JP2002127228A - 流延装置 - Google Patents

流延装置

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JP2002127228A
JP2002127228A JP2000324386A JP2000324386A JP2002127228A JP 2002127228 A JP2002127228 A JP 2002127228A JP 2000324386 A JP2000324386 A JP 2000324386A JP 2000324386 A JP2000324386 A JP 2000324386A JP 2002127228 A JP2002127228 A JP 2002127228A
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rotary drum
die
exhaust chamber
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Kazuo Sugiyama
和男 杉山
Hiroshi Sakanashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所定方向に回転する回転ドラムの周面に溶融状
態の熱可塑性樹脂を吐出し、その回転ドラムの周面上に
溶融状態の熱可塑性樹脂を流延させる流延装置に関し、
オリゴマー等の昇華物の析出物が、回転ドラムの周面に
吐出された熱可塑性樹脂の上や、回転ドラムの周面上に
落下することを防止する。 【解決手段】ダイ11と一体的に設けられダイ11から
排気チャンバ13に向かって延設された、回転ドラム1
2側の面141が平坦に広がるガイド板14を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定方向に回転す
る回転ドラムの周面に溶融状態の熱可塑性樹脂を吐出
し、その回転ドラムの周面上に溶融状態の熱可塑性樹脂
を流延させる流延装置に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂からなるシート状物は、写
真フィルムの支持体、包装用フィルム、磁気記録テープ
の支持体等に広く使用されている。
【0003】この熱可塑性樹脂からなるシート状物の多
くは、所定の方向に回転する回転ドラムの周面に、溶融
状態の熱可塑性樹脂をダイから連続的に吐出させ、溶融
状態の熱可塑性樹脂を回転ドラムの周面上で急冷却させ
てシート状物を形成した後、このシート状物に必要な強
度を与えるため、加熱しながら、縦方向や横方向に延伸
させることにより製造される。
【0004】ダイから熱可塑性樹脂を吐出するときや、
加熱しながら延伸するときには、熱可塑性樹脂に含有さ
れているオリゴマー等の昇華物が周囲の雰囲気中に放出
され、その雰囲気中の温度の低い部材に析出する。特
に、温度が製造工程中最も高いダイから吐出されたばか
りの熱可塑性樹脂からは、多量のオリゴマー等の昇華物
が周囲の雰囲気中に放出され、回転ドラムの周面を囲む
温度の低い部材に析出し、シート状物の上に落下した
り、回転ドラムの周面上に落下してその上に溶融状態の
熱可塑性樹脂が吐出されると、製品欠陥になったり、後
工程の延伸時にシート状物に破れを生じさせたりする。
【0005】そこで、従来から、ダイに対し、回転ドラ
ムの回転方向前方の位置に、ダイと回転ドラムの周面と
の間の空気を吸気する排気チャンバを配備して、雰囲気
中に放出されたオリゴマー等の昇華物を除去することが
知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、排気チ
ャンバの吸気口までの吸気流路に、温度の低い部材があ
ると、雰囲気中に放出されたオリゴマー等の昇華物は、
排気チャンバによって吸気される前に、その温度の低い
部材に析出してしまう。特に、吸気流路に温度の低い凹
凸のある部材があると、オリゴマー等の昇華物は、その
凹凸部分に析出しやすい。
【0007】本発明は、上記事情に鑑み、オリゴマー等
の昇華物の析出物が、回転ドラムの周面に吐出された熱
可塑性樹脂の上や、回転ドラムの周面上に落下すること
を防止する流延装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の第1の流延装置は、回転ドラムの周面に溶融状態の
熱可塑性樹脂を吐出するダイを備え、そのダイより、そ
の回転ドラムの回転方向前方の位置に配備された、その
回転ドラムの周面に向いた吸気口を有する排気チャンバ
を備えた流延装置において、上記ダイと一体的に設けら
れそのダイから上記排気チャンバに向かって延設され
た、上記回転ドラム側の面が平坦に広がるガイド板を備
えたことを特徴とする。
【0009】本発明の第1の流延装置は、上記ガイド板
が、オリゴマー等の昇華物を含む空気を上記排気チャン
バの吸気口に向かって案内することができるため、オリ
ゴマー等の昇華物の析出防止になり、その結果、昇華物
の析出物が、回転ドラムの周面に吐出された熱可塑性樹
脂の上に落下することを防止することができる。さら
に、ガイド板は、ダイと一体的に設けられるとともに回
転ドラム側の面が平坦に広がるものであるため、空気の
滞留を防ぐことができる点からも、昇華物の析出防止に
なり、その結果、昇華物の析出物が、回転ドラムの周面
に吐出された熱可塑性樹脂の上に落下することを防止す
ることができる。なお、上記ガイド板を加熱する加熱機
構を設けることによって、ガイド板に接する空気の温度
低下を防ぎ、ガイド板に昇華物が析出することをより確
実に防止することができる。
【0010】また、本発明の第1の流延装置において、
上記ガイド板及び上記排気チャンバは、上記ダイのリッ
プ部の、回転ドラム幅方向の幅と同じ若しくはそれより
広幅であることが好ましい。
【0011】このように上記ガイド板をそのリップ部の
幅以上の幅にすることによって、上記ガイド板は、ダイ
より回転ドラムの回転方向前方に備えられた温度の低い
部材との遮蔽板としても機能し、さらに、上記排気チャ
ンバもそのリップ部の幅以上の幅にすることによって、
上記排気チャンバが、昇華物を含む空気を確実に吸気す
ることができ、昇華物の析出防止になり、これらの結
果、昇華物の析出物が、回転ドラムの周面に吐出された
熱可塑性樹脂の上に落下することをより確実に防止する
ことができる。なお、上記ガイド板及び上記排気チャン
バのドラム幅方向にみた幅寸法は、上記リップ部の幅と
同等以上でよく、更には、上記リップ部の幅より10%
から30%広いことがより好ましい。
【0012】また、本発明の第1の流延装置において、
上記ガイド板は、上記排気チャンバの吸気口の一部にオ
ーバーラップする位置まで延設されていることも好まし
い態様である。
【0013】このような態様にすることによって、昇華
物を含む空気を上記排気チャンバに、より確実に吸気さ
せることができる。なお、上記ガイド板は、上記吸気口
の一部にオーバーラップするにあたり、その吸気口との
間に隙間を空けた状態に配置されたものであることがよ
り好ましい態様である。隙間を空けた状態に配置するこ
とによって、上記ガイド板の回転ドラム側の表面に対す
る裏面側に昇華物を含む空気が回り込んだとしても、こ
の隙間を通して吸気することができ、昇華物の析出防止
になり、その結果、昇華物の析出物が、回転ドラムの周
面に吐出された熱可塑性樹脂の上に落下することをより
確実に防止することができる。
【0014】さらに、本発明の第1の流延装置におい
て、上記ダイの、上記回転ドラムの回転方向後方の位置
に、上記回転ドラムの周面に向いた吸気口を有する第2
の排気チャンバを備えたことも好ましい態様である。
【0015】このような態様にすると、第2の排気チャ
ンバによって、ダイの、回転ドラムの回転方向後方に存
在する昇華物を含む空気を吸気することができ、昇華物
の析出防止になり、その結果、ダイの、回転ドラムの回
転方向後方に析出した昇華物が、回転ドラムの周面上に
落下することを防止することができる。
【0016】また、上記目的を達成する本発明の第2の
流延装置は、回転ドラムの周面に溶融状態の熱可塑性樹
脂を吐出するダイを備え、そのダイより、その回転ドラ
ムの回転方向前方の位置に配備された、その回転ドラム
の周面に向いた吸気口と、その吸気口から吸気された空
気を排気する排気口とを有する排気チャンバを備えた流
延装置において、上記排気チャンバは、上記回転ドラム
の幅方向に関し、上記ダイのリップ部の、回転ドラム幅
方向の幅と同じ若しくはそれより広幅であって、かつ回
転ドラム幅方向の両壁それぞれに上記排気口を有するも
のであることを特徴とする。
【0017】本発明の第2の流延装置は、上記排気チャ
ンバの排気口が、上記回転ドラムの幅方向に関し、その
回転ドラムの周面上に吐出された熱可塑性樹脂から外れ
た外側の位置に位置するため、その排気口や排気口に接
続された排気管に昇華物が析出して、その析出物が落下
しても、回転ドラムの周面に吐出された熱可塑性樹脂の
上に落下することは防止することができる。
【0018】ここで、上記目的を達成する本発明の第2
の流延装置において、上記排気チャンバは、上記吸気口
と同じ方向に開口した貫通孔を有する仕切板で、その吸
気口を有する吸気室と、上記排気口を有する排気室とに
仕切られてなるものであって、上記仕切板を加熱する加
熱機構を備えたものであることが好ましい態様である。
【0019】このような態様にすると、上記排気室の内
周壁や上記排気口や排気口に接続された排気管に昇華物
が析出して、その析出物が落下しても、上記仕切板によ
って受け止められ、昇華物の析出物が、上記貫通孔から
上記回転ドラムの周面に吐出された熱可塑性樹脂の上に
落下することを防止することができる。また、上記加熱
機構によって、昇華物を含む空気が上記仕切板に析出す
ることを防止することができるため、昇華物の析出物
が、回転ドラムの周面に吐出された熱可塑性樹脂の上に
落下することを、この点からも防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】ここでは、まず最初に、写真フィ
ルムの支持体となる、熱可塑性樹脂であるポリエステル
からなるシート状物などを製造するシート状物製造装置
全体について、図1及び図2を用いて、以下説明する。
【0021】図1は、シート状物製造装置の前半部分を
説明するための図、図2は、シート状物製造装置の後半
部分を説明するための図である。
【0022】このシート状物製造装置1は、溶融状態の
熱可塑性樹脂をシート状に流延しながら冷却してシート
状物とした後、このシート状物を縦方向に延伸し、その
後、横方向にも延伸することにより、写真フィルムの支
持体を連続して製造する装置であって、溶融状態の熱可
塑性樹脂を流延してシート状にする流延装置10と、縦
方向への延伸を行う縦延伸装置20と、横方向への延伸
を行うテンタ30と、製造された支持体をロール状に巻
き取る巻取装置40とを有する。さらに、このシート状
物製造装置1は、装置起動時には、上流側の装置から徐
々に製造条件を整えて安定させていき、最終的に巻取装
置40までシート状物を通すものであり、このため、流
延装置10、縦延伸装置20、及びテンタ30それぞれ
の出口側には、各装置が製造条件を整えて安定するまで
の間に搬送されてくる、製品としては不十分なものを回
収するための回収装置(不図示)が設けられている。ま
た、これらの回収装置は、各装置が製造条件を整えて製
造段階に移った後に、何らかの理由により製品としては
不十分なものが製造されてきた場合にも稼働されるもの
である。
【0023】シート状物の製造にあたっては、まず、テ
レフタル酸とエチレングリコールを重合したものをペレ
ット状としたバージンペレットと、各回収装置で回収さ
れたものを再利用した再生原料それぞれを別々に乾燥さ
せた後、両者を混合させた状態で加熱し、溶融状態の熱
可塑性樹脂にする。
【0024】流延装置10は、ダイ11と回転ドラム1
2とを備えたものである。ダイ11は、溶融状態の熱可
塑性樹脂を吐出するスリット状のリップ部を有し、回転
ドラム12の上方に設けられている。バージンペレット
と再生原料との両者を混合させた状態で加熱して得られ
た溶融状態の熱可塑性樹脂は、ダイ11のリップ部か
ら、回転ドラム12の周面に連続的に吐出される。回転
ドラム12の周面に吐出された熱可塑性樹脂は、回転ド
ラム12がダイ11から、図1では時計回りに、略3/
4周するまでの間、回転ドラム12の周面の内方から水
冷されるとともに回転ドラム12の周面の外方から風を
吹き付けられて空冷されることによって急冷却され、所
定の厚みの無配向のシート状物になる。
【0025】なお、図2には、製造された支持体が巻取
装置40に巻き取られている状態が示されており、図1
および図2では、ダイ11のリップ部から吐出された溶
融状態の熱可塑性樹脂が支持体となって巻取装置40に
巻き取られるまでの経路を1点鎖線で表し、その経路の
途中で不図示の回収装置に回収される経路を2点鎖線で
表している。
【0026】流延装置10で形成されたシート状物は、
次に、図1に示す縦延伸装置20に搬送される。
【0027】縦延伸装置20には、入口と出口との間
に、搬送されてきたシート状物が所定のラップ角をもっ
て巻き付くように配置された複数の回転ロール21が備
えられている。また複数の回転ロール21それぞれは、
各所定の温度に調整されている。搬送されてきたシート
状物は、これらの回転ロール21によって、加熱された
り冷却されたりしながら出口に向かって搬送される。こ
れらの回転ロール21には、シート状物を延伸前に加熱
する複数の予熱回転ロール21aと、シート状物を加熱
した状態で縦方向に延伸する複数の延伸回転ロール21
bと、縦方向に延伸されたシート状物を冷却する複数の
冷却回転ロール21cとがある。この縦延伸装置20に
おける、シート状物の縦方向の延伸は、複数の延伸回転
ロール21bのうちの出口側の回転延伸ロールの回転速
度を、入口側の回転延伸ロールの回転速度よりも高速に
した状態でシート状物を通過させることにより行われ
る。
【0028】縦延伸装置20で縦方向に延伸されたシー
ト状物は、次に、図1と図2とに分かれて示されたテン
タ30に搬送される。
【0029】テンタ30は、それぞれ各所定の温度に調
整された複数の区画を有するものである(図1は、複数
の区画のうち上流側の区画を表したものであり、図2
は、複数の区画のうち下流側の区画を表したものであ
り、途中の区画は図示省略されている。)。これら複数
の区画は、上流側から順に、予熱ゾーン、延伸ゾーン、
熱固定ゾーン、熱緩和ゾーン、冷却ゾーンに複数ずつ割
り当てられている。また、シート状物の両側からシート
状物の両脇それぞれを把持するクリップが下流側に向か
って各区画内を走行している。シート状物はこのクリッ
プに両脇を把持された状態で、各区画内を通過してい
く。まず予熱ゾーンでは、搬送中のシート状物を加熱
し、延伸ゾーンでは、予熱ゾーンよりも高温の雰囲気の
中で、シート状物にクリップで横方向に張力を加えなが
らクリップを搬送することにより、シート状物を横方向
に延伸する。熱固定ゾーンでは、延伸ゾーンよりも高温
の雰囲気の中でシート状物の分子配向を固定させる。熱
緩和ゾーンでは、シート状物を焼きなましし、冷却ゾー
ンでは、シート状物を急冷却する。下流側の最後の区画
を出たシート状物は、シート状物の、テンタのクリップ
で把持されていた両脇部分それぞれが、図2の点線で表
された経路に従って除去され、残った中央部分が、この
シート状物製造装置で製造されるべき支持体として巻取
装置40に向けて搬送される。
【0030】そして、支持体が巻取装置40に正確に巻
き取られるようにするため、巻取装置40直前まで搬送
されてきた支持体は横方向の位置制御及び、巻取装置4
0に巻き取られるときの張力の調整を受けた後、巻取装
置40によってロール状に巻き取られる。
【0031】図1に示す流延装置10が本発明の流延装
置の一実施形態に相当するものであり、以下に図3,4
を用いて詳述する。
【0032】図3は、本実施形態の流延装置の模式断面
図、図4は、本実施形態の流延装置を上方からみた模式
図である。
【0033】本実施形態の流延装置10は、ダイ11、
前側排気チャンバ13、前側ガイド板14、後側板部材
15、及びこの後側板部材15の両側に設けられた2つ
の後側排気チャンバ16を備え、さらに、ダイ11の下
方には回転ドラム12を備えている。この回転ドラム1
2は、図3では矢印方向に回転するものである。
【0034】ダイ11は、リップ部111と、リップ間
隔Wの調整機構112とを備えている。リップ部111
は、溶融状態の熱可塑性樹脂を吐出する吐出口である。
なお、図4には、リップ111から吐出された熱可塑性
樹脂が1点鎖線で表されている。調整機構112は、リ
ップ部111の間隔Wを調整するための機構であって、
ボルト1121と、そのボルト1121を加熱する電気
ヒータ付きのスリーブ1122とを備えている。リップ
部111の間隔Wの調整は、電気ヒータ付きのスリーブ
1122の加熱によるボルト1121の熱膨張を利用し
て、ボルト1121を進退させることにより行われる。
本実施形態の流延装置10のダイ11には、この調整機
構112が、図4に示すように、回転ドラム12の幅方
向(図4に示す矢印方向)に多数配列されており、ダイ
11からは電気ヒータの配線1123が多数出ている。
これらの配線1123は、ダイ11よりも温度が低く、
この部分にオリゴマーが析出しやすいため、後述する、
前側ガイド板14や後側板部材15よりも、上方に設け
られている。
【0035】次に、ダイ11の、回転ドラム12の回転
方向前方に配置された前側排気チャンバ13について、
図5を参照しながら説明する。なお、前側排気チャンバ
13は本発明の第1の流延装置にいう排気チャンバに相
当するものである。
【0036】図5は、前側排気チャンバを説明するため
の模式図である。
【0037】前側排気チャンバ13は、回転ドラム12
の周面に向いた吸気口131と、回転ドラム12の幅方
向両側に向いた2つの排気口132とを有し、さらに、
貫通孔1331を有する仕切板133を備えたものであ
る。この前側排気チャンバ13は、天板134から吸気
口131に向かって漸次拡大する角錐台形状であって、
吸気口131の、回転ドラムの幅方向(図4に示す矢印
方向)の幅は、回転ドラム12の幅と同じ程度であっ
て、リップ部111の、回転ドラムの幅方向の幅より広
幅である(図4も併せて参照)。吸気口131からは、
ダイ11と回転ドラム12の周面との間の空気が吸気さ
れるから、前側排気チャンバ13は、リップ部111か
ら吐出されたばかりの熱可塑性樹脂から放出された、多
量のオリゴマー等の昇華物を確実に吸気することができ
る。なお、吸気口131の、回転ドラムの幅方向にみた
幅寸法は、リップ部111の幅と同等でもよいが、リッ
プ部111の幅より10%から30%広いことがより好
ましい。広幅ではあってもその程度が10%未満である
と、オリゴマー等の昇華物を確実に吸気できる可能性が
低下し、逆に30%より広幅であると、オリゴマー等の
昇華物が存在する領域の外の領域まで不必要に吸気して
しまい、排気ポンプの不必要な大型化を来してしまう。
また、排気口132は、回転ドラムの幅方向の両壁それ
ぞれの上半部に設けられている。このため排気口132
は、回転ドラムの幅方向に関し、回転ドラム12の周面
上に吐出された熱可塑性樹脂から外れた外側の位置に位
置することになる。したがって、前側排気チャンバ13
は、本発明の第2の流延装置にいう排気チャンバにも相
当する。なお、各排気口132には、排気管1321が
接続されている。仕切板133は、吸気口131を有す
る吸気室131’と排気口132を有する排気室13
2’とに仕切る、天板134と略平行に設けられた板で
あるが、略中央には貫通孔1331を有する。このた
め、排気室132’の内周壁や排気口132や排気管1
321にオリゴマー等の昇華物が析出して、その析出物
が落下しても、仕切板133によって受け止められ、析
出物が、貫通孔1331から回転ドラム12の周面に吐
出された熱可塑性樹脂の上に落下することを防止するこ
とができる。また、仕切板133の排気室132’側の
面には、プレート状ヒータ1332が貼り付けられてい
る。このため、オリゴマー等の昇華物を含む空気が仕切
板133に析出することを防止することができ、析出物
が、回転ドラムの周面に吐出された熱可塑性樹脂の上に
落下することを、この点からも防止することができる。
【0038】次に、本発明の第1の流延装置のガイド板
に相当する前側ガイド板14について説明する。
【0039】前側ガイド板14は、ダイ11と前側排気
チャンバ13との間に設けられた、ステンレス製のもの
であって、回転ドラムの幅方向のリップ部111の幅よ
り広い幅を有するものである。したがって前側ガイド板
14は、調整機構112の電気ヒータの配線1123等
の温度の低い部材との遮蔽板としての機能を有するの
で、この温度の低い部材にオリゴマー等の昇華物が析出
することを防止している。このため、配線1123等の
温度の低い部材の析出物の掃除が不要になり、生産効率
が向上する。ここで、前側ガイド板14も前述した前側
排気チャンバ13と同じように、回転ドラムの幅方向に
みた幅寸法は、リップ部111の幅と同等でもよいが、
リップ部111の幅より10%から30%広いことがよ
り好ましい。前側ガイド板14の前側排気チャンバ側の
端部は、前側排気チャンバ13の吸気口131の一部
を、吸気口131の開口方向に隙間Sを空けた状態に覆
う位置まで延びるものである(図3参照)。このため前
側ガイド板14は、オリゴマー等の昇華物を含む空気を
前側排気チャンバ13の吸気口131まで案内すること
ができるとともに、前側ガイド板14の上面側にオリゴ
マー等の昇華物を含む空気が回り込んだとしても、この
隙間Sを通して吸気することができ、オリゴマー等の昇
華物の析出を防止することができる。ここで、隙間S
は、5mmから100mmであることが好ましい。5m
m未満であると、熱歪による前側ガイド板14の変形に
よって隙間Sが無くなってしまい、吸気流路が断たれる
ことがある。100mmより長いと、回転ドラム側の表
面141側に存在するオリゴマー等の昇華物を含む空気
が、前側排気チャンバ13の吸気口131に吸気されず
に隙間Sを通過して、ガイド板14の回転ドラム側の上
側に抜けてしまう。ガイド板14のダイ側の端部は、ダ
イ11のリップ部111近傍に設けられた、ガイド板1
4の板厚分の深さを有する凹溝113に嵌め合わされた
状態でボルト締めされ、ガイド板14はこのボルト締め
により、ダイ11と一体的に設けられている。また、ガ
イド板14の、回転ドラム側の表面141は平坦であ
る。より具体的には、ガイト板14の回転ドラム側の表
面141には、バフ研磨加工等が施され、ボルトやヘコ
ミ等を出さない構造になっている。したがって、空気の
滞留を引き起こす凹凸が不存在のため、ガイド板14に
オリゴマー等の昇華物が析出することを防止することが
できる。さらに、ガイド板14のダイ11より外側の部
分の上面の全体には、プレート状ヒータ142が貼り付
けられている。ガイド板14のダイ11の部分は、ダイ
の熱によって十分な温度に加熱されているが、ガイド板
14のダイ11より外側の部分は、温度低下が生じるた
め、ガイド板14のダイ11より外側の部分に限って、
プレート状ヒータ142が全面に貼り付けられ、部分的
にでも温度低下が生じるところを無くしている。このプ
レート状ヒータ142によって、ガイド板に接する空気
の温度低下を防ぐことができるため、ガイド板14にオ
リゴマー等の昇華物が析出することを確実に防止するこ
とができる。
【0040】最後に、後側板部材15と後側排気チャン
バ16とについて、図6を用いて説明する。
【0041】図6は、後側板部材と後側排気チャンバの
斜視図である。
【0042】後側板部材15および後側排気チャンバ1
6は、いずれも、ダイ11の、回転ドラム12の回転方
向後方に配置されたものである。ここで、後側排気チャ
ンバ16は、本発明の第1の流延装置にいう第2の排気
チャンバに相当する。
【0043】後側板部材15は、上述した前側ガイド板
14と同様に、リップ部111の、回転ドラムの幅方向
の幅と同等でもよいが、リップ部111の幅より10%
から30%広いことがより好ましい。また、後側板部材
15の、回転ドラム側の表面151は平坦であり、回転
ドラム側の表面151に対する裏面には、プレート状ヒ
ータ152が貼り付けられている。このプレート状ヒー
タ152を含め、上述した、前側排気チャンバ13のプ
レート状ヒータ1332や、前側ガイド板14のプレー
ト状ヒータ142は総て、貼り付けられた部位が180
℃以上の高温になるまで加熱するものである。さらに、
後側板部材15の、回転ドラムの幅方向の両端外側それ
ぞれには、後側排気チャンバ16の吸気口161が設け
られている。したがって、前側ガイド板14と同様に、
後側板部材15は、オリゴマー等の昇華物が析出するこ
とを防止しているとともに、後側板部材15もリップ間
隔整機構112の電気ヒータの配線1123等の温度の
低い部材との遮蔽板としての機能を有しているから、オ
リゴマー等の昇華物が配線1123等の温度の低い部材
に析出することも防止している。また、ダイ11より回
転ドラム12の回転方向後方に存在するオリゴマー等の
昇華物を含む空気は、後側排気チャンバ16の吸気力に
よって吸気されるため、この点からもオリゴマー等の昇
華物の析出が防止されている。なお、後方板部材15
は、上述した調整機構112のボルト1121を人手に
より回して調整する時等に、ボルト1121や工具等が
回転ドラム12の周面上に落下して、周面を傷付けるこ
とを防止することを本来の機能とするものであり、本実
施形態では、ボルト1121や工具等を受け止められる
範囲で、後方板部材15とダイ11との間には若干の隙
間が設けられているが、上述した前側ガイド板14と同
様に、後方板部材15をダイ11と一体的に設けてもよ
い。
【0044】以上の如く、本実施形態の流延装置10で
は、オリゴマー等の昇華物の析出を防止することができ
るため、オリゴマー等の昇華物の析出物が、回転ドラム
12の周面に吐出された熱可塑性樹脂の上や、回転ドラ
ム12の周面上に落下することを防止することができ
る。また、前側排気チャンバ13は、排気室132’の
内周壁や排気口132や排気管1321にオリゴマー等
の昇華物が析出しても、仕切板133を備えるため、そ
の析出物が、回転ドラムの周面に吐出された熱可塑性樹
脂の上に落下することを防止することができる。
【0045】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の流延装
置によれば、オリゴマー等の昇華物の析出物が、回転ド
ラムの周面に吐出された熱可塑性樹脂の上や、回転ドラ
ムの周面上に落下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート状物製造装置の前半部分を説明するため
の図である。
【図2】シート状物製造装置の後半部分を説明するため
の図である。
【図3】本実施形態の流延装置の模式断面図である。
【図4】本実施形態の流延装置を上方からみた模式図で
ある。
【図5】前側排気チャンバを説明するための模式図であ
る。
【図6】後側板部材と後側排気チャンバの斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 シート状物製造装置 10 流延装置 11 ダイ 111 リップ部 112 調整機構 1121 ボルト 1122 スリーブ 1123 配線 113 凹溝 12 回転ドラム 13 前側排気チャンバ 131 吸気口 131’ 吸気室 132 排気口 132’ 排気室 1321 排気管 133 仕切板 1331 貫通孔 1332 プレート状ヒータ 134 天板 14 前側ガイド板 141 表面 142 プレート状ヒータ 15 後側板部材 151 表面 152 プレート状ヒータ 16 後側排気チャンバ 161 吸気口 20 縦延伸装置 21 回転ロール 21a 予熱回転ロール 21b 延伸回転ロール 21c 冷却回転ロール 30 テンタ 40 巻取装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転ドラムの周面に溶融状態の熱可塑性
    樹脂を吐出するダイを備え、該ダイより、該回転ドラム
    の回転方向前方の位置に配備された、該回転ドラムの周
    面に向いた吸気口を有する排気チャンバを備えた流延装
    置において、 前記ダイと一体的に設けられ該ダイから前記排気チャン
    バに向かって延設された、前記回転ドラム側の面が平坦
    に広がるガイド板を備えたことを特徴とする流延装置。
  2. 【請求項2】 前記ガイド板及び前記排気チャンバは、
    前記ダイのリップ部の、回転ドラム幅方向の幅と同じ若
    しくはそれより広幅であること特徴とする請求項1記載
    の流延装置。
  3. 【請求項3】 前記ガイド板は、前記排気チャンバの吸
    気口の一部にオーバーラップする位置まで延設されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の流延装置。
  4. 【請求項4】 前記ダイの、前記回転ドラムの回転方向
    後方の位置に、前記回転ドラムの周面に向いた吸気口を
    有する第2の排気チャンバを備えたことを特徴とする請
    求項1記載の流延装置。
  5. 【請求項5】 回転ドラムの周面に溶融状態の熱可塑性
    樹脂を吐出するダイを備え、該ダイより、該回転ドラム
    の回転方向前方の位置に配備された、該回転ドラムの周
    面に向いた吸気口と、該吸気口から吸気された空気を排
    気する排気口とを有する排気チャンバを備えた流延装置
    において、 前記排気チャンバは、前記回転ドラムの幅方向に関し、
    前記ダイのリップ部の、回転ドラム幅方向の幅と同じ若
    しくはそれより広幅であって、かつ回転ドラム幅方向の
    両壁それぞれに前記排気口を有するものであることを特
    徴とする流延装置。
  6. 【請求項6】 前記排気チャンバは、前記吸気口と同じ
    方向に開口した貫通孔を有する仕切板で、該吸気口を有
    する吸気室と、前記排気口を有する排気室とに仕切られ
    てなるものであって、前記仕切板を加熱する加熱機構を
    備えたものであることを特徴とする請求項5記載の流延
    装置。
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