JP2002128940A - 発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート - Google Patents

発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート

Info

Publication number
JP2002128940A
JP2002128940A JP2001218474A JP2001218474A JP2002128940A JP 2002128940 A JP2002128940 A JP 2002128940A JP 2001218474 A JP2001218474 A JP 2001218474A JP 2001218474 A JP2001218474 A JP 2001218474A JP 2002128940 A JP2002128940 A JP 2002128940A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
styrene polymer
weight
molecular weight
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001218474A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hironori Suezawa
寛典 末澤
Kiyoshi Kawakami
潔 川上
Hiroshi Shirai
博史 白井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2001218474A priority Critical patent/JP2002128940A/ja
Publication of JP2002128940A publication Critical patent/JP2002128940A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡シートへの加工性を改良するとともに、
得られる発泡シートおよび発泡シートを再成形してなる
食品包装、食品容器からの低分子成分の溶出あるいは揮
発を顕著に低減した発泡用スチレン重合体組成物を提供
すること。 【解決手段】 (a)スチレン重合体 100重量部 (b)安定剤 0.01重量部以上、0.5重量部未満 (c)核剤 0.01重量部以上、5重量部未満 よりなる発泡用スチレン重合体組成物であって、スチレ
ン重合体が有機リチウム開始剤を用いたアニオン重合法
より得られるスチレン結合単位を主成分とする重合体で
あり、その重量平均分子量が5万〜100万の範囲であ
り、含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系
低分子成分(但し、スチレン系低分子成分はスチレンオ
リゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とからな
る。)が1000ppm未満であり、かつその内の非ス
チレンオリゴマー成分が500ppm未満であることを
特徴とする発泡用スチレン重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡用スチレン重合
体組成物、該組成物の単層発泡シート、および該発泡シ
ートに各種の熱可塑性樹脂を積層したスチレン重合体の
積層発泡シートに関する。スチレン重合体発泡シートは
再成形して、あるいは、そのままで要求サイズに切断し
て、各種容器、包装材類、例えば食品トレー、食品容
器、緩衝材としての中敷き等に好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術】スチレン重合体の単層発泡シート、ある
いはこれにポリスチレン、ポリオレフィン等の熱可塑性
樹脂フィルムを積層したスチレン重合体の積層発泡シー
トは、一般にはPSP(ポリスチレンペーパー)と呼ば
れる。これらスチレン系重合体発泡シートは、2次発泡
成形を施すのが容易であり、また得られた成形体が美麗
かつ軽量で、断熱性に優れ、安価であることから、各種
の食器容器、食品包装等に多量に使用されている。例え
ば、スチレン重合体発泡シートを真空成形あるいは圧縮
成型等により各種形状に再成形して、あるいはそのまま
で要求サイズに切断して、食品トレー、食品容器、食品
包装および緩衝材としての中敷き等に、広く使われてい
る。
【0003】一般に、PSPに用いられるスチレン重合
体は塊状ラジカル重合法および懸濁ラジカル重合法によ
り製造される。特に、塊状ラジカル重合法によるスチレ
ン重合体は添加物に起因する不純物が少なく、安価であ
るという特長があり、PSP製造に好ましく使用され
る。PSPは、スチレン重合体にタルクや炭酸カルシウ
ム等の発泡核剤および流動パラフィン等の成形性調整剤
を添加し、押出機を用いて溶融、混合し、発泡剤を圧入
した後、フラットダイあるいはサーキュラー・ダイより
押出し発泡させて、発泡シート化することによって製造
される。発泡剤としては、一般に工業用ブタンやジクロ
ロジフルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素やハロ
ゲン化炭化水素、あるいは炭酸ガス、窒素ガスが使用さ
れている。
【0004】しかし、一般にラジカル重合法はスチレン
重合体製造時にオリゴマーの生成を伴い、またスチレン
単量体も残り易いことは良く知られている。例えば、総
説文献(Encyclopedia of chemical technology,Kir k-
Othmer,Third Edition,JohnWily& Sons,21巻,817頁)
によれば100℃以上のスチレンの熱重合ではスチレン
二量体、スチレン三量体等のオリゴマーの副生を伴い、
その量は約1重量%程度になるとされている。また具体
的なオリゴマー成分は主として1−フェニル−4−(1
´−フェニルエチル)テトラリン、1,2−ジフェニル
シクロブタンからなり、その他に2,4−ジフェニル−
1−ブテンと2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセン
が存在するとされている。
【0005】一般には塊状ラジカル重合プロセスは80
〜180℃で重合を行い、次いで含まれる溶媒や未反応
単量体を加熱揮発除去することにより、重合体を回収し
ている。しかし、ラジカル重合法では単量体の重合体へ
の転化を高度に達成することができず、これを加熱脱揮
した後も、一般に比較的多量の未反応スチレン単量体が
スチレン重合体中に残る。このため、脱揮工程を工夫す
る方策、例えば加熱脱揮後、さらに水を添加、混合した
後に再度脱揮することにより、残存するスチレン単量体
を水と共沸除去する方法等が開発されているが、十分満
足できるレベルは達成できていない。
【0006】また、副生したスチレンの二量体および三
量体等のオリゴマー類は揮発し難くいため、一般にその
多くが重合体中に残る。この様にして製造されたスチレ
ン重合体を分析すると、原料から由来の残留物、不純物
および重合中の副生成物が検出される。具体的にはスチ
レン、α−メチルスチレン、n−プロピルベンゼン、i
so−プロピルベンゼン、2,4−ジフェニル−1−ブ
テン、1,2−ジフェニルシクロブタン、1−フェニル
テトラリン、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセ
ン、1,3,5−トリフェニルシクロヘキサン、1−フ
ェニル−4−(1’−フェニルエチル)テトラリン等が
スチレン重合体中に含まれる。
【0007】この様に、現在広く実施されているラジカ
ル重合法のスチレン重合体は、その製造方法に起因して
スチレン単量体およびスチレンオリゴマー等から成る低
分子成分を多く含む。更に、これらのラジカル重合法の
スチレン重合体は、一般に安定性に劣り、成形加工時の
機械的履歴あるいは熱的履歴によって、重合体中のスチ
レン単量体およびスチレンオリゴマー等の低分子成分量
が増大しやすい。成形加工時に新たに生成する低分子成
分も、重合時に生成する低分子成分と同様の問題を来
す。具体的には、発泡シートへの成形、加工、あるいは
発泡シートから食品トレーや食品容器等の二次成形時、
金型や加工機器に付着し、成形体表面を汚す等の問題を
起こす場合がある。このため成型、加工時の温度を低く
設定し、重合体混合のシェアーを低く抑える等、加工条
件をマイルドにする対策が取られるが、これらの対応は
生産性や成形性低下の原因を伴い、弊害もある。
【0008】また、成形された最終製品性能の点では、
スチレン重合体中に低分子成分が多く含まれると、食品
容器や食品包装に用いた場合、スチレン重合体に含まれ
る低分子成分が溶出あるいは揮発する場合があり、その
低減が望まれる。例えば、食品衛生誌、39巻、3号、
199頁(1998)には食品用ポリスチレン製品から
スチレン二量体、スチレン三量体が溶出することが報告
されている。さらに、スチレン重合体中に低分子成分が
多く含まれると、製品の剛性、特に加熱時の剛性が低下
を来たし好ましくない。加熱時の剛性は、熱湯によるの
加熱等の想定される食品容器では、特に要求される性能
である。それ故、塊状ラジカル重合法のスチレン重合体
から低分子成分を積極的に除去しようとする考え方も既
に公知である。例えば、スチレン重合体製造時、加熱下
に真空脱揮することによる低分子成分の除去が、既に実
施されている。しかし、スチレンオリゴマーは揮発性が
小さく、また過度の加熱は新たなスチレン単量体やスチ
レンオリゴマー生成を引き起こす原因ともなり、低分子
成分除去には自ずと限界があった。
【0009】これらのラジカル重合法スチレン重合体に
対して、有機リチウム等を用いたアニオン重合法スチレ
ン重合体も、技術的には古くから公知である。例えば、
米国特許5,391,655号明細書、米国特許5,0
89,572号明細書、米国特許4,883,846号
明細書、米国特許4,748,222号明細書、米国特
許4,205,016号明細書、米国特許4,200,
713号明細書、米国特許4,016,348号明細
書、米国特許3,954,894号明細書、米国特許
4,859、748号明細書等に詳細に紹介されてい
る。これら米国特許技術を要約すると、アニオン重合法
においての分散度を下げる方法(米国特許4,883,
846号明細書)、アニオン重合法によりポリスチレン
製造するにおいて連続重合方式を用いる等の製造装置に
関連した方法(米国特許4,016,348号明細書、
米国特許4,748,222号明細書、米国特許5,3
91,655号明細書)、アニオン重合方式に用いる開
始剤の製造方法および適用例(米国特許4,205,0
16号明細書、米国特許5,089,752号明細書)
に限られている。米国特許4,859、748号明細書
は連続攪拌槽反応器中でスチレンのアニオン重合反応を
制御する方法を開示している。
【0010】しかし、これらのスチレン重合体のアニオ
ン重合法技術においては、本発明の主たる目的であるス
チレン系低分子成分に関する開示は全くなかった。更
に、近年になって、特開平10−110074号公報は
有機リチウムを開始剤とするアニオン重合において、オ
リゴマーの少ない重合体が得られることを開示してい
る。その参考例2の記載において、有機リチウムを用い
たスチレン単量体のバッチ重合法により、分子量分布の
狭い、単分散の重合体が得られ、酸化防止剤を添加後に
乾燥することにより、二量体含有量1ppm、三量体含
有量170ppmのスチレン重合体を得ている。更に
は、この様にして得られたアニオン重合法のスチレン重
合体が、食品包装材等に利用できることを開示してい
る。
【0011】国際出願PCT/JP97/00796号
はビニル重合体の製造方法、ビニル系単量体のアニオン
重合用開始剤およびスチレン重合体組成物に関するもの
である。該明細書の記載において、得られたスチレン重
合体中に存在するスチレン三量体が250ppm以下の
重合体を食品包装材に使用した場合、食料品等へのマイ
グレーションは無視できる程度であることを開示してい
る。また、特開2000−143725号公報はアニオ
ン重合法によるスチレン重合体およびその製造方法に関
するものであり、スチレン二量体含量が80ppm以
下、かつスチレン三量体含量が800ppm以下のスチ
レン重合体およびその製造方法、食品用途への利用が開
示されている。
【0012】この様に、次の(a)〜(c)の事項は既
に公知であった。 (a)有機リチウムを用いるアニオン重合法によりスチ
レン重合体が得られること。 (b)有機リチウムを用いたアニオン重合法により得ら
れるスチレン重合体は、ラジカル重合法によるスチレン
重合体に比較して、スチレン二量体およびスチレン三量
体の含有率が低いこと。 (c)有機リチウムを用いて得られたスチレン重合体
を、樹脂材料として各種用途、特に食品容器材料および
食品包装材料に利用できること。しかし、これらのアニ
オン重合法により得られるスチレン重合体にはいくつか
の問題点もあり、発泡シート用途に、現在広く用いられ
るには至っていない。即ち、次の(d)〜(f)の問題
点が挙げられる。 (d)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン
重合体は、塊状ラジカル重合法のスチレン重合体に比較
して、製造が高コストであること。 (e)生産性を高めてコスト低減を達成するため、高
温、高単量体濃度でアニオン重合を実施するとスチレン
系低分子成分、特に二量体、三量体の増大を来して、ア
ニオン重合スチレン重合体の大きな特長の一つが失われ
ること。 (f)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン
重合体は一般に分子量分布が狭く、加工性に劣ること。
【0013】上記の従来技術における各問題点につい
て、次に具体的に説明する。(d)項の製造がコスト高
の大きな原因の一つに、アニオン重合法が生産性に劣る
点が挙げられる。即ち、塊状ラジカル重合法では単量体
濃度を90重量%、もしくは更に高濃度で重合するのに
対して、アニオン重合法、特にバッチプロセスのアニオ
ン重合法では、通常、単量体濃度は25重量%程度未満
に限定される。これは、主にアニオン重合法における重
合熱の除熱の難しさに起因するものであり、低い単量体
濃度での製造は生産性に劣る。即ち、有機リチウムを用
いたアニオン重合法においては、120℃を越える高温
では開始剤の失活が顕著に起こる。それ故、十分に反応
を完結するには、除熱により重合温度を120℃以下に
抑えることが必要である。しかし、高い単量体濃度では
重合速度および重合溶液粘度が著しく増大する。それ
故、発熱量、発熱速度は増大し、かつ除熱性は低下し
て、温度制御が困難になる。
【0014】このことは、実験室レベルの反応器では除
熱を効かせることで解決可能である。しかし、相対的に
伝熱面積の低下する大型のプラント反応槽では深刻な問
題点となり、高単量体濃度でのバッチ重合は極めて困難
がある。それ故アニオン重合法においては、低い単量体
濃度であることが生産性を低下させ、コスト高の大きな
原因となる。高濃度重合で除熱問題を根本的に解決する
方策として、特殊な除熱能力の高い反応器を用い連続重
合する方法の提案がある。例えば、米国特許4,85
9,748号明細書においては、表面積の大きな、除熱
能力の高いチューブ状の循環型反応槽に30〜80重量
%の高濃度単量体を連続的に流し、アニオン重合する方
法が開示されている。
【0015】この様な方法で高い単量体濃度のアニオン
重合を達成できるが、別の問題が残る。即ち、細いチュ
ーブ中の高粘度重合体溶液の流れは無攪拌状態となる。
この様な無攪拌のチューブ型の反応槽中での重合は、条
件によりゲル生成ひいてはチューブ型反応槽の閉塞を来
し、致命的欠点となる。(e)項はスチレン系低分子成
分、特に二量体、三量体問題である。ラジカル重合法と
異なり、一般にアニオン重合法ではスチレンの二量体、
三量体の副生成は無いとされている。しかし、本発明者
が鋭意検討した結果、有機リチウムを用いたアニオン重
合においても、実用的な重合条件である温度、単量体濃
度では二量体、三量体の生成が少なからず起こることが
判明した。更にスチレンの二量体、三量体以外にも、ア
ニオン重合法に特有のスチレン系低分子成分の生成が起
こることも解明した。これは主に特定の溶媒や含まれる
微量の不純物とスチレン単量体が、有機リチウムの共存
下に反応する等して生成し、もはやスチレンオリゴマー
とは言えない構造を有する。
【0016】即ち、アニオン重合法においても、得られ
るスチレン重合体には分子量140〜400の範囲のス
チレン系低分子成分が、無視できない量で含まれるとの
問題があることが、本発明者の検討の結果明らかとなっ
た。(f)項のアニオン重合法のスチレン重合体が加工
性に劣る点は、主に狭い分子量分布に起因する。バッチ
重合法あるいはチューブ状反応槽による連続重合では得
られる重合体の分子量分布は、一般に極めて狭いものと
なる。例えば、前述の特開平10−110074号公報
は、その参考例2の記載において、有機リチウムを用い
たスチレン単量体のバッチ重合法により、分子量分布の
狭い(Mw/Mn=1.04)、単分散の重合体を得て
いる。狭い分子量分布の重合体は成形、加工性に劣り、
通常は好ましいものではない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する課題は、発泡シートへの加工性を改良するととも
に、得られる発泡シートおよび発泡シートを再成形して
なる食品包装、食品容器からの低分子成分の溶出あるい
は揮発を顕著に低減した発泡用スチレン重合体組成物を
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。即ち、特定の重合条件範囲で得られた、未反応スチ
レン単量体およびその他のスチレン系低分子成分の少な
いスチレン重合体を用いた発泡用スチレン重合体組成物
が、発泡シートへの成形、加工性に優れ、しかも各種物
性、特に加熱時剛性に優れること見出し、本発明をなす
に至った。
【0019】本発明は特許請求の範囲にも示すところで
ある。即ち、 (a)スチレン重合体 100重量部 (b)安定剤 0.01重量部以上、0.5重量部未満 (c)核剤 0.01重量部以上、5重量部未満 よりなる発泡用スチレン重合体組成物であって、スチレ
ン重合体が有機リチウム開始剤を用いたアニオン重合法
より得られるスチレン結合単位を主成分とする重合体で
あり、その重量平均分子量が5万〜100万の範囲であ
り、含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系
低分子成分(但し、スチレン系低分子成分はスチレンオ
リゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とからな
る。)が1000ppm未満であり、かつその内の非ス
チレンオリゴマー成分が500ppm未満であることを
特徴とする発泡用スチレン重合体組成物である。
【0020】本発明の発泡用スチレン重合体組成物で用
い得るスチレン系低分子成分の少ないスチレン重合体
は、例えば、特願2001−136262号明細書に開
示の方法によって得ることができる。具体的には、逆混
合流れを有する第1反応槽の一方から、下記組成(A)
なる原料系を連続的に仕込み、いま一方から生成系を連
続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスにおいて、反
応槽の内温を40〜120℃の範囲に制御し、かつ反応
槽中に存在するスチレン系単量体、炭化水素溶媒および
スチレン重合体の合計量に対する該単量体の平均割合を
10重量%未満に制御して得られたスチレン重合体溶液
を、脱揮乾燥してなる低分子成分の少ないスチレン重合
体を得ることができる。 (A) スチレン系単量体 1.0Kg 炭化水素溶媒 0.1〜3Kg 有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル
【0021】本発明の発泡用スチレン重合体組成物にお
けるスチレン重合体はスチレン単量体の単独重合体、あ
るいはスチレン単量体を主成分とし、他のビニル芳香族
炭化水素との共重合体、あるいは一部にブタジエンやイ
ソプレン等の共役ジエン単量体を含む共重合体であって
も構わない。これらの共重合組成により樹脂の加工性、
軟化温度や剛性等を調整することができ、場合によって
は好ましい。スチレン重合体の分子量は、重量平均の分
子量で5万〜100万の範囲でなければならない。好ま
しくは10万〜60万、さらに好ましくは15万〜50
万、特に好ましくは20万〜40万の範囲である。重量
平均分子量が余りに低いと、得られる発泡用スチレン重
合体組成物を成型して得られる発泡シートの各種の力学
的性能、例えば強度、剛性等が低下して好ましくない。
また、重量平均分子量が余りに高いと、発泡用スチレン
重合体組成物の成形、加工性が低下してやはり好ましく
ない。
【0022】スチレン重合体の重量平均分子量と数平均
分子量の比で示される分子量分布(Mw/Mn)は、一
般に1.2〜10、好ましくは1.5〜5、特に好まし
くは2〜4の範囲である。分子量分布が余りに狭いと加
工性や特定の樹脂性能、例えば衝撃強度や発泡特性が低
下して好ましくない。また、余りに広い場合にも特定の
樹脂性能、例えば成形時の流動特性や熱時剛性等が低下
してやはり好ましくない。
【0023】本発明で用いるスチレン重合体に含まれる
分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分は
1000ppm未満であって、かつその内の非スチレン
オリゴマー成分が500ppm未満なければならない。
スチレン系低分子成分は好ましくは600ppm未満、
更に好ましくは400ppm未満、特に好ましくは20
0ppm未満である。またその内の非スチレンオリゴマ
ー成分は好ましくは300ppm未満、更に好ましくは
200ppm未満、特に好ましくは100ppm未満で
ある。本発明で用いるスチレン重合体に含まれる分子量
140〜400の範囲のスチレン系低分子成分は、スチ
レンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とから
なる。具体的には、ここで言うスチレンオリゴマー成分
とはスチレンの二量体および三量体である。非スチレン
オリゴマー成分とはこれらのスチレンオリゴマーを除
く、フェニル基を1〜3個有する分子量140〜400
の範囲の低分子成分である。
【0024】スチレンの二量体は分子量が208であっ
て、2,4−ジフェニル−1−ブテン、シス−1,2−
ジフェニルシクロブタン、トランス−1,2−ジフェニ
ルシクロブタン等が挙げられる。スチレンの三量体は分
子量312であって、2,4,6−トリフェニルー1−
ヘキセン、1−フェニル−4−(1’−フェニルエチ
ル)テトラリン(4種類の異性体を含む)、1,3,5
−トリフェニル−シクロヘキサン等が挙げられる。非ス
チレンオリゴマー成分は、分子中に芳香環を1〜3個有
する炭化水素化合物である。具体的には、芳香環を2個
有する炭化水素化合物として1,3−ジフェニルプロパ
ン、1,3−ジフェニルブタン、2,4−ジフェニルペ
ンタン、芳香環を3個有する炭化水素化合物として1,
3,5−トリフェニルペンタン、1,3,5−トリフェ
ニルヘキサン、1,2,4−トリフェニルシクロペンタ
ン等が挙げられる。
【0025】これらの非スチレンオリゴマー成分は、主
に特定の溶媒や含まれる不純物とスチレン単量体が、有
機リチウムの共存下に反応する等して生成し、もはやス
チレンオリゴマーとは言えない構造を有する。例えば、
含まれるトルエンにスチレンが1分子あるいは2分子付
加して、1,3−ジフェニルプロパンや1,3,5−ト
リフェニルペンタンが生成する。また、エチルベンゼン
にスチレンが1分子あるいは2分子付加して、1,3−
ジフェニルブタン、1,3,5−トリフェニルヘキサン
が生成する。その他にも、そのスチレン重合体が分解し
て生成する等、生成機構は必ずしも明らかではないが、
1,2,4−トリフェニルシクロペンタン、2,4−ジ
フェニルペンタン、1,2−ジフェニルシクロプロパン
等も加熱脱揮後のスチレン重合体中に認められる。
【0026】本発明で用いるスチレン重合体に含まれる
スチレン単量体は500ppm未満であることが好まし
い。更に好ましくは200ppm未満、特に好ましくは
100ppm未満、最も好ましくは20ppm未満であ
る。本発明で用いるスチレン重合体に含まれる残存炭化
水素溶媒は1000ppm未満であることが好ましい。
更に好ましくは300ppm未満、特に好ましくは10
0ppm未満である。これらの低分子成分、即ちスチレ
ン単量体、スチレン系低分子成分および残存炭化水素溶
媒の含有量が多いと、スチレン重合体の成形、加工時の
熱安定性が十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に
劣る。樹脂中に含まれる低分子成分は、成形品の内部か
ら表面に拡散あるいは滲むため、印刷が乗り難い、ある
いは印刷が剥離しやすい。さらには樹脂中に含まれる低
分子成分が溶出あるいは揮発する等の問題を来す場合が
ある。特にスチレン系低分子成分が多いと、成型、加工
時に油状物質が、金型や成形品に付着する等の問題を来
す場合がある。スチレン単量体が20ppm未満、分子
量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が20
0ppm以下かつ非スチレンオリゴマー成分が100p
pm以下では、拡散あるいは溶出が殆ど認められず、特
に好ましい。
【0027】本発明の発泡用スチレン重合体組成物は、
その熱的あるいは機械的安定性、耐酸化性、耐候性、耐
光性を改善するために、安定剤を含む。スチレン重合体
100重量部当たり、安定剤0.01重量部以上、0.
5重量部未満を含むことが必要である。安定剤量が0.
01重量部未満では、熱的あるいは機械的安定性、耐酸
化性、耐候性、耐光性の改善効果が十分発現しない。ま
た安定剤量が多いと、条件にもよるが安定剤自信もしく
はその分解物の溶出やマイグレーション等の心配が増大
する。スチレン重合体100重量部当たり、安定剤0.
02重量部以上、0.05重量部未満を含むことが特に
好ましい。安定剤としては、スチレン重合体に対して使
用が公知の各種安定剤類を添加することができる。その
例としてフェノール系安定剤、リン系安定剤、窒素系安
定剤、イオウ系安定剤が挙げられる。特に、ヒンダード
フェノール系安定剤、リン系安定剤、あるいはヒンダー
ドフェノール系安定剤とリン系安定剤の混合系が好まし
く利用できる。
【0028】ヒンダードフェノール系安定剤の具体例と
して、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、ペンタエリスト−ルテトラキス[3−
(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチ
ル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2
[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェ
ニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ
ート、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、3,9ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,
1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキ
ザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−
s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−ト
リオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)等が挙げられる。
【0029】リン系安定剤の具体例として、トリス
(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4−,
4‘−ビスフェニレンホスファイト、トリス(ノニルフ
ェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリストー
ルジホスファイト、ビス(2,4,ジ−t−ブチルフェ
ニル)ペンタエリストールホスファイト、ビス(2,
6,ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
ストールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6
−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テ
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’
−ビスフェニレン−ジ−ホスファイト等が挙げられる。
これらの安定剤は発泡シート成形段階に混合することも
できる。しかし、混合が容易である点、および溶媒回収
工程での重合体の劣化を抑えることができる点で、スチ
レン重合体の重合後に溶液段階での添加が特に好まし
い。
【0030】本発明の発泡スチレン重合体組成物で用い
る核剤とは発泡核剤であって、スチレン重合体の発泡成
形で公知の核剤が利用できる。具体的にはタルク、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、シリカ等
が挙げられる。核剤の使用量は、スチレン重合体100
重量部当たり、0.01重量部以上、5重量部未満の範
囲でなければならない。好ましくは0.2重量部以上、
4重量部未満、特に好ましくは0.5重量部以上、2重
量部未満の範囲である。核剤が余りに少ないと気泡のサ
イズが不均一かつ大きくなり、一般に好ましくない。核
剤が余りに多いと気泡サイズが極端に小さくなり、かつ
隔壁の厚さ極端に薄くなり、場合により好ましくない。
【0031】本発明の発泡スチレン重合体組成物は、ス
チレン重合体100重量部当たり、流動パラフィンを0
又は0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1.5重
量部、さらに好ましくは0.5〜2.0重量部添加する
ことができる。流動パラフィンの添加により、発泡スチ
レン重合体組成物の粘度を低下させ、発泡成形性を改良
できる。しかし、3重量部を越える量の添加は、一般に
発泡特性が逆に低下して好ましくない場合がある。スチ
レン重合体の分子量および添加する流動パラフィンの量
を調整することによって、本発明の発泡用スチレン重合
体組成物の、ツインキャピラリーレオメーター(狭窄型
粘度計)にて、温度220℃で測定される該組成物の伸
長粘度の値が、剪断速度10〜1000sec-1の範囲
で10000〜50000Pa・secの範囲で連続的
に変化することが好ましい。さらには20000〜40
000Pa・secの範囲で連続的に変化することこと
が特に好ましい。
【0032】本発明の発泡用スチレン重合体組成物は、
必要によりスチレン重合体材料において使用が公知の樹
脂添加剤を混合することができる。その例として染料、
顔料、充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤等が
挙げられる。また、本発明の発泡用スチレン重合体組成
物は、必要によりその特長が失われない範囲で、他の公
知の樹脂を混合して含むことができる。その好ましい例
としてラジカル重合により得られるポリスチレンやハイ
インパクトポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、A
BS、スチレン−共役ジエンブロック共重合体およびそ
の水素添加物が挙げられる。
【0033】本発明の発泡用スチレン重合体組成物にお
いては、発泡シートへの成形、加工方法は特に限定しな
い。公知のスチレン重合体発泡シートの製造方法が利用
できる。例えば、スチレン重合体にタルクや炭酸カルシ
ウム等の核剤および流動パラフィン等の成形性調整剤を
押出機を用いて溶融、混合し、発泡剤を圧入した後、サ
ーキュラー・ダイより押出し発泡させてシート化するこ
とによって製造できる。発泡剤としては工業用ブタンや
ジクロロジフルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素
やハロゲン化炭化水素、あるいは炭酸ガスや窒素ガスが
使用できる。
【0034】本発明の発泡用スチレン重合体組成物の構
造は特に限定しない。しかし、一般にはその厚みは0.
5〜10mm、好ましくは1.0〜5mm、特に好まし
くは1.5〜3.0mmの範囲である。厚みは真空成形
等で容器等を成形する際、加熱するので二次発泡が起こ
り膨らむ。従って目標とする形状により、ある程度に厚
みを調整しておく必要がある。また、その発泡倍率は一
般には2〜20倍、好ましくは5〜15倍、特に好まし
くは8〜12倍の範囲である。発泡倍率が余りに低い
と、二次成形時の目標形状、例えば深型容器等を成形す
る際、発泡セルが変形に応じられず破泡してしまい、良
好な成型品が得られない場合がある。20倍を超えると
成形には支障は無いが、表面状態が著しく悪くなる。
【0035】本発明の発泡用スチレン重合体組成物にお
いては、必要により発泡体の片面あるいは両面に、熱可
塑性樹脂フィルムを積層した構造にすることができる。
この熱可塑性樹脂フィルムは接着層等を含む多層フィル
ムであっても構わない。また、積層は片面でも両面でも
構わない。熱可塑性樹脂フィルムの積層は外観や印刷性
の改善の他、耐表面傷つき性、剛性等の物理的性能の改
良に有用である。積層する熱可塑性樹脂フィルムに用い
られる熱可塑性樹脂の例としては、非発泡のスチレン重
合体やオレフィン系重合体等が挙げられる。非発泡のス
チレン重合体の具体例としてはポリスチレン、耐衝撃性
ポリスチレン等が挙げられる。オレフィン系重合体の具
体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げら
れる。耐衝撃性ポリスチレンは耐衝撃強度に優れ、かつ
何らの接着剤なしに積層が容易なため特に好ましく利用
できる。
【0036】積層する熱可塑性樹脂フィルムに用いる耐
衝撃性ポリスチレンは、ゴム粒子にスチレンがグラフト
重合しているものが島を形成し、ポリスチレンが海とし
て存在するいわゆる海島構造を形成するものが、特に好
ましい。そして、耐衝撃性ポリスチレンは、テトラヒド
ロフランに溶解した時の溶解部分のゲルパーミュエーシ
ョンクロマトグラフによる重量平均分子量が好ましくは
10万〜50万、さらに好ましくは15万〜30万の範
囲、含有されているゴム状物質が好ましくは3〜8重量
%の範囲、分散ゴム粒子の重量平均粒子径が好ましくは
1.5〜6μmの範囲である。積層する熱可塑性樹脂フ
ィルムの厚さは、一般に10〜1000μm の範囲であ
る。好ましくは80〜200μm の範囲であり、特には
好ましくは100〜150μm の範囲である。80μm
より薄いと二次成型時の加熱でシワがより、剥がれて膨
らんでしまう場合がある。また、200μmより厚くす
ると、二次成形時の加熱に要する時間が長くなり、加熱
ムラ発生の原因となり好ましくない。
【0037】また、本発明のスチレン重合体発泡シート
は、通常ロール状に巻いて保管あるいは移送される。こ
の際、スチレン重合体発泡シートがブロッキングを起こ
し、剥離不能になることがある。スチレン重合体発泡シ
ート表面にシリコンオイルを塗布して、ブロッキングを
防止することができる。また、スチレン重合体発泡シー
トを二次成形する際、金型との摩擦を軽減し、離型性あ
るいは滑性を高めるためにシリコンオイルを使うことも
できる。シリコンオイルを塗布する場合、シリコンオイ
ルを乳化剤を用いて水に分散させ、発泡シート表面に塗
布することもできる。しかし、シリコンオイルは少量で
は効果が薄く、擦れ等により塗布したものが剥離し効果
を失うので、ある程度以上に塗布しなければ十分な効果
を発現できない。しかし、シリコン濃度が高すぎると、
重ね合わせている他方のシートの内面にシリコンオイル
や乳化剤が移行する場合がある。スチレン重合体発泡シ
ートを食品容器等に用いる場合、これは歓迎されるもの
ではない。
【0038】積層する熱可塑性樹脂フィルムが耐衝撃性
ポリスチレンフィルムである場合、予め耐衝撃性ポリス
チレンに滑性付与や耐衝撃性、伸びを改善する目的でシ
リコンオイルを添加、混合したものを用いることもでき
る。これによりスチレン重合体発泡シート表面にシリコ
ンオイルを塗布する場合と同様の効果が期待できる。こ
の場合、その含有量は好ましくは0.01〜3重量%、
特に好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲である。シ
リコンオイルの含有量がこの範囲より少ないと、添加効
果が著しく低下し、余りに多いと発泡シートとの接着性
が著しく低下して好ましくない。
【0039】シリコンオイルの具体例としてポリジメチ
ルシリコンオイルを挙げることができる。ポリジメチル
シリコンオイルは、JISK−2283による23℃に
おける粘度が10,000〜30,000センチストー
クスで、150℃、24時間の加熱減量試験が0.3重
量%以下であるものが、特に好ましく利用できる。積層
熱可塑性フィルムは押出機等によりフィルム状に成形し
たものを用いる。フィルム成型時、添加されたオイルの
性状が成形性を左右する。粘度が10,000センチス
トークス未満であると、ブリードアウトし易く、また揮
発成分が多く含まれているため、押出し時に目ヤニが発
生し、生産性低下の原因ともなる。また、過度にブリー
ドアウトし難い場合、表面における有効残存シリコン量
が不足し、十分上記効果が発現されず、シートも良品が
取れなくなる。
【0040】本発明の発泡スチレン重合体組成物は住宅
の発泡断熱材、食品容器材料、食品包装材料等の発泡ス
チレン重合体組成物の使用が公知の各種用途に好ましく
用いることができる。特にスチレン単量体、スチレン系
低分子成分の含有量が極めて少ないことを生かして、食
品と直接接触するような食品容器、発泡用途に特に好ま
しく使用できる。食品容器、包装の具体例としては、例
えば、発泡成形して得られる食品トレー、インスタント
麺のどんぶり、弁当箱、飲料カップ等の食品容器、ある
いはシート加工して得られる青果物包装、水産物包装等
の食品包装が挙げられる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を挙げて本
発明の態様を具体的に説明する。しかし、これらは例で
あって、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない
ことは当然である。 (スチレン重合体の製造法1)攪拌器を備えた容量2リ
ッターの完全混合型である第1反応槽と、攪拌器を備え
た容量1リッターのプラグフロー型の第2反応槽とを直
列に結合した。両反応槽は温度を80℃に制御した。
【0042】第1反応槽にはスチレン単量体と重合溶媒
としてシクロヘキサンの50/50重量比の混合液を
1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有
機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのヘキサン
溶液を、スチレン単量体100g当たり、0.8ミリモ
ルに相当する量で同反応槽にフィードした。第1反応槽
からの流出した反応液は、引き続き第2反応槽をプラグ
フローで通過させた。第1反応槽から流出した時点での
単量体の重合体への転化率は平均98%、第2反応槽の
通過後の転化率は99.99%以上であった。得られた
重合体溶液はリチウム量の3倍量のメタノールを添加す
ることによりアニオン活性末端を失活させた。その後、
重合体溶液には重合体100g当たり、0.01gの酸
化防止剤を加えた後、減圧したフラッシングタンク中2
30℃に加熱処理することで、揮発成分を除去した。さ
らに230℃の減圧ベント付き押出し機を通して、残余
の揮発成分を除去した。
【0043】(スチレン重合体の製造法2)リフラック
スコンデンサーおよび攪拌器を備えた実容量2リッター
の完全混合型である第1反応槽と、攪拌器を備えた容量
1リッターのプラグフロー型の第2反応槽とを直列に結
合した。第1反応槽にはスチレン単量体と重合溶媒とし
てシクロヘキサン(3wt%のn−ヘキサンを含む)の
50/50重量比の混合液を1.78Kg/時の流量で
フィードした。また、別途有機リチウム開始剤としてn
−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、スチレン単
量体1Kg当たり、8ミリモルに相当する量で同反応槽
にフィードした。第1反応槽の圧力は常圧とし、重合時
の発熱はリフラックスコンデンサーにシクロヘキサンを
リフラックスしながら除熱した。反応液の温度は81℃
でほぼ安定した。第2反応槽は温度を80℃に制御し
た。
【0044】(スチレン重合体の製造法3)攪拌器を備
えた容量2リッターの反応器に、常温において0.75
Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.75Kgの
エチルベンゼン、有機リチウム開始剤としてn−ブチル
リチウム0.57ミリモルを仕込む。その後、攪拌しな
がら徐々に温度を上げたところ、50℃程度から内部発
熱により昇温、最終温度は131℃に到達した。その
後、徐々に温度を下げて100℃にし、合計1.5時間
反応を続けた。重合後の処理条件は実施例1と同様に実
施した。
【0045】(スチレン重合体の製造法4)重合溶媒に
エチルベンゼンを用い、両反応槽の温度を122℃とす
る以外は実施例1と同様に実施した。 (スチレン重合体の製造法5)攪拌器を備えた容量2リ
ッターの反応器に、常温において1.35Kgのスチレ
ン単量体と重合溶媒として0.15Kgのエチルベンゼ
ンを仕込む。その後、攪拌しながら徐々に温度を上げ1
30℃〜140℃で6時間熱ラジカル重合し、その後1
60℃で2時間重合を続けた。重合後の処理条件は実施
例1と同様に実施した。製造法1〜5で得られたスチレ
ン重合体の分子量および含まれる低分子成分含率を表1
に示す。
【0046】
【実施例1〜4】、
【比較例1〜6】上記の製造法1〜5で得たスチレン重
合体を用い、表2記載の組成で核剤としてのタルク、さ
らには安定剤を添加し、一段目押出機に導入し、約23
0℃で熱可塑化した後、ブタンを約4重量%圧入、含浸
させた。次いで二段目押出機に送り込み、発泡に適した
粘度まで温調したものを約130℃のダイスより押し出
して、スチレン重合体発泡シートを作成した。発泡シー
トの平均厚みは約2.5mm、平均倍率は約10倍に設定
した。得られたスチレン重合体発泡シートは十分に養生
させた後、性能を以下に示す基準で評価した。結果を表
2に示す。
【0047】性能評価の基準 1)発泡特性 ○:気泡のサイズが均一で独立している。 △:気泡のサイズがやや不均一で、一部連続した気泡が
存在する。 ×:気泡のサイズが不均一で、一部連続した気泡がやや
多く存在する。 2)表面状態 発泡シートの表面状態を目視観察により評価した。 ○:表面が美麗で、平滑性に富んでいる。 ×:表面に肌荒れが起こっている。 3)耐熱変形性 スチレン重合体発泡シートを2cm×5cmに切り出
し、それを沸騰水に1分間浸漬した。発泡シートは軟化
し、変形した。その変形状態により発泡シートの耐熱変
形性を評価した。 ○:表面の肌荒れは目立つが、サイズの変形は小さく、
僅かな収縮が認められる程度であった。 ×:表面の肌荒れは、サイズの変形とも著しく、顕著な
収縮が認められた。
【0048】4)二次加工性 得られた発泡シートより、食品トレーを二次成形した。
100工程成形後、ダイ金型表面をガーゼで強く拭い、
ガーゼへの油状物質の付着状態で、加工性を評価した。 ○:油状物質の付着が全く認められなかった。 ×:油状物質の付着がかなり認められた。 5)成形後の樹脂中のスチレン濃度 成形した食品トレーを粉砕し、その一部をメチルエチル
ケトンに溶解し、その後メタノールにてポリマーを沈殿
させ、溶液中のスチレンモノマー量をガスクロマトグラ
フィー質量分析計にかけて定量分析した。 6)溶出有機物の有無の評価 前記製造法1〜5で得られたスチレン重合体の射出成形
で得られた1.2mm厚のシートを切断し、表面積1c
m2 当たり、2mlのn−ヘプタン溶媒を加え、25℃
で1時間浸漬、溶出した後、ガラス容器に移し、この溶
出液をガスクロマトグラフィー質量分析計にかけて、溶
出有機物の有無の評価した。評価結果を表2にまとめて
示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【実施例5】安定剤として、フェノール系安定剤である
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
を0.04部のみ用いる他は実施例1と同様に評価し
た。結果として発泡成形体の発泡特性、表面状態、耐熱
変形および二次加工性は実施例1と同様であり、成形後
の樹脂中のスチレン濃度は18ppm、溶出試験におけ
る溶出有機物は検知されなかった。
【0052】
【実施例6】および
【実施例7】安定剤として、フェノール系安定剤である
スミライザーGM、スミライザーGS(住友化学(株)
製)を各々0.04部のみ用いる他は実施例1と同様に
評価した。結果として発泡成形体の発泡特性、表面状
態、耐熱変形および二次加工性は実施例1と同様であ
り、成形後の樹脂中のスチレン濃度は20ppm未満、
溶出試験における溶出有機物は検知されなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明の発泡用スチレン重合体組成物
は、発泡シートへの成型、加工性に優れ、発泡特性、耐
熱変形性等の樹脂性能に優れると共に、有機化合物の溶
出成分が殆ど認められないとの特徴を有するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/00 C08L 25/06 C08L 25/06 B65D 1/00 A (72)発明者 川上 潔 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成株 式会社内 (72)発明者 白井 博史 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成株 式会社内 Fターム(参考) 3E033 BA22 CA08 FA04 GA03 3E086 AB01 AD05 AD21 AD22 BA16 BB37 BB84 CA01 4F074 AA32 AB01 AC17 AC26 AC32 AD12 AD19 AD21 AG03 BA31 BA32 BA33 BA53 CA22 DA02 DA23 DA34 4J002 BC031 BC051 DA008 DE018 DE137 DE237 DJ017 DJ047 EB018 EJ026 EJ046 EJ066 EL106 EL116 EU186 EW066 EW086 FD036 FD207 FD328 GG01 4J100 AB02P AS02Q AS03Q CA01 CA03 DA01 DA04 FA08 JA59

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)スチレン重合体 100重量部 (b)安定剤 0.01重量部以上、0.5重量部未満 (c)核剤 0.01重量部以上、5重量部未満 よりなる発泡用スチレン重合体組成物であって、(a)
    スチレン重合体が有機リチウム開始剤を用いたアニオン
    重合法より得られるスチレン結合単位を主成分とする重
    合体であり、その重量平均分子量が5万〜100万の範
    囲であり、含まれる分子量140〜400の範囲のスチ
    レン系低分子成分(但し、スチレン系低分子成分はスチ
    レンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とから
    なる。)が1000ppm未満であり、かつその内の非
    スチレンオリゴマー成分が500ppm未満であること
    を特徴とする発泡用スチレン重合体組成物。
  2. 【請求項2】 (a)スチレン重合体の分子量分布(M
    w/Mn)が1.5〜5.0の範囲であることを特徴と
    する請求項1記載の発泡スチレン重合体組成物。
  3. 【請求項3】 (a)スチレン重合体に含まれるスチレ
    ン単量体が500ppm未満であることを特徴とする請
    求項1または2記載の発泡スチレン重合体組成物。
  4. 【請求項4】 (a)スチレン重合体に含まれる残存炭
    化水素溶媒が1000ppm未満であることを特徴とす
    る請求項1〜3の何れかに記載の発泡スチレン重合体組
    成物。
  5. 【請求項5】 (b)安定剤の混合量が0.02重量部
    以上、0.05重量部未満であることを特徴とする請求
    項1〜4の何れかに記載の発泡用スチレン重合体組成
    物。
  6. 【請求項6】 (b)安定剤がヒンダードフェノール系
    安定剤を含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに
    記載の発泡スチレン重合体組成物。
  7. 【請求項7】 (b)安定剤がリン系安定剤を含むこと
    を特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の発泡スチレ
    ン重合体組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかに記載のスチレン
    重合体組成物を発泡成形してなる発泡シート。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のスチレン重合体組成物の
    発泡シートを再成型してなる食品包装又は食品容器。
JP2001218474A 2000-08-16 2001-07-18 発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート Pending JP2002128940A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001218474A JP2002128940A (ja) 2000-08-16 2001-07-18 発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-246878 2000-08-16
JP2000246878 2000-08-16
JP2001218474A JP2002128940A (ja) 2000-08-16 2001-07-18 発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002128940A true JP2002128940A (ja) 2002-05-09

Family

ID=26598009

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001218474A Pending JP2002128940A (ja) 2000-08-16 2001-07-18 発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002128940A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997033923A1 (fr) * 1996-03-14 1997-09-18 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Procede de preparation de polymeres vinyliques, initiateur de polymerisation de monomeres vinyliques et composition de resine styrenique
JP2000159920A (ja) * 1998-09-25 2000-06-13 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ポリスチレン系樹脂発泡シート,ポリスチレン系樹脂発泡シート容器及び発泡シート用ポリスチレン系樹脂
JP2001342275A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート
JP2002128941A (ja) * 2000-08-16 2002-05-09 Asahi Kasei Corp 押出発泡スチレンボード
JP2002128939A (ja) * 2000-08-16 2002-05-09 Asahi Kasei Corp 発泡用スチレン系重合体組成物および発泡シート

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997033923A1 (fr) * 1996-03-14 1997-09-18 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Procede de preparation de polymeres vinyliques, initiateur de polymerisation de monomeres vinyliques et composition de resine styrenique
JP2000159920A (ja) * 1998-09-25 2000-06-13 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ポリスチレン系樹脂発泡シート,ポリスチレン系樹脂発泡シート容器及び発泡シート用ポリスチレン系樹脂
JP2001342275A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート
JP2002128941A (ja) * 2000-08-16 2002-05-09 Asahi Kasei Corp 押出発泡スチレンボード
JP2002128939A (ja) * 2000-08-16 2002-05-09 Asahi Kasei Corp 発泡用スチレン系重合体組成物および発泡シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100202798B1 (ko) 취입성형법,취입성형용조성물및당해조성물의제조방법
US20060178543A1 (en) Foamed sheet containing a styrenic copolymer
JP2003026876A (ja) 芳香族ビニル重合体樹脂組成物とその成形品
JP5234724B2 (ja) スチレン系樹脂組成物及び発泡シートの製造方法
US6153308A (en) Multilayered biaxially-oriented styrene based resin sheet and method for production thereof
JP4681103B2 (ja) スチレン系樹脂およびその成形品
JP2002128939A (ja) 発泡用スチレン系重合体組成物および発泡シート
JP2002128940A (ja) 発泡用スチレン重合体組成物および発泡シート
JP2002128806A (ja) 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法
JP2005239951A (ja) 芳香族ビニル化合物系重合体の製造方法
JP2009029873A (ja) スチレン系樹脂組成物及び発泡シートの製造方法
JP5234723B2 (ja) スチレン系樹脂発泡シートの製造方法
EP0729998B1 (en) Styrenic resin sheet and molding
JP2014074080A (ja) スチレン系樹脂、押出発泡シート及びその成形品
JP2002128941A (ja) 押出発泡スチレンボード
JP2931162B2 (ja) ポリスチレン系樹脂の製造方法
JP2017122160A (ja) スチレン系樹脂、スチレン系樹脂発泡シート、及び食品容器
JP4480342B2 (ja) 発泡成形用スチレン系樹脂組成物、発泡シート及び容器
JP2001342275A (ja) 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート
JP4841060B2 (ja) ブロック共重合体及びその組成物
JP3850305B2 (ja) 芳香族モノビニル系樹脂シート及びそのシート用樹脂の製造方法
JPH09110931A (ja) 発泡性に優れたスチレン系樹脂及びその製造方法
JP7252773B2 (ja) スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品
JP7116593B2 (ja) スチレン系樹脂組成物、シート、及び成形品
JP2018002995A (ja) スチレン系樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20031204

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040219

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110215

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110809