JP3261565B2 - 画像形成方法及び静電荷像現像用トナー - Google Patents

画像形成方法及び静電荷像現像用トナー

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JP3261565B2
JP3261565B2 JP24688096A JP24688096A JP3261565B2 JP 3261565 B2 JP3261565 B2 JP 3261565B2 JP 24688096 A JP24688096 A JP 24688096A JP 24688096 A JP24688096 A JP 24688096A JP 3261565 B2 JP3261565 B2 JP 3261565B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法,静電
記録法,静電印刷法等において形成される静電荷像をト
ナーを用いて現像する工程を有する画像形成方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子写真、静電記録システムは原稿画像
に対し露光を行い、その反射光を感光体に露光し潜像を
得るアナログ方式が一般に行われている。これに対し、
原稿反射光を電気信号に変換し、その信号を処理した
後、それに基づきレーザー光、LED光等を直接感光体
上に照射し潜像を形成させるデジタル方式を用いた電子
写真、静電記録システムが近年商品化されている。
【0003】デジタルな画像信号を使用している電子写
真システムの多くは発光体(半導体レーザー等)が画像
信号に従いオン−オフ(ON−OFF)され、その光が
感光体上に投影される。この際、通常、印字率(1頁当
りの印字面積の割合)は3割以下であり、文字部分に対
して露光を行う方式いわゆる反転現像が、発光体寿命の
点で優位である。そのため、潜像が、一定電位ドット
(画素単位)が集まって形成されており、ベタ部,ハー
フトーン部およびライト部はドット密度をかえることに
より表現されている。ところが、ドットに忠実にトナー
粒子がのらず、ドットからトナー粒子がはみ出した状態
では微細なラインの再現性が得られないという問題があ
る。
【0004】さらに画質を向上させるためにドットサイ
ズを小さくして解像度を向上させる場合には、微小なド
ットから形成される潜像の再現像がさらに困難になり、
解像度の悪い画像になる傾向がある。
【0005】また、デジタル反転潜像を形成させる時、
半導体レーザー等で行われる場合には、800nm付近
の赤外域に分光感度をもつ感光ドラムが用いられてい
る。
【0006】この領域に分光感度を持つ感光体として
は、アモルファスシリコン(以後a−Siと記す。)感
光体がある。該a−Si感光体は耐熱性,耐摩擦性等の
耐久性、感度領域が広い上高感度であるため、種々のレ
ーザー光を用いることができ、複写機等の高速化、多機
能化が図れるものである。しかしながら、a−Si感光
体はこうした利点を有する反面、コスト及び量産性の点
から、膜厚を厚くすることは一般には難しく、実用的な
a−Si感光体では帯電能を上げることができず、低電
位コントラストで現像しうるトナーを用いる必要とな
る。
【0007】しかしながら、現状においては、低電位で
現像することのできる、高い現像能力を有したトナーと
して十分なものが得られておらず、a−Si感光体を使
用してデジタル反転潜像を現像することは困難とされて
いる。
【0008】また、a−Si感光体は高表面硬度で高耐
刷性能を持っているが、その反面感光体表面が削られに
くいという問題がある。電子写真プロセスにおいて感光
体上に現像されたトナーは紙等の転写材に転写される
が、その際に転写されずに感光体上に残ったトナーはシ
リコンブレード等のクリーニング部材により除去され
る。そこで完全には除去しきれずに残ったトナーが感光
体表面に融着する場合があるが、通常は融着したトナー
はその後の現像及び転写プロセスによって感光体表面と
ともに削られてしまうので問題にはならない。しかし、
a−Si感光体は高硬度であるために表面が削られにく
く、高耐久枚数後にトナー融着に起因する画像汚れが発
生する。よって、高硬度であるというa−Si感光体の
特徴を生かすために、融着しにくいトナーが必要とされ
る。
【0009】また、デジタル方式を用いた電子写真シス
テムにおいては、アナログ方式と比べてより高速での連
続複写が可能となる。その際に熱ローラー等の定着装置
を被定着シートが通過しトナー像を被定着シートに定着
させる工程において、被定着シートに奪われる熱量によ
って熱ローラー表面温度が下がり、不完全に定着した画
像が得られることがある。これを防ぐためにヒーターの
作動時間を長くすることは大量の電力を消費することに
なり、省資源、省エネルギーと相反することになり好ま
しくない。そこで、より低温で定着可能なトナーが求め
られているが、未だ十分なレベルには達していない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のごとき問題点を解決し、a−Si感光体上に形成され
たデジタル静電荷像を顕像化する、感光体上の静電荷像
と同極性の静電荷像現像用トナーによる反転現像を用い
た画像形成方法を提供することにある。
【0011】更に、本発明の目的は、デジタル潜像のド
ット再現性に優れ、良好な解像性、ライン表現の得られ
る画像形成方法を提供することにある。
【0012】更に、本発明の目的は、a−Si感光体を
用いた低電位コントラスト反転現像で、良好な画像濃度
の得られる画像形成方法を提供することにある。
【0013】更に、本発明の目的は、a−Si感光体を
用いても感光体融着に起因する画像汚れを起こさない画
像形成方法を提供することにある。
【0014】更に、本発明の目的は、低温定着性に優れ
たトナーを使用した画像形成方法を提供することにあ
る。更に、本発明の目的は、上記画像形成方法に用いら
れる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、デジタル静電
荷像を保持するアモルファスシリコン感光体上の静電荷
像を、静電荷像と同極性に帯電した静電荷像現像用トナ
ーを使用して反転現像する画像形成方法であり、該静電
荷像現像用トナーが少なくとも結着樹脂及び低分子量ポ
リエチレンワックスを含有する静電荷像現像用トナーで
あって、該低分子量ポリエチレンワックスのGPC
(ジェルパーメイションクロマトグラフィ)により測定
されたクロマトグラムにおいて、分子量300〜800
の領域および800〜7,000の領域のそれぞれの領
域に少なくとも一つの極大値を有し、該トナーのGP
Cにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子量3
00〜3,000の領域、分子量5,000〜100,
000の領域のそれぞれの領域に少なくとも一つの極大
値あるいはショルダーを有し、分子量300,000〜
5,000,000の領域に少なくとも一つの極大値あ
るいはショルダーを有している静電荷像現像用トナーで
あることを特徴とする画像形成方法に関するものであ
る。また、本発明は、該画像形成方法に適用される静電
荷像現像用トナーに関するものである。
【0016】更に、該ワックスのGPCにより測定され
たクロマトグラムにおいて、分子量350〜750の領
域および900〜5,000の領域のそれぞれの領域に
少なくとも一つの極大値あるいはショルダーを有してい
る画像形成方法であることが好ましい。
【0017】更に、結着樹脂を溶剤に溶解し、該ワック
スを添加混合し、脱溶剤し、乾燥させた、ワックス内添
結着樹脂を用いる画像形成方法であることも好ましい。
【0018】更に、該ワックスのGPCにより測定され
たクロマトグラムにおいて、分子量300〜800の領
域および800〜7,000の領域のそれぞれの領域に
少なくとも一つの極大値またはショルダーを有し、かつ
低分子量側領域の最大ピークの高さ(H1)と高分子量
側領域の最大ピークの高さ(H3)と該両ピーク間の極
小値の高さ(H2)との間に、H1>H3,H3≧H2,H1
>H2の関係が成り立つ画像形成方法であることが好ま
しい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の特徴の1つは、静電荷像
保持体として、導電体基体上に感光層としてa−Si層
を有するa−Si感光体を使用することにある。
【0020】本発明に用いるa−Si感光体の構成とし
ては、感光層の下部に、下部電荷注入防止層を設け、基
板からの電荷の進入を防ぐことができる。更に耐久性向
上のため、感光層の上部に表面保護層を、静電荷像保持
体の表面からの潜像電荷の注入を防ぐ上部電荷注入防止
層を感光層の上部、あるいは表面保護層と感光層の間に
設けることもできる。また、表面保護層と上部電荷注入
防止層を兼ねた層を感光層の上部に設けてもよい。ま
た、更に、長波長光の干渉現像の現出を防止するために
長波長光層を設けることもできる。
【0021】これらの各層を設ける際には、各層を必要
に応じてその特性を実用に適合させるため、水素原子や
ホウ素,アルミニウム,ガリウム等の周期表第III族
の原子、ゲルマニウム,スズ等の周期表第IV族の原
子、窒素,リン,ヒ素等の周期表第V族の原子、酸素,
イオウ,セレン等の周期表第VI族の原子、フッ素,塩
素,臭素等のハロゲン原子を単独または複合してa−S
i形成時に導入して、各特性をコントロールすることが
できる。
【0022】例えば、水素化a−Si(a−Si:H)
にリン(P)をドープしたa−Si:H膜で構成された
下部電荷注入防止層、ノンドープのa−Si:H膜で構
成された感光層、そしてホウ素(B)をドープしたa−
Si:H膜で構成された上部電荷注入防止層をこの順序
でドラム基体上に設けることにより、負電荷の静電荷像
を保持する所望のアモルファスシリコン感光体ドラムを
得ることができる。
【0023】また、同様にホウ素をドープしたa−S
i:H膜で構成された下部電荷注入防止層、ノンドープ
のa−Si:H膜で構成された感光層、そしてシリコン
と炭素と水素から成るシリコン膜(即ちa−SiC:H
膜)で構成された表面保護層をこの順序でドラム基体上
に設けることにより、正電荷を保持する所望のアモルフ
ァスシリコン感光ドラムを得ることができる。
【0024】本発明においてはこのようなa−Si感光
体により、可視光から半導体レーザー光まで分光感度を
もつ静電荷像保持体とすることができ、該静電荷像保持
体を用いることにより、半導体レーザー等からのレーザ
ースポットでのデジタル潜像を該静電荷像保持体に形成
することができる。
【0025】本発明のもう1つの特徴は、特定の分子量
分布を持つワックスを含有し、特定の分子量分布を持つ
静電荷像現像用トナーを用いて反転現像を行うことにあ
る。
【0026】すなわち本発明の画像形成方法は、該ワッ
クス及び該トナーのGPCより測定されたクロマトグラ
ムのデータを解析することにより、前記目的を達成する
に至る事由が理解される。
【0027】本発明のトナーに含有される該ワックスの
GPCにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子
量300〜800の領域(好ましくは分子量350〜7
00の領域)に少なくとも1つの極大値あるいはショル
ダーを有することで、該ワックス成分の低分子量側領域
の極大値を構成する成分が比較的低粘度であるためにト
ナー中への均一な分散が可能になり、個々のトナー粒子
に均一かつ適正な帯電性能を与え、微小ドットの再現性
が向上し、良好な画像解像性、ライン表現を得ることが
できる。
【0028】ここで、GPCにより測定されたクロマト
グラムにおいて、該ワックスの低分子量側領域の極大値
の位置が分子量300未満の場合は、ワックスの粘性が
低すぎるためにトナー粒子同士の凝集性が高くなり、本
来のトナー粒度と異なった大きさを持つ二次粒子が形成
され、微小ドットの現像性にばらつきができ、解像性、
ライン表現が劣化する。
【0029】また、GPCにより測定されたクロマトグ
ラムにおいて、該ワックスの低分子量側領域の極大値の
位置が分子量800を超える領域にのみ存在する場合
は、ワックスのトナー中での分散にかたよりができ、ト
ナーの帯電分布が不均一になるので、やはり解像性、ラ
イン表現が劣化する。
【0030】本発明のトナーに含有される該ワックスの
GPCにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子
量800〜7000の領域(好ましくは分子量900〜
5000の領域)に少なくとも1つの極大値あるいはシ
ョルダーを有することで、比較的高硬度のワックス成分
がトナー中に含有され、そのワックス成分がトナー表面
に現れることによりトナーの摩擦帯電性能が向上し、a
−Si感光体での低電位コントラストデジタル反転現像
においても良好な画像濃度を得ることができる。
【0031】更に、GPCにより測定されたクロマトグ
ラムにおいて、該ワックスの高分子量側領域の極大値の
位置が分子量800未満の領域のみに存在する場合は、
トナーの摩擦帯電性能を向上させるだけの硬度をワック
スが持っていないので、十分な画像濃度が得られない。
【0032】更に、GPCにより測定されたクロマトグ
ラムにおいて、該ワックスの低分子量側領域の極大値の
位置が分子量7000を超える場合は、ワックスの粘性
が高くなりトナー中での遊離ワックス成分が増え、トナ
ー粒子の帯電分布が不均一になり、適正な帯電量を持っ
たトナーから先に現像されてしまうために、トナー消費
が進むにつれて画像濃度が下がる。
【0033】本発明の該トナーのGPCにより測定され
たクロマトグラムにおいて、分子量300〜3000の
領域、5000〜10万の領域及び30万〜500万の
領域のそれぞれに少なくとも1つの極大値ショルダーを
有していることで、分子量30万〜500万、好ましく
は30万〜100万の領域に極大値を持つ成分で解像
性、ライン表現性を確保し、分子量5000〜10万の
領域に極大値を持つ成分である程度の解像性、ライン表
現性を得たうえで、該ワックスや低分子量ポリエステル
樹脂の添加によって現れる分子量300〜3000の領
域に極大値を持つ成分でトナー凝集性を損ねることなく
更なる解像性、ライン表現性の改善が可能となる。
【0034】ここで、GPCにより測定されたクロマト
グラムにおいて、該トナーの極大値の位置が分子量30
0〜3000の領域に極大値が存在せず、分子量300
未満に存在する場合はトナー凝集性が著しく劣化する。
【0035】また、GPCにより測定されたクロマトグ
ラムにおいて、該トナーの極大値の位置が分子量500
0〜10万の領域に極大値が存在せず、分子量3000
〜5000の領域に存在する場合は十分な画像濃度が得
られず、10万〜30万の領域に存在する場合は解像
性、ライン表現性が劣化する。
【0036】更に、GPCにより測定されたクロマトグ
ラムにおいて、該トナーの極大値の位置が分子量30万
〜500万の領域に極大値が存在せず、分子量10万〜
30万の領域に存在する場合は十分な画像濃度が得られ
ない。
【0037】好ましくは該結着樹脂を溶剤に溶解し、そ
こへ該ワックスを添加混合し、脱溶媒・乾燥させた、ワ
ックス内添結着樹脂を用いることが良い。
【0038】本発明に係るトナーに該ワックスを含有せ
しめるためには、 ワックス,結着樹脂及びその他の添加物をボールミル
の如き混合機により充分混合してから加熱ロール,ニー
ダー,エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融,
捏和及び練肉して樹脂類を互いに相溶せしめ、冷却固化
後粉砕をおこなう。
【0039】2種類以上のワックスを含有せしめる場
合には、予めワックス同士をワックス溶融温度以上で撹
拌しながら溶融混合し、冷却固化後粉砕を行ってから
の方法を行う。
【0040】結着樹脂を溶剤に溶解し、樹脂溶解液温
度を上げ、撹拌しながらワックスを添加混合し、脱溶媒
・乾燥の後、粉砕をおこなってからの方法を行う。等
があげられる。好ましくは,の方法がワックスのト
ナー中へのワックスの分散性の点で良く、特にの方法
では、ワックスの結着樹脂に対する可塑性能を高めるこ
とができ、トナーの低温定着性を向上させることができ
る。
【0041】特に好ましくは、該ワックスのGPCによ
り測定されたクロマトグラムにおいて、分子量300〜
800の領域および900〜7,000の領域のそれぞ
れの領域に少なくとも一つの極大値またはショルダーを
有し、かつ低分子量側領域の最大ピークの高さ(H1
と高分子量側領域の最大ピークの高さ(H3)と該両ピ
ーク間の極小値の高さ(H2)との間に、H1>H3,H3
≧H2,H1>H2の関係が成り立つことがよく、さらに
はH1:H2:H3=1.5〜50:1:1〜20がよ
く、さらにはH1:H2:H3=3〜50:1:2〜15
がよい。ここで、H1=H2のときが、低分子量側がショ
ルダーになり、H3=H2のときが、高分子量側がショル
ダーになる。
【0042】これにより、解像性、ライン表現性、現像
性のいずれにも寄与が少ない分子量のワックス成分が少
なくなり、より多くのワックス成分がそれぞれの機能が
発揮される分子量に適量存在できる分子量分布となり、
効果が少なかったり、過剰に存在するワックス成分が遊
離ワックス成分となってしまうことが減るため、トナー
からしみ出したワックス成分に起因する感光体上へのト
ナー融着が発生しにくくなる。
【0043】本発明のトナーがGPCによって測定され
たクロマトグラムにおいて、分子量5,000〜10万
の領域及び30万〜500万の領域のそれぞれに少なく
とも1つの極大値またはショルダーを有するための方法
に特に制限はないが、例えば、GPCのクロマトグラム
において分子量5,000〜10万の領域に分子量の極
大値を有する低分子量重合体と、分子量30万〜500
万の領域に分子量の極大値を有する高分子量重合体、又
は、及び架橋重合体との2種及び3種以上を、予め各重
合体の量を調整して、該重合体の溶解出来る溶媒或いは
膨潤出来る溶媒に溶解又は膨潤させ混合した後、溶媒を
除去して得た結着樹脂を用いて、トナー製造時の溶融混
練において該クロマトグラムが本発明の範囲になる様に
調整してもよいし、或いは該重合体の各々の量を調整し
て、トナー製造時の溶融混練において該クロマトグラム
が該範囲になる様に調整してもよい。
【0044】本発明のトナーに使用される結着樹脂とし
ては、下記の重合体の使用が可能である。
【0045】例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロル
スチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびそ
の置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共
重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン
−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重
合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−
ビニルメチルエ−テル共重合体、スチレン−ビニルエチ
ルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共
重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イ
ソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−イン
デン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニ
ル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹
脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エ
ポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テ
ルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが
使用できる。好ましい結着樹脂としては、スチレン系共
重合体もしくはポリエステル樹脂がある。
【0046】スチレン系共重合体のスチレンモノマーに
対するコモノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−
2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリ
ル、メタクリルニトリル、アクリルアミドなどのような
二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;
例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メ
チル、マレイン酸ジメチルなどのような二重結合を有す
るジカルボン酸およびその置換体;例えば塩化ビニル、
酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのようなビニルエステ
ル類;例えばエチレン、プロピレン、ブチレンなどのよ
うなエチレン系オレフィン類;例えばビニルメチルケト
ン、ビニルヘキシルケトンなどのようなビニルケトン
類;例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテ
ル、ビニルイソブチルエーテルなどのようなビニルエー
テル類;等のビニル単量体が単独もしくは2つ以上用い
られる。
【0047】スチレン系重合体またはスチレン系共重合
体は架橋されていてもよくまた混合樹脂でもかまわな
い。
【0048】結着樹脂の架橋剤としては、主として2個
以上の重合可能な二重結合を有する化合物を用いてもよ
い。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリンな
どのような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリ
コールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなど
のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジ
ビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィ
ド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;および3
個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合
物として用いられる。
【0049】該スチレン系共重合体の合成方法として
は、塊状重合法,溶液重合法,懸濁重合法及び乳化重合
法のいずれでも良い。
【0050】塊状重合法では、高温で重合させて停止反
応速度を早めることで、低分子量の重合体を得ることも
できるが、反応をコントロールしにくい問題点がある。
溶液重合法では溶媒によるラジカルの連鎖移動の差を利
用して、また開始剤量や反応温度を調節することで低分
子量重合体を温和な条件で容易に得ることができ、GP
Cのクロマトグラムにおいて分子量5,000〜10万
の領域に分子量の極大値を有する低分子量重合体を得る
時には好ましい。
【0051】溶液重合で用いる溶媒としては、キシレ
ン、トルエン、クメン、酢酸セロソルブ、イソプロピル
アルコール、ベンゼン等が用いられる。スチレンモノマ
ー混合物の場合はキシレン、トルエン又はクメンが好ま
しい。重合生成するポリマーによって適宜選択される。
【0052】反応温度としては、使用する溶媒、開始
剤、重合するポリマーによって異なるが、70℃〜23
0℃で行なうのが良い。溶液重合においては溶媒100
重量部に対してモノマー30重量部〜400重量部で行
なうのが好ましい。
【0053】更に、重合終了時に溶液中で他の重合体を
混合することも好ましく、数種の重合体をよく混合でき
る。
【0054】また、GPCのクロマトグラムにおいて分
子量30万〜500万の領域に分子量の極大値を有する
高分子量重合体や架橋重合体を得る重合法としては、乳
化重合法や懸濁重合法が好ましい。
【0055】このうち、乳化重合法は、水にほとんど不
溶の単量体(モノマー)を乳化剤で小さい粒子として水
相中に分散させ、水溶性の重合開始剤を用いて重合を行
なう方法である。この方法では反応熱の調節が容易であ
り、重合の行なわれる相(重合体と単量体からなる油
相)と水相とが別であるから停止反応速度が小さく、そ
の結果重合速度が大きく、高重合度のものが得られる。
さらに、重合プロセスが比較的簡単であること、及び重
合生成物が微細粒子であるために、トナーの製造におい
て、着色剤及び荷電制御剤その他の添加物との混合が容
易であること等の理由から、トナー用バインダー樹脂の
製造方法として他の方法に比較して有利である。
【0056】しかし、添加した乳化剤のため生成重合体
が不純になり易く、重合体を取り出すには塩析などの操
作が必要であるので懸濁重合が簡便な方法である。
【0057】懸濁重合においては、水系溶媒100重量
部に対して、モノマー100重量部以下(好ましくは1
0〜90重量部)で行なうのが良い。使用可能な分散剤
としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコー
ル部分ケン化物、リン酸カルシウム等が用いられ、水系
溶媒に対するモノマー量等で適当量があるが、一般に水
系溶媒100重量部に対して0.05〜1重量部で用い
られる。重合温度は50〜95℃が適当であるが、使用
する開始剤、目的とするポリマーによって適宜選択すべ
きである。また開始剤種類としては、水に不溶或は難溶
のものであれば用いることが可能である。
【0058】これらの重合法において使用する開始剤と
しては、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラ
ウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチ
ロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシク
ロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シ
クロヘキサン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシカ
ルボニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチル
パーオキシ)オクタン、n−ブチル4,4−ビス(t−
ブチルパーオキシ)バリレート、2,2−ビス(t−ブ
チルパーオキシ)ブタン、1,3−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソ
フタレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパ
ーオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ−t−ブチルパ
ーオキシα−メチルサクシネート、ジ−t−ブチルパー
オキシジメチルグルタレート、ジ−t−ブチルパーオキ
シヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオ
キシアゼラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコール−
ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、ジ−t−
ブチルパーオキシトリメチルアジペート、トリス(t−
ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブ
チルパーオキシ)シラン等が挙げられ、これらが単独あ
るいは併用して使用できる。
【0059】その使用量はモノマー100重量部に対
し、0.05重量部以上(好ましくは0.1〜15重量
部)の濃度で用いられる。
【0060】本発明に用いられるポリエステル樹脂の組
成は以下の通りである。
【0061】2価のアルコール成分としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また
(A)式で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0062】
【化1】
【0063】(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基
であり、x,yはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、
x+yの平均値は0〜10である。)
【0064】また(B)式で示されるジオール類;
【0065】
【化2】
【0066】(式中、R’は−CH2CH2−又は
【0067】
【化3】 であり、x’,y’は0以上の整数であり、かつ、x’
+y’の平均値は0〜10である。)が挙げられる。
【0068】2価の酸成分としては、例えばフタル酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベン
ゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエス
テル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン
酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級
アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデ
シルコハク酸などのアルケニルコハク酸類もしくはアル
キルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステ
ル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸
などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アル
キルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙
げられる。
【0069】また、架橋成分としても働く3価以上のア
ルコール成分と3価以上の酸成分を併用することが好ま
しい。
【0070】3価以上の多価アルコール成分としては、
例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロ
ール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジ
ペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、
1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタン
トリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオ
ール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,
3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0071】また、本発明における3価以上の多価カル
ボン酸成分としては、例えばトリメリット酸、ピロメリ
ット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,
2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタ
レントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカル
ボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,
5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル
−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テト
ラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−
オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及び
これらの無水物、低級アルキルエステル;次式
【0072】
【化4】
【0073】(式中、Xは炭素数3以上の側鎖を1個以
上有する炭素数5〜30のアルキレン基又はアルケニレ
ン基)で表わされるテトラカルボン酸等、及びこれらの
無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及
びその誘導体が挙げられる。
【0074】本発明に用いられるアルコール成分として
は40〜60mol%、好ましくは45〜55mol
%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは5
5〜45mol%であることが好ましい。
【0075】また3価以上の多価の成分は、全成分中の
1〜60mol%であることも好ましい。
【0076】該ポリエステル樹脂も通常一般に知られて
いる縮重合によって得られる。
【0077】また、本発明のトナーがGPCによって測
定されたクロマトグラムにおいて、分子量300〜3,
000の領域に少なくとも1つ極大値を有するための方
法にも特に制限はないが、例えば、ワックス類或いは低
分子量の樹脂であるポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、
天然変性フェノール樹脂、天然変性マレイン酸樹脂、ア
クリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリ
コーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリア
ミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、
ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデ
ン樹脂、石油系樹脂など、好ましくはワックス類、特に
好ましく官能基を有していても良い炭化水素系ワックス
を用いて、該クロマトグラムが該範囲になる様に調整し
てもよい。
【0078】本発明の該トナーに用いられる結着樹脂の
ガラス転移点(Tg)は好ましくは45〜80℃、より
好ましくは50〜70℃である。
【0079】本発明において、結着樹脂及びトナーのG
PCによるクロマトグラムの分子量分布は次の条件で測
定される(具体例として、下記条件で測定した本発明の
実施例7のトナーのGPCクロマトグラムの例を図4に
示す)。
【0080】すなわち、40℃のヒートチャンバ中でカ
ラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒と
してTHF(テトラハイドロフラン)を毎分1mlの流
速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定
する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分
子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により
作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算
出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料として
は、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分
子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10
点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当であ
る。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラム
を複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製
のshodex GPC KF−801,802,80
3,804,805,806,807,800Pの組み
合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(H
XL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),
G4000H(HXL),G5000H(HXL),G60
00H(HXL),G7000H(HXL),TSKgua
rdcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0081】また、試料は以下のようにして作製する。
【0082】試料をTHF中に入れ、数時間放置した
後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がな
くなるまで)、更に12時間以上静置する。このときT
HF中への放置時間が24時間以上となるようにする。
その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45
〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25
−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマ
ン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通
過させたものを、GPCの試料とする。また試料濃度
は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整
する。
【0083】本発明に係るトナー中には上記結着樹脂成
分の他に、該結着樹脂成分の含有量より少ない割合で以
下の化合物を含有させてもよい。例えばシリコーン樹
脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキ
シ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、
テルペン樹脂、フェノール樹脂、2種以上のα−オレフ
ィンの共重合体などが挙げられる。
【0084】本発明のトナーに含有されるワックスは、
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリ
オレフィン、ポリオレフィン共重合体、マイクロクリス
タリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワック
スなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレン
ワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;ま
たは、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、
モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主
成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂
肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなど
が挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、
モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長
鎖アルキルカルボン酸類などの、飽和直鎖脂肪酸類;ブ
ランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの
不飽和脂肪酸類;ステアリンアルコール、アラルキルア
ルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコー
ル、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは
更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール
類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価ア
ルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラ
ウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスス
テアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エ
チレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステ
アリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレ
ンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン
酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、
N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和
脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミ
ド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの
芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウ
リン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マ
グネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんとい
われているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレ
ンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフ
ト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなど
の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性
油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を
有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0085】好ましく用いられるワックスは、アルキレ
ンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー
触媒又はその他の触媒を用いて重合した低分子量のアル
キレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分
解して得られるアルキレンポリマー、アルキレンポリマ
ーを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマー
を分離精製したもの、一酸化炭素,水素からなる合成ガ
スからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分か
ら、あるいは、これらを水素添加して得られる合成炭化
水素などから、特定の成分を抽出分別したワックスが用
いられ、酸化防止剤が添加されていてもよい。あるい
は、直鎖状のアルコール、脂肪酸、酸アミド、エステル
あるいは、モンタン系誘導体である。また、脂肪酸等の
不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0086】中でも好ましいものは、エチレンなどのオ
レフィンを重合したもの及びこの時の副生成物、フィッ
シャートロプシュワックスなどの炭素数が数千くらいま
での炭化水素を母体とするものが良い。また、炭素数が
数百くらいまでの末端に水酸基をもつ長鎖アルキルアル
コールも好ましい。更に、アルコールにアルキレンオキ
サイドを付加したものも好ましく用いられる。
【0087】そして、これらのワックスから、プレス発
汗法、溶剤法、真空蒸留、超臨界ガス抽出法、分別結晶
化(例えば、融液晶析及び結晶ろ別)等を利用して、ワ
ックスを分子量により分別し、分子量分布をシャープに
したワックスは、必要な融解挙動範囲の成分が占める割
合が多くなるので更に好ましい。中でも、このように分
別したワックスを2種類以上用いることが、低温定着
性,耐ブロッキング性及び耐高温オフセット性に対し、
これらの性能がバランス良く向上するために必要な融解
挙動範囲のワックス成分を無駄なくトナー中に含有せし
められる点で特に好ましい。
【0088】本発明のトナーにおいては、該ワックスを
2種類以上含有する場合には、該ワックスのGPCによ
り測定されたクロマトグラムの極大値に関して、それら
を比較して、少なくとも1種類は、例えば分子量100
〜1,000の領域に極大値を持つワックスを0.5〜
20重量部(好ましくは1〜10重量部)、少なくとも
1種類は、例えば分子量800〜10,000の領域に
極大値を持つワックスを0.5〜15重量部(好ましく
は1〜8重量部)含有するのが良い。
【0089】また、その他の分子量領域のワックスを
0.1〜10重量部(好ましくは0.5〜5重量部)含
有していてもかまわない。
【0090】これにより、解像性、ライン表現性、現像
性を効果的に向上することができる。
【0091】本発明のトナーにおいては、これらのワッ
クス総含有量は、結着樹脂100重量部に対し、1〜2
5重量部で用いられ、好ましくは2〜10重量部で用い
るのが効果的である。
【0092】本発明のトナーに含有されるワックスは、
該ワックスのGPCにより測定されるクロマトグラムに
関して、Mwは500〜5,000(好ましくは1,0
00〜4,000)、Mw/Mnは10以下(好ましく
は6以下)であることで、各々のワックス成分の分子量
分布がよりシャープなため、解像性、ライン表現性、現
像性を効果的に向上させるために不必要な成分を含ま
ず、本発明の目的を満足しうるものになる。
【0093】本発明においてワックスの分子量分布はG
PCにより次の条件で測定される(具体例として、下記
条件で測定した本発明の実施例1及び7に用いるワック
ス組成物のGPCクロマトグラムの例を図2及び3に示
す)。
【0094】 装置:GPC−150C(ウォーターズ社) カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製) 温度:135℃ 溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添
加) 流速:1.0ml/min 試料:0.15%の試料を0.4ml注入
【0095】以上の条件で測定し、試料の分子量算出に
あたっては単分散ポリスチレン標準試料により作製した
分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Hou
wink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン
換算することによって算出される。
【0096】本発明のトナーには荷電制御剤を含有する
ことが好ましい。
【0097】トナーを正荷電性に制御するものとして下
記の物質がある。
【0098】ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成
物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ
−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、
及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム
塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及
びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタ
ングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモ
リブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェ
リシアン化物、フェロシアン化物など)高級脂肪酸の金
属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサ
イド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガ
ノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチル
スズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジ
オルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾ
ール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて
用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメ
タン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級ア
ンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(1)
【0099】
【化5】 で表わされるモノマーの単重合体:前述したスチレン、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合
性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いる
ことができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹
脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0100】特に下記一般式(2)で表わされる化合物
が本発明の構成においては好ましい。
【0101】
【化6】
【0102】[式中、R1,R2,R3,R4,R5,R
6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原
子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もし
くは未置換のアリール基を表わす。R7,R8,R9は、
各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロ
ゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表わす。A
-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸
イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸
イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほ
う酸イオン、テトラフルオロボレートなどの陰イオンを
示す。] トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質があ
る。
【0103】例えば有機金属錯体、キレート化合物が有
効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯
体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボ
ン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシ
カルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金
属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノ
ール誘導体類などがある。
【0104】また次に示した一般式(3)で表わされる
アゾ系金属錯体が好ましい。
【0105】
【化7】
【0106】特に中心金属としてはFe、Crが好まし
く、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基
が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ
金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく
用いられる。
【0107】あるいは次の一般式(4)に示した塩基性
有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明
に使用できる。
【0108】
【化8】
【0109】特に中心金属としてはFe,Cr,Si,
Zn,Alが好ましく、置換基としてはアルキル基、ア
ニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンタ
ーイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが
好ましい。
【0110】電荷制御剤をトナーに含有させる方法とし
ては、トナー内部に添加する方法と外添する方法があ
る。これらの電荷制御剤の使用量としては、結着樹脂の
種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造
方法によって決定されるもので、一義的に限定されるも
のではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対し
て0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量
部の範囲で用いられる。
【0111】本発明のトナーにおいては、帯電安定性,
現像性,流動性,耐久性向上の為、シリカ微粉末を添加
することが好ましい。
【0112】本発明に用いられるシリカ微粉末は、BE
T法で測定した窒素吸着による比表面積が20m2 /g
以上(特に30〜400m2 /g)の範囲内のものが良
好な結果を与える。トナー100重量部に対してシリカ
微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量
部使用するのが良い。
【0113】また、該シリカ微粉末は、必要に応じ、疎
水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニ
ス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各
種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能
基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素
化合物等の処理剤で、あるいは種々の処理剤で併用して
処理されていることも好ましい。
【0114】また、現像性、耐久性を向上させるために
次の無機粉体を添加することも好ましい。マグネシウ
ム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジ
ルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、
アンチモンなどの金属酸化物;チタン酸カルシウム、チ
タン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムなどの複
合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸アルミニウム等の金属塩;カオリンなどの粘土鉱物;
アパタイトなどリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素
などのケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイト
などの炭素粉末が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛、酸
化アルミニウム、酸化コバルト、二酸化マンガン、チタ
ン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウムなどが好ま
しい。
【0115】更に次のような滑剤粉末を添加することも
できる。テフロン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素
樹脂;フッ化カーボンなどのフッ素化合物;ステアリン
酸亜鉛等の脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステル等の
脂肪酸誘導体;硫化モリブデン、アミノ酸およびアミノ
酸誘導体が挙げられる。
【0116】本発明のトナーは、キャリアと併用して二
成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に
用いる場合のキャリアとしては、従来知られているもの
がすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化また
は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロ
ム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物など
の平均粒径20〜300μmの粒子が使用される。
【0117】またそれらキャリア粒子の表面に、スチレ
ン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素
系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着または被覆さ
せたもの等が好ましく使用される。
【0118】本発明に用いられる磁性体は、リチウム、
ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シ
リコン、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、
錫、亜鉛から選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有
する磁性酸化鉄であることを特徴とする。これらの元素
は酸化鉄結晶格子の中に取り込まれても良いし、酸化物
として酸化鉄中に取り込まれていても良いし、表面に酸
化物あるいは水酸化物として存在しても良い。
【0119】これらの元素は、磁性体生成時に各々の元
素の塩を混在させpH調整により、粒子中に取り込むこ
とができる。また、磁性体粒子生成後に、pH調整、あ
るいは各々の元素の塩を添加しpH調整することによ
り、粒子表面に析出させることができる。
【0120】これらの元素を有する磁性体は、結着樹脂
に対し馴染みが良く、非常に分散性が良い。更にこの分
散性のよさが、本発明で用いられるワックスの分散性を
向上することができ、本発明のワックスの効果を十分に
発揮することができる。つまり磁性体が分散メディアと
して働き、ワックスの分散を磁性体の分散性の良さが援
助し、ワックスの分散性を向上させるわけである。
【0121】またこれらの磁性体は、粒度分布が揃い、
その結着樹脂中への分散性とあいまって、トナーの帯電
性を安定化することができる。また近年はトナー粒径の
小径化が進んできており、平均粒径10μm以下のよう
な場合でも、帯電均一性が促進され、トナーの凝集性も
軽減され、画像濃度の向上、カブリの改善等、現像性が
向上する。一方でトナーの小粒径化が進むとワックスの
遊離も生じやすくなるが、本発明のトナーは帯電均一性
に優れているので多少の遊離ワックスが存在してもブロ
ッチ等は生じにくくなる。
【0122】これらの元素の含有率は、磁性酸化鉄の鉄
元素を基準として0.05〜10重量%であることが好
ましい。更に好ましくは0.1〜7重量%であり、特に
好ましくは0.2〜5重量%である。0.05重量%よ
り少ないと、これら元素の含有効果が得られなく、良好
な分散性、帯電均一性が得られなくなる。10重量%よ
り多くなると、電荷の放出が多くなり帯電不足を生じ、
画像濃度が低くなったり、カブリが増加することがあ
る。
【0123】これらの磁性体は平均粒径1.0μm以下
が好ましく、さらには0.1〜0.5μmのものが好ま
しい。BET比表面積は2〜40mm2/gのものが用
いられる。形状には特に制限はなく、任意の形状のもの
が用いられる。磁気特性としては磁場795.8kA/
m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化
が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/m
であるものが用いられる。これらの磁性体は結着樹脂1
00重量部に対し、20〜200重量部で用いられる。
【0124】本発明の磁性酸化鉄中の元素量は、蛍光X
線分析装置 SYSTEM3080(理学電機工業
(株)社製)を使用し、JIS K0119蛍光X線分
析通則に従って、蛍光X線分析を行なうことにより測定
した。また、個数平均径は透過電子顕微鏡により拡大撮
影した写真をデジタイザー等で測定することにより求め
ることができる。
【0125】本発明のトナーに使用し得る着色剤として
は、任意の適当な顔料又は染料があげられる。トナーの
着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラック、
アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイ
エロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリ
ンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダン
スレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を
維持するのに必要充分な量が用いられ、樹脂100重量
部に対し0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10
重量部の添加量が良い。また同様の目的で、更に染料が
用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染
料、キサンテン系染料、メチン系染料があり樹脂100
重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.3
〜10重量部の添加量が良い。
【0126】本発明に係る静電荷像現像用トナーを作製
するには結着樹脂、ワックス、金属塩ないしは金属錯
体、着色剤としての顔料、又は染料、磁性体、必要に応
じて荷電制御剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキ
サー、ボールミル等の混合機により充分混合してから加
熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機
を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に
金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せし
め、冷却固化後粉砕及び分級を行って本発明に係るとこ
ろのトナーを得ることが出来る。
【0127】さらに必要に応じ所望の添加剤をヘンシェ
ルミキサー等の混合機により充分混合し、本発明に係る
静電荷像現像用トナーを得ることができる。
【0128】粒度分布については、種々の方法によって
測定できるが、本発明においてコールターカウンターの
マルチサイザーを用いて行った。
【0129】すなわち、測定装置としてはコールターカ
ウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を
用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス
(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター
(キヤノン製)を接続し、電解液は特級または1級塩化
ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測
定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分
散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンス
ルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2
〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散
器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウ
ンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーと
して、トナー粒径を測定するときは、100μmアパー
チャーを用いて測定する。トナーの体積,個数を測定し
て、体積分布と、個数分布とを算出した。それから本発
明に係わる体積分布から求めた重量基準の重量平均径を
体積分布から求める。
【0130】本発明の画像形成方法を実施するために用
いることができる具体的な装置の一例を図1に示すが、
これは本発明をなんら限定するものではない。
【0131】感光体30上に静電潜像を形成する工程を
説明する。一次帯電器29により感光体30を帯電させ
た後、キイボード、外部機器より出力された電気信号、
あるいは、原稿より得られる画像情報を画像処理部39
にて処理された電気信号をレーザースキャナ27に入力
し、レーザー光IDを感光体30上に照射し、デジタル
潜像を形成する。
【0132】このようにして形成された潜像を、現像器
31で同時に現像し、顕像化する。感光体30上に形成
されたトナー像は、転写分離帯電器35で転写材38に
転写後、転写材38を感光体30より分離し定着器37
で定着させ画像を得る。また感光体30はクリーナ部3
3で転写残トナーをクリーニングし前露光ランプ28で
除電され繰り返し使用される。
【0133】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、これは、本発明をなんら限定するものではない。な
お、以下の配合における部数はすべて重量部である。
【0134】まず、画像形成に実施した画像形成装置を
図1を参照しながら説明する。
【0135】まず使用したa−Si感光ドラム30につ
いて説明する。
【0136】a−Si感光ドラムは高周波プラズマCV
D装置を使用し、SiH4,H2,CH4,B26,Ge
4等のガスを用いグロー放電法で作製した。
【0137】80φ×360mmのアルミニウムシリン
ダーである基体上にゲルマニウムをドープした水素化a
−Siの長波長吸収層を設けた。この上にホウ素をドー
プした水素化a−Siの下部電荷注入防止層を設けた。
【0138】次に、水素化a−Siの感光層を25μm
設けた。次いで最上部に水素化a−SiC層を表面保護
層として設けた。
【0139】このようにして得られたa−Si感光ドラ
ムを市販の複写機NP9130(キヤノン社製)に装着
し、改造機を作製した。また一次帯電器の電流値、レー
ザー出力を調節し、表面暗部電位が400V、表面明部
電位が50Vとなるように設定した。
【0140】次に、本発明に用いられるワックスについ
て述べる。
【0141】チーグラー触媒を用いて、エチレンを低圧
重合し比較的低分子量のワックスA、更に低分子量のワ
ックスEを得、ワックスAより分別結晶化により分子量
分布をある程度シャープにしたワックスB,Cを得た。
また、ワックスAを真空蒸留法により分子量分布をシャ
ープにしたワックスDを得た。
【0142】そして、チーグラー触媒を用いて、エチレ
ンを低圧重合し、同様の重合によるワックスAよりは高
分子量のワックスFを得、分別結晶法により分子量分布
をある程度シャープにしたワックスG,Hを得た。ま
た、ワックスFを真空蒸留法により分子量分布をシャー
プにしたワックスIを得た。
【0143】これらの物性を表1に記す。
【0144】次に、本発明に用いられる結着樹脂につい
て述べる。
【0145】(樹脂合成例1)窒素ガス導入管,コンデ
ンサー,撹拌機,温度計を具備した4つ口のフラスコに
キシレン200重量部を仕込み、窒素ガス気流下で撹拌
昇温し140℃に保ち、スチレン83重量部、n−ブチ
ルアクリレート17重量部、開始剤としてジ−t−ブチ
ルパーオキサイド(DTBP)2重量部の混合物を、連
続滴下装置を用いて4時間かけて滴下し重合を行なった
後、脱溶剤し重合体Aを得た。該重合体Aの分子量分布
をGPCで測定したところ、分子量1.20万に極大値
を有し、Mw/Mnが2.35であった。
【0146】(樹脂合成例2)ポリビニルアルコールの
0.1%水溶液300重量部に、スチレン80重量部、
n−ブチルアクリレート20重量部、開始剤として2,
2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘ
キシル)プロパン0.2重量部の混合物を、樹脂合成例
1の重合装置に仕込み重合温度90℃にて24時間で重
合を行った。その後、冷却、水洗い、乾燥し、重合体B
を得た。該重合体Bの分子量分布をGPCで測定したと
ころ、分子量70万に極大値を有し、Mw/Mnが3.
70であった。
【0147】前記重合体Aと重合体Bを75:25の重
量比で溶液混合して、スチレン−アクリル酸エステル共
重合体の結着樹脂1を得た。
【0148】次に本発明に係る画像評価方法を述べる。
【0149】ライン表現、解像度は次に示す方法によっ
て測定を行った。
【0150】1ドット、1スペースのライン(100μ
m)が5本形成されるようにレーザーで感光体に潜像を
つくり、得られる画像を測定サンプルとした。解像度は
この5本/mmのラインの解像力により評価した。ま
た、ライン表現は1ドット、2スペースのライン(10
0μm)を4本形成したものから下記式によって算出す
る。
【0151】
【数1】
【0152】ドット表現は次に示す方法によって測定を
行った。1ドット、2ドット、3ドット、4ドットで構
成される市松模様の潜像を感光体上にレーザーで形成さ
せ得られる画像を測定サンプルとした。このサンプルを
拡大鏡にて観察し、市松模様の明確に確認できる画像の
ドット数をもってドット表現とする。この数字が小さい
ほどドット表現が優れていることを示す。
【0153】また、画像濃度、感光体融着は前述のNP
−9130改造機で100000枚の画出し試験を行
い、初期及び100000枚目の画像及び感光体を評価
した。
【0154】(感光体融着) ◎ 全く見られない。 ○ 感光体上にわずかに見られるが、画像上には現れな
い。 △ 感光体上に見られ、画像上にもかすかに現れる。 × 画像上に著しく現れる。
【0155】また、定着性試験は次に示す方法によって
行った。
【0156】前述のNP−9130改造機で連続100
枚の画出し試験を行い、100枚目の画像を50g/c
2の加重をかけたシルボン紙で往復5回摺擦し、摺擦
前後の画像濃度低下率を測定した。
【0157】<実施例1> 結着樹脂1 100重量部 四三酸化鉄 80重量部 トリフェニルメタン染料 2重量部 ワックスB 4重量部 ワックスG 2重量部
【0158】上記材料を予備混合した後、130℃に設
定した二軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を
冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を
用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉を
コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し
て、重量平均粒径6.80μmのトナー1を得た。この
トナー100重量部と、正帯電疎水性コロイダルシリカ
微粉末0.9重量部とを混合(外添)してトナー粒子表
面にコロイダルシリカ微粉末を有するトナーを現像剤と
した。ワックスB,Gを2:1の比率で混合した時の物
性を表2に、トナーの物性を表3に記す。
【0159】<実施例2>実施例1において、ワックス
B4重量部とワックスG2重量部を予め撹拌しながら溶
融混合し、冷却固化後粉砕したワックスを使用すること
を除いて、実施例1と同様にしてトナー2を調製し、評
価を行った。その結果を表4に、トナーの物性を表3に
記す。
【0160】<実施例3>実施例1において、結着樹脂
1及びワックスの代わりに、100重量部の結着樹脂1
をキシレン溶剤中に溶解し、樹脂溶解液温度を上げ、撹
拌しながらワックスB4重量部とワックスG2重量部を
添加混合し、脱溶媒・乾燥させた、ワックスを含有した
結着樹脂を使用することを除いて、実施例1と同様にし
てトナー3を調製し、評価を行った。その結果を表4
に、トナーの物性を表3に記す。
【0161】<実施例4>ワックスC4重量部とワック
スH2重量部を使用することを除いて、実施例1と同様
にしてトナー4を調製し、評価を行った。その結果を表
4に、また、ワックスC,Hを2:1の比率で混合した
時の物性を表2に、トナーの物性を表3に記す。
【0162】<実施例5>ワックスC4重量部とワック
スH2重量部を使用することを除いて、実施例3と同様
にしてトナー5を調製し、評価を行った。その結果を表
4に、トナーの物性を表3に記す。
【0163】<実施例6>ワックスD4重量部とワック
スI2重量部を使用することを除いて、実施例1と同様
にしてトナー6を調製し、評価を行った。その結果を表
4に、また、ワックスD,Iを2:1の比率で混合した
時の物性を表2に、トナーの物性を表3に記す。
【0164】<実施例7>ワックスD4重量部とワック
スI2重量部を使用することを除いて、実施例3と同様
にしてトナー7を調製し、評価を行った。その結果を表
4に、トナーの物性を表3に記す。
【0165】<比較例1>ワックスE4重量部のみを使
用することを除いて、実施例1と同様にしてトナー8を
調製し、評価を行ったが、解像性,ライン表現性,画像
濃度安定性に劣るものとなった。また、感光体融着によ
る画像汚れも発生した。結果を表4に、トナーの物性を
表3に記す。
【0166】<比較例2>ワックスD4重量部のみを使
用することを除いて、実施例1と同様にしてトナー9を
調製し、評価を行ったが、解像性,ライン表現性,画像
濃度安定性に劣るものとなった。結果を表4に、トナー
の物性を表3に記す。
【0167】<比較例3>ワックスA4重量部のみを使
用することを除いて、実施例1と同様にしてトナー10
を調製し、評価を行ったが、解像性,ライン表現性,画
像濃度安定性に劣るものとなった。また、感光体融着に
よる画像汚れも発生した。結果を表4に、トナーの物性
を表3に記す。
【0168】<比較例4>ワックスを使用しないことを
除いて、実施例1と同様にしてトナー11を調製し、評
価を行ったが、解像性,ライン表現性,画像濃度安定性
に劣るものとなった。結果を表4に、トナーの物性を表
3に記す。
【0169】
【表1】
【0170】
【表2】
【0171】
【表3】
【0172】
【表4】
【0173】
【発明の効果】本発明は、a−Si感光体上に形成され
たデジタル静電荷像を顕像化する、感光体上の静電荷像
と同極性の静電荷像現像用トナーによる反転現像を用い
た画像形成方法に特定のトナーを組合わせて用いたた
め、次のような優れた効果を発揮するものである。
【0174】本発明は、デジタル潜像のドット再現性に
優れ、良好な解像性、ライン表現の得られる画像形成方
法を提供することができる。
【0175】更に、本発明は、a−Si感光体を用いた
低電位コントラスト反転現像で、良好な画像濃度の得ら
れる画像形成方法を提供することができる。
【0176】更に、本発明は、a−Si感光体を用いて
も感光体融着に起因する画像汚れを起こさない画像形成
方法を提供することができる。
【0177】更に、本発明は、低温定着性に優れたトナ
ーを使用した画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成方法を実施しうるのに適した
画像形成装置の概略的説明図である。
【図2】本発明のトナー1(実施例1)におけるワック
スB,Gを2:1で混合したときのGPCのクロマトグ
ラムを示す図である。
【図3】本発明のトナー6(実施例6)におけるワック
スD,Iを2:1で混合したときのGPCのクロマトグ
ラムを示す図である。
【図4】本発明のトナー7(実施例7)のGPCのクロ
マトグラムを示す図である。
【符号の説明】
27 レーザースキャナ 28 前露光ランプ 29 一次帯電器 30 感光体 31 現像器 33 クリーナ部 35 転写、分離帯電器 37 定着器 38 転写材 39 画像処理部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−77834(JP,A) 特開 平8−50367(JP,A) 特開 昭61−241766(JP,A) 特開 平3−130783(JP,A) 特開 平5−113691(JP,A) 特開 平1−232355(JP,A) 特開 平3−152559(JP,A) 特開 平3−152560(JP,A) 特開 平3−152561(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタル静電荷像を保持するアモルファ
    スシリコン感光体上の静電荷像を、静電荷像と同極性に
    帯電した静電荷像現像用トナーを使用して反転現像する
    画像形成方法であり、 該静電荷像現像用トナーが少なくとも結着樹脂及び低分
    子量ポリエチレンワックスを含有する静電荷像現像用ト
    ナーであって、該低分子量ポリエチレンワックスのG
    PC(ジェルパーメイションクロマトグラフィ)により
    測定されたクロマトグラムにおいて、分子量300〜8
    00の領域および800〜7,000の領域のそれぞれ
    の領域に少なくとも一つの極大値を有し、該トナーの
    GPCにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子
    量300〜3,000の領域、分子量5,000〜10
    0,000の領域のそれぞれの領域に少なくとも一つの
    極大値あるいはショルダーを有し、分子量300,00
    0〜5,000,000の領域に少なくとも一つの極大
    値あるいはショルダーを有している静電荷像現像用トナ
    ーであることを特徴とする画像形成方法。
  2. 【請求項2】 該低分子量ポリエチレンワックスのGP
    Cにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子量3
    50〜750の領域および900〜5,000の領域の
    それぞれの領域に少なくとも一つの極大値を有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 【請求項3】 結着樹脂を溶剤に溶解し、該低分子量ポ
    リエチレンワックスを添加混合し、脱溶剤し、乾燥させ
    た、低分子量ポリエチレンワックス内添結着樹脂を用い
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方
    法。
  4. 【請求項4】 該低分子量ポリエチレンワックスのGP
    Cにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子量3
    00〜800の領域および800〜7,000の領域の
    それぞれの領域に少なくとも一つの極大値を有し、かつ
    低分子量側領域の最大ピークの高さ(H1)と高分子量
    側領域の最大ピークの高さ(H3)と該両ピーク間の極
    小値の高さ(H2)との間に、 H1>H3,H3≧H2,H1>H2 の関係が成り立つことを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の画像形成方法。
  5. 【請求項5】 デジタル静電荷像を保持するアモルファ
    スシリコン感光体上の静電荷像を、静電荷像と同極性に
    帯電した静電荷像現像用トナーを使用して反転現像する
    画像形成方法に用いられる静電荷像現像用トナーであ
    り、 該静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂及び
    分子量ポリエチレンワックスを含有しており、該低分
    子量ポリエチレンワックスのGPC(ジェルパーメイシ
    ョンクロマトグラフィ)により測定されたクロマトグラ
    ムにおいて、分子量300〜800の領域および800
    〜7,000の領域のそれぞれの領域に少なくとも一つ
    の極大値を有し、該トナーのGPCにより測定された
    クロマトグラムにおいて、分子量300〜3,000の
    領域、分子量5,000〜100,000の領域のそれ
    ぞれの領域に少なくとも一つの極大値あるいはショルダ
    ーを有し、分子量300,000〜5,000,000
    の領域に少なくとも一つの極大値あるいはショルダーを
    有していることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 該低分子量ポリエチレンワックスのGP
    Cにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子量3
    50〜750の領域および900〜5,000の領域の
    それぞれの領域に少なくとも一つの極大値を有している
    ことを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナ
    ー。
  7. 【請求項7】 結着樹脂を溶剤に溶解し、該低分子量ポ
    リエチレンワックスを添加混合し、脱溶剤し、乾燥させ
    た、低分子量ポリエチレンワックス内添結着樹脂を用い
    ることを特徴とする請求項5又は6に記載の静電荷像現
    像用トナー。
  8. 【請求項8】 該低分子量ポリエチレンワックスのGP
    Cにより測定されたクロマトグラムにおいて、分子量3
    00〜800の領域および800〜7,000の領域の
    それぞれの領域に少なくとも一つの極大値を有し、かつ
    低分子量側領域の最大ピークの高さ(H1)と高分子量
    側領域の最大ピークの高さ(H3)と該両ピーク間の極
    小値の高さ(H2)との間に、 H1>H3,H3≧H2,H1>H2 の関係が成り立つことを特徴とする請求項5乃至7のい
    ずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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