JP2001342275A - 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート - Google Patents

低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート

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JP2001342275A
JP2001342275A JP2000161713A JP2000161713A JP2001342275A JP 2001342275 A JP2001342275 A JP 2001342275A JP 2000161713 A JP2000161713 A JP 2000161713A JP 2000161713 A JP2000161713 A JP 2000161713A JP 2001342275 A JP2001342275 A JP 2001342275A
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hiroshi Shirai
博史 白井
Kiyoshi Kawakami
潔 川上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のスチレン系樹脂発泡シートには、スチ
レンモノマーやスチレンオリゴマー等の低分子量成分が
含まれる。これらの低分子量成分は、例えば、発泡シー
ト製造時あるいは発泡シートから食品トレーや食品容器
等の二次成形時、金型や加工機器に付着したり、成形体
表面を汚す等の加工上の問題、さらには各種物性、特に
印刷性や加熱時剛性を低下させる等の問題を引き起こ
す。 【解決手段】 有機リチウム開始剤を用いたスチレンの
アニオン重合法では、特定の重合条件範囲で、未反応ス
チレンモノマーの残存およびスチレンオリゴマーの生成
を著しく低く抑えることができ、得られたスチレン系樹
脂を用いた低分子量成分の含量が1000ppm未満の
スチレン系樹脂から成る発泡シートが問題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレン系樹脂の
単層発泡シートおよびこれに各種の熱可塑性樹脂を積層
したスチレン系樹脂の積層発泡シートに関する。これら
のスチレン系樹脂発泡シートは、そのままで要求サイズ
に切断して、あるいは再成形して、各種容器、包装材
類、例えば食品トレー、食品容器、緩衝材としての中敷
き等に好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂の単層発泡シート、ある
いはこれにポリスチレン、ポリオレフィン等の熱可塑性
樹脂フィルムを積層したスチレン系樹脂の積層発泡シー
トは、一般にはPSP(ポリスチレンペーパー)と呼ば
れる。これらスチレン系樹脂発泡シートは、2次発泡成
形を施すのが容易であり、また得られた成形体が美麗か
つ軽量で、断熱性に優れ、安価であることから、各種の
食器容器等に多量に使用されている。例えば、スチレン
系樹脂発泡シートは真空成形あるいは圧縮成型等により
各種形状に再成形して、あるいはそのままで要求サイズ
に切断して、食品トレー、食品容器、緩衝材としての中
敷き等に、広く使われている。
【0003】スチレン系樹脂シート製造に用いられるス
チレン系樹脂は、一般には塊状ラジカル重合法により製
造される。塊状ラジカル重合法によるスチレン樹脂は添
加物に起因する不純物が少なく、安価であるという特長
があり、好ましく使用される。スチレン系樹脂発泡シー
トは、一般にスチレン系樹脂にタルクや炭酸カルシウム
などの造核剤および流動パラフィンなどの成形性調整剤
を押出機を用いて溶融、混合し、発泡剤を圧入した後、
フラットダイあるいはサーキュラーダイより押出し発泡
させて、発泡シート化することによって製造されてい
る。発泡剤としては、一般に工業用ブタンやジクロロジ
フルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素やハロゲン
化炭化水素、あるいは炭酸ガス、窒素ガスが使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この様にして得られる
スチレン系樹脂発泡シートには、原材料であるスチレン
系樹脂に、当初から含まれるスチレンモノマーやスチレ
ンオリゴマー等の低分子量成分、さらにはスチレン系樹
脂発泡シートへの加工時に新たに生成する低分子量成分
が含まれる。これらのスチレン系樹脂中に含まれる低分
子量成分は僅かな量であるが、成形加工性および製品性
能の点で好ましくない影響を及ぼす。
【0005】例えば、発泡シート製造時あるいは発泡シ
ートから食品トレーや食品容器等の二次成形時、金型や
加工機器に付着したり、成形体表面を汚す等の問題を起
こす場合がある。このため成型加工時の温度を低く設定
したり、樹脂混合のシェアーを低く抑える等、加工条件
をマイルドにする対策が取られるが、これらの対応は生
産性や成形性低下の原因を伴い、弊害もある。また、成
形された最終製品性能の点では、スチレン系樹脂中に低
分子量成分が多く含まれると、製品の剛性、特に加熱時
の剛性の低下を来たし好ましくない。加熱時の剛性は、
熱湯あるいは電子レンジ等での加熱の想定される食品容
器では、特に要求される性能である。
【0006】これらの課題解決には、スチレン系樹脂発
泡シート中に含まれるスチレンモノマーやスチレンオリ
ゴマー等の低分子量成分の低減が当然の帰結として考え
られる。このためには原料スチレン系樹脂中の低分子量
成分の低減、および発泡シートへの加工時に新たに生成
する低分子量成分低減が必要である。一般にこの様な用
途に用いられるスチレン系樹脂は塊状ラジカル重合法に
より製造されており、塊状ラジカル重合法の特性とし
て、一定量のスチレンモノマーの残存、オリゴマーの生
成は避けられない。また、塊状ラジカル重合法によるス
チレン系樹脂の特性として、一定量の低分子量成分が発
泡シート加工時に生成することも避けられない。
【0007】それ故、塊状ラジカル重合法のスチレン系
樹脂から低分子量成分を積極的に除去しようとする考え
方も既に公知である。例えば、スチレン系樹脂製造時、
加熱下に真空脱揮することによる低分子量成分の除去
が、既に実施されている。しかし、スチレンオリゴマー
は揮発性が小さく、また過度の加熱は新たなスチレンモ
ノマーやスチレンオリゴマー生成を引き起こす原因とも
なり、低分子量成分除去には自ずと限界があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。即ち、有機リチウム開始剤を用いたスチレンのアニ
オン重合法では、特定の重合条件範囲で、未反応スチレ
ンモノマーの残存およびスチレンオリゴマーの生成を著
しく低く抑えることができる。しかも得られたスチレン
系樹脂は加工安定性に優れ、加工時のモノマー、オリゴ
マー等の低分子量成分の生成を極めて少なくできる。こ
の様にして得られたスチレン系樹脂を用いたスチレン系
樹脂発泡シートは成形加工性に優れ、しかも各種物性、
特に加熱時剛性に優れること見出し、本発明をなすに至
った。
【0009】本発明は特許請求の範囲にも示すところで
ある。即ち本発明は、有機リチウム開始剤を用いたアニ
オン重合により得られたスチレン系樹脂を用い、樹脂発
泡シート中のスチレン系樹脂に含まれるモノマー、ダイ
マーおよびトリマーから成る低分子量成分の含量が10
00ppm未満であることを特徴とする低分子量成分の
少ないスチレン系樹脂発泡シートである。本発明のスチ
レン系樹脂発泡シート中のスチレン系樹脂におけるスチ
レン系重合体は、有機リチウム開始剤を用いたアニオン
重合法により得られる。モノマーとしてはスチレンモノ
マー単独、あるいはスチレンモノマーを主成分とし、他
のビニル芳香族炭化水素モノマー、ブタジエンやイソプ
レン等の共役ジエンモノマーから成る混合モノマーも利
用できる。
【0010】重合時の溶媒は無溶媒であっても良いが、
シクロヘキサン、エチルベンゼン、トルエン等の炭化水
素溶媒中での溶液アニオン重合法が好ましく利用でき
る。スチレン系重合体の分子量は、一般に重量平均の分
子量で100,000〜500,000、好ましくは1
50,000〜400,000、特に好ましくは20
0,000〜350,000の範囲である。重量平均分
子量が余りに低いとスチレン系樹脂発泡シートの各種の
力学的性能、例えば衝撃強度、剛性等が低下して好まし
くない。また、重量平均分子量が余りに高いと、スチレ
ン系樹脂発泡シートの成形、加工性が低下してやはり好
ましくない。
【0011】スチレン系重合体の重量平均分子量と数平
均分子量の比で示される分子量分布(Mw/Mn)は、
一般に1.2〜10、好ましくは1.5〜5、特に好ま
しくは2〜4の範囲である。分子量分布が余りに狭いと
加工性や特定の樹脂物性、例えば衝撃強度や発泡特性が
低下して好ましくない。また、余りに広い場合にも特定
の樹脂性能、例えば成形時の流動特性や熱時剛性等が低
下してやはり好ましくない。
【0012】本発明のスチレン系樹脂はスチレン系重合
体の他、スチレン系樹脂で公知の各種の添加物を含むこ
とができる。例えばスチレン系重合体の熱的あるいは機
械的安定性、酸化防止性、耐候性、耐光性を改善するた
めに公知の安定剤類を添加することができる。その例と
してフェノール系安定剤、リン系安定剤、窒素系安定
剤、イオウ系安定剤が挙げられる。その他の添加剤とし
てタルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チ
タン、シリカ等の造核材、無機フィラー、顔料、染料等
が挙げられる。
【0013】本発明のスチレン系樹脂発泡シートにおい
てスチレン系樹脂に含まれるモノマー、ダイマーおよび
トリマーから成る低分子量成分の含率は1000ppm
未満でなければならない。好ましくは500ppm未
満、さらに好ましくは200ppm未満である。低分子
量成分の含有率が高いと、本発明の目的とする効果を十
分達成出来ない。即ち、低分子量成分が多いと、スチレ
ン系発泡シートの成形加工性低下、および各種物性、特
に加熱時剛性の低下を来たし好ましくない。
【0014】本発明のスチレン系樹脂発泡シートへの加
工あるいは製造方法は特に限定しない。公知のスチレン
系樹脂発泡シートの製造方法が利用できる。例えば、ス
チレン系樹脂にタルクや炭酸カルシウムなどの造核剤お
よび流動パラフィンなどの成形性調整剤を押出機を用い
て溶融、混合し、発泡剤を圧入した後、サーキュラー・
ダイより押出し発泡させてシート化することによって製
造できる。発泡剤としては工業用ブタンやジクロロジフ
ルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素やハロゲン化
炭化水素、あるいは炭酸ガスや窒素ガスが使用できる。
【0015】本発明のスチレン系樹脂発泡シートの構造
は特に限定しない。しかし、一般にはその厚みは0.5
〜10mm、好ましくは1.0〜5mm、特に好ましく
は1.5〜3.0mmの範囲である。厚みは真空成形等
で容器等を成形する際、加熱するので二次発泡が起こり
膨らむ。従って目標とする形状により、ある程度に厚み
を調整しておく必要がある。また、その発泡倍率は一般
には2〜20倍、好ましくは5〜15倍、特に好ましく
は8〜12倍の範囲である。発泡倍率が余りに低いと、
二次成形時の目標形状、例えば深型容器等を成形する
際、発泡セルが変形に応じられず破泡してしまい成型品
が得られない場合がある。20倍を超えると成形には支
障は無いが、表面状態が著しく悪くなる。
【0016】本発明のスチレン系樹脂発泡シートにおい
ては、必要により発泡体の片面あるいは両面に、熱可塑
性樹脂フィルムを積層した構造にすることができる。こ
の熱可塑性樹脂フィルムは接着層等を含む多層フィルム
であっても構わない。また、積層は片面でも両面でも構
わない。熱可塑性樹脂フィルムの積層は外観や印刷性の
改善の他、耐表面傷つき性、剛性等の物理的性能の改良
に有用である。積層する熱可塑性樹脂フィルムに用いら
れる熱可塑性樹脂の例としては、非発泡のスチレン系樹
脂やオレフィン系樹脂等が挙げられる。非発泡のスチレ
ン系樹脂の具体例としてはポリスチレン、耐衝撃性ポリ
スチレン等が挙げられる。オレフィン系樹脂の具体例と
してはポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
耐衝撃性ポリスチレンは耐衝撃強度に優れ、かつ何らの
接着剤なしに積層が容易なため特に好ましく利用でき
る。
【0017】熱可塑性樹脂フィルムに用いる耐衝撃性ポ
リスチレンは、ゴム粒子にスチレンがグラフト重合して
いるものが島を形成し、ポリスチレンが海として存在す
るいわゆる海島構造を形成するものが、特に好ましい。
そして、耐衝撃性ポリスチレンは、テトラヒドロフラン
に溶解した時の溶解部分のゲルパーミュエーションクロ
マトグラフによる重量平均分子量が好ましくは10万〜
50万、さらに好ましくは15万〜30万の範囲、含有
されているゴム状物質が好ましくは3〜8重量%の範
囲、分散ゴム粒子の重量平均粒子径が好ましくは1.5
〜6μmの範囲である。
【0018】積層する熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、
一般に10〜1000μmの範囲である。好ましくは8
0〜200μmの範囲であり、特には好ましくは100
〜150μmの範囲である。80μmより薄いと二次成
型時の加熱でシワがよってしまったり、剥がれて膨らん
でしまう場合がある。また、200μmより厚くする
と、二次成形時の加熱に要する時間が長くなったり、加
熱ムラが発生の原因となり好ましくない。
【0019】また、スチレン系樹脂発泡シートは、通常
ロール状に巻いて保管あるいは移送される。この際、容
器がブロッキングを起こし、剥離不能になることがあ
る。スチレン系樹脂発泡シート表面にシリコーンオイル
を塗布して、ブロッキングを防止することができる。ま
た、スチレン系樹脂発泡シートを二次成形する際、金型
との摩擦を軽減し、離型性あるいは滑性を高めるために
シリコーンオイルを使うこともできる。
【0020】シリコーンオイルを塗布する場合、シリコ
ーンオイルを乳化剤を用いて水に分散させ、発泡シート
表面に塗布することもできる。しかし、シリコーンオイ
ルは少量では効果が薄く、擦れなどにより塗布したもの
が剥離し効果を失うので、ある程度以上に塗布しなけれ
ば十分な効果を発現できない。しかし、シリコーン濃度
が高すぎると、重ね合わせている他方のシートの内面に
シリコーンオイルや乳化剤が移行する場合がある。スチ
レン系樹脂発泡シートを食品容器等に用いる場合、これ
は歓迎されるものではない。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂シートに積層する熱
可塑性樹脂フィルムが耐衝撃性ポリスチレンフィルムで
ある場合、予め耐衝撃性ポリスチレンに滑性付与や耐衝
撃性、伸びを改善する目的でシリコーンオイルを添加、
混合したものを用いることもできる。これにより同様の
効果が期待できる。この場合、その含有量は好ましくは
0.01〜3重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重
量%の範囲である。シリコーンオイルの含有量がこの範
囲より少ないと、添加効果が著しく低下し、余りに多い
と発泡シートとの接着性が著しく低下して好ましくな
い。
【0022】シリコーンオイルの具体例としてポリジメ
チルシリコーンオイルを挙げることができる。ポリジメ
チルシリコーンオイルは、JIS K−2283による
23℃における粘度が10,000〜30,000セン
チストークスで、150℃、24時間の加熱減量試験が
0.3重量%以下であるものが、特に好ましく利用でき
る。
【0023】積層フィルムは押出機等によりフィルム状
に成形したものを用いる。フィルム成型時、添加された
オイルの性状が成形性を左右する。粘度が10,000
センチストークス未満であると、ブリードアウトし易
く、また揮発成分が多く含まれているため、押出し時に
目ヤニが発生し、生産性低下の原因ともなる。また、過
度にブリードアウトし難い場合、表面における有効残存
シリコン量が不足し、十分効果が発現されず、シートも
良品が取れなくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を挙げて本
発明の態様を具体的に説明する。しかし、これらは例で
あって、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない
ことは当然である。 (スチレン系樹脂の製造方法1)攪拌器を備えた容量2
リッターの完全混合型である第1反応槽と、攪拌器を備
えた容量1リッターのプラグフロー型の第2反応槽とを
直列に結合した。両反応槽は温度を80℃に制御した。
【0025】第1反応槽にはスチレンモノマーと重合溶
媒としてエチルベンゼンの50/50重量比の混合液を
1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有
機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのヘキサン
溶液を、スチレンモノマー100g当たり、0.8ミリ
モルに相当する量で同反応槽にフィードした。第1反応
槽からの流出した反応液は、引き続き第2反応槽をプラ
グフローで通過させた。第1反応槽から流出した時点で
のモノマーの重合体への転化率は平均98%、第2反応
槽の通過後の転化率は99.99%以上であった。
【0026】得られた重合体溶液はリチウム量の10倍
量のメタノールを添加することによりアニオン活性末端
を失活させた。その後、重合体溶液には重合体100g
当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧した
フラッシングタンク中240℃に加熱処理することで、
揮発成分を除去した。さらに240℃の減圧ベント付き
押出し機を通して、残余の揮発成分を除去した。このよ
うにして得られスチレン系樹脂における重合体の重量平
均分子量は24.5万、分子量分布(重量平均分子量と
数平均分子量の比Mw/Mnで示す)は2.1であっ
た。
【0027】(スチレン系樹脂の製造方法2)攪拌器を
備えた容量2リッターの反応器に、常温において1.3
5Kgのスチレンモノマーと重合溶媒として0.15K
gのエチルベンゼンを仕込む。その後、攪拌しながら徐
々に温度を上げ130℃〜140℃で6時間熱ラジカル
重合し、その後160℃で2時間重合を続けた。重合後
は実施例1と同様に処理してスチレン系重合体を得た。
このようにして得られスチレン系樹脂における重合体の
重量平均分子量は26.3万、分子量分布(重量平均分
子量と数平均分子量の比Mw/Mnで示す)は3.2で
あった。
【0028】
【実施例1】上記のスチレン系樹脂の製造方法1で得た
スチレン系樹脂100重量部に、タルク0.1重量部を
添加し、一段目押出機に導入し、約220℃で熱可塑し
た後、ブタンを約4重量%圧入し、含浸させた。次いで
二段目押出機に送り込み、発泡に適した粘度まで温調し
たものを約130℃のダイスより押し出して、スチレン
系樹脂発泡シートを作成した。シートは十分に養生させ
た後、その厚みおよび性能を測定もしくは評価した。ス
チレン系樹脂発泡シートの平均厚みは2.5mmであっ
た。スチレン系樹脂発泡シートのスチレン系樹脂におけ
るモノマー、オリゴマー(ダイマーおよびトリマー)の
低分子量成分の含有量を、ガスクロマトグラフィーによ
り分析した。分析の結果は表1に示す。
【0029】
【比較例1】スチレン系樹脂の製造方法2で得たスチレ
ン系樹脂を用いる以外は実施例1と同様に実施した。実
施例1および比較例1で得られたスチレン系樹脂発泡シ
ートの性能、およびそのスチレン系樹脂中の低分子量成
分含率等を評価あるいは測定した。結果を表1に示す。
【0030】
【実施例2】耐衝撃性ポリスチレンフィルムとして、重
量平均分子量約23万、ゴム含有量約6%、平均ゴム粒
径4μmの475D(旭化成工業(株)製)を用い、押
出機に導入し、約220℃で熱可塑したものをダイスよ
り押出し、約100μmの厚みに押出した。得られた耐
衝撃性ポリスチレンフィルムを、実施例1で得たスチレ
ン系樹脂発泡シートに加熱積層した。これにより、完全
に接着した美麗な積層構造のスチレン系樹脂発泡シート
が得られた。
【0031】
【実施例3】耐衝撃性ポリスチレンフィルムとして、4
75Dにシリコーンオイル(東芝シリコーン(株)製:
TSF451−12500)1.3重量%混合し、押出
機に導入し、約220℃で熱可塑したものをダイスより
押出し、約100μmの厚みに押出した。得られた耐衝
撃性ポリスチレンフィルムを、実施例1で得たスチレン
系樹脂発泡シートに加熱積層した。これにより、完全に
接着した積層構造のスチレン系樹脂発泡シートが得られ
た。また、表面は美麗で、滑性に富む状態を達成出来
た。
【0032】
【表1】
【0033】性能評価の基準 1)加工性 得られた発泡シートより、食品トレーを二次成形した。
100工程成形後、ダイ金型表面をガーゼで強く拭い、
ガーゼへの油状物質の付着状態で、加工性を評価した。 ○:油状物質の付着が全く認められなかった。
【0034】 ×:油状物質の付着が僅かに認められた。
【0035】2)印刷性 スチレン系樹脂発泡シートにポリスチレン用のシルクス
クリーンラッカーを塗布し、70℃で5時間乾燥、さら
に25℃で24時間放置する。その後セロハンテープを
密着させ、そのテープを引き剥がし、印刷面のインクの
剥離状態を観察することにより、印刷性を評価した。 ○:印刷面の剥離は僅かであった。 ×:印刷面の剥離が顕著に認められる。
【0036】3)加熱時剛性 スチレン系樹脂発泡シートを2cm×5cmに切り出
し、それを沸騰水に1分間浸漬した。発泡シートは軟化
し、変形した。その変形状態により発泡シートの加熱時
剛性を評価した。 ○:表面の肌荒れは目立つが、サイズの変形は小さく、
僅かな収縮が認められる程度であった。 ×:表面の肌荒れは、サイズの変形とも著しく、顕著な
収縮が認められた。
【0037】
【発明の効果】有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
合により得られたスチレン系樹脂を用い、樹脂発泡シー
ト中のスチレン系樹脂に含まれる低分子量成分の含量が
1000ppm未満のスチレン系樹脂発泡シートは、二
次成形加工性に優れ、しかも各種物性、例えば印刷性、
加熱時剛性に優れる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 4/48 C08F 4/48 // C08F 12/08 C08F 12/08 C08L 25:04 C08L 25:04 Fターム(参考) 3E086 AB01 AD05 AD06 AD21 AD22 BA02 BA04 BA15 BA16 BB41 BB84 CA01 4F074 AA32 BA32 BA33 BA35 BA55 CB53 CC22Y CC32Y CE02 CE48 CE86 CE87 CE98 DA02 DA20 DA23 DA24 DA33 DA34 4F100 AH06H AK01B AK01C AK12A AK12B AK12C AN00H BA02 BA03 BA06 BA10B BA10C CA20B CA20C CA23 DE00H DJ01A GB16 GB23 JA20A JB16B JB16C JK01 JK10B JK10C JL01 JL06 YY00A 4J015 DA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
    合により得られたスチレン系樹脂を用い、樹脂発泡シー
    ト中のスチレン系樹脂に含まれるモノマー、ダイマーお
    よびトリマーから成る低分子量成分の含量が1000p
    pm未満であることを特徴とする低分子量成分の少ない
    スチレン系樹脂発泡シート。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂の発泡倍率が2〜20倍
    の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の低分子
    量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂発泡シートの片面もしく
    は両面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することを特徴
    とする請求項1および2に記載の低分子量成分の少ない
    スチレン系樹脂発泡シート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂フィルムが、耐衝撃性ポリ
    スチレンフィルムであることを特徴とする請求項3に記
    載の低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート。
  5. 【請求項5】耐衝撃性ポリスチレンフィルムが0.01
    〜3重量%の範囲のシリコーンオイルを含有することを
    特徴とする請求項4に記載の低分子量成分の少ないスチ
    レン系樹脂発泡シート。
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