した条件により円筒形のAl基体
に下部阻止層、光導電層、a−SiCからなるバッファ
層、表面層を順次積層し、光受容部材を完成させた。本
比較例ではa−C:H表面層の成膜時の水素量を変化さ
せることによって、膜中に含有される水素原子の量が3
0原子%、60原子%と成るように条件を決定した。
【0225】このように作製した光受容部材に実施例1
と同じトナーを組み合わせて実施例1と同様の評価を行
った。
【0226】実施例2、比較例3の結果をまとめて表6
に示す。表6の結果から本発明の効果は膜中の水素量が
35原子%〜55原子%の範囲にあるときに特に良好で
あることが判明した。
【0227】
【表6】
【0228】(実施例3)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表7に示した条件により円筒形のAl基体
上に下部阻止層、光導電層、a−SiCから成るバッフ
ァ層、表面層を順次積層し、光受容部材を完成させた。
本実施例ではa−C:H表面層の成膜時にC26ガスと
CH4ガスを用い、膜中に水素原子とフッ素原子を含有
させた。
【0229】表面層の膜中水素量、フッ素量については
鏡面研磨したSiウェハー上に表面層のみを1μm堆積
することにより、赤外吸収測定によって求めた。
【0230】
【表7】
【0231】このように作製した光受容部材に実施例2
のトナーを組み合わせて実施例1と同様に画像評価を行
った。
【0232】実施例3の結果を表8に示す。表8の結果
から本発明の効果は膜中の水素とフッ素の含有量の合計
が35原子%〜55原子%の範囲にあるときに特に良好
であることが判明した。
【0233】
【表8】
【0234】(実施例4)図8に記載のプラズマCVD
装置を用いて表9に示した条件により円筒形のAl基体
上に電荷輸送層、電荷発生層、表面層を順次積層し、負
帯電で用いられる光受容部材を完成させた。この状態で
表面自由エネルギーを測定したところ、52mN/mで
あった。また、鏡面研磨したSiウェハー上に同様の製
造条件で表面層のみを1μm堆積し、サンプルを作製
し、水素量を測定したところ、39原子%であった。
【0235】このように作製した光受容部材に次のトナ
ーを組み合わせて画像評価を行った。
【0236】
【表9】
【0237】 (トナー製造条件) スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(Tg58.5℃) 100質量部 マグネタイト(平均粒径:0.2μm) 90質量部 低分子量ポリエチレン(示差熱分析吸熱ピーク:110℃、 ピーク分子量1200) 4質量部 下記構造で示すトリフェニルメタン化合物 2質量部
【0238】
【化15】
【0239】上記材料を予備混合した後に、130℃に
設定した二軸混練押し出し機によって溶融混練を行なっ
た。混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた
粉砕機によって微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分
級した。
【0240】さらに、機械的衝撃力により表面処理し黒
色粉体(トナー粒子(3))を得た。トナー粒子(3)
の結着樹脂のTHF不溶分は0質量%であった。
【0241】上記トナー粒子(3)100質量部に対し
て、アミノ変性シリコーンオイル処理乾式シリカ0.8
質量部をヘンシェルミキサーで攪拌混合し、正荷電性ト
ナーを得た。
【0242】得られた正荷電性トナーの重量平均粒径は
7.3μm、ピーク分子量は、1.2×104と4.5
×105であった。
【0243】本実施例においては、図1に示す評価装置
の帯電部材を負帯電ドラム用に変更し、更に定着器の設
定温度を変化させて画像出しを行った。画像出しした
後、得られた画像を消しゴムで擦ることで定着性を観察
した。
【0244】結果は次の4つの評価基準で示した; ◎…かなり強く擦っても、画像は全く薄くならず、定着
性は非常に良好、 ○…かなり強く擦った場合に限って、やや画像が薄くな
るが、通常の使用では全く問題がない、 △…強く擦ると画像が薄くなり、問題となる場合があ
る、 ×…軽く擦っただけで画像が薄くなり、定着不良であ
る。
【0245】結果を表10に示した。この結果から分か
るように、本発明のトナーを用いることで、定着温度を
通常設定の200℃よりも低い設定にしても定着性に何
ら問題がないことが判明した。従って、本発明のトナー
と光受容部材を組み合わせて用いることにより、省エネ
ルギーで融着などの画像欠陥の発生しない複写方法が得
られることが判明した。
【0246】
【表10】
【0247】(実施例5)図9に記載のVHFプラズマ
CVD装置を用いて表11に示した条件により円筒形の
Al基体上に下部阻止層、光導電層、バッファ層、表面
層を順次積層し、光受容部材を完成させた。VHF電源
は105MHzの発振周波数のものを用いた。この状態
で表面自由エネルギーを測定したところ、38mN/m
であった。また、鏡面研磨したSiウェハー上に同様の
製造条件で表面層のみを1μm堆積し、サンプルを作製
し、水素量を測定したところ、45原子%であった。
【0248】
【表11】
【0249】以上の手順で作製した光受容部材に実施例
4のトナーを組み合わせ、図1に示す評価装置を負帯電
ドラム用に変更した改造機を用いて実施例1と同様の評
価を行った。
【0250】結果を表12に示す。表12の結果からV
HFプラズマCVD法によって作製した光受容部材にお
いても、同様に本発明の効果が充分に得られることが判
明した。
【0251】
【表12】
【0252】
【発明の効果】本発明は、少なくとも結着樹脂、荷電制
御剤及びワックスを含有し、該トナーの重量平均粒径が
3〜11μm、該結着樹脂のTgが40〜80℃、該ワ
ックスが分子量400〜10000の領域にメインピー
クを有し、該ワックスが示差熱分析における昇温時の吸
熱ピークを60〜150℃の領域に少なくとも1つ有す
る静電荷像現像用トナーと、導電性基体上にシリコン原
子を母体とする非単結晶材料から成る光導電層と、表面
層の水素含有量を35%以上55%以下、表面自由エネ
ルギー(γ)の値が、35〜65mN/mの範囲である
非単結晶炭素から成る表面層を有する光受容部材を組み
合わせることによって、定着器の設定温度を下げること
が出来、これにより低消費電力を達成し、かつ、どのよ
うな環境下においても融着やフィルミングによる画像不
良が発生せず、長期間にわたる使用においても、光受容
部材に傷や摩耗が発生せず、常に鮮明な画像が得られ
る、耐久性に富んだ画像形成方法及び画像形成装置を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の一例を説明する模式的断面図で
ある。
【図2】本発明による光受容部材の好適な実施態様例の
構成を説明するための模式的断面図である。
【図3】本発明による光受容部材の好適な実施態様例の
他の構成を説明するための模式的断面図である。
【図4】本発明による光受容部材の好適な実施態様例の
他の構成を説明するための模式的断面図である。
【図5】本発明による光受容部材の好適な実施態様例の
他の構成を説明するための模式的断面図である。
【図6】本発明による光受容部材の好適な実施態様例の
他の構成を説明するための模式的断面図である。
【図7】本発明による光受容部材の好適な実施態様例の
他の構成を説明するための模式的断面図である。
【図8】本発明における光受容部材を形成するための装
置の一例を示すものであり、RFグロー放電法による製
造装置の模式的説明図である。
【図9】本発明における光受容部材を形成するための装
置の他の一例を示すものであり、VHFグロー放電法に
よる量産型の製造装置の模式的説明図である。
【符号の説明】
101 光受容部材 102 主帯電器 103 静電潜像形成部位 104 現像器 105 転写紙供給系 106(a) 転写帯電器 106(b) 分離帯電器 107 クリーナー 108 搬送系 109 除電光源 110 ランプ 111 原稿台 112 原稿 113、114、115、116 ミラー 117 レンズユニット 118 レンズ 119 給紙ガイド 120 ブランク露光LED 121 クリーニングブレード 122 レジストローラー 123 面状ヒーター 124 定着器 125 クリーナー 201、301、401、501、601、701
導電性基体 202、302、402、502、602、702
光導電層 203、303、403、503、603、703
表面層 304、504、704 バッファ層 405、505、605、705 下部阻止層 606 電荷輸送層 607 電荷発生層 8100、9100 堆積装置 8111、9111 反応炉 8112、9112 導電性基体 8113、9113 加熱ヒーター 8114 ガス導入管 8115 マッチングボックス 8117 真空ポンプ 8118 メインバルブ 8120 上蓋 8124 真空計 8125 基体ホルダー 8200 原料ガス供給装置 8211〜8216 マスフローコントローラー 8221〜8226 ガスボンベ 8231〜8236 バルブ 8241〜8246 流入バルブ 8251〜8256 流出バルブ 8261〜8266 圧力調整器 8260 補助バルブ 9115 電極 9116 マッチングボックス 9120 駆動装置 9121 排気管 9130 放電空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/087 G03G 9/08 365 9/097 321 9/08 365 344 (72)発明者 岡村 竜次 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 CA14 DA01 EA03 EA05 EA06 EA10 2H068 DA04 DA05 DA06 DA07 DA14 DA17 DA19 DA24

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体と、少なくとも水素原子およ
    び/またはハロゲン原子を含有するシリコン原子を母体
    とする非単結晶材料から成る光導電層と、少なくとも水
    素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶炭素から
    なる表面層を有する光受容部材に静電潜像を形成し、静
    電荷像現像用トナーで静電潜像を現像し、現像イメージ
    を転写部材に転写し、定着する画像形成方法において、
    該表面層として少なくとも水素原子またはハロゲン原子
    を35原子%以上55原子%以下含有し、該表面層の表
    面自由エネルギー(γ)の値が、35〜65mN/mの
    範囲である光受容部材を用い、該静電荷像現像用トナー
    として、少なくとも結着樹脂、荷電制御剤及びワックス
    を含有し、該トナーの重量平均粒径が3〜11μmであ
    り、該結着樹脂のTg(ガラス転移点温度)が40〜8
    0℃であり、該ワックスが分子量400〜10000の
    領域にメインピークを有し、該ワックスが示差熱分析に
    おける昇温時の吸熱ピークを60〜150℃の領域に少
    なくとも1つ有する静電荷像現像用トナーを用いること
    を特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 前記光導電層と前記表面層の間に、更に
    バッファ層を設けた前記光受容部材を用いることを特徴
    とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 【請求項3】 前記バッファ層がシリコン原子を母体と
    し、更に炭素原子、窒素原子および酸素原子から選ばれ
    る少なくとも1種以上の原子を含有する非単結晶材料で
    構成された前記光受容部材を用いることを特徴とする請
    求項2に記載の画像形成方法。
  4. 【請求項4】 前記表面自由エネルギーの値が、40〜
    60mN/mの範囲である前記光受容部材を用いること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成
    方法。
  5. 【請求項5】 前記γは、拡張Forkesの理論によ
    り算出、導き出したものであることを特徴とする請求項
    1乃至4の何れかに記載の画像形成方法。
  6. 【請求項6】 重量平均粒径が5〜10μmである前記
    トナーを用いることを特徴とする請求項1乃至5の何れ
    かに記載の画像形成方法。
  7. 【請求項7】 示差熱分析における昇温時の吸熱ピーク
    を75〜140℃の領域に少なくとも1つ有する前記ト
    ナーを用いることを特徴とする請求項1乃至6の何れか
    に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記結着樹脂のTgが50〜70℃であ
    る前記トナーを用いることを特徴とする請求項1乃至7
    の何れかに記載の画像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記ワックスが分子量700〜5000
    の領域にメインピークを有する前記トナーを用いること
    を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の画像形成
    方法。
  10. 【請求項10】 導電性基体と、少なくとも水素原子お
    よび/またはハロゲン原子を含有するシリコン原子を母
    体とする非単結晶材料から成る光導電層と、少なくとも
    水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶炭素か
    らなる表面層を有する光受容部材に静電潜像を形成し、
    静電荷像現像用トナーで静電潜像を現像し、現像イメー
    ジを転写部材に転写し、定着する画像形成装置におい
    て、該表面層が少なくとも水素原子またはハロゲン原子
    を35原子%以上55原子%以下含有し、該表面層の表
    面自由エネルギー(γ)の値が、35〜65mN/mの
    範囲である光受容部材であり、該静電荷像現像用トナー
    として、少なくとも結着樹脂、荷電制御剤及びワックス
    を含有し、該トナーの重量平均粒径が3〜11μmであ
    り、該結着樹脂のTg(ガラス転移点温度)が40〜8
    0℃であり、該ワックスが分子量400〜10000の
    領域にメインピークを有し、該ワックスが示差熱分析に
    おける昇温時の吸熱ピークを60〜150℃の領域に少
    なくとも1つ有する静電荷像現像用トナーであることを
    特徴とする画像形成装置。
  11. 【請求項11】 前記光受容部材において、前記光導電
    層と前記表面層の間に、更にバッファ層を設けたもので
    ある請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 前記バッファ層がシリコン原子を母体
    とし、更に炭素原子、窒素原子および酸素原子から選ば
    れる少なくとも1種以上の原子を含有する非単結晶材料
    で構成されたものである請求項11に記載の画像形成装
    置。
  13. 【請求項13】 前記表面自由エネルギーの値が、更に
    40〜60mN/mの範囲である請求項10乃至12の
    何れかに記載の画像形成装置。
  14. 【請求項14】 前記γは、拡張Forkesの理論に
    より算出、導き出したものである請求項10乃至13の
    何れかに記載の画像形成装置。
  15. 【請求項15】 前記トナーの重量平均粒径が5〜10
    μmである請求項10乃至14の何れかに記載の画像形
    成装置。
  16. 【請求項16】 前記トナーの示差熱分析における昇温
    時の吸熱ピークを75〜140℃の領域に少なくとも1
    つ有するものである請求項10乃至15の何れかに記載
    の画像形成装置。
  17. 【請求項17】 前記結着樹脂のTgが50〜70℃で
    ある請求項10乃至16の何れかに記載の画像形成装
    置。
  18. 【請求項18】 前記ワックスが分子量700〜500
    0の領域にメインピークを有するものである請求項10
    乃至17の何れかに記載の画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090053634A1 (en) * 2006-03-30 2009-02-26 Mitsubishi Chemical Corporation Image Forming Apparatus
US7693453B2 (en) 2003-02-14 2010-04-06 Sharp Kabushiki Kaisha Image forming apparatus equipped with an electrographic photoreceptor having a surface with low surface free energy
CN102253401A (zh) * 2011-04-28 2011-11-23 上海交通大学 用于层析γ扫描测量的机械装置

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