JP2002130465A - ロックアップクラッチ付き流体動力伝達装置のスリップ制御装置 - Google Patents

ロックアップクラッチ付き流体動力伝達装置のスリップ制御装置

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JP2002130465A
JP2002130465A JP2000334943A JP2000334943A JP2002130465A JP 2002130465 A JP2002130465 A JP 2002130465A JP 2000334943 A JP2000334943 A JP 2000334943A JP 2000334943 A JP2000334943 A JP 2000334943A JP 2002130465 A JP2002130465 A JP 2002130465A
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slip
control
lock
clutch
amount
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JP2000334943A
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English (en)
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Masaru Suzuki
勝 鈴木
Tetsuji Ozaki
哲司 小崎
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルクコンバータの一時的なスリップ量の変
動に対する制御特性を改善する。 【解決手段】 電子制御ユニット33は、スリップ量フ
ィードバック制御中に、油圧指令値の変化以外の要因に
よるスリップ量の変動が発生しているか否かを所定周期
で判定し、スリップ量の変動が検出された時点で、スリ
ップ量フィードバック制御を所定時間中止すると共に、
油圧指令値をフィードバック制御中止直前の油圧指令値
に保持してロックアップクラッチ19をスリップ制御状
態に保持する。そして、このスリップ量フィードバック
制御の中止時間が所定時間に達した時点で、スリップ量
フィードバック制御を再開する。これにより、車両が路
面の継ぎ目や段差を通過したような場合等においても、
安定したスリップ制御が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロックアップクラ
ッチのスリップ量を目標スリップ量にフィードバック制
御するロックアップクラッチ付き流体動力伝達装置のス
リップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の自動変速機の流体動力伝
達装置として、ロックアップクラッチ付きトルクコンバ
ータが採用されることが多い。このロックアップクラッ
チ付きトルクコンバータは、高車速域では、トルクコン
バータ内の伝達損失を低減させて燃費を向上させるため
に、ロックアップクラッチを完全締結状態にしてトルク
コンバータの入出力軸間を直結した状態にするようにし
ている。一方、低車速域では、ロックアップクラッチを
解放した状態(切り離した状態)に切り換えてトルクコ
ンバータの入出力軸間に回転速度差を生じさせること
で、トルクを増大させると共にエンジンのトルク変動に
よる車両の振動を防止するようにしている。しかし、ト
ルクコンバータの入出力回転速度差が大きくなるほど燃
費が低下するため、低車速域では、トルクコンバータの
入出力回転速度差(エンジン回転速度とタービン回転速
度との差)を“スリップ量”として検出し、このスリッ
プ量を目標スリップ量に一致させるように油圧回路中の
電磁弁の開度(デューティ率)をフィードバック制御し
てロックアップクラッチに作用させる油圧を制御し、ス
リップ量を必要最小限に抑えて燃費を向上させるように
している。
【0003】このようなロックアップクラッチのスリッ
プ制御(スリップ量フィードバック制御)に関連する先
行技術としては、次のようなものがある。例えば、特公
昭62−50703号公報では、スリップ制御中にジャ
ダーと称されるロックアップクラッチの不連続な摩擦係
合による入出力回転速度差(スリップ量)の脈動が検出
されたときに、スリップ制御を中止して油圧回路中の電
磁弁のデューティ率を0としてロックアップクラッチを
解放することで、ジャダーによる車両振動を防ぐように
している。
【0004】また、特許第2864958号公報では、
凹凸の激しい悪路走行時等に駆動輪からロックアップク
ラッチに回転変動が伝達された場合に、その回転変動を
検出してスリップ制御を中止し、ロックアップクラッチ
を解放することで、回転変動を低減させるようにしてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報で
は、ジャダーの発生や悪路走行時等に発生する継続的
(連続的)な回転変動に対して、スリップ制御を中止す
るようにしているが、スリップ制御中に発生する回転変
動(スリップ量の変動)は、継続的に発生するものばか
りではなく、例えば、車両が路面の継ぎ目や段差を通過
したような場合は、回転変動が一時的に発生する。上記
公報では、このような一時的な短時間の回転変動に対し
ては、油圧制御によるスリップ量フィードバック制御
(通常のスリップ制御)が継続されるが、油圧制御の応
答性が遅いため、一時的な回転変動を応答良く抑制でき
ない。このため、一時的な短時間の回転変動に対してス
リップ量フィードバック制御を継続すると、一時的な回
転変動の発生直後にスリップ量フィードバック制御がそ
の応答遅れによってスリップ量を目標スリップ量に収束
させるのを妨げる方向に働いてしまい、却って車両の振
動を長引かせる原因になってしまう。
【0006】この対策として、一時的な回転変動が発生
したときにも、継続的な回転変動の場合と同様に、スリ
ップ制御を中止することが考えられるが、このようにす
ると、車両が路面の継ぎ目や段差を通過する毎に、ロッ
クアップクラッチがスリップ制御状態から解放状態に切
り換えられるため、駆動力が急変することになり、運転
者にトルクショックを感じさせるだけでなく、スリップ
制御による燃費効果も少なくなる欠点が生じる。
【0007】また、上記公報では、ジャダーの発生時や
悪路走行時等に継続的(連続的)な回転変動が発生した
場合も、スリップ制御状態から直ちに完全解放状態に切
り換えられるため、駆動力が急変することになり、運転
者にトルクショックを感じさてしまう。
【0008】また、スリップ量は、トルクコンバータの
入出力回転速度差、つまりエンジン回転速度とタービン
回転速度との差であるため、これらの回転速度を検出す
るセンサ系が信号線の断線等によって異常になった場合
に、スリップ量を制御するコンピュータは、異常なセン
サ信号に基づいてスリップ量が急変したものと誤判定し
てしまう。一般に、回転速度センサは、回転速度に比例
した周波数のパルスを出力し、その出力パルスの周波数
によって回転速度を検出するものであり、信号線に重畳
するノイズを取り除くためのフィルタ処理や、検出した
パルスを無視する処理も施されるため、たとえ、信号線
が断線して突然パルスがコンピュータに入力されなくな
ったとしても、コンピュータで、それを直ちに異常と判
定することができず、異常と判定するまでには暫く時間
がかかる。
【0009】このため、センサ系が異常になっても、そ
れを異常と判定するまでの暫くの間は、異常な信号を正
常な信号と判断して、スリップ量の検出値が実際のスリ
ップ量からかけ離れた異常な検出値となってしまい、そ
の異常な検出値に基づいてスリップ量を急激に間違った
方向にフィードバック制御するため、不意にロックアッ
プクラッチが完全ロックアップ状態(完全締結状態)に
切り換えられたり、反対に解放状態に切り換えられたり
して、運転者にトルクショックを感じさせるだけでな
く、運転条件によってはエンジンストールに至る可能性
もある。
【0010】また、信号線のコネクタの接触不良等で、
繰り返しノイズが重畳したような場合にも、スリップ量
が誤検出されてしまい、スリップ量を間違った方向にフ
ィードバック制御してしまう可能性がある。
【0011】本発明はこれらの事情を考慮してなされた
ものであり、第1の目的は、一時的なスリップ量の変動
に対する制御特性を改善することであり、また、第2の
目的は、継続的なスリップ量の変動が発生した場合やセ
ンサ系の異常が発生した場合に、スリップ制御状態から
解放状態へ安定して移行させることができ、運転者に与
える違和感を少なくすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、本発明の請求項1のロックアップクラッチ付
き流体動力伝達装置のスリップ制御装置は、スリップ量
フィードバック制御中に、制御量の変化以外の要因によ
るスリップ量の変動の有無をスリップ量変動判定手段に
より判定し、スリップ量の変動有りと判定されたとき
に、スリップ制御手段によってスリップ量フィードバッ
ク制御を所定期間中止し、その中止期間中にロックアッ
プクラッチをスリップ制御状態に維持するようにしたも
のである。このようにすれば、車両が路面の継ぎ目や段
差を通過したような場合等に、一時的な短時間の回転変
動(スリップ量の変動)が発生したときに、スリップ量
フィードバック制御がその制御系がある程度安定するま
での所定期間中止されるため、一時的な回転変動の発生
直後の制御系の不安定な時期に応答の遅いスリップ量フ
ィードバック制御が継続されることを未然に防止するこ
とができ、車両の振動を早期に収束させることができ
る。
【0013】しかも、スリップ量フィードバック制御を
中止する期間中は、ロックアップクラッチを解放状態に
切り換えずにスリップ制御状態に維持するため、駆動力
が急変することを防止でき、運転者にトルクショックを
感じさせずに済むと共に、スリップ制御による燃費効果
も損なわずに済む。また、万一、センサ系が異常になっ
てスリップ量が変動したときにも、スリップ量フィード
バック制御が中止されるため、センサ系の異常な出力に
基づいてスリップ量が急激に間違った方向にフィードバ
ック制御されることを防止でき、トルクショックやエン
ジンストールを招くようなスリップ量の急変を防止する
ことができる。
【0014】この場合、スリップ量フィードバック制御
を中止してスリップ制御状態を維持する期間中は、ロッ
クアップクラッチの制御量を一定値に保持したり、或
は、運転状態等に応じてロックアップクラッチの制御量
をフィードフォワード的に徐変するようにしても良い。
【0015】スリップ量フィードバック制御の中止期間
中に、ロックアップクラッチの制御量を一定値に保持す
る場合は、請求項2のように、中止期間中の制御量を中
止期間直前の制御量に保持するようにしても良い。この
ようにすれば、スリップ量フィードバック制御を中止す
る前後で制御量が変化しないため、駆動力の変化を伴わ
ずにスリップ量フィードバック制御を中止することがで
きる。
【0016】或は、請求項3のように、スリップ量フィ
ードバック制御の中止期間中に、ロックアップクラッチ
の制御量を該中止期間直前の所定期間の制御量の平均値
に保持するようにしても良い。このようにすれば、万
一、中止期間直前の制御量がノイズ等で異常な値になっ
ても、その影響を平均化処理によってほとんど無視でき
る程度まで小さくすることができ、制御の信頼性を向上
できる。
【0017】この場合、請求項4のように、スリップ量
の変動が継続して発生すると判定されたときにスリップ
量フィードバック制御を中止して前記ロックアップクラ
ッチを解放させる方向に制御し、該ロックアップクラッ
チの解放期間中にスリップ量の継続的な変動が発生しな
くなったと判定されたときに、ロックアップクラッチの
制御量を制御系がある程度安定するまでの所定期間保持
した後、スリップ量フィードバック制御を再開するよう
にしても良い。このようにすれば、ジャダー発生時や悪
路走行時、繰り返しノイズ発生時等に、スリップ制御状
態から解放状態へ移行させた場合でも、その後、スリッ
プ量の継続的な変動が発生しなくなれば、その時点で、
スリップ量フィードバック制御へ安定して復帰させるこ
とができる。
【0018】また、請求項5のように、制御量の変化以
外の要因によるスリップ量の変動が継続して発生すると
判定されたときに、スリップ量フィードバック制御を中
止し、ロックアップクラッチの制御量を所定期間保持し
た後、該制御量をロックアップクラッチの解放方向に徐
々に変化させてロックアップクラッチを徐々に解放する
ように制御するようにしても良い。この場合、ジャダー
発生時や悪路走行時、繰り返しノイズ発生時等に発生す
る継続的(連続的)なスリップ量の変動に対して、スリ
ップ量フィードバック制御を中止するが、従来のよう
に、中止直後にロックアップクラッチを完全解放するの
ではなく、制御系がある程度安定するまでの所定期間
は、ロックアップクラッチの制御量を保持した後、ロッ
クアップクラッチを徐々に解放する。これにより、ジャ
ダー発生時や悪路走行時、繰り返しノイズ発生時等に、
スリップ制御状態から解放状態へ安定して移行させるこ
とができ、運転者に与える違和感を少なくすることがで
きる。
【0019】
【発明の実施の形態】[実施形態(1)]以下、本発明
の一実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。ま
ず、図1に基づいてロックアップクラッチ付きトルクコ
ンバータ11(流体動力伝達装置)の構造を説明する。
【0020】トルクコンバータ11の入力軸12は、エ
ンジンのクランク軸(図示せず)に連結され、該入力軸
12に連結板13を介してコンバータケース14が連結
されている。これにより、エンジン動力によってコンバ
ータケース14が回転駆動される。このコンバータケー
ス14内には、流体継手を構成するポンプインペラ15
とタービンランナ16が対向して設けられ、該コンバー
タケース14内にオイルが満たされている。ポンプイン
ペラ15は、コンバータケース14に固定され、コンバ
ータケース14と一体に回転駆動される。
【0021】一方、タービンランナ16は、コンバータ
ケース14の回転中心部に配置された出力軸17に固定
され、タービンランナ16の回転によって出力軸17が
回転される。ポンプインペラ15とタービンランナ16
との間には、オイルの流れを整流するステータ18が設
けられている。また、コンバータケース14内には、出
力軸17に直結されたロックアップクラッチ19がコン
バータケース14の前面部に対向して設けられている。
このロックアップクラッチ19は、後述する油圧回路2
0で制御される油圧によって解放状態、スリップ制御状
態、完全締結状態(ロックアップ状態)とが切り換えら
れる。
【0022】このトルクコンバータ11は、エンジン動
力によって入力軸12が回転すると、コンバータケース
14と共にポンプインペラ15が回転し、このポンプイ
ンペラ15の回転がオイルを介してタービンランナ16
に伝達される。これにより、タービンランナ16が回転
して、出力軸17が回転する。この出力軸17の回転
は、変速機(図示せず)を介して車両の駆動輪に伝達さ
れる。
【0023】次に、油圧回路20の構成を説明する。エ
ンジン動力で駆動されるオイルポンプ(図示せず)の吐
出側にメインライン21が接続され、このメインライン
21にロックアップバルブ22を介してコンバータライ
ン23とロックアップ解放ライン24とが接続され、メ
インライン21から供給される油圧がロックアップバル
ブ22によってコンバータライン23とロックアップ解
放ライン24とに分配される。コンバータライン23に
供給される油圧は、トルクコンバータ11内に導入さ
れ、その油圧がロックアップクラッチ19に対してロッ
クアップ方向(締結方向)に作用する。
【0024】一方、ロックアップ解放ライン24に供給
される油圧は、ロックアップクラッチ19とコンバータ
ケース14の前面部との間の空間部25に導入され、そ
の油圧がロックアップクラッチ19に対して解放方向に
作用する。
【0025】ロックアップバルブ22のバルブハウジン
グ内には、スプール25と、このスプール25を図1の
左方へ付勢するスプリング26とが設けられている。こ
のロックアップバルブ22のバルブハウジングには、ロ
ックアップ解放ライン24に油圧を供給する出力ポート
27が形成され、この出力ポート27の両側に、調圧ポ
ート28とドレンポート29とが形成され、調圧ポート
28には、メインライン21の油圧が導入される。
【0026】また、ロックアップバルブ22の図示左側
の端部には、スプール25にパイロット圧を作用させる
制御ライン30が接続されている。そして、この制御ラ
イン30から分岐されたドレンライン31に、デューテ
ィソレノイドバルブ32が接続されている。このデュー
ティソレノイドバルブ32は、入力信号に応じたデュー
ティ率でON/OFFを繰り返し、ドレンライン31を
デューティ率に応じた短い周期で開閉することにより、
制御ライン30内のパイロット圧を指令されたデューテ
イ率に対応する油圧に調整する。
【0027】この制御ライン30内のパイロット圧は、
ロックアップバルブ22のスプール25に対して、スプ
リング26の弾発力と反対方向に作用する。更に、この
スプール25に対しては、ロックアップ解放ライン24
の油圧(以下「解放圧」という)がスプリング26の弾
発力と同じ方向に作用する。これらパイロット圧と解放
圧とスプリング26の弾発力との力関係によって、スプ
ール25が左右いずれかの方向に移動し、それによっ
て、上記ロックアップ解放ライン24が調圧ポート28
又はドレンポート29に連通されることにより、解放圧
が上記パイロット圧(デューティソレノイドバルブ32
のデューティ率)に対応する値に制御される。
【0028】次に、デューティソレノイドバルブ32の
デューティ率とロックアップクラッチ19の動作につい
て説明する。デューティソレノイドバルブ32のデュー
ティ率を最大値に制御すると、制御ライン30からのド
レン量が最大となってパイロット圧が最小となる。これ
により、ロックアップバルブ22のスプール25が図示
左方に移動して調圧ポート28が閉じられると共に、ド
レンポート29が開かれ、ロックアップ解放ライン24
内の油圧(解放圧)が最小となる。その結果、ロックア
ップクラッチ19に作用するロックアップ方向の油圧が
解放圧に打ち勝って、ロックアップクラッチ19が完全
に締結され、トルクコンバータ11の入力軸12と出力
軸17との間が直結された状態となる。
【0029】一方、デューティソレノイドバルブ32の
デューティ率を最小に制御すると、制御ライン30から
のドレン量が最小となってパイロット圧が最大となる。
これにより、ロックアップバルブ22のスプール25が
図示右方に移動して調圧ポート28が開かれると共に、
ドレンポート29が閉じられ、ロックアップ解放ライン
24内の油圧(解放圧)が最大となる。その結果、ロッ
クアップクラッチ19に作用する解放圧がロックアップ
方向の油圧に打ち勝って、ロックアップクラッチ19が
完全に解放され、トルクコンバータ11の入力軸12と
出力軸17との間が完全に切り離された状態(解放され
た状態)となる。
【0030】そして、最大値と最小値の中間のデューテ
ィ率では、ロックアップクラッチ19がスリップ制御状
態に保たれ、この状態で解放圧がデューティ率に応じて
調整されることにより、ロックアップクラッチ19のス
リップ量(エンジン回転速度Neと出力軸回転速度Nt
との差)が制御される。
【0031】以上説明したロックアップクラッチ19の
スリップ量の制御は、電子制御ユニット33(ECU)
によって制御される。この電子制御ユニット33は、マ
イクロコンピュータを主体として構成され、車速Vを検
出する車速センサ34、スロットル開度θを検出するス
ロットルセンサ35、エンジン回転速度Neを検出する
エンジン回転センサ36、トルクコンバータ11の出力
軸17の回転速度Nt(タービン回転速度)を検出する
出力軸回転センサ37等の出力信号を読み込んで、それ
らの出力信号に基づいて図2に示す制御領域マップに従
って制御領域を判定し、その制御領域に応じて変速機を
シフトアップ/シフトダウンすると共に、後述する図3
のロックアップ制御プログラムに従って、ロックアップ
クラッチ19に作用させる解除方向の油圧の指令値(デ
ューティソレノイドバルブ32のデューティ率PL/U )
を算出して出力することによって、ロックアップクラッ
チ19の動作状態を制御する。
【0032】図2に示す制御領域マップは、車速Vとス
ロットル開度θをパラメータとしてロックアップ制御を
行う場合の一例を示したものである。領域は、加速中
にロックアップクラッチ19を完全締結する領域であ
り、領域は、減速中にロックアップクラッチ19を完
全締結する領域である。また、領域は、加速中にロッ
クアップクラッチ19をスリップ制御する領域であり、
領域は、減速中にロックアップクラッチ19をスリッ
プ制御する領域である。その他の領域は、ロックアップ
クラッチ19を解放する領域である。
【0033】この図2の制御領域マップに基づいて、ロ
ックアップクラッチ19の制御パターンの一例を説明す
る。いま、車両が停止状態からスロットル開度1/16
の一定値で発進加速したとする。これにより、車速が上
昇して16km/hに達すると、1速から2速への変速
が行われる。更に、車速が上昇して20km/hに達す
ると、ロックアップクラッチ19を解放状態からスリッ
プ制御状態へと移行する制御が行われ、その後、スリッ
プ制御(スリップ量フィードバック制御)が継続され
る。車速が上昇して32km/h、45km/hに達す
ると、それぞれ2速から3速、3速から4速へと変速さ
れる。この間は、ロックアップクラッチ19のスリップ
制御が継続される。その後、車速が65km/hを超え
ると、ロックアップクラッチ19は完全締結状態に制御
される。
【0034】この場合、車速が20km/h未満のロッ
クアップクラッチ19の解放領域では、デューティソレ
ノイドバルブ32のデューティ率が最小値(例えぱ0
%)に制御される。また、車速が65km/hを超える
完全締結領域では、デューティ率が最大値(例えばl0
0%)に制御される。また、車速が20〜65km/h
の領域では、スリップ状態を維持するために、デューテ
ィ率は最大値と最小値の間の適切な値に制御される。
【0035】ところで、車両が路面の継ぎ目や段差を通
過したような場合は、駆動輪からトルクコンバータ11
に回転変動が伝達され、スリップ量の変動が一時的に発
生する。前述した従来の技術では、このような一時的な
短時間のスリップ量の変動に対しては、油圧制御による
スリップ量フィードバック制御(通常のスリップ制御)
が継続されるが、油圧制御の応答性が遅いため、一時的
なスリップ量の変動を応答良く抑制できない。このた
め、一時的な短時間のスリップ量の変動に対してスリッ
プ量フィードバック制御を継続すると、スリップ量フィ
ードバック制御がその応答遅れによってスリップ量を目
標スリップ量に収束させるのを妨げる方向に働いてしま
い、却って車両の振動を長引かせる原因になってしま
う。
【0036】この対策として、一時的なスリップ量の変
動が発生したときにも、継続的なスリップ量の変動の場
合と同様に、スリップ制御を中止することが考えられる
が、このようにすると、車両が路面の継ぎ目や段差を通
過する毎に、ロックアップクラッチ19がスリップ制御
状態から解放状態に切り換えられるため、駆動力が急変
することになり、運転者にトルクショックを感じさせる
だけでなく、スリップ制御による燃費効果も少なくなる
欠点が生じる。
【0037】そこで、本実施形態(1)では、後述する
図4のスリップ量フィードバック制御プログラムによっ
てスリップ量の変動の有無を判定し、スリップ量の変動
有りと判定されたときに、スリップ量フィードバック制
御を所定期間中止し、その中止期間中に、ロックアップ
クラッチ19をスリップ制御状態に維持する。以下、電
子制御ユニット33が実行する図3と図4の各プログラ
ムの処理内容を説明する。
【0038】図3のロックアップ制御プログラムは、イ
グニッションスイッチ(図示せず)のON後に起動さ
れ、特許請求の範囲でいうスリップ制御手段としての役
割を果たす。本プログラムが起動されると、まずステッ
プ101で、制御領域判定フラグFlagとスリップ量
変動検出フラグFSを共に「0」にリセットした後、ス
テップ102に進み、各センサで検出した車速V、エン
ジン回転速度Ne、出力軸回転速度(タービン回転速
度)Nt、スロットル開度θを読み込む。この後、ステ
ップ103に進み、現在の制御領域がスリップ制御領域
であるか否かを図2の制御領域マップに基づいて判定す
る。
【0039】このステップ103で、スリップ制御領域
でないと判定されれば、ステップ104に進み、現在の
制御領域が完全締結領域であるか否かを図2の制御領域
マップに基づいて判定する。このステップ104で、完
全締結領域と判定された場合は、ステップ105に進
み、制御領域判定フラグFlagを「3」にセットし、
次のステップ106で、デューティソレノイドバルブ3
2のデューティ率指令値PL/U を最大値Pmax に設定し
て、ロックアップクラッチ19に作用させる解除方向の
油圧(解除圧)を最小にするように制御し、ロックアッ
プクラッチ19を完全締結状態に保持する。
【0040】これに対し、上記ステップ104で、完全
締結領域でないと判定された場合(つまり解放領域と判
定された場合)は、ステップ107に進み、制御領域判
定フラグFlagを「0」にセットし、次のステップ1
08で、デューティソレノイドバルブ32のデューティ
率指令値PL/U を最小値Pmin に設定して、ロックアッ
プクラッチ19に作用させる解除方向の油圧を最大にす
るように制御し、ロックアップクラッチ19を解放状態
に保持する。
【0041】また、前述したステップ103で、スリッ
プ制御領域と判定された場合は、ステップ109に進
み、制御領域判定フラグFlagが「0」、「1」、
「2」、「3」のいずれに該当するか判別し、Flag
=0の場合(つまり解放領域からスリップ制御領域に切
り換わった直後)は、ステップ110に進み、デューテ
ィソレノイドバルブ32のデューティ率指令値PL/U(i)
の初期値をPo に設定し、次のステップ111で、制御
領域判定フラグFlagを「0」から「1」に切り換え
る。
【0042】また、ステップ109で、Flag=1と
判定された場合(つまりスリップ制御開始からスリップ
量Ns が切換しきい値Nref 以下になるまでの期間)
は、ステップ112に進み、スリップ制御のデューティ
率指令値PL/U(i)を前回のデューティ率指令値PL/U(i-
1)に所定量ΔPを加算した値に設定する。これにより、
スリップ量Ns が切換しきい値Nref 以下になるまでの
期間は、所定の演算周期で、デューティ率指令値PL/U
(i)を所定量ΔPずつ増加するフィードフォワード制御
が実施される。
【0043】この後、ステップ113に進み、スリップ
量Ns が切換しきい値Nref 以下になったか否かを判定
し、スリップ量Ns が切換しきい値Nref 以下になるま
で、制御領域判定フラグFlagを「1」に維持し、上
述したフィードフォワード制御を継続する。その後、ス
リップ量Ns が切換しきい値Nref 以下になった時点
で、制御領域判定フラグFlagを「1」から「2」に
切り換えて(ステップ114)、フィードフォワード制
御から後述するスリップ量フィードバック制御に切り換
える。
【0044】また、上述したステップ109で、Fla
g=2又は3と判定された場合(つまりスリップ量が切
換しきい値Nref 以下になった後のスリップ制御中であ
る場合又は完全締結領域からスリップ制御領域に切り換
わった場合)は、ステップ120に進み、後述する図4
のスリップ量フィードバック制御プログラムを実行し、
スリップ制御のデューティ率指令値PL/U(i)を例えばP
ID制御によりフィードバック補正する。
【0045】以上のようにして、制御領域に応じてデュ
ーティ率指令値PL/U(i)を設定する毎に、ステップ11
5に進み、次の演算タイミングまでの所定時間が経過す
るまで待機し、所定時間が経過した時点で、前記ステッ
プ102に戻り、上述した処理を繰り返してデューティ
率指令値PL/U(i)を所定時間毎に更新する。
【0046】次に、上記ステップ120で実行される図
4のスリップ量フィードバック制御プログラムの処理内
容を説明する。本プログラムも、特許請求の範囲でいう
スリップ制御手段としての役割を果たす。本プログラム
が起動されると、まずステップ121で、スリップ量変
動検出フラグFSがスリップ量変動検出有りを意味する
「1」にセットされているか否かを判定し、スリップ量
変動検出フラグFSがスリップ量変動検出無しを意味す
る「0」にセットされていれば、ステップ122に進
み、デューティ率指令値PL/U の変化以外の要因による
スリップ量Ns の変動が発生しているか否かを次の判定
式によって判定する。 f(|PL/U(i-1)−PL/U(i-2)|)+ΔN≧|Ns(i)−Ns(i-1)| …
【0047】ここで、f(|PL/U(i-1)−PL/U(i-2)
|)は、前回のデューティ率指令値PL/U(i-1)と前々回
のデューティ率指令値PL/U(i-2)との差によって生じる
スリップ量Ns の予測変化量であり、図5のマップ(又
は数式)により算出される。図5のマップの特性は、前
回のデューティ率指令値PL/U(i-1)と前々回のデューテ
ィ率指令値PL/U(i-2)との差が大きくなるほど、その差
によって生じるスリップ量Ns の予測変化量fが大きく
なるように設定されている。
【0048】上記判定式の左辺の補正項ΔNは、スリ
ップ量の検出誤差を吸収するための補正量である。従っ
て、上記判定式式の左辺は検出誤差を最大限見込んだ
スリップ量Ns の最大予測変化量である。
【0049】一方、上記判定式の右辺において、Ns
(i)は今回のスリップ量、Ns(i-1)は前回のスリップ量
である。従って、上記判定式の右辺|Ns(i)−Ns(i-
1)|は前回から今回までのスリップ量Ns の実変動量で
ある。尚、スリップ量Ns は、エンジン回転速度Neと
出力軸回転速度Ntとの差である。 Ns =Ne−Nt
【0050】上記判定式は、検出誤差を最大限見込ん
だスリップ量Ns の最大予測変化量(f+ΔN)とスリ
ップ量Ns の実変動量|Ns(i)−Ns(i-1)|とを比較
し、実変動量が最大予測変化量以下である場合(つまり
判定式の関係が成立する場合)は、デューティ率指令
値PL/U の変化以外の要因によるスリップ量Ns の変動
が発生していないと判定する。上記ステップ122の処
理は、特許請求の範囲でいうスリップ量変動判定手段と
しての役割を果たす。
【0051】上記ステップ122で、デューティ率指令
値PL/U の変化以外の要因によるスリップ量Ns の変動
が発生していないと判定されれば、ステップ123に進
み、スリップ量変動検出フラグFSを「0」に維持(又
はリセット)し、次のステップ124で、デューティ率
指令値PL/U のフィードバック補正量DFB(i) を例え
ば次式で表されるPID制御の式により算出する。
【0052】DFB(i) =kp×ΔNs(i)+ki×ΣΔ
Ns(i)+kd×{ΔNs(i)−ΔNs(i-1)} ΔNs(i)=Ns(i)−Nsr ここで、Nsrは目標スリップ量、kpは比例ゲイン、k
iは積分ゲイン、kdは微分ゲインである。
【0053】フィードバック補正量DFB(i) の算出
後、ステップ125に進み、前回のデューティ率指令値
PL/U(i-1)に今回のフィードバック補正量DFB(i) を
加算して、今回のデューティ率指令値PL/U(i)を求め、
本プログラムを終了する。
【0054】このようにして、スリップ量フィードバッ
ク制御中に、デューティ率指令値PL/U の変化以外の要
因によるスリップ量Ns の変動が検出されなければ、所
定の演算周期でデューティ率指令値PL/U がフィードバ
ック補正され、実スリップ量Ns が目標スリップ量Nsr
にフィードバック制御される。
【0055】その後、本プログラムが起動されたとき
に、上記ステップ122で、デューティ率指令値PL/U
の変化以外の要因によるスリップ量Ns の変動が検出さ
れれば、ステップ126に進み、スリップ量変動検出フ
ラグFSをスリップ量変動検出有りを意味する「1」に
セットし、次のステップ127で、フィードバック制御
中止時間をカウントするタイマカウンタtをクリアした
後、ステップ128に進み、前回のデューティ率指令値
PL/U(i-1)を今回のデューティ率指令値PL/U(i)にセッ
トして、本プログラムを終了する。
【0056】このようにして、スリップ量フィードバッ
ク制御中に、デューティ率指令値PL/U の変化以外の要
因によるスリップ量Ns の変動が検出されれば、その時
点で、スリップ量フィードバック制御が中止されると共
に、デューティ率指令値PL/U がフィードバック制御中
止直前のデューティ率指令値PL/U に保持されて、ロッ
クアップクラッチ19がスリップ制御状態に保持され
る。
【0057】一旦、スリップ量変動検出フラグFSが、
スリップ量変動検出有りを意味する「1」にセットされ
ると、その後は、本プログラムが起動される毎に、ステ
ップ121からステップ129に進み、タイマカウンタ
tをカウントアップして、フィードバック制御中止時間
をカウントし、次のステップ130で、タイマカウンタ
tの値が所定値to に達したか否かを判定して、所定値
to に達していなければ、ステップ132に進み、前回
のデューティ率指令値PL/U(i-1)を今回のデューティ率
指令値PL/U(i)にセットして、本プログラムを終了す
る。これにより、フィードバック制御の中止時間が所定
時間に達するまでは、デューティ率指令値PL/U がフィ
ードバック制御中止直前のデューティ率指令値PL/U に
保持されて、ロックアップクラッチ19がスリップ制御
状態に保持される。
【0058】その後、タイマカウンタtの値が所定値t
o に達した時点で、ステップ130からステップ131
に進み、スリップ量変動検出フラグFSをスリップ量変
動検出無しを意味する「0」にリセットする。これによ
り、次回の演算タイミングからスリップ量フィードバッ
ク制御が再開される。
【0059】以上説明した図3及び図4のプログラムに
よって実行されるロックアップ制御の一例を図6のタイ
ムチャートに基づいて説明する。図6の例は、ロックア
ップクラッチ19の制御領域が解放領域からスリップ制
御領域に移行したときの挙動を示している。解放領域で
は、デューティソレノイドバルブ32のデューティ率指
令値PL/U を最小値(例えば0%)に設定して、ロック
アップクラッチ19に作用させる解除方向の油圧を最大
にするように制御し、ロックアップクラッチ19を解放
状態に保持する。
【0060】その後、ロックアップクラッチ19の制御
領域が解放領域からスリップ制御領域に移行した時点
で、まず、デューティ率指令値PL/U が所定の初期値P
o に設定される。この後は、スリップ量Ns が切換しき
い値Nref 以下になるまで、デューティ率指令値PL/U
を所定の演算周期で所定量ΔPずつ増加させるフィード
フォワード制御を実施する。このフィードフォワード制
御により、デューティ率指令値PL/U が増加するに従っ
て、スリップ量Ns が徐々に減少し、それによって、ス
リップ量Ns が切換しきい値Nref 以下になった時点
で、フィードフォワード制御からスリップ量フィードバ
ック制御に切り換えられる。
【0061】このスリップ量フィードバック制御中は、
実スリップ量Ns を目標スリップ量Nsrに一致させるよ
うに、デューティ率指令値PL/U のフィードバック補正
量DFBをPID制御により算出し、このフィードバッ
ク補正量DFBによってデューティ率指令値PL/U をフ
ィードバック補正する。
【0062】このスリップ量フィードバック制御中は、
デューティ率指令値PL/U の変化以外の要因によるスリ
ップ量Ns の変動が発生しているか否かを所定周期で判
定し、スリップ量Ns の変動が検出された時点で、スリ
ップ量フィードバック制御を所定時間中止すると共に、
デューティ率指令値PL/U をフィードバック制御中止直
前のデューティ率指令値PL/U に保持してロックアップ
クラッチ19をスリップ制御状態に保持する。そして、
このスリップ量フィードバック制御の中止時間が所定時
間に達した時点で、スリップ量フィードバック制御を再
開する。
【0063】このようにすれば、車両が路面の継ぎ目や
段差を通過したような場合等に、一時的な短時間のスリ
ップ量変動が発生したときに、スリップ量フィードバッ
ク制御がその制御系がある程度安定するまでの所定時間
中止されるため、一時的なスリップ量変動の発生直後の
制御系の不安定な時期に応答の遅いスリップ量フィード
バック制御が継続されることを未然に防止することがで
き、車両の振動を早期に収束させることができる。
【0064】しかも、スリップ量フィードバック制御を
中止する期間中は、ロックアップクラッチ19を解放状
態に切り換えずにスリップ制御状態に維持するため、駆
動力が急変することを防止でき、運転者にトルクショッ
クを感じさせずに済むと共に、スリップ制御による燃費
効果も損なわずに済む。また、万一、センサ系が異常に
なってスリップ量Ns が変動したときにも、スリップ量
フィードバック制御が中止されるため、センサ系の異常
な出力に基づいてスリップ量Ns が急激に間違った方向
にフィードバック制御されることを防止でき、トルクシ
ョックやエンジンストールを招くようなスリップ量Ns
の急変を防止することができる。
【0065】[実施形態(2)]上記実施形態(1)で
は、スリップ量フィードバック制御の中止期間中のデュ
ーティ率指令値PL/U を該中止期間直前のデューティ率
指令値PL/U に保持するようにしたが、図7に示す本発
明の実施形態(2)では、スリップ量フィードバック制
御の中止期間中のデューティ率指令値PL/U を、中止期
間直前の所定期間のデューティ率指令値PL/U の平均値
PL/UAV に保持するようにしている。
【0066】本実施形態(2)では、前記実施形態
(1)で用いた図4のスリップ量フィードバック制御プ
ログラムに代えて、図7のスリップ量フィードバック制
御プログラムを用いる。その他の点は、前記実施形態
(1)と同じである。
【0067】図7のスリップ量フィードバック制御プロ
グラムは、ステップ123a、128a、132aの処
理が図4のプログラムと相違するのみであり、その他の
各ステップの処理は図4のプログラムの各ステップの処
理と同じである。
【0068】図7のプログラムでは、スリップ量フィー
ドバック制御中に、ステップ123aで、過去m回分の
デューティ率指令値PL/U の平均値PL/UAV を算出す
る。 PL/UAV ={PL/U(i-1)+PL/U(i-2)+……+PL/U(i-
m)}/m
【0069】尚、本実施形態(2)では、ステップ12
5で今回のデューティ率指令値PL/U(i)を算出する前
に、平均値PL/UAV を算出するため、平均値PL/UAV
は、前回値までの過去m回分の平均値としたが、ステッ
プ125で今回のデューティ率指令値PL/U(i)を算出し
た後に、今回値までの過去m回分の平均値PL/UAV を算
出するようにしても良い。
【0070】このスリップ量フィードバック制御中に、
デューティ率指令値PL/U の変化以外の要因によるスリ
ップ量Ns の変動が検出された時点で、デューティ率指
令値PL/U(i)をその直前の過去m回分の平均値PL/UAV
に設定する(ステップ128a)。そして、スリップ量
フィードバック制御の中止時間が所定時間に達するまで
は、デューティ率指令値PL/U が中止直前の過去m回分
の平均値PL/UAV に保持され(ステップ132a)、ロ
ックアップクラッチ19がスリップ制御状態に保持され
る。
【0071】以上説明した本実施形態(2)において
も、前記実施形態(1)と同様の効果を得ることができ
る。しかも、万一、スリップ量フィードバック制御の中
止直前のデューティ率指令値PL/U がノイズ等で異常な
値になっても、その影響を平均化処理によってほとんど
無視できる程度まで小さくすることができ、制御の信頼
性を向上できる。
【0072】[実施形態(3)]本発明の実施形態
(3)では、前記実施形態(1)で用いた図4のスリッ
プ量フィードバック制御プログラムに代えて、図8及び
図9のスリップ量フィードバック制御プログラムを用い
る。その他の点は前記実施形態(1)と同じである。
【0073】図8及び図9のスリップ量フィードバック
制御プログラムでは、まずステップ201で、スリップ
量変動検出フラグFSが「0」、「1」、「2」、
「3」のいずれに該当するか判別し、FS=0(スリッ
プ量変動検出無し)の場合は、ステップ202に進み、
デューティ率指令値PL/U の変化以外の要因によるスリ
ップ量Ns の変動が継続して発生しているか否かを判定
する。この際、スリップ量Ns の継続的な変動が発生し
ているか否かは、前記実施形態(1)で説明した判定式
が成立しない状態が所定時間以上継続しているか否か
によって判定すれば良い。
【0074】そして、スリップ量Ns の継続的な変動が
発生していなければ、デューティ率指令値PL/U のフィ
ードバック補正量DFB(i) を算出し(ステップ20
3)、前回のデューティ率指令値PL/U(i-1)に今回のフ
ィードバック補正量DFB(i)を加算して、今回のデュ
ーティ率指令値PL/U(i)を求める(ステップ204)。
【0075】その後、ステップ202で、デューティ率
指令値PL/U の変化以外の要因によるスリップ量Ns の
継続的な変動が検出されれば、ステップ205に進み、
スリップ量変動検出フラグFSをスリップ量変動検出有
りを意味する「1」にセットし、次のステップ206
で、タイマカウンタtをクリアする。その後、ステップ
207に進み、前回のデューティ率指令値PL/U(i-1)を
今回のデューティ率指令値PL/U(i)にセットする。これ
により、デューティ率指令値PL/U の変化以外の要因に
よるスリップ量Ns の継続的な変動が検出された時点
で、スリップ量フィードバック制御を中止すると共に、
デューティ率指令値PL/U をフィードバック制御中止直
前のデューティ率指令値PL/U に保持して、ロックアッ
プクラッチ19をスリップ制御状態に保持する。この
際、前記実施形態(2)のように、デューティ率指令値
PL/U をフィードバック制御中止直前の所定期間のデュ
ーティ率指令値PL/U の平均値に保持するようにしても
良い。
【0076】スリップ量フィードバック制御の中止期間
中は、ステップ208で、タイマカウンタtをカウント
アップする。このタイマカウンタtの値が所定値to に
達するまでは、デューティ率指令値PL/U をフィードバ
ック制御中止直前のデューティ率指令値PL/U に保持し
(ステップ209,211)、その後、タイマカウンタ
tの値が所定値to に達した時点で、スリップ量変動検
出フラグFSを「2」にセットして(ステップ21
0)、デューティ率指令値PL/U の保持制御からロック
アップ解除制御に移行する。
【0077】このロックアップ解除制御中は、ステップ
201からステップ212に進み、今回のデューティ率
指令値Px を、前回のデューティ率指令値PL/U(i-1)か
ら所定量ΔPo を減算した値に設定する。そして、次の
ステップ213で、今回のデューティ率指令値Px が所
定値Popenより小さくなったか否かを判定し、まだ、今
回のデューティ率指令値Px が所定値Popen以上であれ
ば、ステップ215に進み、出力するデューティ率指令
値PL/U(i)として、上記ステップ212で演算したデュ
ーティ率指令値Px をセットする。
【0078】これにより、デューティ率指令値Px が所
定値Popenより小さくなるまでの期間は、所定の演算周
期で、デューティ率指令値PL/U(i)が所定量ΔPo ずつ
減少され、ロックアップクラッチ19に作用させる解除
方向の油圧が徐々に増加される。
【0079】その後、デューティ率指令値Px が所定値
Popenより小さくなった時点で、ステップ214に進
み、スリップ量変動検出フラグFSを「3」にセットす
る。この後は、本プログラムが起動されたときに、ステ
ップ201から図9のステップ216に進み、デューテ
ィ率指令値PL/U を最小値Pmin に設定して、ロックア
ップクラッチ19に作用させる解除方向の油圧を最大に
するように制御し、ロックアップクラッチ19を解放状
態に保持する。
【0080】この後、ステップ217に進み、スリップ
量Ns の継続的な変動が発生しなくなったか否かを判定
し、スリップ量Ns の継続的な変動が発生していれば、
本プログラムを終了する。これにより、スリップ量Ns
の継続的な変動が発生しなくなるまで、ロックアップク
ラッチ19が解放状態に保持される。
【0081】その後、スリップ量Ns の継続的な変動が
発生しなくなった時点で、解放制御を終了して、ステッ
プ218に進み、今回のデューティ率指令値PL/U(i)を
所定値Pa に設定し、次のステップ219で、タイマカ
ウンタtをカウントアップする。このタイマカウンタt
の値が所定値t1 に達するまでは、デューティ率指令値
PL/U(i)を所定値Pa に保持し(ステップ220)、そ
の後、タイマカウンタtの値が所定値t1 に達した時点
で、スリップ量変動検出フラグFSを「0」にセットし
て(ステップ221)、スリップ量フィードバック制御
を再開する。
【0082】以上説明した本実施形態(3)では、ジャ
ダー発生時や悪路走行時、繰り返しノイズ発生時等に発
生する継続的(連続的)なスリップ量Ns の変動に対し
て、スリップ量フィードバック制御を中止するが、従来
のように、中止直後にロックアップクラッチ19を完全
解放するのではなく、制御系がある程度安定するまでの
所定期間は、デューティ率指令値PL/U(i)を保持した
後、所定の演算周期でデューティ率指令値PL/U(i)を所
定量ΔPo ずつ減少して、ロックアップクラッチ19に
作用させる解除方向の油圧を徐々に増加させ、ロックア
ップクラッチ19を徐々に解放する。これにより、ジャ
ダー発生時や悪路走行時、繰り返しノイズ発生時等に、
スリップ制御状態から解放状態へ安定して移行させるこ
とができ、運転者に与える違和感を少なくすることがで
きる。
【0083】しかも、本実施形態(3)では、ロックア
ップクラッチ19の解放期間中にスリップ量Ns の継続
的な変動が発生しなくなったと判定されたときに、デュ
ーティ率指令値PL/U を制御系がある程度安定するまで
の所定期間保持した後、スリップ量フィードバック制御
を再開するようにしたので、ジャダー発生時や悪路走行
時、繰り返しノイズ発生時等に、スリップ制御状態から
解放状態へ移行させた場合でも、その後、スリップ量N
s の継続的な変動が発生しなくなれば、その時点で、ス
リップ量フィードバック制御へ安定して復帰させること
ができる。
【0084】尚、前記各実施形態(1)〜(3)では、
スリップ量フィードバック制御の中止期間中にロックア
ップクラッチ19の制御量(デューティ率指令値PL/U
)を一定値に保持するようにしたが、運転状態等に応
じてロックアップクラッチ19の制御量をフィードフォ
ワード的に徐変するようにしても良い。
【0085】また、前記実施形態(1)又は(2)を実
施形態(3)と組み合わせて実施するようにしても良
い。その他、本発明は、トルクコンバータ11の構成や
油圧回路20の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸
脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)のトルクコンバータと
油圧回路とその制御系の構成を概略的に示す図
【図2】制御領域マップを概念的に示す図
【図3】実施形態(1)のロックアップ制御プログラム
の処理の流れを示すフローチャート
【図4】実施形態(1)のスリップ量フィードバック制
御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図5】前回のデューティ率指令値PL/U(i-1)と前々回
のデューティ率指令値PL/U(i-2)との差によって生じる
スリップ量Ns の予測変化量fを算出するマップを概念
的に示す図
【図6】ロックアップクラッチの制御領域が解放領域か
らスリップ制御領域に移行したときの挙動を示すタイム
チャート
【図7】実施形態(2)のスリップ量フィードバック制
御プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(3)のスリップ量フィードバック制
御プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その
1)
【図9】実施形態(3)のスリップ量フィードバック制
御プログラムの処理の流れを示すフローチャート(その
2)
【符号の説明】
11…トルクコンバータ(流体動力伝達装置)、12…
入力軸、14…コンバータケース、15…ポンプインペ
ラ、16…タービンランナ、17…出力軸、19…ロッ
クアップクラッチ、20…油圧回路、21…メインライ
ン、22…ロックアップバルブ、23…コンバータライ
ン、24…ロックアップ解放ライン、28…調圧ポー
ト、29…ドレンポート、31…ドレンライン、32…
デューティソレノイドバルブ、33…電子制御ユニット
(スリップ制御手段,スリップ量変動判定手段)、34
…車速センサ、35…スロットルセンサ、36…エンジ
ン回転センサ、37…出力軸回転センサ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の運転領域でロックアップクラッチ
    のスリップ量を目標スリップ量にフィードバック制御す
    るスリップ制御手段を備えたロックアップクラッチ付き
    流体動力伝達装置のスリップ制御装置において、 スリップ量フィードバック制御中に制御量の変化以外の
    要因によるスリップ量の変動の有無を判定するスリップ
    量変動判定手段を備え、 前記スリップ制御手段は、前記スリップ量変動判定手段
    により前記スリップ量の変動有りと判定されたときにス
    リップ量フィードバック制御を所定期間中止し、その中
    止期間中に前記ロックアップクラッチをスリップ制御状
    態に維持することを特徴とするロックアップクラッチ付
    き流体動力伝達装置のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記スリップ制御手段は、前記スリップ
    量フィードバック制御の中止期間中に前記ロックアップ
    クラッチの制御量を該中止期間直前の制御量に保持する
    ことを特徴とする請求項1に記載のロックアップクラッ
    チ付き流体動力伝達装置のスリップ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記スリップ制御手段は、前記スリップ
    量フィードバック制御の中止期間中に前記ロックアップ
    クラッチの制御量を該中止期間直前の所定期間の制御量
    の平均値に保持することを特徴とする請求項1に記載の
    ロックアップクラッチ付き流体動力伝達装置のスリップ
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記スリップ制御手段は、前記スリップ
    量変動判定手段により前記スリップ量の変動が継続して
    発生すると判定されたときにスリップ量フィードバック
    制御を中止して前記ロックアップクラッチを解放させる
    方向に制御し、該ロックアップクラッチの解放期間中に
    前記スリップ量変動判定手段により前記スリップ量の継
    続的な変動が発生しなくなったと判定されたときに前記
    ロックアップクラッチの制御量を所定期間保持した後、
    スリップ量フィードバック制御を再開することを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれかに記載のロックアップク
    ラッチ付き流体動力伝達装置のスリップ制御装置。
  5. 【請求項5】 所定の運転領域でロックアップクラッチ
    のスリップ量を目標スリップ量にフィードバック制御す
    るスリップ制御手段を備えたロックアップクラッチ付き
    流体動力伝達装置のスリップ制御装置において、 スリップ量フィードバック制御中に制御量の変化以外の
    要因によるスリップ量の変動の有無を判定するスリップ
    量変動判定手段を備え、 前記スリップ制御手段は、前記スリップ量変動判定手段
    により前記スリップ量の変動が継続して発生すると判定
    されたときにスリップ量フィードバック制御を中止し、
    前記ロックアップクラッチの制御量を所定期間保持した
    後、該制御量を該ロックアップクラッチの解放方向に徐
    々に変化させて該ロックアップクラッチを徐々に解放す
    るように制御することを特徴とするロックアップクラッ
    チ付き流体動力伝達装置のスリップ制御装置。
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