JP2002129305A - 透明導電膜の製造方法 - Google Patents

透明導電膜の製造方法

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JP2002129305A
JP2002129305A JP2000328882A JP2000328882A JP2002129305A JP 2002129305 A JP2002129305 A JP 2002129305A JP 2000328882 A JP2000328882 A JP 2000328882A JP 2000328882 A JP2000328882 A JP 2000328882A JP 2002129305 A JP2002129305 A JP 2002129305A
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Japan
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ito
film
preventing plate
deposition
adhesion
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JP2000328882A
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English (en)
Inventor
Shunji Wada
俊司 和田
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防着板交換直後に防着板に付着するITO蒸
発粒子の付着性を高め、ITO異物不良の発生を防止し
て生産効率を向上することができる透明導電膜の製造方
法を提供する。 【解決手段】 内壁にITO蒸発粒子付着防止用の防着
板38が配設された真空容器8内でガラス基板1上にI
TOを成膜する透明導電膜の製造方法において、防着板
38上に予めガラス基板1上に成膜されるITOと同種
のものを成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明導電膜の製造
方法に関し、特にITO(錫ドープ酸化インジウム)膜
を透明導電膜として表面に形成する液晶ディスプレイ、
有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、
無機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、
電子線励起ディスプレイ、及びプラズマディスプレイ用
などの基板上に形成する透明導電膜の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ、有機ELディスプレ
イ、無機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレ
イ、電子線励起ディスプレイ、及びプラズマディスプレ
イ用などの基板は、透明導電膜として、通常ITO膜が
形成される。このITO膜の形成方法としては、特開平
9−194232号公報に記載されたイオンプレーティ
ング法が知られている。
【0003】このイオンプレーティング法を実行する装
置は、放電ガスが供給される真空容器と、プラズマビー
ムを発生するプラズマガンと、真空容器の底部に配設さ
れ、タブレット(被蒸発物質)としてのITO焼結体を
収容すると共に周りの磁場によりプラズマビームの吸引
を行う主ハースと、真空容器内の上部に配設され、IT
Oが成膜されるガラス基板を所定温度に加熱する加熱ヒ
ータとを備える。
【0004】このように構成された装置においては、プ
ラズマガンが発生したプラズマビームが主ハースに到達
すると、主ハースに収容されているITO焼結体はプラ
ズマビームにより加熱されて蒸発し、この蒸発したIT
O蒸発粒子はプラズマビームによりイオン化し、加熱ヒ
ータにより加熱されている基板上にITOを成膜する。
このイオン化されたITO蒸発粒子が真空容器の内壁に
付着することを防止するために、当該内壁には防着板が
設けられており、ITO蒸発粒子の付着量が所定値を越
えたときに、防着板を交換する。
【0005】防着板へのITO蒸発粒子の付着力が強固
で無い場合、防着板に形成されたITO薄膜が薄片状の
ITOとして剥離し、ガラス基板に付着してITO異物
不良を引き起こすことが、顕微鏡観察・分析によって確
認されている。。これを防止するために、防着板とし
て、ITO蒸発粒子の付着力が強固とされる銅板を用い
たり、さらに、銅板の表面にサンドブラスト等で凹凸を
施すことによりITO蒸発粒子の付着力を増大させたり
している。また、ガラス基板上にITOを成膜するとき
は、ITO異物不良が発生しているか否かを判断するた
め、ITO異物不良をのモニタリングしている。このI
TO異物不良のモニタリングは、ITOの成膜開始時又
はその途中にサンプリングしたガラス基板上に電極パタ
ーンを形成し、短絡・断線していないかチェックするこ
とにより行われる。
【0006】図3にその検出結果の一例を示す。図3
は、横軸に防着板交換後にガラス基板上にITOの成膜
を開始してからの経過時間をとり、縦軸にITO異物不
良率(%)をとっている。図3によれば、ITO異物不
良率は、ガラス基板上にITOの成膜を開始した直後に
増大し、4時間前後に0%になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来のイオン
プレーティング装置では、防着板交換後4時間はITO
異物不良が発生し、生産効率が低下する点で問題となっ
ていた。これは、防着板がITOとは異種材料であるた
めITO蒸発粒子の付着力が乏しいので、交換直後の防
着板に付着したITO薄膜は剥離しやすく、ガラス基板
上にITOを成膜するときに防着板から剥離したITO
薄片が、ガラス基板に付着するためである。
【0008】本発明の目的は、防着板交換直後に防着板
に付着するITO蒸発粒子の付着性を高め、ITO異物
不良の発生を防止して生産効率を向上することができる
透明導電膜の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の透明導電膜の製造方法は、内壁にI
TO蒸発粒子付着防止用の防着板が配設された真空容器
内で基板上にITOを成膜する透明導電膜の製造方法に
おいて、前記防着板上に予め前記基板上に成膜されるI
TOと同種のものを成膜することを特徴とする。
【0010】請求項1記載の製造方法によれば、防着板
上に予め基板に成膜するITOと同種のものを成膜する
ので、基板上にITOを成膜するときに防着板に付着す
るITO蒸発粒子の付着性を高め、ITO異物不良の発
生を防止して生産効率を向上することができる。
【0011】請求項2記載の製造方法は、請求項1記載
の製造方法において、前記防着板上のITOの膜応力
が、前記基板上のITOの膜応力より小さいことを特徴
とする。
【0012】請求項2記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜応力が基板上に成膜したI
TOの膜応力より小さいので、防着板に付着したITO
薄膜が防着板界面から剥離しにくくなる。そして剥離し
たITO薄片がガラス基板上に付着することによるIT
O異物不良を防止することができる。この結果、特に防
着板交換直後において、ITO異物不良率が0%になる
までの時間を短縮することができるので生産効率を大幅
に向上することができる。
【0013】請求項3記載の製造方法は、請求項2記載
の製造方法において、前記防着板上のITOの膜応力が
0.4GPa未満であることを特徴とする。
【0014】請求項3記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOのの膜応力が0.4GPa未満
であるので、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面
との付着力を高めることができ、基板上に成膜するIT
Oがその光学特性及び電気特性を維持するのに必要な膜
応力である0.4GPa以上で成膜される際にも、防着
板に付着したITO薄膜が防着板界面から剥離すること
を防止できる。
【0015】請求項4記載の製造方法は、請求項3記載
の製造方法において、前記防着板上のITOの膜応力が
0.2GPa以下であることを特徴とする。
【0016】請求項4記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜応力が0.2GPa以下で
あるので、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面と
の付着性をより確実に高めることができる。
【0017】請求項5記載の製造方法は、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の製造方法において、前記防着
板上のITOの膜厚が100〜1000nmであること
を特徴とする。
【0018】請求項5記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜厚が100〜1000nm
であるので、防着板上に予め成膜したITOの膜厚の下
限が均一に成膜できる膜厚以上となり基板上にITO膜
を成膜するときに防着板に付着するITO蒸発粒子の付
着性を確実に高めることができ、尚且つ、防着板に付着
したITO薄膜と防着板界面との付着性を確実に高める
ことができ、また防着板上に予め成膜したITOの膜厚
の上限が全体の生産効率が低下しない程度とすることが
できる。
【0019】請求項6記載の製造方法は、請求項5記載
の製造方法において、前記防着板上のITOの膜厚が5
00〜1000nmであることを特徴とする。
【0020】請求項6記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜厚が500〜1000nm
であるので、防着板上に予め成膜したITOの膜厚の下
限が均一に成膜することがより確実にできる膜厚以上と
なり、基板上にITOを成膜するときに防着板に付着す
るITO蒸発粒子の付着性をより確実に高めることがで
き、尚且つ、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面
との付着性をより確実に高めることができる。
【0021】請求項7記載の製造方法は、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の製造方法において、前記防着
板に予めITOを成膜するときに、前記真空容器内の酸
素ガスの分圧が1.33×10-2Pa以下であるガスを
導入することを特徴とする。
【0022】請求項7記載の製造方法によれば、防着板
に予めITOを成膜するときに、真空容器内に導入する
酸素ガスの分圧を1.33×10-2Pa以下とするの
で、防着板上に予め成膜したITOの膜応力の上限が
0.2GPa以下となり、もって防着板に付着したIT
O薄膜と防着板界面との付着性を確実に高めることがで
き、また防着板に予めITOを成膜するときに、真空容
器内に導入する酸素ガスの分圧を0Paに近づける程、
成膜されたITOは酸化物の一種であるためその構造が
非晶質に近くなり、その膜応力は0GPaに近づくの
で、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面との付着
性をより高めることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明者は、内壁にITO蒸発粒
子付着防止用の防着板が配設された真空容器内で基板上
にITOを成膜する透明導電膜の製造方法において、防
着板上に予め基板に成膜されるITOと同種のものを成
膜することにより、基板上にITOを成膜するときに防
着板に付着するITO蒸発粒子の付着性を高め、ITO
異物不良の発生を防止して生産効率を向上することがで
きること、好ましくは、防着板上に予め成膜したITO
の膜応力が基板上に成膜したITOの膜応力より小さい
ときは、さらに好ましくは、防着板上に予め成膜したI
TOの膜応力が0.4GPa未満であるときは、防着板
に付着したITO薄膜が、防着板界面から剥離しにくく
なり、剥離したITO薄片がガラス基板に付着すること
によるITO異物不良の発生を防止できること、基板上
に成膜するITOをその光学特性及び電気特性を維持す
るのに必要な膜応力である0.4GPa以上で成膜する
際にも、防着板に付着したITO薄膜と、防着板界面と
の付着性を確実に高めることができること、よりさらに
好ましくは、防着板上に予め成膜したITOの膜応力が
0.2GPa以下であるときは、防着板に付着したIT
O薄膜と、防着板界面との付着性をより確実に高めるこ
とができることを見い出した。
【0024】これらの結果、防着板交換直後において、
防着板から剥離したITO薄片がガラス基板に付着する
ことによるITO異物不良を防止できるので、防着板を
交換してから、ガラス基板のITO異物不良率が0%に
なるまでの時間(非稼働時間)を大幅に短縮することが
できる。
【0025】また、本発明者は、防着板上に予め成膜し
たITOの膜厚が100〜1000nmにするとき、好
ましくは、その膜厚の下限が500nm以上であるとき
は、均一に成膜することが確実にできる膜厚以上とな
り、基板上にITOを成膜するときに防着板に付着する
ITO蒸発粒子の付着性を確実に高めることができ、尚
且つ、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面との付
着性を確実に高めることができ、また防着板に予め成膜
するITOの膜厚の上限が全体の生産効率が低下しない
程度とすることができることを見い出した。
【0026】さらに、本発明者は、防着板に予めITO
を成膜するときに、真空容器内に導入する酸素ガスの分
圧を1.33×10-2Pa以下とすることにより、防着
板上に予め成膜したITOの膜応力の上限が0.2GP
a以下となるため、防着板に付着したITO薄膜と防着
板界面との付着性を確実に高めることができ、また防着
板に予めITOを成膜するときに、真空容器内に導入す
る酸素ガスの分圧を0Paに近づける程、成膜されたI
TOは酸化物の一種であるためその構造が非晶質に近く
なり、その膜応力は0GPaに近づくので、防着板に付
着したITO薄膜と防着板界面との付着性をより高める
ことができることを見い出した。
【0027】本発明の実施の形態に係る透明導電膜の製
造方法を実行するイオンプレーティング装置の構成を図
面を参照して説明する。
【0028】図1は、本発明の実施の形態に係る透明導
電膜の製造方法を実行するイオンプレーティング装置の
概略構成図である。
【0029】図1のイオンプレーティング装置におい
て、真空容器8の一方の側壁には排気口9が、他方の側
壁には筒状部10が設けられている。そして、該筒状は
10には圧力勾配型のプラズマガン12が装着されると
共に該筒状部10の周囲には収束コイル11が配設され
ている。
【0030】プラズマガン12は、環状永久磁石15が
内蔵されて筒状部10に接続された第1の中間電極16
と、電磁石コイル13が内蔵されて第1の中間電極16
と並設された第2の中間電極14と、陰極17と、該陰
極17と前記第1の中間電極16との間に介在された円
筒状のガラス管18とを備えている。
【0031】電磁石コイル13は電源19により励磁さ
れ、収束コイル11は電源20により励磁される。尚、
電源19及び電源20は、共に可変電源とされている。
【0032】第1及び第2の中間電極16,14は夫々
垂下抵抗器21,22を介して可変電圧型の主電源23
の一端(正側)に接続され、該主電源23の他端(負
側)は陰極17に接続されている。また、主電源23に
はスイッチ26を介して補助放電電源24及び垂下抵抗
器25が並列接続されている。
【0033】また、ガラス管18の内部には陰極17に
固着されたMo(モリブデン)からなる円筒部材27
と、Ta(タンタル)からなるパイプ28と、該パイプ
28の先方であって前記円筒部材27に固着されたLa
6からなる円盤状部材29とが設けられ、放電ガス
(例えば、所定量の酸素を含有したアルゴンガス)が矢
印B方向からパイプ28を介しプラズマガン12の内部
に供給される。
【0034】真空容器8の底部には、タブレット(被蒸
発物質)としてのITO焼結体30を収容する主ハース
31が配設され、また主ハース31には補助ハース32
が周設されている。主ハース31は熱伝導率の良好な導
電性材料、例えば、銅で形成されると共にプラズマガン
12からのプラズマビームが入射する凹部を有し、さら
に主電源23の正側に接続されて陽極を形成し、プラズ
マビームを吸引する。
【0035】補助ハース32も主ハース31と同様、熱
伝導率の良好な銅等の導電性材料で形成されると共に、
環状永久磁石33及び電磁石34が収容され、該電磁石
34は可変電源であるハースコイル電源35により励磁
される。すなわち、補助ハース32は、主ハース31を
囲む環状容器内に環状永久磁石33と電磁石34とを同
軸上に積層して配設されると共に、電磁石34はハース
コイル電源35に接続され、環状永久磁石33によって
形成される磁界と電磁石34によって形成される磁界と
が重畳するように構成されている。この場合、環状永久
磁石33により発生する中心側の磁界の向きと電磁石3
4の中心側の磁界の向きとが同一方向とされ、ハースコ
イル電源35の電圧を変化させることにより、電磁石3
4に供給される電流を変化可能にしている。
【0036】また、補助ハース32も垂下抵抗器36を
介して主ハース31と同様、主電源23の正側に接続さ
れて陽極を構成している。
【0037】尚、真空容器8の上部には加熱ヒータ37
が配設され、該加熱ヒータにより、ガラス基板1を所定
温度に加熱に構成されたイオンプレーティング装置にお
いては、SnO2の含有率が5質量%とされたITO焼
結体30を主ハース31の凹部に収容し、プラズマガン
12の陰極17側から放電ガスがパイプ28に供給され
ると、主ハース31との間で放電が生じ、これによりプ
ラズマビームが生成される。このプラズマビームは環状
永久磁石15及び電磁石13により収束され、収束コイ
ル11と補助ハース32内の環状永久磁石33及び電磁
石34により決定される磁界に案内されて主ハース31
に到達する。
【0038】そして、主ハース31に収容されているI
TO焼結体30はプラズマビームにより加熱されて蒸発
し、この蒸発したITO蒸発粒子39はプラズマビーム
によりイオン化され、加熱ヒータ37により加熱されて
いるガラス基板1にITO膜2が形成されることにより
製造が行われる。
【0039】ガラス基板1上にITOを成膜するときに
ITO蒸発粒子39が真空容器8に付着することを防ぐ
ために、内壁に防着板38が設けられている。このIT
O蒸発粒子39は防着板38に付着すると、不図示のI
TO薄膜41となり防着板38に付着するが、その一部
はITO薄片40として剥離する場合があり、この剥離
したITO薄片41はITO膜2に付着しITO異物不
良を発生する。この発生したITO異物不良は、ITO
異物不良率としてモニタリングされる。
【0040】ITO異物不良率のモニタリングは以下の
ように行われる。
【0041】ITO膜2の成膜開始時又はその途中の
ガラス基板1をテスト基板として、約30分毎に10枚
サンプリングする。
【0042】それぞれのテスト基板上に、フォトリソ
グラフィー技術でライン電極幅70μm/スペース幅2
0μmのモデル電極パターンを、テスト基板1枚あたり
20パターン形成する。
【0043】200パターン(20パターン×10
枚)すべての電極について、短絡または断線の有無を導
通チェッカーを用いてテストし、一カ所以上の短絡又は
断線が発見されたパターンをITO異物不良による不良
パターンとしてカウントする。
【0044】ITO異物不良率=不良パターン数/2
00(モデルパターン数)として経時的にその変化をみ
る。
【0045】尚、このモニタリングの際にテスト基板を
サンプリングする頻度と時期は、生産対象物の品種や期
待される品質レベルに応じて作業標準として適宜設定さ
れる。
【0046】上述のイオンプレーティング法によりガラ
ス基板1上に成膜されるITOと同種のものを、防着板
38上に予め成膜する(以下、「予備成膜する」とい
う)のが好ましい。これにより、防着板38に付着する
ITO蒸発粒子39の付着性を高め、ITO異物不良の
発生を防止して生産効率を向上することができる。
【0047】予備成膜は真空容器8の内部に配設した
後、ガラス基板1にITO膜2を形成するに先立って行
うことが生産効率上好ましいが、別の装置で予備成膜し
た後に防着板38を真空容器8に配設してもよい。
【0048】また、予備成膜したITOの膜厚が100
〜1000nmであることが好ましい。予備成膜したI
TOの膜厚が100nm未満のときは、均一に予備成膜
しにくく、また予備成膜したITOの膜厚が1000n
mを越えるときは、全体の生産効率が低下する。
【0049】さらに、予備成膜したITOの膜厚が50
0〜1000nmであることが好ましい。これにより、
予備成膜したITOの膜厚の下限が均一に成膜すること
がより確実にできる膜厚以上となり、ガラス基板1上に
ITO膜2を形成するときに防着板38に付着するIT
O蒸発粒子39の付着性をより確実に高めることがで
き、尚且つ、防着板38に付着したITO薄膜41と防
着板38界面との付着性をより確実に高めることができ
る。
【0050】また、予備成膜したITOは、その膜応力
によって、防着板38に付着したITO薄膜41と防着
板38界面との付着性が異なる。
【0051】予備成膜したITOの膜応力がガラス基板
1上に形成したITO膜2の膜応力より小さいことが好
ましい。これにより、防着板38に付着したITO薄膜
41が防着板38界面から剥離しにくくなる。そして剥
離したITO薄片40がガラス基板1上に付着すること
によるITO異物不良を防止することができる。この結
果、特に防着板38交換直後において、ITO異物不良
率が0%になるまでの時間を短縮することができるので
生産効率を大幅に向上することができる。
【0052】また、予備成膜したITOは、その膜応力
によって、防着板38に付着したITO薄膜41と防着
板38界面との付着性が異なる。ITO膜の膜応力の求
め方については、図2により後述する。
【0053】予備成膜したITOの膜応力がガラス基板
1上に形成したITO膜2の膜応力より小さいことが好
ましい。これにより、防着板38に付着したITO薄膜
41と防着板38界面とのの付着性を確実に高めること
ができる。
【0054】次にITO膜の膜応力の求め方について説
明する。
【0055】図2は、プラズマ存在下で基板上に成膜さ
れるITOの膜応力と酸素分圧の関係を示すグラフであ
る。
【0056】図2において、ITO膜の膜応力は専ら酸
素分圧に依存し、プラズマ存在下で基板上に成膜される
ITOの膜応力と酸素分圧とはほぼ比例する。
【0057】これは、プラズマ存在下で基板上に形成さ
れる薄膜に発生する圧縮応力によるものである。つま
り、基板上に薄膜が形成される時に酸素分圧が大きい
と、基板近傍のプラズマの電位Vpと基板の電位Vfと
の電位差(Vp−Vf)が大きくなることが実験的に実
証されている。この電位差(Vp−Vf)はプラズマ中
のアルゴンイオンAr+がプラズマから基板に打ち込ま
れる加速電圧であるため、酸素分圧が大きい程基板に打
ち込まれるAr+の加速電圧は大きくなり、Ar+は大き
い運動エネルギーをもって基板表面の薄膜に打ち込まれ
る。そして、基板上の薄膜には前述の大きい運動エネル
ギーをもったAr+の打ち込みによるダメージが起因し
て、結晶にひずみが発生したり、アルゴン原子が薄膜の
結晶構造の中へ取り込まれる。その結果、薄膜は膨張す
る方向に成長する一方、基板と密着しているため薄膜内
部には圧縮応力が生じる。
【0058】上述した図2のグラフから求められる予備
成膜したITOの膜応力が0.4GPa未満であること
が好ましい。予備成膜したITOの膜応力が0.4GP
a以上であるときは、ガラス基板1上に形成するITO
膜2をその光学特性及び電気特性を維持するのに必要な
膜応力である0.4GPa以上で形成するときに、防着
板38に付着したITO薄膜41と防着板38界面との
付着性が低下する。
【0059】また、予備成膜したITOの膜応力が0.
2GPa以下であることが好ましい。これにより、防着
板38に付着したITO薄膜41と防着板38界面との
付着性をより確実に高めることができる。
【0060】さらに、ITOを予備成膜するときに、真
空容器8内に導入する酸素ガスの分圧を1.33×10
-2Pa以下とするのが好ましい。これにより、予備成膜
したITOの膜応力の上限が0.2GPa以下となるた
め、防着板38に付着したITO薄膜41と防着板38
の界面との付着性を確実に高めることができ、またIT
Oを予備成膜するときに、真空容器8内の酸素ガスの分
圧を0Paに近づける程、成膜されたITOは酸化物の
一種であるためその構造が非晶質に近くなり、その膜応
力は0GPaに近づくので、防着板38に付着したIT
O薄膜41と防着板38界面との付着性をより高めるこ
とができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0062】ガラス基板1上にITOを成膜する前にI
TOをイオンプレーティング法により予備成膜した4種
類の試験片を作成した。
【0063】すなわち、SnO2含有率が5質量%のI
TO焼結体30をタブレットとして使用し、下記の放電
条件でイオンプレーティング法によりITOを予備成膜
する際に、膜応力が0.2GPaで膜厚が500nmの
ITO膜(実施例1)、膜応力が0.2GPaで膜厚が
1000nmのITO膜(実施例2)、膜応力が0.1
GPaで膜厚が500nmのITO膜(実施例3)、及
び膜応力が0.1GPaで膜厚が400nmのITO膜
(実施例4)となるように時間及び酸素分圧を調整しな
がら、4種類の試験片を約30分で作成した。実施例1
〜4を表1に示す。 〔放電条件〕 放電ガス:Ar+O2 放電電流:200A 真空容器内の圧力:2.66×10-1Pa(2.0×1
-3Torr) ガラス基板1の基板温度:200℃
【0064】
【表1】
【0065】また、比較例として、上記ITO焼結体3
0を使用し、上記実施例1〜4と同様の放電条件の下、
ITOを予備成膜する際に、膜応力が0.2GPaで膜
厚が50nmのITO膜(比較例1)、膜応力が0.4
GPaで膜厚が500nmのITO膜(比較例2)、膜
応力が0.4GPaで膜厚が2000nmのITO膜
(比較例3)、及び膜応力が0.5GPaで膜厚が50
0nmのITO膜(比較例4)となるように時間及び酸
素分圧を調整しながら、4種類の試験片を作成した。比
較例1〜4を表1に示す。
【0066】そして、上記各試験片を真空容器8の内壁
に防着板38として取り付けた後、ガラス基板1上にI
TOの成膜を開始してからITO異物不良率が0%にな
るまでの時間を測定した。測定結果を表1に示す。
【0067】尚、表1の酸素分圧は、実施例1〜4,比
較例1〜4の試験片作成後の値を示す。
【0068】この表1から明らかなように、比較例1
は、予備成膜したITOの膜厚が50nmと薄く、防着
板38に付着したITO薄膜41と防着板38界面との
付着性は乏しく、ITO薄片40が防着板38界面から
剥離しやすいため、ガラス基板1上にITOの成膜を開
始してからITO異物不良率が0%になるまでに1.5
時間の時間を要することが確認された。この付着性の低
さは、薄くITOを予備成膜すると島状にITO蒸発粒
子が堆積する等、均一な膜になりにくいことから生じて
いる。
【0069】また、比較例2は、予備成膜したITOの
膜厚が均一に成膜できる膜厚である500nmであって
も、その膜応力が0.4GPaと大きいと、防着板38
に付着したITO薄膜41と防着板38界面との付着性
は乏しく、ITO薄片40が防着板38界面から剥離し
やすいため、ガラス基板1上にITOの成膜を開始して
からITO異物不良率が0%になるまでに2時間の時間
を要することが確認された。
【0070】さらに、比較例3は、比較例2で予備成膜
したITOの作成条件のうち膜厚のみ4倍の2000n
mと厚くすることでより均一に予備成膜しても、防着板
38に付着したITO薄膜41と防着板38界面との付
着性は比較例2に比べわずかに改善されるのみでほとん
ど効果は無く、ガラス基板1上にITOの成膜を開始し
てからITO異物不良率が0%になるまでに1.5時間
の時間を要することが確認された。
【0071】一方、比較例4は、比較例2で予備成膜し
たITOの生成条件のうち膜応力のみ0.1GPa高い
0.5GPaとすると、防着板38に付着したITO薄
膜41と防着板38界面との付着性が比較例2よりさら
に乏しく、ITO薄片40が防着板38界面から剥離し
やすくなり、ガラス基板1上にITOの成膜を開始して
からITO異物不良率が0%になるまでに2時間の時間
を要することが確認された。
【0072】これに対して実施例1〜4は、予備成膜を
0.4GPa未満且つ膜厚100〜1000nmとする
と、防着板38に付着したITO薄膜40と防着板38
界面との付着性が高くなるため、防着板38から剥離し
たITO薄片40がガラス基板1に付着することによる
ITO異物不良は発生しないため、生産効率を向上する
ことができる。
【0073】このことから、予備成膜するための時間を
約30分設ければ、防着板38の交換後ガラス基板1上
にITOを成膜する際ITO異物不良が発生することな
いので、大幅に生産効率を向上することができる。
【0074】上記実施の形態では、本発明をイオンプレ
ーティング法に適用した場合を対象としているが、本発
明はスパッタリング法や蒸着法にも適用することができ
る。
【0075】本発明が適用できる被膜材料はITOに限
らず、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)などにも適
用できる。
【0076】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1記
載の製造方法によれば、防着板上に予め基板に成膜され
るITOと同種のものを成膜するので、基板上にITO
を成膜するときに防着板に付着するITO蒸発粒子の付
着性を高め、ITO異物不良の発生を防止して生産効率
を向上することができる。
【0077】請求項2記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜応力が基板上に成膜したI
TOの膜応力より小さいので、防着板に付着したITO
薄膜が防着板界面から剥離しにくくなる。そして剥離し
たITO薄片がガラス基板上に付着することによるIT
O異物不良を防止することができる。この結果、特に防
着板交換直後において、ITO異物不良率が0%になる
までの時間を短縮することができるので生産効率を大幅
に向上することができる。
【0078】請求項3記載の記載の製造方法によれば、
防着板上に予め成膜したITOの膜応力が0.4GPa
未満であるので、防着板に付着したITO薄膜と防着板
界面との付着力を高めることができ、基板上に成膜する
ITOがその光学特性及び電気特性を維持するのに必要
な膜応力である0.4GPa以上で成膜される際にも、
防着板に付着したITO薄膜が防着板界面から剥離する
ことを防止できる。
【0079】請求項4記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜応力が0.2GPa以下で
あるので、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面と
の付着性をより確実に高めることができる。
【0080】請求項5記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜厚が100〜1000nm
であるので、防着板上に予め成膜したITOの膜厚の下
限が均一に成膜することができる膜厚以上となり基板上
にITOを成膜するときに防着板に付着するITO蒸発
粒子の付着性を確実に高めることができ、尚且つ、防着
板に付着したITO薄膜と防着板界面との付着性を確実
に高めることができ、また防着板上に予め成膜したIT
Oの膜厚の上限が全体の生産効率が低下しない程度とす
ることができる。
【0081】請求項6記載の製造方法によれば、防着板
上に予め成膜したITOの膜厚が500〜1000nm
であるので、防着板上に予め成膜したITOの膜厚の下
限が均一に成膜するこことがより確実にできる膜厚以上
となり、基板上にITOを成膜するときに防着板に付着
するITO蒸発粒子の付着性を確実に高めることがで
き、尚且つ、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面
との付着性をより確実に高めることができる。
【0082】請求項7記載の製造方法によれば、前記防
着板に予めITOを成膜するときに、前記真空容器内の
酸素ガスの分圧が1.33×10-2Pa以下であるガス
を導入するので、防着板上に予め成膜したITOの膜応
力の上限が0.2GPa以下となり、もって防着板に付
着したITO薄膜と防着板界面との付着性を確実に高め
ることができ、また防着板に予めITOを成膜するとき
に、真空容器内に導入する酸素ガスの分圧を0Paに近
づける程、成膜されたITOは酸化物の一種であるため
その構造が非晶質に近くなり、その膜応力は0GPaに
近づくので、防着板に付着したITO薄膜と防着板界面
との付着性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る透明導電膜の製造方
法を実行するイオンプレーティング装置の概略構成図で
ある。
【図2】プラズマ存在下で基板上に成膜されるITOの
膜応力と酸素分圧の関係を示すグラフである。
【図3】防着板交換後にガラス基板上にITOの成膜を
開始してからの経過時間と、そのITO異物不良率
(%)とを検出した結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 ITO膜 8 真空容器 12 プラズマガン 30 ITO焼結体 31 主ハース 37 加熱ヒータ 38 防着板

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内壁にITO蒸発粒子付着防止用の防着
    板が配設された真空容器内で基板上にITOを成膜する
    透明導電膜の製造方法において、 前記防着板上に予め前記基板上に成膜されるITOと同
    種のものを成膜することを特徴とする透明導電膜の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記防着板上のITOの膜応力が前記基
    板上のITOの膜応力より小さいことを特徴とする請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記防着板上のITOの膜応力が0.4
    GPa未満であることを特徴とする請求項2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記防着板上のITOの膜応力が0.2
    GPa以下であることを特徴とする請求項3記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記防着板上のITOの膜厚が100〜
    1000nmであることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記防着板上のITOの膜厚が500〜
    1000nmであることを特徴とする請求項5記載の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記防着板に予めITOを成膜するとき
    に、前記真空容器内の酸素ガスの分圧が1.33×10
    -2Pa以下であるガスを導入することを特徴とする請求
    項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014173170A (ja) * 2013-03-12 2014-09-22 Sumitomo Heavy Ind Ltd 成膜装置

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