JP2711839B2 - トルクコンバータのスリップ制御装置 - Google Patents

トルクコンバータのスリップ制御装置

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JP2711839B2 JP62184374A JP18437487A JP2711839B2 JP 2711839 B2 JP2711839 B2 JP 2711839B2 JP 62184374 A JP62184374 A JP 62184374A JP 18437487 A JP18437487 A JP 18437487A JP 2711839 B2 JP2711839 B2 JP 2711839B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は自動車用自動変速機に用いられるトルクコン
バータ、特にロックアップクラッチ付きトルクコンバー
タのスリップ制御装置に関する。 (従来の技術) 自動車用自動変速機に用いられるトルクコンバータに
おいては、該トルクコンバータの所謂すべりに起因する
エンジン燃費性能の悪化を低減するため、トルク増大作
用や変速ショック吸収作用等を要しない所定の運転領域
で入、出力部材間を直結するロックアップクラッチを備
えることがある。 ところで、このロックアップクラッチを締結してトル
クコンバータの入、出力部材を直結した場合、特に低エ
ンジン回転領域でエンジンの振動が直接変速機側に伝達
されて、当該自動車の乗り心地が悪化するという問題が
発生し、また、これに対処すべく、低エンジン回転側の
比較的広い領域でロックアップクラッチを解放するよう
にすると、該ロックアップクラッチの燃費低減作用が有
効に活用されないことになる。 これに対しては、例えば特開昭61-52427号公報に示さ
れているように、所定の運転領域でロックアップクラッ
チを半ば締結してスリップさせる状態に制御し、これに
より完全に解放する場合の燃費性能の悪化を回避しなが
ら、エンジン振動の変速機側への伝達を阻止することが
行われる。その場合に、このスリップ制御は、トルクコ
ンバータの入、出力部材間の回転速度差、即ちスリップ
量を所定の目標スリップ量に収束させるようにフィード
バック制御するのが通例である。つまり、トルクコンバ
ータの入、出力回転数から求められる実際のスリップ量
を所定の目標スリップ量と比較し、その偏差に応じたフ
ィードバック量(スリップ量の補正量を示すもので、以
下単にフィードバック量という)でロックアップクラッ
チ作動用油圧の制御弁を駆動して該油圧を調整すること
により、該ロックアップクラッチを締結方向又は解放方
向に作動させて、スリップ量を目標スリップ量に収束さ
せるのである。 (発明が解決しようとする問題点) ところで、上記のようにトルクコンバータのスリップ
量をフィードバック制御する場合、ロックアップクラッ
チを完全に解放するコンバータ領域から、このフィード
バック制御を行うスリップ領域への移行時に、次のよう
な問題が発生する。 つまり、コンバータ領域においてはトルクコンバータ
の入、出力部材間の回転速度差が大きいため、該領域か
らスリップ領域へ移行した直後の実スリップ量の目標ス
リップ量に対する偏差は著しく大きな値となり、そのた
め、この偏差を解消して実スリップ量を目標スリップ量
に収束させるのに長時間を要することになるのである。
また、これに対処すべく、偏差に対するフィードバック
量のゲインを大きくすれば、スリップ領域へ移行した後
における通常のフィードバック制御においてハンチング
が生じる等、スリップ量の制御が不安定となる。 本発明は、トルクコンバータのスリップ制御に関する
上記のような実情に対処するもので、スリップ領域での
スリップ量のフィードバック制御を不安定にすることな
く、コンバータ領域からスリップ領域への移行時におけ
る制御の応答性を向上させることを目的とする。 (問題点を解決するための手段) 即ち、本発明に係るトルクコンバータのスリップ制御
装置は、第1図に示すように、トルクコンバータaにそ
の入、出力部材を直結するロックアップクラッチbが備
えられ、且つ該クラッチbを完全に解放するコンバータ
領域と、該クラッチbをスリップさせるスリップ領域と
が設定されている構成において、上記トルクコンバータ
aの入、出力回転数からスリップ量を検出するスリップ
量検出手段cと、該検出手段cによって検出される実ス
リップ量の目標スリップ量に対する偏差に基いてフィー
ドバック量を算出するフィードバック量演算手段dと、
該演算手段dにより算出されたフィードバック量に応じ
て上記偏差が減少するようにスリップ量制御手段eを駆
動するフィードバック制御手段fとを備えると共に、該
フィードバック制御手段fが、領域判定手段gによって
上記コンバータ領域からスリップ領域への移行が検出さ
れた時に、フィードバック制御の初期値として、上記フ
ィードバック量演算手段dによる演算値よりも大きく且
つ運転状態に応じて異なる値の所定値をスリップ量制御
手段eに出力するように構成したことを特徴とする。 なお、上記所定値を運転状態に応じて異ならせる場合
の運転状態としては、例えば当該自動車の車速やエンジ
ンの負荷等が採用される。 (作用) 上記の構成のよれば、スリップ領域においては、フィ
ードバック演算手段dにより実スリップ量の目標スリッ
プ量に対する偏差に基づいて算出されたフィードバック
量に応じてスリップ量制御手段e(例えばロックアップ
クラッチ作動用油圧の制御弁)が駆動されることによ
り、実スリップ量が目標スリップ量を上回る時はロック
アップクラッチbが締結方向に制御されて実スリップ量
が減少され、また実スリップ量が目標スリップ量を下回
る時は該ロックアップクラッチbが解放方向に制御され
て実スリップ量が増大されることになり、このようにし
て実スリップ量が目標スリップ量に収束されることにな
る。 そして、特に本発明によれば、コンバータ領域から上
記スリップ領域への移行時に、フィードバック制御手段
fがフィードバック制御の初期値として上記フィードバ
ック量演算手段dによる演算値よりも大きな所定値をス
リップ量制御手段eに出力するので、この領域移行時に
おける実スリップ量の目標スリップ量に対する大きな偏
差が速かに解消されて、実スリップ量が応答性良く目標
スリップ量に収束されることになる。また、スリップ領
域に移行した後は、上記フィードバック量演算手段dに
よって算出されたフィードバック量に応じて通常のフィ
ードバック制御が行われるので、該領域におけるスリッ
プ制御の安定性を悪化させることがない。 その場合に、上記の領域移行時に出力される所定値は
当該自動車の車速やエンジンの負荷等の運転状態に応じ
て異なる値に設定されるから、スリップ領域への移行時
に、その時の運転状態に拘らず、常に良好な応答性と安
定性とが得られることになる。 (実施例) 以下、本発明の実施例について説明する。 先ず、第2図によりトルクコンバータの構造とその制
御用油圧回路について説明すると、トルクコンバータ1
は、エンジン出力軸2に結合されたケース3内の一側部
に固設されて、エンジン出力軸2と一体回転するポンプ
4と、該ポンプ4と対向するようにケース3内の他側部
に回転自在に備えられて、ポンプ4の回転により作動油
を介して回転駆動されるタービン5と、ポンプ4とター
ビン5との間に介設されて、ポンプ回転数に対するター
ビン回転数の速度比が所定値以下の時にトルク増大作用
を行うステータ6と、タービン5とケース3との間に介
設されたロックアップクラッチ7とを有する。そして、
タービン5の回転がタービンシャフト8により出力され
て図示しない変速歯車機構に入力されるようになってお
り、また上記ロックアップクラッチ7がこのタービンシ
ャフト8に連結されて、ケース3に対して締結された時
に、該ケース3を介して上記エンジン出力軸2とタービ
ンシャフト8とを直結するようになっている。 また、このトルクコンバータ1には、図示しないオイ
ルポンプから導かれたメインライン9により、ロックア
ップバルブ10及びコンバータインライン11を介して作動
油が導入されるようになっており、この作動油の圧力に
よって上記ロックアップクラッチ7が常時締結方向に付
勢されていると共に、該クラッチ7とケース3との間の
空間12には、上記ロックアップバルブ10から導かれたロ
ックアップ解放ライン13が接続され、該ライン13から上
記空間12内に油圧(解放圧)が導入された時にロックア
ップクラッチ7が解放されるようになっている。また、
このトルクコンバータ1には保圧弁14を介してオイルク
ーラー15に作動油を送り出すコンバータアウトライン16
が接続されている。 一方、上記ロックアップバルブ10は、スプール10a
と、これを図面上、右方へ付勢するスプリング10bとを
有すると共に、上記ロックアップ解放ライン13が接続さ
れたポート10cの両側に、メインライン9が接続された
調圧ポート10dとドレンポート10eとが設けられている。
また、該バルブ10の図面上、右側の端部には上記スプー
ル10aにパイロット圧を作用させる制御ライン17が接続
されていると共に、この制御ライン17から分岐されたド
レインライン18にデューティソレノイドバルブ19が設置
されている。このデューティソレノイドバルブ19は、入
力信号に応じたデューティ率でON、OFFを繰り返してド
レンライン18を極く短い周期で開閉することにより、制
御ライン17内のパイロット圧を上記デューティ率に対応
する値に調整する。そして、このパイロット圧が上記ロ
ックアップバルブ10のスプール10aにスプリング10bの付
勢力と対抗する方向に印加されると共に、該スプール10
aにはスプリング10bの付勢力と同方向にロックアップ解
放ライン13内の解放圧が作用するようになっており、こ
れらの油圧ないし付勢力の力関係によってスプール10a
が移動して、上記ロックアップ解放ライン13がメインラ
イン9(調圧ポート10d)又はドレンポート10eに連通さ
れることにより、ロックアップ解放圧が上記パイロット
圧、即ちデューティソレノイドバルブ19のデューティ率
に対応する値に制御されるようになっている。ここで、
デューティ率(1ON−OFF周期中のON時間比率)が100%
に近い最大値の時に、制御ライン17からのドレン量が最
大となると共に、これに伴ってパイロット圧ないし解放
圧が最小となってロックアップクラッチ7が完全に締結
され、またデューティ率が0%に近い最小値の時に上記
ドレン量が最小となると共に、これに伴ってパイロット
圧ないし解放圧が最大となってロックアップクラッチ7
が完全に解放されるようになっている。そして、最大値
と最小値の中間のデューティ率ではロックアップクラッ
チ7がスリップ状態とされ、この状態で上記パイロット
圧ないし解放圧がデューティ率に応じて調整されること
により、該ロックアップクラッチ7のスリップ量が制御
されるようになっている。 次に、このロックアップクラッチ7のスリップ量を制
御する電気回路について説明すると、第3図に示すよう
に、この電気回路はCPU20を有し、該CPU20に当該自動車
の車速を検出する車速センサ21と、エンジンのスロット
ル開度を検出するスロットルセンサ22と、当該自動変速
機の変速段を検出する変速段センサ23と、エンジン回転
数を検出するエンジン回転センサ24と、上記タービンシ
ャフト8の回転数を検出するタービン回転センサ25とか
らの信号が入力されるようになっている。 そして、該CPU20は上記各センサ21〜25からの信号に
基づいて上記デューティソレノイドバルブ19のデューテ
ィ率を算出し、第4図に示すフローチャートに従ってト
ルクコンバータ1(ロックアップクッチ7)の制御を行
う。 即ち、CPU20は、先ずフローチャートのステップS1
上記各センサ21〜25からの信号により車速V、スロット
ル開度θ、エンジン回転数Ne、タービン回転数Nt及び変
速段Gを読込み、次いでステップS2,S3でトルクコンバ
ータ1の実スリップ量Ns(=|Ne−Nt|)を算出すると共
に、この実スリップ量Nsの目標スリップ量Noに対する偏
差ΔN(=Ns−No)を算出する。 次に、CPU20は、ステップS4で、車速Vとスロットル
開度θとで示される運転状態が各変速段毎に予め設定さ
れたトルクコンバータ10のスリップ領域Iに属するか否
かを判定する。ここで、このスリップ領域Iは、第5図
に点斜線部で示すように各変速段のロックアップ領域II
(実斜線部)の低車速側に設定されたものである。尚、
スリップ領域Iとロックアップ領域IIとを除く残りの領
域IIIはロックアップクラッチ7が解放されるコンバー
タ領域であり、また、第5図は加速時における各領域を
示すもので、減速時における各領域は別途設定されてい
る。 そして、運転状態がスリップ領域Iに属さない時は、
CPU20はステップS5〜S7に従ってスリップ領域フラグFs
を0にリセットし、且つ上記偏差ΔNを前回値ΔN′に
置換した後、今度は運転状態がロックアップ領域IIに属
するか否かを判定する。その結果、運転状態がロックア
ップ領域IIに属する時は、ステップS8,S9に従ってコン
バータ領域フラグFcを0にリセットした後、上記デュー
ティソレノイドバルブ19のデューティ率Dを最大値Dmax
に設定し、またロックアップ領域IIに属さない時、即ち
運転状態がコンバータ領域IIIに属する時は、ステップS
10,S11に従って上記コンバータ領域フラグFcを1にセッ
トした後、デューティ率Dを最小値Dminに設定し、その
後、ステップS12でこれらのデューティ率Dとなるよう
にデューティソレノイドバルブ19に制御信号を出力す
る。これにより、ロックアップ領域IIでは、第2図に示
すロックアップバルブ10のスプール10aに印加されるパ
イロット圧ないし該バルブ10で油圧が調整されるロック
アップ解放圧が最小値とされて、ロックアップクラッチ
7が完全に締結され、またコンバータ領域IIIでは上記
パイロット圧ないし解放圧に最大値とされてロックアッ
プクラッチ7が完全に解放されることになる。 更に、運転状態がスリップ領域Iに属する時は、CPU2
0はステップS4からステップS13を実行してスリップ領域
フラグFsの値を判定し、Fs=1の時、即ち前回の制御時
においても運転状態がスリップ領域Iに属していた時
は、ステップS14以降の通常のスリップ制御を行う。つ
まり、ステップS14で制御パラメータA,B(定数又は変
数)を決定すると共に、ステップS15で次式(i)に従
ってフィードバック量Uを算出する。 U=A×ΔN+B×ΔN′ …(i) ここで、ΔN′は前回の制御時にステップS3で求めた
実スリップ量Nsの目標スリップ量Noに対する偏差であ
る。 そして、更にステップS16で、このフィードバック量
Uに対応するデューティ率Dの補正量ΔDを第6図のマ
ップに基づいて設定し、この補正量ΔDで前回のデュー
ティ率D′を補正することにより、今回のデューティ率
D(=D′+ΔD)を算出する。その後、CPU20は、ス
テップS17,S18に従ってスリップ領域フラグFsを1にセ
ットし(この場合は当初から1)、且つ今回の制御で求
めた偏差ΔNを前回値ΔN′に置換した後、上記ステッ
プS12で、上記のように補正したデューティ率Dとなる
ようにデューティソレノイドバルブ19に制御信号を出力
する。 これにより、今回及び前回の偏差ΔN,ΔN′が負の
時、即ち実スリップ量Nsが目標スリップ量Noより小さい
時は、フィードバック量U及びデューティ率Dの補正量
ΔDも負となってデューティ率Dが減少することによ
り、デューティソレノイドバルブ19からのドレン量が減
少して上記パイロット圧ないしロックアップ解放圧が上
昇し、その結果、ロックアップクラッチ7が解放方向に
制御されて実スリップ量が増大する。また、これとは逆
に、今回及び前回の偏差ΔN,ΔN′が正の時、即ち実ス
リップ量Nsが目標スリップ量Noより大きい時は、デュー
ティ率Dが増大されてロックアップ解放圧が低下するこ
とにより、ロックアップクラッチ7が締結方向に制御さ
れて実スリップ量Nsが減少することになり、このように
して実スリップ量Nsが目標スリップ量Noに収束されるこ
とになる。尚、今回の偏差ΔNと前回の偏差ΔN′の正
負が逆の場合、即ち実スリップ量Nsが目標スリップ量No
に略収束している時は、フィードバック量Uないしデュ
ーティ率Dの補正量ΔDは零もしくは極く小さな値とな
り、従って実スリップ量Nsは目標スリップ量Noに等しい
か、極く近い値に維持されることになる。 一方、上記ステップS4で運転状態がスリップ領域Iに
属すると判定された場合において、ステップS5で判定さ
れたスリップ領域フラグFsの値が0の時、即ち前回の制
御時には運転状態が他の領域II又はIIIにあって、今回
の制御時にスリップ領域Iに移行した時は、CPU20は更
にステップS19でコンバータ領域フラグFcの値を判定す
る。そして、Fc=0の時、即ちロックアップ領域IIから
スリップ領域Iへの移行時には、上記ステップS14
S18,S12による通常のスリップ量のフィードバック制御
を行うが、Fc=1の時、即ちコンバータ領域IIIからス
リップ領域Iへの移行時には、ステップS20でデューテ
ィ率Dを50%前後の所定値D0に設定する。そして、ステ
ップS17,S18でスリップ領域フラグFsを1にセットし且
つ偏差ΔNを前回値ΔN′に置換した後、ステップS12
でデューティソレノイドバルブ19にデューティ率Dが上
記所定値D0となるように制御信号を出力する。 これにより、第7図に示すように、スリップ量Nsが大
きいコンバータ領域IIIからこのスリップ量Nsを比較的
小さな目標スリップ量Noに収束させるスリップ領域Iへ
の移行時に、デューテイ率Dが0%に近い最小値Dmin
ら50%前後の所定値D0に一挙に増大されることになっ
て、スリップ領域Iへの移行時における大きな偏差ΔNo
が速かに減少され、実スリップ量Nsが早期に目標スリッ
プ量Noに収束されることになる。その場合に、デューテ
ィ率Dを大きく変化させるのはスリップ領域Iへの移行
時だけであって、次の制御時以後はステップS15で算出
されるフィードバック量Uに応じて比較的小さなゲイン
でデューティ率Dが補正されるので、スリップ領域Iへ
の移行後における制御の安定性が悪化することがない。 そして、特にデューティ率Dの上記所定値D0は、第8
図に示すように当該自動車の車速とエンジン負荷として
のスロットル開度とで示される運転状態に応じて異なる
値D01〜D04とされるので、コンバータ領域からスリップ
領域への移行時に、その時の運転状態に拘らず、常に良
好な応答性と安定性とが得られることになる。尚、この
所定値Dは、いずれの領域においても、デューティ率D
を極端に大きくすることによるロックアップ締結状態と
なることを回避しながら所要の応答性を確保するため、
50%前後の値とすることが望ましい。また、上記実施例
においては、コンバータ領域IIIからスリップ領域Iへ
の移行時にデューティ率Dを初期値のみ所定値D0とした
が、第9図に示すように上記所定値D0を所定時間保持す
るようにしてもよく、この場合、実スリップ量Nsの目標
スリップ量N0への収束が確実に行えるようになる。 (発明の効果) 以上のように本発明によれば、トルクコンバータの
入、出力部材を完全に分離するコンバータ領域と、両部
材を半ば締結するスリップ領域とが設定され、スリップ
領域で上記入、出力部材間のスリップ量を目標スリップ
量に収束させるようにフィードバック制御を行うように
したトルクコンバータのスリップ制御装置において、上
記コンバータ領域からスリップ領域への移行時に、実ス
リップ量の目標スリップ量に対する偏差に対応するフィ
ードバック量より大きな所定値をフィードバックの初期
値として出力するようにしたから、当該領域移行時にお
ける大きな偏差が速かに解消されて、実スリップ量が応
答性良く目標スリップ量に収束されることになる。ま
た、スリップ領域への移行後においては、比較的ゲイン
の小さなフィードバック量によりフィードバック制御が
行われるので、スリップ量の制御が不安定となることが
ない。このようにして、トルクコンバータのスリップ制
御が良好に行われることになる。 そして、特に本発明によれば、コンバータ領域からス
リップ領域への移行時に出力されるフィードバック制御
の初期値としての所定値が、例えば当該自動車の車速や
エンジン負荷等の運転状態に応じて異なる値に設定され
るから、この領域移行時の運転状態に拘らず、常に応答
性よく且つ制御の安定性を悪化させることなく、コンバ
ータ領域からスリップ領域へ一層良好に移行させること
が可能となるのである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の全体構成図、第2〜9図は本発明の実
施例を示すもので、第2図はトルクコンバータの構造及
びその油圧制御回路を示す図、第3図は該コンバータの
電気制御回路図、第4図は制御動作を示すフローチャー
ト図、第5図は制御領域を示すマップ、第6図は制御特
性を示すマップ、第7図は制御動作を示すタイムチャー
ト図、第8図は制御量を運転領域に応じて異ならせる場
合のマップ、第9図は他の実施例による制御動作を示す
タイムチャート図である。 1……トルクコンバータ、2……入力部材(エンジン出
力軸)、8……出力部材(タービンシャフト)、10,19
……スリップ量制御手段(ロックアップバルブ、デュー
ティソレノイドバルブ)、20……フィードバック量演算
手段、フィードバック制御手段(CPU)、24,25……スリ
ップ量検出手段(エンジン回転センサ、タービン回転セ
ンサ)。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.トルクコンバータの入、出力部材を分離するコンバ
    ータ領域と、両部材を半ば結合するスリップ領域とが設
    定され、スリップ領域で上記入、出力部材間のスリップ
    量を目標スリップ量に収束させるようにフィードバック
    制御を行うトルクコンバータのスリップ制御装置であっ
    て、上記トルクコンバータの入、出力回転数からスリッ
    プ量を検出するスリップ量検出手段と、該検出手段によ
    り検出される実スリップ量の目標スリップ量に対する偏
    差に基いてフィードバック量を算出するフィードバック
    量演算手段と、該演算手段により算出されたフィードバ
    ック量に応じて上記偏差が減少するようにスリップ量制
    御手段を駆動するフィードバック制御手段とが備えら
    れ、且つこのフィードバック制御手段が、コンバータ領
    域からスリップ領域への移行時にフィードバック制御の
    初期値として上記フィードバック量演算手段により演算
    値よりも大きく且つ運転状態に応じて異なる値の所定値
    を出力するように構成されていることを特徴とするトル
    クコンバータのスリップ制御装置。 2.フィードバック制御手段がコンバータ領域からスリ
    ップ領域への移行時にフィードバック制御の初期値とし
    て出力する所定値は、運転状態としての当該自動車の車
    速に応じて異なることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項に記載のトルクコンバータのスリップ制御装置。 3.フィードバック制御手段がコンバータ領域からスリ
    ップ領域への移行時にフィードバック制御の初期値とし
    て出力する所定値は、運転状態としての当該エンジンの
    負荷に応じて異なることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項に記載のトルクコンバータのスリップ制御装置。
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