JP2002128806A - 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法 - Google Patents

低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法

Info

Publication number
JP2002128806A
JP2002128806A JP2001136262A JP2001136262A JP2002128806A JP 2002128806 A JP2002128806 A JP 2002128806A JP 2001136262 A JP2001136262 A JP 2001136262A JP 2001136262 A JP2001136262 A JP 2001136262A JP 2002128806 A JP2002128806 A JP 2002128806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
styrene
resin
molecular weight
less
contained
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001136262A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4868658B2 (ja
Inventor
Takeshi Ikematsu
武司 池松
Kiyoshi Kawakami
潔 川上
Hiroshi Shirai
博史 白井
Hironori Suezawa
寛典 末澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2001136262A priority Critical patent/JP4868658B2/ja
Publication of JP2002128806A publication Critical patent/JP2002128806A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4868658B2 publication Critical patent/JP4868658B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂の加工性、加工安定性及び力学特性を改
良し、低分子成分の含有量が少ない故に溶出又は揮発量
の極めて少ないスチレン系樹脂を高い生産効率で製造す
る方法等を提供すること。 【解決手段】 逆混合流れを有する反応槽R1の一方
から、一括で又は分割して下記組成(A)を有する原料
系を連続的に仕込み、反応槽R1のもう一方から生成系
を連続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスを含み、
反応槽R1の内温を40〜120℃の範囲に制御し、か
つ反応槽R1中に存在するスチレン系単量体、炭化水素
溶媒及びスチレン系重合体の合計量に対する該単量体の
平均割合を10重量%未満に制御して得られたスチレン
系重合体溶液を、脱揮乾燥してなる低分子成分の少ない
スチレン系樹脂の製造方法: (A) スチレン系単量体 1.0Kg 炭化水素溶媒 0.1〜3Kg 有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレンオリゴマー
等のスチレン系低分子成分、スチレン単量体及び残存炭
化水素溶媒等の含有量が少なく、加工性及び熱安定性に
優れるスチレン系樹脂を、効率的に製造する方法に関す
るものである。得られたスチレン系樹脂は成形材料、例
えば電気製品材料、雑貨材料、食品容器材料、食品包装
材料等の各種用途、特に食品容器材料及び食品包装材料
に好ましく用いることができる。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は軽量性、高い剛性、水
に対する抵抗性、電気的絶縁性に優れる等の多くの優れ
た物理的特性を有する。また、種々の形状の成型品を容
易かつ大量に生産できるとの優れた成型加工性も有す
る。これらの特長を生かして、電気製品材料、雑貨、食
品容器、包装材料等の各種用途に大量に用いられてい
る。一般に、スチレン系樹脂は反応機構的には熱ラジカ
ル重合法又は開始剤を用いてのラジカル重合法の2タイ
プにより製造される。また、製造プロセス的には塊状重
合法及び懸濁重合法の2タイプがあるが、分散剤等の不
純物が入り難いこと、コスト的に有利なことから塊状ラ
ジカル重合法が、現在主流となっている。
【0003】しかし、一般にラジカル重合法は樹脂製造
時にオリゴマーの生成を伴い、またスチレン単量体も残
り易いことはよく知られている。例えば、総説文献(En
cyclopedia of chemical technology,Kir k-Othmer,Thi
rd Edition,John Wily& Sons,21巻,817頁)によれば1
00℃以上のスチレンの熱重合ではスチレン二量体、ス
チレン三量体等のオリゴマーの副生を伴い、その量は約
1重量%程度になるとされている。また具体的なオリゴ
マー成分は主として1−フェニル−4−(1’−フェニ
ルエチル)テトラリン、1,2−ジフェニルシクロブタ
ンからなり、その他に2,4−ジフェニル−1−ブテン
と2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセンが存在する
とされている。
【0004】一般には塊状ラジカル重合プロセスにおい
ては通常80〜180℃で重合を行い、次いで含まれる
溶媒や未反応単量体を加熱揮発除去することにより、重
合体を回収している。しかし、ラジカル重合法では単量
体の重合体への転化を高度に達成することができず、こ
れを加熱脱揮した後も、一般に比較的多量の未反応スチ
レン単量体がスチレン系樹脂中に残る。このため、脱揮
工程を工夫する方策、例えば加熱脱揮後、さらに水を添
加、混合した後に再度脱揮することにより、残存するス
チレン単量体を水と共沸除去する方法等が開発されてい
るが、十分満足できるレベルは達成できていない。ま
た、副生したスチレンの二量体及び三量体等のオリゴマ
ー類は揮発し難いため、一般にその多くが重合体中に残
る。
【0005】この様にして製造されたスチレン系樹脂を
分析すると、原料から由来の残留物、不純物及び重合中
の副生成物が検出される。具体的にはスチレン、α−メ
チルスチレン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベ
ンゼン、2,4−ジフェニル−1−ブテン、1,2−ジ
フェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、2,
4,6−トリフェニル−1−ヘキセン、1,3,5−ト
リフェニルシクロヘキサン、1−フェニル−4−(1’
−フェニルエチル)テトラリン等がスチレン系樹脂中に
含まれる。
【0006】この様に、現在広く実施されているラジカ
ル重合法のスチレン系樹脂は、その製造方法に起因して
スチレン単量体及びスチレンオリゴマー等から成る低分
子成分を多く含む。更に、これらのラジカル重合法のス
チレン系樹脂は、一般に安定性に劣り、成形加工時の機
械的履歴又は熱的履歴によって、樹脂中のスチレン単量
体及びスチレンオリゴマー等の低分子成分量が増大しや
すい。成形加工時に新たに生成する低分子成分も、重合
時に生成する低分子成分と同様の問題を来す。例えば電
気製品材料、雑貨材料、食品包装材料や食品容器材料に
用いた場合、樹脂中に含まれる低分子成分が原因となっ
て種々の問題を来す。
【0007】具体的には、この様な低分子成分を多く含
むスチレン系樹脂は、一般に成形、加工時の熱安定性が
十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣る。また
成型加工時に油状物質が、金型や成形品に付着する等の
問題を来す場合がある。樹脂中に含まれる低分子成分
は、成形品の内部から表面に拡散又は滲むため、印刷が
乗り難い、又は印刷が剥離しやすいといった問題を来す
場合もある。さらには食品容器や食品包装に用いた場
合、樹脂材料中に含まれる低分子成分が溶出又は揮発す
る場合があり、その低減が望まれている。
【0008】これらのラジカル重合法に対して、有機リ
チウム等を用いたアニオン重合法によるスチレン系樹脂
の製造方法も、技術的には古くから公知である。例え
ば、米国特許第5,391,655号明細書、米国特許
第5,089,572号明細書、米国特許第4,88
3,846号明細書、米国特許第4,748,222号
明細書、米国特許第4,205,016号明細書、米国
特許第4,200,713号明細書、米国特許第4,0
16,348号明細書、米国特許第3,954,894
号明細書、米国特許第4,859、748号明細書等に
詳細な紹介がされている。
【0009】これらの米国特許技術を要約すると、アニ
オン重合法においての分散度を下げる方法(米国特許第
4,883,846号明細書)、アニオン重合法により
ポリスチレン製造するにおいて連続重合方式を用いる等
の製造装置に関連した方法(米国特許第4,016,3
48号明細書、米国特許第4,748,222号明細
書、米国特許第5,391,655号明細書)、アニオ
ン重合方式に用いる開始剤の製造方法及び適用例(米国
特許第4,205,016号明細書、米国特許第5,0
89,752号明細書)に限られている。米国特許第
4,859、748号明細書は連続攪拌槽反応器中でス
チレンのアニオン重合反応を制御する方法を開示してい
る。しかし、これらのスチレン系樹脂のアニオン重合法
技術においては、本願の目的に係るスチレン系低分子成
分に関する開示は全くなかった。
【0010】更に、近年になって、特開平10−110
074号公報は有機リチウムを開始剤とするアニオン重
合において、オリゴマーの少ない重合体が得られること
を開示している。その参考例2の記載において、有機リ
チウムを用いたスチレン単量体のバッチ重合法により、
分子量分布の狭い、単分散の重合体が得られ、酸化防止
剤を添加後に乾燥することにより、二量体含有量1pp
m、三量体含有量170ppmのスチレン重合体を得て
いる。更には、この様にして得られたアニオン重合法の
スチレン重合体が、食品包装材等に利用できることを開
示している。食品衛生誌、39巻、3号、199頁(1
998)には食品用ポリスチレン製品からスチレン二量
体、スチレン三量体が溶出することが報告されている。
【0011】国際出願PCT/JP97/00796号
はビニル重合体の製造方法、ビニル系単量体のアニオン
重合用開始剤及びスチレン系樹脂組成物に関するもので
ある。この明細書の記載において、得られたスチレン重
合体中に存在するスチレン三量体が250ppm以下の
重合体を食品包装材に使用した場合、食料品等へのマイ
グレーションは無視できる程度であることを開示してい
る。また、特開2000−143725号公報はアニオ
ン重合法によるスチレン系重合体及びその製造方法に関
するものであり、スチレン二量体含量が80ppm以
下、かつスチレン三量体含量が800ppm以下のスチ
レン系重合体及びその製造方法、食品用途への利用が開
示されている。
【0012】この様に、次の(a)〜(c)の事項は既
に公知であった。 (a)有機リチウムを用いるアニオン重合法によりスチ
レン系重合体が得られること。 (b)有機リチウムを用いたアニオン重合法により得ら
れるスチレン系重合体は、ラジカル重合法によるスチレ
ン系重合体に比較して、スチレン二量体及びスチレン三
量体の含有率が低いこと。 (c)有機リチウムを用いて得られたスチレン系重合体
を、樹脂材料として各種用途、特に食品容器材料及び食
品包装材料に利用できること。
【0013】しかし、これらのアニオン重合法により得
られるスチレン系樹脂にはいくつかの問題点もあり、ス
チレン系樹脂材料としての各種用途に、現在広く用いら
れるには至っていない。即ち、次の(d)〜(f)の問
題点が挙げられる。 (d)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン
樹脂は、塊状ラジカル重合法のスチレン樹脂に比較し
て、製造が高コストであること。 (e)生産性を高めてコスト低減を達成するため、高
温、高単量体濃度でアニオン重合を実施するとスチレン
系低分子成分、特に二量体、三量体の増大を来たして、
アニオン重合スチレン系樹脂の大きな特長の一つが失わ
れること。 (f)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン
系樹脂は一般に分子量分布が狭く、加工性に劣ること。
【0014】上記の従来技術における各問題点につい
て、次に具体的に説明する。 (d)項の製造がコスト高の大きな原因の一つに、アニ
オン重合法が生産性に劣る点が挙げられる。即ち、塊状
ラジカル重合法では単量体濃度を90重量%、もしくは
更に高濃度で重合するのに対して、アニオン重合法、特
にバッチプロセスのアニオン重合法では、通常、単量体
濃度は25重量%程度未満に限定される。これは、主に
アニオン重合法における重合熱の除熱の難しさに起因す
るものであり、低い単量体濃度での製造は生産性に劣
る。即ち、有機リチウムを用いたアニオン重合法におい
ては、120℃を超える高温では開始剤の失活が顕著に
起こる。それ故、十分に反応を完結するには、除熱によ
り重合温度を120℃以下に抑えることが必要である。
しかし、高い単量体濃度では重合速度及び重合溶液粘度
が著しく増大する。それ故、発熱量、発熱速度は増大
し、かつ除熱性は低下して、温度制御が困難になる。
【0015】このことは、実験室レベルの反応器では除
熱を効かせることで解決可能である。しかし、相対的に
伝熱面積の低下する大型のプラント反応槽では深刻な問
題点となり、高単量体濃度でのバッチ重合は極めて困難
がある。これを避けるために、単量体濃度を下げて重合
熱を重合系の温度上昇の潜熱で吸収しようとする考え方
がある。しかし、この場合も単量体濃度は自ずと制限さ
れ、バッチ重合法で温度制御するには、やはり単量体濃
度が通常25重量%程度未満に制限される。それ故アニ
オン重合法においては、低い単量体濃度であることが生
産性を低下させ、コスト高の大きな原因となる。
【0016】高濃度重合で除熱問題を根本的に解決する
方策として、特殊な除熱能力の高い反応器を用い連続重
合する方法の提案がある。例えば、米国特許第4,85
9,748号明細書においては、表面積の大きな、除熱
能力の高いチューブ状の循環型反応槽に30〜80重量
%の高濃度単量体を連続的に流し、アニオン重合する方
法が開示されている。この様な方法で高い単量体濃度の
アニオン重合を達成できるが、今一つ問題が残る。即
ち、細いチューブ中の高粘度重合体溶液の流れは無攪拌
状態となる。この様な無攪拌のチューブ型の反応槽中で
の重合は、条件によりゲル生成ひいてはチューブ型反応
槽の閉塞を来し、致命的欠点となる。
【0017】(e)項はスチレン系低分子成分、特に二
量体、三量体問題である。ラジカル重合法と異なり、一
般にアニオン重合法ではスチレンの二量体、三量体の副
生成は無いとされている。しかし、本発明者が鋭意検討
した結果、有機リチウムを用いたアニオン重合において
も、実用的な重合条件である温度、単量体濃度では二量
体、三量体の生成が少なからず起こることを解明した。
更にスチレンの二量体、三量体以外にも、アニオン重合
法に特有のスチレン系低分子成分の生成が起こることも
解明した。これは主に特定の溶媒や含まれる微量の不純
物とスチレン単量体が、有機リチウムの共存下に反応す
る等して生成し、もはやスチレンオリゴマーとは言えな
い構造を有する。即ち、アニオン重合法においても、得
られるスチレン系樹脂には分子量140〜400の範囲
のスチレン系低分子成分が、無視できない量で含まれる
との問題があることが、本発明者の検討の結果明らかと
なった。
【0018】(f)項のアニオン重合法のスチレン系樹
脂が加工性に劣る点は、主に狭い分子量分布に起因す
る。バッチ重合法又はチューブ状反応槽による連続重合
では得られる重合体の分子量分布は、一般に極めて狭い
ものとなる。例えば、前述の特開平10−110074
号公報は、その参考例2の記載において、有機リチウム
を用いたスチレン単量体のバッチ重合法により、分子量
分布の狭い(Mw/Mn=1.04)、単分散の重合体
を得ている。狭い分子量分布の重合体は成形、加工性に
劣り、通常は好ましいものではない。分子量分布拡大の
一つの方策として、重合終了後にカップリング剤を添加
して、多分散化を図る方法が公知である。即ち、予めや
や分子量の低い重合体を重合し、それをカップリングし
て分子量を部分的にジャンプさせ、多分散な形で分子量
分布を拡大する方法である。
【0019】しかし、カップリング前の低分子量重合体
の重合には、それだけ多量の有機リチウム開始剤を必要
とする。また、重合後にカップリング工程を必要とす
る。即ち、触媒使用量の増大及び製造工程の複雑化を伴
い、それぞれ製造コスト増大を来すとの問題がある。し
かも、分子量分布の十分な拡大を達成するには、3官能
以上の多官能カップリング剤の使用が必要になる。この
様な方法で多分散化された重合体は長鎖の分岐構造を持
ち、特異的な流動性を示して、シート押出し性や発泡特
性において通常好ましくなく、成形、加工性における問
題もある。
【0020】分子量分布を拡大する今一つの方策とし
て、重合開始剤の分割フィード、又はアルコール等の添
加により、開始剤を部分失活する技術も公知である。重
合開始剤の分割フィード、例えば2段分割フィードの場
合、結果的に分子量の高い重合体と分子量の低い重合体
のブレンド組成として、分子量分布を拡大できる。重合
途中での失活剤による開始剤の部分失活の場合も、同様
な効果をもたらす。しかし、この様な方法でもいくつか
の問題がある。例えば、得られる重合体は低分子成分を
多量に含む組成の樹脂となり、この様な樹脂は力学特性
や耐熱性に劣る等の問題がある。また、分子量や分子量
分布の制御が難しく、製造工程が複雑化して生産性が低
下する等の問題も有する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、樹脂の加工性、加工安定性及び力学特性を
改良し、低分子成分の含有含有量が少ない故に溶出又は
揮発量の極めて少ないスチレン系樹脂を高い生産効率で
製造する方法等を提供することにある。即ち、本発明は
有機リチウムを用いたスチレン系樹脂の製造法及び低分
子成分の少ないスチレン系樹脂においては、次の(g)
〜(j)の課題の解決を、一挙に達成しようとするもの
である。 (g)生産性の高い連続重合プロセスの達成。 (h)分子量分布の拡大によるスチレン系樹脂の加工性
改良。 (i)得られるスチレン系樹脂中に含まれるスチレン単
量体の低減。 (j)得られるスチレン系樹脂中に含まれる分子量14
0〜400の範囲のスチレン系低分子成分の低減。
【0022】
【課題を解決するための手段】課題を解決するための手
段である本発明は請求の範囲にも示すところである。即
ち本発明は第1に、逆混合流れを有する反応槽R1の一
方から、一括で又は分割して下記組成(A)を有する原
料系を連続的に仕込み、反応槽R1のもう一方から生成
系を連続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスを含
み、反応槽R1の内温を40〜120℃の範囲に制御
し、かつ反応槽R1中に存在するスチレン系単量体、炭
化水素溶媒及びスチレン系重合体の合計量に対する該単
量体の平均割合を10重量%未満に制御して得られたス
チレン系重合体溶液を、脱揮乾燥してなる低分子成分の
少ないスチレン系樹脂の製造方法である: (A) スチレン系単量体 1.0Kg 炭化水素溶媒 0.1〜3Kg 有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル。
【0023】及び本発明は第2に、下記の特徴(B)を
有する低分子成分の少ないスチレン系樹脂である: (B)スチレン系重合体の重量平均分子量が5万〜10
0万の範囲にある、スチレン系重合体の分子量分布(M
w/Mn)が1.5〜5.0の範囲にある、スチレン系
樹脂に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン
系低分子成分が1000ppm未満であって、但し、該
スチレン系低分子成分はスチレンオリゴマー成分と非ス
チレンオリゴマー成分とからなり、かつその内の非スチ
レンオリゴマー成分が500ppm未満である。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の低分子成分の少ないスチ
レン系樹脂の製造方法においては、スチレン系樹脂は有
機リチウム開始剤を用いたアニオン重合法によって製造
される。アニオン重合法のプロセスは連続重合法に限定
する。即ち、逆混合流れを有する反応槽R1の一方か
ら、一括又は分割して原料系を連続的に仕込み、反応槽
R1のもう一方から生成系を連続的に抜き出す連続重合
プロセスを含むスチレン系樹脂製造方法に限定される。
【0025】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂製造方法においては、反応槽R1単独の重合プロセ
ス、又は反応槽R1に次いで反応槽R2を1槽又はそれ
以上の反応槽を直列に結合した複合重合プロセスを用い
て重合することができる。反応槽R1は混合状態とし
て、逆混合流れを有することが必要である。逆混合流れ
とは、反応槽にフィードされた原料系の一部が、流れと
逆方向に混合することを意味する。最も好ましい逆混合
流れを有する反応槽とは、完全混合流れを有する反応槽
である。
【0026】最も好ましい複合重合プロセスは実質的に
完全混合の連続反応槽R1、次いでプラグフローの連続
反応槽R2を直列に結合した複合重合プロセスである。
逆混合流れを有する反応槽、又は完全混合の反応槽で
は、その混合性の故に効率的に高い転化率を達成し難
い。これに他の反応槽を1槽又は多槽直列に結合するこ
とは好ましい。ここで言う逆混合流れは狭い意味に限定
しない。開始剤が広い滞留時間分布をもち、これにより
重合体の分子量分布が顕著に広くなる混合状態を意味す
る。具体的には、得られる重合体の分子量分布、即ち重
量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnが1.5以
上となる混合状態を意味する。
【0027】また好ましくは、反応槽R1内の各部位に
おける溶液中の重合体の重量平均分子量が、その全反応
槽内平均の重量平均分子量の0.7〜1.3倍の分布範
囲、更に好ましくは0.8〜1.2倍、特に好ましくは
0.9〜1.1倍の分布範囲にある混合状態である。こ
の分布が狭いことは、反応槽の各部位に存在する重合体
の分子量に偏りがなく、攪拌により槽内が均一化されて
いることを意味する。逆混合流れを有する、又は完全混
合の反応槽において重合体の分子量分布を広げ、次のプ
ラグフローの反応槽で、残存する単量体を効率的に転化
することができる。分子量分布を広げることは樹脂の加
工性改良に役立ち、単量体の完全転化により、脱揮乾燥
後に樹脂中に混入する単量体及び単量体由来の低分子成
分を低減することができる。重合工程での単量体の転化
率は好ましくは99.9%以上、更に好ましくは99.
99%以上、特に好ましくは99.995%以上に制御
すべきである。
【0028】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂の製造方法においては、反応槽R1中に存在する平均
単量体濃度は10重量%未満に制御することが必要であ
る。即ち、スチレン系単量体、炭化水素溶媒及びスチレ
ン系重合体の合計量に対する該単量体の割合を10重量
%未満に制御することが必要である。好ましくは5重量
%未満、更に好ましくは3重量%未満であり、特に好ま
しくは2重量%未満である。即ち、フィードされるスチ
レン単量体濃度が25重量%以上であるにもかかわら
ず、重合場の単量体濃度は10重量%未満に制御して運
転することが必要であり、残余の15重量%以上は溶液
中に重合体として共存する。安定した連続重合プロセス
ではこの値は、常に変化しない。
【0029】これに対して、バッチ重合法では反応当初
の単量体濃度はフィード組成に当然一致し、経時的に低
減する。また、逆混合流れの無いプラグフロータイプ反
応槽での連続重合法では、フィード部位では単量体濃度
はフィード組成に一致し、抜き出し部へ移動するに従っ
て低減することになる。即ち、重合場の実質的な単量体
濃度はフィード組成に近い。本発明の低分子成分の少な
いスチレン系樹脂の製造方法においては、反応槽R1に
存在する単量体濃度は混合状態にも依存するが、基本的
には原料系のフィード速度及びフィード組成と、反応槽
中の重合速度で決まる。完全混合流れの反応槽に存在す
る単量体濃度を下げるには、例えば重合速度に見合って
単量体フィード速度を抑制することで達成できる。
【0030】アニオン重合の重合速度は単量体濃度の1
乗に比例するために、単量体濃度の2乗又は3乗に比例
する副反応は、重合場の実質的な単量体濃度を低くする
ことにより、極めて低いレベルに抑えることができる。
スチレン二量体及びスチレン三量体等のオリゴマーの生
成速度は単量体濃度の多乗数に比例するためか、単量体
濃度を抑えることによって、顕著に低減できる。本発明
の低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法におい
ては、重合開始剤として有機リチウム化合物が用いられ
る。有機リチウム化合物とは炭素−リチウム結合を有す
る、いわゆるリチウムの有機金属化合物である。より具
体的にはアルキルリチウム、アルキル置換フェニルリチ
ウム化合物等が挙げられる。アルキルリチウムの好まし
い例としてエチルリチウム、n−プロピルリチウム、n
−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert
−ブチルリチウム、ベンジルリチウム等が挙げられる。
【0031】有機リチウム開始剤の使用量は得ようとす
る重合体の分子量に依存する。即ち、重合体の分子量は
単量体量と有機リチウム開始剤の組成比で基本的には決
まる。単量体1Kg当たりの有機リチウム使用量は0.
5〜200ミリモルの範囲である。好ましくは1〜10
0ミリモル、特に好ましくは2〜20ミリモルの範囲で
ある。有機リチウム量をこの範囲より減らすと重合速度
の低下を来したり、得られる重合体の分子量が著しく大
きくなる等、好ましくない。また、有機リチウム量をこ
の上限を超えて増やすことは製造コストを増大させ、得
られる重合体の分子量を極端に低下させる等、やはり好
ましくない。
【0032】有機リチウムを重合開始剤とする重合で
は、基本的に開始剤1分子で重合体1分子が生成するた
め、有機リチウムの使用量は目的とする重合体の分子量
に依存する。しかしながら、活性水素を有する炭化水素
を適切量添加することによって、活性点が移行を起こ
し、開始剤効率が一定量上がることも公知である。この
様な目的に利用できる活性水素を有する炭化水素とは、
例えばフェニル基又はアリル基に対するα位の炭素原子
に水素原子が結合した炭化水素化合物である。好ましい
具体例としてトルエン、エチルベンゼン、キシレン、テ
トラリン、プロピレン等を挙げることができる。
【0033】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂の製造方法において、使用される単量体の主成分はス
チレンである。しかし、スチレン以外に共重合可能な他
の単量体を少量含んでいても構わない。この例としてス
チレン以外のビニル芳香族炭化水素類、共役ジエン類、
メタアクリル酸エステル類等が挙げられる。これらの共
重合単量体の使用は樹脂の耐熱性、軟化温度、耐衝撃強
度、剛性、加工性等を調整するのに有用である場合があ
る。本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造
方法は溶媒を含まない塊状重合であってもよい。しか
し、一般には粘度を下げて攪拌や除熱を容易にするた
め、溶液での重合が好ましい。
【0034】基本的に、重合時に利用できる溶媒は有機
リチウム開始剤に対して不活性で、単量体及び生成重合
体を溶解できる炭化水素溶媒であって、重合時に液状を
保ち、重合後の脱溶媒工程で揮発除去が容易な溶媒が挙
げられる。例えばC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒及び
C6〜C9の芳香族系溶媒が挙げられる。特にC5〜C
9の脂環式炭化水素溶媒が好ましく利用できる。具体的
にはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシ
クロペンタン、シクロヘキセン及びこれらの混合物等が
挙げられる。
【0035】C6〜C9の芳香族系溶媒の具体例として
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、テト
ラリン等が挙げられる。前述のことであるが、ベンゼン
を除くこれらの芳香族系溶媒はフェニル基に対してα位
の炭素原子に水素原子が結合した炭化水素化合物であ
り、活性水素を有する。この様な活性水素を有する炭化
水素溶媒を多量に用いると、重合時に活性点は移行を繰
り返し、非スチレンオリゴマー成分の増大を来たし、本
発明の目的にとって好ましくない。これらの溶媒に、環
状構造を有さない脂肪族炭化水素を一部含んでいても構
わない。また、エーテル化合物や第3アミン化合物の混
合は、有機リチウムの単量体に対する重合活性を改善で
きる。
【0036】重合溶媒の使用量は、単量体1Kg当たり
0.1〜3Kgの範囲である。好ましくは0.5〜2.
0Kg、特に好ましくは0.67〜1.5Kgの範囲で
ある。重合溶媒の使用量が少ないと除熱や攪拌が難しく
なり、重合溶媒使用量が多いと、重合後に除去すべき溶
媒量が多くなり、熱的エネルギー使用量が増大して好ま
しくない。重合温度は40〜120℃の範囲である。好
ましくは60〜110℃、特に好ましくは70〜90℃
の範囲である。重合温度が極度に低いと反応速度が低下
して実用性がない。また、重合温度が極度に高いと、ス
チレン系低分子成分の生成量が増大し、また開始剤の分
解、失活により反応速度が低下してやはり好ましくな
い。更には110℃より高い温度では樹脂が着色する場
合があり、用途によってはやはり好ましくない。
【0037】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂の製造方法においては、原料系の単量体濃度にもよる
が、一般に重合時の溶液粘度は著しく高い。このため、
通常の反応槽に付随するジャケットのみによる重合熱の
除熱には、やはり困難を伴う場合が多い。設備の除熱能
力を高める方法としては公知の方法が利用できる。例え
ば、反応槽中に除熱コイルを張り巡らしたり、反応槽ジ
ャケットとは別に外部循環ジャケットを設けたり、又は
リフラックスコンデンサーを設ける等の方法が好ましく
利用できる。反応槽内の圧力は系を液相に保つにたる十
分な圧力が必要である。また、反応熱除去のためリフラ
ックスコンデンサーを利用する場合、必要により減圧も
利用できる。
【0038】重合後は重合体末端には基本的に炭素−リ
チウム結合が残る。これをこのまま残すと、仕上げ段階
等で空気酸化又は熱分解等を受け、得られるスチレン系
樹脂の安定性低下や着色の原因となる。重合後は、重合
体の活性末端、即ち炭素−リチウム結合を安定化させる
ことが好ましい。例えば水、アルコール、フェノール、
カルボン酸等の酸素−水素結合を有する化合物の添加が
好ましく、エポキシ化合物、エステル化合物、ケトン化
合物、カルボン酸無水物、炭素−ハロゲン結合を有する
化合物等も同様な効果を期待できる。これらの添加物の
使用量は炭素−リチウム結合に対して1〜10倍当量程
度が好ましい。余りに多いとコスト的に不利なだけでな
く、残存する添加物の混入が障害になる場合も多い。
【0039】炭素−リチウム結合を利用して多官能化合
物でカップリング反応させ、重合体分子量を増大、更に
は重合体鎖を分岐構造化させることもできる。この様な
カップリング反応に用いるカップリング剤は公知のもの
から選ぶことができる。カップリング剤としてはポリハ
ロゲン化合物、ポリエポキシ化合物、モノ又はポリカル
ボン酸エステル、ポリケトン化合物、モノ又はポリカル
ボン酸無水物、珪素又はスズのアルコキシ化合物等を挙
げることができる。具体例としてはシリコンテトラクロ
リド、ジ(トリクロルシリル)エタン、1,3,5−ト
リブロモベンゼン、エポキシ化大豆油、テトラグリシジ
ル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、シュウ酸
ジメチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、
ピロメリット酸二無水物、ジエチルカーボネート等が挙
げられる。
【0040】また、有機リチウム由来のアルカリ成分、
例えば酸化リチウムや水酸化リチウムを酸性化合物の添
加によって中和安定化させることもできる。この様な酸
性化合物の例として炭酸ガス、ホウ酸、各種カルボン酸
化合物等が挙げられる。これらの添加により、特に得ら
れるスチレン系樹脂の吸水白濁や着色を改善できる場合
がある。本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹脂に
含まれるスチレン系重合体の分子量は、一般に重量平均
分子量で50,000〜1,000,000、好ましく
は100,000〜600,000、特に好ましくは2
00,000〜400,000の範囲である。重量平均
分子量が余りに低いと樹脂の各種の力学的性能、例えば
衝撃強度、熱時剛性等が低下して好ましくない。また、
重量平均分子量が余りに高いと樹脂の成形、加工性が低
下してやはり好ましくない。
【0041】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂に含まれるスチレン系重合体の重量平均分子量と数平
均分子量の比で示される分子量分布(Mw/Mn)は、
1.5〜5.0の範囲、好ましくは2〜4の範囲であ
る。分子量分布が余りに狭いと加工性や特定の樹脂性
能、例えば衝撃強度や発泡特性が低下して好ましくな
い。また、余りに広い場合にも特定の樹脂性能、例えば
成形時の流動特性や熱時剛性等が低下してやはり好まし
くない。本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹脂
は、その熱的又は機械的安定性、酸化防止性、耐候性、
耐光性を改善するために、スチレン樹脂に対して使用が
公知の各種安定剤類を添加することができる。その例と
してフェノール系安定剤、リン系安定剤、窒素系安定
剤、イオウ系安定剤が挙げられる。
【0042】特開平7−292188号公報によればポ
リスチレンの安定化方法として、2,4,6−三置換フ
ェノールの添加が特に有利であることが開示されてい
る。2,4,6−三置換フェノールの好ましい例として
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリ
エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−
5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n
−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6
−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベン
ジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2[1−
(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェニ
ル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレー
ト、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、3,9ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,
1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキ
ザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−
s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−ト
リオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)等が挙げられる。
【0043】これらの安定剤は樹脂回収後に混合するこ
ともできる。しかし、混合が容易である点、及び溶媒回
収工程での樹脂の劣化を抑えることができる点で、重合
後に溶液段階での添加が特に好ましい。重合終了後、未
反応単量体や溶媒は重合体溶液から揮発除去、回収され
る。揮発除去には公知の方法が利用できる。揮発除去装
置としては、例えば真空タンクにフラッシュさせる方法
及び押出機を用いてのベント口からの揮発除去等の方法
が好ましく利用できる。溶媒の揮発性にもよるが、一般
には温度を150〜300℃、好ましくは180〜26
0℃、真空度は好ましくは0〜常圧、さらに好ましくは
100Pa〜50KPa にて、溶媒や残存単量体等の揮
発性成分を揮発除去する。複数の揮発除去装置を直列に
接続し、並べる方法は高度な脱揮に効果的である。ま
た、1段目と2段目の間に水を添加して2段目の揮発能
力を高める方法も、好ましく利用できる。
【0044】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系
低分子成分は1000ppm未満であって、かつその内
の非スチレンオリゴマー成分が500ppm未満でなけ
ればならない。スチレン系低分子成分は好ましくは60
0ppm未満、更に好ましくは400ppm未満、特に
好ましくは200ppm未満である。またその内の非ス
チレンオリゴマー成分は好ましくは300ppm未満、
更に好ましくは200ppm未満、特に好ましくは10
0ppm未満である。本発明の低分子成分の少ないスチ
レン系樹脂に含まれる分子量140〜400の範囲のス
チレン系低分子成分は、スチレンオリゴマー成分と非ス
チレンオリゴマー成分とからなる。具体的には、ここで
言うスチレンオリゴマー成分とはスチレンの二量体及び
三量体である。非スチレンオリゴマー成分とはこれらの
スチレンオリゴマーを除く、フェニル基を1〜3個有す
る分子量140〜400の範囲の低分子成分である。
【0045】スチレンの二量体は分子量が208であっ
て、2,4−ジフェニル−1−ブテン、シス−1,2−
ジフェニルシクロブタン、トランス−1,2−ジフェニ
ルシクロブタン等が挙げられる。スチレンの三量体は分
子量312であって、2,4,6−トリフェニルー1−
ヘキセン、1−フェニル−4−(1’−フェニルエチ
ル)テトラリン(4種類の異性体を含む)、1,3,5
−トリフェニル−シクロヘキサン等が挙げられる。非ス
チレンオリゴマー成分は、分子中に芳香環を1〜3個有
する炭化水素化合物である。具体的には、芳香環を2個
有する炭化水素化合物として1,3−ジフェニルプロパ
ン、1,3−ジフェニルブタン、2,4−ジフェニルペ
ンタン、芳香環を3個有する炭化水素化合物として1,
3,5−トリフェニルペンタン、1,3,5−トリフェ
ニルヘキサン、1,2,4−トリフェニルシクロペンタ
ン等が挙げられる。
【0046】これらの非スチレンオリゴマー成分は、主
に特定の溶媒や含まれる不純物とスチレン単量体が、有
機リチウムの共存下に反応する等して生成し、もはやス
チレンオリゴマーとは言えない構造を有する。例えば、
含まれるトルエンにスチレンが1分子又は2分子付加し
て、1,3−ジフェニルプロパンや1,3,5−トリフ
ェニルペンタンが生成する。また、エチルベンゼンにス
チレンが1分子又は2分子付加して、1,3−ジフェニ
ルブタン、1,3,5−トリフェニルヘキサンが生成す
る。その他にも、そのスチレン樹脂が分解して生成する
等、生成機構は必ずしも明らかではないが、1,2,4
−トリフェニルシクロペンタン、2,4−ジフェニルペ
ンタン、1,2−ジフェニルシクロプロパン等も加熱脱
揮後のスチレン系樹脂中に認められる。
【0047】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂に含まれるスチレン単量体は500ppm未満である
ことが好ましい。更に好ましくは200ppm未満、特
に好ましくは100ppm未満、最も好ましくは20p
pm未満である。本発明の低分子成分の少ないスチレン
系樹脂に含まれる残存炭化水素溶媒は1000ppm未
満であることが好ましい。更に好ましくは300ppm
未満、特に好ましくは100ppm未満である。
【0048】これらの低分子成分、即ちスチレン単量
体、スチレン系低分子成分及び残存炭化水素溶媒の含有
量が多いと、スチレン系樹脂の成形、加工時の熱安定性
が十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣る。樹
脂中に含まれる低分子成分は、成形品の内部から表面に
拡散又は滲むため、印刷が乗り難い、又は印刷が剥離し
やすい。さらには樹脂中に含まれる低分子成分が溶出又
は揮発する等の問題を来す場合がある。特にスチレン系
低分子成分が多いと、成型加工時に油状物質が、金型や
成形品に付着する等の問題を来す場合がある。スチレン
単量体が20ppm未満、分子量140〜400の範囲
のスチレン系低分子成分が200ppm以下かつ非スチ
レンオリゴマー成分が100ppm以下では、拡散又は
溶出が殆ど認められず、特に好ましい。
【0049】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂の製造方法においては、溶媒等の揮発成分を脱揮除去
されたスチレン系樹脂は公知の方法でペレット状に仕上
げることができる。本発明の低分子成分の少ないスチレ
ン系樹脂は、必要によりスチレン系樹脂材料において使
用が公知の樹脂添加剤を混合することができる。その例
として染料、顔料、充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯
電防止剤等が挙げられる。また、本発明の低分子成分の
少ないスチレン系樹脂は、必要によりその特長が失われ
ない範囲で、他の公知の樹脂を混合して含むことができ
る。その好ましい例としてラジカル重合により得られる
ポリスチレンやハイインパクトポリスチレン、ポリフェ
ニレンエーテル、ABS、スチレン−共役ジエンブロッ
ク共重合体及びその水素添加物が挙げられる。
【0050】本発明の低分子成分の少ないスチレン系樹
脂は、公知の樹脂成形方法により成形することができ
る。具体的な樹脂成形方法としては射出成形、圧縮成
型、押出し成形、中空成形、真空成形等が挙げられる。
また、各種発泡成形技術と組み合わせて、発泡成型体を
成型することもできる。本発明の低分子成分の少ないス
チレン系樹脂は、例えば電気製品材料、雑貨材料、玩具
材料、住宅の発泡断熱材、食品容器材料、食品包装材料
等のスチレン系樹脂の使用が公知の各種用途に好ましく
用いることができる。スチレン単量体、スチレン系低分
子成分の含有量が極めて少ないことを生かして、食品と
直接接触するような食品容器、食品包装用途に特に好ま
しく使用できる。食品容器、包装の具体例としては、例
えば射出成形、射出中空成形又はシート状に二軸延伸加
工する等して得られる乳酸飲料容器、プリン容器、ゼリ
ー容器、醤油さし等の食品容器、発泡成形して得られる
食品トレー、インスタント麺のどんぶり、弁当箱、飲料
カップ等の食品容器、又はシート加工して得られる青果
物包装、水産物包装等の食品包装が挙げられる。
【0051】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げて本発明の態様
を具体的に説明する。しかし、これらは例であって、本
発明の技術的範囲を何ら限定するものではないことは当
然である。 実施例1 攪拌器を備えた容量2リッターの逆混合流れを有する完
全混合型である反応槽R1と、攪拌器を備えた容量1リ
ッターのプラグフロー型の反応槽R2とを直列に結合し
た。両反応槽は温度を80℃に制御した。反応槽R1に
はスチレン単量体と重合溶媒としてシクロヘキサンの5
0/50重量比の混合液を1.78Kg/時の流量でフ
ィードした。また、別途有機リチウム開始剤としてn−
ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、スチレン単量
体1Kg当たり、8ミリモルに相当する量で同反応槽に
フィードした。
【0052】反応槽R1からの流出した反応液は、引き
続き反応槽R2をプラグフローで通過させた。反応槽R
1から流出した時点での単量体の樹脂への転化率は平均
98%、反応槽R2の通過後の転化率は99.99%以
上であった。また、連続重合反応が定常化した状態で、
反応槽R1の内部状態を測定した。即ち、反応槽R1の
上流から下流に等間隔で配置したサンプリング用抜き出
し口L1〜L5から溶液を少量抜き出し、スチレン単量
体、重合溶媒(シクロヘキサン)及びスチレン重合体の
合計量に対するスチレン単量体の濃度(重量%)、スチ
レン重合体の重量平均分子量を解析した。重合状態を表
1及び表2に示す。
【0053】得られた重合体溶液はリチウム量の3倍量
のメタノールを添加することによりアニオン活性末端を
失活させた。その後、重合体溶液は減圧したフラッシン
グタンク中240℃に加熱処理することで、揮発成分を
除去した。更に水を重合体に対して0.5重量%添加、
混合した後、250℃の減圧ベント付き押出し機を通し
て、残余の揮発成分を除去した。このようにして得られ
たスチレン系樹脂の重合体の分子量分布(重量平均分子
量と数平均分子量の比Mw/Mnで示す)、スチレン単
量体、スチレン系低分子成分及び残存炭化水素溶媒(シ
クロヘキサン)の含有量を、ガスクロマトグラフィーに
より分析した。分析の結果は表3(スチレン単量体は単
量体と略記)に示す。
【0054】実施例2 スチレン単量体と重合溶媒としてシクロヘキサンを用
い、その組成を60/40重量比、両反応槽の温度を1
00℃とする以外は実施例1と同様に操作を実施した。
反応槽R1内の平均単量体濃度は0.4重量%、L1〜
L5における重量平均分子量の比変位は0.95〜1.
02の範囲であった。 実施例3 重合溶媒にエチルベンゼンを用いる以外は実施例1と同
様に操作を実施した。反応槽R1内の平均単量体濃度は
0.6重量%、重量平均分子量の比変位は0.96〜
1.02範囲であった。
【0055】実施例4 プラグフローの反応槽R2を除いて、反応槽R1のみを
用いる以外は実施例1と同様に操作を実施した。反応槽
R1内の平均単量体濃度は0.8重量%、重量平均分子
量の比変位は0.94〜1.02の範囲であった。 実施例5 リフラックスコンデンサー及び攪拌器を備えた実容量2
リッターの完全混合型である反応槽R1と、攪拌器を備
えた容量1リッターのプラグフロー型の反応槽R2とを
直列に結合した。
【0056】反応槽R1にはスチレン単量体と重合溶媒
としてシクロヘキサン(3wt%のn−ヘキサンを含
む)の50/50重量比の混合液を1.78Kg/時の
流量でフィードした。また、別途有機リチウム開始剤と
してn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、スチ
レン単量体1Kg当たり、8ミリモルに相当する量で同
反応槽にフィードした。反応槽R1の圧力は常圧とし、
重合時の発熱はリフラックスコンデンサーにシクロヘキ
サンをリフラックスしながら除熱した。反応液の温度は
81℃でほぼ安定した。反応槽R2は温度を80℃に制
御した。反応槽R1内の平均単量体濃度は1.0重量
%、重量平均分子量の比変位は0.95〜1.02の範
囲であった。
【0057】比較例1 重合溶媒にエチルベンゼンを用い、両反応槽の温度を1
22℃とする以外は実施例1と同様に操作を実施した。
反応槽R1内の平均単量体濃度は1.5重量%、L1〜
L5における重量平均分子量の比変位は0.91〜1.
03の範囲であった。 比較例2 実施例1の攪拌速度を落とし、攪拌羽根形状を変えて、
反応槽R1の流れをプラグフローの状態に設定し、他の
条件は実施例1と同様にして操作を実施した。反応槽R
1内の平均単量体濃度は11.6重量%、重量平均分子
量の比変位は0.67〜1.00の範囲であった。
【0058】比較例3 攪拌器を備えた容量2リッターの反応器に、常温におい
て0.75Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.
75Kgのエチルベンゼン、有機リチウム開始剤として
n−ブチルリチウム0.57ミリモルを仕込む。その
後、攪拌しながら徐々に温度を上げたところ、50℃程
度から内部発熱により昇温し、最終温度は133℃に到
達した。その後、徐々に温度を下げて100℃にし、合
計1.5時間反応を続けた。重合後の処理は実施例1と
同様の条件で実施した。バッチ重合のため反応の定常状
態はないが、反応槽内の単量体濃度分布、重量平均分子
量の変位はなく、均一なものと推定できる。 比較例4 攪拌器を備えた容量2リッターの反応器に、常温におい
て1.35Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.
15Kgのエチルベンゼンを仕込む。その後、攪拌しな
がら徐々に温度を上げ130℃〜140℃で6時間熱ラ
ジカル重合し、その後160℃で2時間重合を続けた。
重合後の処理は実施例1と同様の条件で実施した。
【0059】1)成形性評価 以上で得られたスチレン系樹脂を用いて1.2mm厚の
シートを樹脂温度240℃、金型温度50℃で射出成形
した。また、成形性は成形シートのフローマークの状態
で評価した。評価基準を以下に示す。 ○:フローマークが全く認められない。 △:フローマークが僅かに認められる。 ×:フローマークが顕著に認められる。 2)金型汚染性評価 上記シート成型を500ショット実施後、金型表面をガ
ーゼで強く拭い、ガーゼへの油状物質の付着状況で評価
した。評価基準を以下に示す。 ○:油状物質の付着が全く認められない。 ×:油状物質の付着が僅かに認められる。
【0060】3)発泡特性 上記のスチレン系樹脂を用いて、スチレン系樹脂100
重量部にタルク0.1重量部を添加し、一段目押出機に
導入し、約220℃で熱可塑化した後、ブタンを約4重
量%圧入し、含浸させた。次いで、二段目押出機に送り
込み、発泡に適した粘度に温調したものを約130℃の
ダイスより押出して、スチレン系樹脂発泡シートを作成
した。シートは十分に養生させた後、その厚み及び性能
を測定もしくは評価した。スチレン系樹脂発泡シートの
平均厚みは約2.5mmであった。評価基準を以下に示
す。 ○:気泡のサイズが均一で独立 △:気泡のサイズがやや不均一で、一部連続した気泡が
存在する。 ×:気泡のサイズが不均一で、一部連続した気泡がやや
多く存在する。
【0061】4)溶出量の測定 前記の射出成形で得られた1.2mm厚のシートを切断
し、表面積1cm2 当たり、2mlのn−ヘプタン溶媒
を加え、25℃で1時間浸漬、溶出した後、ガラス容器
に移し、この溶液を溶出液として分析、評価した。 (1)スチレン単量体及び炭化水素溶媒の分析方法 上記溶出液をガスクロマトグラフィー質量分析計にかけ
て定量分析した。 (2)スチレン系低分子成分の分析方法 上記溶出液50mlを濃縮後、ヘキサンを用いて2ml
に定容し、ガスクロマトグラフィー質量分析計にかけて
定量分析した。評価結果を表3にまとめて示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】表1から明らかな様に、実施例1〜5は仕
込み単量体濃度が25重量%を超えるにもかかわらず、
逆混合流れを有する反応槽R1内に存在する平均スチレ
ン単量体濃度を5重量%未満に抑えている。また、該反
応槽内の各部位における溶液中の重合体の重量平均分子
量が、その該反応槽内平均の重量平均分子量の0.7〜
1.3倍の分布範囲にあり、実質的に完全混合流れで均
一性に優れる重合状態に制御している。これにより表3
から明らかな様に、上記運転状態に制御することによっ
て、得られるスチレン樹脂中のスチレン系低分子成分の
含有量が1000ppm以下を達成している。また、該
樹脂は成形性、金型汚染性、発泡特性で示される加工性
及び樹脂性能のバランスに極めて優れるものとなってい
る。
【0066】
【発明の効果】本発明の低分子成分の少ないスチレン系
樹脂の製造法及び低分子成分の少ないスチレン系樹脂
は、樹脂中の単量体及びスチレン系低分子成分の含有量
を減らし、かつ樹脂の力学特性及び加工安定性が優れる
スチレン系樹脂及びその製造方法を提供するものであ
る。即ち、次の(g)〜(j)の効果を一挙に達成する
ものである。 (g)生産性の高い連続重合プロセスの達成。 (h)分子量分布の拡大によるスチレン系樹脂の加工性
改良。 (i)含まれるスチレン単量体の低減。 (j)含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン
系低分子成分の低減。 本発明の低分子量成分の少ないスチレン系樹脂は樹脂の
力学特性及び加工安定性に優れる。また熱安定性が向上
し、例えば成形時に油状物質による金型汚染を顕著に改
善する等、成形、加工性、特に発泡特性を改善できる。
樹脂材からの揮発、溶出成分量を顕著に低減できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白井 博史 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成株 式会社内 (72)発明者 末澤 寛典 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成株 式会社内 Fターム(参考) 4J011 AA05 AB08 BA00 BA01 BB01 BB04 DA04 DB13 DB23 4J100 AB02P CA01 DA01 DA04 FA08 FA12 FA19 FA28 FA30 FA37 GB00 GB12 GB18 GC26 GC37

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 逆混合流れを有する反応槽R1の一方か
    ら、一括で又は分割して下記組成(A)を有する原料系
    を連続的に仕込み、反応槽R1のもう一方から生成系を
    連続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスを含み、反
    応槽R1の内温を40〜120℃の範囲に制御し、かつ
    反応槽R1中に存在するスチレン系単量体、炭化水素溶
    媒及びスチレン系重合体の合計量に対する該単量体の平
    均割合を10重量%未満に制御して得られたスチレン系
    重合体溶液を、脱揮乾燥してなる低分子成分の少ないス
    チレン系樹脂の製造方法: (A) スチレン系単量体 1.0Kg 炭化水素溶媒 0.1〜3Kg 有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル。
  2. 【請求項2】 原料系の組成を下記組成(A)’とする
    請求項1記載の方法: (A)’ スチレン系単量体 1.0Kg 炭化水素溶媒 0.5〜2Kg 有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル。
  3. 【請求項3】 得られた低分子成分の少ないスチレン系
    樹脂が下記の特徴(B)を有する請求項1記載の方法: (B)スチレン系樹脂に含まれるスチレン系重合体の重
    量平均分子量が5万〜100万の範囲にある、該スチレ
    ン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.
    0の範囲にある、スチレン系樹脂に含まれる分子量14
    0〜400の範囲のスチレン系低分子成分が1000p
    pm未満であって、但し、該スチレン系低分子成分はス
    チレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とか
    らなり、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が50
    0ppm未満である。
  4. 【請求項4】 得られた低分子成分の少ないスチレン系
    樹脂が下記の特徴(B)’を有する請求項1記載の方
    法: (B)’スチレン系樹脂に含まれるスチレン系重合体の
    重量平均分子量が10万〜60万の範囲にある、該スチ
    レン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜
    4.0の範囲にある、スチレン系樹脂に含まれる分子量
    140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が600
    ppm未満であって、但し、該スチレン系低分子成分は
    スチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分と
    からなり、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が3
    00ppm未満である。
  5. 【請求項5】 得られた低分子成分の少ないスチレン系
    樹脂が下記の特徴(B)を有する請求項2記載の方法: (B)スチレン系樹脂に含まれるスチレン系重合体の重
    量平均分子量が5万〜100万の範囲にある、該スチレ
    ン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.
    0の範囲にある、スチレン系樹脂に含まれる分子量14
    0〜400の範囲のスチレン系低分子成分が1000p
    pm未満であって、但し、該スチレン系低分子成分はス
    チレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とか
    らなり、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が50
    0ppm未満である。
  6. 【請求項6】 得られた低分子成分の少ないスチレン系
    樹脂が下記の特徴(B)’を有する請求項2記載の方
    法: (B)’スチレン系樹脂に含まれるスチレン系重合体の
    重量平均分子量が10万〜60万の範囲にある、該スチ
    レン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜
    4.0の範囲にある、スチレン系樹脂に含まれる分子量
    140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が600
    pmm未満であって、但し、該スチレン系低分子成分は
    スチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分と
    からなり、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が3
    00ppm未満である。
  7. 【請求項7】 反応槽R1中に存在するスチレン系単量
    体、炭化水素溶媒及びスチレン系重合体の合計量に対す
    る該単量体の平均割合を5重量%未満に制御する請求項
    1ないし6のいずれか一項記載の方法。
  8. 【請求項8】 炭化水素溶媒が炭素数5〜8の脂環式化
    合物である請求項1ないし7のいずれか一項記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 反応槽R1の内温を60〜110℃の範
    囲に制御する請求項1ないし8のいずれか一項記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 反応槽R1の内温を70〜90℃の範
    囲に制御する請求項1ないし8のいずれか一項記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 反応槽R1に次いで、反応槽R2を1
    槽又はそれ以上の反応槽を直列に結合して用いる複合重
    合プロセスで重合を行う請求項1ないし10のいずれか
    一項記載の方法。
  12. 【請求項12】 反応槽R1内の各部位における溶液中
    の重合体の重量平均分子量が、その全反応槽内平均の重
    量平均分子量の0.7〜1.3倍の範囲にあり、反応槽
    R1が実質的に完全混合流れを有し、均一性に優れる請
    求項1ないし11のいずれか一項記載の方法。
  13. 【請求項13】 反応槽R1が付帯設備としてリフラッ
    クスコンデンサーを有し、これを用いて重合熱を除熱す
    る請求項1ないし12のいずれか一項記載の方法。
  14. 【請求項14】 下記の特徴(B)を有する低分子成分
    の少ないスチレン系樹脂: (B)スチレン系樹脂に含まれるスチレン系重合体の重
    量平均分子量が5万〜100万の範囲にある、該スチレ
    ン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜5.
    0の範囲にある、スチレン系樹脂に含まれる分子量14
    0〜400の範囲のスチレン系低分子成分が1000p
    pm未満であって、但し、該スチレン系低分子成分はス
    チレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とか
    らなり、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が50
    0ppm未満である。
  15. 【請求項15】 下記の特徴(B)’を有する低分子成
    分の少ないスチレン系樹脂: (B)’スチレン系樹脂に含まれるスチレン系重合体の
    重量平均分子量が10万〜60万の範囲にある、該スチ
    レン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が2.0〜
    4.0の範囲にある、スチレン系樹脂に含まれる分子量
    140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が600
    ppm未満であって、但し、該スチレン系低分子成分は
    スチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分と
    からなり、かつその内の非スチレンオリゴマー成分が3
    00ppm未満である。
  16. 【請求項16】 スチレン系樹脂に含まれる分子量14
    0〜400の範囲のスチレン系低分子成分が400pp
    m未満であって、かつその内の非スチレンオリゴマー成
    分が20ppm未満である請求項14又は15記載のス
    チレン系樹脂。
  17. 【請求項17】 スチレン系樹脂に含まれる分子量14
    0〜400の範囲のスチレン系低分子成分が200pp
    m未満であって、かつその内の非スチレンオリゴマー成
    分が100ppm未満である請求項14又は15記載の
    スチレン系樹脂。
  18. 【請求項18】 該樹脂に含まれるスチレン系単量体が
    500ppm未満である請求項14ないし17のいずれ
    か一項記載のスチレン系樹脂。
  19. 【請求項19】 該樹脂に含まれるスチレン系単量体が
    200ppm未満である請求項14ないし17のいずれ
    か一項記載のスチレン系樹脂。
  20. 【請求項20】 該樹脂に含まれるスチレン系単量体が
    100ppm未満である請求項14ないし17のいずれ
    か一項記載のスチレン系樹脂。
  21. 【請求項21】 該樹脂に含まれる残存炭化水素溶媒が
    1000ppm未満である請求項14ないし20のいず
    れか一項記載のスチレン系樹脂。
  22. 【請求項22】 該樹脂に含まれる残存炭化水素溶媒が
    300ppm未満である請求項14ないし20のいずれ
    か一項記載のスチレン系樹脂。
  23. 【請求項23】 該樹脂に含まれる残存炭化水素溶媒が
    100ppm未満である請求項14ないし20のいずれ
    か一項記載のスチレン系樹脂。
  24. 【請求項24】 請求項14ないし23のいずれか一項
    記載のスチレン系樹脂を成形してなる食品包装。
  25. 【請求項25】 請求項14ないし23のいずれか一項
    記載のスチレン系樹脂を発泡成形してなる食品包装。
  26. 【請求項26】 請求項14ないし23のいずれか一項
    記載のスチレン系樹脂を成形してなる食品容器。
  27. 【請求項27】 請求項14ないし23のいずれか一項
    記載のスチレン系樹脂を発泡成形してなる食品容器。
JP2001136262A 2000-05-08 2001-05-07 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法 Expired - Fee Related JP4868658B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001136262A JP4868658B2 (ja) 2000-05-08 2001-05-07 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000134356 2000-05-08
JP2000134356 2000-05-08
JP2000-134356 2000-05-08
JP2000139656 2000-05-12
JP2000139656 2000-05-12
JP2000-139656 2000-05-12
JP2000246878 2000-08-16
JP2000-246878 2000-08-16
JP2000246878 2000-08-16
JP2001136262A JP4868658B2 (ja) 2000-05-08 2001-05-07 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002128806A true JP2002128806A (ja) 2002-05-09
JP4868658B2 JP4868658B2 (ja) 2012-02-01

Family

ID=27481273

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001136262A Expired - Fee Related JP4868658B2 (ja) 2000-05-08 2001-05-07 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4868658B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342207A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp スチレン系樹脂容器
JP2001342275A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート
JP2001342278A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容器
JP2003105004A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Asahi Kasei Corp スチレン樹脂の製造方法
JP2006511657A (ja) * 2002-12-19 2006-04-06 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 高固形分装填条件下での制御された構造の材料の連続製造方法
JP2006312686A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 耐熱性樹脂組成物
JP2006312687A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 樹脂組成物
JP2006312685A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 良流動性樹脂組成物
JP2006312684A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 耐衝撃性樹脂組成物
JP2012229414A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Chi Mei Corp 防湿絶縁塗料及びその使用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6198702A (ja) * 1984-10-18 1986-05-17 ザ ダウ ケミカル カンパニ− アニオン重合法
WO1997033923A1 (fr) * 1996-03-14 1997-09-18 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Procede de preparation de polymeres vinyliques, initiateur de polymerisation de monomeres vinyliques et composition de resine styrenique
JP2002504570A (ja) * 1998-02-18 2002-02-12 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 抑制されたアニオン重合

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6198702A (ja) * 1984-10-18 1986-05-17 ザ ダウ ケミカル カンパニ− アニオン重合法
WO1997033923A1 (fr) * 1996-03-14 1997-09-18 Asahi Kasei Kogyo Kabushiki Kaisha Procede de preparation de polymeres vinyliques, initiateur de polymerisation de monomeres vinyliques et composition de resine styrenique
JP2002504570A (ja) * 1998-02-18 2002-02-12 ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト 抑制されたアニオン重合

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001342207A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp スチレン系樹脂容器
JP2001342275A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡シート
JP2001342278A (ja) * 2000-05-31 2001-12-11 Asahi Kasei Corp 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容器
JP2003105004A (ja) * 2001-09-27 2003-04-09 Asahi Kasei Corp スチレン樹脂の製造方法
JP2006511657A (ja) * 2002-12-19 2006-04-06 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 高固形分装填条件下での制御された構造の材料の連続製造方法
JP2006312686A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 耐熱性樹脂組成物
JP2006312687A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 樹脂組成物
JP2006312685A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 良流動性樹脂組成物
JP2006312684A (ja) * 2005-05-09 2006-11-16 Asahi Kasei Chemicals Corp 耐衝撃性樹脂組成物
JP2012229414A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Chi Mei Corp 防湿絶縁塗料及びその使用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4868658B2 (ja) 2012-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3953522B2 (ja) 熱可塑性成形材料
KR100687670B1 (ko) 저분자량 성분의 함량이 감소된 스티렌계 수지 및 그의용도
JP2002128806A (ja) 低分子成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法
US20190040186A1 (en) Cis-Polycycloolefins and Methods for Forming Cis-Polycycloolefins
KR19990087734A (ko) 비닐 중합체의 제조 방법, 비닐 단량체 중합용 개시제 및 스티렌 수지 조성물
KR100604087B1 (ko) 고유동, 고광택 고무 변성 스티렌계 수지의 연속 제조방법
JP2001323018A (ja) 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂の製造方法
JP2003213059A (ja) スチレン系樹脂材料
JP5105676B2 (ja) スチレン樹脂の製造方法
JP2002053719A (ja) スチレン系樹脂組成物
WO1981001291A1 (en) Process for producing rubber-modified styrene series resin
EP2470591A1 (en) High impact polymers and methods of making and using same
JP4522681B2 (ja) スチレン系樹脂組成物の製法及び樹脂組成物
US5880232A (en) Process for producing styrene based polymer and molded articles comprising the polymer
JP2001316540A (ja) スチレン系樹脂組成物
JP2529615B2 (ja) 新規なスチレン系樹脂及びその製造方法
JP2002128842A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP2002128841A (ja) 飲料用容器
JP2001316403A (ja) 加工性に優れたスチレン系樹脂の製造方法
JP2001316541A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物
JP2001316542A (ja) アニオン重合スチレン系樹脂組成物
EP3750929A1 (en) Styrenic polymers having reduced trimer content
US3935178A (en) Process for the ring opening polymerisation of cyclooctadiene-(1-5)
JP2001316417A (ja) ポリスチレン系樹脂の製造方法
KR20240027601A (ko) 비닐방향족 폴리머의 제조를 위한 공정

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20031204

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040219

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110322

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111018

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111115

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees