JP2002129427A - ポリトリメチレンテレフタレート繊維の製造方法 - Google Patents

ポリトリメチレンテレフタレート繊維の製造方法

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JP2002129427A
JP2002129427A JP2000316520A JP2000316520A JP2002129427A JP 2002129427 A JP2002129427 A JP 2002129427A JP 2000316520 A JP2000316520 A JP 2000316520A JP 2000316520 A JP2000316520 A JP 2000316520A JP 2002129427 A JP2002129427 A JP 2002129427A
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winding
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ptt
poy
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Katsuhiro Fujimoto
克宏 藤本
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻締まりおよび糸切れ、糸管の自動切替ミス
が抑制され、工業的に安定して製造可能なPTT−PO
Yの製造方法を提供する。 【解決手段】 PTTポリマーを溶融紡糸する方法にお
いて、紡口より押出して冷却固化した繊維を、50〜1
70℃で熱処理を行った後、55℃以下、且つ、熱処理
温度以下のロールにて冷却してから巻き取る、PTT−
POYの製造方法。 【効果】 巻締まりを抑制でき、且つ、糸ゆれを抑制で
きることによって、糸切れ、糸管の自動切替ミスを無く
し、工業的に安定してPTT−POYを製造することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリトリメチレン
テレフタレート部分配向繊維の製造方法に関する。更に
詳しくは、巻締まりや、糸切れ無く、工業的に安定して
製造することが可能なポリトリメチレンテレフタレート
部分配向繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート(以下
「PTT」と略す)を用いた繊維は、低弾性率(ソフト
な風合い)、優れた弾性回復性、易染性といったポリア
ミドに類似した性質と、耐光性、熱セット性、寸法安定
性、低吸水率といったポリエチレンテレフタレート(以
下「PET」と略す)繊維に類似した性能を併せ持つ画
期的な繊維である。PTT繊維の特性を最大限に生かせ
る繊維形態の一つとして仮撚加工糸がある。PTT繊維
の仮撚加工糸は、特開平9−78373号公報、特開平
11−093026号公報に開示されているように、P
ET繊維等のポリエステル繊維に比較して、弾性回復
性、ソフト性に富むので、ストレッチ用原糸として極め
て優れたものとなる。
【0003】このようなPTT仮撚加工糸の特徴を生か
して、幅広い分野に用いる場合、PET繊維やポリアミ
ド繊維と同様に、1段階の工程で製造した繊維を用いて
生産性を高め、製造コスト低減を図ることが非常に重要
となる。1段階の工程で製造したPTT部分配向繊維
(以下「PTT−POY」という)の技術としては、
「Chemical Fibers Internat
ional」50巻、2000年2月発行、53〜56
頁にPTTポリマーを245〜265℃で押出して冷却
固化した後、仕上げ剤を付与し、ゴデットロールを用い
ず、あるいはゴデットロールを介した後600〜300
0m/分で巻き取ったPTT−POYが記載されてい
る。
【0004】しかしながら、本発明者らの検討による
と、上記文献に記載されているPTT−POYは糸管上
で糸が大きく収縮して糸管を締め付けるために、糸管が
変形し、チーズ状パッケージを巻取機のスピンドルより
取り外すことができなくなったり、バルジと呼ばれるパ
ッケージ側面が膨れたりする、いわゆる巻締まりが発生
する。上記文献では、巻締まりを抑制するために、巻取
り張力を下げる方法、巻取機の綾角を変化させて巻き取
る方法等が記載されている。しかしながら本発明者らの
検討によると、上記文献記載の方法では、張力を下げて
も、巻締まりを十分抑制できないばかりか、糸ゆれが激
しくなって、糸切れが多発してしまう。また、綾角を変
化させても、繊維の収縮を抑えることはできず、巻締ま
りを改善することはできない。
【0005】巻締まりを抑制する方法としては、特開2
000−239921号公報に、最終引き取りローラ上
で熱処理を行い、巻き取られた繊維の放縮率が0.2〜
1.5%となるようにして、2500m/分以上で巻き
取るPTT−POYの製造方法が開示されている。しか
しながら、本発明者らの検討によると、上記公報に開示
されている方法では繊維の収縮は抑えられるものの、最
終ローラと巻取機との間の繊維の温度が高いために繊維
が柔らかくなりすぎて、糸ゆれが激しくなり、糸切れが
多発したり、糸管を自動的に交換する際の切替ミスが多
発してしまう。また、糸ゆれを抑えて、糸切れ、切替ミ
スを抑制するために、最終ローラと巻取機との間の張力
を高くすると、巻締まりを抑制することができない。こ
のように巻締まりが発生せず、糸切れや糸管の自動切替
ミスなくPTT−POYを製造できる技術について開示
している先行技術は全くない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らの検討の結
果、巻締まりを抑制したPTT−POYの製造法におい
て従来技術では以下の問題があることがわかった。すな
わち、繊維の収縮を抑えるために巻取り張力を下げて
も、巻締まりを十分抑制できないばかりか、糸ゆれが激
しくなり、糸切れや糸管の自動切替ミスが多発する。ま
た、繊維の収縮を抑えるために最終ローラで繊維を熱処
理すると、巻取り前の繊維が柔らかくなりすぎ、糸ゆれ
が激しくなって、糸切れや糸管の切替ミスが多発してし
まう。
【0007】本発明の目的は、巻締まりや、糸切れ、糸
管の自動切替ミス無く、工業的に安定して製造可能なP
TT−POYの製造方法を提供することである。本発明
の目的を達成するために解決すべき課題は、上記の問題
に対応して、糸切れや糸管の自動切替ミスを無くすため
に、糸ゆれを抑制し、且つ、繊維の収縮を抑制して、巻
締まりの発生を抑制することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、驚くべきことに、PTTポリマーを溶融紡糸す
る繊維の製造方法において、紡口より押出して冷却固化
した繊維を、熱処理を行った後、ロールにて冷却してか
ら、巻き取ることにより、巻締まりを抑制でき、且つ、
糸ゆれを抑制して、糸切れ、糸管の自動切替ミスを抑制
でき、PTT−POYを工業的に安定して製造できるこ
とを見出し本発明を完成した。
【0009】即ち本発明は、以下のとおりのものであ
る。 (I)90モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰
返単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレート
を溶融紡糸する繊維の製造方法であって、紡口より押出
して冷却固化した繊維を、50〜170℃で熱処理を行
った後、55℃以下、且つ、熱処理温度以下のロールに
て冷却してから、巻き取ることを特徴とするPTT−P
OYの製造方法。 (II)(I)において、0.02〜0.20cN/d
texの巻取張力にて2000〜4500m/分の速度
で巻き取ることを特徴とするPTT−POYの製造方
法。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いるPTTは、90モル%以上がトリメチレンテレフ
タレート繰返し単位から構成されるポリトリメチレンテ
レフタレート(PTT)である。ここでPTTとは、テ
レフタル酸を酸成分としトリメチレングリコール(1,
3−プロパンジオールともいう)をジオール成分とした
ポリエステルである。該PTTには、10モル%未満で
他の成分を含有させてもよい。そのような成分として
は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、3,5−ジカ
ルボン酸ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム
塩、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、アジピン酸等のエステル形成性モノマーが挙げられ
る。
【0011】本発明に用いるポリマーには、必要に応じ
て、各種の添加剤、例えば、艶消剤、熱安定剤、酸化防
止剤、などを含有させてもよい。特に、紡糸時や後加工
時の毛羽や糸切れを抑制するために、平均粒径0.01
〜2μmの酸化チタンを0.01〜3重量%含有するこ
とが好ましい。本発明に用いるポリマーの極限粘度
[η]は0.5〜1.6の範囲であることが好ましい。
この範囲のポリマーを用いることで仮撚加工に適したP
TT−POYを安定して製造することが容易となる。極
限粘度[η]が0.5未満の場合は、紡糸の際に糸切れ
が発生しやすくなる。一方、極限粘度が1.6を越える
場合は、溶融粘度が高すぎるために紡糸不良が生じやす
くなる。極限粘度[η]は、更に好ましくは0.7〜
1.2の範囲である。なお、ここでの極限粘度[η]は
後述する測定方法により測定したものである。本発明に
用いるポリマーは、公知の方法を用いて製造することが
できる。
【0012】次に、紡糸装置を例示して本発明の繊維の
製造方法を説明する。図1は、本発明に用いる紡糸装置
の概略図である。まず、乾燥機1で100ppm以下の
水分率まで乾燥したPTTペレットを250〜295℃
に設定した押出機2で溶融し、250〜295℃に設定
したスピンヘッド4に送液して、ギヤポンプで計量す
る。その後、紡口パック5に装着した複数の孔を有する
紡口6を経て紡糸チャンバー7内に押出す。押出機の温
度は、押出機の能力、PTTペレットの極限粘度や形状
によって上記範囲内から最適な温度を選ぶことが好まし
い。
【0013】本発明に用いる紡口6は、丸断面の繊維を
製造する場合は、直径が0.2〜0.7mmであること
が好ましい。直径が0.2mm未満だと、押出圧力が高
くなったり、紡口が異物により詰まったりしやすい。一
方、直径が0.7mmを越えると繊維のムラが大きくな
りやすい。紡口の直径は好ましくは、0.3〜0.5m
mである。丸以外の断面の繊維を製造する場合は、上記
の紡口と同程度の紡口口径面積とすることが好ましい。
紡口より押出したポリマーは、冷却固化されて繊維とな
る。この際、均一に冷却させるためには、0〜40℃の
冷風を当て冷却固化することが好ましい。冷却固化され
た繊維は、50〜170℃の温度で熱処理する必要があ
る。熱処理を行うことで、繊維が結晶化して構造を固定
することができる。この結果、巻き取った繊維の収縮を
抑制でき、チーズ状パッケージを巻取機のスピンドルよ
り取り外すことができなくなったり、バルジと呼ばれる
パッケージ側面が膨れたりする、いわゆる巻締まりを抑
制することができる。
【0014】ここで、バルジについて図面を用いて説明
する。図3−(イ)は糸が望ましい形状に巻かれたチー
ズ状パッケージ(100)を示す。糸が糸管等の巻芯
(103)上に平らな端面(102)を形成した円筒状
糸層(104)に巻かれている。バルジとは、図3−
(ロ)に示すように巻糸の収縮による締め付け力が強く
働き、巻糸が滑った時に起こるチーズ状パッケージ(1
00)の膨らみのある端面(102a)のことである。
この膨らみが大きい場合、すなわちバルジが大きい場合
は、運搬時に巻糸が崩れ解舒できなくなったり、解舒張
力の斑による糸切れ、毛羽、染色斑等が起こりやすい。
最悪の場合は端面が糸管よりも出っ張るために運搬する
ことができなくなる。
【0015】繊維を熱処理する方法としては、図1の第
1ロール11にて熱処理する方法の他に、図2−(イ)
の第1ネルソンロール16で熱処理する方法、図2−
(ロ)の第1ヒーター18により熱処理する方法、図2
−(ハ)の第1ヒーター18により熱処理する方法など
が挙げられる。ここで12は自己駆動しないフリーロー
ルである。図2−(ハ)の場合は、第1ヒーター18で
の熱処理に加えて第1ロール11で熱処理を行っても良
い。熱処理に用いるヒーターとしては、接触式のヒータ
ー、非接触式のヒーターいずれを用いてもかまわない。
また、加熱気体を繊維に接触させて繊維を熱処理しても
良い。これらのうち、糸条の走行を安定させて、糸切れ
を抑制するためには、ロールを用いる方法が最も好まし
い。
【0016】熱処理の温度は50〜170℃である必要
がある。50℃未満では繊維を十分結晶化して構造を固
定することができないので、巻締まりを十分抑制できな
い。一方、170℃を越えると、熱処理時に糸切れが発
生しやすくなる。熱処理の温度は、好ましくは60〜1
50℃、更に好ましくは80〜130℃である。繊維を
熱処理する時間は0.001〜1秒であることが好まし
い。熱処理時間が0.001秒未満では熱処理時間が短
く十分な結晶化を進めることができないため巻締まりが
発生しやすい。熱処理時間の上限は特に限定されない
が、熱処理装置のサイズ等より考えて、1秒以下である
ことが好ましい。熱処理時間は、巻締まりが発生しない
よう、熱処理温度、巻取速度に応じて選定することがよ
り好ましい。
【0017】熱処理された繊維は、次に55℃以下、且
つ、熱処理温度以下のロールで冷却してから、巻取機1
4を用いて巻き取る必要がある。本発明においては、温
度が高い状態で過度に張力をかけて繊維を引き伸ばさな
いようにする必要があるとともに、巻取時は適度な張力
を繊維にかける必要がある。これらを両立させるために
は、繊維を熱処理するゾーンと巻取機の間に繊維を冷却
するためのロールを設置して、張力を制御することが必
要である。このようにすることで初めて、巻締まりと糸
切れ、糸管の自動切替ミスを抑制することが可能とな
る。
【0018】ロールを設置しない場合、糸切れや糸管の
自動切替ミスを無くすために張力を高くすると、温度が
高い状態で繊維が引き伸ばされるため、巻き取ったあと
大きく収縮して巻締まりが発生してしまう。一方巻締ま
りを抑制するために張力を下げると、糸切れや糸管の自
動切替ミスが発生してしまう。ロールの温度が55℃を
越えると、PTTのガラス転移点を越えるために糸ゆれ
が激しくなってしまう。また、55℃以下でも熱処理温
度を越えると繊維の構造がルーズになるために糸ゆれが
激しくなってしまう。下限は特に限定されないが、特殊
な冷却器が必要とならない0℃以上が好ましい。ロール
の温度は、好ましくは0〜50℃、更に好ましくは5〜
40℃である。
【0019】本発明においては、巻き取る時の張力が
0.02〜0.20cN/dtexであることが好まし
い。ここで巻取り張力とは、巻取機に入る直前の繊維の
張力である。このような範囲内の張力とすることで、巻
締まりや糸切れ、糸管の自動切替ミスを抑制することが
容易となる。張力が0.02cN/dtex未満では張
力が弱すぎるために巻取機の綾振りガイドでの綾振りが
良好にできず、巻フォームが悪くなってしまったり、ト
ラバースより糸が外れ、糸切れが起こったりしやすい。
また、0.20cN/dtexを越えると、巻締まりが
発生しやすい。巻き取る時の張力は好ましくは0.02
5〜0.15cN/dtex、更に好ましくは0.03
〜0.10cN/dtexである。
【0020】熱処理にロールを用いる場合、冷却ロール
は熱処理ロールの周速度に対して0.80〜1.1倍の
速度範囲であることが好ましい。これらの周速度は、糸
ゆれ、巻締まりが抑制できるよう、上記範囲内より適宜
選択することが好ましい。繊維を巻取る速度は2000
〜4500m/分が好ましい。巻取速度が2000m/
分未満では、繊維の配向が低いために、保管中に物性が
経時変化したり、繊維が脆くなったりして、繊維の取扱
や仮撚加工が困難となる。また、4500m/分を越え
ると、繊維の配向や結晶化が進みすぎ、また巻取時の張
力が下げられないために、糸管上で繊維が大きく収縮
し、巻締まりが発生しやすい。好ましくは、2200〜
4000m/分であり、更に好ましくは2500〜36
00m/分である。
【0021】本発明では、冷却固化された繊維は、巻き
取られるまでに、仕上げ剤付与装置10によって仕上げ
剤を付与されることが好ましい。仕上げ剤を付与するこ
とにより、繊維の集束性、制電性、滑り性などが良好と
なり、巻取時や仮撚加工時に毛羽や糸切れが発生するこ
とができる。ここで仕上げ剤とは、乳化剤を用いて油剤
を乳化した水エマルジョン液、油剤を溶剤に溶かした溶
液、あるいは油剤そのものであり、繊維の集束性、制電
性、滑り性などを向上させるものである。油剤は、濃度
1〜20重量%の水エマルジョン液として繊維に0.2
〜3重量%付着させることが好ましい。
【0022】仕上げ剤を付与する方法としては、公知の
オイリングロールを用いる方法や例えば特開昭59−1
16404号公報などに記載されるガイドノズルを用い
る方法を用いることができるが、仕上げ剤付与装置自体
の摩擦による糸切れ、毛羽の発生を抑制するためにはガ
イドノズルを用いる方法が好ましい。本発明では、紡糸
過程で必要に応じて、交絡処理を行ってもよい。交絡処
理は、仕上げ剤付与前、熱処理前、巻取前のいずれか、
あるいは複数の場所で行っても良い。
【0023】本発明に用いる巻取機としては、スピンド
ル駆動方式、タッチロール駆動方式、スピンドルとタッ
チロールの双方が駆動している方式のいずれの巻取機で
もかまわないが、スピンドルとタッチロールの双方が駆
動している方式の巻取機が糸を多量に巻き取るためには
好ましい。繊維を巻き取る際の綾角は3.5〜8°であ
ることが好ましい。3.5°未満では糸同士があまり交
差していないために滑りやすく、綾落ちやバルジの発生
が起こりやすい。また8°を越えると、糸管の端部に巻
かれる糸の量が多くなるために中央部に比べ端部の径が
大きくなる。このため巻き取っている際は端部のみがタ
ッチロールに接触してしまい糸品質が悪化してしまった
り、また巻き取った糸を解舒する際の張力変動が大きく
なり、毛羽や糸切れが多発したりしてしまいやすい。綾
角は4〜7°が更に好ましく、特に好ましいのは5〜
6.5°の範囲である。
【0024】本発明では、PTT−POYをチーズ状パ
ッケージとして巻き取ることが好ましい。チーズ状パッ
ケージとすることで大量巻きが可能となるとともに、繊
維を解舒する際の張力変動が小さくなり、安定した仮撚
加工が容易となる。この際、チーズ状パッケージのバル
ジ率が20%以下となるように巻き取ることが好まし
い。バルジ率とは、図3−(イ)又は図3−(ロ)に示
す最内層の巻幅Q及び最も膨らんでいる部分の巻幅Rを
測定して、下記式を用いて算出した値である。 バルジ率={(R−Q)/Q}×100% チーズ状パッケージのバルジ率が20%を越えるものは
運搬時に巻糸が崩れ解舒できなくなったり、解舒張力の
斑による糸切れ、毛羽、染色斑等が起こりやすい。最悪
の場合は端面が糸管よりも出っ張るため運搬することが
できなくなる。また巻締まりが大きく、巻取機のスピン
ドルからはずれなくなる場合も多い。好ましくはバルジ
率が15%以下、更に好ましくは10%以下となるよう
に巻き取ることが好ましい。もちろん0%が最も好まし
い。
【0025】本発明においては、チーズ状パッケージと
して、PTT−POYを1kg以上巻きつけることが好
ましく、更に好ましくは2kg以上、一層好ましくは4
kg以上である。1kg未満では糸管交換の頻度やつな
ぎ込みの頻度が高過ぎ、工業的に製造するのは困難とな
ってしまう。工業的に製造する上では紡糸の際に糸管を
交換する頻度を減らすためや、仮撚工程において、チー
ズ状パッケージを使用した後、次のチーズ状パッケージ
につなぎ込んで使用する頻度を減らして、作業効率の向
上、コストダウンさせるために、より大量の繊維を巻き
付けることが好ましい。また、糸管上の繊維の巻幅Qを
40〜300mm、糸管の直径を50〜250mmとす
ることが好ましい。この範囲の巻幅、糸管の直径とする
ことで、PTT−POYを仮撚加工を行うために糸管か
ら繊維を解除する際の張力を下げるとともに、張力の変
動を抑えること容易となるからである。
【0026】本発明の製造法においては、種々の物性の
PTT−POYを得ることができる。仮撚加工に適した
PTT−POYとするためには、繊維の破断伸度を40
〜140%、沸水収縮率を3〜40%の範囲とすること
が好ましい。本発明で製造するPTT−POYは、マル
チフィラメントが好ましい。総繊度は特に限定はされな
いが、通常5〜400dtex、好ましくは10〜30
0dtex、単糸繊度は特に限定はされないが0.1〜
20dtex、好ましくは0.5〜10dtex、更に
好ましくは1〜5dtexである。繊維の断面形状は、
丸、三角、その他の多角形、扁平、L型、W型、十字
型、井型、ドッグボーン型等、制限はなく、中実繊維で
あっても中空繊維であってもよい。また、本発明の目的
を損なわない範囲であれば、艶消し剤含有量や、極限粘
度[η]等の異なる2種類以上のポリマーを用いて、鞘
芯、サイドバイサイド、積層構造等の複合構造繊維とし
たり、単糸によって断面形状やポリマー種を変えた複合
混繊繊維としても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に実施例な
どを用いて具体的に説明する。言うまでもなく本発明は
実施例などにより何ら限定されるものでない。尚、実施
例中の主な測定値は以下の方法で測定した。 1.極限粘度 極限粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35
℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C
(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロ
に外挿し、以下の式に従って求めた。 [η]=lim(ηsp/C) C→0
【0028】2.紡糸性評価 一度に8個のチーズ状パッケージが製造できる紡糸装置
(紡口が8個設置してある装置)を用いて、4kg巻の
PTT−POYを10回製造して評価を行った。(合計
80個のチーズ状パッケージ) 2−1.糸切れ 80個のチーズ状パッケージのうち、糸管の自動切替時
または巻取り中に糸が切れたものが1個以下の場合を
「良」、2個以上の場合を「悪」とした。 2−2.巻締まり 80個のチーズ状パッケージのうち、巻締まりによりチ
ーズ状パッケージが巻取機のスピンドルより取り出せな
かったものが0個の場合を「良」、1個以上の場合を
「悪」とした。
【0029】2−3.バルジ率 バルジ率は、80個のチーズ状パッケージのうち、ラン
ダムに10個を選び、図3−(イ)または図3−(ロ)
に示す糸層(104)の最内層の巻幅Q及び、最も膨ら
んでいる部分の巻幅Rを測定して、以下の式に従って算
出した値の平均値を用いた。この平均値が20%以下の
場合を「良」、20%を越える場合を「悪」とした。 バルジ率={(R−Q)/Q}×100% 3.伸度(破断伸度) JIS−L−1013に基づいて定速伸長形引張試験機
であるオリエンテック(株)社製テンシロンを用いて、
つかみ間隔20cm、引張速度20cm/分にて測定し
た。 4.沸水収縮率 JIS−L−1013に基づき、かせ収縮率として求め
た。
【0030】
【実施例1〜3】図1に示した装置を用いて、PTT−
POYの紡糸を行った。紡糸では酸化チタンを0.05
重量%含有した極限粘度[η]0.9のPTTポリマー
を用いて、定法により乾燥し、水分を50ppmにした
後、260℃に設定した押出機にて溶融させた後、26
0℃に設定したスピンヘッドに送液し、直径0.35m
m、長さ0.35mmの孔が36個開いた一重配列の紡
口より押出した。押し出したポリマーは、温度20℃、
風速0.4m/分の冷風にて冷却固化させた後、ガイド
ノズルを用いて、ステアリル酸オクチル60重量%、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル15重量%、リン酸
カリウム3重量%を含有する油剤を濃度5重量%の水エ
マルジョン仕上げ剤として、繊維に対して油剤付着率が
0.5重量%となるように付与した。
【0031】次いで、第一表に示した条件にて、熱処
理、冷却を行った後、スピンドルとタッチロールの双方
を駆動する方式の巻取機を用いて、第一表に示した条件
にて、綾角5°として直径124mm、厚み7mmの紙
製の糸管に巻幅90mmにて4kg巻き取って100d
tex/36fの繊維を製造した。得られた繊維につい
ての紡糸性評価、繊維物性を第一表に示した。いずれの
条件においても、糸切れ、糸管の自動切替ミス、巻締ま
りは発生せず、バルジ率も良好な範囲であった。
【0032】
【比較例1〜3】第1ロールを室温とし、第2ロールを
第一表に示した温度として繊維を加熱した以外は、実施
例1と同様にして繊維を得た。得られた繊維についての
紡糸性評価、繊維物性を第一表に示した。比較例1で
は、繊維を熱処理していないため、巻締まりが発生し
て、チーズ状パッケージを巻取機より取り出せない場合
が多発した。比較例2では、繊維を熱処理した後、ロー
ルで冷却せずに、張力を下げて巻き取ったために、糸ゆ
れが激しく、糸切れ、糸管の自動切替ミスが発生した。
比較例3では、比較例2同様にして、ただし、糸ゆれを
抑えるために巻取り張力を高めて巻き取ったために、糸
切れは見られなかったものの、巻締まりが発生して、チ
ーズ状パッケージを巻取機より取り出せない場合が多発
した。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明のPTT−POYの製造方法は、
巻締まりや、糸切れ、糸管の自動切替ミスを抑制するこ
とができる。このため、生産性の高い1段階の紡糸工程
にて、仮撚加工により、ソフトな風合いを有した、スト
レッチ素材として好適な仮撚加工糸とすることができる
PTT−POYを工業的に安定して製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する紡糸機の概略を示す模式図で
ある。
【図2】本発明を実施する紡糸機の繊維を熱処理及び冷
却するゾーンの他の態様の概略を示す模式図である。
【図3】本発明のPTT繊維を糸管に巻き付けたチーズ
状パッケージの状態を示す略図である。図3−(イ)
は、望ましいチーズ状パッケージの概略図である。図3
−(ロ)は、バルジのあるチーズ状パッケージの概略図
である。
【符号の説明】 1 乾燥機 2 押出機 3 ベンド 4 スピンヘッド 5 紡口パック 6 紡口 7 紡糸チャンバー 8 繊維 9 冷却風 10 仕上げ剤付与装置 11 第1ロール 12 フリーロール 13 第2ロール 14 巻取機、チーズ状パッケージ 14a スピンドル、チーズ状パッケージ 14b タッチロール 15 繊維を熱処理及び冷却するゾーン 16 第1ネルソンロール 17 第2ネルソンロール 18 第1ヒーター 19 冷却ロール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 90モル%以上がトリメチレンテレフタ
    レート繰返単位から構成されるポリトリメチレンテレフ
    タレートを溶融紡糸する繊維の製造方法であって、紡口
    より押出して冷却固化した繊維を、50〜170℃で熱
    処理を行った後、55℃以下、且つ、熱処理温度以下の
    ロールにて冷却してから、巻き取ることを特徴とするポ
    リトリメチレンテレフタレート部分配向繊維の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 0.02〜0.20cN/dtexの巻
    取張力にて2000〜4500m/分の速度で巻き取る
    ことを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレ
    フタレート部分配向繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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