JP2003213059A - スチレン系樹脂材料 - Google Patents

スチレン系樹脂材料

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JP2003213059A
JP2003213059A JP2002018897A JP2002018897A JP2003213059A JP 2003213059 A JP2003213059 A JP 2003213059A JP 2002018897 A JP2002018897 A JP 2002018897A JP 2002018897 A JP2002018897 A JP 2002018897A JP 2003213059 A JP2003213059 A JP 2003213059A
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resin material
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JP2002018897A
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English (en)
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hironori Suezawa
寛典 末澤
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、衝撃強度等の力学特性および加熱流
動性等の成形加工性のバランスに優れ、かつ低分子成分
の含有含有量が少ない故に溶出あるいは揮発量の極めて
少ないスチレン系樹脂材料を提供すること。 【解決手段】 (a)特定のスチレン系重合体 5〜9
9重量%、および(b)特定のスチレン系ブロック共重
合体 95〜1重量%を含有し、かつ(a)成分と
(b)成分の全重合体におけるスチレンを主体とするビ
ニル芳香族化合物結合単位が50〜99重量%の範囲、
共役ジエン結合単位が50〜1重量%の範囲にあること
を特徴とするスチレン系樹脂材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレンオリゴマ
ー等のスチレン系低分子成分、残存スチレン単量体、お
よび残存炭化水素溶媒等の含有量が少なく、透明性、衝
撃強度および加熱流動性に優れたスチレン系樹脂材料お
よび該樹脂材料よりなる成形品に関するものである。こ
れらの樹脂材料はその特徴を生かして各種の成形材料用
途、例えば電気製品材料、雑貨材料、食品容器材料、食
品包装材料等、特に食品容器材料および食品包装材料に
好ましく用いることができる。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、軽量、高い剛性、低
吸水性、良電気的絶縁性等の多くの優れた物理的特性を
有する。また、種々の形状の成型品を、容易かつ大量に
生産できるという優れた成型加工性も有する。これらの
特長を生かして、電気製品材料、雑貨、食品容器、包装
材料等の各種用途に大量に用いられている。一般に、ス
チレン系樹脂は、反応機構的には熱ラジカル重合法また
は開始剤を用いての触媒ラジカル重合法の2タイプによ
り製造される。また、製造プロセス的には、塊状重合法
および懸濁重合法の2タイプがある。この組み合わせの
内で、分散剤等の不純物が入り難いこと、コスト的に有
利なことから塊状の熱ラジカル重合法が、現在主流とな
っている。
【0003】しかし、ラジカル重合法は、樹脂製造時に
オリゴマーの生成を伴い、またスチレン単量体も残り易
いことはよく知られている。例えば、総説文献Encyclop
ediaof chemical technology,Kir k-Othmer,Third Edit
ion,John Wily& Sons,21巻,817頁によれば100℃以
上のスチレンの熱重合ではスチレン二量体、スチレン三
量体等のオリゴマーの副生を伴い、その量は約1重量%
程度になるとされている。また具体的なオリゴマー成分
は主として1−フェニル−4−(1’−フェニルエチ
ル)テトラリン、および1,2−ジフェニルシクロブタ
ンからなり、その他に2,4−ジフェニル−1−ブテン
と2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセンが存在する
とされている。
【0004】塊状ラジカル重合プロセスは通常80〜1
80℃で重合を行い、次いで含まれる溶媒や未反応単量
体を加熱揮発除去することにより、スチレン系樹脂を回
収している。しかし、ラジカル重合法では、単量体の重
合体への転化を高度に達成することができず、これを加
熱脱揮した後も、一般に比較的多量の未反応スチレン単
量体がスチレン系樹脂中に残る。このため、脱揮工程を
工夫する方策、例えば加熱脱揮後、更に水を添加、混合
した後に再度脱揮することにより、残存するスチレン単
量体を水と共沸除去する方法等が開発されているが、十
分満足できるレベルは達成できていない。また、副生し
たスチレンの二量体および三量体等のオリゴマー類は揮
発し難いため、その多くがスチレン系樹脂中に残る。
【0005】この様にして製造されたスチレン系樹脂を
分析すると、原料由来の残留物、不純物および重合中の
副生成物が検出される。具体的にはスチレン、α−メチ
ルスチレン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベン
ゼン、2,4−ジフェニル−1−ブテン、1,2−ジフ
ェニルシクロブタン、1−フェニルテトラリン、2,
4,6−トリフェニル−1−ヘキセン、1,3,5−ト
リフェニルシクロヘキサン、1−フェニル−4−(1’
−フェニルエチル)テトラリン等がスチレン系樹脂中に
含まれる。
【0006】この様に、現在広く実施されているラジカ
ル重合法のスチレン系樹脂は、その製造方法に起因して
スチレン単量体およびスチレンオリゴマー等から成る低
分子成分を多く含む。更に、これらのラジカル重合法の
スチレン系樹脂は、一般に安定性に劣り、成形加工時の
機械的履歴または熱的履歴によって、樹脂中のスチレン
単量体およびスチレンオリゴマー等の低分子成分量が増
大しやすい。成形加工時に新たに生成する低分子成分
も、重合時に生成する低分子成分と同様の問題を来す。
即ち、電気製品材料、雑貨材料、食品包装材料や食品容
器材料に用いた場合、樹脂中に含まれる低分子成分が原
因となって種々の問題を来す。
【0007】具体的には、この様な低分子成分を多く含
むスチレン系樹脂は、成形、加工時の熱安定性が十分で
なく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣る。また成型加
工時に油状物質が、金型や成形品に付着する等の問題を
来す場合がある。樹脂中に含まれる低分子成分は、成形
品の内部から表面に拡散または滲むため、印刷が乗り難
い。または印刷部分が剥離しやすいといった問題を来す
場合もある。更には食品容器や食品包装に用いた場合、
樹脂中に含まれる低分子成分が溶出または揮発する心配
があり、その低減が望まれている。
【0008】これらのラジカル重合法に対して、有機リ
チウム等を用いたアニオン重合法によるスチレン系樹脂
の製造方法も、技術的には古くから公知である。例え
ば、米国特許第5,391,655号明細書、米国特許
第5,089,572号明細書、米国特許第4,88
3,846号明細書、米国特許第4,748,222号
明細書、米国特許第4,205,016号明細書、米国
特許第4,200,713号明細書、米国特許第4,0
16,348号明細書、米国特許第3,954,894
号明細書、米国特許第4,859,748号明細書等に
詳細な紹介がされている。
【0009】これらの米国特許技術を要約すると、アニ
オン重合法においての分散度を下げる方法(米国特許第
4,883,846号明細書)、アニオン重合法により
ポリスチレン製造するにおいて連続重合方式を用いる等
の製造装置に関連した方法(米国特許第4,016,3
48号明細書、米国特許第4,748,222号明細
書、米国特許第5,391,655号明細書)、アニオ
ン重合方式に用いる開始剤の製造方法および適用例(米
国特許第4,205,016号明細書、米国特許第5,
089,752号明細書)に限られている。米国特許第
4,859、748号明細書は連続攪拌槽中でスチレン
のアニオン重合反応を制御する方法を開示している。し
かし、これらのスチレン系樹脂のアニオン重合法技術に
おいては、本願の目的の一つに係るスチレン系低分子成
分に関する開示はなかった。
【0010】近年になってスチレン系低分子成分に関す
るいくつかの開示がされた。例えば、特開平10−11
0074号公報は、有機リチウムを開始剤とするアニオ
ン重合において、オリゴマーの少ない重合体が得られる
ことを開示している。その参考例2の記載において、有
機リチウムを用いたスチレン単量体のバッチ重合法によ
り、分子量分布の狭い、単分散の重合体が得られ、酸化
防止剤を添加後に乾燥することにより、二量体含有量1
ppm、三量体含有量170ppmのスチレン系重合体
を得ている。更には、この様にして得られたアニオン重
合法のスチレン系重合体が、食品包装材等に利用できる
ことを開示している。
【0011】食品衛生誌、39巻、3号、199頁(1
998)には食品用ポリスチレン製品からスチレン二量
体、スチレン三量体が溶出することが報告されている。
国際出願PCT/JP97/00796号は、ビニル重
合体の製造方法、ビニル系単量体のアニオン重合用開始
剤およびスチレン系重合体組成物に関するものである。
この明細書の記載において、得られたスチレン系重合体
中に存在するスチレン三量体が250ppm以下の重合
体を食品包装材に使用した場合、食料品等へのマイグレ
ーションは無視できる程度であることを開示している。
【0012】特開2000−143725号公報は、ア
ニオン重合法によるスチレン系重合体およびその製造方
法に関するものであり、スチレン二量体含量が80pp
m以下、かつスチレン三量体含量が800ppm以下の
スチレン系重合体およびその製造方法、食品用途への利
用を開示している。更に、本発明者による先の出願、特
開2001−323018号公報はアニオン重合法によ
るスチレン単量体やスチレンオリゴマーの少ないスチレ
ン系樹脂の製造方法を開示している。
【0013】この様に、ラジカル重合法によるスチレン
系重合体およびアニオン重合法によるスチレン系重合体
は、それぞれに特徴を有するが、基本的には共に公知で
ある。しかし、スチレン系樹脂はかかるスチレン系低分
子成分問題の他に、用途によっては物理的性能上の問
題、特に衝撃強度に劣るとの問題がある。このため、例
えばスチレン系樹脂の大きな特長の一つである透明性を
保持し、衝撃強度を改良要求しようとする動きがある。
この要求に対して、ラジカル重合法によるスチレン系重
合体とスチレン系ブロック共重合体からなる樹脂材料
が、古くから公知であり、一定レベルの透明性と衝撃強
度を既に達成している。
【0014】更には、アニオン重合法スチレン系重合体
とスチレン系ブロック共重合体からなる改善された衝撃
強度を有する樹脂材料に関する提案もなされている。特
開平02−18440号公報にアニオン重合法スチレン
系重合体とラジアル状に分岐したスチレン系ブロック共
重合体からなる樹脂材料が開示されている。この樹脂材
料は、ラジカル重合法スチレン系重合体を用いた場合に
比較して、得られる樹脂材料が透明性に優れるとしてい
る。しかし、明細書で開示されたところによれば、アニ
オン重合法スチレン系重合体は狭い分子量分布を有する
スチレン重合体に限定されており、明細書の記載によれ
ば、用いるスチレン重合体の分子量分布(Mw/Mn)
は通常1.0〜1.1の範囲にあるとしている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】この様にスチレン系重
合体とスチレン系ブロック共重合体からなる、改善され
た衝撃強度と一定の透明性を有するスチレン系樹脂材料
は公知であるが、これら従来技術のスチレン系樹脂材料
はそれぞれ問題を有するものであった。即ち、ラジカル
重合法スチレン系重合体とスチレン系ブロック共重合体
からなるスチレン系樹脂材料は、当然の帰結としてラジ
カル重合法スチレン系重合体の欠点であるスチレン単量
体やスチレンオリゴマーを多く含むことになる。更に一
般に透明性もやや劣るものである。
【0016】これに対して、分子量分布の狭いアニオン
重合法スチレン系重合体とラジアル状分岐構造のスチレ
ン系ブロック共重合体からなるスチレン系樹脂材料は、
十分な透明性を発現しようとする場合、スチレン系重合
体の分子量が限定される。即ち、スチレン系ブロック重
合体のスチレンブロック鎖長に比べて、スチレン系重合
体の分子量が著しく大きい場合、両重合体の分散性が低
下すためか、透明性は低下する。これを改善する方策と
して、スチレン系ブロック共重合体のスチレンブロック
鎖長を長くする方法、あるいはスチレン系重合体の分子
量を下げる方法が考えられる。しかし、前者では得られ
るスチレン系樹脂材料の粘度が著しく増大して、樹脂材
料の加熱流動性の低下を来たし、後者では得られるスチ
レン系樹脂材料の物理的性能、特に強度特性が低下して
好ましくない。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明はこれらの従来技
術の欠点を改良したスチレン系樹脂材料を提供するもの
である。即ち、モノマー、オリゴマー等の低分子成分の
含有量が少なく、透明性、衝撃強度および加熱流動性に
優れたスチレン系樹脂材料を提供するものである。即
ち、本発明は、(a)スチレン系重合体 5〜99重量
%、および、(b)スチレン系ブロック共重合体 95
〜1 重量%、を含有し、かつ(a)成分と(b)成分
の全重合体におけるスチレンを主体とするビニル芳香族
化合物結合単位が50〜99重量%の範囲、共役ジエン
結合単位が50〜1重量%の範囲にあることを特徴とす
るスチレン系樹脂材料[ただし、上記(a)成分のスチ
レン系重合体は、有機リチウム開始剤を用いたアニオン
重合法により得られるスチレン結合単位を主体とする重
合体であって、その重量平均分子量が1万〜50万の範
囲、重量平均分子量と数平均分子量との比で表される分
子量分布(Mw/Mn)が1.3〜5.0の範囲にあ
り、上記(b)成分のスチレン系ブロック共重合体は、
有機リチウム開始剤を用いたアニオン重合法により、ス
チレンを主体とするビニル芳香族化合物および共役ジエ
ンを順次重合し、更に必要により重合体の活性末端をカ
ップリング反応して得られ、スチレン結合単位を主体と
する少なくとも2つのブロックと、共役ジエン結合単位
を主体とする少なくとも1つのブロックを有し、スチレ
ンを主体とするビニル芳香族化合物結合単位の含有率が
20〜95重量%、重量平均分子量が3万〜50万の範
囲にある。]、である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明のスチレン系樹脂材料を構
成する(a)成分であるスチレン系重合体は、有機リチ
ウム開始剤を用いたアニオン重合法により得られるスチ
レン結合単位を主体とする重合体であって、その重量平
均分子量が1万〜50万の範囲、重量平均分子量と数平
均分子量との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が
1.3〜5.0の範囲に限定される。スチレン系重合体
の重量平均分子量は1万〜50万の範囲、好ましくは3
万〜40万の範囲、更に好ましくは5万〜30万の範
囲、最も好ましくは8万〜20万の範囲である。また、
重量平均分子量と数平均分子量の比で表される分子量分
布(Mw/Mn)は、1.3〜5.0の範囲、好ましく
は1.5〜4.0の範囲、特に好ましくは2.0〜3.
0の範囲である。
【0019】重量平均分子量が余りに低いと、得られる
スチレン系樹脂材料の各種の力学的性能、例えば耐衝撃
強度や熱時剛性等が低下して好ましくない。重量平均分
子量が余りに高いと、得られるスチレン系樹脂材料の透
明性や加熱流動性が低下して好ましくない。また、分子
量分布が余りに狭いと、得られるスチレン系樹脂材料の
透明性と特定の樹脂性能、特に衝撃強度とのバランスが
低下して好ましくない。また、余りに分子量分布が広い
場合にも加熱流動性や熱時剛性等が低下してやはり好ま
しくない。
【0020】(a)成分であるスチレン系重合体は、好
ましくは逆混合流れを有する反応槽R1の一方から、一
括または分割して原料系を連続的に仕込み、他方から生
成系を連続的に抜き出す連続重合法で得られる。具体的
には、スチレン系重合体は反応槽R1単独の重合プロセ
ス、または反応槽R1に次いで反応槽R2を1槽または
それ以上の反応槽を直列に結合した複合重合プロセスを
用いて、連続重合して得ることができる。反応槽R1は
混合状態として、逆混合流れを有することが好ましい。
逆混合流れとは、反応槽にフィードされた原料系の一部
が、流れと逆方向に混合することを意味する。更に好ま
しい逆混合流れを有する反応槽とは、完全混合流れを有
する反応槽である。
【0021】最も好ましい複合重合プロセスは実質的に
完全混合の連続反応槽R1、次いでプラグフローの連続
反応槽R2を直列に結合した複合重合プロセスである。
逆混合流れを有する反応槽、または完全混合の反応槽で
は、その混合性の故に効率的に高い転化率を達成し難
い。これに他の反応槽を1槽または多槽を直列に結合す
ることは特に好ましい。ここで言う逆混合流れは狭い意
味に限定しない。開始剤が広い滞留時間分布をもち、こ
れにより重合体の分子量分布が顕著に広くなる混合状態
を意味する。具体的には、得られる重合体の分子量分
布、即ち重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mn
が1.3以上となる混合状態を意味する。
【0022】逆混合流れを有する、または完全混合の反
応槽において重合体の分子量分布を広げ、次のプラグフ
ローの反応槽で、残存する単量体を効率的に転化するこ
とができる。スチレン系重合体の分子量分布を広げるこ
とは、得られるスチレン系樹脂材料の透明性向上や加熱
流動性改良をもたらす。また単量体の完全転化により、
脱揮乾燥後に樹脂中に混入する単量体および単量体由来
の低分子成分を低減できる。重合工程での単量体の転化
率は好ましくは99.9%以上、更に好ましくは99.
99%以上、特に好ましくは99.995%以上に制御
すべきである。
【0023】スチレン系重合体製造においては、反応槽
R1に存在する単量体濃度は混合状態にも依存するが、
基本的には原料系のフィード速度およびフィード組成
と、反応槽中の重合速度で決まる。完全混合流れの反応
槽に存在する単量体濃度を下げるには、例えば重合速度
に見合って単量体フィード速度を抑制することで達成で
きる。反応槽R1中に存在する平均単量体濃度は10重
量%未満に制御することが好ましい。即ち、スチレン系
単量体、炭化水素溶媒およびスチレン系重合体の合計量
に対する該単量体の割合を10重量%未満に制御するこ
とが好ましい。更に好ましくは5重量%未満、特に好ま
しくは3重量%未満であり、最も好ましくは2重量%未
満である。
【0024】即ち、フィードされるスチレン単量体濃度
が25重量%以上で実施する場合においても、重合の場
の単量体濃度は10重量%未満に制御して運転すること
が好ましい。残余の15重量%以上は溶液中に重合体と
して共存する。安定した連続重合プロセスではこの値
は、常に変化しない。アニオン重合の重合速度は単量体
濃度の1乗に比例するために、単量体濃度の2乗または
3乗に比例する副反応は、重合の場の実質的な単量体濃
度を低くすることにより、極めて低いレベルに抑えるこ
とができる。スチレン二量体およびスチレン三量体等の
オリゴマーの生成速度は単量体濃度の多乗数に比例する
ためか、単量体濃度を抑えることによって、顕著に低減
できる。
【0025】スチレン系重合体製造においては、重合開
始剤として有機リチウム化合物が用いられる。有機リチ
ウム化合物とは炭素−リチウム結合を有する、いわゆる
リチウムの有機金属化合物である。より具体的にはアル
キルリチウム、アルキル置換フェニルリチウム化合物等
が挙げられる。アルキルリチウムの好ましい例としてエ
チルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチ
ウム、ベンジルリチウム等が挙げられる。有機リチウム
開始剤の使用量は得ようとする重合体の分子量に依存す
る。即ち、重合体の分子量は単量体量と有機リチウム開
始剤の組成比で基本的には決まる。単量体1Kg当たり
の有機リチウム使用量は0.5〜200ミリモルの範囲
である。好ましくは1〜100ミリモル、特に好ましく
は2〜20ミリモルの範囲である。
【0026】有機リチウム量をこの範囲より減らすと重
合速度の低下を来したり、得られる重合体の分子量が著
しく大きくなる等、好ましくない。また、有機リチウム
量をこの上限を超えて増やすことは製造コストを増大さ
せ、得られる重合体の分子量を極端に低下させる等、や
はり好ましくない。スチレン系重合体の製造において、
使用される単量体の主体はスチレンである。しかし、ス
チレン以外に共重合可能な他の単量体を少量含んでも構
わない。この例としてスチレン以外のビニル芳香族化合
物、共役ジエン化合物、メタアクリル酸エステル化合物
等が挙げられる。これらの共重合単量体の使用は樹脂の
耐熱性、軟化温度、耐衝撃強度、剛性、加熱流動性等を
調整するのに有用な場合がある。
【0027】スチレン系重合体の製造は溶媒を含まない
塊状重合であってもよい。しかし、一般には粘度を下げ
て攪拌や除熱を容易にするため、溶液での重合が好まし
い。基本的に、重合時に利用できる溶媒は、有機リチウ
ム開始剤に対して不活性で、単量体および生成重合体を
溶解でき、重合時に液状を保ち、重合後の脱溶媒工程で
揮発除去が容易な炭化水素溶媒である。例えばC5〜C
9の脂環式炭化水素溶媒およびC6〜C9の芳香族系溶
媒が挙げられる。特にC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒
が好ましく利用できる。具体的にはシクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、メチルシクロペンタン、シクロヘ
キセンおよびこれらの混合物等が挙げられる。
【0028】C6〜C9の芳香族系溶媒の具体例として
ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等が挙
げられる。ベンゼンを除くこれらの芳香族系溶媒はフェ
ニル基に対してα位の炭素原子に水素原子が結合した炭
化水素化合物であり、アニオン活性末端に対して活性水
素を有する。この様な活性水素を有する炭化水素溶媒を
多量に用いると、重合時に活性点は移行を繰り返し、非
スチレンオリゴマー成分の増大を来たし、スチレン系低
分子成分の少ないスチレン系樹脂材料を得るという目的
にとって好ましくない。
【0029】これらの溶媒に、環状構造を有さない脂肪
族炭化水素を一部含んでも構わない。また、エーテル化
合物や第3アミン化合物の混合は、有機リチウムの重合
活性を改善できる。重合溶媒の使用量は、単量体1Kg
当たり0.1〜10Kgの範囲である。好ましくは0.
5〜3.0Kg、特に好ましくは0.67〜1.5Kg
の範囲である。重合溶媒の使用量が少ないと除熱や攪拌
が難しくなり、重合溶媒使用量が多いと、重合後に除去
すべき溶媒量が多くなり、共に好ましくない。
【0030】重合温度は40〜120℃の範囲である。
好ましくは60〜110℃、特に好ましくは70〜90
℃の範囲である。重合温度が極度に低いと反応速度が低
下して好ましくない。また、重合温度が極度に高いと、
スチレン系低分子成分の生成量が増大し、また開始剤の
分解、失活により反応速度が低下してやはり好ましくな
い。更に110℃を越える温度では樹脂が着色する場合
があり、目的によっては好ましくない。
【0031】スチレン系重合体の製造においては、原料
系の単量体濃度にもよるが、一般に重合時の溶液粘度は
著しく高い。このため、通常の反応槽に付随するジャケ
ットのみによる重合熱の除熱には、困難を伴う場合が多
い。設備の除熱能力を高める方法としては公知の方法が
利用できる。例えば、反応槽中に除熱コイルを張り巡ら
したり、反応槽ジャケットとは別に外部循環ジャケット
を設けたり、またはリフラックスコンデンサーを設ける
等の方法が好ましく利用できる。反応槽内の圧力は系を
液相に保つにたる圧力が必要である。また、反応熱除去
のためリフラックスコンデンサーを利用する場合、必要
により減圧も利用できる。
【0032】重合後は重合体鎖の末端には基本的に炭素
−リチウム結合が残る。これをこのまま残すと、仕上げ
段階等で空気酸化または熱分解等を受け、得られるスチ
レン系樹脂材料の安定性低下や着色の原因となる。重合
後は、重合体の活性末端、即ち炭素−リチウム結合を安
定化させることが好ましい。例えば水、アルコール、フ
ェノール、カルボン酸等の酸素−水素結合を有する化合
物の添加が好ましく、エポキシ化合物、エステル化合
物、ケトン化合物、カルボン酸無水物、炭素−ハロゲン
結合を有する化合物等も同様な効果を期待できる。これ
らの添加物の使用量は炭素−リチウム結合に対して0.
1〜10倍当量程度が好ましい。余りに多いとコスト的
に不利なだけでなく、残存する添加物の混入が障害にな
る場合も多い。
【0033】炭素−リチウム結合を利用して多官能化合
物でカップリング反応させ、重合体分子量や分子量分布
を増大、更には重合体鎖を分岐構造化させることもでき
る。この様なカップリング反応に用いるカップリング剤
は公知のものから選ぶことができる。カップリング剤と
してはポリハロゲン化合物、ポリエポキシ化合物、モノ
またはポリカルボン酸エステル、ポリケトン化合物、モ
ノまたはポリカルボン酸無水物、珪素またはスズのアル
コキシ化合物等を挙げることができる。具体例としては
シリコンテトラクロリド、ジ(トリクロルシリル)エタ
ン、1,3,5−トリブロモベンゼン、エポキシ化大豆
油、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシク
ロヘキサン、シュウ酸ジメチル、トリメリット酸トリ−
2−エチルヘキシル、ピロメリット酸二無水物、ジエチ
ルカーボネート等が挙げられる。
【0034】また、有機リチウム由来のアルカリ成分、
例えば酸化リチウムや水酸化リチウムを酸性化合物の添
加によって中和安定化させることもできる。この様な酸
性化合物の例として炭酸ガス、ホウ酸、各種カルボン酸
化合物等の無機酸および有機酸化合物が挙げられる。こ
れらの添加により、得られるスチレン系樹脂材料の吸水
白濁や着色を改善できる場合がある。本発明のスチレン
系樹脂材料を構成する(b)成分であるスチレン系ブロ
ック共重合体は有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
合法により、スチレンを主体とするビニル芳香族化合物
および共役ジエンを順次重合し、更に必要により重合体
の活性末端をカップリング反応して得られ、スチレン結
合単位を主体とする少なくとも2つのブロックと、共役
ジエン結合単位を主体とする少なくとも1つのブロック
を有し、スチレンを主体とするビニル芳香族化合物結合
単位の含有率が20〜95重量%、重量平均分子量が3
万〜50万の範囲に限定される。
【0035】特に好ましいスチレン系ブロック共重合体
は重合体連鎖中にA−B−A’構造を含む直鎖構造であ
る。ここで、A,A’はスチレン結合単位を主体とする
ブロックであり、AおよびA’は同一構造であっても、
異なる構造であっても構わない。Bは共役ジエン結合単
位を主体とするブロックである。スチレン系ブロック共
重合体を直鎖構造にすることによって、得られるスチレ
ン系樹脂材料は衝撃強度と加熱流動性のバランスに優れ
る。具体的なスチレン系ブロック共重合体の構造は、例
えば一般式(1)〜(3)で表される直鎖ブロック共重
合体および一般式(4)〜(7)で表される直鎖あるい
はラジアル状ブロック共重合体である。
【0036】 (A−B)n −A (1) (A−B)m (2) (B−A)m −B (3) [(A−B)n ]m −X (4) [(B−A)n+1 ]m −X (5) [(A−B)n −A]m −X (6) [(B−A)n −B]m −X (7) (式中、Aはスチレン結合単位を主体とし、重量平均分
子量5,000〜200,000の範囲のブロックであ
り、各Aは同一構造でも、異なった構造であっても構わ
ない。Bは共役ジエン結合単位を主体とし、重量平均分
子量10,000〜500,000の範囲のブロックで
あり、各Bは同一構造でも、異なった構造であっても構
わない。Xは多官能のカップリング剤、nは1〜10、
mは2〜10範囲の整数を表す。また、本発明の趣旨か
らして、B−X−BおよびA−X−Aのブロック連鎖構
造は、他のブロックで分割されているわけではなく、ス
チレン系ブロック共重合体のブロック分子量規定におい
ては1つのブロックに対応する。)
【0037】スチレン系ブロック共重合体は、上記のブ
ロック構造の規定に該当しない不完全なブロック重合
体、例えばAブロックの単独重合体、Bブロックの単独
重合体、あるいはA−Bジブロック共重合体等を、本発
明の効果を阻害しない範囲で含んでも構わない。またA
ブロックとBブロックとの間に、共重合組成の順次変化
するテーパー部分を含んでも構わない。Aブロックはス
チレン結合単位を主体とするブロックであるが、少量の
共重合可能な他の単量体、例えばスチレン以外のビニル
芳香族化合物または共役ジエン化合物からなる結合単位
を少量含んでも構わない。また、その示差熱分析計(D
SC)で測定されるガラス転移温度は、好ましくは25
℃以上、更に好ましくは60℃以上、特に好ましくは9
0℃以上である。
【0038】Bブロックは共役ジエン結合単位を主体と
するブロックであるが、少量の共重合可能な他の単量
体、例えばビニル芳香族化合物からなる結合単位を少量
含んでも構わない。最も好ましい共役ジエンはブタジエ
ンおよびイソプレンである。また、その示差熱分析計
(DSC)で測定されるガラス転移温度は、好ましくは
25℃未満、好ましくは0℃未満、更に好ましくは−5
0℃未満である。Aブロックのガラス転移温度が低すぎ
る、あるいはBブロックのガラス転移温度が高すぎる
と、共に得られるスチレン系樹脂材料の衝撃強度が著し
く低下して、好ましくない。
【0039】スチレン系ブロック共重合体におけるスチ
レンを主体とするビニル芳香族化合物結合単位の含有率
は20〜95重量%、共役ジエン結合単位の含有率は5
〜80重量%の範囲に限定される。好ましいスチレンを
主体とするビニル芳香族化合物結合単位の含有率は30
〜90重量%、更に好ましくは40〜85重量%の範囲
であり、残余の成分は共役ジエン結合単位である。ま
た、スチレン系ブロック共重合体の重量平均分子量は3
万〜50万の範囲に限定される。好ましくは5万〜30
万、更に好ましくは8万〜20万の範囲である。
【0040】スチレン系ブロック共重合体の重量平均分
子量が著しく大きいと、得られるスチレン系樹脂材料の
加熱流動性が低下して好ましくない。また、重量平均分
子量が著しく低いと、得られるスチレン系樹脂材料の透
明性および衝撃強度で代表される強度特性が低下して好
ましくない。また、ビニル芳香族化合物結合単位の含有
率が低すぎる、あるいは高すぎると、スチレン系ブロッ
ク共重合体の各ブロックが相分離し難くなるためか、衝
撃強度が極端に低下して好ましくない。
【0041】スチレン系ブロック共重合体を構成するス
チレン結合単位を主体とするブロックの重量平均分子量
と数平均分子量の比で表される分子量分布(Mw/M
n)は1.2〜5.0の範囲であることが好ましい。更
に好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは2.0〜
3.0の範囲である。分子量分布が余りに狭いと、得ら
れるスチレン系樹脂材料の透明性や衝撃強度が低下し
て、場合により好ましくない。また余りに広いと加熱流
動性が低下して好ましくない。
【0042】本発明のスチレン系樹脂材料を構成する
(a)成分のスチレン系重合体の重量平均分子量(Mw
a)と、(b)成分のスチレン系ブロック共重合体を構
成するスチレン結合単位を主体とするブロックの重量平
均分子量(Mwb)の比(Mwa/Mwb)が0.3〜
3.0の範囲であることが好ましい。更に好ましくは
0.5〜2.0、特に好ましくは0.7〜1.5の範囲
である。Mwa/Mwbをこの範囲にすることによっ
て、得られるスチレン系樹脂材料の透明性と衝撃強度の
バランスが特に優れる。
【0043】スチレン系ブロック共重合体を構成する共
役ジエンを主体とするブロックの重量平均分子量と数平
均分子量の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は
1.01〜5.0の範囲であることが好ましい。更に好
ましくは1.2〜4.0、特に好ましくは1.5〜3.
0の範囲である。分子量分布が余りに狭いと、得られる
スチレン系樹脂材料の衝撃強度が十分発現せず、場合に
より好ましくない。また余りに広いと加熱流動性や透明
性が低下して好ましくない。
【0044】前述の一般式におけるnは1〜10の範
囲、好ましくは1〜3の範囲、特に好ましくは1の整数
である。また、mは2〜10の範囲、好ましくは2〜
4、特に好ましくは2の整数である。nおよびmが大き
すぎると、同一分子量におけるスチレンを主体とするブ
ロックの分子量が低下し、得られるスチレン系樹脂材料
の衝撃強度や透明性が極端に低下して好ましくない。ま
た、mが3以上、即ちスチレン系ブロック共重合体がラ
ジアル構造に分岐構造すると、得られるスチレン系樹脂
材料の射成形性や押し出し成形性等の加工性が低下し
て、用途によっては好ましくない。
【0045】本発明のスチレン系樹脂材料を構成する
(b)成分のスチレン系ブロック共重合体は公知の方法
により製造できる。例えば、炭化水素溶媒中で、有機リ
チウム開始剤を用い、バッチプロセスあるいは連続重合
プロセスで、スチレン結合単位を主体とするブロックお
よび共役ジエン結合単位を主体とするブロックを順次ブ
ロック共重合することにより得られる。または共重合
後、リチウム活性末端をカップリング反応することによ
りブロック共重合体化することもできる。スチレン系ブ
ロック共重合体の具体的製造法としては、例えば特公昭
45−19388号公報、特公昭47−43618号公
報の技術を挙げることができる。
【0046】特に、スチレン系ブロック共重合体を構成
するスチレン結合単位を主体とする各ブロックは、連続
重合プロセスで得ることが好ましい。スチレン結合単位
を主体とするブロックを連続重合プロセスで得ることに
よって、該ブロックの分子量分布が広がり、これにより
スチレン系重合体との分散性が向上するためか、得られ
るスチレン系樹脂材料の透明性が向上する。
【0047】基本的に、重合時に利用できる溶媒は、有
機リチウム開始剤に対して不活性で、単量体および生成
重合体を溶解でき、重合時に液状を保ち、重合後の脱溶
媒工程で揮発除去が容易な炭化水素溶媒である。例えば
C5〜C9の脂環式炭化水素溶媒、C5〜C9の脂肪族
炭化水素およびC6〜C9の芳香族系溶媒が挙げられ
る。特にC5〜C9の脂環式炭化水素溶媒が好ましく利
用できる。具体的にはシクロヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、メチルシクロペンタン、シクロヘキセンおよび
これらの混合物等が挙げられる。また、エーテル化合物
や第3アミン化合物の混合は、有機リチウムの単量体に
対する重合活性を改善できる。重合溶媒の使用量は、好
ましくは単量体1Kg当たり0.5〜10Kgの範囲で
ある。より好ましくは1〜7Kg、特に好ましくは1.
5〜5Kgの範囲である。
【0048】重合温度は好ましくは0〜120℃の範囲
で制御する。より好ましくは10〜110℃、特に好ま
しくは20〜100℃の範囲で制御する。バッチプロセ
スの重合温度は、一般に各ブロックの重合が断熱的に昇
温しながら重合することになるが、この温度範囲で制御
することが好ましい。重合温度が極度に低いと反応速度
が低下して実用性がない。また、重合温度が極度に高い
と、リビング活性末端が変質してスチレン系ブロック共
重合体のブロック構造が不完全となり、得られるスチレ
ン系樹脂材料の衝撃強度等の性能が低下して好ましくな
い。
【0049】重合後、必要により炭素−リチウム結合を
利用してカップリング反応させラジアル構造に分岐構造
化させることもできる。この様なカップリング反応に用
いるカップリング剤は公知のものから選ぶことができ
る。カップリング剤としてはポリハロゲン化合物、ポリ
エポキシ化合物、モノまたはポリカルボン酸エステル、
ポリケトン化合物、モノまたはポリカルボン酸無水物、
珪素またはスズのアルコキシ化合物等を挙げることがで
きる。具体例としてはシリコンテトラクロリド、ジメチ
ルジクロルシラン、ジエチルジクロルシラン、テトラク
ロル錫、ジクロロエタン、ジ(トリクロルシリル)エタ
ン、1,3,5−トリブロモベンゼン、エポキシ化大豆
油、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシク
ロヘキサン、シュウ酸ジメチル、トリメリット酸トリ−
2−エチルヘキシル、ピロメリット酸二無水物、ジエチ
ルカーボネート等が挙げられる。
【0050】使用するカップリング剤の使用量は、通常
リチウム活性末端の量に対して0.01〜10当量の範
囲である。また、有機リチウム由来のアルカリ成分、例
えば酸化リチウムや水酸化リチウムを酸性化合物の添加
によって中和安定化させることもできる。この様な酸性
化合物の例として炭酸ガス、ホウ酸、各種カルボン酸等
の無機酸および有機酸化合物が挙げられる。これらの添
加により、得られるスチレン系樹脂材料の吸水白濁や着
色を改善できる場合がある。
【0051】本発明のスチレン系樹脂材料を構成する
(a)成分および(b)成分は重合後、それぞれ単独
で、あるいは混合後、必要により安定剤を添加した後、
未反応単量体や溶媒を重合体溶液から揮発除去し、重合
体が回収される。揮発除去には公知の方法が利用でき
る。揮発除去装置としては、例えば真空タンクにフラッ
シュさせる方法、押出機を用いてのベント口からの揮発
除去する方法、加熱ドラムを使用する方法、および水中
に重合体を分散させ溶媒を水と共沸除去する方法等が好
ましく利用できる。溶媒の揮発性にもよるが、一般には
温度を溶媒の沸点以上、250℃未満、好ましくは12
0〜200℃の範囲、真空度は好ましくは0〜常圧、更
に好ましくは100Pa〜50KPaの範囲にて揮発性
成分を揮発除去する。複数の揮発除去装置を直列に接続
する方法は高度な脱揮に効果的である。また、押出機を
用いる方法において、1段目と2段目の間に水を添加し
て2段目の揮発能力を高める方法も、好ましく利用でき
る。
【0052】(a)成分のスチレン系重合体と(b)成
分のスチレン系ブロック共重合体の混合方法は特に限定
するものではない。例えば、重合完了後の重合体溶液で
溶液混合した後加熱脱揮して、スチレン系樹脂材料を得
ることができる。また、それぞれを脱揮後、各種加工機
器、例えばニーダー、バンバリーミキサー、押出機等を
用いて機械的に混合することもできる。重合溶液あるい
は再度溶媒に溶かして、溶液混合することもできる。本
発明のスチレン系樹脂材料は、混合後必要により更に脱
揮した後、公知の方法でペレット状に仕上げることがで
きる。本発明のスチレン系樹脂材料においては、熱的あ
るいは機械的安定性、酸化防止性、耐候性、耐光性を改
善するために、スチレン系樹脂に対して使用が公知の各
種安定剤類を添加することができる。その好ましい例と
してフェノール系安定剤、リン系安定剤、窒素系安定
剤、イオウ系安定剤が挙げられる。特に好ましい安定剤
は、フェノール系安定剤、およびリン系安定剤である。
【0053】フェノール系安定剤としては、2,4,6
−三置換フェノールの添加が特に有利である。この具体
例として、2,4,6−三置換フェノールの好ましい例
として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−
(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチ
ル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2
[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェ
ニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ
ート、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、3,9ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,
1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキ
ザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−
s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−ト
リオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)等が挙げられる。
【0054】リン系安定剤の具体例としては、トリス
(2,4−ジ−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラ
キス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4、4’−
ビスフェニレンホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリストールジ
ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ペンタエリストールホスファイト、ビス(2,6−
ジ−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストール
ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t
−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビスフ
ェニレン−ジ−ホスファイト等が挙げられる。
【0055】これら安定剤の使用量は重合体100重量
部に対して、一般に0.001〜1重量部の範囲であ
る。これらの安定剤は各重合体を重合後、いかなる段階
でも添加できる。例えば重合後の溶液段階、あるいは脱
揮して重合体回収後に添加することもできる。しかし、
添加・混合が容易である点、および溶媒回収工程での樹
脂の劣化を抑えることができる点で、重合後に溶液段階
での添加が特に好ましい。
【0056】本発明のスチレン系樹脂材料を構成する重
合体の組成は(a)成分であるスチレン系重合体5〜9
9重量%と(b)成分であるスチレン系ブロック共重合
体99〜5重量%に限定される。スチレン系重合体の割
合は好ましくは15〜90重量%、更に好ましくは30
〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%の範囲
である。残余の重合体はスチレン系ブロック共重合体で
ある。スチレン系重合体が5重量%未満では加熱流動性
や加工時の樹脂材料の安定性が低下して好ましくない。
またスチレン系重合体が99重量%を超えると衝撃強度
が著しく低下して好ましくない。
【0057】更に、(a)成分と(b)成分の全重合体
に対するスチレンを主体とするビニル芳香族化合物結合
単位の含有率は50〜99重量%の範囲に限定される。
ビニル芳香族化合物結合単位の含有率は、好ましくは7
0〜98重量%、特に好ましくは80〜95重量%の範
囲である。スチレン結合単位の含有率が50重量%未満
では、得られるスチレン系樹脂材料の剛性が著しく低下
し、樹脂材料としての十分な物理的性質、特に十分な剛
性が得られず、好ましくない。また、スチレンを主体と
するビニル芳香族化合物結合単位の含有率が99重量%
を越えると、衝撃強度が著しく低下して好ましくない。
【0058】本発明のスチレン系樹脂材料に含まれる分
子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分は、
スチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分と
からなる。具体的には、ここで言うスチレンオリゴマー
成分とはスチレンの二量体および三量体である。非スチ
レンオリゴマー成分とはこれらのスチレンオリゴマーを
除く、フェニル基を1〜3個有する分子量140〜40
0の範囲の低分子成分である。
【0059】スチレンの二量体は分子量が208であっ
て、2,4−ジフェニル−1−ブテン、シス−1,2−
ジフェニルシクロブタン、トランス−1,2−ジフェニ
ルシクロブタン等が挙げられる。スチレンの三量体は分
子量312であって、2,4,6−トリフェニルー1−
ヘキセン、1−フェニル−4−(1’−フェニルエチ
ル)テトラリン(4種類の異性体を含む)、1,3,5
−トリフェニル−シクロヘキサン等が挙げられる。
【0060】非スチレンオリゴマー成分は、分子中に芳
香環を1〜3個有する炭化水素化合物である。具体的に
は、芳香環を2個有する炭化水素化合物として1,3−
ジフェニルプロパン、1,3−ジフェニルブタン、2,
4−ジフェニルペンタン、芳香環を3個有する炭化水素
化合物として1,3,5−トリフェニルペンタン、1,
3,5−トリフェニルヘキサン、1,2,4−トリフェ
ニルシクロペンタン等が挙げられる。
【0061】これらの非スチレンオリゴマー成分は、主
に特定の溶媒や含まれる不純物とスチレン単量体が、有
機リチウムの共存下に反応する等して生成し、もはやス
チレンオリゴマーとは言えない構造を有する。例えば、
含まれるトルエンにスチレンが1分子あるいは2分子付
加して、1,3−ジフェニルプロパンや1,3,5−ト
リフェニルペンタンが生成する。また、エチルベンゼン
にスチレンが1分子あるいは2分子付加して、1,3−
ジフェニルブタン、1,3,5−トリフェニルヘキサン
が生成する。
【0062】その他にも、そのスチレン樹脂が分解して
生成する等、生成機構は必ずしも明らかではないが、
1,2,4−トリフェニルシクロペンタン、2,4−ジ
フェニルペンタン、1,2−ジフェニルシクロプロパン
等も加熱脱揮後のスチレン系重合体中に認められる。本
発明のスチレン系樹脂材料においては、全重合体に対し
て含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系低
分子成分は1000ppm未満であって、かつその内の
非スチレンオリゴマー成分が500ppm未満なければ
ならない。スチレン系低分子成分は好ましくは600p
pm未満、更に好ましくは400ppm未満、特に好ま
しくは200ppm未満である。また、それぞれに対応
して、その内の非スチレンオリゴマー成分は好ましくは
300ppm未満、更に好ましくは200ppm未満、
特に好ましくは100ppm未満である。
【0063】本発明のスチレン系樹脂材料においては、
全重合体に対して含まれるスチレン単量体は500pp
m未満であることが好ましい。更に好ましくは200p
pm未満、特に好ましくは100ppm未満、最も好ま
しくは20ppm未満である。本発明のスチレン系樹脂
材料においては、全重合体に対して含まれる残存炭化水
素溶媒は1000ppm未満であることが好ましい。更
に好ましくは300ppm未満、特に好ましくは100
ppm未満である。
【0064】これらの低分子成分、即ちスチレン系低分
子成分、スチレン単量体および残存炭化水素溶媒の含有
量が多いと、スチレン系樹脂材料の成形、加工時の熱安
定性が十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣
る。樹脂材料中に含まれる低分子成分は、成形品の内部
から表面に拡散あるいは滲むため、印刷が乗り難い、あ
るいは印刷部分が剥離しやすい。特にスチレン系低分子
成分が多いと、成型加工時に油状物質が、金型や成形品
に付着する等の問題を来す場合がある。更にはスチレン
系樹脂材料中に含まれる低分子成分が溶出あるいは揮発
する等の問題を来す場合がある。
【0065】スチレン単量体が20ppm未満、分子量
140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が200
ppm以下、かつ非スチレンオリゴマー成分が100p
pm以下では、拡散あるいは溶出がほとんど認められ
ず、食品包装用途に特に好ましい。本発明のスチレン系
樹脂材料の特長のひとつは優れた透明性にある。用途に
もよるが、樹脂材料の2mm厚シートの全光線透過率が
好ましくは70%以上、更に好ましくは75%以上、特
に好ましくは80%以上であることが好ましい。
【0066】本発明のスチレン系樹脂材料は、安定剤の
他にも、必要によりスチレン系樹脂において使用が公知
の樹脂添加剤を添加することができる。その例として染
料、顔料、充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤
等が挙げられる。また、本発明のスチレン系樹脂材料
は、必要によりその特長が失われない範囲で、他の公知
の樹脂を混合して含むことができる。その例としてラジ
カル重合により得られるポリスチレンやハイインパクト
ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ABSが挙げ
られる。
【0067】本発明のスチレン系樹脂材料は、公知の樹
脂成形方法により成形することができる。具体的な樹脂
成形方法としては射出成形、圧縮成型、押出し成形、中
空成形、真空成形、シートあるいはフィルム成形等が挙
げられる。また、各種発泡成形技術と組み合わせて、発
泡成型体を成型することもできる。本発明のスチレン系
樹脂材料は、その特長、即ち加熱時の剛性、耐熱性、印
刷性、成型性、透明性を生かす各種の成形品用途に用い
ることができる。その低分子量成分が極めて低いこと、
透明性、衝撃強度に優れる点を生かす用途に、特に好ま
しく利用できる。
【0068】例えば電気製品材料、雑貨材料、玩具材
料、住宅の発泡断熱材、食品容器材料、食品包装材料等
のスチレン系樹脂の使用が公知の各種用途に好ましく用
いることができる。スチレン単量体、スチレン系低分子
成分の含有量が極めて少ないことを生かして、食品と直
接接触するような食品容器、食品包装用途に特に好まし
く使用できる。例えば各種の食品包装、食品容器、また
発泡成形して発泡食品容器、発泡食品包装を好ましく成
形できる。
【0069】食品容器、包装の具体例としては、例えば
射出成形、射出中空成形あるいはシート状に二軸延伸加
工する等して得られる乳酸飲料容器、プリン容器、ゼリ
ー容器、醤油さし等の食品容器、発泡成形して得られる
食品トレー、インスタント麺のどんぶり、弁当箱、飲料
カップ等の食品容器、あるいはシートあるいはフィルム
成形して得られる青果物包装、水産物包装等の食品包装
が挙げられる。以下に実施例および比較例を挙げて本発
明の態様を具体的に説明する。しかし、これらにより、
本発明の技術範囲を何ら限定するのではない。
【0070】スチレン系重合体の製造例1 攪拌機を備えた容量2リッターの完全混合型の反応槽R
1と、攪拌機を備えた容量1リッターのプラグフロー型
の反応槽R2とを直列に結合した。両反応槽は熱水ジャ
ケットにより温度を80℃に制御した。反応槽R1には
スチレンと重合溶媒としてシクロヘキサンの50/50
重量比の混合液を1.78Kg/時の流量でフィードし
た。また、別途有機リチウム開始剤としてn−ブチルリ
チウムのシクロヘキサン溶液を、スチレン1Kg当た
り、8ミリモルに相当する量で同反応槽にフィードし
た。
【0071】反応槽R1からの流出した反応液は、引き
続き反応槽R2をプラグフローで通過させた。反応槽R
1から流出した時点での単量体の重合転化率は平均98
%、反応槽R2の通過後の転化率は99.99%以上で
あった。得られた重合体溶液はリチウム量の3倍モル量
のメタノールを添加することによりアニオン活性末端を
失活させた。その後、重合体溶液は減圧したフラッシュ
タンク中240℃に加熱処理することで、揮発成分を除
去した。更に水を重合体に対して0.5重量%添加、混
合した後、250℃の真空ベント付き押出機を通して、
残余の揮発成分を除去した。この様にして得られたスチ
レン系重合体構造の分析結果を表1に示す。
【0072】スチレン系重合体の製造例2 スチレンと重合溶媒としてシクロヘキサンを用い、その
組成を30/70重量比、両反応槽の温度を90℃とす
る以外は製造例1と同様に実施した。得られたスチレン
系重合体構造の分析結果を表1に示す。 スチレン系重合体の製造例3 プラグフローの反応槽R2を除いて、反応槽R1のみを
用いる以外は製造例1と同様に実施した。得られたスチ
レン系重合体構造の分析結果を表1に示す。
【0073】スチレン系重合体の製造例4 リフラックスコンデンサーおよび攪拌機を備えた実容量
2リッターの完全混合型の反応槽R1と、攪拌機を備え
た容量1リッターのプラグフロー型の反応槽R2とを直
列に結合した。反応槽R1にはスチレンと重合溶媒とし
てシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶媒(3wt%
のn−ヘキサンを含む)の50/50重量比の混合液を
1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有
機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのシクロヘ
キサン溶液を、スチレン1Kg当たり、8ミリモルに相
当する量で同反応槽にフィードした。反応槽R1の圧力
は常圧とし、重合時の発熱はリフラックスコンデンサー
にシクロヘキサンをリフラックスしながら除熱した。反
応液の温度は81℃でほぼ安定した。反応槽R2は熱水
ジャケットにより温度を80℃に制御した。反応槽R1
内の平均単量体濃度を測定すると1.0重量%であっ
た。得られたスチレン系重合体構造の分析結果を表1に
示す。
【0074】スチレン系重合体の製造例5 重合溶媒にエチルベンゼンを用い、両反応槽の温度を1
22℃とする以外は製造例1と同様に実施した。得られ
たスチレン系重合体構造の分析結果を表1に示す。 スチレン系重合体の製造例6 製造例1の攪拌速度を落とし、攪拌羽根形状を変えて、
反応槽R1の流れをプラグフローに状態に設定し、他の
条件は製造例1と同様に実施した。反応槽R1内の平均
単量体濃度は11.6重量%であった。得られたスチレ
ン系重合体構造の分析結果を表1に示す。
【0075】スチレン系重合体の製造例7 攪拌機を備えた容量2リッターの反応槽に、常温におい
て0.75Kgのスチレンと重合溶媒として0.75K
gのエチルベンゼン、有機リチウム開始剤としてn−ブ
チルリチウム0.57ミリモルを仕込む。その後、攪拌
しながら徐々に温度を上げたところ、50℃程度から内
部発熱により昇温して、最終温度は133℃に到達し
た。その後、徐々に温度を下げて100℃にし、合計
1.5時間反応を続けた。重合後の処理条件は製造法1
と同様に実施した。得られたスチレン系重合体構造の分
析結果を表1に示す。
【0076】スチレン系重合体の製造例8 攪拌機を備えた容量2リッターの反応槽に、常温におい
て1.35Kgのスチレンと重合溶媒として0.15K
gのエチルベンゼンを仕込む。その後、攪拌しながら徐
々に温度を上げ130℃〜140℃で6時間熱ラジカル
重合し、その後160℃で2時間重合を続けた。重合後
の処理条件は製造例1と同様に実施した。得られたスチ
レン系重合体構造の分析結果を表1に示す。
【0077】スチレン系ブロック共重合体の製造例9 攪拌機を備えた容量1リッターの完全混合型の反応槽R
1、攪拌機を備えた容量2リッターのプラグフロー型の
反応槽R2およびラインミキサーM1を順次直列に結合
した。両反応槽およびラインミキサーは温度を80℃に
制御した。反応槽R1にはスチレンと重合溶媒としてシ
クロヘキサンの30/70重量比の混合液を0.45K
g/時の流量でフィードした。また、別途有機リチウム
開始剤としてn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液
を、最終的な全単量体1Kg当たり、12.0ミリモル
に相当する量で同反応槽にフィードし、スチレン重合体
ブロックAを形成した。重合溶液は続いてR2に移送
し、新たにブタジエンとシクロヘキサンの30/70重
量比の混合液を1.04Kg/時の流量でフィードし、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体A−Bを形成し
た。スチレン−ブタジエンブロック共重合体は、続くラ
インミキサー中で最終的な全単量体1Kg当たり、5.
0ミリモルに相当する量のジメチルジクロルシランのシ
クロヘキサン溶液をフィードし、カップリングすること
によりA−B−Aトリブロック共重合体とした。
【0078】得られた重合体溶液はリチウムの10倍モ
ル量のメタノールを添加。その後、重合体溶液には重合
体100g当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた
後、減圧したフラッシュタンク中220℃に加熱処理す
ることで、揮発成分を除去した。更に180℃の真空ベ
ント付き押出機を通して、残余の揮発成分を除去した。
この様にして得られたスチレン系ブロック共重合体は、
A−B−Aタイプの直鎖トリブロック構造を有し、重量
平均分子量14.8万、数平均分子量9.8万、スチレ
ン含有率70重量%であった。また、反応槽R1中のス
チレン重合体ブロックAを一部抜き出し、分子量分析し
たところ、重量平均分子量6.6万、数平均分子量3.
3万、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
【0079】スチレン系ブロック共重合体の製造例10 攪拌機を備えた容量20リッターの反応槽に、溶媒とし
てシクロヘキサン12Kgを仕込み、その後50℃に保
ちながら、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶
液34ミリモル、スチレン0.84Kgおよびブタジエ
ン1.96Kgを順次仕込み、各ブロックを50℃〜8
0℃の温度範囲で、各1時間および2時間かけて重合し
た。重合後16ミリモルのジメチルジクロルシランのシ
クロヘキサン溶液をフィードし、カップリングした。得
られた重合体溶液はリチウムの10倍モル量のメタノー
ルを添加することにより残余のアニオン活性末端を失活
させた。その後、重合体溶液には重合体100g当た
り、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧したフラ
ッシュタンク中220℃に加熱処理することで、揮発成
分を除去した。更に180℃の真空ベント付き押出機を
通して、残余の揮発成分を除去した。この様にして得ら
れたスチレン系ブロック共重合体は、A−B−Aタイプ
の直鎖トリブロック構造を有し、重量平均分子量12.
4万、数平均分子量10.7万、スチレン含有率70重
量%であった。また、重合途中段階のスチレン重合体ブ
ロックAを一部抜き出し、分子量分析したところ、重量
平均分子量4.0万、数平均分子量3.7万、分子量分
布(Mw/Mn)1.08であった。
【0080】スチレン系ブロック共重合体の製造例11 攪拌機を備えた容量20リッターの反応槽に、溶媒とし
てシクロヘキサン12Kgを仕込み、その後50℃に保
ちながら、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶
液60ミリモル、スチレン0.84Kgおよびブタジエ
ン1.96Kgを順次仕込み、各ブロックを50℃〜8
0℃の温度範囲で、各1時間および2時間かけて重合し
た。重合後14ミリモルのテトラクロルシランのシクロ
ヘキサン溶液をフィードし、カップリングした。得られ
た重合体溶液はリチウムの10倍モル量のメタノールを
添加することにより残余のアニオン活性末端を失活させ
た。その後、重合体溶液には重合体100g当たり、
0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧したフラッシ
ュタンク中220℃に加熱処理することで、揮発成分を
除去した。更に180℃の真空ベント付き押出機を通し
て、残余の揮発成分を除去した。この様にして得られた
スチレン系ブロック共重合体は、(A−B)4−Xタイ
プのラジアル分岐構造を有し、重量平均分子量12.1
万、数平均分子量10.6万、スチレン含有率70重量
%であった。また、重合途中段階のスチレン重合体ブロ
ックAを一部抜き出し、分子量分析したところ、重量平
均分子量2.1万、数平均分子量1.8万、分子量分布
(Mw/Mn)1.15であった。
【0081】スチレン系ブロック共重合体の製造例12 攪拌機を備えた容量1リッターの完全混合型の反応槽R
1、攪拌機を備えた容量2リッターのプラグフロー型の
反応槽R2、攪拌機を備えた容量1リッターの完全混合
型の反応槽R3、および攪拌機を備えた容量2リッター
のプラグフロー型の反応槽R4を順次直列に結合した。
各反応槽は温度を熱水ジャケットにより80℃に制御し
た。反応槽R1にはスチレンと重合溶媒としてシクロヘ
キサンの30/70重量比の混合液を0.25Kg/時
の流量でフィードした。また、別途有機リチウム開始剤
としてn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、最
終的な全単量体1Kg当たり、14.0ミリモルに相当
する量で同反応槽にフィードした。重合溶液は続いて反
応槽R2に順次移送し、新たにブタジエンとシクロヘキ
サンの30/70重量比の混合液を0.75Kg/時の
流量でフィードした。
【0082】重合溶液は続いて反応槽R3に順次移送
し、新たにスチレンとシクロヘキサンの30/70重量
比の混合液を0.25Kg/時の流量でフィードした。
更に、重合溶液は反応槽R4を通し、重合を完結させ
た。得られた重合体溶液はリチウムの10倍モル量のメ
タノールを添加。その後、重合体溶液には重合体100
g当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧し
たフラッシュタンク中220℃に加熱処理することで、
揮発成分を除去した。更に180℃の真空ベント付き押
出機を通して、残余の揮発成分を除去した。この様にし
て得られたスチレン系ブロック共重合体は、A−B−A
タイプの直鎖トリブロック構造を有し、重量平均分子量
13.8万、数平均分子量9.5万、スチレン含有率4
0重量%であった。
【0083】スチレン系ブロック共重合体の製造例13 攪拌機を備えた容量1リッターの完全混合型の反応槽R
1、攪拌機を備えた容量2リッターのプラグフロー型の
反応槽R2、攪拌機を備えた容量1リッターの完全混合
型の反応槽R3、および攪拌機を備えた容量2リッター
のプラグフロー型の反応槽R4を順次直列に結合した。
各反応層は温度を80℃に制御した。反応槽R1にはス
チレンと重合溶媒としてシクロヘキサンの30/70重
量比の混合液を0.06Kg/時の流量でフィードし
た。また、別途有機リチウム開始剤としてn−ブチルリ
チウムのシクロヘキサン溶液を、最終的な全単量体1K
g当たり、14.0ミリモルに相当する量で同反応槽に
フィードした。重合溶液は続いて反応槽R2に順次移送
し、新たにブタジエンとシクロヘキサンの30/70重
量比の混合液を1.08Kg/時の流量でフィードし
た。
【0084】重合溶液は続いて反応槽R3に順次移送
し、新たにスチレンとシクロヘキサンの30/70重量
比の混合液を0.06Kg/時の流量でフィードした。
更に、重合溶液は反応槽R4を通し、重合を完結させ
た。得られた重合体溶液はリチウムの10倍モル量のメ
タノールを添加。その後、重合体溶液には重合体100
g当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧し
たフラッシュタンク中220℃に加熱処理することで、
揮発成分を除去した。更に180℃の真空ベント付き押
出機を通して、残余の揮発成分を除去した。この様にし
て得られたスチレン系ブロック共重合体は、A−B−A
タイプの直鎖トリブロック構造を有し、重量平均分子量
13.2万、数平均分子量9.3万、スチレン含有率1
0重量%であった。
【0085】耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の製造
例14 各々が攪拌機を備えた容量6.2リッターの反応槽を3
槽直列に結合した。これに、2.2リッター/時にて、
連続的して第1反応槽に下記組成の原料系をフィードし
た。第1反応槽の出口の固形分濃度が38重量%になる
ように第1反応槽の温度を調整した。また、第3反応槽
の出口の固形分濃度が80重量%になるように第2、第
3反応槽温度を調整した。重合体溶液には重合体100
g当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧し
たフラッシュタンク中220℃に加熱処理することで、
揮発成分を除去した。更に180℃の真空ベント付き押
出機を通して、残余の揮発成分を除去した。この様にし
て得られたスチレン系重合体における重合体の可溶分の
重量平均分子量は24.2万、分子量分布(Mw/M
n)は2.9であった。また、分散相の平均ゴム粒子径
は1.5μm 、ゴム含率12.5重量%であった。
【0086】 原料系の組成 ポリブタジエン(日本ゼオン(株)ニポール1220SL) 9.8重量部 スチレン 76.8重量部 エチルベンゼン 13.0重量部 t−ブチルパーオキシドイソプロピルカーボネート 0.04重量部 α−メチルスチレン2量体 0.02重量部 ポリジメチルシロキサン 0.10重量部
【0087】
【実施例1〜9および比較例1〜7】上記の製造例1〜
15で得た重合体を各割合で、押出機にて混合し、スチ
レン系樹脂材料を得た。各重合体組成の重量比、ベース
重合体の特性、混合後のスチレン系樹脂材料中の低分子
成分含率を表1に示す。また、スチレン系樹脂材料の樹
脂性能を表2に示す。
【0088】
【実施例10】製造例4で得たスチレン重合体と製造例
9で得たスチレン系ブロック共重合体を、重合溶液段階
で混合した後、重合体混合溶液に重合体100g当た
り、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧したフラ
ッシュタンク中220℃加熱処理することで、揮発成分
を除去した。更に180℃の真空ベント付き押出機を通
して、残余の揮発成分を除去し、スチレン系樹脂材料を
得た。各重合体組成の重量比、ベース重合体の特性、ス
チレン系樹脂材料中の低分子成分含率を表1に示す。ま
た、スチレン系樹脂材料の樹脂性能を表2に示す。
【0089】性能の評価基準 (1)成形性評価 以上で得られたスチレン系樹脂材料
を用いて2.0mm厚の平板を樹脂温度220℃、金型
温度50℃で射出成形した。また、成形性は成形平板の
フローマークの状態で評価した。評価基準を以下に示
す。 ○:フローマークが全く認められない。 △:フローマークが僅かに認められる。 ×:フローマークが顕著に認められる。 (2)透明性評価 上記のスチレン系樹脂材料の2.0mm厚平板を用い、
全光線透過率により透明性を評価した。
【0090】(3)印刷性評価 上記のスチレン系樹脂材料の平板上にポリスチレン用の
インキをシルクスクリーン印刷、90℃で2時間乾燥、
更に25℃で24時間放置する。その後セロハンテープ
を密着させ、そのテープを引き剥がし、印刷面のインク
の剥離状態を観察することにより、印刷性を評価した。
評価基準を以下に示す。 ○:印刷面の剥離は僅かであった。 ×:印刷面の剥離が顕著に認められる。
【0091】(4)衝撃強度評価 スチレン系樹脂材料の衝撃強度をIzod衝撃試験によ
り評価した。ASTMD256ノッチ付き。 ◎:2.0Kg・cm/cm以上 ○:1.0Kg・cm/cm以上、2.0kg・cm/
cm未満 ×:1.0Kg・cm/cm未満
【0092】(5)金型汚染性評価 上記のスチレン系樹脂材料平板の成型を500ショット
実施後、金型表面をガーゼで強く拭い、ガーゼへの油状
物質の付着状況で評価した。評価基準を以下に示す。 ○:油状物質の付着が全く認められない。 ×:油状物質の付着が僅かに認められる。
【0093】(6)発泡特性評価 上記スチレン系樹脂材料を用いて、スチレン系樹脂材料
100重量部にタルク0.1重量部を添加し、一段目押
出機に導入し、約220℃で熱可塑化した後、ブタンを
約4重量%圧入、含浸させた。次いで、二段目押出機に
送り込み、発泡に適した粘度に温調したものを約130
℃のダイスより押出して、スチレン系樹脂材料発泡シー
トを作成した。シートは十分に養生させた後、その厚み
および性能を測定もしくは評価した。スチレン系樹脂材
料発泡シートの平均厚みは約2.5mmであった。評価
基準を以下に示す。 ○:気泡のサイズが均一で独立 ×:気泡のサイズがやや不均一で、一部連続した気泡が
存在する。
【0094】(7)溶出量の測定 前記の射出成形で得られた1.2mm厚のシートを切断
し、表面積1cm2 当たり、2mlのn−ヘプタン溶媒
を加え、25℃で1時間浸漬、溶出した後、ガラス容器
に移し、この溶液を溶出液として分析、評価した。 1)スチレン単量体および炭化水素溶媒の分析方法 上記溶出液をガスクロマトグラフィー質量分析計にかけ
て定量分析した。 2)スチレン系低分子成分の分析方法 上記溶出液50mlを濃縮後、ヘキサンを用いて2ml
に定容して、ガスクロマトグラフィー質量分析計にかけ
て定量分析した評価結果を表2にまとめて示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
【発明の効果】本発明のスチレン系重合体およびスチレ
ン系ブロック共重合体からなるスチレン系樹脂材料は、
透明性、印刷性、衝撃強度等の樹脂性能、加熱流動性、
金型汚染性、発泡特性等の成形加工性、および溶出特性
のバランスに極めて優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA21 AA75 AA81 AH04 AH05 AH12 BB06 BC01 4F074 AA32 AA32C AB01 AC32 BA37 CA24 CB53 CC32Y CC42 DA33 DA34 DA45 DA47 4J002 BC03W BC05W BC07W BC08W BP01X GC00 GG01 GG02 GQ00

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)スチレン系重合体 5〜99重量
    %、および、(b)スチレン系ブロック共重合体 95
    〜1重量%、を含有し、かつ(a)成分と(b)成分の
    全重合体におけるスチレンを主体とするビニル芳香族化
    合物結合単位が50〜99重量%の範囲、共役ジエン結
    合単位が50〜1重量%の範囲にあることを特徴とする
    スチレン系樹脂材料。[ただし、上記(a)成分のスチ
    レン系重合体は、有機リチウム開始剤を用いたアニオン
    重合法により得られるスチレン結合単位を主体とする重
    合体であって、その重量平均分子量が1万〜50万の範
    囲、重量平均分子量と数平均分子量との比で表される分
    子量分布(Mw/Mn)が1.3〜5.0の範囲にあ
    り、上記(b)成分のスチレン系ブロック共重合体は、
    有機リチウム開始剤を用いたアニオン重合法により、ス
    チレンを主体とするビニル芳香族化合物および共役ジエ
    ンを順次重合し、更に必要により重合体の活性末端をカ
    ップリング反応して得られ、スチレン結合単位を主体と
    する少なくとも2つのブロックと、共役ジエン結合単位
    を主体とする少なくとも1つのブロックを有し、スチレ
    ンを主体とするビニル芳香族化合物結合単位の含有率が
    20〜95重量%、重量平均分子量が3万〜50万の範
    囲にある。]
  2. 【請求項2】 (a)成分のスチレン系重合体が、逆混
    合流れを有する反応槽の一方から、一括あるいは分割し
    て原料系を連続的に仕込み、他方から生成系を連続的に
    抜き出す連続重合法で得られる生成物であることを特徴
    とする請求項1に記載のスチレン系樹脂材料。
  3. 【請求項3】 (b)成分のスチレン系ブロック共重合
    体が、重合体連鎖中にA−B−A’構造を含む直鎖構造
    であることを特徴とする請求項1または2に記載のスチ
    レン系樹脂材料。[ここで、A,A’はスチレン結合単
    位を主体とするブロックであり、AおよびA’は同一構
    造であっても、異なる構造であっても構わない。Bは共
    役ジエン結合単位を主体とするブロックである。]
  4. 【請求項4】 (b)成分のスチレン系ブロック共重合
    体を構成するスチレン結合単位を主体とする各ブロック
    が、連続重合プロセスで得られるブロックであることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスチレン系
    樹脂材料。
  5. 【請求項5】 (b)成分のスチレン系ブロック共重合
    体を構成するスチレン結合単位を主体とするブロックの
    重量平均分子量と数平均分子量の比で示す分子量分布
    (Mw/Mn)が1.2〜5.0の範囲にあることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスチレン系樹
    脂材料。
  6. 【請求項6】 (a)成分のスチレン系重合体の重量平
    均分子量(Mwa)と、(b)成分のスチレン系ブロッ
    ク共重合体を構成するスチレン結合単位を主体とするブ
    ロックの重量平均分子量(Mwb)の比(Mwa/Mw
    b)が0.3〜3.0の範囲にあることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のスチレン系樹脂材料
  7. 【請求項7】 (a)成分と(b)成分の全重合体に対
    して含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系
    低分子成分が、1000ppm未満であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載のスチレン系樹脂材
    料。[ここに、分子量140〜400の範囲のスチレン
    系低分子成分は、スチレンオリゴマー成分と非スチレン
    オリゴマー成分とからなり、スチレンオリゴマー成分と
    は、スチレンの二量体および三量体であり、非スチレン
    オリゴマー成分とは、これらのスチレンオリゴマーを除
    く、フェニル基を1〜3個有する分子量140〜400
    の範囲の低分子成分である。]
  8. 【請求項8】 (a)成分と(b)成分の全重合体に対
    して含まれるスチレン単量体が500ppm未満である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスチ
    レン系樹脂材料。
  9. 【請求項9】 (a)成分と(b)成分の全重合体に対
    して含まれる炭化水素溶媒が1000ppm未満である
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のスチ
    レン系樹脂材料。
  10. 【請求項10】 (a)成分のスチレン系重合体の炭化
    水素溶液と(b)成分のスチレン系ブロック共重合体の
    炭化水素溶液を溶液混合した後、加熱脱揮して得られる
    請求項1〜9のいずれかに記載のスチレン系樹脂材料。
  11. 【請求項11】 2mm厚シートにした場合の全光線透
    過率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜1
    0のいずれかに記載のスチレン系樹脂材料。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載のス
    チレン系樹脂材料を成形してなる食品包装成形体または
    食品容器。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれかに記載のス
    チレン系樹脂材料を発泡成形してなる食品包装成形体ま
    たは食品容器。
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